JP2023139187A - 加飾シートおよび加飾樹脂成形品 - Google Patents

加飾シートおよび加飾樹脂成形品 Download PDF

Info

Publication number
JP2023139187A
JP2023139187A JP2023120394A JP2023120394A JP2023139187A JP 2023139187 A JP2023139187 A JP 2023139187A JP 2023120394 A JP2023120394 A JP 2023120394A JP 2023120394 A JP2023120394 A JP 2023120394A JP 2023139187 A JP2023139187 A JP 2023139187A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
decorative sheet
barrier layer
layer
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2023120394A
Other languages
English (en)
Inventor
大輔 横山
Daisuke Yokoyama
基央 水野
Motoo Mizuno
奈保美 金澤
Nahomi Kanazawa
吉信 大森
Yoshinobu Omori
宏和 角野
Hirokazu Sumino
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Publication of JP2023139187A publication Critical patent/JP2023139187A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B05SPRAYING OR ATOMISING IN GENERAL; APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05DPROCESSES FOR APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05D7/00Processes, other than flocking, specially adapted for applying liquids or other fluent materials to particular surfaces or for applying particular liquids or other fluent materials
    • B05D7/50Multilayers
    • B05D7/56Three layers or more
    • B05D7/58No clear coat specified
    • B05D7/584No clear coat specified at least some layers being let to dry, at least partially, before applying the next layer
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J7/00Chemical treatment or coating of shaped articles made of macromolecular substances
    • C08J7/04Coating
    • C08J7/048Forming gas barrier coatings
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B05SPRAYING OR ATOMISING IN GENERAL; APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05DPROCESSES FOR APPLYING FLUENT MATERIALS TO SURFACES, IN GENERAL
    • B05D5/00Processes for applying liquids or other fluent materials to surfaces to obtain special surface effects, finishes or structures
    • B05D5/06Processes for applying liquids or other fluent materials to surfaces to obtain special surface effects, finishes or structures to obtain multicolour or other optical effects
    • B05D5/061Special surface effect
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B27/00Layered products comprising a layer of synthetic resin
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B44DECORATIVE ARTS
    • B44CPRODUCING DECORATIVE EFFECTS; MOSAICS; TARSIA WORK; PAPERHANGING
    • B44C1/00Processes, not specifically provided for elsewhere, for producing decorative surface effects
    • B44C1/10Applying flat materials, e.g. leaflets, pieces of fabrics
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J2355/00Characterised by the use of homopolymers or copolymers, obtained by polymerisation reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds, not provided for in groups C08J2323/00 - C08J2353/00
    • C08J2355/02Acrylonitrile-Butadiene-Styrene [ABS] polymers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J2433/00Characterised by the use of homopolymers or copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and only one being terminated by only one carboxyl radical, or of salts, anhydrides, esters, amides, imides, or nitriles thereof; Derivatives of such polymers
    • C08J2433/04Characterised by the use of homopolymers or copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and only one being terminated by only one carboxyl radical, or of salts, anhydrides, esters, amides, imides, or nitriles thereof; Derivatives of such polymers esters
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J2475/00Characterised by the use of polyureas or polyurethanes; Derivatives of such polymers
    • C08J2475/04Polyurethanes

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)

Abstract

【課題】固体芳香剤耐性および密着性が良好なバリア層を有する加飾シートを提供する。【解決手段】基材シート1、バリア層4および表面保護層5をこの順に少なくとも有し、上記バリア層が、ビニルアルコール系樹脂およびポリウレタン樹脂を含有し、上記ビニルアルコール系樹脂は、酢酸基以外の疎水性基を有する変性ポリビニルアルコール樹脂である、加飾シートとする。【選択図】図1

