JP2022182208A - ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来並みの電気特性を維持しつつ、それでいて耐熱性が良好であり、薄膜化対応可能である、コンデンサー用として有用なポリエステルフィルムおよびその製造方法を提案するものである。【解決手段】シリンダーに原料供給口とベント開口部を有するベント式二軸押出機を用い、ポリエステル樹脂(X)をポリプロピレン樹脂(Y)と共にフィルム状に溶融押出しするに際し、ポリプロピレン樹脂(Y)の含有量が、単位時間当たりの総押出量Q(kg/時)に対し1質量%以上であって、シリンダーの内径D(mm)、単位時間当たりの総押出量Q(kg/時)に対し、スクリュー回転数N(rpm)が下記式(1)を満足する、ポリエステルフィルムの製造方法である。0.05×10-6×D2.8≦Q/N≦6.0×10-6×D2.8(1)

Description

本発明は、ポリエステルフィルムおよびその製造方法に関する。
工業材料、光学材料、電子部品材料、電池用包装材など様々な分野で、ポリエステルフィルムとして代表的なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、特に2軸延伸PETフィルムが、透明性、機械強度、耐熱性、柔軟性などに優れることから広く使用されている。
また、低い誘電損失特性等の優れた電気特性、並びに高い耐湿性のために、例えば、高電圧コンデンサー、各種スイッチング電源、コンバーター及びインバーター等のフィルター用コンデンサー及び平滑用コンデンサー等のコンデンサー用誘電体フィルムとして、二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどの樹脂フィルムが利用されている。
近年、コンデンサーのさらなる小型化及び高容量化が必要な状況になってきている。例えば、電気自動車及びハイブリッド自動車等の駆動モーターを制御するインバーター電源機器用コンデンサーに樹脂フィルムを使用する場合には、小型、軽量及び高容量が必要になる(特許文献1参照)。コンデンサーの高容量化に伴い、例えば、120℃を超える温度領域下で、長期間にわたる高い耐電圧特性(静電容量の安定性)が必要とされる傾向にある。
特開2014-231584号公報
しかしながら、例えば、汎用の二軸延伸ポリプロピレンフィルムでは、電気特性は良好な反面、使用温度範囲が120℃以上の温度領域であると、フィルム自体の耐熱性が限界レベルに達し、対応困難な状況にあった。
そこで、本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、従来並みの電気特性を維持しつつ、それでいて耐熱性が良好であり、薄膜化対応が可能である、コンデンサー用として有用なポリエステルフィルムおよびその製造方法を提案するものである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ベント式二軸押出機を用い、ポリエステル樹脂(X)をポリプロピレン樹脂(Y)と共にフィルム状に溶融押出するに際し、ポリプロピレン樹脂(Y)を特定量とし、単位時間当たりの総押出量Q(kg/時)、シリンダーの内径D(mm)、スクリュー回転数N(rpm)が特定の関係式を満足する、ポリエステルフィルムの製造方法を採用することで、上記課題を解決できることを見出し、以下の本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[13]を提供するものである。
[1]シリンダーに原料供給口とベント開口部を有するベント式二軸押出機を用い、ポリエステル樹脂(X)をポリプロピレン樹脂(Y)と共にフィルム状に溶融押出しするに際し、ポリプロピレン樹脂(Y)の含有量が、単位時間当たりの総押出量Q(kg/時)に対し1質量%以上であって、シリンダーの内径D(mm)、単位時間当たりの総押出量Q(kg/時)に対し、スクリュー回転数N(rpm)が下記式(1)を満足する、ポリエステルフィルムの製造方法。
0.05×10-6×D2.8≦Q/N≦6.0×10-6×D2.8 (1)
[2]ポリエステル樹脂(X)100質量部に対して、ポリプロピレン樹脂(Y)を1~30質量部含む、上記[1]に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
[3]ポリエステル樹脂(X)がポリエチレンテレフタレート及びポリエチレン-2,6-ナフタレートから選ばれる少なくとも1種である、上記[1]または[2]に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
[4]前記ポリエステル樹脂(X)の重縮合触媒がTi系またはSb系である、上記[1]~[3]の何れかに記載のポリエステルフィルムの製造方法。
[5]フィルム厚みが0.5~12.0μmである、上記[1]~[4]の何れかに記載のポリエステルフィルムの製造方法。
[6]上記[1]~[5]の何れかに記載のポリエステルフィルムの製造方法を用いて製造したポリエステルフィルム。
