JP2014046678A - ガスバリア性プラスチック容器、そのプリフォーム及びその容器の製造方法 - Google Patents

ガスバリア性プラスチック容器、そのプリフォーム及びその容器の製造方法 Download PDF

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栄太朗 松井
Masaki Nakatani
正樹 中谷
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Abstract

【課題】本発明の目的は、樹脂コーティングしたガスバリア性プラスチック容器であって、成形追従性、透明性、ガスバリア性、耐水性及び膜密着性を備えた容器及びその製造方法を提供することである。また、そのプリフォームを提供することである。
【解決手段】本発明に係るガスバリア性プラスチック容器の製造方法は、ポリウレタン系樹脂の塗被膜を外表面にコーティングしたガスバリア性プラスチック容器の製造方法であって、プラスチック容器用のプリフォームの外表面に、ガスバリア性ポリウレタン樹脂を含む水性分散体を塗布、乾燥して塗被膜を形成する工程と、該プリフォームをブロー成形法によってプラスチック容器を成形し、かつ、該プリフォームの延伸に追従させて、前記塗被膜を延伸する工程と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガスバリア性に優れたプラスチック容器、特に、ガスバリア性ポリウレタン樹脂コーティングがされたプラスチック容器及びその製造方法に関する。また、そのプリフォームに関する。
飲料用プラスチック容器、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)製容器は、近年、軽量化が求められており、容器の肉厚が薄くなってきている。それに伴って容器のガスバリア性が低下し、酸素透過率が上昇する。ガスバリア性が低下した分を補うために、安価で簡易なガスバリア性向上技術が求められている。
そこで、プラスチック容器のガスバリア性を高めるために、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン又はエチレンビニルアルコールからなる樹脂コーティングを施す技術がある(例えば、特許文献1〜3を参照。)。特許文献1〜3では、プリフォームの表面にこれらの樹脂コーティングを行い、その後、ブロー成形プロセスにしたがって、樹脂コーティングプラスチック容器を製造する技術も開示されている。
ところで、ガスバリア性ポリウレタン樹脂のフィルムを製造するため、又は、基材と積層して積層体を製造するために、原料となるガスバリア性ポリウレタン樹脂を含む水性分散体に関する技術がある(特許文献4を参照。)。
特開平8−238667号公報 特開平8−244781号公報 特開2012−61463号公報 特許第4524463号公報
A.Uedono,Journal of Crystal Growth,311(2009),3075-3079
特許文献1〜3に記載のように、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン又はエチレンビニルアルコール共重合体からなる樹脂コーティングは、プリフォームを延伸ブロー成形してプラスチック容器に成形した場合においても、追従して延伸する成形追従性を有することから、生産性の観点から望ましい。しかし、ポリビニルアルコールの樹脂コーティング及びエチレンビニルアルコール共重合体の樹脂コーティングは、基材への密着性及び耐水性の観点から劣り、樹脂コーティングなしのプラスチック容器と同様のハンドリングをすることが難しい。また、ポリ塩化ビニリデンの樹脂コーティングは塩素を含んでいるため、飲料、食品容器等の塩素フリーが求められる用途では使用しにくい。一方、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン及びエチレンビニルアルコール共重合体以外の他の樹脂コーティングにおいては、プリフォームの段階からコーティングが可能であるとの知見を示す事例は見出されていない。
本発明は、樹脂コーティングしたガスバリア性プラスチック容器であって、成形追従性、透明性、ガスバリア性、耐水性及び膜密着性を備えた容器及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、そのプリフォームを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、鋭意検討した結果、ガスバリア性ポリウレタン樹脂をコーティングしたガスバリア性プラスチック容器が、前記諸特性を満足することを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明に係るガスバリア性プラスチック容器の製造方法は、ポリウレタン系樹脂の塗被膜を外表面にコーティングしたガスバリア性プラスチック容器の製造方法であって、プラスチック容器用のプリフォームの外表面に、ガスバリア性ポリウレタン樹脂を含む水性分散体を塗布、乾燥して塗被膜を形成する工程と、該プリフォームをブロー成形法によってプラスチック容器を成形し、かつ、該プリフォームの延伸に追従させて、前記塗被膜を延伸する工程と、を有することを特徴とする。
本発明に係るガスバリア性プラスチック容器の製造方法では、前記水性分散体が、ウレタン基及び尿素基を有し、かつウレタン基濃度及び尿素基濃度の合計が15質量%以上であるガスバリア性ポリウレタン樹脂を含む水性分散体であって、前記ポリウレタン樹脂のジイソシアネート成分がキシリレンジイソシアネート及び水添キシリレンジイソシアネートから選択された少なくとも一種で構成されている水性分散体であることを含む。なお、ウレタン基濃度及び尿素基濃度とは、ウレタン基の分子量(59g/当量)又は尿素基の分子量(58g/当量)を、繰り返し構成単位構造の分子量で割った値である。具体的には、特許文献4に記載のガスバリア性ポリウレタン樹脂を含む水性分散体が好適である。
