JP2017079672A - 曳糸性を有するデザート食品 - Google Patents
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Abstract
【課題】口溶け性を備えつつ曳糸性(伸展性)を有し、曳糸性(伸展性)を有しつつもスプーンで容易に掬うことができ、好ましくは、喫食時のスプーン等の撹拌により、その曳糸性(伸展性)がより増加しうる新規な物性を有するデザート食品の提供。【解決手段】酵素処理澱粉を含むデザート食品であって、前記酵素処理澱粉は、化学修飾及び/又は物理処理した後の澱粉粒を酵素処理したもの及び/又は酵素処理後の澱粉粒を化学修飾及び/又は物理処理したものであり、酵素処理澱粉の添加量は、デザート食品全体の1〜10質量%、好ましくは1〜8質量%である、デザート食品。【選択図】なし
Description
本発明は、曳糸性を有するデザート食品に関する。
消費者の食品へのニーズも多様化し、従来に無い新たな食感を求められるようになり、最近では、例えば、もち様食感を謳ったパンや製菓、冷菓などが市販されている。
更には、もち様食感を謳った新たな食品形態への消費者嗜好の強まりの中、例えば、もち様食感プリンとして、餅の中にプリンを包含した形態のものや米粉を配合した形態のものや、あるいは、澱粉、加工澱粉や増粘多糖類を用いてプリンそのものにもち様食感を付与するといった研究がなされており、例えば、タピオカ澱粉、タピオカ由来の加工澱粉等を用いた実施例が提案されている(特許文献1,2)。
また、古来よりトルコで親しまれているアイスクリームに、もち様食感を有しつつ糸引き性(曳糸性)を有し伸びる不思議な食感の、「ドンドルマ」という植物根を配合した冷菓があるが、この様な特殊な食感を付与するため、タピオカ由来の加工澱粉と増粘多糖類を併用するといった実施例も提案されている(特許文献3)。
タピオカ澱粉、タピオカ由来の加工澱粉を用いた場合には、餅様の食感を付与することは可能であるが、わらび餅やグミキャンディーの様なグニュっとした弾力のある食感で、容易に噛み切ることができず、また、口中にへばりつく物性となるため非常に食べ難いといった問題が指摘されている。
特許文献1では、タピオカ由来の加工澱粉等をゲル状化材とし、食感的には弾力があってスライム性を持つ、新規な食感を有するデザート類が提案されているが、上記の問題については十分なものとは言えない。また、ゼリー状であるにもかかわらずスライム性であり、外的な力を加えても容易に崩壊しないことを特徴としていることからも、曳糸性(伸展性)の点でも十分なものとは言えない。
特許文献2、特許文献3についても、口中にへばりつく物性であり、口溶けの点でも十分なものとは言えない。また、特許文献3においては伸びる物性という点でも十分なものではない。
本発明は、口溶け性を備えつつ曳糸性(伸展性)を有し、曳糸性(伸展性)を有しつつもスプーンで容易に掬うことができ、好ましくは、喫食時のスプーン等の撹拌により、その曳糸性(伸展性)がより増加しうる新規な物性を有するデザート食品を提供することを目的とする。
本発明は、以下のデザート食品を提供するものである。
項1. 酵素処理澱粉を含むデザート食品であって、前記酵素処理澱粉は、澱粉粒を澱粉加水分解酵素又は糖転移酵素を用いて処理したものである、デザート食品。
項2. 酵素処理澱粉は、化学修飾及び/又は物理処理した後の澱粉粒を酵素処理したもの及び/又は酵素処理後の澱粉粒を化学修飾及び/又は物理処理したものである、項1に記載のデザート食品。
項3. 酵素処理澱粉が、エーテル化澱粉又はエーテル化リン酸架橋澱粉を加水分解酵素及び/又は糖転移酵素で酵素処理して得られた澱粉である、項1又は2に記載のデザート食品。
項4. 酵素処理澱粉の添加量は、デザート食品全体の1〜10質量%、好ましくは1〜8質量%である、項1〜3のいずれか1項に記載のデザート食品。
項5. カラギナンをさらに含む、項1〜4のいずれか1項に記載のデザート食品。
項6. カラギナンとともに、ローカストビーンガム及び/又はキサンタンガムを含む、項5に記載のデザート食品。
項7. さらにエーテル化澱粉及びエーテル化リン酸架橋澱粉からなる群から選ばれる非酵素処理澱粉を含み、非酵素処理澱粉は、酵素処理澱粉に対して10〜45質量%含む、項1〜6のいずれか1項に記載のデザート食品。
項8. 非酵素処理澱粉は、タピオカ又は小麦由来のエーテル化リン酸架橋澱粉である、項7に記載のデザート食品。
項9. 前記デザート食品が、プリン、ムース、杏仁豆腐、ババロア、パンナコッタ、ヨーグルト、ジャム、ゼリー、クリーム、フィリング、フラワーペースト、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、から選択されるいずれかである、項1〜8のいずれか1項に記載のデザート食品。
項1. 酵素処理澱粉を含むデザート食品であって、前記酵素処理澱粉は、澱粉粒を澱粉加水分解酵素又は糖転移酵素を用いて処理したものである、デザート食品。
項2. 酵素処理澱粉は、化学修飾及び/又は物理処理した後の澱粉粒を酵素処理したもの及び/又は酵素処理後の澱粉粒を化学修飾及び/又は物理処理したものである、項1に記載のデザート食品。
項3. 酵素処理澱粉が、エーテル化澱粉又はエーテル化リン酸架橋澱粉を加水分解酵素及び/又は糖転移酵素で酵素処理して得られた澱粉である、項1又は2に記載のデザート食品。
項4. 酵素処理澱粉の添加量は、デザート食品全体の1〜10質量%、好ましくは1〜8質量%である、項1〜3のいずれか1項に記載のデザート食品。
項5. カラギナンをさらに含む、項1〜4のいずれか1項に記載のデザート食品。
項6. カラギナンとともに、ローカストビーンガム及び/又はキサンタンガムを含む、項5に記載のデザート食品。
項7. さらにエーテル化澱粉及びエーテル化リン酸架橋澱粉からなる群から選ばれる非酵素処理澱粉を含み、非酵素処理澱粉は、酵素処理澱粉に対して10〜45質量%含む、項1〜6のいずれか1項に記載のデザート食品。
項8. 非酵素処理澱粉は、タピオカ又は小麦由来のエーテル化リン酸架橋澱粉である、項7に記載のデザート食品。
項9. 前記デザート食品が、プリン、ムース、杏仁豆腐、ババロア、パンナコッタ、ヨーグルト、ジャム、ゼリー、クリーム、フィリング、フラワーペースト、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、から選択されるいずれかである、項1〜8のいずれか1項に記載のデザート食品。