Description

本開示は、加飾シートおよび加飾樹脂成形品に関する。
例えば車両内装材には、樹脂成形品の表面に加飾シートを積層させた加飾樹脂成形品が使用されている。
特許文献1には、基材上に少なくとも表面保護層を有する加飾シートであって、表面保護層が、ポリカーボネート(メタ)アクリレートと、多官能(メタ)アクリレートとを所定の割合で含有する組成物の硬化物からなる三次元成形加飾シートが開示されている。この技術は、耐傷付き性と三次元成形性とを両立し得る表面保護層を有する加飾シートを提供することを課題としている。
特許第6020642号明細書
固体芳香剤に含まれる芳香成分が、加飾シートの表面保護層側から侵入し、基材シートに到達すると、基材シートの膨潤が発生する場合がある。一方、固体芳香剤耐性を向上させるために、加飾シートにバリア層を設けることが想定される。ビニルアルコール系樹脂を含有するバリア層は、固体芳香剤耐性の向上を図りやすいものの、密着性が低い傾向にある。
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、固体芳香剤耐性および密着性が良好なバリア層を有する加飾シートを提供することを主目的とする。
本開示においては、基材シート、バリア層および表面保護層をこの順に少なくとも有し、上記バリア層が、ビニルアルコール系樹脂およびポリウレタン樹脂を含有する、加飾シートを提供する。
本開示によれば、バリア層が、ビニルアルコール系樹脂およびポリウレタン樹脂を含有することで、固体芳香剤耐性および密着性が良好なバリア層を有する加飾シートとすることができる。
上記開示においては、上記バリア層が、赤外吸収スペクトルにおいて、1130cm-1以上1160cm-1以下の範囲にピークを有していてもよい。
上記開示においては、上記バリア層において、上記ビニルアルコール系樹脂および上記ポリウレタン樹脂の合計に対する上記ポリウレタン樹脂の割合が、5質量%以上、40質量%以下であってもよい。
上記開示において、上記ビニルアルコール系樹脂は、酢酸基以外の疎水性基を有する変性ポリビニルアルコール樹脂であってもよい。
上記開示においては、上記疎水性基が、反応性基を有していてもよい。
上記開示においては、上記反応性基が、反応性カルボニル基であってもよい。
上記開示においては、上記変性ポリビニルアルコール樹脂が、上記疎水性基として、上記反応性カルボニル基を有するアセトアセチル基を有していてもよい。
上記開示においては、上記表面保護層が、ポリウレタン樹脂を含有していてもよい。
上記開示においては、上記表面保護層は、マルテンス硬さが40N/mm以下であってもよい。
上記開示においては、上記表面保護層および上記バリア層が直接接触していてもよい。
また、本開示においては、樹脂成形品と、上記樹脂成形品の表面に位置する加飾シートとを有する加飾樹脂成形品であって、上記加飾シートは、基材シート、バリア層および表面保護層をこの順に少なくとも有し、上記バリア層が、ビニルアルコール系樹脂およびポリウレタン樹脂を含有する、加飾樹脂成形品を提供する。
本開示によれば、上述した加飾シートを用いることで、固体芳香剤耐性および密着性が良好なバリア層を有する加飾樹脂成形品とすることができる。
本開示においては、固体芳香剤耐性および密着性が良好なバリア層を有する加飾シートを提供することができるという効果を奏する。
本開示における加飾シートの一例を示す概略断面図である。 実施例3で得られた加飾シートのIRスペクトルである。
本開示における加飾シートおよび加飾樹脂成形品について、詳細に説明する。
A.加飾シート
図1は、本開示における加飾シートの一例を示す概略断面図である。図1に示す加飾シート10は、基材シート1、絵柄層2、プライマー層3、バリア層4および表面保護層5を、この順に有する。バリア層4は、ビニルアルコール系樹脂およびポリウレタン樹脂を含有する。
本開示によれば、バリア層が、ビニルアルコール系樹脂およびポリウレタン樹脂を含有することで、固体芳香剤耐性および密着性が良好なバリア層を有する加飾シートとすることができる。上述したように、固体芳香剤に含まれる芳香成分が、加飾シートの表面保護層側から侵入し、基材シートに到達すると、基材シートの膨潤が発生する場合がある。一方、固体芳香剤耐性を向上させるために、加飾シートにバリア層を設けることが想定される。ビニルアルコール系樹脂を含有するバリア層は、固体芳香剤耐性の向上を図りやすいものの、密着性が低い傾向にある。
ここで、ビニルアルコール系樹脂は、水素結合により結晶化することで良好な固体芳香剤耐性を発揮する。一方、本開示におけるバリア層は、ビニルアルコール系樹脂のみならず、ポリウレタン樹脂を含有する。ポリウレタン樹脂のような異種の樹脂を、ビニルアルコール系樹脂に加えると、ビニルアルコール系樹脂の結晶化が阻害される可能性が想定される。ところが、意外にも、ポリウレタン樹脂を用いてもビニルアルコール系樹脂の結晶化、もしくは結晶に近似する構造が生じ、良好な固体芳香剤耐性を維持できることを見出した。さらに、本開示におけるバリア層は、ポリウレタン樹脂を含有することから、密着性の向上を図ることができる。
このように、バリア層が、ビニルアルコール系樹脂およびポリウレタン樹脂を含有することで、固体芳香剤耐性および密着性の両立を図ることができる。
1.バリア層
本開示におけるバリア層は、ビニルアルコール系樹脂およびポリウレタン樹脂を含有する。
(1)ビニルアルコール系樹脂
ビニルアルコール系樹脂は、[-CH-CH(OH)-]単位を有する樹脂である。
ビニルアルコール系樹脂としては、例えばビニルアルコールを用いた共重合体樹脂およびポリビニルアルコール樹脂(PVA)を挙げることができる。
ポリビニルアルコール樹脂は、一般に、ポリ酢酸ビニルをけん化して得られる樹脂である。ポリビニルアルコール樹脂のけん化度は特に限定されないが、固体芳香剤耐性の観点から高い方が好ましい。けん化度は、例えば70モル%以上であり、80モル%以上であってもよく、90モル%以上であってもよく、95モル%以上であってもよく、99モル%以上であってもよい。
ポリビニルアルコール樹脂の平均重合度は特に限定されないが、例えば200以上6000以下であり、300以上4000以下であってもよく、400以上2000以下であってもよい。
ポリビニルアルコール樹脂は、酢酸基(-OCOCH)以外の疎水性基を有する変性ポリビニルアルコール樹脂であってもよい。このような変性ポリビニルアルコール樹脂を用いることで、バリア層の疎水性(耐水性)が向上し、日焼け止め耐性(耐日焼け止めクリーム性)も良好なバリア層を得ることができる。
変性ポリビニルアルコール樹脂は、側鎖として、酢酸基以外の疎水性基を有することが好ましい。疎水性基とは、少なくとも炭素を有し、OH基を有しない官能基をいう。疎水性基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよい。ビニルアルコール系樹脂の結晶化という観点では、疎水性基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。疎水性基の炭素数は、例えば2以上であり、3以上であってもよく、5以上であってもよい。疎水性基としては、例えば、-ORで表される官能基が挙げられる。
Rは、少なくとも炭素を有する。Rとしては、例えば、炭素数3以上のアルキル基、炭素数3以上のアルケニル基または炭素数3以上のアルキニル基等の炭化水素基が挙げられる。
炭素数3以上のアルキル基としては、例えば、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、シクロペンチル基、n-へキシル基、シクロヘキシル基、1-メチルペンチル基、シクロペンチルメチル基、n-ヘプチル基、1-エチルペンチル基、シクロヘキシルメチル基、n-オクチル基が挙げられる。炭素数3以上のアルケニル基としては、例えば、アリル基、イソプロペニル基、ブチニル基が挙げられる。炭素数3以上のアルキニル基としては、例えば、プロピニル基、プロパルギル基、ブチニル基が挙げられる。
疎水性基は、反応性基を有していてもよい。具体的には、-ORで表される官能基において、Rは、少なくとも炭素を有し、さらに反応性基を有していてもよい。反応性基としては、例えば、反応性カルボニル基が挙げられる。疎水性基は、反応性基を1つのみ有していてもよく、2以上有していてもよい。反応性カルボニル基を2つ有する疎水基としては、例えば、アセトアセチル基(-OCOCHCOCH)が挙げられる。
変性ポリビニルアルコール樹脂は、上記疎水性基の1種のみを有していてもよく、2種以上を有していてもよい。また、変性ポリビニルアルコール樹脂は、酢酸基を有していてもよく、有していなくてもよい。
一方、ビニルアルコールを用いた共重合体樹脂としては、例えば、アクリル酸またはアクリル酸塩とビニルアルコールとの共重合体、無水マレイン酸またはマレイン酸もしくはフマル酸とビニルアルコールとの共重合、エチレンとビニルアルコールとの共重合体(EVOH)が挙げられる。EVOHの市販品としては、例えば、エバール(クラレ社製)、ソアノール(三菱ケミカル社製)が挙げられる。
バリア層は、1種のビニルアルコール系樹脂のみを含有してもよく、2種以上のビニルアルコール系樹脂を含有していてもよい。
(2)ポリウレタン樹脂
ポリウレタン樹脂は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応により得られる樹脂である。また、必要に応じて、ポリオールおよびポリイソシアネートに加えて、分子内に親水性官能基を有する化合物または鎖伸長剤等の化合物をさらに反応させることにより、ポリウレタン樹脂を得てもよい。
上記ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオールが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等の低分子ジオール成分と、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸等の多価カルボン酸との縮合物が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド-プロピレンオキサイド共重合体(ランダムおよび/またはブロック共重合体)、ポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールは、例えば、ジオールと、カルボニル成分となる化合物とを反応させた化合物である。上記ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、3-メチルペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。一方、上記カルボニル成分となる化合物は、例えば、炭酸ジエステル、ホスゲン、または、これらの等価体の中から選ばれるいずれかの化合物である。その具体例としては、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジイソプロピル、炭酸ジフェニル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の炭酸ジエステル類、ホスゲン、あるいはクロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸フェニル等のハロゲン化ギ酸エステル類が挙げられる。ポリカーボネートポリオールは、例えば、ジオールと炭酸エステルとのエステル交換法やホスゲン法等の一般的な製造方法で製造される。
