JP2021075586A - 熱硬化性樹脂組成物、塗料、及び積層シート - Google Patents
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Abstract
Description
[2] 前記ポリウレタン系樹脂(A)がポリカーボネートポリオールに由来するカーボネート構造を含む[1]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[3] 前記エポキシ樹脂(B)が、ブタジエン変性型エポキシ樹脂を含有する[1]又は[2]に記載の熱硬化性樹脂組成物。
[4] 固形分換算で、前記ポリウレタン系樹脂(A)100質量部に対して前記エポキシ樹脂(B)を7〜290質量部含む[1]〜[3]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[5] 前記フィラー(C)の体積基準の累積50%径(D50)が2.5μm以下である[1]〜[4]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[6] 動的粘弾性のtanδ=E”(損失弾性率)/E’(貯蔵弾性率)のスペクトルがピークとなるガラス転移温度が70℃以上である[1]〜[5]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[7] 更に、硬化促進剤(D)を含有する[1]〜[6]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[8] 更に、着色剤(E)を含有する[1]〜[7]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[9] 更に、分散剤(F)を含有する[1]〜[8]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
[10] [1]〜[9]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を含有する塗料。
[11] キャリアフィルムと、[1]〜[9]のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物の半硬化膜、又は[10]に記載の塗料の半硬化膜を有する積層シート。
[12] 加飾フィルム用である[11]に記載の積層シート。
本発明の一実施形態(本実施形態)に係る熱硬化性樹脂組成物は、カルボキシル基を有するポリウレタン系樹脂(A)、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)、及び、体積基準の累積90%径(D90)が5μm以下であるフィラー(C)を含有する。
以下、本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物について、より詳細に説明する。
ポリウレタン系樹脂は、1分子に2以上の水酸基を有するポリオール成分、及び1分子に2以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート成分等を反応させて得られるが、さらにカルボキシル基を有する成分を反応に用いることで、本実施形態に係るカルボキシル基を有するポリウレタン系樹脂(A)(以下、単に「ポリウレタン系樹脂(A)」という)が得られる。
なお、酸価は実施例に記載の方法にて測定することができる。
(1) 機器装置:商品名「HLC−8020」(東ソー社製)
(2) カラム:商品名「TSKgel G2000HXL」、「G3000HXL」、「G4000GXL」(東ソー社製)
(3) 溶媒:THF
(4) 流速:1.0ml/min
(5) 試料濃度:2g/L
(6) 注入量:100μL
(7) 温度:40℃
(8) 検出器:型番「RI−8020」(東ソー社製)
(9) 標準物質:TSK標準ポリスチレン(東ソー社製)
反応成分は、一般的にはイソシアネート基と水酸基の当量比が0.8〜1.25の配合組成とすればよい。また、反応はワンショット法又は多段法により、通常20〜150℃、好ましくは60〜110℃で反応させればよい。
また、前記カルボキシル基を有する水酸基含有化合物は、1分子に2以上の水酸基を有するので、1分子に2以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート成分と反応し、ポリウレタン系樹脂(A)が得られる。
ポリオールの具体例としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、その他のポリオールなどを挙げることができる。
ポリエステルポリオールは、ポリエーテルポリオールに比べ、耐熱性に優れている。従って、ポリエステルポリオールは、耐熱性を得る上においてポリエーテルポリオールよりも有利である。
ポリエーテルポリオールは、ポリエステルポリオールに比べ、耐加水分解性に優れている。従って、ポリエーテルポリオールは、耐加水分解性を得る上においてポリエステルポリオールよりも有利である。
ポリカーボネートポリオールは、耐加水分解性、耐熱性に優れるので、ポリオールとして好適に用いることができる。
