JP2022029463A - 止血器具 - Google Patents

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Yuichi Hioki
美 渡辺
Yoshi Watanabe
哲 和田
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遼 岡村
Ryo Okamura
広孝 大橋
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    • A61B17/12Surgical instruments, devices or methods, e.g. tourniquets for ligaturing or otherwise compressing tubular parts of the body, e.g. blood vessels, umbilical cord
    • A61B17/132Tourniquets
    • A61B17/135Tourniquets inflatable

Abstract

【課題】患者の手に形成した止血すべき部位に対して拡張部材を容易に配置することができ、かつ、止血すべき部位に対して拡張部材による圧迫力を適切に付与することができる止血器具を提供する。【解決手段】止血器具100は、患者の手Hの穿刺部位tを覆うように配置される被覆部材110と、被覆部材が穿刺部位を覆った状態で、被覆部材を患者の手に固定する複数の固定部材161、162、163、164、165と、被覆部材に接続され、流体の注入により拡張する拡張部材と、を備えており、被覆部材は、本体部120と、第1アーム部130と、第2アーム部140と、第3アーム部150と、を有しており、本体部120は、第1拡張部180を視認可能な窓部123と、窓部123の周囲に位置する支持部126と、を有しており、第1拡張部180の外形は、窓部123の外形よりも大きい。【選択図】図1

Description

本発明は、止血器具に関する。
カテーテル手技の1つとして、患者の腕の血管(例えば、橈骨動脈)を穿刺し、患者の腕の血管に形成した穿刺部位を介して各種の医療用長尺体を血管内に導入し、病変部位に対する処置や治療を行う手技が知られている(下記特許文献1を参照)。橈骨動脈を利用するカテーテル手技は、経橈骨動脈アプローチと呼ばれており、例えば、冠動脈アクセスや下肢動脈アクセスのための有用な技術として考えられている。また、特許文献1には、患者の腕に固定可能な帯体と、帯体に配置された拡張部材と、を備える止血器具が開示されている。特許文献1では、医師等の術者が拡張部材を患者の腕に形成した穿刺部位に配置する際、術者が穿刺部位を容易に確認することができるようにするために、帯体の一部を透明に形成することが提案されている。
人体の腕に位置する橈骨動脈は、手側を迂回する手掌動脈とつながっている。そのため、現在、経橈骨動脈アプローチの新しい手法として、手の甲側に位置する解剖学上のスナッフボックス、又は、スナッフボックス周辺の位置から手掌動脈(遠位橈骨動脈を含む)にアクセスし、その血管アクセス部位を介して治療を行うdTRA(distal transradial approach)によるカテーテル手技が試みられている。
特開2008-119517号公報
手に位置する手掌動脈等の血管は、指等の可動部位が多い箇所に位置する。そのため、術者が手掌動脈等の血管を穿刺し、手の表面に穿刺部位を形成した際、手の穿刺部位の周囲の形状は、手の動きにより変化する。したがって、穿刺部位を止血する際、手に配置される押圧部材は、手の動きに追従し、穿刺部位への圧迫力の調整が簡単な拡張部材であることが好ましい。
しかしながら、押圧部材が拡張部材である場合、拡張部材は、拡張した状態において、拡張部材の内側から外側に向けて拡張する力が働く。そのため、拡張部材を有する止血器具は、手の動きにより穿刺部位の周囲の形状が変化し、拡張部材が穿刺部位からずれてしまい、穿刺部位に対する拡張部材による圧迫力を適切に維持できない場合がある。
また、止血器具には、術者が患者の手に形成した穿刺部位に拡張部材を配置する際、患者の手の一部を覆った状態で固定される止血器具の被覆部材を介して術者が穿刺部位の位置を確認することができるように窓部を設けることが好ましい。ただし、拡張部材は、上述したように拡張部材が拡張した際、手の動きにより穿刺部位から位置ずれする可能性がある。そのため、止血器具は、拡張部材が手の穿刺部位からずれてしまうことを防止し得るように、被覆部材の窓部と被覆部材のその他の部位(拡張部材を患者の手に押えつける部位)との配置関係を考慮した構造を備えることがより好ましい。
本発明は、上記課題を鑑み、患者の手に形成した止血すべき部位に対して拡張部材を容易に配置することができ、かつ、止血すべき部位に対して拡張部材による圧迫力を適切に付与することができる止血器具を提供することを目的とする。
本発明に係る止血器具は、患者の手の止血すべき部位を覆うように配置される被覆部材と、前記被覆部材が前記止血すべき部位を覆った状態で、前記被覆部材を前記患者の前記手に固定する固定部材と、前記被覆部材に接続され、流体の注入により拡張する拡張部材と、を備え、前記被覆部材は、前記拡張部材が配置される本体部と、前記拡張部材から離れる第1方向に延在する第1アーム部と、前記拡張部材から離れる第2方向に延在する第2アーム部と、前記拡張部材から離れる第3方向に延在する第3アーム部と、を有し、前記第1アーム部は、前記本体部に接続された一端部と、前記第1アーム部の前記一端部の反対側に位置する自由な他端部と、を有し、前記第2アーム部は、前記第1方向と異なる方向に延在し、前記本体部に接続された一端部と、前記第2アーム部の前記一端部の反対側に位置する自由な他端部と、を有し、前記第3アーム部は、前記第1方向及び前記第2方向と異なる方向に延在し、前記本体部及び前記拡張部材の少なくとも一方に対して接続された一端部と、前記第3アーム部の前記一端部の反対側に位置する自由な他端部と、を有し、前記本体部は、前記拡張部材を視認可能な窓部と、前記窓部の周囲に位置する支持部と、を有し、前記拡張部材の外形は、前記窓部の外形よりも大きい。
本発明の止血器具によれば、被覆部材の支持部は、患者の手に対し、窓部の外側に位置する拡張部材を押さえつける。そのため、本発明の止血器具は、拡張部材の縁部を患者の手に押さえつけた状態で、止血すべき部位を覆うように拡張部材を配置できる。それにより、本発明の止血器具は、窓部の外側に位置する拡張部材を押さえつけることで、止血すべき部位に対し、窓部と対応する位置に配置された拡張部材の圧迫力を適切に付与することができる。加えて、本発明の止血器具は、窓部の外側に位置する拡張部材を支持部が押さえつけることにより、止血すべき部位に配置された拡張部材の位置ずれや拡張部材の意図しない形状への変形を抑制し、止血すべき部位に対し、拡張部材による圧迫力を適切に付与できる。
第1実施形態に係る止血器具を示す図であって、被覆部材の外面側から見た平面図である。 第1実施形態に係る止血器具を示す図であって、被覆部材の内面側から見た平面図である。 被覆部材の外面側から見た止血器具の一部を拡大して示す平面図である。 被覆部材の内面側から見た止血器具の一部を拡大して示す平面図である。 被覆部材の内面側から見た止血器具の一部を拡大して示す平面図である。 図5に示す矢印6-6に沿う止血器具の断面図であって、拡張部が拡張する前の状態を示す図である。 拡張部が拡張した際の状態を示す断面図である。 止血器具の使用例を簡略的に示す図である。 止血器具の使用例を簡略的に示す図である。 止血器具の使用例を簡略的に示す図である。 止血器具の使用例を簡略的に示す図である。 止血器具の使用例を簡略的に示す図である。 図12に示す矢印13-13に沿う断面を模式的に示す図である。 図12に示す矢印14-14に沿う断面を模式的に示す図である。 止血器具を装着した状態の患者の手を簡略的に示す斜視図である。 第2実施形態に係る止血器具の一部を拡大して示す平面図である。 第3実施形態に係る止血器具の一部を拡大して示す平面図である。 拡張部材の形状例を簡略的に示す平面図である。 拡張部材の形状例を簡略的に示す平面図である。 拡張部材の形状例を簡略的に示す平面図である。
(第1実施形態)
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の第1実施形態を説明する。以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1~図7は、本実施形態に係る止血器具100を説明するための図、図8~図15は、止血器具100の使用例を説明するための図である。
