JP6893206B2 - 止血器具 - Google Patents

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Description

本発明は、穿刺した部位を圧迫して止血するための止血器具に関する。
近年、腕や脚等の血管を穿刺し、穿刺部位にイントロデューサーシースを導入し、イントロデューサーシースの内腔を介してカテーテル等の医療器具を病変部に送達する、経皮的な治療・検査等が行われている。このような治療・検査等を行った場合、術者は、イントロデューサーシースを抜去した後の穿刺部位を止血する必要がある。この止血を行うために、腕や脚等の肢体に巻き付けるための帯体と、帯体を肢体に巻き付けた状態で固定する固定手段と、帯体に連結されており、流体を注入することにより拡張して、穿刺部位を圧迫する拡張部と、を備えた止血器具が知られている。
このような止血器具では、拡張した拡張部が、長時間にわたって穿刺部位およびその周辺の血管や神経を強く圧迫し続けると、しびれや痛みを引き起こしたり、血管が閉塞したりする可能性がある。血管閉塞等を防ぐため、一般的に、医師や看護師は、拡張部を拡張させた後、定期的にシリンジ等の専用の器具を止血器具に接続し、拡張部内の流体を排出し、拡張部の内圧を減圧する減圧操作を行うことで、穿刺部位に作用する圧迫力を経時的に低減させている。
これに対し、下記特許文献1に係る止血器具では、拡張部を経時的に伸長する材料によって構成している。このため、拡張部に流体を注入して拡張させた後、拡張部は、拡張部内の流体からの圧力によって徐々に拡張変形していく。拡張部内の流体の量は一定であるのに対し、拡張部の内部空間の容積は徐々に大きくなるため、拡張部の内圧を経時的に低減することができる。これによって、穿刺部位に作用する圧迫力を経時的に低減させることができる。
特開2004−201829号公報
上記特許文献1に係る止血器具によれば、医師や看護師が減圧操作を行う手間を省くことができる。しかしながら、拡張部を経時的に伸長する材料によって構成すると、拡張部は経時的に拡張変形していくため、それに伴い拡張部の厚みは薄くなる。拡張部の強度を良好に保つ観点からすれば、拡張部の厚みはある程度維持されることが好ましいと考えられる。
例えば、拡張部を気体透過性が高い材料によって構成すれば、拡張部に気体を注入して拡張させた後、拡張部内の気体が経時的に外部に排出されるため、拡張部の厚みを薄くせずに拡張部の内圧を経時的に低減させることができる。この際、拡張部の厚みをある程度維持しつつ、血管閉塞を防止可能な程度に気体の排出が行われるようにするためには、拡張部を気体透過性が特に高い熱硬化性エラストマーによって構成することが好ましい。しかしながら、拡張部を熱硬化性エラストマーによって形成すると、材料特性の影響により、帯体と拡張部とを融着により連結することができなくなる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、拡張部の強度を良好に保ちつつ、医師や看護師が操作することなく、血管閉塞を防止できる程度に止血すべき部位に作用する圧迫力を経時的に低減可能であって、かつ、拡張部と帯体とを融着により連結した止血器具を提供することを目的とする。
上記目的を達成する止血器具は、肢体の止血すべき部位に巻き付けるための帯体と、前記帯体を前記肢体に巻き付けた状態で固定する固定手段と、熱可塑性材料によって構成された周縁部分と前記熱可塑性材料よりも気体透過性が高い熱硬化性エラストマーによって構成された中央部分とを備えた第1シートおよび熱可塑性材料によって構成された第2シートを重ね合わせて袋状にすることによって構成されており、前記帯体に連結され、かつ、気体を注入することにより拡張し、前記止血すべき部位を圧迫する拡張部と、を備えている。前記拡張部は、前記熱可塑性材料から構成された前記第1シートの周縁部分および前記第2シートが設けられている第1領域と、前記熱可塑性材料よりも気体透過性が高い熱硬化性エラストマーによって構成された前記第1シートの中央部分が設けられている第2領域と、を有している。前記帯体は、熱可塑性材料からなるとともに前記拡張部が連結される連結領域を有している。前記拡張部の周縁部分に位置する前記第1領域は、前記帯体の前記連結領域に融着されている。
上記のように構成した止血器具によれば、拡張部の拡張後、熱硬化性エラストマーからなる第2領域を介して、血管閉塞等を防止可能な程度に、拡張部内の気体が拡張部の外部に経時的に排出される。この際、熱硬化性エラストマーからなる第2領域は、気体透過性が比較的高いため、気体透過量を増やすために拡張部の厚みを過剰に薄くする必要がない。このため、拡張部の強度を良好に保ちつつ、医師や看護師が操作することなく、血管閉塞等を防止可能な程度に、止血すべき部位に作用する圧迫力を経時的に低減することが可能となる。さらに、拡張部には熱可塑性材料からなる第1領域が設けられ、帯体には熱可塑性材料からなる連結領域が設けられている。このため、第1領域と連結領域とを融着することによって、拡張部と帯体とを融着により連結した止血器具を提供することが可能となる。
実施形態に係る止血器具を内面側から見た平面図である。 図1の2−2線に沿う断面図である。 実施形態に係る止血器具の拡張部を示す平面図であり、図3(A)は、拡張部を構成する第1シートを示す図、図3(B)は拡張部を構成する第2シートを示す図、図3(C)は、拡張部における融着部位の説明に供する図である。 実施形態に係る止血器具を手首に装着した状態を示す斜視図である。 図4の5−5線に沿う断面図である。 図4の6−6線に沿う断面図である。 変形例1に係る止血器具を示す断面図である。 変形例2に係る止血器具を示す断面図である。 変形例3に係る止血器具を示す断面図であって、図9(A)は、拡張部をシール材によって覆っている状態を示す図、図9(B)は、シール材を取り外した後の状態を示す図である。 変形例4に係る止血器具を示す断面図である。 実施例および比較例の説明に供する図であって、図11(A)は、拡張部内の空気量の経時変化を示す図、図11(B)は、拡張部の内圧の経時変化を示す図である。 実施例および比較例の拡張部内の空気量と拡張部の内圧との関係を示す図である。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態およびその変形例を説明する。なお、以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
実施形態に係る止血器具10は、図4および図5に示すように、治療・検査等を行うカテーテル等を血管内に挿入する目的で、手首W(「肢体」に相当)の橈骨動脈Rに形成された穿刺部位P(「止血すべき部位」に相当)に留置していたイントロデューサーシースを抜去した後、その穿刺部位Pを止血するために使用するものである。
止血器具10は、図1および図2に示すように、手首Wに巻き付けるための帯体20と、帯体20を手首Wに巻き付けた状態で固定する面ファスナー30(「固定手段」に相当)と、気体を注入することにより拡張し、穿刺部位Pを圧迫する拡張部40と、拡張部40を穿刺部位Pに位置合わせするためのマーカー50と、気体を拡張部40に注入可能な注入部60と、を有する。
