JPH06333724A - 微細結晶粒を有するフェライト焼結体およびその製造方法 - Google Patents
微細結晶粒を有するフェライト焼結体およびその製造方法Info
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- JPH06333724A JPH06333724A JP5122700A JP12270093A JPH06333724A JP H06333724 A JPH06333724 A JP H06333724A JP 5122700 A JP5122700 A JP 5122700A JP 12270093 A JP12270093 A JP 12270093A JP H06333724 A JPH06333724 A JP H06333724A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 高周波、特にMHz領域での電力損失に優れ
た平均粒径2μm以下のMn−Zn系ソフトフェライト
コアを安価に提供する。 【構成】 (1)SiO2、CaO、V2O5を必須元
素として含み、必要によりK2OおよびLi2Oのうち
少なくとも一種を含有した、焼結密度が4.8g/cm
3 以上、平均結晶粒径が2μm以下のMn−Zn系ソフ
トフェライ焼結体。 (2)Fe、MnおよびZnを塩化物溶液の形で混合
し、これを噴霧焙焼して得られる平均一次粒径0.1μ
m以下Mn−Zn系ソフトフェライト原料粉に対し、S
iO2、CaO、V2O5を添加し、必要により、カリ
ウム化合物、リチウム化合物を添加し、1100℃以下
の温度で常圧焼結することによる、平均結晶粒径が2μ
m以下のMn−Zn系ソフトフェライト焼結体の製造方
法。
た平均粒径2μm以下のMn−Zn系ソフトフェライト
コアを安価に提供する。 【構成】 (1)SiO2、CaO、V2O5を必須元
素として含み、必要によりK2OおよびLi2Oのうち
少なくとも一種を含有した、焼結密度が4.8g/cm
3 以上、平均結晶粒径が2μm以下のMn−Zn系ソフ
トフェライ焼結体。 (2)Fe、MnおよびZnを塩化物溶液の形で混合
し、これを噴霧焙焼して得られる平均一次粒径0.1μ
m以下Mn−Zn系ソフトフェライト原料粉に対し、S
iO2、CaO、V2O5を添加し、必要により、カリ
ウム化合物、リチウム化合物を添加し、1100℃以下
の温度で常圧焼結することによる、平均結晶粒径が2μ
m以下のMn−Zn系ソフトフェライト焼結体の製造方
法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パワートランス等に用
いられるフェライト焼結体に関する。
いられるフェライト焼結体に関する。
【0002】
【従来の技術】スイッチング電源等に用いられるパワー
トランスは、近年、小型・軽量化が求められており、そ
のため駆動周波数が従来の100kHzから、現在では
500kHz以上の高周波領域に拡がりつつあり、将来
的にはMHz領域での適用が考えられている。しかしな
がら、電力損失のうち高周波領域で特に問題となる渦電
流損失は、駆動周波数の2乗に比例するため、周波数の
増加により電力損失が増大し、発熱が無視できない大き
さとなる。このような問題を解決するためには、焼結体
の粒径を小さくすることが効果的である。例えば、特開
平1−224265号公報では焼結体の平均結晶粒径を
5μm以下とすることにより電力損失を改善している。
また、原料に水熱合成法により製造した微細な粉を用
い、HIP法により焼結させ、結晶粒径2μmの微細な
焼結体を作成して、高周波領域での電力損失を改善した
例も報告されている(日経マテリアル&テクノロジー、
1993年1月号、p.24)。さらに、特開平4−2
30006号公報でも微細結晶粒からなる焼結体を共沈
フェライト粉末から製造している。しかしながら、特開
平1−224265号公報に開示されているように、粒
