JP2022174181A - 粘着シート、剥離シート付き粘着シート、積層体及び積層体の製造方法 - Google Patents

粘着シート、剥離シート付き粘着シート、積層体及び積層体の製造方法 Download PDF

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直人 安田
Naoto Yasuda
睦之 加嶋
Mutsuyuki Kashima
雅樹 西田
Masaki Nishida
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Abstract

【課題】粘着力が高く、耐ブリスター性に優れる粘着シート、該粘着シートを含む剥離シート付き粘着シート及び積層体、並びに積層体の製造方法を提供する。【解決手段】粘着剤組成物の半硬化物を含む粘着剤層を備える粘着シートであって、前記粘着剤組成物は、架橋性アクリル共重合体(A)と、架橋剤(B)と、分子内に重合性二重結合を2つ以上有する多官能単量体(C)と、光重合開始剤(D)とを含有し、前記架橋性アクリル共重合体(A)は、酸性官能基を有する構成単位(a2)を含有する。前記構成単位(a2)の含有割合は、前記架橋性アクリル共重合体(A)に含まれる全構成単位に対して5~15質量%であり、前記架橋性アクリル共重合体(A)のガラス転移温度が-40~-20℃であり、前記多官能単量体(C)は、前記架橋性アクリル共重合体(A)100質量あたり5~20質量部含まれる。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着シート、剥離シート付き粘着シート、積層体及び積層体の製造方法に関
する。
従来、液晶ディスプレイ(LCD)などの表示装置、表示装置と組み合わせて用いられ
るタッチパネルなどの入力装置が広く用いられている。これらの表示装置及び入力装置の
製造などにおいては、光学部材を貼り合せる用途に透明な粘着シートが使用されており、
表示装置と入力装置との貼合にも透明な粘着シートが使用されている。
光学部材用の粘着シートを形成する粘着剤組成物は、公知の重合方法によって製造され
ている。この重合方法としては、例えば、溶液重合、バルク重合、懸濁重合、乳化重合等
が挙げられるが、中でも、製造が容易で光学的に透明な粘着シートが製造できるため、粘
着剤層には溶剤型粘着剤を用いた粘着シートが広く使用されている。溶剤型粘着剤として
は、アクリル樹脂を主成分とするものが挙げられる。このようなアクリル樹脂は、溶液重
合と呼ばれる手法で、アクリルモノマーを溶剤に溶解させた溶剤中で重合反応を行うこと
によって得られる。溶液重合では重合が進行するにつれてポリマーの分子量が上昇して反
応溶液の粘度が上昇することから、粘着剤として必要な凝集力を得るために必要な分子量
を有するポリマーの合成には技術的な制限がある。そこで、粘着剤に必要な凝集力を確保
するため、粘着剤組成物にイソシアネート系化合物、エポキシ系化合物等のアクリル樹脂
と反応し得る架橋剤を配合することが行われている。このような架橋剤は経時的にアクリ
ル樹脂と反応することにより架橋ネットワークを構築し、粘着剤層の凝集力を高める。
また、光学部材用の粘着シートを形成する方法としては、熱(又は活性エネルギー線)
による架橋をした後に活性エネルギー線(又は熱)による重合を行う2段硬化により硬化
する方法が用いられる場合がある。このような粘着シートは、例えば、熱硬化性及び活性
エネルギー線硬化性の両方を備える粘着剤組成物(以下、「デュアル硬化型粘着剤組成物
」とも称する)から形成されるため、熱硬化性及び活性エネルギー線硬化性を有している
。このため、被着体との貼合前に、例えば熱硬化のみを行うことで取り扱いが容易な程度
の硬さを発現させることができ、その後、被着体と貼合した後に、更に活性エネルギー線
により硬化させる(後硬化又はアフターキュアと称される)ことで被着体に強固に接着で
きる。
例えば、特許文献1には、粘着剤組成物を半硬化状態とした粘着剤層を有する粘着シー
トにおいて、粘着剤組成物が、架橋性アクリル重合体、架橋剤、分子内に反応性二重結合
を2つ以上有する多官能単量体及び光重合開始剤を含有すること、粘着剤層を後硬化した
場合に所定のプローブタック値等を有する粘着シートが提案されている。斯かる粘着シー
トは、加工性に優れ、高温高湿耐久性にも優れるものとなる。
特開2020-7407号公報
しかしながら、近年では、表示装置等の大画面化及び高性能化に伴い、粘着シートに対
する要求性能もさらに高まっている。特に、後硬化状態にある粘着剤層の硬化収縮がさら
に抑制され、高温高湿下でも優れた密着性及び耐久性を有する粘着シート、つまり、耐ブ
リスター性をよりいっそう向上させた粘着シートが強く望まれている。この点、粘着シー
トにおいて、密着性(粘着力)と耐ブリスター性とは互いにトレードオフの関係になりや
すいことから、両方の性能をよりいっそう向上させることは難しいものであった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、粘着力が高く、耐ブリスター性に優れる
粘着シート、該粘着シートを含む剥離シート付き粘着シート及び積層体、並びに積層体の
製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、粘着剤層を形成するため
に用いる粘着剤組成物を特定の成分で構成することにより上記目的を達成できることを見
出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、例えば、以下の項に記載の主題を包含する。
項1
粘着剤組成物の半硬化物を含む粘着剤層を備える粘着シートであって、
前記粘着剤組成物は、架橋性アクリル共重合体(A)と、架橋剤(B)と、分子内に重合
性二重結合を2つ以上有する多官能単量体(C)と、光重合開始剤(D)とを含有し、
前記架橋性アクリル共重合体(A)は、酸性官能基を有する構成単位(a2)を含有し、
前記構成単位(a2)の含有割合は、前記架橋性アクリル共重合体(A)に含まれる全構
成単位に対して5~15質量%であり、
前記架橋性アクリル共重合体(A)のガラス転移温度が-40~-20℃であり、
前記多官能単量体(C)は、前記架橋性アクリル共重合体(A)100質量あたり1~2
0質量部含まれる、粘着シート。
項2
前記粘着剤層のゲル分率は50~80%であり、かつ、
前記粘着剤層に活性エネルギー線を積算光量が3000mJ/cmとなるように照射し
て後硬化した場合のゲル分率が75~90%である、項1に記載の粘着シート。
項3
前記粘着剤層の粘着力は5N/25mm以上であり、かつ、
前記粘着剤層に活性エネルギー線を積算光量が3000mJ/cmとなるように照射し
て後硬化した場合の粘着力が10N/25mm以上である、項1又は2に記載の粘着シー
ト。
項4
項1~3のいずれかに記載の粘着シートの両面に、剥離力が互いに異なる一対の剥離シー
トを備える、剥離シート付き粘着シート。
項5
項1~3のいずれかに記載の粘着シートと、前記粘着シートの少なくとも一方の面側に備
えた被着体とを有し、
前記粘着シートの粘着剤層は後硬化状態である、積層体。
項6
前記被着体が樹脂板及び樹脂フィルムからなる群より選ばれる1種以上である、項5に記
載の積層体。
項7
項1~3のいずれかに記載の粘着シートの少なくとも一方の面側に被着体を積層する工程
1、及び、
前記粘着シートの粘着剤層に活性エネルギー線を照射することにより前記粘着剤層を後硬
化させる工程2を備える、積層体の製造方法。
項8
前記工程2の後、積層体を加工する工程をさらに備える、項7に記載の積層体の製造方法

項9
前記粘着剤層の厚みが5~150μmである、項7又は8に記載の積層体の製造方法。
本発明に係る粘着シートは、粘着力が高く、耐ブリスター性に優れる。従って、本発明
に係る粘着シートは、高温高湿環境下においても被着体からの浮きや剥がれが発生しにく
く、密着性及び耐久性に優れる。
剥離シート又は基材を有する本発明の粘着シートの断面を表す概略図である。 本発明の積層体の一例の断面を表す概略図である。 本発明の積層体の他の一例の断面を表す概略図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書中において、「含有
」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「
のみからなる」という概念を含む。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代
表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態
に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は
「~」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよびメタクリレ
ートの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリル酸」はアクリル酸およびメタ
クリル酸の双方、または、いずれかを表す。
また、本明細書において、「単量体」と「モノマー」は同義であり、「重合体」と「ポ
リマー」は同義である。
1.粘着シート
本発明の粘着シートは、粘着剤組成物の半硬化物を含む粘着剤層を備える。前記粘着剤
組成物は、架橋性アクリル共重合体(A)と、架橋剤(B)と、分子内に重合性二重結合
を2つ以上有する多官能単量体(C)と、光重合開始剤(D)とを含有する。
本発明の粘着シートにおいて、前記架橋性アクリル共重合体(A)は、酸性官能基を有
する構成単位(a2)を含有し、前記構成単位(a2)の含有割合は、前記架橋性アクリ
ル共重合体(A)に含まれる全構成単位に対して5~15質量%であり、前記架橋性アク
リル共重合体(A)のガラス転移温度が-40~-20℃であり、前記多官能単量体(C
)は、前記架橋性アクリル共重合体(A)100質量あたり1~20質量部含まれる。
本発明に係る粘着シートは、前記粘着剤組成物の半硬化物を含む粘着剤層を備えること
から粘着力が高く、耐ブリスター性に優れる。従来、軽量化及び耐衝撃性向上の観点から
、表示装置等の用途においては、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル等の樹脂板
を使用することがあるが、これらの樹脂板を使用すると、高温、高湿環境下で粘着剤層に
発泡や浮きが発生するブリスター現象が生じやすく、すなわち、耐ブリスター性に問題が
あった。しかし、本発明に係る粘着シートは、従来よりもブリスター現象が生じにくいも
のであり、高温高湿環境下においても被着体からの浮きや剥がれが発生しにくく、密着性
及び耐久性に優れる。
