本開示は、NK細胞および/またはCD8+T細胞を活性化および/または増大させるのに十分な刺激性サイトカインなどの1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドを赤血球系細胞の細胞表面に発現させることにより、免疫キラー細胞を刺激する(例えば、NK細胞および/またはCD8+T細胞の増大、活性化および/または細胞傷害活性を刺激する)ように操作された赤血球系細胞の開発に基づく。一部の実施形態では、本発明は、CD4+、CD8+およびNK細胞の強力な活性化を駆動すること、ならびにNK細胞の細胞傷害性を誘導することが見いだされている、IL−12、IL−15/IL−15RA、4−1BBL、またはこれらの組合せ、例えば、4−1BBLおよびIL−15/IL−15RA、4−1BBLおよびIL−12、またはIL−12およびIL−15/IL−15RAを含む操作された赤血球系細胞を提供する。本開示の実施形態によると、操作された赤血球系細胞は、有核細胞である、または除核細胞である。本明細書に提示される操作された赤血球系細胞は、天然に免疫特権を有し、in vivoにおいて免疫キラー細胞(例えば、NK細胞および/またはCD8+T細胞)の刺激を直接媒介し、したがって、免疫キラー細胞の養子細胞移入に付随する不都合が回避されるという、現行の免疫キラー細胞標的化技術よりも有意な利点をもたらす。操作された赤血球系細胞は、いくつかの異なる刺激性分子、例えば、4−1BBLおよびIL−12、4−1BBLおよびIL−15/IL−15RA、またはIL−12およびIL−15/IL−15RAを単一の除核細胞において有意に多い数で提示する、例えば、細胞表面に含むことができる、ならびに刺激性シグナルを赤血球系細胞を介して循環系中を直接、長い循環半減期で送達し、維持し、したがって、免疫キラー細胞を刺激するためのより安全かつより有効な方法がもたらされるという追加的な利点をもたらす。
前述の説明および付随する図に示されている教示の利益を受けるこれらの発明が関係する技術分野の当業者は本明細書に記載の本発明の多くの改変および他の実施形態を容易に思い浮かべるであろう。したがって、本発明は開示されている特定の実施形態に限定されるべきでないこと、および改変および他の実施形態は添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図されていることが理解されるべきである。本明細書では特定の用語が使用されているが、それらは、単に一般的かつ記述的な意味で使用されており、限定する目的で使用されているのではない。
定義
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、その内容からそうでないことが明らかでない限り、複数の参照対象を含む。
選択(例えば、「または(or)」)の使用は、選択肢のうちの1つ、両方、またはそれらの任意の組合せを意味すると理解されるべきである。
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、量、持続時間などの測定可能な値について言及する場合、指定の値から±20%または±10%、より好ましくは±5%、なおより好ましくは±1%、およびさらにより好ましくは±0.1%の変動を包含し、したがって、そのような変動は開示されている方法の実施に適することを意味する。
本明細書で使用される場合、別段の指定のない限り、濃度範囲、パーセンテージ範囲、比率範囲、または整数範囲はいずれも、記載されている範囲内に入るあらゆる整数値、および適切な場合にはその分率(例えば、整数の10分の1および100分の1)を含むものと理解されるべきである。
本明細書で使用される場合、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」および「含む(comprises)」および「含む(comprised of)」は、「含む(include)」、「含む(including)」、「含む(includes)」または「含有する(contain)」、「含有する(containing)」、「含有する(contains)」と同義であるものとし、包括的またはオープンエンドの用語であり、後に続くもの、例えば構成成分の存在を明示し、また、追加的な記載されていない、当技術分野で公知であるまたは本明細書に開示されている構成成分、特色、要素、メンバー、ステップの存在を排除したり妨げたりするものではない。
本明細書で使用される場合、「などの(such as)」、「例えば(for example)」などの用語は、例示的な実施形態を指し、本開示の範囲を限定するものではない。
別段の定義のない限り、本明細書において使用される全ての科学技術用語は、本発明が関係する技術分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書には好ましい材料および方法が記載されているが、本明細書に記載の方法および材料と類似した、またはそれと等しい任意の方法および材料を本発明の試験の実施に使用することができる。
本明細書で使用される場合、「CD8+T細胞を活性化すること」または「CD8+T細胞活性化」という用語は、増殖、分化、サイトカイン分泌、細胞傷害性エフェクター分子放出、細胞傷害活性、および活性化マーカーの発現から選択されるCD8+T細胞(CTL)の1つまたは複数の細胞応答を引き起こすまたはもたらすプロセス(例えば、シグナル伝達事象)を指す。本明細書で使用される場合、「活性化されたCD8+T細胞」とは、活性化シグナルを受け取っており、したがって、増殖、分化、サイトカイン分泌、細胞傷害性エフェクター分子放出、細胞傷害活性、および活性化マーカーの発現から選択される1つまたは複数の細胞応答を示すCD8+T細胞を指す。CD8+T細胞活性化を測定するための適切なアッセイは当技術分野で公知であり、また、本明細書に記載されている。
本明細書で使用される場合、「CD8+T細胞を増大させること」または「CD8+T細胞増大」という用語は、CD8+T細胞が一連の細胞分裂を受け、それにより、細胞数が増大するプロセスを指す。「増大したCD8+T細胞」という用語は、CD8+T細胞増大によって得られたCD8+T細胞に関する。T細胞増大を測定するための適切なアッセイは当技術分野で公知であり、また、本明細書に記載されている。
本明細書で使用される場合、「NK細胞を活性化すること」または「NK細胞活性化」という用語は、MHCクラスI発現の欠損を有する細胞を死滅させることができるNK細胞を引き起こすまたはもたらすプロセス(例えば、シグナル伝達事象)を指す。本明細書で使用される場合、「活性化されたNK細胞」とは、活性化シグナルを受け取っており、したがって、MHCクラスI発現の欠損を有する細胞を死滅させることができるNK細胞を指す。NK細胞活性化を測定するための適切なアッセイは当技術分野で公知であり、また、本明細書に記載されている。
本明細書で使用される場合、「NK細胞を増大させること」または「NK細胞増大」という用語は、NK細胞が一連の細胞分裂を受け、それにより、細胞数が増大するプロセスを指す。「増大したNK細胞」という用語は、NK細胞増大によって得られたNK細胞に関する。NK細胞増大を測定するための適切なアッセイは当技術分野で公知であり、また、本明細書に記載されている。
本明細書で使用される場合、「投与(administration)」、「投与すること(administering)」およびその変形は、組成物または作用剤を対象に導入することを指し、組成物または作用剤の同時導入および逐次的導入を含む。「投与(administration)」は、例えば、治療的、薬物動態、診断的、研究、プラセボ、および実験的方法を指し得る。「投与(administration)」は、in vitroおよびex vivoにおける処置も包含する。組成物または作用剤の対象への導入は、経口、肺、鼻腔内、非経口(静脈内、筋肉内、腹腔内、または皮下)、直腸、リンパ内、または局部を含めた任意の適切な経路によるものである。投与は、自己投与および他者による投与を含む。投与は、任意の適切な経路によって行うことができる。適切な投与経路により、組成物または作用剤が意図された機能を果たすことが可能になる。例えば、適切な経路が静脈内である場合、組成物は、組成物または作用剤を対象の静脈内に導入することによって投与される。
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、最も広範な意味で使用され、これだけに限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、および、所望の抗原結合活性を示す限りは抗体断片を含めた種々の抗体構造を包含する。
本明細書で使用される場合、「がん」という用語は、異常な細胞が制御されずに分裂する疾患を指す。一部の実施形態では、がんは、他の組織に浸潤することができる。100種を超える異なる型のがんが存在する。大多数のがんの名称はそれらの出発器官または細胞型に由来する−例えば、結腸において始まるがんは結腸がんと称される;皮膚のメラニン細胞において始まるがんは黒色腫と称される。がんの型は、より広範なカテゴリーに群分けすることができる。がんの主要なカテゴリーとしては、癌腫(腺癌、基底細胞癌、扁平上皮癌、および移行上皮癌を含めた、内臓を裏打ちするまたは覆う皮膚または組織において始まるがんおよびそのサブタイプを意味する);肉腫(骨、軟骨、脂肪、筋肉、血管、または他の結合もしくは支持組織において始まるがんを意味する);白血病(血液形成組織(例えば、骨髄)において出発し、多数の異常な血液細胞の産生および血液中への侵入を引き起こすがんを意味する;リンパ腫および骨髄腫(免疫系の細胞において始まるがんを意味する);ならびに中枢神経系(CNS)がん(脳および脊髄の組織において始まるがんを意味する)が挙げられる。「骨髄異形成症候群」という用語は、骨髄が十分健康な血液細胞(白血球、赤血球、および血小板)を作らず、血液および/または骨髄中に異常な細胞が存在する、がんの一種を指す。骨髄異形成症候群は急性骨髄性白血病(AML)になる恐れがある。ある特定の実施形態では、がんは、これだけに限定されないが、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、肛門がん、胆管がん、膀胱がん、骨がん、腸がん、脳腫瘍、乳がん、原発不明がん、骨に広がったがん、脳に広がったがん、肝臓に広がったがん、肺に広がったがん、カルチノイド、子宮頸がん、絨毛癌、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸がん、結腸直腸がん、子宮体がん、眼がん、胆嚢がん、胃がん、妊娠性絨毛腫瘍(GTT)、ヘアリー細胞白血病、頭頸部がん、ホジキンリンパ腫、腎がん、喉頭がん、白血病、肝がん、肺がん、リンパ腫、黒色腫、皮膚がん、中皮腫、男性のがん、奇胎妊娠、口および中咽頭がん、骨髄腫、鼻腔および副鼻腔がん、鼻咽頭がん、非ホジキンリンパ腫(NHL)、食道がん、卵巣がん、膵がん、陰茎がん、前立腺がん、稀ながん、直腸がん、唾液腺がん、二次がん、皮膚がん(非黒色腫)、軟部組織肉腫、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、原発不明がん、子宮がん、膣がん、および外陰がんを含めたがんから選択される。
本明細書で使用される場合、「クリック反応」という用語は、連結生成物の都合のよい生成のために第1の部分と第2の部分を共有結合により連結するために使用される様々な反応を指す。クリック反応は、一般には、以下の特徴のうちの1つまたは複数を有する:高速である、特異的である、高収率である、効率的である、自発性である、連結される実体の生体適合性を著しく変更するものではない、反応速度が高い、安定な生成物を生成する、単一の反応生成物の生成に有利である、アトムエコノミーが高い、化学選択的である、モジュラーである、立体選択的である、酸素に対して非感受性である、水に対して非感受性である、純度が高い、クロマトグラフィーによらない方法(例えば、結晶化または蒸留)によって除去することができる無害または比較的無毒性の副産物しか生じない、溶媒を必要としないまたは環境にやさしいもしくは生理的に適合性の溶媒中、例えば、水中、安定な生理的条件下で実施することができる。例としては、アルキン/アジド反応、ジエン/求ジエン体反応、またはチオール/アルケン反応が挙げられる。他の反応を使用することができる。一部の実施形態では、クリック反応は高速であり、特異的であり、かつ高収率である。
本明細書で使用される場合、「クリックハンドル」という用語は、クリック反応で第2のクリックハンドルと反応して、クリックシグネチャーを生じさせることができる化学的部分を指す。複数の実施形態では、クリックハンドルはカップリング試薬に含まれ、カップリング試薬は基質反応性部分をさらに含み得る。
本明細書で使用される場合、「サイトカイン」という用語は、他の細胞に対する種々の効果を有する、細胞によって分泌される小さな可溶性タンパク質物質を指す。サイトカインは、成長、発達、創傷治癒、および免疫応答を含めた多くの重要な生理機能を媒介する。サイトカインは、細胞膜に位置するそれらの細胞特異的受容体に結合することによって作用し、それにより、細胞における別個のシグナルトランスダクションカスケードの開始が可能になり、それにより、標的細胞における生化学的変化および表現型の変化が最終的に導かれる。サイトカインは、局所的に、および放出部位から遠位のどちらでも作用し得る。サイトカインとしては、インターロイキンの多く、ならびにいくつかの造血成長因子を包含するI型サイトカイン;インターフェロンおよびインターロイキン−10を含むII型サイトカイン;TNFαおよびリンホトキシンを含む腫瘍壊死因子(「TNF」)関連分子;インターロイキン1(「IL−1」)を含む免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー;ならびに、多種多様な免疫および炎症機能において重大な役割を果たす分子のファミリーであるケモカインが挙げられる。細胞の状態に応じて同じサイトカインが細胞に対して異なる効果を有する場合がある。サイトカインは、多くの場合、他のサイトカインの発現を調節し、カスケードを誘発する。サイトカインの非限定的な例としては、例えば、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12/IL−23 P40、IL13、IL−15、IL−15/IL−15−RA、IL−17、IL−18、IL−21、IL−23、TGF−β、IFNγ、GM−CSF、Groα、MCP−1およびTNF−αが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「内因性」という用語は、ネイティブな形態の化合物(例えば、小分子)またはプロセスを指すものとする。例えば、一部の実施形態では、「内因性」という用語は、生物体内または生物体のゲノム内のその天然の位置にあるネイティブな形態の核酸またはポリペプチドを指す。
本明細書で使用される場合、「操作された細胞」という用語は、遺伝子改変された細胞またはその後代を指すものとする。一部の実施形態では、操作された細胞(例えば、操作された除核細胞)は、外因性ポリペプチドを細胞の表面に連結する(例えば、クリックケミストリーを使用して)ためのカップリング試薬を使用して作製することができる。
本明細書で使用される場合、「除核」という用語は、核を欠く細胞、例えば、網状赤血球または成熟赤血球(赤血球)を指す。ある実施形態では、除核細胞は、前駆細胞、例えば、造血幹細胞(例えば、CD34+細胞)、骨髄系共通始原細胞(CMP)、巨核球・赤血球始原細胞(MEP)、前期赤芽球系前駆細胞(BFU−E)、後期赤芽球系前駆細胞(CFU−E)、前赤芽球、初期好塩基性赤芽球、後期好塩基性赤芽球、多染赤芽球、もしくは正染性赤芽球、または人工多能性細胞から、網状赤血球または成熟赤血球への分化を通じて核を失った細胞である。ある実施形態では、除核細胞は、前駆細胞、例えば、造血幹細胞(例えば、CD34+細胞)、骨髄系共通始原細胞(CMP)、巨核球・赤血球始原細胞(MEP)、前期赤芽球系前駆細胞(BFU−E)、後期赤芽球系前駆細胞(CFU−E)、前赤芽球、初期好塩基性赤芽球、後期好塩基性赤芽球、多染赤芽球、もしくは正染性赤芽球、または人工多能性細胞から網状赤血球または成熟赤血球へのin vitro分化を通じて核を失った細胞である。ある実施形態では、除核細胞は、DNAを欠く。ある実施形態では、除核細胞は、ポリペプチドを発現することができない、例えば、DNAを転写し、かつ/またはタンパク質に翻訳することができない、例えば、DNAを転写し、かつ/またはタンパク質に翻訳するために必要な細胞機構を欠く。一部の実施形態では、除核細胞は、赤血球、網状赤血球、または血小板である。
一部の実施形態では、除核細胞は血小板ではなく、したがって、「血小板を含まない除核」細胞(「PFE」細胞)である。血小板は核を有さず、この特定の実施形態では、血小板は包含されないことが意図されていることが理解されるべきである。
本明細書で使用される場合、「赤血球系細胞」は、有核赤血球、赤血球前駆細胞(red blood cell precursor)、除核成熟赤血球、および網状赤血球を含む。本明細書で使用される場合、赤血球系細胞は、赤血球系前駆細胞、網状赤血球または赤血球に分化することができる細胞を含み得る。例えば、赤血球系前駆細胞は、臍帯血幹細胞、CD34+細胞、造血幹細胞(HSC)、脾臓コロニー形成(CFU−S)細胞、骨髄系共通始原(CMP)細胞、未分化胚芽細胞コロニー形成細胞、前期赤芽球系前駆細胞(BFU−E)、巨核球・赤血球系始原(MEP)細胞、赤芽球コロニー形成単位(CFU−E)、網状赤血球、赤血球、人工多能性幹細胞(iPSC)、間葉系幹細胞(MSC)、多染性正赤芽球、正染性正赤芽球のいずれかを含む。赤血球系細胞の調製物は、これらの細胞またはこれらの組合せのいずれかを含み得る。一部の実施形態では、赤血球系前駆細胞は、不死細胞または不死化細胞である。例えば、不死化赤芽球細胞は、CD34+造血前駆細胞に、Oct4、Sox2、Klf4、cMycを発現し、TP53を抑制するようにレトロウイルスによる形質導入を行うことによって生成することができる(例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれるHuang et al., (2014) Mol. Ther. 22 (2): 451-63に記載されている通り)。さらに、細胞は、自己使用が意図されたものまたは同種異系輸血用の供給源を提供するものであり得る。一部の実施形態では、赤血球系細胞は培養される。ある実施形態では、赤血球系細胞は、除核赤血球である。
本明細書で使用される場合、「外因性」という用語は、核酸に関して使用される場合、導入遺伝子および組換え核酸を含む。
本明細書で使用される場合、「外因性核酸」という用語は、細胞のネイティブなものではないが、細胞または細胞の前駆体に導入された核酸(例えば、遺伝子)を指す。外因性核酸は、細胞のネイティブな内因性核酸と相同であるまたは同一である領域またはオープンリーディングフレーム(例えば、遺伝子)を含み得る。一部の実施形態では、外因性核酸は、RNAを含む。一部の実施形態では、外因性核酸は、DNAを含む。一部の実施形態では、外因性核酸は、細胞のゲノムに組み込まれている。一部の実施形態では、外因性核酸は、外因性ポリペプチドを産生するための細胞機構によって産生される。一部の実施形態では、外因性核酸は、外因性核酸が導入された細胞またはその細胞の後代である細胞によって保持されない。
本明細書で使用される場合、「外因性ポリペプチド」という用語は、その型の野生型細胞によって産生されないまたは野生型細胞では外因性ポリペプチドを含有する細胞よりも低いレベルで存在するポリペプチドを指す。一部の実施形態では、外因性ポリペプチドは、細胞内もしくは細胞上に導入された、または外因性ポリペプチドをコードする外因性核酸を細胞もしくは細胞の前駆体に導入することによって細胞により発現されるようにさせたポリペプチドを指す。一部の実施形態では、外因性ポリペプチドは、細胞または細胞の前駆体に導入された外因性核酸によってコードされるポリペプチドであり、当該核酸は、必要に応じて、細胞によって保持されない。一部の実施形態では、外因性ポリペプチドは、細胞の表面に化学的または酵素的手段によってコンジュゲートしたポリペプチドである。
本明細書で使用される場合、「外因性刺激性ポリペプチド」という用語は、免疫キラー細胞(例えば、NK細胞またはCD8+T細胞)などの免疫細胞上の同類ポリペプチド(例えば、受容体)に特異的に結合し、それにより、例えば免疫細胞の増殖、活性化、増大などの免疫細胞の刺激を媒介するシグナルをもたらす、操作された赤血球系細胞に含まれる(例えば、細胞内にまたは細胞表面に)ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドは、ex vivoまたはin vivoにおいて免疫キラー細胞を刺激するのに十分である。例示的な外因性刺激性ポリペプチドを、以下により詳細に記載する。
本明細書で使用される場合、「発現する(express)」または「発現(expression)」という用語は、転写および翻訳を含めた、ポリペプチドを生じさせるためのプロセスを指す。発現は、例えば、ポリペプチドをコードする遺伝子の数を増加させること、遺伝子の転写を増大させること(例えば、遺伝子を構成的プロモーターの制御下に置くことによってなど)、遺伝子の翻訳を増大させること、競合遺伝子をノックアウトすること、またはこれらおよび/もしくは他の手法の組合せを含めたいくつかの手法によって増大させることができる。
本明細書で使用される場合、「第1の」、「第2の」および「第3の」などという用語は、外因性刺激性ポリペプチドに関しては、1つよりも多くの型の外因性刺激性ポリペプチドが存在する場合に区別するために便宜上使用される。これらの用語の使用は、明確にそのように規定されていなければ、外因性刺激性ポリペプチドの特定の順序または方向を付与するものではない。
本明細書で使用される場合、「断片」という用語は、少なくとも6つの(連続した)核酸または少なくとも4つの(連続した)アミノ酸の配列を指し、これは、核酸の場合では特異的ハイブリダイゼーションを可能にするのに、またはアミノ酸の場合ではエピトープの特異的認識を可能にするのに十分な長さであり、最大で全長配列未満の一部である。断片は、選択された核酸またはアミノ酸配列の任意の連続した部分に由来してもよい。
本明細書で使用される場合、「遺伝子」という用語は、所与のRNAまたはタンパク質の発現に関連する核酸の任意のセグメントを指すために広範に使用される。したがって、遺伝子は、発現されるRNA(一般にはポリペプチドコード配列を含む)をコードする領域、および多くの場合、それらの発現に必要な調節配列を含む。遺伝子は、目的の供給源からのクローニングまたは既知のもしくは予測される配列情報からの合成を含め、種々の供給源から得ることができ、特定の所望のパラメーターを有するように設計された配列を含み得る。
本明細書で使用される場合、「IL−15RAの細胞外部分」という用語は、IL−15RAの膜貫通ドメインのアミノ末端側にあり、細胞の外表面に見いだされる、IL−15RAポリペプチドの部分を指す。IL−15RAの細胞外部分は、IL−15RAシグナルペプチドを含み得る。ある特定の実施形態では、IL−15RAの細胞外部分は、配列番号7または配列番号8のアミノ酸配列からなる。
本明細書で使用される場合、「IL−15RAのsushiドメイン」という用語は、システイン残基を4つ含む、成熟IL−15RAポリペプチドのアミノ末端のおよそ60アミノ酸残基の領域を指す。第1のシステイン残基と第3のシステインがジスルフィド結合を形成しており、第2のシステインと第4のシステインがジスルフィド架橋を形成している。IL−15RAのsushiドメインは、IL−15の結合に関与する。ある特定の実施形態では、IL−15RAのsushiドメインは、配列番号9のアミノ酸配列からなる。
本明細書で使用される場合、「低MHC I提示」という用語は、細胞(例えば、腫瘍細胞)表面上のMHC I分子のレベルが低下していること(例えば、発現の下方制御による)を指す。
本明細書で使用される場合、「核酸分子」という用語は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド塩基の一本鎖または二本鎖ポリマーを指す。核酸分子は、組換え型であってよく、核酸を細胞に導入すれば外因性ポリペプチドを発現させることができる染色体DNAおよび自己複製性プラスミド、ベクター、mRNA、tRNA、siRNAなどを含む。
以下の用語は、本明細書では、2つまたはそれよりも多くの核酸またはポリヌクレオチド間の配列関係を記載するために使用される:(a)「参照配列」、(b)「比較ウインドウ」、(c)「配列同一性」、(d)「配列同一性のパーセンテージ」、および(e)「実質的な同一性」。(a)「参照配列」という用語は、配列比較のための基礎として使用される配列を指す。参照配列は、指定の配列のサブセットまたは全体であり得る;例えば、全長cDNAもしくは遺伝子配列のセグメント、または完全なcDNAまたは遺伝子配列。(b)「比較ウインドウ」という用語は、ポリヌクレオチド配列の連続した指定のセグメントを指し、このポリヌクレオチド配列を参照配列と比較することができ、2つの配列を最適にアラインメントするために、比較ウインドウ内のポリヌクレオチド配列の一部は参照配列(付加も欠失も含まない)と比較して付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。一般に、比較ウインドウは、少なくとも20個の連続したヌクレオチドの長さであり、必要に応じて、少なくとも30個の連続したヌクレオチドの長さ、少なくとも40個の連続したヌクレオチドの長さ、少なくとも50個の連続したヌクレオチドの長さ、少なくとも100個の連続したヌクレオチドの長さ、またはより長いものであり得る。ポリヌクレオチド配列内にギャップを含めることに起因して参照配列との類似性が高くなることを回避するために、一般にはギャップペナルティ(gap penalty)を導入し、マッチの数から差し引くことが当業者には理解される。比較のために配列をアラインメントする方法は当技術分野で周知である。比較のための配列の最適なアラインメントは、Smith and Waterman, Adv. Appl. Math. 2: 482 (1981)の局所相同性アルゴリズムによって;Needleman and Wunsch, J. Mol. Biol. 48: 443 (1970)の相同性アラインメントアルゴリズムによって;Pearson and Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. 85: 2444 (1988)の類似性方法の検索によって;これだけに限定されないが、Intelligenetics、Mountain View、Calif.によるPC/Gene programのCLUSTAL;Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group(GCG)、575 Science Dr.、Madison、Wis.、USAのGAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、およびTFASTAを含めた、これらのアルゴリズムのコンピュータ化インプリメンテーションによって行うことができる;CLUSTALプログラムは、Higgins and Sharp, Gene 73: 237-244 (1988);Higgins and Sharp, CABIOS 5: 151-153 (1989);Corpet, et al., Nucleic Acids Research 16: 10881-90 (1988);Huang, et al., Computer Applications in the Biosciences, 8: 155-65 (1992)、およびPearson, et al., Methods in Molecular Biology, 24: 307-331 (1994)により十分に記載されている。データベース類似性検索のために使用することができるBLASTファミリーのプログラムとしては、ヌクレオチドデータベース配列に対するヌクレオチドクエリ配列に関するBLASTN;タンパク質データベース配列に対するヌクレオチドクエリ配列に関するBLASTX;タンパク質データベース配列に対するタンパク質クエリ配列に関するBLASTP;ヌクレオチドデータベース配列に対するタンパク質クエリ配列に関するTBLASTN;およびヌクレオチドデータベース配列に対するヌクレオチドクエリ配列に関するTBLASTXが挙げられる。Current Protocols in Molecular Biology, Chapter 19, Ausubel, et al., Eds., Greene Publishing and Wiley-Interscience, New York (1995)を参照されたい。別段の指定のない限り、本明細書に提示される配列同一性/類似性値は、プログラムのBLAST 2.0一式を使用し、デフォルトパラメーターを使用して得られた値を指す。Altschul et al., Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402 (1997)。BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、例えば、National Center for Biotechnology−Informationを通じて公的に入手可能である。このアルゴリズムは、まず、データベース配列内の同じ長さのワードとアラインメントした場合に、いくつかの正の値をとる閾値スコアTとマッチするかまたはそれを満たすクエリ配列内の長さWの短いワードを同定することにより、高スコア配列対(high scoring sequence pair)(HSP)を同定することを伴う。Tは、近傍ワードスコア閾値(neighborhood word score threshold)と称される(Altschul et al., 上記)。これらの最初の近傍ワードヒット(neighborhood word hit)は、それらを含有するより長いHSPを見いだすための検索を開始するためのシードとしての機能を果たす。次いで、ワードヒット(word hit)を、累積アラインメントスコアを増加させることができる限り各配列に沿って両方向に伸長させる。累積スコアを、ヌクレオチド配列に関してはパラメーターM(マッチする残基の対についてのリワードスコア(reward score);常に>0)およびN(ミスマッチ残基についてのペナルティスコア(penalty score);常に<0)を使用して算出する。アミノ酸配列に関しては、累積スコアを算出するためにスコアリング行列を使用する。累積アラインメントスコアがその最大達成値から数量Xだけ減少した時;1つまたは複数の負スコア残基(negative-scoring residue)アラインメントの蓄積により累積スコアがゼロまたはそれ未満になった時;またはいずれかの配列の末端に達した時に、各方向へのワードヒット(word hit)の伸長を停止する。BLASTアルゴリズムパラメーターW、T、およびXにより、アラインメントの感度およびスピードが決定される。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列に関して)では、デフォルトとしてワード長(word lenght)(W)11、期待値(expectation)(E)10、カットオフ100、M=5、N=−4、および両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列に関しては、BLASTPプログラムでデフォルトとしてワード長(word lenght)(W)3、期待値(expectation)(E)10、およびBLOSUM62スコアリング行列を使用する(Henikoff & Henikoff (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915を参照されたい)。BLASTアルゴリズムにより、パーセント配列同一性を算出することに加えて、2つの配列間の類似性の統計解析も実施する(例えば、Karlin & Altschul, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873-5787 (1993)を参照されたい)。BLASTアルゴリズムによってもたらされる類似性の1つの評価基準は最小和確率(smallest sum probability)(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列の間のマッチが偶然に生じる確率の指標をもたらす。BLAST検索では、タンパク質をランダムな配列としてモデリングすることができると仮定する。しかし、多くの実際のタンパク質は、ホモポリマー路、短期間リピート、または1つもしくは複数のアミノ酸に富む領域であり得るランダムでない配列の領域を含む。そのような低複雑度の領域は、タンパク質の他の領域が完全に異なるにもかかわらず、関連しないタンパク質とアラインメントされる可能性がある。いくつかの低複雑度フィルタープログラムを使用して、そのような低複雑度アラインメントを減少させることができる。例えば、SEG(Wooten and Federhen, Comput. Chem., 17: 149-163 (1993))およびXNU(Claverie and States, Comput. Chem., 17: 191-201 (1993))低複雑度フィルターを単独でまたは組み合わせて使用することができる。(c)「配列同一性」または「同一性」という用語は、2つの核酸またはポリペプチド配列に関しては、本明細書では、指定の比較ウインドウにわたって最大の対応でアラインメントした場合に同じである2つの配列内の残基を指すために使用される。タンパク質に関して配列同一性のパーセンテージが使用される場合、同一でない残基の位置は、多くの場合、保存的アミノ酸置換によって異なる、すなわち、アミノ酸残基が同様の化学的性質(例えば、電荷または疎水性)を有する他のアミノ酸残基で置換されており、したがって、分子の機能的性質は変化しないことが認識される。配列が保存的置換で異なる場合、パーセント配列同一性を上向きに調整して、置換の保存性を補正することができる。そのような保存的置換によって異なる配列は、「配列類似性」または「類似性」を有すると言える。この調整を行うための手段は当業者に周知である。一般には、これは、保存的置換を完全なミスマッチではなく部分的なミスマッチとしてスコアリングし、それにより、配列同一性のパーセンテージを上昇させることを伴う。したがって、例えば、同一のアミノ酸に1というスコアが与えられ、非保存的置換にゼロというスコアが与えられる場合、保存的置換には、ゼロと1の間のスコアが与えられる。保存的置換のスコアリングは、例えば、例えばプログラムPC/GENE(Intelligenetics、Mountain View、Calif.、USA)で実行されるMeyers and Miller, Computer Applic. Biol. Sci., 4: 11-17 (1988)のアルゴリズムに従って算出される。(d)本明細書で使用される「配列同一性のパーセンテージ」という用語は、比較ウインドウにわたって最適にアラインメントされた2つの配列を比較することによって決定された値を意味し、ここで、2つの配列を最適にアラインメントするために、比較ウインドウ内のポリヌクレオチド配列の一部は参照配列(付加も欠失も含まない)と比較して付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。パーセンテージは、両方の配列に同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が存在する位置の数を決定して、マッチする位置の数を得、マッチする位置の数を比較のウインドウ内の位置の総数で割り、その結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることによって算出される。(e)ポリヌクレオチド配列の「実質的な同一性」という用語は、ポリヌクレオチドが、記載されているアラインメントプログラムのうちの1つを使用し、標準のパラメーターを使用して参照配列と比較して少なくとも70%の配列同一性、少なくとも80%の配列同一性、少なくとも90%の配列同一性および少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含むことを意味する。コドンの縮退、アミノ酸の類似性、読み枠の位置決めなどを考慮に入れることにより、2つのヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質の対応する同一性を決定するためにこれらの値を適切に調整することができることが当業者には認識されよう。これらの目的に関するアミノ酸配列の実質的な同一性は、通常、少なくとも60%、または少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を意味する。ヌクレオチド配列が実質的に同一であるという別の指標は、2つの分子がストリンジェントな条件下で互いとハイブリダイズするかどうかである。しかし、ストリンジェントな条件下で互いとハイブリダイズしない核酸であっても、それらがコードするポリペプチドが実質的に同一であれば実質的に同一である。これは、例えば、核酸のコピーが遺伝暗号に許容される最大のコドンの縮退を使用して創出された場合に起こり得る。2つの核酸配列が実質的に同一であるという1つの指標は、第1の核酸がコードするポリペプチドが第2の核酸によってコードされるポリペプチドと免疫学的に交差反応性であることである。コドンの縮退を考慮に入れることを含め、遺伝暗号を参照することにより、このタンパク質のヌクレオチド配列に突然変異を行うこともできる。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、リン酸緩衝食塩水溶液、水、油/水または水/油などのエマルション、および種々の型の湿潤剤などの標準の医薬担体のいずれかを含む。この用語は、ヒトを含めた動物での使用に関して米国連邦政府の規制当局によって認可されているまたは米国薬局方に列挙されている作用剤のいずれか、ならびに対象に対して有意な刺激を引き起こさず、投与される作用剤の生物活性および性質を抑止しない任意の担体または希釈剤も包含する。
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書では互換的に使用され、アミノ酸残基のポリマーを指す。この用語は、1つまたは複数のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学的類似体であるアミノ酸ポリマーならびに天然に存在するアミノ酸ポリマーにあてはまる。天然に存在するアミノ酸のそのような類似体に必須の本質は、タンパク質に組み入れられた場合に、そのタンパク質が同じタンパク質であるが天然に存在するアミノ酸から完全になるタンパク質によって引き出された抗体に対して特異的に反応性であることである。「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、これだけに限定されないが、グリコシル化、脂質の付着、硫酸化、グルタミン酸残基のガンマ−カルボキシル化、ヒドロキシル化、およびADP−リボシル化を含めた修飾も含む。周知であり、上記の通り、ポリペプチドは完全に直鎖状でない場合があることが理解されよう。例えば、ポリペプチドは、ユビキチン化の結果として分枝であり得、また、一般に、天然のプロセシング事象および天然には生じないヒトによる操作によってもたらされる事象を含めた翻訳後事象の結果として分枝を伴うまたは伴わない環状であり得る。環状、分枝および分枝環状ポリペプチドは、非翻訳天然プロセスによって合成することができ、完全合成方法によって合成することもできる。一部の実施形態によると、ペプチドは、任意の長さまたはサイズである。
本明細書で使用される場合、本明細書において「組換え」と称されるポリペプチドは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および/または制限酵素を使用してベクターにクローニングすることなどの人工的組換えの方法に依拠する手順によって生成されたものを含めた、組換えDNAの方法体系によって作製されたポリペプチドを指す。
本明細書で使用される場合、「免疫細胞を刺激する」または「免疫細胞を刺激すること」という用語は、免疫細胞、例えば、キラー免疫細胞(例えば、NK細胞および/またはCD8+T細胞)の活性化および/または増大などの細胞応答を引き起こすまたはもたらすプロセス(例えば、シグナル伝達事象または刺激を伴う)を指す。一部の実施形態では、免疫細胞(例えば、NK細胞および/またはCD8+T細胞)を刺激することとは、免疫細胞の活性化および/または増大をもたらす刺激またはシグナルをもたらすこと(例えば、ポリペプチドを刺激すること)を指す。
本明細書で使用される場合、「免疫細胞を刺激するのに十分」という用語は、免疫細胞の細胞応答を促進するシグナル伝達事象または刺激、例えば、外因性刺激性ポリペプチドの量またはレベルを指す。
本明細書で使用される場合、「対象」、「個体」、「宿主」および「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用され、診断、処置、または治療が望まれる任意の哺乳動物対象、特にヒトを指す。本明細書に記載の方法は、ヒト治療および動物への適用のどちらにも適用可能である。一部の実施形態では、対象は哺乳動物であり、特定の実施形態では、対象はヒトである。
本明細書で使用される場合、「必要とする対象」という句は、文脈および句の使用によりそうでないことが示されている場合を除き、(i)記載の発明に従って、操作された赤血球系細胞(または操作された赤血球系細胞を含む医薬組成物)がこれから投与される、(ii)記載の発明に従って、操作された赤血球系細胞(または操作された赤血球系細胞を含む医薬組成物)を受けている;または(iii)記載の発明に従って、操作された赤血球系細胞(または操作された赤血球系細胞を含む医薬組成物)を受けた対象を指す。
本明細書で使用される場合、「抑制する」、「減少させる」、「干渉する」、「阻害する」および/または「低減する」という用語(および同様の用語)は、一般に、天然の条件、予測される条件、もしくは平均条件と比べて、または対照条件と比べて、直接または間接的に、濃度、レベル、機能、活性、または挙動を低減する作用を指す。
本明細書で使用される場合、「免疫細胞を抑制すること」または「免疫細胞を阻害すること」という用語は、増殖、分化、サイトカイン分泌、細胞傷害性エフェクター分子放出、細胞傷害活性、および活性化マーカーの発現から選択される、免疫細胞の1つもしくは複数の細胞応答もしくは活性の阻害もしくは抑制を引き起こすもしくはもたらす、または免疫細胞のアネルギー化もしくは免疫細胞のアポトーシスの誘導をもたらすプロセス(例えば、シグナル伝達事象)を指す。免疫細胞の阻害または抑制を測定するための適切なアッセイは当技術分野で公知であり、また、本明細書に記載されている。
本明細書で使用される場合、活性薬剤(例えば、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞)の「治療量」、「治療有効量」、「有効量」、または「薬学的有効量」という用語は、意図された処置の利益をもたらすのに十分である量を指すために互換的に使用される。しかし、投与量のレベルは、傷害の型、患者の年齢、体重、性別、医学的状態、状態の重症度、投与経路、および使用される特定の活性薬剤を含めた種々の因子に基づく。したがって、投与量レジメンは広範に変動し得るが、医師が標準の方法を使用して常套的に決定することができる。さらに、「治療量」、「治療有効量」および「薬学的有効量」という用語は、記載の発明の組成物の予防または防止量を含む。記載の発明の予防または防止的適用では、医薬組成物または医薬を、疾患、障害または状態にかかりやすいまたは他の点でそのリスクがある患者に、疾患、障害または状態の生化学的、組織学的および/または行動症状、その合併症、ならびに疾患、障害または状態の発生の間に示される中間の病理学的表現型を含めた疾患、障害または状態のリスクを排除もしくは低減する、重症度を低下させる、または発症を遅延させるのに十分な量で投与する。一般に、最大用量、すなわち、ある医学的判断に従って最も高い安全用量が使用されることが好ましい。「用量」および「投与量」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