[7]フィルムの断面構造が層状構造を有し、且つ厚み方向の長さ(x)と幅方向(TD)の長さ(y)の比率(y/x)が17以上であるポリプロピレン樹脂層(Yt)を有する、上記[6]に記載のポリエステルフィルム。
[8]前記ポリプロピレン樹脂層(Yt)が0.08個/μm以上である、上記[7]に記載のポリエステルフィルム。
[9]前記比率(y/x)をフィルム厚み(t)で除した値が1.5以上である、上記[7]又は[8]に記載のポリエステルフィルム。
[10]19μm×25μmの観察視野の幅方向(TD)において、前記ポリプロピレン樹脂層(Yt)が端から端まで連続した構造を有する、上記[7]~[9]の何れかに記載のポリエステルフィルム。
[11]前記ポリプロピレン樹脂層(Yt)を複数有し、厚み方向において隣接する前記ポリプロピレン樹脂層(Yt)とポリプロピレン樹脂層(Yt)との間にポリエステル樹脂層(Xt)が介在した構造を有する、上記[7]~[10]の何れかに記載のポリエステルフィルム。
[12]1kHzにおける誘電正接(tanδ)が0.54以下である、上記[6]~[11]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[13]上記[6]~[12]のいずれかに記載のポリエステルフィルムの少なくとも片面に金属層が設けられた、金属積層フィルム。
本発明によれば、従来並みの電気特性を維持しつつ、それでいて耐熱性が良好であり、コンデンサー用として有用なポリエステルフィルムおよびその製造方法を提供することができる。
実施例1で得られたポリエステルフィルム(試料フィルム)のフィルム断面写真(倍率:5000倍)。 比較例1で得られたポリエステルフィルム(試料フィルム)のフィルム断面写真(倍率:5000倍)。
次に、本発明の実施形態の一例について説明する。但し、本発明は、次に説明する実施形態に限定されるものではない。
[ポリエステルフィルムの製造方法]
本発明のポリエステルフィルムの製造方法(以下、「本製造方法」と記載する。)は、二軸押出機を用い、ポリエステル樹脂(X)をポリプロピレン樹脂(Y)と共にフィルム状に溶融押出しすることで製造される。
<ポリエステルフィルム>
以下、ポリエステルフィルムについて、さらに詳細に説明する。
本製造方法により製造されるポリエステルフィルム(以下、「本ポリエステルフィルム」と記載する。)は、耐熱性、平面性、光学特性、強度などの物性が優れており、特に好ましい。上記ポリエステルフィルムは単層でも、性質の異なる2以上の層を有する多層フィルム(すなわち、積層フィルム)でもよい。
また、ポリエステルフィルムは、無延伸フィルム(シート)であっても延伸フィルムであってもよい。中でも、一軸方向又は二軸方向に延伸された延伸フィルムであるのが好ましい。その中でも、力学特性のバランスや平面性の観点で、二軸延伸フィルムであるのがより好ましい。したがって、二軸延伸ポリエステルフィルムがよりさらに好ましい。
(ポリエステル樹脂(X))
本ポリエステルフィルムの主成分樹脂であるポリエステル樹脂(X)は、ホモポリエステルであっても、共重合ポリエステルであってもよい。なお、主成分樹脂とは、ポリエステルフィルムを構成する樹脂の中で最も質量割合の大きい樹脂の意味であり、ポリエステルフィルムを構成する樹脂の50質量%以上、或いは75質量%以上、或いは90質量%以上、或いは100質量%を占めればよい。
上記ホモポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。
代表的なホモポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン-2,6-ナフタレート(PEN)等を例示することができる。
本発明においては、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエチレン-2,6-ナフタレート(PEN)が特に好ましく、これらを併用することもできる。
一方、上記ポリエステルが共重合ポリエステルの場合は、30モル%以下の第三成分を含有した共重合体であることが好ましい。
共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の一種又は二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上を挙げることができる。
中でも、本ポリエステルフィルムとしては、60モル%以上、好ましくは80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート又は60モル%以上、好ましくは80モル%以上がエチレン-2,6-ナフタレート単位であるポリエチレン-2,6-ナフタレートが好ましい。
(ポリエステル重縮合触媒)
上記ポリエステルを重縮合して得る際の重縮合触媒としては、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、アルミニウム化合物、チタン化合物等が挙げられる。これらの中では、アンチモン化合物及びチタン化合物の少なくともいずれかが好ましく、とりわけ、チタン化合物を用いて得られるポリエステルを使用することが好ましい。
