JP2023057568A - ゲル状食品用物性改良剤、ゲル状食品の物性改良方法、およびゲル状食品 - Google Patents

ゲル状食品用物性改良剤、ゲル状食品の物性改良方法、およびゲル状食品 Download PDF

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Abstract

【課題】ゲル状食品の本来の食感を損なわずにゲル状食品の物性改良が可能なゲル状食品用物性改良剤、ゲル状食品の本来の食感を損なわずにゲル状食品の物性を改良する方法、および、本来の食感と改良された物性とを備えたゲル状食品を提供する。【解決手段】本発明に係るゲル状食品用物性改良剤は、ゲル状食品の物性を改良する物性改良剤であって、下記(1)および(2)の条件を満たす澱粉からなる高機能性澱粉を有効成分として含有することを特徴とする。(1)澱粉濃度が3%のゾルの10℃におけるゾル粘度が10~200mPa・s(2)((GS/150)×100)で定義されるゲル強度残存率が15~80%(GSは、0.25%の寒天Xと1.5%の澱粉とを含有する寒天・澱粉溶液のゲル化物の20℃におけるゲル強度であり、寒天Xは、0.25%の濃度でゲルを調製した際、20℃におけるゲル強度が150g/cm2の寒天である。)【選択図】なし

Description

本発明は、ゲル状食品用物性改良剤、ゲル状食品の物性改良方法、およびゲル状食品に関する。
現在、ゼリー、プリン、ヨーグルト、ブリュレ、パンナコッタ、ムース、杏仁豆腐、水羊羹、餡、ジャム、ホイップクリーム、カスタードクリーム、茶わん蒸し、オムレツ、玉子焼き、豆腐、煮凝り、ナタデココ、チーズ、冷菓、介護食、可食性フイルム、大福、もち、葛切り、みつ豆、麺類、こんにゃく、グミキャンディー、錦玉、羊羹、琥珀羹、乾燥ゼリー、わらびもち、ういろう、ヌガー、ゼリービーンズ、キャラメル、マシュマロ、グレーズ、ナパージュ、バタークリーム、コンフィチュール、およびガナッシュ等、種々のゲル状食品が知られている。
ゲル状食品は、多糖類またはタンパク質からなるゲル化剤により凝固させて製造されている。多糖類からなるゲル化剤としては、例えば寒天、カラギナン、脱アシル型ジェランガム、ネイティブジェランガム、グルコマンナン、キサンタンガム、カシヤガム、ローカストビーンガム、タラガム、グァーガム、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸塩、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、セルロース、セルロース誘導体、カードラン、澱粉、加工でん粉等が挙げられる。タンパク質からなるゲル化剤としては、例えばゼラチン、卵白、卵黄、大豆タンパク質、ホエイタンパク質等が挙げられる。
いずれのゲル化剤を用いたゲル状食品においても、冷凍保存によってゲル状食品の組織が変性し、食感の劣化や離水が生じてしまうという問題があり、糖度が低い場合には特に顕著であった。長期保存を行う場合には、経時的な組織の収縮や外部との浸透圧の差によって、ゲル状食品の表面から離水が生じるという問題もある。喫食にあたって切り出しや型抜きが行われるゲル状食品の場合には、その切断面から離水が生じることもある。また、これらの問題点を解決するために糖度を高くすることは、食品の物性を変えてしまうという問題がある。
この改善策として、特許文献1には粉砕した生馬鈴薯澱粉を添加することにより、だし巻き卵、オムレツの冷凍変性を抑制する方法が記載されている。特許文献2には、セルロースと加工澱粉を添加することで、ゲル状卵加工食品の冷凍変性を抑制する方法が記載されている。また特許文献3には、ある種の多糖類ともち米澱粉とを添加することにより、ゲル状卵加工食品及び乳由来タンパクゲル状食品の冷凍変性を抑制する方法が記載されている。
しかしながら、特許文献1~3に記載のいずれの方法も、ゲル状食品本来の食感が失われてしまうという問題点があった。特許文献1に記載の粉砕された生澱粉は、3%のゾル粘度が200mPa・sよりも高いため、特許文献1のように粉砕した生澱粉を添加したゲル状食品は、本来の食感が失われてしまう。特許文献2,3においては、多糖類と澱粉を併用することによってゲル状食品の冷凍変性抑制効果が得られており、澱粉のみを添加した場合には、ゲル状食品の本来の食感が失われるうえ、物性改良効果が十分ではないことが示されている。ゲル状食品の本来の食感を損なうことなく物性を改良することは、現状では達成されていない。
特許第4212808号公報 特開2012-235737号公報 特許第6687559号公報
そこで本発明は、ゲル状食品の本来の食感を損なわずにゲル状食品の物性改良が可能なゲル状食品用物性改良剤、ゲル状食品の本来の食感を損なわずにゲル状食品の物性を改良する方法、および、本来の食感と改良された物性とを備えたゲル状食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、水和状態における分子の体積、およびゲル状食品の網目構造との相互作用が制御された澱粉からなる高機能性澱粉を含有する物性改良剤を添加することによって、ゲル状食品の本来の食感を損なうことなくゲル状食品の物性改良、特に冷凍保存によるゲル状食品の組織の変性や、ゲル状食品の表面から経時的に生じる離水、ゲル状食品の切断面から生じる離水の抑制に優れた効果があることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係るゲル状食品用物性改良剤は、ゲル状食品の物性を改良する物性改良剤であって、下記(1)および(2)の条件を満たす澱粉からなる高機能性澱粉を有効成分として含有することを特徴とする。
(1)澱粉濃度が3%のゾルの10℃におけるゾル粘度が10~200mPa・s
(2)((GS/150)×100)で定義されるゲル強度残存率が15~80%
(GSは、0.25%の寒天Xと1.5%の澱粉とを含有する寒天・澱粉溶液のゲル化物の20℃におけるゲル強度であり、寒天Xは、0.25%の濃度でゲルを調製した際、20℃におけるゲル強度が150g/cm2の寒天である。)
本発明のゲル状食品の物性改良方法は、前述のゲル状食品用物性改良剤を用いたゲル状食品の物性改良方法であって、前記高機能性澱粉が前記ゲル状食品の0.1~5.0質量%となるように、前記ゲル状食品用物性改良剤を加えることを特徴とする。
本発明のゲル状食品は、ゲル化剤と前述のゲル状食品用物性改良剤とを含有するゲル状食品であって、前記高機能性澱粉の含有量は前記ゲル状食品の0.1~5.0質量%であることを特徴とする。
本発明によれば、ゲル状食品の本来の食感を損なわずにゲル状食品の物性改良が可能なゲル状食品用物性改良剤、ゲル状食品の本来の食感を損なわずにゲル状食品の物性を改良する方法、および、本来の食感と改良された物性とを備えたゲル状食品を提供することができる。
本発明のゲル状食品用物性改良剤(以下、単に物性改良剤とも称する)には、所定の高機能性澱粉が含有される。高機能性澱粉は、水和状態における分子の見かけ体積(以後、単に「体積」と記載)、およびゲル状食品の網目構造との相互作用が制御された澱粉からなる。本発明においては、澱粉ゾルの粘度を指標として、水和状態における分子の体積を判断し、粘度が高いほど分子の体積が大きいと判断する。具体的には、澱粉濃度が3%の澱粉ゾルの10℃における粘度、すなわち10℃における3%ゾル粘度(以下、単に3%ゾル粘度とも称する)が所定範囲に規定される。
ゲル状食品の網目構造との相互作用は、(GS/150)×100で定義されるゲル強度残存率を指標として判断することができる。GSは、0.25%の寒天Xと1.5%の澱粉とを含有する寒天・澱粉溶液のゲル化物の20℃におけるゲル強度であり、寒天Xは、0.25%の濃度でゲルを調製した際、20℃におけるゲル強度が150g/cm2の寒天である。高機能性澱粉は、こうした寒天を用いて定義されるゲル強度残存率が所定範囲に規定される。
本発明者らは、ゲル状食品の網目構造との相互作用が制御された澱粉は、澱粉濃度3%のゾル粘度に加え、((GS/150)×100)で定義されるゲル強度残存率を評価することにより、適切な制御が行われているかどうかを評価できることを見出した。ここで、GSは、0.25%の寒天Xと1.5%の澱粉とを含有する寒天・澱粉溶液のゲル化物の20℃におけるゲル強度であり、寒天Xは、0.25%の濃度でゲルを調製した際、20℃におけるゲル強度が150g/cm2の寒天である。
0.25%においてゲル強度150g/cm2の寒天ゲルは、比較的しっかりした網目が粗の状態で存在している。この粗の網目に澱粉が入り込んだ状態が、本明細書におけるゲル状食品一般に相当する物性となるためと推察される。
具体的には、本発明の物性改良剤に含有される高機能性澱粉は、次のように規定される。まず、10℃における3%ゾル粘度が10~200mPa・sに規定され、10~150mPa・sであることが好ましい。もち米澱粉の場合、10~100mPa・sがより好ましく、それ以外の澱粉の場合には、20~150mPa・sがより好ましい。また、ゲル強度残存率は、15~80%に規定される。好ましいゲル強度残存率は、もち米澱粉の場合には20~70%であり、それ以外の澱粉の場合には、15~60%である。もち米澱粉とその他の澱粉を併用して用いる場合、それぞれの配合割合により好ましい粘度も同割合の数値となる。
上述したような高機能性澱粉を含む本発明の物性改良剤を用いることにより、ゲル状食品の本来の食感を損なうことなく、ゲル状食品の物性を改良することが可能となった。物性改良剤に含有され使用される澱粉が高機能性澱粉でない場合には、ゲル状食品本来の食感が損なわれてしまう。高機能性澱粉が含まれない物性改良剤を用いた場合には、ゲル状食品本来の食感が損なわれてしまう場合があり、ゲル状食品の本来の食感は損なわれない場合でも、冷凍変性防止効果や離水防止効果等の物性改良効果を十分に得ることができない。
