JPH06283320A - 高飽和磁束密度を有する酸化物磁性材料およびその製造方法 - Google Patents

高飽和磁束密度を有する酸化物磁性材料およびその製造方法

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JPH06283320A
JPH06283320A JP5071416A JP7141693A JPH06283320A JP H06283320 A JPH06283320 A JP H06283320A JP 5071416 A JP5071416 A JP 5071416A JP 7141693 A JP7141693 A JP 7141693A JP H06283320 A JPH06283320 A JP H06283320A
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mol
flux density
magnetic flux
ppm
power loss
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JP5071416A
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Shinya Naruki
紳也 成木
Kaoru Ito
薫 伊藤
Koji Watanabe
宏二 渡邉
Yoshitaka Yamana
芳隆 山名
Shoichi Osada
昭一 長田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 従来にない高い飽和磁束密度を有し、且つ残
留磁束密度が低く、電力損失が低いMn−Zn系ソフト
フェライトコアとその製造方法を提供する。 【構成】 噴霧焙焼法で得られるFe23、MnO、Z
nOからなるMn−Zn系ソフトフェライトコアにおい
てSiO2 80〜300ppm、CaO 200〜20
00ppmを含み、更にV25またはNb25のうちい
ずれか一方を70〜1000ppm含有させ、焼結密度
を4.94g/cm3以上、25℃での飽和磁束密度を
530mT以上、残留飽和磁束密度を200mT以下、
電力損失の最低値を16kHz−150mTの条件下で
4W/kg以下とした酸化物磁性材料及び上記と同条件
で残留飽和磁束密度を130mT以下、電力損失の最低
値が16kHz−150mTの条件下で3.5kW/m
3、100kHz−200mTの条件下で380kW/
3とした酸化物磁性材料の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高周波スイッチング電
源用トランスコアやテレビ、ディスプレイモニタのフラ
イバックトランスコア等に使用可能な、高い飽和磁束密
度を有する低損失酸化物磁性材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スイッチング電源等に用いられるパワー
トランスは、近年、小型・軽量化が求められており、そ
のため駆動周波数が100kHz以上の高周波領域に拡
がっている。しかしながら、電力損失のうち高周波領域
で特に問題となる渦電流損失は、駆動周波数の2乗に比
例するため、周波数の増加により電力損失も増大し、発
熱が無視できない大きさとなる。このためスイッチング
電源用のフィライトとしてはより低損失のものが求めら
れている。このような問題を解決するため、Mn−Zn
フェライトにおいては、従来から種々の微量成分を添加
することによって電力損失の低減が試みられている。
【0003】例えば、特開昭58−15037号ではN
25の添加により、特開昭60−16863号、特開
昭62−142303号ではCaO、Nb25およびV
25の添加により、特開昭61−252608号ではC
aO、SiO2、V25およびSeO2の添加により、特
開平2−30660号ではCaO、SiOおよびPの添
加により、更に特開平4−69905号ではCaO、S
iO、Nb25およびClの添加により電力損失の改善
を図っている。また特開昭60−132301号ではF
e、Mn、Znの主成分にCaOとNb25を添加し、
更にSiO2、Al23、CoO、CuO、ZrO2のう
ち1種を添加することにより損失の低減を試みている。
しかし、更に高周波化、小型・軽量化のためにはより低
損失の材質が必要とされている。
【0004】他方、テレビ、ディスプレイモニタのフラ