なお、本明細書中では、帯体20を手首Wに巻き付けた状態のとき、帯体20において手首Wの体表面に向かい合う側(装着面側)を「内面側」と称し、その反対側を「外面側」と称する。
帯体20は、可撓性を備える帯状の部材によって構成しているベルト21と、ベルト21よりも硬度の高い支持板22と、を備えている。
ベルト21は、図4および図5に示すように、手首Wの外周を略一周するように巻き付けられる。図2に示すように、ベルト21の中央部には、支持板22を保持する支持板保持部21aが形成されている。支持板保持部21aは、外面側(または内面側)に別個の帯状の部材が融着(熱融着、高周波融着、超音波融着等)または接着(接着剤や溶媒による接着)等の方法によって接合されることにより、二重になっており、これらの隙間に挿入された支持板22を保持する。
ベルト21の図1中の左端付近の部分の外面側には、一般にマジックテープ(登録商標)などと呼ばれる面ファスナー30の雄側(または雌側)31が配置されており、ベルト21の図1中の右端付近の部分の内面側には、面ファスナー30の雌側(または雄側)32が配置されている。図5に示すようにベルト21を手首Wに巻き付け、雄側31および雌側32が接合することにより、帯体20が手首Wに装着される。なお、帯体20を手首Wに巻き付けた状態で固定する手段は、面ファスナー30に限らず、例えば、スナップ、ボタン、クリップ、またはベルト21の端部を通す枠部材であってもよい。
ベルト21は、後述する拡張部40を融着により連結可能とするため、熱可塑性材料によって構成している。なお、ベルト21は、少なくとも拡張部40が連結される連結領域21b(本実施形態では、図2に示すように、後述する支持板22の第1湾曲部22bが配置されている領域と面ファスナー30の雄側31が取り付けられている領域との間の領域)が熱可塑性材料によって構成されていればよく、連結領域21b以外の部分は、熱可塑性材料以外の材料によって形成されていてもよい。
また、ベルト21は、後述する拡張部40の第2領域A2を構成する材料よりも弾性率の大きい材料によって構成することが好ましい。例えば、拡張部40の第2領域A2をシリコーンゴムにより構成した場合、ベルト21の構成材料には、熱可塑性材料を用いることができる。熱可塑性材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン等の熱可塑性樹脂又はオレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー等の各種熱可塑性エラストマーを用いることができる。このような材料でベルト21を形成することで、ベルト21は比較的伸びにくくなり、装着者の手首Wの大きさ等に影響されずに、拡張部40を手首Wに押付けた状態を好適に維持することができる。
また、ベルト21において少なくとも拡張部40と重なっている部分は、実質的に透明であることが好ましいが、透明に限定されず、半透明または有色透明であってもよい。これにより、穿刺部位Pを外面側から視認することができ、後述するマーカー50を穿刺部位Pに容易に位置合わせすることができる。
支持板22は、図2に示すように、ベルト21の二重に形成された支持板保持部21aの間に挿入されることによりベルト21に保持されている。支持板22は、その少なくとも一部が内面側(装着面側)に向かって湾曲した板形状をなしている。支持板22は、ベルト21よりも硬質な材料で構成されており、ほぼ一定の形状を保つようになっている。
支持板22は、ベルト21の長手方向に長い形状をなしている。この支持板22の長手方向における中央部22aは、ほとんど湾曲せずに平板状になっており、この中央部22aの両側には、それぞれ、内面側に向かって、かつ、ベルト21の長手方向(手首Wの周方向)に沿って湾曲した第1湾曲部22b(図2の左側)および第2湾曲部22c(図2の右側)が形成されている。
支持板22の構成材料は、例えば、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル(特に硬質ポリ塩化ビニル)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエンのようなポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアセタール、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、アイオノマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)のようなポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、芳香族または脂肪族ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等が挙げられる。
支持板22は、ベルト21と同様に、拡張部40と重なる部分が実質的に透明であることが好ましいが、透明に限定されず、半透明または有色透明であってもよい。これにより、穿刺部位Pを外面側から確実に視認することができ、後述するマーカー50を穿刺部位Pに容易に位置合わせすることができる。なお、支持板22は、中央部22aのような平板状の部分を有さず、全長にわたって湾曲しているものであってもよい。
拡張部40は、気体を注入することにより拡張し、穿刺部位Pに圧迫力を付与する機能、および注入された気体を経時的に外部に排出することにより穿刺部位Pに作用する圧迫力を経時的に低減させる機能を備えている。なお、拡張部40に注入する気体は、拡張部40を拡張可能である限り、特に限定されないが、例えば、空気等を用いることができる。
拡張部40は、図2および図3に示すように、第1シート41および第2シート42を重ね合わせて袋状にすることによって構成している。
第1シート41および第2シート42は、平面視において、略矩形状の外形形状を備えている。第1シート41には、図3(A)に示すように、平面視において、矩形状の部分から外方に突出した突出部41cが設けられている。同様に、第2シート42には、図3(B)に示すように、平面視において、矩形状の部分から外方に突出した突出部42cが設けられている。図3(C)および図6に示すように、第1シート41の突出部41cと第2シート42の突出部42cとの間には、後述する注入部60のチューブ61が配置されている。そして、各突出部41c、42cはチューブ61に接着剤により接着されている。これにより、チューブ61は、拡張部40に保持される。なお、第1シート41および第2シート42の外形形状は、上記の形状に特に限定されず、例えば、丸、楕円、多角形であってもよい。また、突出部41c、42cは設けなくてもよい。
第1シート41は、図3(A)に示すように、熱可塑性材料によって構成された周縁部分41aと、熱硬化性エラストマーによって構成された中央部分41bと、を備えている。