本明細書においてゲル状食品の物性とは、冷凍解凍後の食感、冷凍解凍後の離水、表面からの離水、および切断面からの離水をさす。本発明の物性改良剤は、冷凍保存によるゲル状食品の組織の変性を抑制する。こうした効果に着目する場合、本発明の物性改良剤は、ゲル状食品の冷凍解凍時の変性抑制剤と称することができる。さらに本発明の物性改良剤は、ゲル状食品の表面から経時的に生じる離水を抑制するのに加え、ゲル状食品の切断面から生じる離水を抑制することができる。こうした効果に着目する場合には、本発明の物性改良剤は、ゲル状食品の経時劣化抑制剤と称することができる。
本発明における高機能性澱粉は、例えば、生澱粉に物理処理、化学処理、または酵素処理を施すことにより製造することができる。物理処理、化学処理、または酵素処理は、加工澱粉に施してもよい。また、物理処理、化学処理、酵素処理により製造された高機能性澱粉から加工澱粉を製造してもよい。加工澱粉は、一般に行われている方法により製造することができる。得られた加工澱粉が、上述の(1)および(2)の条件を満たしていれば本発明における高機能性澱粉に該当する。
高機能性澱粉の原料として使用される加工澱粉は、生澱粉に一般に行われている方法により加工を施すことにより製造することができる(澱粉科学ハンドブック、朝倉書店など)。市販品の加工澱粉を使用してもよい。また、市販の澱粉や加工澱粉であっても、上述の(1)および(2)の条件を満たしていれば本発明における高機能性澱粉に該当する。
生澱粉の由来原料としては、例えば、馬鈴薯、ワキシーポテト、コーン、ワキシーコーン、ハイアミロースコーン、タピオカ、ワキシータピオカ、うるち米、もち米、小麦、甘藷、葛、サゴ、わらび、レンコン、緑豆、インゲン豆、エンドウ豆、および片栗等が挙げられる。生澱粉は未加工澱粉とも称され、澱粉分子がβ澱粉の状態にある。
加工澱粉としては、具体的には、リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉、アセチル化澱粉、リン酸化澱粉、酸化澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、湿熱処理澱粉、酸化澱粉、酸処理澱粉、およびα化澱粉等が挙げられる。
物理処理とは、粉砕、分級、加熱、混錬、水に溶解後乾燥等をさす。粉砕には、ターボミル、ハンマーミル、ボールミル、カッターミル、スタンプミル、リングミル、ビーズミル、ローラーミル、ジェットミル、ピンミル、石臼などを用いることができる。粉砕の方式は、湿式粉砕、乾式粉砕、および凍結粉砕のいずれでもよい。分級は、ふるい分け、流体分級のどちらで行ってもよく、流体分級の方式は、乾式分級、湿式分級のどちらを選択してもよい。ふるい分けに使用される篩は、一般に使用される篩を用いればよい。流体分級に用いられる分級機は重力分級機、遠心分級機、慣性分級機などから選ばれる。加熱の方法は、澱粉に熱が加えられればいずれの方法を用いてもよい。混錬は、ニーダー、蒸練機、エクストルーダー等を用いて行うことができる。乾燥の方法は、噴霧式乾燥、ドラム式乾燥、凍結乾燥、真空乾燥、熱風乾燥、フラッシュ乾燥、および濾過乾燥などから選択される。
例えば粉砕の場合には、粉砕強度、すなわち粉砕の程度が高いほどゲル強度残存率の値が増大し、3%ゾル粘度の値が低下する傾向となる。より細かい粒径に分級した際も、同様の傾向が得られる。加熱の場合には、温度を高くしたり、時間を長くすることにより同様の傾向を得ることができる。こうした傾向を考慮して適切な物理処理を施すことによって、上記(1)および(2)の条件を満たすことが可能となる。
物理処理を施して高機能性澱粉を製造する場合には、例えば、原料を加熱溶解して、澱粉水溶液を得る。水溶液の澱粉濃度は、一般的には1~80%とすることができ、適宜選択すればよい。得られた水溶液はさらに加熱してもよく、通常50~99℃で0.1~24時間加熱される。また、水溶液は混錬してもよく、混錬には一般的に蒸練機、ニーダー、エクストルーダーなどが用いられる。
水溶液を乾燥させることによって、α化澱粉が得られる。乾燥方法は通常、噴霧式乾燥、ドラム式乾燥、真空乾燥、熱風乾燥、フラッシュ乾燥、濾過乾燥等から選択される。乾燥条件は、一般的に知られた条件で行うことができ、澱粉中の水分含量が20%以下になるよう、方法に応じて温度を適宜設定すればよい。例えば、噴霧式乾燥では50~250℃、ドラム式乾燥では50~250℃、真空乾燥では0~100℃、熱風乾燥では熱風温度が40~250℃、フラッシュ乾燥では気流温度が100~500℃、濾過乾燥では0~150℃とすることができる。
こうして得られた澱粉は、ターボミル、ハンマーミル、ボールミル、カッターミル、スタンプミル、リングミル、ビーズミル、ローラーミル、ジェットミル、ピンミル、石臼等の粉砕機を用いて、湿式粉砕、乾式粉砕、または凍結粉砕等により粉砕する。粉砕は、一般的に知られた条件で行うことができ、いずれの条件で行ってもよい。
粉砕後、100メッシュ程度に分級することで、所望の物性を備えた高機能性澱粉を得ることができる。得られた高機能性澱粉は、造粒してから用いてもよい。
高機能性澱粉の製造方法として特に有効な物理処理は、α化と粉砕を含む方法である。ここで使用し得る原料としては、上述したような生澱粉や加工澱粉が挙げられる。α化と粉砕は、市販の生澱粉、加工澱粉に対して施すことができる。また、予めα化された市販のα化澱粉に粉砕処理を施して、高機能性澱粉を製造してもよい。各処理について、以下に詳細に説明する。
α化処理にあたっては、まず、原料を加熱溶解し、澱粉水溶液を得る。水溶液の澱粉濃度は、一般的には1~80%とすることができる。水溶液を乾燥させることによってα化澱粉が得られる。乾燥方法は通常、噴霧式乾燥、ドラム式乾燥、真空乾燥、熱風乾燥、フラッシュ乾燥、濾過乾燥等から選択される。乾燥条件は、一般的に知られた条件で行うことができ、澱粉中の水分含量が20%以下になるよう、方法に応じて温度を適宜設定すればよい。例えば、噴霧式乾燥では50~250℃、ドラム式乾燥では50~250℃、真空乾燥では0~100℃、熱風乾燥では熱風温度が40~250℃、フラッシュ乾燥では気流温度が100~500℃、濾過乾燥では0~150℃とすることができる。
また、エクストルーダー等を用いてα化処理をすることもできる。その場合、原料澱粉100重量部に対して、1~100重量部の水を混合し、40~200℃に加熱しながら混錬することによってα化処理が行われる。
α化澱粉は、湿式粉砕、乾式粉砕、または凍結粉砕等により粉砕する。粉砕機としては、例えばターボミル、ハンマーミル、ボールミル、カッターミル、スタンプミル、リングミル、ビーズミル、ローラーミル、ジェットミル、ピンミル、石臼等を用いることができる。粉砕は一般的に知られた条件で行うことができ、澱粉が所望の物性となれば、粒径は特に限定されず、任意とすることができる。
所望の物性を備えた本発明の高機能性澱粉を得るためには、粉砕の条件もまた、適切に設定する必要がある。粉砕強度を高くすることによって、本明細書におけるゲル強度残存率の値は大きくなり、10℃における3%ゾル粘度の値が小さくなる。粉砕強度とは粉砕の程度に依存し、粉砕強度が高いほど粒子径が小さくなって、ゲル強度残存率が大きくなる。以下のように粉砕機に応じて条件を適切に設定することで、粉砕強度を高くすることができる。
例えば、ターボミル、ハンマーミル、カッターミル、ピンミルなどの回転タイプの場合には、回転数の上昇、あるいは原料供給量の減少が有効である。ビーズやボールを使用したものは、ボールの数を増やしたり、粉砕時間を長くしたりすることによって、粉砕強度が高められる。ジェットミルの場合は空気圧を高め、石臼ではクリアランスを狭くすればよい。
粉砕後、100メッシュ程度に分級することで、所望の物性を備えた本発明の高機能性澱粉を得ることができる。得られた高機能性澱粉は、造粒してから用いてもよい。
α化処理と粉砕処理とは、必ずしも別個の工程で行う必要はなく、α化を伴う粉砕処理を施してもよい。α化を伴う粉砕処理としては、例えば、加熱を伴う湿式粉砕等が挙げられる。加熱は、外部装置による加熱や、粉体同士の摩擦熱を用いてもよく、品温が30℃以上となればよい。なお、α化澱粉を原料として用いる場合には、α化処理を省略することができる。
化学処理とは、酸または塩基を用いた澱粉の加水分解反応をさす。酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、次亜塩素酸、乳酸、クエン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、アスコルビン酸、およびリンゴ酸などが挙げられる。塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、および水酸化マグネシウム等が挙げられる。
例えば、30~90%程度のアルコール水溶液に10~80%程度の濃度で原料を分散して、スラリーを取得する。そこに、0.01%~20%程度の酸を添加し、スラリーのpHを2.0~6.0に調節する。その後、スラリーを4~60℃で0.1~24時間程度保持して反応させる。その後、塩基によりスラリーのpHを5.0~8.0に調節し、乾燥させる。乾燥方法は上記物理処理の場合と同様に行うことができる。
また、酸水溶液を澱粉に噴霧して化学処理を行ってもよい。例えば、原料1重量部に対して、0.1~50%程度の酸水溶液を0.01~2重量部噴霧する。その後、4~60℃で0.1~24時間程度保持し反応させた後、塩基水溶液により中和し、乾燥させる。この場合も、上述と同様の酸および塩基を用い、上述と同様の方法で乾燥させることができる。
なお、化学処理に用いる酸または塩基水溶液の濃度が高いほど、ゲル強度残存率の値が増大し、3%ゾル粘度の値が低下する傾向となる。酸水溶液のpHが低いほど、あるいは塩基水溶液のpHが高いほど、同様の傾向が得られる。また、反応温度を高くしたり、反応時間を長くした場合も、同様の傾向を得ることができる。こうした傾向を考慮して適切な化学処理を施すことによって、上記(1)および(2)の条件を満たすことが可能となる。