本発明に係るガスバリア性プラスチック容器の製造方法では、前記水性分散体がさらにケン化度80%以上のポリビニルアルコール系樹脂を含有し、かつ、ポリビニルアルコール系樹脂/(ポリビニルアルコール系樹脂+ガスバリア性ポリウレタン樹脂)で求められるポリビニルアルコール系樹脂の含有率(固形分質量換算の割合)が0質量%超30質量%未満であることが好ましい。耐水性及び密着性を確保しつつ、ガスバリア性をさらに高めることができる。但し、ポリビニルアルコール系樹脂の含有率計算にあたっては、ビニルアルコールと他の高分子との共重合体に関しては当該共重合体中のビニルアルコール含有率(質量%)をもってポリビニルアルコール系樹脂の含有率とする。
本発明に係るガスバリア性プラスチック容器の製造方法では、前記塗被膜を形成する工程が、少なくとも、第1の水性分散体を塗布、乾燥して塗被膜を形成する工程1と、第2の水性分散体を塗布、乾燥して塗被膜を形成する工程2と、を有し、前記塗被膜を形成する工程1が前記塗被膜を形成する工程2よりも先に行なわれる工程であり、かつ、前記第1の水性分散体が、さらに、ポリウレタン樹脂及びポリビニルアルコール系樹脂の固形分合計100質量部に対して2質量部以上23質量部以下の無機層状化合物を含有し、前記第2の水性分散体が無機層状化合物を含有しないことが好ましい。高湿度環境下において、ガスバリア性の低下が顕著に起きやすいところ、これを抑制することができる。
本発明に係るガスバリア性プラスチック容器は、ブロー成形されたプラスチック容器の外表面にガスバリア性ポリウレタン樹脂の塗被膜がコーティングされているガスバリア性プラスチック容器であって、前記塗被膜が延伸されていることを特徴とする。
本発明に係るガスバリア性プラスチック容器では、前記塗被膜が、ケン化度80%以上のポリビニルアルコール系樹脂をさらに含有し、かつ、ポリビニルアルコール系樹脂/(ポリビニルアルコール系樹脂+ガスバリア性ポリウレタン樹脂)で求められるポリビニルアルコール系樹脂の含有率(固形分質量換算の割合)が0質量%超30質量%未満であることが好ましい。耐水性及び密着性を確保しつつ、ガスバリア性をさらに高めることができる。
本発明に係るガスバリア性プラスチック容器では、前記塗被膜が、少なくとも、第1の塗被膜及び第2の塗被膜を有し、前記第1の塗被膜が前記第2の塗被膜よりも下層側に位置して積層されており、かつ、前記第1の塗被膜が、さらに、ポリウレタン樹脂及びポリビニルアルコール系樹脂の固形分合計100質量部に対して2質量部以上23質量部以下の無機層状化合物を含有し、前記第2の塗被膜が無機層状化合物を含有しないことが好ましい。高湿度環境下において、ガスバリア性の低下が顕著に起きやすいところ、これを抑制することができる。
本発明に係るガスバリア性プラスチック容器用プリフォームは、プラスチック容器用のプリフォームの外表面にガスバリア性ポリウレタン樹脂の塗被膜がコーティングされており、前記プリフォームがブロー成形用であることを特徴とする。
本発明に係るガスバリア性プラスチック容器用プリフォームでは、前記塗被膜が、ケン化度80%以上のポリビニルアルコール系樹脂をさらに含有し、かつ、ポリビニルアルコール系樹脂/(ポリビニルアルコール系樹脂+ガスバリア性ポリウレタン樹脂)で求められるポリビニルアルコール系樹脂の含有率(固形分質量換算の割合)が0質量%超30質量%未満であることが好ましい。耐水性及び密着性を確保しつつ、ガスバリア性をさらに高めることができる。
本発明に係るガスバリア性プラスチック容器用プリフォームでは、前記塗被膜が、少なくとも、第1の塗被膜及び第2の塗被膜を有し、前記第1の塗被膜が前記第2の塗被膜よりも下層側に位置して積層されており、かつ、前記第1の塗被膜が、さらに、ポリウレタン樹脂及びポリビニルアルコール系樹脂の固形分合計100質量部に対して2質量部以上23質量部以下の無機層状化合物を含有し、前記第2の塗被膜が無機層状化合物を含有しないことが好ましい。高湿度環境下において、ガスバリア性の低下が顕著に起きやすいところ、これを抑制することができる。
本発明によれば、樹脂をコーティングしたガスバリア性プラスチック容器であって成形追従性、透明性、ガスバリア性、耐水性及び膜密着性を備えた容器及びその製造方法を提供できる。また、本発明のプリフォームは、ブロー成形すれば、ガスバリア性プラスチック容器となる。
ディップコーティングによる製造工程を説明するための概略工程図である。 膜厚と酸素透過度との関係を示すグラフである。 サンプルI、IIの陽電子消滅法の実施結果である。
以下本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
(作用)
引用文献1〜3が開示する塗被膜は、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン又はエチレンビニルアルコール、すなわち熱可塑性樹脂からなる塗被膜である。通常、ブロー成形時にプリフォームは加熱されるので、塗被膜も同時に加熱されることとなる。このとき、熱可塑性樹脂からなる塗被膜は軟化変形しやすいので、ブロー成形の伸張に追従しやすいと考えられる。一方、本実施形態において、ブロー成形によって延伸することとなる塗被膜の主成分はガスバリア性のポリウレタン樹脂である。ポリウレタン樹脂は熱硬化性樹脂に分類される。通常、ポリウレタン樹脂の塗被膜は、延伸済みのフィルム又は未延伸のフィルムでその後延伸する予定のないもの等に塗布される。これは、ポリウレタン樹脂が熱硬化性樹脂であるからであり、塗布後に延伸すると、軟化変形しづらいために、通常はピンホールの発生や密着性の低下が生じると予想される。特許文献4のポリウレタン樹脂の塗被膜においても、塗布・乾燥したものが完成品となっている。本実施形態では、ガスバリア性ポリウレタン樹脂の塗被膜が、熱硬化性樹脂の塗被膜であるにもかかわらず、プリフォームのブロー成形時に、延伸に追随可能であり、しかも、塗布膜の単位膜厚あたりのガスバリア性が低下するどころかむしろ向上する点を利用する。