本発明により、口溶け性を備えつつ曳糸性(伸展性)を有するデザート食品を得ることができるようになった。
タピオカ澱粉、タピオカ由来の加工澱粉を用いた場合に特有の、わらび餅やグミキャンディーの様なグニュっとした弾力のある食感ではなく、曳糸性(伸展性)を有しつつもスプーンで容易に掬うこともでき、また、口中にへばりつくことなく非常に口溶けの良いデザート食品を得ることができるようになり、加えて、喫食時にスプーン等で撹拌することにより、その曳糸性(伸展性)がより増加し、トルコアイス様の新規な物性を有するデザート食品を得ることができるようになった。
本明細書において、デザート食品としては、プリン、ムース、杏仁豆腐、ババロア、パンナコッタ、ヨーグルト、ジャム、ゼリー、クリーム(カスタードクリーム、サワークリーム、チョコレートクリームなど)、フィリング、フラワーペースト、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスなどが挙げられる。
本発明のデザート食品は、曳糸性(伸展性)を有し、スプーンで容易に掬うことができる。
(1)酵素処理澱粉
本発明で使用される酵素処理澱粉は、澱粉粒を、澱粉加水分解酵素及び/又は糖転移酵素を用いて処理したものである。以下、本発明で使用される酵素処理澱粉について説明する。
本発明で使用される酵素処理澱粉は、澱粉粒を、澱粉加水分解酵素及び/又は糖転移酵素を用いて処理したものである。以下、本発明で使用される酵素処理澱粉について説明する。
(1.1 澱粉粒)
酵素処理澱粉の製造原料としては澱粉粒を使用する。本明細書中の「澱粉粒」とは、結晶状の澱粉分子をいう。酵素処理澱粉の原料となる澱粉粒は、未処理の澱粉粒であってもよく、未処理の澱粉粒を化学修飾及び/又は物理処理することによって得られる澱粉粒であってもよい。
酵素処理澱粉の製造原料としては澱粉粒を使用する。本明細書中の「澱粉粒」とは、結晶状の澱粉分子をいう。酵素処理澱粉の原料となる澱粉粒は、未処理の澱粉粒であってもよく、未処理の澱粉粒を化学修飾及び/又は物理処理することによって得られる澱粉粒であってもよい。
食品として分類される酵素処理澱粉を使用することが好ましい場合には、使用される澱粉粒は、植物から得られた未処理の澱粉粒である。植物は、アミロプラスト内に澱粉分子を顆粒として(すなわち大きな結晶として)貯蔵する。この顆粒は澱粉粒と呼ばれる。澱粉粒内では、澱粉分子同士が水素結合などによって結合している。そのため、澱粉粒はそのままでは水に溶けにくく、消化もされにくい。澱粉粒を水とともに加熱すると膨潤し、分子がほぐれてコロイド状になる。この変化は「糊化」と呼ばれる。
澱粉粒の大きさおよび形態は、その澱粉粒が得られた植物によって異なる。例えば、トウモロコシの澱粉粒(コーンスターチ)の平均粒径は約12μm〜約15μmであり、他の澱粉粒と比べて小さめで大きさは揃っている。コムギおよびオオムギの澱粉粒は、粒径約20μm〜約40μmの大型の澱粉粒と粒径数μmの小型の澱粉粒の2種の大きさに分かれる。コメではアミロプラスト内に直径数μmの角ばった澱粉小粒が多数蓄積される複粒構造となる。バレイショの澱粉粒は平均粒径約40μmであり、澱粉原料として一般に利用されているものの中では最も大きい。本発明においては、市販されている各種の澱粉粒を使用することが可能である。植物などから澱粉粒を精製するなどの方法により澱粉粒を調製して本発明に使用してもよい。
澱粉粒の状態では澱粉分子同士が強く結合しているため、酵素が作用しにくい。食品として扱われる酵素処理澱粉を得るための特定の実施形態では、本発明で使用される澱粉粒は、植物から単離または精製されているが、酸処理、化学修飾処理および熱処理を受けていないものである。
本明細書中の「未処理」の澱粉粒とは、天然で生成される澱粉粒であって、自然状態で共存している他の成分(例えば、タンパク質、脂質など)から澱粉粒を分離するために必要な処理以外の処理が施されていない澱粉粒を言う。
したがって、植物などから不純物を除去して澱粉を精製する工程などの、澱粉粒を調製する方法における各工程は、本明細書中においては、澱粉の処理には含まれない。未処理の澱粉粒としては、通常市販されている澱粉粒であればどのような澱粉粒でも使用され得る。
別の好ましい実施形態では、本発明で使用される澱粉粒は、未処理の澱粉粒に対して化学修飾及び/又は物理処理を行うことによって処理された澱粉粒であってもよい。
化学修飾された澱粉粒の例としては、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉、漂白澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉およびリン酸化モノエステル化リン酸架橋澱粉などが挙げられる。
「アセチル化アジピン酸架橋澱粉」とは、澱粉を無水酢酸および無水アジピン酸でエステル化して得られたものをいう。「アセチル化酸化澱粉」とは、澱粉を次亜塩素酸ナトリウムで処理した後、無水酢酸でエステル化して得られたものをいう。「アセチル化リン酸架橋澱粉」とは、澱粉をトリメタリン酸ナトリウムまたはオキシ塩化リンおよび無水酢酸または酢酸ビニルでエステル化して得られたものをいう。「オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム」とは、澱粉を無水オクテニルコハク酸でエステル化して得られたものをいう。「酢酸澱粉」とは、澱粉を無水酢酸または酢酸ビニルでエステル化して得られたものをいう。「酸化澱粉」とは、澱粉を次亜塩素酸ナトリウムで処理して得られたものであって、厚生労働省告示485号記載の純度試験法に準じて試料澱粉中のカルボキシ基(カルボキシル基ともいう)の分析を行った場合にカルボキシ基が1.1%以下であるものをいう。
ただし、カルボキシ基の量がこの範囲にあっても「漂白澱粉」は「酸化澱粉」の定義には含まれない。「漂白澱粉」とは、澱粉を次亜塩素酸ナトリウムで処理して得られたものであって、厚生労働省告示485号記載の純度試験法に準じて試料澱粉中のカルボキシ基の分析を行った場合にカルボキシ基が0.1%以下であるものであって、厚生労働省告示485号記載の酸化澱粉の「確認試験(3)」による試験結果が陰性でかつ粘度等の澱粉の性質に生じた変化が酸化によるものでないことを合理的に説明できるものをいう。