前記粘着剤組成物は、粘着シートの粘着剤層を形成するための原料であって、特には、
前記デュアル硬化型粘着剤組成物である。前述のように、粘着剤組成物は、構成成分とし
て、少なくとも架橋性アクリル共重合体(A)と、架橋剤(B)と、分子内に重合性二重
結合を2つ以上有する多官能単量体(C)と、光重合開始剤(D)とを含有する。
(架橋性アクリル共重合体(A))
架橋性アクリル共重合体(A)は、少なくとも(メタ)アクリル系構成単位と、酸性官
能基を有する構成単位(a2)とを含む重合体であって、ガラス転移温度が-40℃以上
、-20℃以下の範囲である重合体である。なお、本明細書において、(メタ)アクリル
系構成単位における「単位」又は「構成単位」は重合体を構成する繰り返し単位(単量体
単位ともいう)である。
前記(メタ)アクリル系構成単位としては、例えば、1種又は異なる2種以上の非架橋
性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)が挙げられる。従って、架橋性アクリル共重
合体(A)としては、1種又は異なる2種以上の非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単
位(a1)と、酸性官能基を有する構成単位(a2)とを含む共重合体が挙げられる。
非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)は、(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステルに由来する繰り返し単位である。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アルキ
ルエステルにおけるアルキル基の炭素数が2以下である(メタ)アクリル酸アルキルエス
テル、及び、アルキル基の炭素数が3以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルの
両方を含むことが好ましい。この場合、架橋性アクリル共重合体(A)は、前記ガラス転
移温度が前記範囲になりやすく、粘着剤層が後硬化処理された後もポリマー成分の凝集力
が高まりやすくなるので、この結果、粘着シートの耐ブリスター性能が向上しやすい。
アルキル基の炭素数が2以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(
メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等が例示される。これらは1種類を
単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。アルキル基の炭素数が2以下で
ある(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、(メタ)アクリル酸メチル及び/又は(メ
タ)アクリル酸エチルであることが好ましい。
アルキル基の炭素数が3以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(
メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-
ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アク
リル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチル
ヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ
)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸n-デシ
ル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸n-ウンデシル、(メタ)アク
リル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸メトキシエチ
ル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)
アクリル酸ベンジル等が挙げられる。これらは1種類を単独で使用してもよいし、2種類
以上を併用してもよい。
アルキル基の炭素数が3以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおいて、ア
ルキル基の炭素数は4以上であることが好ましく、また、アルキル基の炭素数は18以下
であることが好ましく、12以下であることがより好ましく、8以下であることがより好
ましい。
アルキル基の炭素数が3以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、粘着シー
トの粘着性が高くなりやすい点で、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸
2-エチルヘキシルから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルが、アルキル基の炭素数が2以下である(メタ)
アクリル酸アルキルエステル、及び、アルキル基の炭素数が3以上である(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステルの両方を含む場合、粘着剤層が後硬化処理された後もポリマー成分
の凝集力が高まりやすく、発泡も抑制されやすくなって、粘着シートの耐ブリスター性能
が向上しやすくなるという観点で、両者の含有割合は、次のようにすることができる。す
なわち、アルキル基の炭素数が2以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、及び
、アルキル基の炭素数が3以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルの総量に対し
て、アルキル基の炭素数が3以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルを40質量
%以上であることが好ましく、45質量%以上であることがより好ましく、50質量%以
上であることがさらに好ましく、54質量%以上であることが特に好ましく、また、95
質量%以下であることが好ましくは、90質量%以下であることがより好ましく、85質
量%以下であることがさらに好ましく80質量%以下であることが特に好ましい。
非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)は、アルキル基の炭素数が2以下で
ある(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位、及び、アルキル基の炭素数が3以上であ
る(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位以外の(メタ)アクリル酸エステル単位を含
むことができる。あるいは、非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)は、アル
キル基の炭素数が2以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位、及び、アルキ
ル基の炭素数が3以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位のみからなるもの
であってもよい。
なお、念のための注記に過ぎないが、非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1
)は、後記酸性官能基を有する構成単位(a2)以外の構成単位であり、つまりは、酸性
官能基を有さない構成単位、特に、カルボキシ基を有さない構成単位である。
なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおいて、アルキル基は直鎖及び分岐のい
ずれでもよい。
酸性官能基を有する構成単位(a2)において、酸性官能基は、酸性であって、特には
後記する架橋剤(B)によって架橋反応を進行させることができる官能基である。斯かる
酸性官能基としては、カルボキシ基又はカルボキシ基に由来する基、スルホ基又はスルホ
基に由来する基等が挙げられ、中でも酸性官能基はカルボキシ基であることが好ましい。
すなわち、酸性官能基を有する構成単位(a2)は、カルボキシ基含有単量体に由来する
構成単位であることが好ましい。この場合、粘着シートは、粘着力がより高くなりやすく
、また、耐久性も特に向上しやすいので、耐ブリスター性がより優れるものとなる。カル
ボキシ基含有単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。これらは1種類
を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記構成単位(a2)の含有割合は、前述のように、架橋性アクリル共重合体(A)に
含まれる全構成単位に対して5~15質量%である。これにより、粘着シートは、粘着力
がより高くなりやすく、また、耐久性も向上しやすい。前記構成単位(a2)の含有割合
は、架橋性アクリル共重合体(A)に含まれる全構成単位に対して5~10質量%である
ことがより好ましい。
架橋性アクリル共重合体(A)は、非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)
及び酸性官能基を有する構成単位(a2)に加え、さらに他の構成単位を含むこともでき
る。他の構成単位は、例えば、アクリル単量体と共重合可能な単量体に由来する構成単位
を広く挙げることができ、具体的には(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン
、塩化ビニル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン等が挙げられる。他の構成単位として
は、酸性官能基以外の架橋性官能基を有する単量体を含むことができる。酸性官能基以外
の架橋性官能基としては、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、グリシジル基又はイソシ
アネート基を挙げることができる。なお、架橋性アクリル共重合体(A)は、(メタ)ア
クリル系構成単位で形成される重合体であって、ガラス転移温度が-40℃以上、-20
℃以下の範囲である重合体である限りは、非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a
1)と、酸性官能基を有する構成単位(a2)とを含む共重合体以外の共重合体であって