酵素処理とは、酵素による澱粉の加水分解反応、官能基の付加反応、架橋反応、重合反応などを指す。酵素は、アミラーゼ、マンナナーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、デキストラナーゼ、およびペルオキシダーゼ等から選択して用いることができる。例えば、30~90%程度のアルコール水溶液に10~80%程度の濃度で原料を分散して、スラリーを取得する。そこに、0.01%~5%程度の酵素を添加し、4~60℃で0.1~24時間程度保持して反応させる。その後、上述と同様の方法で乾燥させる。
なお、酵素処理に用いる酵素水溶液の濃度が高いほど、ゲル強度残存率の値が増大し、3%ゾル粘度の値が低下する傾向となる。また、至適温度で反応させたり、反応時間を長くした場合も、同様の傾向となる。こうした傾向を考慮して適切な酵素処理を施すことによって、上記(1)および(2)の条件を満たすことが可能となる。
化学処理を施した澱粉は、食品添加物として扱われ、物理処理や酵素処理を施した澱粉は食品素材として扱われる。食品に用いられる素材は食品添加物ではないことが望まれており、高機能性澱粉の製造方法としては物理処理や酵素処理が好ましい。物理処理は、水和状態における分子の体積やゲル状食品の網目構造との相互作用を制御しやすく、目的の高機能性澱粉を容易に取得できる。物理処理を行う場合には、α化澱粉を原料として用いることが好ましく、特に生澱粉を原料とする場合には、予めα化処理を施すことが好ましい。α化の工程は一般的なα化澱粉を作製する方法でよい(澱粉科学ハンドブック、朝倉書店など)。
上述したそれぞれの製造方法においては、異なる2種以上の原料を、組み合わせて用いることもできる。原料を組み合わせて用いる場合には、それぞれの処理を施して高機能性澱粉を製造すればよく、処理前に組み合わせることもできる。原料の種類によっては、上述した工程の一部または全部を省略しても、3%ゾル粘度およびゲル強度残存率が所定の範囲内となる場合がある。そのような澱粉もまた、本発明における高機能性澱粉である。さらに、市販のα化澱粉であっても、3%ゾル粘度およびゲル強度残存率が所定の範囲内であれば、本発明における高機能性澱粉に相当する。
高機能性澱粉は、それ自体を単独で、あるいは他の成分と組み合わせて、本発明の物性改良剤とすることができる。他の成分としては、例えば、寒天、ゼラチン、カラギナン、脱アシル型ジェランガム、ネイティブジェランガム、グルコマンナン、キサンタンガム、カシヤガム、ローカストビーンガム、タラガム、グァーガム、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸塩、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、セルロース、セルロース誘導体、澱粉、加工でん粉、サクシノグリカン、ウェランガム、シロキクラゲ多糖、アラビアガム、乳化剤、不凍タンパク質、オリゴ糖、糖アルコール、デキストリン、ポリデキストロース、および難消化性デキストリンなどが挙げられる。
中でも、寒天、ゼラチン、カラギナン、脱アシル型ジェランガム、ネイティブジェランガム、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸塩、ウェランガム、シロキクラゲ多糖、およびアラビアガムから選択される少なくとも一種と組み合わせるのが好ましい。そのような組み合わせで用いた場合には、より優れた効果が期待される。
上述したような高機能性澱粉を含有する本発明の物性改良剤を使用して、ゲル状食品の物性を改良することができる。高機能性澱粉は、ゲル状食品の0.1~5.0質量%含有されていれば、効果を発揮する。したがって、物性改良剤中における高機能性澱粉の含有量や、ゲル状食品中における物性改良剤の含有量は、特に規定されない。ゲル状食品中における物性改良剤の含有量は、物性改良剤中における高機能性澱粉の含有量に応じて、適宜決定することができる。
本発明の物性改良剤が使用できるゲル状食品としては、多糖類やタンパク質からなるゲル化剤を用いてゲル化させたものであればよく、特に限定されるものではない。
多糖類からなるゲル化剤としては、例えば寒天、カラギナン、脱アシル型ジェランガム、ネイティブジェランガム、グルコマンナン、キサンタンガム、カシヤガム、ローカストビーンガム、タラガム、グァーガム、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸塩、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、セルロース、セルロース誘導体、カードラン、澱粉、加工でん粉等が挙げられる。タンパク質からなるゲル化剤としては、例えばゼラチン、卵白、卵黄、大豆たんぱく質、ホエイタンパク質等が挙げられる。
その中でも、寒天、カラギナン、脱アシル型ジェランガム、ネイティブジェランガム、ペクチン、アルギン酸、アルギン酸塩、カードラン、澱粉、加工でん粉、ゼラチン、卵白、卵黄、大豆たんぱく質、ホエイたんぱく質がゲル化剤として好ましく、寒天、ゼラチン、卵白、卵黄、大豆たんぱく質、ホエイたんぱく質がより好ましい。ゲル化剤は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ゲル化剤として澱粉や加工澱粉を用いたゲル状食品の場合は、本発明の高機能性澱粉を上乗せ添加または置き換え添加することによって、本発明の物性改良効果が得られる。本発明の物性改良剤は、寒天、ゼラチン、卵白、卵黄、ホエイタンパク質から選択されるゲル化剤を用いたゲル状食品に対して、特に効果を発揮する。
ゲル状食品としては、具体的には、ゼリー、プリン、ヨーグルト、ブリュレ、パンナコッタ、ムース、杏仁豆腐、水羊羹、餡、ジャム、ホイップクリーム、カスタードクリーム、茶わん蒸し、オムレツ、玉子焼き、豆腐、煮凝り、ナタデココ、チーズ、冷菓、介護食、可食性フイルム、大福、もち、葛切り、みつ豆、麺類、こんにゃく、グミキャンディー、錦玉、羊羹、琥珀羹、乾燥ゼリー、わらびもち、ういろう、ヌガー、ゼリービーンズ、キャラメル、マシュマロ、グレーズ、ナパージュ、バタークリーム、コンフィチュール、およびガナッシュ等が挙げられる。
上述したような高機能性澱粉が、ゲル状食品の0.1~5.0質量%となるように、本発明の物性改良剤をゲル状食品に加えることで、ゲル状食品本来の食感を損なわずに物性を改良することができる。高機能性澱粉が少なすぎる場合には、十分な物性改良効果が得られず、冷凍保存による組織の変性や、経時的なゲル表面からの離水、ゲル状食品の切断面からの離水が生じてしまうことがある。一方、高機能性澱粉が多すぎる場合には、ゲル状食品本来の食感が損なわれてしまうことがある。高機能性澱粉は、ゲル状食品の0.5~3.0質量%であることが好ましい。
ここで、ゲル状食品の物性が劣化するメカニズムについて説明する。ゲル状食品の組織が、冷凍保存によって変性するメカニズムは、多糖類やタンパク質からなるゲルの網目構造に抱え込まれた水分子に起因する。この水分子が、冷凍保存により氷晶として大きく発達して網目構造を広げ、場合によっては網目を破壊してしまうことによる。
ゲル状食品の表面からの経時的な離水は、多糖類やタンパク質からなるゲルの網目構造が経時的に収縮することによって、網目構造に抱え込まれていた水分が押し出されてしまうことに起因する。さらに、ゲル状食品の切断面からの離水は、多糖類やタンパク質からなるゲルの網目構造が物理的に切断されることで、切断面に露出した網目が水分を抱え込む能力を失ってしまうことによって生じる。
本発明の物性改良剤には、10℃における3%澱粉ゾル粘度とゲル強度残存率が特定の範囲になるように、水和状態における分子の体積、およびゲル状食品の網目構造との相互作用が制御された澱粉からなる高機能性澱粉が含有される。この高機能性澱粉の分子は、多糖類やタンパク質からなる網目構造に入り込むようにしてゲル構造を補強する。このようにして形成された網目構造は、冷凍保存により生じた組織内の氷晶が網目構造を広げようとする力に耐えることができる。
また、高機能性澱粉の分子は、ゲル状食品の網目構造内に存在する水分子を抱え込み、氷晶が大きく発達することを抑制する。こうして、冷凍保存によるゲル状食品の組織の変性が抑制される。また、網目構造に入り込むようにして存在する高機能性澱粉の分子は、経時的にゲルの網目構造が収縮することを抑制する。こうして、ゲル状食品の表面から経時的に生じる離水が抑制される。
さらに、高機能性澱粉の分子が網目構造内の水分子を抱え込むため、切断により網目構造が破壊されてゲルの網目が水分を抱え込む能力を失った場合でも、高機能性澱粉の分子によって水分子が保持される。こうして、ゲル状食品の切断面から生じる離水が抑制される。
10℃における3%澱粉ゾル粘度とゲル強度残存率が特定の範囲になるように、水和状態における分子の体積、およびゲル状食品の網目構造との相互作用が制御された澱粉でなければ、本発明の効果を得ることができない。水和状態における分子の体積が大きすぎる場合、多糖類やタンパク質からなるゲル化剤による網目構造の形成を阻害するため、ゲル状食品本来の食感が損なわれてしまう。しかも、ゲル化剤により形成される網目構造が脆いため氷晶の発達によるダメージを受けやすくなり、冷凍保存による食感の劣化や離水が生じやすい。
一方で、小さすぎる澱粉の場合には、多糖類やタンパク質からなるゲル化剤が形成する網目構造の目開きよりも水和状態における分子の体積が小さくなってしまい、網目構造を補強する効果が低下する。小さい澱粉の分子は水和力が低いため、氷晶の発達を抑制する効果や離水を抑制する効果が十分に得られない。また、10℃における3%澱粉ゾル粘度が特定の範囲にあってもゲル強度残存率が特定の範囲内にない澱粉では、ゲル状食品本来の食感が失われてしまい、かつ物性改良効果も十分に得られない。