径0.8〜1.0μmの仮焼粉を原料に用い、1150
〜1250℃の温度で焼成するような従来の方法では、
結晶粒径2μm以下の粒径を有する焼結体を製造するこ
とは困難であり、このような極微細な粒径を有する焼結
体を製造するには、前述のように、水熱合成法で製造し
た微細な粉を原料に用い、HIPやホットプレスによる
焼結を行う必要があった。しかしながら、水熱合成法に
よる粉体製造や、或いはHIPやホットプレスを用いて
焼結を施す場合は、製造コストが非常に高くなり、量産
化の面でも問題があった。
トランスは、近年、小型・軽量化が求められており、そ
のため駆動周波数が従来の100kHzから、現在では
500kHz以上の高周波領域に拡がりつつあり、将来
的にはMHz領域での適用が考えられている。しかしな
がら、電力損失のうち高周波領域で特に問題となる渦電
流損失は、駆動周波数の2乗に比例するため、周波数の
増加により電力損失が増大し、発熱が無視できない大き
さとなる。このような問題を解決するためには、焼結体
の粒径を小さくすることが効果的である。例えば、特開
平1−224265号公報では焼結体の平均結晶粒径を
5μm以下とすることにより電力損失を改善している。
また、原料に水熱合成法により製造した微細な粉を用
い、HIP法により焼結させ、結晶粒径2μmの微細な
焼結体を作成して、高周波領域での電力損失を改善した
例も報告されている(日経マテリアル&テクノロジー、
1993年1月号、p.24)。さらに、特開平4−2
30006号公報でも微細結晶粒からなる焼結体を共沈
フェライト粉末から製造している。しかしながら、特開
平1−224265号公報に開示されているように、粒
径0.8〜1.0μmの仮焼粉を原料に用い、1150
〜1250℃の温度で焼成するような従来の方法では、
結晶粒径2μm以下の粒径を有する焼結体を製造するこ
とは困難であり、このような極微細な粒径を有する焼結
体を製造するには、前述のように、水熱合成法で製造し
た微細な粉を原料に用い、HIPやホットプレスによる
焼結を行う必要があった。しかしながら、水熱合成法に
よる粉体製造や、或いはHIPやホットプレスを用いて
焼結を施す場合は、製造コストが非常に高くなり、量産
化の面でも問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の水熱
合成法による粉体製造やHIPやホットプレス等の設備
を用いることなく、通常の常圧焼結により、2μm以下
の極微細な結晶粒径を有する焼結体を安価に得ることを
目的としている。
合成法による粉体製造やHIPやホットプレス等の設備
を用いることなく、通常の常圧焼結により、2μm以下
の極微細な結晶粒径を有する焼結体を安価に得ることを
目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明者等は、特に、原料仮焼粉および低温での緻
密化および特性の改善に効果がある添加剤について鋭意
研究した。その結果、原料仮焼粉として噴霧焙焼法によ
り得られる平均一次粒径0.1μm以下の超極微細粉を
用い、これに対してV2O5単独、あるいはV2O5に
K2OまたはLi2Oを添加して、焼結性を改善した場
合に、目的とする極微細粒焼結体が、非常に安価に得ら
れることを見出し、本発明を完成させるに至ったのであ
る。
め、本発明者等は、特に、原料仮焼粉および低温での緻
密化および特性の改善に効果がある添加剤について鋭意
研究した。その結果、原料仮焼粉として噴霧焙焼法によ
り得られる平均一次粒径0.1μm以下の超極微細粉を
用い、これに対してV2O5単独、あるいはV2O5に
K2OまたはLi2Oを添加して、焼結性を改善した場
合に、目的とする極微細粒焼結体が、非常に安価に得ら
れることを見出し、本発明を完成させるに至ったのであ
る。
【0005】本発明は、以下の事項を要旨とするもので
ある。 (1)主成分組成がFe2O3 50〜55モル%、M
