以下、添付図面に従って本発明に係るダイシング装置及びカッターセット方法の実施形態について詳説する。
図1は、本発明のカッターセット方法が適用されたダイシング装置10の全体斜視図である。
ダイシング装置10は、円盤状の複数枚のウェーハ(ワーク)Wが収納されたカセットを外部装置との間で受け渡すロードポート12と、吸着パッド14を有し、ウェーハWを装置各部に搬送する搬送装置16と、ウェーハWを吸引保持するワークワークテーブル18と、ウェーハWをダイシング加工する加工部20と、ダイシング加工後のウェーハWを洗浄し、乾燥させるスピンナ22と、を備えている。ダイシング装置10の各部の動作は、コントローラ24によって制御される。
加工部20には、カメラ26が設けられる。このカメラ26は、ウェーハWの表面を撮像して、ウェーハWを既知のパターンマッチング法によりアライメントするための装置として使用される。
加工部20の内部には、対向配置された一対のノコ刃ブレード28、28と、ノコ刃ブレード28、28を回転させる高周波モータ内蔵型のスピンドル30、30とが設けられている。
図2は、加工部20の構造を示す斜視図である。
図2に示すように、加工部20は、Xテーブル32を備える。Xテーブル32は、Xベース34に設けられたXガイド36、36によってガイドされ、リニアモータ38を有するX移動機構部40によって矢印X-Xで示すX方向に駆動される。また、Xテーブル32の上面にはθ方向に回転する回転テーブル42が固定され、この回転テーブル42にワークテーブル18が設けられている。よって、ワークテーブル18は、Xテーブル32によってX方向に移動され、かつ回転テーブル42によってθ方向に回転される。
また、加工部20は、Xベース34を跨ぐように門型に構成されたYベース44を備える。Yベース44の壁面には、一対のYテーブル46、46が設けられる。一対のYテーブル46、46は、Yベース44の壁面に固定されたYガイド48、48によってガイドされ、図示しないステッピングモータとボールスクリューとからなるY移動機構部50によって矢印Y-Yで示すY方向に駆動される。
Yテーブル46、46には、それぞれZテーブル52、52が設けられる。Zテーブル52、52は、Yテーブル46に設けられた不図示のZガイドにガイドされ、図示しないステッピングモータとボールスクリューとからなるZ移動機構部54によって矢印Z-Zで示すZ方向に駆動される。Zテーブル52、52にはスピンドル30、30が対向した状態で固定され、スピンドル30、30の先端部に装着されたノコ刃ブレード28、28が対向配置される。ノコ刃ブレード28はスピンドル30によって、6000rpm~80000rpmで高速回転される。また、スピンドル30は、正転方向及び逆転方向に回転可能に構成されている。
上記の加工部20の構成により、ノコ刃ブレード28、28は、Y移動機構部50によってY方向にインデックス送りされるとともに、Z移動機構部54によってZ方向に切り込み送りされ、ワークテーブル18はX移動機構部40によってX方向に切削送りされるとともに、不図示のθ回転機構部によってθ方向に回転される。これらの動作はコントーラ24(図1参照)によって制御される。なお、実施例に記載のX移動機構部40、Y移動機構部50、Z移動機構部54、及び不図示のθ回転機構部が、本発明の相対移動手段を構成している。
コントローラ24は、後述するカッターセット部60(図5参照)によって計測されたノコ刃ブレード28の刃先29(図4参照)の摩耗量に基づき、Z移動機構部54によるZ方向の切り込み送り量を制御し、ウェーハWの切断量又は切り残し量を設定値に一致させる。
図3は、ワークテーブル18の平面図である。ワークテーブル18は、ウェーハWを吸着保持する平面視円形状の吸着部56と、吸着部56の外側に配置されて吸着部56を支持する平面視リング状の本体58とを備える。
吸着部56は、ワークテーブル18の中心軸18Aを中心とする円形状に構成される。また、吸着部56は、多孔質部材によって構成されており、不図示の真空源に真空経路を介して接続されている。真空源を駆動することにより、真空経路の空気が吸引され、これによってウェーハWが吸着部56の表面に真空吸着保持される。
本体58は、ステンレス製であり、本体58の表面は、吸着部56の表面に対して同一面上に位置される。この本体58は、ノコ刃ブレード28の切刃29A(図4参照)が接触される被接触部であり、すなわち、カッターセットの際には、この本体58の表面にノコ刃ブレード28の切刃29Aが接触される。
