JP2022149130A - 耐熱性防振ゴムの製造方法 - Google Patents

耐熱性防振ゴムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた防振性および耐熱性の両方を兼ね備える耐熱性防振ゴムを得る。【解決手段】防振性を有するゴム成分Aおよび該ゴム成分Aを架橋可能な架橋剤A’を混錬し、防振性ゴム組成物を得る第1混錬工程S1と、耐熱性を有するゴム成分Bおよび該ゴム成分Bを架橋可能な架橋剤B’を混錬し、耐熱性ゴム組成物を得る第2混錬工程S2と、防振性ゴム組成物および耐熱性ゴム組成物を混錬し、ゴム混合物を得る第3混錬工程S3と、ゴム混合物の架橋を行う架橋成形工程S4と、を含む。【選択図】図1

Description

本開示は、耐熱性防振ゴムの製造方法に関する。
従来、車両のエンジンマウント等に用いられるゴム部材には、防振性および耐熱性が求められる。このように複数の特性を有する高機能性のゴム材料として、例えば、特許文献1には、芳香族ビニル単量体とブタジエン単量体の共重合ゴムと、ジエン系ゴムと、特定の伸展油を配合した防振ゴム用組成物が開示されており、防振性および防音性を備えると記載されている。
また、特許文献2には、未加硫のゴム材料A中に未加硫のゴム材料Bを均一に混錬、分散せしめた状態下において、ゴム材料Bの加硫を行うことによって加硫ゴム材料Bが形成され、そのような加硫ゴム材料Bの分散状態下で、未加硫のゴム材料Aが加硫されることによって得られる防振ゴムが、低動バネ特性および高減衰特性を備えると記載されている。
特開平11-310664号公報 特許第3716713号公報
防振性に優れたゴム成分や耐熱性に優れたゴム成分など、特性の異なるゴム成分には、それぞれ適した架橋剤が存在する。架橋剤が対応するゴム成分と十分に反応して架橋反応を進行させることで、架橋後のゴム成分は特性を発現させることができる。
特許文献1では、ゴム成分の混錬のタイミングや架橋剤の添加のタイミングは明確に定められていない。特許文献2では、2種類の架橋剤が段階的に添加されているものの、架橋剤の添加の前に異なるゴム成分どうしが混錬されている。このような方法では、各ゴム成分に対して、それぞれ適切な架橋剤が十分に反応しないと考えられる。
ここに開示する技術は、耐熱性防振ゴムの製造方法において、優れた耐熱性および防振性の両方を兼ね備える耐熱性防振ゴムを得ることが可能となる。
本開示は、上記課題を解決するために、ゴム成分とそれに適した架橋剤を予め混錬した後、複数のゴム成分を混錬することにより、ゴム成分と対応する架橋剤とを十分に反応可能にすることに着目した。
具体的に、ここに開示する技術は、耐熱性防振ゴムの製造方法に係るものであり、防振性を有するゴム成分Aおよび該ゴム成分Aを架橋可能な架橋剤A’を混錬し、防振性ゴム組成物を得る第1混錬工程と、耐熱性を有するゴム成分Bおよび該ゴム成分Bを架橋可能な架橋剤B’を混錬し、耐熱性ゴム組成物を得る第2混錬工程と、前記防振性ゴム組成物および前記耐熱性ゴム組成物を混錬し、ゴム混合物を得る第3混錬工程と、前記ゴム混合物の架橋を行う架橋成形工程と、を含むことを特徴とする。
ゴム成分Aとゴム成分Bは、それぞれ対応する架橋剤A’,B’と予め混錬されることにより、ゴム混合物となった状態において、ゴム成分とそれに対応する架橋剤とが反応しやすい状態で分布する。そのため、架橋成形工程において、ゴム成分Aおよび対応する架橋剤A’と、ゴム成分Bおよび対応する架橋剤B’が十分に反応し、最終生成物においてゴム成分Aの特性とゴム成分Bの特性をそれぞれ発現させることができるため、優れた耐熱性および防振性の両方を兼ね備える耐熱性防振ゴムを得ることが可能となる。
なお、前記ゴム成分Aと前記ゴム成分Bとの配合比率が3:7~7:3の範囲であることが好ましい。
このような配合比率の範囲であれば、最終生成物である耐熱性防振ゴムにおいて、優れた耐熱性および防振性をバランス良く兼ね備えることが可能となる。