本発明の物性改良剤を用いることによって、ゲル状食品の本来の食感を損なうことなくゲル状食品の物性改良、特に冷凍保存によるゲル状食品の組織の変性や、ゲル状食品の表面から経時的に生じる離水、ゲル状食品の切断面から生じる離水を抑制することが可能となる。
本発明の物性改良剤は、水和状態における分子の体積、およびゲル状食品の網目構造との相互作用が制御された澱粉からなる高機能性澱粉を含有している。未加工澱粉に、物理処理や酵素処理を施して高機能性澱粉とした場合、食品素材として扱うことができる。従来技術では、増粘安定剤や乳化剤などの食品添加物を用いなければ、十分な物性改良効果が得られなかった。本発明においては、食品素材のみでも十分な物性改良効果が得られる。このため、近年における消費者の健康志向を満たしつつ、十分な物性改良効果が得られたゲル状食品の提供が可能である。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。特に指定がない限り、%は質量%を示している。
<物性改良剤の準備>
物性改良剤として、市販品の澱粉をそのまま、または市販品の澱粉に処理を施して、以下の澱粉1~71を準備した。
澱粉1:ファインスノウ(上越スターチ) うるち米原料
澱粉2:澱粉1をターボミルで粉砕し、400メッシュにて分級した。
澱粉3:50gの澱粉1を950gの精製水に分散した後、90℃で10分間加熱し、5%の澱粉溶液を得た。澱粉溶液をドラム乾燥機で乾燥し、ターボミルで粉砕後、100メッシュにて分級した。
澱粉4:澱粉3をさらにターボミルで粉砕し、150メッシュにて分級した。
澱粉5:澱粉4をさらにターボミルで粉砕し、250メッシュにて分級した。
澱粉6:澱粉5をさらにジェットミルで粉砕し、350メッシュにて分級した。
澱粉7:澱粉6をさらにジェットミルで粉砕し、400メッシュにて分級した。
澱粉8:澱粉7をさらにジェットミルで粉砕し、500メッシュにて分級した。
澱粉9:ワキシースターチY(三和澱粉工業)ワキシーコーン原料
澱粉10:澱粉9を石臼式粉砕機で粉砕し、400メッシュにて分級した。
澱粉11:50gの澱粉9を950gの精製水に分散した後、90℃で10分間加熱し、5%の澱粉溶液を得た。澱粉溶液をスプレー式乾燥機で乾燥し、石臼式粉砕機で粉砕後、100メッシュにて分級した。
澱粉12:澱粉11をさらに石臼式粉砕機で粉砕し、150メッシュにて分級した。
澱粉13:澱粉12をさらに石臼式粉砕機で粉砕し、250メッシュにて分級した。
澱粉14:澱粉13をさらにビーズミルで粉砕し、350メッシュにて分級した。
澱粉15:澱粉14をさらにビーズミルで粉砕し、400メッシュにて分級した。
澱粉16:澱粉15を500メッシュにて分級した。
澱粉17:モチールB(上越スターチ)もち米原料
澱粉18:澱粉17をハンマーミルで粉砕し、400メッシュにて分級した。
澱粉19:50gの澱粉17を950gの精製水に分散した後、90℃で10分間加熱し、5%の澱粉溶液を得た。澱粉溶液を凍結乾燥機で乾燥し、ハンマーミルで粉砕後、150メッシュにて分級した。
澱粉20:澱粉19をさらにハンマーミルで粉砕し、250メッシュにて分級した。
澱粉21:澱粉20をさらにピンミルで粉砕し、350メッシュにて分級した。
澱粉22:澱粉21をさらにピンミルで粉砕し、500メッシュにて分級した。
澱粉23:MKK-100(松谷化学工業)タピオカ原料
澱粉24:50gの澱粉23を950gの精製水に分散した後、90℃で10分間加熱し、5%の澱粉溶液を得た。澱粉溶液を凍結乾燥機で乾燥し、スタンプミルで粉砕後、150メッシュにて分級した。
澱粉25:澱粉24をさらにスタンプミルで粉砕し、250メッシュにて分級した。
澱粉26:澱粉25をさらにローラーミルで粉砕し、350メッシュにて分級した。
澱粉27:澱粉26をさらにローラーミルで粉砕し、500メッシュにて分級した。
澱粉28:HOMECREATE create 365(ingredion)ワキシータピオカ原料
澱粉29:50gの澱粉28を950gの精製水に分散した後、90℃で10分間加熱し、5%の澱粉溶液を得た。澱粉溶液を凍結乾燥機で乾燥し、カッターミルで粉砕後、150メッシュにて分級した。
澱粉30:澱粉29をさらにカッターミルで粉砕し、250メッシュにて分級した。
澱粉31:澱粉30をさらにアトライターで粉砕し、350メッシュにて分級した。
澱粉32:澱粉31をさらにアトライターで粉砕し、500メッシュにて分級した。
澱粉33:50gのコーンスターチホワイト(日本コーンスターチ)(コーン原料)を950gの精製水に分散した後、90℃で10分間加熱し、5%の澱粉溶液を得た。澱粉溶液をドラム乾燥機で乾燥し、ターボミルで粉砕後、150メッシュにて分級した。
澱粉34:50gのスタビローズ1000(松谷化学工業)(馬鈴薯原料) を950gの精製水に分散した後、90℃で10分間加熱し、5%の澱粉溶液を得た。澱粉溶液をドラム乾燥機で乾燥し、ジェットミルで粉砕後、150メッシュにて分級した。
澱粉35:50gのスタビローズAB1000(松谷化学工業)(ワキシーポテト原料)を950gの精製水に分散した後、90℃で10分間加熱し、5%の澱粉溶液を得た。澱粉溶液をドラム乾燥機で乾燥し、石臼式粉砕機で粉砕後、150メッシュにて分級した。
澱粉36:50gのマーガレット(松谷化学工業)(ワキシーコーン原料/ヒドロキシプロピル化)を950gの精製水に分散した後、90℃で10分間加熱し、5%の澱粉溶液を得た。澱粉溶液をドラム乾燥機で乾燥し、ビーズミルで粉砕後、150メッシュにて分級した。
澱粉37:50gのフードスターチW(松谷化学工業)(ワキシーコーン原料/アセチル化)を950gの精製水に分散した後、90℃で10分間加熱し、5%の澱粉溶液を得た。澱粉溶液をドラム乾燥機で乾燥し、ハンマーミルで粉砕後、150メッシュにて分級した。
澱粉38:50gのファリネックスVA-70WM(松谷化学工業)(ワキシーコーン原料/ヒドロキシプロピル化リン酸架橋)を950gの精製水に分散した後、90℃で10分間加熱し、5%の澱粉溶液を得た。澱粉溶液をドラム乾燥機で乾燥し、ピンミルで粉砕後、150メッシュにて分級した。
澱粉39:50gのファリネックスCA(松谷化学工業)(ワキシーコーン原料/アセチル化リン酸架橋)を950gの精製水に分散した後、90℃で10分間加熱し、5%の澱粉溶液を得た。澱粉溶液をドラム乾燥機で乾燥し、スタンプミルで粉砕後、150メッシュにて分級した。
澱粉40:50gのフードスターチF403(松谷化学工業)(ワキシーコーン原料/リン酸架橋)を950gの精製水に分散した後、90℃で10分間加熱し、5%の澱粉溶液を得た。澱粉溶液をドラム乾燥機で乾燥し、ローラーミルで粉砕後、150メッシュにて分級した。
澱粉41:スタビローズY(松谷化学工業)ワキシーコーン原料/酸化
澱粉42:Novation2300(松谷化学工業)ワキシーコーン原料/湿熱処理
澱粉43:馬鈴薯澱粉を凍結粉砕機で粉砕し、500メッシュにて分級した。
澱粉44:50gの馬鈴薯澱粉を950gの精製水に分散した後、90℃で10分間加熱し、5%の澱粉溶液を得た。澱粉溶液をドラム乾燥機で乾燥し、凍結粉砕機で粉砕後、150メッシュにて分級した。
澱粉45:澱粉44をさらに凍結粉砕機で粉砕し、250メッシュにて分級した。
澱粉46:澱粉45をさらに凍結粉砕機で粉砕し、350メッシュにて分級した。
澱粉47:澱粉46をさらに凍結粉砕機で粉砕し、500メッシュにて分級した。
澱粉48:日食MT-50(日本食品化工)タピオカ原料/アジピン酸架橋
澱粉49:50gの澱粉47を950gの精製水に分散した後、90℃で10分間加熱し、5%の澱粉溶液を得た。澱粉溶液をドラム乾燥機で乾燥し、ターボ粉砕機で粉砕後、150メッシュにて分級した。
澱粉50:澱粉49をさらにターボ粉砕機で粉砕し、250メッシュにて分級した。
澱粉51:澱粉50をさらにターボ粉砕機で粉砕し、350メッシュにて分級した。
澱粉52:澱粉51をさらにターボ粉砕機で粉砕し、500メッシュにて分級した。
澱粉53:澱粉4をさらにアトライターで粉砕し、250メッシュにて分級した。
澱粉54:澱粉4をさらにロールミルで粉砕し、250メッシュにて分級した。
澱粉55:澱粉4をさらにハンマーミルで粉砕し、250メッシュにて分級した。
澱粉57:澱粉4をさらに石臼式粉砕機で粉砕し、250メッシュにて分級した。
澱粉58:澱粉4をさらにカッターミルで粉砕し、250メッシュにて分級した。
澱粉59:澱粉1を70%アルコール水溶液に50%の濃度で分散してスラリーを取得した後、0.05%のペクチナーゼを添加した。酵素を添加したスラリーを、35℃で0.5時間保持して反応させた後、熱風乾燥機を用いて乾燥させた。
澱粉60:澱粉1を70%アルコール水溶液に50%の濃度で分散してスラリーを取得した後、20%次亜塩素酸溶液を用いてpHを4.0に調節した。スラリーを40℃で3時間保持して反応させた後、真空乾燥機を用いて乾燥させた。
澱粉61:500gの澱粉1に20%クエン酸水溶液を500g噴霧した後、50℃で1.5時間保持し反応させた。これを、凍結乾燥機を用いて乾燥させた。
澱粉62:澱粉12をさらにアトライターで粉砕し、250メッシュにて分級した。
澱粉63:澱粉12をさらにロールミルで粉砕し、250メッシュにて分級した。
澱粉64:澱粉12をさらにハンマーミルで粉砕し、250メッシュにて分級した。
澱粉65:澱粉12をさらにジェットミルで粉砕し、250メッシュにて分級した。
澱粉66:澱粉12をさらにカッターミルで粉砕し、250メッシュにて分級した。
澱粉67:澱粉12をさらに石臼式粉砕機で粉砕し、250メッシュにて分級した。
澱粉68:澱粉9を60%アルコール水溶液に35%の濃度で分散してスラリーを取得した後、0.03%のマンナナーゼを添加した。酵素を添加したスラリーを、20℃で4時間保持し反応させた後、熱風乾燥機を用いて乾燥させた。
澱粉69:澱粉9を60%アルコール水溶液に35%の濃度で分散してスラリーを取得した後、20%塩酸溶液を用いてpHを3.5に調節した。ここに0.01%濃度となるようにαアミラーゼを添加し、スラリーを30℃で3時間保持し反応させた後、ドラム式乾燥機を用いて90℃で乾燥させた。
