JP5246733B2 - 無機充填剤との親和性に優れた変性重合体及びその製造方法ならびにその組成物 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエン化合物とのブロック共重合体に無水マレイン酸を付加して無機充填材との親和性を改善した組成物が開示されている。
また、特許文献2には、ゴム状重合体の活性末端と、分子中にエポキシ基をもつ多官能性化合物を反応させて得られる変性重合体のシリカ組成物が開示されている。
しかしながら有機高分子材料と無機充填剤の組み合わせにおいて、その混練方法、条件によって、その分散状態に大きな差が生じるため、常に一定して高い性能を有する樹脂組成物を得ることは工業的に大きな課題であった。
すなわち、本発明は次のものである。
(A)アルカリ金属−炭素結合またはアルカリ土類金属―炭素結合を有する、共役二重結合化合物の重合体、2種以上の共役二重結合化合物からなる共重合体または共役二重結合化合物と共役二重結合化合物と共重合可能な単量体との共重合体である炭化水素系重合体
(B)下記(B−1)〜(B−5)から選ばれる少なくとも1種の分子量2000以下の低分子化合物
(B−1)下記一般式(1)で表されるアルカリ金属−窒素結合を有する低分子化合物、
(B−2)下記一般式(2)で表されるアルカリ金属−炭素結合を有しアミノ基を含有する低分子化合物、
(B−3)下記一般式(3)で表されるアルカリ土類金属―炭素結合を有しアミノ基を含有する低分子化合物
(B−4)下記一般式(4)で表されるアルコキシシリル基を含有するアルカリ金属−窒素結合を有する低分子化合物
(B−5)下記一般式(5)で表されるアルカリ金属−炭素結合を有しアミノ基を含有する低分子化合物
(C)エポキシ基、カルボニル基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、酸無水物基、リン酸エステル基、亜リン酸エステル其、エピチオ基、チオカルボニル基、チオカルボン酸エステル基、ジチオカルボン酸エステル基、チオカルボン酸アミド基、イミノ基、エチレンイミン基、ハロゲン基、アルコキシシラン基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、共役ジエン基、アリールビニル基から選択される1種以上の官能基の官能数の和が2以上である変性剤
(2)前記炭化水素系重合体(A)がリチウム−炭素結合を有する共役ジエン系重合体であることを特徴とする上記(1)記載の変性炭化水素系重合体。
(3)前記変性剤(C)が、官能基としてグリシジルアミノ基を有し、その分子中のエポキシ基の数が2個以上である変性剤であって、該変性基の窒素原子モル数(N)と、変性剤(C)の官能基モル数(c)の比(N/c)が1/2を超えることを特徴とする上記(1)または(2)記載の変性炭化水素系重合体。
(4)前記炭化水素系重合体(A)が、末端にリチウム-炭素結合を有する共役ジエン系重合体であり、前記変性剤(C)が、官能基としてグリシジルアミノ基を有し、その分子中のエポキシ基の数が2個以上である変性剤であって、該変性基の窒素原子モル数(N)と、変性剤(C)の官能基モル数(c)の比(N/c)が1/2を超える変性基を重合体の少なくとも1つの末端に有することを特徴とする上記(1)に記載の変性炭化水素系重合体。
(5)下記の(A)、(B)及び(C)を不活性溶媒中で反応させる工程からなる、変性炭化水素系重合体の製造方法。
(A)アルカリ金属−炭素結合またはアルカリ土類金属―炭素結合を有する、共役二重結合化合物の重合体、2種以上の共役二重結合化合物からなる共重合体または共役二重結合化合物と共役二重結合化合物と共重合可能な単量体との共重合体である炭化水素系重合体;
(B)下記(B−1)〜(B−5)から選ばれる少なくとも1種の分子量2000以下の低分子化合物
(B−1)下記一般式(1)で表されるアルカリ金属−窒素結合を有する低分子化合物、
(B−2)下記一般式(2)で表されるアルカリ金属−炭素結合を有しアミノ基を含有する低分子化合物、
(B−3)下記一般式(3)で表されるアルカリ土類金属―炭素結合を有しアミノ基を含有する低分子化合物、
(B−4)下記一般式(4)で表されるアルコキシシリル基を含有するアルカリ金属−窒素結合を有する低分子化合物
(B−5)下記一般式(5)で表されるアルカリ金属−炭素結合を有しアミノ基を含有する低分子化合物
から選ばれる少なくとも1種の分子量2000以下の低分子化合物;及び
(C)エポキシ基、カルボニル基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、酸無水物基、リン酸エステル基、亜リン酸エステル其、エピチオ基、チオカルボニル基、チオカルボン酸エステル基、ジチオカルボン酸エステル基、チオカルボン酸アミド基、イミノ基、エチレンイミン基、ハロゲン基、アルコキシシラン基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、共役ジエン基、アリールビニル基から選択される1種以上の官能基の官能数の和が2以上である変性剤
(6)前記炭化水素系重合体(A)と前記低分子化合物(B)とをあらかじめ不活性溶媒中で混合し、前記変性剤(C)を加えて反応させる工程からなる、上記(5)に記載の変性炭化水素系重合体の製造方法。
(7)前記低分子化合物(B)と前記変性剤(C)をあらかじめ不活性溶媒中で混合し反応させたものを、前記炭化水素系重合体(A)と反応させる工程からなる、上記(5)に記載の変性炭化水素系重合体の製造方法。
(8)前記炭化水素系重合体(A)が、末端にリチウム-炭素結合を有する共役ジエン系重合体であり、前記変性剤(C)が、官能基としてグリシジルアミノ基を有し、その分子中のエポキシ基の数が2個以上である変性剤であり、少なくとも1つの末端に窒素原子モル数(N)と、変性剤(C)の官能基モル数(c)の比(N/c)が1/2を超える変性基を有する変性炭化水素系重合体を得ることを特徴とする、上記(5)に記載の変性炭化水素系重合体の製造方法。