nO 30〜45モル%、ZnO 5〜20モル%、微
量添加元素としてSiO2 100〜1000ppm、
CaO 500〜3000ppm、V2O5 100〜
5000ppmを含有した、焼結密度が4.8g/cm
3 以上、平均結晶粒径が2μm以下であるMn−Zn系
ソフトフェライ焼結体。 (2)Fe、MnおよびZnを塩化物溶液の形で混合
し、これを噴霧焙焼して得られる平均一次粒径0.1μ
m以下のFe2O3 50〜55モル%、MnO30〜
45モル%、ZnO 5〜20モル%の組成を有するM
n−Zn系ソフトフェライト原料粉に対し、SiO2
100〜1000ppm、CaO 500〜3000p
pm、V2O5 100〜5000ppmを混合後、直
接、造粒成形を施し、1100℃以下の温度で常圧焼結
して得られる、焼結体密度4.8g/cm3 以上、平均
結晶粒径が2μm以下のMn−Zn系ソフトフェライト
焼結体の製造方法。 (3)主成分組成がFe2O3 50〜55モル%、M
nO 30〜45モル%、ZnO 5〜20モル%、微
量添加元素としてSiO2 100〜1000ppm、
CaO 500〜3000ppm、V2O5 100〜
5000ppmを含み,更にK2OおよびLi2Oのう
ち少なくとも一種を100〜2000ppm含有し、焼
結密度が4.85g/cm3 以上、平均結晶粒径が2μ
m以下であるMn−Zn系ソフトフェライ焼結体。 (4)Fe、MnおよびZnを塩化物溶液の形で混合
し、これを噴霧焙焼して得られる平均一次粒径0.1μ
m以下のFe2O3 50〜55モル%、MnO30〜
45モル%、ZnO 5〜20モル%の組成を有するM
n−Zn系ソフトフェライト原料粉に対し、SiO2
100〜1000ppm、CaO 500〜3000p
pm、V2O5 100〜2000ppmを添加し、更
にカリウム化合物およびリチウム化合物のうち少なくと
も一種を酸化物換算で100〜2000ppm添加、混
合後、直接、造粒成形を施し、1100℃以下の温度で
常圧焼結して得られる、焼結体密度4.85g/cm3
以上、平均結晶粒径が2μm以下のMn−Zn系ソフト
フェライト焼結体の製造方法。
ある。 (1)主成分組成がFe2O3 50〜55モル%、M
nO 30〜45モル%、ZnO 5〜20モル%、微
量添加元素としてSiO2 100〜1000ppm、
CaO 500〜3000ppm、V2O5 100〜
5000ppmを含有した、焼結密度が4.8g/cm
3 以上、平均結晶粒径が2μm以下であるMn−Zn系
ソフトフェライ焼結体。 (2)Fe、MnおよびZnを塩化物溶液の形で混合
し、これを噴霧焙焼して得られる平均一次粒径0.1μ
m以下のFe2O3 50〜55モル%、MnO30〜
45モル%、ZnO 5〜20モル%の組成を有するM
n−Zn系ソフトフェライト原料粉に対し、SiO2
100〜1000ppm、CaO 500〜3000p
pm、V2O5 100〜5000ppmを混合後、直
接、造粒成形を施し、1100℃以下の温度で常圧焼結
して得られる、焼結体密度4.8g/cm3 以上、平均
結晶粒径が2μm以下のMn−Zn系ソフトフェライト
焼結体の製造方法。 (3)主成分組成がFe2O3 50〜55モル%、M
nO 30〜45モル%、ZnO 5〜20モル%、微
量添加元素としてSiO2 100〜1000ppm、
CaO 500〜3000ppm、V2O5 100〜
5000ppmを含み,更にK2OおよびLi2Oのう
ち少なくとも一種を100〜2000ppm含有し、焼
結密度が4.85g/cm3 以上、平均結晶粒径が2μ
m以下であるMn−Zn系ソフトフェライ焼結体。 (4)Fe、MnおよびZnを塩化物溶液の形で混合
し、これを噴霧焙焼して得られる平均一次粒径0.1μ
m以下のFe2O3 50〜55モル%、MnO30〜
45モル%、ZnO 5〜20モル%の組成を有するM
n−Zn系ソフトフェライト原料粉に対し、SiO2