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、これらの水素添加ポリオール等が挙げられる。
上記ポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネートが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α-テトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネートが挙げられる。
ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は特に限定されないが、分岐構造および内部架橋構造の少なくとも一方を導入して可能な限り大きくすることが好ましい。ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、例えば10,000以上であり、50,000以上であってもよい。
一方、ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、例えば15,000,000以下であり、5,000,000以下であってもよい。
また、ポリウレタン樹脂は、水への分散性を付与するために親水性官能基を有していてもよい。親水性官能基としては、例えば、カルボキシル基、スルホニル基等が挙げられる。親水性官能基は、以下の化合物により導入することができる。例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、乳酸およびグリシン等のカルボキシル基含有化合物、タウリン等のスルホン酸基含有化合物、カルボキシル基およびスルホン酸基の少なくとも一方を含有する化合物を原料とするポリエステルポリオールが挙げられる。また、ポリウレタン樹脂の分子量を増大させるために、鎖伸長剤を用いてもよい。鎖伸長剤としては、ジアミンや、内部架橋構造を導入する機能をも果たすポリアミンが好ましい。ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ピペラジン、イソホロンジアミンが挙げられ、ポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミンが挙げられる。
さらに、ポリウレタン樹脂は、水系ポリウレタン樹脂であることが好ましい。水系ポリウレタン樹脂は、ウレタン樹脂の乳化物である。水系ポリウレタン樹脂は、非反応型であってもよく、反応型であってもよい。反応型の水系ポリウレタン樹脂は、末端のイソシアネート基をブロック剤で保護している。水系ポリウレタン樹脂は、水溶性型であってもよく、自己乳化型であってもよい。水溶性型および自己乳化型は、いずれも、上述した親水性官能基を有する。水系ポリウレタン樹脂は、ポリウレタン樹脂が網目状に架橋した内部架橋構造体を有することが好ましい。また、水系ポリウレタン樹脂は、ウレア結合を有することが好ましい。イソシアネート基とアミンが反応することでウレア結合が形成される。
バリア層は、1種のポリウレタン樹脂のみを含有してもよく、2種以上のポリウレタン樹脂を含有していてもよい。
(3)バリア層
本開示におけるバリア層は、ビニルアルコール系樹脂およびポリウレタン樹脂を含有する。
バリア層は、赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)において、1130cm-1以上1160cm-1以下の範囲にピークを有することが好ましい。ビニルアルコール系樹脂の結晶化に伴うピークは1130cm-1以上1160cm-1以下の範囲に観察される。バリア層が1130cm-1以上1160cm-1以下の範囲にピークを有することで、優れた固体芳香剤耐性を有する加飾シートが得られる。バリア層の赤外吸収スペクトルは、例えば、断面出しを行い露出させたバリア層について全反射法(ATR法)により測定することで取得できる。断面出しの方法は、例えば、加飾シートから表層を徐々に削っていき下層を1層ずつ露出させていく方法であってもよく、ミクロトーム等の装置またはカッターナイフを用いて断面を全体的に露出させる方法であってもよい。前者の方法は、積層数および膜厚等の層構成が断面観察により判明している場合に有効である。また、後者の方法では、測定エリアを確保するため、加飾シートに対して傾斜をつけて切削することで断面出しを行うことが好ましい。
バリア層において、ポリビニルアルコール樹脂とポリウレタン樹脂の合計に対するポリウレタン樹脂の割合は、例えば5質量%以上であり、10質量%以上であってもよく、15質量%以上であってもよく、20質量%以上であってもよい。ポリウレタン樹脂の割合が少なすぎると、良好な密着性が得られない可能性がある。一方で、ポリウレタン樹脂の割合は、例えば40質量%以下であり、35質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよく、25質量%以下であってもよい。ポリウレタン樹脂の割合が大きすぎると、良好な固体芳香剤耐性が得られない可能性がある。
バリア層は、ビニルアルコール系樹脂の架橋密度を向上させる架橋剤を含有していてもよく、含有していなくてもよい。架橋剤としては、例えば、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)等のジヒドラジド化合物;金属塩;ホウ酸;ポリアクリル酸等の高分子酸等が挙げられる。
バリア層は、ビニルアルコール系樹脂およびポリウレタン樹脂を含有する樹脂組成物の硬化物であってもよい。樹脂組成物は、硬化剤を含有していてもよい。硬化剤としては、例えば、カルボジイミド系硬化剤、イソシアネート系硬化剤が挙げられる。カルボジイミド系硬化剤は、分子内にカルボジイミド構造(-N=C=N-)を有する化合物であれば、特に限定はされない。カルボジイミド基を有する化合物としては、例えば、N,N′-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N′-ジイソプロピルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩が挙げられる。市販品として、カルボジライトV-02、カルボジライトV-02-L2、カルボジライトSV-02、カルボジライトV-04、カルボジライトV-10、カルボジライトSW-12G、カルボジライトE-02、カルボジライトE-03A、カルボジライトE-05(いずれも日清紡ケミカル製)が挙げられる。
イソシアネート系硬化剤としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、キシレン-1,4-ジイソシアネート、キシレン-1,3-ジイソシアネート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルエーテルジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、2-ニトロジフェニル-4,4′-ジイソシアネート、2,2′-ジフェニルプロパン-4,4′-ジイソシアネート、3,3′-ジメチルジフェニルメタン-4,4′-ジイソシアネート、4,4′-ジフェニルプロパンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ナフチレン-1,4-ジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、3,3′-ジメトキシジフェニル-4,4′-ジイソシアネート等の芳香族イソシアネートが挙げられる。また、イソシアネート化合物としては、例えば、1,4-ジイソシアナトブタン、1,5-ジイソシアナトペンタン、1,6-ジイソシアナトヘキサン(1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、HDI)、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン、2,6-ジイソシアナトヘキサン酸メチル(リジンジイソシアネート)等の脂肪族イソシアネートが挙げられる。また、イソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートが挙げられる。
樹脂組成物に含まれる硬化剤の割合は、特に限定されないが、樹脂100質量部に対して、例えば0.5質量部以上であり、1質量部以上であってもよく、3質量部以上であってもよい。一方、硬化剤の割合は、樹脂100質量部に対して、例えば50質量部以下であり、35質量部以下であってもよい。
本開示において、バリア層に直接接触する層はポリウレタン樹脂を含有することが好ましい。バリア層に直接接触する層がポリウレタン樹脂を含有することで、その層と、バリア層との層間での密着性が向上するからである。バリア層に直接接触する層は、特に限定されないが、例えば、表面保護層、プライマー層、絵柄層が挙げられる。特に、バリア層の一方の面に直接接触する層、および、バリア層の他方の面に直接接触する層は、それぞれ、ポリウレタン樹脂を含有することが好ましい。
バリア層は、加飾シートにおいて、表面保護層と基材シートとの間に配置される。また、バリア層と基材シートとの間には、後述する、絵柄層およびプライマー層の少なくとも一つが配置されていてもよい。
バリア層の形成方法の一例としては、ビニルアルコール系樹脂およびポリウレタン樹脂を含有する樹脂組成物を塗工する方法が挙げられる。塗工方法としては、例えば、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の一般的な方法を挙げることができる。また、樹脂組成物が硬化剤を含有する場合、通常、塗工後の未硬化樹脂層(未硬化のバリア層)に硬化処理を行う。硬化処理としては、例えば、熱処理が挙げられる。
