JP2022001445A - 熱転写シート - Google Patents
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Description
本開示の印画物の製造方法および熱転写シートに関する第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態の転写箔10の構成を説明する断面図である。図2は、本実施形態の熱転写シート20の構成を説明する断面図であり、図3は、当該熱転写シート20の構成を説明する平面図である。以下、転写箔10および熱転写シート20の構成および印画物の製造方法に係る各工程について説明する。
図1に示すように、転写箔10は、支持体1の一方の面上に転写層4が積層されて形成されている。本実施形態では、転写層4は、支持体1に近い側から順に剥離層2および受容層3が積層された中間転写媒体10である。ただし、転写箔10はこのような中間転写媒体に限らず、例えば転写層4として保護層を有する保護層転写シートであってもよい。保護層転写シートとして使用する場合については後述する。
中間転写媒体10の支持体1は、材料としての限定は特にはなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリアミド、ポリメチルペンテン等のプラスチックの延伸または未延伸フィルム等を使用できる。また、これらのうち、2種以上の材料のアロイ、または、積層をしたものを使用してもよい。
中間転写媒体10の転写層4は、受容層3を含んでおり、受容層3は、支持体1から最も遠くに積層されている。中間転写媒体10は支持体1および受容層3のみの構成であってもよく、支持体1と受容層3の間に複数の異なる材料の層を設けてもよいが、通常は、支持体1と受容層3の間に、受容層3の転写性を向上させるために剥離層2が設けられることが多い。以下、受容層3および剥離層2について説明する。
中間転写媒体10の転写層4を構成する受容層3は、材料としての限定は特にはなく、中間転写媒体に用いるものとして公知の受容層を適宜選択して用いることができる。例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはポリアクリル酸エステル等のビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、エチレンもしくはプロピレン等のオレフィンと他のビニルポリマーとの共重合体、アイオノマーもしくはセルロースジアスターゼ等のセルロース樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂等の溶剤系の樹脂を使用できる。この中では、ポリエステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を用いることが好ましく、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を用いることがさらに好ましい。また、受容層3は、上記に挙げた単一の材料を含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
中間転写媒体10の転写層4には、転写層4の転写性または剥離性を向上させるために剥離層2を含んでもよい。剥離層2は、支持体1と受容層3とに挟まれた位置に積層されている。剥離層2の材料としては、例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂、熱架橋性エポキシ−アミノ樹脂及び熱架橋性アルキッド−アミノ樹脂等を使用できる。また、剥離層2は、上記に挙げた単一の材料を含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
図2に示すように、熱転写シート20は、基材5の一方の面上にヒートシール層14が設けられており、かつ、基材5の他方の面上に背面層6が設けられた構成をとる。以下、熱転写シート20の構成について説明する。
熱転写シート20の基材5は、材料としての限定は特にはなく、例えば、グラシン紙、コンデンサー紙またはパラフィン紙等の薄紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトンもしくはポリエーテルサルフォン等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテンまたはアイオノマー等のプラスチックの延伸または未延伸フィルムを使用できる。また、基材5は、上記に挙げた単一の材料を含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
基材5の、ヒートシール層14が積層されている面とは反対側の面に当該背面層6を形成することにより、熱転写工程におけるサーマルヘッド等との粘着を防止するとともに、滑り性を向上させることができる。
ヒートシール層14は、基材5の一方の面に形成された、加熱により溶融、或いは軟化し、転写層4上に転写可能となる層である。さらに本開示のヒートシール層14は、所定温度以上に加熱した場合には、大きく熱膨張する熱膨張領域を有している。当該熱膨張領域は、本実施形態ではヒートシール層14の全体に均一に配置されているが、後述する変形例等に記載するように、ヒートシール層が多層構造であって、その一部の層だけに熱膨張領域が形成されていてもよい。また、同一層の中で特定範囲にのみ熱膨張領域が配置されるようにしてもよい。