止血器具100は、例えば、図11、図12、図13に示すように、患者の前腕部Aよりも手指側に位置する手(例えば、左手)Hの甲Hb側を走行する手掌動脈(深掌動脈)Bの橈骨動脈側(例えば、解剖学上のスナッフボックス周辺の動脈、又は、スナッフボックスよりも指先側を走行する遠位橈骨動脈)に形成された穿刺部位t(「止血すべき部位」に相当する)に留置していたイントロデューサー300のシースチューブを抜去する際、その穿刺部位tを止血するために使用することができる。なお、解剖学上のスナッフボックスは、患者が手Hの親指f1を広げた際に前腕部Aの橈骨側に位置する手の空洞である。
止血器具100は、概説すると、図1、図2、図10、図11に示すように、患者の手Hの穿刺部位tを覆うように配置される被覆部材110と、被覆部材110が穿刺部位tを覆った状態で被覆部材110を患者の手Hに固定する複数の固定部材161、162、163、164、165と、被覆部材110に接続され、流体の注入により拡張する拡張部材170と、を有する。
図1は、被覆部材110の外面側から見た止血器具100の平面図を示しており、図2は、被覆部材110の内面側から見た止血器具100の平面図を示している。被覆部材110の内面は、止血器具100を患者に装着した際、患者の体表面に向い合うように配置される拡張部材170が接続された側の面であり、被覆部材110の外面は、内面の反対側の面である。また、止血器具100の説明で用いられる「先端側」とは、止血器具100を患者の手Hに装着した状態において、手Hの指先が配置される側(図1~図5の上側、図6、図7の右側)であり、「基端側」とは、止血器具100を患者の手Hに装着した状態において、前腕部Aが配置される側(図1~図5の下側、図6、図7の左側)である。また、以下の説明では、止血器具100を患者の手Hに装着せずに各アーム部130、140、150を延ばした状態を「未装着状態」とも記載する。
<被覆部材>
図1~図4に示すように、被覆部材110は、拡張部材170が配置される本体部120と、拡張部材170から離れる第1方向に延在する第1アーム部130と、拡張部材170から離れる第2方向に延在する第2アーム部140と、拡張部材170から離れる第3方向に延在する第3アーム部150と、を有している。
<本体部>
本体部120は、可撓性を備える部材で形成している。第1アーム部130及び第2アーム部140は、本体部120と一体的に形成している。第3アーム部150は、本体部120とは別体で構成された所定の長さを備える部材で構成されている。第3アーム部150は、後述するように、本体部120が備えるカバー部材125と拡張部材170が備える補助部材190に固定されている。なお、第1アーム部130及び第2アーム部140は、本体部120と別体で構成された部材を本体部120に固定して本体部120から延びるように構成してもよい。また、第3アーム部150は、本体部120と同一の部材により本体部120と一体的に形成してもよい。
本体部120から第1アーム部130が延びる第1方向と、本体部120から第2アーム部140が延びる第2方向と、本体部120から第3アーム部150が延びる第3方向は、それぞれ異なる。
拡張部材170の平面視における略中心位置(図1~図5に示す平面図上における第1拡張部180の略中心位置であり、マーカー部105が配置された位置)を基準にして、第1アーム部130と第2アーム部140とが形成する角度(第1アーム部130と第2アーム部140との間の角度)は、例えば、90°~180°に形成することができる。また、第1アーム部130と第3アーム部150とが形成する角度(第1アーム部130と第3アーム部150との間の角度)は、例えば、90°~135°に形成することができる。また、第2アーム部140と第3アーム部150とが形成する角度(第2アーム部140と第3アーム部150との間の角度)は、例えば、90°~135°に形成することができる。
なお、止血器具100は、第1アーム部130と第2アーム部140が形成する角度が鈍角の場合、被覆部材110を患者の手Hに装着し易くなる。ただし、上記のように各アーム部130、140を形成した場合、第1拡張部180が手Hの穿刺部位tに付与する圧迫力は、第1アーム部130及び第2アーム部140の締め付けにより、第1拡張部180の手首側に集中し易くなる。後述するように、本実施形態では、拡張部材170は、補助部材190が第1拡張部180の指先側に位置する部分を圧迫するように構成されているため、第1拡張部180による圧迫力の不均一性(図13に示す左右方向で生じる第1拡張部180の圧迫力の不均一性)を抑制することができる。したがって、止血器具100は、第1拡張部180の患者の穿刺部位tに対する位置ずれを防止しつつ、患者の穿刺部位tを適切に圧迫できる。
図6、図7に示すように、本体部120の内面側には、拡張部材170が配置されている。本実施形態では、拡張部材170は、流体の注入により拡張される第1拡張部180と、第1拡張部180よりも外形が小さく、かつ、変形可能な補助部材190と、を有している。
本明細書の説明において、拡張部材170(第1拡張部180、補助部材190)の外形、本体部120の外形、窓部123の外形は、図1~図5に示す被覆部材110の平面図上で示される外形を意味する。また、各部材の外形の大小関係は上記の各平面図上で比較した際の大小関係により定義できる。
本体部120は、図5~図7に示すように、拡張部材170を視認可能な窓部123と、窓部123の周囲に位置する支持部126と、を有している。
窓部123は、術者が被覆部材110の外面側から窓部123を介して拡張部材170の少なくとも一部を視認可能となるように構成している。本実施形態では、窓部123は、術者が被覆部材110の外面側から窓部123を目視した際に、拡張部材170の第1拡張部180の略中心位置(マーカー部105が配置された位置)を術者が視認することができる位置に配置している。
窓部123は、図5、図6、図7に示すように、支持部126の外表面(被覆部材110の外面側に位置する表面)と支持部126の内表面(拡張部材170が配置される側に位置する表面)とを繋げる孔部124と、孔部124を覆う透明性を有するカバー部材125と、を有している。
カバー部材125は、図5に示すように、孔部124を囲み、かつ、平面図上において孔部124の外方の所定の範囲まで延びる大きさを有している。本実施形態では、窓部123は、孔部124と、カバー部材125の孔部124と重なる部分(カバー部材125の一部)とにより構成している。
支持部126は、本体部120の一部(本体部120において孔部124が形成された部分を除いた部分)で構成している。
カバー部材125は、孔部124を囲む位置(図5に示す平面図上で孔部124全体を覆う位置)で支持部126に固定されている。カバー部材125と支持部126は、融着により固定している。
カバー部材125が有する透明性とは、カバー部材125を介して拡張部材170を視認することが可能な物性(光の透過性)を意味する。透明には、例えば、有色透明、無色透明、半透明が含まれる。なお、カバー部材125は、カバー部材125の孔部124と重ねて配置される部分が少なくとも透明性を有していればよい。
本体部120は、図5に示すように、カバー部材125と支持部126との固定位置113に形成され、カバー部材125よりも柔軟性が低い剛性部127を有する。
図5に示すように、窓部123の外形は円形である。カバー部材125は、孔部124の縁部を囲む位置で支持部126の内表面と固定されている。カバー部材125と支持部126とを固定する固定位置113では、カバー部材125が支持部126に融着されている。そのため、固定位置113では、カバー部材125が硬化した状態で支持部126に固着している。本体部120において固定位置113が形成された部分は、カバー部材125の支持部126と融着されていない部分よりも柔軟性が低い剛性部127を構成している。
カバー部材125は、円形の孔部124の縁部を囲む位置で支持部126と固定されている。そのため、固定位置113に形成された剛性部127の外形は、窓部123(孔部124)の外形よりも大きな相似形状の円形を有する。
図5、図6に示すように、カバー部材125は、第1拡張部180が収縮した状態において、第1拡張部180の先端側に位置する角部183a、183bを覆う位置に配置されている。そのため、止血器具100は、患者が手Hを動かした際に変形しやすい指先側に対し、窓部123の外側に位置する拡張部材170の角部183a、183bをカバー部材125で押さえつけることができる。したがって、止血器具100は、穿刺部位tに配置された拡張部材170の位置ずれや拡張部材170の意図しない形状への変形をより確実に抑制することができ、穿刺部位tに対し、拡張部材170による圧迫力を適切に付与できる。
止血器具100は、図5に示すように、窓部123が円形に形成されている。そのため、窓部123と重なる位置に配置された第1拡張部180は、第1拡張部180が拡張した際、窓部123の外形の中央部123c付近で穿刺部位tに対して圧迫力を適切に付与することができる。
止血器具100は、図5に示す複数の固定位置111、112、113、114で各部材同士が固定されている。