また、前記ゴム成分Aが、ジエン系ゴムであり、前記ゴム成分Bが、エピクロロヒドリンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記第1混錬工程、前記第2混錬工程、および前記第3混錬工程は、60℃以上140℃以下の排出温度で行われることが好ましい。
排出温度が60℃以上であれば、架橋剤がゴム成分内に十分に分散され、架橋反応が進み易く、最終生成物である耐熱性防振ゴムにおいてゴム成分Aおよびゴム成分Bの特性を十分に発現させることができる。排出温度が140℃以下であれば、架橋成形工程の前に架橋反応が起こってスコーチが発生するのを防ぐことができる。
さらに、前記第1混錬工程における混錬時間は3分以上であり、前記第2混錬工程における混錬時間は1分以上であり、前記第3混錬工程における混錬時間は1分以上であることが好ましい。また、前記第1混錬工程、前記第2混錬工程および前記第3混錬工程の混錬時間の合計が60分以内であることが好ましい。
第1混錬工程および第2混錬工程において、架橋剤がゴム成分内に十分に分散されるような混錬時間とすることにより、架橋反応がより進み易く、最終生成物である耐熱性防振ゴムにおいてゴム成分Aおよびゴム成分Bの特性を十分に発現させることができる。また、第3混錬工程において、耐熱性ゴム組成物と防振性ゴム成分とがバランスよく分布するような混錬時間とすることにより、最終生成物である耐熱性防振ゴムにおいてゴム成分Aおよびゴム成分Bの特性をバランスよく発現させることができる。さらに、各混錬時間の合計を60分以内とすれば、耐熱性防振ゴムの生産性に優れる。
以上説明したように、本開示によれば、優れた耐熱性および防振性の両方を兼ね備える耐熱性防振ゴムを得ることが可能となる。
一実施形態に係る耐熱性防振ゴムの製造方法を説明するためのフローチャートである。 実施例1(検討1-1)の耐熱性防振ゴムにおけるゴム成分と架橋剤の分散状態を示す模式図である。 比較例1の耐熱性防振ゴムにおけるゴム成分と架橋剤の分散状態を示す模式図である。 実施例1(検討1-6)の耐熱性防振ゴムにおけるゴム成分と架橋剤の分散状態を示す模式図である。 実施例1(検討1-10)の耐熱性防振ゴムにおけるゴム成分と架橋剤の分散状態を示す模式図である。
以下、本開示を実施するための形態を説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
<耐熱性防振ゴムの組成>
本実施形態に係る耐熱性防振ゴムは、防振性を有するゴム成分Aおよびゴム成分Aを架橋可能な架橋剤A’と、耐熱性を有するゴム成分Bおよびゴム成分Bを架橋可能な架橋剤B’と、を含むものであり、防振性を有するゴム成分Aおよび架橋剤A’と、耐熱性を有するゴム成分Bおよび架橋剤B’とが、それぞれ予め十分に混錬された後に、混ぜ合わさされて架橋成形される。
ゴム成分Aとしては、防振性に優れるジエン系ゴムを広く使用可能であり、特に制限はないが、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)等が挙げられる。これらのゴム成分より1種を用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ゴム成分Aを架橋可能な架橋剤A’としては、選択されたゴム成分Aに対応する適切な架橋剤として公知のものを広く使用可能であり、特に制限はないが、例えば、硫黄が挙げられる。
ゴム成分Bとしては、耐熱性に優れる公知のゴム成分を広く使用可能であり、特に制限はないが、例えば、エピクロロヒドリンゴム(ECO,CO)、アクリルゴム(ACM,ANM)、フッ素ゴム(FKM,FPM)が挙げられる。これらのゴム成分より1種を用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ゴム成分Bを架橋可能な架橋剤B’としては、選択されたゴム成分Bに対応する適切な架橋剤として公知のものを広く使用可能であり、特に制限はないが、例えば、エチレンチオウレアなどのチオウレア系架橋剤やジクミルパーオキサイドなどの過酸化物架橋剤が挙げられる。