図4は、ノコ刃ブレード28の一例を示す正面図であり、ノコ刃ブレード28の特徴を強調するために、切刃29Aを誇張して示している。
ノコ刃ブレード28は、外周端の刃先29を構成する複数の切刃29A、29A…が所定の間隔で配置されており、切刃29Aの一方面には、所定角度に傾斜したすくい面29Bが形成され、他方面には逃げ面29Dが形成されている。ノコ刃ブレード28の回転方向において、矢印Aで示す回転方向がウェーハWをダイシング加工するときの回転方向である。以下、矢印Aで示す回転方向を「正転方向」と称し、この反対の方向である矢印Bで示す回転方向を「逆転方向」と称する。なお、「正転方向」を定義するに当たり、すくい面29Bが向く回転方向を「正転方向」と称することもできる。
次に、図1に示したダイシング装置10の作用について説明する。
ダイシング装置10では、まず、複数枚のウェーハWが収納されたカセットが、不図示の搬送装置、又は手動によってロードポート12に載置される。載置されたカセットからウェーハWが搬送装置16によって1枚ずつ取り出され、搬送装置16によってワークテーブル18の表面に載置される。この後、ウェーハWの裏面が、ワークテーブル18の吸着部56の表面に真空吸着保持される。これにより、ウェーハWがワークテーブル18に保持される。
ワークテーブル18に保持されたウェーハWは、図1のカメラ26によってその表面が撮像され、その後、X移動機構部40及び不図示のθ回転機構部によりワークテーブル18の姿勢を調整することで、ウェーハWの表面に形成されたカットラインの位置とノコ刃ブレード28の位置とが位置合わせされる。
位置合わせが終了し、ダイシング加工が開始されると、スピンドル30が正転方向の回転を開始し、ノコ刃ブレード28が正転方向に高速に回転するとともに、不図示のノズルから加工点に切削液が供給される。この状態でウェーハWは、ワークテーブル18とともにX方向へ切削送りされるとともに、スピンドル30が所定の高さまでZ方向へ下がり、ダイシング加工が行われる。以上がダイシング装置10の大まかな作用である。
図5は、カッターセット部60の構成及び動作を説明する概念図である。以下、カッターセット部60の構成について説明するが、上記したダイシング装置10の構成と重複する構成についても繰り返し説明する。
図5に示すカッターセット部60は、ワークテーブル18、コントローラ24、ノコ刃ブレード28及びスピンドル30等から構成される。
コントローラ24は、CPU(Central Processing Unit)62、メモリ64、入出力インターフェース68、カッターセット回路部70、Z移動機構部54、X移動機構部40及びY移動機構部50等を備えている。コントローラ24は、メモリ64に記憶されている制御プログラム等の各種プログラムを展開し、展開したプログラムをCPU62によって実行させることにより、コントローラ24の各部の機能を実現し、入出力インターフェース68を介して各種の演算処理や制御処理を実行する。また、カッターセット回路部70には、ノコ刃ブレード28の切刃29Aがワークテーブル18の本体58に接触したことを検出する接触検出回路部72が備えられている。
接触検出回路部72は、カッターセット時において、直流電源73からスピンドル30の後端に図示しない導電ブラシを介してプラスの電位を印加しており、ノコ刃ブレード28はプラス電位となっている。また、ノコ刃ブレード28と接触するワークテーブル18の本体58にはマイナス電位を印加しており、本体58はマイナス電位となっている。これにより、ノコ刃ブレード28の切刃29Aが本体58に接触するとノコ刃ブレード28と本体58とが電気的に導通される。接触検出回路部72は、上記の電気的導通によって切刃29Aが本体58に接触したこと検出し、そしてコントローラ24は、このときのノコ刃ブレード28の回転軸のZ軸位置に基づいて摩耗量を計測する。実施例においては、コントローラ24が本発明の計測手段を構成している。
図6は、カッターセット位置の一例を示すワークテーブル18の本体58の平面図である。本体58は、全周に亘りノコ刃ブレード28の切刃29Aが接触する領域となっており、切刃29Aが接触した位置には接触傷58A、58A…が形成されている。
次に、図5を参照してカッターセット部60によるカッターセット方法について説明する。