固定位置111では、カバー部材125と、補助部材190と、第3アーム部150が固定されている。固定位置112では、第1拡張部180と支持部126が固定されている。固定位置113では、前述したように、支持部126とカバー部材125が固定されている。固定位置114では、第1拡張部180と補助部材190が固定されている。
図5、図6、図7に示すように、固定位置111では、第3アーム部150の一端部151が補助部材190の第1端部(本体部120の先端側に位置する端部)190aとカバー部材125の先端部125aとの間に挟み込まれている。補助部材190の第1端部190a、カバー部材125の先端部125a、第3アーム部150の一端部151の各々は、上記のように第3アーム部150の一端部151が補助部材190の第1端部190aとカバー部材125の先端部125aとの間に挟み込まれた状態で、互いに融着されている。
上記のように第3アーム部150が被覆部材110と補助部材190との間に挟まれた状態で固定されているため、止血器具100を患者の手Hに装着した状態で、第3アーム部150を介して補助部材190の第1端部190a側を患者の手Hの甲Hb側(体表面側)に向けて配置することで、穿刺部位tに対し、より確実に拡張部材170を固定することができる。なお、第3アーム部150は被覆部材110のみ(カバー部材125のみ)に固定してもよいし、拡張部材170のみ(第1拡張部180又は補助部材190のみ)に固定してもよい。
図5、図6、図7に示すように、固定位置112では、第1拡張部180の第2端部(本体部120の基端側に位置する端部)180bと支持部126の基端部126bが固定されている。支持部126の基端部126bは、支持部126の外表面が第1拡張部180の内表面(生体に配置される側の面)に固定されている。支持部126の基端部126bは、支持部126の外表面が第1拡張部180の内表面と対向するように湾曲した形状を形成した状態で、第1拡張部180の内表面に固定されている。
支持部126の基端部126bは、第1拡張部180の第2端部180bを被覆するパッド部128を構成している。本実施形態では、支持部126の基端部126bにおいて第1拡張部180に固定された湾曲形状をなす凸部によりパッド部128が形成されている。パッド部128は、支持部126の内表面が向かい合う空間(支持部126の内表面により区画された空間)129を有している。
なお、パッド部128は、支持部126の湾曲した部分で構成されていなくてもよい。パッド部128は、例えば、第1拡張部180の内表面に固定された支持部126とは異なる部材で構成してもよい。
図5、図6、図7に示すように、固定位置114では、第1拡張部180と補助部材190が固定されている。第1拡張部180と補助部材190は、第1拡張部180の連通部182の周囲と補助部材190の連通部192の周囲のみで固定されている。そのため、固定位置114は、各連通部182、192の外周を囲む位置に形成されている。
上述したように、拡張部材170は、本体部120の先端側に配置された第1端部190a(補助部材190の第1端部190a)がカバー部材125の先端部125aに固定されている。また、拡張部材170は、本体部120の基端側に配置された第2端部180b(第1拡張部180の第2端部180b)が支持部126の基端部126bに固定されている。図5に示すように、拡張部材170の第1端部190aの長手方向(図5の左右方向)において本体部120と固定された部分の長さ(固定位置111の長手方向の長さ)は、拡張部材170の第2端部180bの長手方向において本体部120と固定された部分の長さ(固定位置112の長手方向の長さ)と略同一である。なお、後述する実施形態で説明するように、固定位置111の長手方向の長さと固定位置112の長手方向の長さとの大小関係は特に限定されない(図16を参照)。
各固定位置111、112、113、114での部材同士の固定方法としては、例えば、融着を採用することができる。ただし、固定方法は融着に限定されず、例えば、接着や縫合等でもよい。
カバー部材125は、図5に示す固定位置113のみで支持部126と固定されている。そのため、カバー部材125の先端部125aおよびカバー部材125の基端部125bは、支持部126に対して固定されていない。これにより、止血器具100は、患者の手Hの動きに追従しやすいように本体部120の柔軟性を保ちつつ、拡張部材170の圧迫力を窓部123の中央部123c付近に対してより確実に付与することができる。なお、カバー部材125は、固定位置113に加え、カバー部材125の先端部125aおよびカバー部材125の基端部125bが支持部126に対して固定されていてもよい。
拡張部材170は、図5に示す固定位置111で拡張部材170の第1端部190aがカバー部材125及び第3アーム部150に固定されている。拡張部材170は、図5に示す固定位置112で拡張部材170の第2端部180bが支持部126と固定されている。拡張部材170は、拡張部材170の第1端部190aと拡張部材170の第2端部180bとの間の領域では、カバー部材125及び支持部126に対して固定されていない。
第1拡張部180の第1端部(本体部120の先端側に位置する端部)180aは、他の部材と固定されていない。同様に、補助部材190の第2端部190b(本体部120の基端側に位置する端部)は、他の部材と固定されていない。
被覆部材110の本体部120に用いる材料は、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)のようなポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、シリコーン、ポリウレタン、ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー等の各種熱可塑性エラストマー、ナイロン、ナイロンエラストマー、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの(ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等)が挙げられる。また、被覆部材110の本体部120に用いる材料は、織布、不織布、フェルト、織物、編物、紙などを使用してもよい。
<第1アーム部、第2アーム部、第3アーム部>
各アーム部130、140、150は、患者の手Hに巻き付けることが可能な可撓性を備える部材で形成している。
第1アーム部130は、図1、図2に示すように、本体部120に接続された一端部131と、第1アーム部130の一端部131の反対側に位置する自由な他端部133と、を有している。「自由な他端部」とは、止血器具100の未装着状態において、他の部材と直接又は関節的な接続関係が無いことを意味する。他のアーム部140、150の他端部143、153についても同様である。
第1アーム部130は、図1、図2に示すように、第1アーム部130の一端部131側から第1アーム部130の他端部133側にかけて略一定の幅(第1アーム部130が延在する長手方向と交差する方向の寸法)で延びる帯状の部材で構成している。
第1アーム部130の他端部133の外面(被覆部材110の外面側に配置される面)には、図1に示すように、第1固定部材161が配置されている。第1アーム部130の一端部131と他端部133との間に位置する領域の外面には、第2固定部材162が配置されている。第1アーム部130の内面には、図2に示すように、第4固定部材164が配置されている。なお、第4固定部材164は、本体部120の支持部126の内面、第2アーム部140の内面、及び第3アーム部150の内面の一部にも配置されている。
第1アーム部130の長手方向の長さ(一端部131から他端部133までの長さ)は、例えば、100mm~300mmで形成することができる。また、第1アーム部130の幅は、例えば、10mm~50mmで形成することができる。
第2アーム部140は、第1アーム部130が延在する第1方向と異なる方向に延在している。第2アーム部140は、本体部120に接続された一端部141と、第2アーム部140の一端部141の反対側に位置する自由な他端部143と、を有している。
第2アーム部140は、図1、図2に示すように、第2アーム部140の一端部141側から第2アーム部140の他端部143側にかけて幅(第2アーム部140が延在する長手方向と交差する方向の寸法)が小さくなる形状を有する帯状の部材で構成している。
第2アーム部140の一端部141と他端部143との間に位置する領域の外面には、図1に示すように、第3固定部材163が配置されている。
第2アーム部140の長手方向の長さ(一端部141から他端部143までの長さ)は、例えば、20mm~150mmで形成することができる。また、第2アーム部140の幅は、例えば、10mm~50mmで形成することができる。