ゴム成分Aと架橋剤A’とを第1混錬工程において、また、ゴム成分Bと架橋剤B’とを第2混錬工程において混錬する際、ゴム成分A,B、架橋剤A’,B’以外の成分を添加剤として配合してもよい。例えば、ゴム成分Aおよび架橋剤A’には、促進助剤として酸化亜鉛(ZnO)やステアリン酸を添加してもよい。また例えば、ゴム成分Bおよび架橋剤B’には、受酸剤として酸化カルシウム(CaO)などの金属酸化物を添加してもよい。また、ゴム成分Aおよび架橋剤A’とム成分Bおよび架橋剤B’に共通して、カーボンブラックやシリカなどの補強剤や、シランカップリング剤、6PPDなどの老化防止剤やその他の添加剤を配合してもよい。
前記ゴム成分Aと前記ゴム成分Bとの配合比率は3:7~7:3の範囲であることが好ましい。このような配合比率の範囲とすることで、最終生成物である耐熱性防振ゴムにおいて優れた耐熱性および防振性をバランス良く兼ね備えることが可能となる。
架橋剤A’,B’やその他の添加剤の配合量は特に制限はないが、ゴム成分Aおよびゴム成分Bの配合量に対応する適切な量が配合されることが好ましい。
本実施形態において、ゴム成分Aと架橋剤A’およびその他任意の添加剤が混錬されたものを防振性ゴム組成物と呼び、ゴム成分Bと架橋剤B’およびその他任意の添加剤が混錬されたものを耐熱性ゴム組成物と呼ぶ。防振性ゴム組成物および耐熱性ゴム組成物は、ゴム成分と架橋剤とが未架橋の状態のものである。
<耐熱性防振ゴムの製造方法>
図1に示すように、本実施形態に係る耐熱性防振ゴムは、防振性を有するゴム成分Aおよびゴム成分Aを架橋可能な架橋剤A’を混錬し、防振性ゴム組成物を得る第1混錬工程(S1)と、耐熱性を有するゴム成分Bおよびゴム成分Bを架橋可能な架橋剤B’を混錬し、耐熱性ゴム組成物を得る第2混錬工程(S2)と、防振性ゴム組成物および耐熱性ゴム組成物を混錬し、ゴム混合物を得る第3混錬工程(S3)と、ゴム混合物の架橋を行う架橋成形工程(S4)と、を含む製造方法により製造される。
第1混錬工程(S1)と第2混錬工程(S2)と第3混錬工程(S3)は、ゴム材料を製造するために用いられる一般的な混錬方法を用いることが可能であり、例えば、混錬機として、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロール等が挙げられる。
防振性を有するゴム成分Aおよびゴム成分Aを架橋可能な架橋剤A’を混錬し、防振性ゴム組成物を得る第1混錬工程(S1)では、混錬時間は3~50分が好ましい。3分より短い場合、ゴム成分Aに対する架橋剤A’の分散が不十分となり、最終生成物である耐熱性防振ゴムにおいて、防振性能が十分に発現しない。また、50分を超えると生産性の観点から好ましくない。
耐熱性を有するゴム成分Bおよびゴム成分Bを架橋可能な架橋剤B’を混錬し、耐熱性ゴム組成物を得る第2混錬工程(S2)では、混錬時間は1~40分が好ましい。1分より短い場合、ゴム成分Bに対する架橋剤B’の分散が不十分となり、最終生成物である耐熱性防振ゴムにおいて、耐熱性能が十分に発現しない。また、40分を超えると生産性の観点から好ましくない。
防振性ゴム組成物および耐熱性ゴム組成物を混錬し、ゴム混合物を得る第3混錬工程(S3)では、混錬時間は1~40分が好ましい。1分より短い場合、防振性ゴム組成物および耐熱性ゴム組成物が偏って分布してしまうことにより、高い防振性および耐熱性を発現することができない。また、40分を超えると生産性の観点から好ましくない。
第1混錬工程(S1)、第2混錬工程(S2)および第3混錬工程(S3)の混錬時間の合計は、生産性の観点から60分以内であることが好ましい。
第1混錬工程、第2混錬工程、および第3混錬工程は、60℃以上140℃以下の排出温度で行われることが好ましい。排出温度が60℃以上であれば、架橋剤がゴム成分内に十分に分散され、架橋反応が進み易く、最終生成物である耐熱性防振ゴムにおいてゴム成分Aおよびゴム成分Bの特性を十分に発現させることができる。また、排出温度が140℃以下であれば、架橋成形工程の前に架橋反応が起こるのを防ぐことができる。
