JPWO2016159257A1 - 防振ゴム組成物及び防振ゴム - Google Patents

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Abstract

本発明は、天然ゴム、または天然ゴムとジエン系合成ゴムとの混合物を主成分として含むゴム成分と、ビスマレイミドと、ベンゼン環を有するジチオカルバミン酸金属塩とを含有することを特徴とする防振ゴム組成物を提供する。本発明の防振ゴム組成物によれば、低動倍率及び強度特性(硬度、引張伸び、引張強さ等)の基本特性を維持しつつ、静バネ変化と圧縮永久歪性とを改善することができ、エンジンマウント等の耐熱性への要求が厳しい防振部材に有用である。

Description

本発明は、自動車用途に好適な防振ゴム組成物及び防振ゴムに関し、更に詳述すると、特に、自動車のトーショナルダンパー、エンジンマウント、マフラーハンガー等の高温になる部位で好適に使用できる耐熱性のある防振ゴム組成物及び防振ゴムに関する。
従来、自動車や各種車両にはエンジン駆動時の振動を吸収して騒音を防止する等の目的のため、トーショナルダンパーやエンジンマウント、マフラーハンガー等が用いられ、その構成材料として防振ゴムが用いられている。このような用途に使用される防振ゴムには、減衰性が良好であること、耐熱性が良好であること、耐久性が良好であること、硬度、強力、伸び等のゴム物性が良好であること、動倍率等の動特性が良好であること(「低動倍」であること)、及びこれらの諸特性のバランスが良好であること等が要求される。
特に、防振ゴムは、近年の熱過酷地での自動車需要の増加に伴い、耐熱性への要求が大きくなってきている。また、エンジンマウントにおいては、エンジンルームの小型化によりエンジンルーム内の温度が上昇するため、さらに耐熱性への要求が厳しくなっている。多くの防振ゴム部材では防振性能の良好な、天然ゴムやブタジエンゴムなどのジエン系ゴムを主成分として用いられている。しかしながら、これらのゴムについては、防振性能は優れるが、耐熱性はクロロプレンゴム(CR)やエチレンプロピレンゴム(EPDM)等のゴムに比べ劣るという課題がある。
また、耐熱性の要求指標としては、破断伸びの変化、圧縮永久歪性、静バネ変化などがある。この中で静バネ変化、圧縮永久歪性を改善するための手法としては、ゴムに架橋剤としてビスマレイミドを配合し、加硫促進剤としてチアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤を併用する手法などが知られている。例えば、以下に示される先行技術文献が提示される。
特開2005−194501号公報には、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムに、加硫剤としてビスマレイミドを配合し、チアゾール系加硫促進剤又はチウラム系加硫促進剤を併用した防振ゴム組成物が記載されている。
しかしながら、上記の防振ゴム組成物の配合組成では、今後も増々要求特性が厳しく追求される耐熱性等の向上の要求への対応は未だ不十分であり、更には、硬さ変化と圧縮永久歪性とを向上させる防振ゴム組成物の配合組成を見出すことが求められる。
特開2005−194501号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、低動倍率、引張り物性(伸び,強度)等の基本的物性を維持しつつ、静バネ変化と圧縮永久歪性とを改善し、耐熱性に優れる防振ゴムを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、天然ゴムもしくは天然ゴムとジエン系合成ゴムのブレンドに、ビスマレイミド、特定のジチオカルバミン酸金属塩系加硫促進剤を併用することにより、硬度変化と圧縮永久歪性とを十分に改善し得ることを見出し、特に、上記ジチオカルバミン酸金属塩がベンゼン環を有するものをゴム組成物に配合することにより、上記の改善効果が増大することを知見した。
従って、本発明は、下記の防振ゴム組成物及び防振ゴムを提供する。
[1]天然ゴム、または天然ゴムとジエン系合成ゴムとの混合物を主成分として含むゴム成分と、ビスマレイミドと、ベンゼン環を有するジチオカルバミン酸金属塩とを含有することを特徴とする防振ゴム組成物。
[2]ゴム成分の全てが天然ゴムからなる[1]記載の防振ゴム組成物。
[3]天然ゴムとジエン系合成ゴムとの混合物を主成分とし、天然ゴム(A)とジエン系ゴム混合物(B)との配合比率(A)/(B)が90/10〜40/60である[1]記載の防振ゴム組成物。