まず、θ回転機構部(不図示)によってワークテーブル18を回転させるとともに、X移動機構部40によってワークテーブル18を移動させて、ノコ刃ブレード28の下方にワークテーブル18の本体58を位置決めする。この位置が1回目のカッターセット位置となる。次に、ノコ刃ブレード28をスピンドル30によって所定の回転速度で回転させるとともに、Z移動機構部54によって所定の速度で下降させ、切刃29Aが本体58に接触したときのノコ刃ブレード28の回転軸のZ軸位置を取得して記憶する。その後、ノコ刃ブレード28をZ移動機構部54によって上昇させて本体58から退避させる。以上で1回目のカッターセットが終了する。なお、1回目のカッターセット時におけるノコ刃ブレード28の回転方向は、図4の矢印Aで示す正転方向であっても、矢印Bで示す逆転方向であってもよいが、実施形態では正転方向にて実施されるものとする。この後、ダイシング装置10は、既述したウェーハWのダイシング加工を実施する。
そして、2回目のカッターセットを実施する場合には、1回目のカッターセットと同様に、まず、θ回転機構部(不図示)によってワークテーブル18を回転させるとともにX移動機構部40によってワークテーブル18を移動させて、ノコ刃ブレード28の下方に接触傷58A(図6参照)の無い本体58の表面が位置するようにワークテーブル18の本体58を位置決めする。この位置が2回目のカッターセット位置となる。
次に、コントローラ24がスピンドル30の回転方向を制御し、ノコ刃ブレード28を所定の回転速度(例えば、30000rpm)で逆転方向に回転(ブレード回転切替工程)させるとともに、Z移動機構部54によって所定の速度(例えば、0.5mm/sec)で下降(移動工程)させる。そして、コントローラ24は、切刃29Aが本体58に接触したときのノコ刃ブレード28の回転軸のZ軸位置に基づいて摩耗量を計測(計測工程)する。この後、ノコ刃ブレード28をZ移動機構部54によって上昇させて本体58から退避させる。以上で2回目のカッターセット動作が終了する。なお、3回目以降のカッターセットにおいても同様の手順で実施する。また、実施例においては、コントローラ24が本発明のブレード回転制御手段を構成している。
このように、実施形態のカッターセット方法は、2回目以降のカッターセット時において、ノコ刃ブレード28の回転方向を逆転方向に切り替えてカッターセットを実施する。以下、2回目以降のカッターセット時にノコ刃ブレード28を逆転方向に回転させる利点について説明する。
図7は、ノコ刃ブレード28を逆転方向に回転させてカッターセットを行った場合のノコ刃ブレード28の状態を示した要部拡大図である。図8は、図7の比較例であり、すなわち、ノコ刃ブレード28を正転方向に回転させてカッターセットを行った場合のノコ刃ブレード28の状態を示した要部拡大図である。
図8の如く、ノコ刃ブレード28を正転方向に回転させてカッターセットを実施した場合、1回目のカッターセット時に、切刃29Aのすくい面29Bに付着したバリ(本体58の切削片)80は、本体58に接触すると、矢印Cで示すように、すくい面29Bに押し付けられる力を本体58から相対的に受ける。これにより、バリ80はすくい面29Bに付着した状態が維持されるので、バリ80の長さの分だけ計測誤差が生じてしまう。また、カッターセットを複数回実施するごとに、前回付着したバリ80に新たなバリ80が付着する場合もあるので、刃先29の摩耗量の計測誤差はカッターセットを実施するごとに大きくなるという問題もある。
これに対し、図7の如く、ノコ刃ブレード28を逆転方向に回転させてカッターセットを実施した場合、1回目のカッターセット時にすくい面29Bに付着したバリ80は、2回目以降においてカッターセットを繰り返すごとに、本体58に徐々に押されて、その切刃29Aと、その切刃29Aに隣接した回転方向下流側の切刃29Aとの間の谷部29Cに向けて折れ曲がっていく。つまり、カッターセットを複数回実施すると、各切刃29Aに付着したバリ80が上記の如く完全に折れ曲がるので、全ての切刃29Aが本体58に安定して接触するようになる。これにより、ノコ刃ブレード28を逆転方向に回転させてカッターセットを実施した場合には、ノコ刃ブレード28の刃先摩耗量の計測誤差を低減することができる。