また、図3に示すように、熱転写シート20は、図2で説明したヒートシール層14が配置された面に隣接して、基材5の同一面上に、色相が異なる複数の色材層15を面順次に設けてもよい。本実施形態では、イエロー色材層(Y)、マゼンタ色材層(M)、シアン色材層(C)から構成された色材層15と、ヒートシール層14が面順次に設けられている。なお、これらの色材層15は、色材、バインダー樹脂を含有している。色材、バインダー樹脂は、昇華型熱転写シートの分野で従来公知のものを適宜選択して用いることができる。
次に、第1実施形態の印画物の製造方法について、図を参照しながら説明する。
本実施形態の転写箔の準備工程は、図1に示すように、支持体1の一方の面上に転写層4を構成する剥離層2および受容層3がこの順に積層された転写箔10である中間転写媒体10を準備する工程である。支持体1並びに転写層4を構成する剥離層2および受容層
3の材料構成は上述したとおりであるが、剥離層2は必須ではなく、また、剥離層2以外の他の層が支持体1および受容層3の間にさらに追加されていてもよい。
本実施形態の熱転写シートの準備工程は、図2および図3に示すように、基材5の一方の同一面上に、ヒートシール層14および色相が異なる複数の色材層15が同一面上に面順次に設けられ、かつ、基材5の他方の面上に背面層6が設けられた熱転写シート20を準備する工程である。色材層15は単色のみの層であってもよい。また、ヒートシール層14は、上述したとおり、加熱によって溶融して転写層4に転写可能となる性質と、所定温度以上の加熱によって熱膨張する性質とを併せ持つものである。
本実施形態のヒートシール層の転写工程について、図4に基づき説明する。図4(a)は、転写箔10である中間転写媒体10と熱転写シート20とを重ねて、熱転写シート20の背面層6側からサーマルヘッド31により加熱し、ヒートシール層14の一部を中間転写媒体10側に転写する工程を説明する図である。また、図4(b)は、当該工程後に、ヒートシール層14の一部14Aが、中間転写媒体10の受容層3の一部の領域に転写された状態を示す図である。
本実施形態の転写層の転写工程について、図5に基づき説明する。図5(a)は、図4(b)に示すヒートシール層14の選択領域7をカード等の被転写体17に転写する工程を説明する図である。また、図5(b)は、被転写体17に選択領域7が転写されたことを示す図である。
次に、第2実施形態について説明する。図6は、第2実施形態の熱転写シートの構成を説明する平面図である。図7は、本実施形態の転写箔10、熱転写シート20Aの構成および工程を説明する断面図である。以下、転写箔10および熱転写シート20Aの構成および印画物の製造方法に係る各工程について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図7(a)に示すように、転写箔10は、第1実施形態と同様の構成である中間転写媒体10であるため、詳細の説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態の熱転写シート20Aは、第1実施形態の熱転写シート20におけるヒートシール層14の代わりにピールオフ層24が設けられている点が、第1実施形態とは異なる。その他、ピールオフ層24が配置された面に隣接して、基材5の同一面上に、色相が異なる複数の色材層15を面順次に設けられてもよいことは第1実施形態の構成と同じである。また、図7(a)に示すとおり、熱転写シート20Aは、基材5の一方の面上にピールオフ層24が設けられており、かつ、基材5の他方の面上に背面層6が設けられた構成をとる。ピールオフ層24について、以下に説明する。
ピールオフ層24は、本実施形態において、中間転写媒体10の転写層4である剥離層2および受容層3の一部を除去するための層である。さらに本実施形態のピールオフ層24は、第1実施形態におけるヒートシール層14と同様に、所定温度以上に加熱した場合には熱膨張する熱膨張領域を有している。当該熱膨張領域は、本実施形態ではピールオフ層24の全体に均一に配置されているが、後述する変形例等に記載するように、ピールオフ層が多層構造であって、その一部の層だけに熱膨張領域が形成されていてもよい。また、同一層の中で特定範囲にのみ熱膨張領域が配置されるようにしてもよい。
次に、第2実施形態の印画物の製造方法について、図を参照しながら説明する。
本実施形態の転写箔の準備工程は、図7(a)に示すように、支持体1の一方の面上に転写層4を構成する剥離層2および受容層3がこの順に積層された転写箔10である中間転写媒体10を準備する工程であり、第1実施形態と同様である。
本実施形態の熱転写シートの準備工程は、図6および図7(a)に示すように、基材5の一方の同一面上に、ピールオフ層24および色相が異なる複数の色材層15が同一面上に面順次に設けられ、かつ、基材5の他方の面上に背面層6が設けられた熱転写シート20Aを準備する工程である。ピールオフ層24は、上述したとおり、加熱によって転写層4と接着し、当該転写層4の一部を除去できる性質と、所定温度以上の加熱によって熱膨張する性質とを併せ持つものである。
