JP2021535889A - 高い圧縮応力を可能にするガラス組成物 - Google Patents

高い圧縮応力を可能にするガラス組成物 Download PDF

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Abstract

超高ピーク圧縮応力を達成するようにイオン交換されることのあるアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。このガラスは、少なくとも約1000MPaかつ約1500MPaまでのピーク圧縮応力を達成するようにイオン交換されることがある。高いピーク圧縮応力は、浅い傷サイズ分布を有するガラスに高強度を与える。これらのガラスは、高い破壊靱性および改善された破損強度に対応する高いヤング率を有し、例えば、フレキシブルディスプレイにおけるカバーガラスなどに使用する上で著しい曲げ応力を経験する高強度カバーガラス用途に適している。

Description

関連出願の説明
本出願は、その内容が依拠され、ここに全て引用される、2018年8月3日に出願された米国仮特許出願第62/714404号の米国法典第35編第119条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
本開示は、超高ピーク圧縮応力を達成するようにイオン交換できるガラス組成物の一群に関する。より詳しくは、本開示は、浅い表面傷を阻むのに十分に高いピーク圧縮応力を有する化学強化されたガラスに関する。さらにより詳しくは、本開示は、使用中に、例えば、フレキシブルディスプレイ用のカバーガラスとして、著しい曲げ応力が経験される用途における高強度カバーガラスに関する。
携帯電話、スマートフォン、タブレット、腕時計、ビデオプレーヤー、情報端末(IT)機器、ラップトップコンピュータなどの電子機器におけるディスプレイに使用されるガラスは、典型的に、表面圧縮層を生じるために化学的または熱的に強化されている。この圧縮層は、ガラスの破損をもたらし得る傷を阻む働きをする。
電子用途の折り畳み式ディスプレイは、薄い曲げられるガラスから恩恵を受けるであろう。しかしながら、曲げに曝されたときに、表面圧縮層の有益な傷停止効果は、表面傷が圧縮層より深く、それゆえ、曲げられたときにガラスが破損する程度まで低下してしまう。
本開示は、超高ピーク圧縮応力を達成するようにイオン交換することができるアルカリアルミノケイ酸塩ガラスの一群を供する。ここに記載されたガラスは、約1000MPa以上かつ約1500MPaまでのピーク圧縮応力を達成するようにイオン交換することができる。高いピーク圧縮応力は、浅い傷サイズ分布を有するガラスに高強度を与える。これらのガラスは高いヤング率を有し、このヤング率は高い破壊靱性および改善された破損強度に対応する。ここに記載されたガラスは、例えば、フレキシブルおよび折り畳み式ディスプレイにおけるカバーガラスとして、使用中に著しい曲げ応力を経験する高強度カバーガラス用途に適している。この高いピーク圧縮応力は、ガラスが正味の圧縮を維持し、それゆえ、ガラスがきつい半径の周りに曲げられたときに表面傷を抑えることができる。高い破壊靱性は、ガラスの加工中および/または機器におけるその使用中に導入され得る所定の傷集団に関する印加圧力(例えば、曲げによる)からの破壊を防ぐのにも役立つ。
したがって、本開示の1つの態様は、イオン交換可能なアルカリアルミノケイ酸塩ガラスを提供することにある。ここに用いられているように、「イオン交換可能」とは、ガラス組成物が、ガラス中に圧縮応力を生じるために複数の第2の金属イオンと置換されることのある1種類以上の第1の金属イオンを含有することを意味する。その第1の金属イオンは、リチウム、ナトリウム、カリウム、およびルビジウムのイオンであることがある。第2の金属イオンは、この第2のアルカリ金属イオンが第1のアルカリ金属イオンのイオン半径より大きいイオン半径を有するという条件で、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、およびセシウムの内の1つのイオンであることがある。第2の金属イオンは、その酸化物(例えば、NaO、KO、RbO、CsO、またはその組合せ)としてガラス系基板中に存在する。このガラスは、約17モル%以上のAlおよび非ゼロ量のNaO、MgO、およびCaOを含み、ここで、Al(モル%)+RO(モル%)≧21モル%、式中、RO(モル%)=MgO(モル%)+CaO(モル%)+ZnO(モル%)。このアルカリアルミノケイ酸塩ガラスは、SrO、BaO、B、P、およびKOの各々を実質的に含まない。
本開示の第2の態様は、イオン交換されたガラスを提供することにある。このイオン交換されたガラスは、約17モル%以上のAlおよび非ゼロ量のNaO、MgO、およびCaOを含むアルカリアルミノケイ酸塩ガラスであり、ここで、Al(モル%)+RO(モル%)≧21モル%、式中、RO(モル%)=MgO(モル%)+CaO(モル%)+ZnO(モル%)である。このイオン交換されたガラスは、SrO、BaO、B、P、およびKOの各々を実質的に含まない。このイオン交換されたガラスは、約4mmまでの厚さtおよびイオン交換されたガラスの表面からイオン交換されたガラス中の圧縮深さ(DOC)まで延在する圧縮層を有し、ここで、この圧縮層は約1000MPa以上のピーク圧縮応力を有し、いくつかの実施の形態において、そのピーク圧縮応力はイオン交換されたガラスの表面にある。
本開示の第3の態様は、著しい曲げ応力に抵抗できるガラスを強化する方法を提供することにある。この方法は、少なくとも1種類のカリウム塩を含むイオン交換媒体中にガラス物品を浸漬する工程であって、その少なくとも1種類のカリウム塩がイオン交換媒体の約50質量%を占める工程;および約350℃から約480℃の範囲の所定の温度で約1時間から約24時間の範囲の所定の期間に亘りイオン交換媒体中に浸漬されている間にガラス物品をイオン交換して、表面から圧縮深さDOCまで延在し、約1000MPa以上のピーク圧縮応力を有する圧縮層を達成する工程を有してなり、いくつかの実施の形態において、そのピーク圧縮応力はイオン交換されたガラスの表面にある。そのガラス物品はアルカリアルミノケイ酸塩ガラスから作られ、そのアルカリアルミノケイ酸塩ガラスは、約17モル%以上のAlおよび非ゼロ量のNaO、MgO、およびCaOを含み、ここで、Al(モル%)+RO(モル%)≧21モル%、式中、RO(モル%)=MgO(モル%)+CaO(モル%)+ZnO(モル%)であり、アルカリアルミノケイ酸塩ガラスは、SrO、BaO、B、P、およびKOの各々を実質的に含まない。
本開示の様々な特徴は、任意と全ての組合せで、例えば、様々な以下の実施の形態にしたがって、組み合わされることがある。
実施の形態1.
アルカリアルミノケイ酸塩ガラスであって、
a.約17モル%以上のAl
b.NaO、
c.MgO、および
d.CaO、
を含み、
Al(モル%)+RO(モル%)≧21モル%、式中、RO(モル%)=MgO(モル%)+CaO(モル%)+ZnO(モル%)であり、
SrO、BaO、B、P、およびKOの各々を実質的に含まず、イオン交換可能である、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施の形態2.
前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、約4mmまでの厚さを有し、該アルカリアルミノケイ酸塩ガラスの表面からDOCまで延在し、約1000MPa以上のピーク圧縮応力を有する圧縮層を達成するようにイオン交換可能である、実施の形態1のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施の形態3.
前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが約100μmまでの厚さを有する、実施の形態2または実施の形態3のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施の形態4.
前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、約25℃および約50%の相対湿度で、かつ5mm、4mm、または3mmの内の少なくとも1つの曲げ半径で、60分間に亘り保持されたときに、破損がない、実施の形態3のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施の形態5.
前記ピーク圧縮応力が約1500MPa以下である、実施の形態2〜4のいずれか1つのアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施の形態6.
前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、約80GPaから約90GPaの範囲のヤング率を有する、実施の形態1〜5のいずれか1つのアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施の形態7.
LiOをさらに含む、実施の形態1〜6のいずれか1つのアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施の形態8.
前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、表面から厚さの約10%以上のDOCまで延在する圧縮層を達成するようにイオン交換可能である、実施の形態7のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施の形態9.
前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、約4マイクロメートルから約40マイクロメートルのカリウムイオンの層の深さを達成するようにイオン交換可能である、実施の形態1〜8のいずれか1つのアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施の形態10.
ZnOをさらに含む、実施の形態1〜9のいずれか1つのアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施の形態11.
CaO(モル%)/RO(モル%)>0.4である、実施の形態1〜10のいずれか1つのアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施の形態12.
前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、約5kPから約200kPの範囲の液相粘度を有する、実施の形態1〜11のいずれか1つのアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施の形態13.
