JP5283397B2 - 油展変性共役ジエン系重合体組成物 - Google Patents

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本発明は、油展変性共役ジエン系重合体組成物に関する。さらに詳しくは、変性基を分子中に有する油展変性共役ジエン系重合体組成物に関する。
近年、自動車に対する低燃費化・操縦安定性要求が高まっている。そのため、タイヤ用材料としても転がり抵抗が小さく、ウェットスキッド抵抗に優れ、さらに耐摩耗性や剛性が優れたゴム組成物が望まれている。
タイヤの転がり抵抗を低減するためには、一般的に発熱性の低いゴム材料が用いられている。発熱性の低いゴム材料としては、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン等が知られているが、これらのゴム材料はウェットスキッド抵抗に劣るという問題がある。 ウェットスキッド抵抗を損なうことなく転がり抵抗を低減する方法として、炭化水素溶媒中で有機リチウム開始剤により重合された種々の構造のスチレン−ブタジエン共重合体において、ブタジエン部の1,2−結合量(ビニル結合量)を多くする方法、重合体末端に変性基を導入する方法等が提案されている。
また、加硫ゴムの耐摩耗性を改良する方法としては、耐摩耗性に優れた材料であるポリブタジエン等を配合する方法が行なわれている。
さらに、加硫ゴムの剛性を高める方法としては、一般的には補強性充填剤の組成改良等が挙げられる。ゴム材料の改良としては、高分子量化する以外に効果的な方法はなかった。
例えば、特許文献1〜4には、重合体の活性末端と分子中にエポキシ基および3級アミノ基を有する低分子化合物を反応させる方法が開示されている。
特許第2538629号公報 国際公開01/23467号パンフレット 特開2001−131227号公報 特開2003−119223号公報
本発明は、加硫処理を施して加硫ゴムとした時に、従来の、共役ジエン部の1,2−結合または3,4−結合の比率が高い、即ちビニル結合量が多い共役ジエン系重合体(高ビニル共役ジエン系重合体)を含むゴム組成物と比較して、転がり抵抗とウェットスキッド抵抗のバランスが改良されるとともに、剛性、耐摩耗性にも優れたゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の官能基を末端に有する高ビニル変性共役ジエン系重合体を配合することによって、転がり抵抗とウェットスキッド抵抗のバランスが改良され、さらに剛性と耐摩耗性に優れた油展変性共役ジエン系重合体組成物を見出し、本発明をなすに至った。
すなわち本発明は下記のとおりである。
1.(1)共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を重合して得られる共役ジエン系重合体の活性末端が変性剤と結合した、下記(a)〜(c)を満たす変性共役ジエン系重合体(A−1)が伸展油で伸展された油展変性共役ジエン系重合体(A−2)と、
(a)該変性剤が、下記一般式(1)で表される分子中にグリシジルアミノ基を含む分子量が1000以下の低分子化合物75〜95質量%と、該低分子化合物の2量体以上のオリゴマー25〜5質量%から成る変性剤
Figure 0005283397
(ここで、Rは2価の炭化水素基またはエーテル、エポキシ、ケトン、チオエーテル、チオケトン、3級アミノ基、イミノ基から選ばれる少なくとも一種の極性基を有する2価の有機基である。)
(b)該共役ジエン系重合体中の共役ジエン化合物/芳香族ビニル化合物の質量比が85/15〜65/35
(c)該共役ジエン系重合体中の共役ジエン部の1,4−結合/1,2−結合または3,4−結合の比率が50/50〜25/75
(2)(A−1)とは異なるゴム(A−3)
とから成り、(A−1)と(A−3)の質量比が10/90〜90/10であることを特徴とする油展変性共役ジエン系重合体組成物。
2.変性共役ジエン系重合体(A−1)100質量部に対して伸展油5質量部〜60質量部を含むことを特徴とする前記1.に記載の油展変性共役ジエン系重合体組成物。
3.伸展油が、IP346法による多環芳香族成分が3質量%以下の伸展油であることを特徴とする前記1.または2.に記載の油展変性共役ジエン系重合体組成物。
4.変性共役ジエン系重合体(A−1)と(A−1)とは異なるゴム(A−3)の合計100質量部に対し、更に、補強性充填剤1質量部〜200質量部、加硫剤および加硫促進剤を合計0.1質量部〜30質量部を含むことを特徴とする前記1.〜3.のいずれかに記載の油展変性共役ジエン系重合体組成物。
5.(A−1)とは異なるゴム(A−3)が、天然ゴム、ポリイソプレン、シス−1,4−ポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする前記1.〜4.のいずれかに記載の油展変性共役ジエン系重合体組成物。
本発明の油展変性共役ジエン系重合体組成物は、加硫処理を施して加硫ゴムとした時に、従来の高ビニル共役ジエン系重合体を含むゴム組成物と比較して、転がり抵抗とウェットスキッド抵抗のバランスが改良されるとともに、剛性、耐摩耗性にも優れたゴム組成物を提供し、タイヤ用ゴム、防振ゴム、履物用等に好適に用いられる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の油展変性共役ジエン系重合体組成物においては、重合体として変性された共役ジエン系重合体(A−1)が用いられる。該変性共役ジエン系重合体(A−1)は、一方の末端が重合活性末端である共役ジエン系重合体にグリシジルアミノ基を含む低分子化合物75〜95質量%と、該低分子化合物の2量体以上のオリゴマー25〜5質量%から成る変性剤を反応させて得られる。なお、低分子化合物および該低分子化合物からなるオリゴマーの含有量は、変性剤全量に対する質量%で示す。また、本発明で用いるオリゴマーとしては該低分子化合物の2量体から10量体程度の範囲である。
