JP2022025803A - MnZn系フェライト、及びその製造方法 - Google Patents

MnZn系フェライト、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】広い温度域及び広い周波数帯に対して高い比初透磁率を有し、且つ、キュリー温度及び飽和磁束密度が高いMnZn系フェライト及びその製造方法を提供する。
【解決手段】FeとZnOとMnOを主成分とし、前記主成分100mol%中、Feが51.3~54.5mol%、ZnOが9.0~14.3mol%、残部がMnOであり、前記主成分100質量%に対し、副成分として、SiOを0.001~0.015質量%、CaOを0.02~0.06質量%、ZrOを0.03~0.07質量%、TiOを0.01~2.5質量%、Coを0.15~0.45質量%含有する、MnZn系フェライトである。
【選択図】なし

Description

本発明は、MnZn系フェライト及びその製造方法に関する。
テレビやエアコンなど家電機器等の電源ラインから発生するノイズを抑制するため、ACラインフィルタなどコモンモードチョークコイルの開発が行われてきた。MnZn系フェライトは当該チョークコイルのコア材などとして用いられている。当該コア材は、ノイズを除去したい周波数においてノイズ電流に対する大きなインピーダンスが求められている。
特に近年では、150kHzから数MHzの領域におけるノイズ減衰能力(インピーダンス)を高めるため、コアとなるMnZnフェライトの透磁率の向上及び透磁率の周波数に対する安定性を高める開発が行われてきた。
例えば特許文献1及び2には、幅広い温度範囲で高い比初透磁率を有するMn-Zn-Co系フェライトとして、特定量のFe、ZnO、CoO及びMnOを基本成分とし、特定量のSiO、CaO、及びNbを副成分として含み、炭素の含有量を0.0050質量%以下に抑制したMn-Zn-Co系フェライトが開示されている。
また、特許文献3には、温度依存性が小さく、直流磁場印加下でも広い温度範囲において高い実効透磁率を維持することができるMnCoZnフェライトとして、特定量のFe、ZnO、CoO及びMnOを基本成分とし、特定量のSiO、CaO、及びTiOを副成分として含み、P及びBの含有量が3質量ppm未満であるMnCoZnフェライトが開示されている。
また近年では、CO排出削減や省エネルギーのニーズが高まり、ハイブリット車や電気自動車など車載の電装化が進んでおり、車載に関するノイズ規制をクリアするための検討が進められている。
中でも、電動コンプレッサにおけるインバータとモータからは、コモンモードノイズが発生することが明らかとなっており、ACラインフィルタ等を用いたノイズ対策の必要性が増している。
特開2015-229626号公報 特開2015-229625号公報 特開2008-143745号公報
特許文献1及び2では、炭素の含有量を0.0050質量%以下に抑制することで、-20~150℃の広い温度域において10kHzにおける初透磁率が高められるとされている。
一方、車載用の電子部品などにおいては、高い温度環境に加えて、巻線に大電流を印加すること求められてきている。このような用途において、コア材となるMnZn系フェライトには、比初透磁率のみだけはなく、キュリー温度及び飽和磁束密度が高いものが求められている。
本発明は上記の課題を解決するものであり、広い温度域及び広い周波数帯に対して高い比初透磁率を有し、且つ、キュリー温度及び飽和磁束密度が高いMnZn系フェライト及びその製造方法を提供する。
本発明に係るMnZn系フェライトは、
FeとZnOとMnOを主成分とし、
前記主成分100mol%中、Feが51.3~54.5mol%、ZnOが9.0~14.3mol%、残部がMnOであり、
前記主成分100質量%に対し、副成分として、SiOを0.001~0.015質量%、CaOを0.02~0.06質量%、ZrOを0.03~0.07質量%、TiOを0.01~2.5質量%、Coを0.15~0.45質量%含有する。
上記MnZn系フェライトの一実施形態は、前記TiOの含有量が前記主成分100質量%に対し、0.5~2.5質量%である。