もよい。
架橋性アクリル共重合体(A)は、非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)
と、酸性官能基を有する構成単位(a2)のみからなる共重合体とすることもできる。架
橋性アクリル共重合体(A)は、通常はランダム共重合体である。
架橋性アクリル共重合体(A)はガラス転移温度が-40~-20℃の範囲である。こ
れにより、粘着剤層においてポリマー成分の凝集力が高まり、発泡を抑制しやすくなるの
で、この結果、粘着シートの耐ブリスター性能が向上しやすい。
架橋性アクリル共重合体(A)のガラス転移温度は、-40℃を超えることが好ましく
(つまり、-40℃は含まない)、-35℃以上であることがより好ましい。また、架橋
性アクリル共重合体(A)のガラス転移温度は、-20℃未満であることが好ましく、-
25℃以下であることがより好ましい。
架橋性アクリル共重合体(A)のガラス転移温度を調節する方法は特に限定されず、例
えば、アルキル基の炭素数が2以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位、ア
ルキル基の炭素数が3以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位及び酸性官能
基を有する構成単位(a2)の含有割合を調節する方法が挙げられる。
本発明において、架橋性アクリル共重合体(A)のガラス転移温度は、該共重合体の合
成に用いられる単量体の組成に基づいて、下記Foxの式により求められるTgをいう。
Foxの式:1/Tg=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+・・・+(Wm/Tgm

ここで、W1+W2+・・・+Wm=1
式中、Tgは架橋性アクリル共重合体(A)のガラス転移温度(単位:K)であり、Tg
1、Tg2、・・・、Tgmは架橋性アクリル共重合体(A)を構成するm種類の単量体
(mは整数)のそれぞれのホモポリマーのガラス転移温度であり、W1、W2、・・・、
Wmは架橋性アクリル共重合体(A)における各構成単位の質量分率である。なお、Tg
1とW1とは、互いに対応する関係にあり、つまり、Tg1のガラス転移温度を示すホモ
ポリマーを構成するモノマーは、質量分率がW1である構成単位を形成するためのモノマ
ーと同一である。同様に、Tg2とW2、・・・TgmとWmとは、互いに対応する関係
にある。
前述のホモポリマーのガラス転移温度としては、例えば、Polymer Handb
ook 4th Edition (Wiley-Interscience 2003
)に記載の値を用いることができる。斯かるハンドブックに記載が無い場合は、例えば、
示差走査型熱量計(DSC)によりホモポリマーのガラス転移温度を測定できる。DSC
の測定条件としては、試料5mg、窒素雰囲気下とし、1回目の測定(1st RUN)
で昇温速度5℃/分で-100℃から200℃まで昇温した後、降温速度5℃/分で-1
00℃まで冷却し、さらに2回目の測定(2nd RUN)で昇温速度5℃/分で-10
0℃から200℃まで昇温する。ここでガラス転移温度は、2nd RUNにおいて-1
00℃から200℃まで昇温したときに測定されるDSC曲線のベースラインが吸熱方向
にシグモイド型に変化する領域において、シグモイド型に変化する領域より低温側のベー
スラインの延長線と、シグモイドにおける変曲点の接線の交点を指す。
架橋性アクリル共重合体(A)の重量平均分子量は、20万~200万が好ましく、3
0万~150万がより好ましい。重量平均分子量が上記範囲内であると、粘着剤層の半硬
化状態を維持しやすく、かつ後硬化後の硬度を出しやすく、加工性に優れる。なお、架橋
性アクリル共重合体(A)の重量平均分子量は架橋剤で架橋される前の値である。重量平
均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測定し、ポリスチレン基準
で求めた値である。架橋性アクリル共重合体としては、市販のものを用いてもよく、公知
の方法により合成したものを用いてもよい。
架橋性アクリル共重合体(A)の製造方法は特に限定されず、例えば、公知のアクリル
共重合体を製造する方法と同様の方法を採用することができる。
例えば、非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)を形成するための(メタ)
アクリル酸アルキルエステルと、酸性官能基を有する構成単位(a2)を形成するための
カルボキシ基含有単量体とを含む単量体混合物の重合反応により、架橋性アクリル共重合
体(A)を製造することができる。重合反応の条件も特に限定されず、例えば、公知の重
合反応を広く採用することができる。
(架橋剤B)
架橋剤(B)は、架橋性アクリル共重合体の架橋反応を進行させることができる限り、
特に限定されず、例えば、公知の架橋剤を広く使用することができる。例えば、架橋剤(
B)は、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合
物、金属キレート化合物、ブチル化メラミン化合物などの公知の架橋剤の中から選択でき
る。これらの中でも、カルボキシ基含有アクリレートを容易に架橋できることから、エポ
キシ化合物を用いることが好ましい。すなわち、架橋剤は二官能以上のエポキシ化合物で
あることが好ましい。
エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエ
チレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ネ
オペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエ
ーテル、テトラグリシジルキシレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミ
ノメチル)シクロヘキサン、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセ
ロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトー
ルポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
粘着剤組成物中の架橋剤の含有量は、所望とする粘着性等に応じて適宜選択されるが、
架橋性アクリル共重合体(A)100質量部に対し、0.01~5質量部が好ましく、0
.01~3質量部がより好ましい。架橋剤(B)の含有量を上記範囲内とすることにより
、基材への密着性を高めることができ、かつ加工性をより高めることができる。なお、架
橋剤(B)は1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよく、2種類以上を併用す
る場合は、合計質量が上記範囲内であることが好ましい。
(多官能単量体(C))
多官能単量体(C)は、分子内に重合性二重結合を2つ以上有する化合物である。多官
能単量体(C)が粘着剤組成物に含まれることで、半硬化状態である粘着剤層が後硬化処
理されたときに多官能単量体(C)のラジカル重合反応、特には架橋反応が進行し、これ
により、粘着剤層が後硬化し、後硬化状態となる。
多官能単量体(C)は、例えば、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ
)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3-ブチレングリコー
ル、ジ(メタ)アクリル酸1,4-ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,9-
ノナンジオール、ジアクリル酸1,6-ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ポリブ
チレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ジ(メタ)アクリル
酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メ
タ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジ
アクリレート、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリル
酸ペンタエリスリトール、テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール等の多価アル
コールの(メタ)アクリル酸エステル類、メタクリル酸ビニル等が挙げられる。これらは
1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
多官能単量体(C)は、重合性二重結合の個数が2個以上であり、2個以上5個未満で
あることが好ましく、2個以上4個未満であることがより好ましい。
多官能単量体(C)は、例えば、市販品を使用できる。市販品としては、東亞合成社製
の三官能モノマーM310(トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート)や三官
能モノマーM321(トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレー
ト)、東亞合成社製の二官能モノマーM211B(ビスフェノールA EO変性ジアクリ
レート)等が挙げられる。
多官能単量体(C)は、1分子内にビスフェノール骨格を有するものであってもよい。
1分子内にビスフェノール骨格を有する多官能単量体を用いることにより、後硬化後の粘
着剤層の硬度をより効果的に高めることができ、粘着シートの加工性が向上しやすい。斯
かる多官能単量体(C)としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジ
アクレート、プロポキシ化ビスフェノールAのジアクリレート、ビスフェノールFジグリ
シジルエーテルのジアクレート等が挙げられる。
多官能単量体(C)をホモポリマーとした時のガラス転移温度(Tg)は、30℃以上
であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましい。多官能単量体をホモポリ
マーとした時のガラス転移温度(Tg)は、例えば、300℃以下であればよい。多官能
単量体Cをホモポリマーとした時のガラス転移温度(Tg)を上記範囲とすることにより
、粘着シートの加工性をより効果的に高めることができる。ガラス転移温度は、文献値を
採用してもよいが、多官能単量体(C)を重量平均分子量が1万以上のホモポリマーとし