第3アーム部150は、第1アーム部130が延在する第1方向及び第2アーム部140が延在する第2方向と異なる方向に延在している。第3アーム部150は、本体部120のカバー部材125及び拡張部材170の補助部材190に対して接続された一端部151と、第3アーム部150の一端部151の反対側に位置する自由な他端部153と、を有している。
第3アーム部150は、図1、図2に示すように、第3アーム部150の一端部151側から第3アーム部150の他端部153側にかけて略一定の幅(第3アーム部150が延在する長手方向と交差する方向の寸法)を有する帯状の部材で構成している。
第3アーム部150の他端部143付近の内面には、図2に示すように、第5固定部材165が配置されている。
第3アーム部150の長手方向の長さ(一端部151において被覆部材110の本体部120から露出した部分から他端部153までの長さ)は、例えば、75mm~250mmで形成することができる。また、第3アーム部150の幅は、例えば、5mm~25mmで形成することができる。
各アーム部130、140、150に用いる材料は、特に限定されないが、例えば、被覆部材110の本体部120として例示した材料と同一の材料を挙げることができる。
<固定部材>
図1、図2に示すように、止血器具100は、第1固定部材161、第2固定部材162、第3固定部材163、第4固定部材164、及び第5固定部材165の5つの固定部材を有している。
前述したように、第1アーム部130の外面には、第1固定部材161及び第2固定部材162が配置されている。また、第2アーム部140の外面には、第3固定部材163が配置されている。また、第1アーム部130の内面、本体部120の支持部126の内面、第2アーム部140の内面、及び第3アーム部150の内面の一部には、第4固定部材164が配置されている。また、第3アーム部150の内面の一部には、第5固定部材165が配置されている。
第1固定部材161、第3固定部材163、及び第5固定部材165は、面ファスナーの雄側で構成している。第2固定部材162、及び第4固定部材164は、面ファスナーの雌側で構成している。面ファスナーは、面的に着脱可能なファスナーであり、例えば、Magic Tape(登録商標)やVelcro(登録商標)である。
各固定部材161、162、163、164、165は、被覆部材110を患者の肢体に巻き付けた状態で第1アーム部130、第2アーム部140、第3アーム部150、及び本体部120を患者に固定することが可能な限り、具体的な構成は限定されない。例えば、一部の固定部材の設置の省略や各アーム部130、140、150や本体部120において固定部材を配置する位置の変更等は適宜行い得る。また、各固定部材161、162、163、164、165を面ファスナーで構成する場合、面ファスナーの雄側と雌側を入れ替えた構成としてもよい。また、各固定部材161、162、163、164、165は、例えば、スナップ、ボタン、クリップ、孔部が形成された枠部材等であってもよい。
<拡張部材>
拡張部材170は、図5、図6、図7に示すように、流体の注入により拡張される第1拡張部180と、第1拡張部180よりも外形が小さく、かつ、変形可能な補助部材190と、を有している。なお、図6は、拡張する前の状態の第1拡張部180及び補助部材190の断面を示しており、図7は、拡張した状態の第1拡張部180及び補助部材190の断面を示している。
第1拡張部180は、図7に示すように、流体が注入可能な内腔181と、補助部材190に対向する位置に形成された連通部182と、を有している。
補助部材190は、流体の注入により拡張する第2拡張部で構成している。補助部材190は、図5、図6、図7に示すように、流体が注入可能な内腔191と、窓部123の中央部123cよりも第3アーム部150側の位置で第1拡張部180と連通する連通部192と、を有している。
補助部材190の連通部192は、補助部材190の中央部に形成している。補助部材190の中央部は、補助部材190が拡張していない状態における図5に示す平面図上の中央部を意味する。
補助部材190の内腔191は、補助部材190の連通部192及び第1拡張部180の連通部182を介して、第1拡張部180の内腔181と連通している。補助部材190は、各連通部182、192を介して第1拡張部180と連通した状態で、第1拡張部180と固定されている。
図5、図6、図7に示すように、補助部材190は、第1拡張部180の第3アーム部150側(本体部120の先端側)に位置する。つまり、補助部材190は、本体部120の先端側において第1拡張部180と重なるように配置されている。
図5に示すように、第1拡張部180の外形は、窓部123の外形よりも大きい。また、第1拡張部180の外形は、窓部123の外形と異なる形状である。
前述したように、窓部123の外形は円形である。一方、第1拡張部180の外形は、複数の角部183a、183b、183c、183dを有する多角形である。
第1拡張部180の各角部183a、183b、183c、183dは、第1拡張部180が拡張した際に手Hに圧迫力を付与することが可能な部分に位置する角部である。本実施形態に係る第1拡張部180のように、複数のシートの間に内腔181を形成するように重ねた状態で接合して形成された第1拡張部180では、接合位置(接合しろ)の内側に位置する各角部が上記の各角部183a、183b、183c、183dに相当する。
第1拡張部180は、図5に示す平面図上において、略正方形の形状を有する。補助部材190は、第1拡張部180の一辺と略同一の長さを有する一組の長辺と、第1拡張部180の一辺の略半分の長さを有する一組の短辺とを備える長方形の形状を有する。補助部材190の長辺は図5に示す左右方向に沿って配置されており、補助部材190の短辺は図5に示す上下方向に沿って配置されている。
止血器具100は、第1拡張部180が四角形の外形で形成されている場合、第1拡張部180が穿刺部位tに対して圧迫力を付与する際、第1拡張部180の縁部に沿う各辺よりも内側の部分(第1拡張部180の圧迫力を付与することが可能な部分)を手Hの長母指伸筋腱p1と短母指伸筋腱p2に重ねて配置することができる(図12を参照)。術者は、第1拡張部180の縁部に沿う各辺よりも内側の部分を長母指伸筋腱p1と短母指伸筋腱p2に重ねて配置することにより、第1拡張部180を手H上に安定した状態で配置することができる。
第1拡張部180は、複数の角部183a、183b、183c、183dを有するように構成される場合、各角部183a、183b、183c、183dのうちの少なくとも一つが窓部123の外側(図5に示す平面図上において、窓部123の孔部124よりも外側)に位置することが好ましい。本実施形態では、第1拡張部180は、全ての角部183a、183b、183c、183dが窓部123の外側に位置するように、被覆部材110に接続されている。
なお、止血器具100は、例えば、第1拡張部180の第1端部180a側が第1拡張部180の第2端部180b側よりも窓部123の外側に位置するように、窓部123の外形を楕円形や半円形に形成してもよい。窓部123が上記のような形状で形成される場合、支持部126は、第1拡張部180が穿刺部位tを圧迫している最中に浮き上がり易い第1拡張部180の第1端部180a側を手Hに対してより広い面積で押しつけることができるため、手Hからの第1拡張部180の位置ずれを好適に防止することができる。
第1拡張部180は、二つのシート状の部材で形成している。第1拡張部180は、例えば、略矩形形状に形成された二つのシート状の部材の間に内腔181を形成した状態で、二つのシート状の部材の縁部を接合することにより形成することができる。補助部材190も第1拡張部180と同様に、接合された略矩形形状の二つのシート状の部材で形成することができる。
第1拡張部180を形成するシート状の部材の接合方法や補助部材190を形成するシート状の部材の接合方法は特に限定されないが、例えば、接着や融着を採用することができる。なお、第1拡張部180及び補助部材190は、複数のシート状の部材を接合した構造に限定されることはない。第1拡張部180及び補助部材190は、例えば、流体が流入可能な空間が内部に形成された一つの袋状の部材で形成してもよい。
第1拡張部180及び補助部材190に用いられる材料は、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)のようなポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、シリコーン、ポリウレタン、ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー等の各種熱可塑性エラストマー、ナイロン、ナイロンエラストマー、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの(ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等)が挙げられる。
