JP2018070788A - 粘着剤組成物、粘着シート、タッチパネル、画像表示装置 - Google Patents

粘着剤組成物、粘着シート、タッチパネル、画像表示装置 Download PDF

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Kenichi Nakanishi
健一 中西
一博 佐々木
Kazuhiro Sasaki
一博 佐々木
伊藤 大悟
Daigo Ito
大悟 伊藤
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Abstract

【課題】透明樹脂板に接して配置した場合の高温高湿下における耐発泡性、耐湿熱白化性、透明性、耐腐食防止性および粘着性の良好な粘着シートとなる硬化物が得られる粘着剤組成物を提供する。【解決手段】(A)(メタ)アクリロイルオキシ基含有ポリウレタン樹脂と、(B)ヒドロキシル基を有する重合性単量体と、(C)ブロックイソシアナト基を有する(メタ)アクリレートモノマーと、(D)光重合開始剤と、(E)ジアザビシクロアルケン化合物および/またはその塩と、を必須成分として含有する粘着剤組成物とする。(E)成分が、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、およびこれらの塩から選択される1つ以上であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着剤組成物、粘着シート、粘着シートを具備するタッチパネルおよび画像表示装置に関する。
近年、携帯端末、ゲーム機器、カーナビなどの分野においては、液晶ディスプレイなどの画像表示装置や、画像表示装置と組み合わせて用いられるタッチパネルなどの入力装置が多く見られる。
これらの分野で使用されている画像表示装置の表面には、粘着シートを用いて光学部材および/または保護透明板などが貼り合されている。
タッチパネルとしては、主に、抵抗膜方式のものと静電容量方式のものとがある。抵抗膜方式のタッチパネルでは、入力操作によって発生する電圧を用いて入力箇所を検知する。静電容量方式のタッチパネルでは、タッチパネルに設けられている透明導電膜と人体との間の、入力操作によって発生する静電容量の変化を用いて入力箇所を検知する。
静電容量方式のタッチパネルでは、酸化インジウムスズ(ITO)等からなる透明導電膜の表面に接して、光学部材などを貼り合わせるための粘着シートが配置される。透明導電膜に接して粘着シートが配置されていると、粘着シート中の酸成分によって透明導電膜が酸化し、透明導電膜の導電性能が低下する。このため、透明導電膜と接して使用される粘着シートには、高い金属腐食防止性が要求される。
また、携帯端末、ゲーム機器、カーナビなどに備えられるタッチパネルでは、軽量化および破損時の安全性の観点から、表面に貼り合される保護透明板として、ガラス板に代えてアクリル板やポリカーボネート板などの透明樹脂板が多く用いられるようになってきている。しかし、これらの透明樹脂板は、高温高湿下でガスを放出する。このため、透明樹脂板に接して配置されている粘着シートが発泡し、タッチパネルの視認性が低下することが問題となっている。
従来、粘着シートを形成できる粘着剤組成物として、例えば、カルボキシル基を含有するモノマーを構成成分として含む樹脂組成物と、アミノ基を含有するモノマーを構成成分として含む樹脂組成物とを含有する粘着剤組成物が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の粘着剤組成物は、常温および高温でのプラスチックに対する優れた接着性、耐発泡性を有する。
また、優れた耐発泡性を有する粘着シートを形成できる粘着剤組成物として、アクリル酸等のカルボキシル基含有モノマーを、構成成分として含まないポリマーを含むものがある。
例えば、特許文献2には、モノマー成分としてメタクリル酸メチルを含有するアクリル系ポリマーおよび光反応性モノマーを含む粘着剤組成物が記載されている。特許文献2に記載の粘着剤組成物を用いて形成した粘着シートは、紫外線を照射して硬化した後の高温時の密着力に優れ、発泡や剥がれを生じることがなく、耐久性に優れる。
特開平10−310754号公報 特開2014−156552号公報
しかしながら、従来の粘着性組成物は、これを硬化させることにより、透明樹脂板に接して配置した場合の高温高湿下における耐発泡性に優れ、かつ、透明性、耐腐食防止性および粘着性の良好な粘着シートを形成できるものではなかった。
また、画像表示装置の表面に、光学部材および/または保護透明板などを接着する際に用いる粘着シートは、高温高湿下で使用しても白濁しにくい十分な耐湿熱白化性を有している必要がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、透明樹脂板に接して配置した場合の高温高湿下における耐発泡性、耐湿熱白化性、透明性、耐腐食防止性および粘着性の良好な粘着シートとなる硬化物が得られる粘着剤組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記の粘着剤組成物の硬化物からなる粘着シート、上記の粘着シートを具備するタッチパネルおよび画像表示装置を提供することを課題とする。
[1] (A)(メタ)アクリロイルオキシ基含有ポリウレタン樹脂と、
(B)ヒドロキシル基を有する重合性単量体と、
(C)ブロックイソシアナト基を有する(メタ)アクリレートモノマーと、
(D)光重合開始剤と、
(E)ジアザビシクロアルケン化合物および/またはその塩と、
を必須成分として含有する粘着剤組成物。
[2] 前記(E)成分が、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、およびこれらの塩から選択される1つ以上である[1]に記載の粘着剤組成物。
[3] 前記(E)成分の塩が、有機酸塩である[1]または[2]に記載の粘着剤組成物。
[4] さらに(F)前記(A)〜(C)成分以外の重合性単量体を含有する[1]〜[3]のいずれかに記載の粘着剤組成物。
[5] 前記(A)〜(C)成分および前記(F)成分の合計量100質量部に対して、前記(A)成分を20〜50質量部、前記(B)成分を5〜15質量部、前記(C)成分を1〜10質量部、前記(F)成分を25〜74質量部含む[4]に記載の粘着剤組成物。
[6] 前記(B)成分が、アルキル基の炭素数が2〜7であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシビニルエーテル、アリルアルコールから選択される1種以上である[1]〜[5]のいずれかに記載の粘着剤組成物。
[7] 前記(C)成分の解離温度が80〜150℃である[1]〜[6]のいずれかに記載の粘着剤組成物。
[8] 酸価が0〜4mgKOH/gである[1]〜[7]のいずれかに記載の粘着剤組成物。
[9] 光硬化性粘着シートに用いられる[1]〜[8]のいずれかに記載の粘着剤組成物。
[10] [1]〜[9]のいずれかに記載の粘着剤組成物の硬化物からなる粘着シート。
[11] 透明板の固定に使用される[10]に記載の粘着シート。
[12] 透明導電膜の固定に使用される[10]に記載の粘着シート。
[13] [10]に記載の粘着シートを具備するタッチパネル。
[14] [10]に記載の粘着シートを具備する画像表示装置。
本発明の粘着剤組成物によれば、透明樹脂板に接して配置した場合の高温高湿下における耐発泡性に優れる硬化物が得られる。このため、本発明の粘着剤組成物の硬化物からなる本発明の粘着シートは、発泡に起因する透明樹脂板の透明性低下が生じにくい。したがって、本発明の粘着シートは、透明樹脂板に接して配置され、透明樹脂板の固定に使用される粘着シートとして好適である。
本発明の粘着剤組成物によれば、良好な耐腐食防止性を有する硬化物が得られる。このため、本発明の粘着剤組成物の硬化物からなる本発明の粘着シートは、透明導電膜に接して配置され、透明導電膜の固定に使用される粘着シートとして好適である。
また、本発明の粘着剤組成物によれば、高温高湿下で使用しても白濁しにくく、良好な耐湿熱白化性を有する硬化物が得られる。さらに、本発明の粘着剤組成物によれば、透明性および粘着性が良好な硬化物が得られる。
これらのことから、本発明の粘着剤組成物の硬化物からなる粘着シートは、タッチパネルや画像表示装置などの光学製品に備えられる光学部材を貼り合わせる粘着シートとして好適である。
さらに、本発明の粘着剤組成物の酸価が0〜4mgKOH/gである場合、より一層良好な耐腐食防止性を有する硬化物が得られる。この硬化物からなる粘着シートによれば、粘着シートに含まれる酸成分によって、粘着シートと接して配置される透明導電膜が腐食することをより効果的に防止できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(粘着剤組成物)
本実施形態の粘着剤組成物は、以下の(A)成分〜(E)成分を必須成分として含有する。本実施形態の粘着剤組成物は、下記(A)成分〜(E)成分に加えて、さらに下記(F)成分を含有することが好ましい。本実施形態の粘着剤組成物は、光硬化性を有する。本実施形態の粘着剤組成物は、光硬化性粘着シートに用いられることが好ましい。
(A)(メタ)アクリロイルオキシ基含有ポリウレタン樹脂(以下、「ポリウレタン樹脂」ともいう)。
(B)ヒドロキシル基を有する重合性単量体。
(C)ブロックイソシアナト基を有する(メタ)アクリレートモノマー。
(D)光重合開始剤。
(E)ジアザビシクロアルケン化合物および/またはその塩。
(F)前記(A)〜(C)成分以外の重合性単量体(以下、「他の重合性単量体」ともいう。)。