イバックトランスコアは、近年、CRTの大型化に伴
い、従来よりもより飽和磁束密度が高く、且つ残留磁束
密度が低い材質が要求されており、加えて、その高精細
化に伴う高周波化により電力損失の低減も求められてい
る。しかしながら、飽和磁束密度を高めることを狙いと
して焼成密度の向上を試みる場合、結晶粒径が大きくな
りすぎたり、或いは粒内気孔や異常粒成長が発生して、
電力損失が悪化する場合が多く、一般に高い飽和磁束密
度と低い電力損失とを同時に達成することは困難であ
る。その様な観点から、現状の市販品においては室温で
の飽和磁束密度は520mT程度が限界であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のフラ
イバックトランスコア用高飽和磁束密度材料よりも更に
高い磁束密度を実現し、加えて低い電力損失を付与する
ことにより、1つの材質でフライバックトランスコアか
らスイッチング電源用コアに至る広い用途に対応し得る
Mn−Zn系ソフトフェライト材料とその製造方法を提
案することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明ではMn−Znフェライトの電力損失を低
減する添加剤について鋭意研究を行い、フェライト主成
分に適当量のSiO2、CaOを必須成分として含み、
更に、V25およびNb25のうち少なくとも1つ、望
ましくは同時に含有した酸化物磁性材料が、数kHzの
比較的低い周波数から数百kHz以上の高周波に至る、
広い周波数領域において、非常に低い電力損失を有する
ことを見いだし、更に、原料仮焼粉として、フェライト
を構成する主要金属成分の塩化物溶液を噴霧焙焼して得
られる粉を使用することにより、通常の方法では得られ
なかった高い飽和磁束密度と低い電力損失の両方の特性
を同時に達成したフェライトコアを製造できることを知
得し、本発明を完成させるに至ったのである。即ち、こ
の発明は次の通りである。
【0007】(1) Fe23 51〜55モル%、M
nO 31〜44モル%およびZnO5〜14モル%を
主成分とし、これにSiO2 80〜300ppm、Ca
O200〜2000ppmを副成分として含み、さらに
25またはNb25のうち、いずれか一方を70〜1
000ppm含有し、焼結密度が4.94g/cm 3
上、25℃における飽和磁束密度が530mT以上、残
留飽和磁束密度が200mT以下、電力損失の最低値が
16kHz−150mTの条件下で4W/kg以下であ
ることを特徴とする高飽和磁束密度を有する酸化物磁性
材料。
【0008】(2)、(1)記載の酸化物磁性材料の製
造方法において、主要成分であるFe、MnおよびZn
を塩化物溶液の形で所定の割合で混合し、得られる液を
噴霧焙焼炉中に噴霧して熱分解し、Fe23 51〜5
5モル%、MnO 31〜44モル%およびZnO 5
〜14モル%からなる混合酸化物粉末とした後、200
℃以上、1000℃以下で熱処理し、これにSiO2
0〜300ppm、CaO 200〜2000ppm、
25またはNb25のうち、いずれか一方を70〜1
000ppm、副成分として添加し、その後、混合、解
砕して得られる原料粉を造粒、成形し、1250〜13
70℃で焼成することを特徴とする高飽和磁束密度を有
する酸化物磁性材料の製造方法。
【0009】(3) Fe23 51〜55モル%、M
nO 31〜44モル%およびZnO5〜14モル%を
主成分とし、これにSiO2 80〜300ppm、Ca
O200〜2000ppm、V25 70〜1000p
pmおよびNb25 100〜800ppmを副成分と
して同時に含み、焼結密度が4.94g/cm3以上、
25℃における飽和磁束密度が530mT以上、残留飽
和磁束密度が130mT以下、電力損失の最低値が16
kHz−150mTの条件下で3.5W/kg以下、1
00kHz−200mTの条件下で380kW/m3
下であることを特徴とする高飽和磁束密度を有する酸化
物磁性材料。
【0010】(4)、(1)記載の酸化物磁性材料の製
造方法において、主要成分であるFe、MnおよびZn
を塩化物溶液の形で所定の割合で混合し、得られる液を
噴霧焙焼炉中に噴霧して熱分解し、Fe23 51〜5
5モル%、MnO 31〜44モル%およびZnO 5
〜14モル%からなる混合酸化物粉末とした後、200
℃以上、1000℃以下で熱処理し、これにSiO2
0〜300ppm、CaO 200〜2000ppm、
2570〜1000ppmおよびNb25 100〜