(9)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の変性炭化水素系重合体単独、あるいは、該変性炭化水素系重合体と他の炭化水素重合体の合計100重量部と、これに分散した、シリカ系無機充填剤、金属酸化物及び金属水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の充填剤1〜200重量部とからなることを特徴とする組成物。
(10)充填剤が、50nm以下の一次粒子径を有する合成ケイ酸であることを特徴とする上記(9)に記載の組成物。
(11)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の変性炭化水素系重合体単独、あるいは、該変性炭化水素系重合体と他の炭化水素重合体の合計100重量部と50nm以下の一次粒子径を有する合成ケイ酸を120℃以上250℃以下の温度で混練し、合成ケイ酸を分散させる工程からなる組成物の製造方法。
(12)上記(4)に記載の変性炭化水素系重合体単独、あるいは、該変性炭化水素系重合体と他の炭化水素重合体の合計100重量部にシリカ系無機充填剤1〜100重量部、カーボンブラック1〜50重量部を配合した加硫ゴム用組成物。
さらに、高分子量炭化水素系重合体が熱可塑性エラストマーまたは熱可塑性樹脂である場合、他の極性樹脂との配合組成物において、相容性の向上とともに均一、微細な分散が得られる。
本発明のアルカリ金属−炭素結合またはアルカリ土類金属―炭素結合を有する炭化水素系重合体(A)としては、アルカリ金属系開始剤及び、またはアルカリ土類金属系開始剤により重合され、アニオン重合反応で成長して得られる、片末端または複数の末端にアルカリ金属−炭素結合またはアルカリ土類金属―炭素結合を有する炭化水素系重合体であっても、他の方法で重合された炭化水素系重合体であって、公知の方法によってアルカリ金属−炭素結合またはアルカリ土類金属―炭素結合を導入したものでもよい。
特に好ましいものは、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムである。これらの有機リチウム化合物は1種のみならず2種以上の混合物としても用いられる。
他の有機アルカリ金属化合物としては有機ナトリウム化合物、有機カリウム化合物、有機ルビジウム化合物、有機セシウム化合物などがある。具体的には、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレンがあり、その他にリチウム、ナトリウム、カリウムのアルコキサイド、スルフォネート、カーボネート、アミドなどが用いられる、また他の有機金属化合物と併用して用いられることもある。
本発明の製造方法において重合体(A)がリビングアニオン重合による成長反応によって得られる活性末端を有する重合体であることが好ましい。リビングアニオン重合によって重合可能な単量体はあらゆるものが用いられる。例えば、スチレン、α―メチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレン、1,3−ブタジエン、イソプレン、ピペリレンなどがあり、それらは単独で、または共重合で用いられる。
また、得られた活性金属を有する重合体は、直ちに次の反応に用いられることが好ましい。特に活性リチウムを有する重合体を高温で放置すると、リチウムハイドライドを生成して活性金属が減少する恐れがある。その場合は、重合体の変性率が低下する場合がある。好ましくは、実質的にモノマーが消費された時点で直ちに次の反応に供すべきであり、少なくとも80℃以上では5分以内に次の反応に供すべきである。
(S−B)n、 S−(B−S)n、B−(S−B)n、 [(S−B)n]m−X、
[(B−S)n−B]m−X、 [(S−B)n−S]m−X
(上式において、各ブロックの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。ブロックBがビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物との共重合体の場合、ブロックB中のビニル芳香族炭化水素は均一に分布していても、またはテーパー状に分布していてもよい。またブロックBには、ビニル芳香族炭化水素が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個共存していてもよい。またブロックBには、ビニル芳香族炭化水素含有量が異なるセグメントが複数個共存していてもよい。又、nは1以上の整数、好ましくは1〜5の整数である。mは2以上の整数、好ましくは2〜11の整数である。Xはカップリング剤の残基又は多官能開始剤の残基を示す。共重合体中にブロックA、ブロックBがそれぞれ複数存在する場合、それらの分子量や組成等の構造は同一でも、異なっていても良い。また、Xに結合しているポリマー鎖の構造は同一でも、異なっていても良い。)本発明において、上記一般式で表される構造を有するものの任意の混合物でも良い。
以上のように種々の構造の重合体が使用可能であるが、官能基によって最適な性能を導き出すために必要な、当該分野での最適な重合体構造であることが好ましい。
具体的には、下記一般式(1)で表されるアルカリ金属−窒素結合を有する低分子化合物(B−1)、
下記一般式(2)で表されるアルカリ金属−炭素結合を有しアミノ基を含有する低分子化合物(B−2)、
下記一般式(3)で表されるアルカリ土類金属―炭素結合を有しアミノ基を含有する低分子化合物(B−3)、
下記一般式(4)で表されるアルコキシシリル基を含有するアルカリ金属−窒素結合を有する低分子化合物(B−4)、