澱粉70:500gの澱粉9に0.01%βアミラーゼ水溶液を500g噴霧した後、60℃で0.5時間保持して反応させた。これを、乾熱乾燥機を用いて100℃で乾燥させた。
澱粉71:300gの30%エタノール水溶液に澱粉12を50g分散させ、4%NaOH水溶液でpHを10に調整した。さらに酢酸ビニルを10g添加し、37℃で1時間反応させた後、希硫酸でpHを6に中和し、ろ過した。その後、500mLのメタノールで置換ろ過し、室温で乾燥させた。
以上の澱粉のうち、澱粉43は、馬鈴薯澱粉を粉砕したのみであるので、特許文献1(特許第4212808号)に記載されているものに相当する。また、澱粉17は、特許文献3(特許第6687559号)で用いられており、澱粉48は、特許文献2(特開2012-235737号公報)で用いられている。
各澱粉について、3%澱粉ゾル粘度、およびゲル強度残存率を評価した。各評価項目の測定方法は以下のとおりである。
<3%澱粉ゾル粘度>
澱粉9.0gとグラニュー糖45gをよく粉体混合し、300gの精製水にダマにならないよう気を付けながら分散した。分散液を中火で加熱し、沸騰してから弱火で3分間加熱した。加熱後、秤量し、300gを超える場合は、水分が蒸発して300gになるまでさらに加熱した。300g未満の場合は、90℃の精製水を310gになるように追加し、再加熱して300gに調整した。
重量調整後、液温が60℃になるまで蒸発を防ぎながら攪拌し冷却した。澱粉溶液は、重量が300gであることを確認してから300mLのトールビーカーに全量を充填し、直ちにパラフィルムで覆った。その後、20℃の部屋で1時間放冷して粗熱を取った。粗熱を取った澱粉溶液は、庫内の雰囲気温度が10℃に維持されるように設定された恒温槽にて3時間冷却して、試料としての澱粉ゾルを得た。恒温槽としては、粗熱を取った試料を庫内に収容しても温度が10℃+5℃以上にならないように十分に容量が大きなものを使用した。
冷却後、試料の液温が10℃になったことを確認し、B型粘度計(ブルックフィールド社)で粘度を測定した。ローターは、試料の粘度に応じて選択した。具体的には、粘度が1000mPa・s以上の試料にはNo.3、粘度が500mPa・s以上1000mPa・s未満の試料にはNo.2、粘度が500mPa・s未満の試料にはNo.1のローターを使用した。測定は、室温が20℃に保たれた部屋で行い、ローターが回転し始めてから40秒後に測定された粘度を、3%ゾル粘度とした。
なお、澱粉ゾルにはグラニュー糖が含有されているが、ゾル粘度の測定には何ら影響を及ぼすものではない。
<ゲル強度残存率>
寒天として、伊那寒天カリコリカン(伊那食品工業)を準備した。伊那寒天カリコリカンは、0.25%の濃度のゲルとした際、20℃におけるゲル強度が150g/cm2である。伊那寒天カリコリカン1.25g、澱粉7.5g、およびグラニュー糖75gをよく粉体混合し、500gの精製水にダマにならないよう気を付けながら分散した。
分散液を中火で加熱し、沸騰してから弱火で10分間加熱した。加熱後、秤量し、500gを超える場合は、水分が蒸発して500gになるまでさらに加熱した。500g未満の場合は、90℃の精製水を510gになるように追加し、再加熱して500gに調整した。重量調整後、液温が60℃になるまで蒸発を防ぎながら攪拌し冷却した。
溶液は、重量が500gであることを確認した後、容器に充填した。容器は、直径が49mmで、高さが40mmのものを使用し、容器上部にテープを巻いて、テープ上端まで溶液を流し込んだ。試料溶液は、庫内の雰囲気温度が20℃に維持されるように設定された恒温槽にて15時間冷却し、ゲル化させた。恒温槽としては、試料を庫内に入れても温度が20℃+5℃以上にならないように十分に容量が大きなものを使用した。冷却後、テクスチャーアナライザー(StableMicroSystems社)でゲル強度を測定した。
なお、寒天・澱粉溶液にはグラニュー糖が含有されているが、ゲル強度の測定には何ら影響を及ぼすものではない。
ゲル強度測定用の試料は、テープを除いて、容器からはみ出たゲルをナイフなどで容器上端に沿って水平にカットして準備した。試料における断面の中心のゲル強度を、以下の手法により測定した。具体的には、断面積1cm2の円柱状のプランジャーを、1mm/秒の速度でゲル化物に侵入させ、ゲルが破断したときの応力をゲル強度(GS)として記録した。((GS/150)×100)によりゲル強度残存率を算出した。
各澱粉の評価結果を、原料および加工処理方法とともに下記表1にまとめる。
Figure 2023057568000001
Figure 2023057568000002
澱粉3~7(うるち米由来)、澱粉11~15(ワキシーコーン由来)、澱粉18~21(もち米由来)、澱粉24~26(タピオカ由来)、澱粉29~31(ワキシータピオカ由来)、澱粉33(コーン由来)、澱粉34(馬鈴薯由来)、澱粉35(ワキシーポテト由来)、澱粉36~40(ワキシーコーン由来)、澱粉44~46(馬鈴薯由来),澱粉49~51(タピオカ由来)、澱粉53~61(うるち米由来)、澱粉62~71(ワキシーコーン由来)は、以下の2つの物性を備えているので、本発明の物性改良剤に含有される高機能性澱粉に相当する。
(1)澱粉濃度が3%のゾルの10℃におけるゾル粘度が10~200mPa・s
(2)((GS/150)×100)で定義されるゲル強度残存率が15~80%
(GSは、0.25%の寒天Xと1.5%の澱粉とを含有する寒天・澱粉溶液のゲル化物の20℃におけるゲル強度であり、寒天Xは、0.25%の濃度でゲルを調製した際、20℃におけるゲル強度が150g/cm2の寒天である。)
これらの高機能性澱粉は、それ自体を単独で、あるいは他の成分と組み合わせて用いて、本発明の物性改良剤とすることができる。
上記表1に示されるように、同一の由来原料であっても、処理方法によっては上記(1)、(2)を備えた高機能性澱粉が得られない。一方、異なる由来原料でも処理方法によっては、上記(1)、(2)を備えた高機能性澱粉が得られている。また、未化工の食品澱粉に限らず加工澱粉も、所定の処理を施した場合には、上記(1)、(2)を備えた高機能性澱粉が得られている(澱粉36~40、49~51)。食品澱粉に酸処理を施した場合(澱粉60,61)、酵素処理を施した場合(澱粉69,70)、酢酸基を導入・付加した場合(澱粉71)にも、上記(1)、(2)を備えた高機能性澱粉が得られている。
由来原料の種類に応じて、適切な処理方法が存在することが推測される。未加工澱粉および加工澱粉のいずれであっても、由来原料に応じた適切な処理を施すことによって、上記(1)(2)を備えた高機能性澱粉とすることができる。
なお、酸化澱粉(澱粉41)は、3%ゾル粘度が10mPa・s未満であり、温熱処理澱粉(澱粉42)は、ゲル強度残存率が15%未満である。これらは、いずれも本発明における高機能性澱粉には該当しない。澱粉17,43,48に示されるように、従来用いられている澱粉は、3%ゾル粘度が290mPa・s以上であり、本発明における高機能性澱粉には該当しない。
<ゲル状食品の製造、評価>
上述の澱粉を物性改良剤として添加して種々のゲル状食品を製造し、得られたゲル状食品の物性を評価した。ゲル状食品の製造に用いる資材は、以下のとおりである。
寒天1:伊那寒天カリコリカン(伊那食品工業)
寒天2:伊那寒天柔S(伊那食品工業)
寒天3:伊那寒天M-7(伊那食品工業)
寒天4:伊那寒天UX-200(伊那食品工業)
ゼラチン1:イナゲルA-81P(伊那食品工業)
ゼラチン2:イナゲルN-150(伊那食品工業)
ゼラチン3:イナゲルA-91(伊那食品工業)
カラギナン:イナゲルE-150(伊那食品工業)
ローカストビーンガム:イナゲルL-85(伊那食品工業)
こんにゃく粉:イナゲルマンナン100A(伊那食品工業)
キサンタンガム:イナゲルV-10(伊那食品工業)
ジェランガム:イナゲルGP-10(伊那食品工業)
ペクチン:イナゲルJM-10(伊那食品工業)
アルギン酸ナトリウム:イナゲルGS-80(伊那食品工業)
比較のために、従来用いられている以下の物性改良剤を用意した。
デキストリン:マックス1000(松谷化学工業)
トレハロース:トレハ(林原)
製造直後のゲル状食品の食感を調べ、物性改良剤が未添加のゲル状食品本来の食感と比較して評価した。
<食感>
10名のパネラーで官能評価を行った。以下の基準で評価し、最も多いものを評価結果として記載した。
◎:ゲル状食品本来の食感を完全に維持し、非常に滑らか
○:◎には劣るがゲル状食品本来の食感を維持し、滑らか
△:ゲル状食品本来の食感が失われ、糊状感がある
×:ゲル状食品本来の食感が完全に失われ、強い糊状感がある
製造後、冷凍解凍工程を経たゲル状食品について、食感および離水を評価した。ゲル状食品は、-20℃で1か月間冷凍保存し、その後、4℃で12時間解凍した。冷凍保存する際には、アルミ蒸着性の包材によりゲル状食品の乾燥を防止した。
<冷凍解凍後の食感>
10名のパネラーで官能評価を行った。冷凍前のゲル状食品の食感と比較して以下の基準で評価し、最も多いものを評価結果として記載した。
◎:冷凍前の食感を完全に維持し、非常に滑らか
○:◎には劣るが冷凍前の食感を維持し、滑らか
△:冷凍前の食感が失われ、ややざらつきがある
×:冷凍前の食感が完全に失われ、ざらつきがある
<冷凍解凍後の離水>
10名のパネラーで目視により離水の状態を観察して、官能評価を行った。以下の基準で評価し、最も多いものを評価結果として記載した。
◎:離水が全くない
○:◎には劣るが離水があまりない
△:離水が生じている
×:離水が多く生じている
また、ゲル状食品は、製造後冷凍保存せずに4℃にて7日間保存し、表面の離水について評価した。殺菌処理を行ったゲル状食品については、常温にて3か月間保存し、次の項目について評価した。
<表面の離水>