本実施形態の除去工程について、図7(a)、(b)に基づき説明する。まず、図7(a)に示すとおり、熱転写シート20Aと転写箔10である中間転写媒体10とを、ピールオフ層24の面と受容層3の面とが当接するように重ねる。ただし、両者は完全に押し付ける程度に重ねる必要はなく、ほとんど過重負荷が掛からない程度に当接しているか、あるいは微小な隙間を有して配置されていてもよい。
本実施形態の転写層の転写工程について、図7(b)、(c)に基づき説明する。図7(b)のように、除去領域8が除去された中間転写媒体10を、第1実施形態における図5(a)に図示するものと同様な方法で、被転写体17と重ねてヒートローラ32および加圧ローラ33の間に順次送り込み、所定の熱圧が加える。
次に、第3実施形態について説明する。図8は、第3実施形態の熱転写シートのバリエーションを示す断面図である。図9は、本実施形態の熱転写シートの構成を説明する平面図である。図10は、本実施形態のヒートシール層の転写工程を説明する図であり、図11は、本実施形態の除去工程および転写層の転写工程を説明する図である。また、図12は、本実施形態の印画物のバリエーションを示す図である。以下、転写箔および熱転写シートの構成および印画物の製造方法に係る各工程について、第1および第2実施形態との相違点を中心に説明する。
図10(a)に示すように、転写箔10は、第1、第2実施形態と同様の構成である中間転写媒体10であるため、詳細の説明を省略する。
本実施形態の熱転写シートには、(1)基材5の同一面上に、ピールオフ層24Bと、所定温度の加熱により膨張することが可能な熱膨張領域を含むヒートシール層14と、が設けられた熱転写シート20Bで構成される場合、または、(2)第1の基材5Aの一方の面上に所定温度の加熱により膨張することが可能な熱膨張領域を含むヒートシール層14が設けられた第1熱転写シート25と、第2の基材5Bの一方の面上にピールオフ層24Bが設けられた第2熱転写シート26と、から構成される場合の二通りがある。基材5、第1の基材5Aおよび第2の基材5Bのヒートシール層14またはピールオフ層24Bとは反対側の面には、それぞれ背面層6、6Aおよび6Bが積層されている。
本実施形態のヒートシール層14は、第1実施形態のものと同様の構成であればよく、加熱によって溶融して転写層4に転写可能となる性質と、所定温度以上の加熱によって熱膨張する性質とを併せ持つことが満たされていればよい。このため、上述のような熱溶融させるための成分と、所定温度以上で熱膨張する成分とを混合した構成とすることができ、あるいは、両者を別の層として形成し、これらの積層体とした構成としてもよい。
本実施形態のピールオフ層24Bは第2実施形態のピールオフ層24とは、所定温度以上に加熱した場合に熱膨張する熱膨張領域を有していない点で異なる。本実施形態では、ヒートシール層14に熱膨張領域を持たせていることから、ピールオフ層24Bには、中間転写媒体10の転写層4の一部を除去する性能のみを考慮した材料選定を行えばよい。このようなピールオフ層24の成分については第2実施形態において例示したものが使用できる。ただし、ヒートシール層14と同様に、ピールオフ層24Bとして熱膨張領域を持たせたピールオフ層24と同様の仕様のものを使用してもよい。
第3実施形態の印画物の製造方法について、図を参照しながら説明する。
本実施形態の転写箔の準備工程は、図10(a)に示すように、支持体1の一方の面上に転写層4を構成する剥離層2および受容層3がこの順に積層された転写箔10である中間転写媒体10を準備する工程であり、第1、第2実施形態と同様である。
本実施形態の熱転写シートの準備工程は、前述のとおり、図8(a)および図9に示す、(1)基材5の同一面上に、所定温度の加熱により膨張することが可能な熱膨張領域を含むヒートシール層14と、熱膨張領域を含まないピールオフ層24Bと、が設けられた熱転写シート20Bを準備する場合と、図8(b)、(c)に示す、(2)第1の基材5Aの一方の面上に所定温度の加熱により膨張することが可能な熱膨張領域を含むヒートシール層14が設けられた第1熱転写シート25と、第2の基材5Bの一方の面上にピールオフ層24Bが設けられた第2熱転写シート26と、を準備する場合とに分かれる。
本実施形態のヒートシール層の転写工程について、熱転写シート20Bを使用した場合について、図10に基づき説明する。まず、図10(a)のように、中間転写媒体10と熱転写シート20Bとを重ねて、熱転写シート20Bの背面側からサーマルヘッド31により加熱し、ヒートシール層14の一部または全部を中間転写媒体10側に転写する。中間転写媒体10の受容層3には、あらかじめ、熱転写シート20Bの色材層15の各色相面が重ねられ、サーマルヘッド31による所定位置への加熱が各色相ごとに繰り返されることによって、所定の熱転写画像16が形成されている。
本実施形態の除去工程について、図11(a)、(b)、(c)に基づき説明する。まず、図11(a)に示すとおり、熱転写シート20Bと中間転写媒体10とを、ピールオフ層24Bの面と受容層3の面とが当接するように重ねる。ただし、両者は完全に押し付ける程度に重ねる必要はなく、中間転写媒体10の表面に転写されたヒートシール層14の凸部である一部14Aが、ピールオフ層24Bと密着する程度に配置されていればよい。