100〜1000ppm、CaO 500〜3000p
pm、V2O5 100〜2000ppmを添加し、更
にカリウム化合物およびリチウム化合物のうち少なくと
も一種を酸化物換算で100〜2000ppm添加、混
合後、直接、造粒成形を施し、1100℃以下の温度で
常圧焼結して得られる、焼結体密度4.85g/cm3
以上、平均結晶粒径が2μm以下のMn−Zn系ソフト
フェライト焼結体の製造方法。
【0006】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
によれば、2μm以下の極微細な結晶粒径を有する焼結
体が容易に作製でき、MHz領域での渦電流損失を大幅
に低減したフェライトコアの製造が可能となる。
によれば、2μm以下の極微細な結晶粒径を有する焼結
体が容易に作製でき、MHz領域での渦電流損失を大幅
に低減したフェライトコアの製造が可能となる。
【0007】本発明においてV2O5単独、あるいはV
2O5にK2OまたはLi2Oを添加するのは、これら
の添加剤が比較的低温で液相を生成し、緻密化を促進す
るためである。特に、V2O5−K2O系、V2O5−
Li2O系を使用した場合には、1000℃以下という
低温で焼成したときでも緻密化が可能となるため、条件
によっては結晶粒径が0.3〜1.0μmという非常に
微細な焼結体を得ることも可能である。さらに、これら
の添加剤は、粒界に析出して高抵抗化し、渦電流損失を
下げ、高周波における電力損失を改善する効果もある。
2O5にK2OまたはLi2Oを添加するのは、これら
の添加剤が比較的低温で液相を生成し、緻密化を促進す
るためである。特に、V2O5−K2O系、V2O5−
Li2O系を使用した場合には、1000℃以下という
低温で焼成したときでも緻密化が可能となるため、条件
によっては結晶粒径が0.3〜1.0μmという非常に
微細な焼結体を得ることも可能である。さらに、これら
の添加剤は、粒界に析出して高抵抗化し、渦電流損失を
下げ、高周波における電力損失を改善する効果もある。
【0008】これらの添加剤の量を特定範囲に限定した
のは、上記範囲よりも含有量が少ない場合には、緻密化
の促進効果が少なく、一方含有量が多い場合には粒成長
が促進され、結晶粒径が大きくなるとともに、電力損失
が悪化するためである。K2O、Li2Oを添加する場
合には、焼成後に酸化物に変化する化合物であれば、炭
酸塩、硝酸塩等、どのような化合物を使用しても良い。
なお、SiO2とCaOは、互いの共存化において粒界
の比抵抗を高め、電力損失を低下させる成分として知ら
れるが、本発明の微細粒径焼結体ではこれらの添加量を
特性を悪化させない範囲で比較的多めに添加することが
必要である。
のは、上記範囲よりも含有量が少ない場合には、緻密化
の促進効果が少なく、一方含有量が多い場合には粒成長
が促進され、結晶粒径が大きくなるとともに、電力損失
が悪化するためである。K2O、Li2Oを添加する場
合には、焼成後に酸化物に変化する化合物であれば、炭
酸塩、硝酸塩等、どのような化合物を使用しても良い。
なお、SiO2とCaOは、互いの共存化において粒界
の比抵抗を高め、電力損失を低下させる成分として知ら
れるが、本発明の微細粒径焼結体ではこれらの添加量を
特性を悪化させない範囲で比較的多めに添加することが
必要である。
【0009】本発明において原料仮焼粉の平均一次粒径
を0.1μm以下としたのは、粒径がこれより大きな仮
焼粉を原料にした場合には、焼結性が悪くなり焼成密度
が低くなったり、最終的に得られる焼結体の結晶粒径が
大きくなるためである。なお、原料粉の製造方法として
噴霧焙焼法ではなく水熱合成法などの湿式法を用いても
同等の微細な原料粉を得ることができるが、噴霧焙焼法
に比べ、製造コストが非常に高くなる問題がある。ま
た、通常の固相法で得られた仮焼粉を過度に粉砕するこ
とによって、微細粉を製造する方法もあるが、粒度分布
が広くなったり、粉砕によるコンタミが混入して特性が