熱処理温度は、所望の硬化反応が生じる温度であれば特に限定されないが、例えば90℃以上であり、120℃以上であってもよく、150℃以上であってもよい。一方、熱処理温度の上限は、適宜選択することができる。熱処理方法は、特に限定されず、一般的な熱処理方法を採用できる。
バリア層の厚さは、例えば1μm以上であり、3μm以上であってもよく、5μm以上であってもよい。厚さが小さすぎると、バリア層としての機能が低下する可能性がある。
一方、バリア層の厚さは、例えば50μmμm以下であり、30μm以下であってもよく、10μm以下であってもよい。厚さが大きすぎると、三次元成形性が低下する可能性がある。
2.表面保護層
本開示における表面保護層は、樹脂を少なくとも含有する樹脂組成物の硬化物であることが好ましい。樹脂組成物は、硬化剤を含有していてもよい。上記樹脂は、熱硬化性樹脂であってもよく、電子線硬化性樹脂等の電離放射線硬化性樹脂であってもよい。上記樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂が挙げられ、中でも、ポリウレタン樹脂が好ましい。傷付き耐性が良好な加飾シートを得ることができるからである。なお、硬化剤については上記「1.バリア層」に記載した内容と同様である。
ポリウレタン樹脂は、硬化剤と反応可能な樹脂であることが好ましい。ポリウレタン樹脂は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応により得られる。また、必要に応じて、ポリオールおよびポリイソシアネートに加えて、分子内に親水性官能基を有する化合物または鎖伸長剤等の化合物をさらに反応させることにより、ポリウレタン樹脂を得てもよい。
表面保護層におけるポリウレタン樹脂(第2ポリウレタン樹脂)、および、バリア層におけるポリウレタン樹脂(第1ポリウレタン樹脂)は、同じ樹脂であってもよく、異なる樹脂であってもよい。第2ポリウレタン樹脂の詳細については、上述した第1ポリウレタン樹脂と同様である。第2ポリウレタン樹脂は、水系ポリウレタン樹脂であることが好ましい。また、第2ポリウレタン樹脂は、上記バリア層の硬化処理と同時に硬化反応を促進できる熱硬化性のポリウレタン樹脂であることが特に好ましい。
表面保護層は、マルテンス硬さが低いことが好ましい。傷付き耐性が良好な加飾シートを得ることができるからである。表面保護層のマルテンス硬さは、例えば40N/mm以下であり、35N/mm以下であってもよく、30N/mm以下であってもよい。
一方、表面保護層のマルテンス硬さは、例えば0.01N/mm以上であり、0.8N/mm以上であってもよく、3N/mm以上であってもよい。
マルテンス硬さは、例えば、硬化樹脂の架橋密度、未硬化樹脂の平均分子量により調整できる。硬化樹脂の架橋密度が高くなると、マルテンス硬さは大きくなりやすい。また、硬化剤の使用量を変更することで、マルテンス硬さを調整することができる。
マルテンス硬さの測定は、表面保護層に圧子を押し込むことにより行われる。圧子としては、例えばビッカース圧子を用いることができる。また、測定機器としては、例えば「PICODENTOR HM-500」(株式会社フィッシャー・インストルメンツ製)を用いることができる。なお、圧子が表面保護層に侵入する深さが、表面保護層の厚さに比べて十分に小さい場合には、加飾シートの他の層(例えば基材シート)の影響は無視できる。具体的に、圧子が表面保護層に侵入する深さが、表面保護層の厚さに比べて1/10程度である場合、加飾シートの他の層(例えば基材シート)の影響を無視できるため、加飾シート自体を測定対象として測定しても、表面保護層のマルテンス硬さとして測定することができる。一方、加飾シートの他の層(例えば基材シート)の影響を無視できない場合には、表面保護層のみを測定対象として、マルテンス硬さを測定することが好ましい。
表面保護層の形成方法の一例としては、ポリウレタン樹脂を含有する樹脂組成物を塗工する方法が挙げられる。塗工方法としては、上述したバリア層と同様の塗工方法を挙げることができる。また、塗工後の未硬化樹脂層(未硬化の表面保護層)に硬化処理を行ってもよい。硬化処理としては、例えば、熱処理、電離放射線照射処理が挙げられる。
熱処理温度は、所望の硬化反応が生じる温度であれば特に限定されないが、例えば50℃以上であり、70℃以上であってもよく、80℃以上であってもよい。一方、熱処理温度の上限は、樹脂組成物および硬化剤の種類によって、適宜選択することができる。熱処理方法は、特に限定されず、一般的な熱処理方法を採用できる。
電離放射線照射処理は、塗工された未硬化樹脂層を、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して硬化させる処理である。電離放射線として電子線を用いる場合、加速電圧は特に限定されないが、例えば70kV以上300kV以下である。また、照射線量も特に限定されないが、例えば5kGy以上300kGy以下である。一方、電離放射線として紫外線を用いる場合、例えば、波長190nm以上380nm以下の紫外線を用いることが好ましい。
表面保護層は、必要に応じて各種添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤が挙げられる。なお、添加剤の含有量は、目的に応じて適宜設定することができる。
耐候性改善剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤が挙げられる。紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでもよい。無機系紫外線吸収剤としては、例えば、二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛が挙げられる。一方、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が挙げられる。また、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。
耐摩耗性向上剤は、例えば粒子形状を有することが好ましい。また、耐摩耗性向上剤は、無機系、有機系のいずれでもよい。無機系耐摩耗性向上剤としては、例えば、α-アルミナ、シリカ、カオリナイト、酸化鉄、ダイヤモンド、炭化ケイ素が挙げられる。一方、有機系耐摩耗性向上剤としては、例えば、架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂が挙げられる。
表面保護層の厚さは、例えば2μm以上であり、4μm以上であってもよく、6μm以上であってもよい。厚さが小さすぎると、保護層としての機能が低下する可能性がある。
一方、表面保護層の厚さは、例えば100μm以下であり、60μm以下であってもよく、30μm以下であってもよい。厚さが大きすぎると、三次元成形性が低下する可能性がある。
また、表面保護層は、破断伸度が大きいことが好ましい。三次元成形性が向上するからである。150℃での引張試験における表面保護層の破断伸度は、例えば120%以上であり、150%以上であってもよく、200%以上であってもよい。一方、150℃での引張試験における表面保護層の破断伸度は、特に限定されないが、例えば500%以下である。なお、表面保護層の破断伸度は、例えば以下のようにして、加飾シートとして、または、表面保護層単層として、それぞれ測定することができる。
加飾シートにおける表面保護層の破断伸度は、以下のようにJIS K 7127に準拠した条件で測定することができる。まず、加飾シートを幅25mm、長さ120mmに切り出して試験片とする。次いで、この試験片に対して、引張速度1000mm/分、チャック間距離80mm、標線間距離50mm、温度160℃の測定条件で、表面保護層にクラックが入るまでの引張伸度を測定する。例えば、表面保護層に熱硬化性樹脂を用い、その他の層に熱可塑性樹脂を用いた場合、一般的に、熱可塑性樹脂を用いた層は熱硬化性樹脂を用いた層よりも破断伸度がより大きくなるため、加飾シートの破断伸度測定で発生するクラックは表面保護層に由来するものと判断することが容易である。
表面保護層単層の破断伸度は、以下のようにJIS K 7127に準拠した条件で測定することができる。まず、表面保護層が表面に作製された転写シートを幅25mm、長さ120mmに切り出し、転写シートを剥がして試験片とする。次いで、この試験片に対して、引張速度1000mm/分、チャック間距離80mm、標線間距離50mm、温度160℃の測定条件で、表面保護層にクラックが入るまでの引張伸度を測定する。
3.基材シート
本開示における基材シートは、樹脂を含有する。基材シートに用いられる樹脂は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS樹脂);アクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル樹脂が挙げられる。なお、これらの樹脂を、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、基材シートは、単層シートであってもよく、複層シートであってもよい。
基材シートの厚さは、用途によって異なるが、例えば0.05mm以上であり、0.1mm以上であってもよい。一方、基材シートの厚さは、例えば1.0mm以下であり、0.7mm以下であってもよい。
基材シートの少なくとも一方の表面は、表面処理されていてもよい。表面処理することで、例えば、基材シートと他の層の密着性向上を図ることができる。表面処理方法としては、例えば、酸化法、凹凸化法が挙げられる。酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法が挙げられる。凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法が挙げられる。また、基材シートには、塗装または模様等の装飾性が付与されていてもよい。なお、基材シートのみならず、加飾シートを構成する各層の少なくとも一方の表面は、表面処理されていてもよい。層間の密着性向上を図ることができるからである。
4.絵柄層
本開示における加飾シートは、絵柄層を有していてもよい。絵柄層を設けることで、加飾シートに装飾性を容易に付与することができる。絵柄層は、基材シートおよびバリア層の間に位置することが好ましい。
絵柄層の模様としては、例えば、木目模様;大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様;布目や布状の模様を模した布地模様;タイル貼模様;煉瓦積模様が挙げられる。また、これらの模様を複合した寄木、パッチワークを用いてもよい。また、絵柄層の模様は単色からなる無地であってもよい。