本実施形態の転写層の転写工程について、図11(b)、(c)に基づき説明する。図11(b)のように、転写層4Aが除去された中間転写媒体10を、第1実施形態における図5(a)に図示するものと同様な方法で、被転写体17と重ねてヒートローラ32および加圧ローラ33の間に順次送り込み、所定の熱圧を加える。これによって、あらかじめ除去領域8として除去された領域以外の転写層4が、被転写体17に転写される。
次に、第4実施形態について説明する。図13は、第4実施形態の中間転写媒体の準備工程および熱転写画像の形成工程を説明する断面図である。図14は、本実施形態の除去工程および転写層の転写工程を説明する図である。
図13(a)に示すように、転写箔10Bは、第1〜第3実施形態の転写箔10とは、転写層4Bの構成が異なる。この点について以下に説明する。
中間転写媒体10Bの転写層4Bは、受容層3Bを含んでおり、当該受容層3は、支持体1から最も遠くに積層されている。すなわち、受容層3は中間転写媒体10Bの一方の面を構成する支持体1に対して、他方の面を構成している。中間転写媒体10Bは支持体1および受容層3Bのみの構成であってもよく、支持体1と受容層3Bの間に複数の異なる材料の層を設けてもよいが、通常は、支持体1と受容層3Bの間に、受容層3Bの転写性を向上させるために剥離層2が設けられることが多い。以下、受容層3Bについて説明する。
中間転写媒体10Bの転写層4Bを構成する受容層3Bは、中間転写媒体に用いるものとして公知の受容層の成分に加え、第1実施形態のヒートシール層14や第2実施形態のピールオフ層24のように、所定温度以上に加熱した場合には、熱膨張する熱膨張領域を有している。当該熱膨張領域は、本実施形態では受容層3Bの全体に均一に配置されているが、受容層が多層構造であって、その一部の層だけに熱膨張領域が形成されていてもよい。また、同一層の中で特定範囲にのみ熱膨張領域が配置されるようにしてもよい。ただし、受容層3B自体が熱膨張領域を有していなくてもよく、例えば、中間転写媒体10Bの転写層4Bを、支持体1に近い側から剥離層2、保護層、受容層3Bの順に積層された構成としてもよい。この場合、受容層3Bではなく保護層に熱膨張領域が配置されるようにし、受容層3B自体は熱膨張しないものとすることができる。保護層としては、後述する変形例4に記載する保護層27に使用するものと同様の材料を選択してもよく、これ以外の材料を選択してもよい。以下の受容層3Bに関する説明は、すべて、上記の受容層3Bと隣接する保護層の説明に置き換えることができる。
本実施形態の熱転写シート20Cは、図3において、ヒートシール層14をピールオフ層24Bに置き換えた場合と同等の構成をとるものであり、基材5の同一面上に、例えば、イエロー色材層(Y)、マゼンタ色材層(M)、シアン色材層(C)から構成された色材層15と、ピールオフ層24Bとが面順次に配列されている。また、ピールオフ層24Bが配置されている領域の断面構成は、第3実施形態に挙げた、図8(c)に示す第2の基材5Bの一方の面上にピールオフ層24Bが設けられた第2熱転写シート26と同一の構造である。
第4実施形態の印画物の製造方法について、図を参照しながら説明する。
本実施形態の中間転写媒体の準備工程は、図13(a)に示すように、支持体1の一方の面上に転写層4Bを構成する剥離層2および受容層3Bがこの順に積層された転写箔10Bである中間転写媒体10Bを準備する工程である。受容層3Bには、所定温度以上に加熱した場合には、熱膨張する熱膨張領域を有している点が、第1〜第3実施形態の転写層4の受容層3とは異なる。
本実施形態の熱転写シートの準備工程は、第3実施形態の熱転写シート26と同様の構成の熱転写シートにおいて、基材5の同一面上に、色相が異なる複数の色材層15がさらに面順次に設けられた熱転写シート20Cを準備する工程である。
本実施形態の熱転写画像の形成工程について、図13に基づき説明する。まず、図13(a)のように、一方の表面が色材層15となっている熱転写シート20Cと、中間転写媒体10Bとを重ねて、熱転写シート20Cの背面側からサーマルヘッド31により加熱し、熱転写画像16を中間転写媒体10の転写層4Bである受容層3Bに転写する。複数の色相について行う場合は、熱転写シート20Cを順次移動させて、各色相ごとにサーマルヘッド31による加熱を繰り返して、所定の熱転写画像16を形成する。
本実施形態の除去工程について、図13(b)、(c)、図14(a)に基づき説明する。まず、図13(b)のように、熱転写シート20Cと中間転写媒体10Bとが当接した状態においてサーマルヘッド31を所定位置で加熱する。このとき、転写層4Bの除去したい領域である除去領域8に対応する位置でのみ、加熱を行うが、このときの加熱は、受容層3Bの熱膨張領域が大きく熱膨張を開始する所定温度以上の第2温度となるように調整されている。したがって、除去領域8の熱膨張領域のみが膨張し、受容層3Bの表面が凸上に突出する。
本実施形態の転写層の転写工程について、図14(a)、(b)、(c)に基づき説明する。図14(a)のように、除去領域8が除去された中間転写媒体10Bを、第1実施形態における図5(a)に図示するものと同様な方法で、被転写体17と重ねてヒートローラ32および加圧ローラ33の間に順次送り込み、所定の熱圧が加える。これによって、あらかじめ除去領域8として除去された領域以外の転写層4Bが、被転写体17に転写される。