及び下記一般式(5)で表されるアルカリ金属−炭素結合を有しアミノ基を含有する低分子化合物(B−5)
更に例をあげると、N,N−ビストリメチルシリルアミノリチウム、N,N−ビストリエチルシリルアミノリチウム、N,N−ビストリブチルシリルアミノリチウム、N,N−ビストリオクチルシリルアミノリチウム、N,N−ビストリオクタデシルアミノリチウム、N,N−ビスジメチルメトキシシリルアミノリチウム、N,N−ビスメチルジメトキシシリルアミノリチウム、N,N−ビストリメトキシシリルアミノリチウム、N,N−ビスジメチルエトキシシリルアミノリチウム、N,N−ビスメチルジエトキシシシリルアミノリチウム、N,N−ビストリエトキシシリルアミノリチウム、N,N−ビスジメチルブトキシシリルアミノリチウム、N,N−ビスメチルジブトキシシシリルアミノリチウム、N,N−ビストリブトキシシリルアミノリチウム、N−トリメチルシリル−N−トリエチルシリルアミノリチウム、N−トリメチルシリル−N−トリメトキシリルアミノリチウム、N,N−ビストリメチルシリルアミノナトリウム、N,N−ビストリエチルシリルアミノナトリウムなどの前記一般式(1)の化合物、
3−トリメトキシシリルプロピル−ブチルアミノリチウム、3−トリエトキシシリルプロピル−ブチルアミノリチウム、3−ジエチルエトキシシリルプロピル−エチルアミノリチウム、3−トリブトキシシリルプロピル−ブチルアミノリチウム、3−トリフェノキシシリルプロピル−ブチルアミノリチウム、N,N−ビス−3−トリメトキシシリルプロピルアミノリチウム、N,N−ビス−3−ジエチルエトキシシリルプロピルアミノリチウム、N−3−ジエチルエトキシシリルプロピル−N’,N’−ジメチル−2−アミノエチルアミノリチウム、N−3−ジエチルエトキシシリルプロピル−N’,N’−ビストリメチルシリル−3−アミノプロピルアミノリチウム、R1からR5がメトキシ基であるnが数平均10なるシリコーンに結合したプロピル基が結合したアミドリチウムなどの前記一般式(4)の化合物である。
本発明において、低分子化合物(B)の分子量は2,000以下である。好ましくは1,000以下である。分子量が大きすぎると本発明の効果が得られない。より好ましくは分子量は300以下である。
さらに、例えば、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四ヨウ化ケイ素、モノメチルトリクロロケイ素、モノエチルトリクロロケイ素、モノブチルトリクロロケイ素、モノヘキシルトリクロロケイ素、モノメチルトリブロモケイ素、ビストリクロロシリルエタンなどのハロゲン化シラン化合物、モノクロロトリメトキシシラン、モノブロモトリメトキシシラン、ジクロロジメトキシシラン、ジブロモジメトキシシラン、トリクロロメトキシシラン、トリブロモメトキシシランなどのアルコキシハロゲン化シラン化合物などが挙げられる。
好ましい多官能性変性剤(C)としては、ポリエポキシ化合物である。特に好ましくは、官能基としてグリシジルアミノ基を有し、その分子中のエポキシ基の数が2個以上である多官能変性剤である。また、さらに好ましくは1分子中にジグリシジルアミノ基を2個または3個有する化合物である。例えば、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンなどである。
本発明において、多官能性変性剤(C)の分子量は2,000以下であることが好ましい。より好ましくは1,000以下である。分子量が大きすぎると本発明の効果が得られない。
本発明において、変性基を有する炭化水素系重合体の構造は、一般式:P−(C)−NR1R2またはP−(C)−R−NR1R2(ただし、P:炭化水素系重合体、(C):多官能性変性剤の残基、R,R1,R2:炭化水素基)で表される。
本発明において、好ましくはa:cが1:1.2〜10であり、さらに好ましくはa:cが1.8〜6である。その範囲において、本発明の優れた効果がさらに発揮される。
本発明において、変性基を有する重合体の不活性溶剤の溶液に、必要により反応停止剤を添加することができる。反応停止剤としては、通常、メタノール、エタノール、プロパノ−ルなどのアルコール類、ステアリン酸、ラウリン酸、オクタン酸などの有機酸、水などが使用される。
本発明において、変性基を有する重合体の不活性溶剤の溶液に、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤などがある。
本発明の特定の変性基を有する重合体は、無機充填剤との親和性に優れており、無機充填剤を分散する際に、その効果を発揮する。また、無機化合物との接着においても効果がある。
好ましくは本発明の方法で得られた官能基を有する炭化水素系重合体100重量部にシリカ系無機充填剤、金属酸化物及び金属水酸化物からなる群から選ばれる充填剤1〜200部を分散させた組成物である。
特に好ましくはシリカ系無機充填剤として一次粒子径が50nm以下である合成ケイ酸を用いる場合である。その場合に、充填材は短時間の混練によって速やかに均一かつ微粒子状に、再現性よく分散し、得られる物性は極めて好ましいものとなる。
さらに好ましい方法としては、本発明の方法で得られた官能基を有する炭化水素系重合体100重量部に一次粒子径が50nm以下である合成ケイ酸を分散させるに際し、120℃以上250℃以下の温度で混練する方法である。
モノマーとして共役ジエンまたは、共役ジエンとスチレンの組み合わせを用い、有機モノリチウム化合物を開始剤として不活性溶媒中でリビング共役ジエンホモ重合体または共役ジエンとスチレンのリビングランダム共重合体を得る。これを重合体(A)とする。重合体(A)は、ガラス転移温度が−100℃から−20℃の範囲であり、共役ジエン部の1,4−結合対1,2または3,4結合の比率は10%〜90%対90%〜10%である。共重合体のスチレンの連鎖分布は完全ランダム構造である。すなわち、単離スチレン(スチレンが1個単位)が全結合スチレンの50重量%以上で、かつ連鎖スチレン(スチレンが8個以上の連なりとなっている)が全結合スチレンの5重量%以下、好ましくは2.5重量%以下である。リビング重合体(A)の溶液に、好ましくはリチウムアミド化合物を(B)として加え、攪拌して均一に混合する。さらに、3官能以上、好ましくは4〜6官能のポリエポキシ化合物を所定量加え、瞬時に攪拌して反応させる。得られた重合体は、末端に水酸基、アミノ基、エポキシ基を任意の比率で有する重合体となる。