該低分子化合物としては、一般式(1)で表される化合物が好ましい。
Figure 0005283397
(ここで、Rは2価の炭化水素基またはエーテル、エポキシ、ケトン等の酸素を含む極性基、チオエーテル、チオケトン等の硫黄を含む極性基、3級アミノ基、イミノ基等の窒素を含む極性基から選ばれる少なくとも一種の極性基を有する2価の有機基である。)
一般式(1)で表される低分子化合物としては、具体的には、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、4,4−メチレン−ビス(N,N−ジグリシジルアニリン)、1,4−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル-p-フェニレンジアミン、4,4’−ビス(ジグリシジルアミノ)ベンゾフェノン、4−(4−グリシジルピペラジニル)−(N,N−ジグリシジル)アニリン、2−[2−(N,N−ジグリシジルアミノ)エチル]−1−グリシジルピロリジン等が挙げられる。好ましい化合物としては、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンである。
変性剤のオリゴマー成分としては、例えば下記一般式(2)で表される2量体、一般式(3)で表される3量体等がある。
Figure 0005283397
Figure 0005283397
低分子化合物は分子量が1000以下の有機化合物であることが好ましく、オリゴマーは該低分子化合物の2量体から10量体程度の範囲が好ましい。
低分子化合物と該低分子化合物の2量体以上のオリゴマーは混合物として共役ジエン系重合体の活性末端と反応させることが好ましく、各成分の含有量は、低分子化合物75〜95質量%と該低分子化合物の2量体以上のオリゴマー25〜5質量%であることが好ましい。低分子化合物と該低分子化合物の2量体以上の各成分含有量がこの範囲であると、転がり抵抗とウェットスキッド抵抗に優れ、さらに剛性にも優れたゴム組成物を得ることができる。
低分子化合物とオリゴマー成分の比率はGPCにより測定される。GPC測定では、常法に従い低分子化合物からオリゴマー成分まで測定できるカラムを選択する。具体的には、後述する実施例に記載のように、該低分子化合物由来のピークにおいて高分子側の最初の変極点から垂線を下ろし、低分子側成分の面積と高分子側成分の面積比を求める。この面積比が低分子化合物とオリゴマー成分の比率である。なお、オリゴマー成分の高分子側ピークは、標準ポリスチレン換算分子量から求めた該低分子化合物の分子量の10倍以下の分子量となる点、あるいは該低分子化合物の分子量の10倍以下の分子量となる点までに成分ピークが0となる場合は成分ピークが0となる点までを積算する。
変性共役ジエン系重合体(A−1)において、変性基を有する重合体の割合は好ましくは5質量%〜90質量%、さらに好ましくは20質量%〜80質量%である。変性基を有する重合体の割合がこの範囲であると、本発明の目的である優れた性能が得られる。また、前記共役ジエン系重合体の活性末端のモル数に対して、変性剤は0.2倍モル〜10倍モルの範囲で用いることが好ましい。この範囲であると、本発明の目的である優れた性能が得られるだけでなく、変性剤コストも問題のない程度である。
変性共役ジエン系重合体(A−1)を構成する共役ジエン系重合体は、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を重合して得られる。
共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましい化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、ジフェニルエチレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましい化合物としては、スチレンが挙げられる。また、共役ジエン系重合体のコールドフローを防止するために、分岐をコントロールする観点から、ジビニルベンゼン等の多官能芳香族ビニル化合物も挙げられる。
変性共役ジエン系重合体(A−1)を構成する共役ジエン系重合体としては、ブタジエン−スチレン共重合体、イソプレン−スチレン共重合体、ブタジエン−イソプレン−スチレン共重合体が好ましい。
変性共役ジエン系重合体(A−1)を構成する共役ジエン系重合体において、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物の質量比は85/15〜65/35が好ましく、80/20〜70/30がさらに好ましい。この範囲であると、転がり抵抗とウェットスキッド抵抗のバランスに優れたゴム組成物を得ることができる。
変性共役ジエン系重合体(A−1)を構成する共役ジエン系重合体が、ブタジエン−スチレン共重合体、イソプレン−スチレン共重合体、ブタジエン−イソプレン−スチレン共重合体の場合、該重合体のガラス転移温度が、1つの場合はその温度が、複数ある場合は少なくともそのうちの1つの温度が、−50℃〜−10℃の範囲にあることが好ましい。
さらに好ましくは、−45℃〜−15℃の範囲である。ウェットスキッド抵抗の観点から−45℃以上が好ましく、転がり抵抗や耐摩耗性の観点から−15℃以下が好ましい。 ガラス転移温度は、重合体中のスチレン含量と共役ジエン化合物結合単位中に占めるビニル結合の分率を変化させることで調節できる。重合体のガラス転移温度はJIS K7121−1987記載の方法で加熱速度のみを毎分10℃に変えてDSC曲線を求め、中間点ガラス転移温度(Tmg)を読み取る方法で求めることができる。
