JP7018281B2 - 止血器具 - Google Patents

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本発明は、穿刺した部位を圧迫して止血するための止血器具に関する。
近年、腕や脚等の血管を穿刺し、穿刺部位にイントロデューサーシースを導入し、イントロデューサーシースの内腔を介してカテーテル等の医療器具を病変部に送達し、経皮的に病変部の診断・治療等が行われている。このような診断・治療等を行った場合、術者は、イントロデューサーシースを抜去した後の穿刺部位を止血する必要がある。この止血を行うために、腕や脚等の肢体に巻き付けるための帯体と、帯体を肢体に巻き付けた状態で固定する固定部材と、帯体の内周面側に配置されるとともに、流体を注入することにより拡張して、穿刺部位を圧迫する拡張部材と、拡張部材に連結されるとともに、拡張部材に流体を導入する注入部材と、を備えた止血器具が知られている(例えば、下記特許文献1)。
下記特許文献1に記載されている止血器具では、注入部材は、拡張部材に連結された長尺状のチューブと、チューブに連結された袋体と、袋体に連結されるとともに逆止弁を内蔵するコネクタと、を備えている。また、下記特許文献1に記載されている止血器具には、注入部材を帯体に固定するための注入部材固定手段が設けられている。
術者は、コネクタにシリンジ等の流体供給源を接続し、注入部材を介して、拡張部材内に流体を注入する。拡張部材が拡張した後、術者は、流体供給源を注入部材から取外す。流体供給源を注入部材から取り外すことによって、注入部材のコネクタに内蔵された逆止弁が閉じて、拡張部材内の流体が外部に流出するのを防止する。流体供給源を取り外した後、術者は、注入部材が止血器具の周辺で行われる医療行為を阻害しないように、また、注入部材が患者の肢体に触れて患者が不快に感じないように、注入部材固定手段によって、注入部材を帯体に対して固定する。
特開2012-40114号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されている止血器具では、術者は、流体供給源を取り外した後、さらに、注入部材を帯体に対して固定する作業を行う必要がある。そのため、術者の作業負担が増加する。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、術者の作業負担を増加させることなく、周辺で行われる医療行為を阻害せず、かつ、患者の不快感を低減可能な、止血器具を提供することを目的とする。
上記目的を達成する止血器具は、肢体の止血すべき部位に巻きつけるための帯体と、前記帯体を前記肢体に巻きつけた状態で固定する固定部材と、前記帯体が前記肢体に巻き付けられた状態で、前記帯体の内周面側に配置される拡張部材と、前記拡張部材に配置され、前記拡張部材の内空と外部とを連通する連通路を備えたフィルム状弁部材と、前記連通路を介して前記拡張部材の前記内空に流体を導入可能な注入部材と、前記注入部材の先端が前記連通路の先端よりも基端側の位置に配置された状態で、前記注入部材を前記フィルム状弁部材に固定する固定部と、を備え、前記拡張部材は、平面視において、周縁部の一部が外方に向かって突出した突出部を有する2枚のシート材を重ねて、前記2枚のシート材の周縁部同士を接合した袋体で構成され、前記拡張部材の前記外部の前記連通路は、前記拡張部材の前記内空の前記連通路よりも短く形成されており、前記拡張部材が拡張され、かつ、前記注入部材が前記フィルム状弁部材から抜去された状態で、前記フィルム状弁部材は、前記拡張部材の内圧により、前記拡張部材の前記内空に位置する前記連通路を閉じる方向に変形可能に構成され、前記注入部材は、前記拡張部材が未拡張の状態では、前記連通路に配置され、前記固定部は、前記フィルム状弁部材の外部側に位置し、前記注入部材と前記フィルム状弁部材とを接合する接合部であり、使用者が前記注入部材を引く動作に伴って前記注入部材と前記フィルム状弁部材の固定状態を解除可能に構成され、前記突出部は、前記フィルム状弁部材の外表面に気密に接合される
上記のように構成した止血器具によれば、フィルム状弁部材は、拡張部材が拡張され、かつ、注入部材がフィルム状弁部材から抜去された状態で、拡張部材の内圧によって、拡張部材の内空の連通路を閉じる方向に変形する。そのため、注入部材がフィルム状弁部材から抜去された状態で、フィルム状弁部材は、拡張部材内の流体が外部へ漏れるのを抑制し、拡張部材は、拡張状態を維持できる。このように、注入部材はフィルム状弁部材から抜去されるため、注入部材は、周辺で行われる医療行為を阻害せず、また、患者の肢体に触れないため、患者の不快感を低減できる。また、フィルム状弁部材は、拡張部材の外部の連通路が、拡張部材の内空の連通路よりも短くなるように構成されている。そのため、フィルム状弁部材は、拡張部材の外部に露出している部分が比較的短い。そのため、フィルム状弁部材は、周辺で行われる医療行為を阻害せず、また、患者の肢体に触れ難く、患者の不快感を低減できる。このように、本発明の止血器具は、術者が注入部材をフィルム状弁部材から抜去するという簡便な作業により、術者の作業負担を増加させることなく、周辺で行われる医療行為を阻害せず、かつ、患者の不快感を低減することができる。