図2に示すように、第1拡張部180の内腔181は、第1拡張部180へ空気等の流体を供給するためのチューブ203の内腔と連通している。チューブ203は、第1拡張部180の先端部付近で第1拡張部180と接続されている。チューブ203は、本体部120の内面側を通って被覆部材110から引き出されている。なお、チューブ203を第1拡張部180から引き出す位置は特に限定されないが、チューブ203が本体部120から第1アーム部130側へ引き出されている場合、止血器具100を患者に装着した際、チューブ203は患者の手Hの側方(手Hの各指が延在する方向と交差する方向)に配置される(図11を参照)。そのため、止血器具100を患者に装着した際、チューブ203がイントロデューサー300と干渉することを防止できる。なお、チューブ203は、補助部材190に接続してもよい。また、チューブ203を本体部120から引き出す位置は適宜変更することが可能である。
<マーカー部>
止血器具100は、図5、図6に示すように、穿刺部位tに対して拡張部材170を位置合わせするためのマーカー部105を有している。マーカー部105は、拡張部材170(第1拡張部180及び補助部材190)が収縮した状態で、窓部123の中央部123cに位置するように設けられている。窓部123の中央部123cは、拡張部材170が拡張していない状態における図5に示す平面図上の中央部を意味する。
また、マーカー部105は、図5に示すように、第3アーム部150の幅方向の中心を通る中心線C1と重なる位置に配置している。術者は、マーカー部105を穿刺部位tに位置合わせすることにより、第3アーム部150の幅方向の中心を通る中心線C1を窓部123の中央部123cの延長直線上に配置することができる。そのため、術者は、止血器具100を使用して止血を行っている最中に患者が手H等を動かした場合であっても、第3アーム部150により拡張部材170が浮き上がるのを防止できる。
マーカー部105は、図7に示す断面図上において第1拡張部180の中央部と補助部材190の第2端部190bとが重なるように配置される場合、補助部材190の第2端部190bの外表面に配置することができる。なお、マーカー部105は、第1拡張部180の体表面に向い合わせて配置される側の面(内面)の内表面、第1拡張部180の体表面に向い合わせて配置される側の面と反対側の面(外面)の内表面やその外表面、被覆部材110の本体部120のカバー部材125の内表面や外表面に配置することも可能である。
マーカー部105は、例えば、マーカー部105全体が有色で形成された矩形形状のマーカーで形成することができる。ただし、マーカー部105は、例えば、透明な中心部と、その中心部を囲む有色の線状の枠部とから構成されてもよい。このようにマーカー部105を形成することにより、術者は、マーカー部105の透明な中心部を介して穿刺部位tを確認しつつ、穿刺部位tにマーカー部105を配置することができる。そのため、術者は、マーカー部105を利用し、穿刺部位tに拡張部材170の中心位置を簡単に配置することができる。なお、マーカー部105の具体的な形状、色、止血器具100の各部への形成方法等は特に限定されない。
<注入部>
図1、図2に示すように、止血器具100は、拡張部材170に流体を注入するための注入部201を有している。
注入部201は、逆止弁(図示せず)を内蔵するコネクタで構成している。注入部201には、シリンジ(図示せず)を接続することができる。
注入部201と第1拡張部180との間には、拡張可能な空間を有する緩衝部材202を配置している。緩衝部材202は、内部に空間が形成された可撓性を備える袋状の部材で構成している。なお、緩衝部材202には、注入部201へのシリンジの挿入方向を示す矢印状のマーカーを設けてもよい。
緩衝部材202の一端側には、注入部201が接続されている。注入部201の内腔は、緩衝部材202の空間と連通している。ただし、注入部201に内蔵された逆止弁が閉じている間は、注入部201の内腔と緩衝部材202の空間との連通は遮断されている。
緩衝部材202の他端側には、可撓性を備えるチューブ203が接続されている。チューブ203の内腔は、緩衝部材202の空間と連通している。また、チューブ203は、緩衝部材202と接続された一端部と反対側の他端部が第1拡張部180に接続されている。チューブ203の内腔は、第1拡張部180の内腔181と連通している。
チューブ203の他端部は、例えば、第1拡張部180を形成する二つのシート状の部材の間に挟み込まれた状態で接着材等により第1拡張部180に接続することができる。なお、第1拡張部180を形成するシート状の部材には、例えば、チューブ203を挟み込む部分に、シート状の部材の外方側へ部分的に突出する凸部が形成されていてもよい。
術者は、第1拡張部180及び補助部材190を拡張させる際、注入部201にシリンジ(図示せず)の先筒部を挿入して逆止弁を開く。術者は、注入部201の逆止弁を開いた状態で、シリンジの押し子を押すことにより、シリンジ内の空気を第1拡張部180の内腔181に注入する。
第1拡張部180の内腔181に空気が注入されると、第1拡張部180が拡張する。また、第1拡張部180の内腔181に注入された空気は、第1拡張部180の連通部182及び補助部材190の連通部192を介して、補助部材190の内腔191に流入する。補助部材190の内腔191に空気が流入すると、補助部材190が拡張する。第1拡張部180及び補助部材190が拡張すると、チューブ203を介して第1拡張部180の内腔181と連通している緩衝部材202が膨張する。
緩衝部材202の空間と第1拡張部180の内腔181は、チューブ203を介して常時連通する。注入部201は、注入部201にシリンジが挿入されていない状態では、注入部201に内蔵された逆止弁を閉じた状態に維持し、注入部201から空気が漏れることを防止する。そのため、止血器具100は、患者に止血器具100を装着した状態において、患者が手Hを動かすと、手Hの穿刺部位tを圧迫する第1拡張部180及び補助部材190が変形する。第1拡張部180及び補助部材190が変形する際、第1拡張部180の内腔181及び補助部材190の内腔191にある空気の逃げ場がないと、第1拡張部180及び補助部材190の変形が妨げられる。そのため、患者は、手Hの可動範囲が制限される。止血器具100が備える緩衝部材202は、患者が手Hを動かした際、第1拡張部180の内腔181及び補助部材190の内腔191から緩衝部材202への空気の移動を可能にする。そのため、患者は、手Hを動作させた際、第1拡張部180及び補助部材190により可動範囲が制限されることを防止できる。なお、患者が手Hを変形させた状態から元の状態に戻すと、緩衝部材202から第1拡張部180へ空気が移動するため、第1拡張部180から穿刺部位tに対して効果的に圧迫力を付与することができる。
術者は、第1拡張部180及び補助部材190を収縮させる際、注入部201にシリンジの先筒部を挿入して、シリンジの押し子を引く。術者は、上記の操作を行うことにより、第1拡張部180内の空気及び補助部材190内の空気をシリンジへ排出することができる。
なお、術者は、術者が第1拡張部180を拡張させる際、緩衝部材202の膨張を確認することにより、空気が漏れずに、第1拡張部180及び補助部材190を加圧できていることを目視で確認することもできる。
<止血器具の使用例>
次に、図8~図15を参照して、止血器具100の使用例を説明する。以下では、穿刺部位tが形成された患者の手(左手)Hへの止血器具100の装着手順例を説明する。
図8には、患者の手Hの甲Hbに形成した穿刺部位t(図13、図14を参照)を介して手掌動脈Bの遠位橈骨動脈側にイントロデューサー300のシースチューブを挿入して各種の手技を実施し終えた状態を示している。また、図8では、上記の手技を終えた後、穿刺部位tからイントロデューサー300のシースチューブの一部を引き抜いた状態を示している。例えば、イントロデューサー300のシースチューブは、シースチューブの先端側の2~3cm程度が血管Bに留置されている状態である。
術者は、止血の開始に際し、図8に示すように、患者の手Hの甲Hbに被覆部材110の本体部120を重ねるように配置する。この際、術者は、窓部123を介して患者の手Hに形成した穿刺部位tの位置を確認しながら窓部123の中央部123cに配置されたマーカー部105を穿刺部位tに配置することができる。
また、術者は、本実施形態に係る止血器具100のように第1拡張部180が多角形の外形を有する場合、止血器具100を患者の手Hに装着する際、第1拡張部180の縁部に沿う各辺よりも内側の部分を手Hの長母指伸筋腱p1と短母指伸筋腱p2に重ね配置することができる(図12を参照)。術者は、第1拡張部180の縁部に沿う各辺よりも内側の部分を長母指伸筋腱p1と短母指伸筋腱p2に載せた状態で、第1拡張部180を拡張させることにより、第1拡張部180が血管Bに対して集中的に圧迫力を付与することを抑制できる。そのため、術者は、止血器具100を使用した止血を行っている最中に、血管Bを閉塞しにくくすることができる。