ゴム混合物の架橋を行う架橋成形工程(S4)では、ゴム混合物を金型に注入し、熱および圧力を加えることにより、製品形状にするとともに架橋反応を行う。この架橋成形工程(S4)は、一般的にゴム材料の架橋成形で用いられる方法を使用することが可能であり、加硫成形機として、例えば、圧縮成型機、射出成型機、トランスファー成形機、スチーム缶機、その他、赤外線やマイクロウェーブを用いるものを使用することができる。
以下に実施例を挙げて本実施形態をさらに具体的に説明する。
<実施例1~7および比較例1~7>
下記表1および表2に示す質量部数の各成分を用いて、耐熱性防振ゴムを製造した。
実施例1~7および比較例2~7では、ゴム成分Aと架橋剤A’、ゴム成分Bと架橋剤B’をそれぞれ「事前混錬」する本実施形態の製造方法によって製造した。この製造方法において、第1混錬工程(S1)は100℃,7分間、第2混錬工程(S2)は100℃,5分間、第3混錬工程(S3)は100℃,5分間の条件で混錬した。また、170℃,10分間の条件で架橋成形をおこなった。
比較例1は従来の「同時混錬」の製造方法によって製造した。比較例1では、まず防振性のゴム成分Aと耐熱性のゴム成分Bとを150℃,7分間混錬し、その混合ゴム成分にフィラー等を加えて140℃,5分間さらに混錬し、最後に架橋剤A’およびB’を添加して90℃,3分間混錬した。また、170℃,10分間の条件で架橋成形をおこなった。
<評価方法>
得られた耐熱性防振ゴムは以下の方法によりその特性を評価した。
[防振性について]
製造した耐熱性防振ゴムについて、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御社製、DVA-200)を用い、引張モードで振動数1Hz及び100Hz、振幅0.5%、温度23℃の条件で、動倍率(100Hzの貯蔵弾性率/1Hzの貯蔵弾性率)を測定した。表1および表2において便宜上、動倍率の逆数をとり、実施例1を基準値100として、90以上であれば防振性に優れると判断した。
[耐熱性について]
製造した耐熱性防振ゴムについて、JIS K6257に準拠して、100℃で2000時間の熱処理前後の硬度を新東工業社製の硬度計を用いて測定した。熱処理前後の硬度の変化率について、実施例1を基準値100として、90~110の範囲内であれば耐熱性に優れると判断した。
Figure 2022149130000002
Figure 2022149130000003
実施例1と比較例1によれば、同じ組成であるにも関わらず、混錬方法の違いにより、防振性および耐熱性のいずれにおいても実施例1が比較例1よりも優れていた。実施例1では、図2のように、ゴム成分Aには対応する架橋剤A’が分散されており、ゴム成分Bには対応する架橋剤B’分散しており、それぞれ架橋反応が進行しやすい分布になっていると推測される。比較例1では、図3のように、ゴム成分と対応する架橋剤とがランダムに分布していると推測され、このような分布が防振性および耐熱性がいずれも不十分となった原因であると考えられる。
ゴム成分Aとして天然ゴム(NR)、ゴム成分Bとして二元系のエピクロロヒドリンゴム(ECO)を用いた実施例1~3および比較例2,3では、ゴム成分Aとゴム成分Bとの配合比率が3:7~7:3の範囲であるときに、防振性および耐熱性に優れ、特性バランスの取れた耐熱性防振ゴムが得られた。ゴム成分Aとしてイソプレンゴム(IR)、ゴム成分Bとしてアクリルゴム(ACM)を用いた場合(実施例4~6および比較例3,4)も同様に、ゴム成分Aとゴム成分Bとの配合比率は3:7~7:3の範囲であるときに優れた結果が得られており、ゴム成分の種類に関わらず、防振性のゴム成分Aと耐熱性のゴム成分Bとの組み合わせがこのような配合比率であれば、バランスの取れた高い防振性および耐熱性の耐熱性防振ゴムが得られると考えられる。
また、実施例1~6ではゴム成分Bの架橋剤B’としてエチレンチオウレアを用いているが、異なる架橋剤(ジクミルパーオキサイド)を用いた実施例7においても優れた防振性および耐熱性が得られたため、架橋剤の種類は限定されないと考えられる。