実施形態に係る止血器具を内面側から見た平面図である。 図1の2-2線に沿う断面図である。 実施形態に係る止血器具のフィルム状弁部材を示す拡大斜視図である。 実施形態に係る止血器具を手首に装着し、拡張部材に流体を注入している状態を示す斜視図である。 図4の5A-5A線に沿う断面図である。 図5Aの状態から、流体の注入を停止した状態を示す図である。 図5Bの状態から、注入部材をフィルム状弁部材から抜去した状態を示す図である。 図4の6-6線に沿う断面図である。 注入部材の寸法の説明に供する図である。 変形例1に係る止血器具を示す図であって、実施形態の図5Aに対応する図である。 図8Aの状態から、注入部材をフィルム状弁部材から抜去した状態を示す図である。 変形例2に係る止血器具を示す図であって、実施形態の図7に対応する図である。 図9Aの状態から、注入部材をフィルム状弁部材から抜去した状態を示す図である。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態およびその変形例に係る止血器具を説明する。なお、以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1および図2は、実施形態に係る止血器具10の全体構成の説明に供する図である。図3~図7は、止血器具10の各部の構成の説明に供する図である。以下、実施形態に係る止血器具10について説明する。
止血器具10は、図6に示すように、手首W(「肢体」に相当)の橈骨動脈Rからカテーテルを導入して診断・治療を行う手技(TRI:Trans Radial Intervention)によって手首Wの橈骨動脈Rに形成された穿刺部位P(「止血すべき部位」に相当)を止血するために使用するものである。
止血器具10は、概説すると、図1に示すように、手首Wに巻き付けるための帯体21と、帯体21よりも硬質な材料で形成された支持板22と、帯体21を手首Wに巻き付けた状態で固定する固定部材30と、気体(「流体」に相当)を注入することにより拡張し、穿刺部位Pを圧迫する拡張部材40と、拡張部材40を穿刺部位Pに位置合わせするためのマーカー50と、拡張部材40の内空と外部とを連通する連通路63を備えたフィルム状弁部材60と、連通路63を介して気体を拡張部材40に導入する注入部材70と、を有している。
以下、止血器具10の各部について説明する。なお、本明細書では、帯体21を手首Wに巻き付けた状態のとき、帯体21において手首Wの体表面に向かい合う側(装着面側)を「内面側」と称し、その反対側を「外面側」と称する。また、図1に示すように、フィルム状弁部材60の伸びている方向を「長手方向Y」と称する。また、長手方向Yにおいて、拡張部材40側を「先端側Y1」と称し、その反対側を「基端側Y2」と称する。
(帯体)
帯体21は、可撓性を備える帯状の部材によって構成している。
帯体21は、図6に示すように、手首Wの外周を略一周するように巻き付けられる。帯体21の中央部には、後述する支持板22を保持する支持板保持部21aが形成されている。支持板保持部21aは、外面側(または内面側)に別個の帯状の部材が融着(熱融着、高周波融着、超音波融着等)または接着(接着剤や溶媒による接着)等の方法によって接合されることにより、二重になっており、これらの隙間に挿入された支持板22を保持する。ただし、帯体21が支持板22を保持する方法は、特に限定されない。例えば、帯体21の略中央部分に支持板22を接合することによって、帯体21は支持板22を保持してもよい。また、例えば、支持板22の両端部のそれぞれに、帯体21の端部を取付けることによって、帯体21は支持板22を保持してもよい。
帯体21の構成材料は、可撓性を備える材料であれば特に限定されない。そのような材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)のようなポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)のようなポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、シリコーン、ポリウレタン、ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの(ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等)が挙げられる。
帯体21において少なくとも拡張部材40と重なっている部分は、実質的に透明であることが好ましいが、透明に限定されず、半透明または有色透明であってもよい。これにより、術者(「使用者」に相当)は、患者の手首Wに帯体21を巻き付けた状態で、穿刺部位Pを外面側から視認することができ、マーカー50を穿刺部位Pに容易に位置合わせすることができる。
(支持板)
支持板22は、図2に示すように、帯体21の長手方向に長い形状を備えている。支持板22の長手方向における中央部22aは、ほとんど湾曲せずに平板状になっている。中央部22aの両側には、それぞれ、内面側に向かって、かつ、帯体21の長手方向(手首Wの周方向)に沿って湾曲した第1湾曲部22b(図2の左側)および第2湾曲部22c(図2の右側)が形成されている。支持板22は、帯体21よりも硬質な材料で構成されており、ほぼ一定の形状を保つようになっている。なお、支持板22は、その少なくとも一部が内周側に向かって湾曲する形状を備えていればよく、また、中央部22aのような平板状の部分を有さず、全長にわたって湾曲しているものであってもよい。