共役ジエン系重合体の共重合体鎖中における各単量体の組成分布については、分子鎖中に均一であっても、また分子鎖中に不均一に分布していてもよく、分子鎖に沿って漸減・漸増する分布であってもよく、またブロックとして存在してもよい。ブロック構造としては、例えば、ブタジエンとスチレンからなる共重合体のブロックの場合に、ブタジエンとスチレンの比率が異なるブロックが繋がったものなどでもよい。
変性共役ジエン系重合体(A−1)を構成する共役ジエン系重合体の、共重合体鎖中における共役ジエンと共重合可能な芳香族ビニル化合物単量体の組成分布については、分子鎖中に均一であることが好ましい。例えば、芳香族ビニル化合物がスチレンである場合、共重合するスチレンはランダムに共重合したものであることが好ましい。ここで、ランダム共重合体とは、スチレンの連鎖長30以上の成分が少ないかまたは無いものである。具体的には、Kolthoffの方法(I. M. KOLTHOFF, et al., J. Polym. Sci., 1, 429(1946)に記載の方法)に従って重合体を分解し、メタノールに不溶なポリスチレン量を測定する場合は、重合体量に対してメタノールに不溶なポリスチレン量は好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。また、田中らの方法(Polymer, 22, 1721(1981)に記載の方法)に従って、重合体をオゾン分解し、スチレン連鎖分布を分析する場合は、単離スチレン、即ちスチレン単位の連鎖が1のスチレンが全結合スチレンの40質量%以上であり、長鎖ブロックスチレン、即ちスチレン単位の連鎖が8以上のスチレンが全結合スチレンの5質量%以下が好ましく、さらに好ましくは2.5質量%以下である。
変性共役ジエン系重合体(A−1)を構成する共役ジエン系重合体の重合反応において、特開昭59−140211号公報記載のように、共重合の途中に1,3−ブタジエンの一部を断続的に添加する方法で芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物をランダムに共重合することが可能である。また、芳香族ビニル化合物を共役ジエン化合物とランダムに共重合する目的のランダム化剤として、あるいは共役ジエン化合物中のビニル結合量を制御する目的のビニル化剤として少量の極性化合物を添加することも可能である。
極性化合物としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン等のエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジン等の第三級アミン化合物;カリウム-tert-アミラート、カリウム-tert-ブチラート、ナトリウム-tert-アミラート、ナトリウム-tert-ブチラート等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物;アルキルまたはアリールスルホン酸化合物等が挙げられる。これらの極性化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
極性化合物の使用量は、目的と効果の程度に応じて選択される。通常、開始剤1モルに対して0.01倍モル〜100倍モルが好ましい。
変性共役ジエン系重合体(A−1)は、共役ジエン重合体中の共役ジエン部のビニル結合量が好ましくは50%〜75%、さらに好ましくは55%〜70%である。ビニル結合量がこの範囲であると、転がり抵抗とウェットスキッド抵抗に優れるだけでなく、耐摩耗性を兼ね備えたゴム組成物を得ることができる。
変性共役ジエン系重合体(A−1)を構成する共役ジエン系重合体は炭化水素溶媒中、有機アルカリ金属化合物を開始剤として重合することができる。炭化水素溶媒は好ましくは、飽和炭化水素または芳香族炭化水素である。飽和炭化水素としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素が挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
変性共役ジエン系重合体(A−1)を構成する共役ジエン系重合体を重合する際の有機アルカリ金属系開始剤としては、有機リチウム化合物、有機ナトリウム化合物、有機カリウム化合物等を用いることができるが、特に有機リチウム化合物が好ましい。有機リチウム化合物としては、重合開始の能力がある全ての有機リチウム化合物を含む。例えば、低分子量のもの、可溶化したオリゴマーの有機リチウム化合物、また、1分子中に単独のリチウムを有するモノ有機リチウム化合物、1分子中に複数のリチウムを有する多官能性有機リチウム化合物等が挙げられる。さらに、有機基とリチウムの結合様式において、炭素−リチウム結合からなるもの、窒素−リチウム結合からなるもの、錫−リチウム結合からなるもの等も挙げられる。
具体的には、モノ有機リチウム化合物として、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等が挙げられる。多官能性有機リチウム化合物としては、1,4−ジリチオブタン、sec−ブチルリチウムとジイソプロペニルベンゼンの反応物、1,3,5−トリリチオベンゼン、n−ブチルリチウムと1,3−ブタジエンおよびジビニルベンゼンの反応物、n−ブチルリチウムとポリアセチレン化合物の反応物等が挙げられる。窒素−リチウム結合からなる化合物としては、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジ−n−ヘキシルアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムモルホリド等が挙げられる。これらの有機リチウム化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いる有機リチウム化合物として好ましい化合物は、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムである。