したがって、ポリエステルフィルムは、アンチモン化合物(Sb系)及びチタン化合物(Ti系)の少なくともいずれかを含むことが好ましく、チタン化合物(Ti系)を含むことがより好ましい。
前記チタン化合物を使用することで、フィルム中に当該チタン化合物に由来する金属含有凝集体、いわゆる粗大異物の個数を低減化することができる。
本フィルムが積層フィルムである場合は、その最外層(「表面層」ともいう、例えば、後述する硬化樹脂層が積層される表面層)を構成するポリエステルは、その重縮合触媒としてチタン化合物を使用することが好ましく、例えば、後述する表面層がチタン化合物を含むことが好ましい。
当該最外層中の当該チタン化合物に由来するチタン元素含有量は3質量ppm以上40質量ppm以下であることが好ましく、4質量ppm以上35質量ppm以下であることがより好ましい。
上記範囲内であれば、ポリエステルの製造効率を低下することなく、触媒起因の異物を低減化することができる。
また、同様の観点から、本フィルムの最外層中のアンチモン化合物の含有量は100質量ppm以下であることが好ましい。
(粒子)
ポリエステル樹脂(X)中には、易滑性の付与および各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を配合することも可能である。粒子を配合する場合、配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等が挙げられる。さらに、ポリエステルの製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、好ましくは3μm以下、より好ましくは0.1~2μm、その中でも特に0.1~1μmの範囲であることが好ましい。平均粒径が上記範囲である粒子を用いることにより、ポリエステルフィルムに適度な表面粗度を与え、良好な滑り性と平滑性が確保できる。
粒子を配合する場合、例えば、表層と、中間層を設けて、表層に粒子を含有させることができる。この場合、粒子を含有する表層、中間層、及び粒子を含有する表層をこの順に有する多層構造とすることもできる。
また、ポリエステル樹脂(X)中に実質的に粒子を含有しない態様も好ましい。ここでいう、「実質的に粒子を含有しない」とは、意図して含有しないという意味であり、具体的には、粒子の含有量(粒子濃度)が200質量ppm以下、より好ましくは150質量ppm以下のことを指す。
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルを構成するポリエステル樹脂(X)に対して、非相溶なポリプロピレン樹脂(Y)を含有するため、ポリプロピレン樹脂(Y)により、フィルム表面に微細な凹凸を形成することができる。そのため、フィルム中の粒子量を上記上限値以下とすることができ、フィルムの透明性を確保しつつ、フィルムに滑り性を付与しやすくなる。
なお、ポリエステルフィルムに粒子が含有されない場合、あるいは含有量が少ない場合は、基材フィルムの透明性が高くなり外観の良好なポリエステルフィルムが得られるが、滑り性が不十分となる場合がある。そのような場合には、後述する硬化樹脂層中に粒子を配合するなどにより、滑り性を向上させるとよい。
(ポリプロピレン樹脂(Y))
ポリプロピレン樹脂(Y)は、プロピレンの単独重合体であってもよいし、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4~20のα-オレフィンとの共重合体であってもよい。
本発明においては、共重合成分は1種類でもよいし、必要に応じて、2種類以上を併用してもよい。
ポリプロピレン樹脂(Y)の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、プロピレン及び任意のコモノマーをチーグラー・ナッタ触媒で重合する方法など、従来から公知の方法を採用することができる。なお、「ポリプロピレンハンドブック」エドワード・P・ムーアJr.編著、保田哲男・佐久間暢翻訳監修、工業調査会(1998)の2.3.1節(20~57ページ)にも記載がある。
(MFR(メルトフローレート))
本発明において、MFRは、0.1~10g/10分の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5~8g/10分、さらに好ましくは1~8g/10分である。上記範囲を満足することで、フィルム成形加工時に良好な流動性が確保できる。
なお、MFRは、ISO 1133:1997に準拠して測定したものである。
(融点)
ポリプロピレン樹脂(Y)の融点は、好ましくは150℃以上、より好ましくは160℃以上である。融点が前記下限値以上であると、所望する耐熱性が確保できる。融点の上限については、特に限定されるわけではないが、通常、170℃である。なお、本発明における融点は、示差走査熱量測定(DSC)によって求めることができる。具体的には、一旦、室温から200℃まで昇温して、熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再度、昇温速度10℃/分にて測定した際の吸熱ピークトップの温度と定義する。