800ppmを副成分として同時に添加し、その後、混
合、解砕して得られる原料粉を造粒、成形し、1250
〜1370℃で焼成することを特徴とする高飽和磁束密
度を有する酸化物磁性材料の製造方法。
【0011】
【作用】この発明において主要成分の組成をFe23
51〜55モル%、MnO 31〜44モル%およびZ
nO 5〜14モル%の範囲に限定したのは、フェライ
トコアの主要成分をこの範囲外にした場合、電力損失が
最低となる温度がコアの通常使用温度である60〜12
0℃を超えてしまうことが最も大きな要因であるが、そ
の他、上記範囲外の成分組成においては電力損失が大き
くなったり、飽和磁束密度が低くなる場合があり、本発
明の意図するフェライトコアが得られなくなるため、主
要成分組成を上記範囲に決定した。なお、好ましくは主
成分範囲をFe23 53.5〜54モル%、MnO
37〜38.5モル%およびZnO8〜8.8モル%に
すると、電力損失が最低となる温度が80〜100℃の
最も汎用的な温度となり、しかも飽和磁束密度545m
T以上という非常に高い値を得ることが可能となる。
【0012】そしてこの発明の特徴の一つは、上記の主
要成分にSiO2、CaO、V25およびNb25の副
成分を複合添加、含有させたところに特徴がある。本発
明のように、非常に高い焼結密度のコアを得る場合にお
いては、焼結が急激に起こるために、粒界近傍に歪みが
できて、残留磁束密度が増加する。本発明の最も重要な
点はV25、Nb25の添加により残留磁束密度を低下
させたところにある。以下にこれらの微量成分の作用に
ついて説明する。
【0013】SiO2はCaOとの共存下において粒界
の比抵抗を高め、渦電流損の低減に有効に作用する。S
iO2の含有量を80〜300ppmの範囲に限定した
のは、含有量を80ppm未満にした場合には渦電流損
の低減の効果が乏しく、また300ppmを超えた場合
には焼結時に異常粒成長の発生を招きやすく、電力損失
を悪化させるため、80〜300ppmの範囲に限定し
た。CaOはSiO2との共存下において粒界の比抵抗
を高め、電力損失の低減に寄与する成分であるが、含有
量が200ppmに満たない場合には損失低減の効果が
薄く、一方2000ppmを超えると損失が大きくなる
ため、含有量を200〜1000ppmの範囲に限定し
た。
【0014】Nb25は残留磁束密度の低減のほか、電
力損失の低減にも大きく寄与する。この理由は未だ明確
にはなってはいないが、SiO2およびCaOとともに
粒界に析出して、高抵抗相を形成し、渦電流損失を低下
させるものと考えられる。Nb25の含有量を請求項記
載の範囲に限定したのは、含有量を少なくした場合、特
性の改善効果が不十分であり、また含有量を多くした場
合には焼結時に異常粒成長が発生して電力損失を悪化さ
せるために、含有量を上記のように定めた。なお、請求
項1、2のようにV25を含まず、Nb25を単独に含
有させる場合には、含有量を200〜500ppmの範
囲に限定すると特に電力損失が低く、残留磁束密度が低
い特性が得られる。また、請求項3、4のようにV25
が共存する場合、V25の量が比較的少ないときにはN
25を500ppm以上添加した場合に、焼結時に粒
内気孔や異常粒成長が生じやすくなるため、V25の添
加量を多めにする様配慮する必要がある。
【0015】V25は残留磁束密度の低減にNb25
上に効果的な成分である。これはV 25が比較的低温で
液相を生じ、粒界近傍の歪みを緩和するためと考えられ
る。しかも、液相焼結による緻密化を促進し、結果的に
焼結体密度を高くして飽和磁束密度を増大させるという
好ましい特性を有する。さらに、Nb25が共存する場
合には、Nb25によって誘起される粒内気孔や異常粒
成長の発生を抑制し、結晶組織を粒径が微細で均一な組
織となるように安定化して電力損失の悪化を抑える効果
がある。なお、V25の含有量を前述の範囲に限定した
のは含有量が70ppmよりも少ない場合には特性改善
効果が小さく、一方、含有量が1000ppmを超えた
場合には電力損失が大きくなるため、範囲を上述の70
ppm〜1000ppmに定めた。
【0016】このように、V25およびNb25は残留
磁束密度の低減に効果的である。さらに、Nb25はS
iO2、CaO、との共存下で電力損失の低減に効果が
ある。またV25は焼成密度を高くし、飽和磁束密度を
高める効果があるとともに、Nb25が共存する場合に
は微細組織を安定化する効果も有する。従って、本発明