絵柄層は、着色剤およびバインダーを含有することが好ましい。着色剤としては、例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料;アルミニウム、真鍮等の金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の真珠光沢(パール)顔料が挙げられる。
バインダーとしては、例えば、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂が挙げられる。
また、絵柄層は、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等の添加剤を含有していてもよい。絵柄層の厚さは、例えば1μm以上、20μm以下である。絵柄層の形成方法としては、例えばグラビア印刷法等の一般的な印刷法が挙げられる。
本開示における加飾シートは、基材シートおよび絵柄層の間に、隠蔽層を有していてもよい。隠蔽層を設けることで、例えば基材シートの色が、絵柄層に影響を与えることを抑制できる。隠蔽層の色は、不透明色であることが好ましい。また、隠蔽層は、いわゆるベタ層であることが好ましい。
5.プライマー層
本開示の加飾シートは、プライマー層を有していてもよい。プライマー層を設けることで、例えば表面保護層が延伸された場合であっても、表面保護層に微細な割れや白化が生じることを抑制できる。プライマー層は、基材シートおよびバリア層の間に位置することが好ましい。また、加飾シートが絵柄層を有する場合、プライマー層は、絵柄層およびバリア層の間に位置することが好ましい。
プライマー層は、樹脂を含有することが好ましい。このような樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル・ウレタン共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレンが挙げられる。なお、これらの樹脂を、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリルまたはメタクリルを意味する。
(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体、(メタ)アクリル酸エステルと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。(メタ)アクリル樹脂の具体例としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体が挙げられる。
ウレタン樹脂としては、例えば、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするポリウレタンが挙げられる。ポリオールは、分子中に2個以上の水酸基を有する。ポリオールとしては、例えばポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオールが挙げられる。一方、イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート;4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(または脂環族)イソシアネートが挙げられる。また、プライマー層は、ウレタン樹脂に加えて、ブチラール樹脂を含有していてもよい。
(メタ)アクリル・ウレタン共重合体樹脂としては、例えばアクリル/ウレタン(ポリエステルウレタン)ブロック共重合樹脂が挙げられる。硬化剤としては、上述した各種イソシアネートを用いることができる。アクリル/ウレタン(ポリエステルウレタン)ブロック共重合樹脂におけるアクリル/ウレタン比(質量比)は、例えば、(9/1)以上(1/9)以下であり、(8/2)以上(2/8)以下であってもよい。
プライマー層の厚さは、例えば0.1μm以上であり、1μm以上であってもよい。一方、プライマー層の厚さは、例えば10μm以下である。プライマー層の形成方法としては、例えば、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート等の一般的な塗工法が挙げられる。
6.接着剤層
また、本開示における加飾シートは、基材シートを基準として、表面保護層とは反対側の位置に、接着剤層を有していてもよい。接着剤層を設けることで、加飾シートと、樹脂成形品との密着性が向上する。
接着剤層は、樹脂を含有することが好ましい。接着剤層に用いられる樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。なお、これらの樹脂を、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
接着剤層の厚さは、例えば0.1μm以上であり、1μm以上であってもよい。一方、接着剤層の厚さは、例えば10μm以下である。接着剤層の形成方法は、特に限定されず、一般的な塗工法が挙げられる。
7.加飾シート
本開示における加飾シートは、基材シート、バリア層および表面保護層をこの順に少なくとも有し、さらに、絵柄層、プライマー層および接着剤層の少なくとも一つをさらに有していてもよい。
また、本開示においては、上述した加飾シートの製造方法を提供することもできる。すなわち、上述した加飾シートの製造方法であって、上記バリア層を形成するバリア層形成工程と、上記表面保護層を形成する表面保護層形成工程を有する加飾シートの製造方法を提供することができる。
また、本開示における加飾シートは、加飾樹脂成形品の製造(特に三次元成形)に用いられることが好ましい。加飾樹脂成形品の詳細については後述する。
B.加飾樹脂成形品
本開示における加飾樹脂成形品は、樹脂成形品と、上記樹脂成形品の表面に位置する加飾シートとを有する。
本開示によれば、上述した加飾シートを用いることで、固体芳香剤耐性および密着性が良好なバリア層を有する加飾樹脂成形品とすることができる。
本開示における加飾シートについては、上記「A.加飾シート」に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。加飾樹脂成形品における加飾シートは、通常、樹脂成形品の少なくとも一部の外表面の形状に追従するように形成されている。また、加飾樹脂成形品における加飾シートは、通常、樹脂成形品と一体化している。また、加飾樹脂成形品における加飾シートは、通常、表面保護層が外側に位置し、基材シートが内側に位置する。
本開示における樹脂成形品は、例えば、曲面部、屈曲部、平坦部の少なくとも一つを有することが好ましい。樹脂成形品に用いられる樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS樹脂)、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂が挙げられる。一方、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。なお、これらの樹脂を、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本開示における加飾樹脂成形品を製造する方法としては、例えば、インサート成形法、射出成形同時加飾法、ブロー成形法、ガスインジェクション成形法等の射出成形法が挙げられる。
例えば、インサート成形法では、真空成形工程において、加飾シートを真空成形型により予め成形品表面形状に真空成形(オフライン予備成形)し、次いで必要に応じて余分な部分をトリミングして成形シートを得る。この成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を型締めし、流動状態の樹脂を型内に射出し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形品の外表面に加飾シートを一体化させる。これにより、加飾樹脂成形品が得られる。
また、例えば、射出成形同時加飾法では、加飾シートを射出成形の吸引孔が設けられた真空成形型との兼用雌型に配置し、この雌型で予備成形(インライン予備成形)を行う。
その後、射出成形型を型締めして、流動状態の樹脂を型内に射出し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に加飾シートを一体化させる。これにより、加飾樹脂成形品が得られる。
また、本開示における加飾樹脂成形品は、真空圧着法等の、予め用意された立体的な樹脂成形品上に、加飾シートを貼着する加飾方法によっても作製することができる。真空圧着法では、まず、上側に位置する第1真空室および下側に位置する第2真空室を有する真空圧着機内に、加飾シートおよび樹脂成形品を、加飾シートが第1真空室側、樹脂成形品が第2真空室側となるように、かつ、加飾シートの基材シートが樹脂成形品側に向くように真空圧着機内に設置し、2つの真空室を真空状態とする。樹脂成形品は、第2真空室に備えられた、上下に昇降可能な昇降台上に設置される。次いで、第1の真空室を加圧すると共に、昇降台を用いて樹脂成形品を加飾シートに押し当て、2つの真空室間の圧力差を利用して、加飾シートを延伸しながら樹脂成形品の表面に貼着する。最後に2つの真空室を大気に開放し、必要に応じて加飾シートの余分な部分をトリミングすることにより、加飾樹脂成形品を得ることができる。真空圧着法においては、樹脂成形品を加飾シートに押し当てる工程の前に、加飾シートを軟化させて成形性を高めるため、加飾シートを加熱する工程を備えることが好ましい。このような工程を備える真空圧着法は、特に真空加熱圧着法と呼ばれることがある。
本開示における加飾樹脂成形品の用途としては、例えば、自動車等の車両の内装材または外装材;窓枠、扉枠等の建具;壁、床、天井等の建材の内装材;テレビ受像機、空調機等の家電製品の筐体;容器が挙げられる。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本開示における技術的範囲に包含される。
[実施例1]
基材シートとしてABS樹脂フィルム(曲げ弾性率2000MPa、厚さ400μm)を準備した。次に、基材シートの表面に、アクリル樹脂をバインダーとするインキを用いてグラビア印刷により木目柄の絵柄層を形成した。このようにして、基材シートおよび絵柄層を有する第1部材を得た。