ポリカーボネートポリオールの中でも、ポリヘキサメチレンカーボネートジオールが、コストの観点や、材料としての入手のし易さから好適である。
これらのうちダイマージオールの水素添加物、ポリブタジエンポリオールの水素添加物から得られるジオールは、ポリカーボネートジオールと同様に、耐加水分解性、耐熱性に優れるので、ポリオールとして好適に用いることができる。
短鎖ジオールの具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族グリコールやそのアルキレンオキシド低モル付加物(末端官能基定量法による数平均分子量500未満);1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,1−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式グリコールやそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満、同上);キシリレングリコールなどの芳香族グリコールやそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満、同上);ビスフェノールA、チオビスフェノール、スルホンビスフェノールなどのビスフェノールやそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満、同上)などを挙げることができる。
短鎖ジオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどが好ましく、特に好ましいのはエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコールである。
これらの短鎖ジオールは、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリイソシアネート成分の具体例としては、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、それらの混合体、4−メトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−イソプロピル−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−クロル−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−ブトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネート、2,4−ジイソシアネートジフェニルエーテル、4,4−メチレンビス(フェニレンイソシアネート)(MDI)、及びクルード又はポリメリックMDI、ジュリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ベンジジンジイソシアネート、o−ニトロベンジジンジイソシアネート、4,4−ジイソシアネートジベンジルなどの芳香族ジイソシアネート;メチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、イソフォロンンジイソシアネート、水添XDIなどの脂環式ジイソシアネート;これらのジイソシアネートと、低分子量のポリオールとを、末端がイソシアネートとなるように反応させて得られるポリウレタンプレポリマーなどを挙げることができる。
有機溶剤としては、イソシアネート基に対して不活性な有機溶剤、又はイソシアネート基に対して反応成分よりも低活性な有機溶剤を用いることができる。
有機溶剤の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;トルエン、キシレン、スワゾール(商品名、コスモ石油社製)、ソルベッソ(商品名、エクソン化学社製)などの芳香族系炭化水素溶剤;n−ヘキサンなどの脂肪族系炭化水素溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤;ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのグリコールエーテルエステル系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤;N−メチル−2−ピロリドンなどのラクタム系溶剤などを挙げることができる。
特にトルエン、メチルエチルケトンが、ポリウレタン樹脂の溶解性等から好ましい。
本実施形態に係るエポキシ樹脂(B)は、上記ウレタン樹脂(A)の酸成分と架橋反応をするために使用される。エポキシ樹脂(B)はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が、1500以上であり、2000〜30000であることが好ましく、3000〜25000であることがより好ましい。数平均分子量(Mn)が1500以上であることで、蒸着適正、表面硬度、耐熱性、耐屈曲性、加飾成型性を向上させることができる。
本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物は、さらに、密着性、塗膜硬度等の諸特性を向上させる目的で、無機フィラー、有機フィラーといったフィラー(C)を含有することが好ましい。