支持板22の構成材料は、帯体21よりも硬質な材料である限り特に限定されない。そのような材料としては、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル(特に硬質ポリ塩化ビニル)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエンのようなポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ-(4-メチルペンテン-1)、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアセタール、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、アイオノマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)のようなポリエステル、ブタジエン-スチレン共重合体、芳香族または脂肪族ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等が挙げられる。
支持板22は、帯体21と同様に、拡張部材40と重なる部分が実質的に透明であることが好ましいが、透明に限定されず、半透明または有色透明であってもよい。これにより、帯体21を手首Wに巻き付けた状態で、術者は、穿刺部位Pを外面側から確実に視認することができ、マーカー50を穿刺部位Pに容易に位置合わせすることができる。
(固定部材)
固定部材30は、本実施形態では、面ファスナー(例えば、日本でVELCRO(登録商標)又はマジックテープ(登録商標)のような一般的な製品として知られるhook and loop fastener)によって構成している。
固定部材30は、帯体21の図1中の左端付近の部分の外面側に取り付けられた面ファスナーの雄側(または雌側)31と、帯体21の図1中の右端付近の部分の内面側に取り付けられた面ファスナーの雌側(または雄側)32と、を備えている。図6に示すように、術者は、帯体21を患者の手首Wに巻き付け、雄側31および雌側32を接合することにより、止血器具10を手首Wに装着することができる。なお、固定部材30の構成は、帯体21を手首Wに巻き付けた状態で固定可能であれば、特に限定されない。固定部材30は、例えば、スナップ、ボタン、クリップ、または帯体21の端部を通す枠部材によって構成してもよい。
(拡張部材)
拡張部材40は、図2および図6に示すように、気体が注入されることによって拡張して、穿刺部位Pを圧迫する第1拡張部材41と、第1拡張部材41と帯体21との間に配置されるとともに、第1拡張部材41が手首Wに付与する圧迫力F1の方向を調整する第2拡張部材42と、を備えている。以下、拡張部材40の各部について説明する。
まず、第1拡張部材41について説明する。
第1拡張部材41は、本実施形態では、可撓性を備える2枚のシート材を重ねて、2枚のシート材の周縁部同士を融着または接着等の方法により接合した袋体によって構成している。2枚のシート材の間には、気体が注入される内空41aが形成されている。ただし、第1拡張部材41は、気体が注入されることによって拡張可能であれば、特に限定されず、例えば、可撓性を備える1枚のシートを折り返して、縁部同士を融着または接着等の方法により接合した袋体によって構成してもよい。また、図1に示すように、本実施形態では、第1拡張部材41は、拡張していない状態で平面視した場合に、略四角形の外形形状を備えている。但し、第1拡張部材41の拡張していない状態での外形形状は、特に限定されず、例えば、円形状、楕円形状、多角形形状等であってもよい。
第1拡張部材41を構成する2枚のシート部材のそれぞれは、平面視において、周縁の一部が外方に向かって突出した突出部41bを有している。図3に示すように、2枚のシート部材の突出部41bの間には、フィルム状弁部材60が配置される。突出部41bのそれぞれは、フィルム状弁部材60の外表面に融着または接着等の方法により、気密に接合されている。これによって、第1拡張部材41内に注入した気体が、第1拡張部材41とフィルム状弁部材60の間から外部に漏れるのを抑制することができる。なお、第1拡張部材41は、突出部41bを備えなくてもよい。
第1拡張部材41は、図2に示すように、第1湾曲部22bおよび中央部22aの間の近辺と重なるように位置している。第1拡張部材41は、その周縁部のうちの一辺41cを帯体21に融着または接着等の方法により接合することによって、帯体21に連結されている。
第1拡張部材41の構成材料は、可撓性を備える材料であれば特に限定されず、例えば、前述した帯体21の構成材料と同様のものを用いることができる。なお、第1拡張部材41は、帯体21と同質または同種の材料で構成されるのが好ましい。これにより、融着による帯体21と第1拡張部材41の接合を容易に行うことができ、止血器具10を容易に製造することができる。
第1拡張部材41は、実質的に透明であることが好ましいが、透明に限定されず、半透明または有色透明であってもよい。これにより、術者は、帯体21を手首Wに巻き付けた状態で、穿刺部位Pを外面側から視認することができ、マーカー50を穿刺部位Pに容易に位置合わせすることができる。
次に、第2拡張部材42について説明する。
第2拡張部材42は、第1拡張部材41と同様に、可撓性を備える袋体によって構成している。袋体には、気体を注入可能な内空42aが形成されている。図1に示すように、本実施形態では、第2拡張部材42は、拡張していない状態で平面視した場合に、矩形状の外形形状を備えている。但し、第2拡張部材42の拡張していない状態での外形形状は、特に限定されず、例えば、丸形状、楕円形状、多角形形状等であってもよい。