本実施形態において「(メタ)アクリロイルオキシ基」とは、アクリロイルオキシ基(CH=CH−CO−O−)およびメタクリロイルオキシ基(CH=C(CH)−CO−O−)から選択される一方または両方を意味する。また、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートの一方または両方を意味する。
((A)(メタ)アクリロイルオキシ基含有ポリウレタン樹脂)
本実施形態の粘着剤組成物に含まれる(A)ポリウレタン樹脂は、粘着剤組成物の硬化物における耐水性および粘着性を向上させる。また、粘着剤組成物に含まれる(A)ポリウレタン樹脂は、粘着剤組成物の硬化物からなる粘着シートを透明樹脂板に接して配置した場合の高温高湿下における耐発泡性を向上させる。本実施形態の粘着剤組成物に含まれる(A)ポリウレタン樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(A)ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は5万〜20万であることが好ましく、6万〜15万であることがより好ましく、7万〜10万であることがさらに好ましい。上記(A)ポリウレタン樹脂の重量平均分子量が5万以上であると、粘着剤組成物の硬化物の粘着力がより一層良好となる。一方、上記(A)ポリウレタン樹脂の重量平均分子量が20万以下であると、取り扱い易く、作業性の良好な粘着剤組成物となる。
本実施形態における重量平均分子量の値は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(昭和電工株式会社製Shodex GPC−101)を用いて、下記条件にて常温で測定し、ポリスチレン換算にて算出されるものである。
カラム:昭和電工株式会社製LF−804
カラム温度:40℃
試料:ポリウレタン樹脂の0.2質量%テトラヒドロフラン溶液
流量:1ml/分
溶離液:テトラヒドロフラン
検出器:RI検出器(示差屈折率検出器)
(A)ポリウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−80〜0℃であることが好ましく、−70〜−20℃であることがより好ましい。(A)ポリウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)が上記範囲内であると、粘着剤組成物の硬化物からなる粘着シートが、バランスの良い粘着特性(特に、タックと凝集力の両立)を有するものとなる。具体的には、上記(A)ポリウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)が−80℃以上であると、粘着剤組成物の硬化物からなる粘着シートの凝集力が向上する。その結果、粘着剤組成物の硬化物からなる粘着シートは、被接着物から浮いたり、剥がれたりしにくいものとなる。また、上記(A)ポリウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)が0℃以下であると、タックが向上する。
(A)ポリウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)は、以下に示す方法により求められる。10mgの上記(A)ポリウレタン樹脂からなる試料について、DSC(示差走査熱量計)を用いて示差走査熱量測定を行う。10℃/分の昇温速度で昇温させて、−80℃から200℃まで温度を変化させ、ガラス転移による吸熱開始温度をガラス転移温度(Tg)とする。なお、ガラス転移温度(Tg)が2つ観察された場合には、2つのガラス転移温度(Tg)の相加平均値を、上記(A)ポリウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)とする。
本実施形態の粘着剤組成物に含まれる上記(A)ポリウレタン樹脂は、公知の合成方法を用いて合成できる。
例えば、ポリオールと多官能イソシアネート化合物とを反応させて化合物を合成し、得られた化合物中に残存するイソシアナト基(またはヒドロキシル基)に、(メタ)アクリロイルオキシ基およびヒドロキシル基(またはイソシアナト基)を有する化合物を反応させる方法により合成できる。
なお、本実施形態における「多官能イソシアネート化合物」の「多官能」とは、1分子中に2個以上のイソシアナト基を有することを意味する。
上記(A)ポリウレタン樹脂の合成方法としては、以下に示す2種類の2段階反応による合成方法が例示できる。
(第一の合成方法)
まず、ポリオールと多官能イソシアネート化合物とを、イソシアナト基量がヒドロキシル基量より多くなる割合で反応させる。このことにより、イソシアナト基を有するポリウレタン化合物を合成する。
この時、ポリオールのヒドロキシル基量と多官能イソシアネート化合物のイソシアナト基量を調整することで、分子量を調整できる。具体的には、イソシアナト基に対するヒドロキシル基量が大きくなるほど、得られるポリウレタン化合物の分子量は大きくなる。反対に、イソシアナト基量に対するヒドロキシル基量が小さくなるほど、得られるポリウレタン化合物の分子量は小さくなる。
次に、得られたポリウレタン化合物のイソシアナト基に、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートとして、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートや各種ポリオール由来の(メタ)アクリレートモノオール(1個のヒドロキシル基を残して、各種ポリオールを(メタ)アクリレート化したもの)を反応させる。このことにより、ポリウレタン化合物に残存するイソシアナト基が、(メタ)アクリロイルオキシ基に転換され、(A)(メタ)アクリロイルオキシ基含有ポリウレタン樹脂が得られる。
上記のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオール(メタ)アクリレート等が例示できる。これらのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの中でも、特に、イソシアナト基との反応性、粘着剤組成物の光硬化性の点で、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
また、ポリウレタン化合物とヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートとを反応させる際に、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートと併用して、アルキルアルコールを反応させてもよい。この場合、アルキルアルコールの使用量を調整することにより、合成される(A)(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリウレタン樹脂中の(メタ)アクリロイルオキシ基の含有量を調整できる。使用できるアルキルアルコールとしては、特に限定はなく、直鎖型、分岐型、脂環型のアルキルアルコールを1種又は2種以上使用できる。
(第二の合成方法)
まず、ポリオールに多官能イソシアネート化合物を、ヒドロキシル基量がイソシアナト基量より多くなる割合で反応させる。このことにより、ヒドロキシル基を有するポリウレタン化合物を合成する。
この時、ポリオールのヒドロキシル基量と多官能イソシアネート化合物のイソシアナト基量を調整することで、分子量を調整できる。具体的には、イソシアナト基に対するヒドロキシル基量が大きくなるほど、得られるポリウレタン化合物の分子量は小さくなる。反対に、イソシアナト基量に対するヒドロキシル基量が小さくなるほど、得られるポリウレタン化合物の分子量は大きくなる。
次に、得られたポリウレタン化合物のヒドロキシル基に、イソシアナト基を有する(メタ)アクリレートを反応させる。このことにより(A)(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリウレタン樹脂が得られる。
この時、ポリウレタン化合物に残存するヒドロキシル基に対して、反応させるイソシアナト基を有する(メタ)アクリレートの使用量を調整することにより、合成される(A)(メタ)アクリロイルオキシ基含有ポリウレタン樹脂中の(メタ)アクリロイルオキシ基の含有量を調整できる。
イソシアナト基を有する(メタ)アクリレートとしては、市販の化合物を使用してもよいし、合成した化合物を使用してもよい。
イソシアナト基を有する(メタ)アクリレートを合成する方法としては、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートや各種ポリオール由来の(メタ)アクリレートモノオールと、ジイソシアネート化合物とを反応させる方法が挙げられる。このことにより、片方の末端にイソシアナト基を有し、もう一方の末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアナト基含有(メタ)アクリレートが得られる。
イソシアナト基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、1,1−ビス(アクロイルオキシメチル)エチルイソシアネートなど挙げられる。これらの中でも特に、ヒドロキシル基との反応性、粘着剤組成物の光硬化性の点で、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
上述した2種類の(A)ポリウレタン樹脂の合成方法における2段階反応は、いずれも、ヒドロキシル基とイソシアナト基との反応である。いずれの反応も、イソシアナト基に不活性な有機溶媒存在下で、ウレタン化触媒を用いて、通常30〜100℃で、1〜5時間程度継続して行われる。