本明細書で使用される場合、「治療効果」という用語は、その結果が望ましく、有益であると判断をされる処置の成り行きを指す。治療効果は、直接または間接的に、疾患の顕在化を静止すること、低減すること、または排除することを含み得る。治療効果は、直接または間接的に、疾患顕在化の進行を静止すること、低減すること、または排除することも含み得る。
本明細書に記載の任意の治療剤に関して、治療有効量を予備的なin vitro試験および/または動物モデルから最初に決定することができる。治療有効用量をヒトデータから決定することもできる。適用される用量を、投与される作用剤の相対的な生物学的利用能および効力に基づいて調整することができる。上記の方法および他の周知の方法に基づいて最大の有効性を実現するために用量を調整することは当業者の能力の範囲内に入る。参照により本明細書に組み込まれるChapter 1 of Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, 10th Edition, McGraw-Hill (New York) (2001)において見ることができる治療効果の決定に関する一般原則を以下に要約する。
薬物動態の原理により、許容されない有害作用は最小限にして所望の程度の治療有効性を得るために投与量レジメンを改変することの基礎がもたらされる。薬物の血漿中濃度を測定することができ、それが治療域に関連する状況では、投与量の改変に関する追加的なガイダンスを得ることができる。
薬物製品は、同じ活性成分を含有し、強度または濃度、剤形、および投与経路が同一である場合、薬学的等価物であるとみなされる。2つの薬学的に等価の薬物製品は、2つの製品中の活性成分の生物学的利用能の速度および程度が適切な試験条件下で有意に異ならない場合、生物学的同等性であるとみなされる。
本明細書で使用される場合、「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」および/または「処置(treatment)」という用語は、状態を抑止すること、実質的に阻害すること、その進行を緩徐化するもしくは逆転させること、状態の臨床症状を実質的に好転させること、または状態の臨床症状の出現を実質的に防止すること、有益なもしくは所望の臨床結果を得ることを含む。処置することは、さらに、以下のうちの1つまたは複数を実現することを指す:(a)障害の重症度を低下させること;(b)処置される障害(複数可)に特有の症状の発生を限定すること;(c)処置される障害(複数可)に特有の症状の悪化を限定すること;(d)以前障害(複数可)を有していた患者における障害(複数可)の再発を限定すること;および(e)以前障害(複数可)に関して無症候性であった患者における症状の再発を限定すること。
薬理的および/または生理的効果などの有益なまたは所望の臨床結果としては、これだけに限定されないが、疾患、障害または状態の素因があり得るが疾患の症状をまだ経験していないまたは示していない対象において疾患、障害または状態が生じることの防止(予防的処置)、疾患、障害または状態の症状の軽減、疾患、障害または状態の程度の減弱、疾患、障害または状態の安定化(すなわち、悪化しないこと)、疾患、障害または状態の蔓延の防止、疾患、障害または状態の進行の遅延または緩徐化、疾患、障害または状態の好転または緩和、およびこれらの組合せ、ならびに処置を受けていない場合に予測される生存と比較した生存の延長が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「バリアント」という用語は、元のタンパク質と1つまたは複数のアミノ酸置換、欠失、挿入、または他の修飾によって異なるポリペプチドを指す。これらの修飾は、元のタンパク質の生物活性を有意に変化させるものではない。多くの場合、バリアントは、元のタンパク質の生物活性の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%を保持する。バリアントの生物活性が元のタンパク質の生物活性よりも高いこともあり得る。バリアントは、対立遺伝子の変形形態もしくは多型によってなど天然に存在するものであり得る、または故意に操作されたものであり得る。
バリアントのアミノ酸配列は、元のタンパク質のアミノ酸配列と実質的に同一である。多くの実施形態では、バリアントは、元のタンパク質と少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、またはそれよりも大きな全体的な配列同一性または類似性を共有する。配列同一性または類似性は、Basic Local Alignment Tool(BLAST)、ドットマトリックス解析、または動的プログラミング法などの当技術分野で公知の様々な方法を使用して決定することができる。一例では、配列同一性または類似性を、Genetics Computer Group(GCG)プログラムGAP(Needleman−Wunschアルゴリズム)を使用することによって決定する。バリアントのアミノ酸配列と元のタンパク質のアミノ酸配列は、1つまたは複数の領域において実質的に同一であり得るが、他の領域では異なり得る。バリアントは、断片(例えば、ポリペプチドの生物活性断片)を含み得る。一部の実施形態では、断片は、全長ポリペプチドと比較して、ポリペプチドのN末端、C末端、または両末端の(それぞれ独立に)最大約1、2、3、4、5、10、20、30、40、50、または100アミノ酸残基を欠き得る。
I.操作された赤血球系細胞
本開示は、免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞および除核細胞を特色とする。一部の実施形態では、除核細胞は、例えば、赤血球系前駆細胞からの分化を通じて核を失った赤血球系細胞である。しかし、全ての除核細胞が赤血球系細胞とは限らず、したがって、本発明に包含される除核細胞は、例えば、血小板も含み得ることが理解されよう。一部の実施形態では、除核細胞は血小板ではなく、したがって、血小板を含まない除核細胞である。本開示のある特定の態様では、赤血球系細胞は、網状赤血球または赤血球(erythrocyte)(赤血球(red blood cell)(RBC))である。赤血球は、主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)を欠くので非自己であること、より長い循環時間を有すること、および多数の産生に適することを含めた、他の細胞と比べていくつかの利点をもたらす。本開示のある特定の態様では、操作された赤血球系細胞は、有核である。
本明細書に提示される操作された赤血球系細胞は、天然に免疫特権を有し、in vivoにおいて免疫キラー細胞の刺激を直接媒介し、したがって、免疫キラー細胞の養子細胞移入に付随する不都合が回避されるという、現行の免疫キラー細胞標的化技術よりも有意な利点をもたらす。本発明の操作された赤血球系細胞は、これらの細胞集団にin vivoで曝露させるとNK細胞およびCD8+細胞を両方同時に刺激するように操作することができる。特に、IL−12、IL−15/IL−15RA、4−1BBLまたはこれらの組合せ、例えば、4−1BBLおよびIL−15/IL−15RA、4−1BBLおよびIL−12、またはIL−12およびIL−15/IL−15RAを含む操作された赤血球系細胞により、初代CD4+、CD8+、NKおよびNKT細胞の強力な活性化が駆動され、NK細胞の細胞傷害性が誘導されることは本発明の発見である。
一部の態様では、本開示は、免疫キラー細胞である免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞であって、免疫キラー細胞を刺激するのに十分な複数の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞を提供する。免疫キラー細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞およびCD8+T細胞を含む。
一部の態様では、本開示は、第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞であて、第1の外因性刺激性ポリペプチドが、インターロイキン−15(IL−15)ポリペプチドまたはその断片とインターロイキン−15受容体アルファ(IL−15RA)ポリペプチドの細胞外部分またはその断片とを含む、操作された赤血球系細胞を提供する。一部の実施形態では、遺伝子操作された赤血球系細胞は、免疫キラー細胞を含めた免疫細胞を刺激することができる。一部の実施形態では、本開示は、インターロイキン−15(IL−15)ポリペプチドまたはその断片とインターロイキン−15受容体アルファ(IL−15RA)ポリペプチドの細胞外部分またはその断片とを含む、第1の外因性刺激性ポリペプチドと、4−1BBLまたはその断片を含む第2の外因性刺激性ポリペプチドとを含む操作された赤血球系細胞を提供する。
一部の態様では、本開示は、インターロイキン−15(IL−15)ポリペプチドまたはその断片とインターロイキン−15受容体アルファ(IL−15RA)ポリペプチドの細胞外部分またはその断片とを含む、第1の外因性刺激性ポリペプチドと、インターロイキン(IL−12)ポリペプチドまたはその断片を含む、第2の外因性刺激性ポリペプチドとを含む操作された赤血球系細胞を提供する。
一部の態様では、本開示は、インターロイキン−12(IL−12)ポリペプチドまたはその断片を含む、第1の外因性刺激性ポリペプチドと、4−1BBLポリペプチドまたはその断片を含む、第2の外因性刺激性ポリペプチドとを含む操作された赤血球系細胞を提供する。
一部の態様では、本開示は、MHCクラスI鎖関連タンパク質A(MICA)、MHCクラスI鎖関連タンパク質B(MICB)、およびインスリン様増殖因子1(IGF−1)からなる群から選択される少なくとも1つの外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞を提供する。
操作された赤血球系細胞は、多数の異なる刺激性分子を単一の赤血球系細胞において、有意に多い数で提示する、例えば、細胞表面に含む、ならびに刺激性シグナルを赤血球系細胞を介して循環系中を直接、長い循環半減期で送達し、維持し、したがって、免疫キラー細胞を刺激するためのより安全かつより有効な方法がもたらされるという追加的な利点をもたらす。
外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞
本発明の外因性刺激性ポリペプチドは、単独で、または他の外因性刺激性ポリペプチドとの組合せで、免疫キラー細胞(例えば、NK細胞および/またはCD8+T細胞)の刺激を媒介するポリペプチドである。一部の実施形態では、赤血球系細胞に含まれる外因性刺激性ポリペプチドは、1つよりも多くの型の免疫キラー細胞を刺激することができる、例えば、本発明の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞は、NK細胞およびCD8+T細胞の両方を刺激することができることが本発明の特色である。
一部の実施形態では、免疫キラー細胞を刺激することとは、免疫キラー細胞の増大を指す。一部の実施形態では、免疫キラー細胞を刺激することとは、免疫キラー細胞の活性化を指す。一部の実施形態では、免疫キラー細胞を刺激することとは、免疫キラー細胞の細胞傷害性の増大を指す。ある特定の実施形態では、免疫キラー細胞を刺激することとは、免疫キラー細胞の増大、活性化および/または細胞傷害性の増大の1つまたは複数の組合せを指す。特定の実施形態では、操作された赤血球系細胞の細胞表面に発現される1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドは、免疫キラー細胞(例えば、NK細胞および/またはCD8+T細胞)をex vivoで活性化および/または増大させるのに十分である。特定の実施形態では、操作された赤血球系細胞の細胞表面に発現される1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドは、免疫キラー細胞(例えば、NK細胞および/またはCD8+T細胞)をin vivoで活性化および/または増大させるのに十分である。外因性刺激性ポリペプチドが免疫キラー細胞を刺激するのに十分であるどうかを検出するためのアッセイは本明細書に記載されている。したがって、本開示は、一態様では、免疫キラー細胞である免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞であって、免疫キラー細胞を刺激するのに十分な複数の外因性刺激性ポリペプチドを含む赤血球系細胞を提供する。
一部の実施形態では、複数の外因性刺激性ポリペプチドは、サイトカイン、ヒト白血球抗原(HLA)、MHCクラスI鎖関連タンパク質(MIC)、免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)のタンパク質、NK細胞傷害性誘発受容体リガンド、およびインスリン様増殖因子から選択される。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、表1に示されている。
別段の指定がない限り、本明細書のあらゆる表中のものを含めた本明細書に明記されている配列受託番号は、2019年3月8日の時点で最新のデータベースエントリーを指す。1つの遺伝子またはタンパク質が複数の配列受託番号を参照する場合、配列バリアントの全てが包含される。
サイトカイン
一部の実施形態では、本発明は、免疫キラー細胞である免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞であって、1つまたは複数のサイトカインを含めた、免疫キラー細胞を刺激するのに十分な複数の外因性刺激性ポリペプチドを含む、赤血球系細胞を提供する。したがって、本開示は、サイトカインの全長、断片、ホモログ、バリアントまたは突然変異体を含めたサイトカインを包含する。サイトカインは、別の細胞の生物学的機能に影響を及ぼすことができるタンパク質を含む。サイトカインの影響を受ける生物学的機能としては、これだけに限定されないが、細胞成長、細胞分化または細胞死を挙げることができる。本開示のサイトカインは、細胞の表面の特定の受容体に結合し、それにより、免疫キラー細胞(例えば、NK細胞および/またはCD8+T細胞)を刺激することができることが好ましい。
好ましいサイトカインとしては、とりわけ、インターロイキン、インターフェロン、免疫グロブリンスーパーファミリー分子、腫瘍壊死因子ファミリー分子および/またはケモカインが挙げられる。本開示のより好ましいサイトカインとしては、インターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン2(IL−2)、インターロイキン−12(IL−12)、インターロイキン−15(IL−15)、IL−15/IL−15RA融合物、インターロイキン−18(IL−18)、インターロイキン21(IL−21)およびインターフェロンアルファ(IFNα)が挙げられる。一部の実施形態では、本開示の特に好ましいサイトカインは、IL−15/IL−15RA融合物である。一部の実施形態では、本開示の特に好ましいサイトカインは、IL−12である。当業者は、本明細書に提示される教示を身に付ければ、本発明が、当技術分野で周知であるサイトカイン、ならびに今後発見されるあらゆるサイトカインを包含することを理解されよう。
一部の実施形態では、免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞は、1つまたは複数の(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれよりも多くの)サイトカイン、またはそのバリアントもしくは断片を含む。
ヒト白血球抗原(HLA)タンパク質
一部の実施形態では、本発明は、免疫キラー細胞である免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞であって、1つまたは複数のヒト白血球抗原タンパク質を含めた、免疫キラー細胞を刺激するのに十分な複数の外因性刺激性ポリペプチドを含む、赤血球系細胞を提供する。したがって、本開示は、HLAタンパク質の全長、断片、ホモログ、バリアントまたは突然変異体を含めた、HLAタンパク質を包含する。HLA遺伝子ファミリーにより、ヒト白血球抗原(HLA)複合体として公知の関連するタンパク質の群の作出に関する指示がもたらされる。HLAは、多くの種に存在する遺伝子ファミリーである主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)のヒトバージョンである。ヒトでは、MHC複合体は、第6染色体上ですぐ近くに位置する200種を超える遺伝子からなる。この複合体中の遺伝子は、3つの基本群:クラスI、クラスII、およびクラスIIIにカテゴリー化される。ヒトは、HLA−A、HLA−B、およびHLA−Cとして公知の3種の主要なMHCクラスI遺伝子を有する。これらの遺伝子から産生されるタンパク質は、ほとんど全ての細胞の表面に存在する。HLA遺伝子には多くの可能性のある変形形態があり、いくつかのHLA遺伝子には同定されたバージョン(対立遺伝子)が数百種あり、そのそれぞれに特定の数字が与えられている(例えば、HLA−B27など)。密接に関連する対立遺伝子は一緒にカテゴリー化される;例えば、少なくとも40種の非常に類似した対立遺伝子がHLA−B27の亜型である。
一部の実施形態では、HLAタンパク質は、ヒト白血球抗原(HLA)−Aである。一部の実施形態では、HLAタンパク質は、ヒト白血球抗原(HLA)−Cである。一部の実施形態では、HLAタンパク質は、ヒト白血球抗原(HLA)−Eである。一部の実施形態では、HLAタンパク質は、ヒト白血球抗原(HLA)−Gである。
一部の実施形態では、免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞は、1つまたは複数の(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれよりも多くの)HLAタンパク質、またはそのバリアントもしくは断片を含む。
MHCクラスI鎖関連タンパク質(MIC)
一部の実施形態では、本開示は、免疫キラー細胞である免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞であって、1つまたは複数の主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)クラスI鎖関連(MIC)タンパク質を含めた、免疫キラー細胞を刺激するのに十分な複数の外因性刺激性ポリペプチドを含む、赤血球系細胞を包含する。したがって、本開示は、MICタンパク質の全長、断片、ホモログ、バリアントまたは突然変異体を含めた、MICタンパク質を包含する。MICタンパク質は、古典的なヒト白血球抗原(HLA)分子との相同性を示すが、ベータ2ミクログロブリンとは結び付かず、ペプチドとは結合せず、また、正常な循環リンパ球では発現されない。MICタンパク質は、活性化ナチュラルキラー細胞受容体NKG2Dと会合する。
UL16結合性タンパク質(ULBP)は、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)糖タンパク質UL16に結合するそれらの能力に基づいて同定された、MHCクラスI関連分子(MIC)の新規のファミリーである。UL16は、MHCクラスI様分子の別のファミリーのメンバーであるMICBとも結合する。ULBPおよびMICは、ナチュラルキラー(NK)細胞および他の免疫エフェクター細胞によって発現される活性化受容体であるNKG2D/DAP10のリガンドであり、この相互作用はUL16によって遮断され得る。NKG2D/DAP10と標的細胞において発現されたULBPまたはMICの会合により、MHCクラスI分子のNK細胞による認識によって生じる抑制性シグナルを克服し、NK細胞傷害性を誘発することができる。ULBPは、NK細胞に対するそれらの効果を、ヤヌスキナーゼ2、シグナル伝達兼転写活性化因子5、細胞外シグナル調節キナーゼマイトジェン活性化プロテインキナーゼおよびAkt/プロテインキナーゼBシグナルトランスダクション経路を活性化することによって引き出す。ULBPは単独で多数のシグナル伝達経路を活性化し、穏当なサイトカイン産生を誘導するが、ULBPは、NK細胞によるインターフェロン−ガンマの産生に関してはインターロイキン−12と強力に協同する。
一部の実施形態では、MICタンパク質は、MHCクラスI鎖関連タンパク質A(MICA)である。一部の実施形態では、MICタンパク質は、MHCクラスI鎖関連タンパク質B(MICB)である。一部の実施形態では、MICタンパク質は、UL16結合性タンパク質(ULBP)である。
一部の実施形態では、免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞は、1つまたは複数の(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれよりも多くの)MICタンパク質、またはそのバリアントもしくは断片を含む。
免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)
一部の実施形態では、本開示は、免疫キラー細胞である免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞であって、1つまたは複数のIgSファミリータンパク質を含めた、免疫キラー細胞を刺激するのに十分な複数の外因性刺激性ポリペプチドを含む、赤血球系細胞を包含する。したがって、本開示は、IgSFスーパーファミリーメンバーの全長、断片、ホモログ、バリアントまたは突然変異体を含めた、IgSFスーパーファミリーのメンバーを包含する。免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)は、細胞の接着、結合および認識プロセスに関連するタンパク質のクラスである。分子は、免疫グロブリンと共有される構造的特色に基づいてこのスーパーファミリーのメンバーにカテゴリー化される;これらは全てが免疫グロブリンドメインまたはフォールドとして公知のドメインを有する。IgSFのメンバーは、細胞表面抗原受容体、免疫系の補助受容体および共刺激分子、リンパ球への抗原提示に関与する分子、細胞接着分子、ある特定のサイトカイン受容体ならびに細胞内筋肉タンパク質を含む。IgSFのメンバーは、以下の通り分類することができる:抗原受容体(例えば、抗体または免疫グロブリン:IgA、IgD、IgE、IgG、IgM);抗原提示分子(例えば、MHCクラスI、MHCクラスII);補助受容体(例えば、CD4、CD8);共刺激分子または抑制性分子(例えば、CD28、CD80、CD86);ナチュラルキラー細胞上の受容体(例えば、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR));白血球上の受容体(例えば、白血球免疫グロブリン様受容体(LILR));IGSF CAM(例えば、NCAM、ICAM−1);サイトカイン受容体;増殖因子受容体;受容体チロシンキナーゼ/ホスファターゼ;IgG結合性受容体。
ポリオウイルス受容体(PVR/CD155)は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属する膜貫通糖タンパク質である。PVR/CD155は、NK細胞接着を媒介し、NK細胞のエフェクター機能を誘発する。PVR/CD155は、2つの異なるNK細胞受容体:CD96およびCD226に結合する。これらの相互作用が細胞間接触部位において蓄積され、それにより、NK細胞と標的細胞の間の成熟免疫学的シナプスの形成が導かれる。これにより、溶解性顆粒およびIFN−ガンマ(IFNγ)の接着および分泌が誘発され、活性化されたNK細胞の細胞傷害性が活性化され得、また、NK細胞−標的細胞モジュラー交換、およびNK細胞へのPVR移入も促進され得る。
ポリオウイルス受容体関連2(PVRL2)は、Nectin−2としても公知であり、2つのIg様C2型ドメインとIg様V型ドメインとを有する単一パスI型膜糖タンパク質である。このタンパク質は、接着結合の原形質膜構成成分の1つである。
CD48抗原(表面抗原分類48)は、Bリンパ球活性化マーカー(BLAST−1)またはシグナル伝達リンパ球性活性化分子2(SLAMF2)としても公知であり、ヒトではCD48遺伝子によってコードされるタンパク質である。CD48は、CD84、CD150、CD229およびCD244などのSLAM(シグナル伝達リンパ球活性化分子)タンパク質を含むIgSFのCD2サブファミリーのメンバーである。CD48は、リンパ球および他の免疫細胞、樹状細胞および内皮細胞の表面に見いだされ、これらの細胞における活性化および分化経路に関与する。
NK−T−B抗原(NTBA)は、NK、T、およびB細胞において発現される表面分子である。ヒトNK細胞では、NTBAは、高表面密度の天然細胞傷害性受容体(NCR)を発現する細胞においてのみ細胞溶解活性を誘発することができるので、主に共受容体として作用することが示されている。分子クローニングにより、NTBAが、CD2ファミリーへの割り当てを可能にする構造的特色を特徴とするIgスーパーファミリーのメンバーであることが明らかになった。
一部の実施形態では、IgSFタンパク質は、IgGである。一部の実施形態では、IgSFタンパク質は、PVR/CD155である。一部の実施形態では、IgSFタンパク質は、CD48である。一部の実施形態では、IgSFタンパク質は、Nectin2である。一部の実施形態では、IgSFタンパク質は、NK−T−B抗原である。
一部の実施形態では、免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞は、1つまたは複数の(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれよりも多くの)IgSFタンパク質、またはそのバリアントもしくは断片を含む。
ヘパラン硫酸/ヘパラン硫酸プロテオグリカン
一部の実施形態では、本発明は、免疫キラー細胞である免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞であって、1つまたは複数のヘパラン硫酸/ヘパラン(heparin)硫酸プロテオグリカンを含めた、免疫キラー細胞を刺激するのに十分な複数の外因性刺激性ポリペプチドを含む赤血球系細胞を提供する。ヘパラン硫酸(HS)は、すべての動物組織において見いだされる直鎖多糖である。ヘパラン硫酸は、2つまたは3つのHS鎖が細胞表面または細胞外マトリックスタンパク質の極めて近傍に付着したプロテオグリカン(HSPG)として存在する。ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)は、細胞表面上および細胞外マトリックス内に遍在的に分布する糖タンパク質である。それらのヘパラン硫酸部分は、多くの場合、特定の受容体を標的とする細胞外タンパク質の代替付着点である。したがって、HSPGは、リガンド−受容体遭遇をモジュレートし、多数の生物学的プロセスに関与する。
分子および細胞に基づく試験により、ヘパラン硫酸がin vitroにおいて、リンパ球ホーミングに関与するL−セレクチン、ケモカイン、およびインテグリンを含めたいくつかの主要な分子に結合することが示されている。リンパ球ホーミングに不可欠である二次リンパ系ケモカインCCL21(SLCとも称される)を含めた大多数のケモカインが、in vitroにおいてヘパラン硫酸またはその高度に硫酸化された類似体ヘパリンに結合する(Lortat-Jacob et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 2002; 99: 1229-1234)。ヘパラン硫酸と結合したケモカインは、CCR6およびCCR7などのケモカイン受容体によって認識され、それにより、インテグリンが活性化され、それにより、リンパ球の血管外遊出が導かれる(von Andrian and Mempelm, Nat. Rev. Immunol. 2003; 3: 867-878、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)。いくつかのエビデンスにより、ヘパラン硫酸が、リンパ球遊走を促進するためのケモカインのトランスサイトーシス、提示、および勾配形成において機能することが示される。
一部の実施形態では、免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞は、1つまたは複数の(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれよりも多くの)HS多糖、またはそのバリアントもしくは断片を含む。
ナチュラルキラー細胞傷害性誘発受容体リガンド
一部の実施形態では、本開示は、免疫キラー細胞である免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞であって、1つまたは複数のナチュラルキラー細胞傷害性誘発受容体リガンドを含めた、免疫キラー細胞を刺激するのに十分な複数の外因性刺激性ポリペプチドを含む、赤血球系細胞を包含する。NK細胞は、形質転換された細胞の死滅に直接関与するいくつかの天然細胞傷害性受容体(すなわち、NCR1、NCR2、およびNCR3、それぞれNKp46、NKp44、およびNKp30として最もよく知られている)を含む活性化受容体を備えている。NKp44は、休止NK細胞によっては発現されず、それらの活性化された対応物によってのみ発現される。活性化NK受容体のリガンドの発現は、現在、病理学的シナリオの指標であると考えられている。
一部の実施形態では、免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞は、1つまたは複数の(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれよりも多くの)NK細胞傷害性誘発受容体リガンド、またはそのバリアントもしくは断片を含む。
一部の実施形態では、免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞は、IL−1、IL−2、IL−12、IL−15、IL−15/IL−15RA融合物、IL−18、IL−21、インターフェロンアルファ(IFNα)、4−1BBL、ポリオウイルス受容体(PVR/CD155)、CD48、ヒト白血球抗原(HLA)−A、HLA−C、HLA−G、ヘパラン硫酸(HS)、HLA−E、CpG、免疫グロブリンG(IgG)、UL16結合性タンパク質(ULBP)、MHCクラスI鎖関連タンパク質(MIC)、B7−H6、NkP44L、Nectin2、NK−T−B抗原(NTBA)、活性化誘導性C型レクチン(AICL)およびインスリン様増殖因子1(IGF−1)からなる群から選択される外因性刺激性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、MICタンパク質は、MHCクラスI鎖関連タンパク質A(MICA)またはMHCクラスI鎖関連タンパク質B(MICB)である。
一部の実施形態では、免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞は、IL−12ポリペプチドまたはその断片を含むまたはそれからなる外因性刺激性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞は、4−1BBLポリペプチドまたはその断片を含むまたはそれからなる外因性刺激性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞は、IL−15ポリペプチドまたはその断片を含むまたはそれからなる外因性刺激性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞は、IL−15/IL−15RA融合物ポリペプチドまたはその断片を含むまたはそれからなる外因性刺激性ポリペプチドを含む。
一部の実施形態では、免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞は、IL−15/IL−15RA融合物、MHCクラスI鎖関連タンパク質A(MICA)またはMHCクラスI鎖関連タンパク質B(MICB)、およびインスリン様増殖因子1(IGF−1)からなる群から選択される外因性刺激性ポリペプチドを含む。
ある特定の実施形態では、免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞は、少なくとも2つの外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドは、IL−15/IL−15RAを含むまたはそれからなり、第2の外因性刺激性ポリペプチドは、IL−1、IL−2、IL−12、IL−18、IL−21、インターフェロンアルファ(IFNα)、MHCクラスI鎖関連タンパク質A(MICA)またはMHCクラスI鎖関連タンパク質B(MICB)、ポリオウイルス受容体(PVR/CD155)およびCD48からなる群から選択されるポリペプチドを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、IL−15/IL−15RAであり、第2の外因性ポリペプチドは、IL−1である。一部の実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、IL−15/IL−15RAであり、第2の外因性ポリペプチドは、IL−2である。一部の実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、IL−15/IL−15RAであり、第2の外因性ポリペプチドは、IL−12である。一部の実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、IL−15/IL−15RAであり、第2の外因性ポリペプチドは、IL−18である。一部の実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、IL−15/IL−15RAであり、第2の外因性ポリペプチドは、IL−21である。一部の実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、IL−15/IL−15RAであり、第2の外因性ポリペプチドは、IFNαである。一部の実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、IL−15/IL−15RAであり、第2の外因性ポリペプチドは、MICAである。一部の実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、IL−15/IL−15RAであり、第2の外因性ポリペプチドは、MICBである。一部の実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、IL−15/IL−15RAであり、第2の外因性ポリペプチドは、PVRである。一部の実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、IL−15/IL−15RAであり、第2の外因性ポリペプチドは、CD48である。
ある特定の実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドおよび第2の外因性刺激性ポリペプチドは、4−1BBLおよびIL−15/IL−15R、4−1BBLおよびIL−12、ならびにIL_12およびIL−15/IL−15RAからなる群から選択される。一部の実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、4−1BBLであり、第2の外因性ポリペプチドは、IL−15/IL−15RAである。一部の実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、4−1BBLであり、第2の外因性ポリペプチドは、IL−12である。一部の実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、IL−12であり、第2の外因性ポリペプチドは、IL−15/IL−15RAである。
ある特定の実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドおよび第2の外因性刺激性ポリペプチドは、IL−18およびIL−12、ならびにIL−18およびIL−21からなる群から選択される。一部の実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、IL−18であり、第2の外因性ポリペプチドは、IL−12である。一部の実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、IL−18であり、第2の外因性ポリペプチドは、IL−21である。
ある特定の実施形態では、免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞は、少なくとも3つの外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドは、IL−12であり、第2の外因性ポリペプチドは、IL−18であり、第3の外因性刺激性ポリペプチドは、IL−15/IL−15RA融合物である。さらなる実施形態では、免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞は、IL−12である第1の外因性刺激性ポリペプチド、IL−18である第2の外因性ポリペプチド、およびIL−15/IL−15RA融合物である第3の外因性刺激性ポリペプチドを含み、赤血球系細胞は、メモリー様NK細胞を刺激することができる。一部の実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドは、IL−12であり、第2の外因性ポリペプチドは、IL−18であり、第3の外因性刺激性ポリペプチドは、IL−15である。さらなる実施形態では、免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞は、IL−12である第1の外因性刺激性ポリペプチド、IL−18である第2の外因性ポリペプチド、およびIL−15である第3の外因性刺激性ポリペプチドを含み、赤血球系細胞は、メモリー様NK細胞を刺激することができる。
本開示は、別の態様では、MHCクラスI鎖関連タンパク質A(MICA)、MHCクラスI鎖関連タンパク質B(MICB)およびインスリン様増殖因子1(IGF−1)からなる群から選択される少なくとも1つの外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞を提供する。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、MICA、MICBおよびIGF−1からなる群から選択される少なくとも1つの外因性刺激性ポリペプチドを含み、IL−1、IL−2、IL−12、IL−15、IL−15/IL−15RA融合物、IL−18、IL−21、インターフェロンアルファ(IFNα)、4−1BBL、ポリオウイルス受容体(PVR/CD155)、CD48、HLA−A、HLA−C、HLA−G、ヘパラン硫酸(HS)、HLA−E、CpG、IgG、UL16結合性タンパク質(ULBP)、MHCクラスI鎖関連(MIC)、B7−H6、NkP44L、Nectin2、NK−T−B抗原(NTBA)、活性化誘導性C型レクチン(AICL)およびインスリン様増殖因子1(IGF−1)からなる群から選択される外因性刺激性ポリペプチドをさらに含む。
ある特定の実施形態では、免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞は、少なくとも1つの外因性刺激性ポリペプチドを含み、外因性刺激性ポリペプチドは、IL−12である。一部の実施形態では、免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞は、IL−12である第1の外因性刺激性ポリペプチドおよび第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドは、IL−12であり、第2の外因性刺激性ポリペプチドは、IL−15ポリペプチドである。一部の実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドは、IL−12であり、第2の外因性刺激性ポリペプチドは、IL−15/IL−15RAである。一部の実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドは、IL−12であり、第2の外因性刺激性ポリペプチドは、4−1BBLである。一部の実施形態では、IL−12は、IL−12 p40/IL−12 p35融合ポリペプチドである。
複数の実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞は、3種またはそれよりも多く、例えば、少なくとも4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、13種、14種、15種、16種、17種、18種、19種、20種、50種、100種、200種、500種、または1000種の外因性刺激性ポリペプチドを含む。複数の実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞の集団は、3種またはそれよりも多く、例えば、少なくとも4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、11種、12種、13種、14種、15種、16種、17種、18種、19種、20種、50種、100種、200種、500種、1000種、2000種、または5000種の外因性刺激性ポリペプチドを含み、ここで、例えば、集団内の異なる操作された赤血球系細胞は異なる外因性刺激性ポリペプチドを含む、または、集団内の異なる操作された赤血球系細胞は、異なる複数の外因性刺激性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、除核細胞である。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、有核細胞である。
一部の実施形態では、少なくとも2つの外因性刺激性ポリペプチドは融合ポリペプチドとして存在する。別の実施形態では、少なくとも3つの外因性刺激性ポリペプチドは融合ポリペプチドとして存在する。
アンカー/膜貫通ドメイン