本実施形態では、第1シート41は、所定形状の型の所定の位置に熱可塑性材料および熱硬化性エラストマーをそれぞれ流し込み、周縁部分41aと中央部分41bとを一体的に成形することによって形成している。例えば、第1シート41は、所定形状の型の所定の位置に熱可塑性材料を流し込み、周縁部分41aを形成した後、所定の位置に熱硬化性エラストマーを流し込むことで、周縁部分41aと中央部分41bとを一体的に成形してもよい。また、第1シート41は、所定形状の型の所定の位置に熱硬化性エラストマーを流し込み、中央部分41bを形成した後、所定の位置に熱可塑性エラストマーを流し込むことで、周縁部分41aと中央部分41bとを一体的に成形してもよい。ただし、第1シート41は、熱可塑性材料によって構成された枠状の部材(「周縁部分41a」に相当)の中央に、熱硬化性エラストマーによって構成された矩形状の部材(「中央部分41b」に相当)を配置して、接着剤によって接着することによって形成されていてもよい。
第2シート42は、熱可塑性材料によって構成している。
図2および図3(C)に示すように、拡張部40において、熱可塑性材料からなる領域、すなわち第1シート41の周縁部分41aおよび第2シート42が設けられている領域を、「第1領域A1」と称する。また、拡張部40において、熱硬化性エラストマーからなる領域、すなわち第1シート41の中央部分41bが設けられている領域を、「第2領域A2」と称する。
第1領域A1の少なくとも一部は、ベルト21の連結領域21bに融着されている。本実施形態では、図2に示すように、拡張部40は、第1シート41が帯体20の内面側に面した状態で配置されているため、第1シート41の周縁部分41aのうちの一辺と、帯体20の連結領域21bの内面側と、を融着している。以下、拡張部40と、帯体20との融着部を、「第1融着部F1」と称する(図3(C)参照)。このように、拡張部40は、熱可塑性材料からなる第1領域A1を有しているため、第1領域A1を熱可塑性材料からなる帯体20の連結領域21bに融着することによって、拡張部40と帯体20とを融着により連結することができる。
さらに、本実施形態では、図2に示すように、第1シート41の周縁部分41aと第2シート42の周縁部分との重なっている部分は、熱可塑性材料からなる第1領域A1である。このため、図3(C)に示すように、第1シート41の周縁部分41aと第2シート42の周縁部分とが重なっている部分を、後述する注入部60のチューブ61が挿入されている部分を除き、融着することができる。以下、第1シート41の周縁部分41aと第2シート42の周縁部分との融着部を、「第2融着部F2」と称する。なお、第1シート41の周縁部分41aと第2シート42の周縁部分は、接着剤によって接着されていてもよい。
第1領域A1に用いられる熱可塑性材料は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン等の熱可塑性樹脂、またはオレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー等の各種熱可塑性エラストマーを用いることができる。なお、第1シート41に用いられる熱可塑性材料と、帯体20の連結領域21bに用いられる熱可塑性材料と、を同一の材料にすることによって、第1融着部F1における第1シート41と帯体20との結合力を強めることができる。ただし、第1シート41に用いられる熱可塑性材料と、帯体20の連結領域21bに用いられる熱可塑性材料は異なっていてもよい。また、第1シート41に用いられる熱可塑性材料と、第2シート42に用いられる熱可塑性材料とを同一の材料にすることによって、第2融着部F2における第1シート41と第2シート42との結合力を強めることができる。ただし、第1シート41に用いられる熱可塑性材料と、第2シート42に用いられる熱可塑性材料は、異なっていてもよい。
第2領域A2に用いられる熱硬化性エラストマーは、第1領域A1に用いられる熱可塑性材料よりも高い気体透過性を備えている。このため、図5および図6において点線の矢印で示すように、拡張部40を拡張した後、第2領域A2を介して、血管閉塞を防止可能な程度に、拡張部40内の気体が拡張部40の外部へ経時的に排出される。このため、医師や看護師が減圧操作を行わなくても、拡張部40が穿刺部位Pに付与する圧迫力を経時的に低減することが可能となる。その結果、医師や看護師の負担や人件費を軽減することができる。また、熱硬化性エラストマーからなる第2領域A2は、気体透過性が比較的高いため、気体透過量を増やすために拡張部40の厚みを過剰に薄くする必要がなく、拡張部40の強度を良好に保つことができる。なお、図5のように、拡張部40が第1シート41の中央部分41bに第2領域A2を有する場合、拡張部40の第2領域A2の厚みは、拡張部40の第1領域A1の厚みと同等又は同等以上であることが好ましい。これにより、拡張部40の外表面は、第1領域A1と第2領域A2の境界付近で凹部が形成されないため、拡張部40の外表面の第2領域A2に汗や異物等が溜まりづらい。そのため、拡張部40の第2領域A2は、気体透過性を好適に保つことができる。
第2領域A2に用いられる熱硬化性エラストマーの気体透過係数は、好ましくは第1領域A1に用いられる熱可塑性材料の気体透過係数の10倍以上であり、より好ましくは100倍以上であり、さらに好ましくは1000倍以上である。これにより、止血器具10は、第1領域A1と第2領域A2との気体透過係数の差により、拡張部40の穿刺部位Pに付与する圧迫力の経時的な低減を好適に調整することができる。また、気体透過係数の観点から、第1領域A1に用いられる熱可塑性材料は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。なお、本明細書において、気体透過係数は、酸素と窒素の混合気体(酸素と窒素の体積比、酸素:窒素=20:80)の透過係数のことを言う。
また、十分な止血効果を得るため、拡張部40を拡張させてから4時間は、拡張部40によって、穿刺部位Pを圧迫した状態が保たれていることが好ましい。また、圧迫している間、血管閉塞等を防止するため、経時的に拡張部40の内圧を減圧させることで、拡張部40が穿刺部位Pに付与する圧迫力を経時的に低減させることが好ましい。穿刺部位Pに作用する圧迫力が、従来のシリンジ等の専用の器具を用いた減圧操作の際と同程度に、経時的に変化するようにするためには、第2領域A2の熱硬化性エラストマーの種類、厚みおよび表面積は、下記の2つの条件を満たすように設定することが好ましい:
(条件1)帯体20を手首Wに巻き付けた状態で、拡張後4時間にわたって第2領域A2を介して気体を拡張部40の外部に排出することで、1時間経過するごとの拡張部40の内圧が、その1時間前の拡張部40の内圧の70〜97%(好ましくは、75〜94%)となる;
(条件2)帯体20を手首Wに巻き付けた状態で、拡張後4時間経過した後の拡張部40内の内圧が初期内圧の30〜80%(好ましくは、40〜71%)となる。
なお、条件1および条件2は、下記の条件3および条件4に置き換えてもよい:
(条件3)帯体20を手首Wに巻き付けた状態で、拡張後4時間にわたって第2領域A2を介して気体を拡張部40の外部に排出することで、1時間経過するごとの拡張部40に注入された気体の体積は、その1時間前の拡張部40内の気体の体積の85〜96%(好ましくは、88〜96%)となる;