まず、ガスバリア性プラスチック容器用プリフォームの製造方法について説明する。図1は、ディップコーティングによる製造工程を説明するための概略工程図である。ガスバリア性プラスチック容器用プリフォームの製造方法は、プリフォームの準備工程(S1工程)、プリフォームの整列工程(S2工程)、ディップコーティング工程(S3工程)、出来上がったガスバリア性プラスチック容器用プリフォームの梱包工程(S4工程)を有する。ここでS3工程は、さらに、ディッピング工程(S3工程)、上下反転工程(S3工程)、乾燥工程(S3工程)を有し、必要に応じて、(S3工程→S3工程→S3工程)を1セットとしてn回繰り返す。
ここで、S2工程はバッチ処理の場合に設けることが好ましい工程であり、連続処理の場合は不要である。また、S3工程は、省略することができる。S4工程は、省略してその次のブロー成形機への供給工程(S5工程)に進むことができる。
[プリフォームの準備工程(S1工程)]
準備するプリフォーム1は、プラスチック容器用のプリフォームであればいずれのタイプでも良い。プリフォームを形成する樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)、シクロオレフィンコポリマー樹脂(COC、環状オレフィン共重合)、アイオノマー樹脂、ポリ‐4‐メチルペンテン‐1樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリスチレン樹脂、エチレン‐ビニルアルコール共重合樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、又は、4弗化エチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン樹脂、ポリ乳酸樹脂(PLA)である。これらは、1種を単層で、又は2種以上を積層して用いることができるが、生産性の点で、単層であることが好ましい。また、樹脂の種類は、PETであることがより好ましい。
[プリフォームの整列工程(S2工程)]
複数本のプリフォーム1を同時にディップコートする場合、プリフォームホルダ5にプリフォーム1を整列した状態で固定させる。
[ディップコーティング工程(S3工程)]
[ディッピング工程(S3工程)]
ガスバリア性ポリウレタン樹脂を含む水性分散体が、塗布液2として、槽3に溜められている。プリフォーム1を、口部を上にした状態で浸漬し、プリフォームの外表面にガスバリア性ポリウレタン樹脂を含む水性分散体を塗布する。プリフォーム1は、ネックサポートリングの下まで沈めることが好ましい。
ガスバリア性ポリウレタン樹脂を含む水性分散体について説明する。本実施形態で使用するガスバリア性ポリウレタン樹脂を含む水性分散体は、例えば、特許文献4で開示されている水性分散体であることが好ましい(第1形態)。具体的には、水性分散体が、ウレタン基及び尿素基を有し、かつウレタン基濃度及び尿素基濃度の合計が15質量%以上であるガスバリア性ポリウレタン樹脂を含む水性分散体であって、前記ポリウレタン樹脂のジイソシアネート成分がキシリレンジイソシアネート及び水添キシリレンジイソシアネートから選択された少なくとも一種で構成されている水性分散体であることが好ましい。なお、ウレタン基濃度及び尿素基濃度とは、ウレタン基の分子量(59g/当量)又は尿素基の分子量(58g/当量)を、繰り返し構成単位構造の分子量で割った値である。本実施形態では、ガスバリア性ポリウレタン樹脂を含む水性分散体に関して、特許文献4に記載の変形を適用することができる。第1形態では、プリフォームの外表面にガスバリア性ポリウレタン樹脂の塗被膜がコーティングされており、プリフォームがブロー成形用であるガスバリア性プラスチック容器用プリフォームが得られる。
ガスバリア性ポリウレタン樹脂を含む水性分散体は、さらに、ケン化度80%以上のポリビニルアルコール系樹脂を含有し、かつ、ポリビニルアルコール系樹脂/(ポリビニルアルコール系樹脂+ガスバリア性ポリウレタン樹脂)で求められるポリビニルアルコール系樹脂の含有率(固形分質量換算の割合)が0質量%超30質量%未満であることが好ましい(第2形態)。耐水性及び密着性を確保しつつ、ガスバリア性をさらに高めることができる。ケン化度は、80〜99.5%であることが好ましく、90〜99%であることがより好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度が80%未満では、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶性低下により均一な溶液が得られない、またバリア性が向上しないという問題が発生する場合がある。ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリビニルアルコールのみならず、変性ポリビニルアルコールである場合を含み、例えば、カルボキシル基を有する変性やカルボニル基を有する変性をしてもよい。さらに、エチレンビニルアルコール共重合体などのポリビニルアルコール系共重合体である場合を含む。ポリビニルアルコール系樹脂の含有率が30質量%以上であると、耐水性が劣る。