前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、約52モル%から約61モル%のSiO、約17モル%から約23モル%のAl、0モル%から約7モル%のLiO、約9モル%から約20モル%のNaO、0モル%超から約5モル%のMgO、0モル%超から約5モル%のCaO、および0モル%超から約2モル%のZnOを含む、実施の形態1〜12のいずれか1つのアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施の形態14.
前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、約55モル%から約61モル%のSiO、約17モル%から約20モル%のAl、4モル%から約7モル%のLiO、約9モル%から約15モル%のNaO、0モル%超から約5モル%のMgO、0モル%超から約5モル%のCaO、および0モル%超から約2モル%のZnOを含む、実施の形態13のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施の形態15.
前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、フレキシブルディスプレイの少なくとも一部を形成する、実施の形態1〜14のいずれか1つのアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施の形態16.
イオン交換されたガラスにおいて、該イオン交換されたガラスが、アルカリアルミノケイ酸塩ガラスであって、
a.約17モル%以上のAl
b.NaO、
c.MgO、および
d.CaO、
を含み、
Al(モル%)+RO(モル%)≧21モル%、式中、RO(モル%)=MgO(モル%)+CaO(モル%)+ZnO(モル%)であるアルカリアルミノケイ酸塩ガラスであり、このアルカリアルミノケイ酸塩ガラスは、SrO、BaO、B、P、およびKOの各々を実質的に含まず、このイオン交換されたガラスは、約4mmまでの厚さを有し、イオン交換されたガラスの表面からDOCまで延在する圧縮層を有し、約1000MPa以上のピーク圧縮応力を有する、イオン交換されたガラス。
実施の形態17.
前記イオン交換されたガラスが、約100μmまでの厚さを有する、実施の形態16のイオン交換されたガラス。
実施の形態18.
前記イオン交換されたガラスが、約25℃および約50%の相対湿度で、かつ5mm、4mm、または3mmの内の少なくとも1つの曲げ半径で、60分間に亘り保持されたときに、破損がない、実施の形態16または実施の形態17のイオン交換されたガラス。
実施の形態19.
前記ピーク圧縮応力が約1500MPa以下である、実施の形態16〜18のいずれか1つのイオン交換されたガラス。
実施の形態20.
前記イオン交換されたガラスがLiOをさらに含み、DOCが厚さの約10%以上である、実施の形態16〜19のいずれか1つのイオン交換されたガラス。
実施の形態21.
前記イオン交換されたガラスが、約4マイクロメートルから約40マイクロメートルのカリウムイオンの層の深さを有する、実施の形態16〜20のいずれか1つのイオン交換されたガラス。
実施の形態22.
前記イオン交換されたガラスが、約52モル%から約61モル%のSiO、約17モル%から約23モル%のAl、0モル%から約7モル%のLiO、約9モル%から約20モル%のNaO、0モル%超から約5モル%のMgO、0モル%超から約5モル%のCaO、および0モル%超から約2モル%のZnOを含む、実施の形態16〜21のいずれか1つのイオン交換されたガラス。
実施の形態23.
前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、約55モル%から約61モル%のSiO、約17モル%から約20モル%のAl、4モル%から約7モル%のLiO、約9モル%から約15モル%のNaO、0モル%超から約5モル%のMgO、0モル%超から約5モル%のCaO、および0モル%超から約2モル%のZnOを含む、実施の形態22のイオン交換されたガラス。
実施の形態24.
前記イオン交換されたガラスが、フレキシブルディスプレイの少なくとも一部を形成する、実施の形態16〜23のいずれか1つのイオン交換されたガラス。
実施の形態25.
前記イオン交換されたガラスが、電子機器のディスプレイのまたはその上のカバーガラス、もしくは該電子機器の筐体の一部の少なくとも一方を形成する、実施の形態16〜24のいずれか1つのイオン交換されたガラス。
実施の形態26.
実施の形態16〜25のいずれか1つのイオン交換されたガラスを備えた電子機器であって、この電子機器が、前面、背面、および側面を有する筐体と、その筐体の少なくとも部分的に内部にある電子部品と、その筐体の前面にあるまたはそれに隣接したディスプレイと、そのディスプレイの上のカバーガラスとを備え、そのカバーガラスおよび筐体の少なくとも一方が前記イオン交換されたガラスから作られ、そのカバーガラスがディスプレイ上に位置付けられ、衝撃により生じる損傷からディスプレイを保護するように、そのカバーガラスが筐体の前面またはその上にある、電子機器。
実施の形態27.
ガラスを強化する方法において、
a.少なくとも1種類のカリウム塩を含むイオン交換媒体中にガラス物品を浸漬する工程であって、その少なくとも1種類のカリウム塩がイオン交換媒体の約50質量%を占め、そのガラス物品がアルカリアルミノケイ酸塩ガラスから作られ、そのアルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、約17モル%以上のAlおよび非ゼロ量のNaO、MgO、およびCaOを含み、ここで、Al(モル%)+RO(モル%)≧21モル%、式中、RO(モル%)=MgO(モル%)+CaO(モル%)+ZnO(モル%)であり、そのアルカリアルミノケイ酸塩ガラスは、SrO、BaO、B、P、およびKOの各々を実質的に含まない工程、および
b.約350℃から約480℃の範囲の所定の温度で約1時間から約24時間の範囲の所定の期間に亘りイオン交換媒体中に浸漬されている間にガラス物品をイオン交換して、表面からDOCまで延在し、約1000MPa以上のピーク圧縮応力を有する圧縮層を達成する工程、
を有してなる方法。
実施の形態28.
前記ガラス物品をイオン交換媒体中に浸漬する前に、フュージョンドロー法、圧延法、オーバーフローダウンドロー法、スロット成形法、アップドロー法、またはフロート法の内の少なくとも1つによってそのガラス物品を成形する工程をさらに含む、実施の形態27の方法。
実施の形態29.
ガラス物品をイオン交換媒体中に浸漬する前に、ガラス物品をその1011P温度に加熱し、加熱されたガラス物品を室温まで急冷する工程をさらに含む、実施の形態27または実施の形態28の方法。
実施の形態30.
前記ピーク圧縮応力が約1500MPa以下である、実施の形態27〜29のいずれか1つの方法。
実施の形態31.
前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスがLiOをさらに含み、DOCが厚さの約10%以上である、実施の形態27〜30のいずれか1つの方法。
実施の形態32.
前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、約4マイクロメートルから約40マイクロメートルまでのカリウムイオンの層の深さを達成するようにイオン交換可能である、実施の形態27〜31のいずれか1つの方法。
実施の形態33.