カルボキシ基の量が0.1%以下であっても粘度等の澱粉の性質が天然澱粉から変化しているものは酸化澱粉に分類され、日本では食品としては取り扱われず、食品添加物として取り扱われる。「ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉」とは、澱粉をトリメタリン酸ナトリウムまたはオキシ塩化リンでエステル化し、酸化プロピレンでエーテル化して得られたものをいう。「ヒドロキシプロピル澱粉」とは、澱粉を酸化プロピレンでエーテル化して得られたものをいう。「リン酸架橋澱粉」とは、澱粉をトリメタリン酸ナトリウムまたはオキシ塩化リンでエステル化して得られたものをいう。「リン酸化澱粉」とは、澱粉をオルトリン酸、そのカリウム塩もしくはナトリウム塩またはトリポリリン酸ナトリウムでエステル化して得られたものをいう。「リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉」とは、澱粉をオルトリン酸、そのカリウム塩もしくはナトリウム塩またはトリポリリン酸ナトリウムでエステル化し、トリメタリン酸ナトリウムまたはオキシ塩化リンでエステル化して得られたものをいう。
物理処理された澱粉粒の種類の例としては、湿熱処理澱粉や熱抑制処理澱粉、α化澱粉などが挙げられる。
本発明において使用される澱粉粒の種類(原料)は、特に制限されず、地上澱粉であっても地下澱粉であってもよい。地下澱粉の例としては、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、くず澱粉などが挙げられる。地上澱粉の例としては、小麦澱粉、コーンスターチ(例えば、ハイアミロースコーンスターチ、通常のコーンスターチおよびワキシーコーンスターチ)、米澱粉(例えば、もち米澱粉および粳米澱粉)、豆類澱粉(例えば、緑豆澱粉、エンドウ豆澱粉、小豆澱粉およびソラマメ澱粉)、アマランサス澱粉などが挙げられる。
(1.2 酵素)
本発明で酵素処理澱粉の製造に使用可能な酵素は、澱粉加水分解酵素及び/または糖転移酵素である。澱粉加水分解酵素は、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、プルラナーゼおよびα−グルコシダーゼに大別される。しかし、同じ酵素(たとえばα−アミラーゼ)に分類される酵素であっても、その生産菌が異なる場合、酵素の反応特異性や基質特異性などの特徴は異なると考えられている。
本発明で酵素処理澱粉の製造に使用可能な酵素は、澱粉加水分解酵素及び/または糖転移酵素である。澱粉加水分解酵素は、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、プルラナーゼおよびα−グルコシダーゼに大別される。しかし、同じ酵素(たとえばα−アミラーゼ)に分類される酵素であっても、その生産菌が異なる場合、酵素の反応特異性や基質特異性などの特徴は異なると考えられている。
これら澱粉加水分解酵素および糖転移酵素は、動物、微生物、植物に非常に広く分布しているので、澱粉加水分解酵素および糖転移酵素の種類は無限にあるといえる。
本発明の酵素処理澱粉の製造に使用可能な澱粉加水分解酵素は、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、および澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼからなる群より選択される澱粉加水分解酵素である。
本明細書中では、「澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼ」とは、下記に記載の判定方法で測定した場合に、酵素処理後の澱粉のヤング率または破断応力が、酵素処理前の澱粉のヤング率または破断応力よりも10%以上高いα−アミラーゼである。
本発明で使用される澱粉加水分解酵素は、好ましくはα−アミラーゼ、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、またはα−グルコシダーゼに分類される酵素である。β−アミラーゼまたはプルラナーゼに分類される酵素は好ましくない。アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼまたはα−グルコシダーゼに分類される酵素であれば、澱粉粒に作用させた場合に高粘度でかつゲル形成能を持つ酵素処理澱粉を生成できる。
しかしながら、α−アミラーゼに分類される酵素の場合、すべての酵素が好適に利用できるわけではなく、澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼを選択する必要があり、この活性を有さないα−アミラーゼを用いても、本発明の酵素処理澱粉を製造することはできない。
α−アミラーゼに分類される酵素が、澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼであるかどうかの判断は、以下の判定方法により判別することが出来る。
(1.2.1澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼの判定方法)
澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼは、以下の方法により判別することが出来る。
(1.2.1澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼの判定方法)
澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼは、以下の方法により判別することが出来る。
小麦澱粉400gにイオン交換水900gを加え懸濁し、ここに各酵素を添加する。反応により懸濁液中に遊離される還元糖量を測定して分解率を求め、分解率が15%に達したところで澱粉をろ過で回収し、水洗し、そして乾燥する。
このようにして得られた酵素処理澱粉を用い、レオメータ分析にてヤング率及び破断応力を求める。酵素処理後の澱粉のヤング率または破断応力が、酵素処理前の澱粉のヤング率または破断応力よりも10%以上上昇している場合、当該酵素は澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼと判定される。