その結果、被転写体17への転写層4Bの必要領域のみの転写が確実に行われることとなる。また、当該転写層4Bは、被転写体17への転写層4Bの転写の際に一部を熱膨張させることができ、表面に凹凸を有する意匠性の高い印画物18Eを製造できる。
上述した第1実施形態は、種々の変形や変更が可能であり、それらも本開示の範囲内である。下記に、幾つかの変形例を挙げる。
図15は、第1実施形態の印画物の製造方法において、ヒートシール層14Cが、所定温度の加熱によって膨張する第1ヒートシール層11と、加熱によってほとんど膨張しない第2ヒートシール層12の2層構成となっている熱転写シート20Dについての変形例1の工程を示す図である。
次に、図16に基づいて、第1実施形態の印画物の製造方法において、ヒートシール層14Dが、所定温度の加熱によって膨張する第1ヒートシール層11と、加熱によってほとんど膨張しない第2ヒートシール層12および第3ヒートシール層13の3層構成となっている熱転写シート20Eについての変形例2について説明する。
図17は、第2実施形態の印画物の製造方法において、ピールオフ層24が、所定温度の加熱によって膨張する第1ピールオフ層21と、ほとんど加熱によって膨張しない第2ピールオフ層22および第3ピールオフ層23の3層構成となっている熱転写シート20Fについての変形例3の工程を示す図である。
図18および図19は、第1実施形態の印画物の製造方法において、転写箔が中間転写媒体ではなく、保護層転写シート10Cである変形例4における工程を説明する図である。
図18(a)に示すように、転写箔10Cである保護層転写シート10Cは、支持体1の一方の面上に転写層4が積層されて形成されている。本変形例では、転写層4は、支持体1に近い側から順に保護層27および接着層28が積層されたものである。
(i)支持体
保護層転写シート10Cの支持体1は、材料としての限定は特にはなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等の各種プラスチックフィルムまたはシートを使用できる。また、支持体1は、上記に挙げた単一の材料を含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。
保護層転写シート10Cの保護層27は、材料としての限定は特にはなく、保護層転写シートの分野で公知の保護層を適宜選択できる。保護層27の成分として、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、紫外線吸収性樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリルウレタン樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂、これらの各樹脂の混合物、電離放射線硬化性樹脂、紫外線吸収性樹脂等を使用できる。その中では、アクリル樹脂、ポリエステル、塩化ビニル樹脂を用いることが好ましく、アクリル樹脂、ポリエステルを用いることがさらに好ましい。
(iii)接着層
接着層28は必ずしも必須ではないが、転写層4を被転写体17に転写したときの両者の密着性を向上させるために支持体1と保護層27の間に接着層28を含んでいてもよい。接着層28の成分として、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン─アクリル共重合体、ポリエステル、ポリアミド等を挙げることができる。
図18(b)に示すように、本変形例の保護層転写シート10Cは、第1実施形態の中間転写媒体10と同様に、熱転写シート20と重ねられる。ここで、保護層転写シート10Cの接着層28と熱転写シート20のヒートシール層14とが当接している。
表1に記載のとおり、背面層、ヒートシール層およびピールオフ層の組み合わせを変えた各種の熱転写シートを作成した。また、表2に記載のとおり、剥離層、保護層および受容層の組み合わせを変えた各種の中間転写媒体を作成した。以下、各熱転写シートおよび各中間転写媒体の詳細について説明する。
基材として、厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、当該基材の一方の面上に、下記組成のピールオフ層用塗工液1を乾燥時1μmの厚さとなるように塗布、乾燥しピールオフ層を形成した。また、基材の他方の面上に、下記組成の背面層用塗工液を乾燥時0.8μmの厚さとなるように塗布、乾燥し背面層を形成することでピールオフ層を有する熱転写シート1−1を得た。
・ポリエステル水分散体(固形分34%、Tg67℃) 15部
(バイロナール(登録商標)MD−1200 東洋紡(株))
・熱膨張性中空粒子 5部
(クレハマイクロスフェアー(登録商標)M330 (株)クレハ)
・水 80部
・ポリビニルブチラール 2部
(エスレック(登録商標)BX−1 積水化学工業(株))
・ポリイソシアネート 9.2部
(バーノック(登録商標)D750 DIC(株))
・リン酸エステル系界面活性剤 1.3部
(プライサーフ(登録商標)A208N 第一工業製薬(株))
・タルク 0.3部
(ミクロエース(登録商標)P−3 日本タルク工業(株))
・トルエン 43.6部
・メチルエチルケトン 43.6部