(条件4)帯体20を手首Wに巻き付けた状態で、拡張後4時間経過した後の拡張部40内の気体の体積が、初期の拡張部40内の気体の体積の55〜95%(好ましくは、60〜80%)となる。
上記条件1および条件2(または条件3および条件4)を満たすためには、第2領域A2の厚みおよび表面積を適宜設定する必要はあるが、一般的な拡張部の膜厚が0.5mm程度、全表面積が16cm程度であることを考慮すれば、気体透過係数が75〜550×10−8cc・cm/cm・sec・atm(好ましくは、200〜400×10−8cc・cm/cm・sec・atm)の熱硬化性エラストマーによって形成することができる。そのような材料としては、例えば、シリコーンゴム等が挙げられる。
このように、拡張部40は、熱硬化性エラストマーからなる第2領域A2だけでなく、熱可塑性材料からなる第1領域A1も備えている。このため、拡張部40の拡張後、熱硬化性エラストマーからなる第2領域A2を介して、血管閉塞等を防止可能な程度に、拡張部40内の気体を拡張部40の外部に経時的に排出することができ、かつ、第1領域A1と連結領域21bとを融着することによって、拡張部40と帯体20とを融着により強固に連結することが可能となる。
なお、前述したように、拡張部40は、帯体20の内面側に配置されている。このため、拡張部40を拡張させると、帯体20により、拡張部40の手首Wの体表面から離れる方向への拡張は抑制される。これによって、拡張部40の圧迫力が手首W側に集中し、穿刺部位Pに好適に圧迫力を付与することができる。また、帯体20により拡張部40は手首Wに押付けられて内圧が高まるため、拡張部40内の気体を好適に外部に排出することができる。さらに、止血器具10を装着した患者が不用意に第2領域A2に触れる等して、拡張部40内の気体の排出が阻害されるのを、好適に防止することができる。
また、拡張部40の手首W側に配置される面を「第1面」(第2シート42側)とし、帯体20側に配置される面を「第2面」(第1シート41側)とすれば、本実施形態では、熱硬化性エラストマーからなる第2領域A2は第2面の中央部分に設けられている。そして、第2面の中央部分を取り囲む周縁部分は、熱可塑性材料によって構成している。このため、第2領域A2の中央部分が最も伸び易く、第2領域A2の周縁部分は、比較的伸び難い熱可塑性材料に引っ張られているため、第2領域A2の中央部分と比較すると伸びづらい。したがって、図5に示すように、拡張部40を拡張させると、第2領域A2の中央部分が最も帯体20側に膨出し、第2領域A2の周縁部分は帯体20と離間して、第2領域A2の周縁部分と帯体20との間には空間S1が形成される。このため、拡張部40は、第2領域A2において帯体20と接触せずに露出した部分を確保することができ、当該露出した部分から拡張部40の外部に気体を好適に排出することができる。加えて、拡張部40を拡張させた際に、拡張部40は、穿刺部位Pに対向する位置にある拡張部40の中央が最も膨出するため、穿刺部位Pを良好に圧迫することができる。また、帯体20側に配置される第2面に、帯体20のベルト21を構成する材料と異なる材料で形成された第2領域A2を設けることによって、ベルト21と拡張部40、または、拡張部40の第1面と拡張部40の第2面が、分子間力等によって吸着するのを好適に防止することができる。
なお、拡張部40は、実質的に透明であることが好ましいが、透明に限定されず、半透明または有色透明であってもよい。これにより、穿刺部位Pを外面側から視認することができ、後述するマーカー50を穿刺部位Pに容易に位置合わせすることができる。
マーカー50は、図2に示すように、拡張部40の内表面において、手首W側に配置される第1面側の略中央(第2シート42の略中央)に設けられている。拡張部40にこのようなマーカー50を設けることによって、拡張部40を穿刺部位Pに対して容易に位置合わせすることができるため、拡張部40の位置ズレが抑制される。また、マーカー50は、第1領域A1を構成する第2シート42に設けられているため、マーカー50によって、第2領域A2における気体の透過が妨げられることがない。また、マーカー50は、拡張部40の内表面側に設けられているため、マーカー50が穿刺部位Pと直接接触しない。なお、マーカー50を設ける位置は、拡張部40を穿刺部位Pに位置合わせ可能である限り特に限定されない。例えば、マーカー50は、拡張部40において、帯体20側に配置される第2面側の略中央(第1シート41の略中央)に設けられていてもよい。
マーカー50の形状は、特に限定されず、例えば、円、三角形、四角形等が挙げられ、本実施形態では、四角形をなしている。
マーカー50の大きさは、特に限定されないが、例えば、マーカー50の形状が四角形をなしている場合、その一辺の長さが1〜4mmの範囲であることが好ましい。一辺の長さが5mm以上であると、穿刺部位Pの大きさに対してマーカー50の大きさが大きくなるため、拡張部40の中心部を穿刺部位Pに位置合わせし難くなる。
マーカー50の材質は、特に限定されず、例えば、インキ等の油性着色料、色素を混練した樹脂等が挙げられる。
マーカー50の色は、拡張部40を穿刺部位Pに位置合わせすることができる色であれば特に限定されないが、緑色系が好ましい。緑色系にすることにより、マーカー50を血液や皮膚上で容易に視認することができるため、拡張部40を穿刺部位Pに位置合わせすることがより容易となる。
また、マーカー50は半透明または有色透明であることが好ましい。これにより、穿刺部位Pをマーカー50の外面側から視認することができる。
拡張部40にマーカー50を設ける方法は特に限定されないが、例えば、マーカー50を拡張部40に印刷する方法、マーカー50の片面に接着剤を塗布して拡張部40に貼り付ける方法等が挙げられる。また、マーカー50を第1領域A1に設ける場合は、融着によって貼り付けることもできる。
注入部60は、拡張部40に気体を注入するための部位であり、図1に示すように、拡張部40に接続されている。
注入部60は、その基端部が拡張部40に接続され、その内腔が拡張部40の内部に連通する可撓性を有するチューブ61と、チューブ61の内腔と連通するようにチューブ61の先端部に配置され、逆止弁(図示せず)を内蔵する袋体62と、袋体62に接続された管状のコネクタ63と、を備えている。
チューブ61は、図3(C)に示すように、第1シート41の突出部41cと第2シート42の突出部42cとの間に挟まれるようにして拡張部40に接続されている。ただし、拡張部40においてチューブ61を接続する位置は、チューブ61の内腔が拡張部40の内部空間と連通している限り、特に限定されない。
拡張部40を拡張(膨張)させる際には、コネクタ63にシリンジ(図示せず)の先筒部を挿入して逆止弁を開き、このシリンジの押し子を押して、シリンジ内の気体を注入部60を介して拡張部40内に注入する。拡張部40が拡張すると、チューブ61を介して拡張部40と連通している袋体62も膨張し、気体が漏れずに、拡張部40を加圧できていることを目視で確認できる。拡張部40内に気体を注入した後、コネクタ63からシリンジの先筒部を抜去すると、コネクタ63に内蔵された逆止弁が閉じて気体の漏出が防止される。