このように、多種類のα−アミラーゼについて澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するか否かを容易に決定することができる。なお、レオメータ分析の具体的方法は以下に記載の通りである。
(1.2.2 レオメータ分析の具体方法)
乾物換算で20重量%濃度となるように、澱粉糊液を作製し、折幅45mmのクレハロンケーシングに充填する。これを90℃まで1℃/minで昇温し、30分間90℃で保持する。その後、20℃の恒温水槽にて30分間放冷し、続いて冷蔵庫にて5℃まで冷却した。冷却後、5℃で16時間冷蔵保管し、その後室温(約25℃)で4時間放置して室温に戻した後に、レオテック社製レオメータ(RT−2010J−CW)で測定する。レオメータの測定条件は、試験項目として破断試験、試料の高さを25mmとし、粘性用球Φ5(直径5mm、面積19.635mm2)のアダプターを用い、試料の移動速度(破断速度)を6cm/minで測定する。この時、澱粉ゲルの硬さを破断応力(g)およびヤング率(dyn/cm2)で評価する。
乾物換算で20重量%濃度となるように、澱粉糊液を作製し、折幅45mmのクレハロンケーシングに充填する。これを90℃まで1℃/minで昇温し、30分間90℃で保持する。その後、20℃の恒温水槽にて30分間放冷し、続いて冷蔵庫にて5℃まで冷却した。冷却後、5℃で16時間冷蔵保管し、その後室温(約25℃)で4時間放置して室温に戻した後に、レオテック社製レオメータ(RT−2010J−CW)で測定する。レオメータの測定条件は、試験項目として破断試験、試料の高さを25mmとし、粘性用球Φ5(直径5mm、面積19.635mm2)のアダプターを用い、試料の移動速度(破断速度)を6cm/minで測定する。この時、澱粉ゲルの硬さを破断応力(g)およびヤング率(dyn/cm2)で評価する。
一方、本発明の酵素処理澱粉の製造に使用可能な糖転移酵素の例は、サイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、4−α−グルカノトランスフェラーゼ(例えばアミロマルターゼ)である。
なお、前述した澱粉加水分解酵素及び/又は糖転移酵素は、市販のものであっても、当該分野で公知の方法により微生物、動物及び植物等から調製されたものであってもよく、または、これらの生物の当該酵素のアミノ酸配列もしくは塩基配列に基づいて遺伝子組み換え法により調製されたものであってもよい。
本発明の酵素処理澱粉の製造に使用可能なこれらの酵素の市販品としては、例えば、ノボザイムからAMGとして市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、GenencorからOPTIDEX L−400として市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、DANISCOからDIAZYME X4NPとして市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、天野エンザイムからグルコアミラーゼ「アマノ」SDとして市販されるAspergillus niger由来のアミログルコシダーゼ、天野エンザイムからグルクザイムAF6として市販されるRhizopus niveus由来のアミログルコシダーゼ、新日本化学工業からスミチームとして市販されるRhizopus oryzae由来のアミログルコシダーゼ、天野エンザイムからトランスグルコシダーゼ L『アマノ』として市販されるAspergillus niger由来のα−グルコシダーゼ、GenencorからTransglucosidase L−500として市販されるAspergillus niger由来のα−グルコシダーゼ、天野エンザイムからビオザイムAとして市販されるAspergillus oryzae由来のα−アミラーゼ、新日本化学工業からスミチームLとして市販されるAspergillus oryzae由来のα−アミラーゼ、ダニスコからAMYLEX A3として市販されるAspergillus niger由来のα−アミラーゼ、新日本化学工業からスミチームASとして市販されるAspergillus niger由来のα−アミラーゼ、Sigmaからイソアミラーゼとして市販されるPseudomonas amyloderamosa由来のイソアミラーゼ、ノボザイムからToruzymeとして市販されるBacillus licheniformis由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、および天野エンザイムからコンチザイムとして市販されるPaenibacillus macerans(Bacillus macerans)由来のサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ等が挙げられる。
(1.2.3 本願で使用される酵素の好適な例)
本発明の酵素処理澱粉を製造するためには、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼ、およびサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される酵素が使用される。
本発明の酵素処理澱粉を製造するためには、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、澱粉のゲル形成能を向上させる特性を有するα−アミラーゼ、およびサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される酵素が使用される。
特定の実施形態では、酵素は、アミログルコシダーゼ;イソアミラーゼ;α−グルコシダーゼ、Aspergillus属由来のα−アミラーゼおよびサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される。