変性共役ジエン系重合体(A−1)の溶液には、必要に応じて反応停止剤を添加することができる。反応停止剤としては、通常、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;ステアリン酸、ラウリン酸、オクタン酸等の有機酸;水等が使用される。
また、本発明において、必要に応じて変性共役ジエン系重合体(A−1)に含まれる金属類を脱灰することができる。通常、脱灰の方法としては水、有機酸、無機酸、過酸化水素等の酸化剤等を重合体溶液に接触させて金属類を抽出し、その後水層を分離する方法で行われる。
変性共役ジエン系重合体(A−1)の分子量は、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が20万〜200万であることが好ましく、30万〜200万であることがさらに好ましい。この範囲の重量平均分子量である場合、加工性と物性のバランスが良好である。また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)は1.5〜3が好ましく、1.7〜2.7であることがさらに好ましい。Mw/Mnがこの範囲であると、本発明の効果がより顕著である。即ち、転がり抵抗とウェットスキッド抵抗のバランスに優れるだけでなく、剛性、耐摩耗性にも優れたゴム組成物が得られる。
変性共役ジエン系重合体(A−1)は、回分式または、1個の反応器あるいは2個以上の連結された反応器での連続式の重合様式で得られる重合体であることが好ましい。
変性共役ジエン系重合体(A−1)は公知の伸展油によって伸展される。伸展油の添加方法としては、変性反応後に所定量の伸展油を重合体溶液に加え、混合する方法が好ましい。伸展油の使用量は任意であるが、通常は重合体100質量部に対して5質量部〜60質量部であり、好ましくは20質量部〜37.5質量部である。伸展油としては、アロマ油、ナフテン油、パラフィン油、IP346法による多環芳香族(PCA)成分が3質量%以下のアロマ代替油が好ましく用いられる。アロマ代替油としては、KautschukGummi Kunststoffe, 52(12)799(1999)に示されるTDAE、MES等のほか、ジャパンエナジー(株)製のSRAE等がある。本発明においては、IP346法による多環芳香族成分が3質量%以下のアロマ代替油を用いることが、環境安全上の観点とウェットスキッド抵抗の観点から好ましい。
本発明の油展変性共役ジエン系重合体組成物は、油展変性共役ジエン系重合体(A−2)と(A−1)とは異なるゴム(A−3)を混合して得られる。その際、油展変性共役ジエン系重合体(A−2)中の変性共役ジエン系重合体(A−1)と、(A−1)とは異なるゴム(A−3)との質量比は、10/90〜90/10が好ましく、20/80〜80/20がより好ましい。この範囲で混合した場合、本発明の効果である、転がり抵抗とウェットスキッド抵抗のバランスに優れ、剛性、耐摩耗性にも優れた性能が発揮できる。
加硫ゴムとするためのゴム配合剤としては、例えば、補強性充填剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、さらに伸展油等を用いることができる。
油展変性共役ジエン系重合体組成物は、変性共役ジエン系重合体(A−1)と(A−1)とは異なるゴム(A−3)の合計100質量部に対して、補強性充填剤1質量部〜200質量部と加硫剤および加硫促進剤を合計0.1質量部〜30質量部とを混合することによって製造されることが好ましい。この場合、補強性充填剤の分散性がよく、加硫ゴムの性能が安定して優れる。
補強性充填剤としては、タイヤ、防振ゴム等の自動車部品、靴等の加硫ゴム用途に用いられる場合、シリカ系充填剤の使用が好ましく、特に一次粒子径が50nm以下である合成ケイ酸が好ましい。合成ケイ酸としては、湿式シリカ、乾式シリカが好ましく用いられる。
また、補強性充填剤としてはカーボンブラックを用いることができる。カーボンブラックとしては、特に制限されず、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイト等を用いることができる。これらの中でも、特にファーネスブラックが好ましい。
加硫剤としては、特に限定はないが、例えば粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等の硫黄;一塩化硫黄、二塩化硫黄等のハロゲン化硫黄;ジクミルパーオキシド、ジ-tert -ブチルパーオキシド等の有機過酸化物等が挙げられる。これらの中でも、硫黄が好ましく、粉末硫黄が特に好ましい。加硫剤の配合割合は、油展変性共役ジエン系重合体組成物中のゴム成分である(A−1)成分と(A−3)成分の合計100質量部に対して、通常0.1質量部〜15質量部、好ましくは0.3質量部〜10質量部、さらに好ましくは0.5質量部〜5質量部である。
加硫促進剤としては、スルフェンアミド系、チオウレア系、チアゾール系、ジチオカルバミン酸系、キサントゲン酸系加硫促進剤等が挙げられる。加硫促進剤の配合割合は、油展変性共役ジエン系重合体組成物中のゴム成分である(A−1)成分と(A−3)成分の合計100質量部に対して、通常0.1質量部〜15質量部、好ましくは0.3質量部〜10質量部、さらに好ましくは0.5質量部〜5質量部である。
加硫助剤としては、特に限定はないが、例えばステアリン酸や酸化亜鉛等を用いることができる。