10名のパネラーで目視により表面の離水の状態を観察して、官能評価を行った。以下の基準で評価し、最も多いものを評価結果として記載した。
◎:離水が全くない
○:◎には劣るが離水があまりない
△:離水が生じている
×:離水が多く生じている
さらに、ゲル状食品は、製造後4℃にて15時間ゲル化させたのち、2cm角のサイコロ状に切り出して50gずつカップに充填し、4℃で7日間保存して切断面の離水について評価した。
<切断面の離水>
10名のパネラーで、切断面の離水を目視により観察して官能評価を行った。以下の基準で評価し、最も多いものを評価結果として記載した。製品が乾燥しないように、アルミ蒸着性のヒートシールを施して保存した。
◎:離水が全くない
〇:◎には劣るが離水があまりない
△:離水が生じている
×:離水が多く生じている
上記5つの評価のうち、“△”または“×”が1つでもあった場合にはNGとする。言い換えると、5つの評価のうち、“△”または“×”が1つもないゲル状食品が、本発明のゲル状食品に相当する。
<実験例1:カスタードプリン>
下記表3に示した配合にて、カスタードプリンを調製した(作製量500g)。物性改良剤としては、下記表4に示した各種澱粉等を用いた。具体的には、水に寒天1、グラニュー糖、水あめ、牛乳、生クリーム、溶いた卵黄、および物性改良剤を加え、1分間撹拌した。これを85℃で5分間加熱後、カップに充填した。さらに、4℃で15時間冷却してゲル化させることで、カスタードプリンを製造した。
得られたカスタードプリンについて、上述した評価を行い、その結果を下記表4にまとめる。
Figure 2023057568000003
Figure 2023057568000004
澱粉3~7,11~15のいずれかを、物性改良剤として加えたカスタードプリンは、5つの評価中に、“△”も“×”もない。澱粉3~7,11~15は、所定の物性を備えた高機能性澱粉であるので、これらを物性改良剤として添加することによって、ゲル状食品の本来の食感を損なうことなくゲル状食品の物性改良、特に冷凍保存によるゲル状食品の組織の変性や、ゲル状食品の表面から経時的に生じる離水、ゲル状食品の切断面から生じる離水の抑制に優れた効果があることが示された。
デキストリンやトレハロールといった従来の物性改良剤を添加した場合でも、ゲル状食品本来の食感を維持することは可能であった。しかしながら、それ以外の効果は得られておらず、無添加の場合と同等であることが確認された。
<実験例2:水羊羹>
下記表5に示した配合にて、水羊羹を製造した(作製量500g)。物性改良剤としては、下記表6に示した各種澱粉等を用いた。具体的には、水に寒天2、および物性改良剤を加えて沸騰させた後、3分間加熱した。その後、グラニュー糖を混合し再沸騰させたのち、並餡を加え混合した。カップに充填し、4℃で15時間冷却してゲル化させて水羊羹を製造した。
得られた水羊羹について上述した評価を行い、その結果を下記表6にまとめる。
Figure 2023057568000005
Figure 2023057568000006
澱粉4~6,12~14,18~21,24~26,29~31,33~35のいずれかを物性改良剤として加えた水羊羹は、5つの評価中に“△”も“×”もない。これらのほとんどは、5つの評価がすべて“◎”である。澱粉4~6,12~14,18~21,24~26,29~31,33~35は、由来原料が異なるものの、いずれも所定の物性を備えた高機能性澱粉である。
高機能性澱粉であれば、由来原料の種類によらず、ゲル状食品の本来の食感を損なうことなくゲル状食品の物性改良、特に冷凍保存によるゲル状食品の組織の変性や、ゲル状食品の表面から経時的に生じる離水、ゲル状食品の切断面から生じる離水の抑制に優れた効果があることが示された。
<実験例3:みつ豆>
表7に示した配合にて、みつ豆を製造した(作製量500g)。物性改良剤としては、下記表8に示した各種澱粉を用いた。具体的には、水にグラニュー糖と寒天3、物性改良剤を加えて沸騰させた後、3分間加熱して溶解液を得た。溶解液を流し船に充填し、4℃で15時間冷却しゲル化させて、みつ豆を得た。これを2cm角にカットして上述した評価を行い、その結果を下記表8にまとめる。
Figure 2023057568000007
Figure 2023057568000008
澱粉12~14,36~40のいずれかを物性改良剤として加えたみつ豆は、5つの評価がすべて“◎”である。澱粉12~14、36~40は、同じ由来原料から製造される澱粉であり、食品澱粉と加工澱粉の違いはあるものの、いずれも所定の物性を備えた高機能性澱粉である。
高機能性澱粉であれば、由来原料が加工澱粉であっても、ゲル状食品の本来の食感を損なうことなくゲル状食品の物性改良、特に冷凍保存によるゲル状食品の組織の変性や、ゲル状食品の表面から経時的に生じる離水、ゲル状食品の切断面から生じる離水の抑制に優れた効果があることが示された。
<実験例4:チョコレートブリュレ>
表9に示した配合にて、チョコレートブリュレを製造した(作製量500g)。物性改良剤としては、澱粉5または澱粉3を用いた。具体的には、水に牛乳、生クリーム、グラニュー糖、寒天4、物性改良剤を加え、沸騰後3分間加熱した。その後、溶いた卵黄と湯煎して溶かしたチョコレートを混合した。カップに充填し、4℃で15時間冷却しゲル化させて、チョコレートブリュレを製造した。得られたチョコレートブリュレについて、上述した評価を行い、その結果を下記表10にまとめる。
Figure 2023057568000009
Figure 2023057568000010
物性改良剤として、0.1~5質量%の澱粉5または13を加えたチョコレートブリュレは、5つの評価中に“△”も“×”もない。これらのほとんどは、5つの評価がすべて“◎”である。澱粉5および13は、いずれも所定の物性を備えた高機能性澱粉である。0.1~5質量%の高機能性澱粉を物性改良剤として添加することによって、ゲル状食品の本来の食感を損なうことなくゲル状食品の物性改良、特に冷凍保存によるゲル状食品の組織の変性や、ゲル状食品の表面から経時的に生じる離水、ゲル状食品の切断面から生じる離水の抑制に優れた効果があることが示された。
<実験例5:いちごのパンナコッタ>
表11に示した配合にて、いちごのパンナコッタを製造した(作製量500g)。物性改良剤としては、下記表12に示した各種澱粉等を用いた。具体的には、水に牛乳、ゼラチン1、物性改良剤を加え、品温が85℃になるまで加熱した。その後、溶いた卵黄、いちごピューレ、クエン酸を混合した。カップに充填し、4℃で15時間冷却しゲル化させて、いちごのパンナコッタを製造した。得られたパンナコッタについて、上述の評価を行い、その結果を下記表12にまとめる。
Figure 2023057568000011
Figure 2023057568000012
澱粉3~7,11~15のいずれかを物性改良剤として加えたいちごのパンナコッタは、5つの評価中に“△”も“×”もない。これらのほとんどは、5つの評価がすべて“◎”である。澱粉3~7,11~15は、所定の物性を備えた高機能性澱粉であるので、これらを物性改良剤として添加することによって、ゲル状食品の本来の食感を損なうことなくゲル状食品の物性改良、特に冷凍保存によるゲル状食品の組織の変性や、ゲル状食品の表面から経時的に生じる離水、ゲル状食品の切断面から生じる離水の抑制に優れた効果があることが示された。
<実験例6:蒸しプリン>
表13に示した配合にて、蒸しプリンを製造した(作製量500g)。物性改良剤としては、下記表14に示した各種澱粉を用いた。具体的には、水に牛乳、ゼラチン2、グラニュー糖、物性改良剤を加え、品温が85℃になるまで加熱した。その後、溶いた卵黄を混合し、バニラエッセンスを加えた後、カップに充填した。蒸しあげ温度が90℃となるようにスチームコンベクションオーブンで20分間加熱した後、4℃で15時間冷却して蒸しプリンを製造した。得られた蒸しプリンについて、上述の評価を行い、その結果を下記表14にまとめる。
Figure 2023057568000013
Figure 2023057568000014
澱粉4~6,12~14,18~21,24~26,29~31,33~35のいずれかを物性改良剤として加えた蒸しプリンは、5つの評価中に“△”も“×”もない。これらのほとんどは、5つの評価がすべて“◎”である。澱粉4~6,12~14,18~21,24~26,29~31,33~35は、由来原料が異なるものの、いずれも所定の物性を備えた高機能性澱粉である。
高機能性澱粉であれば、由来原料の種類によらず、ゲル状食品の本来の食感を損なうことなくゲル状食品の物性改良、特に冷凍保存によるゲル状食品の組織の変性や、ゲル状食品の表面から経時的に生じる離水、ゲル状食品の切断面から生じる離水の抑制に優れた効果があることが示された。
<実験例7:ヨーグルト(後発酵)>
表15に示した配合にてヨーグルトを製造した(作製量500g)。物性改良剤としては、下記表16に示した各種澱粉を用いた。具体的には、水にゼラチン3、牛乳、脱脂粉乳、グラニュー糖、物性改良剤を加え、品温が85℃になるまで加熱した。その後、品温が30℃になるまで冷却し、スタードヨーグルトを混合した。カップに充填し、40℃で8時間発酵させた後、4℃で15時間冷却してヨーグルトを製造した。得られたヨーグルトについて上述の評価を行い、その結果を下記表16にまとめる。
Figure 2023057568000015
Figure 2023057568000016
澱粉12~14,36~40のいずれかを物性改良剤として加えたヨーグルトは、5つの評価がすべて“◎”である。澱粉12~14、36~40は、同じ由来原料から製造される澱粉であり、食品澱粉と加工澱粉の違いはあるものの、いずれも所定の物性を備えた高機能性澱粉である。
高機能性澱粉であれば、由来原料が加工澱粉であっても、ゲル状食品の本来の食感を損なうことなくゲル状食品の物性改良、特に冷凍保存によるゲル状食品の組織の変性や、ゲル状食品の表面から経時的に生じる離水、ゲル状食品の切断面から生じる離水の抑制に優れた効果があることが示された。