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は100〜2000が好ましく、200〜1000がより好ましい。また、明確な理由は不明であるが、ポリビニルアルコール系樹脂の含有率が5質量%〜10質量%であると水中静置試験で多少の白濁が生じる場合があり、これを避けるためにポリビニルアルコール系樹脂の含有率が10質量%を超え、30質量%未満であることがより好ましく、15質量%以上25質量%以下であることがさらに好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂の含有率が5質量%〜10質量%であるときの透明性の低下は、ガスバリア性ポリウレタン樹脂とポリビニルアルコール系樹脂との何らかの相互作用によるものと推測される。第2形態では、プリフォームの外表面に、ガスバリア性ポリウレタン樹脂及びケン化度80%以上のポリビニルアルコール系樹脂を所定割合で含有している塗被膜がコーティングされており、プリフォームがブロー成形用であるガスバリア性プラスチック容器用プリフォームが得られる。
ガスバリア性ポリウレタン樹脂を含む水性分散体としては、第1形態と第2形態を示したが、これに限定されず、本発明の作用効果に影響を及ぼさない範囲において他の樹脂を混合しても良い。他の樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ガスバリア性樹脂としてポリ塩化ビニリデン(PVDC)やエチレン−ビニルアルコール共重合体などである。
[上下反転工程(S3工程)]
プリフォーム1を槽3から取り出し、プリフォーム1の上下を反転させる。これによって、胴部と底部との塗被膜4aの膜厚を均質させることができ、また、ネックサポートリングの根元まで塗被膜を形成することができる。また、乾燥中の液垂れによる末端への液溜まりの発生を防ぎ、均一で外観品質上問題のない塗布膜を形成することができる。
[乾燥工程(S3工程)]
次に塗被膜4aを乾燥させ、樹脂層となる乾燥塗被膜4bとする。乾燥方法としては例えば熱風乾燥機による熱風乾燥、近赤外線乾燥、遠赤外線乾燥、マイクロ波加熱乾燥である。
塗被膜の膜厚は、塗布液2の粘度等の塗布条件によって調整することができるが、重ね塗りをすることによっても調整することができる。重ね塗りを行なう場合には、(S3工程→S3工程→S3工程)を1セットとしてn回繰り返す。
塗被膜の膜厚は、乾燥後のプリフォーム状態で10μm〜150μmであることが好ましく、15μm〜120μmであることがより好ましい。10μm未満では膜が薄すぎてピンホールが発生しやすいという問題点があり、150μmを超えると膜が厚すぎて乾燥完了が困難になるという問題点がある。
塗被膜の形成方法は、ディップコーティング法を例にして説明したが、これに限定されず、例えば、噴霧法、フローコート法などの他の塗布方法であっても良い。
[変形例:第3形態(多層塗被膜)]
これまで、1種類のガスバリア性ポリウレタン樹脂を含む水性分散体を塗布する形態を説明したが、種類の異なるガスバリア性ポリウレタン樹脂を含む水性分散体を塗布して多層塗被膜をプリフォームに形成してもよい。
ディッピング工程(S3工程)において、下層用の塗布液として、第1の水性分散体を塗布する。ここで、第1の水性分散体は、さらに、ポリウレタン樹脂及びポリビニルアルコール系樹脂の固形分合計100質量部に対して2質量部以上23質量部以下の無機層状化合物を含有する。ポリビニルアルコール系樹脂を含まない場合には、ポリウレタン樹脂の固形分合計100質量部に対して2質量部以上23質量部以下の無機層状化合物を含有する。無機層状化合物としては、天然乃至合成の水膨潤性のマイカ、モンモリロナイト、ベーマイトなどであり、特に水膨潤性の合成マイカが好ましい。無機層状化合物が2質量部未満であると、高湿度環境下において、ガスバリア性が未添加の場合と変化が無く、効果を得られない場合がある。無機層状化合物が23質量部を超えると、溶液の粘度が上昇しすぎて成膜できない、また成膜後のボトルの白濁が激しく、外観品質上問題が生じる場合がある。第1の水性分散体を塗布後、乾燥して塗被膜を形成する(工程1)。必要な塗被膜の厚さが得られるまで、工程1を繰り返し行なうことが好ましい。次に、上層用の塗布液として、第2の水性分散体を塗布する。ここで、第2の水性分散体は、無機層状化合物を含有しないことが好ましい。下層となる塗被膜だけであると、合成マイカ等の無機層状化合物の径が大きいため、塗被膜の表面に露出するなどして塗被膜に孔が発生してしまい、バリアが発現しない場合がある。しかし、上層となる塗被膜に無機層状化合物を含有させないことで、無機層状化合物の表面露出の問題が生じず、バリアが発現する。第2の水性分散体を塗布後、乾燥して塗被膜を形成する(工程2)。必要な塗被膜の厚さが得られるまで、工程2を繰り返し行なうことが好ましい。このような2層構造の塗被膜とすることで、高湿度環境下において、ガスバリア性の低下が顕著に起きやすいところ、これを抑制することができる。下層の塗被膜の膜厚は乾燥後のプリフォーム状態で10μm〜150μmであることが好ましく、15μm〜120μmであることがより好ましい。10μm未満では膜が薄すぎてピンホールが発生しやすいという問題点があり、150μmを超えると膜が厚すぎて乾燥完了が困難になるという問題点がある。上層の塗被膜の膜厚は乾燥後で5μm〜100μmであることが好ましく、10μm〜80μmであることがより好ましい。5μm未満では膜が薄すぎてピンホールが発生しやすいという問題点があり、100μmを超えると膜が厚すぎて乾燥完了が困難になるという問題点がある。よって2層構造の塗被膜の合計膜厚は乾燥後で15μm〜250μmであることが好ましく、25μm〜200μmであることがより好ましい。