油展変性共役ジエン系重合体組成物は、ゴム配合剤としてさらに伸展油を加えることができる。伸展油としては、例えば、アロマ系、ナフテン系、パラフィン系、シリコーン系等の伸展油が用途に応じて選択さる。伸展油の使用量は、油展変性共役ジエン系重合体組成物中のゴム成分である(A−1)成分と(A−3)成分の合計100質量部に対して、通常1質量部〜150質量部、好ましくは2質量部〜100質量部、さらに好ましくは3質量部〜60質量部である。伸展油の添加量がこの範囲であると、加硫ゴムにおいて補強性充填剤の分散効果、引張強度、耐摩耗性、耐熱性等のバランスが優れる。
また、ゴム配合剤としては、有機シランカップリング剤を使用することも可能である。有機シランカップリング剤は、シリカ系充填剤とゴム成分とのカップリング、即ち相互結合作用を緊密にするために使用される。有機シランカップリング剤の量はシリカ系充填剤に対して、好ましくは0.1質量%〜20質量%、さらに好ましくは0.1質量%〜15質量%である。
有機シランカップリング剤は、分子内にゴム成分の二重結合およびシリカ系充填剤の表面のそれぞれに対して親和性または結合性を有しているものである。例えば、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−テトラスルフィド、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−ジスルフィド、ビス−[2−(トリエトキシシリル)−エチル]−テトラスルフィド、3−メルカプトプロピル−トリメトキシシラン、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド等が挙げられる。
油展変性共役ジエン系重合体組成物は、上記成分以外に、常法に従って、炭酸カルシウム、クレー、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の充填剤、アミン系やフェノール系の老化防止剤、オゾン劣化防止剤、ジエチレングリコール等の活性剤、加工助剤、粘着付与剤、ワックス等のその他の配合剤をそれぞれ必要量含有することができる。
油展変性共役ジエン系重合体組成物は、上記各成分を公知のゴム用混練機械、例えば、ロール、バンバリーミキサー等を用いて混合することにより製造できる。
油展変性共役ジエン系重合体組成物は、必要に応じてシリカ系充填剤、カーボンブラック等の種々の添加剤を加えてマスターバッチとすることができる。マスターバッチとすることにより、加工性がよく、強度特性、耐摩耗性、転がり抵抗とウェットスキッド性能のバランスに優れたゴム組成物が提供できる。
本発明の油展変性共役ジエン系重合体組成物を構成する(A−1)とは異なるゴム(A−3)としては、例えば、天然ゴム、ポリイソプレン、シス−1,4−ポリブタジエン、トランス−1,4−ポリブタジエン(ブタジエン結合単位部分の1,4−トランス結合量70〜95%)、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合体、溶液重合スチレン−ブタジエンランダム共重合体(結合スチレン量5質量%〜50質量%、ブタジエン結合単位部分のビニル結合量10%〜80%)、スチレン−(トランス−1,4−ブタジエン)共重合体(ブタジエン結合単位部分の1,4−トランス結合量70〜95%)、スチレン−イソプレン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体、溶液重合スチレン−ブタジエン−イソプレンランダム共重合体、乳化重合スチレン−ブタジエン−イソプレンランダム共重合体、乳化重合スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、高ビニルスチレン−ブタジエン共重合体と低ビニルスチレン−ブタジエン共重合体のブロック共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体等が挙げられる。これらのゴムは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。相容性の観点および本発明の効果がより良く発揮されるための観点から、天然ゴム、ポリイソプレン、シス−1,4−ポリブタジエンから選ばれるいずれか1種以上であることが好ましい。ここで、シス−1,4−ポリブタジエンとは、ブタジエン結合単位部分の1,4−シス結合量が70%以上の重合体である。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。ただし、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、実施例における試料の分析は以下に示す方法に従って行った。
(1)結合スチレン量
試料をクロロホルム溶液とし、スチレンのフェニル基によるUV254nmの吸収により結合スチレン量(質量%)を測定した(島津製作所製:UV−2450)。
(2)スチレン連鎖
ブロックスチレン量(質量%)は、Kolthoffの方法(I. M. KOLTHOFF, et al., J. Polym. Sci., 1, 429(1946)に記載の方法)に従って重合体を分解し、メタノールに不溶なポリスチレン量を測定して求めた。
また、スチレン単位が1個のスチレン単連鎖、及びスチレン単位が8個以上連なったスチレン長連鎖の含率は、田中らの方法(Polymer, 22, 1721(1981)に記載)に従って、スチレン−ブタジエン共重合体をオゾンで分解した後、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって分析した。
(3)ブタジエン部分のミクロ構造
赤外分光光度計(日本分光製:FT−IR230)を使用して、600〜1000cm−1の範囲で赤外線スペクトルを測定した。試料を二硫化炭素溶液とし、溶液セルを用いた。その結果得られた吸光度よりハンプトンの方法の計算式に従い、ブタジエン部分のミクロ構造、すなわち、ビニル結合量を求めた。
(4)ガラス転移温度