次に、術者は、図9に示すように、第1アーム部130を患者の手Hの外周に沿って巻き付ける。術者は、第1アーム部130を患者の手Hの外周に沿って巻き付けつつ、第1アーム部130の内面に配置された第4固定部材164を、第2アーム部140の外面に配置された第3固定部材163(図1を参照)に接触させることにより、各固定部材163、164を介して、第1アーム部130と第2アーム部140を固定する。
次に、術者は、図10に示すように、第1アーム部130において第2アーム部140と固定されていない他端部133(図1を参照)を患者の手Hの掌側に折り返す。この際、術者は、第1アーム部130の外面に配置された第1固定部材161を、第1アーム部130の外面に配置された第2固定部材162に接触させることにより、各固定部材161、162を介して、第1アーム部130の手Hに巻き付けられていない余剰部分を図10に示すように折り返した状態で固定することができる。
次に、術者は、図11に示すように、患者の親指f1と人差指f2の間の指間部fbに第3アーム部150を通しつつ、第3アーム部150の他端部153側を患者の掌側に配置する。術者は、第3アーム部150の内面に配置された第5固定部材165(図2を参照)を第1アーム部130の外面に配置された第2固定部材162(図1を参照)に接触させることにより、各固定部材162、165を介して第3アーム部150と第1アーム部130を固定することができる。
術者は、第1アーム部130と第2アーム部140を固定し、第1アーム部130と第3アーム部150を固定することにより、止血器具100を患者の手Hに対して固定することができる。術者は、第1アーム部130および第2アーム部140により手Hの外周に沿って被覆部材110を固定しつつ、親指f1と人差指f2の間の指間部fbに第3アーム部150を引っ掛けて配置することができるため、止血器具100の位置ずれを効果的に防止することができる。
次に、術者は、注入部201にシリンジを接続し、第1拡張部180に空気を注入し、第1拡張部180及び補助部材190を拡張させる。止血器具100は、第1拡張部180及び補助部材190が拡張すると、第1拡張部180が穿刺部位tに対して圧迫力を付与する(図13及び図14を参照)。なお、術者は、第3アーム部150を第1アーム部130に固定する前に、第1拡張部180及び補助部材190を拡張させてもよい。
術者は、第1拡張部180及び補助部材190を拡張させた後、図12に示すように、イントロデューサー300のシースチューブを穿刺部位tから抜去する。術者は、止血器具100を使用して止血を行っている間、穿刺部位tからの出血がないことを確認する。術者は、穿刺部位tからの出血がある場合、第1拡張部180及び補助部材190への空気の注入量を調整する。
図13、図14には、止血器具100を装着した状態において、穿刺部位tを止血している最中の患者の手Hの模式的な断面図を示している。図13は、図12に示す矢印12-12線に対応する断面図であり、図14は、図12に示す矢印14-14線に対応する断面図である。
拡張部材170は、第1拡張部180及び補助部材190が拡張した状態で穿刺部位tに対して圧迫力を付与する。また、補助部材190は、図13に示すように、第1拡張部180の第1端部180a側から第1拡張部180の中央部側に向けて第1拡張部180に対して斜め方向の力Fを付与する。第1拡張部180は、第1拡張部180が穿刺部位tに対して圧迫力を付与している状態で補助部材190からの圧迫力を受けることにより、第1拡張部180の重心が不用意に変位することを防止できる。そのため、止血器具100は、第1拡張部180の穿刺部位tからの位置ずれを防止することができ、穿刺部位tに対して安定的に圧迫力を付与した状態を維持することができる。
前述したように、止血器具100は、第1拡張部180の外形が窓部123の外形よりも大きい(図5を参照)。そして、第1拡張部180において窓部123の外側に配置される縁部(図5に示す第1拡張部180の外形に沿う縁部)は、第1拡張部180が拡張した際、図14に示すように、窓部123を囲む支持部126により手Hの甲Hbに近付く方向へ向けて押えつけられる。第1拡張部180は、支持部126により第1拡張部180の縁部が押えつけられることにより、穿刺部位tに対して効果的に圧迫力を付与することができる。また、第1拡張部180は、支持部126により第1拡張部180の縁部が押えつけられることにより、第1拡張部180の窓部123と重なる位置に配置された部分の穿刺部位tからの位置ずれを防止することができ、穿刺部位tに対して安定的に圧迫力を付与することができる。
また、第1拡張部180は、第1拡張部180が穿刺部位tを圧迫している最中に、患者が手Hを湾曲させると、第1拡張部180の図14に示す左右方向の端部が引っ張られて、図14に示す左右方向の中央部分が手Hから離れる方向に凸状に屈曲する可能性がある。このように第1拡張部180が変形すると、第1拡張部180が穿刺部位tに対して適切な圧迫力を付与することができなくなる。本実施形態に係る第1拡張部180は、第1拡張部180が拡張した際、第1拡張部180の外表面側から支持部126により手Hに近付く方向に押しつけられる。そのため、第1拡張部180は、上記のように第1拡張部180の中央部分が凸状に屈曲することを防止できる。したがって、第1拡張部180は、患者が手Hを湾曲させた場合においても、穿刺部位tに対して適切な圧迫力を付与することができる。
図15には、止血器具100を使用して穿刺部位tの止血を行っている最中に、患者が手Hを手の甲Hb側に湾曲させた際の様子を示している。本実施形態に係る止血器具100は、支持部126の基端部126bに形成されたパッド部(凸部)128を有する。パッド部128は、第1拡張部180の第2端部180bを覆うように配置されている。パッド部128は、患者が手Hを上記のように湾曲させた際、患者の皮膚に第1拡張部180の第2端部180bが接触することを防止する。そのため、パッド部128は、患者が手Hを上記のように湾曲させた際、第1拡張部180の第2端部180bが皮膚に接触した際に患者が感じる痛みや不快感を緩和させることができる。
以上のように、本実施形態に係る止血器具100は、患者の手Hの穿刺部位tを覆うように配置される被覆部材110と、被覆部材110が穿刺部位tを覆った状態で、被覆部材110を患者の手Hに固定する複数の固定部材161、162、163、164、165と、被覆部材110に接続され、流体の注入により拡張する拡張部材170と、を備えている。被覆部材110は、拡張部材170が配置される本体部120と、拡張部材170から離れる第1方向に延在する第1アーム部130と、拡張部材170から離れる第2方向に延在する第2アーム部140と、拡張部材170から離れる第3方向に延在する第3アーム部150と、を有している。第1アーム部130は、本体部120に接続された一端部131と、第1アーム部130の一端部131の反対側に位置する自由な他端部133と、を有し、第2アーム部140は、第1方向と異なる方向に延在し、本体部120に接続された一端部141と、第2アーム部140の一端部141の反対側に位置する自由な他端部143と、を有し、第3アーム部150は、第1方向及び第2方向と異なる方向に延在し、本体部120及び拡張部材170の少なくとも一方に対して接続された一端部151と、第3アーム部150の一端部151の反対側に位置する自由な他端部153と、を有している。本体部120は、拡張部材170(第1拡張部180)を視認可能な窓部123と、窓部123の周囲に位置する支持部126と、を有している。拡張部材170(第1拡張部180)の外形は、窓部123の外形よりも大きい。
止血器具100が備える被覆部材110の支持部126は、患者の手Hに対し、窓部123の外側に位置する拡張部材170を押さえつける。そのため、止血器具100は、拡張部材170の縁部を患者の手Hに押さえつけた状態で、穿刺部位tを覆うように拡張部材170を配置できる。止血器具100は、窓部123の外側に位置する拡張部材170を押さえつけることで、穿刺部位tに対し、窓部123と対応する位置に配置された拡張部材170の圧迫力を適切に付与することができる。加えて、止血器具100は、窓部123の外側に位置する拡張部材170を支持部126が押さえつけることにより、穿刺部位tに配置された拡張部材170の位置ずれや拡張部材170の意図しない形状への変形を抑制し、穿刺部位tに対し、拡張部材170による圧迫力を適切に付与できる。
また、拡張部材170(第1拡張部180)の外形は、窓部123の外形と異なる形状である。そのため、拡張部材170の縁部の少なくとも一部が窓部123の外側に位置するように、拡張部材170の外形を調整できる。それにより、拡張部材170は、拡張部材170の外形が穿刺部位tに対して効果的に圧迫力を付与することができる形状に設計できる。