<実験例8:ヨーグルト(前発酵)>
表17に示した配合にて、ヨーグルトを製造した(作製量500g)。物性改良剤としては、澱粉5または澱粉13を用いた。具体的には、一部の水に牛乳、脱脂粉乳、スタードヨーグルトを混合し、40℃で8時間発酵させた。残りの水にゼラチン3、物性改良剤を加え、品温が85℃になるまで加熱し、30℃まで冷却した後、取得した発酵乳に混合した。その後、カップに充填し、4℃で15時間冷却しゲル化させてヨーグルトを製造した。得られたヨーグルトについて上述の評価を行い、その結果を下記表18にまとめる。
Figure 2023057568000017
Figure 2023057568000018
物性改良剤として、0.1~5質量%の澱粉5または13を加えたヨーグルトは、5つの評価中に“△”も“×”もない。これらのほとんどは、5つの評価がすべて“◎”である。澱粉5および13は、いずれも所定の物性を備えた高機能性澱粉である。0.1~5質量%の高機能性澱粉を物性改良剤として添加することによって、ゲル状食品の本来の食感を損なうことなくゲル状食品の物性改良、特に冷凍保存によるゲル状食品の組織の変性や、ゲル状食品の表面から経時的に生じる離水、ゲル状食品の切断面から生じる離水の抑制に優れた効果があることが示された。
<実験例9:茶わん蒸し>
表19に示した配合にて、茶わん蒸しを製造した(作製量500g)。物性改良剤としては、下記表19に示した各種澱粉を用いた。具体的には、水に溶いた全卵、酒、みりん、食塩、薄口しょうゆ、粉末出汁、物性改良剤を加え、蒸しあげ温度が90℃となるようにスチームコンベクションオーブンで20分間加熱した。その後、4℃で15時間冷却して茶わん蒸しを製造した。得られた茶わん蒸しについて上述の評価を行い、その結果を下記表は表20にまとめる。
Figure 2023057568000019
Figure 2023057568000020
澱粉4~6,12~14,18~21,24~26,29~31,33~35のいずれかを物性改良剤として加えた茶わん蒸しは、5つの評価中に“△”も“×”もない。これらのほとんどは、5つの評価がすべて“◎”である。澱粉4~6,12~14,18~21,24~26,29~31,33~35は、由来原料が異なるものの、いずれも所定の物性を備えた高機能性澱粉である。
高機能性澱粉であれば、由来原料の種類によらず、ゲル状食品の本来の食感を損なうことなくゲル状食品の物性改良、特に冷凍保存によるゲル状食品の組織の変性や、ゲル状食品の表面から経時的に生じる離水、ゲル状食品の切断面から生じる離水の抑制に優れた効果があることが示された。
<実験例10:フルーツゼリー>
表21に示した配合にてフルーツゼリーを製造した(作製量500g)。物性改良剤としては、下記表22に示した各種澱粉を用いた。具体的には、水にローカストビーンガム、カラギナン、グラニュー糖、物性改良剤を加え、品温が85℃になるまで加熱した後、果糖ぶどう糖液糖、5倍濃縮赤ブドウ果汁、結晶クエン酸、クエン酸三ナトリウムを加え、ゼリーカップに満杯に充填し、トップシールをした。85℃で30分間ボイル殺菌した後、水冷し、4℃で15時間冷却してフルーツゼリーを製造した。得られたフルーツゼリーについて上述の評価を行い、その結果を下記22にまとめる。
Figure 2023057568000021
Figure 2023057568000022
澱粉4~6,12~14,18~21,24~26,29~31,33~35のいずれかを物性改良剤として加えたフルーツゼリーは、5つの評価中に“△”も“×”もない。これらのほとんどは、5つの評価がすべて“◎”である。澱粉4~6,12~14,18~21,24~26,29~31,33~35は、由来原料が異なるものの、いずれも所定の物性を備えた高機能性澱粉である。
高機能性澱粉であれば、由来原料の種類によらず、ゲル状食品の本来の食感を損なうことなくゲル状食品の物性改良、特に冷凍保存によるゲル状食品の組織の変性や、ゲル状食品の表面から経時的に生じる離水、ゲル状食品の切断面から生じる離水の抑制に優れた効果があることが示された。
<実験例11:こんにゃく食感ゼリー>
表23に示した配合にて、こんにゃく食感ゼリーを製造した(作製量500g)。物性改良剤としては、下記表24に示した各種澱粉を用いた。具体的には、水にキサンタンガム、グルコマンナン、グラニュー糖、表22に示した物性改良剤を加え、品温が85℃になるまで加熱した後、果糖ぶどう糖液糖、5倍濃縮赤ブドウ果汁、結晶クエン酸、クエン酸三ナトリウムを加え、ゼリーカップに満杯に充填し、トップシールをした。85℃で30分間ボイル殺菌した後、水冷し、4℃で15時間冷却して、こんにゃく食感ゼリーを製造した。得られたこんにゃく食感ゼリーについて上述の評価を行い、その結果を下記表24にまとめる。
Figure 2023057568000023
Figure 2023057568000024
澱粉4~6,12~14,18~21,24~26,29~31,33~35のいずれかを物性改良剤として加えたこんにゃく食感ゼリーは、5つの評価中に“△”も“×”もない。これらのほとんどは、5つの評価がすべて“◎”である。澱粉4~6,12~14,18~21,24~26,29~31,33~35は、由来原料が異なるものの、いずれも所定の物性を備えた高機能性澱粉である。
高機能性澱粉であれば、由来原料の種類によらず、ゲル状食品の本来の食感を損なうことなくゲル状食品の物性改良、特に冷凍保存によるゲル状食品の組織の変性や、ゲル状食品の表面から経時的に生じる離水、ゲル状食品の切断面から生じる離水の抑制に優れた効果があることが示された。
<実験例12:レモンゼリー>
表25に示した配合にて、レモンゼリーを製造した(作製量500g)。物性改良剤としては、下記表26に示した各種澱粉を用いた。具体的には、水に脱アシル型ジェランガム、グラニュー糖、物性改良剤を加え、沸騰後3分間加熱した後、果糖ぶどう糖液糖、6倍濃縮レモン果汁、結晶クエン酸、クエン酸三ナトリウム、乳酸カルシウムを加え、ゼリーカップに満杯に充填し、トップシールをした。85℃で30分間ボイル殺菌した後、水冷し、4℃で15時間冷却してレモンゼリーを製造した。得られたレモンゼリーについて上述の評価を行い、その結果を下記表26にまとめる。
Figure 2023057568000025
Figure 2023057568000026
澱粉4~6,12~14,18~21,24~26,29~31,33~35のいずれかを物性改良剤として加えたレモンゼリーは、5つの評価中に“△”も“×”もない。これらのほとんどは、5つの評価がすべて“◎”である。澱粉4~6,12~14,18~21,24~26,29~31,33~35は、由来原料が異なるものの、いずれも所定の物性を備えた高機能性澱粉である。
高機能性澱粉であれば、由来原料の種類によらず、ゲル状食品の本来の食感を損なうことなくゲル状食品の物性改良、特に冷凍保存によるゲル状食品の組織の変性や、ゲル状食品の表面から経時的に生じる離水、ゲル状食品の切断面から生じる離水の抑制に優れた効果があることが示された。
<実験例13:低糖度いちごジャム>
表27に示した配合にて、低糖度いちごジャムを製造した(作製量500g)。物性改良剤としては、下記表28に示した各種澱粉を用いた。具体的には、水にペクチン、グラニュー糖、いちご果肉、結晶クエン酸、物性改良剤を加え、沸騰後3分間加熱した後、糖度が45度になるまで練り上げた。その後、4℃で15時間冷却して低糖度いちごジャムを製造した。得られた低糖度いちごジャムについて上述の評価を行い、その結果を下記表28にまとめる。
Figure 2023057568000027
Figure 2023057568000028
澱粉4~6,12~14,18~21,24~26,29~31,33~35のいずれかを物性改良剤として加えた低糖度いちごジャムは、5つの評価中に“△”も“×”もない。これらのほとんどは、5つの評価がすべて“◎”である。澱粉4~6,12~14,18~21,24~26,29~31,33~35は、由来原料が異なるものの、いずれも所定の物性を備えた高機能性澱粉である。
高機能性澱粉であれば、由来原料の種類によらず、ゲル状食品の本来の食感を損なうことなくゲル状食品の物性改良、特に冷凍保存によるゲル状食品の組織の変性や、ゲル状食品の表面から経時的に生じる離水、ゲル状食品の切断面から生じる離水の抑制に優れた効果があることが示された。
<実験例14:豆腐>
表29に示した配合にて豆腐を製造した(作製量500g)。物性改良剤としては、下記表30に示した各種澱粉を用いた。具体的には、水に無調整豆乳および物性改良剤を加えて、75℃まで加熱して、にがりを添加した。これを、さらに75℃で15分間加熱した後、さらしを通して濾過し、おぼろ豆腐を得た。おぼろ豆腐を縦30cm×横20cm×高さ15cmの型に摺り切りになるように充填し、500gの重りで30分間プレス脱水して木綿豆腐を得た。木綿豆腐は4℃で15時間冷却して豆腐を製造した。得られた豆腐について上述の評価を行い、その結果を下記表30にまとめる。
Figure 2023057568000029
Figure 2023057568000030
澱粉4~6,12~14,18~21,24~26,29~31,33~35のいずれかを物性改良剤として加えた豆腐は、5つの評価中に“△”も“×”もない。これらのほとんどは、5つの評価がすべて“◎”である。澱粉4~6,12~14,18~21,24~26,29~31,33~35は、由来原料が異なるものの、いずれも所定の物性を備えた高機能性澱粉である。
高機能性澱粉であれば、由来原料の種類によらず、ゲル状食品の本来の食感を損なうことなくゲル状食品の物性改良、特に冷凍保存によるゲル状食品の組織の変性や、ゲル状食品の表面から経時的に生じる離水、ゲル状食品の切断面から生じる離水の抑制に優れた効果があることが示された。
<実験例15:葛切り>