比較例6は、耐熱性のゴム成分Bに対応する架橋剤B’が含まれない組成であり、得られた耐熱性防振ゴムでは耐熱性が低下していた。また、比較例7は、防振性のゴム成分Aに対応する架橋剤A’が含まれない組成であり、得られた耐熱性防振ゴムでは防振性が低下していた。この結果から防振性のゴム成分Aには対応する架橋剤A’を、耐熱性のゴム成分Bには対応する架橋剤B’をそれぞれ配合する必要があると考えられる。
<実施例1における製造条件の検討>
次に、各混錬工程における混錬時間と混錬温度の検討を行い、高い防振性および耐熱性を発現することが可能な製造条件を検討した。
まず、実施例1の組成について検討した。第1混錬工程(S1)は100℃,7分間、第2混錬工程(S2)は100℃,5分間、第3混錬工程(S3)は100℃,5分間の条件を検討1-1とし、この条件を基準として、混錬時間と混錬温度の検討をおこなった。なお、架橋成形はいずれの検討においても170℃,10分間でおこなった。検討結果を表3に示す。
得られた耐熱性防振ゴムの防振性および耐熱性は上記の方法を用いて評価した。また、生産性についての評価は、第1混錬工程(S1)、第2混錬工程(S2)および第3混錬工程(S3)の合計の混錬時間が30分以内であれば◎、60分以内であれば〇、60分を超える場合は×とした。防振性、耐熱性および生産性を合わせた判定は、防振性の判定値が90より低い場合、耐熱性の判定値が90~110の範囲外である場合、または、合計混錬時間が60分を超える場合の少なくとも1つに該当すれば×とし、防振性、耐熱性および生産性の全てにおいて満足する結果が得られた検討条件を〇とした。
Figure 2022149130000004
検討1-2から1-5では、第1混錬工程(S1)の混錬時間を変えて検討した。第1混錬工程(S1)の混錬時間を2分間とした検討1-2では、防振性の評価において良い結果が得られなかった。第1混錬工程(S1)において、防振性のゴム成分Aに対応する架橋剤A’が十分に分散されなかったためであると考えられる。よって、第1混錬工程(S1)の混錬時間は、3分以上が好ましい。また、生産性の観点から50分以内が好ましい。
検討1-6から1-9では、第2混錬工程(S2)の混錬時間を変えて検討した。第2混錬工程(S2)の混錬時間を0.5分とした検討1-6では、耐熱性の評価において良い結果が得られなかった。これは、第2混錬工程(S2)において、耐熱性のゴム成分Bに対応する架橋剤B’が十分に分散されなかったためであると考えられる。このような検討1-6の製造条件では、ゴム成分と架橋剤は図4のように分布していると推測される。第2混錬工程(S2)の混錬時間は1分以上が好ましく、また、生産性の観点から40分以内が好ましい。
検討1-10から1-13では、第3混錬工程(S3)の混錬時間を変えて検討した。第3混錬工程(S3)の混錬時間を0.5分とした検討1-10では、防振性および耐熱性の評価において良い結果が得られなかった。これは、第3混錬工程(S3)において、防振性ゴム組成物と耐熱性ゴム組成物とが十分に分散されなかったためであると考えられる。このような検討1-10の製造条件では、ゴム成分は図5のように分布していると推測される。第3混錬工程(S3)の混錬時間は1分以上が好ましく、また、生産性の観点から40分以内が好ましい。
検討1-14および1-15では、第1混錬工程(S1)、第2混錬工程(S2)および第3混錬工程(S3)の合計の混錬時間を変えて検討した。各混錬工程を最低限の混錬時間とし、合計時間を5分間とした検討1-14では、防振性、耐熱性および生産性に優れた結果であった。各混錬工程を上限の混錬時間とし、混錬の合計時間を130分間とした検討1-15では、防振性および耐熱性は高いが生産性が悪いため×とした。
検討1-16から1-19では、第1混錬工程(S1)、第2混錬工程(S2)および第3混錬工程(S3)における各排出温度を変えて検討した。排出温度を50℃とした検討1-16では、防振性および耐熱性が低かった。50℃では、架橋剤がゴム成分へ十分に分散されないと考えられる。排出温度を150℃とした検討1-19では、混錬中にスコーチが発生してしまうため、耐熱性防振ゴムを製造することができなかった。よって、第1混錬工程、第2混錬工程、および第3混錬工程は、60℃以上140℃以下の排出温度で行われることが好ましい。