においては請求項1、2のように、V25あるいはNb
25を単独で含有させても効果が得られるが、より望ま
しくは請求項3、4のようにV25とNb25の両者を
同時に含有させることにより、各々の効果が促進され、
飽和磁束密度、残留磁束密度と電力損失の改善に著しい
効果をもたらすことができる。即ち、SiO2、Ca
O、V25およびNb25の添加剤はそれぞれの相互作
用により効果を促進させているために、4種の添加剤の
うちいずれか1つが欠落しても添加効果は半減し、4種
の添加剤全てを同時に含有させることによって、より一
層優れた効果が生み出され、従来にない特性のコアが得
られる。
【0017】なお、以上の副成分は本焼成前において含
有されていれば、その添加はどの工程で行っても差し支
えない。また、添加する化合物の形としては酸化物とし
て添加する以外に、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物等、本焼
成後に酸化物に変化するものであればどのような形で添
加しても良い。本発明で得られるフェライトコアは基本
的にはFe23、MnO、ZnOの主成分およびSiO
2、CaO、V25、Nb25の副成分で構成される
が、その他に意図せずに混入する微量不純物、例えば原
料中に最初から含有される、或いは製造工程において混
入するP、Ni、Cr、Al、Cu、Mg、Ti、N
a、Cl、S等の不純物が微量含まれていても差し支え
ない。但しPとCrはコアロス、および飽和磁束密度の
値に大きな影響を及ぼすので、各々20ppm、50p
pm以下とするのが望ましい。
【0018】そして、本発明で用いられる原料仮焼粉は
請求項2、4に記載したように、以下の方法で仮焼粉を
製造することが必要である。すなわち、主要成分である
Fe、MnおよびZnを塩化物溶液の形で所定の割合で
混合し、得られる液を噴霧焙焼炉中に噴霧して熱分解
し、Fe、Mn、Znの混合酸化物粉末とした後、成形
性を良好とするために200〜1000℃で熱処理した
もの、より好ましくは400〜800℃で1〜4時間熱
処理し、平均一次粒子径を0.3〜1.0μm程度まで
粒成長させたものを仮焼粉とし、これに上述の副成分を
添加する。このような方法にて、フェライトコアを製造
した場合、比較的高い温度で焼成した場合にも異常粒成
長を発生することなく、高密度で血漿粒が均一な、良好
な微細構造を有する焼結体が容易に得られ、その結果、
低電力損失を保持したまま、従来よりも大幅に飽和磁束
密度を改善することができ、優れた特性のフェライトコ
アを安定的に得ることができる。
【0019】このように、噴霧焙焼粉を用いた場合に高
特性のコアが得られる理由としては以下のことが考えら
れる。 従来法仮焼粉に比べて、粒度分布がシャープであ
り、しかも液相を経ているために化学組成が均質である
ため、焼成時に局所的な粒成長が起こらず、結晶粒径が
均質な微細構造となるとともに、気孔が少なくなり、高
密度の焼結体が得られる。 従来法で製造した仮焼粉では一次粒子が焼結により
結合した二次粒子を形成しており、この硬い凝集が、成
形後も除去できず、粒子間に空隙ができる。その空隙が
焼結後も気孔として残り、密度が低下する。本発明の噴
霧焙焼粉は所謂ビルドアップ法で造られるために、個々
の粒子が単独で存在しており、凝集が弱く、そのため大
きな空隙ができることなく高密度の成形体が得られ、そ
の結果、焼結体の密度が高くなる。
【0020】 噴霧焙焼粉は熱処理後も粒子間の結合
が弱く、粉砕が軽度で済むために、微粉が発生しにく
く、異常粒成長が起こらない。しかも、から従来法
仮焼粉よりも焼結性が良いため、比懐的低温の焼成で高
密度が得られ、粒組成が抑えられる。これにより、微細
で均質な組織が容易に得られ、コアロスが非常に良好に
なる。
【0021】以上の理由により本発明においては、噴霧
焙焼粉を用いると、従来にない高特性のコアが得られ
る。この際、Fe、Mn、Znのうち、1成分あるいは
2成分のみを噴霧焙焼法により製造し、その後で残り成
分を混合する等の方法をとった場合は、組成の不均一性
にともなう局所的な粒成長が起こり、高特性が得られな
い場合があるため、必ず3成分を含む事が望ましい。ま
た、焼成温度については、1250〜1370℃行う必
要があるが、好ましくは1270〜1330℃で2〜6
時間焼成した場合に、特に均一な組織となり、非常に優
れた特性のコアが得られる。
【0022】
【実施例】以下、本発明を、実施例により具体的に説明
する。実施例1〜8はV25を含有させた場合、実施例