次に、表面保護層を形成するためのポリウレタン樹脂として、水系ポリウレタン樹脂分散体1を以下のようにして準備した。まず、撹拌機、還流冷却管、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、ポリカーボネートポリオール(旭化成株式会社製、商品名「デュラノール T―4671」、原料として1,4-ブタンジオールと1,6-ヘキサンジオールを含む。繰り返し単位:1,4-ブタンジオール/1,6-ヘキサンジオール=7/3(モル比)、水酸基価=112.2mgKOH/g、数平均分子量=1000)を65.00質量部、ジメチロールプロピオン酸を5.00質量部、メチルエチルケトン100質量部を加え十分攪拌溶解し、次いでジシクロヘキシルメタンジイソシアネート30.00質量部を加えNCO含量が1.00%になるまで75℃で反応させた。その後、このプレポリマー溶液を45℃まで冷却し、中和剤としてトリエチルアミン3.77質量部を加えてホモミキサーを用いて水400.00質量部を徐々に加えて乳化分散した。その後、ジエチレントリアミン0.65質量部を添加し、鎖伸長反応を30℃で30分行った。この樹脂溶液を加熱減圧下、メチルエチルケトンを留去し、固形分25%の水系ポリウレタン樹脂分散体1を得た。
水系ポリウレタン樹脂分散体1を100質量部、カルボジイミド系硬化剤(日清紡ケミカル製V-02-L2、固形分40質量%)を5質量部の割合で含有する樹脂組成物を準備した。次に、転写基材としてのポリエチレンテレフタレートシートの片面に、準備した樹脂組成物を塗工し、未硬化の表面保護層を形成した。未硬化の表面保護層に100℃、5分間の条件で加熱を行うことにより、表面保護層(硬化後の厚さ10μm)を形成した。
次に、バリア層を形成するためのポリビニルアルコール系樹脂とポリウレタン樹脂の混合樹脂としてポリビニルアルコール-ポリウレタン混合樹脂1を以下のようにして準備した。まず、撹拌機を備えたビーカーに水を入れ室温で撹拌しながらポリビニルアルコール(PVA1:三菱化学社製ゴーセネックスZシリーズ(Z-200)、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール)を投入した。PVAが水中に均一に分散したことを確認し、徐々に95℃まで溶液を温めPVAを完全に溶解した。その後、室温までゆっくりと冷却することでポリビニルアルコール水溶液1を得た。次に、撹拌機を備えたビーカーにポリビニルアルコール水溶液1と水系ウレタン樹脂分散体1を固形分比でポリビニルアルコール:水系ウレタン樹脂分散体1=7:3となるように投入した。液が均一になるまで攪拌し、ポリビニルアルコール-ポリウレタン混合樹脂1を得た。
次に、表面保護層の表面に、準備したポリビニルアルコール-ポリウレタン混合樹脂1を塗工し、未硬化のバリア層を形成した。未硬化のバリア層に120℃、5分間の条件で加熱を行うことにより、バリア層(硬化後の厚さ5μm)を形成した。このようにして、転写基材、表面保護層およびバリア層を、この順に有する第2部材を得た。
得られた第2部材の表面に、アクリルポリオールおよびヘキサメチレンジイソシアネートを含む組成物を塗工し、プライマー層を形成した。第1部材における絵柄層と、第2部材におけるバリア層とが、プライマー層を介して対向するように、第1部材および第2部材を配置した。その後、第2部材から転写基材を剥離し、加飾シートを得た。
[実施例2~8]
バリア層形成用組成物の塗工量および組成を表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして加飾シートを得た。なお、表1において、PVA2はポリビニルアルコールである三菱化学社製N型・A型ゴーセノール(N-300);PVA3は1,2-グリコール結合を有するポリビニルアルコールである三菱化学社製ニチゴーGポリマー(OKS-1109);PVA4はジアセトン変性ポリビニルアルコールである日本酢ビ・ポバール社製Dポリマー(DF-17);EVOHは日本シーマ社製エバーソルブ#10である。
[実施例9]
実施例1の転写基材の片面に、準備したポリビニルアルコール-ポリウレタン混合樹脂1を塗工し、未硬化のバリア層を形成した。未硬化のバリア層に120℃、5分間の条件で加熱を行うことにより、バリア層(硬化後の厚さ5μm)を形成した。このようにして、転写基材およびバリア層を、この順に有する第3部材を得た。
得られた第3部材の表面(バリア層表面)に、アクリルポリオールおよびヘキサメチレンジイソシアネートを含む組成物を塗工し、プライマー層を形成した。実施例1の第1部材における絵柄層と、第3部材におけるバリア層とが、プライマー層を介して対向するように、第1部材および第3部材を配置した。その後、第3部材から転写基材を剥離した。
このようにして基材シート(ABS樹脂フィルム)、絵柄層、プライマー層、バリア層を、この順に有する第4部材を得た。
次に第4部材のバリア層に、ポリカーボネート骨格を有する2官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量20,000)を塗工し、未硬化の表面保護層を形成した。未硬化の表面保護層に加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射することにより、表面保護層(硬化後の厚さ10μm)を形成した。このようにして、加飾シートを得た。
[実施例10]
バリア層形成用組成物の塗工量および組成を表1のように変更した点、および、未硬化のバリア層に120℃、2分間の条件で加熱を行った点以外は、実施例1と同様にして加飾シートを得た。
[実施例11]
バリア層形成用組成物の塗工量および組成を表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして加飾シートを得た。
[比較例1]
バリア層において、ビニルアルコール系樹脂を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして加飾シートを作製した。
[比較例2~6]
バリア層において、ポリウレタン樹脂を用いなかったこと以外は、それぞれ実施例1、実施例5~8と同様にして加飾シートを作製した。
[評価]
(固体芳香剤耐性)
各実施例および各比較例で得られた加飾シート上に、所定の大きさにカットした固体芳香剤を載せ、400gの荷重をかけながら70℃で4時間加熱した。その後、固体芳香剤を取り除き、表面をワイプでふき取った後に外観を目視で観察した。判断基準は以下のとおりとした。結果を表1および表2に示す。固体芳香剤は、芳香成分として、主にピペロナール、バニリン、アサロン、ロジン、安息香酸ベンジル、ジプロピレングリコールを含有する市販品である。
5:痕跡なし
4:わずかに塗膜上に痕跡あり
3:塗膜上に痕跡あり
2:基材シートの素地が露出
1:粘着状態で基材シートから固体芳香剤が取り除けない
(密着性試験)
各実施例および各比較例で得られた加飾シートの密着性を、JIS K 5400の碁盤目試験に準拠して評価した。具体的には、加飾シートの表面保護層側の面に1mm間隔で縦横に11本の切れ目を入れ、1mm格の碁盤目を100個作り、この上にセロファンテープ(ニチバン株式会社製)を貼付け、90°で素早く剥がした。この際の碁盤目の面の状態から密着性を評価した。判断基準は以下のとおりとした。
5:剥がれなし
4:碁盤目の外で剥がれ発生
3:碁盤目の中で軽微な剥がれ発生
2:碁盤目の中で50%程度の剥がれ発生
1:全面剥がれ
(三次元成形性)
各実施例および各比較例で得られた加飾シートに真空成形を行い、三次元成形性を評価した。具体的には、加飾シートを赤外線ヒーターで160℃に加熱し、軟化させた。次に、真空成形用型を用いて真空成形を行い(最大延伸倍率250%)、型の内部形状に合わせて成形した。冷却後、型から加飾シートを離型した。離型後の加飾シートの表面保護層の外観を評価した。評価基準は、以下の通りである。
3:剥がれ等の欠陥が見られなかった。
2:剥がれ等の欠陥がわずかに見られた。
1:剥がれ等の欠陥が顕著に見られた。
(日焼け止め耐性)
実施例1~3、5~7および比較例1~5で得られた加飾シートに対して、日焼け止め耐性を評価した。具体的には、加飾シートの表面に対して、縦10mm×横10mmの部分に市販の日焼け止め化粧料(日焼け止めクリーム)50mgを均一に塗布した。塗布した部分を覆うようにアルミプレートを置き、400gの荷重をかけながらこれを60℃のオーブン内に1時間放置した。次に、加飾シートを取り出し、中性洗剤液で表面を洗い流した後、塗布部分の状態を目視で観察して、加飾シートの耐薬品性を以下の基準で評価した。用いた日焼け止め化粧料は、市販のものであり、成分として、サリチル酸2-エチルヘキシル、ホモサレート、オクトクリレン、フェノキシエタノールを含有しており、樹脂表面の浸食性が高いものである。評価基準は、以下の通りである。なお、評価3以上であれば、日焼け止め耐性を有していると評価できる。また、ハイフン(-)は未評価を表す。
5:塗膜上に痕跡がまったく見られなかった。
4:塗膜上に痕跡がほとんど見られなかった。
3:塗膜上に痕跡がわずかに見られた。
2:塗膜状に痕跡が顕著に見られた。
1:基材シートの素地が露出した。
(赤外線分光分析)
各実施例で得られた加飾シートのバリア層について、赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)を測定した。バリア層は加飾シートの表面保護層をカッターナイフで削り出し、除去することで表面に露出させた。IRスペクトル装置としては、日本分光社製のFT/IR6100を用いた。IRスペクトル測定は全反射法(ATR法)により行った。代表例(実施例3)の結果を図2に示す。また、表1および表2の「結晶性ピークの有無(IR)」の欄に、ビニルアルコール系樹脂の結晶化に伴うピークの有無を示す。
Figure 2023139187000002
Figure 2023139187000003
表1および表2に示すように、バリア層がビニルアルコール系樹脂を含むことで、良好な固体芳香剤耐性を示すことが確認された。これは、図2に示すように、1141cm-1にピークが確認できることから、ポリビニルアルコールが結晶化しているためと考えられる。また、実施例10に示すように、赤外吸収スペクトルにおいて1141cm-1に明確なピークが確認できない場合であっても、ポリビニルアルコールが結晶に近似する構造を有するものと想定され、バリア層の膜厚を調整することにより、十分なバリア性を具備させることができることが確認された。さらに、各実施例においては、バリア層がポリウレタン樹脂を含んでいるため、密着性および成形性も良好であった。また、各実施例の加飾シートにおける表面保護層は、いずれも、マルテンス硬さが40N/mm以下であった。
さらに、実施例1~3、7は、実施例5~6に比べて日焼け止め耐性が高かった。これは、実施例1~3、7が、ビニルアルコール系樹脂として、酢酸基以外の疎水性基を有するPVA1または4を用いており、バリア層の疎水性が高かったためと考えられる。
1…基材シート
2…絵柄層
3…プライマー層
4…バリア層
5…表面保護層
10…加飾シート