例えば、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、チタニア(TiO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、ジルコニア(ZrO2)、窒化ケイ素(Si3N4)、チタン酸バリウム(BaO・TiO2)、炭酸バリウム(BaCO3)、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、チタン酸鉛(PbO・TiO2)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、酸化ガリウム(Ga2O3)、スピネル(MgO・Al2O3)、ムライト(3Al2O3・2SiO2)、コーディエライト(2MgO・2Al2O3/5SiO2)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、チタン酸アルミニウム(TiO2−Al2O3)、イットリア含有ジルコニア(Y2O3−ZrO2)、ケイ酸バリウム(BaO・8SiO2)、窒化ホウ素(BN)、炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸バリウム(BaSO4)、硫酸カルシウム(CaSO4)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸マグネシウム(MgO・TiO2)、ハイドロタルサイト、雲母、焼成カオリン、カーボンブラック、シリコーン複合パウダー、シリコーンゴムパウダー、シリコーンレジンパウダー、アクリル微粒子、ウレタン微粒子、コアシェル微粒子、有機無機複合粒子等を使用することができる。これらの無機フィラー及び有機フィラーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、最終硬化膜の耐熱性、密着性、耐薬品性等の諸特性を更に向上させる目的で硬化促進剤(D)を併用することができる。硬化促進剤としては従来公知のものを使用することができる。
硬化促進剤(D)の具体例としては、2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン類、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジシアンジアミド、尿素、尿素誘導体、メラミン、多塩基ヒドラジド等のポリアミン類、これらの有機酸塩及び/又はエポキシアダクト、三フッ化ホウ素のアミン錯体、エチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジン等のトリアジン誘導体類、トリメチルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N−ベンジルジメチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、ヘキサ(N−メチル)メラミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノフェノール)、テトラメチルグアニジン、m−アミノフェノール等の三級アミン類:ポリビニルフェノール、ポリビニルフェノール臭素化物、フェノールノボラック、アルキルフェノールノボラック等のポリフェノール類、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス−2−シアノエチルホスフィン等の有機ホスフィン類、トリ−n−ブチル(2,5−ジヒドロキシフェニル)ホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩類、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリブチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類、前記の多塩基酸無水物、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、2,4,6−トリフェニルチオピリリウムヘキサフルオロホスフェート、3,5−ジメチルピラゾール等のヒドラジン誘導体、又はこれらの硬化促進剤をブロックイソシアネート化して反応時に解離するものなどが挙げられる。
本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物は、上記構成成分に加えて着色剤(E)を添加してもよい。着色剤(E)を添加することで塗料の構成となる。添加する着色剤(E)としては、従来公知のものを使用することができる。
本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物には、アミン基、エステル基、カルボン酸基、アミド基、水酸基、エーテル基、又はケトン基を一つ以上含む高分子化合物であり、公知の分散剤を必要に応じて加えることができる。
本発明で用いられる熱硬化性樹脂組成物は、希釈剤として各種の有機溶剤(G)が使用できる。有機溶剤(G)としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;エチルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル類;オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤;が挙げられる。