第2拡張部材42は、図2に示すように、支持板22の第1湾曲部22bと重なるように、帯体21と第1拡張部材41との間に位置している。第2拡張部材42は、図5Aに示すように、第1拡張部材41に融着または接着等の方法により接合されている。第2拡張部材42と第1拡張部材41との接合部には、第1拡張部材41の内空41aと第2拡張部材42の内空42aとを連通する連通路42bが設けられている。そのため、第1拡張部材41の内空41aに注入された気体の一部は、第2拡張部材42の内空42aに向かい(図中、気体の流れを破線の矢印で示す)、第1拡張部材41とともに第2拡張部材42も拡張する。拡張した第2拡張部材42は、図6に示すように、第1拡張部材41に押圧力F2を付与し、第1拡張部材41が手首Wに付与する圧迫力F1の方向を、穿刺部位Pに向かう方向に調整する。
第2拡張部材42の構成材料は、第1拡張部材41と同様に、可撓性を備える材料であれば特に限定されず、例えば、前述した帯体21の構成材料と同様のものを用いることができる。なお、第2拡張部材42は、第1拡張部材41と同様の材料を用いることが好ましい。これにより、融着による第1拡張部材41と第2拡張部材42の接合を容易に行うことができ、止血器具10を容易に製造することができる。
(マーカー)
マーカー50は、図2に示すように、第1拡張部材41の外表面のうち、帯体21に臨む側の面の略中央に設けられている。術者は、マーカー50を穿刺部位Pに対して位置合わせすることによって、第1拡張部材41の穿刺部位Pに対する位置ずれを抑制することができる。また、マーカー50は、本実施形態では、第1拡張部材41の帯体21に臨む側の面に設けられているため、マーカー50が穿刺部位Pに直接接触しない。なお、マーカー50を設ける位置は、第1拡張部材41を穿刺部位Pに位置合わせ可能である限り、特に限定されない。例えば、マーカー50は、第1拡張部材41の内表面のうち、手首W側に配置される側の略中央に設けられていてもよい。また、例えば、マーカー50は、第2拡張部材42の外表面のうち、第1拡張部材41の中央に近い側の端部に設けられていてもよい。
マーカー50の形状は、特に限定されず、例えば、円、三角形、四角形等が挙げられ、本実施形態では、四角形をなしている。
マーカー50の大きさは、特に限定されないが、例えば、マーカー50の形状が四角形をなしている場合、その一辺の長さが1~4mmの範囲であることが好ましい。一辺の長さが5mm以上であると、穿刺部位Pの大きさに対してマーカー50の大きさが大きくなるため、第1拡張部材41の中心部を穿刺部位Pに位置合わせし難くなる。
マーカー50の材質は、特に限定されず、例えば、インキ等の油性着色料、色素を混練した樹脂等が挙げられる。
マーカー50の色は、拡張部材40を穿刺部位Pに位置合わせすることができる色であれば特に限定されないが、緑色系が好ましい。緑色系にすることにより、術者は、マーカー50を血液や皮膚上で容易に視認することができ、第1拡張部材41を穿刺部位Pに位置合わせすることがより容易となる。
また、マーカー50は半透明または有色透明であることが好ましい。これにより、術者は、穿刺部位Pをマーカー50の外面側から視認することができる。
マーカー50を拡張部材40に設ける方法は特に限定されないが、例えば、マーカー50を拡張部材40に印刷する方法、マーカー50の片面に接着剤を塗布して拡張部材40に貼り付ける方法等が挙げられる。
(フィルム状弁部材)
フィルム状弁部材60は、図3に示すように、本実施形態では、矩形状の2枚のフィルム部材61、62(可撓性を備えるシート部材)を重ね合わせ、かつ、重ね合わせた2枚のフィルム部材61、62の長手方向Yに伸びている2つの縁部の一部を接合したものによって構成している。2枚のフィルム部材61、62は、長手方向Yと交差する方向の縁部が接合されておらず、長手方向Yと交差する方向の縁部の間には、開口部60a、60bが形成されている。また、2枚のフィルム部材61、62間には、一方の開口部60aと他方の開口部60bとを連通する連通路63が形成されている。このように、フィルム状弁部材60は、2枚のフィルム部材61、62を重ねたものによって構成しているため、図5Bおよび図5Cに示すように、拡張した拡張部材40の内圧Tによって、連通路63を閉じる方向(2枚のフィルム部材61、62が互いに接近する方向)に容易に変形して、互いに密着する。なお、フィルム状弁部材60は、2枚のフィルム部材61、62を重ねたものではなく、1枚のフィルム部材を折り返し、折り返した1枚のフィルム部材の長手方向Yの縁部同士を接合したものによって構成してもよい。
フィルム状弁部材60は、図3に示すように、一方の開口部60aが第1拡張部材41の内空41aに配置され、かつ、他方の開口部60bが第1拡張部材41の外部に配置されるように、その一部が、第1拡張部材41の内空41aに挿入されている。そのため、連通路63は、第1拡張部材41の内空41aと外部を連通する。
連通路63は、図5Aに示すように、第1拡張部材41の外部に位置する連通路63a(以下、単に「拡張部材40の外部の連通路63a」と称する)と、第1拡張部材41の内側に位置する連通路63b(以下、単に「拡張部材40の内空の連通路63b」と称する)と、を備えている。拡張部材40の外部の連通路63aの長さL1は、拡張部材40の内空の連通路63bの長さL2よりも短い。そのため、フィルム状弁部材60の拡張部材40から露出している部分の長手方向Yに沿う長さは、比較的短い。そのため、図5Cに示すように、フィルム状弁部材60は、周辺で行われる医療行為を阻害せず、また、患者の手首Wに接触し難く、患者の不快感を低減できる。