た後、該ホモポリマーのガラス転移温度を、DSC(示差走査熱計量計)を用いて測定し
た値を採用することができる。
粘着剤組成物において、多官能単量体(C)は、架橋性アクリル共重合体(A)100
質量あたり1~20質量部含まれる。これによって、後硬化処理によって後硬化状態にあ
る粘着剤層の硬化収縮が起こりにくくなり、この結果、粘着シートの粘着力が向上すると
共に耐ブリスター性に優れるものとなる。特に、架橋性アクリル共重合体(A)は従来に
比べてTgが高く、ポリマー成分の凝集力が強いので、硬化収縮が起こりやすくなるとも
考えられる。しかし、これに反して本発明では、多官能単量体(C)が特定量含まれるこ
とで、そのような硬化収縮が起こりにくいものとなる。この結果、粘着シートの高い粘着
力が維持されつつ、優れた耐ブリスター性も有することができる。
粘着剤組成物において、多官能単量体(C)は、架橋性アクリル共重合体(A)100
質量あたり1質量部を超えることが好ましく、5質量部以上含まれることがより好ましい
。また、多官能単量体(C)は、架橋性アクリル共重合体(A)100質量あたり20質
量部以下含まれることが好ましく、15質量部以下含まれることがより好ましい。
(光重合開始剤(D))
粘着剤組成物は光重合開始剤(D)を含有する。光重合開始剤は、後硬化処理における
活性エネルギー線照射により架橋性アクリル共重合体や多官能単量体の重合を開始させる
ものであることが好ましい。光重合開始剤(D)としては、公知の光重合開始剤を用いる
ことができる。「活性エネルギー線」とは電磁波または荷電粒子線の中でエネルギー量子
を有するものを意味し、紫外線、電子線、可視光線、X線、イオン線等が挙げられる。中
でも、汎用性の点から、紫外線または電子線が好ましく、紫外線が特に好ましい。
光重合開始剤(D)としては、例えばアセトフェノン系開始剤、ベンゾインエーテル系
開始剤、ベンゾフェノン系開始剤、ヒドロキシアルキルフェノン系開始剤、チオキサント
ン系開始剤、アミン系開始剤、アシルフォスフィンオキシド系開始剤等が挙げられる。
アセトフェノン系開始剤として具体的には、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメ
チルケタール等が挙げられる。ベンゾインエーテル系開始剤として具体的には、ベンゾイ
ン、ベンゾインメチルエーテル等が挙げられる。ベンゾフェノン系開始剤として具体的に
は、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル等が挙げられる。
ヒドロキシアルキルフェノン系開始剤として具体的には、1-ヒドロキシ-シクロヘキ
シル-フェニル-ケトン(IGM Resins B.V.社製、Omnirad184
として市販)等が挙げられる。チオキサントン系開始剤として具体的には、2-イソプロ
ピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン等が挙げられる。アミン系開始剤
として具体的には、トリエタノールアミン、4-ジメチル安息香酸エチル等が挙げられる
。アシルフォスフィンオキシド系開始剤として具体的には、フェニルビス(2,4,6-
トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(IGM Resins B.V.社製、O
mnirad819として市販)等が挙げられる。
光重合開始剤(D)としてはその他、例えば、2,2-ジメトキシー2-フェニルアセ
トフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシル)-フェニル]-2-ヒドロキシ-
メチルプロパノン、2-ヒドロキシ-1-(4-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプ
ロピオニル)ベンジル)フェニル)-2-メチル-1-プロパノン等のアルキルフェノン
系光重合開始剤、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイ
ドや、2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド等のアシル
フォスフィンオキサイド系重合開始剤、ベンゾイルギ酸メチルや4メチルベンゾフェノン
等の分子内水素引き抜き型光重合開始剤の他、オキシムエステル系光重合開始剤やカチオ
ン系光重合開始剤等が挙げられる。
粘着剤組成物中の光重合開始剤(D)の含有量は、架橋性アクリル共重合体(A)10
0質量部に対して、0.05~10質量部であることが好ましく、0.1~5質量部であ
ることがより好ましい。上記範囲であれば、後硬化により所望の硬さに調整することがで
き、後硬化後の分子量を適切な範囲とすることができるため加工性に優れた粘着シートが
得られる。光重合開始剤(D)としては1種類を単独で用いても2種類以上を併用しても
よく、2種類以上を併用する場合は、合計質量が上記範囲内であることが好ましい。
(溶剤)
粘着剤組成物は、塗工性を良好にする観点から、溶剤を含むことができる。溶剤として
は、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シ
クロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類;ジクロロメタン、トリクロロエタ
ン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化
水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール
、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、
ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケト
ン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酪酸エチル
等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチ
ルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコール
モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール
モノメチルエーテルアセタート等のポリオール及びその誘導体が挙げられる。
粘着剤組成物が溶剤を含む場合、その含有量は特に限定されず、例えば、架橋性アクリ
ル共重合体(A)100質量部に対し、25~500質量部とすることができ、30~4
00質量部とすることがより好ましい。また、溶剤の含有量は、粘着剤組成物の全質量に
対し、10~90質量%であることが好ましく、20~80質量%であることがより好ま
しい。溶剤は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよく、2種類以
上を併用する場合は、合計質量が上記範囲内であることが好ましい。
(他の成分及び粘着剤組成物の調製方法)
粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の他の成分を含有しても
よい。他の成分としては、分子内に反応性二重結合を1つ有する単官能単量体を含むこと
ができる。斯かる単官能単量体の種類は特に限定されず、例えば、公知の粘着剤組成物に
含まれる単官能単量体を広く使用することができる。
粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、各種の粘着剤用の添加剤を含むこ
とができる。斯かる添加剤としては、例えば、可塑剤、酸化防止剤、金属腐食防止剤、粘
着付与剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定
剤等の中から必要に応じて選択できる。また、着色を目的に染料や顔料を添加してもよい
可塑剤としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、
カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミ
チン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル
のようなカルボン酸ビニルエステル類やスチレン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化
防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。これら酸化防止剤は1
種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
金属腐食防止剤としては、粘着剤の相溶性や効果の高さから、ベンゾリアゾール系樹脂
を好ましい例として挙げることができる。
粘着付与剤として、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹
脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、石
油樹脂などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、メルカプトアルコキシシラン化合物(例えば
、メルカプト基置換アルコキシオリゴマー等)などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合
物などが挙げられる。ただし、後硬化時の活性エネルギー線に紫外線を用いる場合は、重
合反応を阻害しない範囲で添加することが好ましい。
粘着剤組成物の調製方法は特に限定されない。例えば、架橋性アクリル共重合体(A)
と、架橋剤(B)と、分子内に重合性二重結合を2つ以上有する多官能単量体(C)と、
光重合開始剤(D)と、その他必要に応じて溶剤及びその他成分等とを、所定の配合割合
で混合することで粘着剤組成物を調製することができる。
(粘着剤層)
粘着剤層は、粘着剤組成物を半硬化状態とすることで形成される。つまり、粘着剤層は
粘着剤組成物の半硬化物を含み、かつ、後硬化性を有する。
粘着剤層は、粘着剤組成物の半硬化物のみで形成することができ、あるいは、本発明の
効果が阻害されない限り、粘着剤層は粘着剤組成物の半硬化物以外を含むこともできる。
本発明では、活性エネルギー線を照射することにより、粘着剤層のゲル分率が照射前に
比べて10質量%以上高まった場合に、照射前の粘着剤層は半硬化状態であるとする。こ
の場合の活性エネルギー線の照射は以下のように行う。まず、粘着剤層の両面に光学用透
明PETセパレーターを貼合する。そして、一方の光学用透明PETセパレーター側から