ウレタン化触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジエチルヘキソエートなどの一般的なものを用いることができる。ウレタン化触媒の使用量は、反応に供される原料の合計質量基準で、通常50〜500ppmである。
また、上述した2種類の(A)ポリウレタン樹脂の合成方法で用いるポリオールとしては公知のものを使用できる。具体的には、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、およびその他のポリオールなどが挙げられる。
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド、ヘキサンジオール、メチルヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール若しくはこれらの混合物の縮合によるジオール、またはビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール類にエチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させたグリコールが挙げられる。
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、少過剰の多官能アルコールと二塩基酸とが縮合反応したポリエステルポリオールが挙げられる。
多官能アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、ブチルエチルペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどの2個の水酸基を有する化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3個以上の水酸基を有する化合物が挙げられる。
二塩基酸としては、例えば、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸等の脂肪族あるいは芳香族二塩基酸が挙げられる。
前記ポリカーボネートポリオールとしては、下記の式(1)で示される構造を分子中に有する公知のポリカーボネートポリオールを使用できる。
−[−O−R−O−CO−]− (1)
(式(1)中、Rは2価の有機残基を示し、mは1以上の整数を表す。)
ポリカーボネートポリオールは、例えば、グリコールまたはビスフェノールと、炭酸エステルとを反応させる(反応(1))方法、グリコールまたはビスフェノールを、アルカリの存在下でホスゲンと反応させる(反応(2))方法などにより得られる。
前記反応(1)で使用する炭酸エステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどが挙げられる。
前記反応(1)および反応(2)で使用するグリコールまたはビスフェノールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3,3’−ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、オクタンジオール、ブチルエチルペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール;、ビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール類;、ビスフェノール類にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させたビスフェノール類;等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
前記ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、市販の種々の飽和及び不飽和のアルキル化合物のポリオール化物を使用できる。具体例には、ポリエチレンポリオール、ポリプロピレンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水素添加ポリブタジエンポリオール、水素添加ポリイソプレンポリオール等が挙げられる。これらの中でも、液状の粘着剤組成物の作業性、粘着剤組成物の硬化物の耐光性および透明性(非結晶性)の点で、水素添加1,2−ポリブタジエンポリオールまたは水素添加ポリイソプレンポリオールが好ましい。なお、水素添加1,2−ポリブタジエンとは、1,2−ポリブタジエンの二重結合部分に水素を反応させて単結合に変えたものをいう。水素添加ポリイソプレンについても同様である。
前記その他のポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブタンジオール、プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等のジオールが挙げられる。また、前記その他のポリオールとして、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、メチルグルコシド等の、3個以上の水酸基を有する化合物が挙げられる。
上述したポリオールの中でも、液状の粘着剤組成物の作業性、粘着剤組成物の耐光性および透明性(非結晶性)、柔軟性の点で、グリコール、飽和及び不飽和のアルキル化合物のポリオール化物が好ましい。特に、ポリオールとして、水素添加1,2−ポリブタジエンポリオール、水素添加ポリイソプレンポリオール、ポリプロピレングリコールが好ましい。
上述した2種類のポリウレタン樹脂の合成方法において使用する多官能イソシアネートとしては、特に制限は無く、公知の化合物を用いることができる。例えば、芳香族多官能イソシアネート、芳香族多官能イソシアネートの水素添加物、脂肪族多官能イソシアネート、等が例示できる。
前記芳香族多官能イソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、等が挙げられる。
芳香族多官能イソシアネートの水素添加物としては、芳香族多官能イソシアネートに水素添加した化合物が挙げられる。
前記脂肪族多官能イソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート等が挙げられる。
これらの多官能イソシアネート化合物は、単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
上述の多官能イソシアネートの中でも耐候性の点から、脂肪族多官能イソシアネートが好ましく、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートがより好ましい。
本実施形態では、前記ポリウレタン化合物に残存するヒドロキシル基またはイソシアナト基のモル数に対して、80〜100mol%の(メタ)アクリロイルオキシ基を導入することが好ましく、90〜100mol%の(メタ)アクリロイルオキシ基を導入することがより好ましい。上記の(メタ)アクリロイルオキシ基の割合が80〜100mol%であると、合成された(A)ポリウレタン樹脂を含む粘着剤組成物の硬化物からなる粘着シートは、十分に高い凝集力を有するものとなるとともに、透明樹脂板に接して配置した場合の耐発泡性がより良好なものとなる。
(A)ポリウレタン樹脂の含有量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分および(F)成分の合計量100質量部に対して、20〜50質量部が好ましく、より好ましくは25〜45質量部であり、さらに好ましくは30〜40質量部である。(A)ポリウレタン樹脂の含有量が上記範囲である粘着剤組成物の硬化物は、透明樹脂板に接して配置した場合の高温高湿下における耐発泡性が、より良好な粘着シートとなる。また、(A)ポリウレタン樹脂の含有量が上記範囲である粘着剤組成物の硬化物は、耐水性、粘着性のより良好なものとなる。
((B)ヒドロキシル基を有する重合性単量体)
粘着剤組成物に含まれる(B)ヒドロキシル基を有する重合性単量体は、粘着剤組成物の硬化物における耐湿熱白化性を向上させる。また、(B)ヒドロキシル基を有する重合性単量体は、粘着剤組成物の硬化物からなる粘着シートを透明樹脂板に接して配置した場合の高温高湿下における耐発泡性を向上させる。本実施形態の粘着剤組成物に含まれる(B)ヒドロキシル基を有する重合性単量体は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(B)ヒドロキシル基を有する重合性単量体は、粘着剤組成物の光重合後の硬化物中にヒドロキシル基を導入する。また、粘着剤組成物の硬化物中には、粘着剤組成物に含まれる(C)ブロックイソシアナト基を有する(メタ)アクリレートモノマーによって、ブロックイソシアナト基が導入されている。硬化物中のヒドロキシル基は、硬化物が加熱されることにより、硬化物中のブロックイソシアナト基と反応する。その結果、加熱後の硬化物は、加熱前の硬化物と比較して、粘着力が向上する。また、硬化物中のヒドロキシル基とブロックイソシアナト基との反応により、粘着剤組成物の硬化物からなる粘着シートを透明樹脂板に接して配置した場合の高温高湿下における耐発泡性も向上する。よって、例えば、本実施形態の粘着剤組成物の硬化物からなる粘着シートを具備する画像表示装置では、画像表示装置の使用中に発生する熱等により粘着シート(硬化物)中のヒドロキシル基とブロックイソシアナト基とが反応し、粘着シートの粘着力が向上する。また、この粘着シートによって透明樹脂板が固定されている画像表示装置では、粘着シートの発泡に起因する視認性の低下が生じにくく、好ましい。