ある特定の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、赤血球系細胞から放出されない。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、遺伝子操作された赤血球系細胞の表面に存在する、すなわち、外因性刺激性ポリペプチドは、赤血球系細胞膜に付着している。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、ポリペプチドを赤血球系細胞膜に係留する膜貫通ドメインをさらに含む。ある特定の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドを赤血球系細胞膜に係留するポリペプチド配列(例えば、膜貫通ドメイン)は、外因性刺激性ポリペプチド内に存在するポリペプチドとは異種である。例えば、一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドを赤血球系細胞膜に係留するポリペプチド配列は、IL−15ポリペプチドおよび/またはIL−15RAポリペプチド、4−1BBLポリペプチドまたはIL−12ポリペプチドとは異種である。
一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、1型膜タンパク質の膜貫通ドメインを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、1型膜タンパク質は、グリコホリンA(GPA);グリコホリンB(GPB);ベイシジン(CD147としても公知);CD44;CD58(LFA3としても公知);細胞間接着分子4(ICAM4);基底細胞接着分子(BCAM);CR1;CD99;赤芽球膜関連タンパク質(ERMAP);接合部接着分子A(JAM−A);ニューロプラスチン(NPTN);AMIGO2;およびDS細胞接着分子様1(DSCAML1)からなる群から選択される。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、2型膜タンパク質の膜貫通ドメインを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、2型膜タンパク質は、低分子内在性膜タンパク質1(SMIM1)、トランスフェリン受容体(CD71);Fasリガンド(FasL)膜貫通;およびKellからなる群から選択される。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドを赤血球系細胞膜に係留するポリペプチド配列は、GPI連結膜タンパク質(例えば、その断片)を含む、それからなる、またはそれに由来する。一部の実施形態では、GPI連結膜タンパク質は、CD59;CD55;およびセマフォリン7A(SEMA7A)からなる群から選択される。
特定の実施形態では、膜貫通ドメインは、グリコホリンA(GPA)またはその膜貫通部分を含む。理論に束縛されることなく、ある特定の実施形態では、GPAが好ましく、これは、GPAが、細胞が分化し、成熟するにしたがってGPAを保持することにおいて役割を有する網状赤血球細胞骨格と相互作用する細胞質ドメインを有するからである。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、低分子内在性膜タンパク質1(SMIM1)またはその膜貫通部分を含む。一部の実施形態では、アンカーは、表2に列挙されているアミノ酸配列から選択される。
一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドの1つまたは複数は、融合タンパク質である、例えば、内因性赤血球タンパク質またはその断片、例えば、膜貫通タンパク質、例えばGPAまたはその膜貫通断片との融合物である。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドの1つまたは複数は、二量体形成または多量体形成を促進するドメインと、例えば、必要に応じて二量体形成ドメインを含む第2の融合外因性刺激性ポリペプチドと融合している。一部の実施形態では、二量体形成ドメインは、抗体分子の一部、例えば、FcドメインまたはCH3ドメインを含む。一部の実施形態では、第1および第2の二量体形成ドメインは、ヘテロ二量体形成を促進するためのノブインホール突然変異(例えば、T366YノブおよびY407Tホール)を含む。
リンカー
本発明の外因性刺激性ポリペプチドは、1つまたは複数のリンカーを含み得る。例えば、リンカーは、外因性刺激性ポリペプチドの2つのポリペプチド配列間(例えば、サイトカインポリペプチド配列と膜貫通ドメイン配列の間、外因性刺激性ポリペプチドの2つのサブユニット配列の間(例えば、IL−12のp40サブユニットとp35サブユニットの間)、または2つの刺激性ポリペプチドの間(例えば、IL−15とIL−15RAの間))に配置されていてよい。
一部の実施形態では、リンカーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20アミノ酸またはそれよりも長いアミノ酸長を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、リンカーは、約5から約25アミノ酸長の間、約5から約20アミノ酸長の間、約10から約25アミノ酸長の間、または約10から約20アミノ酸長の間を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、本発明において有用なリンカーは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸長を含むまたはそれからなる。好ましい実施形態では、リンカーは、非免疫原性である。
一部の実施形態では、リンカーは、表3に示されているアミノ酸配列から選択される。
一部の実施形態では、リンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(配列番号75)を含み、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。一部の実施形態では、リンカーは、(GGGGS)nリンカー(配列番号75)からなり、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。一部の実施形態では、リンカーは、アミノ酸配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号12)を含む。一部の実施形態では、リンカーは、配列番号12のアミノ酸配列からなる。一部の実施形態では、リンカーは、配列番号23のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、リンカーは、配列番号23のアミノ酸配列からなる。一部の実施形態では、リンカーは、配列番号33のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、リンカーは、配列番号33のアミノ酸配列からなる。一部の実施形態では、リンカーは、配列番号39のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、リンカーは、配列番号39のアミノ酸配列からなる。一部の実施形態では、リンカーは、配列番号51のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、リンカーは、配列番号51のアミノ酸配列からなる。
当業者に公知の他の適切なリンカーを、例えば、外因性刺激性ポリペプチドと膜貫通ドメインを連結するため、2つの外因性刺激性ポリペプチド(例えば、IL−15とIL−15RA)を連結するため、または外因性刺激性ポリペプチドのサブユニット(例えば、IL12のp30とp40)を連結するために使用することができる。
リーダー配列
一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、リーダー(シグナル)配列を含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、リーダー配列を含む融合ポリペプチドである。一部の実施形態では、リーダー配列は、表4に記載されている配列から選択される。
IL−15/IL−15RAを含む操作された赤血球系細胞
本開示は、別の態様では、第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞であって、第1の外因性刺激性ポリペプチドが、インターロイキン−15(IL−15)ポリペプチドまたはその断片とインターロイキン−15受容体アルファ(IL−15RA)ポリペプチドの細胞外部分またはその断片とを含む、操作された赤血球系細胞を提供する。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、除核細胞である。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、有核細胞である。
一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドとIL−15RAポリペプチドの細胞外部分は複合体として存在する。別の実施形態では、IL−15ポリペプチドとIL−15RAポリペプチドの細胞外部分は融合ポリペプチドとして存在する。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドはIL−15RAポリペプチドの細胞外部分とリンカーによって連結している。
ある特定の実施形態では、本発明は、インターロイキン−15(IL−15)ポリペプチドまたはその断片(例えば、IL−15受容体結合性断片)を含む外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞を提供する。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドは、シグナルペプチド(下線が引かれている)を含む野生型ヒトIL−15の未成熟形態を含む:
一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する野生型ヒトIL−15の未成熟形態のバリアントを含む。特定の実施形態では、IL−15ポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドは、野生型ヒトIL−15の成熟形態を含む:
一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する野生型ヒトIL−15の成熟形態のバリアントを含む。特定の実施形態では、IL−15ポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドの断片は、少なくとも10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、110個、120個、130個、140個、150個または160個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドの断片は、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、110個、120個、130個、140個、150個または160個未満のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドの断片またはバリアントは、当技術分野で周知のアッセイ、例えば、ELISA、Biacore、または免疫共沈降によって測定して、野生型ヒトIL−15ポリペプチドのIL−15RAポリペプチドに結合する機能の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%を保持する。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドの断片またはバリアントは、当技術分野で周知のアッセイ、例えば、電気移動度シフトアッセイ、ELISAおよび他のイムノアッセイによって測定して、野生型ヒトIL−15ポリペプチドのIL−15媒介性シグナルトランスダクションを誘導する機能の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%を保持する。
一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、インターロイキン−15受容体α(IL−15RA)ポリペプチドまたはその断片を含む。一部の実施形態では、IL−15RAは、シグナルペプチド(下線が引かれている)を含む野生型ヒトIL−15RAの未成熟形態を含む:
一部の実施形態では、IL−15RAポリペプチドは、配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する野生型ヒトIL−15RAの未成熟形態のバリアントを含む。特定の実施形態では、IL−15RAポリペプチドは、配列番号5のアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、IL−15RAポリペプチドは、野生型ヒトIL−15RAの成熟形態を含む:
一部の実施形態では、IL−15RAポリペプチドは、配列番号6のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する野生型ヒトIL−15Raの成熟形態のバリアントを含む。特定の実施形態では、IL−15Raポリペプチドは、配列番号6のアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、IL−15Raポリペプチドは、IL−15Raポリペプチドの細胞外部分を含む。例えば、IL−15Raポリペプチドは、野生型IL−15Raの膜貫通ドメイン、および必要に応じて野生型IL−15Raの細胞内ドメインを欠き得る。一部の実施形態では、IL−15Raポリペプチドは、シグナルペプチド(下線が引かれている)を含む細胞外野生型ヒトIL−15Raの未成熟形態を含む:
一部の実施形態では、IL−15Raポリペプチドは、配列番号7のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する細胞外野生型ヒトIL−15Raの未成熟形態のバリアントを含む。特定の実施形態では、IL−15Raポリペプチドは、配列番号7のアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、IL−15Raポリペプチドは、細胞外野生型ヒトIL−15Raの成熟形態を含む:
一部の実施形態では、IL−15Raポリペプチドは、配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する細胞外野生型ヒトIL−15Raの成熟形態のバリアントを含む。特定の実施形態では、IL−15RAポリペプチドは、配列番号8のアミノ酸配列からなる。
IL−15は、IL−15RAポリペプチドに、受容体の細胞外ドメインのエクソン2内の「sushiドメイン」を介して高い親和性で特異的に結合する(Wei et al., J Immunol. 2001; 167: 277-282)。一部の実施形態では、IL−15Raポリペプチドは、野生型ヒトIL−15RAのsushiドメインを含む:
一部の実施形態では、IL−15RAポリペプチドは、配列番号8のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する野生型ヒトIL−15RAのsushiドメインのバリアントを含む。特定の実施形態では、IL−15Raポリペプチドは、配列番号8のアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、IL−15RAポリペプチドは、野生型ヒトIL−15Raのまたはそのバリアントのsushiドメインおよび少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、60個、70個、80個、90個または100個の追加的なヒトIL−15RAのアミノ酸を含む。特定の実施形態では、IL−15RAポリペプチドは、野生型ヒトIL−15RAのsushiドメインおよび13個の追加的なヒトIL−15RAのアミノ酸を含む:
一部の実施形態では、IL−15RAポリペプチドは、配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、IL−15RAポリペプチドは、配列番号10のアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、IL−15RAポリペプチドの断片は、少なくとも10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、110個、120個、130個、140個、150個、160個、170個、180個、190個または200個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、IL−15RAポリペプチドの断片は、少なくとも10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、110個、120個、130個、140個、150個、160個、170個、180個、190個または200個のアミノ酸を含み、かつ、sushiドメインを含む。一部の実施形態では、IL−15RA断片またはバリアントは、当技術分野で周知のアッセイ、例えば、ELISA、Biacore、免疫共沈降によって測定して、野生型ヒトIL−15RAポリペプチドのIL−15ポリペプチドに結合する機能の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%を保持する。別の好ましい実施形態では、IL−15RAバリアントまたは断片は、当技術分野で周知のアッセイ、例えば、電気移動度シフトアッセイ、ELISAおよび他のイムノアッセイによって測定して、野生型ヒトIL−15RAポリペプチドのIL−15媒介性シグナルトランスダクションを誘導する機能の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%を保持する。
一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドまたはその断片(例えば、IL−15結合性断片)を含む。本明細書に記載のIL−15ポリペプチドのいずれかを本明細書に記載のIL−15RAポリペプチドのいずれかと組み合わせて外因性刺激性ポリペプチドを形成することができる。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドとIL−15RAポリペプチドは複合体として存在する。IL−15/IL−15RA複合体の構成成分は、非共有結合または共有結合(例えば、アミノ酸配列をペプチド結合によって組み合わせることによる)のいずれかを使用して直接融合し得る。特定の実施形態では、IL−15ポリペプチドとIL−15RAポリペプチドは融合ポリペプチドとして存在する。
一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、IL−15RAポリペプチドおよびシグナルペプチドを含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、IL−15RAポリペプチドとシグナルペプチドで構成される融合ポリペプチドである。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、表4に記載されているアミノ酸配列を含むまたはそれからなるシグナルペプチドを含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、GPAシグナルペプチドを含むまたはそれからなるシグナルペプチドを含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号21のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるシグナルペプチドを含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号21のアミノ酸配列、IL−15ポリペプチド、およびIL−15RAポリペプチドを含むまたはそれからなるリーダー配列を含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号21のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるリーダー配列、配列番号4のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる成熟ヒトIL−15ポリペプチド、および配列番号8のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるIL−15RAポリペプチドを含む。一部の実施形態では、成熟ヒトIL−15ポリペプチドとIL−15RAポリペプチドは、配列番号12のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる柔軟なリンカーによって接続されている。
IL−15ポリペプチドとIL−15RAポリペプチドを1つまたは複数のリンカーを使用して組み合わせることができる。本明細書に提示されるリンカーのいずれかを使用することができる。一部の実施形態では、リンカーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20アミノ酸長またはそれよりも長いペプチドである。特定の実施形態では、リンカーは、IL−15のIL−15RAに結合する能力が保存されるのに十分に長い。他の実施形態では、リンカーは、IL−15/IL−15RA複合体のβγIL−15受容体複合体に結合する能力およびアゴニストとして作用してIL−15シグナルトランスダクションを媒介する能力が保存されるのに十分に長い。一部の実施形態では、リンカーは、表3に列挙されているアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、リンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(配列番号75)を含み、ここで、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。一部の実施形態では、リンカーは、(GGGGS)nリンカー(配列番号75)からなり、ここで、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。特定の実施形態では、リンカーは、アミノ酸配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号12)を含む。さらなる特定の実施形態では、リンカーは、配列番号12のアミノ酸配列からなる。
当業者に公知の他の適切なリンカーをIL−15ポリペプチドとIL−15RAポリペプチドを連結するために使用することができる。一部の実施形態では、本発明において有用なリンカーは、5アミノ酸長から25アミノ酸長の間、5〜20アミノ酸長、10〜25アミノ酸長、または10〜20アミノ酸長である。一部の実施形態では、本発明において有用なリンカーは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸長である。好ましい実施形態では、リンカーは、非免疫原性である。
一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、IL−15ポリペプチドおよびIL−15Raポリペプチドの細胞外領域を含む。例えば、一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列、または配列番号1のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、IL−15ポリペプチドおよびIL−15RAポリペプチドのsushiドメインを含む。例えば、一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列、または配列番号2のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列からなる。
ある特定の実施形態では、IL−15ポリペプチド、IL−15RAポリペプチド、またはIL−15/IL−15RA複合体もしくは融合ポリペプチドは、赤血球系細胞から放出されない。例えば、一部の実施形態では、IL−15ポリペプチド、IL−15Raポリペプチド、またはIL−15/IL−15RA複合体もしくは融合ポリペプチドは、赤血球系細胞膜に付着している。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、ポリペプチドを赤血球系細胞膜に係留するポリペプチド配列(例えば、膜貫通領域)(本明細書では、アンカーまたは膜貫通ドメインと称される)をさらに含む。ある特定の実施形態では、ポリペプチドを赤血球系細胞膜に係留するポリペプチド配列は、外因性刺激性ポリペプチド内の別のポリペプチドとは異種である。例えば、一部の実施形態では、ポリペプチドを赤血球系細胞膜に係留するポリペプチド配列は、IL−15ポリペプチドおよび/またはIL−15RAポリペプチドとは異種である。ある特定の実施形態では、ポリペプチドを赤血球系細胞膜に係留するポリペプチド配列は、GPA配列である。
外因性ポリペプチドを赤血球系細胞膜に係留するのに有用な他のポリペプチドは、当業者には公知であり、IL−15、IL−15RA、またはIL−15/IL−15RA融合物を含む外因性ポリペプチドに包含されることが意図されている。非限定的な例としては、低分子内在性膜タンパク質1(SMIM1)、トランスフェリン受容体、Fasリガンド(FasL)、KellおよびBand 3、Band 3アニオン輸送タンパク質、短縮型トランスフェリン受容体およびFasリガンド(FasL)膜貫通ドメインが挙げられる。
一部の実施形態では、アンカーまたは膜貫通ドメインは、1型膜タンパク質またはその膜貫通部分を含むまたはそれからなる。例えば、一部の実施形態では、アンカーまたは膜貫通ドメインは、グリコホリンA(GPA);グリコホリンB(GPB);ベイシジン(CD147としても公知);CD44;CD58(LFA3としても公知);細胞間接着分子4(ICAM4);基底細胞接着分子(BCAM);CR1;CD99;赤芽球膜関連タンパク質(ERMAP);接合部接着分子A(JAM−A);ニューロプラスチン(NPTN);AMIGO2;およびDS細胞接着分子様1(DSCAML1)からなる群から選択される1型膜タンパク質またはその膜貫通部分を含む。一部の実施形態では、アンカーまたは膜貫通ドメインは、2型膜タンパク質またはその膜貫通部分を含むまたはそれからなる。例えば、一部の実施形態では、アンカーまたは膜貫通ドメインは、低分子内在性膜タンパク質1(SMIM1)、トランスフェリン受容体(CD71);Fasリガンド(FasL)膜貫通;およびKellからなる群から選択される2型膜タンパク質またはその膜貫通部分を含む。一部の実施形態では、アンカーは、GPI連結膜タンパク質である。一部の実施形態では、GPI連結膜タンパク質アンカーは、CD59;CD55;およびセマフォリン7A(SEMA7A)からなる群から選択される。
一部の実施形態では、アンカーまたは膜貫通ドメインは、低分子内在性膜タンパク質1(SMIM1)またはその膜貫通部分を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、アンカーまたは膜貫通ドメインは、グリコホリンA(GPA)またはその断片(例えば、その膜貫通部分)を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、アンカーまたは膜貫通ドメインは、表2に提示されているアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。
一部の実施形態では、リンカーは、アンカーまたは膜貫通ドメインと、IL−15ポリペプチド、IL−15RAポリペプチド、またはIL−15/IL−15RAポリペプチドとの間に配置されている。適切なリンカーとしては、限定することなく、表3に提示されている任意のリンカーアミノ酸配列が挙げられる。一部の実施形態では、アンカーまたは膜貫通ドメイン、例えばGPAと、IL−15ポリペプチド、IL−15RAポリペプチド、またはIL−15/IL−15RAポリペプチドとの間のリンカーは、HAリンカーを含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、リンカーは、配列番号33のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。
一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号25のアミノ酸配列を含むアンカー、インターロイキン−15(IL−15)ポリペプチド、およびインターロイキン−15受容体アルファ(IL−15RA)ポリペプチドの細胞外部分を含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号25のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるアンカー、配列番号4のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる成熟ヒトIL−15、および配列番号8のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる成熟ヒト細胞外IL−15RAを含み、成熟ヒトIL−15アミノ酸配列と成熟ヒト細胞外IL−15RAアミノ酸配列が配列番号12のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる柔軟なリンカーによって接続されている。
一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号21のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるシグナルペプチド(例えば、GPAシグナルペプチド)、配列番号4を含むまたはそれからなる成熟ヒトIL−15、配列番号12のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる柔軟なリンカー(例えば成熟ヒトIL−15と成熟ヒト細胞外IL−15RAを接続している)、配列番号8のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる成熟ヒト細胞外IL−15RA、配列番号33のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるリンカー、および配列番号25のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるアンカーを含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、(例えば、N末端からC末端へ)、配列番号4を含むまたはそれからなる成熟ヒトIL−15、配列番号12のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる柔軟なリンカー(例えば成熟ヒトIL−15と成熟ヒト細胞外IL−15RAを接続している)、配列番号8のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる成熟ヒト細胞外IL−15RA、配列番号33のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるリンカー、および配列番号25のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるアンカーを含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号37を含むまたはそれからなる。
特定の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号27のアミノ酸配列または配列番号27のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号27のアミノ酸配列からなる。
特定の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号29のアミノ酸配列または配列番号29のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号29のアミノ酸配列からなる。
特定の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号31のアミノ酸配列または配列番号31のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号31のアミノ酸配列からなる。
特定の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号35のアミノ酸配列または配列番号35のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号35のアミノ酸配列からなる。
特定の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号37のアミノ酸配列または配列番号37のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号37のアミノ酸配列からなる。
IL−15/IL−15RAおよび4−1BBL
操作された赤血球系細胞は、本明細書に記載のIL−15ポリペプチドおよび/またはIL−15RAポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチド、ならびに1つまたは複数の追加的な外因性刺激性ポリペプチドを含み得る。例えば、操作された赤血球系細胞は、4−1BBL(4−1BBリガンド)ポリペプチドを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドをさらに含み得る。したがって、本発明は、インターロイキン−15(IL−15)ポリペプチドまたはその断片(例えば、IL−15受容体結合性断片)、およびインターロイキン−15受容体アルファ(IL−15RA)ポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む第1の外因性刺激性ポリペプチドと、4−1BBLまたはその刺激性断片を含む第2の外因性刺激性ポリペプチドとを含む操作された赤血球系細胞も提供する。
本明細書全体を通して使用される通り、一実施形態では、「IL−15ポリペプチド断片」または「IL−15断片」は、IL−15RAに結合するIL−15断片、すなわち、IL−15のIL−15RA結合性断片である。本明細書全体を通して使用される通り、一実施形態では、「IL−15ポリペプチド断片」または「IL−15断片」は、IL−15の生物活性を保持するIL−15断片である。
本明細書全体を通して使用される通り、一実施形態では、「IL−15RAポリペプチド断片」または「IL−15RA断片」は、IL−15に結合するIL−15RA断片、すなわち、IL−15RAのIL−15結合性断片である。本明細書全体を通して使用される通り、一実施形態では、「IL−15RAポリペプチド断片」または「IL−15RA断片」は、IL−15RAの生物活性を保持するIL−15RA断片である。
4−1BBLは、免疫系の細胞の表面に見いだされる受容体のファミリーのメンバーである4−1BBのリガンドである(腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリー、メンバー9(TNFSF9)、またはCD137としても公知である)。Alderson et al., 1994, Eur. J. Immunol. 24: 2219-2227を参照されたい。4−1BBLと結合した4−1BBは、T細胞、NK細胞、および樹状細胞において細胞活性化、生存、および分化を促進することが示されている。4−1BBと4−1BBリガンド(4−1BBL)の結合により、T細胞、NK細胞、および樹状細胞(DC)において細胞活性化、生存、および分化が主に4−1BBシグナル伝達活性を通じて促進されることが実証されている。
ある特定の実施形態では、4−1BBLは、その天然の三量体形態である。さらなる実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞は、4−1BBLをその天然の三量体形態で発現し、ここで、天然の三量体形態は操作された赤血球系細胞の有効性および活性のために重要である。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、ヒト4−1BBL、例えばヒト4−1BBLの細胞外部分を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号41を含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号41からなる。
一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、4−1BBLポリペプチドおよびリーダー(シグナル)配列を含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、4−1BBLポリペプチドとリーダー配列で構成される融合ポリペプチドである。一部の実施形態では、リーダー配列は、表4に記載されているアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、リーダー配列は、GPAシグナルペプチドを含む。一部の実施形態では、リーダー配列は、配列番号21のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、4−1BBLポリペプチドおよび配列番号21のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるリーダー配列を含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号21のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるリーダー配列、および配列番号41のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるヒト細胞外4−1BBLを含む。
一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、4−1BBLポリペプチドを含み、赤血球系細胞膜に付着している。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、4−1BBLポリペプチドおよびポリペプチドを赤血球系細胞膜に係留するアンカーまたは膜貫通ドメインを含む。ある特定の実施形態では、アンカーまたは膜貫通ドメインは、4−1BBLポリペプチドとは異種である。ある特定の実施形態では、アンカーまたは膜貫通ドメインは、GPAまたはその膜貫通部分を含むまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、アンカーまたは膜貫通ドメインは、SMIM1またはその膜貫通部分を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、アンカーまたは膜貫通ドメインは、低分子内在性膜タンパク質1(SMIM1)、トランスフェリン受容体、Fasリガンド(FasL)、KellまたはBand 3、またはそれらの膜貫通部分(例えば、膜貫通ドメイン)を含むまたはそれからなる。4−1BBLポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドは、本明細書に記載のアンカーまたは膜貫通ドメインのいずれかを含み得る。一部の実施形態では、4−1BBLポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドは、表2に記載のアンカーまたは膜貫通ドメインを含む。
一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号25のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるアンカー、および4−1BBLポリペプチドを含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号25のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるアンカー、および配列番号41のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる4−1BBLポリペプチドを含む。
4−1BBLポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドは、1つまたは複数のリンカーを含み得る。例えば、外因性刺激性ポリペプチドは、本明細書に提示されるリンカー(例えば、表3に提示されているアミノ酸配列を含むまたはそれからなるリンカー)のいずれかを含み得る。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、GPA(またはその膜貫通部分)、4−1BBLポリペプチド、およびGPA(またはその膜貫通部分)と4−1BBLポリペプチドの間に配置されたリンカーを含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号39のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるリンカーを含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号39のアミノ酸配列からなるリンカーを含む。
一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、シグナルペプチド、4−1BBLポリペプチドおよびアンカーを含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、シグナルペプチド、4−1BBLペプチド、リンカー、およびアンカーを含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、(例えば、N末端からC末端へ)、配列番号21のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるシグナルペプチド、配列番号41のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる4−1BBLポリペプチド、配列番号39のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるリンカー(例えば、4−1BBLポリペプチドとアンカーの間に配置されたもの)、および配列番号25のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるアンカーを含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、4−1BBLペプチド、リンカー、およびアンカーを含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、(例えば、N末端からC末端へ)、配列番号41のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる4−1BBLポリペプチド、配列番号39のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるリンカー(例えば、4−1BBLポリペプチドとアンカーの間に配置されたもの)、および配列番号25のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるアンカーを含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号43のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。