第3形態では、プリフォームの外表面にガスバリア性ポリウレタン樹脂の塗被膜がコーティングされており、この塗被膜が、少なくとも、第1の塗被膜及び第2の塗被膜を有し、第1の塗被膜が第2の塗被膜よりも下層側(基板側)に位置して積層されており、かつ、第1の塗被膜が、さらに、ポリウレタン樹脂及びポリビニルアルコール系樹脂の固形分合計100質量部に対して2質量部以上23質量部以下の無機層状化合物を含有し、第2の塗被膜が無機層状化合物を含有していないという多層塗被膜であり、プリフォームがブロー成形用であるガスバリア性プラスチック容器用プリフォームが得られる。2層構造の塗被膜の形態としては、(1)下層:ポリウレタン樹脂+無機層状化合物、上層:ポリウレタン樹脂、無機層状化合物含有せず、(2)下層:ポリウレタン樹脂+ポリビニルアルコール系樹脂+無機層状化合物、上層:ポリウレタン樹脂、(3)下層:ポリウレタン樹脂+ポリビニルアルコール系樹脂+無機層状化合物、上層:ポリウレタン樹脂+ポリビニルアルコール系樹脂、がある。下層と上層との間には中間層を介在させても良い。また、プリフォームと下層との間には密着層などの他の樹脂層を介在させても良い。このような場合には、3層以上の積層構造の塗被膜が得られる。
[梱包工程(S4工程)]
塗被膜を乾燥させた後のプリフォーム1は、ブロー成形を別の場所で行なう場合には、梱包される。引き続きブロー成形機がある場合にはブロー成形機へ供給される。
[ブロー成形機への供給工程(S5工程)](不図示)
塗被膜を乾燥させた後のプリフォーム1は、コーティング工程から直接又は梱包から取り出されてブロー成形機(例えば2軸延伸ブロー成形機)へ供給される。
[ブロー成形工程(塗被膜を延伸する工程)(S6工程)](不図示)
次に、ガスバリア性プラスチック容器用プリフォームからガスバリア性プラスチック容器を製造する方法について説明する。第1形態、第2形態及び第3形態をはじめとする乾燥塗被膜4bが形成されたプリフォーム1を公知のブロー成形法によってプラスチック容器に成形する。このとき、プリフォーム1の延伸に追従して、乾燥塗被膜4bも延伸する。乾燥塗被膜4bの延伸倍率は、プリフォームが延伸される倍率と同じであり、縦方向の延伸倍率は、例えば2.0〜4.0倍である。ボトルが軽量となるほど延伸倍率が高くなる傾向がある。結果、塗布膜の膜厚はボトル状態で0.8μm〜50μmであることが好ましく、1μm〜10μmであることがより好ましい。0.8μm未満では膜が薄すぎてピンホールが発生しやすいという問題点があり、50μmを超えると膜が厚すぎてプリフォームのときに乾燥完了が困難になるという問題点がある。
塗被膜は、第1形態、第2形態及び第3形態の塗被膜のいずれも、延伸前の層構造を維持しているが、延伸により、薄肉化する。延伸前と延伸後とを比較すると、延伸後の方が膜中の欠陥、空隙が少なく、また、単位膜厚あたりのガスバリア性が高い。膜中の欠陥、空隙は、例えば、陽電子消滅法によって検出することができる。
以下、実施例を示しながら本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されない。
[プリフォーム]
PET製、高さ75.4mm(サポートリング下から末端までは53.6mm)、口部内径21.8mm、質量11.0gの内容量500ml用の軽量型(麒麟麦酒社製)のプリフォームを使用した。
[コーティング溶液の原液]
(1)ガスバリア性ポリウレタン樹脂として、タケラックWPB(三井化学社製、エマルジョンタイプ)を固形分40質量%に調整して水性分散体原液1とした。
(2)ポリビニルアルコールとして、ゴーセノールNL−05(日本合成化学工業社製、ケン化度98.5%以上、重合度1000以下)を水で固形分15質量%に調整してポリビニルアルコール原液1とした。
(3)ポリビニルアルコールとして、ゴーセノールKL−05(日本合成化学工業社製、ケン化度78.5%〜81.5%、重合度1000以下)を水で固形分15質量%に調整してポリビニルアルコール原液2とした。
[水性分散体A]
水性分散体原液1をそのまま水性分散体Aとした。固形分濃度は40質量%である。
[水性分散体B]
水性分散体原液1とポリビニルアルコール原液1とを、固形分質量比でポリウレタンエマルジョン:ポリビニルアルコール=95:5となるように混合し、攪拌棒を用いて1000rpmで30分間攪拌し、液中の相分離がないこと及び脱泡が完全に完了していることを確認して水性分散体Bとした。固形分濃度は37質量%である。
[水性分散体C]
水性分散体原液1とポリビニルアルコール原液1とを、固形分質量比でポリウレタンエマルジョン:ポリビニルアルコール=90:10となるように混合し、水性分散体Bの場合と同様にして水性分散体Cとした。固形分濃度は34質量%である。
[水性分散体D]
水性分散体原液1とポリビニルアルコール原液1とを、固形分質量比でポリウレタンエマルジョン:ポリビニルアルコール=80:20となるように混合し、水性分散体Bの場合と同様にして水性分散体Dとした。固形分濃度は30質量%である。
[水性分散体E]
水性分散体原液1とポリビニルアルコール原液1とを、固形分質量比でポリウレタンエマルジョン:ポリビニルアルコール=70:30となるように混合し、水性分散体Bの場合と同様にして水性分散体Eとした。固形分濃度は27質量%である。
[水性分散体F]
水性分散体原液1とポリビニルアルコール原液1とを、固形分質量比でポリウレタンエマルジョン:ポリビニルアルコール=60:40となるように混合し、水性分散体Bの場合と同様にして水性分散体Fとした。固形分濃度は24質量%である。
[水性分散体G]