上記MnZn系フェライトの一実施形態は、キュリー温度が200℃以上、23℃における飽和磁束密度が500mT以上、23℃における10kHz~700kHzの比初透磁率μ(23℃)が4500以上である。
上記MnZn系フェライトの一実施形態は、23℃における10kHzの比初透磁率μ(23℃)に対する、150℃における10kHzの比初透磁率μ(150℃)の比(μ(150℃)/μ(23℃))が0.75~1.25である。
上記MnZn系フェライトの一実施形態は、密度が4.9~5.05g/ccである。
上記MnZn系フェライトの一実施形態は、比抵抗が、50~500Ω・cmである。
本発明に係るMnZn系フェライトの製造方法は、
前記本発明に係るMnZn系フェライトの製造方法であって、
焼結後に、主成分100mol%中、Feが51.3~54.5mol%、ZnOが9.0~14.3mol%、残部がMnOとなるように、各主成分を含む原料を混合する工程と、
得られた混合物に、焼結後に前記主成分100質量%に対し、副成分として、SiOを0.001~0.015質量%、CaOを0.02~0.06質量%、ZrOを0.03~0.07質量%、TiOを0.01~2.5質量%、Coを0.15~0.45質量%含有するように、各副成分を含む原料を添加する工程を有する。
上記MnZn系フェライトの製造方法の一実施形態は、前記SiO、ZrO、TiO及びCoを含む原料が、平均粒子径が0.1μm以上の粒子である。
本発明により、広い温度域及び広い周波数帯に対して高い比初透磁率を有し、且つ、キュリー温度及び飽和磁束密度が高いMnZn系フェライト及びその製造方法が提供される。
以下、本発明に係るMnZn系フェライト及びその製造法について説明する。
なお、数値範囲を示す「~」は特に断りがない限り、その下限値及び上限値を含むものとする。
[MnZn系フェライト]
本発明に係るMnZn系フェライト(以下、本MnZn系フェライトとも記す)は、FeとZnOとMnOを主成分とし、
前記主成分100mol%中、Feが51.3~54.5mol%、ZnOが9.0~14.3mol%、残部がMnOであり、前記主成分100質量%に対し、副成分として、SiOを0.001~0.015質量%、CaOを0.02~0.06質量%、ZrOを0.03~0.07質量%、TiOを0.01~2.5質量%、Coを0.15~0.45質量%含有する。
上記本MnZn系フェライトは上記のように各金属酸化物を上記特定の割合で含むことにより、広い温度域及び広い周波数帯に対して高い比初透磁率を有し、且つ、キュリー温度及び飽和磁束密度が高いものとなる。具体的には、本MnZn系フェライトは、例えば、キュリー温度が200℃以上、23℃における飽和磁束密度が500mT以上、23℃における10kHz~700kHzの比初透磁率μ(23℃)が4500以上を達成する。更に本MnZn系フェライトは、例えば、150℃における10kHzの比初透磁率μ(150℃)が4500以上を達成することもできる。
一方で本MnZn系フェライトは、例えば、23℃における10kHzの比初透磁率μ(23℃)に対する、150℃における10kHzの比初透磁率μ(150℃)の比(μ(150℃)/μ(23℃))を0.75~1.25の範囲とすることもできる。本MnZn系フェライト150℃における比初透磁率が、23℃における比初透磁率に対して高すぎないことで、高温環境下において大電流が印可された場合にも、飽和しにくいフェライトコア材として好適に用いることができる。
また、23℃における周波数10kHzの比初透磁率μ(10kHz)に対する、周波数700kHzの比初透磁率μ(700kHz)の比(μ(700kHz)/μ(10kHz))を0.75~1.2とすることもできる。
このように本MnZn系フェライトは広い温度域及び広い周波数帯に対して高く安定した比初透磁率を有し、且つ、キュリー温度及び飽和磁束密度が高いという特徴を有する。そのため、本MnZn系フェライトを、例えば、コモンモードチョークコイルのコア材として使用することで、高温環境下において大電流が印可された場合にもノイズ減衰効果に優れたコモンモードチョークコイルを製造することができる。