少なくとも1種類のナトリウム塩から実質的になる第1のイオン交換媒体中にガラス物品を浸漬し、約350℃から約480℃の範囲の所定の温度で約1時間から約24時間の範囲の所定の期間に亘り第1のイオン交換媒体中に浸漬されている間に、ガラス物品をイオン交換する工程をさらに含む、実施の形態27〜32のいずれか1つの方法。
これらと他の態様、利点、および顕著な特徴は、以下の詳細な説明、添付図面、および付随の特許請求の範囲から明白になるであろう。
イオン交換されたガラスシートの概略断面図 曲げ誘起応力下にあるイオン交換されたガラスシートの概略断面図 1時間から16時間に及ぶ時間に亘る100%のKNOの溶融塩浴中の410℃でのイオン交換後のイオン交換されたガラス試料について測定されたカリウムイオンの層の深さ(DOL)に対する圧縮応力のプロット ここに開示された強化ガラスのいずれかを組み込んだ例示の電子機器の平面図 図4Aの例示の電子機器の斜視図
以下の記載において、図面に示されたいくつかの図に亘り、同様の参照文字が、同様または対応する部分を指す。ここに用いられているような方向を示す用語−例えば、上、下、右、左、前、後ろ、上部、底部、内側、外側−は、描かれた図面に関してのみ用いられ、絶対的な向きを暗示する意図はない。それに加え、群が、複数の要素および組合せの群の少なくとも1つを含むと記載されているときはいつでも、その群は、個別または互いの組合せのいずれかで、列挙されたそれらの要素のいくつを含んでも、それからなっても、またはからなってもよいと理解される。同様に、群が、複数の要素または組合せの群の少なくとも1つからなると記載されているときはいつでも、その群は、個別または互いの組合せのいずれかで、列挙されたそれらの要素のいくつからなってもよいと理解される。特に明記のない限り、値の範囲は、列挙された場合、その範囲の上限と下限の両方、並びにそれらの間の任意の範囲を含む。ここに用いられているように、名詞は、特に明記のない限り、「少なくとも1つ」または「1つ以上」の対象を指す。本明細書および図面に開示された様々な特徴は、いずれと全ての組合せで使用されても差し支えないことも理解される。
ここに用いられているように、「ガラス物品」という用語は、ガラスセラミックを含む、ガラスから全体がまたは部分的に製造された任意の物体を含むように最も広い意味で使用される。特に明記のない限り、ここに記載されたガラスの全ての組成は、モルパーセント(モル%)で表される。イオン交換に使用される全ての溶融塩浴−並びに任意の他のイオン交換媒体−の組成は、質量パーセント(質量%)で表される。熱膨張係数(CTE)は、百万分率(ppm)/℃で表され、特に明記のない限り、約20℃から約300℃の温度範囲に亘り測定された値を表す。高温(または液体)熱膨張係数(高温CTE)も、セ氏温度当たりの百万分率(ppm)(ppm/℃)で表され、瞬間熱膨張係数(CTE)対温度の曲線の高温平坦域または転移領域において測定された値を表す。高温CTEは、その平坦域または転移領域を通じてのガラスの加熱または冷却に関連する体積変化を測定する。
特に明記のない限り、全ての温度はセ氏温度(℃)で表される。ここに用いられているように、「軟化点」という用語は、ガラスの粘度が約107.6ポアズ(P)である温度を称し、「徐冷点」という用語は、ガラスの粘度が約1013.2ポアズである温度を称し、「200ポアズ温度(T200P)」という用語は、ガラスの粘度が約200ポアズである温度を称し、「1011ポアズ温度」という用語は、ガラスの粘度が約1011ポアズである温度を称し、「35kP温度(T35kP)」という用語は、ガラスの粘度が約35,000ポアズ(P)または35キロポアズ(kP)である温度を称し、「200kP温度(T200kP)」という用語は、ガラスの粘度が約200kPである温度を称する。
ここに用いられているように、「液相粘度」という用語は、液相温度での溶融ガラスの粘度を称し、ここで、液相温度は、溶融ガラスが溶融温度から冷めるときに結晶が最初に現れる温度、または温度が室温から昇温されるときに一番最後の結晶が溶けてなくなる温度を称する。
「実質的に」および「約」という用語は、任意の定量比較、値、測定、または他の表記に起因することのある固有の不確実性の度合いを表すためにここに用いられることがあることに留意のこと。これらの用語は、定量的表現が、問題の主題の基本機能に変化をもたらさずに、述べられた基準から変動することのある程度を表すためにもここに使用される。それゆえ、「Bを実質的に含まない」ガラスは、Bがガラスに能動的に添加されていないまたはバッチ配合されていないが、汚染物質として非常に少量存在することのあるものである。
ここに用いられているように、「約」という用語は、量、サイズ、配合、パラメータ、および他の数量と特徴が、正確ではなく、正確である必要ないが、許容範囲、変換係数、丸め、測定誤差など、および当業者に公知の他の要因を反映して、要望通りに、近似および/またはより大きいかより小さいことがあることを意味する。値または範囲の端点を記載する上で、「約」という用語が使用されている場合、その開示は、言及されているその特定の値または端点を含むと理解すべきである。明細書における数値または範囲の端点に「約」が付いていようとなかろうと、その数値または範囲の端点は、以下の2つの実施の形態:「約」で修飾されているもの、および「約」で修飾されていないものを含むことが意図されている。それらの範囲の各々の端点は、他方の端点に関してと、他方の端点に関係なくの両方で有意であることがさらに理解されよう。
ここに用いられているような、「実質的」、「実質的に」などの用語、およびその変種は、記載された特徴が、ある値または記載と等しいまたはほぼ等しいことを指摘する意図がある。例えば、「実質的に平らな」表面は、平らまたはほぼ平らである表面を意味する意図がある。さらに、「実質的に」は、2つの値が等しいまたはほぼ等しいことを意味する意図がある。いくつかの実施の形態において、「実質的に」は、互いの約5%以内、または互いの約2%以内など、互いの約10%以内の値を意味することがある。
ここに用いられているように、「ピーク圧縮応力」は、圧縮層内で測定された最高の圧縮応力値を称する。いくつかの実施の形態において、そのピーク圧縮応力はガラスの表面に位置している。他の実施の形態において、ピーク圧縮応力は、表面の下のある深さで生じ、圧縮応力プロファイルに「埋もれたピーク」の外観を与えることがある。圧縮応力(表面CSを含む)は、有限会社折原製作所(日本国)により製造されているFSM−6000などの市販の計器を使用する表面応力測定(FSM)によって測定される。表面応力測定は、ガラスの複屈折に関連する、応力光学係数(SOC)の精密測定に依存する。次に、SOCは、その内容がここに全て引用される、「Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient」と題する、ASTM基準C770−16に記載された手順C(ガラスディスク法)にしたがって測定される。
広く図面を、特に図1を参照すると、説明図は、特定の実施の形態を記載する目的のためであり、本開示またはそれに付随した特許請求の範囲をそれに限定する意図はないことが理解されよう。図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれておらず、図面の特定の特徴および特定の視野は、明瞭さと簡潔さのために規模または概略図で誇張されて示されることがある。
同様のガラスにおいて達成されてきた圧縮応力を超えるピーク圧縮応力を達成するためにイオン交換することができるアルカリアルミノケイ酸塩ガラスがここに記載されている。例えば、ここに記載されたガラスの1mm厚の試験片が、45分間に亘り410℃で溶融硝酸カリウムのイオン交換浴中でイオン交換されると、約1000MPaを超える、またはいくつかの実施の形態において、約1050MPaを超えるピーク圧縮応力が得られる。これらのガラスの仮想温度は、ガラスの1011P温度と等しい。
ここに記載されたガラス組成物は、以下に限られないが、フュージョンドロー法、オーバーフロー法、圧延法、スロット法、フロート法などを含む過程によって成形することができる。これらのガラスは、約5kP以上から約200kPまでの範囲、およびいくつかの実施の形態において、約30kP以上から約150kPの範囲の液相粘度を有する。
ここに記載されたガラスは、イオン交換可能であり、約17モル%以上のAlおよび各々が非ゼロ量のNaO、MgO、およびCaOを含み、ここで、Al(モル%)+RO(モル%)≧21モル%、または≧23モル%、または≧24モル%、式中、ROは、MgO、CaO、およびMgOからなる群より選択される(すなわち、RO(モル%)=MgO(モル%)+CaO(モル%)+ZnO(モル%))。いくつかの実施の形態において、CaO(モル%)/RO(モル%)>0.4、または>0.5、または>0.6である。それに加え、これらのガラスは、B、P、KO、SrO、およびBaOの各々を実質的に含まない。ここに記載されたアルカリアルミノケイ酸塩ガラスは、ZnOおよびLiOをさらに含むことがある。
いくつかの実施の形態において、ここに記載されたアルカリアルミノケイ酸塩ガラスは、約52モル%から約61モル%のSiO、約17モル%から約23モル%のAl、0モル%から約7モル%のLiO、約9モル%から約20モル%のNaO、0モル%超から約5モル%のMgO、0モル%超から約5モル%のCaO、および0モル%超から約2モル%のZnOを含む、またはから実質的になる。特定の実施の形態において、そのガラスは、約55モル%から約61モル%のSiO、約17モル%から約20モル%のAl、4モル%から約7モル%のLiO、約9モル%から約15モル%のNaO、0モル%超から約5モル%のMgO、0モル%超から約5モル%のCaO、および0モル%超から約2モル%のZnOを含む。