なお、ガラス転移温度を70℃以上とするには、例えば、カルボキシル基を有するポリウレタン系樹脂(A)の酸価を高くすることや、フィラー(C)の含有率を高めることをすればよい。
本実施形態に係る塗料は、本発明の熱硬化性樹脂組成物を含有する。具体的には、ポリウレタン系樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、フィラー(C)に着色剤(E)を加えて調製することができる。
本実施形態に係る積層シートは、キャリアフィルムと、本発明の熱硬化性樹脂組成物の半硬化膜、又は本発明の塗料の半硬化膜を有する。具体的には、キャリアフィルム上に、上記半硬化膜、金属蒸着層、接着層がこの順に形成された態様、キャリアフィルム上に、意匠層、半硬化膜、金属蒸着層がこの順に形成された態様等が挙げられる。
意匠層を設ける場合は、当該積層体は加飾フィルム用であることが好ましい。なお、便宜上、金属蒸着層の金属には金属の他に金属酸化物も含む。
金属蒸着層が金属酸化物である場合は、上記金属に対応する金属酸化物(例えば、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛など)であってもよい。これらの金属は、単独で又は二種以上の合金又は複合体(酸化インジウム/酸化スズ複合体(ITO)など)として金属被膜又は金属酸化物被膜を蒸着できる。これらの中でも、加飾フィルムや、プリント配線板部材に用いる場合などにおける電磁波シールド性や導電性などの点より、導電性の高い金属(Ag、Cu、Au、Alなど(特にAg))が好ましい。
また、接着層を形成する樹脂にシリカ、有機ビーズ、顔料、染料等の着色剤や体質顔料等を用いて意匠を施すことで、意匠が施された樹脂層を接着層とすることができる。
なお、高度なデザイン性を付与することを目的として、意匠層に付与された図柄と同様の図柄や他の図柄が付与された第2の意匠層を、表皮層と意匠層の間に設けることも好ましい。また、基材シートと意匠層の密着性を向上させるために、これらの間にプライマー層を設けてもよい。
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換しながら、ポリカーボネートポリオール(商品名「エタナコールUH−100」、宇部興産(株)製、OHv約110mgKOH/g)200g、1,3−ブタンジオール(1,3BD)8.9g、ジメチロールプロピオン酸(商品名「Bis−MPA」、パーストープ製)6.0g、メチルエチルケトン(MEK)130g仕込んだ。加熱撹拌を開始して系内が均一となった後、50℃で4,4’−メチレンビス(フェニレンイソシアネート)(MDI)を86.3g添加した。80℃に昇温して反応させ、溶剤希釈により反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm−1の吸収が消失するまで反応を進行させた。MEKとトルエン(TOL)の質量比が1:1となるまでTOLを添加して、酸価8、及び重量平均分子量70,000のポリウレタン樹脂A1(固形分35%)を得た。
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換しながら、ポリカーボネートポリオール(商品名「エタナコールUH−50」、宇部興産(社)製、OHv約220mgKOH/g)200g、1,3BD 15.3g、ジメチロールプロピオン酸(商品名「Bis−MPA」、パーストープ製)60g、メチルエチルケトン(MEK)353g仕込んだ。加熱撹拌を開始して系内が均一となった後、50℃でMDIを254g添加した。80℃に昇温して反応させ、溶剤希釈により反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm−1の吸収が消失するまで反応を進行させた。MEKとトルエン(TOL)の質量比が1:1となるまでTOLを添加して、酸価48、及び重量平均分子量70,000のポリウレタン樹脂A2(固形分35%)を得た。
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換しながら、ポリカーボネートポリオール(商品名「エタナコールUH−100」、宇部興産(株)製、OHv約110mgKOH/g)150g、イソホロンジアミン(IPDA)を11.6g、ジメチロールプロピオン酸(商品名「Bis−MPA」、パーストープ製)16.2g、トルエン(TOL)80.7gを仕込んだ。加熱撹拌を開始して系内が均一となった後、50℃でIPDIを75.6g添加した。100℃に昇温して反応させ、溶剤希釈により反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm−1の吸収が消失するまで反応を進行させた。トルエン(TOL)とイソプロパノール(IPA)の質量比が1:1となるまでIPAを添加して、酸価26、及び重量平均分子量140,000のポリウレタン−ウレア樹脂A3(固形分35%)を得た。