特定の実施形態では、酵素は、アミログルコシダーゼ、イソアミラーゼ、α−グルコシダーゼ、Aspergillus oryzae由来のα−アミラーゼ、Aspergillus niger由来のα−アミラーゼおよびサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼからなる群より選択される。
(1.3酵素処理後の修飾・処理)
(1.3.1化学修飾)
酵素処理を行った澱粉粒は、所望により化学修飾され得る。酵素処理に使用した澱粉粒が未処理の澱粉粒または物理処理した澱粉粒の場合だけでなく、何らかの加工澱粉の澱粉粒を使用した場合にも、その加工澱粉に施された種類の化学修飾とは異なる種類の化学修飾を施すことができる。
(1.3.1化学修飾)
酵素処理を行った澱粉粒は、所望により化学修飾され得る。酵素処理に使用した澱粉粒が未処理の澱粉粒または物理処理した澱粉粒の場合だけでなく、何らかの加工澱粉の澱粉粒を使用した場合にも、その加工澱粉に施された種類の化学修飾とは異なる種類の化学修飾を施すことができる。
化学修飾の例としては、アセチル化、アジピン酸架橋、酸化、漂白、リン酸架橋、オクテニルコハク酸処理、ヒドロキシプロピル化、リン酸化およびリン酸モノエステル化が挙げられる。
これらの化学修飾の方法は当該分野で周知である。これらの化学修飾は、日本国の食品衛生法で許容される範囲内であれば任意の程度まで行われ得る。日本では、化学修飾された加工澱粉が食品添加物として認められるためには、厚生労働省告示485号記載の純度試験法に準じて試料澱粉中の各種化学物質の分析を行って、下記の基準を満たすことが必須である:
(a)アセチル化アジピン酸架橋デンプン:アジピン酸基が0.135%以下であってかつアセチル基が2.5%以下であること;
(b)アセチル化酸化デンプン:アセチル基が2.5%以下であってかつカルボキシ基が1.3%以下であること;
(c)アセチル化リン酸架橋デンプン:アセチル基が2.5%以下であってかつリンがPとして0.14%以下であること;
(d)オクテニルコハク酸デンプンナトリウム:オクテニルコハク酸基が3.0%以下であること;
(e)酢酸デンプン:アセチル基が2.5%以下であること;
(f)酸化デンプン:カルボキシ基が1.1%以下であること;
(g)ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉:ヒドロキシプロピル基が7.0%以下であってかつリンがPとして0.14%以下であること;
(h)ヒドロキシプロピルデンプン:ヒドロキシプロピル基が7.0%以下であること;
(i)リン酸架橋澱粉:リンがPとして0.5%以下であること;
(j)リン酸化デンプン:リンがPとして0.5%以下であること;
(k)リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン:リンがPとして0.5%以下であること;
(l)漂白デンプン;カルボキシ基が0.1%以下であり、厚生労働省告示485号記載の酸化澱粉の「確認試験(3)」による試験結果が陰性で、かつ、粘度等の澱粉の性質に生じた変化が酸化によるものでないことを合理的に説明できること。日本以外の国についてはその国で許容される範囲内であれば任意の程度の化学修飾が行われ得る。化学修飾は何種類か組み合わせて使用することができる。
(a)アセチル化アジピン酸架橋デンプン:アジピン酸基が0.135%以下であってかつアセチル基が2.5%以下であること;
(b)アセチル化酸化デンプン:アセチル基が2.5%以下であってかつカルボキシ基が1.3%以下であること;
(c)アセチル化リン酸架橋デンプン:アセチル基が2.5%以下であってかつリンがPとして0.14%以下であること;
(d)オクテニルコハク酸デンプンナトリウム:オクテニルコハク酸基が3.0%以下であること;
(e)酢酸デンプン:アセチル基が2.5%以下であること;
(f)酸化デンプン:カルボキシ基が1.1%以下であること;
(g)ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉:ヒドロキシプロピル基が7.0%以下であってかつリンがPとして0.14%以下であること;
(h)ヒドロキシプロピルデンプン:ヒドロキシプロピル基が7.0%以下であること;
(i)リン酸架橋澱粉:リンがPとして0.5%以下であること;
(j)リン酸化デンプン:リンがPとして0.5%以下であること;
(k)リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン:リンがPとして0.5%以下であること;
(l)漂白デンプン;カルボキシ基が0.1%以下であり、厚生労働省告示485号記載の酸化澱粉の「確認試験(3)」による試験結果が陰性で、かつ、粘度等の澱粉の性質に生じた変化が酸化によるものでないことを合理的に説明できること。日本以外の国についてはその国で許容される範囲内であれば任意の程度の化学修飾が行われ得る。化学修飾は何種類か組み合わせて使用することができる。
(1.3.2物理処理)
酵素処理を行った澱粉粒は、所望により物理処理され得る。酵素処理に使用した澱粉粒が未処理の澱粉粒または加工澱粉の場合だけでなく、何らかの物理処理をした澱粉粒を使用した場合にも、その物理処理とは異なる種類の物理処理を施すことができる。物理処理の例としては、湿熱処理、熱抑制処理およびα化処理が挙げられる。
酵素処理を行った澱粉粒は、所望により物理処理され得る。酵素処理に使用した澱粉粒が未処理の澱粉粒または加工澱粉の場合だけでなく、何らかの物理処理をした澱粉粒を使用した場合にも、その物理処理とは異なる種類の物理処理を施すことができる。物理処理の例としては、湿熱処理、熱抑制処理およびα化処理が挙げられる。
「湿熱処理」とは、澱粉を糊化させない程度の低水分状態で、密閉容器内で相対湿度約100%の条件下で約95〜約125℃に加熱することをいう。「澱粉を糊化させない程度の低水分状態」は、例えば水分含量約50%以下を示す。澱粉を糊化させない程度の低水分状態は、例えば水分含量約35%以下、約30%以下、約25%以下または約20%以下であってもよい。
湿熱処理の加熱時間は、湿熱処理の方法によって変化し得る。例えば、特開平6−145203号公報に記載の方法に従って湿熱処理される場合、まず約0〜500トール(約0〜66.661kPa)に減圧し、その後加圧蒸気を導入して約100℃〜約150℃にて約2分〜約120分間保持することにより加熱処理される。湿熱処理は、種々の文献に記載されており、当該分野で公知の任意の湿熱処理方法に従って行われ得る。湿熱処理は例えば、特開平6−145203号公報、特開平4−130102号公報および月刊フードケミカル 2010−2(P.37−42)等に記載されている。