(B)ヒドロキシル基を有する重合性単量体としては、カルボキシル基を有さないものが好ましく、例えば、アルキル基の炭素数が2〜7であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシビニルエーテル、アリルアルコール等が挙げられる。これらの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオール(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル又はジエチレングリコールモノビニルエーテル等のヒドロキシビニルエーテルが例示でき、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。中でも、硬化物の粘着力の点で、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテルが好ましい。
(B)ヒドロキシル基を有する重合性単量体の含有量は、(C)ブロックイソシアナト基を有する(メタ)アクリレートモノマーがヒドロキシル基を有さないモノマーである場合、(A)〜(C)成分および(F)成分の合計量100質量部に対して5〜15質量部が好ましく、より好ましくは8〜13質量部、さらに好ましくは10〜12質量部である。(B)ヒドロキシル基を有する重合性単量体の含有量が上記範囲である粘着剤組成物を硬化させることにより、基材への密着性、耐水性が十分であり、より良好な耐湿熱白化性を有する硬化物が得られる。
((C)ブロックイソシアナト基を有する(メタ)アクリレートモノマー)
粘着剤組成物に含まれる(C)ブロックイソシアナト基を有する(メタ)アクリレートモノマーは、粘着剤組成物の硬化物からなる粘着シートを透明樹脂板に接して配置した場合の高温高湿下における耐発泡性を向上させる。本実施形態の粘着剤組成物に含まれる(C)ブロックイソシアナト基を有する(メタ)アクリレートモノマーは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(C)ブロックイソシアナト基を有する(メタ)アクリレートモノマーは、イソシアナト基を有する(メタ)アクリレートモノマーのイソシアナト基をブロック剤でマスクしたものである。(C)ブロックイソシアナト基を有する(メタ)アクリレートモノマーは、室温付近では安定を保つ。(C)成分中のブロックイソシアナト基は、粘着剤組成物が光重合で硬化した後に加熱されることによってブロック剤が解離して、活性イソシアナト基として再生し、前述のように(B)成分のヒドロキシル基と反応する。
上記(C)ブロックイソシアナト基を有する(メタ)アクリレートモノマーの解離温度は、80〜150℃であることが好ましく、より好ましくは80〜130℃である。解離温度が150℃以下であると、粘着剤組成物の硬化物からなる粘着シートを透明樹脂板に接して配置した場合の高温高湿下における耐発泡性がより一層向上する。解離温度が80℃以上であると、低温でブロック剤が解離することによる副反応を抑制でき、粘着剤組成物の安定性が良好となる。
(C)ブロックイソシアナト基を有する(メタ)アクリレートモノマーは、イソシアナト基を有する(メタ)アクリレートモノマーとブロック剤とを反応させることにより得られる。
上記イソシアナト基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、3−イソシアネートプロピル(メタ)アクリレート、1,1−ビス(アクロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が挙げられる。これらは、1種類又は2種類以上混合で用いることができる。
上記ブロック剤としては、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジベンジル、マロン酸ジエチルメチル等のカルボン酸エステル類、:マロン酸、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル(アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等)等の活性メチレン化合物;ホルムアミドオキシム、アセトアミドオキシム、アセトオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、メチルエチルケトオキシム(MEKオキシム)、メチルイソブチルケトオキシム(MIBKオキシム)、ジメチルケトオキシム、ジエチルケトオキシム等のオキシム化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、ヘプタノール、ヘキサノール、オクタノール、イソノニルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール等の一価アルコール又はこれらの異性体;メチルグリコール、エチルグリコール、エチルジグリコール、エチルトリグリコール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、等のグリコール誘導体;フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ニトロフェノール、クロロフェノール等のフェノール類又はこれらの異性体:乳酸メチル、乳酸アミル等の水酸基含有エステル;ジブチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−tert−ブチルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール等のアミン化合物;エチレンイミン、ポリエチレンイミン等のイミン化合物;モノメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエチルエタノールアミン等のアルコールアミン;α−ピロリドン、β−ブチロラクタム、β−プロピオラクタム、γ−ブチロラクタム、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム等のラクタム類;ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;イミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール類;アセトアニリド、アクリルアミド、酢酸アミド、ダイマー酸アミド等の酸アミド類;コハク酸イミド、マレイン酸イミド、フタル酸イミド等の酸イミド類;尿素、チオ尿素、エチレン尿素等の尿素化合物;ベンゾトリアゾール類;3,5−ジメチルピラゾール等のピラゾール類等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
上記(C)ブロックイソシアナト基を有する(メタ)アクリレートモノマーを得るためのイソシアナト基を有する(メタ)アクリレートモノマーのブロック化反応は、公知の反応方法により行うことができる。
ブロック化剤の添加量は、遊離のイソシアナト基に対し、通常1〜2当量、好ましくは1.05〜1.5当量である。ブロック化反応の反応温度は、通常50〜150℃であり、好ましくは60〜120℃である。ブロック化反応の反応時間は、1〜7時間程度が好ましい。また、ブロック化反応は、触媒や溶媒(芳香族炭化水素系、エステル系、エーテル系、ケトン系及びこれらの2種以上の混合溶媒等)を用いて行ってもよい。
上記(C)ブロックイソシアナト基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、市販のものを用いることができる。具体的には、例えば、メタクリル酸2−(0−[1‘−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(カレンズMOI−BM(登録商標)、昭和電工株式会社製)、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート(カレンズMOI−BP(登録商標)、昭和電工株式会社製)等が挙げられる。カレンズMOI−BM(登録商標)、カレンズMOI−BP(登録商標)は、常温での安定性が良好であるため、上記(C)ブロックイソシアナト基を有する(メタ)アクリレートモノマーとして好ましい。
上記(C)ブロックイソシアナト基を有する(メタ)アクリレートモノマーの含有量は、(B)ヒドロキシル基を有する重合性単量体がブロックイソシアナト基を有さない重合性単量体である場合、(A)〜(C)成分および(F)成分の合計量100質量部に対して1〜10質量部が好ましく、より好ましくは2〜8質量部、さらに好ましくは3〜6質量部である。(C)ブロックイソシアナト基を有する(メタ)アクリレートモノマーの含有量が上記範囲であると、粘着剤組成物の硬化物からなる粘着シートを透明樹脂板に接して配置した場合の高温高湿下における耐発泡性がより一層向上する。
本実施形態の粘着剤組成物は、(B)成分と(C)成分とを兼ねる成分を含んでいてもよい。具体的には、(B)成分と(C)成分とを兼ねる成分として、ヒドロキシル基およびブロックイソシアナト基の両方を有する(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。この場合、(B)成分と(C)成分とを兼ねる成分の有するヒドロキシル基の数およびブロックイソシアナト基の数に応じて、(A)〜(C)成分および(F)成分の合計量に対する(B)成分および(C)成分の含有量を案分する。具体的には、例えば、(A)〜(C)成分および(F)成分の合計量100質量部に対して、ヒドロキシル基を2つ有し、ブロックイソシアナト基を1つ有する(メタ)アクリレートモノマーが9質量部含まれているときは、ヒドロキシル基を有する重合性単量体が6質量部、ブロックイソシアナト基を有する(メタ)アクリレートモノマーが3質量部とカウントする。