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換しながら、ポリカーボネートポリオール(商品名「デュラノールT6001」、旭化成(株)製、OHv約110mgKOH/g)200g、1,3BD 7.3g、メチルエチルケトン(MEK)116g仕込んだ。加熱撹拌を開始して系内が均一となった後、50℃でMDIを70.6g添加した。80℃に昇温して反応させ、溶剤希釈により反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm−1の吸収が消失するまで反応を進行させた。MEKとトルエン(TOL)の質量比が1:1となるまでTOLを添加して、酸価0、及び重量平均分子量100,000のポリウレタン樹脂A4(固形分35%)を得た。
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換しながら、ポリカーボネートポリオール(商品名「デュラノールG3450J」、旭化成(社)製、OHv約140mgKOH/g)200g、1,3BD 37.2g、ジメチロールプロピオン酸(商品名「Bis−MPA」、パーストープ製)106g、MEKを285g仕込んだ。加熱撹拌を開始して系内が均一となった後、50℃でMDIを361g添加した。80℃に昇温して反応させ、溶剤希釈により反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm−1の吸収が消失するまで反応を進行させた。MEKとトルエン(TOL)の質量比が1:1となるまでTOLを添加して、酸価63、及び重量平均分子量70,000のポリウレタン樹脂A5(固形分35%)を得た。
三角フラスコにポリウレタン系樹脂を秤量し、MEKを加えて溶解後、指示薬としてフェノールフタレイン溶液を適量添加し、0.1Nの水酸化カリウム水溶液を用いて中和滴定を行った。そして、次式により酸価(mgKOH/g)を算出した。
酸価=V×f×5.611/(Wp×I/100)
[式中、Vは、滴定に用いた0.1Nの水酸化カリウム水溶液の滴定量(mL)を示し、fは、0.1Nの水酸化カリウム水溶液のファクター(濃度換算係数)を示し、Wpは、樹脂溶液の質量(g)を示し、Iは、樹脂溶液中の固形分の割合(質量%)を示す。]
ポリウレタン樹脂(A1)(大日精化工業(株)製、A1)60質量部、エポキシ樹脂(B1)((株)ダイセル製、エポリードPB−3600)7質量部、エポキシ樹脂(B2)(三菱ケミカル社製、jER1256)7質量部、フィラー(C1)(デンカ(株)製、SFP−20M)10質量部、硬化促進剤(D1)((株)日本ファインケム製、DMP)1.6質量部、着色剤(E1)(三菱ケミカル(株)製、MA−7B)9.4質量部、添加剤(F1)(ビック・ケミー社製、DISPERBYK−162)4.7質量部、MEK93質量部を混合した後、ビーズミルを使用して分散させて、熱硬化性樹脂組成物である塗料を調製した。その後、下記の評価を行った。
表1に示す配合に従って実施例1と同様にして熱硬化性樹脂組成物である塗料を調製した。その後、下記の評価を行った。
表1に示す配合に従って実施例と同様にして熱硬化性樹脂組成物である塗料を調製した。その後、下記の評価を行った。
B2:jER1256(三菱ケミカル(株)社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂、数平均分子量:22000)
B3:jER1001(三菱ケミカル(株)社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂、数平均分子量:450)
C1:SFP−20M(デンカ(株)社製溶融シリカ、D50:0.4μm、D90:0.8μm)
C2:KMP590(信越化学工業(株)社製シリコーンレジンパウダー、D50:2.0μm、D90:3.0μm)
C3:サイリシア350(富士シリシア化学(株)社製シリカパウダー、D50:3.8μm、D90:5.5μm)
D1:DMP((株)日本ファインケム社製3,5−ジメチルピラゾール)
E1:MA−7B(三菱ケミカル(株)社製カーボンブラック)
F1:DISPERBYK−162(ビック・ケミー社製)
(蒸着適正)
ここで評価する蒸着適正は、スパッタリング法における金蒸着を指す。
蒸着適正の測定方法としては、上記で得られた塗料を乾燥後の膜厚が10μmになるように塗布し、100℃3分、80℃24時間の乾燥・加熱の条件により塗膜を得た。この得られた塗膜を2cm×2cmに切り出し、スパッタリング装置に入れ、10分間の金蒸着を行った。この時の外観を観察し、目視で変色・色ムラなどの問題がないか確認した。評価基準は以下の通りである。
〇・・・変色、色ムラ無し
×・・・変色、色ムラ有り
測定した結果を表2、3に示した。
ここでいうガラス転移温度は、動的粘弾性のtanδ=E”(損失弾性率)/E’(貯蔵弾性率)のスペクトルがピークとなる温度を指す。ガラス転移温度を明らかにする動的粘弾性測定は、プラスチックの動的機械特性の試験方法であるJIS K7244:プラスチック−動的機械特性の試験方法に適合した方法を用いる。