特定の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号43のアミノ酸配列または配列番号43のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号43のアミノ酸配列からなる。
ある特定の実施形態では、IL−15/IL−15RAを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドと4−1BBLを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドの組合せにより、相乗的な応答が誘導される(例えば、免疫キラー細胞活性化の間に)。例えば、それぞれがIL−15/IL−15RAまたは4−1BBLのいずれかを含む外因性刺激性ポリペプチドは、赤血球系細胞において発現されると、一緒に作用して、刺激性ポリペプチドいずれか単独での効果と比較してより頑強な免疫キラー細胞(例えば、NK細胞および/またはCD8+T細胞)の活性化をもたらし得る。そのような相乗活性は、本明細書に提示される実施例において実証されている。したがって、一部の実施形態では、本発明は、第1および第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞であって、第1の外因性刺激性ポリペプチドが、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAの細胞外部分またはその断片を含み、第2の外因性刺激性ポリペプチドが、4−1BBを含み、第1の外因性刺激性ポリペプチドおよび第2の外因性刺激性ポリペプチドが、ex vivoまたはin vivoにおいて免疫キラー細胞を相乗活性で刺激する、操作された赤血球系細胞を提供する。一実施形態では、IL−15とIL−15RAは融合タンパク質として、例えば細胞の表面に存在する。
IL−15の毒性
一部の態様では、本開示は、IL−15ポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞であって、免疫キラー細胞を刺激することができ、対象に投与された際に、単離されたIL−15ポリペプチドと比較して高い治療指数(TI)を有する操作された赤血球系細胞を提供する。一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、単離されたIL−15ポリペプチドと比較して少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%高い治療指数を有する。一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、単離されたIL−15ポリペプチドと比較して少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、または10倍の治療指数を有する。
一部の態様では、本開示は、IL−15ポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞であって、対象に投与された際に、単離されたIL−15ポリペプチドと比較して低い毒性を示す操作された赤血球系細胞を提供する。一部の実施形態では、単離されたポリペプチド、例えば、IL−12ポリペプチド、IL−15ポリペプチド、または4−1BBアゴニスト抗体は、組換え型であるポリペプチドを指す。一部の実施形態では、単離されたポリペプチド、例えば、IL−12ポリペプチド、IL−15ポリペプチド、または4−1BBアゴニストポリペプチド(例えば、4−1BBアゴニスト抗体など)は、細胞内、細胞膜内、細胞表面上に含まれず、かつ/または細胞とコンジュゲートしているポリペプチドを指す。
一部の実施形態では、細胞は、等価量の単離されたIL−15ポリペプチドと比較して低い毒性を示す。一部の実施形態では、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量は、細胞内に含まれるIL−15ポリペプチドの量と定量的にまたは機能的に等価の量である。一部の実施形態では、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞内に含まれるIL−15ポリペプチドの量と定量的に同じ量(例えば、コピー数または容量モル濃度で)である。一部の実施形態では、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞内に含まれるIL−15ポリペプチドの量と同じ生物活性を有する単離されたIL−15ポリペプチドの量である。一部の実施形態では、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量は、IL−15ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞と同じ生物活性を有する単離されたIL−15ポリペプチドの量である。一部の実施形態では、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞内に含まれるIL−15ポリペプチドの量と同じ治療効力を有する単離されたIL−15ポリペプチドの量である。一部の実施形態では、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量は、IL−15ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞と同じ治療効力を有する単離されたIL−15ポリペプチドの量である。一部の実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む。
一部の実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドとIL−15RAポリペプチドの細胞外部分は複合体として存在する。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドとIL−15RAポリペプチドの細胞外部分は融合ポリペプチドである。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドまたはその断片は、IL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片とリンカーによって連結している。一部の実施形態では、リンカーは、GGGGS(配列番号11)を含む。一部の実施形態では、リンカーは、(GGGGS)3リンカー(配列番号12)を含む。一部の実施形態では融合ポリペプチドは、配列番号1と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドは、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15受容体アルファsushi結合性ドメインを含む。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドまたはその断片とIL−15受容体アルファsushi結合性ドメインは複合体として存在する。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドまたはその断片とIL−15受容体アルファsushi結合性ドメインは融合ポリペプチドとして存在する。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドまたはその断片は、IL−15受容体アルファsushi結合性ドメインとリンカーによって連結している。一部の実施形態では、リンカーは、GGGGS(配列番号11)を含み、必要に応じて、リンカーは、(GGGGS)3リンカー(配列番号12)を含む。一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、配列番号2と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、毒性は、肝毒性を含む。一部の実施形態では、毒性は、血液毒性を含む。一部の実施形態では、肝毒性は、IFNgの血清中レベルの上昇、ALTの血清中レベルの上昇、肝臓内に浸潤しているマクロファージのレベルの上昇、肝臓内に浸潤しているCD8+T細胞またはCD8+/Eomes+/KLGR1+T細胞のレベルの上昇、肝臓重量の増加、肝臓炎症スコアの増加、好中球数の減少、リンパ球数の減少、単球数の減少、およびヘモグロビンレベルの低下からなる群から選択される肝毒性の指標によって測定される。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、インターフェロンガンマ(IFNg)の血清中レベルの上昇を含む。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、アラニントランスアミナーゼ(ALT)の血清中レベルの上昇を含む。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、肝臓または脾臓内に浸潤しているマクロファージのレベルの上昇を含む。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、肝臓へのCD8+T細胞またはCD8+/Eomes+/KLGR1+T細胞の浸潤の増加を含む。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、肝臓炎症スコアの増加を含む。組織学的特色の半定量的評価をもたらすために数値スコアを使用することができる。悪性度分類および病期分類を定義して組織学的活性の数値指数をもたらすために組織学的試験が役立ち得る。悪性度分類は、壊死性炎症活動性の強度を説明するために使用する。病期分類は、線維症および構造体系的変更、すなわち、疾患の構造的進行の評価基準である。
一部の実施形態では、肝臓炎症スコアは、Ishakスコアである。Ishakスコアは、組織学的悪性度分類および病期分類を利用して、壊死性炎症性特色(門脈周囲または中隔周囲の境界面の肝炎、融合性壊死、限局性(斑状)溶解性壊死、アポトーシスおよび限局性炎症、および門脈炎症)の重症度に応じて0〜6(7段階の病期)の尺度でスコアを割り当てる。Ishakスコアが高いほど疾患の過程または転帰が一層悪いまたはより重症であることを意味し、これを、肝毒性を定義するための評価基準として使用することができる(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるIshak K et al., 1995;Goodman ZD et al., 2007 J Hepatol.; 47 (4): 598-607を参照されたい)。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、Ishakスコアによって定義される肝臓の炎症の増大である。
一部の実施形態では、肝毒性のマウスモデルを使用して肝毒性を評価する。一部の実施形態では、毒性のマウスモデルを使用して、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞のいずれかの潜在的毒性を評価することができる(例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれるNiu et al J Immunology 2007 178: 4194-4213を参照されたい)。簡単に述べると、肝毒性は、これだけに限定されないが、アラニントランスアミナーゼ(ALT)肝酵素のレベルの上昇、マクロファージの肝臓への浸潤、CD8+T細胞の肝臓への浸潤、リンパ球減少症、血小板減少症、貧血、ヘモグロビンのレベルの低下、脾腫、リンパ節腫脹、肝腫大、多巣性肝炎、貧血、B細胞およびCD8+T細胞の輸送の変更、NK細胞の喪失、ならびに造血性幹細胞の表現型を有する骨髄(BM)細胞の10倍の増加を含み得る免疫学的異常の発生によって決定することができる。したがって、一部の実施形態では、マウスモデルを使用して、マウスにおいて操作された赤血球系細胞の投与前および本明細書に記載の操作された赤血球系細胞の投与後の時点(複数可)で以下のうちの1つまたは複数を決定することによって肝毒性を評価する:ALT肝酵素のレベルの上昇、マクロファージの肝臓への浸潤、CD8+T細胞の肝臓への浸潤、リンパ球減少症、血小板減少症、貧血、ヘモグロビンのレベルの低下、脾腫、リンパ節腫脹、肝腫大、多巣性肝炎、貧血、B細胞およびCD8+T細胞の輸送の変更、NK細胞の喪失、ならびに造血性幹細胞の表現型を有する骨髄(BM)細胞の10倍の増加。
一部の実施形態では、血液毒性を、好中球数の減少、リンパ球数の減少、単球数の減少、およびヘモグロビンレベルの低下からなる群から選択される血液毒性の指標によって測定する。一部の実施形態では、血液毒性の指標を全血試料において測定する。一部の実施形態では、血液毒性の指標を血清試料において測定する。一部の実施形態では、血液毒性の指標を血漿試料において測定する。
一部の実施形態では、毒性を体重の減少によって測定する。
一部の実施形態では、細胞の投与後に対象において測定される毒性の指標のレベルを投与前の毒性の指標のレベルと比較する。一部の実施形態では、細胞の投与後に対象において測定される毒性の指標のレベルを閾値または毒性の指標の対照レベルと比較する。
ヒトにおける典型的な肝機能についての正常な血液検査結果は、アラニントランスアミナーゼ(ALT)レベルが血清1リットル当たり約7〜55単位であることを含む(例えば、www.mayoclinic.org/tests-procedures/liver-function-tests/about/pac-20394595を参照されたい)。肝臓が、例えば毒性が原因で損傷を受けると、ALTが血流中に放出され、そのレベルが上昇する。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、アラニントランスアミナーゼ(ALT)の血清中レベルの上昇である。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、ヒト対象におけるALTの血清中レベルが血液1リットル当たり約55単位を超えることである。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、ヒト対象におけるALTの血清中レベルが血液1リットル当たり約75単位を超えることである。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、ヒト対象におけるALTの血清中レベルが血液1リットル当たり約100単位を超えることである。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、ヒト対象におけるALTの血清中レベルが血液1リットル当たり約250単位を超えることである。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、ヒト対象におけるALTの血清中レベルが血液1リットル当たり約500単位を超えることである。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、ヒト対象におけるALTの血清中レベルが血液1リットル当たり約750単位を超えることである。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、ヒト対象におけるALTの血清中レベルが血液1リットル当たり約1000単位を超えることである。
ヒトにおける典型的な肝機能についての正常な血液検査結果は、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)レベルが血清1リットル当たり約8〜48単位であることを含む(例えば、www.mayoclinic.org/tests-procedures/liver-function-tests/about/pac-20394595を参照されたい)。ALTと同様に、ASTは、通常は血液中に低レベルで存在し、ASTレベルの上昇により肝損傷が示される。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、ヒト対象におけるASTの血清中レベルが血液1リットル当たり約48単位を超えることである。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、ヒト対象におけるASTの血清中レベルが血液1リットル当たり約60単位を超えることである。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、ヒト対象におけるASTの血清中レベルが血液1リットル当たり約75単位を超えることである。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、ヒト対象におけるASTの血清中レベルが血液1リットル当たり約100単位を超えることである。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、ヒト対象におけるASTの血清中レベルが血液1リットル当たり約250単位を超えることである。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、ヒト対象におけるASTの血清中レベルが血液1リットル当たり約500単位を超えることである。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、ヒト対象におけるASTの血清中レベルが血液1リットル当たり約750単位を超えることである。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、ヒト対象におけるASTの血清中レベルが血液1リットル当たり約800単位を超えることである。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、ヒト対象におけるASTの血清中レベルが血液1リットル当たり約1000単位を超えることである。
ヒトにおける典型的な肝機能についての正常な血液検査結果は、アルカリホスファターゼ(ALP)レベルが血清1リットル当たり約45〜115単位であることを含む(例えば、www.mayoclinic.org/tests-procedures/liver-function-tests/about/pac-20394595を参照されたい)。ALPのレベルが正常よりも高いことにより、肝損傷または疾患が示され得る。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、アルカリホスファターゼ(ALP)の血清中レベルの上昇である。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、ALPの血清中レベルが血清1リットル当たり約115単位を超えることである。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、ヒト対象におけるALPの血清中レベルが血液1リットル当たり約150単位を超えることである。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、ヒト対象におけるALPの血清中レベルが血液1リットル当たり約250単位を超えることである。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、ヒト対象におけるALPの血清中レベルが血液1リットル当たり約500単位を超えることである。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、ヒト対象におけるALPの血清中レベルが血液1リットル当たり約750単位を超えることである。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、ヒト対象におけるALPの血清中レベルが血液1リットル当たり約1000単位を超えることである。
ヒト成体における正常な血液検査結果は、血液1μL中のリンパ球が800個から4,800個の間であることを含む(例えば、www.medicalnewstoday.com/articles/320987.phpを参照されたい)。リンパ球減少症は、血液中のリンパ球数の異常な減少を有する状態である。リンパ球減少症は、細胞傷害性薬剤の投与によって頻繁に生じる結果である。一部の実施形態では、血液毒性の指標はリンパ球数の減少によって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1マイクロリットル当たりのリンパ球が約800個未満というリンパ球数の減少である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1マイクロリットル当たりのリンパ球が約600個未満というリンパ球数の減少である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1マイクロリットル当たりのリンパ球が約400個未満というリンパ球数の減少である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1マイクロリットル当たりのリンパ球が約200個未満というリンパ球数の減少である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1マイクロリットル当たりのリンパ球が約100個未満というリンパ球数の減少である。
ヒト成体における正常な血液検査結果は、血液1μL中の細胞が390万個から565万個であることを含む(例えば、www.mayoclinic.org/tests-procedures/complete-blood-count/about/pac-20384919を参照されたい)。赤血球がある特定の化学物質または毒素によって過剰な損傷を受けると赤血球数の減少が起こり得る。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、赤血球数の減少によって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1マイクロリットル当たりの赤血球が約3.9×106個未満という赤血球数の減少である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1マイクロリットル当たりの赤血球が約1×106個未満という赤血球数の減少である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1マイクロリットル当たりの赤血球が約3×105個であるという赤血球数の減少である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1マイクロリットル当たりの赤血球が約1×105個であるという赤血球数の減少である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1マイクロリットル当たりの赤血球が約3×104個であるという赤血球数の減少である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1マイクロリットル当たりの赤血球が約1×104個であるという赤血球数の減少である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1マイクロリットル当たりの赤血球が約3×103個であるという赤血球数の減少である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1マイクロリットル当たりの赤血球が約1×103個であるという赤血球数の減少である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1マイクロリットル当たりの赤血球が約3×102個であるという赤血球数の減少である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1マイクロリットル当たりの赤血球が約1×102個であるという赤血球数の減少である。
ヒト成体における正常な血液検査結果は、血液1μL中の細胞が3,400個から9,600個の間であることを含む(例えば、www.mayoclinic.org/tests-procedures/complete-blood-count/about/pac-20384919を参照されたい)。白血球減少症は、血液中の白血球(white blood cell)(白血球(leukocyte))数の減少であり、毒性によって誘導され得る(例えば、Xu et al., 2008, Toxicological Sciences. 103 (2): 278-284を参照されたい)。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、白血球数の減少によって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1マイクロリットル当たりの白血球が約3,400個未満という白血球数の減少である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1マイクロリットル当たりの白血球が約3,000個未満という白血球数の減少である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1マイクロリットル当たりの白血球が約2,500個未満という白血球数の減少である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1マイクロリットル当たりの白血球が約2,000個未満という白血球数の減少である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1マイクロリットル当たりの白血球が約1,500個未満という白血球数の減少である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1マイクロリットル当たりの白血球が約1,000個未満という白血球数の減少である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1マイクロリットル当たりの白血球が約500個未満という白血球数の減少である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1マイクロリットル当たりの白血球が約100個未満という白血球数の減少である。
ヒト成体における正常な血液検査結果は、血液1リットル当たり116グラムから166グラムの間であることを含む(例えば、www.mayoclinic.org/tests-procedures/complete-blood-count/about/pac-20384919を参照されたい)。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、ヘモグロビンレベルの低下によって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1リットル当たり約116グラム未満というヘモグロビンレベルの低下である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1リットル当たり約110グラム未満というヘモグロビンレベルの低下である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1リットル当たり約100グラム未満というヘモグロビンレベルの低下である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1リットル当たり約90グラム未満というヘモグロビンレベルの低下である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1リットル当たり約80グラム未満というヘモグロビンレベルの低下である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1リットル当たり約70グラム未満というヘモグロビンレベルの低下である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1リットル当たり約60グラム未満というヘモグロビンレベルの低下である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1リットル当たり約50グラム未満というヘモグロビンレベルの低下である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1リットル当たり約40グラム未満というヘモグロビンレベルの低下である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1リットル当たり約30グラム未満というヘモグロビンレベルの低下である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1リットル当たり約20グラム未満というヘモグロビンレベルの低下である。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、血液1リットル当たり約10グラム未満というヘモグロビンレベルの低下である。
一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、単離されたIL−15ポリペプチドよりも少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%低い毒性を示す。一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、単離されたIL−15ポリペプチドの3分の2以下、2分の1以下、3分の1以下、4分の1以下、5分の1以下または10分の1以下の毒性を示す。
一部の実施形態では、細胞は、対象において免疫キラー細胞を刺激することができる。
4−1BBLの毒性
一部の態様では、本開示は、4−1BBLポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞であって、免疫キラー細胞を刺激することができ、対象に投与された際に、単離された4−1BBLアゴニスト抗体と比較して高い治療指数(TI)を有する操作された赤血球系細胞を提供する。一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、単離された4−1BBLアゴニスト抗体と比較して少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%高いまたはそれよりも高い治療指数を有する。一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、単離された4−1BBLアゴニスト抗体と比較して少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、または10倍の治療指数を有する。
一部の態様では、本開示は、4−1BBLポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞であって、免疫キラー細胞を刺激することができ、対象に投与された際に、単離された4−1BBアゴニスト抗体と比較して低い毒性を示す、操作された赤血球系細胞を提供する。一部の実施形態では、単離されたポリペプチド、例えば、IL−12ポリペプチド、IL−15ポリペプチド、または4−1BBアゴニスト抗体は、組換え型であるポリペプチドを指す。一部の実施形態では、単離されたポリペプチド、例えば、IL−12ポリペプチド、IL−15ポリペプチド、または4−1BBアゴニストポリペプチド(例えば、4−1BBアゴニスト抗体など)は、細胞内、細胞膜内、細胞表面上に含まれず、かつ/または細胞とコンジュゲートしていないポリペプチドを指す。一部の実施形態では、細胞は、等価量の単離された4−1BBアゴニスト抗体と比較して低い毒性を示す。一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、細胞内に含まれる4−1BBLポリペプチドの量と等価の量である。一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、操作された赤血球系細胞に含まれる4−1BBLポリペプチドの量と等価の(例えば、コピー数、重量または容量モル濃度で)単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、操作された赤血球系細胞に含まれる4−1BBLポリペプチドの量と同じアゴニスト活性を有する単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、4−1BBLポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞と同じアゴニスト活性を有する単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、操作された赤血球系細胞に含まれる4−1BBLポリペプチドの量と同じ生物学的効果を有する単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、4−1BBLポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞と同じ生物学的効果を有する単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、操作された赤血球系細胞に含まれる4−1BBLポリペプチドの量と同じ治療効力を有する単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、4−1BBLポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞と同じ治療効力を有する単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。
一部の実施形態では、4−1BBアゴニスト抗体は、抗体3H3もしくはその抗原結合性断片、または抗体ウトミルマブもしくはその抗原結合性断片である。
一部の実施形態では、毒性は、肝毒性を含む。一部の実施形態では、毒性は、血液毒性を含む。一部の実施形態では、肝毒性は、IFNgの血清中レベルの上昇、ALTの血清中レベルの上昇、肝臓内に浸潤しているマクロファージのレベルの上昇、肝臓内に浸潤しているCD8+T細胞またはCD8+/Eomes+/KLGR1+T細胞のレベルの上昇、肝臓重量の増加、肝臓炎症スコアの増加、好中球数の減少、リンパ球数の減少、単球数の減少、およびヘモグロビンレベルの低下からなる群から選択される肝毒性の指標によって測定される。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、インターフェロンガンマ(IFNg)の血清中レベルの上昇を含む。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、アラニントランスアミナーゼ(ALT)の血清中レベルの上昇を含む。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、肝臓または脾臓内に浸潤しているマクロファージのレベルの上昇を含む。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、肝臓へのCD8+T細胞またはCD8+/Eomes+/KLGR1+T細胞の浸潤の増加を含む。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、肝臓炎症スコアの増加を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の通り、肝臓炎症スコアは、Ishakスコアである。
一部の実施形態では、本明細書に記載の通り、肝毒性を、肝毒性のマウスモデルを使用して評価する。
一部の実施形態では、血液毒性を、好中球数の減少、リンパ球数の減少、単球数の減少、およびヘモグロビンレベルの低下からなる群から選択される血液毒性の指標によって測定する。一部の実施形態では、血液毒性の指標を全血試料において測定する。一部の実施形態では、血液毒性の指標を血清試料において測定する。一部の実施形態では、血液毒性の指標を血漿試料において測定する。
一部の実施形態では、毒性を体重の減少によって測定する。
一部の実施形態では、細胞の投与後に対象において測定される毒性の指標のレベルを投与前の毒性の指標のレベルと比較する。一部の実施形態では、細胞の投与後に対象において測定される毒性の指標のレベルを閾値または毒性の指標の対照レベルと比較する。一部の実施形態では、毒性の指標は、本明細書に記載の通り、血清中ALTレベルによって決定される。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、本明細書に記載の通り、ALTの血清中レベルの上昇である。一部の実施形態では、毒性の指標は、本明細書に記載の通り、血清中ASTレベルによって決定される。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、本明細書に記載の通り、ASTの血清中レベルの上昇である。一部の実施形態では、毒性の指標は、本明細書に記載の通り、血清中ALPレベルによって決定される。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、本明細書に記載の通り、ALPの血清中レベルの上昇である。一部の実施形態では、毒性の指標は、本明細書に記載の通り、リンパ球数によって決定される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、リンパ球数の減少によって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、本明細書に記載の通り、赤血球数によって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、本明細書に記載の通り、赤血球数の減少によって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、本明細書に記載の通り、白血球数によって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、本明細書に記載の通り、白血球数の減少によって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、本明細書に記載の通り、ヘモグロビンレベルによって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、ヘモグロビンレベルの低下によって識別される。
一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、単離された4−1BBアゴニスト抗体よりも少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%低い毒性を示す。一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、単離された4−1BBアゴニスト抗体の少なくとも1.5分の1、少なくとも2分の1、少なくとも3分の1、少なくとも4分の1、少なくとも5分の1または少なくとも10分の1の毒性を示す。
一部の実施形態では、細胞は、対象において免疫キラー細胞を刺激することができる。
IL−15および4−1BBLの毒性
一部の態様では、本開示は、第1の外因性刺激性ポリペプチドおよび第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞であって、第1の外因性刺激性ポリペプチドが、4−1BBLポリペプチドを含み、第2の外因性刺激性ポリペプチドが、IL−15ポリペプチドを含む、操作された赤血球系細胞であり、免疫キラー細胞を刺激することができ、対象に投与された際に、単離された4−1BBLアゴニスト抗体、単離されたIL−15ポリペプチド、またはこれらの組合せと比較して高い治療指数(TI)を有する、操作された赤血球系細胞を提供する。一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、単離された4−1BBLアゴニスト抗体、単離されたIL−15ポリペプチド、またはこれらの組合せと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%高い治療指数を有する。一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、単離された4−1BBLアゴニスト抗体、単離されたIL−15ポリペプチド、またはこれらの組合せと比較して、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、または10倍の治療指数を有する。
一部の態様では、本開示は、第1の外因性刺激性ポリペプチドおよび第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞であって、第1の外因性刺激性ポリペプチドが、4−1BBLポリペプチドを含み、第2の外因性刺激性ポリペプチドが、IL−15ポリペプチドを含む、操作された赤血球系細胞であり、対象に投与された際に、単離された4−1BBアゴニストポリペプチド、単離されたIL−15ポリペプチド、またはこれらの組合せと比較して低い毒性を示す、操作された赤血球系細胞を提供する。
一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、等価量の単離された4−1BBアゴニストポリペプチド、等価量の単離されたIL−15ポリペプチド、またはこれらの組合せと比較して低い毒性を示す。一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、細胞内に含まれる4−1BBLポリペプチドの量と等価の量である。一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、操作された赤血球系細胞に含まれる4−1BBLポリペプチドの量と等価の(例えば、コピー数、重量または容量モル濃度で)単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、操作された赤血球系細胞に含まれる4−1BBLポリペプチドの量と同じアゴニスト活性を有する単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、操作された赤血球系細胞に含まれる4−1BBLポリペプチドの量と同じ生物学的効果を有する単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、操作された赤血球系細胞に含まれる4−1BBLポリペプチドの量と同じ治療効力を有する単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。一部の実施形態では、4−1BBアゴニスト抗体は、抗体3H3もしくはその抗原結合性断片、または抗体ウトミルマブもしくはその抗原結合性断片である。一部の実施形態では、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量は、細胞内に含まれるIL−15ポリペプチドの量と定量的にまたは機能的に等価の量である。一部の実施形態では、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞内に含まれるIL−15ポリペプチドの量と定量的に同じ量(例えば、コピー数または容量モル濃度で)である。一部の実施形態では、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞内に含まれるIL−15ポリペプチドの量と同じ生物活性を有する単離されたIL−15ポリペプチドの量である。一部の実施形態では、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞内に含まれるIL−15ポリペプチドの量と同じ治療効力を有する単離されたIL−15ポリペプチドの量である。