水性分散体原液1とポリビニルアルコール原液1とを、固形分質量比でポリウレタンエマルジョン:ポリビニルアルコール=50:50となるように混合し、水性分散体Bの場合と同様にして水性分散体Gとした。固形分濃度は22質量%である。
[水性分散体H]
水性分散体原液1とポリビニルアルコール原液2とを、固形分質量比でポリウレタンエマルジョン:ポリビニルアルコール=80:20となるように混合し、水性分散体Bの場合と同様にして水性分散体Hとした。固形分濃度は30質量%である。
[水性分散体I]
水性分散体Dの固形分100質量部に対して、無機層状化合物として水膨潤性合成マイカの水性分散体NTS−10(トピー工業社製、平均粒子径12μm、平均アスペクト比2000、固形分濃度10質量%)を固形分で20質量部の割合となるように添加し、固形分濃度22.1質量%に調整して水性分散体Iとした。
[水性分散体J]
水性分散体Dの固形分100質量部に対して、無機層状化合物として水膨潤性合成マイカの水性分散体NTS−10(トピー工業社製、平均粒子径12μm、平均アスペクト比2000、固形分濃度10質量%)を固形分で5質量部の割合となるように添加し、固形分濃度27.3質量%に調整して水性分散体Jとした。
[コーティング条件]
水性分散体A〜Hのそれぞれについて、図1のS3、S3、S3を1セットとして、プリフォームの外表面にコーティングを行なった。SDI社製マイクロディップコーターによるコーティング時の引上げ速度は1mm/秒、乾燥温度70℃、乾燥時間15分間とした。
SIG社製ブロー成型機LB01を用いて、それぞれのプリフォームをブロー成形して、内容量500mlのプラスチック容器を得た。
表1に、S3工程の回数(塗布回数)、乾燥後・ブロー前の塗被膜の膜厚、ブロー成形したプラスチック容器の酸素透過度をまとめた。
Figure 2014046678
(1)プラスチック容器の酸素透過度(cc/(容器・日・atm))は、酸素透過度測定装置(型式:Oxtran 2/20、Modern Control社製)を用いて、23℃、内部湿度90%RH、外部湿度50%RHの条件にて測定し、測定開始から24時間コンディショニングし、測定開始から72時間経過後の値とした。
(2)膜厚(μm)は、塗布膜を剥離して、フィルム用厚み測定機(型式:TH−104、テスター産業社製)を用いて測定した。
[コーティング条件]
水性分散体D、I、Jを用いて、2層構造の被膜をコーティングした。まず、水性分散体I又はJについて、図1のS3、S3、S3を1セットとして、プリフォームの外表面に下層側のコーティングを複数回行なった。次に水性分散体Dについて、図1のS3、S3、S3を1セットとして、下層側のコーティングの表面に上層側のコーティングを最後に1回行なった。コーティング時の引上げ速度は1mm/秒、乾燥温度70℃、乾燥時間15分間とした。
プリフォームを、SIG社製ブロー成型機LB01を用いてブロー成形して、内容量500mlのプラスチック容器を得た。
表2に、S3工程の回数(塗布回数)、乾燥後の塗被膜の膜厚、ブロー成形したプラスチック容器の酸素透過度をまとめた。
Figure 2014046678
表1の結果を基に、図2に、試験番号1〜16についてブロー成形後の塗被膜の膜厚と酸素透過度との関係を示した。図2によれば、同じ膜厚の場合、ポリビニルアルコールの割合が高いほど、酸素透過度が低いことがわかる。PET樹脂量23g、500mlの容器では、酸素透過度が0.045cc/(容器・日・atm)である。例えば、これと同等の酸素透過度を得るためには、ポリビニルアルコールが0質量%のとき8.5μm、5質量%のとき7.6μm、10質量%のとき5.9μm(このとき、酸素透過度が0.0398cc/(容器・日・atm))、20質量%のとき3.9μm(このとき、酸素透過度が0.0394cc/(容器・日・atm))、30質量%のとき2.0μm(このとき、酸素透過度が0.0398cc/(容器・日・atm))、40質量%のとき1.7μm(40質量%のとき1.7μmで酸素透過度が0.0301cc/(容器・日・atm)、50質量%のとき1.8μmで酸素透過度が0.0186cc/(容器・日・atm))であることがわかる。また、試験番号11〜13と試験番号17〜19とを比較すると、ポリビニルアルコールのケン化度が高いほうが、酸素透過度が低くなっていることがわかる。
0.045cc/(容器・日・atm)以下の酸素バリア性を発現したプラスチック容器について、次の評価を行なった。
(1)成形追従性:
ブロー成形後に膜の剥離、割れが無し・・・○(実用上問題なし)
ブロー成形後に膜の剥離、割れが有り・・・×(実用上問題あり)
(2)透明性:
下記耐水性試験後の乾燥時、及びブロー成形時に白濁が無い・・・○(実用上問題なし)
下記耐水性試験後の乾燥時、及びブロー成形時に白濁がわずかにあり・・・△(実用下限)
下記耐水性試験後の乾燥時、及びブロー成形時に白濁が有る・・・×(実用上問題あり)
(3)耐水性:
10℃、24時間の水中静置で膜の剥離が無い・・・○(実用上問題なし)
10℃、24時間の水中静置で膜の剥離が有り・・・×(実用上問題あり)
(4)膜密着性(振動試験):
1500km輸送相当試験(IDEX社製輸送包装試験機BF50UTを用いて10Hz〜40Hz、掃引時間1分×30回)を行なった。
膜の剥離、割れが無し・・・○(実用上問題なし)
膜の剥離、割れが有り・・・×(実用上問題あり)
(5)膜密着性(シール試験):
シール(ブラザー工業社製、型番TZe TAPE)を12×50mmの大きさで貼付し、1分後に剥がした。1本のサンプルにつき5箇所行った。
1箇所でも膜の剥離、割れが無し・・・○(実用上問題なし)
1箇所でも膜の剥離、割れが有り・・・×(実用上問題あり)
(6)膜密着性(落下試験):
150cmの高さから、床に敷いた鉄板(厚さ10mm)に落下させた。