活性エネルギー線(高圧水銀灯又はメタルハライドランプ)を積算光量が3000mJ/
cmとなるように照射するものとする。この照射で形成された粘着剤層のゲル分率を測
定し、照射前後で10質量%以上高まったかどうかを調べることで、照射前の粘着剤層が
半硬化状態であったか否かを判断することができる。
粘着剤層のゲル分率は、以下の方法で測定した値である。まず、粘着シート(粘着剤層
)約0.1gをサンプル瓶に採取し、酢酸エチル30mlを加えて24時間振とうする。
その後、このサンプル瓶の内容物を150メッシュのステンレス製金網でろ別し、金網上
の残留物を100℃で1時間乾燥して乾燥質量(g)を測定する。得られた乾燥質量から
下記式1
ゲル分率(質量%)=(乾燥質量/粘着剤層の採取質量)×100・・・式1
によりゲル分率を求めることができる。
本発明では、「半硬化状態」は、粘着剤組成物を熱硬化処理した後の状態であることが
好ましい。なお、この熱処理後に活性エネルギー線を照射することで「後硬化」すること
が好ましい。すなわち、粘着剤層は、粘着剤組成物を熱硬化させて半硬化状態となってい
ることが好ましく、かつ、活性エネルギー線硬化性を有することが好ましい。
本発明の粘着シートにおいて、粘着剤層のゲル分率は50~80%であり、かつ、前記
粘着剤層に活性エネルギー線を積算光量が3000mJ/cmとなるように照射して後
硬化した場合のゲル分率が75~90%であることが好ましい。この場合、後硬化状態に
おいても密着性が維持されつつ、後硬化状態にある粘着剤層中のポリマーの凝集力も高め
ることができ、結果として、高温高湿環境下であっても粘着剤層の発泡を抑制することが
できる。念のための注記に過ぎないが、粘着剤層のゲル分率が50~80%とは、半硬化
状態である粘着剤層のゲル分率が50~80%であることを意味する。斯かる粘着剤層の
ゲル分率は60~80%がより好ましく、65~80%がより好ましい。また、粘着剤層
に活性エネルギー線を照射して硬化した後のゲル分率を測定する場合において、活性エネ
ルギー線の照射は以下のように行う。まず、粘着剤層の両面に光学用透明PETセパレー
ターを貼合する。そして、一方の光学用透明PETセパレーター側から活性エネルギー線
(高圧水銀灯又はメタルハライドランプ)を積算光量が3000mJ/cmとなるよう
に照射し、この照射で形成された粘着剤層のゲル分率を測定する。
なお、粘着剤層の半硬化状態におけるゲル分率と後硬化後のゲル分率との差は、硬化収
縮を抑制しやすいという観点から、5%以上であることが好ましく、また、20%以下で
あることが好ましい。
粘着剤層の厚みは、用途に応じて適宜設定でき、特に限定されない。例えば、粘着剤層
の厚みは5~150μmであることが好ましく、8~100μmであることがより好まし
く、10~80μmであることがさらに好ましく、10~40μmであることが特に好ま
しい。粘着剤層の厚みを上記各範囲内とすることにより、粘着剤のはみ出しやべたつきを
抑制することができるため加工性を高めることができる。さらに、粘着剤層の厚さを上記
範囲内とすることにより、粘着シートの製造が容易となる。
本発明の粘着シートにおいて、粘着剤層の粘着力は5N/25mm以上であり、かつ、
前記粘着剤層に活性エネルギー線を積算光量が3000mJ/cmとなるように照射し
て後硬化した場合の粘着力が10N/25mm以上であることが好ましい。これにより、
粘着剤層が後硬化した後においても基材に対して優れた密着性を有することができる。こ
の場合も粘着力が5N/25mm以上とは、半硬化状態である粘着剤層の粘着力が5N/
25mmであることを意味する。また、粘着剤層に活性エネルギー線を照射して硬化した
後の粘着力を測定する場合において、活性エネルギー線の照射条件は前述の後硬化したゲ
ル分率を測定する場合の照射条件と同様である。
粘着剤層の粘着力及び粘着層が後硬化した後の粘着力については、粘着剤組成物の組成
に強く依存し、特に、架橋性アクリル共重合体(A)のTgと、多官能単量体(C)の含
有割合とが所定の範囲に調節された粘着剤組成物を用いて粘着剤層を形成することで、粘
着剤層の粘着力及び粘着層が後硬化した後の粘着力を所望の大きさにすることができる。
粘着力は、以下の方法で測定した値である。粘着剤層の後記軽セパレータフィルムであ
る第2の剥離シートを剥がし、厚み50μmのPETフィルムに貼合し、25mm幅に切
断する。フロートガラスの非スズ面をエタノールで清浄化した後、粘着シートの後記重セ
パレータフィルムである第1の剥離シートを剥がし、2kgローラを往復させてガラスに
粘着シートの粘着面を貼り合わせる。得られたPET/粘着剤層/ガラスの構成のサンプ
ルをオートクレーブ処理(40℃、0.5MPa、30min)した後、このサンプルの
他端を300mm/分の速度で180度の剥離方向へ剥離し、その時のガラスに対する粘
着力を、粘着剤層の粘着力(つまり、半硬化状態の粘着剤層の粘着力)とする。一方で、
前記と同様のPET/粘着剤層/ガラスの構成のサンプルをオートクレーブ処理(40℃
、0.5MPa、30min)し、次いで、PETフィルム側より紫外線を積算光量が3
000mJ/cmとなるように照射して試験サンプルを得る。この試験サンプルにおい
て、粘着シートの他端を300mm/分の速度で180度の剥離方向へ剥離し、その時の
ガラスに対する粘着力を後硬化した場合の粘着力(つまり、粘着剤層の後硬化後の(後硬
化状態にある)粘着力)とする。
(粘着シート)
本発明の粘着シートは、前述のように、粘着剤組成物の半硬化物を含有する粘着剤層を
含む。従って、本発明の粘着シートは、後硬化性、特には活性エネルギー線硬化性を有す
る。
本発明の粘着シートの構成は、前記粘着剤層を有する限りは特に限定されず、例えば、
公知の粘着シートと同様の構成とすることができる。粘着シートは、前記粘着剤層のみか
ら構成される単層の粘着シートとすることができる。あるいは、粘着シートは、片面に基
材(好ましくは透明基材)を備えた片面粘着シートとすることもでき、さらには、両面粘
着シートとすることができる。
粘着シートの具体例としては、粘着剤層からなる単層の粘着シート、粘着剤層を複数積
層した多層の粘着シート、粘着剤層と粘着剤層の間に他の粘着剤層を積層した多層の粘着
シート、粘着剤層と粘着剤層の間に支持体を積層した多層の粘着シート、支持体の片面に
粘着剤層を積層し、他方の面に他の粘着剤層が積層した多層の粘着シートが挙げられる。
粘着シートが支持体を有する場合、支持体として透明な支持体を用いたものが好ましい。
支持体としては、透明基材と同様に光学分野に用いられる一般的なフィルムを用いること
ができる。このような粘着シートは、粘着シート全体としての透明性にも優れることから
、光学部材同士の接着に好適に用いることができる。
本発明の粘着シートが片面粘着シートである場合、図1に示されるように、粘着剤層1
1の片面に透明基材12aを備えた構成であってもよい。この場合、粘着剤層11のもう
一方の面は剥離シート12bによって覆われていることが好ましい。粘着シートを使用す
る場合はこの剥離シート12bを剥がして所望の被着体に粘着剤層11が密着するように
貼合し、その後、活性エネルギー線を照射するなどして後硬化をすることが好ましい。透
明基材としてはポリエチレンテレフタレートフィルムやアクリルフィルム、ポリカーボネ
ートフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルムな
ど光学分野に用いられる一般的なフィルムを用いることができる。またこれらの透明基材
の粘着剤層側には易接着層を設けていてもよい。さらに、透明基材の粘着剤層とは逆面に
はハードコート層や反射防止層、防汚層、紫外線吸収層などの機能層が備えられていても
よい。
本発明は、粘着シートの両面に剥離シートを備える剥離シート付き粘着シートを包含す
る。斯かる剥離シート付き粘着シートは、粘着シートの両面に、剥離力が互いに異なる一
対の剥離シートを備えることができ、例えば、図1に示されるように、粘着剤層11の両
面に剥離シート12a及び12bを有することができる。
剥離シートとしては、剥離シート用基材とこの剥離シート用基材の片面に設けられた剥
離剤層とを有する剥離性積層シート、あるいは、低極性基材としてポリエチレンフィルム
やポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。
剥離性積層シートにおける剥離シート用基材には、紙類、高分子フィルムが使用される
。剥離剤層を構成する剥離剤としては、例えば、汎用の付加型もしくは縮合型のシリコー
ン系剥離剤や長鎖アルキル基含有化合物が用いられる。特に、反応性が高い付加型シリコ
ーン系剥離剤が好ましく用いられる。
シリコーン系剥離剤としては、具体的には、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のB
Y24-4527、SD-7220等や、信越化学工業社製のKS-3600、KS-7
74、X62-2600などが挙げられる。また、シリコーン系剥離剤中にSiO単位
と(CHSiO1/2単位あるいはCH=CH(CH)SiO1/2単位を有
する有機珪素化合物であるシリコーンレジンを含有することが好ましい。シリコーンレジ
ンの具体例としては、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24-843、SD-
7292、SHR-1404等や、信越化学工業社製のKS-3800、X92-183
等が挙げられる。
剥離性積層シートとして、市販品を用いてもよい。例えば、帝人デュポンフィルム社製
の離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムである重セパレータフィルムや、
帝人デュポンフィルム社製の離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムである
軽セパレータフィルムを挙げることができる。
本発明の粘着シートが両面粘着シートの場合は、剥離力が互いに異なる一対の剥離シー
トを有することが好ましい。すなわち、剥離シートは、剥離しやすくするために、剥離シ
ート12aと剥離シート12bとの剥離性を異なるものとすることが好ましい。一方から
の剥離性と他方からの剥離性とが異なると、剥離性が高い方の剥離シートだけを先に剥離
することが容易となる。その場合、貼合方法や貼合順序に応じて剥離シート12aと剥離
シート12bの剥離性を調整すればよい。
また、本発明は、粘着シートの少なくとも一方の面に透明フィルムを備える透明フィル
ム付き粘着シートに関するものであってもよい。この場合、透明フィルムは、ポリエチレ
ンテレフタレートフィルム、アクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、トリアセチ