JIS K7121−1987記載の方法で加熱速度のみを毎分10℃に変えて測定した。DSC曲線の中間点ガラス転移温度(Tmg)を読み取った。
(5)ムーニー粘度
JIS K6300−1:2001に準拠して、100℃で1分間予熱し、4分後の粘度を測定した。
(6)分子量及び分子量分布
ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラム3本を連結して用いたGPCを使用して試料および標準ポリスチレンのクロマトグラムを測定した(ガードカラム;東ソーTSKguardculmn HHR−H、カラム;東ソー TSKgel G6000HHR、TSKgel G5000HHR、TSKgel G4000HHR)。標準ポリスチレンの測定結果から検量線を作成し、これにより分子量及び分子量分布を計算した。溶離液にはテトラヒドロフラン(THF)を使用した。試料10mgを20mlのTHFに溶解し、これを200μlカラムに注入して測定した。測定はオーブン温度40℃、THFの流量1.0ml/分の条件で、東ソー;HLC8020(検出器;RI)を用いて行った。
(7)変性率
シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに、変性した成分が吸着する特性を応用することにより測定した。試料及び低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液に関して、上記(5)のポリスチレン系ゲルのGPC(東ソー;HLC−8020)と、シリカ系カラム(ガードカラム;DIOL4.6×12.5mm 5micron、カラム;デュポン社 Zorbax PSM−1000S、PSM−300S、PSM−60S)GPC(東ソー;CCP8020シリーズ、ビルドアップ型GPCシステム;AS−8020、SD−8022、CCPS、CO−8020、検出器;RI−8021、測定条件:オーブン温度;40℃、THF流量;0.5ml/分)の両クロマトグラムを測定し、それらの差分よりシリカカラムへの吸着量を測定し変性率を求めた。試料10mgおよび標準ポリスチレン5mgを20mlのTHFに溶解し、これを200μlカラムに注入して測定した。具体的手順は、下記のとおりである。ポリスチレン系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP1、標準ポリスチレンのピーク面積をP2、シリカ系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP3、標準ポリスチレンのピーク面積をP4として、変性率(%)は[1−(P2×P3)/(P1×P4)]×100で求めた。(ただし、P1+P2=P3+P4=100)
(8)変性剤の低分子化合物とオリゴマー成分の定量
カラム3本を連結して用いたGPC(東ソー;HLC−8220、検出器;RI)を使用して試料および標準ポリスチレンのクロマトグラムを測定した(カラム;東ソーTSKgel G3000HXL、TSKgel G2000HXL、TSKgel G1000HXL)。標準ポリスチレンの測定結果から検量線を作成し、これにより分子量の較正をした。溶離液にはテトラヒドロフラン(THF)を使用した。試料1.0mg/mlのTHF溶液を200μlカラムに注入して測定した。測定はオーブン温度40℃、THFの流量1.0ml/分の条件で行った。
(9)オリゴマー成分の構造特定
試料をTHFに溶解し、マトリックス(ジスラノール:1,8−ジヒドロキシ−9,10−ジヒドロキシアントラセン−9−オン)と完全に混合させた。混合溶液をサンプルプレートに滴下し、溶媒蒸発後、MALDI−TOF/MS測定を行った。
測定条件;
装置:島津 AXIMA CFR plus
レーザー:窒素レーザー(337nm)
検出器形式:リニアモード
イオン検出:正イオン(ポジティブモード)
積算回数:500回
マトリックス:ジスラノール 10mg/mL THF溶液
試料:1mg/mL THF溶液
スキャンレンジ:m/z1〜2000
[油展変性共役ジエン系重合体(A−2)製造例1]
内容積10リットル、底部に入り口、頂部に出口を有し、攪拌機および温度調節用のジャケットを有する反応器2基を直列に連結し、2基目反応器出口下流にスタティックミキサーを1基連結した。ブタジエンを18.75g/分、スチレンを6.25g/分、シクロヘキサンを192.3g/分で混合し、この混合溶液を活性アルミナを充填した脱水カラムを経由し、不純物を除去するためにn−ブチルリチウム0.0035g/分(0.0546mmol/分)の速度でスタティックミキサー中で混合した後、1基目の反応器底部より連続的に供給した。さらに、極性化合物として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.0452g/分、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.00525g/分(0.0820mmol/分)の速度でそれぞれ1基目の反応器底部より連続的に供給した。反応器内温度は70℃で保持した。
1基目反応器頂部より重合体溶液を連続的に抜き出し、2基目反応器の底部に連続的に供給した。2基目の反応器内温度を75℃に保持し、さらに2基目の反応器頂部より重合体溶液をスタティックミキサーへ供給した。スタティックミキサー内の温度は73℃に保持した。スタティックミキサー中を連続的に流れる重合体溶液に、変性剤としてテトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(単量体)89.9質量%とオリゴマー成分10.1質量%の混合物(変性剤X)を0.0137mmol/分の速度で添加し、変性反応を実施した。この変性重合体溶液に酸化防止剤(BHT)を連続的に添加し、変性反応を終了させた。さらに、この変性共重合体溶液にジャパンエナジー(株)製のSRAEオイル(商品名:プロセスNC−140、PCA成分2.2質量%)を重合体100質量部に対して37.5質量部加えて混合した。伸展油を添加した変性共重合体溶液の溶媒を除去し、油展変性スチレン−ブタジエン共重合体(試料A−2−1)を得た。なお、使用した変性剤XのGPC曲線を図1に、測定に使用したGPCの標準ポリスチレンによる較正曲線を図2示す。