次に、本実施形態に係る止血器具10の使用方法について説明する。
止血器具10を手首Wに装着する前は、図2に示すように、拡張部40は、拡張していない状態となっている。図4および図5に示すように、右手の手首Wの橈骨動脈Rに穿刺を行う場合、穿刺部位Pは、親指側へ片寄った位置にある。通常、穿刺部位Pにはイントロデューサーシースが留置されている。このイントロデューサーシースが留置されたままの状態の手首Wに帯体20を巻き付け、拡張部40に設けられたマーカー50が穿刺部位P上に重なるように拡張部40および帯体20を位置合わせして、面ファスナー30の雄側31および雌側32を接触させて接合し、帯体20を手首Wに装着する。
この際、止血器具10は、注入部60が、橈骨動脈Rの血流の下流側(掌側)に向くように、手首Wに対して装着される。これにより、手首よりも上流側での手技や、上流側に位置する器具(例えば、血圧計等)に干渉することなしに、注入部60の操作が可能である。また、止血器具10を、注入部60が下流側に向くように右手の手首Wに装着することで、拡張部40は、手首Wの親指側へ片寄って位置する橈骨動脈Rに位置する。なお、動脈の場合、血管の上流側とは、血管の心臓に近づく方向をいう。また、血管の下流側とは、血管の心臓から遠ざかる方向をいう。
なお、止血器具10は、左手の手首の橈骨動脈に穿刺を行う場合に使用してもよい。この場合、注入部60は、橈骨動脈の血流の上流側に向くように、左手の手首に対して装着される。
止血器具10を手首Wに装着した後、注入部60のコネクタ63にシリンジ(図示せず)を接続し、前述したようにして気体を拡張部40内に注入し、拡張部40を拡張させる。
この際、気体の注入量により、症例に応じて、拡張部40の拡張度合、すなわち、穿刺部位Pに作用する圧迫力を容易に調整することができる。例えば、仮に、拡張部40に気体を注入しすぎて拡張部40が過拡張した場合は、シリンジを用いて拡張部40内から注入しすぎた分の気体を排出すればよい。前述したように、拡張部40の第2領域A2は、熱硬化性エラストマーからなるため弾性を備えている。そのため、拡張部40は、拡張部40内に注入しすぎた分の気体を外部に排出すれば、それに伴って拡張部40は収縮変形して所望の拡張度合となり、穿刺部位Pに適切な圧迫力を付与することができる。
拡張部40を拡張させた後、コネクタ63からシリンジを離脱させる。そして穿刺部位Pからイントロデューサーシースを抜去する。
拡張部40を拡張させた後は、図5および図6に矢印で示すように、第2領域A2を介して、血管閉塞を防止できる程度に、拡張部40内の気体が経時的に拡張部40の外部に排出される。
なお、仮に、拡張部40の拡張後、止血が十分に行われていない場合は、拡張部40に気体を注入して、拡張部40の内圧を上昇させてもよい。例えば、拡張部40の内圧を、拡張部40に気体を注入した時の内圧に戻したい場合は、拡張部40から排出された分の気体を注入すればよい。
所定の時間が経過して、穿刺部位Pの止血が完了したら、止血器具10を手首Wから取り外す。止血器具10は、面ファスナー30の雄側31および雌側32を剥がすことによって手首Wから取り外される。
なお、仮に、本実施形態に係る止血器具10と異なり、拡張部が経時的に伸長する材料によって構成している場合は、拡張部を拡張した直後から、拡張部は徐々に拡張変形する。この変形は塑性変形であるため、仮に、拡張部を過拡張させてしまった場合に、注入しすぎた分の気体を外部に排出しても、拡張部はそれに対応して収縮し難く、拡張部の内圧は所望の内圧よりも低下する。したがって、拡張部を過拡張してしまった場合には、拡張部の伸長状態に応じて、排出する気体の量を適宜調整する必要がある。前述したように、本実施形態に係る止血器具10では、注入しすぎた分の気体の量を排出すれば拡張部40の内圧を所望の圧力にすることができるため、過拡張した際の処置をより容易に行える。
また、拡張部が経時的に伸長する材料によって構成している場合、拡張後に一定時間が経過してから、止血が不十分であるために拡張部の内圧を高めようとして拡張部にさらに気体を注入すると、拡張部はさらに拡張変形する。このため、拡張部の厚みがより一層薄くなる。また、拡張部と手首との接触面積がより一層増加するため、穿刺部位P周辺の神経等が圧迫されやすくなり、装着者はしびれや痛み等を感じやすくなるとともに、圧迫力が分散されて穿刺部位Pに集中しないため、止血効果が比較的低減することが考えられる。また、本実施形態に係る止血器具10のように、拡張部40内から排出された分の気体を注入すれば、初期の状態に戻るわけではなく、拡張部の伸長状態に応じて適宜、注入する気体の量を調整する必要がある。したがって、本実施形態に係る止血器具10の方が、再度、拡張部に気体を注入する際の処置がより容易に行える。
以上のように、本実施形態に係る止血器具10は、手首Wの穿刺部位Pに巻き付けるための帯体20と、帯体20を手首Wに巻き付けた状態で固定する固定手段30と、帯体20に連結され、かつ、気体を注入することにより拡張し、穿刺部位Pを圧迫する拡張部40と、を備えている。拡張部40は、熱可塑性材料からなる第1領域A1と、熱可塑性材料よりも気体透過性が高い熱硬化性エラストマーからなる第2領域A2と、を有している。帯体20は、熱可塑性材料からなるとともに拡張部40が連結される連結領域21bを有している。拡張部40の第1領域A1は、帯体20の連結領域21bに融着されている。
このように構成した止血器具10によれば、拡張部40の拡張後、熱硬化性エラストマーからなる第2領域A2を介して、血管閉塞等を防止可能な程度に、拡張部40内の気体が拡張部40の外部に経時的に排出される。この際、熱硬化性エラストマーからなる第2領域A2は、気体透過性が比較的高いため、気体透過量を増やすために拡張部40の厚みを過剰に薄くする必要がない。このため、拡張部40の強度を良好に保ちつつ、医師や看護師が操作することなく、血管閉塞等を防止可能な程度に、穿刺部位Pに作用する圧迫力を経時的に低減することが可能となる。さらに、拡張部40には熱可塑性材料からなる第1領域A1が設けられ、帯体20には熱可塑性材料からなる連結領域21bが設けられている。このため、第1領域A1と連結領域21bとを融着することによって、拡張部40と帯体20とを融着により連結した止血器具10を提供することが可能となる。
また、拡張部40は、帯体20において手首Wに面する側に配置されている。このため、帯体20によって拡張部40が手首Wに押しつけられ、拡張部40の内圧が高まり、拡張部40内の気体を、より一層好適に排出することができる。
また、帯体20は、第2領域A2の材料よりも弾性率の大きい材料で構成されている。このため、帯体20は、比較的伸び難く、患者の手首の大きさ等に影響されずに、拡張部40を手首Wに押付けることができる。これにより、拡張部40の内圧が高まり、拡張部40内の気体を、より一層好適に排出することができる。