熱転写シート1−1のピールオフ層用塗工液1を下記組成のピールオフ層用塗工液2に変更した以外は、熱転写シート1−1と同様にして、熱転写シート1−2を得た。
・ポリエステル水分散体(固形分34%、Tg67℃) 15部
(バイロナール(登録商標)MD−1200 東洋紡(株))
・熱膨張性中空粒子 5部
(マツモトマイクロスフェアー(登録商標)F−30 松本油脂製薬(株))
・水 80部
熱転写シート1−1のピールオフ層用塗工液1を下記組成のピールオフ層用塗工液3に変更した以外は、熱転写シート1−1と同様にして、熱転写シート1−3を得た。
・ポリエステル水分散体(固形分34%、Tg67℃) 15部
(バイロナール(登録商標)MD−1200 東洋紡(株))
・熱膨張性中空粒子 5部
(マツモトマイクロスフェアー(登録商標)FN−80GS 松本油脂製薬(株))
・水 80部
熱転写シート1−1のピールオフ層用塗工液1を下記組成のピールオフ層用塗工液4に変更した以外は、熱転写シート1−1と同様にして、熱転写シート1−4を得た。
・ポリエステル水分散体(固形分34%、Tg67℃) 15部
(バイロナール(登録商標)MD−1200 東洋紡(株))
・熱膨張性中空粒子 5部
(マツモトマイクロスフェアー(登録商標)FN−80GS 松本油脂製薬(株))
・水 80部
熱転写シート1−1のピールオフ層用塗工液1を下記組成のピールオフ層用塗工液Aに変更した以外は、熱転写シート1−1と同様にして、熱転写シート1−Aを得た。
・ポリエステル水分散体(固形分34%、Tg67℃) 20部
(バイロナール(登録商標)MD−1200 東洋紡(株))
・水 80部
基材として、厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、当該基材の一方の面上に、下記組成のヒートシール層用塗工液1を乾燥時1μmの厚さとなるように塗布、乾燥しピールオフ層を形成した。また、基材の他方の面上に、上記組成の背面層用塗工液を乾燥時0.8μmの厚さとなるように塗布、乾燥し背面層を形成することでヒートシール層を有する熱転写シート2−1を得た。
・ポリエステル水分散体(固形分34%、Tg67℃) 15部
(バイロナール(登録商標)MD−1200 東洋紡(株))
・熱膨張性中空粒子 5部
(クレハマイクロスフェアー(登録商標)M330 (株)クレハ)
・水 80部
熱転写シート1−1のヒートシール層用塗工液1を下記組成のヒートシール層用塗工液2に変更した以外は、熱転写シート1−1と同様にして、熱転写シート1−2を得た。
・ポリエステル水分散体(固形分34%、Tg67℃) 15部
(バイロナール(登録商標)MD−1200 東洋紡(株))
・熱膨張性中空粒子 5部
(マツモトマイクロスフェアー(登録商標)F−30 松本油脂製薬(株))
・水 80部
熱転写シート1−1のヒートシール層用塗工液1を下記組成のヒートシール層用塗工液3に変更した以外は、熱転写シート1−1と同様にして、熱転写シート1−3を得た。
・ポリエステル水分散体(固形分34%、Tg67℃) 15部
(バイロナール(登録商標)MD−1200 東洋紡(株))
・熱膨張性中空粒子 5部
(マツモトマイクロスフェアー(登録商標)FN−80GS 松本油脂製薬(株))
・水 80部
熱転写シート1−1のヒートシール層用塗工液1を下記組成のヒートシール層用塗工液4に変更した以外は、熱転写シート1−1と同様にして、熱転写シート1−4を得た。
・ポリエステル水分散体(固形分34%、Tg67℃) 15部
(バイロナール(登録商標)MD−1200 東洋紡(株))
・熱膨張性中空粒子 5部
(マツモトマイクロスフェアー(登録商標)FN−80GS 松本油脂製薬(株))
・水 80部
基材として、厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、当該基材の一方の面上に、上記組成の背面用塗工液を乾燥時0.8μmの厚さとなるように塗布、乾燥し背面層を形成した。また、基材の他方の面上に、上記組成のヒートシール層用塗工液1、下記組成のピールオフ層用塗工液Bを、それぞれ乾燥時1μmの厚さとなるように塗布、乾燥して、ヒートシール層、ピールオフ層を面順次に形成し、ヒートシール層とピールオフ層とを有する熱転写シート3−1を得た。
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 10部
(ソルバイン(登録商標)C5R 日信化学工業(株))
・アクリル樹脂 10部
(ダイヤナール(登録商標)BR−83 三菱ケミカル(株))
・メチルエチルケトン(MEK) 80部
熱転写シート3−1のヒートシール層用塗工液1を上記組成のヒートシール層用塗工液2に変更した以外は、熱転写シート3−1と同様にして、熱転写シート3−2を得た。
熱転写シート3−1のヒートシール層用塗工液1を上記組成のヒートシール層用塗工液3に変更した以外は、熱転写シート3−1と同様にして、熱転写シート3−3を得た。
熱転写シート3−1のヒートシール層用塗工液1を上記組成のヒートシール層用塗工液4に変更した以外は、熱転写シート3−1と同様にして、熱転写シート3−4を得た。
熱転写シート3−1のヒートシール層用塗工液1を上記組成のヒートシール層用塗工液Aに変更した以外は、熱転写シート3−1と同様にして、熱転写シート3−Aを得た。