試料A−2−1の油展前の変性共重合体は、結合スチレン量27質量%、結合ブタジエン量73質量%、ブタジエン中のビニル結合量65%であった。スチレン連鎖は、Korthoffの方法によるブロックスチレン量が0質量%、オゾン分解によるスチレン単連鎖は48質量%、スチレン単位が8個以上連なったスチレン長連鎖は1質量%であった。ポリスチレン換算分子量は、重量平均分子量(Mw)が110万、分子量分布(Mw/Mn)は2.2であった。変性率は60%であった。試料A−2−1、即ち油展後の変性共重合体のムーニー粘度は70であった。
[油展変性共役ジエン系重合体(A−2)製造例2]
ブタジエンの量を20g/分、スチレンの量を5g/分、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンの量を0.0327g/分、重合温度を2基目72℃、変性温度を70℃に変更した以外は、製造例1と同様の方法で重合、変性反応を実施した。油展変性スチレン−ブタジエン共重合体(試料A−2−2)を得た。
試料A−2−2の油展前の変性共重合体は、結合スチレン量21質量%、結合ブタジエン量79質量%、ブタジエン中のビニル結合量56%であった。ポリスチレン換算分子量は、質量平均分子量(Mw)が110万、分子量分布(Mw/Mn)は2.3であった。変性率は68%であった。試料A−2−2、即ち油展後の変性共重合体のムーニー粘度は83であった。
[油展変性共役ジエン系重合体(A−2)製造例3]
2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンの量を0.0452g/分に変更した以外は、製造例2と同様の方法で重合、変性反応を実施した。油展変性スチレン−ブタジエン共重合体(試料A−2−3)を得た。
試料A−2−3の油展前の変性共重合体は、結合スチレン量20質量%、結合ブタジエン量80質量%、ブタジエン中のビニル結合量64%であった。ポリスチレン換算分子量は、重量平均分子量(Mw)が100万、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であった。変性率は45%であった。試料A−2−3、即ち油展後の変性共重合体のムーニー粘度は72であった。
[油展変性共役ジエン系重合体(A−2)製造例4]
変性剤としてテトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(単量体)89.9質量%とオリゴマー成分10.1質量%の混合物(変性剤X)のかわりに四塩化ケイ素を0.00342mmol/分に変更した以外は、製造例1と同様の方法で重合、変性反応を実施した。油展変性スチレン−ブタジエン共重合体(試料A−2−4)を得た。
試料A−2−4の油展前の変性共重合体は、結合スチレン量25質量%、結合ブタジエン量75質量%、ブタジエン中のビニル結合量65%であった。ポリスチレン換算分子量は、重量平均分子量(Mw)が103万、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であった。なお、四塩化ケイ素の場合には、GPCのシリカカラムに変性成分が吸着されないため、変性率の測定は行わなかった。試料A−2−4、即ち油展後の変性共重合体のムーニー粘度は67であった。
[油展変性共役ジエン系重合体(A−2)製造例5]
ブタジエンの量を16.25g/分、スチレンの量を8.75g/分、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンの量を0.0418g/分、変性剤Xの量を0.0410mmol/分、重合温度を1基目72℃に変更した以外は、製造例1と同様の方法で重合、変性反応を実施した。油展変性スチレン−ブタジエン共重合体(試料A−2−5)を得た。
試料A−2−5の油展前の変性共重合体は、結合スチレン量37質量%、結合ブタジエン量63質量%、ブタジエン中のビニル結合量40%であった。ポリスチレン換算分子量は、重量平均分子量(Mw)が101万、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。変性率は68%であった。試料A−2−5、即ち油展後の変性共重合体のムーニー粘度は73であった。
試料A−2−1〜A−2−5の調整結果および上記分析方法による分析結果を表1に示した。
Figure 0005283397
表1に示す試料(試料A−2−1〜A−2−5)を(A−2)成分として、天然ゴム、ポリイソプレン、シス−1,4−ポリブタジエンを(A−3)成分として表2に示す配合でゴム組成物を得た。なお、表2で示されるゴム成分とは(A−2)成分から伸展油の質量を除いた(A−1)成分と(A−3)成分との合計である。(A−1)成分と(A−3)成分の質量比は表3および表4に示す。また、追加の伸展油はジャパンエナジー(株)製のSRAEオイル(商品名:プロセスNC−140、PCA成分2.2質量%)を用い、(A−2)成分に含まれる伸展油と合計で37.5質量部とした。
Figure 0005283397
油展変性共役ジエン系重合体組成物を製造する混練り方法はJIS K6299:2001に準拠して以下の方法で行った。