[4]上記のベンゼン環を有するジチオカルバミン酸金属塩が、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛塩またはN−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛塩である[1]、[2]又は[3]記載の防振ゴム組成物。
[5]上記ビスマレイミドの配合量が、ゴム成分100質量部に対して、0.2〜10質量部である[1]〜[4]のいずれか1項記載の防振ゴム組成物。
[6]上記ジチオカルバミン酸金属塩の配合量が、ゴム成分100質量部に対して、0.2〜5質量部である[1]〜[5]のいずれか1項記載の防振ゴム組成物。
[7]上記ゴム組成物中に硫黄を含有する[1]〜[6]のいずれか1項記載の防振ゴム組成物。
[8]上記[1]〜[7]のいずれか1項記載のゴム組成物を硬化させてなる防振ゴム。
本発明の防振ゴム組成物によれば、低動倍率及び強度特性(硬度、引張伸び、引張強さ等)の基本特性を維持しつつ、静バネ変化と圧縮永久歪性とを改善することができ、エンジンマウント等の耐熱性への要求が厳しい防振部材に有用である。
以下、本発明の防振ゴム組成物につき、更に詳しく説明する。
本発明の防振ゴム組成物は、ゴム成分としては、天然ゴム(NR)、または天然ゴムとジエン系ゴムとを混合したものを主成分とするものである。
天然ゴム(NR)としては、特に制限されるものではなく、公知のものを適宜選択使用すればよく、例えば、RSS(Ribbed smoked sheets)、TSR(Technically Specified Rubber)等が挙げられる。
本発明において上記のジエン系ゴムとは、主鎖に二重結合を含み、原料モノマーとしてジエン系モノマーを使用したゴムである。具体的には、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)等が挙げられ、これらの中から1種を単独又は2種以上を混合して用いることができる。本発明においては、特に、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)を好適に用いることができる。
上記のポリブタジエンゴム(BR)は、1,3−ブタジエンのモノマーを単独重合させてなるポリマーであり、他のモノマーを重合させてなるものではない。また、上記のポリブタジエンゴム(BR)は、Ni,Co,Nd等の金属触媒や有機金属化合物を触媒として、炭化水素溶媒中で溶液重合してなるものであり、後述するスチレン−ブタジエンゴム(SBR)とは、ポリマーの構成ユニット及び製法が全く異なる。
上記のポリブタジエンゴム(BR)としては、シス−1,4結合含量が95%以上の高シスポリブタジエンゴム(BR)が好ましく、例えば、JSR社製の「BR01」や宇部興産社製の「150L」等の市販品を採用することができる。
また、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)は、スチレンと1,3−ブタジエンの共重合によりなり、特に、スチレンと1,3−ブタジエンとの乳化重合により得られる共重合体である。また、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)は、アクリロニトリルと1,3−ブタジエンとを乳化重合により得られる共重合体である。このアクリロニトリル−ブタジエンゴム中のブタジエン部分の二重結合に水素を付加させた水素添加ニトリルゴム(HNBR)も存在するが、本発明で言うアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)は、上記の水素添加ニトリルゴム(HNBR)とは区別される。
なお、本発明のゴム組成物には、ゴム成分として、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム(EPM,EPDM)、ウレタンゴム(U)、シリコーンゴム(Q)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、エピクロロヒドリンゴム(CO,ECO)、アクリルゴム(ACM)及びフッ素ゴム(FKM)等の非ジエン系ゴムは含まれない。
天然ゴムを主成分とする場合には、ゴム組成物中のゴム成分に占める天然ゴムの割合は、強度特性や耐久性の観点から、60質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