表1には、ここに記載されたアルカリアルミノケイ酸塩ガラスの非限定的な例示の組成が列挙されている。表2には、表1に列挙された例に関して決定された選択された物理的性質が列挙されている。表2に列挙された物理的性質には、以下がある:密度、ここに挙げられた密度値は、ASTM C693−93(2013)の浮力法を使用して決定した;低温CTE;歪み点、徐冷点、および軟化点、歪み点は、ASTM C598−93(2013)のビーム曲げ粘度法を使用して決定し、徐冷点は、ASTM C336−71(2015)のファイバ伸長法を使用して決定し、軟化点は、ASTM C338−93(2013)のファイバ伸長法を使用して決定した;1011ポアズ、35kP、200kP、および液相温度;液相粘度、液相粘度は、以下の方法により決定した。最初に、ガラスの液相温度は、「Standard Practice for Measurement of Liquidus Temperature of Glass by the Gradient Furnace Method」と題するASTM C829−81(2015)にしたがって測定される。次に、その液相温度でのガラスの粘度が、「Standard Practice for Measuring Viscosity of Glass Above the Softening Point」と題するASTM C965−96(2012)にしたがって測定される;ヤング率、本開示に挙げられたヤング率値は、「Standard Guide for Resonant Ultrasound Spectroscopy for Defect Detection in Both Metallic and Non-metallic Parts」と題する、ASTM E2001−13に述べられた一般型の共鳴超音波分光法技術によって測定された値を称する;屈折率;および表1に列挙された試料の応力光学係数。いくつかの実施の形態において、ここに記載されたガラスは、約80GPa以上、他の実施の形態において、約80GPaから約90GPa、さらに他の実施の形態において、約80GPaから約85GPaのヤング率を有する。
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ここに記載された基礎ガラスおよびイオン交換されたガラスの酸化物成分の各々は、そのガラスの製造可能性および物理的性質に対してある機能を果たす、および/またはそれに対して影響を有する。例えば、シリカ(SiO)は、主要なガラス形成酸化物であり、溶融ガラスの網状構造主鎖を形成する。純粋なSiOは、低いCTEを有し、アルカリ金属を含まない。例えば、ソーダ石灰ケイ酸塩ガラスのようなガラスに対して比較的少量(すなわち、61モル%以下)のSiOは、ガラスがイオン交換された時に、ピーク圧縮応力を改善するまたは増加させるのに都合よい。いくつかの実施の形態において、ここに記載されたガラスは、約52モル%から約61モル%のSiOを、他の実施の形態において、約55モル%から約61モル%のSiOを、さらに他の実施の形態において、約58モル%から約61モル%のSiOを含む。
ここに記載されたガラスは、シリカに加え、約17モル%以上の網状構造形成材のAlを含む。アルミナは、安定なガラス形成、所望のピーク圧縮応力、イオン交換中の拡散性、およびヤング率を達成するために、かつ溶融と成形を促進するために、この量で存在する。Alは、SiOのように、ガラス網状構造に対する剛性に寄与する。アルミナは、四配位または五配位のいずれかでガラス中に存在し得、これにより、ガラス網状構造の充填密度が増し、それゆえ、化学強化により生じる圧縮応力が増加する。いくつかの実施の形態において、ここに記載されたガラスは、約17モル%または18モル%から約23モル%のAlを、特別な実施の形態において、約17モル%または18モル%から約20モル%または約21モル%のAlを含む。これらのガラス中のアルミナの量は、高い液相粘度を達成するために、より低い値に限定されることがある。
ここに記載されるように、ここに記載されたガラスは、P、B、KO、SrO、およびBaOの各々を実質的に含まない、または0モル%で含む。これらの酸化物は、イオン交換によって達成される圧縮応力およびヤング率を減少させる傾向にあるので、ガラスから意図的に排除される。
アルカリ酸化物のNaOは、イオン交換によるガラスの化学強化を行うために使用される。ここに記載されたガラスはNaOを含み、これは、例えば、KNOなどの少なくとも1種類のカリウム塩を含有する塩浴中に存在するカリウム陽イオンと交換されるべきNa陽イオンを提供する。いくつかの実施の形態において、ここに記載されたガラスは、約9モル%、または約10モル%、または約11モル%、または約12モル%から約15モル%、または約16モル%、または約17モル%、または約18モル%、または約19モル%、または約20モル%のNaOを含む。他の実施の形態において、これらのガラスは、約9モル%から約15モル%のNaOを含む。
ここに記載されたガラスは、いくつかの実施の形態において、約9モル%まで、または約8.5モル%まで、または約8モル%まで、または約7.5モル%まで、または約7モル%までの量でLiOをさらに含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラスは、約2モル%、または約3モル%、または約4モル%から約6モル%、または約7モル%、または約7.5モル%、または約8モル%、または約8.5モル%、または約9モル%のLiOを含む。特定の実施の形態において、そのガラスは、LiOを含まない(すなわち、0モル%のLiOを含有する)、またはLiOを実質的に含まない。LiOの存在は、ピーク圧縮応力を高め、所望であれば、DOLまで、および/または深いDOCまで急速イオン交換を可能にする。それに加え、LiOは、他のアルカリ酸化物イオンと比べて、ガラスのヤング率および破壊靭性の両方を改善する。リチウム含有ガラスがイオン交換される場合、100μm以上の圧縮層の深さDOCが、比較的短期間で達成されることがある。ここに用いられているように、DOCは、ここに記載された化学強化されたアルカリアルミノケイ酸塩ガラス物品における応力が圧縮から引張に変化する深さを意味する。DOCは、イオン交換処理に応じてFSMまたは散乱光偏光器(SCALP)により測定することができる。ガラス物品中の応力が、ガラス物品中にカリウムイオンを交換することによって生じている場合、DOCを測定するために、FSMが使用される。応力がガラス物品中にナトリウムイオンを交換することによって生じている場合、DOCを測定するために、SCALPが使用される。ガラス物品中の応力が、ガラス物品中にカリウムイオンとナトリウムイオンの両方を交換することによって生じている場合、DOCはSCALPにより測定される。何故ならば、ナトリウムイオンの交換深さはDOCを表し、カリウムイオンの交換深さは、圧縮応力の大きさの変化(しかし、圧縮から引張への応力の変化ではない)を表すと考えられるからである;そのようなガラス物品中のカリウムイオンの交換深さはFSMにより測定され、カリウムイオンの層の深さ(DOL)によって表される。最大CT値を含む、引張応力、または中央張力(CT)値は、当該技術分野で公知の散乱光偏光器(SCALP)技術を使用して測定される。特に明記のない限り、ここに報告されたCT値は、最大CTである。
先に記載したように、元々形成されたような、ここに記載されたガラスは、0モル%のKOを含有する、またはKOを実質的に含まない。このガラス中の酸化カリウムの存在には、イオン交換によるガラス中に高レベルのピーク圧縮応力を達成する能力に悪影響がある。しかしながら、イオン交換後、イオン交換により生じた圧縮層はカリウムを含有することになる。ガラスの表面近くのイオン交換された層は、ガラス表面で10モル%以上のKOを含有することがあり、一方で、DOLより深い深さでのガラスの中身は、カリウムを実質的に含まないままであることがある、または出発組成物の中身のものと一貫したレベルのままであることがある。
いくつかの実施の形態において、ここに記載されたガラスは、0モル%から約6モル%まで、または0モル%超から約4モル%、または約6モル%のZnOを含むことがある。二価酸化物のZnOは、200ポアズ粘度での温度(200P温度)を減少させることによって、ガラスの溶融挙動を改善する。ZnOは、NaOの同様の添加と比べて、歪み点を改善するのにも役立つ。いくつかの実施の形態において、これらのガラスは、0モル%超から約2モル%のZnOを含む。
50kP超の液相粘度を有するガラスの200P温度を低下させ、歪み点を改善するために、これらのガラス中にMgOおよびCaOなどのアルカリ土類酸化物が存在することがある。いくつかの実施の形態において、ここに記載されたガラスは、0モル%超から6モル%までのMgOを含む、または他の実施の形態において、これらのガラスは、0.02モル%から約3モル%、または約4モル%、または約5モル%、または約6モル%のMgOを含む。いくつかの実施の形態において、ここに記載されたガラスは、0モル%超から約5モル%のCaOを、他の実施の形態において、0.03モル%から約5モル%のCaOを、さらに他の実施の形態において、約0.03モル%から約1モル%、または約1.5モル%、または約2モル%、または約2.5モル%、または約3モル%のCaOを含む。表1および2に列挙された例から分かるように、CaOは、50kP超の液相粘度を有するガラス中に存在し、その液相粘度により、そのガラスは容易にフュージョン成形可能になる。いくつかの実施の形態において、ガラスがフュージョン成形されるときに、50kP超の液相粘度を有することが望ましい。ガラスが、フュージョン成形以外の技術により成形される、他の実施の形態において、液相粘度は50kP以下であってよい。アルカリ土類酸化物のSrOおよびBaOは、ZnO、MgO、またはCaOほどは、200ポアズの粘度での溶融温度を低下させるのに効果的ではなく、歪み点を上昇させる上でも、ZnO、MgO、またはCaOほど効果的ではない。それゆえ、ここに記載されたガラスは、ZnO、MgO、およびCaOからなる群より選択される二価酸化物を含有し、SrOおよびBaOの各々を実質的に含まない、またはそれらの各々を0モル%で含有する。