悪化する。更に、組成の不均一性により粒成長が起こり
やすくなり、本発明の微細粒焼結体を得ることが難しく
なる。
を0.1μm以下としたのは、粒径がこれより大きな仮
焼粉を原料にした場合には、焼結性が悪くなり焼成密度
が低くなったり、最終的に得られる焼結体の結晶粒径が
大きくなるためである。なお、原料粉の製造方法として
噴霧焙焼法ではなく水熱合成法などの湿式法を用いても
同等の微細な原料粉を得ることができるが、噴霧焙焼法
に比べ、製造コストが非常に高くなる問題がある。ま
た、通常の固相法で得られた仮焼粉を過度に粉砕するこ
とによって、微細粉を製造する方法もあるが、粒度分布
が広くなったり、粉砕によるコンタミが混入して特性が
悪化する。更に、組成の不均一性により粒成長が起こり
やすくなり、本発明の微細粒焼結体を得ることが難しく
なる。
【0010】次に、本発明で原料に噴霧焙焼粉を使用
し、容易に微細粒焼結体が得られる理由について説明す
る。従来、仮焼粉では、一次粒子が焼結によって結合し
た粒子形状となるが、このような硬い凝集は成形後も取
り除かれないため、成形性が悪くなったり、粒子間に比
較的大きな細孔を生じ、焼成後に気孔が多くできるた
め、焼成密度が低くなる。また、焼成時に結合部分の粒
成長が優先的に起こって、その部分の結晶粒径が大きく
なり、不均一な微細組織になる。一方、本発明の噴霧焙
焼粉では、個々の一次粒子が単独で存在するので、成形
性が良く、また焼結も均一に起こる。更に、このような
微細結晶粒の焼結体を得るには、初期の焼結挙動が重要
であり、粉の組成の均一性が影響する。噴霧焙焼粉は通
常法に比べて、ミクロな化学組成が極めて均一であるた
め、局所的な粒成長を生じることなく、粒成長が均一に
起こり、最終的に得られるコアの結晶粒径が極微細で均
一な組織になる。
し、容易に微細粒焼結体が得られる理由について説明す
る。従来、仮焼粉では、一次粒子が焼結によって結合し
た粒子形状となるが、このような硬い凝集は成形後も取
り除かれないため、成形性が悪くなったり、粒子間に比
較的大きな細孔を生じ、焼成後に気孔が多くできるた
め、焼成密度が低くなる。また、焼成時に結合部分の粒
成長が優先的に起こって、その部分の結晶粒径が大きく
なり、不均一な微細組織になる。一方、本発明の噴霧焙
焼粉では、個々の一次粒子が単独で存在するので、成形
性が良く、また焼結も均一に起こる。更に、このような
微細結晶粒の焼結体を得るには、初期の焼結挙動が重要
であり、粉の組成の均一性が影響する。噴霧焙焼粉は通
常法に比べて、ミクロな化学組成が極めて均一であるた
め、局所的な粒成長を生じることなく、粒成長が均一に
起こり、最終的に得られるコアの結晶粒径が極微細で均
一な組織になる。
【0011】本発明で用いる噴霧焙焼粉は、Fe、Mn
およびZnを塩化物溶液の形で混合したものを焙焼して
得られるが、その際の焙焼時の溶液には、必ず3成分を
含んでいることが必須である。例えば、1成分、2成分
のみを噴霧焙焼により製造し、その後で残り成分を混合
する等の方法をとった場合は、組成の不均一性や、焼成
時の反応の不完全性により特性が悪化する。
およびZnを塩化物溶液の形で混合したものを焙焼して
得られるが、その際の焙焼時の溶液には、必ず3成分を
含んでいることが必須である。例えば、1成分、2成分
のみを噴霧焙焼により製造し、その後で残り成分を混合
する等の方法をとった場合は、組成の不均一性や、焼成
時の反応の不完全性により特性が悪化する。
【0012】なお、噴霧焙焼粉を用いてフェライトコア
を製造する報告はいくつかの例があるが、特願平4−1
50656号の「高周波ソフトフェライト焼結体の製造
方法」あるいは特開平4−213805号公報の「複合
型ソフト磁心及びその製造方法」に開示されているよう
に、焙焼後の微小粉を400〜1100℃あるいは80
0℃以上の温度で熱処理して粒径を大きくした後、成形
を行うのが通常である。従って、微小粉に対して直接造