(配合量)
ポリエステル樹脂(X)100質量部に対するポリプロピレン樹脂(Y)の配合量は1~30質量部であることが好ましく、より好ましくは、5~30質量部であり、さらに好ましくは10~30質量部であり、その中でも特に10~25質量部がよい。
上記範囲を満足することにより、例えば、コンデンサー用ポリエステルフィルムとして、良好な電気特性を有することができる。
なお、本ポリエステルフィルムが多層フィルムである場合には、上記配合量は、本ポリエステルフィルム全体における配合量である。したがって、例えば、ポリプロピレン樹脂の配合量の異なる層を有する多層ポリエステルフィルムであっても、積層フィルム全体としてのポリプロピレン樹脂の配合量を指す。
ただし、一部の層のみが、ポリプロピレン樹脂(Y)を有して、その一部の層のみが例えば後述する通りポリプロピレン樹脂層(Yt)を有し、層状構造を有する層である場合には、その層におけるポリプロピレン樹脂(Y)の配合量が上記の通りとなればよく、全体における配合量が必ずしも上記範囲内でなくてもよい。
<硬化樹脂層の形成方法>
以下、硬化樹脂層の形成方法について詳細に説明する。硬化樹脂層の形成は、インラインコーティングにより行ってもよいし、オフラインコーティングにより行ってもよい。インラインコーティングは、ポリエステルフィルムを製造する製造ライン上で、ポリエステルフィルム表面に硬化樹脂層組成物の塗布液を塗布する方法である。オフラインコーティングは、一旦製造したポリエステルフィルム上に系外(上記製造ライン外)で塗布液を塗布する方法である。硬化樹脂層は、加工の容易性の点からインラインコーティングにより形成することが好ましい。
インラインコーティングは、具体的には、ポリエステルを溶融押出ししてから延伸後熱固定して巻き上げるまでのいずれか任意の段階で、ポリエステルフィルムに硬化樹脂層組成物の塗布液の塗布を行う方法である。通常、溶融、急冷して得られる未延伸シート、延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルム、熱固定後で巻上前のフィルムのいずれかでポリエステルフィルムに塗布液を塗布するとよい。
塗布液を塗布する方法としては、例えば、エアドクターコート、ブレードコート、ロッドコート、バーコート、ナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファロールコート、グラビアコート、キスロールコート、キャストコート、スプレーコート、カーテンコート、カレンダコート、押出コート等従来公知の塗布方法を用いることができる。
また、特に限定されるものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては、特に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルムに塗布液を塗布した後に横方向に延伸する方法が好ましい。かかる方法によれば、ポリエステルフィルムの製膜と硬化樹脂層の形成を同時に行うことができるため製造コスト上のメリットがあり、また、塗布後に延伸を行うために、硬化樹脂層の厚みを延伸倍率により変化させることもでき、オフラインコーティングに比べ、薄膜コーティングをより容易に行うことができる。さらには、硬化樹脂層の厚みをより均一にすることができる。
また、延伸前にポリエステルフィルム上に硬化樹脂層組成物の塗布液を塗布することにより、硬化樹脂をポリエステルフィルムと共に延伸することができ、それにより硬化樹脂層をポリエステルフィルムに強固に密着させることができる。
また、二軸延伸フィルムの製造においては、クリップ等によりフィルム端部を把持しつつ延伸することで、ポリエステルフィルムを縦および横方向に拘束することができ、熱固定工程において、しわ等が入らず平面性を維持したまま高温に加熱できる。そのため、硬化樹脂層組成物を塗布した後に施される熱処理が他の方法では達成できない高温とすることができるため、硬化樹脂層とポリエステルフィルムをより強固に密着させることができる。
また、ポリエステルフィルムに塗布された硬化樹脂層組成物の塗布液は、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングのいずれにおいても、熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射のいずれか一方のみを行ってもよいし、両方を併用してもよいが、少なくとも熱処理を行うことが好ましい。また、熱処理及び活性エネルギー線照射の一方又は両方により、硬化樹脂層組成物を硬化させるとよい。熱処理は、上記のとおり例えば熱固定工程による加熱により行えばよいが、他の方法により行ってもよい。また、硬化樹脂層組成物の塗布液は、溶媒を含む場合、適宜乾燥されるが、上記熱処理により乾燥されることが好ましい。