補強剤としては、また、カーボンブラックを用いることができる。カーボンブラックとしては、特に制限されず、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどを用いることができる。これらの中でも、特にファーネス ブラックが好ましい。
シランカップリング剤としては、分子中にアルコキシシランを有し、さらにポリスルフィド結合を有する化合物が好ましく用いられる。例えばビス−(3−トリエトキシプロピル)テトラスルフィド(TESPT)などが用いられる。
加硫剤の配合割合は、ゴム成分100重量部に対して、 通常0.1〜15重量部、好ましくは0.3〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。
加硫助剤としては、特に制限はないが、例えばステアリン酸や酸化亜鉛などを用いることができる。
本発明のゴムを用いる組成物は、上記各成分を公知のゴム用混練機械、例えばロール、バンバリーミキサー等を用いて混合することによって製造される。
実施例における部は重量部を意味する。
[実施例1〜4、比較例1、2]
内容積10リットルで、撹拌機及びジャケットを付けた温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、不純物を除去したブタジエン625g、スチレン225g、シクロヘキサン5500g、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを1.10gを反応器へ入れ、反応器内温を30℃に保持した。重合開始剤としてn−ブチルリチウムを9.14mmolを含むシクロヘキサン溶液を反応器に供給した。反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇をはじめた。重合開始剤添加後8分〜13分にわたって、ブタジエン50gを10g/分の速度で供給した。最終的な反応器内の温度は77℃に達した。重合反応終了後、N,N−ビストリメチルシリル−3−アミノプロピルリチウムを9.14mmolを添加した。1分間混合した後に、反応器に4官能ポリエポキシ化合物であるテトラグリシジル−1、3−ビスアミノメチルシクロヘキサンを9.14mmolgを添加し、75℃で5分間攪拌して変性反応を実施した。この重合体溶液に酸化防止剤(BHT)を1.8gを添加後、溶媒を除去し、変性成分を有するスチレン−ブタジエン共重合体(試料A)を得た。
表1における試料のうち本願発明の共重合体は試料(A),(C),(D),(E)であり、試料(B),(F)は本願発明外の炭化水素系共重合体である。
内容積10リットルで、底部に入り口、頂部に出口を有し、攪拌機及び温度調整用のジャケットを有するオートクレーブを反応器として2基直列に連結、又、2基の反応器の中間にスタテックミキサーを設置した。予め不純物を除去したブタジエンを13.0g/分、スチレンを7g/分、n−ヘキサンを97.6g/分で混合し、この混合溶液を活性アルミナを充填した脱水用カラムを経由し、更に不純物を除去するために、1基目反応器に入る直前で0.003g/分(0.0469mmol)の速度でn−ブチルリチウムとスタテックミキサーで混合した後、1基目反応器の底部に連続的に供給し、更に、極性物質として2,2ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.015g/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.009g/分(0.141mmol)の速度で1基目反応器底部へ供給し、反応器内温度を85℃に保持した。1基目頂部より重合体溶液を連続的に抜き出し、2基目の反応器へ供給した。1基目の反応器の状態が安定した状態で1基目の出口からサンプリングし、活性点を失活させるに充分なエタノ−ルを添加し、安定剤を加えて溶媒を除去し、ムーニー粘度を測定した。得られた、変性前の共重合体のムーニ粘度は85であった。なを、1基目出口での重合率は約100%に達していた。
高分子量、即ちムーニー粘度の高いものをあらかじめ油展することは、得られた共重合体の製造を容易にするため、或いは、その後の加工において、充填剤との混合性等の加工性向上や充填剤の分散向上による性能の向上に効果があり、従来からゴム工業界ではひろく、応用されている。
表2における試料のうち本願発明の共重合体は試料(H),(I),(J),(K),(L),であり、試料(G),(M)は本願発明外である。
1)内容積10Lの温度調整用のジャケット及び攪拌機付きオートクレーブ内を充分に窒素置換し活性アルミナで処理したシクロヘキサン4.5kgとスチレン0.25kg及び1.3−ブタジエン0.75kgを装填した。攪拌しつつ52℃まで昇温し、n−ブチルリチウム11.875mmol(20%シクロヘキサン溶液、以下同)を添加して重合を開始した。重合温度は91℃に達し、その2分後テトラグリシジル−1.3−ビスアミノメチルシクロヘキサンを11.875mmol含有するシクロヘキサン溶液を添加して10分間変性反応をした。変性剤添加時の重合転化率は約100%であった。このようにして得られた変性ゴム重合溶液に活性リチウム分解剤としてメタノールを10ml添加、混合しその後安定剤としてBHTを2g添加して混合し、脱溶媒して固形変性ゴム(試料N)を得た。