一部の実施形態では、第2の外因性ポリペプチドは、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む。
一部の実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドとIL−15RAポリペプチドの細胞外部分は複合体として存在する。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドとIL−15RAポリペプチドの細胞外部分は融合ポリペプチドである。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドまたはその断片は、IL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片とリンカーによって連結している。一部の実施形態では、リンカーは、GGGGS(配列番号11)を含む。一部の実施形態では、リンカーは、(GGGGS)3リンカー(配列番号12)を含む。一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、配列番号1と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドは、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15受容体アルファsushi結合性ドメインを含む。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドまたはその断片とIL−15受容体アルファsushi結合性ドメインは複合体として存在する。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドまたはその断片とIL−15受容体アルファsushi結合性ドメインは融合ポリペプチドとして存在する。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドまたはその断片は、IL−15受容体アルファsushi結合性ドメインとリンカーによって連結している。一部の実施形態では、リンカーは、GGGGS(配列番号11)を含み、必要に応じて、リンカーは、(GGGGS)3リンカー(配列番号12)を含む。一部の実施形態では融合ポリペプチドは、配列番号2と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、毒性は、肝毒性を含む。一部の実施形態では、毒性は、血液毒性を含む。一部の実施形態では、肝毒性は、IFNgの血清中レベルの上昇、ALTの血清中レベルの上昇、肝臓内に浸潤しているマクロファージのレベルの上昇、肝臓内に浸潤しているCD8+T細胞またはCD8+/Eomes+/KLGR1+T細胞のレベルの上昇、肝臓重量の増加、肝臓炎症スコアの増加、好中球数の減少、リンパ球数の減少、単球数の減少、およびヘモグロビンレベルの低下からなる群から選択される肝毒性の指標によって測定される。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、インターフェロンガンマ(IFNg)の血清中レベルの上昇を含む。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、アラニントランスアミナーゼ(ALT)の血清中レベルの上昇を含む。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、肝臓または脾臓内に浸潤しているマクロファージのレベルの上昇を含む。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、肝臓へのCD8+T細胞またはCD8+/Eomes+/KLGR1+T細胞の浸潤の増加を含む。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、肝臓炎症スコアの増加を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の通り、肝臓炎症スコアは、Ishakスコアである。
一部の実施形態では、本明細書に記載の通り、肝毒性を、肝毒性のマウスモデルを使用して評価する。
一部の実施形態では、血液毒性を、好中球数の減少、リンパ球数の減少、単球数の減少、およびヘモグロビンレベルの低下からなる群から選択される血液毒性の指標によって測定する。一部の実施形態では、血液毒性の指標を全血試料において測定する。一部の実施形態では、血液毒性の指標を血清試料において測定する。一部の実施形態では、血液毒性の指標を血漿試料において測定する。
一部の実施形態では、毒性を体重の減少によって測定する。
一部の実施形態では、細胞の投与後に対象において測定される毒性の指標のレベルを投与前の毒性の指標のレベルと比較する。一部の実施形態では、細胞の投与後に対象において測定される毒性の指標のレベルを閾値または毒性の指標の対照レベルと比較する。一部の実施形態では、毒性の指標は、本明細書に記載の通り、血清中ALTレベルによって決定される。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、本明細書に記載の通り、ALTの血清中レベルの上昇である。一部の実施形態では、毒性の指標は、本明細書に記載の通り、血清中ASTレベルによって決定される。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、本明細書に記載の通り、ASTの血清中レベルの上昇である。一部の実施形態では、毒性の指標は、本明細書に記載の通り、血清中ALPレベルによって決定される。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、本明細書に記載の通り、ALPの血清中レベルの上昇である。一部の実施形態では、毒性の指標は、本明細書に記載の通り、リンパ球数によって決定される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、リンパ球数の減少によって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、本明細書に記載の通り、赤血球数によって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、本明細書に記載の通り、赤血球数の減少によって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、本明細書に記載の通り、白血球数によって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、本明細書に記載の通り、白血球数の減少によって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、本明細書に記載の通り、ヘモグロビンレベルによって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、ヘモグロビンレベルの低下によって識別される。
一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、単離された4−1BBLポリペプチドおよび単離されたIL−15ポリペプチドよりも少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%低い毒性を示す。一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、単離された4−1BBLポリペプチドおよび単離されたIL−15ポリペプチドの少なくとも1.5分の1、少なくとも2分の1、少なくとも3分の1、少なくとも4分の1、少なくとも5分の1または少なくとも10分の1の毒性を示す。
一部の実施形態では、細胞は、対象において免疫キラー細胞を刺激することができる。
ある特定の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、IL−1、IL−2、IL−12、IL−18、IL−21、インターフェロンアルファ(IFNα)、ポリオウイルス受容体(PVR/CD155)、CD48、ヒト白血球抗原(HLA)−A、HLA−C、HLA−G、ヘパラン硫酸(HS)、HLA−E、CpG、免疫グロブリンG(IgG)、UL16結合性タンパク質(ULBP)、MHCクラスI鎖関連タンパク質(MIC)、B7−H6、NkP44L、Nectin2、NK−T−B抗原(NTBA)、活性化誘導性C型レクチン(AICL)およびインスリン様増殖因子1(IGF−1)からなる群から選択される1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドをさらに含む。
ある特定の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、抗体または抗体断片、例えば抗体のFc部分を含まない。
核酸配列
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列を含む操作された赤血球系細胞(例えば、操作された赤血球系前駆細胞)を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列を使用することによって調製された操作された赤血球系細胞を提供する。例えば、一部の実施形態では、赤血球系細胞は、IL−15ポリペプチド、例えば成熟ヒトIL−15を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号13または配列番号14の核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号13の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号14の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号13または配列番号14の核酸配列からなる。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、IL−15RAポリペプチド(例えば、成熟細胞外ヒトIL−15RA)を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15RAポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号15または配列番号16の核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15Raポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号15の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15RAポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号16の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15RAポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号15または配列番号16の核酸配列からなる。
特定の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号19または配列番号20の核酸配列を含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号19の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号20の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、リンカー、例えば(G4S)3リンカー(配列番号12)をコードする核酸配列を含む。一部の実施形態では、リンカーをコードする核酸配列は、配列番号17または配列番号18の核酸配列を含む。一部の実施形態では、リンカーをコードする核酸配列は、配列番号17の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。一部の実施形態では、リンカーをコードする核酸配列は、配列番号18の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、IL−15 V3構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15 V3構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号28の核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15 V3構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号28の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15 V3構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号28の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15 V3構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号28の核酸配列からなる。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、IL−15/IL−15Ra V4構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15/IL−15Ra V4構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号30の核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15/IL−15Ra V4構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号30の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15/IL−15Ra V4構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号30の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15/IL−15Ra V4構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号30の核酸配列からなる。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、IL−15/IL−15Ra V5構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15/IL−15Ra V5構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号32の核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15/IL−15Ra V5構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号32の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15/IL−15Ra V5構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号32の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15/IL−15Ra V5構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号32の核酸配列からなる。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、IL−15 V3.1構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15 V3.1構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号36の核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15 V3.1構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号36の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15 V3.1構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号36の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15 V3.1構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号36の核酸配列からなる。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、IL−15/IL−15Ra V4.1構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15/IL−15Ra V4.1構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号38の核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15/IL−15Ra V4.1構築物をコードする核酸配列は、配列番号38の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15/IL−15Ra V4.1構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号38の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−15/IL−15Ra V4.1構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号38の核酸配列からなる。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、4−1BBLポリペプチド、例えばヒト4−1BBLポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列を含む。一部の実施形態では、4−1BBLポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号42の核酸配列を含む。一部の実施形態では、4−1BBLポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号42の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。一部の実施形態では、4−1BBLポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号42の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。一部の実施形態では、4−1BBLポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号42の核酸配列からなる。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、4−1BBLポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列を含む。一部の実施形態では、4−1BBLポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号44の核酸配列を含む。一部の実施形態では、4−1BBLポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号44の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。一部の実施形態では、4−1BBLポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号44の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。一部の実施形態では、4−1BBLポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号44の核酸配列からなる。
一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列またはその構成成分はコドン最適化されている(例えば、ヒト細胞における発現のためにコドン最適化されている)。例えば、一部の実施形態では、IL−15ポリペプチド、IL−15RAポリペプチド、4−1BBLポリペプチド、および/またはリンカーをコードする核酸配列はコドン最適化されている。他の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列またはその構成成分はコドン最適化されていない。例えば、一部の実施形態では、IL−15ポリペプチド、IL−15RAポリペプチド、4−1BBLポリペプチド、および/またはリンカーをコードする核酸配列はコドン最適化されていない。
IL−12を含む操作された赤血球系細胞
本開示は、別の態様では、第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞であって、第1の外因性刺激性ポリペプチドが、インターロイキン−12ポリペプチドまたはその断片(例えば、IL−12受容体結合性断片)を含む、操作された赤血球系細胞を提供する。一部の実施形態では、IL−12ポリペプチドは、p40(IL−12 p40)ポリペプチドまたはその断片である。一部の実施形態では、IL−12ポリペプチドは、p35(IL−12 p35)ポリペプチドまたはその断片である。一部の実施形態では、IL−12ポリペプチドは、p40−p35融合ポリペプチド(IL−12 p40−p35)ポリペプチドまたはその断片である。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、除核細胞である。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、有核細胞である。
本明細書全体を通して使用される通り、一実施形態では、IL−12断片またはIL−12ポリペプチド断片は、IL−12受容体に結合するIL−12断片、すなわち、IL−12のIL−12受容体結合性断片を指す。本明細書全体を通して使用される通り、一実施形態では、IL−12断片またはIL−12ポリペプチド断片は、IL−12の生物活性を保持するIL−12断片を指す。
ある特定の実施形態では、本発明は、IL−12 p40ポリペプチドまたはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞を提供する:
一部の実施形態では、IL−12ポリペプチドは、配列番号45のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するIL−12 p40のバリアントを含む。特定の実施形態では、IL−12 p40ポリペプチドは、配列番号45のアミノ酸配列からなる。
本開示は、別の態様では、第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞であって、第1の外因性刺激性ポリペプチドが、インターロイキン−12 p35(IL−12 p35)ポリペプチドまたはその断片を含む、操作された赤血球系細胞を提供する。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、除核細胞である。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、有核細胞である。
ある特定の実施形態では、本発明は、IL−12 p35ポリペプチドまたはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞を提供する:
一部の実施形態では、IL−12ポリペプチドは、配列番号47のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するIL−12 p35のバリアントを含む。特定の実施形態では、IL−12 p40ポリペプチドは、配列番号47のアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、本開示は、第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞であって、第1の外因性刺激性ポリペプチドが、インターロイキン−12 p40(IL−12 p40)ポリペプチドまたはその断片とインターロイキン−12 p35(IL−12 p35)ポリペプチドまたはその断片とを含む、操作された赤血球系細胞を提供する。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、除核細胞である。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、有核細胞である。
一部の実施形態では、IL−12 p40ポリペプチドとIL−12 p35ポリペプチドは複合体として存在する。別の実施形態では、IL−12 p40ポリペプチドとIL−12 p35ポリペプチドは融合ポリペプチドとして存在する。一部の実施形態では、IL−12 p40ポリペプチドはIL−12 p35ポリペプチドとリンカーによって連結している。
一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号45のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる成熟ヒトIL−12 p40ポリペプチドと配列番号47のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるIL−12 p35ポリペプチドとを含む。一部の実施形態では、成熟ヒトIL−12 p40ポリペプチドとIL−12 p35ポリペプチドは、リンカー(例えば、柔軟なリンカー)によって接続されている。本明細書に記載のリンカーのいずれかを使用することができる。一部の実施形態では、リンカーは、アミノ酸配列(GGGGS)n(配列番号75)を含み、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。一部の実施形態では、リンカーは、(GGGGS)nリンカー(配列番号75)からなり、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。一部の実施形態では、リンカーは、表3に記載されているアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、リンカーは、アミノ酸配列GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号12)を含む。さらなる特定の実施形態では、リンカーは、配列番号12のアミノ酸配列からなる。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、柔軟なリンカー(配列番号12)によって接続された成熟ヒトIL−12 p40(配列番号45)とIL−12 p35(配列番号47)とを含む。
当業者に公知の他の適切なリンカーをIL−12 p40ポリペプチドとIL−12 p35ポリペプチドを連結するために使用することができる。一部の実施形態では、本発明において有用なリンカーは、5から25アミノ酸長の間、5〜20アミノ酸長、10〜25アミノ酸長、または10〜20アミノ酸長である。一部の実施形態では、本発明において有用なリンカーは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸長である。好ましい実施形態では、リンカーは、非免疫原性である。
ある特定の実施形態では、本発明は、リンカーまたはその断片によって連結したIL−12 p40ポリペプチドとIL−12 p35ポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞を提供する:
一部の実施形態では、IL−12ポリペプチドは、配列番号57のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有するIL−12 p40/IL−12 p35融合のバリアントを含む。特定の実施形態では、IL−12 p40ポリペプチドは、配列番号57のアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、IL−12 p40/IL−12 p35融合ポリペプチドの断片は、少なくとも10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、110個、120個、130個、140個、150個、160個、170個、180個、190個、200個、210個、220個、230個、240個、250個、260個、270個、280個、290個、300個、310個、320個、330個、340個、350個、360個、370個、380個、390個、400個、410個、420個、430個、440個、450個、460個、470個、480個、490個、500個または510個のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、IL−12 p40/IL−12 p35融合ポリペプチドの断片は、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、110個、120個、130個、140個、150個、160個、170個、180個、190個、200個、210個、220個、230個、240個、250個、260個、270個、280個、290個、300個、310個、320個、330個、340個、350個、360個、370個、380個、390個、400個、410個、420個、430個、440個、450個、460個、470個、480個、490個、500個または510個未満のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、断片またはIL−12 p40のバリアント/IL−12 p35融合ポリペプチドは、当技術分野で周知のアッセイ、例えば、ELISA、Biacore、または免疫共沈降によって測定して、野生型ヒトIL−12のIL−12受容体に結合する機能の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%を保持する。一部の実施形態では、断片またはIL−12 p40のバリアント/IL−12 p35融合ポリペプチドは、当技術分野で周知のアッセイ、例えば、電気移動度シフトアッセイ、ELISAおよび他のイムノアッセイによって測定して、野生型ヒトIL−12のIL−12媒介性シグナルトランスダクションを誘導する機能の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%を保持する。
一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、IL−12ポリペプチドおよびシグナルペプチドを含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、IL−12ポリペプチドとシグナルペプチドで構成される融合ポリペプチドである。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、表4に記載されているアミノ酸配列を含むまたはそれからなるシグナルペプチドを含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、GPAシグナルペプチドを含むまたはそれからなるシグナルペプチドを含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号21のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるシグナルペプチドを含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号21のアミノ酸配列を含むリーダー配列およびインターロイキン−12(IL−12)ポリペプチドを含む。
一部の実施形態では、IL−12 p40/IL−12 p35融合ポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドは、赤血球系細胞膜に付着している。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、IL−12 p40/IL−12 p35融合ポリペプチドおよびポリペプチドを赤血球系細胞膜に係留するアンカーまたは膜貫通ドメインを含む。ある特定の実施形態では、アンカーまたは膜貫通ドメインは、IL−12 p40/IL−12 p35融合ポリペプチドとは異種である。ある特定の実施形態では、アンカーまたは膜貫通ドメインは、GPAまたはその膜貫通部分を含むまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、アンカーまたは膜貫通ドメインは、SMIM1またはその膜貫通部分を含むまたはそれからなる。一部の実施形態では、アンカーまたは膜貫通ドメインは、低分子内在性膜タンパク質1(SMIM1)、トランスフェリン受容体、Fasリガンド(FasL)、Kell、またはBand 3またはその膜貫通部分(例えば、膜貫通ドメイン)を含むまたはそれからなる。IL−12 p40/IL−12 p35融合ポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドは、本明細書に記載のアンカーまたは膜貫通ドメインのいずれかを含み得る。
一部の実施形態では、IL−12 p40/IL−12 p35融合ポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドは、表2に記載のアミノ酸配列を含むアンカーまたは膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号45のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる成熟ヒトIL−12 p40ポリペプチド、リンカー(例えば、配列番号12のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる柔軟なリンカー)、およびアンカー配列を含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、(例えば、N末端からC末端へ)、配列番号49のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるアンカードメイン、配列番号45のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるヒトIL−12 p40ポリペプチド、および配列番号47のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるヒトIL−12 p35ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、(例えば、N末端からC末端へ)、配列番号49のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるアンカードメイン、配列番号12のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるリンカー(例えば、柔軟なリンカー)、配列番号45のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるヒトIL−12 p40ポリペプチド、配列番号12のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるリンカー(例えば、柔軟なリンカー)、および配列番号47のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるヒトIL−12 p35ポリペプチドを含む。
一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号49のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるアンカーおよびIL−12ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号49を含むまたはそれからなるアンカーおよび配列番号45のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるヒトIL−12 p40ポリペプチド、および配列番号47のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるヒトIL−12 p35ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、(例えば、N末端からC末端へ)、配列番号49のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるアンカー、配列番号45のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるヒトIL−12 p40ポリペプチド、配列番号12のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるリンカー(例えば、柔軟なリンカー)、および配列番号47のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるヒトIL−12 p35ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号55のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号55のアミノ酸配列からなる。
一部の実施形態では、SMIM1(またはSMIM1膜貫通部分)を含むアンカーと連結したIL−12ポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドは、GPA(またはGPA膜貫通部分(例えばGPA膜貫通ドメイン))を含むアンカーと連結したIL−12ポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドの細胞表面発現と比べて、細胞表面発現の増大を示す。
特定の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号53のアミノ酸配列または配列番号53のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号53のアミノ酸配列からなる。
特定の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号55のアミノ酸配列または配列番号55のアミノ酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号55のアミノ酸配列からなる。
IL−12および4−1BBL
操作された赤血球系細胞は、本明細書に記載のIL−12 p40/IL−12 p35融合ポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチド、および1つまたは複数の追加的な外因性刺激性ポリペプチドを含み得る。例えば、操作された赤血球系細胞は、4−1BBL(4−1BBリガンド)ポリペプチドを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドをさらに含み得る。したがって、本発明は、インターロイキン−12 p40(IL−12 p40)ポリペプチドまたはその断片、およびインターロイキン−12 p35(IL−12 p35)ポリペプチドまたはその断片(例えば、IL−12 p40−p35融合ポリペプチド)を含む第1の外因性刺激性ポリペプチド、ならびに、4−1BBLまたはその刺激性断片を含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞も提供する。
ある特定の実施形態では、4−1BBLは、その天然の三量体形態である。さらなる実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞は、4−1BBLをその天然の三量体形態で発現し、ここで、天然の三量体形態は操作された赤血球系細胞の有効性および活性のために重要である。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、ヒト4−1BBL、例えばヒト4−1BBLの細胞外部分を含む。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号41のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる4−1BBLポリペプチドを含む。一部の実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドは、インターロイキン−12(IL−12)ポリペプチド、例えば、配列番号45を含むまたはそれからなるヒトIL−12 p40ポリペプチドおよび配列番号47を含むまたはそれからなるヒトIL−12 p35ポリペプチド(例えば、配列番号57のアミノ酸配列を含むIL−12 p40−p35融合ポリペプチド)を含む。