いくつかの実施の形態において、Al(モル%)+RO(モル%)≧21モル%、他の実施の形態において、Al(モル%)+RO(モル%)≧22モル%、他の実施の形態において、Al(モル%)+RO(モル%)≧23モル%、他の実施の形態において、Al(モル%)+RO(モル%)≧24モル%、さらに他の実施の形態において、Al(モル%)+RO(モル%)≧25モル%であり、式中、RO(モル%)=MgO(モル%)+CaO(モル%)+ZnO(モル%)である。いくつかの実施の形態において、CaO(モル%)/RO(モル%)>0.4、またはいくつかの実施の形態において、CaO(モル%)/RO(モル%)>0.5、またはさらに他の実施の形態において、CaO(モル%)/RO(モル%)>0.6である。
いくつかの実施の形態において、ここに記載されたガラスは、イオン交換により化学強化されている。その過程の少なくとも一例において、そのような陽イオンの供給源(例えば、溶融塩または「イオン交換」浴)内のアルカリ陽イオンは、ガラス内のより小さいアルカリ陽イオンと交換されて、ガラスの表面近くで圧縮応力(CS)下にある層を生成する。この圧縮層は、その表面からガラス内の圧縮深さ(DOC)まで延在する。ここに記載されたガラスにおいて、例えば、陽イオン源からのカリウムイオンが、以下に限られないが、硝酸カリウム(KNO)などのカリウム塩を含む溶融塩浴中にガラスを浸漬することによるイオン交換中に、ガラス内のナトリウムイオンおよび/またはいくつかの実施の形態において、リチウムイオンと交換される。いくつかの実施の形態において、イオン交換浴は、(1つまたは複数の)カリウム塩から実質的になることがある。このイオン交換過程に使用されることのある他のカリウム塩の例としては、以下に限られないが、塩化カリウム(KCl)、硫酸カリウム(KSO)、およびその組合せが挙げられる。ここに記載されたイオン交換浴は、カリウム以外のアルカリ金属イオンおよび対応するカリウム塩を含有することがある。例えば、イオン交換浴は、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、および/または塩化ナトリウムなどのナトリウム塩も含むことがある。いくつかの実施の形態において、イオン交換浴は、KNOと硝酸ナトリウム(NaNO)の混合物を含むことがある。いくつかの実施の形態において、イオン交換浴は、約50質量%まで、または約25質量%までのNaNOを含むことがあり、その浴の残りはKNOである。他の実施の形態において、そのガラスは、最初に、約100質量%のナトリウム塩(例えば、NaSO、NaClなど)を含む浴中でイオン交換され、次に、そのナトリウム塩と対応するカリウム塩(例えば、NaNOとKNOを含む浴)、もしくはより深いDOLおよび/またはより深いDOCを達成するために、100質量%の対応するカリウム塩(例えば、NaNOを含む第1のイオン交換浴およびKNOを含む第2のイオン交換浴)を含む第2の浴中でイオン交換されることがある。
平らなイオン交換済みガラス物品の断面概略図が図1に示されている。ガラス物品100は、厚さt、第一面110、および第二面112を有し、厚さtは、例えば、約25μmから約4mmの範囲にある。いくつかの実施の形態において、厚さtは、約25μmから約50μmまで、または約55μmまで、または約60μmまで、または約65μmまで、または約70μmまで、または約75μmまで、または約80μmまで、または約85μmまで、または約90μmまで、または約95μmまで、または約100μmまで、または約105μmまで、または約110μmまで、または約115μmまで、または約120μmまで、または約125μmまでの範囲にある。特定の他の実施の形態において、厚さtは、約10μmから約20μmの範囲にある。図1は、ガラス物品100を平らな平面シートまたはプレートとして示しているが、ガラス物品100は、三次元形状または非平面形態などの他の形態を有してもよい。ガラス物品100は、第一面110からガラス物品100の中身への深さdでの第1のDOCまで延在する第1の圧縮層120を有する。図1において、ガラス物品100は、第二面112から深さdでの第2のDOCまで延在する第2の圧縮層122も有する。ガラス物品100は、dとdとの間に延在する中央領域130も有する。中央領域130は、典型的に、引張応力または中央張力(CT)下にあり、これが、層120および122の圧縮応力と釣り合う、または対抗する。それぞれ、第1と第2の圧縮層120、122の深さd、dは、ガラス物品100の第一面と第二面110、120への鋭い衝撃により導入される傷の伝搬からガラス物品100を保護し、一方で、その圧縮応力は、第1と第2の圧縮層120、122の深さd、dを貫通する傷の可能性を最小にする。
したがって、著しい曲げ応力に抵抗でき、イオン交換により高いピーク圧縮応力を達成することができるように、上述したガラスを強化する方法が提供される。上述したアルカリアルミノケイ酸塩ガラスから作られたガラス物品が、イオン交換媒体、例えば、溶融塩浴、ペーストなどの中に浸漬される。このイオン交換媒体は少なくとも1種類のカリウム塩を含み、その少なくとも1種類のカリウム塩は、このイオン交換媒体の約50質量%以上を占める。浸漬前に、この方法は、当該技術分野で公知の手段、例えば、以下に限られないが、フュージョンドロー法、圧延法、オーバーフロードロー法、スロット成形法、アップドロー法、またはフロート法によって、ガラス物品を成形する工程を含むことがある。それに加え、ガラス物品は、一旦成形されたら、イオン交換媒体中に浸漬される前に、ガラス物品の1011ポアズ温度で熱処理に施されることがある。イオン交換媒体中の浸漬中、そのガラス物品は、表面からDOLまで延在するイオン濃度、および表面からDOCまで延在する圧縮層を得るために、約350℃から約480℃(例えば、約350℃から約475℃、または約350℃から約470℃、または約350℃から約460℃、または約350℃から約450℃、または約350℃から約440℃、または約350℃から約430℃)に及ぶ所定の温度で約1時間から約24時間に及ぶ所定の期間に亘りそのイオン交換媒体中でイオン交換される。その圧縮層は、約1000MPa以上、またはいくつかの実施の形態において、約1050MPa以上、または他の実施の形態において、約1100MPa以上、またはさらに他の実施の形態において、約1200MPa以上、かつ約1500MPaまでのピーク圧縮応力(いくつかの実施の形態において、そのピーク圧縮応力は、イオン交換されたガラス物品の表面である)を有する。
イオン交換により達成されることのある高いピーク圧縮応力は、そのガラスを、所定のガラス厚についてよりきつい(すなわち、より小さい)曲げ半径に曲げる能力を提供する。この高いピーク圧縮応力により、ガラスが正味の圧縮を保有し、それゆえ、ガラスにきつい半径の周りの曲げが行われたときに、表面傷を抑えることができる。表面近くの傷は、この正味の圧縮下で、または有効表面圧縮層内に抑えられれば、破壊するまで延在できない。
図2は、曲げ誘起応力下にあるイオン交換されたガラスシートの概略断面図である。図2において、厚さtと内径rの合計である、曲げ半径Rに曲げられた場合、イオン交換されたガラスシート100の外面110aは、曲げによる引張応力に曝され、これにより、外面110a上のDOCが有効DOCまで減少し、一方で、内面112aは、曲げによりさらなる圧縮応力に曝される。外面110a上の有効DOCは、曲げ半径の増加と共に増加し、曲げ半径の減少と共に減少する(曲率の中心は、図2に示されるように、外面110aと反対側にある)。ここに記載されたガラスは、イオン交換されたときに、約25℃および約50%の相対湿度で、60分間に亘り3mmの曲げ半径(すなわち、R=3mm)に耐える(割れずに)ことができる。いくつかの実施の形態において、ここに記載されたガラスは、同じ期間に亘る同じ周囲条件下で、4mmの曲げ半径(すなわち、R=4mm)に耐える(割れずに)ことができる。さらに他の実施の形態において、ここに記載されたガラスは、同じ期間に亘る同じ周囲条件下で、5mmの曲げ半径(すなわち、R=5mm)に耐える(割れずに)ことができる。
表3には、イオン交換後の表1に列挙された試料に測定されたピークCSおよびDOLが列挙されている。それぞれ、表1および2に記載された例の組成および物理的性質を有する1mm厚のガラス片を、KNO浴中において410℃で2時間または6時間のいずれかに亘りイオン交換した。このガラス片は、1011ポアズ(P)温度で熱処理され、イオン交換前に、その仮想温度を約1011P粘度温度に設定するために、2分以内で室温まで急冷した。このことは、フュージョンドローされたシートの熱履歴を表すように仮想温度を設定するために行われる。ここに記載されたガラスは、イオン交換が施された場合、約1000MPa以上、またはいくつかの実施の形態において、約1050MPa以上、または他の実施の形態において、約1100MPa以上、またはさらに他の実施の形態において、約1200MPa以上、約1300MPaまで、または約1350Mpaまで、または約1400MPaまで、または約1450MPaまで、または約1500MPaまでのピーク圧縮応力CSを有する圧縮層を有する。ここに記載されたガラスは、上述したピークCS値と共に、約4μmから約40μm、例えば、約4μm、または約5μm、または約6μm、または約7μm、または約8μm、または約9μm、または約10μm、または約11μm、または約12μm、または約13μm、または約14μm、または約15μmから、約40μm、または約35μm、または約30μm、または約25μm、または約24μm、または約23μm、または約22μm、または約21μm、または約20μmまでのカリウムイオンのDOLを達成することがある。ガラスがリチウム(LiO)を含むそれらの実施の形態において、そのガラスは、イオン交換がカリウムイオンのみをガラス中に交換する工程を含む場合、カリウムイオンのみがガラス中に交換されるときに、DOLとDOCは実質的に同じであるので、直前に記載されたCSおよびDOLと実質的に同じピークCSおよびDOCまでイオン交換されるであろう。さらに、ガラスがリチウム(LiO)を含み、イオン交換がカリウムイオンとナトリウムイオンをガラス中に交換する工程を含むそれらの実施の形態において、同様のピークCS値が同様のカリウムDOL値で得られるであろう、および/または100μm超、例えば、110μm超、120μm超、130μm超、140μm超、150μm超、または厚さの10%超、または厚さの11%超、または厚さの12%超、または厚さの13%超、または厚さの14%超、または厚さの15%超、または厚さの16%超、または厚さの17%超、または厚さの18%超、厚さの24%までのDOCをさら達成するであろう。