したがって、実施形態のカッターセット方法によれば、ノコ刃ブレード28の回転方向を逆転方向に切り替えるブレード回転切替工程と、逆転方向に回転しているノコ刃ブレード28を本体58に向けて移動させる移動工程と、逆転方向に回転しているノコ刃ブレード28の刃先29が本体58に接触したことを検知することにより、刃先29の摩耗量を計測する計測工程と、を備えたので、ノコ刃ブレード28の刃先摩耗量の計測誤差を低減することができる。また、2回目以降のカッターセット時において、すくい面29Bに対するバリ付着を抑制することができる。
図9は、ノコ刃ブレード28を逆転方向に回転させてカッターセットを複数回実施したときに得られたノコ刃ブレード28の総摩耗量を示したグラフである。図10は、図9の比較例であり、すなわち、ノコ刃ブレード28を正転方向に回転させてカッターセットを複数回実施したときに得られたノコ刃ブレード28の総摩耗量を示したグラフである。図9及び図10のグラフの横軸はカッターセット回数を示し、縦軸は総摩耗量(mm)を示している。なお、総摩耗量とは、カッターセットごとに得られた摩耗量の積算値であり、ノコ刃ブレード28をスピンドル30に取り付けた時からの積み重ねの摩耗量を指す。
また、図9の試験条件は、ノコ刃ブレード28の回転数を30000rpmに設定し、ノコ刃ブレード28の下降移動速度を0.5mm/secに設定した。そして、ノコ刃ブレード28を本体58に対して繰り返し昇降移動させて、本体58に対する切刃29Aの接触を複数回繰り返し、そのときに計測された摩耗量が3回連続して1μm以内で、かつ前回のカッターセットの計測値よりも摩耗量が増えていることを計測した際に、その3回の計測値の平均値を摩耗量として取得した。なお、当然であるが、本体58に対する切刃29Aの接触を繰り返すごとに、ノコ刃ブレード28に対する本体58の位置を変更して、接触傷58A(図6参照)の無い本体58の表面に切刃29Aが接触するように設定した。
図10のグラフによれば、正転方向の回転でカッターセットを実施すると、総摩耗量はマイナス値側に変動していることから、ノコ刃ブレード28の刃先29の直径が大きくなっていることが確認できる。この原因は、ノコ刃ブレード28の切刃29Aに付着したバリ80(図8参照)が本体58に接触し、ノコ刃ブレード28の見かけの直径が大きくなったことによるものである。したがって、ノコ刃ブレード28を正転方向に回転させてカッターセットを実施した場合には、ノコ刃ブレード28の刃先摩耗量の計測誤差が大きくなる。
これに対し、図9のグラフによれば、逆転方向の回転でカッターセットを実施すると、総摩耗量はカッターセットごとにプラス値側に増加していることから、ノコ刃ブレード28の刃先29の直径が小さくなっていることが確認できる。この原因は、切刃29Aに付着したバリ80が、ノコ刃ブレード28の逆転方向の回転作用により、図7の如く折れ曲がり、切刃29Aが本体58に接触したことによるものである。したがって、ノコ刃ブレード28を逆転方向に回転させてカッターセットを実施した場合には、ノコ刃ブレード28の刃先摩耗量の計測誤差を低減することができる。
次に、ノコ刃ブレード28の切刃29Aに付着したバリ80を除去するためのバリ除去装置について説明する。
図11は、実施形態のバリ除去装置90の概略側面図である。図12は、図11に示したバリ除去装置90の比較例であるバリ除去装置100の概略側面図である。
図12に示すバリ除去装置100は、切削水102を噴射するノズル104と、ノコ刃ブレード28を正転方向に回転させるスピンドル30と、を備えている。また、ノズル104は、切刃29Aの逃げ面29Dに対向する位置に配置されている。したがって、図12のバリ除去装置100によれば、ノズル104から噴射された切削水102は、切刃29Aの逃げ面92Dに向けて噴射される。
図12に示すバリ除去装置100によれば、すくい面92Bに付着したバリ80に対する切削水102の相対速度は、ノズル104から噴射された噴射速度からノコ刃ブレード28の正転方向の回転速度を減算した速度となり、この速度で切削水102がバリ80に衝突する。つまり、ノコ刃ブレード28の回転速度をバリ80の除去用の力として有効利用することができないので、バリ80を効率よく除去することができない。
これに対し、図11に示した実施形態のバリ除去装置90は、切削水92を噴射するノズル94と、ノコ刃ブレード28を正転方向に回転させるスピンドル30と、を備え、ノズル94は、切刃29Aのすくい面29Bに対向する位置に配置されている。