ルセルロースフィルム及びシクロオレフィンポリマーフィルムから選択される少なくとも
1種であることが好ましい。透明フィルム付き粘着シートは、透明フィルム/粘着シート
/剥離シートがこの順で積層されたシートであってもよい。
本発明の粘着シートの製造方法は特に限定されず、例えば、公知の粘着シートの製造方
法を広く採用することができる。例えば、剥離シート上に前記粘着剤組成物を塗工して塗
膜を形成する工程と、この塗膜を加熱により半硬化状態の硬化物(半硬化物)とする工程
とを含む製造方法によって、本発明の粘着シートの製造することができる。この場合、塗
膜の加熱により、架橋性アクリル共重合体(A)及び架橋剤(B)の反応が進行して半硬
化状態の硬化物(つまり、粘着剤層)が形成される。加熱の際、塗膜中では光重合開始剤
(D)による単量体の重合反応が進行しないか、進行してもわずかであるため、粘着剤層
中には、粘着剤組成物に由来の重合性単量体(多官能単量体(C)等)及び光重合開始剤
(D)の少なくとも一部が未反応の状態で含まれている。
なお、粘着剤組成物を半硬化状態とするためには、塗工後溶剤を除去した後に、一定温
度で一定期間粘着シートを静置するエージング処理を施すことが好ましい。エージング処
理は例えば、23℃で7日間静置して行うことができる。
粘着剤組成物の塗工は、公知の塗工装置を用いて実施できる。塗工装置としては、例え
ば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビア
コーター、マイクログラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイ
コーター、カーテンコーター等が挙げられる。
粘着剤組成物を塗工して形成される塗膜の加熱には、加熱炉、赤外線ランプ等の公知の
加熱装置を用いることができる。
本発明の粘着シートの使用方法も特に限定されず、用途及び目的等に応じて種々の方法
で使用することができる。例えば、粘着シートは、粘着剤層を被着体表面に接触させる方
法で使用することが好ましい。具体的には、粘着シートの粘着剤層が半硬化状態のときに
被着体と貼合し、活性エネルギー線を照射して粘着剤層を後硬化させることが好ましい。
本発明の粘着シートは、2段階硬化型の粘着シートであるので、貼合前は熱のみによって
半硬化された粘着剤層を有し、貼合後に活性エネルギー線により粘着剤層が後硬化する性
質を有することから、この性質に適する種々の使用方法を採用できる。なお、被着体は後
記積層体における被着体と同様である。
本発明の粘着シートは、粘着力が高く、耐ブリスター性に優れるので、高温高湿環境下
においても被着体からの浮きや剥がれが発生しにくく、密着性及び耐久性に優れる。従っ
て、大画面の光学部材を貼り合わせるような用途に本発明の粘着シートを使用しても、シ
ワが発生し難く加工性にも優れる。
また、本発明の粘着シートは、後硬化後の端面ベタツキが抑えられており、例えば、打
抜き加工時の打抜き刃への粘着剤の付着やそれに伴う粘着剤層の変形などを防ぐことがで
きる。さらに、本発明の粘着シートは、後硬化後に所望の大きさに打抜き加工をした後に
端面を整える目的で切削加工する場合に粘着剤層の変形やはみ出し、剥がれなどが生じず
、加工性にも優れている。
本発明の粘着シートは、基材等の被着体に貼合し、後硬化させた後、高温高湿環境下に
曝した場合であっても、基材密着性及び耐久性に優れているため、浮きや剥がれの発生を
抑制できる。本発明の粘着シートは、例えば、ポリカーボネート基材に貼合し、後硬化さ
せた後、高温高湿環境下に曝した場合であっても、ポリカーボネート基材から浮いたり、
剥がれたりすることを抑制することができる。
本明細書においては、粘着シートの耐久性は以下の方法で評価することができる。まず
、粘着シートの一方の面にトリアセチルセルロースフィルムを、他方の面にポリカーボネ
ート板を貼合し、トリアセチルセルロースフィルム側の面から活性エネルギー線を積算光
量が3000mJ/cmとなるように照射して粘着剤層を後硬化する。その後、粘着シ
ートを85℃,相対湿度85%の環境下にそれぞれ240時間静置する。その後、粘着シ
ートを観察し、ポリカーボネート板及び/又はトリアセチルセルロースフィルムから浮い
たり、剥がれたりすることが抑制されている場合に耐久性に優れていると判定できる。
以上のように、本発明の粘着シートは、耐久性を必要とする光学部材であって、光学部
材との積層後に成形加工が必要な光学部材の貼合用に好ましく用いられる。本発明の粘着
シートは、偏光板などの光学部材に貼合わせて使用することもできる。偏光板とは、偏光
子と偏光子保護フィルムを含むものである。本発明の粘着シートは偏光子保護フィルムに
貼合されることが好ましい。偏光子保護フィルムとしては、樹脂フィルム等を広く使用で
き、例えば、シクロオレフィン系樹脂フィルム、トリアセチルセルロース、ジアセチルセ
ルロースなどの酢酸セルロース系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチ
レンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂フィルム、ポ
リカーボネート系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリプロピレン系樹脂フィル
ムなどが挙げられる。
本発明の粘着シートが両面粘着シートである場合は、2つの被着体の貼合に用いること
ができる。本発明の粘着シート2つの被着体の貼合に用いる場合の例としては、タッチパ
ネルの内部における透明光学用フィルム同士の貼合、透明光学用フィルムとガラスとの貼
合、タッチパネルの透明光学用フィルムと液晶パネルとの貼合、カバーパネルと透明光学
用フィルムとの貼合、カバーパネルと透明光学用フィルムとの貼合などが挙げられ、特に
、いずれかの部材がポリカーボネート基材である場合に有用である。透明光学用フィルム
は、ポリエチレンテレフタレートフィルムやアクリルフィルム、ポリカーボネートフィル
ム、トリアセチルセルロースフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルムなど光学分野
に用いられる一般的なフィルムを用いることができる。また、透明光学用フィルムやポリ
カーボネート基材にはハードコート層が設けられていてもよい。カバーパネルは、樹脂及
びガラスが挙げられる。
2.積層体
本発明は、上述した粘着シートと被着体を有する積層体を包含する。斯かる積層体は、
本発明の粘着シートと、前記粘着シートの少なくとも一方の面側に備えた被着体とを有す
る。積層体において、前記粘着シートの粘着剤層は後硬化状態、つまり、半硬化状態の粘
着剤層が後硬化処理されている。
本発明の積層体は、前記粘着シートの粘着剤層は、活性エネルギー線を照射することに
よって後硬化状態にある。粘着シートが両面粘着シートである場合は、2つの被着体を半
硬化状態の粘着シートで貼合した状態で活性エネルギー線を照射して、粘着剤層を後硬化
することで積層体を形成することが好ましい。ここで、少なくとも一方の被着体は、基材
、光学部材等を挙げることができ、より具体的には樹脂板、樹脂フィルム、ガラス等が例
示され、その他、公知の偏光板等も例示される。被着体は、単層構造であってもよいし、
異種の材料が積層して形成される積層構造であってもよい。
積層体において、少なくとも一方の被着体は、樹脂板であることが特に好ましい。樹脂
フィルムは、例えば、公知の透明フィルムを挙げることができる。被着体が粘着シートの
両面に積層されている場合、互いの被着体は同種であってもよいし、異種であってもよい
本明細書において、前記樹脂板は、厚みが250μm以上、また、樹脂フィルムは厚み
が250μm未満である部材を意味することができる。本発明の積層体では、被着体の厚
みは特に限定されないので、例えば、被着体としては、厚みが250μm以上である樹脂
板を適用することができ、あるいは、厚みが250μm未満である樹脂フィルムを適用す
ることもできる。
樹脂板の種類は特に限定されず、例えば、公知の樹脂で形成された基材を広く使用する
ことができ、例として、ポリカーボネート(PC)板、ポリメタクリレート(PMMA)
板等の他、三菱ガス化学製「ユーピロンMR58」、クラレ製「パラマイテイーMT3L
TR」、帝人製「パンライトPC1151」等が挙げられる。また、樹脂版としては、異
種の材料で形成された積層構造であってもよく、例えば、PMMA/PCの2種2層構造
、PMMA/PC/PMMAの2種3層構造を有することもできる。樹脂板は、公知のハ
ードコート層を有していてもよい。
図2は、本発明の積層体の一例の断面を表す概略図である。図2は、本発明の粘着シー
ト21を基材22と光学部材24に貼合した積層体20の構成の一例を表す断面図である
。図2に示されているように、本発明の粘着シート21は、基材22に貼合するために用
いられることが好ましく、基材22と他の光学部材24の貼合に用いられることが好まし
い。なお、本発明の粘着シート21は、偏光板との貼合に用いられてもよい。
積層体において、少なくとも一方の被着体が光学部材である場合、光学部材としては、
タッチパネルや画像表示装置等の光学製品における各構成部材や最表層のカバーレンズに
貼合される飛散防止フィルム等を挙げることができる。タッチパネルの構成部材としては
、例えば透明樹脂フィルムにITO膜が設けられたITOフィルム、ガラス板の表面にI
TO膜が設けられたITOガラス、透明樹脂フィルムに導電性ポリマーをコーティングし
た透明導電性フィルム、ハードコートフィルム、耐指紋性フィルムなどが挙げられる。画
像表示装置の構成部材としては、例えば液晶表示装置に用いられる反射防止フィルム、配
向フィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルムなどが挙げられる。これ
らの部材に用いられる材料としては、ガラス、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリ
マー、トリアセチルセルロース,ポリイミド、セルロースアシレートなどが挙げられる。
図3は、本発明の積層体の他の一例の断面を表す概略図である。図3に示されているよ
うに、被着体は段差部(27a、27b、27c、27d)を有していてもよい。図3で
は、基材は段差部(27a、27b)を有しており、光学部材が段差部(27c、27d
)を有している。なお、段差部(27a、27b、27c、27d)の厚みは、通常5~
60μmである。このように本発明の粘着シート21は、段差部を有する部材にも貼合す
ることができ、段差部から生じる凹凸に追従することができる。
積層体の製造方法は特に限定されない。例えば、本発明の粘着シートの少なくとも一方