Figure 2021535889
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以下の実施例は、本開示の特徴と利点を明らかにし、本開示をそれらに限定することは決して意図されていない。
実施例1
本開示に記載された組成(表1〜3の例29)および物理的性質を有するガラス試料を、3つの別々の溶融塩浴中でイオン交換した:第1のイオン交換浴は、100質量%のKNOを含有する(表4a);第2のイオン交換浴は、50質量%のKNOおよび50質量%のNaNOを含有する(表4b);および第3のイオン交換浴は、75質量%のKNOおよび25質量%のNaNOを含有する(表4c)。1mm厚のガラス試料についてのこれらのイオン交換実験の結果が、表4a〜4cに列挙されている。試料が混合KNO/NaNO浴中でイオン交換された場合に得られた結果は、ここに記載されたリチウム含有ガラスをイオン交換して、他の例と一致したDOLと、ずっと深いDOCを得る能力を示す。例えば、表4aの例は、約4μmから約15μm程度のDOLおよびDOCを有した(溶融塩浴中にKNOのみが使用されたので、これらの場合、DOCはDOLと実質的に同じである)。他方で、試料が混合KNO/NaNO浴中でイオン交換された場合、表4bおよび4cは、約6μmから約8μm低度のDOLおよび約160μmから約170μm(1mmの厚さの16%または17%)程度のDOCを示す。さらに、より高い比率のKNOを有する浴を使用すると、ガラス試料は、より低い比率のKNO浴と類似のDOLおよびDOCを達成したが、より高いCSを達成することができた。いくつかの実施の形態において、700MPa程度のCSが有用であろう。
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実施例2
100μm厚および表1に列挙された例29の組成を有する試料を、100質量%のKNOを含む溶融塩浴中において6時間に亘り410℃でイオン交換した。軽いエッチングの前後の圧縮応力が表5に示されている。100μm、75μm、および50μmの厚さを有するGORILLA GLASS 2(登録商標)の試料(組成:70モル%のSiO、10モル%のAl、15モル%のNaO、および5モル%MgO)を、100質量%のKNOを含む溶融塩浴中において1時間に亘り410℃でイオン交換した。軽いエッチングの前後の圧縮応力が表5に示されている。
ある場合、プロセス誘起損傷を除去するために、イオン交換後に、試料に軽いエッチングが施される。この軽いエッチングは、HF、HFとHCl、HNOおよびHSOの内の1つ以上との組合せ、重フッ化アンモニウム、重フッ化ナトリウムなどからなる群より選択される少なくとも1種類の活性ガラスエッチング化合物を含有するフッ化物含有水性処理媒体を含む酸を含む。1つの特定例において、この酸性水溶液は、5体積%のHF(48%)および5体積%のHSOからなる。このエッチング過程は、その内容がここに全て引用される、2014年11月18日に発行され、「Impact-Damage-Resistant Glass Sheet」と題する、John Frederick Bayne等の米国特許8889254号明細書に記載されている。したがって、表5の結果から、そのような軽いエッチング過程は、ここに開示されたガラスに行うことができ、それでも、それらのガラスは、十分な量の圧縮応力を保持する(いくつかの実施の形態において、1000MPa以上のCS、および他の実施の形態において、従来のガラス組成物(例えば、「GORILLA GLASS 2」)により達成されるものよりも大きいCS)ことが示される。
より詳しくは、表5の結果から分かるように、例29の組成を有するガラスは、「GORILLA GLASS 2」で達成されたものよりも著しく大きい圧縮応力を達成するようにイオン交換することができる。この結果は、これらの条件下でイオン交換された類似のガラスの挙動を考慮して、予期せぬことである。さらに、表5は、本開示のガラスが、薄いガラス、例えば、約25μmから約125μm、約30μmから約120μm、約35μmから約115μm、約40μmから約110μm、約45μmから約105μm、約50μmから約100μm、約50μmから約75μm、または約75μmから約100μmの厚さを有するガラスにおいて高いCS値を達成するのに適していることを示す。
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実施例3
ここに記載されたガラス内の緻密に充填された網状構造により、高い圧縮応力を達成することができる。約100質量%のKNOを含む、410℃の溶融塩浴中の1、2、3、4、5、6、8、および16時間に亘るイオン交換後の、「GORILLA GLASS 2」(正方形のデータ点)およびここに記載されたガラスの内の1つ(表1〜3における例29、菱形のデータ点)の1mm厚の試料について、表面からガラスの厚さ中の様々な深さでの圧縮応力が、図3に示されている。例えば、点302は、6時間に亘り交換され、1291のピークCSおよび15.3マイクロメートルのDOLを達成した例29のガラスの試料に関すし、一方で、点304は、1時間に亘り交換され、988のピークCSおよび15.8μmのDOLを達成した「GORILLA GLASS 2」の試料に関するものであった。このように、約15μmの同じDOLに関して、例29の組成を有するガラスは、「GORILLA GLASS 2」の試料に観察されたものより300MPa以上大きいピーク圧縮応力を示す。約15μmから20μmのDOLの同じ範囲に亘り、例29の組成を有するガラスは、「GORILLA GLASS 2」の試料に観察されたものより200MPa以上大きいピーク圧縮応力を示す。例29の試料に関するCSは、同じDOLを有する「GORILLA GLASS 2」のものより高いが、同じDOLを得るのにかかる時間は、例29の試料に関するほうが、より長い。この増加した処理時間は、ガラス内の緻密に充填された網状構造によるものであろう。この網状構造は、減少したイオン拡散性をもたらすであろう。しかしながら、いくつかの実施の形態において、増加したCSの利点は、減少したイオン拡散性からのより長い処理時間よりも重要である。
実施例4
1mmの厚さおよび表1の例42の組成(最高のリチウム含有量を有する)を有するガラスの試料に、二段階イオン交換過程を含む、表6において下記に述べられたような様々なイオン交換条件を施した。結果として生じた性質も、表6に述べられている。例42の試料はリチウムを多く有するので、高いヤング率および破壊靭性を有することが予測される(本開示の原理によれば)。さらに、これらの試料のDOCは、厚さの15%から20%の範囲にあると予測される。
Figure 2021535889
ここに開示された強化ガラスは、ディスプレイを備えた物品(またはディスプレイ物品)(例えば、携帯電話、タブレット、コンピュータ、ナビゲーションシステム、ウェアラブル機器(例えば、腕時計)などを含む家庭用電子機器)、建築物品、輸送物品(例えば、自動車、列車、航空機、船舶など)、電化製品、またはある程度の透明性、耐引掻性、耐磨耗性またはその組合せの恩恵を受けるであろう任意の物品などの別の物品に組み込まれることがある。ここに開示された強化ガラスのいずれかを組み込んだ例示の物品が、図4Aおよび4Bに示されている。詳しくは、図4Aおよび4Bは、前面404、背面406、および側面408を有する筐体402;その筐体の少なくとも部分的に内側にまたは完全に中にあり、制御装置、メモリ、およびその筐体の前面にあるまたはそれに隣接したディスプレイ410を含む電気部品(図示せず);およびそのディスプレイを覆うように筐体の前面にまたはその上にあるカバー基板412を備えた家庭用電子機器400を示している。いくつかの実施の形態において、カバー基板412または筐体402の一部の少なくとも一方は、ここに開示された強化ガラスのいずれかを含むことがある。そのカバーガラスおよび/または筐体は、約0.4mmから約4mmの厚さを有し、化学強化されたときに、約1000MPa以上、または約1050MPa以上、または約1100MPa以上、または約1200MPa以上、または約1250MPa以上、約1300MPaまで、または約1350MPaまで、または約1400MPaまで、または約1450Mpaまで、または約1500MPaまでのピーク圧縮応力を有する。
説明目的のために典型的な実施の形態を述べてきたが、先の説明は、本開示の範囲または付随の特許請求の範囲への限定と考えるべきではない。したがって、本開示の精神および範囲または付随の特許請求の範囲から逸脱せずに、様々な改変、適用、および代替手段が当業者に想起されるであろう。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
アルカリアルミノケイ酸塩ガラスであって、
a.約17モル%以上のAl
b.NaO、
c.MgO、および
d.CaO、
を含み、
Al(モル%)+RO(モル%)≧21モル%、式中、RO(モル%)=MgO(モル%)+CaO(モル%)+ZnO(モル%)であり、
SrO、BaO、B、P、およびKOの各々を実質的に含まず、イオン交換可能である、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施形態2
前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、約4mmまでの厚さを有し、該アルカリアルミノケイ酸塩ガラスの表面からDOCまで延在し、約1000MPa以上のピーク圧縮応力を有する圧縮層を達成するようにイオン交換可能である、実施形態1に記載のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施形態3