また、硬化樹脂層を形成するための塗布液のポリエステルフィルムへの塗布性、硬化樹脂層のポリエステルフィルムに対する接着性を改良するため、塗布液の塗布前に、ポリエステルフィルムの硬化樹脂層が形成される面に化学処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理等の表面処理を施してもよい。
硬化樹脂層付きポリエステルフィルムは、上記のとおり、ポリエステルフィルムと硬化樹脂層との間に他の層を備えていてもよい。当該他の層としては、例えば帯電防止層、易接着層、オリゴマー封止層などの各種機能を備えた層を挙げることができる。
硬化樹脂層の厚みは、0.005~1μmであることが好ましい。1μm以下とすることで、硬化樹脂層を構成する成分が硬化樹脂層等へ移行することを抑制し、さらに巻き取る際のブロッキングなども防止しやすくなる。一方で、0.005μm以上とすることで、帯電電位の減衰をより抑制しやすくなる。
これら観点から、硬化樹脂層の厚みは0.01μm以上がより好ましく、0.02μm以上がさらに好ましく、また、0.2μm以下がより好ましく、0.1μm以下がさらに好ましく、その中でも特に0.06μm以下がよい。
<本ポリエステルフィルムの製造方法>
本ポリエステルフィルムの製造方法の一例として、本ポリエステルフィルムが二軸延伸フィルムの場合の製造方法について説明する。但し、ここで説明する製造方法に限定するものではない。
先ずは、公知の方法により、原料、例えばポリエステルチップを溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上に加熱し、溶融ポリマーをダイから押し出し、回転冷却ドラム上でポリマーのガラス転移点以下の温度となるように冷却固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得るようにすればよい。
この場合、二軸混練押出による分散性向上を図るのがよい。押し出し機の回転数、滞留時間は下記を満足するのがよい。下記範囲を満足することにより、ポリエステル樹脂中にポリプロピレン樹脂が微分散されることで、電気特性が良好なフィルムを得ることが出来る。
本発明で用いる押出機は、シリンダーに原料供給口とベント開口部を有するベント式二軸押出機であって、少なくとも一つ以上の減圧されたベント部を有するものであることが好ましい。本発明で用いる二軸押出機の口径(シリンダー内径)D(mm)は特に限定されない。本発明で用いる二軸押出機の長さL(mm)は、好ましくは20D(Dは二軸押出機のシリンダー内径)~50D、さらに好ましくは25D~45Dである。Lが50D以下であると、押出機中での滞留時間が長くなることがなく、ポリエステルおよび非相溶性重合体の熱劣化が抑制されることがなく好ましい。一方、Lが20D以上であると、ポリエステルの可塑化が十分となる傾向があり、その結果、安定な溶融押出が可能となる。
本発明において、ポリエステル樹脂(X)をポリプロピレン樹脂(Y)と共にフィルム状に溶融押出しするに際し、ポリプロピレン樹脂(Y)の含有量は、単位時間当たりの総押出量Q(kg/時)に対し、1質量%以上である。ポリプロピレン樹脂(Y)の含有量が1質量%以上であると、例えば、コンデンサー用ポリエステルフィルムとして、良好な電気特性を有することができる。以上の観点から、ポリプロピレン樹脂(Y)の含有量は、単位時間当たりの総押出量Q(kg/時)に対し、1~30質量%の範囲であることが好ましく、1~20質量%の範囲であることがさらに好ましく、その中でも特に1~15質量%の範囲がよい。
また、ポリプロピレン樹脂(Y)の含有量は、ポリエステル樹脂(X)100質量部に対して、1~30質量部であることがより好ましく、5~20質量部であることがさらに好ましく、5~15質量部であることが特に好ましい。
本発明においては、シリンダーの内径D(mm)、単位時間当たりの総押出量Q(kg/時)に対し、スクリュー回転数N(rpm)が下記式(1)を満足することが必須である。
式(1)の範囲を満足する領域においては、回転数が押出量に対して適切であり、真空下での溶融樹脂表面の更新度が適度に行われ、十分な脱気が行えることにより、所望するポリエステルの成形が可能となる。以上の観点から、下記式(2)を満足することがより好ましく、下記式(3)を満足することがさらに好ましい。
0.05×10-6×D2.8 ≦Q/N≦6.0×10-6×D2.8 (1)
0.1×10-6×D2.8 ≦Q/N≦6.0×10-6×D2.8 (2)
0.1×10-6×D2.8 ≦Q/N≦5.5×10-6×D2.8 (3)
次に、当該未配向シートを、一方向にロール又はテンター方式の延伸機により延伸する。この際、延伸温度は、通常25~120℃、好ましくは35~100℃であり、延伸倍率は通常2.5~7倍、好ましくは2.8~6倍である。
次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸する。この際、延伸温度は通常50~140℃であり、延伸倍率は通常3.0~7倍、好ましくは3.5~6倍である。
なお、上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。