図11に示す実施形態のバリ除去装置90によれば、すくい面29Bに付着したバリ80に対する切削水92の相対速度は、ノズル94から噴射された切削水92の噴射速度とノコ刃ブレード28の正転方向の回転速度とを合算した速度となり、この速度で切削水92がバリ80に衝突する。つまり、ノコ刃ブレード28の回転速度をバリ80の除去用の力として有効利用することができるので、バリ80を効率よく除去することができる。
したがって、実施形態のバリ除去装置90によれば、ノコ刃ブレード28をスピンドル30によって正転方向に回転させるとともに、すくい面29Bに対向する位置に配置されたノズル94から切削水92をすくい面29Bに向けて噴射したので、バリ80を効果的に除去することができる。
このように実施形態のバリ除去装置90によれば、ノコ刃ブレード28の切刃29Aに付着したバリ80を効果的に除去することができるので、カッターセット時における刃先29の摩耗量の計測誤差を低減することができる。
バリ除去装置90によるバリ除去工程は、カッターセットごとに実施してもよく、カッターセット時に計測されたノコ刃ブレード28の摩耗量に基づいて実施してもよい。また、ウェーハWのダイシング加工中に実施してもよく、ダイシング加工とダイシング加工との間に行われるワークテーブル18のX軸方向戻り動作中に実施してもよい。また、カッターセットの直前に実施してもよい。カッターセットの直前に実施すれば、カッターセット時におけるノコ刃ブレード28の回転方向は、逆転方向に限定されず正転方向であってもよい。
図13のグラフは、図11に示したバリ除去装置90を用いてバリ除去工程を実施したときのノコ刃ブレード28の総摩耗量の変化が示されている。図14のグラフは、図12に示したバリ除去装置100を用いてバリ除去工程を実施したときのノコ刃ブレード28の総摩耗量の変化が示されている。図13及び図14のグラフの横軸はカッターセット回数を示し、縦軸は総摩耗量(mm)を示している。また、図13及び図14に示したバリ除去工程においては、双方とも毎分1.5リットルの切削水を30秒間噴射した。
図14のグラフによれば、2回目に実施されたカッターセットの総摩耗量(-0.014mm)が1回目に実施されたカッターセットの総摩耗量(0mm)に対して大きく変動したことが示されている。これは、切刃29Aから外径方向に向けて約0.014mmの長さを有するバリ80が切刃29Aに付着したことによるものである。また、その後に実施された複数回のカッターセットの総摩耗量に基づけば、切刃29Aに約0.008mmの長さを有するバリ80が付着したままであることが分かる。そして、68~70回のカッターセットの総摩耗量に基づけば、切刃29Aに約0.02mmの長さを有するバリ80が付着したことが分かる。そこで、71回目のカッターセットを行う前に、図12に示したバリ除去装置100を使用してバリ除去工程を行うと、約0.02mmの長さを有するバリ80は除去することができたが、72回目以降のカッターセットの総摩耗量に基づけば、0.007mmの長さを有するバリ80が付着したままであり、バリ80を有効に除去できなかった。
一方、図13のグラフによれば、2回目から25回目までに実施されたカッターセットの総摩耗量に基づけば、切刃29Aに約0.002mmの長さを有するバリ80が付着したままであることが分かる。そして、26回目に実施されたカッターセットの総摩耗量に基づけば、切刃29Aに約0.005mmの長さを有するバリ80が付着したことが分かる。そして、29回目から37回目までに実施されたカッターセットの総摩耗量に基づけば、切刃29Aに約0.002mmの長さを有するバリ80が付着したままであることが分かる。そして、38回目から45回目に実施されたカッターセットの総摩耗量に基づけば、切刃29Aに約0.005mmから0.006mmの長さを有するバリ80が付着したことが分かる。そして、46回目から49回目に実施されたカッターセットの総摩耗量に基づけば、切刃29Aに約0.004mmから0.006mmの長さを有するバリ80が付着したことが分かる。そこで、50回目のカッターセットを行う前に、図11に示したバリ除去装置90を使用してバリ除去を行うと、約0.005mmの長さを有するバリ80を除去することができ、総摩耗量が0mm近くまで戻ることが確認できた。したがって、図11に示したバリ除去装置90を使用することにより、バリ80を有効に除去することができた。