次に、最終的に得られた変性ゴムの分析を行なった結果、結合スチレン量が25.0重量%、スチレンブロック量が15.5重量%、ビニル結合量が13.2%であった。このことから最終的に得られた変性ゴムの重合体末端の約20%が、スチレンの結合量が漸増して末端スチレンブロックを形成するテーパー型ブロック共重合体であることを確認した。
GPC測定で、変性前の共重合体の重量平均分子量が19.1万であり、スチレンブロック分析サンプルの1分子変性スチレンブロックの重量平均分子量が22100、共重合体の変性率が74%であった。
2分子カップリング変性と3分子カップリング変性及び4分子カップリング変性の合計であるカップリング率は61%であり、共重合体の1分子変性が13%であった。
また、この変性ゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)は72であった。
またスチレンブロックのGPCでは1分子変性スチレンブロックの他に2倍分子量スチレンブロック、3倍分子量スチレンブロックが合計56%存在し、スチレンブロック末端が確実に変性剤のテトラグリシジル−1.3−ビスアミノメチルシクロヘキサンと結合している事が確認された。
(試料Q)は(試料P)と同様に重合し、重合終了後、重合器内にN,N−ビストリメチルシリル−3−アミノプロピルリチウムを8.333mmolを添加後、テトラグリシジル−1、3−ビスアミノメチルシクロヘキサンを6.284mmolを添加し10分間変性反応させて得られた変性共重合体である。変性ゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)は60であった。N,N−ビストリメチルシリル−3−アミノプロピルリチウムの添加によってリチウムアミドの低分子量の残基のアミノ基が変性剤と結合し、結果としてムーニー粘度の低下が生じたことがわかる。
この変性ゴムの分析値は結合スチレン量が10.0重量%、スチレンブロック量が9.9重量%、ビニル結合量が13.3%であった。GPC測定で、変性前の共重合体の重量平均分子量が12.2万、スチレンブロックの分子量が9500、共重合体の変性率が86%であった。
2分子カップリング変性と3分子カップリング変性及び4分子カップリング変性の合計であるカップリング率は79%であり、共重合体の1分子変性が7%であった。また、この変性ゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)は60であった。
表3における試料のうち本願発明の共重合体は試料(O),(Q),(S)であり、試料(N),(P),(R)は本願発明外である。
(1)結合スチレン量
試料をクロロホルム溶液とし、スチレンのフェニル基によるUV254nmの吸収により結合スチレン量(重量%)を測定した。
(2)スチレンブロック量
共重合体の所定量をクロロホルムに溶解し、四酸化オスミウムとターシャリーブチルハイドロパーオキサイドを添加し、100℃で20分で共重合体を酸化分解した。得られた反応混合物にメタノールを添加し、ポリスチレンを沈殿させた。沈殿物をフィルターで濾過してポリスチレンからなる濾過残査物を得、得られたポリスチレンの重量を測定してブロックスチレン量(重量%)を求めた。
(3)ブタジエン部分のミクロ構造
試料を二硫化炭素溶液とし、溶液セルを用いて赤外線スペクトルを600〜1000cm−1の範囲で測定して所定の吸光度よりハンプトンの方法の計算式に従いブタジエン部分のミクロ構造を求めた。
(4)ムーニー粘度
JIS K 6300によって100℃、予熱1分で4分後の粘度を測定。
(5)分子量及び分子量分布
ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラム3本連結して用いたGPCを使用してクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレン使用して検量線により分子量及び分子量分布を計算。溶媒はテトラヒドロフランを使用した。
(6)変性率
シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに、変性した成分が吸着する特性を応用し、試料及び低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液に関して、上記5のポリスチレン系ゲル(昭和電工製:Shodex)のGPCと、シリカ系カラムGPC(デュポン社製Zorbax)の両クロマトグラムを測定し、それらの差分よりシリカカラムへの吸着量を測定し変性率を求めた。
内容積10リットルで、底部に入り口、頂部に出口を有し、攪拌機及び温度調整用のジャケットを有するオートクレーブを反応器として2基直列に連結、又、2基の反応器の中間にスタテックミキサーを設置した。予め不純物を除去したブタジエンを16.4g/分、スチレンを3.6g/分、n−ヘキサンを97.6g/分で混合し、この混合溶液を活性アルミナを充填した脱水用カラムを経由し、更に不純物を除去するために、1基目反応器に入る直前で0.003g/分(0.0469mmol)の速度でn−ブチルリチウムとスタテックミキサーで混合した後、1基目反応器の底部に連続的に供給し、更に、極性物質として2,2ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.017g/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.035g/分(0.547mmol)の速度で1基目反応器底部へ供給し、反応器内温度を85℃に保持した。
(試料V)は重合に使用するn−ブチルリチウムと極性物質の量を変えて重合し、変性反応を実施せず、(試料T及び試料U)を得たのと同じ方法で水添し、脱溶媒して得られた水添された非変性共重合体であり、重量平均分子量(Mw)は33.9万であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.80、水添率は82%であった。調製結果を表4に示した。