表31に示した配合にて葛切りを製造した(作製量500g)。物性改良剤としては、下記表32に示した各種澱粉を用いた。具体的には、水に葛粉および物性改良剤を加えた後、75℃まで加熱した。これを流し船に流してから、さらに蒸し器で15分間加熱した。加熱後、4℃で15時間冷却し、3mm幅にカットして葛切りを製造した。得られた葛切りについて上述の評価を行い、その結果を下記表32にまとめる。
Figure 2023057568000031
Figure 2023057568000032
澱粉4~6,12~14,18~21,24~26,29~31,33~35のいずれかを物性改良剤として加えた葛切りは、5つの評価中に“△”も“×”もない。これらのほとんどは、5つの評価がすべて“◎”である。澱粉4~6,12~14,18~21,24~26,29~31,33~35は、由来原料が異なるものの、いずれも所定の物性を備えた高機能性澱粉である。
高機能性澱粉であれば、由来原料の種類によらず、ゲル状食品の本来の食感を損なうことなくゲル状食品の物性改良、特に冷凍保存によるゲル状食品の組織の変性や、ゲル状食品の表面から経時的に生じる離水、ゲル状食品の切断面から生じる離水の抑制に優れた効果があることが示された。
<実験例16:わらび餅>
表33に示した配合にて葛切りを製造した(作製量500g)。物性改良剤としては、下記表34に示した各種澱粉を用いた。具体的には、水に本わらび粉、グラニュー糖、および物性改良剤を加えた後、75℃まで加熱した。これを流し船に流してから、さらに蒸し器で15分間加熱した。加熱後、4℃で15時間冷却し、2cm角にカットしてわらび餅を製造した。得られたわらび餅について上述の評価を行い、その結果を下記表34にまとめる。
Figure 2023057568000033
Figure 2023057568000034
澱粉4~6,12~14,18~21,24~26,29~31,33~35のいずれかを物性改良剤として加えたわらび餅は、5つの評価中に“△”も“×”もない。これらのほとんどは、5つの評価がすべて“◎”である。澱粉4~6,12~14,18~21,24~26,29~31,33~35は、由来原料が異なるものの、いずれも所定の物性を備えた高機能性澱粉である。
高機能性澱粉であれば、由来原料の種類によらず、ゲル状食品の本来の食感を損なうことなくゲル状食品の物性改良、特に冷凍保存によるゲル状食品の組織の変性や、ゲル状食品の表面から経時的に生じる離水、ゲル状食品の切断面から生じる離水の抑制に優れた効果があることが示された。
<実験例17:だし巻き卵>
表35に示した配合にて冷凍だし巻き卵を製造した(作製量500g)。物性改良剤としては、下記表36に示す各種澱粉を用いた。具体的には、水に全卵、液体調味料、砂糖、馬鈴薯澱粉、および物性改良剤を加えて混合した後、表面温度を160℃に維持したフライパンで焼成して、だし巻き卵を製造した。評価する直前に電子レンジで再加熱し、上述の評価を行い、その結果を下記表36にまとめる。
Figure 2023057568000035
Figure 2023057568000036
ここで用いた澱粉43~47は、いずれも馬鈴薯澱粉に由来するものである。澱粉44~46は、所定の物性を備えた高機能性澱粉であるので、澱粉44、45または46を物性改良剤として加えて製造されただし巻き卵は、5つの評価がすべて“◎”である。
澱粉43は、粉砕処理のみが施されたもので、特許文献1(特許第4212808号)に記載されているものに相当し、澱粉47は、過度に粉砕されたものである。これらは所定の物性を備えていないので、本発明のゲル状食品(だし巻き卵)を製造することができない。
<実験例18:茶わん蒸し>
表37に示した配合にて茶わん蒸しを製造した(作製量500g)。物性改良剤としては、下記表38に示した各種澱粉を用いた。具体的には、水にかつおエキス調味料(商品名 ぴかいち、富士食品工業)、還元水飴(商品名 SE-30、物産フードサイエンス)、全卵、キサンタンガム(商品名 ビストップD-3000、三栄源エフ・エフ・アイ)、および物性改良剤を加え混合した後、70gずつ容器に充填した。蒸しあげ温度が90℃となるように、スチームコンベクションオーブンで20分間加熱して、茶わん蒸しを製造した。その後、4℃で15時間冷却して上述の評価を行った。得られた結果を、下記表38にまとめる。
Figure 2023057568000037
Figure 2023057568000038

ここで用いた澱粉48~52は、いずれもタピオカに由来するものである。澱粉49~51、所定の物性を備えた高機能性澱粉であるので、澱粉49,50または51を物性改良剤として用いて製造された茶わん蒸しは、5つの評価がすべて“◎”である。
澱粉48は、特許文献2(特開2012-235737号公報)で用いられているものであり、澱粉52は、過度に粉砕されたものである。これらは所定の物性を備えていないので、本発明のゲル状食品(茶わん蒸し)を製造することができない。
<実験例19:だし巻き卵>
表39に示した配合にてだし巻き卵を製造した(作製量500g)。物性改良剤としては、下記表40に示した各種澱粉を用いた。具体的には、水に粉末出汁、全卵、および物性改良剤を加え混合した後、表面温度が160℃になるように熱した玉子焼き機で焼成し、だし巻き卵を製造した。これを室温で15時間放冷し、上述の評価を行った。得られた結果を、下記表40にまとめる。
Figure 2023057568000039
Figure 2023057568000040
ここで用いた澱粉17,19~22は、いずれももち米に由来するものである。澱粉19~21は、所定の物性を備えた高機能性澱粉であるので、澱粉19,20または21を物性改良剤として用いて製造されただし巻き卵は、5つの評価がすべて“◎”である。
澱粉17は、特許文献3(特許第6687559号)で用いられているものであり、澱粉22は、過度に粉砕されたものである。これらは所定の物性を備えていないので、本発明のゲル状食品(だし巻き卵)を製造することができない。
<実験例20:ミルクプリン>
表41に示した配合にてミルクプリンを製造した(作製量500g)。物性改良剤としては、下記表42に示した各種澱粉を用いた。具体的には、水に牛乳、グラニュー糖、ゼラチン1、および物性改良剤を加え混合した後、品温が85℃になるまで加熱した。これをカップに充填し、4℃で15時間冷却しゲル化させて、ミルクプリンを製造した。製造したミルクプリンについて、上述の評価を行った。得られた結果を、下記表42にまとめる。
Figure 2023057568000041
Figure 2023057568000042
ここで用いた澱粉5,6,53~61は、いずれもうるち米に由来するものであり、澱粉62~70は、いずれもワキシーコーンに由来するものである。これらの澱粉は製造方法が異なるものの、所定の物性を備えた高機能性澱粉であるので、澱粉5,6,53~70を物性改良剤として用いて製造されたミルクプリンは、5つの評価がすべて“◎”である。
本発明によれば、ゲル状食品の本来の食感を損なわずにゲル状食品の物性を改良して、本来の食感と改良された物性とを備えたゲル状食品を製造することが可能である。

Claims (9)

  1. ゲル状食品の物性を改良する物性改良剤であって、下記(1)および(2)の条件を満たす澱粉からなる高機能性澱粉を有効成分として含有することを特徴とするゲル状食品用物性改良剤。
    (1)澱粉濃度が3%のゾルの10℃におけるゾル粘度が10~200mPa・s
    (2)((GS/150)×100)で定義されるゲル強度残存率が15~80%
    (GSは、0.25%の寒天Xと1.5%の澱粉とを含有する寒天・澱粉溶液のゲル化物の20℃におけるゲル強度であり、寒天Xは、0.25%の濃度でゲルを調製した際、20℃におけるゲル強度が150g/cm2の寒天である。)
  2. 前記ゲル状食品の物性は、冷凍解凍後の食感、冷凍解凍後の離水、表面からの離水、および切断面からの離水から選択される請求項1記載のゲル状食品用物性改良剤。
  3. 前記ゲル状食品は、寒天、ゼラチン、卵白、卵黄、およびホエイタンパク質から選択される1以上のゲル化剤を含有する請求項1または2記載のゲル状食品用物性改良剤。
  4. 前記高機能性澱粉は、うるち米、ワキシーコーンまたはタピオカに由来し、下記(1a)および(2a)の条件を満たす澱粉からなることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載のゲル状食品用物性改良剤。
    (1a)前記ゾル粘度が20~150mPa・s
    (2a)前記ゲル強度残存率が15~60%
  5. 前記高機能性澱粉はもち米に由来し、下記(1b)および(2b)の条件を満たす澱粉からなることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載のゲル状食品用物性改良剤。
    (1b)前記ゾル粘度が10~100mPa・s
    (2b)前記ゲル強度残存率が20~70%
  6. 請求項1~5のいずれかに記載のゲル状食品用物性改良剤を用いたゲル状食品の物性改良方法であって、前記高機能性澱粉が前記ゲル状食品の0.1~5.0質量%となるように、前記ゲル状食品用物性改良剤を加えることを特徴とするゲル状食品の物性改良方法。
  7. ゲル化剤と請求項1、4、または5記載のゲル状食品用物性改良剤とを含有するゲル状食品であって、前記高機能性澱粉の含有量は前記ゲル状食品の0.1~5.0質量%であることを特徴とするゲル状食品。
  8. 前記ゲル状食品の物性は、冷凍解凍後の食感、冷凍解凍後の離水、表面からの離水、および切断面からの離水から選択される請求項7記載のゲル状食品。
  9. 前記ゲル化剤は、ゼラチン、寒天、卵白、卵黄、およびホエイタンパク質から選択される1以上であることを特徴とする請求項7または8記載のゲル状食品。

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