9〜11はNb25を含有させた場合であり、請求項
1、2の実施例に対応する。実施例12〜18はV25
とNb25の両者を含有させた場合の実施例であり、請
求項3、4の実施例に対応する。
【0023】実施例1〜4 噴霧焙焼によりFe23 53.4モル%、MnO 3
8.2モル%、ZnO8.4モル%の組成を有する酸化
物混合粉末を製造した。これを800℃で熱処理後、S
iO2 150ppm、CaO 600ppmを添加し、
更にV25を所定量添加、混合した。バインダーとして
PVAを加えて造粒した後、外径29mm、内径18m
m、高さ7mmのリング状に成形した。この成形体を酸
素濃度を制御した窒素雰囲気中、1300℃、4時間焼
成した。このようにして得られた焼成コアの焼結密度、
25℃での飽和磁束密度(B10)、残留磁束密度(B
r)、ΔBおよび16kHz−150mT、100℃で
の電力損失の値を表1に記す。なお表中の比較例1、2
は仮焼粉として従来の方法、即ちFe23、Mn34
ZnOの混合、粉砕後、1050℃で仮焼して得られた
ものを用いたコアの特性である。表1から明らかなよう
に原料仮焼粉として噴霧焙焼粉を用いることによりB10
が高く、しかも電力損失が小さいコアが得られ、更にV
25を含有させることによりBrが小さい、即ちΔBが
大きいコアが得られることがわかる。
【0024】
【表1】
【0025】実施例5〜8 噴霧焙焼によりFe23 52.6モル%、MnO 3
5.7モル%、ZnO11.7モル%の組成を有する仮
焼粉を製造後、SiO2 150ppm、CaO 600
ppm、V25を所定量添加、混合した。これに実施例
1と同じ方法で造粒、成形を施し、1325℃、4時間
焼成した。得られたコアの諸特性を表2に示す。この表
において、電力損失の値は16kHz−150mT、1
00℃での値を示している。この場合においても、実施
例1〜4と同様、V25を含有させることによりBrが
低下し、B10も増大してΔBが大きなコアが得られるこ
とがわかる。
【0026】
【表2】
【0027】実施例9〜11 噴霧焙焼によりFe23 53.6モル%、MnO 3
8.4モル%、ZnO8.0モル%の組成を有する酸化
物混合粉末を製造した。これを800℃で熱処理後、S
iO2 150ppm、CaO 600ppmを添加し、
更にNb25を所定量添加、混合した。バインダーとし
てPVAを加えて造粒した後、外径29mm、内径18
mm、高さ7mmのリング状に成形した。この成形体を
酸素濃度を制御した窒素雰囲気中、1300℃、4時間
焼成した。得られたコアの諸特性を表3に示す。この表
において、電力損失の値は16kHz−150mT、1
00℃での値を示している。また表中の比較例6は仮焼
粉として従来の方法、即ちFe23、Mn34、ZnO
の混合、粉砕後、1050℃で仮焼して得られたものを
用いたコアの特性である。原料仮焼粉として噴霧焙焼粉
を用い、更に、Nb25を含有させることにより、V2
5を含有させた場合と同様、Brを小さく、即ちΔB
を大きくすることができ、しかも添加量によっては電力
損失をさらに改善したコアが得られることがわかる。
【0028】
【表3】
【0029】実施例12〜18 Fe23 53.5モル%、MnO 36.5モル%、
ZnO 10.0モル%の組成を有する酸化物混合粉末
を製造した。これを800℃で熱処理後、SiO2、C
aO、V25およびNb25を所定量添加、混合した。
バインダーとしてPVAを加えて造粒した後、外径29
mm、内径18mm、高さ7mmのリング状に成形し
た。この成形体を酸素濃度を制御した窒素雰囲気中、1
300℃、4時間焼成した。このようにして得られた焼
成コアの25℃での飽和磁束密度(B10)、残留磁束密
度(Br)、ΔBの値、さらに16kHz−150mT
および100kHz−200mT、80℃での電力損失
の値を比較例とともに表4に記す。本発明の焼結体の密
度は何れも、4.97〜5.00g/cm3の非常に高
い値を有していた。なお 表中の比較例9は仮焼粉とし
てFe23、Mn34、ZnOの混合、粉砕後、105
0℃で仮焼して得られたものを用いたコアの特性であ
る。
【0030】
【表4】
【0031】表4から明らかなようにSiO2、Ca
O、V25およびNb25の4種の副成分を同時に含有
させ、更に原料仮焼粉として噴霧焙焼粉を用いることに
より、V25或いはNb25のいずれか一方を加えた場
合よりも、さらに優れた特性のコアが得られることがわ