フィルム状弁部材60は、本実施形態では、図3に示すように、長手方向Yに伸びている2つの縁部のうち、先端側Y1の領域に、2枚のフィルム部材61、62を接合した接合部60c、60dを備え、基端側Y2の領域に、2枚のフィルム部材61、62が接合されていない非接合部60e、60fを備えている。そのため、2枚のフィルム部材61、62の基端側Y2の部分を、互いに離反する方向に変形させ、基端側Y2の開口部60bを開くことができる。そのため、注入部材70は、フィルム状弁部材60の基端側Y2の開口部60bから、容易に挿入される。なお、フィルム状弁部材60は、非接合部60e、60fを備えず、長手方向Yに伸びている縁部が全長に渡って接合されていてもよい。2枚のフィルム部材61、62の長手方向Yの縁部が全長に渡って接合されている場合、フィルム状弁部材60は、基端側Y2の開口部60bが突出部41bの基端側Y2の縁部と重なるように、その全てが、第1拡張部材41内に配置されていてもよい。すなわち、拡張部材40の外部の連通路63aの長さL1は、0であってもよい。
フィルム部材61、62としては、特に限定されないが、例えば、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリスチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体等の可撓性のプラスチックシートを用いることができる。
(注入部材)
注入部材70は、図1に示すように、フィルム状弁部材60の連通路63に配置されるチューブ71と、チューブ71の基端側Y2の部分に取り付けられるとともに、シリンジS(「流体供給源」に相当)を連結可能な中空のコネクタ72と、を備えている。以下、注入部材70について説明する。なお、注入部材70は、注入部材70が止血器具10から抜去された状態で、コネクタ72側を「基端側」と称し、その反対側(チューブ71の端部のうち、チューブ71のコネクタに取り付けられていない側)を「先端側」と称する。
まず、チューブ71について説明する。
チューブ71は、図3に示すように、略一定の外径を備える円筒状の本体部71aと、本体部71aの先端に連なるとともに、先端側Y1に向かって先細る筒状のテーパ部71bを備えている。このように、チューブ71は、テーパ部71bを備えているため、フィルム状弁部材60に容易に挿入できる。なお、チューブ71は、テーパ部71bを備えず、その全長に渡って略一定の外径を備えていてもよい。
本体部71aの外径R1は、連通路63に配置可能な長さである限り特に限定されない。ただし、チューブ71とフィルム状弁部材60との間の隙間から、拡張部材40内の気体が外部に漏れるのを抑制する観点から、本体部71aの外径R1は、図7に示すように、フィルム状弁部材60の連通路63を形成している部分を略円形に変形させた場合の、フィルム状弁部材60の内表面の放射方向の長さR2と略同一の長さであることあることが好ましい。
チューブ71は、図1に示すように、拡張部材40が未拡張の状態で、連通路63に配置されている。すなわち、止血器具10を術者に提供する段階で、チューブ71は、連通路63に配置されている。そのため、術者は、止血器具10の使用を開始する際に、連通路63にチューブ71を配置する(フィルム状弁部材60にチューブ71を挿入する)作業を行う必要がない。そのため、止血器具10は、術者の作業負担を軽減することができる。
チューブ71は、図5Aに示すように、その先端が、連通路63の先端(先端側Y1の開口部60a)よりも基端側Y2の位置に配置された状態で、固定部71cによって、フィルム状弁部材60に固定されている。これにより、図5Bに示すように、拡張部材40が拡張し、かつ、術者がシリンジSによる気体の注入を停止した時点で、フィルム状弁部材60の先端側Y1の部分は、拡張部材40の内圧Tによって、拡張部材40の内空の連通路63bを閉じる方向に変形する。そのため、術者は、拡張部材40に気体を注入する際、連通路63におけるチューブ71の先端の位置を調整する必要がない。また、チューブ71の先端がフィルム状弁部材60の先端よりも先端側Y1に突出して(チューブ71の先端が先端側Y1の開口部60aから突出して)フィルム状弁部材60とチューブ71との間の隙間から拡張部材40内の気体が外部に漏れるのを、防止できる。
固定部71cは、術者が注入部材70を基端側Y2に引く動作に伴って、注入部材70とフィルム状弁部材の固定状態を解除する。固定部71cの構成は、特に限定されないが、例えば、チューブ71とフィルム状弁部材60を接着や融着等した接合部によって構成してもよいし、チューブ71およびフィルム状弁部材60に設けられた機械的な連結部によって構成してもよい。なお、チューブ71は、フィルム状弁部材60に固定されている必要はなく、術者が、止血器具10の使用を開始する際に、フィルム状弁部材60にチューブ71を挿入してもよい。また、チューブ71をフィルム状弁部材60に固定する場合、チューブ71の先端の位置は、特に限定されない。例えば、チューブ71の先端は、フィルム状弁部材60の先端よりも先端側Y1に配置されていてもよい。
次に、コネクタ72について説明する。