湿熱処理の温度、時間などは目的とする澱粉およびその物性によって適切に設定され得る。
「熱抑制処理」とは、極めて低水分に乾燥した澱粉粒を、ドライ加熱処理することにより澱粉粒の結晶構造を強化することをいう。「極めて低水分に乾燥した澱粉粒」とは、水分含量が約1%未満の澱粉粒をいう。熱抑制処理される澱粉粒の水分含量は好ましくは約0%である。澱粉粒を極めて低水分に乾燥する方法は、例えば、特開2008−223032号公報に記載され、例えば、澱粉粒のpHを7.0以上のpHに調整してから、水分含量が約1%未満になるまで脱水する方法であり得る。この低水分に乾燥する場合のpHは好ましくはpH7以上であり、より好ましくはpH8より大きく、好ましくはpH7.5〜10.5であり、より好ましくはpH8〜9.5である。脱水は熱的脱水であってもよく、非熱的脱水であってもよい。ドライ加熱処理の際には、澱粉を抑制するのに充分な時間にわたって充分な温度で熱処理する。好ましくは、澱粉を非凝集性にするのに充分な時間にわたって充分な温度で熱処理する。熱抑制処理のための好ましい加熱温度は、約100℃よりも高い。熱処理温度は好ましくは約200℃以下である。熱抑制処理のための加熱温度は、より好ましくは約120℃〜約180℃であり、特に好ましくは約140℃〜約160℃であり、最も好ましくは約160℃である。抑制のレベルはpH、加熱温度および加熱時間に依存する。pHが高いほど、より高度に抑制された澱粉が得られる。熱処理温度が高いほど、より高度に抑制された澱粉が得られる。熱処理時間が長いほど、より高度に抑制された澱粉が得られる。熱抑制処理のための熱処理時間は、例えば約3時間以上であり、好ましくは約20時間以下である。熱抑制処理は、種々の文献に記載されており、当該分野で公知の任意の熱抑制処理方法に従って行われ得る。熱抑制処理は、例えば、米国特許第6,221,420号公報、国際公開第95/04082号パンフレットおよび特開2008−223032号公報に記載されている。熱抑制処理の温度、時間などは目的とする澱粉およびその物性によって適切に設定され得る。物理処理は当該分野で周知の方法に従って実施され得る。
湿熱処理澱粉の例としては、例えば、三和澱粉工業株式会社製の「デリカスター・シリーズ」、「ナチュラスター・シリーズ」、「アミロジェル」および日本食品化工株式会社製の「ロードスター」が挙げられる。熱抑制澱粉の例としては、例えば、ナショナルスターチ社製「ノベーション・シリーズ」が挙げられる。
本発明のデザート食品は、酵素処理澱粉を含むものであるが、酵素処理澱粉が主成分であって、かつ、曳糸性を損なわない範囲で、非酵素処理澱粉(酵素処理をしていない未加工澱粉及び加工澱粉)をさらに添加してもよい。酵素処理澱粉に加えて添加される非酵素処理澱粉としては特に限定されないが、エーテル化澱粉又はエーテル化リン酸架橋澱粉が好ましく、エーテル化リン酸架橋澱粉がより好ましい。非酵素処理澱粉の原料は特に限定されないが、小麦、タピオカが好ましく、タピオカがより好ましい。
本発明のデザート食品は、酵素処理澱粉とカラギナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、好ましくはカラギナン、ローカストビーンガム、より好ましくはカラギナンを併用してもよい。好ましい実施形態において、本発明のデザート食品は、酵素処理澱粉とカラギナンの組み合わせ、酵素処理澱粉とカラギナンとローカストビーンガムの組み合わせ、酵素処理澱粉とローカストビーンガムとキサンタンガムの組み合わせが挙げられる。カラギナンは、カッパ(κ)カラギナン、イオタ(ι)カラギナン、ラムダ(λ)カラギナンの3種類があり、これらは単独であるいは2種又は3種を併用して使用することができる。好ましいカラギナンはカッパ(κ)カラギナン、イオタ(ι)カラギナン或いはこれらの組み合わせである。
本発明の酵素処理澱粉の添加量としては、酵素処理澱粉単独で添加する場合は、1〜10質量%程度、好ましくは2〜10質量%程度、より好ましくは4〜8質量%程度が挙げられる。
また、本発明の酵素処理澱粉とカラギナンを併用する場合は、酵素処理澱粉の添加量としては、1〜8質量%程度、好ましくは2〜6質量%程度が挙げられ、また、カラギナンの添加量としては、0.05〜3質量%程度が挙げられ、好ましくは0.1〜2.5質量%程度、より好ましくは0.15〜2質量%程度、さらに好ましくは0.2〜1質量%程度が挙げられる。
酵素処理澱粉とカラギナンの併用比率については、酵素処理澱粉:カラギナンの質量比で、2:1〜20:1の範囲が挙げられ、好ましくは3:1〜15:1、より好ましくは4:1〜10:1、特に好ましくは4:1〜6:1である。
ローカストビーンガムを使用する場合、デザート食品に好ましくは0.01〜2質量%程度、より好ましくは0.05〜1質量%程度、さらに好ましくは0.1〜0.5質量%程度である。
本発明のデザート食品には、前記酵素処理澱粉並びに増粘多糖類以外に、本発明の効果に影響を与えない範囲で、食品原料や食品添加物等が含まれていてもよい。このような食品原料及び食品添加物としては、例えば、油脂(パーム油、パーム核油、やし油、コーン油、コムギ胚芽油、ダイズ油、ナタネ油、胡麻油、綿実油、オリーブ油、サフラワー油、ヒマワリ油、亜麻仁油など)、乳製品(牛乳や豆乳、ココナッツミルクをはじめ、クリーム、バター、バターオイル、チーズ、濃縮ホエイ、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、タンパク質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、カゼインナトリウム等の乳由来タンパク質など)、糖類(ショ糖、異性化糖、麦芽糖、乳糖、ブドウ糖、果糖、キシロース、水飴、はちみつ、メープルシロップ、カップリングシュガー、パラチノース、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ、乳果オリゴ糖及びキシロオリゴ糖など)、乳化剤(クエン酸あるいは乳酸等の有機酸モノグリセリド類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、レシチンなど)、酸味料(クエン酸など)、食塩、卵黄、卵白、色素、香料、ピューレ、日持ち向上剤、保存料、膨張剤、酸化防止剤、pH調整剤、洋酒、その他ミネラル類などを含んでいてもよい。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、比較例において、以下の製品(いずれも、グリコ栄養食品株式会社製)を用いた。