基材として、厚さ16μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、当該基材上に、下記組成の剥離層用塗工液1を乾燥時1μmの厚さとなるように塗布、乾燥し剥離層を形成した。次いで、当該剥離層上に下記組成の保護層用塗工液1を乾燥時5μmの厚さとなるように塗布、乾燥して保護層を形成した。さらに当該保護層上に下記組成の受容層用塗工液1を乾燥時1.5μmの厚さとなるように塗布、乾燥して受容層を形成することで、基材上に剥離層、保護層、受容層がこの順で積層された中間転写媒体1を得た。
・アクリル樹脂 29部
(ダイヤナール(登録商標)BR−87 三菱ケミカル(株))
・ポリエステル 1部
(バイロン(登録商標)200 東洋紡(株))
・メチルエチルケトン(MEK) 35部
・トルエン 35部
・ポリエステル 30部
(バイロン(登録商標)200 東洋紡(株))
・メチルエチルケトン 35部
・トルエン 35部
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 20部
(ソルバイン(登録商標)CNL 日信化学工業(株))
・シリコーンオイル 1部
(X−22−3000T 信越化学工業(株))
・メチルエチルケトン(MEK) 79部
中間転写媒体1の保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液2に変更した以外は、中間転写媒体1と同様にして、中間転写媒体2を得た。
・熱膨張性中空粒子 100部
(クレハマイクロスフェアー(登録商標)M330 (株)クレハ)
・水性ポリウレタン(固形分37%) 30部
(ネオステッカー(登録商標)400 日華化学(株))
・水 80部
中間転写媒体1の保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液3に変更した以外は、中間転写媒体1と同様にして、中間転写媒体3を得た。
・熱膨張性中空粒子 100部
(マツモトマイクロスフェアー(登録商標)F−30 松本油脂製薬(株))
・水性ポリウレタン(固形分37%) 30部
(ネオステッカー(登録商標)400 日華化学(株))
・水 80部
中間転写媒体1の保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液4に変更した以外は、中間転写媒体1と同様にして、中間転写媒体4を得た。
・熱膨張性中空粒子 100部
(マツモトマイクロスフェアー(登録商標)FN−80GS 松本油脂製薬(株))
・水性ポリウレタン(固形分37%) 30部
(ネオステッカー(登録商標)400 日華化学(株))
・水 80部
中間転写媒体1の保護層用塗工液1を下記組成の保護層用塗工液5に変更した以外は、中間転写媒体1と同様にして、中間転写媒体5を得た。
・熱膨張性中空粒子 100部
(エクスパンセル(登録商標)031−40 日本フィライト(株))
・水性ポリウレタン(固形分37%) 30部
(ネオステッカー(登録商標)400 日華化学(株))
・水 80部
表2に記載のとおり、熱転写シートと中間転写媒体との組み合わせを変えて、下記のプリンタ条件、被転写体条件で印画物を製造し、これらを実施例1〜16および比較例1、2とした。各実施例、比較例の詳細について説明する。
サーマルヘッド:KEE−57−12GAN2−STA(京セラ(株)製)
発熱体平均抵抗値:3303(Ω)
主走査方向印字密度:300(dpi)
副走査方向印字密度:300(dpi)
1ライン周期:2.0(msec.)
(条件1)印字開始温度:100(℃)
(条件2)印字開始温度:200(℃)
(再転写条件)
ラミネーター:ラミパッカーLPD3212(フジプラ社製)
温度:145℃
速度:0.8(設定値)
(カード基材の材料組成)
・ポリ塩化ビニルコンパウンド(重合度800) 100部
(安定化剤等の添加剤を約10%含有)
・白色顔料(酸化チタン) 10部
・可塑剤(DOP) 0.5部
表2の中間転写媒体および熱転写シートの組み合わせにて、上記プリンタ印字条件で255/255階調のエネルギーを条件2に従って印加して、熱転写シートのピールオフ層を加熱し、剥離層、保護層、受容層がこの順で積層されてなる転写層の一部の領域(以下、転写層の一部の領域のことを「所定領域」と言う)を取り除いた。さらに、所定領域を取り除いた中間転写媒体を被転写体である上記材料組成のカードと組み合わせて、上記プリンタの再転写条件にてヒートローラおよび加圧ローラで挟み込みながら加熱し、印画物を得た。
表2の中間転写媒体および熱転写シートの組み合わせにて、上記プリンタ印字条件で255/255階調のエネルギーを条件2に従って印加して、熱転写シートのヒートシール層の一部を加熱し、当該一部の領域(以下、転写層の一部の領域のことを「所定領域」と言う)を中間転写媚態の受容層に転写した。さらに、所定領域が転写された中間転写媒体を被転写体である上記材料組成のカードと組み合わせて、上記プリンタの再転写条件にてヒートローラおよび加圧ローラで挟み込みながら加熱し、印画物を得た。