コネクタ72は、図4に示すように、シリンジSの先端部に連結される。コネクタ72をシリンジSの先端部に連結する方法は特に限定されないが、コネクタ72の内径とシリンジSの先端部の外径を略同一の長さに設定し、コネクタ72をシリンジSの先端部に嵌合させる方法、コネクタ72の内周面に雌ネジを設け、シリンジSの先端部の外周面に雄ネジを設け、コネクタ72をシリンジSの先端部に螺合させる方法、等を用いることができる。なお、コネクタ72は、シリンジSの先端部に対して着脱自在であることが好ましい。また、止血器具10と組み合わせて使用する流体供給源は、シリンジSである必要はなく、例えば、カフであってもよい。
(使用方法)
次に、本実施形態に係る止血器具10の使用例について説明する。
止血器具10を手首Wに装着する前は、図2に示すように、拡張部材40は、拡張していない状態となっている。図1に示すように、この際、注入部材70は、連通路63に配置されている。そのため、術者は、止血器具10の使用を開始する際に、注入部材70をフィルム状弁部材60に挿入する作業を行う必要がない。そのため、止血器具10は、術者の作業負担を軽減できる。
図4に示すように、右手の手首Wの橈骨動脈Rに穿刺を行う場合、穿刺部位Pは、親指側へ片寄った位置にある。通常、穿刺部位Pにはイントロデューサーシース(図示省略)が留置されている。このイントロデューサーシースが留置されたままの状態の手首Wに帯体21を巻き付け、拡張部材40に設けられたマーカー50が穿刺部位P上に重なるように拡張部材40および帯体21を位置合わせして、面ファスナーの雄側31および雌側32を接触させて接合し、帯体21を手首Wに装着する。
この際、止血器具10は、注入部材70が、橈骨動脈Rの血流の下流側(掌側)に向くように、手首Wに対して装着される。これにより、手首Wよりも上流側での手技や、上流側に位置する器具(例えば、血圧計等)に干渉することなしに、注入部材70およびシリンジSの操作が可能となる。また、止血器具10を、注入部材70が下流側に向くように右手の手首Wに装着することで、第1拡張部材41は、手首Wの親指側へ片寄って位置する橈骨動脈Rに位置する。なお、動脈の場合、血管の上流側とは、血管の心臓に近づく方向をいう。また、血管の下流側とは、血管の心臓から遠ざかる方向をいう。なお、止血器具10は、左手の手首の橈骨動脈に穿刺を行う場合に使用してもよい。この場合、注入部材70は、橈骨動脈の血流の上流側に向くように、左手の手首に対して装着される。
次に、術者は、注入部材70のコネクタ72にシリンジSを連結する。なお、術者は、シリンジSは、止血器具10を手首Wに装着する前に、注入部材70のコネクタ72に連結してもよい。
次に、術者は、図5Aに示すように、シリンジSの押し子を押して、気体を拡張部材40内に注入し、拡張部材40を拡張させる。術者は、拡張部材40を、穿刺部位Pからの出血を防止可能な程度に拡張させた後、穿刺部位Pからイントロデューサーシースを抜去する。
次に、術者は、シリンジSの押し子を押して、さらに拡張部材40に気体を注入し、穿刺部位Pを圧迫止血可能な程度に、拡張部材40を拡張する。その結果、図5Bに示すように、フィルム状弁部材60は、拡張部材40の内圧Tによって、拡張部材40の内空の連通路63bを閉じる方向に変形する(本実施形態では、2枚のフィルム部材61、62の先端側Y1の部分が密着する)。なお、術者は、気体の注入量を調整することによって、症例に応じて、拡張部材40の拡張度合、すなわち、穿刺部位Pに作用する圧迫力F1の大きさを容易に調整することができる。例えば、術者は、仮に拡張部材40に気体を注入しすぎて拡張部材40が過拡張した場合は、シリンジSを用いて拡張部材40内から余剰な気体を排出すればよい。
次に、術者は、図5Cに示すように、注入部材70をフィルム状弁部材60から抜去する。フィルム状弁部材60は、拡張部材40の内空の連通路63bを閉じる方向に変形しているため、拡張部材40の拡張状態を維持できる。このように、注入部材70は、フィルム状弁部材60から抜去されるため、注入部材70は、周辺で行われる医療行為を阻害せず、また、患者の手首Wに触れないため、患者の不快感を軽減できる。また、フィルム状弁部材60は、拡張部材40の外部の連通路63aが、拡張部材40の内空の連通路63bよりも短く構成されている。そのため、フィルム状弁部材60は、周辺で行われる医療行為を阻害せず、また、患者の手首Wに触れ難く、患者の不快感を低減できる。また、術者は注入部材70を抜去するだけでよいため、術者の作業負担は増加しない。
次に、術者は、段階的に、シリンジSが連結された注入部材70をフィルム状弁部材60に挿入し、拡張部材40内の気体を外部に排出する(減圧作業)。これによって、例えば、拡張した拡張部材40が、長時間にわたって穿刺部位Pおよびその周辺の血管や神経を圧迫し続けて、患者がしびれや痛みを感じたり、血管が閉塞したりするのを防止できる。
なお、仮に、止血が十分に行われていない場合、術者は、シリンジSが連結された注入部材70をフィルム状弁部材60に挿入し、拡張部材40に気体を注入して、拡張部材40の内圧を上昇させてもよい。
所定の時間が経過して、穿刺部位Pの止血が完了したら、術者は、止血器具10を患者の手首Wから取り外す。止血器具10は、面ファスナーの雄側31および雌側32を剥がすことによって手首Wから取り外される。