タピオカ由来未酵素処理澱粉(エーテル化リン酸架橋澱粉):製品名 ケミスターCSG
小麦由来未酵素処理澱粉(エーテル化リン酸架橋澱粉):製品名 ケミスター104
タピオカ由来未酵素処理澱粉(エーテル化リン酸架橋澱粉):製品名 ケミスターCSG
小麦由来未酵素処理澱粉(エーテル化リン酸架橋澱粉):製品名 ケミスター104
なお、以下の実施例における澱粉の調製例における酵素分解率%は次の式で表される。
澱粉粒の分解率(%)={(遊離した還元糖の量(g)×100)/{酵素反応前の澱粉総量(g))}
澱粉粒の分解率(%)={(遊離した還元糖の量(g)×100)/{酵素反応前の澱粉総量(g))}
また、酵素分解率を除く実施例及び食品参考例における部及び%は質量(重量)部及び質量(重量)%である。また、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
調製例1:タピオカ由来ヒドロキシプロピル化リン酸架橋酵素処理デンプンの調製
未処理の天然のタピオカデンプン700gに、14g(2.0%対デンプン)硫酸ナトリウム、水1300gを加え、デンプン懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH11.0に調整した後、トリメタリン酸ナトリウム0.7g(0.1%対デンプン)、5.6g(8.0%対デンプン)プロピレンオキサイドを添加し、40℃で24時間撹拌することにより反応を行った。
未処理の天然のタピオカデンプン700gに、14g(2.0%対デンプン)硫酸ナトリウム、水1300gを加え、デンプン懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH11.0に調整した後、トリメタリン酸ナトリウム0.7g(0.1%対デンプン)、5.6g(8.0%対デンプン)プロピレンオキサイドを添加し、40℃で24時間撹拌することにより反応を行った。
反応後の懸濁液をpH4.3に調整し、α−アミラーゼ(Aspergillus niger由来、DANISCO製「AMYLEX A3」;至適pH4.3)を3.5ml(0.5%対デンプン)添加し、50℃で酵素分解率が10%、また20%になるように酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、各リン酸架橋酵素処理デンプンを回収した。
調製例2:小麦由来ヒドロキシプロピル化リン酸架橋酵素処理澱粉の調製例
未処理の天然の小麦デンプン700gに、硫酸ナトリウム35g(5.0%対デンプン)、水1300gを加え、デンプン懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH11.0に調整した後、オキシ塩化リン84μL(120ppm%対デンプン)、プロピレンオキサイド5.6g(8.0%対デンプン)を添加し、40℃で24時間撹拌することにより反応を行った。
未処理の天然の小麦デンプン700gに、硫酸ナトリウム35g(5.0%対デンプン)、水1300gを加え、デンプン懸濁液を調製した。懸濁液のpHをpH11.0に調整した後、オキシ塩化リン84μL(120ppm%対デンプン)、プロピレンオキサイド5.6g(8.0%対デンプン)を添加し、40℃で24時間撹拌することにより反応を行った。
反応後の懸濁液をpH4.3に調整し、アミログルコシダーゼ(Aspergillus niger由来、GENENCOR製「OPTIDEX L−400」;至適pH4.3)を3.5ml(0.5%対デンプン)添加し、40℃で酵素分解率が20%(実施例2−1)になるように酵素反応を行った。反応終了後、遠心濾過、送風乾燥し、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋酵素処理小麦澱粉(調製例2−1)を回収した。
実施例1〜20および比較例1〜18:デザートプリンの調製
下記表1に掲げる処方の内、原材料を全て混合し、混合液を調製する。加熱撹拌しながら昇温させ90℃にて10分間保持する。その後、水にて全量を調整、容器に充填し、冷却することでデザートプリンを調製した。なお、タピオカ由来酵素処理澱粉(エーテル化リン酸架橋澱粉)は調製例1で得られたものを使用し、小麦由来酵素処理澱粉(エーテル化リン酸架橋澱粉)は調製例2で得られたものを使用した。調製されたデザートプリンについて曳糸性(伸展性)、口溶け、スプーンでの撹拌による曳糸性の増強効果を、以下の基準に従い試験した。結果を表2に示す。
下記表1に掲げる処方の内、原材料を全て混合し、混合液を調製する。加熱撹拌しながら昇温させ90℃にて10分間保持する。その後、水にて全量を調整、容器に充填し、冷却することでデザートプリンを調製した。なお、タピオカ由来酵素処理澱粉(エーテル化リン酸架橋澱粉)は調製例1で得られたものを使用し、小麦由来酵素処理澱粉(エーテル化リン酸架橋澱粉)は調製例2で得られたものを使用した。調製されたデザートプリンについて曳糸性(伸展性)、口溶け、スプーンでの撹拌による曳糸性の増強効果を、以下の基準に従い試験した。結果を表2に示す。
(1)曳糸性(伸展性)
+++++ 極めて大きい
+++ かなり大きい
++ より大きい
+ 大きい
± 普通
− 小さい
−− より小さい
−−− かなり小さい
−−−−− 極めて小さい
+++++ 極めて大きい
+++ かなり大きい
++ より大きい
+ 大きい
± 普通
− 小さい
−− より小さい
−−− かなり小さい
−−−−− 極めて小さい
(2)口溶け
+++++ 極めて良い
+++ かなり良い
++ より良い
+ 良い
± 普通
− 悪い
−− より悪い
−−− かなり悪い
−−−−− 極めて悪い
+++++ 極めて良い
+++ かなり良い
++ より良い
+ 良い
± 普通
− 悪い