本願発明の水添変性共重合体は試料(U)であり、試料(T),(V)は本願発明外である。
(1)水添触媒の調製
窒素置換した反応容器に乾燥及び精製したシクロヘキサン1リットルを仕込み、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、充分に
撹拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させ水添触媒を得た。
(2)水添率の測定
核磁気共鳴装置(ドイツ国、BRUKER社製、DPX−400)を用いて測定した。
表1に示す試料(試料A〜試料F)を原料ゴムとして、下記に示す[配合処方−1]を用い下記の混練方法でゴム配合物を得た。実施例5〜8,比較例3〜4は試料単独で、実施例9及び比較例5はゴム分として(試料A)及び(試料B)を75重量部、ポリブタジエンゴム25重量部の配合で実施した。
ゴム 100.0部
シリカ(Degussa社製ウルトラジルVN3) 45.0部
カーボン(東海カーボン社製シーストKH) 5.0部
シランカップリング剤(Degussa社製Si69) 4.5部
アロマチックオイル(ジャパンエナジー社製X149) 5.0部
亜鉛華 3.0部
ステアリン酸 2.0部
老化防止剤 1.0部
(N−イソプロピル−N’−フェニル−P−フェニレンジアミン )
硫黄 1.4部
加硫促進剤 1.0部
(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)
加硫促進剤(ジフェニルグアニジン) 1.5部
合計 169.4部
外部より循環水による温度制御装置を付属した密閉混練機(内容量1.7リットル)を使用し、第一段の混練として、充填率65%、ローター回転数66/77rpmの条件で、原料ゴム、充填材(シリカおよびカーボンブラック)、有機シランカップリング剤、アロマチックオイル、亜鉛華、ステアリン酸を混練した。この際、密閉混合機の温度を制御し、排出温度(配合物)は155〜160℃でゴム組成物を得た。
ついで、第二段の混練として、上記で得た配合物を室温まで冷却後、老化防止剤を加え、シリカの分散を向上させるため再度混練した。この場合も、混合機の温度制御により排出温度(配合物)を155〜160℃に調整した。
冷却後、第三段の混練として、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤を混練した。
これを成型し、160℃で所定時間、加硫プレスにて加硫し、物性を測定した。物性測定結果を表5に示した。
(1)バウンドラバー
第2段混練り終了後の配合物約0.2グラムを約1mm角状に裁断し、ハリスかご(100メッシュ金網製)へ入れ、重量を測定。その後トルエン中に24時間浸せき後、乾燥、重量を測定し、非溶解成分を考慮し、充填剤に結合したゴムの量を計算し、最初の配合物中のゴム量に対する充填剤と結合したゴムの割合を求めた。
(2)引張試験
JIS−K6251の引張試験法により測定した。
レオメトリックス社製のアレス粘弾性試験器を使用し、ねじり方式によって周波数10Hzで測定した。
ペイン効果(△G’)は歪み0.1%から10%における最小値と最大値の差で示した。ペイン効果が小さいほどシリカ等充填剤の分散性が良い
低温のTanδの高いものほど、ウェットスキッド(グリップ)性能が優れ、高温のTanδの低いものほどヒステリシスロスが少なく、タイヤの低転がり抵抗性、即ち、低燃費性に優れる。
JIS K6255によるリュプケ式反発弾性試験法で50℃での反発弾性を測定した。
表5に示されるように結合スチレン量とビニル結合量の異なる実施例14〜16と比較例10,及び実施例17と比較例11の結果から本発明の変性重合体組成物は高温(50℃)でのTanδが比較例に比べて低く、ヒステリシスロスが小さく、タイヤの転がり抵抗を低減し、低燃費性を向上させることができる。又、低温(0℃)Tanδと高温(50℃)Tanδのバランスも良好でありタイヤのウェットスキッド抵抗と低燃費性のバランスが優れている。
又、高温(50℃)の反発弾性が高く高温(50℃)でのTanδの低下とよく相関している。本発明の効果は変性重合体単独でも実施例18と比較例12に示されるように、他のゴムをブレンドした場合でも発揮される。
本発明の変性重合体は比較例と比較して、弾性率が低く、かつその歪み依存性が非常に小さく、シリカの分散性が改良されていることがわかる。この効果によって上記のタイヤの転がり抵抗を低減できるとともに、シリカ等の充填剤の分散性が要求される用途、或いは、低ヒステリシスロスを要求される全ての用途、或いは、分散性が大きく影響する耐摩耗性が要求される用途に応用できる。用途としては、タイヤはもとより、靴用途、防振ゴム用途他工業用品用途に幅広く応用できる。
表2に示す試料(試料G〜試料M)を原料ゴムとして、下記に示す[配合処方−2]でゴム組成物を得た。実施例19〜23,比較例13〜14は試料単独で、実施例24及び比較例15はゴム分として(試料I)及び(試料G)を75重量部、ポリブタジエンゴム25重量部の配合で実施した。
混練方法及び成型、加硫は実施例14〜18と全く同じ方法で実施した。
各物性の測定方法は実施例14〜18と全く同じ方法で実施した。
物性測定結果を表6に示した。
ゴム 100.0部
シリカ(Degussa社製ウルトラジルVN3) 63.0部
カーボン(東海カーボン社製シーストKH) 7.0部
シランカップリング剤(Degussa社製Si69) 6.3部
アロマチックオイル(ジャパンエナジー社製X149) 37.5部
亜鉛華 2.5部
ステアリン酸 1.0部
老化防止剤 2.0部
(N−イソプロピル−N’−フェニル−P−フェニレンジアミン )
硫黄 1.1部