本MnZn系フェライトの、23℃における10kHzの比初透磁率μ(23℃);23℃における700kHzの比初透磁率μ(700kHz);及び150℃における10kHzの比初透磁率μ(150℃)は、各々独立に4500以上であることが好ましい。いずれの比初透磁率も4500以上であることで、広い温度域、広い周波数域において、安定して高い比初透磁率が維持される。
本MnZn系フェライトのキュリー温度は、高温環境下での長時間連続使用に好適に用いることができる点から、200~250℃が好ましい。なお、キュリー温度とは、強磁性体が常磁性体に変わる温度である。
本MnZn系フェライトの23℃における飽和磁束密度は、巻線に大電流が印加された場合においても飽和しにくくノイズ減衰能力を維持できる点から、500mT以上が好ましい。
本MnZn系フェライトの密度は特に限定されないが、機械強度の点から密度が4.9~5.05g/ccが好ましい。後述する製造方法によれば比較的高密度のMnZn系フェライトを製造することができる。
また、本MnZn系フェライトの比抵抗は、渦電流損失を抑制する点から、50~500Ω・cmが好ましい。
上記の各物性は本MnZn系フェライトに含まれる金属酸化物の組成により調整できる。
本MnZn系フェライトはFeとZnOとMnOを主成分とする。当該主成分100mol%中、Feは51.3~54.5mol%、ZnOが9.0~14.3mol%、残部(31.2~39.7mol%)がMnOである。
Feを51.3mol%以上とすることで、他の主成分との組み合わせにより200℃以上のキュリー温度を達成しやすくなる。キュリー温度を上昇する点からは、Feは52.1mol%以上が好ましい。一方、Feを54.5mol%以下とすることで副成分との組み合わせにより23℃~150℃における10kHzの比初透磁率μが4500以上を達成しやすくなる。高い比初透磁率を得る点からは、Feは54.1mol%以下が好ましい。
また、ZnOを14.3mol%以下とすることで、他の主成分との組み合わせにより200℃以上のキュリー温度を達成しやすくなる。キュリー温度を上昇する点からは、ZnOは12.50mol%以下が好ましい。一方、ZnOを9.0mol%以上とすることで副成分との組み合わせにより23℃~150℃における10kHzの比初透磁率μが4500以上を達成しやすくなる。高い比初透磁率を得る点からは、ZnOは10.50mol%以上が好ましい。
また本MnZn系フェライトは前記主成分100質量%に対し、副成分として、SiOを0.001~0.015質量%、CaOを0.02~0.06質量%、ZrOを0.03~0.07質量%、TiOを0.01~2.5質量%、Coを0.15~0.45質量%含有する。
SiOを0.001質量%以上とすることで、高い比抵抗を有する結晶粒界を形成することができ、その結果、高周波領域における渦電流の発生を抑制して高周波数領域における比初透磁率が向上する。高周波領域における比初透磁率を向上する点から、SiOは0.002質量%以上が好ましい。一方、SiOを0.015質量%以下とすることで、10kHzにおける比初透磁率が向上する。10kHzにおける比初透磁率が向上する点から、SiOは0.012質量%以下が好ましい。
CaOを0.02質量%以上とすることで、高い比抵抗を有する結晶粒界を形成することができ、高周波数領域における比初透磁率が向上する。高周波領域における比初透磁率を向上する点から、CaOは0.03質量%以上が好ましい。一方、CaOを0.06質量%以下とすることで、10kHzにおける比初透磁率が向上する。10kHzにおける比初透磁率が向上する点から、CaOは0.05質量%以下が好ましい。
ZrOを0.03質量%以上とすることで、高い比抵抗を有する結晶粒界を形成することができ、高周波数領域における比初透磁率が向上する。高周波領域における比初透磁率を向上する点から、ZrOは0.04質量%以上が好ましい。一方、ZrOを0.07質量%以下とすることで、10kHzにおける比初透磁率が向上する。10kHzにおける比初透磁率が向上する点から、ZrOは0.06質量%以下が好ましい。