以上のように、止血器具10は、手首Wの穿刺部位Pに巻きつけるための帯体21と、帯体21を手首Wに巻きつけた状態で固定する固定部材30と、帯体21が手首Wに巻き付けられた状態で、帯体21の内周面側に配置される拡張部材40と、拡張部材40に配置され、拡張部材40の内空41a、42aと外部とを連通する連通路63を備えたフィルム状弁部材60と、連通路63を介して拡張部材40の内空41a、42aに気体を導入可能な注入部材70と、を備えている。拡張部材40の外部の連通路63aは、拡張部材40の内空の連通路63bよりも短く形成されている。拡張部材40が拡張され、かつ、注入部材70がフィルム状弁部材60から抜去された状態で、フィルム状弁部材60は、拡張部材40の内圧Tにより、拡張部材40の内空の連通路63bを閉じる方向に変形する。
上記のように構成した止血器具10によれば、フィルム状弁部材60は、拡張部材40が拡張され、かつ、注入部材70がフィルム状弁部材60から抜去された状態で、拡張部材40の内圧Tによって、拡張部材40の内空の連通路63bを閉じる方向に変形する。そのため、注入部材70がフィルム状弁部材60から抜去された状態で、フィルム状弁部材60は、拡張部材40内の気体が外部へ漏れるのを抑制し、拡張部材40は、拡張状態を維持できる。このように、注入部材70は、フィルム状弁部材60から抜去されるため、周辺で行われる医療行為を阻害せず、また、患者の肢体に触れないため、患者の不快感を低減できる。また、フィルム状弁部材60は、拡張部材40の外部の連通路63aが、拡張部材40の内空の連通路63bよりも短くなるように構成されている。そのため、フィルム状弁部材60は、拡張部材40の外部に露出している部分が比較的短い。そのため、フィルム状弁部材60は、周辺で行われる医療行為を阻害せず、また、患者の肢体に触れ難く、患者の不快感を低減できる。このように、止血器具10は、術者が注入部材70をフィルム状弁部材60から抜去するという簡便な作業により、術者の作業負担を増加させることなく、周辺で行われる医療行為の邪魔にならならず、かつ、患者の不快感を低減することができる。
また、注入部材70は、拡張部材40が未拡張の状態で、連通路63に配置されている。すなわち、止血器具10を術者に提供する段階で、注入部材70は、連通路63に配置されている。そのため、術者は、止血器具10の使用開始時に、連通路63に注入部材70を配置する作業を行う必要がない。そのため、止血器具10は、術者の作業負担を軽減できる。
また、注入部材70の先端が、連通路63の先端よりも基端側Y2の位置に配置された状態で、注入部材70は、フィルム状弁部材60に固定されている。そのため、拡張部材40の拡張が完了し、術者が、シリンジSによる気体の注入を停止した時点で、拡張部材40の内圧Tによって、フィルム状弁部材60の先端側Y1の部分は、拡張部材40の内空の連通路63bを閉じる方向に変形する。そのため、術者が拡張部材40に気体を注入する際、注入部材70の先端が、フィルム状弁部材60の先端よりも先端側に突出し、フィルム状弁部材60と注入部材70の間の隙間から拡張部材40内の気体が外部に漏れるのを、防止できる。
また、注入部材70は、その基端側Y2の部分に、注入部材70に気体を供給するシリンジSを連結可能なコネクタ72を備える。そのため、注入部材70は、シリンジSに容易に連結できる。
また、注入部材70は、その先端側Y1の部分に、注入部材70の先端側に向かって先細るテーパ部71bを備える。そのため、注入部材70は、連通路63に容易に配置することができる。
(変形例1)
図8Aおよび図8Bは、変形例1に係る止血器具110を示す図である。以下、前述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
変形例1に係る止血器具110は、拡張部材40の内圧Tにより、フィルム状弁部材60が拡張部材40の内空の連通路63bを閉じる方向に変形した際に、拡張部材40の内空と外部とを連通して、拡張部材40内の気体を外部に徐々に排出する減圧機構180を備える点において、上記実施形態に係る止血器具と相違する。
減圧機構180は、連通路63の先端から基端に向かって伸びている連続気泡型の発泡体によって構成している。そのため、フィルム状弁部材60が拡張部材40の内空の連通路63bを閉じる方向に変形した際、減圧機構180の連続気泡(空隙)を介して、拡張部材40内の気体が、外部に徐々に排出される(図中、破線の矢印で気体の流れを示す)。これにより、術者が、減圧作業を行わなくても、自動的に拡張部材40内の気体が外部に排出されるため、止血器具110は、術者の作業負担をより一層軽減できる。
減圧機構180は、フィルム状弁部材60を構成する2枚のフィルム部材61、62の一方に接合されている。
減圧機構180の構成材料は、連続気泡型の発泡体である限り特に限定されないが、例えば、連続気泡型のポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリオレフィンフォーム等を用いることができる。
このように、上記変形例1に係る止血器具110は、フィルム状弁部材60が拡張部材40の内圧Tにより、拡張部材40の内空に位置する連通路63bを閉じる方向に変形した際に、拡張部材40の内空と外部とを連通して、拡張部材40内の気体を徐々に外部に排出する減圧機構180をさらに備える。これにより、術者が、減圧作業を行わなくても、自動的に拡張部材40内の気体が外部に排出されるため、止血器具110は、術者の作業負担をより一層軽減できる。
また、減圧機構180は、連通路63に配置される連続気泡型の発泡部材を備える。そのため、発泡部材の連続気泡を介して、拡張部材40内の気体を外部に徐々に排出できる。
(変形例2)