前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが約100μmまでの厚さを有する、実施形態2に記載のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施形態4
前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、約25℃および約50%の相対湿度で、かつ5mm、4mm、または3mmの内の少なくとも1つの曲げ半径で、60分間に亘り保持されたときに、破損がない、実施形態3に記載のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施形態5
前記ピーク圧縮応力が約1500MPa以下である、実施形態2から4のいずれか1つに記載のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施形態6
前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、約80GPaから約90GPaの範囲のヤング率を有する、実施形態1から5のいずれか1つに記載のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施形態7
LiOをさらに含む、実施形態1から6のいずれか1つに記載のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施形態8
前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、表面から厚さの約10%以上のDOCまで延在する圧縮層を達成するようにイオン交換可能である、実施形態7に記載のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施形態9
前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、約4マイクロメートルから約40マイクロメートルのカリウムイオンの層の深さを達成するようにイオン交換可能である、実施形態1から8のいずれか1つに記載のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施形態10
ZnOをさらに含む、実施形態1から9のいずれか1つに記載のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施形態11
CaO(モル%)/RO(モル%)>0.4である、実施形態1から10のいずれか1つに記載のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施形態12
前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、約5kPから約200kPの範囲の液相粘度を有する、実施形態1から11のいずれか1つに記載のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施形態13
前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、約52モル%から約61モル%のSiO、約17モル%から約23モル%のAl、0モル%から約7モル%のLiO、約9モル%から約20モル%のNaO、0モル%超から約5モル%のMgO、0モル%超から約5モル%のCaO、および0モル%超から約2モル%のZnOを含む、実施形態1から12のいずれか1つに記載のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施形態14
前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、約55モル%から約61モル%のSiO、約17モル%から約20モル%のAl、4モル%から約7モル%のLiO、約9モル%から約15モル%のNaO、0モル%超から約5モル%のMgO、0モル%超から約5モル%のCaO、および0モル%超から約2モル%のZnOを含む、実施形態13に記載のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施形態15
前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、フレキシブルディスプレイの少なくとも一部を形成する、実施形態1から14のいずれか1つに記載のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
実施形態16
イオン交換されたガラスにおいて、該イオン交換されたガラスが、アルカリアルミノケイ酸塩ガラスであって、
a.約17モル%以上のAl
b.NaO、
c.MgO、および
d.CaO、
を含み、
Al(モル%)+RO(モル%)≧21モル%、式中、RO(モル%)=MgO(モル%)+CaO(モル%)+ZnO(モル%)であるアルカリアルミノケイ酸塩ガラスであり、該アルカリアルミノケイ酸塩ガラスは、SrO、BaO、B、P、およびKOの各々を実質的に含まず、前記イオン交換されたガラスは、約4mmまでの厚さを有し、該イオン交換されたガラスの表面からDOCまで延在する圧縮層を有し、約1000MPa以上のピーク圧縮応力を有する、イオン交換されたガラス。
実施形態17
前記イオン交換されたガラスが、約100μmまでの厚さを有する、実施形態16に記載のイオン交換されたガラス。
実施形態18
前記イオン交換されたガラスが、約25℃および約50%の相対湿度で、かつ5mm、4mm、または3mmの内の少なくとも1つの曲げ半径で、60分間に亘り保持されたときに、破損がない、実施形態16または17に記載のイオン交換されたガラス。
実施形態19
前記ピーク圧縮応力が約1500MPa以下である、実施形態16から18のいずれか1つに記載のイオン交換されたガラス。
実施形態20
前記イオン交換されたガラスがLiOをさらに含み、DOCが厚さの約10%以上である、実施形態16から19のいずれか1つに記載のイオン交換されたガラス。
実施形態21
前記イオン交換されたガラスが、約4マイクロメートルから約40マイクロメートルのカリウムイオンの層の深さを有する、実施形態16から20のいずれか1つに記載のイオン交換されたガラス。
実施形態22
前記イオン交換されたガラスが、約52モル%から約61モル%のSiO、約17モル%から約23モル%のAl、0モル%から約7モル%のLiO、約9モル%から約20モル%のNaO、0モル%超から約5モル%のMgO、0モル%超から約5モル%のCaO、および0モル%超から約2モル%のZnOを含む、実施形態16から21のいずれか1つに記載のイオン交換されたガラス。
実施形態23
前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、約55モル%から約61モル%のSiO、約17モル%から約20モル%のAl、4モル%から約7モル%のLiO、約9モル%から約15モル%のNaO、0モル%超から約5モル%のMgO、0モル%超から約5モル%のCaO、および0モル%超から約2モル%のZnOを含む、実施形態22に記載のイオン交換されたガラス。
実施形態24
前記イオン交換されたガラスが、フレキシブルディスプレイの少なくとも一部を形成する、実施形態16から23のいずれか1つに記載のイオン交換されたガラス。
実施形態25
前記イオン交換されたガラスが、電子機器のディスプレイのまたはその上のカバーガラス、もしくは該電子機器の筐体の一部の少なくとも一方を形成する、実施形態16から24のいずれか1つに記載のイオン交換されたガラス。
実施形態26
実施形態16から25のいずれか1つに記載のイオン交換されたガラスを備えた電子機器であって、該電子機器が、前面、背面、および側面を有する筐体と、該筐体の少なくとも部分的に内部にある電子部品と、前記筐体の前面にあるまたはそれに隣接したディスプレイと、該ディスプレイの上のカバーガラスとを備え、該カバーガラスおよび前記筐体の少なくとも一方が前記イオン交換されたガラスから作られ、前記カバーガラスが前記ディスプレイ上に位置付けられ、衝撃により生じる損傷から該ディスプレイを保護するように、該カバーガラスが前記筐体の前面またはその上にある、電子機器。
実施形態27
ガラスを強化する方法において、
a.少なくとも1種類のカリウム塩を含むイオン交換媒体中にガラス物品を浸漬する工程であって、該少なくとも1種類のカリウム塩が該イオン交換媒体の約50質量%を占め、該ガラス物品がアルカリアルミノケイ酸塩ガラスから作られ、該アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、約17モル%以上のAlおよび非ゼロ量のNaO、MgO、およびCaOを含み、ここで、Al(モル%)+RO(モル%)≧21モル%、式中、RO(モル%)=MgO(モル%)+CaO(モル%)+ZnO(モル%)であり、該アルカリアルミノケイ酸塩ガラスは、SrO、BaO、B、P、およびKOの各々を実質的に含まない工程、および
b.約350℃から約480℃の範囲の所定の温度で約1時間から約24時間の範囲の所定の期間に亘り前記イオン交換媒体中に浸漬されている間に前記ガラス物品をイオン交換して、表面からDOCまで延在し、約1000MPa以上のピーク圧縮応力を有する圧縮層を達成する工程、
を有してなる方法。
実施形態28
前記ガラス物品を前記イオン交換媒体中に浸漬する前に、フュージョンドロー法、圧延法、オーバーフローダウンドロー法、スロット成形法、アップドロー法、またはフロート法の内の少なくとも1つによって該ガラス物品を成形する工程をさらに含む、実施形態27に記載の方法。
実施形態29
前記ガラス物品を前記イオン交換媒体中に浸漬する前に、該ガラス物品をその1011P温度に加熱し、加熱されたガラス物品を室温まで急冷する工程をさらに含む、実施形態27または28に記載の方法。
実施形態30
前記ピーク圧縮応力が約1500MPa以下である、実施形態27から29のいずれか1つに記載の方法。
実施形態31
前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスがLiOをさらに含み、DOCが厚さの約10%以上である、実施形態27から30のいずれか1つに記載の方法。