かる。この場合、16kHzから100kHzまでの広
い周波数範囲において、損失が小さいことから1つの材
質でフライバックトランスコアからスイッチング電源用
コアに至る広い用途に対応することが可能である。
【0032】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば高い飽和
磁束密度と低い電力損失の両方の特性を兼ね備えたソフ
トフェライトコアを安定に製造することができ、そのた
めテレビ、ディスプレイモニタにおけるCRTの大型
化、高精細化に寄与できるとともに、スイッチング電源
用コアとしても使用でき、産業上極めて有益である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山名 芳隆 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内 (72)発明者 長田 昭一 東京都千代田区大手町2−6−3 新日本 製鐵株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe23 51〜55モル%、MnO
    31〜44モル%およびZnO 5〜14モル%を主成
    分とし、これにSiO2 80〜300ppm、CaO
    200〜2000ppmを副成分として含み、さらにV
    25またはNb25のうち、いずれか一方を70〜10
    00ppm含有し、焼結密度が4.94g/cm3
    上、25℃における飽和磁束密度が530mT以上、残
    留飽和磁束密度が200mT以下、電力損失の最低値が
    16kHz−150mTの条件下で4W/kg以下であ
    ることを特徴とする高飽和磁束密度を有する酸化物磁性
    材料。
  2. 【請求項2】 請求項1項記載の酸化物磁性材料の製造
    方法において、主要成分であるFe、MnおよびZnを
    塩化物溶液の形で所定の割合で混合し、得られる液を噴
    霧焙焼炉中に噴霧して熱分解し、Fe23 51〜55
    モル%、MnO 31〜44モル%およびZnO 5〜
    14モル%からなる混合酸化物粉末とした後、200℃
    以上、1000℃以下で熱処理し、これにSiO2 80
    〜300ppm、CaO 200〜2000ppm、V
    25またはNb25のうち、いずれか一方を70〜10
    00ppm、副成分として添加し、その後、混合、解砕
    して得られる原料粉を造粒、成形し、1250〜137
    0℃で焼成することを特徴とする高飽和磁束密度を有す
    る酸化物磁性材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 Fe23 51〜55モル%、MnO
    31〜44モル%およびZnO 5〜14モル%を主成
    分とし、これにSiO2 80〜300ppm、CaO
    200〜2000ppm、V25 70〜1000pp
    mおよびNb25 100〜800ppmを副成分とし
    て同時に含み、焼結密度が4.94g/cm3以上、2
    5℃における飽和磁束密度が530mT以上、残留飽和
    磁束密度が130mT以下、電力損失の最低値が16k
    Hz−150mTの条件下で3.5W/kg以下、10
    0kHz−200mTの条件下で380kW/m3以下
    であることを特徴とする高飽和磁束密度を有する酸化物
    磁性材料。
  4. 【請求項4】 請求項1項記載の酸化物磁性材料の製造
    方法において、主要成分であるFe、MnおよびZnを
    塩化物溶液の形で所定の割合で混合し、得られる液を噴
    霧焙焼炉中に噴霧して熱分解し、Fe23 51〜55
    モル%、MnO 31〜44モル%およびZnO 5〜
    14モル%からなる混合酸化物粉末とした後、200℃
    以上、1000℃以下で熱処理し、これにSiO2 80
    〜300ppm、CaO 200〜2000ppm、V
    25 70〜1000ppmおよびNb25 100〜8
    00ppmを副成分として同時に添加し、その後、混
    合、解砕して得られる原料粉を造粒、成形し、1250
    〜1370℃で焼成することを特徴とする酸化物磁性材
    料の製造方法。
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