Claims (10)

  1. 基材シート、バリア層および表面保護層をこの順に少なくとも有し、
    前記バリア層が、ビニルアルコール系樹脂およびポリウレタン樹脂を含有し、
    前記ビニルアルコール系樹脂は、酢酸基以外の疎水性基を有する変性ポリビニルアルコール樹脂である、加飾シート。
  2. 前記バリア層が、赤外吸収スペクトルにおいて、1130cm-1以上1160cm-1以下の範囲にピークを有する、請求項1に記載の加飾シート。
  3. 前記バリア層において、前記ビニルアルコール系樹脂および前記ポリウレタン樹脂の合計に対する前記ポリウレタン樹脂の割合が、5質量%以上、40質量%以下である、請求項1または請求項2に記載の加飾シート。
  4. 前記疎水性基が、反応性基を有する、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の加飾シート。
  5. 前記反応性基が、反応性カルボニル基である、請求項4に記載の加飾シート。
  6. 前記変性ポリビニルアルコール樹脂が、前記疎水性基として、前記反応性カルボニル基を有するアセトアセチル基を有する、請求項5に記載の加飾シート。
  7. 前記表面保護層が、ポリウレタン樹脂を含有する、請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の加飾シート。
  8. 前記表面保護層は、マルテンス硬さが40N/mm以下である、請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の加飾シート。
  9. 前記表面保護層および前記バリア層が直接接触している、請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の加飾シート。
  10. 樹脂成形品と、前記樹脂成形品の表面に位置する加飾シートとを有する加飾樹脂成形品であって、
    前記加飾シートは、基材シート、バリア層および表面保護層をこの順に少なくとも有し、
    前記バリア層が、ビニルアルコール系樹脂およびポリウレタン樹脂を含有し、
    前記ビニルアルコール系樹脂は、酢酸基以外の疎水性基を有する変性ポリビニルアルコール樹脂である、加飾樹脂成形品。
JP2023120394A 2020-03-31 2023-07-25 加飾シートおよび加飾樹脂成形品 Pending JP2023139187A (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020063860 2020-03-31
JP2020063860 2020-03-31
PCT/JP2021/013543 WO2021200948A1 (ja) 2020-03-31 2021-03-30 加飾シートおよび加飾樹脂成形品
JP2022509568A JP7127755B2 (ja) 2020-03-31 2021-03-30 加飾シートおよび加飾樹脂成形品
JP2022129195A JP2022163184A (ja) 2020-03-31 2022-08-15 加飾シートおよび加飾樹脂成形品