上記で得られた塗料を乾燥後の膜厚が10μmになるように100μmの厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム上に均一に塗布し、100℃3分、80℃24時間、150℃1時間の乾燥・加熱の条件により試験シートを得た。上記方法で作製した試験シートの表面をJIS規格(JIS K5600−5−4)に準拠して鉛筆硬度試験を行った。具体的には、異なる鉛筆濃度の芯で表面を引っ掻き、傷が生じない最も硬い鉛筆濃度を鉛筆硬度とする。
鉛筆濃度は、柔らかい側から硬い側に向かって、6B,5B,4B,3B,2B,B,HB,F,H,2H,3H,4H,5H,6Hであり、評価基準は以下の通りである。
〇・・・3H以上
×・・・2H以下
測定した結果を表2、3に示した。
上記鉛筆硬度評価と同方法で作製した試験シートの耐擦傷性を評価するため、以下の条件でスチールウール摩耗試験を行った。表面性測定器のスチールウールホルダーに♯0000のスチールウールを固定し、試験シートの塗膜面を1000gの荷重をかけて、表面を100回往復摩擦した。評価基準は以下の通りである。
〇・・・傷が確認できない
×・・・傷が確認できる
測定した結果を表2、3に示した。
上記で得られた塗料を乾燥後の膜厚が10μmになるように35μm厚銅箔をポリイミド基材に積層したFPC用基板(ニッカン工業株式会社製、商品名、F30VC125RC11)のポリイミド面に均一に塗布し、100℃3分、80℃24時間、150℃1時間の乾燥・加熱の条件により試験シートを得た。この試験シートの高耐熱性を評価するため、以下の条件で高耐熱性評価を行った。試験シートを2cm×2cmに切り出し288℃のはんだ浴に10秒×3回浸漬させた後の試験シートを目視で確認した。評価基準は以下の通りである。
〇・・・膨れの発生無し
×・・・膨れの発生有り
測定した結果を表2、3に示した。
上記高耐熱性評価と同方法で作製した試験シートの耐屈曲性を評価するため、以下の条件で耐屈曲性試験を行った。評価方法としては、耐屈曲性試験器(コーティングテスター社製、円筒型マンドレル法)で直径2mmの心棒を用いて行った。試験シートを装置にセットし、1回/1秒の速度で50回折り曲げを行った。50回折り曲げを行った後、試験シートの折り曲げ部分を観察し、クラックの有無を確認する。評価基準は以下の通りである。
〇・・・クラックの発生無し
×・・・クラックの発生有り
測定した結果を表2、3に示した。
上記で得られた塗料を基材PVCフィルム上に均一に塗布し、100℃3分、80℃24時間の乾燥・加熱の条件により試験シートを得た。この試験シートを10cm×1cmの大きさに切り出し、塗膜側に金属蒸着を施し意匠層とし、試験片を得た。この試験片をオーブンで100℃に加熱しながら130%延伸した後に外観(蒸着部のクラックおよび白化有無)を観察し、加飾成型性を評価した。評価基準は以下の通りである。
〇・・・クラックや白化の発生無しか、最大延伸部の一部に実用上問題の無い微細なクラック又は白化の発生有り。
×・・・大きなクラック又は白化の発生有り。
測定した結果を表2、3に示した。
Claims (12)
- カルボキシル基を有するポリウレタン系樹脂(A)、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)、及び、体積基準の累積90%径(D90)が5μm以下であるフィラー(C)を含有し
前記ポリウレタン系樹脂(A)の酸価が2〜60mgKOH/gであり、
前記エポキシ樹脂(B)の数平均分子量が、1500以上である熱硬化性樹脂組成物。 - 前記ポリウレタン系樹脂(A)がポリカーボネートポリオールに由来するカーボネート構造を含む請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記エポキシ樹脂(B)が、ブタジエン変性型エポキシ樹脂を含有する請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 固形分換算で、前記ポリウレタン系樹脂(A)100質量部に対して前記エポキシ樹脂(B)を7〜290質量部含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記フィラー(C)の体積基準の累積50%径(D50)が2.5μm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 動的粘弾性のtanδ=E”(損失弾性率)/E’(貯蔵弾性率)のスペクトルがピークとなるガラス転移温度が70℃以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 更に、硬化促進剤(D)を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 更に、着色剤(E)を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 更に、分散剤(F)を含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物を含有する塗料。
- キャリアフィルムと、請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物の半硬化膜、又は請求項10に記載の塗料の半硬化膜を有する積層シート。
- 加飾フィルム用である請求項11に記載の積層シート。
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