図9Aおよび図9Bは、変形例2に係る止血器具210を示す図である。以下、前述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
変形例2に係る止血器具210は、減圧機構280の構成において、変形例1の止血器具110の減圧機構180と相違する。
減圧機構280は、フィルム状弁部材60を構成する2枚のフィルム部材61、62のそれぞれの内面に設けた溝部281、282によって構成している。溝部281、282は、フィルム部材61、62の先端から基端に向かって伸びている。なお、減圧機構280は、少なくとも1つの溝部を備えていればよく、例えば、溝部は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
術者は、図9Bに示すように、拡張部材40を拡張させた後、注入部材70をフィルム状弁部材60から抜去する。これによって、フィルム状弁部材60は、拡張部材40の内圧Tによって、連通路63を閉じる方向に変形する。拡張部材40内の気体は、溝部281、282を介して、拡張部材40の外部に徐々に排出される。術者が、減圧作業を行わなくても、自動的に拡張部材40内の気体が外部に排出されるため、止血器具210は、術者の作業負担をより一層軽減できる。
このように、上記変形例2に係る止血器具210では、減圧機構280は、フィルム状弁部材60の内面において、連通路63に沿って形成された溝部281、282を備える。そのため、溝部281、282を介して、拡張部材40内の気体を徐々に排出できる。
以上、実施形態および変形例を通じて本発明に係る止血器具を説明したが、本発明は説明した各構成のみに限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
例えば、止血器具を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明は、手首に装着して使用する止血器具に限らず、脚等に装着して使用する止血器具にも適用することができる。
また、フィルム状弁部材は、第1拡張部材ではなく、第2拡張部材に配置されていてもよい。
また、拡張部材は、第2拡張部材を備えなくてもよい。また、拡張部材は、第2拡張部材の代わりに、拡張せずに第1拡張部材を押圧する押圧部材を備えていてもよい。
10、110、210 止血器具、
21 帯体、
30 固定部材、
40 拡張部材、
60 フィルム状弁部材、
63 連通路、
63a 拡張部材の外部の連通路、
63b 拡張部材の内空の連通路、
70 注入部材、
71b テーパ部、
71c 固定部、
72 コネクタ、
180、280 減圧機構、
281、282 溝部、
P 穿刺部位(止血すべき部位)、
T 拡張部材の内圧、
W 手首(肢体)。

Claims (6)

  1. 肢体の止血すべき部位に巻きつけるための帯体と、
    前記帯体を前記肢体に巻きつけた状態で固定する固定部材と、
    前記帯体が前記肢体に巻き付けられた状態で、前記帯体の内周面側に配置される拡張部材と、
    前記拡張部材に配置され、前記拡張部材の内空と外部とを連通する連通路を備えたフィルム状弁部材と、
    前記連通路を介して前記拡張部材の前記内空に流体を導入可能な注入部材と、
    前記注入部材の先端が前記連通路の先端よりも基端側の位置に配置された状態で、前記注入部材を前記フィルム状弁部材に固定する固定部と、を備え、
    前記拡張部材は、平面視において、周縁部の一部が外方に向かって突出した突出部を有する2枚のシート材を重ねて、前記2枚のシート材の周縁部同士を接合した袋体で構成され、
    前記拡張部材の前記外部の前記連通路は、前記拡張部材の前記内空の前記連通路よりも短く形成されており、
    前記拡張部材が拡張され、かつ、前記注入部材が前記フィルム状弁部材から抜去された状態で、前記フィルム状弁部材は、前記拡張部材の内圧により、前記拡張部材の前記内空に位置する前記連通路を閉じる方向に変形可能に構成され、
    前記注入部材は、前記拡張部材が未拡張の状態では、前記連通路に配置され、
    前記固定部は、前記フィルム状弁部材の外部側に位置し、前記注入部材と前記フィルム状弁部材とを接合する接合部であり、使用者が前記注入部材を引く動作に伴って前記注入部材と前記フィルム状弁部材の固定状態を解除可能に構成され、
    前記突出部は、前記フィルム状弁部材の外表面に気密に接合される、止血器具。
  2. 前記注入部材は、その基端側の部分に、前記注入部材に流体を供給する流体供給源を連結可能なコネクタを備える、請求項に記載の止血器具。
  3. 前記注入部材は、その先端側の部分に、前記注入部材の先端側に向かって先細るテーパ部を備える、請求項1または2に記載の止血器具。
  4. 前記フィルム状弁部材が、前記拡張部材の内圧により、前記拡張部材の前記内空に位置する前記連通路を閉じる方向に変形した際に、前記拡張部材の前記内空と前記外部とを連通して、前記拡張部材内の前記流体を徐々に前記外部に排出する減圧機構をさらに備える、請求項1~のいずれか1項に記載の止血器具。
  5. 前記減圧機構は、前記連通路に配置される連続気泡型の発泡体を備える、請求項に記載の止血器具。
  6. 前記減圧機構は、前記フィルム状弁部材の内面において、前記連通路に沿って形成された溝部を備える、請求項に記載の止血器具。
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