TiOを0.01質量%以上とすることで、結晶粒内の抵抗を高めることができ、高周波数領域における比初透磁率が向上する。高周波領域における比初透磁率を向上する点から、TiOは0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましい。一方、TiOを2.5質量%以下とすることで、10kHzにおける比初透磁率が向上する。10kHzにおける比初透磁率が向上する点から、TiOは1.0質量%以下が好ましい。
また、Coを0.15~0.45質量%とすることで、結晶磁気異方性定数を広い温度範囲において小さく抑制し、比初透磁率の温度依存性を抑えることができる。その結果、23℃~150℃の広い温度域における10kHzの比初透磁率を高く維持することができる。また、Coを0.45質量%以下とすることで、23℃における比初透磁率を向上することができる。このような点からCoは0.25~0.35質量%が好ましい。
本MnZn系フェライトは、本発明の効果を奏する範囲で更に他の成分を含有してもよい。他の成分としては、必要に応じて添加される他の金属酸化物や、不可避的に含まれる元素などが挙げられる。
他の金属酸化物としては、例えば、Ta、Nb、Bi、MoOなどが挙げられる。また、不可避的に含まれる元素としては、C(炭素原子)、P(リン原子)、B(ホウ素原子)などが挙げられる。
他の成分の合計の含有量は、主成分100質量%に対して0.1質量%以下が好ましく、0.01質量%以下が更に好ましい。
本MnZn系フェライトは、例えば、車載など高温環境下で使用可能なACラインフィルタ等の電磁気ノイズ対策部品のコア材として好適に用いることができる。また、本MnZn系フェライトのコアに巻線を施した電磁気ノイズ対策部品は、ラインフィルタの磁心として使用する際、特に重要と考えられる周波数帯域(150kHzから1MHz近傍)において、大きなノイズ減衰能力(インピーダンス)を有する。
[MnZn系フェライトの製造方法]
次に、MnZnフェライトの製造方法(以下、本製造方法とも記す)の一実施形態について説明する。
本製造方法は、少なくとも、
焼結後に、主成分100mol%中、Feが51.3~54.5mol%、ZnOが9.0~14.3mol%、残部がMnOとなるように、各主成分を含む原料を混合する工程(混合工程)と、
得られた混合物に、焼結後に前記主成分100質量%に対し、副成分として、SiOを0.001~0.015質量%、CaOを0.02~0.06質量%、ZrOを0.03~0.07質量%、TiOを0.01~2.5質量%、Coを0.15~0.45質量%含有するように、各副成分を含む原料を添加する工程(添加工程)を有するものであればよく、通常、更に、乾燥・造粒工程、仮焼工程、解砕工程、乾燥・造粒工程、成型工程、焼結工程などMnZnフェライトの製造工程として公知の工程を含んでいる。
上記混合工程では、焼結後の主成分が前記本MnZnフェライトの組成となるように主成分を混合する。主成分の混合前の形態は特に限定されないが、取り扱いが容易で均一に混合できる点から、粉末状であることが好ましい。主成分の原料粉末は混合して、必要に応じて解砕することで混合粉末とする。混合及び解砕方法は、公知の方法の中から適宜選択すればよい。具体的には例えば、アトライタやビーズミルなどが挙げられる。混合粉末の粒子径は、特に限定されないが、均一性などの点から、メジアン径D50が0.5μm~1.5μmとなるように調整することが好ましい。なお、混合粉末の粒度分布は粒度分布測定装置で測定することができる。
上記主成分の混合粉末に対し、乾燥・造粒工程を実施してもよい。乾燥・造粒工程では、例えば、混合工程で得られた混合粉末に、混合粉末の全質量を100質量部としたときに0.5~1質量部のポリビニルアルコールなどのバインダーを加え、スプレードライヤーなどを用いて噴霧することで顆粒を得ることができる。
得られた顆粒は、次いで、例えば空気雰囲気下750℃で1時間程度仮焼して仮焼物としてもよい(仮焼工程)。
次いで、焼結後の副成分が前記本MnZnフェライトの組成となるように仮焼物に副成分を添加する。副成分の添加前の形態は特に限定されないが、取り扱いが容易で均一に混合できる点から、粒子状であることが好ましい。中でも、SiO、ZrO、TiO及びCoを含む原料は、各々平均粒子径が0.1μm以上の粒子であることが好ましい。平均粒子径が0.1μm以上の原料を用いることで比初透磁率を向上することができる、また、特に後述する解砕工程においてアトライタを用いる場合には分散性に優れ、得られるMnZnフェライトの製造安定性に優れている。