粒成形を施すことも、本発明の1つの特徴と言える。
を製造する報告はいくつかの例があるが、特願平4−1
50656号の「高周波ソフトフェライト焼結体の製造
方法」あるいは特開平4−213805号公報の「複合
型ソフト磁心及びその製造方法」に開示されているよう
に、焙焼後の微小粉を400〜1100℃あるいは80
0℃以上の温度で熱処理して粒径を大きくした後、成形
を行うのが通常である。従って、微小粉に対して直接造
粒成形を施すことも、本発明の1つの特徴と言える。
【0013】本焼結体を得る際、焼成温度を1100℃
以下としたのは、これより高い温度で焼成した場合には
粒成長が激しく起こり、結晶粒径が2μmより大きくな
ってしまうからである。
以下としたのは、これより高い温度で焼成した場合には
粒成長が激しく起こり、結晶粒径が2μmより大きくな
ってしまうからである。
【0014】
【実施例】以下、本発明を具体的実施例に基いてさらに
説明する。噴霧焙焼により得られたFe2O3 53.
2モル%、MnO 36.5モル%、ZnO 10.3
モル%の主成分組成を有し、これにSiO2 500p
pm、CaO 1000ppm、および所定量のV2O
5、K2CO3、Li2CO3を添加した平均粒径が約
400オングストロームのフェライト仮焼粉を製造し
た。バインダーとしてPVAを1.0wt%加えて造粒
した後、外径29mm、内径18mm、高さ7mmのリ
ング状に成形した。この成形体を酸素分圧を制御した窒
素雰囲気中で、900〜1100℃で焼成した。
説明する。噴霧焙焼により得られたFe2O3 53.
2モル%、MnO 36.5モル%、ZnO 10.3
モル%の主成分組成を有し、これにSiO2 500p
pm、CaO 1000ppm、および所定量のV2O
5、K2CO3、Li2CO3を添加した平均粒径が約
400オングストロームのフェライト仮焼粉を製造し
た。バインダーとしてPVAを1.0wt%加えて造粒
した後、外径29mm、内径18mm、高さ7mmのリ
ング状に成形した。この成形体を酸素分圧を制御した窒
素雰囲気中で、900〜1100℃で焼成した。
【0015】このようにして得られた焼結体の密度と平
均結晶粒径を比較例とともに、表1に示す。
均結晶粒径を比較例とともに、表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】本発明によれば、900〜1000℃とい
う低温で焼成した場合でも密度が高い焼結体が得られる
ことが分る。なお、本発明で得られた焼結体の電力損失
は、例えば1MHz−50mT、60〜100℃で15
0〜300KW/m3 という低い値を有していることが
確認された。
う低温で焼成した場合でも密度が高い焼結体が得られる
ことが分る。なお、本発明で得られた焼結体の電力損失
は、例えば1MHz−50mT、60〜100℃で15
0〜300KW/m3 という低い値を有していることが
確認された。
【0018】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば微細結晶
粒からなる高密度のソフトフェライト焼結体を容易に製
造することができ、高周波、特にMHz領域での電力損
失に優れたソコアが得られるため、高周波トランスの小
型化に極めて有効である。
粒からなる高密度のソフトフェライト焼結体を容易に製
造することができ、高周波、特にMHz領域での電力損
失に優れたソコアが得られるため、高周波トランスの小
型化に極めて有効である。
フロントページの続き (72)発明者 山 名 芳 隆 東京都千代田区大手町二丁目6番3号 新 日本製鐵株式会社内
Claims (4)
- 【請求項1】主成分組成がFe2O3 50〜55モル
%、MnO 30〜45モル%、ZnO 5〜20モル
%および微量添加元素としてSiO2 100〜100
0ppm、CaO 500〜3000ppm、V2O5
100〜5000ppmを含有した、焼結密度が4.