−− より悪い
−−− かなり悪い
−−−−− 極めて悪い
(3)スプーンでの撹拌による曳糸性
+5 撹拌による曳糸性が極めて良い
+3 撹拌による曳糸性がかなり良い
+2 撹拌による曳糸性がより良い
+1 撹拌による曳糸性が良い
± 撹拌による曳糸性が普通
−1 撹拌による曳糸性が悪い
−2 撹拌による曳糸性がより悪い
−3 撹拌による曳糸性がかなり悪い
−5 撹拌による曳糸性が極めて悪い
+5 撹拌による曳糸性が極めて良い
+3 撹拌による曳糸性がかなり良い
+2 撹拌による曳糸性がより良い
+1 撹拌による曳糸性が良い
± 撹拌による曳糸性が普通
−1 撹拌による曳糸性が悪い
−2 撹拌による曳糸性がより悪い
−3 撹拌による曳糸性がかなり悪い
−5 撹拌による曳糸性が極めて悪い
得られたデザートプリンについて、酵素処理澱粉単独で添加した場合の実施例1〜実施例4は、曳糸性(伸展性)を有しつつもスプーンで掬うことができ、口中にへばりつくことなく口溶けの良い食感となった。また、喫食時にスプーン等で撹拌することにより、その曳糸性(伸展性)が増加し、伸びる物性が得られた。好ましい添加量の実施例5〜実施例8は、曳糸性(伸展性)を有しつつもスプーンでより容易に掬うことができ、口中にへばりつくことなく非常に口溶けの良い食感となった。また、喫食時にスプーン等で撹拌することにより、その曳糸性(伸展性)がより増加し、伸びる物性が得られた。カラギナンを加えた実施例9〜実施例12は、曳糸性(伸展性)を有しつつもスプーンでさらに容易に掬うことができ、口中にへばりつくことなく非常に口溶けの良い食感となった。
カラギナンの添加量がより好ましい実施例13〜実施例17、実施例19〜20は、極めてよい曳糸性(伸展性)を有しつつもスプーンで極めて容易に掬うことができ、口中にへばりつくことなく極めて口溶けの良い食感となった。さらに、ローカストビーンガムとキサンタンガムを併用した実施例18は、極めてよい曳糸性(伸展性)を有しつつもスプーンで極めて容易に掬うことができ、口中にへばりつくことなく極めて口溶けの良い食感となった。
カラギナンの添加量がより好ましい実施例13〜実施例17、実施例19〜20は、極めてよい曳糸性(伸展性)を有しつつもスプーンで極めて容易に掬うことができ、口中にへばりつくことなく極めて口溶けの良い食感となった。さらに、ローカストビーンガムとキサンタンガムを併用した実施例18は、極めてよい曳糸性(伸展性)を有しつつもスプーンで極めて容易に掬うことができ、口中にへばりつくことなく極めて口溶けの良い食感となった。
Claims (9)
- 酵素処理澱粉を含むデザート食品であって、前記酵素処理澱粉は、澱粉粒を澱粉加水分解酵素又は糖転移酵素を用いて処理したものである、デザート食品。
- 酵素処理澱粉は、化学修飾及び/又は物理処理した後の澱粉粒を酵素処理したもの及び/又は酵素処理後の澱粉粒を化学修飾及び/又は物理処理したものである、請求項1に記載のデザート食品。
- 酵素処理澱粉が、エーテル化澱粉又はエーテル化リン酸架橋澱粉を加水分解酵素及び/又は糖転移酵素で酵素処理して得られた澱粉である、請求項1又は2に記載のデザート食品。
- 酵素処理澱粉の添加量は、デザート食品全体の1〜10質量%、好ましくは1〜8質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のデザート食品。
- カラギナンをさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のデザート食品。
- カラギナンとともに、ローカストビーンガム及び/又はキサンタンガムを含む、請求項5に記載のデザート食品。
- さらにエーテル化澱粉及びエーテル化リン酸架橋澱粉からなる群から選ばれる非酵素処理澱粉を含み、非酵素処理澱粉は、酵素処理澱粉に対して10〜45質量%含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のデザート食品。
- 非酵素処理澱粉は、タピオカ又は小麦由来のエーテル化リン酸架橋澱粉である、請求項7に記載のデザート食品。
- 前記デザート食品が、プリン、ムース、杏仁豆腐、ババロア、パンナコッタ、ヨーグルト、ジャム、ゼリー、クリーム、フィリング、フラワーペースト、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、から選択されるいずれかである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のデザート食品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015213895A JP2017079672A (ja) | 2015-10-30 | 2015-10-30 | 曳糸性を有するデザート食品 |
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Publications (1)
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Cited By (1)
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---|---|---|---|---|
CN108185105A (zh) * | 2017-12-28 | 2018-06-22 | 内蒙古蒙牛乳业(集团)股份有限公司 | 一种果酱涂层及其制备方法 |
-
2015
- 2015-10-30 JP JP2015213895A patent/JP2017079672A/ja active Pending
Cited By (2)
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CN108185105A (zh) * | 2017-12-28 | 2018-06-22 | 内蒙古蒙牛乳业(集团)股份有限公司 | 一种果酱涂层及其制备方法 |
CN108185105B (zh) * | 2017-12-28 | 2021-03-23 | 内蒙古蒙牛乳业(集团)股份有限公司 | 一种果酱涂层及其制备方法 |
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