また、本発明においては、上記の通り、横方向への延伸倍率を高くすることが好ましく、したがって、一段目及び二段目のいずれかにおいて延伸倍率を4.5倍以上とすることが好ましい。
延伸後、引き続き130~270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱固定処理を行い、二軸配向フィルムとしての本ポリエステルフィルムを得ることができる。
本ポリエステルフィルムは、熱固定処理を行うことで、耐熱性などを向上させることができる。
本ポリエステルフィルムとして、多層構造を有する積層ポリエステルフィルムを製造する場合には、それぞれの層を構成する樹脂組成物を調製しておき、共押出することで多層フィルムを得ることができる。共押出する場合には、すべての層において、上記条件で押し出してもよいが、少なくとも1層が、上記押出し条件で製造されていればよい。例えば、表層/中層/表層の3層構成の場合には、中層のみ上記条件で押出し成形されてもよいし、全層が上記条件で押出し成形されてもよい。
その後の延伸等については、上記と同様にすればよい。
(フィルム厚み)
本発明のポリエステルフィルムの厚みは0.5~12.0μmが好ましい。厚みがこの範囲であると、例えば、コンデンサー用途として使用するのに適する。以上の観点から、本ポリエステルフィルムの厚みは、さらに好ましくは0.5~10.0μm、その中でも特に1.0~8.0μmがよい。
<本ポリエステルフィルムの特性>
(フィルムの断面構造)
本発明のポリエステルフィルムは、断面構造が層状構造を有し、且つ厚み方向の長さ(x)と幅方向(TD)の長さ(y)の比率(y/x)が17以上であるポリプロピレン樹脂層(Yt)を有することが好ましい。
好ましくは、上記に加えて、以下に示す、1)~4)の追加的要件を少なくとも一つ以上、同時に満足するのがよい。
1)厚み方向の長さ(x)と幅方向(TD)の長さ(y)の比率(y/x)が17以上であるポリプロピレン樹脂層(Yt)の単位面積当たりの個数(個/μm)が0.08個/μm以上であるのがよい。さらに好ましくは0.10個/μm以上である。
2)前記比率(y/x)をフィルム厚み(t)で除した値が1.5以上であることが好ましく、より好ましくは2.0以上、さらに好ましくは4.0以上、特に5.0以上がよい。
3)観察視野の幅方向(TD)において、ポリプロピレン樹脂層(Yt)が端から端まで連続した構造を有することが好ましい。なお、観察視野の大きさは、19μm×25μmである。
4)ポリプロピレン樹脂層(Yt)が複数あり、厚み方向において隣接するポリプロピレン樹脂層(Yt)とポリプロピレン樹脂層(Yt)との間にポリエステル樹脂層(Xt)が介在する層状構造を有することが好ましい。
上記1)~4)を少なくとも一つ以上、好ましくは二つ以上、さらに好ましくは三つ以上、最も好ましくはすべてを同時に満足することにより、誘電正接が良好なポリエステルフィルムを得ることが可能となる。
上記構造を形成するための具体的手段として、例えば、原料配合時点で混練時間を十分にとること、延伸条件面より、延伸倍率、特に横延伸倍率を4.0倍以上にすること、使用するポリプロピレン樹脂の種類について、MFRが0.1~10g/10分以下のタイプを選択すること、相溶化剤を併用することなどが挙げられる。
これらの手法は単独で用いてもよいし、複数併用してもよい。
本発明においてはコンデンサー用途に対応するため、フィルム厚みが通常とは異なり、極薄領域(0.5~12μm)が主流となる。そのため、他用途(例えば、紙代替におけるクッション性付与を目的として)のように、ポリエステル樹脂に対して、非相溶なポリプロピレン樹脂を用いて、空隙(ボイド)を意図的に形成するものとは異なる。
ポリプロピレン樹脂を用いる理由は、例えば、コンデンサー用フィルムとして、特に低周波領域における電気特性改良を意図して用いている。かかる観点より、フィルム成形加工後、フィルム中のポリプロピレン樹脂由来の空隙(ボイド)を極力形成しない方が電気特性を良好とするとの設計思想より、前述の通り、フィルムの断面構造と電気特性(誘電正接)との関係性に着目して、本発明を完成させるに至った。
また、前記層状構造を形成するメカニズムは不明であるが、極薄領域(0.5~12μm)の厚みを有するフィルムを延伸する際にはフィルムの厚み方向に上下から力が加わると推察される。フィルムの厚み方向に上下から加わる力と前記混練程度との相乗効果も加わり、ポリエステル樹脂層(Xt)とポリプロピレン樹脂層(Yt)との密着性を向上させた結果、例えば、両者の界面に存在する空気を押し出すことで、結果的に空隙(ボイド)を形成しにくい層状構造をとるものと推察される。
(誘電正接(tanδ))
本発明のポリエステルフィルムは、1kHzにおけるtanδが0.54以下であることがこのましく、さらに好ましくは0.50以下がよい。tanδが前記範囲を満足することによりフィルムの電気特性が良好となり、コンデンサー用に好適となる。
<金属積層フィルム>