また、天然ゴムとジエン系ゴムとを混合したものを主成分とする場合には、天然ゴム(A)とジエン系ゴム混合物(B)との配合比率(A)/(B)は、強度特性や耐久性の観点から、好ましくは質量比で90/10〜40/60であり、好ましくは、80/20〜50/50、より好ましくは70/30〜60/40である。(A)及び(B)の合計量がゴム組成物中のゴム成分に占める割合は、強度特性や耐久性の観点から、60質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
本発明では、加硫剤の一つとしては、硫黄を配合することができる。硫黄の総配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部であり、好ましくは0.3〜3.0質量部、より好ましくは0.4〜2.0質量部である。
本発明においては、加硫剤の一つとして、ビスマレイミドを使用する。ビスマレイミドとしては、公知のものを用いることができ、特に制限されるものではないが、本発明では下記構造式で表されるビスマレイミドを好適に採用することができる。
Figure 2016159257
上記式中、x及びyはそれぞれ独立に0〜20のいずれかの整数を示し、より好ましくは0〜10の整数とされる。また、R2は炭素数5〜18の芳香族基、又はアルキル基を含む炭素数7〜24の芳香族基を示し、具体的には、以下の構造を有する芳香族基が例示される。なお、以下の構造においては二つの結合手が記されていないが、以下の構造中では任意に選択される二つの炭素原子からの二つの結合手により二価の基を構成する。
Figure 2016159257
上記構造式で表されるビスマレイミドの具体例としては、N,N’−o−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、4,4’−メタンビス(N−フェニルマレイミド)、2,2−ビス−[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンなどを例示することができる。本発明ではN,N’−m−フェニレンビスマレイミド及び4,4’−メタンビス(N−フェニルマレイミド)を好適に用いることができる。
なお、上記のビスマレイミドは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。その配合量は、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、0.2〜10質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.3〜5.0質量部、さらに好ましくは0.4〜3.0質量部、最も好ましくは0.5〜2.0質量部である。ビスマレイミドの配合量が0.2質量部以上であると、耐熱性、圧縮永久歪み等を改善することができる。一方、ビスマレイミドの配合量が10質量部以内であれば、引張り物性(伸び,強度)、耐久性を改善することができる。
また、本発明では、ジチオカルバミン酸金属塩を配合するものであり、具体的には、下記に示すジチオカルバミン酸金属塩を配合する。即ち、本発明においては、下記に示す特定のジチオカルバミン酸金属塩と上述したビスマレイミドと併用することにより、硬度変化と圧縮永久歪性とが良好に得られると共に、耐熱性を良好に得ることができる。
ジチオカルバミン酸金属塩は、例えば、下記の化学構造を有するものが挙げられる。
Figure 2016159257
上記式中、R1及びR2は、互いに同種又は異種であり、いずれか一方がベンゼン環を有するものである。また、R1及びR2のうち、環状構造を有しない他方としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基等の鎖状アルキル基などの置換基が例示されるが、これに制限されるものではない。
また、上記式中の金属塩(M)としては、亜鉛(Zn2+)、銅(Cu2+)、鉄(Fe2+)、テルル(Te2+)などが挙げられる。
上記ジチオカルバミン酸金属塩として具体的には、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛塩、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛塩等が挙げられる。
上記のジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛塩は、下記の化学構造を有し、例えば、大内新興化学工業社製「ノクセラ― ZTC」が例示される。
Figure 2016159257