一部の実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドは、(例えば、N末端からC末端へ)、配列番号49のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるアンカー(例えば、SMIM1アンカー)、配列番号45のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるヒトIL−12 p40ポリペプチド、配列番号12のアミノ酸配列を含むリンカー、および配列番号47のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるヒトIL−12 p35ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、第2の外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号41のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるヒト細胞外4−1BBLポリペプチド、配列番号39のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるリンカー(例えば、4−1BBLリンカー)、および配列番号25のアミノ酸配列を含むまたはそれからなるGPAアンカーを含む。一部の実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号55のアミノ酸配列を含むまたはそれからなり、第2の外因性刺激性ポリペプチドは、配列番号43のアミノ酸配列を含むまたはそれからなる。
一部の実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドおよび第2の外因性刺激性ポリペプチドは、単一の核酸分子によってコードされており、単一の融合ポリペプチドとして最初に発現され、ここで、第1の外因性刺激性ポリペプチドと第2の外因性刺激性ポリペプチドの間にT2Aスキップペプチド(例えば、配列番号64)が配置されている。一部の実施形態では、4−1BBLポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−12ポリペプチドを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドは、単一の核酸分子によってコードされており、単一の融合ポリペプチドとして最初に発現され、ここで、4−1BBLポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドとIL−12ポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドの間にT2Aスキップペプチド(例えば、配列番号64)が配置されている。2Aスキップペプチドまたはエレメント(例えば、T2A配列)の導入により、2つの別々の外因性刺激性ポリペプチド(4−1BBLまたはIL−12ポリペプチドのいずれかを含む)への翻訳後切断が可能になる(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるLiu et al. (2017)Sci. Rep. 7(1): 2193を参照されたい)。ある特定の実施形態によると、翻訳後切断の後、4−1BBLポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−12ポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドは赤血球系細胞表面に係留されている。T2A、P2A、E2A、およびF2Aを含めた多数の2Aエレメントが当技術分野で公知であり、本明細書に記載の通り使用することができる(例えば、Liu et al. 2017を参照されたい)。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、GPAシグナルペプチド(配列番号21)、4−1BBLポリペプチド(配列番号41)、4−1BBLリンカー(配列番号40)、GPAアンカー(配列番号25)、T2Aスキップペプチド(配列番号64)、SMIM1アンカー(配列番号49)、リンカー(配列番号12)、IL12 p40ポリペプチド(配列番号45)、柔軟なリンカー(配列番号12)、およびIL−12 p35ポリペプチド(配列番号47)を含むポリペプチドを含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号62を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号62からなる。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞を、例えば、5’から3’へ、GPAシグナルペプチド(配列番号21)、4−1BBLポリペプチド(配列番号41)、4−1BBLリンカー(配列番号40)、GPAアンカー(配列番号25)、T2Aスキップペプチド(配列番号64)、SMIM1アンカー(配列番号49)、リンカー(配列番号12)、IL12 p40ポリペプチド(配列番号45)、柔軟なリンカー(配列番号12)、およびIL−12 p35ポリペプチド(配列番号47)をコードする、ポリペプチドをコードする核酸を使用することによって調製する。一部の実施形態では、核酸は、配列番号62を含むポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、核酸は、配列番号63を含むまたはそれからなる。
ある特定の実施形態では、IL−12を含む第1の外因性刺激性ポリペプチドと4−1BBLを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドの組合せにより、相乗的な応答(例えば、免疫キラー細胞活性化の間に)が生じる。例えば、それぞれがIL−12または4−1BBLのいずれかを含む外因性刺激性ポリペプチドは、赤血球系細胞において発現されると、一緒に作用して、刺激性ポリペプチドいずれか単独での効果と比較してより頑強な免疫キラー細胞(例えば、NK細胞および/またはCD8+T細胞)の活性化をもたらし得る。そのような相乗活性は、本明細書に提示される実施例において実証されている。したがって、一部の実施形態では、本発明は、第1および第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞であって、第1の外因性刺激性ポリペプチドが、IL−12ポリペプチドまたはその断片を含み、第2の外因性刺激性ポリペプチドが、4−1BBLを含み、第1の外因性刺激性ポリペプチドおよび第2の外因性刺激性ポリペプチドが、ex vivoまたはin vivoにおいて免疫キラー細胞を相乗活性で刺激する、操作された赤血球系細胞を提供する。一実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドは、IL−12 p40/IL−12 p35を融合タンパク質として、例えば細胞の表面に含む。
別の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、本明細書に記載のIL−12 p40/IL−12 p35融合ポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチド、ならびに1つまたは複数の追加的な外因性刺激性ポリペプチドを含み得る。例えば、操作された赤血球系細胞は、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAの細胞外部分またはその断片で構成される群からの第2の外因性刺激性ポリペプチドをさらに含み得る。したがって、本発明は、インターロイキン−12 p40(IL−12 p40)ポリペプチドまたはその断片、およびインターロイキン−12 p35(IL−12 p35)ポリペプチドまたはその断片(例えば、IL−12 p40−p35融合ポリペプチド)を含む第1の外因性刺激性ポリペプチド、ならびに、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAの細胞外部分またはその断片(例えば、IL−15/IL−15RA融合物ポリペプチド)を含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞も提供する。
ある特定の実施形態では、IL−12を含む第1の外因性刺激性ポリペプチドとIL−15/IL−15RAを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドの組合せにより、相乗的な応答(例えば、免疫キラー細胞活性化の間に)が生じる。例えば、それぞれがIL−12またはIL−15/IL−15RAのいずれかを含む外因性刺激性ポリペプチドは、赤血球系細胞において発現されると、一緒に作用して、刺激性ポリペプチドいずれか単独での効果と比較してより頑強な免疫キラー細胞(例えば、NK細胞および/またはCD8+T細胞)の活性化をもたらし得る。そのような相乗活性は、本明細書に提示される実施例において実証されている。したがって、一部の実施形態では、本発明は、第1および第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞であって、第1の外因性刺激性ポリペプチドが、IL−12ポリペプチドまたはその断片を含み、第2の外因性刺激性ポリペプチドが、IL−15/IL−15RAを含み、第1の外因性刺激性ポリペプチドおよび第2の外因性刺激性ポリペプチドが、ex vivoまたはin vivoにおいて免疫キラー細胞を相乗活性で刺激する、操作された赤血球系細胞を提供する。一実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドは、IL−12 p40/IL−12 p35を融合タンパク質として、例えば細胞の表面に含む。
IL−12の毒性
一部の態様では、本開示は、IL−12ポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞であって、免疫キラー細胞を刺激することができ、対象に投与された際に、単離されたIL−12ポリペプチドと比較して高い治療指数(TI)を有する操作された赤血球系細胞を提供する。一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、単離されたIL−12ポリペプチドと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%高い治療指数を有する。一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、単離されたIL−12ポリペプチドと比較して、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、または10倍の治療指数を有する。
一部の態様では、本開示は、IL−12ポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞であって、対象に投与された際に、単離されたIL−12ポリペプチドと比較して低い毒性を示す操作された赤血球系細胞を提供する。
一部の実施形態では、単離されたポリペプチド、例えば、IL−12ポリペプチド、IL−15ポリペプチド、または4−1BBアゴニスト抗体は、組換え型であるポリペプチドを指す。一部の実施形態では、単離されたポリペプチド、例えば、IL−12ポリペプチド、IL−15ポリペプチド、または4−1BBアゴニストポリペプチド(例えば、4−1BBアゴニスト抗体など)は、細胞内、細胞膜内、細胞表面上に含まれず、かつ/または細胞とコンジュゲートしていないポリペプチドを指す。
一部の実施形態では、細胞は、等価量の単離されたIL−12ポリペプチドと比較して低い毒性を示す。一部の実施形態では、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量は、細胞内に含まれるIL−12ポリペプチドの量と定量的にまたは機能的に等価の量である。一部の実施形態では、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞内に含まれるIL−12ポリペプチドの量と定量的に同じ量(例えば、コピー数または容量モル濃度で)である。一部の実施形態では、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞内に含まれるIL−12ポリペプチドの量と同じ生物活性を有する単離されたIL−12ポリペプチドの量である。一部の実施形態では、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量は、IL−12ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞と同じ生物活性を有する単離されたIL−12ポリペプチドの量である。一部の実施形態では、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞内に含まれるIL−12ポリペプチドの量と同じ治療効力を有する単離されたIL−12ポリペプチドの量である。一部の実施形態では、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量は、IL−12ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞と同じ治療効力を有する単離されたIL−12ポリペプチドの量である。
一部の実施形態では、IL−12ポリペプチドは、p40ポリペプチドおよびp35ポリペプチドを含む。
一部の実施形態では、毒性は、肝毒性を含む。一部の実施形態では、毒性は、血液毒性を含む。一部の実施形態では、肝毒性は、IFNgの血清中レベルの上昇、ALTの血清中レベルの上昇、肝臓内に浸潤しているマクロファージのレベルの上昇、肝臓内に浸潤しているCD8+T細胞またはCD8+/Eomes+/KLGR1+T細胞のレベルの上昇、肝臓重量の増加、肝臓炎症スコアの増加、好中球数の減少、リンパ球数の減少、単球数の減少、およびヘモグロビンレベルの低下からなる群から選択される肝毒性の指標によって測定される。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、インターフェロンガンマ(IFNg)の血清中レベルの上昇を含む。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、アラニントランスアミナーゼ(ALT)の血清中レベルの上昇を含む。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、肝臓または脾臓内に浸潤しているマクロファージのレベルの上昇を含む。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、肝臓へのCD8+T細胞またはCD8+/Eomes+/KLGR1+T細胞の浸潤の増加を含む。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、肝臓炎症スコアの増加を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の通り、肝臓炎症スコアは、Ishakスコアである。
一部の実施形態では、本明細書に記載の通り、肝毒性を、肝毒性のマウスモデルを使用して評価する。
一部の実施形態では、血液毒性を、好中球数の減少、リンパ球数の減少、単球数の減少、およびヘモグロビンレベルの低下からなる群から選択される血液毒性の指標によって測定する。一部の実施形態では、血液毒性の指標を全血試料において測定する。一部の実施形態では、血液毒性の指標を血清試料において測定する。一部の実施形態では、血液毒性の指標を血漿試料において測定する。
一部の実施形態では、毒性を体重の減少によって測定する。
一部の実施形態では、細胞の投与後に対象において測定される毒性の指標のレベルを投与前の毒性の指標のレベルと比較する。一部の実施形態では、細胞の投与後に対象において測定される毒性の指標のレベルを閾値または毒性の指標の対照レベルと比較する。一部の実施形態では、毒性の指標は、本明細書に記載の通り、血清中ALTレベルによって決定される。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、本明細書に記載の通り、ALTの血清中レベルの上昇である。一部の実施形態では、毒性の指標は、本明細書に記載の通り、血清中ASTレベルによって決定される。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、本明細書に記載の通り、ASTの血清中レベルの上昇である。一部の実施形態では、毒性の指標は、本明細書に記載の通り、血清中ALPレベルによって決定される。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、本明細書に記載の通り、ALPの血清中レベルの上昇である。一部の実施形態では、毒性の指標は、本明細書に記載の通り、リンパ球数によって決定される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、リンパ球数の減少によって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、本明細書に記載の通り、赤血球数によって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、本明細書に記載の通り、赤血球数の減少によって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、本明細書に記載の通り、白血球数によって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、本明細書に記載の通り、白血球数の減少によって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、本明細書に記載の通り、ヘモグロビンレベルによって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、ヘモグロビンレベルの低下によって識別される。
一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、単離されたIL−12ポリペプチドよりも少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%低い毒性を示す。一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、単離されたIL−12ポリペプチドの3分の2以下、2分の1以下、3分の1以下、4分の1以下、5分の1以下または10分の1以下の毒性を示す。
一部の実施形態では、細胞は、対象において免疫キラー細胞を刺激することができる。
IL−12および4−1BBLの毒性
一部の態様では、本開示は、第1の外因性刺激性ポリペプチドおよび第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞であって、第1の外因性刺激性ポリペプチドが、4−1BBLポリペプチドを含み、第2の外因性刺激性ポリペプチドが、IL−12ポリペプチドを含む、操作された赤血球系細胞であり、免疫キラー細胞を刺激することができ、対象に投与された際に、単離された4−1BBLアゴニスト抗体、単離されたIL−12ポリペプチド、またはこれらの組合せと比較して高い治療指数(TI)を有する、操作された赤血球系細胞を提供する。一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、単離された4−1BBLアゴニスト抗体、単離されたIL−12ポリペプチド、またはこれらの組合せと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%高い治療指数を有する。一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、単離された4−1BBLアゴニスト抗体、単離されたIL−12ポリペプチド、またはこれらの組合せと比較して、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、または10倍の治療指数を有する。
一部の態様では、本開示は、第1の外因性刺激性ポリペプチドおよび第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞であって、第1の外因性刺激性ポリペプチドが、4−1BBLポリペプチドを含み、第2の外因性刺激性ポリペプチドが、IL−12ポリペプチドを含む、操作された赤血球系細胞であり、対象に投与された際に、単離された4−1BBアゴニストポリペプチド、単離されたIL−12ポリペプチド、またはこれらの組合せと比較して低い毒性を示す、操作された赤血球系細胞を提供する。一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、等価量の単離された4−1BBアゴニストポリペプチド、等価量の単離されたIL−12ポリペプチド、またはこれらの組合せと比較して低い毒性を示す。一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、細胞内に含まれる4−1BBLポリペプチドの量と等価の量である。一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、操作された赤血球系細胞に含まれる4−1BBLポリペプチドの量と等価の(例えば、コピー数、重量または容量モル濃度で)単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、操作された赤血球系細胞に含まれる4−1BBLポリペプチドの量と同じアゴニスト活性を有する単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、操作された赤血球系細胞に含まれる4−1BBLポリペプチドの量と同じ生物学的効果を有する単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、操作された赤血球系細胞に含まれる4−1BBLポリペプチドの量と同じ治療効力を有する単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。
一部の実施形態では、4−1BBアゴニスト抗体は、抗体3H3もしくはその抗原結合性断片、または抗体ウトミルマブもしくはその抗原結合性断片である。
一部の実施形態では、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量は、細胞内に含まれるIL−12ポリペプチドの量と定量的にまたは機能的に等価の量である。一部の実施形態では、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞内に含まれるIL−12ポリペプチドの量と定量的に同じ量(例えば、コピー数または容量モル濃度で)である。一部の実施形態では、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞内に含まれるIL−12ポリペプチドの量と同じ生物活性を有する単離されたIL−12ポリペプチドの量である。一部の実施形態では、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞内に含まれるIL−12ポリペプチドの量と同じ治療効力を有する単離されたIL−12ポリペプチドの量である。一部の実施形態では、IL−12ポリペプチドは、p40ポリペプチドおよびp35ポリペプチドを含む。
一部の実施形態では、毒性は、肝毒性を含む。一部の実施形態では、毒性は、血液毒性を含む。一部の実施形態では、肝毒性は、IFNgの血清中レベルの上昇、ALTの血清中レベルの上昇、肝臓内に浸潤しているマクロファージのレベルの上昇、肝臓内に浸潤しているCD8+T細胞またはCD8+/Eomes+/KLGR1+T細胞のレベルの上昇、肝臓重量の増加、肝臓炎症スコアの増加、好中球数の減少、リンパ球数の減少、単球数の減少、およびヘモグロビンレベルの低下からなる群から選択される肝毒性の指標によって測定される。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、インターフェロンガンマ(IFNg)の血清中レベルの上昇を含む。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、アラニントランスアミナーゼ(ALT)の血清中レベルの上昇を含む。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、肝臓または脾臓内に浸潤しているマクロファージのレベルの上昇を含む。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、肝臓へのCD8+T細胞またはCD8+/Eomes+/KLGR1+T細胞の浸潤の増加を含む。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、肝臓炎症スコアの増加を含む。
一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、単離された4−1BBLポリペプチドおよび単離されたIL−12ポリペプチドよりも少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%低い毒性を示す。一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、単離された4−1BBLポリペプチドおよび単離されたIL−12ポリペプチドの少なくとも1.5分の1、少なくとも2分の1、少なくとも3分の1、少なくとも4分の1、少なくとも5分の1または少なくとも10分の1の毒性を示す。
一部の実施形態では、細胞は、対象において免疫キラー細胞を刺激することができる。
IL−12およびIL−15の毒性
一部の態様では、本開示は、第1の外因性刺激性ポリペプチドおよび第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞であって、第1の外因性刺激性ポリペプチドが、IL−12ポリペプチドを含み、第2の外因性刺激性ポリペプチドが、IL−15ポリペプチドを含む、操作された赤血球系細胞であり、免疫キラー細胞を刺激することができ、対象に投与された際に、単離されたIL−12ポリペプチド、単離されたIL−15ポリペプチド、またはこれらの組合せと比較して高い治療指数(TI)を有する、操作された赤血球系細胞を提供する。一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、単離されたIL−12ポリペプチド、単離されたIL−15ポリペプチド、またはこれらの組合せと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%高い治療指数を有する。一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、単離されたIL−12ポリペプチド、単離されたIL−15ポリペプチド、またはこれらの組合せと比較して、少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、または10倍の治療指数を有する。
一部の態様では、本開示は、第1の外因性刺激性ポリペプチドおよび第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞であって、第1の外因性刺激性ポリペプチドが、IL−12ポリペプチドを含み、第2の外因性刺激性ポリペプチドが、IL−15ポリペプチドを含む、操作された赤血球系細胞であり、対象に投与された際に、単離されたIL−12ポリペプチド、単離されたIL−15ポリペプチド、またはこれらの組合せと比較して低い毒性を示す、操作された赤血球系細胞を提供する。一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、等価量の単離されたIL−12ポリペプチド、等価量の単離されたIL−15ポリペプチド、またはこれらの組合せと比較して低い毒性を示す。一部の実施形態では、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量は、細胞内に含まれるIL−12ポリペプチドの量と定量的にまたは機能的に等価の量である。一部の実施形態では、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞内に含まれるIL−12ポリペプチドの量と定量的に同じ量(例えば、コピー数または容量モル濃度で)である。一部の実施形態では、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞内に含まれるIL−12ポリペプチドの量と同じ生物活性を有する単離されたIL−12ポリペプチドの量である。一部の実施形態では、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞内に含まれるIL−12ポリペプチドの量と同じ治療効力を有する単離されたIL−12ポリペプチドの量である。
一部の実施形態では、IL−12ポリペプチドは、p40ポリペプチドおよびp35ポリペプチドを含む。
一部の実施形態では、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量は、細胞内に含まれるIL−15ポリペプチドの量と定量的にまたは機能的に等価の量である。一部の実施形態では、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞内に含まれるIL−15ポリペプチドの量と定量的に同じ量(例えば、コピー数または容量モル濃度で)である。一部の実施形態では、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞内に含まれるIL−15ポリペプチドの量と同じ生物活性を有する単離されたIL−15ポリペプチドの量である。一部の実施形態では、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞内に含まれるIL−15ポリペプチドの量と同じ治療効力を有する単離されたIL−15ポリペプチドの量である。
一部の実施形態では、第2の外因性ポリペプチドは、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む。
一部の実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドとIL−15RAポリペプチドの細胞外部分は複合体として存在する。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドとIL−15RAポリペプチドの細胞外部分は融合ポリペプチドである。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドまたはその断片は、IL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片とリンカーによって連結している。一部の実施形態では、リンカーは、GGGGS(配列番号11)を含む。一部の実施形態では、リンカーは、(GGGGS)3リンカー(配列番号12)を含む。一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、配列番号1と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドは、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15受容体アルファsushi結合性ドメインを含む。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドまたはその断片とIL−15受容体アルファsushi結合性ドメインは複合体として存在する。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドまたはその断片とIL−15受容体アルファsushi結合性ドメインは融合ポリペプチドとして存在する。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドまたはその断片は、IL−15受容体アルファsushi結合性ドメインとリンカーによって連結している。一部の実施形態では、リンカーは、GGGGS(配列番号11)を含み、必要に応じて、リンカーは、(GGGGS)3リンカー(配列番号12)を含む。一部の実施形態では融合ポリペプチドは、配列番号2と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、毒性は、肝毒性を含む。一部の実施形態では、毒性は、血液毒性を含む。一部の実施形態では、肝毒性は、IFNgの血清中レベルの上昇、ALTの血清中レベルの上昇、肝臓内に浸潤しているマクロファージのレベルの上昇、肝臓内に浸潤しているCD8+T細胞またはCD8+/Eomes+/KLGR1+T細胞のレベルの上昇、肝臓重量の増加、肝臓炎症スコアの増加、好中球数の減少、リンパ球数の減少、単球数の減少、およびヘモグロビンレベルの低下からなる群から選択される肝毒性の指標によって測定される。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、インターフェロンガンマ(IFNg)の血清中レベルの上昇を含む。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、アラニントランスアミナーゼ(ALT)の血清中レベルの上昇を含む。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、肝臓または脾臓内に浸潤しているマクロファージのレベルの上昇を含む。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、肝臓へのCD8+T細胞またはCD8+/Eomes+/KLGR1+T細胞の浸潤の増加を含む。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、肝臓炎症スコアの増加を含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載の通り、肝臓炎症スコアは、Ishakスコアである。
一部の実施形態では、本明細書に記載の通り、肝毒性を、肝毒性のマウスモデルを使用して評価する。
一部の実施形態では、血液毒性を、好中球数の減少、リンパ球数の減少、単球数の減少、およびヘモグロビンレベルの低下からなる群から選択される血液毒性の指標によって測定する。一部の実施形態では、血液毒性の指標を全血試料において測定する。一部の実施形態では、血液毒性の指標を血清試料において測定する。一部の実施形態では、血液毒性の指標を血漿試料において測定する。
一部の実施形態では、毒性を体重の減少によって測定する。
一部の実施形態では、細胞の投与後に対象において測定される毒性の指標のレベルを投与前の毒性の指標のレベルと比較する。一部の実施形態では、細胞の投与後に対象において測定される毒性の指標のレベルを閾値または毒性の指標の対照レベルと比較する。一部の実施形態では、毒性の指標は、本明細書に記載の通り、血清中ALTレベルによって決定される。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、本明細書に記載の通り、ALTの血清中レベルの上昇である。一部の実施形態では、毒性の指標は、本明細書に記載の通り、血清中ASTレベルによって決定される。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、本明細書に記載の通り、ASTの血清中レベルの上昇である。一部の実施形態では、毒性の指標は、本明細書に記載の通り、血清中ALPレベルによって決定される。一部の実施形態では、肝毒性の指標は、本明細書に記載の通り、ALPの血清中レベルの上昇である。一部の実施形態では、毒性の指標は、本明細書に記載の通り、リンパ球数によって決定される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、リンパ球数の減少によって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、本明細書に記載の通り、赤血球数によって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、本明細書に記載の通り、赤血球数の減少によって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、本明細書に記載の通り、白血球数によって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、本明細書に記載の通り、白血球数の減少によって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、本明細書に記載の通り、ヘモグロビンレベルによって識別される。一部の実施形態では、血液毒性の指標は、ヘモグロビンレベルの低下によって識別される。
一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、単離されたIL−12ポリペプチドおよび単離されたIL−15ポリペプチドよりも少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%低い毒性を示す。一部の実施形態では、細胞は、対象に投与された際に、単離されたIL−12ポリペプチドおよび単離されたIL−15ポリペプチドの少なくとも1.5分の1、少なくとも2分の1、少なくとも3分の1、少なくとも4分の1、少なくとも5分の1または少なくとも10分の1の毒性を示す。
一部の実施形態では、細胞は、対象において免疫キラー細胞を刺激することができる。
IL−12ポリペプチドをコードする核酸配列
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載のIL−12ポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列を含む操作された赤血球系細胞を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載のIL−12を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列を使用すること(例えば、赤血球系前駆細胞に導入すること)によって調製された操作された赤血球系細胞を提供する。例えば、一部の実施形態では、赤血球系細胞は、IL−12 p40ポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−12 p40ポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号46の核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−12 p40ポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号46の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−12 p40ポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号46の核酸配列からなる。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、IL−12 p35ポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−12 p35ポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号48の核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−12 p35ポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号48の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−12 p35ポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号48の核酸配列からなる。
特定の実施形態では、IL−12ポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号58の核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−12ポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号58の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。
特定の実施形態では、核酸配列は、IL−12 V1構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする。特定の実施形態では、IL−12 V1構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号54の核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−12 V1構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号54の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。
特定の実施形態では、核酸配列は、IL−12 V2構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする。特定の実施形態では、IL−12 V2構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号56の核酸配列を含む。一部の実施形態では、IL−12 V2構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号56の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。
特定の実施形態では、核酸配列は、4−1BBL−T2A−IL−12構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする。特定の実施形態では、4−1BBL−T2A−IL−12構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号63の核酸配列を含む。一部の実施形態では、4−1BBL−T2A−IL−12構築物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸配列は、配列番号63の核酸配列に対して少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する核酸配列を含む。
NCBI BLAST、Clustal W、MAFFT、Clustal Omega、AlignMe、Praline、または別の適切な方法もしくはアルゴリズムなどの様々な方法およびソフトウェアプログラムを使用して、2つまたはそれよりも多くのペプチドまたは核酸間の相同性を決定することができる。一部の実施形態では、FastDBにより、以下のパラメーターに基づいてパーセント同一性を算出する:ミスマッチペナルティ(mismatch penalty)1;ギャップペナルティ(gap penalty)1;ギャップサイズペナルティ(gap size penalty)0.33;およびジョイニングペナルティ(joining penalty)30。