((F)(A)〜(C)成分以外の重合性単量体)
本実施形態の粘着剤組成物は、前記(A)〜(E)の成分に加えて、さらに(F)(A)〜(C)成分以外の重合性単量体(以下、「(F)他の重合性単量体」ともいう)を含有することが好ましい。(F)他の重合性単量体は、粘着剤組成物の粘着力および/またはガラス転移点を調整する目的で含有される。本実施形態の粘着剤組成物に含まれる(F)他の重合性単量体は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(F)他の重合性単量体としては、ビニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基などのラジカル重合可能な官能基を有するものであれば、単官能又は多官能のいずれであっても用いることができる。(F)他の重合性単量体は、粘着剤組成物の硬化物の耐腐食防止性を向上させるために、カルボキシル基を含有しないことが好ましい。なお、ここで言う官能基とは、ビニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基などのラジカル重合可能なエチレン性C−C二重結合を指す。
(F)他の重合性単量体の具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルナニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート;
エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;
メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート;
オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート等のフッ素化アルキル(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有(メタ)アクリレート;
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ビス(ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチルヒダントインジ(メタ)アクリレート、α,ω−ジ(メタ)アクリルビスジエチレングリコールフタレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジアクリロキシエチルフォスフェート、ジペンタエリスリトールトリヒドロキシ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの(F)他の重合性単量体中でも、特に、光重合性、粘着力が優れるため、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレートが好ましい。
(F)他の重合性単量体の含有量は、粘着剤組成物の硬化物のガラス転移温度(Tg)が、所望の範囲に入るように適宜選択することが好ましい。(F)他の重合性単量体の含有量は、前記(A)〜(C)成分および前記(F)成分の合計量100質量部に対して、25〜74質量部であることが好ましく、より好ましくは30〜65質量部、さらに好ましくは35〜57質量部である。(F)他の重合性単量体の含有量が上記範囲である粘着剤成物の硬化物からなる粘着シートは、凝集力が十分に高く、被接着物への密着性が良好なものとなる。
((D)光重合開始剤)
本実施形態の粘着剤組成物に含まれる(D)光重合開始剤としては、例えば、カルボニル系光重合開始剤、スルフィド系光重合開始剤、キノン系光重合開始剤、スルホクロリド系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤が挙げられる。本実施形態の粘着剤組成物に含まれる(D)光重合開始剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
カルボニル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ω−ブロモアセトフェノン、クロロアセトン、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ジクロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルホルメート、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−N,N’−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が挙げられる。
スルフィド系光重合開始剤としては、例えば、ジフェニルジスルフィド、ジベンジルジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルアンモニウムモノスルフィド等が挙げられる。
キノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾキノン、アントラキノン等が挙げられる。
チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン等が挙げられる。
(D)光重合開始剤の含有量は、粘着剤組成物の光硬化性と、粘着剤組成物の硬化物の強度および粘着性のバランスの点から、前記(A)〜(C)成分および前記(F)成分の合計量100質量部に対して、0.2〜5質量部が好ましく、より好ましくは0.5〜3質量部であり、さらに好ましくは0.8〜2質量部である。(D)光重合開始剤の含有量が上記範囲である粘着剤組成物は、光硬化性が十分に得られるとともに、良好な粘着性を有する硬化物が得られる。
((E)ジアザビシクロアルケン化合物および/またはその塩)
本実施形態の粘着剤組成物は、アミジン構造を有する(E)ジアザビシクロアルケン化合物およびその塩から選択される1つ以上を含有する。(E)成分は、粘着剤組成物の光重合後の硬化物が加熱されることにより、硬化物に含まれる(C)成分中のブロックイソシアナト基の架橋促進剤として働く。例えば、粘着剤組成物の硬化物からなる粘着シートを具備する画像表示装置においては、画像表示装置の使用中に発生する熱等により、粘着シート(硬化物)中の(E)成分が(C)成分中のブロックイソシアナト基の架橋反応を促進する。その結果、粘着剤組成物の硬化物からなる粘着シートを透明樹脂板に接して配置した場合の高温高湿下における耐発泡性がより一層向上する。なお、粘着剤組成物の硬化物中に含まれる(E)成分は、硬化物の室温での保存安定性には悪影響をおよぼさない。すなわち、硬化物中に含まれる(E)成分は、室温での活性は低く、(E)成分の種類によって決定される所定の温度以上(例えば50℃以上)になると活性を発揮する。
本実施形態の粘着剤組成物において使用される(E)ジアザビシクロアルケン化合物およびその塩としては、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネン(以下、「DBN」ともいう)、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(以下、「DBU」ともいう)、およびこれらの塩などが挙げられる。(E)ジアザビシクロアルケン化合物およびその塩は、一種のみを単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良い。
DBN塩の代表例としては、DBNのギ酸塩、DBNのオルソフタル酸塩、DBNのオクチル酸塩、DBNのフェノール塩、DBNのフェノールノボラック樹脂塩、DBNのp−トルエンスルホン酸塩等のDBNの有機酸塩が挙げられる。
DBU塩の代表例としては、DBUのギ酸塩、DBUのオイレン酸塩、DBUのオルソフタル酸塩、DBUのオクチル酸塩、DBUのフェノール塩、DBUのp−トルエンスルホン酸塩等のDBUの有機酸塩が挙げられる。
DBNおよびその塩、DBUおよびその塩としては、市販品を使用できる。例えば、DBNおよびその塩は、サンアプロ株式会社より、DBN、U−CAT1102(DBNのオクチル酸塩)、UCAT881(DBN−フェノールノボラック樹脂塩)などが市販されている。DBUおよびその塩は、例えば、サンアプロ株式会社より、DBU、U−CAT SA102−50(DBUのオクチル酸塩)、U−CAT SA112(DBUのオクチル酸塩)、U−CAT SA106(DBUのオレイン酸塩)、U−CAT SA506(DBUのp−トルエンスルホン酸塩)、U−CAT SA603(DBUのギ酸塩)などが市販されている。
本実施形態の粘着剤組成物において(E)成分として、DBNおよびその塩と、DBUおよびその塩とから選択される1つ以上を用いた場合、(B)成分の室温での安定性に影響しないため粘着剤組成物の保存安定性が良好となり、好ましい。中でも特に、DBN、DBNのオクチル酸塩、DBU、DBUのオクチル酸塩から選択される1つ以上を用いた場合、粘着剤組成物への溶解性が良好であるため好ましい。
(E)成分の含有量は、前記(A)〜(C)成分および前記(F)成分の合計量100質量部に対して、0.001〜1質量部が好ましく、より好ましくは0.01〜0.5質量部であり、さらに好ましくは0.05〜0.3質量部である。(E)成分の含有量が上記範囲である粘着剤組成物は、室温での安定性が良好である。また、(E)成分の含有量が上記範囲である粘着剤組成物の硬化物は、所定の温度に加熱されると(E)成分によって、硬化物に含まれる(C)成分中のブロックイソシアナト基の架橋が十分に促進される。