表2の中間転写媒体および熱転写シートの組み合わせにて、上記プリンタ印字条件で255/255階調のエネルギーを条件1に従って印加して、まず、熱転写シートのヒートシール層を中間転写媒体の受容層上に転写した。次いで、ヒートシール層が転写された中間転写媒体と、上記で作成したピールオフ層を有する熱転写シートとを組み合わせ、上記プリンタ印字条件で255/255階調のエネルギーを条件2に従って印加して、剥離層、保護層、受容層がこの順で積層された転写層の一部の領域(以下、転写層の一部の領域のことを「所定領域」と言う)を取り除いた。さらに、所定領域を取り除いた中間転写媒体を被転写体である上記材料組成のカードと組み合わせて、上記プリンタの再転写条件にてヒートローラおよび加圧ローラで挟み込みながら加熱し、印画物を得た。
表2の中間転写媒体および熱転写シートの組み合わせにて、上記プリンタ印字条件で255/255階調のエネルギーを条件2に従って印加して、剥離層、保護層、受容層がこの順で積層された転写層の一部の領域(以下、転写層の一部の領域のことを「所定領域」と言う)を取り除いた。さらに、所定領域を取り除いた中間転写媒体を被転写体である上記材料組成のカードと組み合わせて、上記プリンタの再転写条件にてヒートローラおよび加圧ローラで挟み込みながら加熱し、印画物を得た。
実施例1〜16、比較例1、2について評価を行った結果を表3に示す。各評価項目と判断基準を以下に説明する。
(判定基準)
A:「所定領域」に対応する転写層が正確に除去されている。
B:「所定領域」に対応する転写層の一部が僅かに残存、或いは「所定領域」を僅かにはみだすようにして転写層が除去されているが使用上問題ないレベルである。
NG:「所定領域」を大きくはみ出して、転写層が除去されている。
(判定基準)
A:「所定領域」が正確に再転写されている。
B:「所定領域」が僅かにはみだして再転写しているが使用上問題ないレベルである。
NG:「所定領域」を大きくはみ出して、再転写されている。
(判定基準)
A:被転写体と中間転写媒体の受容層とが接着している。
B:被転写体と中間転写媒体の受容層との接着が弱いが、使用上問題ないレベル。
NG:被転写体と中間転写媒体の受容層との接着が弱く、使用できないレベル。
表3のとおり、ピールオフ層に熱膨張領域を設け、熱膨張性の中空粒子を含有した第2実施形態の構成に準ずる実施例1〜4では、中空粒子の品種により、多少の違いは見られるものの、ピールオフ層に熱膨張領域を設けない比較例1と比べて明らかに、ピールオフ性が良好であった。ヒートシール層に熱膨張領域を設け、熱膨張性の中空粒子を含有した第1実施形態の構成に準ずる実施例5〜8では、再転写性に問題が出るものはなかった。
2、2A、2B 剥離層
3、3A、3B、3C、3D 受容層
4、4A、4B、4C、4D、4E 転写層
5 基材
5A 第1の基材
6 背面層
6A 第2の基材
7 選択領域
8 除去領域
10、10B、10C 転写箔、中間転写媒体、保護層転写シート
11、11A 第1ヒートシール層
12、12A 第2ヒートシール層
13、13A 第3ヒートシール層
14、14A、14B、14C、14D ヒートシール層
15 色材層
16 熱転写画像
17 被転写体
18、18A、18B、18C、18D、18E、18F、18G、18H 印画物
20、20A、20B、20C、20D、20E、20F 熱転写シート
21、21A 第1ピールオフ層
22 第2ピールオフ層
23、23A 第3ピールオフ層
24、24A、24B、24C ピールオフ層
25 第1熱転写シート
26 第2熱転写シート
27、27A 保護層
28、28A 接着層
31 サーマルヘッド
32 ヒートローラ
33 加圧ローラ
Claims (2)
- 支持体の一方の面上に転写層が設けられた中間転写媒体に対し、当該転写層に熱転写画像を形成し、当該転写層の一部を被転写体に再転写する前に使用する熱転写シートであって、
基材と、
当該基材の一方の面上に、熱膨張性を有する中空粒子を含む熱膨張領域を備えたヒートシール層と、を備え、
当該熱膨張領域は、所定温度の加熱により膨張し、
前記ヒートシール層は第1ヒートシール層、第2ヒートシール層および第3ヒートシール層を含む積層構成を有し、
前記第2ヒートシール層は前記第1ヒートシール層よりも前記基材の近くに配置され、
前記3ヒートシール層は前記第1ヒートシール層よりも前記基材から遠くに配置され、
前記熱膨張領域は前記第1ヒートシール層に含まれ、
前記第1ヒートシール層は、前記第2ヒートシール層および前記第3ヒートシール層よりも、前記所定温度の加熱による膨張の程度が大きい、熱転写シート。 - 支持体の一方の面上に転写層が設けられた転写箔の転写層の除去領域を除去し、残存する転写層を被転写体上に転写するために使用する熱転写シートであって、
基材と、
当該基材の一方の面上に、熱膨張性を有する中空粒子を含む熱膨張領域を備えたピールオフ層と、を備え、
当該熱膨張領域は、所定温度の加熱により膨張し、
前記ピールオフ層は第1ピールオフ層、第2ピールオフ層および第3ピールオフ層を含む積層構成を有し、
前記第2ピールオフ層は前記第1ピールオフ層よりも前記基材の近くに配置され、
前記第3ピールオフ層は前記第1ピールオフ層よりも前記基材から遠くに配置され、
前記熱膨張領域は前記第1ピールオフ層に含まれ、
前記第1ピールオフ層は、前記第2ピールオフ層および第3ピールオフ層よりも、前記所定温度の加熱による膨張の程度が大きい、熱転写シート。
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