実施形態32
前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、約4マイクロメートルから約40マイクロメートルまでのカリウムイオンの層の深さを達成するようにイオン交換可能である、実施形態27から31のいずれか1つに記載の方法。
実施形態33
少なくとも1種類のナトリウム塩から実質的になる第1のイオン交換媒体中に前記ガラス物品を浸漬し、約350℃から約480℃の範囲の所定の温度で約1時間から約24時間の範囲の所定の期間に亘り該第1のイオン交換媒体中に浸漬されている間に、該ガラス物品をイオン交換する工程をさらに含む、実施形態27から32のいずれか1つに記載の方法。
100 ガラス物品
110 第一面
110a 外面
112 第二面
112a 内面
120 第1の圧縮層
122 第2の圧縮層
130 中央領域
400 家庭用電子機器
402 筐体
404 前面
406 背面
408 側面
410 ディスプレイ
412 カバー基板
ここに記載されたガラスは、いくつかの実施の形態において、約9モル%まで、または約8.5モル%まで、または約8モル%まで、または約7.5モル%まで、または約7モル%までの量でLiOをさらに含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラスは、約2モル%、または約3モル%、または約4モル%から約6モル%、または約7モル%、または約7.5モル%、または約8モル%、または約8.5モル%、または約9モル%のLiOを含む。特定の実施の形態において、そのガラスは、LiOを含まない(すなわち、0モル%のLiOを含有する)、またはLiOを実質的に含まない。LiOの存在は、ピーク圧縮応力を高め、所望であれば、DOLまで、および/または深いDOCまで急速イオン交換を可能にする。それに加え、LiOは、他のアルカリ酸化物と比べて、ガラスのヤング率および破壊靭性の両方を改善する。リチウム含有ガラスがイオン交換される場合、100μm以上の圧縮層の深さDOCが、比較的短期間で達成されることがある。ここに用いられているように、DOCは、ここに記載された化学強化されたアルカリアルミノケイ酸塩ガラス物品における応力が圧縮から引張に変化する深さを意味する。DOCは、イオン交換処理に応じてFSMまたは散乱光偏光器(SCALP)により測定することができる。ガラス物品中の応力が、ガラス物品中にカリウムイオンを交換することによって生じている場合、DOCを測定するために、FSMが使用される。応力がガラス物品中にナトリウムイオンを交換することによって生じている場合、DOCを測定するために、SCALPが使用される。ガラス物品中の応力が、ガラス物品中にカリウムイオンとナトリウムイオンの両方を交換することによって生じている場合、DOCはSCALPにより測定される。何故ならば、ナトリウムイオンの交換深さはDOCを表し、カリウムイオンの交換深さは、圧縮応力の大きさの変化(しかし、圧縮から引張への応力の変化ではない)を表すと考えられるからである;そのようなガラス物品中のカリウムイオンの交換深さはFSMにより測定され、カリウムイオンの層の深さ(DOL)によって表される。最大CT値を含む、引張応力、または中央張力(CT)値は、当該技術分野で公知の散乱光偏光器(SCALP)技術を使用して測定される。特に明記のない限り、ここに報告されたCT値は、最大CTである。

Claims (15)

  1. アルカリアルミノケイ酸塩ガラスであって、
    a.約17モル%以上のAl
    b.NaO、
    c.MgO、および
    d.CaO、
    を含み、
    Al(モル%)+RO(モル%)≧21モル%、式中、RO(モル%)=MgO(モル%)+CaO(モル%)+ZnO(モル%)であり、
    SrO、BaO、B、P、およびKOの各々を実質的に含まず、イオン交換可能である、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
  2. 前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、約4mmまでの厚さを有し、該アルカリアルミノケイ酸塩ガラスの表面からDOCまで延在し、約1000MPa以上のピーク圧縮応力を有する圧縮層を達成するようにイオン交換可能である、請求項1記載のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
  3. 前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、約25℃および約50%の相対湿度で、かつ5mm、4mm、または3mmの内の少なくとも1つの曲げ半径で、60分間に亘り保持されたときに、破損がない、請求項2記載のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
  4. 前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、LiOをさらに含み、約80GPaから約90GPaの範囲のヤング率を有し、表面から厚さの約10%以上のDOCまで延在する圧縮層を達成するようにイオン交換可能である、請求項1から3いずれか1項に記載のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
  5. ZnOをさらに含む、請求項1から4いずれか1項記載のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
  6. CaO(モル%)/RO(モル%)>0.4である、請求項1から5いずれか1項記載のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
  7. 前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、約5kPから約200kPの範囲の液相粘度を有する、請求項1から6いずれか1項記載のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
  8. 前記アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、約52モル%から約61モル%のSiO、約17モル%から約23モル%のAl、0モル%から約7モル%のLiO、約9モル%から約20モル%のNaO、0モル%超から約5モル%のMgO、0モル%超から約5モル%のCaO、および0モル%超から約2モル%のZnOを含む、請求項1から7いずれか1項記載のアルカリアルミノケイ酸塩ガラス。
  9. イオン交換されたガラスにおいて、該イオン交換されたガラスが、アルカリアルミノケイ酸塩ガラスであって、
    a.約17モル%以上のAl
    b.NaO、
    c.MgO、および
    d.CaO、
    を含み、
    Al(モル%)+RO(モル%)≧21モル%、式中、RO(モル%)=MgO(モル%)+CaO(モル%)+ZnO(モル%)であるアルカリアルミノケイ酸塩ガラスであり、該アルカリアルミノケイ酸塩ガラスは、SrO、BaO、B、P、およびKOの各々を実質的に含まず、前記イオン交換されたガラスは、約4mmまでの厚さを有し、該イオン交換されたガラスの表面からDOCまで延在する圧縮層を有し、約1000MPa以上のピーク圧縮応力を有する、イオン交換されたガラス。
  10. 前記イオン交換されたガラスが、約100μmまでの厚さを有し、
    前記イオン交換されたガラスが、約25℃および約50%の相対湿度で、かつ5mm、4mm、または3mmの内の少なくとも1つの曲げ半径で、60分間に亘り保持されたときに、破損がなく、
    前記ピーク圧縮応力が約1500MPa以下である、請求項9記載のイオン交換されたガラス。
  11. 前記イオン交換されたガラスがLiOをさらに含み、DOCが厚さの約10%以上であり、前記イオン交換されたガラスが、約4マイクロメートルから約40マイクロメートルのカリウムイオンの層の深さを有する、請求項9または10記載のイオン交換されたガラス。
  12. 前記イオン交換されたガラスが、約52モル%から約61モル%のSiO、約17モル%から約23モル%のAl、0モル%から約7モル%のLiO、約9モル%から約20モル%のNaO、0モル%超から約5モル%のMgO、0モル%超から約5モル%のCaO、および0モル%超から約2モル%のZnOを含む、請求項9から11いずれか1項記載のイオン交換されたガラス。
  13. 前記イオン交換されたガラスが、フレキシブルディスプレイの少なくとも一部を形成する、請求項9から12いずれか1項記載のイオン交換されたガラス。
  14. ガラスを強化する方法において、
    a.少なくとも1種類のカリウム塩を含むイオン交換媒体中にガラス物品を浸漬する工程であって、該少なくとも1種類のカリウム塩が該イオン交換媒体の約50質量%を占め、該ガラス物品がアルカリアルミノケイ酸塩ガラスから作られ、該アルカリアルミノケイ酸塩ガラスが、約17モル%以上のAlおよび非ゼロ量のNaO、MgO、およびCaOを含み、ここで、Al(モル%)+RO(モル%)≧21モル%、式中、RO(モル%)=MgO(モル%)+CaO(モル%)+ZnO(モル%)であり、該アルカリアルミノケイ酸塩ガラスは、SrO、BaO、B、P、およびKOの各々を実質的に含まない工程、および
    b.約350℃から約480℃の範囲の所定の温度で約1時間から約24時間の範囲の所定の期間に亘り前記イオン交換媒体中に浸漬されている間に前記ガラス物品をイオン交換して、表面からDOCまで延在し、約1000MPa以上のピーク圧縮応力を有する圧縮層を達成する工程、
    を有してなる方法。
  15. 前記ガラス物品を前記イオン交換媒体中に浸漬する前に、該ガラス物品をその1011P温度に加熱し、加熱されたガラス物品を室温まで急冷する工程をさらに含む、請求項14記載の方法。
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