また、拡張部40は、帯体20を手首Wに巻き付けた状態で、手首W側に配置される第1面と、帯体20側に配置される第2面と、を有し、第2領域A2の少なくとも一部は、第2面の中央部に設けられている。このため、第2領域A2の中央部分が最も帯体20側に膨出し、第2領域A2の周縁部分と帯体20との間は離間して、拡張部40の第2領域A2と帯体20との間に空間S1を形成する。このため、第2領域A2において帯体20から露出した部分を確保することができ、当該露出した部分から拡張部40内の気体を良好に排出することができる。さらに、穿刺部位Pと対向する位置にある拡張部40の中央部が最も膨出するため、穿刺部位Pを好適に圧迫することができる。
また、第2領域A2は、気体透過係数が75〜550×10−8cc・cm/cm・sec・atmの熱硬化性エラストマーからなる。このため、従来のシリンジ等の専用の器具を用いた減圧操作の際と同様に、4時間程度の圧迫時間を確保しつつ穿刺部位Pに作用する圧迫力を経時的に低減することができる。
第2領域に用いられる熱硬化性エラストマーは、シリコーンゴムである。シリコーンゴムの気体透過係数は、約240×10−8cc・cm/cm・sec・atmである。このため、従来のシリンジ等の専用の器具を用いた減圧操作の際と同程度に、4時間程度の圧迫時間を確保しつつ穿刺部位Pに作用する圧迫力を経時的に低減することができる。
(変形例1)
図7は、変形例1に係る止血器具100を示す図である。以下、前述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
変形例1に係る止血器具100が備える拡張部140は、第1シート141の構成において前述した実施形態と相違する。
第1シート141は、熱可塑性材料からなる周縁部分141aと、熱硬化性エラストマーからなる中央部分141bと、を有する。中央部分141bは、周縁部分141aと重なるようにして周縁部分141aの内表面側(拡張部140の内部空間側)に取り付けられている。
上記変形例1に係る止血器具100によれば、熱硬化性エラストマーからなる中央部分141bが周縁部分141aと重なるようにして周縁部分141aの内表面側に取り付けられている。このため、拡張部140を拡張させた際に、最も膨出する拡張部140の中央部分141bが、周縁部分141aによって押さえ込むように保持される。その結果、拡張部140を拡張させた際に、拡張部140の内圧を受けて中央部分141bが周縁部分141aから剥がれてしまうのを好適に防止することができる。なお、熱硬化性エラストマーからなる中央部分141bは、拡張部140の外表面において、第1領域A1の周縁部分141aとの間に段差が生じないように構成してもよい。例えば、熱硬化性エラストマーからなる中央部分141bの一部の厚みは、第1領域A1の周縁部分141aとの間に段差が生じないように、第1領域A1の厚みと同等以上にしてもよい。これにより、拡張部140の外表面は、第1領域A1と第2領域A2の境界付近で凹部が形成されないため、拡張部140の外表面の第2領域A2に汗や異物等が溜まりづらい。そのため、拡張部140の第2領域A2は、気体透過性を好適に保つことができる。
(変形例2)
図8は、変形例2に係る止血器具200を示す図である。以下、前述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
変形例2に係る止血器具200は、拡張部40と帯体20との間に、補助圧迫部270を備える点およびマーカー50が補助圧迫部270に設けられている点において、前述した実施形態と相違する。
補助圧迫部270は、拡張部40と同様に袋状に形成されている。補助圧迫部270は、その内部空間が拡張部40の内部空間と連通するように、拡張部40に取り付けられている。このため、拡張部40に気体を注入すると補助圧迫部270も拡張される。なお、補助圧迫部270は、スポンジ状の物質、弾性材料、綿のような繊維の集合体、またはこれらの組合せなどによって構成してもよい。
マーカー50は、補助圧迫部270の外表面において、拡張部40の中央に近い側の端部に設けられている。補助圧迫部270にこのようなマーカー50を設けることによって、拡張部40を穿刺部位Pに対して容易に位置合わせすることができるため、拡張部40の位置ズレが抑制される。また、マーカー50は、補助圧迫部270に設けられているため、拡張部40の第2領域A2における気体の透過が妨げられることがない。なお、マーカー50を設ける位置は、拡張部40を穿刺部位Pに位置合わせ可能である限り特に限定されない。例えば、マーカー50は、拡張部40側に設けられていてもよい。
上記変形例2に係る止血器具200によれば、図8に実線の矢印で示すように、補助圧迫部270によって、拡張部40が付与する圧迫力の方向を、穿刺部位Pに向かう方向に調整することができる。また、補助圧迫部270が設けられているため、拡張部40の第2領域A2と帯体20との間の空間S2を、前述した実施形態と比較してより一層大きく確保することができ、第2領域A2において帯体20と接触せずに露出している部分の面積を増加させることができる。このため、この露出した部分から気体をより一層良好に排出することができる。
(変形例3)
図9は、変形例3に係る止血器具300を示す図である。以下、前述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
変形例3に係る止血器具300は、第2領域A2よりも気体透過性が低い材料を含み、第2領域A2の外表面を着脱可能に覆うシール材380を備える点で、前述した実施形態と相違する。
シール材380は、図9(A)に示すように、第2領域A2の外表面を覆うように設けられている。また、シール材380において帯体20の長手方向に沿って延在している2つの端部380a、380bは、それぞれ、帯体20の長手方向と交差する方向D1に沿って、帯体20よりも外方側に突出している。
2つの端部380a、380bの間には、各端部380a、380bを帯体20から離間する方向(図9(A)の矢印で示す方向)に引っ張ったときに容易に破断する破断部381が設けられている。破断部381は、例えば、シール材380に、帯体20の長手方向に沿って所定の間隔で切り込みを設けることによって形成したり、シール材380の一部の厚さを薄くすることによって形成したりすることができる。
止血器具300を手首Wに取り付けて、拡張部40を拡張した後、シール材380の2つの端部380a、380bのそれぞれを、帯体20から離間する方向へ引っ張ると、シール材380は破断部381において破断して抜去されるため、図9(B)に示すように、第2領域A2が露出する。このように、シール材380は、2つの端部380a、380bを互いに反対方向に引っ張ることによって抜去されるため、シール材380を一方向から引っ張って抜去する場合と比較すると、拡張部40がシール材380の抜去動作に引っ張られて穿刺部位Pに対して位置ずれするのを好適に防止することができる。
シール材380の構成材料は、第2領域A2よりも気体透過性が低い材料である限り特に限定されないが、第1領域A1と同等以下の気体透過性を有することが好ましい。そのような材料としては、例えば、プラスチックフィルムにシリカ蒸着した透明フィルム等のガスバリアフィルム等を用いることができる。このように、シール材380を透明部材によって構成することにより、拡張部40に設けた状態であっても、穿刺部位Pを外面側から視認することができ、マーカー50を穿刺部位Pに容易に位置合わせすることができる。