温度制御装置を付属した密閉混練機(内容量0.3リットル)を使用し、第一段の混練では、充填率65%、ローター回転数50/57rpmの条件で、ゴム成分、充填剤(シリカおよびカーボンブラック)、有機シランカップリング剤、伸展油、亜鉛華、ステアリン酸を混練した。この際、密閉混練機の温度を制御し、155〜160℃の排出温度で組成物を得た。第二段の混練として、第一段の混錬で得た組成物に老化防止剤を加え、シリカの分散を向上させるため再度混練した。この場合も、密閉混練機の温度制御により組成物の排出温度を155〜160℃に調整した。第二段の混錬で得た組成物に硫黄、加硫促進剤を加えて、70℃に設定したオープンロールにて第三段の混練を行った。
第三段の混錬で得られた組成物を成型し、160℃で所定時間、加硫プレスにて加硫し、得られた加硫ゴムの物性を測定した。各物性の測定は以下の方法で実施した。
(1)配合物ムーニー粘度
JIS K6300−1:2001に準拠して、100℃で1分間予熱し、4分後の粘度を測定した。
(2)バウンドラバー量
第2段混練終了後の組成物約0.2gを約1mm角状に裁断し、ハリスかご(100メッシュ金網製)へ入れ、質量を測定した。その後トルエン中に24時間浸せき後、乾燥、質量を測定し、非溶解成分の量から充填剤に結合したゴムの量を計算してバウンドラバー量とした。
(3)引張試験
JIS K6251:2004の引張試験法により試験片の切断時の引張強度および300%伸張時の引張応力(300%モジュラス)を測定した。
(4)粘弾性特性
レオメトリックス・サイエンティフィック社製のアレス粘弾性試験機を使用した。ねじりモードで周波数10Hz、各測定温度(0℃および50℃)でひずみを変化させてtanδと弾性率(G’)を測定した。
ひずみ1%で低温(0℃)の時のtanδの高いものほど、ウェットスキッド抵抗が優れ、ひずみ3%で高温(50℃)の時のtanδの低いものほど転がり抵抗が小さい。また、ひずみ3%、50℃で測定したG’を剛性の指標とした。
(5)反発弾性
JIS K6255−1996によるリュプケ式反発弾性試験法で50℃での反発弾性を測定した。
(6)耐摩耗性
アクロン摩耗試験機を使用し、荷重6ポンド、3000回転の摩耗量を測定した。指数が高いほど耐摩耗性が優れることを示す。
[実施例1〜6、比較例1、2]
(A−2)成分として試料A−2−1〜A−2−5、(A−3)成分として天然ゴム、ポリイソプレン、シス−1,4−ポリブタジエンを用いた。物性測定結果を表3に示す。なお、耐摩耗性は比較例1を100として指数で表した。
Figure 0005283397
[実施例1、7、8、比較例3、4]
(A−2)成分として試料A−2−1、(A−3)成分として天然ゴムを用いた。物性測定結果を表4に示す。なお、耐摩耗性は比較例3を100として指数で表した。
Figure 0005283397
表3、表4に示したように、本発明の組成物は、加硫処理を施して加硫ゴムとした時に、転がり抵抗とウェットスキッド抵抗のバランスが改良され、さらに剛性と耐摩耗性にも優れている。
本発明の油展変性共役ジエン系重合体組成物は、従来の高ビニル共役ジエン系重合体を含むゴム組成物と比較して転がり抵抗とウェットスキッド抵抗のバランスが改良されるとともに、剛性、耐摩耗性にも優れたゴム組成物が提供できる。タイヤ用途、靴用途のほか、各種自動車部品、工業用品等に用いることができる。
本発明で用いた変性剤XのGPCを示す。 変性剤Xの測定に使用したGPCの標準ポリスチレンによる較正曲線を示す。 本発明で用いた変性剤XのMALDI−TOF/MASスペクトルを示す。

Claims (5)

  1. (1)共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を重合して得られる共役ジエン系重合体の活性末端が変性剤と結合した、下記(a)〜(c)を満たす変性共役ジエン系重合体(A−1)が伸展油で伸展された油展変性共役ジエン系重合体(A−2)と、
    (a)該変性剤が、下記一般式(1)で表される分子中にグリシジルアミノ基を含む分子量が1000以下の低分子化合物75〜95質量%と、該低分子化合物の2量体以上のオリゴマー25〜5質量%から成る変性剤
    Figure 0005283397
    (ここで、Rは2価の炭化水素基またはエーテル、エポキシ、ケトン、チオエーテル、チオケトン、3級アミノ基、イミノ基から選ばれる少なくとも一種の極性基を有する2価の有機基である。)
    (b)該共役ジエン系重合体中の共役ジエン化合物/芳香族ビニル化合物の質量比が85/15〜65/35
    (c)該共役ジエン系重合体中の共役ジエン部の1,4−結合/1,2−結合または3,4−結合の比率が50/50〜25/75
    (2)(A−1)とは異なるゴム(A−3)
    とから成り、(A−1)と(A−3)の質量比が10/90〜90/10であることを特徴とする油展変性共役ジエン系重合体組成物。
  2. 変性共役ジエン系重合体(A−1)100質量部に対して伸展油5質量部〜60質量部を含むことを特徴とする請求項1に記載の油展変性共役ジエン系重合体組成物。
  3. 伸展油が、IP346法による多環芳香族成分が3質量%以下の伸展油であることを特徴とする請求項1または2に記載の油展変性共役ジエン系重合体組成物。
  4. 変性共役ジエン系重合体(A−1)と(A−1)とは異なるゴム(A−3)の合計100質量部に対し、更に、補強性充填剤1質量部〜200質量部、加硫剤および加硫促進剤を合計0.1質量部〜30質量部を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の油展変性共役ジエン系重合体組成物。
  5. (A−1)とは異なるゴム(A−3)が、天然ゴム、ポリイソプレン、シス−1,4−ポリブタジエンから選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の油展変性共役ジエン系重合体組成物。
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