本実施形態の粘着剤組成物の酸価は、好ましくは0〜4mgKOH/g、より好ましくは0〜0.5mgKOH/g、さらに好ましくは0〜0.1mgKOH/gである。酸価が4mgKOH/g以下である粘着剤組成物は、これを硬化させることで、耐腐食防止性の良好な粘着シートを形成できる。
粘着剤組成物の酸価は、JIS K0070に準拠して測定した値である。具体的には、例えば、以下のように、粘着剤組成物の酸価を測定する。
精密天秤で100ml三角フラスコに試料約2g程度を精秤し、これにエタノールとジエチルエーテルとの混合溶媒(エタノール/ジエチルエーテル=1/1(重量比))10mlを加えて溶解する。更に、この三角フラスコに、指示薬としてフェノールフタレインエタノール溶液を1〜3滴添加し、試料が均一になるまで充分に攪拌する。これを、0.1N水酸化カリウム−エタノール溶液で滴定し、指示薬のうすい紅色が30秒間続いたときを、中和の終点とする。その結果から、下記の式(2)を用いて得た値を、粘着剤組成物の酸価とする。
酸価(mgKOH/g)=[B×f×5.611]/S (2)
(式(2)中、Bは0.1N水酸化カリウム−エタノール溶液の使用量(ml)を示し、fは0.1N水酸化カリウム−エタノール溶液のファクターを示し、Sは試料の採取量(g)を示す。)
本実施形態の粘着剤組成物には、必要に応じて、硬化物の接着力を向上させるため、透明性を損なわない範囲で粘着付与樹脂を添加してもよい。
粘着付与樹脂の例としては、ロジンやロジンのエステル化物等のロジン系樹脂;ジテルペン重合体やα−ピネン−フェノール共重合体等のテルペン系樹脂;脂肪族系(C5系)や芳香族系(C9系)等の石油樹脂;その他、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの粘着付与樹脂の中でも特に、耐光性の点から不飽和二重結合が少ない水添ロジンや不均化ロジンのエステル化物、脂肪族系や芳香族系の石油樹脂、高Tgアクリル樹脂等が好ましい。
粘着付与樹脂の添加量としては、(A)成分、(B)成分、(C)成分および(F)成分の合計量100質量部に対して、1〜10質量部の範囲であることが好ましい。
本実施形態の粘着剤組成物は、必要に応じて、硬化物の透明性を損なわない範囲で、公知の各種添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、可塑剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、ベンゾトリアゾール系等の光安定剤、リン酸エステル系およびその他の難燃剤、界面活性剤のような帯電防止剤、染料などが挙げられる。
本実施形態の粘着剤組成物は、例えば、(A)〜(E)の各成分(および必要に応じて含有される(F)他の重合性単量体)を、従来公知の方法により混合することにより製造できる。
本実施形態の粘着剤組成物は、(B)ヒドロキシ基を有する重合性単量体と、(C)ブロックイソシアナト基を有する(メタ)アクリレートモノマーとを含む。このため、本実施形態の粘着剤組成物は、有機溶媒を加えなくても塗布可能な粘度に調整できる。
本実施形態の粘着剤組成物には、塗工する際の粘度調整を目的として、有機溶媒を添加してもよい。
粘度調整に用いられる有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサノン、n−へキサン、トルエン、キシレン、n−プロパノール、イソプロパノールなどが挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
(粘着シート)
本実施形態の粘着シートは、上記の粘着剤組成物の硬化物からなる。粘着シートを形成している硬化物は、単一層のみであってもよいし、複数層であってもよい。粘着シートが複数層の硬化物を有する場合、全ての層が同じ粘着剤組成物の硬化物であってもよいし、一部または全ての層が異なる粘着剤組成物の硬化物であってもよい。
粘着シートの膜厚は、5〜500μmであることが好ましく、10〜400μmであることがより好ましく、15〜300μmであることがさらに好ましい。粘着シートの膜厚が5μm以上であると、被接着物と粘着シートとの貼り合わせが容易である。粘着シートの膜厚が500μm以下であると、粘着シートの膜厚の制御が容易である。
本実施形態の粘着シートは、粘着剤組成物の硬化物のみからなる両面粘着シートとして用いることができる。
本実施形態の粘着シートは、基材の一方または両方の面に設けられて基材と一体化されていてもよい。この場合、基材の一方面に設けられることにより片面粘着シートとされていてもよいし、基材の両方の面に設けられることにより両面粘着シートとされていてもよい。基材としては、慣用されている基材などを使用でき、特に限定されない。基材として、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルム;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルムが挙げられる。
本実施形態の粘着シートは、シート状の粘着剤組成物の硬化物のみからなるものであることが好ましい。このような粘着シートは、例えば、基材の一方または両方の面に粘着シートが設けられることによって粘着シートと基材とが一体化されているものと比較して、透明性の確保および/または被接着物に対する形状追従性の観点から好ましい。
本実施形態の粘着シートの一方または両方の表面(粘着面)は、使用時まで剥離フィルム(セパレータ)により保護されていてもよい。粘着シートの粘着面を保護するための剥離フィルムは、粘着シートを被着体に貼着する際に剥がされる。粘着シートの表面は、使用時まで剥離フィルムによって保護されていることが好ましいが、剥離フィルムによって保護されていなくてもよい。
剥離フィルムとしては、慣用されている剥離フィルムなどを使用でき、特に限定されない。剥離フィルムとしては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系等の剥離処理剤により表面処理されたプラスチックフィルムが挙げられる。剥離フィルムは、公知の方法により形成できる。また、剥離フィルムの厚さ等も特に制限されない。
粘着シートの両面が剥離フィルムにより保護されている場合、粘着シートの両面が2枚の剥離フィルムによりそれぞれ保護されていてもよいし、両面が剥離面となっている1枚の剥離フィルムとともに粘着シートをロール状に巻回すことにより、粘着シートの両面が保護されていてもよい。
例えば、2枚の剥離フィルムにより粘着シートの両面がそれぞれ保護されている場合、2枚の剥離フィルムの厚さは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、2枚の剥離フィルムは、同じ材料で形成されていてもよいし、それぞれ異なる材料で形成されていてもよい。2枚の剥離フィルムの材料および/または厚みなどが異なる場合、例えば、2枚の剥離フィルムの剛性を異なるものとすることで、2枚の剥離フィルムの粘着シートの粘着面からの剥離性を制御することも可能である。
本実施形態の粘着シートは、例えば、以下に示す方法により製造できる。本実施形態では、2枚の剥離フィルム間に配置されたシート状の硬化物からなる粘着シートを製造する場合を例に挙げて説明する。
剥離フィルム上に、上記の粘着剤組成物を塗布する。次いで、塗布した粘着剤組成物の上面を別の透明な剥離フィルムで覆う。その後、紫外線照射装置等を用いて粘着剤組成物に、粘着剤組成物の上面を覆う剥離フィルムを介して、紫外線を照射し、光重合させる。このことにより、2枚の剥離フィルム間に、上記の粘着剤組成物を光硬化させてなるシート状の硬化物からなる粘着シートが形成される。
剥離フィルム上に、上記の粘着剤組成物を塗布(塗工)する方法としては、公知のコーティング法を用いることができる。具体的には、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター、ダイレクトコーターなどの慣用のコーターを用いることができる。
本実施形態の粘着シートは、光学用途に用いられる光学用粘着シートであることが好ましい。具体的には、光学製品を製造する際などに光学部材を貼り合わせる用途(光学部材貼り合わせ用)などに用いられる。
本実施形態の粘着シートを用いて貼り合わせられる光学部材としては、光学的特性を有する部材であれば、特に限定されない。例えば、画像表示装置、タッチパネルを構成する部材、またはこれらの機器に用いられる部材などが挙げられる。具体的には、例えば、偏光板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、反射フィルム、反射防止フィルム、透明導電フィルム、意匠フィルム、装飾フィルム、表面保護フィルム、プリズム、レンズ、カラーフィルター、透明基板や、さらにはこれらが積層されている部材などが挙げられる。
本実施形態の粘着シートは、透明板の固定に使用される透明板固定用粘着シートであることが好ましい。具体的には、画像表示装置、タッチパネル等の保護パネルに使用されるガラス板や、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等からなる透明樹脂板を固定する用途など用いられる。
本実施形態の粘着シートは透明性に優れるため、透明板の固定に使用される接着シートとして好適である。また、本実施形態の粘着シートは、透明樹脂板に接して配置した場合の高温高湿下における耐発泡性に優れる。したがって、本実施形態の粘着シートを透明樹脂板と接着して得られた積層体は、タッチパネルを構成する部材として好適である。
本実施形態の粘着シートは、透明導電膜の固定に使用される透明導電膜固定用粘着シートであってもよい。