膜の剥離、割れが無し・・・○(実用上問題なし)
膜の剥離、割れが有り・・・×(実用上問題あり)
図2により、酸素透過度が0.045cc/(容器・日・atm)以下(以降、所定酸素透過度ともいう。)となる膜厚を求めた。膜厚が薄い方が好ましい。評価結果を表3に示した。
Figure 2014046678
表3によれば、ポリビニルアルコールを塗被膜に含有させる場合には、その含有率が多いほど酸素バリア性が良好である。しかし、その含有率が30質量%以上となると耐水性が低下するので、その含有率を30質量%未満とする必要がある。ポリビニルアルコールの含有率が30質量%未満であれば、各評価は、実用上問題なし又は実用下限を満足した。
また、理由は不明であるが、ポリビニルアルコールの含有率が5〜10質量%のとき、ブロー成形時は問題ないが耐水性試験後に乾燥すると透明性が低下し、10質量%を超えると透明性が良好となる。つまり、透明性が特異的に良好となるのは、その含有率が10質量%を超えた場合である。したがって、ポリビニルアルコールの含有率が10質量%を超えて30質量%未満のとき、最も好適な範囲であるといえ、このとき成形追追従性、透明性、耐水性、膜密着性(振動試験、シール試験、落下試験)がすべて良好となり、かつ、酸素バリア性が極めて良好となるために塗被膜の膜厚を3.9μmまで薄くすることが可能であった。
表2の試験番号17〜20で示した2層膜とした形態では、単位膜厚あたりのバリア性が向上している。これは下層(第1の塗被膜)中の合成マイカの迷路効果が加味されたことによるものである。合成マイカの迷路効果はガス分子に対する物理的遮断によるものなので外部環境の湿度が上昇(例えば90%)してポリビニルアルコールのバリア効果が無くなってもバリア効果を発揮しうると考えられる。また、試験番号17〜20と試験番号21〜22とを比較すると、2層膜としたことによって、酸素透過度が低くなっていることが確認できた。
[塗被膜の延伸の有無によるガスバリア性の違いの検討]
バリア性ポリウレタン塗被膜の延伸の有無による単位膜厚当りの酸素バリア性の違いを確認する。PET製、高さ75.4mm(サポートリング下から末端までは53.6mm)、口部内径21.8mm、質量11.0g、内容量500ml用の軽量型(麒麟麦酒社製)のプリフォームを使用した。コーティング液として水性分散体Aを使用した。
(1)延伸PET基板上に延伸膜を形成する場合
SDI社製マイクロディップコーターを用いてプリフォームに水性分散体Aを塗布(コーティング引上げ速度:1mm/s)した後、70℃で15分間、乾燥し、薄膜コートプリフォームを得た。このプリフォームをSIG社製ブロー成型機LB01にて内容量500mlのボトルに成型した。ボトル形状は円筒形・シャンパン底型とした。また、延伸倍率は縦3.4倍、横3.6倍であった。このボトルの側面から、40mm×40mm片を切り出し、延伸PET基板上に延伸ポリウレタン膜をコートしたサンプルIを得た。
(2)延伸PET基板上に未延伸膜を形成する場合
プリフォームをSIG社製ブロー成型機LB01にて内容量500mlのボトルに成型した。ボトル形状は円筒形・シャンパン底型とした。また、延伸倍率は縦3.4倍、横3.6倍であった。このボトルの側面から、40mm×40mm片を切り出し、SDI社製マイクロディップコーターを用いて、当該サンプル片に水性分散体Aを塗布(コーティング引上げ速度:0.15mm/s)した後、70℃で15分間、乾燥し、延伸PET基板上に未延伸ポリウレタン膜をコートしたサンプルIIを得た。
表4に膜厚及び酸素透過度をまとめた。BIFとは、(数1)で求める、バリア性改良率(Barrier Improvement Factor)である。
(数1)BIF=[薄膜未形成のプラスチック基板の酸素透過度]/[薄膜を形成したプラスチック基板の酸素透過度]
Figure 2014046678
表4の結果より、延伸膜及び未延伸膜を100μmの単膜としたときの酸素透過度を(数2)の式で算出した。
(数2)P=L・P1・P2(L1/P1+L2/P2)
P:サンプルの酸素透過度
L=基板厚+膜厚
P1=基板の100μmあたりの酸素透過度
L1=基板厚
P2=膜の100μmあたりの酸素透過度
L2=膜厚
表4のデータより、サンプルIのP2は1.4(cc/m・日・atm)であり、サンプルIIのP2は、2.2(cc/m・日・atm)であることがわかった。したがって、延伸膜の酸素バリア性は未延伸膜の1.6倍であり、延伸することで単位膜厚あたりの酸素バリア性が向上したことが確認できた。
非特許文献1に示された実験方法により、延伸PET基板およびサンプルI、IIに対して、Na23を用いた陽電子消滅法により深さ方向のS parameterを測定し、膜中の欠陥について評価を行なった。陽電子消滅法は高分子等の材料中の自由体積を測定する分析手法である。この自由体積は空孔型欠陥に由来すると考えると、陽電子消滅法は空孔型欠陥を検出する方法として有効であり、一般的にS parameterが低いものほど欠陥が少ないと考えられる。サンプルI、IIの陽電子消滅法実施結果を図3に示した。Positron energyが5keVの位置は表層から300nmに相当することから、この表層から300nmの領域においてサンプルIのS parameterが相対的にサンプルIIより低いことがわかる。よってこの表層領域において、サンプルIの膜中に欠陥・空孔が少ないと考えられる。またこの表層領域よりも基板側の塗布膜の領域においては、サンプルIは上下変動が少なく安定しているのに対してサンプルIIは不安定であり、内部に進むにつれて低下する傾向にあることがわかる。これはサンプルIが表層から内部まで均一な膜状態であるのに対して、サンプルIIは不均一であることを示していると考えられる。サンプルIIの内部のS parameter低下の原因は、膜中の水分が乾燥時に完全に蒸発しきらずに欠陥・空孔の内部に残存し、自由体積は減少しているもののバリア膜として十分には機能していないと考えられる。以上の陽電子消滅法によるS parameterの解析により、水性分散体Aからなる膜は延伸した方が均一で欠陥が少ないことが確認された。よってこれが前段落に示した延伸膜の方が単位膜厚当りのバリア性が高くなっていることの理由の一つであると考えられる。またこの解析結果から、延伸後のボトル上の膜厚を300nm以上とすることで、確実に延伸によるバリア性向上効果を得ることができると考えられる。本知見を乾燥後の延伸前のプリフォーム上の膜に換算すると膜厚は4μm以上必要であると考えられる。上記の内容を総括すると、陽電子消滅法は塗布膜の延伸の有無を確認する方法としても有効である。