また、上記のN−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛塩は、下記の化学構造を有し、例えば、大内新興化学工業社製「ノクセラ― PX」が例示される。
Figure 2016159257
上記ジチオカルバミン酸金属塩の配合量は、特に制限はないが、耐熱性、圧縮永久歪み、引張り物性(伸び,強度)及び動倍率を改善する観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2〜5.0質量部、より0.3〜3.0質量部、さらに好ましくは0.5〜2.0質量部である。
また、本発明では、本発明の効果を妨げない範囲で、加硫促進剤を使用することができる。該加硫促進剤の種類としては、特に制限されるものではないが、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のベンゾチアゾール系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラドデシルチウラウムジスルフィド、テトラオクチルチウラウムジスルフィド、テトラベンジルチウラウムジスルフィド等のチウラウム系加硫促進剤などを挙げることができる。
カーボンブラックとしては、公知のものを使用することができ、特に限定されるものではないが、例えば、SRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT等のカーボンブラックを挙げることができ、本発明においては、FEFを好適に用いることができる。また、これらのカーボンブラックは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらカーボンブラックの配合量は、作業性の面の点等から、上記ゴム成分100質量部に対し、通常5〜80質量部、好ましくは10〜60質量部、より好ましくは20〜45質量部である。
本発明においては、加硫を促進する観点から、亜鉛華(ZnO)や脂肪酸等の加硫促進助剤を配合できる。脂肪酸としては飽和,不飽和あるいは直鎖状、分岐状のいずれの脂肪酸であってもよく、脂肪酸の炭素数も特に制限されないが、例えば炭素数1〜30、好ましくは15〜30の脂肪酸、より具体的にはシクロヘキサン酸(シクロヘキサンカルボン酸)、側鎖を有するアルキルシクロペンタン等のナフテン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸(ネオデカン酸等の分岐状カルボン酸を含む)、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)等の飽和脂肪酸、メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸、ロジン、トール油酸、アビエチン酸等の樹脂酸などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明においては、亜鉛華及びステアリン酸を好適に用いることができる。これらの助剤の配合量は、作業性、低動倍率及び硫遅遅延の改善の点から、上記ゴム成分100質量部に対し、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.3〜5質量部である。
老化防止剤としては、公知のものを用いることができ、特に制限されないが、フェノール系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤、アミン系老化防止剤などを挙げることができる。これら老化防止剤の配合量は上記ゴム成分100質量部に対し、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.3〜5質量部である。
オイルは、公知のものを使用でき、特に制限されないが、具体的には、アロマティック油、ナフテン油、パラフィン油等のプロセスオイルや、やし油等の植物油、アルキルベンゼンオイル等の合成油、ヒマシ油等を使用できる。本発明においては、ナフテン油を好適に用いることができる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。オイルの配合量は、特に制限されないが、混練作業性の点から、上記ゴム成分100質量部に対し、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部である。なお、油展されたゴムを上記ゴム成分に用いる場合は、該ゴムに含有されるオイルと、混合時に別途添加されるオイルとの合計量が上記範囲となればよい。