本発明のポリエステルフィルムは、その少なくとも片面に金属層が設けられた金属積層フィルムとすることができる。該金属積層フィルムは、コンデンサー用として有用である。
金属としては、銅、銀、クロム、アルミニウム、ニッケル、亜鉛等が挙げられ、これらのうち、コスト、環境対応の点から、アルミニウム、亜鉛が好ましい。金属層の厚みとしては、10~5000Åの範囲であることが好ましく、100~4000Åの範囲であることがより好ましく、100~2000Åの範囲であることがさらに好ましい。上記範囲内であると電気特性の点で有利である。
<語句の説明など>
本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
本発明において、「X~Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
次に、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。但し、本発明が、以下に説明する実施例に限定されるものではない。
<評価方法>
種々の物性及び特性の測定及び評価方法は、以下の通りである。
(1)極限粘度(IV)
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)フィルム厚み
フィルム小片をエポキシ樹脂にて固定成形した後、ミクロトームで切断し、フィルムの断面を透過型電子顕微鏡写真にて観察した。その断面のうちフィルム表面とほぼ平行に2本、明暗によって界面が観察される。その2本の界面とフィルム表面までの距離を10枚の写真から測定し、平均値をフィルム厚みとした。
(3)ポリプロピレン樹脂(Y)の融点
示差走査熱量測定(DSC)によって、室温から200℃まで昇温して、熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再度、昇温速度10℃/分にて測定した際の吸熱ピークトップの温度と定義する。
(4)ポリプロピレン樹脂層(Yt)の厚み方向の長さ(x)と幅方向(TD)の長さ(y)の比率(y/x)
試料フィルムの断面構造について、SEM(日立ハイテク社製 型式:FE-SEM SU8220)による観察を行った(観察視野:19μm×25μm、倍率:5000倍)。その後、撮影した断面画像を用いて、ポリプロピレン樹脂層(Yt)の厚み方向の長さ(x)と幅方向(TD)の長さ(y)の比率(y/x)を測定した。また、観察視野における、前記比率(y/x)が17以上であるポリプロピレン樹脂層(Yt)の単位面積当たりの個数(個/μm)、観察視野内の個数(個/19μm×25μm)、及び観察視野内の個数/フィルム厚み(t)の値を求めた。
(5)誘電正接(tanδ)
予め、試料フィルムの両面に円形にAl蒸着したサンプルを装置(HP(HEWLETT PACKARD)社製 型式:4284A)に載せ、上下から電極を接触させ、電流の周波数を1kHZに設定した時のtanδを計測した。
具体的には、コンデンサーに交流電圧を印可した時に電力損失が発生するが、この時の損失角をδとし、tanδを誘電正接とする。tanδの値が小さいほど、優良なコンデンサーであることを示している。
各実施例および比較例におけるポリエステルフィルムの原料は、以下のとおりである。
(ポリエステルフィルム)
(a)ポリエステル樹脂(X1):極限粘度が0.63であるポリエチレンテレフタレートホモポリマー(重縮合触媒;アンチモン)。
(b)ポリエステル樹脂(X2):平均粒子径0.8μmのシリカ粒子を0.5質量%含有する、極限粘度が0.65であるポリエチレンテレフタレートホモポリマー(重縮合触媒;アンチモン)。
(c)ポリプロピレン樹脂(Y):融点163℃、MFR=7.5(住友化学社製:FLX80E4)
[実施例1]
固有粘度が0.63(dL/g)のポリエステルX1を70質量%、固有粘度が0.65(dL/g)のポリエステルX2を20質量%、MFRが0.75のポリプロピレンY1を10質量%、ベント付き二軸押出機(シリンダー口径D=47mm、スクリュー回転方向=同方向回転)で、285℃でフィルム状に溶融押出した後、25℃の回転冷却ドラム上に静電密着法を用いて急冷固化し、無定型フィルムを得た。この時の総押出量(Q)は20(kg/時)、スクリュー回転数(N)は、100(rpm)であった。
次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向(MD)に3.2倍延伸した。テンターに導き、横方向(TD)に100℃で4.7倍延伸した。その後、220℃で熱処理を行った後、横方向に0.5%弛緩し、厚みが8.1μmのポリエステルフィルムを得た。
図1に実施例1で得られたポリエステルフィルム(試料フィルム)の断面写真(倍率:5000倍)を示す。また、上記方法にて、測定した物性値について、表1に示す。
[比較例1]
固有粘度が0.63(dL/g)のポリエステルX1を90%質量、MFRが0.75のポリプロピレンY1を10質量%、ベント付き単軸押出機(シリンダー口径D=150mm、スクリュー回転方向=同方向回転)で、285℃でフィルム状に溶融押出した後、25℃の回転冷却ドラム上に静電密着法を用いて急冷固化し、無定型フィルムを得た。この時の総押出量(Q)は445.7(kg/時)、スクリュー回転数(N)は、41.42(rpm)であった。