副成分を添加した後、得られた混合粉末を解砕して解砕粉末を得る。具体的には、解砕工程において、解砕後の粒径のメジアン径D50が0.5μm以上、且つ1.0μm以下になるまで仮焼物を解砕して解砕粉末を得る。
乾燥・造粒工程では、解砕工程において得られた解砕粉末に解砕粉末の全質量を100質量部としたときに、0.5~1.0質量部のポリビニルアルコールなどのバインダーを加え、スプレードライヤーなどで噴霧することで顆粒を得る。このとき、顆粒のメジアン径D50は40μm以上、200μm以下となることが望ましい。
成型工程においては、乾燥・造粒工程で得られた顆粒を所定の形状に成形する。所定の形状とは用途等に応じて設計すればよい。例えば、外径が19mm、内径が13mm、高さが11mmのトロイダル型のコアに成形する。
成形後の顆粒は熱処理することで、焼結体(本MnZnフェライト)とする。熱処理(焼結)条件は特に限定されないが、例えば、1300℃程度で数時間加熱することで焼結することができる。
上記の製造方法によれば、広い温度域及び広い周波数帯に対して高い比初透磁率を有し、且つ、キュリー温度及び飽和磁束密度が高いMnZn系フェライトを好適に製造することができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、これらの記載により本発明を制限するものではない。
[実施例1]
焼結後のFe含有量が51.3mol%、ZnO含有量が11.5mol%、MnO含有量が37.2mol%として合計100mol%となるように、Feを50.1mol%、ZnOを12.1mol%、Mnを37.8mol%として各原料粉末を秤量して混合した。混合工程では、混合物のメジアン径D50が0.5μm以上、1.5μm以下となるまで混合物をアトライタで解砕した。次に、上記混合物の全質量100質量部に対して0.5質量部相当のポリビニルアルコールを加え、スプレードライヤーで噴霧することで顆粒を得た。次に、当該顆粒を空気雰囲気中で750℃で1時間仮焼して仮焼物を得た。次いで焼結後の副成分の含有量が表1に示す通りとなるように、当該仮焼物の全質量100質量部に対し、0.007質量部のSiOと、0.051質量部のCa(OH)と、0.050質量部のZrO、0.20質量部のTiOと、0.27質量部のCoをそれぞれ添加した。なお、SiO、ZrO、TiO及びCoは、各々平均粒子径が0.1μm以上の粒子を用いた。
次に、解砕工程として仮焼物と添加物の混合物を、解砕後の粒径のメジアン径D50が0.5μm以上、1.0μm以下になるように解砕機で解砕して解砕粉末を得た。次に乾燥・造粒工程としてこの解砕物に、解砕物の全質量を100質量部としたときに、1質量部のポリビニルアルコールを加え、スプレードライヤーで噴霧することで顆粒を得た。このときの顆粒のメジアン径D50は110μmであった。次に成型工程、および焼結工程としてこの顆粒を外径が25mm、内径が15mm、高さが10mmのトロイダル型のコアに成形し、1300℃で焼結して焼結体(MnZn系フェライト)を得た。
[実施例2~17]
実施例1において、焼結後の主成分及び副成分の含有割合が表1の通りとなるように原料を混合及び添加した以外は、実施例1と同様にして、実施例2~17のMnZn系フェライトを得た。
[比較例1~14]
実施例1において、焼結後の主成分及び副成分の含有割合が表1の通りとなるように原料を混合及び添加した以外は、実施例1と同様にして、比較例1~14のMnZn系フェライトを得た。
<評価>
上記実施例及び比較例で得られたMnZn系フェライトについて、下記(1)~(3)の方法により、23℃における10kHzの比初透磁率μ(23℃);23℃における700kHzの比初透磁率μ(700kHz);及び150℃における10kHzの比初透磁率μ(150℃)、キュリー温度、及び23℃における飽和磁束密度を測定した。結果を表1に示す。
(1)比初透磁率
実施例及び比較例のMnZn系フェライトをリングコアとし、当該リングコアに巻き線を10回巻き付け、インピーダンスアナライザーにより、各温度及び各周波数におけるインダクタンスを測定し、比初透磁率を算出した。