上記変形例3に係る止血器具300によれば、第2領域A2の外表面の少なくとも一部は、第2領域A2よりも気体透過性が低いシール材380によって着脱可能に覆われている。このため、シール材380を取外すタイミングを調整することで、任意のタイミングで、第2領域A2を介した気体の排出が行われるようにすることができる。
(変形例4)
図10は、変形例4に係る止血器具400を示す図である。以下、前述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
変形例4に係る止血器具400では、拡張部440を構成する第2シート442が、熱可塑性材料によって構成された周縁部分442aと、熱硬化性エラストマーによって構成された中央部分442bと、を有する点、およびマーカー50が拡張部440において、帯体20側に配置される第2面側に設けられている点において、前述した実施形態と相違する。
このため、変形例4に係る止血器具400では、拡張部440において、第1シート41の周縁部分41aおよび第2シート442の周縁部分442aが設けられている領域が、第1領域A1に相当する。また、変形例4に係る止血器具400では、拡張部440において、第1シート41の中央部分41bおよび第2シート442の中央部分442bが設けられている領域が、第2領域A2に相当する。
また、第2領域A2を構成する材料としては、前述した実施形態と同様に、熱硬化性エラストマーである限り特に限定されないが、第2領域A2のうち、特に、第2シート442の中央部分442bは、シリコーンゴムによって構成されていることが好ましい。このように構成することによって、肌触りが良好なシリコーンゴムが手首Wと接触するため、拡張部40が穿刺部位Pに貼り付きにくい。また、摩擦係数の小さいシリコーンゴムを第1面(手首W側の面)に配置することで、意図せず止血器具400に外力が加わり拡張部440が手首Wに対してずれた場合に、拡張部440が手首W(特に穿刺部位P)に対して擦れるのを防ぐことができる。その結果、穿刺部位Pからの再出血等を好適に防ぐことができる。
また、マーカー50は、拡張部440において、帯体20側に配置される第2面側の略中央(第1シート41の略中央)に設けられている。拡張部440にこのようなマーカー50を設けることによって、拡張部440を穿刺部位Pに対して容易に位置合わせすることができるため、拡張部440の位置ズレが抑制される。なお、マーカー50を設ける位置は、拡張部440を穿刺部位Pに位置合わせ可能である限り特に限定されない。例えば、マーカー50は、拡張部440において、手首W側に配置される第1面側の略中央(第2シート442の略中央)に設けられていてもよい。この場合、マーカー50が穿刺部位Pと直接接触するのを防ぐため、マーカー50は、拡張部440の内表面側に設けられていることが好ましい。
上記変形例4に係る止血器具400によれば、第1シート41および第2シート442の両方に第2領域A2が設けられており、第2領域A2の表面積が比較的大きいため、拡張部40内の気体をより一層好適に排出することができる。
また、第2領域A2は、第1面(手首W側の面)の中央部分にも設けられている。このため、第1面側の第2領域A2の中央部分が最も膨出し、第1面側の第2領域A2の周縁部分と手首Wとが離間する。その結果、空間S1に加えて、第1面側の第2領域A2の周縁部分と帯体20との間に空間S3を形成することができる。このため、第2領域A2において帯体20や手首Wから露出した部分の面積をより一層大きくすることができ、当該露出した部分から気体をより一層良好に排出することができる。
(実施例)
図11および図12は、実施例の説明に供する図である。以下、図11および図12を参照して、実施例の説明をする。
周縁部分がポリ塩化ビニル(気体透過係数が約0.2×10−8cc・cm/cm・sec・atm)からなり、中央部分が、シリコーンゴム(気体透過係数が約240×10−8cc・cm/cm・sec・atm)からなる第1シートと、ポリ塩化ビニルからなる第2シートと、を準備し、第1シートの周縁部分と第2シートの周縁部分とを融着することで、図7に示すような拡張部を作成した。なお、第1シートおよび第2シートの外形形状は、一辺の長さが4.2cmの正方形とした。第1シートの周縁部分の膜厚は0.3mm、第1シートの中央部分の膜厚は0.5mm、第2シートの膜厚は0.3mmとした。また、第1シートにおいて塩化ビニルからなる領域の表面積は、1.64cmとし、第1シートにおいてシリコーンゴムからなる領域の表面積は、16cmとした。
また、ポリ塩化ビニルを使用してベルトを作製した。なお、ベルトの長手方向に沿う長さは290mm、幅は40mm、膜厚は0.5mmとした。そして、拡張部の周縁部分のうちの一辺をベルトに融着した。また、ベルトの湾曲板保持部には、両端部が湾曲したポリカーボネート樹脂性の支持板を挿入した。以上により、図7に示す実施例に係る止血器具を製作した。
(比較例)
ポリ塩化ビニルからなる第1シートおよび第2シートを準備し、第1シートの周縁部分と第2シートの周縁部分とを融着することで、拡張部を作成した。なお、第1シートおよび第2シートの外形形状は、一辺の長さが4.2cmの正方形とし、膜厚は0.3mmとした。
また、ポリ塩化ビニルを使用してベルトを作製した。なお、ベルトの長手方向に沿う長さは290mm、幅は40mm、膜厚は0.5mmとした。そして、拡張部の周縁部分のうちの一辺をベルトに融着した。また、ベルトの湾曲板保持部には、両端部が湾曲したポリカーボネート樹脂性の支持板を挿入した。以上により、比較例に係る止血器具を製作した。
(試験方法)
実施例及び比較例に係る止血器具を直径5.5cmのガラス瓶に巻き付け、それぞれの拡張部に18ccの空気を専用のシリンジを用いて注入した。そして、拡張部に空気を注入した時から1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、12時間後の拡張部内の空気量を測定した。そして、各時間における拡張部内の空気量が、その直前に測定した拡張部内の空気量に対してどの程度変化したかの変化率を計算した。また、拡張部に空気を注入した時から1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、12時間後の拡張部の内圧を測定した。そして、各時間における拡張部の内圧が、その直前に測定した拡張部の内圧に対してどの程度変化したかの変化率を計算した。その結果を下記の表1、図11および図12と、に示す。
(試験結果)
Figure 0006893206
実施例に係る止血器具では、上記表1および図11(A)に示すように、時間経過とともに拡張部内の空気量が減少していることから、空気が排出されていると考えられる。具体的には、4時間経過した時、拡張部に空気を注入した時の空気量から4.5mlの空気量を排出することができた。すなわち、4時間経過した時、初期の拡張部内の空気量の25%の空気量を排出することができた。