そのほか、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、ゴム工業で通常使用されているワックス類、酸化防止剤、充填剤、発泡剤、可塑剤、滑剤、粘着付与剤、石油系樹脂、紫外線吸収剤、分散剤、相溶化剤、均質化剤等の添加剤を適宜配合することができる。
本発明のゴム組成物を得るに際して、上記各成分の配合方法に特に制限はなく、全ての成分原料を一度に配合して混練しても良いし、2段階あるいは3段階に分けて各成分を配合して混練を行ってもよい。なお、混練に際してはロール、インターナルミキサー、バンバリーローター等の混練機を用いることができる。更に、シート状や帯状等に成形する際には、押出成形機、プレス機等の公知の成形機を用いればよい。
また、上記ゴム組成物を硬化させる際の加硫条件としては、特に限定されるものはないが、通常140〜180℃で、5〜120分間の加硫条件を採用することができる。
本発明の防振ゴムは、上述したゴム組成物を加硫させて得られるものであり、各種の防振部材に用いることができる。また、防振部材は、通常、構成要素として、上記ゴム組成物と金属と接着剤とを含むのであり、上記の未加硫ゴム組成物と金属とを接着剤を介して加熱加圧することにより、上記ゴム組成物を加硫すると同時に、この加硫ゴムと金属とを接着することに防振部材を得ることができる。更に、上記防振部材には、必要に応じて、構成要素として樹脂を含ませることができる。この場合、防振部材は、加硫ゴムと金属との間、および加硫ゴムと樹脂との間に、それぞれ各種接着剤を介在させて構成されるものである。これらの防振部材としては、例えば、自動車のトーショナルダンパー、エンジンマウント、マフラーハンガー等の高温になる部位に好適に使用されるものであるが、これらに限定されるものではない。
自動車のトーショナルダンパー、エンジンマウント、マフラーハンガー等の防振部材の防振ゴムとして適用される際、防振ゴムの好適な硬度(Hd)は、JIS K 6253(タイプA)で、好ましくは30以上、より好ましくは30〜70である。また、防振ゴムの好適な動倍率(Kd/Ks)は、JIS K 6385に準拠した数値では、1.10〜1.50であることが好適である。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1〜7、比較例I〜VI]
下記表1に示す配合組成で混練し、実施例1〜7及び比較例I〜VIの各々の防振ゴム組成物を所定の条件で所定の形状に加硫硬化させ、成型物を作製した。この成形物を本発明の防振ゴムの評価体とした。得られた成形物について、硬度(Hd)、引張伸び(Eb)、引張強さ(Tb)、引張応力(Md100)、耐熱性(熱老化試験)、圧縮永久歪み(CS)、動倍率(Kd/Ks)を下記JIS規格に準拠して測定を行い、評価した。また、熱老化後の静バネ定数(Ks)及び静バネ変化率については下記の試験内容により、測定を行い、評価した。その結果を表1に併記する。
[硬度(Hd)]
JIS K 6253(タイプA)に準拠
[引張伸び(Eb)]
JIS K 6251に準拠した。
[引張強さ(Tb)]
JIS K 6251に準拠した。
[引張応力(Md100)]
JIS K 6251に準拠して、伸びが100%のときの応力(Md100)を求めた。
[耐熱性(熱老化試験)]
JIS K 6257に準拠し、100℃,96時間の熱老化条件下で行い、それぞれ試験片を放置した後、上記引張伸び(Eb)、引張強さ(Tb)、及び引張応力(Md100)をそれぞれ測定し、また、これらの変化率を求めた。変化率の定義は、熱老化前の試験片の各物性値に対する熱老化後の試験片の各物性値の比であって、例えば引張伸び(Eb)の保持率では(熱老化後のEb/熱老化前のEb)となる。保持率は1に近い程、熱老化による変化がないことを意味し、従って、耐熱性に優れていることを示す。
[圧縮永久歪み]
100℃,72時間の加熱温度条件の下、圧縮永久歪み試験をJIS K 6262に準拠して実施した。
[静バネ定数(Ks)、動バネ定数(Kd)及び動倍率(Kd/Ks)]
JIS K 6385に準拠し、Kdは100Hzで測定した。また、静バネ定数(Ks)及び動倍率(Kd/Ks)の評価では、直径30mm×高さ30mmの円柱状の試料を作製した。
[熱老化後の静バネ定数(Ks)、及び静バネ変化率]
100℃,250時間の加熱温度条件の下で行い、それぞれ試験片を放置した後、静バネ定数(Ks)を測定した。静バネ定数(Ks)の変化率の定義は、熱老化前の試験片の各物性値に対する熱老化後の試験片の各物性値の比、即ち、熱老化後のKs/熱老化前のKsとなる。変化率は1に近い程、熱老化による変化がないことを意味し、耐熱性に優れていることを示す。