1 プリフォーム
2 塗布液
3 槽
4a 塗被膜
4b 乾燥塗被膜
5 プリフォームホルダ
6 熱風

Claims (10)

  1. ポリウレタン系樹脂の塗被膜を外表面にコーティングしたガスバリア性プラスチック容器の製造方法であって、
    プラスチック容器用のプリフォームの外表面に、ガスバリア性ポリウレタン樹脂を含む水性分散体を塗布、乾燥して塗被膜を形成する工程と、
    該プリフォームをブロー成形法によってプラスチック容器を成形し、かつ、該プリフォームの延伸に追従させて、前記塗被膜を延伸する工程と、
    を有することを特徴とするガスバリア性プラスチック容器の製造方法。
  2. 前記水性分散体が、ウレタン基及び尿素基を有し、かつウレタン基濃度及び尿素基濃度の合計が15質量%以上であるガスバリア性ポリウレタン樹脂を含む水性分散体であって、前記ポリウレタン樹脂のジイソシアネート成分がキシリレンジイソシアネート及び水添キシリレンジイソシアネートから選択された少なくとも一種で構成されている水性分散体であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性プラスチック容器の製造方法。
  3. 前記水性分散体がさらにケン化度80%以上のポリビニルアルコール系樹脂を含有し、かつ、ポリビニルアルコール系樹脂/(ポリビニルアルコール系樹脂+ガスバリア性ポリウレタン樹脂)で求められるポリビニルアルコール系樹脂の含有率(固形分質量換算の割合)が0質量%超30質量%未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスバリア性プラスチック容器の製造方法。
  4. 前記塗被膜を形成する工程が、少なくとも、第1の水性分散体を塗布、乾燥して塗被膜を形成する工程1と、第2の水性分散体を塗布、乾燥して塗被膜を形成する工程2と、を有し、
    前記塗被膜を形成する工程1が前記塗被膜を形成する工程2よりも先に行なわれる工程であり、かつ、
    前記第1の水性分散体が、さらに、ポリウレタン樹脂及びポリビニルアルコール系樹脂の固形分合計100質量部に対して2質量部以上23質量部以下の無機層状化合物を含有し、
    前記第2の水性分散体が無機層状化合物を含有しないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のガスバリア性プラスチック容器の製造方法。
  5. ブロー成形されたプラスチック容器の外表面にガスバリア性ポリウレタン樹脂の塗被膜がコーティングされているガスバリア性プラスチック容器であって、前記塗被膜が延伸されていることを特徴とするガスバリア性プラスチック容器。
  6. 前記塗被膜が、ケン化度80%以上のポリビニルアルコール系樹脂をさらに含有し、かつ、ポリビニルアルコール系樹脂/(ポリビニルアルコール系樹脂+ガスバリア性ポリウレタン樹脂)で求められるポリビニルアルコール系樹脂の含有率(固形分質量換算の割合)が0質量%超30質量%未満であることを特徴とする請求項5に記載のガスバリア性プラスチック容器。
  7. 前記塗被膜が、少なくとも、第1の塗被膜及び第2の塗被膜を有し、前記第1の塗被膜が前記第2の塗被膜よりも下層側に位置して積層されており、かつ、
    前記第1の塗被膜が、さらに、ポリウレタン樹脂及びポリビニルアルコール系樹脂の固形分合計100質量部に対して2質量部以上23質量部以下の無機層状化合物を含有し、
    前記第2の塗被膜が無機層状化合物を含有しないことを特徴とする請求項5又は6に記載のガスバリア性プラスチック容器。
  8. プラスチック容器用のプリフォームの外表面にガスバリア性ポリウレタン樹脂の塗被膜がコーティングされており、前記プリフォームがブロー成形用であることを特徴とするガスバリア性プラスチック容器用プリフォーム。
  9. 前記塗被膜が、ケン化度80%以上のポリビニルアルコール系樹脂をさらに含有し、かつ、ポリビニルアルコール系樹脂/(ポリビニルアルコール系樹脂+ガスバリア性ポリウレタン樹脂)で求められるポリビニルアルコール系樹脂の含有率(固形分質量換算の割合)が0質量%超30質量%未満であることを特徴とする請求項8に記載のガスバリア性プラスチック容器用プリフォーム。
  10. 前記塗被膜が、少なくとも、第1の塗被膜及び第2の塗被膜を有し、前記第1の塗被膜が前記第2の塗被膜よりも下層側に位置して積層されており、かつ、
    前記第1の塗被膜が、さらに、ポリウレタン樹脂及びポリビニルアルコール系樹脂の固形分合計100質量部に対して2質量部以上23質量部以下の無機層状化合物を含有し、
    前記第2の塗被膜が無機層状化合物を含有しないことを特徴とする請求項8又は9に記載のガスバリア性プラスチック容器用プリフォーム。
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