また、実施例に係る止血器具では、上記表1および図11(B)に示すように、拡張部の内圧も時間の経過とともに減少している。具体的には、4時間経過した時、拡張部に空気を注入した時の内圧から99mmHg減圧することができた。すなわち、4時間経過した時、拡張部の内圧を初期の内圧の70%にすることができた。
また、実施例に係る止血器具では、図12に示すように、拡張部内の空気量と拡張部の内圧との間には相関関係があることがわかった。この結果から、実施例に係る止血器具では、拡張部内の空気が排出されることによって、拡張部の内圧が経時的に低下したことがわかった。
これに対して、比較例に係る止血器具では、上記表1および図11(A)に示すように、時間が経過しても拡張部内の空気量はそれほど減少していないことから、空気がほとんど排出されていないと考えられる。具体的には、4時間経過した時、拡張部に空気を注入した時の空気量から0.8mlの空気量しか排出できていない。すなわち、4時間経過した時、初期の拡張部内の空気量の4.4%の空気量しか排出できていない。
一方、比較例に係る止血器具では、上記表1および図11(B)に示すように、拡張部の内圧は、時間の経過とともに減少している。具体的には、4時間経過した時、拡張部に空気を注入した時の内圧から64mmHg減圧することができた。すなわち、4時間経過した時、拡張部の内圧を、初期の内圧の81.8%にすることができた。
また、比較例に係る止血器具では、図12に示すように、拡張部内の空気量と拡張部の内圧との間には相関関係は特に見られなかった。この結果から、実施例に係る止血器具では、拡張部内の空気が排出されることによって、拡張部の内圧が経時的に低下しているのではないことがわかる。特に、比較例に係る止血器具では、図11(B)に示すように、空気注入時から1時間後の内圧の減少率が高く、それ以降は内圧の低下が比較的緩やかになることから、比較例に係る止血器具では、拡張部が経時的に伸長したことで、内圧が徐々に低下していったと考えられる。
このように拡張部が経時的に伸長していった場合も、穿刺部位に作用する圧迫力を経時的に低減させることは可能ではあるが、拡張部が経時的に拡張変形すれば、拡張部と手首の接触面積は増加する。このため、穿刺部位P周辺の神経等が圧迫されやすくなり、装着者はしびれや痛み等を感じやすくなるとともに、穿刺部位Pに圧迫力が集中しないため、止血効果が低減することが考えられる。また、実施形態の説明において述べたように、実施例に係る止血器具の方が、拡張部を過拡張させてしまった場合の処置、および拡張部を拡張させた後、再び空気を注入したい場合の処置が容易である。
以上、実施形態および変形例を通じて本発明に係る止血器具を説明したが、本発明は説明した各構成のみに限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
例えば、止血器具を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明は、手首に装着して使用する止血器具に限らず、脚等に装着して使用する止血器具にも適用することができる。
また、前述した実施形態では、拡張部を2枚のシートによって構成していたが、拡張部は、熱可塑性材料からなる第1領域と、熱硬化性エラストマーからなる第2領域と、を備え、かつ、気体によって拡張可能である限り特に限定されない。例えば、拡張部は、1枚のシートによって構成されており、当該シートを折り重ね、縁部を接着または融着して袋状に形成してもよい。また、拡張部は、縁部を備えない風船状の部材によって構成されていてもよい。
また、第1領域は、拡張部において少なくとも帯体に連結される部分に設けられていればよい。また、第2領域を設ける位置も特に限定されない。例えば、第2領域は、肢体側に配置される第1面と、帯体側に配置される第2面の両方にまたがって設けられていてもよいし、第1面にのみ設けられていてもよい。
なお、本発明に係る止血器具では、帯体と拡張部とは、融着によって連結されているが、その他の部材同士(例えば、第1シートと第2シート、拡張部と注入部等)を接着剤によって接着することを否定するものではない。
本出願は、2016年3月23日に出願された日本国特許出願第2016−058217号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。
10、100、200、300、400 止血器具、
20 帯体、
21b 連結領域、
30 固定手段、
40、140、440 拡張部、
50 マーカー、
60 注入部、
270 補助圧迫部、
380 シール材、
A1 第1領域、
A2 第2領域、
P 穿刺部位(止血すべき部位)、
S1、S2、S3 空間、
W :手首(肢体)。

Claims (7)

  1. 肢体の止血すべき部位に巻き付けるための帯体と、
    前記帯体を前記肢体に巻き付けた状態で固定する固定手段と、
    熱可塑性材料によって構成された周縁部分と前記熱可塑性材料よりも気体透過性が高い熱硬化性エラストマーによって構成された中央部分とを備えた第1シートおよび熱可塑性材料によって構成された第2シートを重ね合わせて袋状にすることによって構成されており、前記帯体に連結され、かつ、気体を注入することにより拡張し、前記止血すべき部位を圧迫する拡張部と、を備えており、
    前記拡張部は、前記熱可塑性材料から構成された前記第1シートの周縁部分および前記第2シートが設けられている第1領域と、前記熱可塑性材料よりも気体透過性が高い熱硬化性エラストマーによって構成された前記第1シートの中央部分が設けられている第2領域と、を有し、
    前記帯体は、熱可塑性材料からなるとともに前記拡張部が連結される連結領域を有し、
    前記拡張部の周縁部分に位置する前記第1領域は、前記帯体の前記連結領域に融着されている、止血器具。
  2. 前記拡張部は、前記帯体の前記肢体に面する側に配置されている、請求項1に記載の止血器具。
  3. 前記帯体は、前記第2領域の材料よりも弾性率の大きい材料で構成されている、請求項1または請求項2に記載の止血器具。
  4. 前記拡張部は、前記帯体を前記肢体に巻き付けた状態で、前記肢体側に配置される第1面と、前記帯体側に配置される第2面と、を有し、
    前記第2領域の少なくとも一部は、前記第2面の中央部に設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の止血器具。
  5. 前記第2領域よりも気体透過性が低い材料を含み、前記第2領域の外表面の少なくとも一部を着脱可能に覆うシール材をさらに備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の止血器具。
  6. 前記第2領域は、気体透過係数が75〜550[×10−8cc・cm/(cm・sec・atm)]の熱硬化性エラストマーからなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の止血器具。
  7. 前記熱硬化性エラストマーは、シリコーンゴムである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の止血器具。
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