加硫促進剤 1.7部
(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)
加硫促進剤(ジフェニルグアニジン) 2.0部
合計 224.1部
表6に示されるように結合スチレン量とビニル結合量の異なる実施例19〜22と比較例13,及び実施例23と比較例14の結果から本発明の変性重合体組成物は高温(50℃)でのTanδが比較例に比べて低く、ヒステリシスロスが小さく、タイヤの転がり抵抗を低減し、低燃費性を向上させることができる。又、低温(0℃)Tanδと高温(50℃)Tanδのバランスも良好でありタイヤのウェットスキッド抵抗と低燃費性のバランスが優れている。
又、高温(50℃)の反発弾性が高く高温(50℃)でのTanδの低下とよく相関している。本願発明の効果は変性重合体単独でも実施例24と比較例15に示されるように、他のゴムをブレンドした場合でも発揮される。
本発明の変性重合体組成物は比較例と比較して、弾性率の歪み依存性が非常に小さく、シリカの分散性が改良されていることがわかる。シリカの分散性の向上により、更にシリカの配合量を多くして、多種の配合、多種の用途に応用できる。タイヤをはじめ、ベルトなど各種工業用品用途に好適である。
表3に示す試料(試料O〜試料R)を原料ゴムとして、下記に示す[配合処方−3]でゴム組成物を得た。
混練方法及び成型、加硫は実施例14〜18と全く同じ方法で実施した。物性測定結果を表7に示した。
ゴム 100.0部
シリカ(Degussa社製ウルトラジルVN3) 40.0部
シランカップリング剤(Degussa社製Si69) 2.0部
ナフテンオイル(Shellflex 371J) 5.0部
亜鉛華 5.0部
ステアリン酸 2.0部
老化防止剤(スチレン化フェノール) 1.0部
硫黄 1.7部
加硫促進剤(ジベンゾチアジル・ジスルフィド) 1.5部
加硫促進剤(ジフェニルグアニジン) 1.5部
合計 159.7部
(1)Tanδの歪み依存性と温度依存性について
0℃、50℃、70℃のTanδをレオメトリックス社製のアレス粘弾性試験器を使用し、ねじり方式によって周波数10Hzで測定し下記式で計算した。
歪み依存性は下記計算式で計算した数値である。
(50℃に於ける10%tanδ−0.1%tanδ)×100(%)/0.1%tanδ
温度依存性は下記計算式で計算した数値である。
(0℃の3%tanδ−50℃3%tanδ)×100(%)/50℃3%tanδ
(2)圧縮永久歪み(c−set)
JIS−K6262の圧縮永久歪み試験法に準じて70℃−22時間の条件で測定した。
(3)発熱性
グッドリッチ・フレクソメーターを使用、回転数1800rpm、ストローク0.225インチ、荷重55ポンド、測定開始温度50℃、20分後の温度と開始温度との差で示した。
耐摩耗性はアクロン摩耗試験機を使用し、荷重6ポンド、1000回転の摩耗量を測定した。
表7に示されるように、本発明の変性重合体はスチレンブロックを有する変性スチレン−ブタジエン共重合体においても優れた性能を有する。実施例25と比較例16、実施例26と比較例17、実施例27と比較例18を比較すると、本発明の変性重合体を用いた組成物は弾性率(G’)やTanδの歪み依存性が小さく、温度依存性が小さい。又、発熱性や耐摩耗性が良好であり、更には、圧縮永久歪みが小さいなどシリカの分散性向上による優れた特性を有する。本発明の変性重合体組成物は、このような特性を利用し、防振ゴム用途や、シリカを配合した透明配合を含め、履き物用途に好適である。このような優れた特性を有する本発明の変性重合体組成物はその他工業用品等にも好適に使用できる。
表4に示す試料(試料U,T,V)を原料ゴムとして、下記に示す[配合処方−4]でゴム組成物を得た。混練方法及び成型、加硫は実施例14〜18と全く同じ方法で実施した。物性測定結果を表8に示した。
ゴム 100.0部
シリカ(Degussa社製ウルトラジルVN3) 45.0部
シランカップリング剤(Degussa社製Si69) 3.6部
パラフィンオイル(出光興産(株)製PW−380) 20.0部
亜鉛華 5.0部
ステアリン酸 1.0部
硫黄 1.7部
加硫促進剤(テトラメチルチウラムジスルフィド) 1.5部
加硫促進剤(2−メルカプトベンゾチアゾール) 0.5部
合計 178.3部
(1)圧縮永久歪み(c−set)
JIS−K6262の圧縮永久歪み試験法に準じて100℃−70時間の条件で測定した。
(2)加硫ゴムの接着性
JIS K−6256に準拠した180度剥離試験を行い、金属と接着したゴムの剥離強度を測定した。プライマーは、メタロックG及びメタロックPH−50(日本国、株式会社東洋化学研究所製)を用いた。
その他の物性測定は実施例14〜18と同じ方法で測定した。
表8に示されるように、本発明の水添変性重合体は粘弾性特性における弾性率の歪み依存性が更に改良され、優れた圧縮永久歪みや反発弾性が良好であり、又金属との接着性も良好である。これらの特性は防振ゴムやベルト、ホース、靴用途など幅広い工業用品分野に有効に使用することが出来る。
Claims (12)
- 下記の(A)、(B)及び(C)を反応させて得られる、少なくとも1つの変性基を有し、重量平均分子量が10,000以上であることを特徴とする変性炭化水素系重合体。
(A)アルカリ金属−炭素結合またはアルカリ土類金属―炭素結合を有する、共役二重結合化合物の重合体、2種以上の共役二重結合化合物からなる共重合体、または共役二重結合化合物と共役二重結合化合物と共重合可能な単量体との共重合体である炭化水素系重合体
(B)下記(B−1)〜(B−5)から選ばれる少なくとも1種の分子量2000以下の低分子化合物
(B−1)下記一般式(1)で表されるアルカリ金属−窒素結合を有する低分子化合物、
(B−2)下記一般式(2)で表されるアルカリ金属−炭素結合を有しアミノ基を含有する低分子化合物、