上記の配合についての詳細は下記の通りである。
ゴム成分
・天然ゴム(NR):「RSS#4」
・ブタジエンゴム:JSR社製「BR01」
カーボンブラック
・旭カーボン社製「旭 #65」
ステアリン酸
新日本理化社製「ステアリン酸50S」
亜鉛華
ハクスイテック社製「3号亜鉛華」
ワックス(WAX)
精工化学社製「サンタイト S」
老化防止剤:6C
大内新興化学工業社製 N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、「ノクラック NS−6」
ナフテンオイル
SUN REFINING AND MARKETING COMPANY 「Sunthene4240」
硫黄
鶴見化学社製「粉末硫黄」
ビスマレイミド
大内新興化学工業社製 N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、「バルノックPM」)
加硫促進剤 TT
川口化学工業社製「アクセル TMT−PO」
加硫促進剤 CZ
大内新興化学工業社製「ノクセラー CZ−G」
ジチオカルバミン酸金属塩 PZ
大内新興化学工業社製「ノクセラ― PZ」
ジチオカルバミン酸金属塩 BZ
大内新興化学工業社製「ノクセラ― BZ」
ジチオカルバミン酸金属塩 PX
大内新興化学工業社製「ノクセラ― PX」
ジチオカルバミン酸金属塩 ZTC
大内新興化学工業社製「ノクセラ― ZTC」
ジチオカルバミン酸金属塩 ZP
大内新興化学工業社製「ノクセラ― ZP」
Figure 2016159257
表1の結果より以下のことが分かる。
実施例1〜7は、各比較例に比べて、熱老化後の静バネ変化率が小さく、耐熱性が良好であり、且つ、圧縮永久歪みが低くなると共に、動倍率が低く防振性能を良好に得ることができる。
これに対して、比較例Iは、圧縮永久歪みが大きくなり、動倍率が大きくなると共に、熱老化後の静バネ変化率が大きく、耐熱性の悪化が見られる。
比較例IIは、圧縮永久歪みが大きくなり、動倍率が大きくなると共に、熱老化後の静バネ変化率が大きく、耐熱性の悪化が見られる。
比較例IIIは、圧縮永久歪みが大きくなり、動倍率が大きくなると共に、熱老化後の静バネ変化率が大きく、耐熱性の悪化が見られる。また、比較例III−2は、熱老化後の引張伸び(Eb)が小さくなり、耐熱性に劣る。
比較例IVは、圧縮永久歪みが大きくなり、動倍率が大きくなると共に、熱老化後の静バネ変化率が大きく、耐熱性の悪化が見られる。また、比較例IVは、熱老化後の引張伸び(Eb)が小さくなり、耐熱性に劣る。
比較例Vは、圧縮永久歪みが非常に大きくなり、動倍率が大きくなると共に、熱老化後の静バネ変化率が大きく、耐熱性の悪化が見られる。
比較例VIは、圧縮永久歪みが大きくなり、動倍率が大きくなると共に、熱老化後の静バネ変化率が大きく、耐熱性の悪化が見られる。

Claims (8)

  1. 天然ゴム、または天然ゴムとジエン系合成ゴムとの混合物を主成分として含むゴム成分と、ビスマレイミドと、ベンゼン環を有するジチオカルバミン酸金属塩とを含有することを特徴とする防振ゴム組成物。
  2. ゴム成分の全てが天然ゴムからなる請求項1記載の防振ゴム組成物。
  3. 天然ゴムとジエン系合成ゴムとの混合物を主成分とし、天然ゴム(A)とジエン系ゴム混合物(B)との配合比率(A)/(B)が90/10〜40/60である請求項1記載の防振ゴム組成物。
  4. 上記のベンゼン環を有するジチオカルバミン酸金属塩が、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛塩またはN−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛塩である請求項1、2又は3記載の防振ゴム組成物。
  5. 上記ビスマレイミドの配合量が、ゴム成分100質量部に対して、0.2〜10質量部である請求項1〜4のいずれか1項記載の防振ゴム組成物。
  6. 上記ジチオカルバミン酸金属塩の配合量が、ゴム成分100質量部に対して、0.2〜5質量部である請求項1〜5のいずれか1項記載の防振ゴム組成物。
  7. 上記ゴム組成物中に硫黄を含有する請求項1〜6のいずれか1項記載の防振ゴム組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載のゴム組成物を硬化させてなる防振ゴム。
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