透明導電膜としては、特に限定されないが、例えば、酸化インジウムスズ、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化ガリウム、酸化チタンなどが挙げられる。これらの透明導電膜の中でも、透明性および導電性に優れる酸化インジウムスズが好適に用いられる。
透明導電膜は、透明基材の少なくとも片面の表層に、導電物質を蒸着やコーティングすることにより設けられたものであってもよい。透明導電膜の設けられている基材としては、特に限定されるものではないが、ガラス、樹脂フィルムなどが挙げられる。
本実施形態の粘着シートは、良好な耐腐食防止性を有する。したがって、本実施形態の粘着シートを透明導電膜に接して配置しても、透明導電膜の腐食が生じ難い。よって、本実施形態の粘着シートを透明導電膜と接着して得られた積層体は、例えば、静電容量方式のタッチパネルを構成する部材として好適である。
本実施形態のタッチパネルは、本実施形態の粘着シートを具備する。具体的には、本実施形態のタッチパネルは、例えば、タッチパネルを形成している光学部材が、本実施形態の粘着シートを用いて貼り合わせられているものである。
本実施形態の画像表示装置は、本実施形態の粘着シートを具備する。具体的には、本実施形態の画像表示装置は、例えば、液晶表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)、電子ペーパーなどを形成している光学部材が、本実施形態の粘着シートを用いて貼り合わせられているものである。
以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<(メタ)アクリロイルオキシ基含有ポリウレタン樹脂(A−1)>
温度計、撹拌器、滴下ロート、乾燥管付き冷却管を備えた四つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート15モルと、水酸基末端水素添加ポリブタジエン(日本曹達株式会社製、製品名:GI−3000、水酸基価25mgKOH/g)を14モルとを仕込み、60℃で4時間反応させ、イソシアネート基末端水素添加ポリブタジエンを得た。これに2−ヒドロキシエチルアクリレート2モルを仕込み、70℃まで昇温して2時間反応させた。IR(赤外吸収)測定により、イソシアナト基由来のピークが消失したことを確認してから反応を終了し、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ポリウレタン樹脂(A−1)(重量平均分子量70,000、ガラス転移温度(Tg)−70〜−20℃)を得た。
<(メタ)アクリロイルオキシ基含有ポリウレタン樹脂(A−2)>
温度計、撹拌器、滴下ロート、乾燥管付き冷却管を備えた四つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート14モルと、水酸基末端水素添加ポリイソプレン(出光興産株式会社製、製品名:エポール、水酸基価40mgKOH/g)を13モルとを仕込み、60℃で4時間反応させ、イソシアネート基末端水素添加ポリイソプレンを得た。これに2−ヒドロキシエチルアクリレート2モルを仕込み、70℃まで昇温して2時間反応をさせた。IR測定により、イソシアナト基由来のピークが消失したことを確認してから反応を終了し、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ポリウレタン樹脂(A−2)(重量平均分子量80,000、ガラス転移温度(Tg)−70〜−20℃)を得た。
<(メタ)アクリロイルオキシ基含有ポリウレタン樹脂(A−3)>
温度計、撹拌器、滴下ロート、及び乾燥管付き冷却管を備えた四つロフラスコに、6モルのポリプロピレングリコールD−4000(三井化学製、数平均分子量4,000、水酸基価30mgKOH/g)と、5モルのジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートと、前記2つの原料の総質量に対して、ウレタン化触媒として100質量ppmのジブチルスズジラウレートとを入れ、60℃まで昇温して6時間反応させ、水酸基を末端に有するポリウレタンを得た。次に、水酸基を末端に有するポリウレタンに、2モルの2−イソシアナトエチルメタクリレートを加え、70℃まで昇温して2時間反応させた。IR測定により、イソシアナト基由来のピークが消失したことを確認してから反応を終了し、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ポリウレタン樹脂(A−3)(重量平均分子量32,000、ガラス転移温度(Tg)−70〜−20℃)を得た。
(実施例1〜12、比較例1〜8)
「粘着剤組成物」
上記の(A)(メタ)アクリロイルオキシ基含有ポリウレタン樹脂(A−1)〜(A−3)と、表1および表2に示す(B)ヒドロキシル基を有する重合性単量体、(C)ブロックイソシアナト基を有する(メタ)アクリレートモノマー、(D)光重合開始剤、(E)ジアザビシクロアルケン化合物および/またはその塩、(F)他の重合性単量体を用意した。
表1および表2に示す*1〜*11は、下記の化合物である。
*1:(HEA)2−ヒドロキシエチルアクリレート
*2:(4HBA)4−ヒドロキシブチルアクリレート
*3:(HEVE)ヒドロキシエチルビニルエーテル
*4:(MOI−BP)2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート、解離開始温度100℃(カレンズMOI−BP(登録商標)、昭和電工株式会社製)
*5:(MOI−BM)メタクリル酸2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、解離開始温度120℃(カレンズMOI−BM(登録商標)、昭和電工株式会社製)
*6:(BA)n−ブチルアクリレート
*7:(EHA)2−エチルヘキシルアクリレート
*8:(ISTA)イソステアリルアクリレート
*9:(IBOA)イソボロニルアクリレート
*10:(TMPTA)ペンタエリスリトールトリアクリレート
*11:(IR184)1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イルガキュアー184(BASF社製)
表1および表2に示すDBU、DBU−オクチル酸塩(商品名:U−CAT SA102−50)、DBN、DBN−オクチル酸塩(商品名:U−CAT1102)は、いずれもサンアプロ株式会社のものを用いた。
表2に示すK−KAT XK−635は、KING INDUSTRIES社製の非スズ系ウレタン硬化触媒である。
表1および表2に示す(A)〜(C)成分および(F)成分の合計量100質量部に対して、それぞれ表1および表2に示す配合量(質量部)となるように、上記ポリウレタン樹脂(A−1)〜(A−4)、上記(B)(C)(F)の各成分を配合した。また、ポリウレタン樹脂(A−1)〜(A−4)と(B)(C)(F)成分の合計量100質量部に対して、表1および表2に示す組成(質量部)となるように、(D)成分と(E)成分とを配合した。
また、必要に応じてポリウレタン樹脂(A−1)〜(A−4)と(B)(C)(F)成分の合計量100質量部に対して、表2に示す配合量(質量部)となるように表2に示す架橋促進剤を配合した。
得られた上記ポリウレタン樹脂(A−1)〜(A−4)と、前記(B)〜(F)成分との混合物を、室温下でディスパーを用いて混合し、実施例1〜12、比較例1〜8の粘着剤組成物を調製した。
そして、上述した測定方法により、実施例1〜12、比較例1〜8の粘着剤組成物それぞれについて、酸価を調べた。その結果を、表1及び表2に示す。
「粘着シート」
次に、実施例1〜12、比較例1〜8の粘着剤組成物を用いて、以下に示す方法により、粘着シートを製造した。
厚み75μmの離型PETフィルム(100mm×100mm×100μm)に、粘着剤組成物を、膜厚が200μmとなるようにアプリケーターを用いて、塗布した。次いで、塗布した粘着剤組成物の上面を、厚み50μmの透明な離型PETフィルムで覆った。その後、紫外線照射装置(日本電池株式会社製、UV照射装置4kw×1、出力:160W/cm、メタルハライドランプ)を用いて、照射距離12cm、ランプ移動速度20m/min、照射量約1000mJ/cmの条件で、粘着剤組成物に厚み50μmの透明な離型PETフィルムを介して紫外線を照射し、光重合させた。
以上の工程により、2枚の離型PETフィルム間に、膜厚約200μmのシート状の粘着剤組成物の硬化物からなる実施例1〜12、比較例1〜8の粘着シートを得た。
次に、実施例1〜12、比較例1〜8の粘着シートについて、それぞれ以下に示す方法により、粘着力、全光線透過率、ヘイズ値、耐湿熱白化性、耐発泡性、電気抵抗値上昇率を調べた。
(粘着力測定)
粘着シートを2枚の離型PETフィルムとともに25mm×100mmの大きさに切り取った。次に、切り取った粘着シートの両面に存在する離型PETフィルムのうち、厚み50μmの離型PETフィルムを剥がした。そして、露出した粘着シートに、厚さ50μmのPETフィルム(東レ株式会社製、「ルミラーS−10」)を裏打ち(貼り付け)し、短冊状のシート片を作製した。
次いで、得られた短冊状シートから、厚さ75μmの離型PETフィルムを剥がした。続いて、露出した粘着シート(測定面)を、ガラス板からなる試験板上に対向配置した。そして、裏打ちした厚さ50μmのPETフィルム上を、2kgのゴムローラー(幅:約50mm)を1往復させることにより、硬化物を試験板上に貼付した。以上の工程により、裏打ちした厚さ50μmのPETフィルムと、粘着シートと、試験板とが、この順に積層された測定用サンプルを得た。