検討1-20から1-23では、第1混錬工程(S1)、第2混錬工程(S2)および第3混錬工程(S3)における各排出温度と混錬の合計時間を検討した。排出温度が140℃の場合であって、合計混錬時間が5分のとき(検討1-22)は、防振性、耐熱性および生産性に優れた結果であったが、合計混錬時間が130分の場合は、混錬中にスコーチが発生してしまうため、耐熱性防振ゴムを製造することができなかった。よって、優れた防振性および耐熱性を備え、高い生産性で耐熱性防振ゴムを得るには、排出温度および混錬時間を最適な範囲で製造することが好ましい。
<実施例4における製造条件の検討>
次に、防振性のゴム成分Aの配合割合が耐熱性のゴム成分Aよりも高い実施例4の組成においても製造条件を検討した。第1混錬工程(S1)は100℃,7分間、第2混錬工程(S2)は100℃,5分間、第3混錬工程(S3)は100℃,5分間の条件を検討4-1とし、この条件を基準として、上記検討1-1から1-23と同様の条件検討をおこない、検討4-1から4-23の検討結果を得た。結果を表4に示す。
Figure 2022149130000005
<実施例5における製造条件の検討>
次に、防振性のゴム成分Aの配合割合が耐熱性のゴム成分Aよりも低い実施例4の組成においても、製造条件を検討した。第1混錬工程(S1)は100℃,7分間、第2混錬工程(S2)は100℃,5分間、第3混錬工程(S3)は100℃,5分間の条件を検討5-1とし、この条件を基準として、上記検討1-1から1-23と同様の条件検討をおこない、検討5-1から5-23の検討結果を得た。結果を表4に示す。
Figure 2022149130000006
検討4-2から4-23の結果および検討5-2から5-23の結果は、検討1-1から1-23の結果とほぼ同様であった。よって、実施例1の組成における製造条件が、ゴム成分の配合比率の異なる組成において適用可能であると考えられる。

Claims (5)

  1. 防振性を有するゴム成分Aおよび該ゴム成分Aを架橋可能な架橋剤A’を混錬し、防振性ゴム組成物を得る第1混錬工程と、
    耐熱性を有するゴム成分Bおよび該ゴム成分Bを架橋可能な架橋剤B’を混錬し、耐熱性ゴム組成物を得る第2混錬工程と、
    前記防振性ゴム組成物および前記耐熱性ゴム組成物を混錬し、ゴム混合物を得る第3混錬工程と、
    前記ゴム混合物の架橋を行う架橋成形工程と、を含むことを特徴とする耐熱性防振ゴムの製造方法。
  2. 前記ゴム成分Aと前記ゴム成分Bとの配合比率が3:7~7:3の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の耐熱性防振ゴムの製造方法。
  3. 前記ゴム成分Aが、ジエン系ゴムであり、
    前記ゴム成分Bが、エピクロロヒドリンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の耐熱性防振ゴムの製造方法。
  4. 前記第1混錬工程、前記第2混錬工程、および前記第3混錬工程は、60℃以上140℃以下の排出温度で行われることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の耐熱性防振ゴムの製造方法。
  5. 前記第1混錬工程における混錬時間は3分以上であり、
    前記第2混錬工程における混錬時間は1分以上であり、
    前記第3混錬工程における混錬時間は1分以上であり、
    前記第1混錬工程、前記第2混錬工程および前記第3混錬工程の混錬時間の合計は60分以内であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の耐熱性防振ゴムの製造方法。
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