の面側に被着体を積層する工程1、及び、前記粘着シートの粘着剤層に活性エネルギー線
を照射することにより前記粘着剤層を後硬化させる工程2をこの順に備える製造方法によ
り、積層体を製造することができる。活性エネルギー線を照射する前は、粘着シートの粘
着剤層は半硬化状態であることから、基材への初期密着性が良好となる。このように、粘
着シートを被着体に貼合した後、粘着剤層を活性エネルギー線で後硬化させることで、粘
着剤層の凝集力が高まり、被着体への粘着性が向上する。また、後硬化した粘着剤層は基
材が変形したり、歪んだりすることを防止できる。
本発明において、活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、可視光線、X線、イオ
ン線等が挙げられ、粘着剤層に含まれる光重合開始剤に応じて適宜選択できる。中でも、
汎用性の点から、紫外線または電子線が好ましく、紫外線が特に好ましい。
紫外線の光源としては、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハラ
イドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク、無電極紫外線ランプ等を使用できる。
電子線としては、例えば、コックロフトワルト型、バンデクラフ型、共振変圧型、絶縁
コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種類の電子線加速器から放出
される電子線を使用できる。
紫外線の照射出力は、積算光量が100~10000mJ/cmとなるようにするこ
とが好ましく、500~5000mJ/cmとなるようにすることがより好ましい。
積層体の製造方法は、前記工程2の後、積層体を加工する工程をさらに備えることもで
きる。この工程では、例えば、積層体に対して種々の加工を行うことができ、具体的には
、打ち抜き加工、切削加工等が挙げられる。加工方法は特に限定されず、例えば、公知の
加工方法を広く採用することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に
限定されるものではない。
(製造例1:架橋性アクリル共重合体(A-1)の合成)
表1の配合表に示されるとおり、重合性単量体の重合反応により、架橋性アクリル共重
合体(A-1)を作製した。より詳細には、アルキル基の炭素数が3以上である(メタ)
アクリル酸アルキルエステルとしてブチルアクリレートモノマー(以下、「BA」)、ア
ルキル基の炭素数が2以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしてメチルアク
リレートモノマー(以下、「MA」)、及び、カルボキシ基含有単量体としてアクリル酸
(以下、「AA」)を準備し、それぞれ表1に示す質量比(70:22:8)となるよう
に混合して単量体混合物を調製した。この単量体混合物を酢酸エチル中に溶解し、ラジカ
ル重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)の存在下、60℃にて重合
反応を行った。これにより、架橋性アクリル共重合体(A-1)を得た。得られた架橋性
アクリル共重合体(A-1)において、FOXの式を用いて求めたガラス転移温度(Tg
)は-33℃であった。
(製造例2:架橋性アクリル共重合体(A-2)の合成)
アルキル基の炭素数が3以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしてBA、
アルキル基の炭素数が2以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしてエチルア
クリレートモノマー(以下、「EA」)、及び、カルボキシ基含有単量体としてAAを準
備し、それぞれ表1に示す質量比となるように混合して単量体混合物を調製したこと以外
は製造例1と同様の方法で架橋性アクリル共重合体(A-2)を得た。得られた架橋性ア
クリル共重合体(A-2)において、FOXの式を用いて求めたガラス転移温度(Tg)
は-28℃であった。
(製造例3:架橋性アクリル共重合体(A-3)の合成)
アルキル基の炭素数が3以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしてBA、
アルキル基の炭素数が2以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしてメチルメ
タクリレートモノマー(以下、「MMA」)、及び、カルボキシ基含有単量体としてAA
を準備し、それぞれ表1に示す質量比となるように混合して単量体混合物を調製したこと
以外は製造例1と同様の方法で架橋性アクリル共重合体(A-3)を得た。得られた架橋
性アクリル共重合体(A-3)において、FOXの式を用いて求めたガラス転移温度(T
g)は-25℃であった。
(製造例4:架橋性アクリル共重合体(A-4)の合成)
アルキル基の炭素数が3以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしてBA、
アルキル基の炭素数が2以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしてMA、及
び、カルボキシ基含有単量体としてAAを準備し、それぞれ表1に示す質量比となるよう
に混合して単量体混合物を調製したこと以外は製造例1と同様の方法で架橋性アクリル共
重合体(A-4)を得た。得られた架橋性アクリル共重合体(A-2)において、FOX
の式を用いて求めたガラス転移温度(Tg)は-26℃であった。
(製造例5:架橋性アクリル共重合体(a-1)の合成)
アルキル基の炭素数が3以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしてBA、
アルキル基の炭素数が2以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしてMA、及
び、ヒドロキシエチルアクリレート(以下、「HEA」)を準備し、それぞれ表1に示す
質量比となるように混合して単量体混合物を調製したこと以外は製造例1と同様の方法で
架橋性アクリル共重合体(a-1)を得た。得られた架橋性アクリル共重合体(a-1)
において、FOXの式を用いて求めたガラス転移温度(Tg)は-39℃であった。
(製造例6:架橋性アクリル共重合体(a-2)の合成)
アルキル基の炭素数が3以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしてアクリ
ル酸-2-エチルヘキシル(以下、「2EHA」)、及び、カルボキシ基含有単量体とし
てAAを準備し、それぞれ表1に示す質量比となるように混合して単量体混合物を調製し
たこと以外は製造例1と同様の方法で架橋性アクリル共重合体(a-2)を得た。得られ
た架橋性アクリル共重合体(a-2)において、FOXの式を用いて求めたガラス転移温
度(Tg)は-60℃であった。
(製造例7:架橋性アクリル共重合体(a-3)の合成)
アルキル基の炭素数が3以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしてBA、
アルキル基の炭素数が2以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしてMA及び
MMA、並びに、カルボキシ基含有単量体としてAAを準備し、それぞれ表1に示す質量
比となるように混合して単量体混合物を調製したこと以外は製造例1と同様の方法で架橋
性アクリル共重合体(a-3)を得た。得られた架橋性アクリル共重合体(a-3)にお
いて、FOXの式を用いて求めたガラス転移温度(Tg)は-44℃であった。
Figure 2022174181000001
(実施例1)
表2に示すように、架橋性アクリル共重合体(A)として製造例1で得られた架橋性ア
クリル共重合体(A-1)を100質量部と、架橋剤(B)としてエポキシ系化合物(三
菱ガス化学社製、テトラッドX)を0.1質量部(表2中、エポキシと表記)と、多官能
単量体(C)としてエチレンオキサイド変性ジアクリレート(東亞合成社製、アロニック
スM211B、Tg=75℃)を7質量部と、光重合開始剤(D)として1-ヒドロキシ
-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(IGM Resins B.V.社製、Omni
rad184)0.5質量部とを混合し、固形分濃度が40質量%となるように溶剤とし
て酢酸エチルを添加して粘着剤組成物を調製した。
上記粘着剤組成物を、第1の剥離シート(重セパレータフィルム、帝人デュポンフィル
ム社製、離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム)上へ塗工した。塗工は、
ヨシミツ精機社製、ドクターブレードYD型を用いて、乾燥後の厚みが15μmとなるよ
うに行った。その後、熱風乾燥機にて100℃で3分間乾燥させて溶剤を除去し、半硬化
状態の粘着剤層を有する粘着シートを形成した。
この粘着シートの片面に第1の剥離シートより剥離性の高い離型処理が施された第2の
剥離シート(軽セパレータフィルム、帝人デュポンフィルム社製)を貼り合わせ、剥離シ
ート付きの粘着シートである粘着シートを得た。
(実施例2)
多官能単量体(C)の使用量を12質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして粘
着剤組成物及び剥離シート付きの粘着シートを得た。
(実施例3)
多官能単量体(C)の使用量を5質量部に変更し、光重合開始剤(D)をフェニルビス
(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(BASFジャパン社製、I
RGACURE819)に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離
シート付きの粘着シートを得た。
(実施例4)
多官能単量体(C)の使用量を3質量部に変更した以外は、実施例3と同様にして粘着
剤組成物及び剥離シート付きの粘着シートを得た。
(実施例5)
多官能単量体(C)をトリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレ
ート(東亞合成社製、アロニックスM321、Tg=50℃)7質量部に変更した以外は
、実施例4と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付きの粘着シートを得た。
(実施例6)
架橋性アクリル共重合体(A)として製造例2で得られた架橋性アクリル共重合体(A
-2)に変更し、光重合開始剤(D)をフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイ
ル)ホスフィンオキシド(BASFジャパン社製、IRGACURE819)に変更した
以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付きの粘着シートを得た。
(実施例7)
架橋性アクリル共重合体(A)として製造例3で得られた架橋性アクリル共重合体(A
-3)に変更し、光重合開始剤(D)をフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイ
ル)ホスフィンオキシド(BASFジャパン社製、IRGACURE819)に変更した
以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付きの粘着シートを得た。
(実施例8)
架橋性アクリル共重合体(A)として製造例4で得られた架橋性アクリル共重合体(A
-4)に変更し、架橋剤(B)の使用量を0.05質量部に変更し、光重合開始剤(D)
をフェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(BASFジ
ャパン社製、IRGACURE819)に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着剤
組成物及び剥離シート付きの粘着シートを得た。
(比較例1)
多官能単量体(C)の使用量を25質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして粘
着剤組成物及び剥離シート付きの粘着シートを得た。
(比較例2)
架橋性アクリル共重合体(A)として製造例3で得られた架橋性アクリル共重合体(A
-3)に変更し、多官能単量体(C)をポリエチレングリコール#200ジアクリレート
(新中村化学工業社製、A-200、Tg=50℃)30質量部に変更した以外は、実施
例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付きの粘着シートを得た。
(比較例3)
架橋性アクリル共重合体(A)として製造例5で得られた架橋性アクリル共重合体(a
-1)に変更し、架橋剤(B)としてキシリレンジイソシアネート化合物(三井化学社製
、タケネートD-110N)0.2質量部(表2中、イソシアネートと表記)に変更した
以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付きの粘着シートを得た。
(比較例4)
架橋性アクリル共重合体(A)として製造例6で得られた架橋性アクリル共重合体(a
-2)に変更した以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付きの粘着
シートを得た。
(比較例5)
架橋性アクリル共重合体(A)として製造例7で得られた架橋性アクリル共重合体(a
-3)に変更し、架橋剤(B)の使用量を0.05質量部に変更し、多官能単量体(C)
の使用量を15質量部に変更し、光重合開始剤(D)の使用量を0.7質量部に変更した
以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物及び剥離シート付きの粘着シートを得た。
(測定及び評価)
<ゲル分率>
粘着剤層を100mm×60mmとなるようにカットし、半硬化状態の測定用サンプル
を作製した。また、粘着剤層を100mm×60mmとなるようにカットし、重セパレー
タフィルムである第1の剥離シート側から紫外線を積算光量が3000mJ/cmとな
るように照射し、後硬化後の測定用サンプルを作製した。
前記半硬化状態の測定用サンプル及び後硬化後の測定用サンプル(表2中、それぞれ「
硬化前」、「硬化後」と表記)の粘着シート約0.1gをサンプル瓶に採取し、酢酸エチ
ル30mlを加えて24時間振とうした。その後、このサンプル瓶の内容物を150メッ
シュのステンレス製金網でろ別し、金網上の残留物を100℃で1時間乾燥して乾燥質量
(g)を測定した。得られた乾燥質量から下記式1
ゲル分率(質量%)=(乾燥質量/粘着シートの採取質量)×100・・・式1
によりゲル分率を求めた。
<粘着力>
粘着剤層の軽セパレータフィルムである第2の剥離シートを剥がし、厚み50μmのP
ETフィルムに貼合し、25mm幅に切断した。フロートガラスの非スズ面をエタノール
で清浄化した後、粘着シートの重セパレータフィルムである第1の剥離シートを剥がし、
2kgローラを往復させてガラスに粘着シートの粘着面を貼り合わせた。得られたPET
/粘着剤層/ガラスの構成のサンプルをオートクレーブ処理(40℃、0.5MPa、3
0min)した後、このサンプルの他端を300mm/分の速度で180度の剥離方向へ
剥離し、その時のガラスに対する粘着力(つまり、半硬化状態の粘着剤層の粘着力;表2
中、硬化前と表記)を測定した。一方で、前記と同様のPET/粘着剤層/ガラスの構成
のサンプルをオートクレーブ処理(40℃、0.5MPa、30min)し、次いで、P
ETフィルム側より紫外線を積算光量が3000mJ/cmとなるように照射して試験
サンプルを得た。この試験サンプルにおいて、粘着シートの他端を300mm/分の速度
で180度の剥離方向へ剥離し、その時のガラスに対する粘着力(つまり、粘着剤層の後
硬化後の(後硬化状態にある)粘着力;表2中、硬化後と表記)を測定した。
<耐久性試験1>
粘着剤層の軽セパレータフィルムである第2の剥離シートを剥がし、トリアセチルセル
ロースフィルム(富士フイルム社製、フジタックTD60UL 厚み60μm)に貼合し
た。次に重セパレータフィルムである第1の剥離シートを剥がし、厚みが1mmのPC板
(ハードコート層を有してないポリカーボネート板:帝人製「パンライトPC1151」
)に貼着した。トリアセチルセルロースフィルム/粘着剤層/PC板の構成のサンプルを
オートクレーブ処理(40℃、0.5MPa、30min)し、次いで、トリアセチルセ
ルロースフィルム側より紫外線を積算光量が3000mJ/cmとなるように照射し、
100mm×200mmの大きさの試験サンプルを得た。この試験サンプルを85℃,相
対湿度85%の環境下にそれぞれ240時間静置した。
その後、試験サンプルを観察し、エラー(浮き及び剥がれ)の発生の有無を観察し、下
記評価基準で耐久性を評価した。
A:エラーが確認されず、優れた耐久性を有していた。
B:一部に1mm以下のエラーが確認される程度であった。
C:1mmを超えるエラーが確認された。
<耐久性試験2>
PC板の厚みを2mmに変更したこと以外は耐久性試験1と同様の方法及び基準で耐久
性を評価した。
<加工性>
粘着剤層の軽セパレータフィルムである第2の剥離シートを剥がし、厚み25μmのP
ETフィルムに貼合した。次に重セパレータフィルムである第1の剥離シートを剥がし、
PC板に貼着した。このように得られたPET/粘着剤層/PCの構成のサンプルをオー
トクレーブ処理(40℃、0.5MPa、30min)し、次いで、PETフィルム側よ
り紫外線を積算光量が3000mJ/cmとなるように照射することで、試験サンプル
を得た。次いで、試験サンプルの端部を、ギロチン断裁機を用いてカットし、カット端部
をPC板側から手でPETフィルムを剥がすようにこすった。その際の剥がれ距離を測定
することにより加工性を評価した。
A:剥がれ距離が0.05mm未満であり、優れた加工性を有していた。
B:剥がれ距離が0.05mm以上0.1mm未満であった。
C:剥がれ距離が0.1mm以上であった。
Figure 2022174181000002
表2は、前述の各実施例及び比較例の粘着シートの作製条件に加えて、各評価の結果も
示している。この表2から、実施例で得られた粘着シートは、粘着力が高く、耐ブリスタ
ー性に優れ、高温高湿環境下においても被着体からの浮きや剥がれが発生しにくく、密着
性及び耐久性に優れるものであることが示された。また、実施例の粘着シートは加工性も
良好であった。一方、比較例の粘着シートは、架橋性アクリル共重合体のTg、架橋性ア
クリル共重合体における酸性官能基の含有割合、及び、多官能単量体の使用量のいずれか
一つ以上が適切ではないので、基材密着性(粘着力)及び耐久性が劣っていた。

Claims (9)

  1. 粘着剤組成物の半硬化物を含む粘着剤層を備える粘着シートであって、
    前記粘着剤組成物は、架橋性アクリル共重合体(A)と、架橋剤(B)と、分子内に重合
    性二重結合を2つ以上有する多官能単量体(C)と、光重合開始剤(D)とを含有し、
    前記架橋性アクリル共重合体(A)は、酸性官能基を有する構成単位(a2)を含有し、
    前記構成単位(a2)の含有割合は、前記架橋性アクリル共重合体(A)に含まれる全構
    成単位に対して5~15質量%であり、
    前記架橋性アクリル共重合体(A)のガラス転移温度が-40~-20℃であり、
    前記多官能単量体(C)は、前記架橋性アクリル共重合体(A)100質量あたり1~2
    0質量部含まれる、粘着シート。
  2. 前記粘着剤層のゲル分率は50~80%であり、かつ、
    前記粘着剤層に活性エネルギー線を積算光量が3000mJ/cmとなるように照射し
    て後硬化した場合のゲル分率が75~90%である、請求項1に記載の粘着シート。
  3. 前記粘着剤層の粘着力は5N/25mm以上であり、かつ、
    前記粘着剤層に活性エネルギー線を積算光量が3000mJ/cmとなるように照射し
    て後硬化した場合の粘着力が10N/25mm以上である、請求項1又は2に記載の粘着
    シート。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の粘着シートの両面に、剥離力が互いに異なる一対の剥離
    シートを備える、剥離シート付き粘着シート。
  5. 請求項1~3のいずれかに記載の粘着シートと、前記粘着シートの少なくとも一方の面側
    に備えた被着体とを有し、
    前記粘着シートの粘着剤層は後硬化状態である、積層体。
  6. 前記被着体が樹脂板及び樹脂フィルムからなる群より選ばれる1種以上である、請求項5
    に記載の積層体。
  7. 請求項1~3のいずれかに記載の粘着シートの少なくとも一方の面側に被着体を積層する
    工程1、及び、
    前記粘着シートの粘着剤層に活性エネルギー線を照射することにより前記粘着剤層を後硬
    化させる工程2を備える、積層体の製造方法。
  8. 前記工程2の後、積層体を加工する工程をさらに備える、請求項7に記載の積層体の製造
    方法。
  9. 前記粘着剤層の厚みが5~150μmである、請求項7又は8に記載の積層体の製造方法
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