その後、測定用サンプルを、温度23℃、相対湿度50%の環境下で24時間放置し、JIS Z0237に準じて、剥離速度300mm/分で180°方向の引張試験を行い、粘着シートのガラス板に対する粘着力(N/25mm)を測定した。その結果を、表1及び表2に示す。
(全光線透過率測定)
粘着シートを2枚の離型PETフィルムとともに30mm×30mmの大きさに切り取った。次に、切り取った粘着シートの両面に存在する離型PETフィルムのうち、厚み50μmの離型PETフィルムを剥がし、露出した粘着シートをガラス板に貼り合わせた。その後、厚み75μmの離型PETフィルムを剥がし、ガラス板上に粘着シートが貼付された測定用サンプルを得た。
測定用サンプルについて、株式会社村上色彩技術研究所製「HR−100型」を使用し、全光線透過率(%)を測定した。参照側(ブランク)にはガラス板のみをセットした。結果を表1及び表2に示す。
(耐湿熱白化性)
全光線透過率を測定する場合と同様にして、測定用サンプルを作製し、下記の方法によりヘイズ値を算出した。その結果を表1及び表2に示す。
また、測定用サンプルを、温度85℃、相対湿度85%の湿熱条件で500時間放置し、下記の方法によりヘイズ値を算出した。その結果を表1及び表2に示す。
ヘイズ値(%)は、各測定用サンプルについて、ヘイズメーター「NM−150(株式会社村上色彩技術研究所製)」を用いて、拡散透過率と全光線透過率とを測定し、拡散透過率を全光線透過率で除し、100を乗じて算出した。ブランクとして、測定用サンプルに使用したガラス板を用いた。ヘイズ値の算出に用いた測定値のn数(測定数)は3回とし、その平均値を採用した。ヘイズ値は、値が小さいほど透明性が高いことを意味する。上記の湿熱条件で500時間放置した後の測定用サンプルのヘイズ値により、耐湿熱白化性を評価した。
(耐発泡性)
耐発泡性の評価は、以下に示す方法により、作製1日後の粘着シート、及び作製2週間後の粘着シートに対して、それぞれ行った。
粘着シートの一方の面に、100mm×100mmの光学用PETフィルム(東洋紡績株式会社製、コスモシャインA4100)の易接着面を配置し、粘着シートの他方の面に、厚さ1mmのポリカーボネート板(三菱ガス化学株式会社社製、ユーピロンシートMR−58)を配置し、貼り合わせた。得られたポリカーボネート板と、粘着シートと、光学用PETフィルムとが、この順で積層された積層体を、オートクレーブ(サクラ精機株式会社製、TAC−200)にて温度40℃、圧力0.5MPaの条件で10分間脱泡処理し、測定用サンプルとした。
その後、測定用サンプルを、温度85℃で500時間放置し、定規を当てて目視で粘着シート界面における発泡の状況を評価した。
耐発泡性の評価は、下記の基準で行なった。結果を表1及び表2に示す。なお、直径の大きい泡のある粘着シートほど泡の数が多かった。
「基準」
○;発泡なし
△;直径1mm未満の発泡有り
×;直径1mm以上の発泡有り
(電気抵抗値上昇率)
粘着シートを2枚の離型PETフィルムとともに50mm×50mmの大きさに切り取り、切り取った粘着シートから厚み50μmの離型PETフィルムを剥がした。露出した粘着シートを、100mm×100mmの酸化インジウムスズ蒸着PETフィルムにおける酸化インジウムスズ膜面に貼り合わせた。このことにより、PETフィルム上に形成された酸化インジウムスズ膜面上に、粘着シートと、厚み75μmの離型PETフィルムとがこの順に積層された測定用サンプルを得た。
次に、測定用サンプルの平面視で対向する端部に、電気抵抗値測定機(三菱化学株式会社製「ロレスターGP」)を接続して電気抵抗値を測定し、初期の電気抵抗値(R)とした。
また、測定用サンプルを、温度60℃、相対湿度90%の条件下で500時間放置し、さらに温度23℃、相対湿度50%の条件下で1時間放置した。その後、初期の電気抵抗値(R)の測定と同様にして電気抵抗値を測定し、所定条件で放置後の電気抵抗値(R)とした。
得られた測定用サンプルの初期の電気抵抗値(R)と、所定条件で放置後の電気抵抗値(R)とを用いて、下記の式(3)により、酸化インジウムスズ膜の電気抵抗値上昇率を算出した。
電気抵抗値上昇率(%)=[(R−R)/R]×100 (3)
(式(3)中、Rは測定用サンプルの初期の電気抵抗値を示し、Rは測定用サンプルの所定条件で放置後の電気抵抗値を示す。)
電気抵抗値上昇率の評価は、下記の基準で行なった。その結果を、表1及び表2に示す。
「基準」
○;電気抵抗値上昇率が5%未満
△;電気抵抗値上昇率が5〜10%未満
×;電気抵抗値上昇率が10%以上
Figure 2018070788
Figure 2018070788
表1に示すように、実施例1〜12の粘着シートは、いずれも十分な粘着力を有するものであった。
実施例1〜12の粘着シートは、いずれも全光線透過率が85%以上であり、透明性が良好であった。
実施例1〜12の粘着シートは、いずれもヘイズ値および耐湿熱白化性が1.0%以下であり、良好であった。
実施例1〜12の粘着シートは、いずれも作製1日後および作製2週間後の耐発泡性の評価が「○」または「△」であり、良好であった。
実施例1〜12の粘着シートは、いずれも電気抵抗値上昇率の評価が「○」であり、良好であった。また、実施例1〜12の粘着剤組成物は、いずれも酸価が0.1mgKOH/g以下であり、十分に小さいものであった。したがって、実施例1〜12の粘着シートは、良好な耐腐食防止性を有する。
これに対し、比較例1の粘着シートは、耐発泡性が不十分であった。これは、比較例1の粘着シートを(A)(メタ)アクリロイルオキシ基含有ポリウレタン樹脂を含まない粘着剤組成物を用いて形成したことによるものと推定される。
比較例2の粘着シートは、耐湿熱白化性および耐発泡性が不十分であった。これは、比較例2の粘着シートを(B)ヒドロキシル基を有する重合性単量体を含まない粘着剤組成物を用いて形成したことによるものと推定される。
比較例3の粘着シートは、耐発泡性が不十分であった。これは、比較例3の粘着シートを(C)ブロックイソシアナト基を有する(メタ)アクリレートモノマーを含まない粘着剤組成物を用いて形成したことによるものと推定される。
比較例4の粘着シートは、耐発泡性が不十分であった。これは、比較例4の粘着シートを(E)ジアザビシクロアルケン化合物および/またはその塩を含まない粘着剤組成物を用いて形成したことによるものと推定される。
比較例5〜8の粘着シートは、作製2週間後の耐発泡性の評価が「×」であり、耐発泡性が不十分であった。これは、比較例5〜8の粘着シートが(E)ジアザビシクロアルケン化合物および/またはその塩を含まない粘着剤組成物を用いて形成したことによるものと推定される。
本発明の粘着剤組成物によれば、透明樹脂板に接して配置した場合の高温高湿下における耐発泡性、耐湿熱白化性、透明性、耐腐食防止性および粘着性の良好な粘着シートとなる硬化物が得られる。したがって、本発明の粘着剤組成物の硬化物からなる粘着シートは、透明樹脂板の固定、透明導電膜の固定に使用される粘着シートとして有用である。本発明の粘着シートは、例えば、タッチパネルや画像表示装置などの光学製品に備えられる光学部材を貼り合わせる粘着シートとして好適である。

Claims (14)

  1. (A)(メタ)アクリロイルオキシ基含有ポリウレタン樹脂と、
    (B)ヒドロキシル基を有する重合性単量体と、
    (C)ブロックイソシアナト基を有する(メタ)アクリレートモノマーと、
    (D)光重合開始剤と、
    (E)ジアザビシクロアルケン化合物および/またはその塩と、
    を必須成分として含有する粘着剤組成物。
  2. 前記(E)成分が、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、およびこれらの塩から選択される1つ以上である請求項1に記載の粘着剤組成物。
  3. 前記(E)成分の塩が、有機酸塩である請求項1または請求項2に記載の粘着剤組成物。
  4. さらに(F)前記(A)〜(C)成分以外の重合性単量体を含有する請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
  5. 前記(A)〜(C)成分および前記(F)成分の合計量100質量部に対して、前記(A)成分を20〜50質量部、前記(B)成分を5〜15質量部、前記(C)成分を1〜10質量部、前記(F)成分を25〜74質量部含む請求項4に記載の粘着剤組成物。
  6. 前記(B)成分が、アルキル基の炭素数が2〜7であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシビニルエーテル、アリルアルコールから選択される1種以上である請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
  7. 前記(C)成分の解離温度が80〜150℃である請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
  8. 酸価が0〜4mgKOH/gである請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
  9. 光硬化性粘着シートに用いられる請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の粘着剤組成物の硬化物からなる粘着シート。
  11. 透明板の固定に使用される請求項10に記載の粘着シート。
  12. 透明導電膜の固定に使用される請求項10に記載の粘着シート。
  13. 請求項10に記載の粘着シートを具備するタッチパネル。
  14. 請求項10に記載の粘着シートを具備する画像表示装置。
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