(2)キュリー温度
実施例及び比較例のMnZn系フェライトをリングコアとし、当該リングコアに巻き線を10回巻き付け、恒温槽を用いて180℃から250℃の温度範囲においてインダクタンスを測定し、各温度における比初透磁率を算出した。次いで、得られた温度と比初透磁率の関係より、比初透磁率が1となる温度をキュリー温度とした。
(3)飽和磁束密度
実施例及び比較例のMnZn系フェライトをリングコアとし、当該リングコアに1次巻き線を50回、2次巻き線を20回巻き付け、直流磁界1196A/mを印可したときの飽和磁束密度を測定した。
Figure 2022025803000001
[結果のまとめ]
主成分100mol%中、Feが51.3~54.5mol%、ZnOが9.0~14.3mol%、残部がMnOであり、前記主成分100質量%に対し、副成分として、SiOを0.001~0.015質量%、CaOを0.02~0.06質量%、ZrOを0.03~0.07質量%、TiOを0.01~2.5質量%、Coを0.15~0.45質量%含有する、実施例1~17のMnZn系フェライトは、いずれも、23℃における10kHzの比初透磁率μ(23℃);23℃における700kHzの比初透磁率μ(700kHz);及び150℃における10kHzの比初透磁率μ(150℃)が4500以上であり、キュリー温度が200℃以上であり、且つ、23℃における飽和磁束密度が500mT以上であることが示された。

Claims (8)

  1. FeとZnOとMnOを主成分とし、
    前記主成分100mol%中、Feが51.3~54.5mol%、ZnOが9.0~14.3mol%、残部がMnOであり、
    前記主成分100質量%に対し、副成分として、SiOを0.001~0.015質量%、CaOを0.02~0.06質量%、ZrOを0.03~0.07質量%、TiOを0.01~2.5質量%、Coを0.15~0.45質量%含有する、MnZn系フェライト。
  2. 前記TiOの含有量が前記主成分100質量%に対し、0.5~2.5質量%である、請求項1に記載のMnZn系フェライト。
  3. キュリー温度が200℃以上、23℃における飽和磁束密度が500mT以上、23℃における10kHz~700kHzの比初透磁率μ(23℃)が4500以上である、請求項1又は2に記載のMnZn系フェライト。
  4. 23℃における10kHzの比初透磁率μ(23℃)に対する、150℃における10kHzの比初透磁率μ(150℃)の比(μ(150℃)/μ(23℃))が0.75~1.25である、請求項1~3のいずれか一項に記載のMnZn系フェライト。
  5. 密度が4.9~5.05g/ccである、請求項1~4のいずれか一項に記載のMnZn系フェライト。
  6. 比抵抗が、50~500Ω・cmである、請求項1~5のいずれか一項に記載のMnZn系フェライト。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載のMnZn系フェライトの製造方法であって、
    焼結後に、主成分100mol%中、Feが51.3~54.5mol%、ZnOが9.0~14.3mol%、残部がMnOとなるように、各主成分を含む原料を混合する工程と、
    得られた混合物に、焼結後に前記主成分100質量%に対し、副成分として、SiOを0.001~0.015質量%、CaOを0.02~0.06質量%、ZrOを0.03~0.07質量%、TiOを0.01~2.5質量%、Coを0.15~0.45質量%含有するように、各副成分を含む原料を添加する工程を有する、MnZn系フェライトの製造方法。
  8. 前記SiO、ZrO、TiO及びCoを含む原料が、平均粒子径が0.1μm以上の粒子である、請求項7に記載のMnZn系フェライトの製造方法。
JP2020128893A 2020-07-30 2020-07-30 MnZn系フェライト、及びその製造方法 Active JP6827584B1 (ja)

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