次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度86℃で縦方向(MD)に3.8倍延伸した。テンターに導き、横方向(TD)に85℃で4.0倍延伸した。その後、220℃で熱処理を行い、厚みが10.9μmのポリエステルフィルムを得た。
図2に比較例1で得られたポリエステルフィルム(試料フィルム)の断面写真(倍率:5000倍)を示す。また、上記方法にて、測定した物性値について、表1に示す。
Figure 2022182208000001
二軸押出機を用いた実施例1は、単軸押出機を用いた比較例1と比較して、誘電正接(tanδ)が良好であることがわかった。
これは、フィルム断面構造に着目した場合に、両者ともにポリプロピレン樹脂(Y)が扁平な層状構造を有するが、実施例1の方が、層状構造が観察視野領域に多数確認されたことによると考えられる。すなわち、電気特性(誘電正接)との関係性において、前記層状構造の層の数がフィルム厚み方向により多く存在する方が、電気特性が良好である傾向にあった。
前記層状構造を形成するメカニズムは不明であるが、極薄領域(0.5~12μm)の厚みを有するフィルムを延伸する際に、特に横方向の延伸倍率が4.5倍以上において、フィルムの厚み方向に上下から、さらに強い力が加わると推察される。
フィルムの厚み方向に上下から加わる力と前記混練度合いとの相乗効果によって、ポリエステル樹脂層(Xt)とポリプロピレン樹脂層(Yt)との密着性をさらに向上させた結果、例えば、ポリエステル樹脂層(Xt)とポリプロピレン樹脂層(Yt)との界面に存在する空気を押し出すことで、結果的に空隙(ボイド)を形成しにくい層状構造をとるものと推察される。

Claims (13)

  1. シリンダーに原料供給口とベント開口部を有するベント式二軸押出機を用い、ポリエステル樹脂(X)をポリプロピレン樹脂(Y)と共にフィルム状に溶融押出しするに際し、ポリプロピレン樹脂(Y)の含有量が、単位時間当たりの総押出量Q(kg/時)に対し1質量%以上であって、シリンダーの内径D(mm)、単位時間当たりの総押出量Q(kg/時)に対し、スクリュー回転数N(rpm)が下記式(1)を満足する、ポリエステルフィルムの製造方法。
    0.05×10-6×D2.8≦Q/N≦6.0×10-6×D2.8 (1)
  2. ポリエステル樹脂(X)100質量部に対して、ポリプロピレン樹脂(Y)を1~30質量部含む、請求項1に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
  3. ポリエステル樹脂(X)がポリエチレンテレフタレート及びポリエチレン-2,6-ナフタレートから選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
  4. 前記ポリエステル樹脂(X)の重縮合触媒がTi系またはSb系である、請求項1~3の何れか1項に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
  5. フィルム厚みが0.5~12.0μmである、請求項1~4の何れか1項に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
  6. 前記請求項1~5の何れか1項に記載のポリエステルフィルムの製造方法を用いて製造したポリエステルフィルム。
  7. フィルムの断面構造が層状構造を有し、且つ厚み方向の長さ(x)と幅方向(TD)の長さ(y)の比率(y/x)が17以上であるポリプロピレン樹脂層(Yt)を有する、請求項6に記載のポリエステルフィルム。
  8. 前記ポリプロピレン樹脂層(Yt)が0.08個/μm以上である、請求項7に記載のポリエステルフィルム。
  9. 前記比率(y/x)をフィルム厚み(t)で除した値が1.5以上である、請求項7又は8に記載のポリエステルフィルム。
  10. 19μm×25μmの観察視野の幅方向(TD)において、前記ポリプロピレン樹脂層(Yt)が端から端まで連続した構造を有する、請求項7~9の何れか1項に記載のポリエステルフィルム。
  11. 前記ポリプロピレン樹脂層(Yt)を複数有し、厚み方向において隣接する前記ポリプロピレン樹脂層(Yt)とポリプロピレン樹脂層(Yt)との間にポリエステル樹脂層(Xt)が介在した構造を有する、請求項7~10の何れか1項に記載のポリエステルフィルム。
  12. 1kHzにおける誘電正接(tanδ)が0.54以下である、請求項6~11のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
  13. 前記請求項6~12のいずれか1項に記載のポリエステルフィルムの少なくとも片面に金属層が設けられた、金属積層フィルム。
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