また、拡張部材170(第1拡張部180)の外形は、複数の角部183a、183b、183c、183dを有する多角形であり、角部183a、183b、183c、183dの少なくも1つは窓部123の外側に位置する。拡張部材170の角部183a、183b、183c、183dは、拡張部材170の外側に向かって先細りするように外形が小さくなる。そのため、被覆部材110の支持部126は、患者の手Hに対し、窓部123の外側に位置する拡張部材170の角部183a、183b、183c、183dを患者の皮膚側に比較的弱い力で押えつける。そのため、支持部126は、拡張部材170の窓部123の外側に位置する部分を押えつけることで、穿刺部位tに配置された拡張部材170の位置ずれや拡張部材170の意図しない形状への変形をより確実に抑制することができ、穿刺部位tに対し、拡張部材170による圧迫力を適切に付与することができる。
また、窓部123の外形は、円形であり、拡張部材170(第1拡張部180)は、全ての角部183a、183b、183c、183dが窓部123の外側に位置するように被覆部材110に接続されている。そのため、窓部123の外側に位置する拡張部材170の各角部183a、183b、183c、183dを押さえつけることで、穿刺部位tに対し、窓部123と対応する位置に配置された拡張部材170の圧迫力を適切に付与することができる。また、窓部123の外形が円形であるため、拡張部材170による圧迫力を窓部123の中央部123c付近に適切に付与することができる。加えて、止血器具100は、支持部126が窓部123の外側に位置する拡張部材170の各角部183a、183b、183c、183dを押さえつけることで、穿刺部位tに配置された拡張部材170の位置ずれや拡張部材170の意図しない形状への変形をより確実に抑制し、穿刺部位tに対し、拡張部材170による圧迫力を適切に付与できる。
窓部123は、支持部126の外表面と支持部126の内表面とを繋げる孔部124と、孔部124を覆う透明性を有するカバー部材125と、を有している。カバー部材125は、孔部124を囲む位置で支持部126に固定されており、本体部120は、カバー部材125と支持部126との固定位置113に形成されカバー部材125よりも柔軟性が低い剛性部127を有する。剛性部127は、拡張部材170が穿刺部位tを圧迫する際、本体部120のカバー部材125が変形や位置ずれすることを防止する。そのため、止血器具100は、窓部123の穿刺部位tに対応した位置に配置された拡張部材170の位置ずれや拡張部材170の意図しない形状への変形をより確実に抑制することができ、穿刺部位tに対し、拡張部材170による圧迫力を適切に付与できる。
また、剛性部127の外形は、窓部123の外形と相似形状である。そのため、止血器具100は、拡張部材170の圧迫力を窓部123の中央部123c付近に対してより確実に付与することができる。
また、被覆部材110は、拡張部材170の第2端部180b(第1拡張部180の第2端部180b)を被覆するパッド部128を有する。拡張部材170の第2端部180bは、患者の手首の動きにより、患者の皮膚に対して衝突しやすい。止血器具100は、拡張部材170の第2端部180bを覆うパッド部128を有することにより、拡張部材170の第2端部180bが患者の皮膚に喰い込むことを防止し、止血器具100の装着時の患者の手首の自由度を高めることができる。
また、パッド部128は、支持部126の外表面が拡張部材170(第1拡張部180)の内表面に固定されることで形成された凸部である。凸部は、支持部126の内表面が向かい合う空間129を有する。このように支持部126の一部を拡張部材170の内表面に固定することで、拡張部材170の第2端部180bが患者の体表面に喰い込むことをより確実に防止できる。また、凸部が空間129を備えることで、凸部の柔軟性を高め、凸部が患者の皮膚に喰い込み、患者の皮膚に痛み等が発生することを防止できる。
また、拡張部材170は、流体の注入により拡張される第1拡張部180と、第1拡張部180よりも外形が小さく、かつ、変形可能な補助部材190と、を有している。補助部材190は、第1拡張部180の第3アーム部150側に位置する。補助部材190は、患者が親指f1や手首を曲げた際、補助部材190が第1拡張部180を圧迫して患者の手Hからの第1拡張部180の浮き上がりを防止する。そのため、止血器具100は、第1拡張部180の第3アーム部150側が浮いたり、圧迫力が弱くなったりすることを抑制できる。
また、補助部材190は、流体の注入により拡張される第2拡張部である。第2拡張部は、窓部123の中央部123cよりも第3アーム部150側の位置で第1拡張部180と連通する連通部192を有する。止血器具100は、補助部材190が拡張可能な部材で形成されることにより、患者の手Hの動きに対する拡張部材170の追従性を高めることができる。また、補助部材190は、第1拡張部180と連通しているため、術者は、簡単な操作で補助部材190の拡張及び収縮を操作することができる。また、第1拡張部180と補助部材190との間での流体の移動が容易になるため、止血器具100の手Hに対する追従性が向上する。また、補助部材190は、第1拡張部180の第3アーム部150側で、第1拡張部180と連通している。そのため、拡張部材170は、患者が親指f1や手首を曲げた際、補助部材190が第1拡張部180を圧迫して患者の手Hからの第1拡張部180の浮き上がりを防止する。そのため、止血器具100は、患者の手Hの動きに対する第1拡張部180の追従性が向上する。
また、第1拡張部180と補助部材190(第2拡張部)は、連通部182、192の周囲のみで固定されている。そのため、止血器具100は、補助部材190に対し、第1拡張部180が柔軟に動くため、患者の手Hの動き等で体表面の形状が変化した場合であっても、第1拡張部180は手Hの変形に合わせて容易に変形することができる。そのため、止血器具100は、穿刺部位tに対し、拡張部材170による圧迫力を適切に付与できる。
また、止血器具100は、穿刺部位tに対して拡張部材170を位置合わせするためのマーカー部105を有している。マーカー部105は、拡張部材170(第1拡張部180)が収縮した状態で、窓部123の中央部123cに位置するように設けられている。止血器具100は、窓部123の中央部123cに拡張部材170を穿刺部位tに位置合わせするためのマーカー部105を有するため、マーカー部105により穿刺部位tに対して位置合わせされた拡張部材170により、穿刺部位tに対して圧迫力を適切に付与できる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る止血器具100Aを説明する。図16は、止血器具100Aの一部を拡大して示す平面図であり、第1実施形態で説明した図5に対応する図面である。なお、前述した第1実施形態の説明において既に説明した部材等についての説明は省略する。
図16に示すように、本実施形態に係る止血器具100Aでは、拡張部材170の第1端部190aの長手方向(図16の左右方向)において本体部120と固定された部分の長さ(固定位置111の長手方向の長さ)は、拡張部材170の第2端部180bの長手方向において本体部120と固定された部分の長さ(固定位置112の長手方向の長さ)よりも短い。止血器具100Aは、上記のように構成されていることにより、患者が指先又は手首を動かした際、本体部120により拡張部材170の先端側が患者の皮膚に押しつけられる部分の面積が小さくなる。そのため、止血器具100Aは、拡張部材170による圧迫止血を行っている間、拡張部材170の動作が被覆部材110により制限され難くなるため、拡張部材170が患者の手Hの体表面の変形に応じて変形し易くなる。それにより、拡張部材170は、拡張部材170が拡張変形している間、手Hに対してフィットしやすくなるため、穿刺部位tに配置された拡張部材170の位置ずれや拡張部材170の意図しない形状への変形をより確実に抑制し、穿刺部位tに対し、拡張部材170による圧迫力を適切に付与できる。
また、止血器具100Aでは、拡張部材170の先端の縁部の両端部(先端側の各角部183a、183bの外側に位置する第1拡張部180の両端部)は、拡張部材170の第1端部190a(図6を参照)において、被覆部材110のカバー部材125と固定されていない。そのため、拡張部材170が第1端部190aを中心として、図16に示す左右方向に変形し易くなるため、患者が指先又は手首を動かした際、拡張部材170が患者の手Hの体表面の変形に応じてより確実に追従し、手Hに対してフィットし易くなる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る止血器具100Bを説明する。図17は、止血器具100Bの一部を拡大して示す平面図であり、第1実施形態で説明した図5に対応する図面である。なお、前述した第1実施形態の説明において既に説明した部材等についての説明は省略する。