有用なアルゴリズムの例は、PILEUPである。PILEUPでは、前進するペアワイズアラインメントを使用して、関連する配列の群から多数の配列アラインメントを創出する。PILEUPではまた、アラインメントを創出するために使用されたクラスタリング関係を示す木をプロットすることもできる。有用なPILEUPパラメーターは、デフォルトのギャップ重みづけ(gap weight)3.00、デフォルトのギャップ長さ重みづけ(gap length weight)0.10、および重みづけされた末端ギャップを含む。
有用なアルゴリズムの別の例は、BLASTアルゴリズムである。BLASTプログラムの有用な例は、WU−BLAST−2プログラムである。WU−BLAST−2では、いくつかの検索パラメーターを使用し、その大部分をデフォルト値に設定する。調整可能なパラメーターは以下の値に設定する:オーバーラップスパン(overlap span)=1、オーバーラップフラクション(overlap fraction)=0.125、ワード閾値(word threshold)(T)=11。HSP SおよびHSP S2パラメーターは動的値であり、プログラム自体により、特定の配列の構成および目的の配列を検索する特定のデータベースの構成に応じて確立されるが、この値を調整して感度を増大させることができる。
追加的な有用なアルゴリズムは、ギャップ挿入BLASTである。ギャップ挿入BLASTでは、BLOSUM−62置換スコア;9に設定した閾値Tパラメーター;ギャップ挿入されていない伸長、電荷ギャップ長k、コスト10+kを誘発するための2ヒット法;16に設定したXu、およびアルゴリズムのデータベース検索段階については40に設定し、出力段階については67に設定したXgを使用する。ギャップが挿入されたアラインメントが約22ビットに対応するスコアによって誘発される。
追加的な有用なツールは、多数の配列アラインメントのために一般に使用されるコンピュータープログラムのシリーズであるClustalである。Clustalの最近のバージョンとして、ClustalW、ClustalXおよびClustal Omegaが挙げられる。Clustal法を使用したペアワイズアラインメントおよびタンパク質配列のパーセント同一性の算出のためのデフォルトパラメーターは、KTUPLE=1、GAP PENALTY=3、WINDOW=5およびDIAGONALS SAVED=5である。核酸に関しては、これらのパラメーターは、KTUPLE=2、GAP PENALTY=5、WINDOW=4およびDIAGONALS SAVED=4である。
ポリペプチドおよび核酸
一態様では、本開示は、本明細書に記載の単離された外因性刺激性ポリペプチドを提供する。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、本明細書に記載の外因性刺激性ポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドはシグナル配列を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドはシグナル配列を欠く。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは組換えによって作製される。組換えタンパク質を作製するための方法は当技術分野で公知であり、本明細書に記載されている。
別の態様では、本開示は、本明細書に記載の外因性ポリペプチドをコードする核酸(例えば、DNAまたはRNA(例えば、mRNA))を提供する。一部の実施形態では、核酸は、所望の細胞型(例えば、細菌細胞または哺乳動物細胞)における発現のためにコドン最適化されている。
ポリペプチドコピー数
組換えDNA技術の使用により、例えば宿主細胞内の核酸分子のコピーの数を操作することによる、トランスフェクトされた核酸分子の発現の調節が改善され得ることが当業者には理解されよう。
本明細書で考察されている通り、一態様では、本開示は、免疫キラー細胞である免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞であって、免疫キラー細胞を刺激するのに十分な複数の外因性刺激性ポリペプチドを含む赤血球系細胞を特色とする。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、除核細胞である。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、有核細胞である。一部の実施形態では、赤血球系細胞は、第1の外因性刺激性ポリペプチドおよび第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、赤血球系細胞は、少なくとも第1の外因性刺激性ポリペプチド、第2の外因性ポリペプチドおよび第3の外因性刺激性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの外因性ポリペプチドが、104、105、または106よりも多いコピー数で存在する。一部の実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドが、第2の外因性刺激性ポリペプチドのコピー数よりも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%以下よりも多い、または2、5、10、20、50、100、200、500、もしくは1000倍以下よりも多いコピー数で存在する。一部の実施形態では、第2の外因性刺激性ポリペプチドが、第1の外因性刺激性ポリペプチドのコピー数よりも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%以下よりも多い、または2、5、10、20、50、100、200、500、もしくは1000倍以下よりも多いコピー数で存在する。一部の実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドと第2の外因性刺激性ポリペプチドの存在量の比は、重量でまたはコピー数で、約1:1、約2:1から1:2まで、約5:1から1:5まで、約10:1から1:10まで、約20:1から1:20まで、約50:1から1:50まで、または約100:1から1:100までである。一部の実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、約50,000から約600,000コピーの間の第1の外因性ポリペプチド、例えば、約50,000、60,000、60,000、80,000、90,000、100,000、110,000、120,000、130,000、140,000、150,000、155,000、160,000、165,000、170,000、175,000、180,000、185,000、190,000、195,000、200,000、205,000、210,000、215,000、220,000、225,000、230,000、235,000、240,000、245,000、250,000、255,000、260,000、265,000、270,000、275,000、280,000、285,000、290,000、295,000、300,000、305,000、310,000、315,000、320,000、325,000、330,000、335,000、340,000、345,000、350,000、355,000、360,000、365,000、370,000、375,000、380,000、385,000、390,000、395,000、400,000、450,000、500,000、550,000、600,000コピーの第1のポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、約50,000〜600,000の間、約100,000〜600,000の間、約100,000〜500,000の間、約100,000〜400,000の間、約100,000〜150,000の間、約150,000〜300,000の間、または150,000から200,000コピーの間の第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約75,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約100,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約125,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約150,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約175,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約200,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約250,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約300,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約400,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約500,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、第2の外因性ポリペプチドは、約50,000から約600,000コピーの間の第2の外因性ポリペプチド、例えば、約50,000、60,000、60,000、80,000、90,000、100,000、110,000、120,000、130,000、140,000、150,000、155,000、160,000、165,000、170,000、175,000、180,000、185,000、190,000、195,000、200,000、205,000、210,000、215,000、220,000、225,000、230,000、235,000、240,000、245,000、250,000、255,000、260,000、265,000、270,000、275,000、280,000、285,000、290,000、295,000、300,000、305,000、310,000、315,000、320,000、325,000、330,000、335,000、340,000、345,000、350,000、355,000、360,000、365,000、370,000、375,000、380,000、385,000、390,000、395,000、400,000、450,000、500,000、550,000、600,000コピーの第2のポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、約50,000〜600,000の間、約100,000〜600,000の間、約100,000〜500,000の間、約100,000〜400,000の間、約100,000〜150,000の間、約150,000〜300,000の間、または150,000〜200,000コピーの間の第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約75,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約100,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約125,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約150,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約175,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約200,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約250,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約300,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約400,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約500,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。
本明細書に記載の通り、別の態様では、本開示は、第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞であって、第1の外因性刺激性ポリペプチドが、インターロイキン−15(IL−15)ポリペプチドまたはその断片とインターロイキン−15受容体アルファ(IL−15RA)ポリペプチドの細胞外部分またはその断片とを含む、操作された赤血球系細胞を特色とする。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、除核細胞である。別の態様では、本開示は、第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞であって、第1の外因性刺激性ポリペプチドが、4−1BBLポリペプチドまたはその断片を含む、操作された赤血球系細胞を特色とする。別の態様では、本開示は、第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞であって、第1の外因性刺激性ポリペプチドが、IL−12ポリペプチドまたはその断片を含む、操作された赤血球系細胞を特色とする。
上記の態様の一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、1つまたは複数の追加的な外因性刺激性ポリペプチド(例えば、4−1BBLおよびIL−15/IL−15RA、4−1BBLおよびIL−12、またはIL−12およびIL−15/IL−15RA)をさらに含む。
上記の態様の一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、有核細胞である。
上記の態様および実施形態の一部の実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドは、104、105、または106よりも多いコピー数で存在する。一部の実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドは、第2の外因性刺激性ポリペプチドのコピー数よりも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%以下よりも多い、または2、5、10、20、50、100、200、500、もしくは1000倍以下よりも多いコピー数で存在する。一部の実施形態では、第2の外因性刺激性ポリペプチドは、第1の外因性刺激性ポリペプチドのコピー数よりも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%以下よりも多い、または2、5、10、20、50、100、200、500、もしくは1000倍以下よりも多いコピー数で存在する。一部の実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドと第2の外因性刺激性ポリペプチドの存在量の比は、重量でまたはコピー数で、約1:1、約2:1から1:2まで、約5:1から1:5まで、約10:1から1:10まで、約20:1から1:20まで、約50:1から1:50まで、または約100:1から1:100までである。一部の実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、約50,000から約600,000コピーの間の第1の外因性ポリペプチド、例えば、約50,000、60,000、60,000、80,000、90,000、100,000、110,000、120,000、130,000、140,000、150,000、155,000、160,000、165,000、170,000、175,000、180,000、185,000、190,000、195,000、200,000、205,000、210,000、215,000、220,000、225,000、230,000、235,000、240,000、245,000、250,000、255,000、260,000、265,000、270,000、275,000、280,000、285,000、290,000、295,000、300,000、305,000、310,000、315,000、320,000、325,000、330,000、335,000、340,000、345,000、350,000、355,000、360,000、365,000、370,000、375,000、380,000、385,000、390,000、395,000、400,000、450,000、500,000、550,000、600,000コピーの第1のポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、約50,000〜600,000の間、約100,000〜600,000の間、約100,000〜500,000の間、約100,000〜400,000の間、約150,000〜300,000の間、約100,000〜150,000の間、または150,000〜200,000コピーの間の第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約75,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約100,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約125,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約150,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約175,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約200,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約250,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約300,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約400,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約500,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、第2の外因性ポリペプチドは、約50,000から約600,000コピーの間の第2の外因性ポリペプチド、例えば、約50,000、60,000、60,000、80,000、90,000、100,000、110,000、120,000、130,000、140,000、150,000、155,000、160,000、165,000、170,000、175,000、180,000、185,000、190,000、195,000、200,000、205,000、210,000、215,000、220,000、225,000、230,000、235,000、240,000、245,000、250,000、255,000、260,000、265,000、270,000、275,000、280,000、285,000、290,000、295,000、300,000、305,000、310,000、315,000、320,000、325,000、330,000、335,000、340,000、345,000、350,000、355,000、360,000、365,000、370,000、375,000、380,000、385,000、390,000、395,000、400,000、450,000、500,000、550,000、600,000コピーの第2のポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、約50,000〜600,000の間、約100,000〜600,000の間、約100,000〜500,000の間、約100,000〜400,000の間、約150,000〜300,000の間、約100,000〜150,000の間、または150,000〜200,000コピーの間の第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約75,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約100,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約125,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約150,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約175,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約200,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約250,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約300,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約400,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約500,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。
本明細書に記載の通り、別の態様では、本開示は、MHCクラスI鎖関連タンパク質A(MICA)、MHCクラスI鎖関連タンパク質B(MICB)、およびインスリン様増殖因子1(IGF−1)からなる群から選択される少なくとも1つの外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞を特色とする。一部の実施形態では、赤血球系細胞は、少なくとも第1の外因性刺激性ポリペプチドおよび第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、外因性ポリペプチドは、104、105、または106よりも多いコピー数で存在する。一部の実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドは、第2の外因性刺激性ポリペプチドのコピー数よりも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%以下よりも多い、または2、5、10、20、50、100、200、500、もしくは1000倍以下よりも多いコピー数で存在する。一部の実施形態では、第2の外因性刺激性ポリペプチドは、第1の外因性刺激性ポリペプチドのコピー数よりも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%以下よりも多い、または2、5、10、20、50、100、200、500、もしくは1000倍以下よりも多いコピー数で存在する。一部の実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドと第2の外因性刺激性ポリペプチドの存在量の比は、重量でまたはコピー数で、約1:1、約2:1から1:2まで、約5:1から1:5まで、約10:1から1:10まで、約20:1から1:20まで、約50:1から1:50まで、または約100:1から1:100までである。一部の実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、約50,000から約600,000コピーの間の第1の外因性ポリペプチド、例えば、約50,000、60,000、60,000、80,000、90,000、100,000、110,000、120,000、130,000、140,000、150,000、155,000、160,000、165,000、170,000、175,000、180,000、185,000、190,000、195,000、200,000、205,000、210,000、215,000、220,000、225,000、230,000、235,000、240,000、245,000、250,000、255,000、260,000、265,000、270,000、275,000、280,000、285,000、290,000、295,000、300,000、305,000、310,000、315,000、320,000、325,000、330,000、335,000、340,000、345,000、350,000、355,000、360,000、365,000、370,000、375,000、380,000、385,000、390,000、395,000、400,000、450,000、500,000、550,000、600,000コピーの第1のポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、約50,000〜600,000の間、約100,000〜600,000の間、約100,000〜500,000の間、約100,000〜400,000の間、約150,000〜300,000の間、約100,000〜150,000の間、または150,000〜200,000コピーの間の第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約75,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約100,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約125,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約150,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約175,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約200,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約250,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約300,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約400,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約500,000コピーの第1の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、第2の外因性ポリペプチドは、約50,000から約600,000コピーの間の第2の外因性ポリペプチド、例えば、約50,000、60,000、60,000、80,000、90,000、100,000、110,000、120,000、130,000、140,000、150,000、155,000、160,000、165,000、170,000、175,000、180,000、185,000、190,000、195,000、200,000、205,000、210,000、215,000、220,000、225,000、230,000、235,000、240,000、245,000、250,000、255,000、260,000、265,000、270,000、275,000、280,000、285,000、290,000、295,000、300,000、305,000、310,000、315,000、320,000、325,000、330,000、335,000、340,000、345,000、350,000、355,000、360,000、365,000、370,000、375,000、380,000、385,000、390,000、395,000、400,000、450,000、500,000、550,000、600,000コピーの第2のポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、約50,000〜600,000の間、約100,000〜600,000の間、約100,000〜500,000の間、約100,000〜400,000の間、約150,000〜300,000の間、約100,000〜150,000の間、または150,000〜200,000コピーの間の第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約75,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約100,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約125,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約150,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約175,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約200,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約250,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約300,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約400,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、少なくとも約500,000コピーの第2の外因性ポリペプチドを含む。
in vivo半減期
一部の実施形態では、本明細書に記載の外因性ポリペプチドは、操作された赤血球系細胞または除核細胞の中またはその上に含まれて対象に投与される場合、それ自体で(すなわち、本明細書に記載の細胞上またはその中に含まれずに)投与される対応する外因性ポリペプチドと比較して長期のin vivo半減期を示す。一部の実施形態では、外因性ポリペプチドは、それ自体で投与される対応する外因性ポリペプチドのin vivo半減期、またはそれ自体で投与される対応するペグ化バージョンの外因性ポリペプチドのin vivo半減期よりも長いin vivo半減期を有する。一部の実施形態では、外因性ポリペプチドは、約24時間から240日間の間(例えば、24時間、36時間、48時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、35日、36日、37日、38日、39日、40日、41日、42日、43日、44日、45日、46日、47日、48日、49日、50日、51日、52日、53日、54日、55日、56日、57日、58日、59日、60日、61日、62日、63日、64日、65日、66日、67日、68日、69日、70日、71日、72日、73日、74日、75日、76日、77日、78日、79日、80日、81日、82日、83日、84日、85日、86日、87日、88日、89日、90日、91日、92日、93日、94日、95日、96日、97日、98日、99日、100日、101日、102日、103日、104日、105日、106日、107日、108日、109日、110日、111日、112日、113日、114日、115日、116日、117日、118日、119日、120日、121日、122日、123日、124日、125日、126日、127日、128日、129日、130日、131日、132日、133日、134日、135日、136日、137日、138日、139日、140日、141日、142日、143日、144日、145日、146日、147日、148日、149日、150日、151日、152日、153日、154日、155日、156日、157日、158日、159日、160日、161日、162日、163日、164日、165日、166日、167日、168日、169日、170日、171日、172日、173日、174日、175日、176日、177日、178日、179日、180日、181日、182日、183日、184日、185日、186日、187日、188日、189日、190日、191日、192日、193日、194日、195日、196日、197日、198日、919日、200日、201日、202日、203日、204日、205日、206日、207日、208日、209日、210日、211日、212日、213日、214日、215日、216日、217日、218日、219日、220日、221日、222日、223日、224日、225日、226日、227日、228日、229日、230日、231日、232日、233日、234日、235日、236日、237日、238日、239日間、または240日間のin vivo半減期を有する。一部の実施形態では、外因性ポリペプチドは、1日、2日間、3日間、5日間、10日間、25日、50日間、75日間、100日間、125日間、150日間、175日間、200日間、225日間、235日間、または250日間よりも長いin vivo半減期を有する。一部の実施形態では、外因性ポリペプチドは、1週間、2週間、3週間、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、1年間、またはそれよりも長いin vivo半減期を有する。
一部の実施形態では、本開示の除核細胞(例えば、網状赤血球、赤血球、または血小板)は、対象に投与された後、少なくとも約1日〜約240日間にわたって(例えば、少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、35日、36日、37日、38日、39日、40日、41日、42日、43日、44日、45日、46日、47日、48日、49日、50日、51日、52日、53日、54日、55日、56日、57日、58日、59日、60日、61日、62日、63日、64日、65日、66日、67日、68日、69日、70日、71日、72日、73日、74日、75日、76日、77日、78日、79日、80日、81日、82日、83日、84日、85日、86日、87日、88日、89日、90日、91日、92日、93日、94日、95日、96日、97日、98日、99日、100日、101日、102日、103日、104日、105日、106日、107日、108日、109日、110日、111日、112日、113日、114日、115日、116日、117日、118日、119日、120日、121日、122日、123日、124日、125日、126日、127日、128日、129日、130日、131日、132日、133日、134日、135日、136日、137日、138日、139日 140日、141日、142日、143日、144日、145日、146日、147日、148日、149日、150日、151日、152日、153日、154日、155日、156日、157日、158日、159日、160日、161日、162日、163日、164日、165日、166日、167日、168日、169日、170日、171日、172日、173日、174日、175日、176日、177日、178日、179日、180日、181日、182日、183日、184日、185日、186日、187日、188日、189日、190日、191日、192日、193日、194日、195日、196日、197日、198日、199日、200日、201日、202日、203日、204日、205日、206日、207日、208日、209日、210日、211日、212日、213日、214日、215日、216日、217日、218日、219日、220日、221日、222日、223日、224日、225日、226日、227日、228日、229日、230日、231日、232日、233日、234日、235日、236日、237日、238日、239日間、または240日間にわたって循環中に存在する。
免疫キラー細胞の刺激
本明細書に記載の通り、本発明は、例えば、細胞溶解性T細胞(CD8+細胞)、メモリーCD8+T細胞、ヘルパーT細胞(CD4+細胞)およびNK細胞を含めた免疫細胞を刺激することができる操作された赤血球系細胞を提供する。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、除核細胞である。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、有核細胞である。免疫細胞の刺激により、正常な細胞機能を増強する、または異常な細胞において正常な細胞機能を開始させることができる。好ましい実施形態では、本発明は、免疫キラー細胞を刺激することができる操作された赤血球系細胞を提供する。刺激することができる免疫キラー細胞としては、例えば、細胞溶解性T細胞(CD8+細胞)、メモリーCD8+T細胞、およびNK細胞が挙げられる。一部の実施形態では、キラー免疫細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞である。一部の実施形態では、NK細胞は、メモリー様NK細胞である。一部の実施形態では、キラー免疫細胞は、CD8+T細胞である。一部の実施形態では、CD8+T細胞は、メモリーT細胞である。したがって、本発明は、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞を用いた刺激の結果生じる細胞の集団も提供する。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞が1つよりも多くの型の免疫キラー細胞を同時に、例えば、細胞溶解性T細胞(CD8+細胞)、メモリーCD8+T細胞およびNK細胞のうちの1つよりも多くを刺激することができることが本発明の特色である。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、CD8+T細胞およびNK細胞の両方を刺激することができる。IL−12、IL−15/IL−15RA、4−1BBL、またはこれらの組合せ、例えば、4−1BBLおよびIL−15/IL−15RA、4−1BBLおよびIL−12、またはIL−12およびIL−15/IL−15RAのいずれかを含む外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞により、初代CD4+、CD8+、NKおよびNKT細胞の強力な活性化が誘導され、NK細胞の細胞傷害性が誘導されることは本発明の発見である。
一部の実施形態では、免疫キラー細胞を刺激することとは、免疫キラー細胞の増大を指す。一部の実施形態では、免疫キラー細胞を刺激することとは、免疫キラー細胞の活性化を指す。一部の実施形態では、免疫キラー細胞を刺激することとは、免疫キラー細胞の細胞傷害性の増大を指す。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞は、ex vivoにおいて免疫キラー細胞を刺激するのに十分である。他の実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞は、in vivoにおいて免疫キラー細胞を刺激するのに十分である。
NK細胞の活性化および増大
一部の実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞は、NK細胞を活性化することができる。
一部の実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞は、NK細胞を増大させることができる。
脱顆粒/細胞傷害性
NK細胞の決定的機能的特色には、事前感作を伴わずに細胞標的の「自然死滅」を導くそれらの固有の能力が残っている。
したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞は、NK細胞を活性化および増大させることができ、したがって、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞によって活性化および増大するNK細胞は、対照NK細胞と比較して高い脱顆粒活性を示す。例えば、脱顆粒活性は、CD107a発現を例えばフローサイトメトリーによって決定することによって推定することができる。CD107aの表面発現は、脱顆粒および細胞傷害性顆粒の放出と密接に相関する。CD107a発現によって測定される脱顆粒は、NK細胞などのエフェクター細胞の細胞傷害活性と相関する。CD107a発現を決定することによって脱顆粒活性を決定する方法は当業者に周知である。例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれるAlter G, Malenfant J M, Altfeld M. CD107a as a functional marker for the identification of natural killer cell activity. J Immunol Methods. 2004; 294: 15-22を参照されたい。
一部の実施形態では、本発明の操作された赤血球系細胞を使用することによって得られる増大および活性化されたNK細胞は、例えば脱顆粒活性によって測定して、増大させていないNK細胞と比較して少なくとも約50%、約60%、約70%、約80%または約90%増大した細胞傷害性を有する。一部の実施形態では、増大および活性化されたNK細胞は、増大させていないNK細胞と比較して少なくとも約100%増大した細胞傷害性を有する。一部の実施形態では、増大および活性化されたNK細胞は、増大させていないNK細胞と比較して少なくとも約200%増大した細胞傷害性を有する。一部の実施形態では、増大および活性化されたNK細胞は、ex vivoで増大させていないNK細胞と比較して少なくとも約300%増大した細胞傷害性を有する。一部の実施形態では、増大および活性化されたNK細胞は、ex vivoで増大させていないNK細胞と比較して少なくとも約400%増大した細胞傷害性を有する。
一部の実施形態では、本発明の操作された赤血球系細胞を使用することによって増大および活性化されたNK細胞は、増大させていないNK細胞と比較して少なくとも約50%、約60%、約70%、約80%または約90%増大した脱顆粒活性を有する。一部の実施形態では、増大および活性化されたNK細胞は、増大させていないNK細胞と比較して少なくとも約100%増大した脱顆粒活性を有する。一部の実施形態では、増大および活性化されたNK細胞は、増大させていないNK細胞と比較して少なくとも約200%増大した脱顆粒活性を有する。一部の実施形態では、増大および活性化されたNK細胞は、ex vivoで増大させていないNK細胞と比較して少なくとも約300%増大した脱顆粒活性を有する。一部の実施形態では、増大および活性化されたNK細胞は、ex vivoで増大させていないNK細胞と比較して少なくとも約400%増大した脱顆粒活性を有する。
NK細胞の成熟化および活性化のマーカー