8g/cm3 以上、平均結晶粒径が2μm以下であるM
n−Zn系ソフトフェライト焼結体。 - 【請求項2】Fe、MnおよびZnを塩化物溶液の形で
混合し、これを噴霧焙焼して得られる平均一次粒径0.
1μm以下のFe2O3 50〜55モル%、MnO
30〜45モル%、ZnO 5〜20モル%の組成を有
するMn−Zn系ソフトフェライト原料粉に対し、Si
O2 100〜1000ppm、CaO 500〜30
00ppm、V2O5 100〜5000ppmを混合
した後、直接、造粒成形を施し、1100℃以下の温度
で常圧焼結して得られる、焼結体密度4.8g/cm3
以上、平均結晶粒径が2μm以下のMn−Zn系ソフト
フェライト焼結体の製造方法。 - 【請求項3】主成分組成がFe2O3 50〜55モル
%、MnO 30〜45モル%、ZnO 5〜20モル
%および微量添加元素としてSiO2 100〜100
0ppm、CaO 500〜3000ppm、V2O5
100〜5000ppmを含み,更にK2OおよびL
i2Oのうち、少なくとも一種を100〜2000pp
m含有し、焼結密度が4.85g/cm3 以上、平均結
晶粒径が2μm以下であるMn−Zn系ソフトフェライ
焼結体。 - 【請求項4】Fe、MnおよびZnを塩化物溶液の形で
混合し、これを噴霧焙焼して得られる平均一次粒径0.
1μm以下のFe2O3 50〜55モル%、MnO
30〜45モル%、ZnO 5〜20モル%の組成を有
するMn−Zn系ソフトフェライト原料粉に対し、Si
O2 100〜1000ppm、CaO 500〜30
00ppm、V2O5 100〜2000ppmを添加
し、更にカリウム化合物およびリチウム化合物のうち、
少なくとも一種を酸化物換算で100〜2000ppm
添加し、混合した後、直接、造粒成形を施し、1100
℃以下の温度で常圧焼結して得られる、焼結体密度4.
85g/cm3 以上、平均結晶粒径が2μm以下のMn
−Zn系ソフトフェライト焼結体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5122700A JPH06333724A (ja) | 1993-05-25 | 1993-05-25 | 微細結晶粒を有するフェライト焼結体およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP5122700A JPH06333724A (ja) | 1993-05-25 | 1993-05-25 | 微細結晶粒を有するフェライト焼結体およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06333724A true JPH06333724A (ja) | 1994-12-02 |
Family
ID=14842453
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5122700A Pending JPH06333724A (ja) | 1993-05-25 | 1993-05-25 | 微細結晶粒を有するフェライト焼結体およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06333724A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004002110A (ja) * | 2002-05-31 | 2004-01-08 | Sanyo Electric Co Ltd | 磁性セラミック焼結体及びその製造方法 |
KR100485044B1 (ko) * | 1997-11-04 | 2005-11-11 | 삼화전자공업 주식회사 | 소프트페라이트코어제조방법 |
JP2010076962A (ja) * | 2008-09-25 | 2010-04-08 | Tdk Corp | MnZnLi系フェライト |
CN102360916A (zh) * | 2011-08-12 | 2012-02-22 | 山东凯通电子有限公司 | 宽频高导锰锌铁氧体磁芯的制造方法 |
-
1993
- 1993-05-25 JP JP5122700A patent/JPH06333724A/ja active Pending
Cited By (5)
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JP4623183B2 (ja) * | 2008-09-25 | 2011-02-02 | Tdk株式会社 | MnZnLi系フェライト |
CN102360916A (zh) * | 2011-08-12 | 2012-02-22 | 山东凯通电子有限公司 | 宽频高导锰锌铁氧体磁芯的制造方法 |
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