第3実施形態に係る止血器具100Bでは、拡張部材170が第1拡張部180のみで構成されている。止血器具100Bは、拡張部材170が第1拡張部180のみで構成されている場合においても、患者の手Hに形成された穿刺部位tの止血に使用されることにより、前述した第1実施形態に係る止血器具100と同様に、穿刺部位tに対し、窓部123と対応する位置に配置された拡張部材170の圧迫力を適切に付与することができる。また、止血器具100Bは、窓部123の外側に位置する拡張部材170を支持部126が押さえつけることにより、穿刺部位tに配置された拡張部材170の位置ずれや拡張部材170の意図しない形状への変形を抑制し、穿刺部位tに対し、拡張部材170による圧迫力を適切に付与できる。
図18~図20には、拡張部材の形状例を示している。拡張部材の外形は、穿刺部位tに対して圧迫力を付与することが可能な限り、特に限定されない。例えば、図18に示すように、拡張部材170Aは円形の外形を有していてもよい。また、例えば、図19に示すように、拡張部材170Bは先端側(指先側)に底辺が配置される逆三角形の形状を有していてもよい。また、例えば、図20に示すように、拡張部材170Cは先端側(指先側)が基端側よりも大きな面積を有する五角形の形状を有していてもよい。なお、拡張部材170Bや拡張部材170Cのように多角形の外形を有する拡張部材を使用して止血を行う場合、第1実施形態で説明した拡張部材170を使用する場合と同様に、拡張部材の縁部に沿う各辺よりも内側の部分を手Hの長母指伸筋腱p1と短母指伸筋腱p2に重ね配置することが好ましい。拡張部材が多角形の外形を有する場合、拡張部材は、拡張部材の縁部に沿う各辺よりも内側の部分を手Hの長母指伸筋腱p1と短母指伸筋腱p2に重ね配置できるように、拡張部材の幅(例えば、図19及び図20の左右方向の長さ)を簡便に調整(設計)することができる。
以上、実施形態を通じて本発明に係る止血器具を説明したが、本発明は明細書において説明した内容のみに限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
実施形態の説明では、左手の甲に形成した穿刺部位を止血するための止血器具を例示したが、止血器具は、右手の甲に形成された穿刺部位、右手の掌に形成された穿刺部位、左手の掌に形成された穿刺部位等を止血するために使用することも可能である。
補助部材は、各実施形態において説明した拡張可能な部材に限定されることはない。補助部材は、例えば、プラスチック等の樹脂材料やゲル等で構成された部材、時間経過に応じて含水率が低下して圧迫力を徐々に減少させるゲルを含む部材、スポンジ状の物質等の弾性材料、綿(わた)のような繊維の集合体、金属、所定の立体形状を備える部材(球状、楕円体、三角錐等)、これらを適宜組み合わせたもの等で構成することも可能である。
また、止血器具の各部の形状や寸法等は、手を含む肢体の少なくとも一部に対して第1アーム部、第2アーム部、第3アーム部を固定しつつ、止血すべき部位に拡張部材を配置可能な限り、特に限定されることはなく、適宜変更することが可能である。
100、100A、100B 止血器具、
105 マーカー部、
110 被覆部材、
111、112、113、114 固定位置、
120 本体部、
123 窓部、
123c 窓部の中央部、
124 孔部、
125 カバー部材、
126 支持部、
126b 支持部の基端部、
127 剛性部、
128 パッド部(凸部)、
129 空間、
130 第1アーム部、
131 第1アーム部の一端部、
133 第1アーム部の他端部、
140 第2アーム部、
141 第2アーム部の一端部、
143 第2アーム部の他端部、
150 第3アーム部、
151 第3アーム部の一端部、
153 第3アーム部の他端部、
161 第1固定部材(固定部材)、
162 第2固定部材(固定部材)、
163 第3固定部材(固定部材)、
164 第4固定部材(固定部材)、
165 第5固定部材(固定部材)、
170、170A、170B、170C 拡張部材、
180 第1拡張部、
180a 第1拡張部の第1端部、
180b 第1拡張部の第2端部(拡張部材の第2端部)、
181 第1拡張部の内腔、
182 第1拡張部の連通部、
183a、183b、183c、183d 第1拡張部の角部、
190 補助部材(第2拡張部)、
190a 補助部材の第1端部(拡張部材の第1端部)、
190b 補助部材の第2端部、
191 補助部材の内腔、
192 補助部材の連通部、
201 注入部、
202 緩衝部材、
203 チューブ、
300 イントロデューサー、
A 前腕部、
B 手掌動脈(血管)、
H 手、
Hb 手の甲、
f1 親指、
f2 人差指、
fb 指間部、
p1 長母指伸筋腱、
p2 短母指伸筋腱、
t 穿刺部位(止血すべき部位)。

Claims (13)

  1. 患者の手の止血すべき部位を覆うように配置される被覆部材と、
    前記被覆部材が前記止血すべき部位を覆った状態で、前記被覆部材を前記患者の前記手に固定する固定部材と、
    前記被覆部材に接続され、流体の注入により拡張する拡張部材と、を備え、
    前記被覆部材は、前記拡張部材が配置される本体部と、前記拡張部材から離れる第1方向に延在する第1アーム部と、前記拡張部材から離れる第2方向に延在する第2アーム部と、前記拡張部材から離れる第3方向に延在する第3アーム部と、を有し、
    前記第1アーム部は、前記本体部に接続された一端部と、前記第1アーム部の前記一端部の反対側に位置する自由な他端部と、を有し、
    前記第2アーム部は、前記第1方向と異なる方向に延在し、前記本体部に接続された一端部と、前記第2アーム部の前記一端部の反対側に位置する自由な他端部と、を有し、
    前記第3アーム部は、前記第1方向及び前記第2方向と異なる方向に延在し、前記本体部及び前記拡張部材の少なくとも一方に対して接続された一端部と、前記第3アーム部の前記一端部の反対側に位置する自由な他端部と、を有し、
    前記本体部は、前記拡張部材を視認可能な窓部と、前記窓部の周囲に位置する支持部と、を有し、
    前記拡張部材の外形は、前記窓部の外形よりも大きい、止血器具。
  2. 前記拡張部材の外形は、前記窓部の外形と異なる形状である、請求項1に記載の止血器具。
  3. 前記拡張部材の外形は、複数の角部を有する多角形であり、複数の前記角部の少なくとも1つは、前記窓部の外側に位置する、請求項1又は請求項2に記載の止血器具。
  4. 前記窓部の外形は、円形であり、
    前記拡張部材は、全ての前記角部が前記窓部の外側に位置するように前記被覆部材に接続されている、請求項3に記載の止血器具。
  5. 前記窓部は、前記支持部の外表面と前記支持部の内表面とを繋げる孔部と、前記孔部を覆う透明性を有するカバー部材と、を有し、
    前記カバー部材は、前記孔部を囲む位置で前記支持部に固定されており、
    前記本体部は、前記カバー部材と前記支持部との固定位置に形成され前記カバー部材よりも柔軟性が低い剛性部を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の止血器具。
  6. 前記剛性部の外形は、前記窓部の外形と相似形状である、請求項5に記載の止血器具。
  7. 前記被覆部材は、前記拡張部材の基端部を被覆するパッド部を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の止血器具。
  8. 前記パッド部は、前記支持部の外表面が前記拡張部材の内表面に固定されることで形成された凸部であり、
    前記凸部は、前記支持部の内表面が向かい合う空間を有する、請求項7に記載の止血器具。
  9. 前記拡張部材は、前記本体部の先端側に配置された第1端部と、前記本体部の基端側に配置された第2端部と、を備え、
    前記第1端部の長手方向において前記本体部と固定された部分の長さは、前記第2端部の長手方向において前記本体部と固定された部分の長さよりも短い、請求項1~8のいずれか1項に記載の止血器具。
  10. 前記拡張部材は、流体の注入により拡張される第1拡張部と、前記第1拡張部よりも外形が小さく、かつ、変形可能な補助部材と、を有し、
    前記補助部材は、前記第1拡張部の前記第3アーム部側に位置する、請求項1~9のいずれか1項に記載の止血器具。
  11. 前記補助部材は、流体の注入により拡張される第2拡張部であり、
    前記第2拡張部は、前記窓部の中央部よりも前記第3アーム部側の位置で前記第1拡張部と連通する連通部を有する、請求項10に記載の止血器具。
  12. 前記第1拡張部と前記第2拡張部は、前記連通部の周囲のみで固定されている、請求項11に記載の止血器具。
  13. 前記止血すべき部位に対して前記拡張部材を位置合わせするためのマーカー部を有し、
    前記マーカー部は、前記拡張部材が収縮した状態で、前記窓部の中央部に位置するように設けられている、請求項1~12のいずれか1項に記載の止血器具。
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