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022129195A Division JP2022163184A (ja) 2020-03-31 2022-08-15 加飾シートおよび加飾樹脂成形品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023139187A true JP2023139187A (ja) 2023-10-03

Family

ID=77927201

Family Applications (3)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022509568A Active JP7127755B2 (ja) 2020-03-31 2021-03-30 加飾シートおよび加飾樹脂成形品
JP2022129195A Pending JP2022163184A (ja) 2020-03-31 2022-08-15 加飾シートおよび加飾樹脂成形品
JP2023120394A Pending JP2023139187A (ja) 2020-03-31 2023-07-25 加飾シートおよび加飾樹脂成形品

Family Applications Before (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022509568A Active JP7127755B2 (ja) 2020-03-31 2021-03-30 加飾シートおよび加飾樹脂成形品
JP2022129195A Pending JP2022163184A (ja) 2020-03-31 2022-08-15 加飾シートおよび加飾樹脂成形品

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20230132997A1 (ja)
EP (1) EP4129659A4 (ja)
JP (3) JP7127755B2 (ja)
CN (1) CN115335229A (ja)
WO (1) WO2021200948A1 (ja)

Family Cites Families (21)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5604042A (en) * 1991-12-23 1997-02-18 Mobil Oil Corporation Cellulose material containing barrier film structures
JP3756636B2 (ja) * 1997-07-22 2006-03-15 大日本印刷株式会社 熱転写受像シート
JP2000153572A (ja) * 1998-09-17 2000-06-06 Dainippon Printing Co Ltd バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材
JP2001081216A (ja) * 1999-09-09 2001-03-27 Dainippon Printing Co Ltd バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材
JP4019695B2 (ja) * 2001-11-13 2007-12-12 東洋紡績株式会社 酸素ガスバリア性フィルム及びその製造方法
JP2003205573A (ja) * 2002-01-16 2003-07-22 Dainippon Printing Co Ltd バリア性フィルムおよびそれを使用した積層材
JP3900096B2 (ja) * 2003-03-19 2007-04-04 王子製紙株式会社 感熱記録体
US20050181204A1 (en) * 2003-12-22 2005-08-18 Xiaojia Wang Durable layer composition for in-mold decoration
DE102006008130A1 (de) * 2006-02-20 2007-08-23 Degussa Gmbh Verfahren zur Beschichtung von Substraten und Trägersubstraten
JP4504072B2 (ja) * 2004-04-14 2010-07-14 長谷川化学工業株式会社 遊技盤、遊技盤の化粧部材、および遊技盤の製造方法
WO2005110770A1 (ja) * 2004-05-17 2005-11-24 Oji Paper Co., Ltd. 熱転写受容シート
US20060093813A1 (en) * 2004-10-28 2006-05-04 Fei Wang Durable layer composition for in-mold decoration
DE102005054913A1 (de) * 2005-11-17 2007-05-24 Wacker Polymer Systems Gmbh & Co. Kg Silan-modifizierte Polyvinylalkohole
JP2010269589A (ja) 2009-04-23 2010-12-02 Oji Paper Co Ltd 熱転写受容シート
JP5578027B2 (ja) 2010-10-28 2014-08-27 大日本印刷株式会社 中間転写媒体
JP2014046678A (ja) 2012-09-04 2014-03-17 Kirin Brewery Co Ltd ガスバリア性プラスチック容器、そのプリフォーム及びその容器の製造方法
JP6421415B2 (ja) * 2014-01-24 2018-11-14 凸版印刷株式会社 紫外線遮断包装材料およびそれを用いた紫外線遮断包装袋
JP6020642B2 (ja) 2015-04-14 2016-11-02 大日本印刷株式会社 加飾シート及びそれを用いてなる加飾樹脂成形品
JP6589454B2 (ja) 2015-08-17 2019-10-16 凸版印刷株式会社 包装材料及び包装容器の製造方法
EP3342603A4 (en) * 2015-09-28 2018-10-03 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Transfer foil
CN109562865B (zh) * 2016-08-12 2021-07-30 太阳化学公司 增强阻隔的涂料

Also Published As

Publication number Publication date
CN115335229A (zh) 2022-11-11
JP7127755B2 (ja) 2022-08-30
WO2021200948A1 (ja) 2021-10-07
EP4129659A1 (en) 2023-02-08
JP2022163184A (ja) 2022-10-25
US20230132997A1 (en) 2023-05-04
EP4129659A4 (en) 2024-04-24
JPWO2021200948A1 (ja) 2021-10-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1647399B1 (de) Mit Soft-Touch-Lack beschichtete, verformbare Kunststoffverbundfolien und Kunststoffverbundelemente sowie deren Herstellung
JP7141218B2 (ja) 水性表面処理剤及び表皮材
JP4702863B2 (ja) 建材用化粧シート
JP5946378B2 (ja) 塗料組成物
KR20110119694A (ko) 백킹 필름을 위한 2-성분 폴리우레탄 도료
JP2023159225A (ja) 加飾シートおよび加飾樹脂成形品
CN110662651A (zh) 装饰薄膜
JP7127755B2 (ja) 加飾シートおよび加飾樹脂成形品
US20200247940A1 (en) Stable one component polyurethane dispersions for vinyl windows
JP7480474B2 (ja) 加飾シートおよび加飾樹脂成形品
JP7021593B2 (ja) 加飾シートおよび加飾樹脂成形品
JP7213840B2 (ja) 加飾シート、及び加飾成形品
US20190039362A1 (en) One component polyurethane dispersion for vinyl windows and other substrates with good chemical resistance
KR101744943B1 (ko) 성형 가능한 필름
US20200123304A1 (en) Chemical resistance in polyurethane dispersions by neutralization with amine
US11028296B2 (en) One component polyurethane dispersion for vinyl windows and other substrates
JP2004148508A (ja) 機能性フィルム及びその製造方法
KR101768083B1 (ko) 광학필름코팅용 수성 우레탄 수지 조성물 및 이를 이용한 광학필름
JP2000033675A (ja) 化粧シート
US20190040180A1 (en) One component polyurethane dispersion for vinyl windows and other substrates
JP2022100644A (ja) 3次元成型体加飾用積層フィルム、それを用いた加飾成型体の製造方法及び加飾成型体
JP2021075586A (ja) 熱硬化性樹脂組成物、塗料、及び積層シート
JP2004149550A (ja) 機能性ウレタン樹脂フィルム及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240322