(B−3)下記一般式(3)で表されるアルカリ土類金属―炭素結合を有しアミノ基を含有する低分子化合物
(B−4)下記一般式(4)で表されるアルコキシシリル基を含有するアルカリ金属−窒素結合を有する低分子化合物
(B−5)下記一般式(5)で表されるアルカリ金属−炭素結合を有しアミノ基を含有する低分子化合物
(C)エポキシ基、カルボニル基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、酸無水物基、リン酸エステル基、亜リン酸エステル其、エピチオ基、チオカルボニル基、チオカルボン酸エステル基、ジチオカルボン酸エステル基、チオカルボン酸アミド基、イミノ基、エチレンイミン基、ハロゲン基、アルコキシシラン基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、共役ジエン基、アリールビニル基から選択される1種以上の官能基の官能数の和が2以上である変性剤 - 前記炭化水素系重合体(A)がリチウム−炭素結合を有する共役ジエン系重合体であることを特徴とする請求項1記載の変性炭化水素系重合体。
- 前記変性剤(C)が、官能基としてグリシジルアミノ基を有し、その分子中のエポキシ基の数が2個以上である変性剤であって、該変性基の窒素原子モル数(N)と、変性剤(C)の官能基モル数(c)の比(N/c)が1/2を超えることを特徴とする請求項1または2記載の変性炭化水素系重合体。
- 前記炭化水素系重合体(A)が、末端にリチウム-炭素結合を有する共役ジエン系重合体であり、前記変性剤(C)が、官能基としてグリシジルアミノ基を有し、その分子中のエポキシ基の数が2個以上である変性剤であって、該変性基の窒素原子モル数(N)と、変性剤(C)の官能基モル数(c)の比(N/c)が1/2を超える変性基を重合体の少なくとも1つの末端に有することを特徴とする請求項1に記載の変性炭化水素系重合体。
- 下記の(A)、(B)及び(C)を不活性溶媒中で反応させる工程からなる、変性炭化水素系重合体の製造方法。
(A)アルカリ金属−炭素結合またはアルカリ土類金属―炭素結合を有する、共役二重結合化合物の重合体、2種以上の共役二重結合化合物からなる共重合体または共役二重結合化合物と共役二重結合化合物と共重合可能な単量体との共重合体である炭化水素系重合体;
(B)下記(B−1)〜(B−5)から選ばれる少なくとも1種の分子量2000以下の低分子化合物
(B−1)下記一般式(1)で表されるアルカリ金属−窒素結合を有する低分子化合物、
(B−2)下記一般式(2)で表されるアルカリ金属−炭素結合を有しアミノ基を含有する低分子化合物、
(B−3)下記一般式(3)で表されるアルカリ土類金属―炭素結合を有しアミノ基を含有する低分子化合物、
(B−4)下記一般式(4)で表されるアルコキシシリル基を含有するアルカリ金属−窒素結合を有する低分子化合物
属である。)
(B−5)下記一般式(5)で表されるアルカリ金属−炭素結合を有しアミノ基を含有する低分子化合物
から選ばれる少なくとも1種の分子量2000以下の低分子化合物;及び
(C)エポキシ基、カルボニル基、カルボン酸エステル基、カルボン酸アミド基、酸無水物基、リン酸エステル基、亜リン酸エステル其、エピチオ基、チオカルボニル基、チオカルボン酸エステル基、ジチオカルボン酸エステル基、チオカルボン酸アミド基、イミノ基、エチレンイミン基、ハロゲン基、アルコキシシラン基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、共役ジエン基、アリールビニル基から選択される1種以上の官能基の官能数の和が2以上である変性剤 - 前記炭化水素系重合体(A)と
前記低分子化合物(B)とをあらかじめ不活性溶媒中で混合し、
前記変性剤(C)を加えて反応させる工程からなる、請求項5に記載の変性炭化水素系重合体の製造方法。 - 前記低分子化合物(B)と前記変性剤(C)をあらかじめ不活性溶媒中で混合し反応させたものを、
前記炭化水素系重合体(A)と反応させる工程からなる、請求項5に記載の変性炭化水素系重合体の製造方法。 - 前記炭化水素系重合体(A)が、末端にリチウム-炭素結合を有する共役ジエン系重合体であり、前記変性剤(C)が、官能基としてグリシジルアミノ基を有し、その分子中のエポキシ基の数が2個以上である変性剤であり、少なくとも1つの末端に窒素原子モル数(N)と、変性剤(C)の官能基モル数(c)の比(N/c)が1/2を超える変性基を有する変性炭化水素系重合体を得ることを特徴とする、請求項5に記載の変性炭化水素系重合体の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の変性炭化水素系重合体単独、あるいは、該変性炭化水素系重合体と他の炭化水素重合体の合計100重量部と、これに分散した、シリカ系無機充填剤、金属酸化物及び金属水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の充填剤1〜200重量部とからなることを特徴とする組成物。
- 充填剤が、50nm以下の一次粒子径を有する合成ケイ酸であることを特徴とする請求項9に記載の組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の変性炭化水素系重合体単独、あるいは、該変性炭化水素系重合体と他の炭化水素重合体の合計100重量部と50nm以下の一次粒子径を有する合成ケイ酸を120℃以上250℃以下の温度で混練し、合成ケイ酸を分散させる工程からなる組成物の製造方法。
- 請求項4に記載の変性炭化水素系重合体単独、あるいは、該変性炭化水素系重合体と他の炭化水素重合体の合計100重量部にシリカ系無機充填剤1〜100重量部、カーボンブラック1〜50重量部を配合した加硫ゴム用組成物。
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