ヒトNK細胞は、CD56の発現およびCD3の非存在によって表現型的に特徴付けられ、CD56bright集団およびCD56dim集団にさらに細分することができる。CD56bright集団は、インターフェロン−γ(IFNγ)、腫瘍壊死因子−ベータ(TNF−B)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)、IL−10、およびIL−13を含めた免疫調節性サイトカインを産生する(4)。CD56dimサブセットは、CD56bright集団の最終分化した後継であり、細胞溶解性機能の発揮に主に関与する。しかし、CD56dimNK細胞は、NKp46もしくはNKp30活性化受容体を介した細胞誘発後またはIL−2、IL−12、およびIL−15の組合せでの刺激後にサイトカイン、具体的にはIFNγを産生し得る。
一部の実施形態では、NK細胞の成熟化および/または活性化の種々のマーカーを、例えばフローサイトメトリー法を使用して検出することができる。例えば、NK細胞の古典的なマーカーは、CD16とも称される活性化受容体FcγRIIIである。
NK細胞の活性化により、パーフォリンおよび種々のグランザイムを含有する細胞傷害性顆粒の放出、ならびにサイトカイン産生、最も顕著にインターフェロン−γ(IFNγ)が導かれる。さらに、Fasリガンド(FasL)およびTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)などの腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーに属する死誘導性リガンドの細胞表面での発現により、標的細胞上の細胞死受容体(DR)、すなわち、Fas、DR4(TRAIL−RI)、およびDR5(TRAIL−RII)への結合によるカスパーゼ酵素的カスケードの活性化も駆動される。
一部の実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞は、少なくとも1つのNK細胞活性化受容体(例えば、表5に列挙されている活性化受容体)を少なくとも約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約150%、約200%、約300%またはそれよりも大きく上方制御する。一部の実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞は、少なくとも1つのNK細胞活性化受容体を少なくとも約75%上方制御する。一部の実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞は、少なくとも1つのNK細胞活性化受容体を少なくとも約100%上方制御する。一部の実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞は、少なくとも1つのNK細胞活性化受容体を少なくとも約200%上方制御する。
別の実施形態によると、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞は、抑制性受容体またはケモカイン受容体(例えば、CCR7)などの少なくとも1つのNK細胞受容体の発現を下方制御する。例えば、ある特定のNK細胞抑制性受容体は、KIR(死滅性抑制性受容体またはCD158)と称される。抑制性受容体の非限定的な例は、抑制性キラー免疫グロブリン様受容体(KIR)、GL183、KIR2DL 1、Lir−1、NKB1、およびNKG2Aである。
一部の実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞は、少なくとも1つのNK細胞抑制性受容体(例えば、表5に列挙されている抑制性受容体)を少なくとも約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約150%、約200%、約300%またはそれよりも大きく下方制御する。一部の実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞は、少なくとも1つのNK細胞抑制性受容体を少なくとも約75%下方制御する。一部の実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞は、少なくとも1つのNK細胞抑制性受容体を少なくとも約100%下方制御する。一部の実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞は、少なくとも1つのNK細胞抑制性受容体を少なくとも約200%下方制御する。
受容体発現の変化は、平均蛍光強度(MFI)比:
MFIX日目/MFI0日目
(式中、xはNK細胞の増大日数である)
によって算出することができる。
X日目の試料のMFIは0日目よりも高く、MFI比は1よりも高くなり、これにより、その受容体における上方制御の相対的な程度が示される。したがって、MFI比が例えば1.5であることは、特定の受容体が50%上方制御されていることを意味する。MFI比の算出は当業者に周知である。
種々のNK細胞活性化受容体または抑制性受容体を以下の表5に示す。
表5における略語:ACT、活性化;BAT−3、HLA−B関連転写物3;H、ヒト;HA、赤血球凝集素;HLA、ヒト白血球抗原;INHIB、抑制性;KIR、キラー免疫グロブリン様受容体;KLRG1、キラー細胞レクチン様受容体G1;LILR、白血球免疫グロブリン様受容体;M、マウス;MHC、主要組織適合性遺伝子複合体;MULT−1、マウスUL16結合性様転写物−1;NCR、天然細胞傷害性受容体;NK、ナチュラルキラー;PVR、ポリオウイルス受容体;RAE−1、レチノイン酸初期転写物−1。
CD8+T細胞の活性化および増大
一部の実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞は、CD8+T細胞を活性化することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞は、CD8+T細胞を増大させることができる。一部の実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞は、CD8+T細胞を活性化および増大させることができる。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、除核細胞である。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、有核細胞である。
T細胞の活性化および増大は、本明細書に記載の様々なアッセイによって測定することができる。例えば、測定することができるT細胞活性としては、T細胞の増殖の誘導、T細胞におけるシグナル伝達の誘導、T細胞における活性化マーカーの発現の誘導、T細胞によるサイトカイン分泌の誘導、およびT細胞の細胞傷害活性が挙げられる。例えば、ある特定の実施形態では、CD8+T細胞活性化は、増殖アッセイによって測定される。
サイトカイン分泌
本発明の操作された赤血球系細胞によるCD8+T細胞の活性化は、ガンマインターフェロン(IFNγ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFa)、インターロイキン−12(IL−12)またはインターロイキン2(IL−2)などのサイトカインの分泌を決定することによって評価または測定することができる。一部の実施形態では、ELISAを使用して、サイトカイン分泌、例えば、ガンマインターフェロン(IFNγ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFa)、インターロイキン−12(IL−12)またはインターロイキン2(IL−2)の分泌を決定する。ELISPOT(酵素結合免疫スポット)技法を使用して、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞を用いた刺激に応答して所与のサイトカイン(例えば、ガンマインターフェロン(IFNγ))を分泌するT細胞を検出することができる。T細胞を操作された赤血球系細胞と一緒に、抗IFNγ抗体でコーティングしたウェル中で培養する。分泌されたIFNγをコーティングされた抗体によって捕捉し、次いで、発色基質とカップリングした第2の抗体を用いて明らかにする。したがって、局所的に分泌されたサイトカイン分子はスポットを形成し、各スポットが1つのIFNγ分泌細胞に対応する。スポットの数により、分析した試料中のIFNγ分泌細胞の頻度を決定することが可能になる。ELISPOTアッセイは、腫瘍壊死因子アルファ、インターロイキン−4(IL−4)、IL−5、IL−6、IL−10、IL−12、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、およびグランザイムB分泌リンパ球の検出に関しても記載されている(その全体が参照により本明細書に組み込まれるKlinman D, Nutman T. Current protocols in immunology. New York, N.Y:John Wiley & Sons, Inc.; 1994. pp. 6.19.1-6.19.8)。
細胞内サイトカインのフローサイトメトリー分析は、培養上清中のサイトカイン含有量を測定するために使用することができるが、サイトカインを実際に分泌するT細胞数に関する情報をもたらすものではない。T細胞をモネンシンまたはブレフェルジンAなどの分泌阻害剤で処理した場合、T細胞は、(例えば、本発明の操作された赤血球系細胞で)活性化されると、サイトカインを細胞質内に蓄積する。リンパ球の固定および透過処理後、細胞内サイトカインを血球計算によって数量化することができる。この技法により、産生されるサイトカイン、これらのサイトカインを産生する細胞の型、および細胞当たりの産生されたサイトカインの数量を決定することが可能になる。
細胞傷害性
本発明の操作された赤血球系細胞によるCD8+T細胞の活性化は、CD8+T細胞の細胞傷害活性をアッセイすることによって評価することができる。
T細胞の細胞傷害活性は、当業者に公知の任意の適切な技法によって評価することができる。例えば、本発明による操作された赤血球系細胞に曝露させたT細胞を含む試料を、妥当な期間後に標準の細胞傷害アッセイで細胞傷害活性についてアッセイすることができる。そのようなアッセイとしては、これだけに限定されないが、当技術分野で公知のクロム放出CTLアッセイおよびAlamar Blue(商標)蛍光アッセイを挙げることができる。
増殖/増大
本発明の操作された赤血球系細胞のT細胞を増大させる能力を、CFSE染色を使用することによって評価することができる。操作された赤血球系細胞をCD8+T細胞(例えば、がんなどの疾患または障害に罹患している対象由来のもの)と混合する。細胞増大の最初の速度と比較するために、細胞をCFSE染色に供して、操作された赤血球系細胞によりT細胞の増殖がどのくらいよく誘導されたかを決定する。CFSE染色では、はるかに多くの定量的エンドポイントがもたらされ、増大した細胞の同時の表現型決定が可能になる。刺激後毎日、一定分量の細胞を各培養物から取り出し、フローサイトメトリーによって分析する。CFSE染色により細胞が高度に蛍光を発するようになる。細胞分裂すると蛍光が半減し、したがって、細胞が分裂する回数が多いほど、蛍光が少なくなる。操作された赤血球系細胞のT細胞増殖を誘導する能力を、1回、2回、3回など分裂した細胞の数を測定することによって定量化する。特定の時点で最大数の細胞分裂を誘導する操作された赤血球系細胞を最も強力な増大因子とみなす。
これらの操作された赤血球系細胞によりT細胞の長期間にわたる成長がどのくらいよく促進されるかを決定するために、細胞成長曲線を作成することができる。これらの実験は前述のCFSE実験と同様に設定されるが、CFSEは使用しない。2〜3日の培養ごとに、T細胞をそれぞれの培養物から取り出し、どのくらい多くの細胞が存在するか、および細胞の平均体積を測定するCoulterカウンターを使用して計数する。平均細胞体積は、細胞をいつ再刺激するかに関する最良の予測因子である。一般に、T細胞は、適正に刺激されると、細胞体積が3倍になる。この体積が最初の芽球の約半分よりも大きく減少したら、対数線形増大を維持するためにT細胞を再刺激することが必要であり得る(Levine et al., 1996, Science 272: 1939-1943;Levine et al., 1997, J. Immunol. 159: 5921-5930)。各操作された赤血球系細胞により20集団倍加が誘導されるのにかかる時間を算出する。各操作された赤血球系細胞のこのレベルのT細胞増大を誘導することの相対的差異が、特定の操作された赤血球系細胞を評価する重要な判断基準である。
さらに、各操作された赤血球系細胞によって増大させた細胞の表現型を特徴付けて、特定のサブセットが優先的に増大するかどうかを決定することができる。各再刺激の前に、増大したT細胞の分化状態を定義するために、増大しているT細胞集団の表現型解析をAppay et al.(2002, Nature Med. 8, 379-385、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)によって提唱されたCD27およびCD28定義ならびにSallusto et al.(1999, Nature 401: 708-712、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)によって提唱されたCCR7定義を使用して実施する。肉眼的測定を実施して細胞溶解性潜在性を推定するために、パーフォリンおよびグランザイムB細胞内染色を使用することができる。
アポトーシスマーカー
本発明のある特定の実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞を使用したT細胞の刺激、活性化、および増大により、in vivoまたはin vitroでアポトーシスから保護するまたは他のやり方で生存を延長するある特定の重要な分子のT細胞における発現を増強する。アポトーシスは、通常、T細胞における特定のシグナルの誘導に起因する。したがって、本発明の操作された赤血球系細胞により、T細胞の刺激に起因する細胞死からのT細胞の保護をもたらすことができる。したがって、成熟前の死から、または、認識されるT細胞成長マーカー、例えばT細胞生存のために通常必要であるBcl−xL、増殖因子、サイトカイン、もしくはリンフォカインなどの非存在もしくは枯渇から、ならびに、Fasもしくは腫瘍壊死因子受容体(TNFR)架橋結合に由来するまたはある特定のホルモンもしくはストレスへの曝露によるものからの保護によるT細胞成長の増強も本発明に包含される。
タイリング
ある特定の実施形態によると、第1の外因性刺激性ポリペプチドと第2の外因性刺激性ポリペプチドは、重複するアミノ酸配列を有する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞は、複数の外因性刺激性ポリペプチド(例えば、1つまたはそれよりも多く、2つまたはそれよりも多く、3つまたはそれよりも多くなど)を含む。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞は、第1の外因性刺激性ポリペプチドおよび第2の外因性刺激性ポリペプチドを含み、第1の外因性刺激性ポリペプチドと第2の外因性刺激性ポリペプチドは、少なくとも2アミノ酸の重複するアミノ酸配列を有する。ある特定の実施形態によると、重複は2アミノ酸から23アミノ酸の間であり、例えば、重複は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22または23アミノ酸である。一実施形態によると、外因性刺激性ポリペプチドは8〜10アミノ酸長であり、重複は6〜8アミノ酸である。別の実施形態によると、外因性刺激性ポリペプチドは14〜20アミノ酸長であり、重複は12〜18アミノ酸である。ポリペプチドをこのようにタイリングすることにより、より広範な抗原認識がもたらされる。
ポリペプチドをタイリングするための方法は当技術分野で公知であり、例えば、ヒトCD4+T細胞に基づく増殖アッセイにおいて試験された12アミノ酸が重複している15merポリペプチドの開発および試験について記載されているHarding et al.に記載されている(Molecular Cancer Therapeutics, November 2005, Volume 4, Issue 11、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。Sticker et al.により、任意のタンパク質における機能的なCD4(+)T細胞エピトープを同定するためのヒト細胞に基づく方法が記載されている(J Immunol Methods. 2003 Oct 1; 281 (1-2): 95-108、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
修飾
外因性刺激性タンパク質の1つまたは複数は、真核細胞、例えば哺乳動物細胞、例えばヒト細胞に特有の翻訳後修飾を有し得る。一部の実施形態では、外因性刺激性タンパク質の1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれよりも多く)がグリコシル化されているか、リン酸化されているか、またはその両方である。糖タンパク質のin vitroにおける検出を、SDS−PAGEゲルおよびウエスタンブロットで過ヨウ素酸シッフ(PAS)法の改変版を使用して実現することができる。糖タンパク質の細胞内位置決定を当技術分野で公知のレクチン蛍光コンジュゲートを利用して実現することができる。リン酸化を、リン酸化部位特異的抗体を使用してウエスタンブロットによって評価することができる。
翻訳後修飾はまた、疎水性基とのコンジュゲーション(例えば、ミリストイル化、パルミトイル化、イソプレニル化、プレニル化、もしくはグリコシルホスファチジルイノシトール付加)、補助因子とのコンジュゲーション(例えば、リポイル化、フラビン部分(例えば、FMNもしくはFAD)、ヘムC付着、ホスホパンテテイニル化、もしくはレチニリデンシッフ塩基形成)、ジフタミド形成、エタノールアミンホスホグリセロール付着、ハイプシン形成、アシル化(例えば、O−アシル化、N−アシル化、もしくはS−アシル化)、ホルミル化、アセチル化、アルキル化(例えば、メチル化もしくはエチル化)、アミド化、ブチリル化、ガンマ−カルボキシル化、マロニル化、ヒドロキシル化、ヨウ素化、ADP−リボシル化などのヌクレオチド付加、酸化、リン酸エステル(O結合)もしくはホスホラミデート(N結合)形成(例えば、リン酸化もしくはアデニリル化)、プロピオニル化、ピログルタミン酸形成、S−グルタチオン化、S−ニトロシル化、サクシニル化、硫酸化、ISG化、SUMO化、ユビキチン化、ネディレーション、またはアミノ酸の化学修飾(例えば、シトルリン化、脱アミド、エリミニル化(eliminylation)、もしくはカルバミル化)、ジスルフィド架橋の形成、ラセミ化(例えば、プロリン、セリン、アラニン、もしくはメチオニンの)も含む。複数の実施形態では、グリコシル化は、糖タンパク質をもたらす、アルギニン、アスパラギン、システイン、ヒドロキシリシン、セリン、トレオニン、チロシン、またはトリプトファンへのグリコシル基の付加を含む。複数の実施形態では、グリコシル化は、例えば、O結合グリコシル化またはN結合グリコシル化を含む。
上記の態様および実施形態の一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、除核細胞である。上記の態様および実施形態の一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、有核細胞である。
操作された赤血球系細胞の集団
一態様では、本発明は、本発明の操作された赤血球系細胞を含む細胞集団、例えば、複数の操作された赤血球系細胞または操作された赤血球系細胞の集団を特色とする。種々の実施形態では、操作された赤血球系細胞集団は、主に除核細胞、主に有核細胞、または除核細胞と有核細胞の混合物で構成される。そのような細胞集団では、除核細胞は、網状赤血球、赤血球、または網状赤血球と赤血球の混合物を含み得る。一部の実施形態では、除核細胞は網状赤血球である。一部の実施形態では、除核細胞は赤血球である。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞集団は、除核細胞から本質的になる。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞集団は、主にまたは実質的に除核細胞で構成される。例えば、一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞の集団は、少なくとも約80%またはそれよりも多くが除核細胞で構成される。一部の実施形態では、本明細書に提示される集団は、少なくとも約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99、または約100%が除核細胞で構成される。一部の実施形態では、本明細書に提示される集団は、約80%よりも多くが除核細胞で構成される。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞の集団は、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%よりも多くが除核細胞で構成される。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞の集団は、約80%から約100%の間が除核細胞、例えば、約80%から約95%の間、約80%から約90%の間、約80%から約85%の間、約85%から約100%の間、約85%から約95%の間、約85%から約90%の間、約90%から約100%の間、約90%から約95%の間、または約95%から約100%の間が除核細胞で構成される。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞の集団は、約20%未満が有核細胞で構成される。例えば、複数の実施形態では、操作された赤血球系細胞の集団は、約1%、約2%、約3%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、または約20%未満が有核細胞で構成される。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞の集団は、約1%未満が有核細胞で構成される。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞の集団は、約2%未満が有核細胞で構成される。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞の集団は、約3%未満が有核細胞で構成される。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞の集団は、約4%未満が有核細胞で構成される。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞の集団は、約5%未満が有核細胞で構成される。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞の集団は、約10%未満が有核細胞で構成される。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞の集団は、約15%未満が有核細胞で構成される。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞の集団は、0%から20%の間が有核細胞で構成される。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞の集団は、約0%から20%の間が有核細胞、例えば、約0%から19%の間、約0%から15%の間、約0%から10%の間、約0%から5%の間、約0%から4%の間、約0%から3%の間、約0%から2%の間が有核細胞、または約5%から20%の間、約10%から20%の間、または約15%から20%の間が有核細胞で構成される。
一部の実施形態では、本開示は、20%未満が有核細胞および少なくとも80%が除核細胞で構成される、または15%未満が有核細胞および少なくとも85%が有核細胞で構成される、または10%未満が有核細胞および少なくとも90%が除核細胞で構成される、または5%未満が有核細胞および少なくとも95%が除核細胞で構成される、本発明の操作された赤血球系細胞の集団を特色とする。一部の実施形態では、本開示は、約0%が有核細胞および約100%が除核細胞、約1%が有核細胞および約99%が除核細胞、約2%が有核細胞および約98%が除核細胞、約3%が有核細胞および約97%が除核細胞、約4%が有核細胞および約96%が除核細胞、約5%が有核細胞および約95%が除核細胞、約6%が有核細胞および約94%が除核細胞、約7%が有核細胞および約93%が除核細胞、約8%が有核細胞および約92%が除核細胞、約9%が有核細胞および約91%が除核細胞、約10%が有核細胞および約90%が除核細胞、約11%が有核細胞および約89%が除核細胞、約12%が有核細胞および約88%が除核細胞、約13%が有核細胞および約87%が除核細胞、約14%が有核細胞および約86%が除核細胞、約85%が有核細胞および約85%が除核細胞、約16%が有核細胞および約84%が除核細胞、約17%が有核細胞および約83%が除核細胞、約18%が有核細胞および約82%が除核細胞、約19%が有核細胞および約81%が除核細胞、または約20%が有核細胞および約80%が除核細胞で構成される、本発明の操作された赤血球系細胞の集団を特色とする。
別の実施形態では、操作された赤血球系細胞集団は、主にまたは実質的に有核細胞で構成される。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞集団は、有核細胞から本質的になる。種々の実施形態では、操作された赤血球系細胞集団内の有核細胞は、赤血球(erythrocyte)(または完全に成熟した赤血球(red blood cell))前駆細胞である。複数の実施形態では、赤血球系前駆細胞は、多能性造血幹細胞(HSC)、多分化能骨髄系始原細胞、CFU−S細胞、BFU−E細胞、CFU−E細胞、前正赤芽球、好塩基性正赤芽球、多染性正赤芽球および正染性正赤芽球からなる群から選択される。
ある特定の実施形態では、操作された赤血球系細胞の集団は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%または100%が有核細胞で構成される。
本発明の操作された赤血球系細胞の調製中に、いくらかの割合の細胞が外因性ポリペプチドとコンジュゲートしない、または外因性ポリペプチドを発現するように形質導入されない可能性があることが理解されよう。したがって、一部の実施形態では、本明細書に提示される操作された赤血球系細胞の集団は、操作された赤血球系細胞と改変されていない赤血球系細胞の混合物で構成される、すなわち、集団中のいくらかの割合の細胞が外因性ポリペプチドを含まず、提示せず、発現しない。例えば、操作された赤血球系細胞の集団は、種々の実施形態では、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%が操作された赤血球系細胞で構成され得、集団内の残りの赤血球系細胞は操作されていない。複数の実施形態では、操作された赤血球系細胞の単回単位用量は、種々の実施形態では、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%が操作された赤血球系細胞で構成され得、用量中の残りの赤血球系細胞は操作されていない。
II.操作された赤血球系細胞を作製する方法
本開示によって、操作された赤血球系細胞、例えば、除核細胞を作製する種々の方法が考慮される。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、除核細胞である。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、有核細胞である。
一態様では、本開示は、キラー細胞である免疫細胞を刺激するように操作された除核細胞であって、複数の外因性刺激性ポリペプチドをその表面に含み、複数の外因性刺激性ポリペプチドが、免疫細胞を刺激するのに十分である、除核細胞であり、それぞれが複数の外因性刺激性ポリペプチドのうち1つまたは複数をコードする1つまたは複数の外因性核酸を、有核赤血球系細胞に導入するステップと、有核赤血球系細胞を、有核赤血球系細胞の除核および複数の外因性刺激性ポリペプチドのうち1つまたは複数の産生に適した条件下で培養するステップとを含むプロセスによって作製される、除核細胞を特徴とする。
別の態様では、本開示は、第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む、操作された除核赤血球系細胞であって、第1の外因性刺激性ポリペプチドが、IL−15/IL−15RA融合物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする外因性核酸を、有核赤血球系細胞に導入するステップと、有核赤血球系細胞を、有核赤血球系細胞の除核およびIL−15/IL−15RA融合物を含む外因性刺激性ポリペプチドの産生に適した条件下で培養するステップとを含むプロセスによって作製されるIL−15/IL−15RA融合物を含む、除核赤血球系細胞を特徴とする。
別の態様では、本開示は、第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された除核赤血球系細胞であって、第1の外因性刺激性ポリペプチドが、4−1BBLポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする外因性核酸を、有核赤血球系細胞に導入するステップと、有核赤血球系細胞を、有核赤血球系細胞の除核および4−1BBLポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドの産生に適した条件下で培養するステップとを含むプロセスによって作製される4−1BBLポリペプチドを含む、除核赤血球系細胞を提供する。
別の態様では、本開示は、操作された除核赤血球系細胞であって、IL−15/IL−15RA融合物、MHCクラスI鎖関連タンパク質A(MICA)、インスリン様増殖因子1(IGF−1)、CD48またはCD155のいずれかを含む少なくとも1つの外因性刺激性ポリペプチドをその表面に含み、少なくとも1つの外因性刺激性ポリペプチドをコードする外因性核酸を、有核赤血球系細胞に導入するステップと、有核赤血球系細胞を、有核赤血球系細胞の除核および少なくとも1つの外因性刺激性ポリペプチドの産生に適した条件下で培養するステップとを含むプロセスによって作製される、除核赤血球系細胞を特徴とする。
別の態様では、本開示は、IL−12 p40/IL−12 p35融合物を含む第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された除核赤血球系細胞であって、IL−12 p40/IL−12 p35融合物を含む外因性刺激性ポリペプチドをコードする外因性核酸を、有核赤血球系細胞に導入するステップと、有核赤血球系細胞を、有核赤血球系細胞の除核およびIL−12 p40/IL−12 p35融合物を含む外因性刺激性ポリペプチドの産生に適した条件下で培養するステップとを含むプロセスによって作製される、除核赤血球系細胞を特徴とする。
別の態様では、本開示は、IL−12 p40/IL−12 p35融合物、IL−15/IL−15RA融合物、4−1BBLのいずれかを含む少なくとも1つの外因性刺激性ポリペプチドをその表面に含み、少なくとも1つの外因性刺激性ポリペプチドをコードする外因性核酸を有核赤血球系細胞に導入するステップと、有核赤血球系細胞の除核および少なくとも1つの外因性刺激性ポリペプチドの産生に適した条件下で有核赤血球系細胞を培養するステップとを含むプロセスによって作製される、操作された除核赤血球系細胞を特徴とする。
一部の実施形態では、操作された除核赤血球系細胞は、1つより多くの(例えば、2つ、3つまたはそれより多くの)外因性刺激性ポリペプチドをその表面に含み、細胞は、1つより多くの外因性刺激性ポリペプチドをコードする少なくとも1つの(例えば、1つ、2つ、3つまたはそれより多くの)外因性核酸を有核赤血球系細胞に導入するステップ、および有核赤血球系細胞を有核赤血球系細胞の除核および1つより多くの外因性刺激性ポリペプチドの産生に適した条件下で培養するステップによって作製される。
操作された赤血球系細胞の物理的特徴
一部の実施形態では、本明細書において記載される赤血球系細胞は、本明細書において記載される1つまたは複数の(例えば、2つ、3つ、4つまたはそれより多くの)物理的特徴、例えば、浸透圧脆弱性、細胞の大きさ、ヘモグロビン濃度またはホスファチジルセリン含量を有する。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、除核細胞である。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、有核細胞である。理論に捉われようとは思わないが、一部の実施形態では、外因性タンパク質を発現する操作された赤血球系細胞、例えば、除核細胞は、野生型、未処置赤血球系細胞と類似する物理的特徴を有する。対照的に、低浸透圧負荷された赤血球系細胞は、異常な物理的特徴、例えば、浸透圧脆弱性の増大、細胞の大きさの変更、ヘモグロビン濃度の低減または細胞膜の外側のリーフレットでのホスファチジルセリンレベルの増大を示すことがある。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、細胞によって保持されず、精製されなかった、または赤血球系細胞の外側に十分に存在しなかった外因性核酸によってコードされた外因性タンパク質を含む。一部の実施形態では、赤血球系細胞は、安定剤を欠く組成物中にある。
浸透圧脆弱性
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、外因性ポリペプチドを含まない単離された無培養赤血球系細胞と同じ浸透圧膜脆弱性を実質的に示す。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞の集団は、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%または0.5%のNaClで50%未満の細胞溶解の浸透圧脆弱性を有する。浸透圧脆弱性は、その全文で参照により本明細書に組み込まれるWO2015/073587の実施例59の方法を使用してアッセイされ得る。
細胞の大きさ
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞、例えば、除核細胞は、野生型、未処置赤血球系細胞のようなおおよその直径または体積を有する。一部の実施形態では、赤血球系細胞の集団は、約4、5、6、7または8ミクロンの平均直径を有し、必要に応じて、集団の標準偏差は、1、2または3ミクロン未満である。一部の実施形態では、1つまたは複数の赤血球系細胞は、約4〜8、5〜7または約6ミクロンの直径を有する。一部の実施形態では、赤血球系細胞の直径は、約1ミクロン未満、約20ミクロンより大きい、約1ミクロンから約20ミクロンの間、約2ミクロンから約20ミクロンの間、約3ミクロンから約20ミクロンの間、約4ミクロンから約20ミクロンの間、約5ミクロンから約20ミクロンの間、約6ミクロンから約20ミクロンの間、約5ミクロンから約15ミクロンの間または約10ミクロンから約30ミクロンの間である。細胞直径を、一部の実施形態では、Advia 120血液学システムを使用して測定する。
一部の実施形態では、赤血球系細胞の平均血球体積の体積は、10fL、20fL、30fL、40fL、50fL、60fL、70fL、80fL、90fL、100fL、110fL、120fL、130fL、140fL、150fLより大きい、または150fLより大きい。一部の実施形態では、赤血球系細胞の平均血球体積は、30fL、40fL、50fL、60fL、70fL、80fL、90fL、100fL、110fL、120fL、130fL、140fL、150fL、160fL、170fL、180fL、190fL、200fL未満または200fL未満である。一部の実施形態では、赤血球系細胞の平均血球体積は、80〜100、100〜200、200〜300、300〜400または400〜500フェムトリットル(fL)の間である。一部の実施形態では、赤血球系細胞の集団は、この段落に示される平均血球体積を有し、集団の標準偏差は、50、40、30、20、10、5または2fL未満である。平均血球体積を、一部の実施形態では、血液学的解析機器、例えば、コールターカウンターを使用して測定する。
ヘモグロビン濃度
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞、例えば、除核細胞は、野生型、未処置赤血球系細胞に対して類似したヘモグロビン含量を有する。一部の実施形態では、赤血球系細胞は、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%より多いまたは10%より多い胎児ヘモグロビンを含む。一部の実施形態では、赤血球系細胞は、少なくとも約20、22、24、26、28または30pg、必要に応じて最大約30pgの総ヘモグロビンを含む。ヘモグロビンレベルを、一部の実施形態では、その全文で参照により本明細書に組み込まれるWO2015/073587の実施例33のDrabkinの試薬方法を使用して決定する。
ホスファチジルセリン含量
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞、例えば、除核細胞は、野生型、未処置赤血球系細胞とほぼ同一の細胞膜の外側のリーフレットでのホスファチジルセリン含量を有する。ホスファチジルセリンは、主に、野生型、未処置赤球系細胞の細胞膜の内側のリーフレットにあり、低張負荷は、ホスファチジルセリンを外側リーフレットに分布させることができ、そこで、免疫応答を引き起こし得る。一部の実施形態では、赤血球系細胞の集団は、Annexin V染色について陽性である約30、25、20、15、10、9、8、6、5、4、3、2または1%未満の細胞を含む。ホスファチジルセリン露出は、一部の実施形態では、PSと優先的に結合するAnnexin−V−FITCについての染色および例えば、その全文で参照により本明細書に組み込まれるWO2015/073587の実施例54の方法を使用するフローサイトメトリーによってFITC蛍光を測定することによって評価される。
他の特徴
一部の実施形態では、赤血球系細胞の集団は、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%または95%(および必要に応じて、最大90または100%)のGPAについて陽性である細胞を含む。GPAの存在を、一部の実施形態では、FACSを使用して検出する。
一部の実施形態では、赤血球系細胞を含む細胞の集団は、約10、5、4、3、2または1%未満の棘状赤血球を含む。
一部の実施形態では、赤血球系細胞は、除核される、例えば、本明細書において記載される治療調製物として使用される赤血球系細胞を含む細胞の集団は、50%、60%、70%、80%、90%より多く除核される。一部の実施形態では、細胞、例えば、赤血球系細胞は、非機能性である、例えば、不活性化されている核を含有する。
赤血球の単離
成熟赤血球は、例えば、セルウォッシャー、連続フローセルセパレーター、密度勾配分離、蛍光活性化細胞選別(FACS)、Miltenyi免疫磁気枯渇(MACS)またはこれらの組合せなどの種々の方法を使用して単離され得る(例えば、van der Berg et al., Clin. Chem. 33:1081-1082 (1987); Bar-Zvi et al., J. Biol. Chem. 262:17719-17723 (1987); Goodman et al., Exp. Biol. Med. 232:1470-1476 (2007)を参照されたい)。
赤血球は、簡単な遠心分離によって全血から単離できる(例えば、van der Berg et al., Clin. Chem. 33:1081-1082 (1987)を参照されたい)。例えば、EDTA−抗凝固剤処置全血は、4℃、800×gで10分間遠心分離できる。血小板の豊富な血漿およびバフィーコートを除去し、赤血球を、等張性生理食塩水溶液(NaCl、9g/L)を用いて3回洗浄する。
あるいは、赤血球を、種々の分離媒体、例えば、Ficoll、Hypaque、Histopaque、Percoll、Sigmacellまたはそれらの組合せなどを用いる密度勾配遠心分離を使用して単離できる。例えば、Histopaque−1077のある体積を、等しい体積のHistopaque−1119の上に層にする。等しい体積の等張性生理食塩水溶液(NaCl、9g/L)で1:1希釈したEDTA−抗凝固剤処置全血を、Histopaqueの上に層にし、試料を、室温、700×gで30分間遠心分離する。これらの条件下で、顆粒球は、1077/1119界面に移動し、リンパ球、他の単核細胞および血小板は、血漿/1077界面のままであり、赤血球はペレットになる。赤血球を、等張性生理食塩水溶液で2回洗浄する。
あるいは、赤血球を、Percoll段階勾配を使用する遠心分離によって単離できる(例えば、Bar-Zvi et al., J. Biol. Chem. 262:17719-17723 (1987)を参照されたい)。例えば、新鮮血液を、75mMクエン酸ナトリウムおよび38mMクエン酸を含有する抗凝固溶液と混合し、細胞をHepes−緩衝食塩水中で短時間洗浄する。白血球および血小板を、α−セルロースおよびSigmacell(1:1)の混合物を用いる吸着によって除去する。赤血球を、Sorvall SS34ローターにおける2500rpmで10分間の45/75%のPercoll段階勾配による遠心分離によって網状赤血球および残存する白血球からさらに単離する。赤血球はペレットで回収されるが、網状赤血球バンドは、45/75%界面にあり、残存する白血球バンドは、0/45%界面にある。Hepes−緩衝食塩水での数回の洗浄によって、Percollを赤血球から除去する。赤血球の単離のための密度勾配を作製するために使用できる他の材料として、OPTIPREP、水中のイオジキサノールの60%溶液(Axis−Shield製、Dundee、Scotland)が挙げられる。
赤血球は、例えば、フローサイトメトリーを使用して網状赤血球から分離できる(例えば、Goodman el al., Exp. Biol. Med. 232:1470-1476 (2007)を参照されたい)。この場合には、細胞を血漿から分離するために全血を遠心分離する(550×g、20分、25℃)。細胞ペレットを、リン酸緩衝食塩水溶液に再懸濁し、赤血球を白血球から分離するために、例えば、遠心分離(400×g、30分、25℃)によってFicoll−Paque(1.077密度)でさらに分画する。得られた細胞ペレットを、10%ウシ胎児血清を補給したRPMIに再懸濁し、例えば、Becton Dickinson FACSCalibur(BD Biosciences、Franklin Lakes、N.J.、USA)などのFACS機器でサイズおよび粒度に基づいて選別する。
赤血球は、免疫磁気性枯渇によって単離できる(例えば、Goodman, el al., (2007) Exp. Biol. Med. 232:1470-1476を参照されたい)。この場合には、非赤血球を排除するために細胞種特異的抗体を有する磁気ビーズを使用する。例えば、赤血球は、本明細書において記載されるような密度勾配と、それに続く、任意の残存する網状赤血球の免疫磁気性枯渇を使用して、赤血球を他の血液成分の大部分から単離する。細胞を、ヒト抗体血清を用いて、25℃で20分間前処置し、次いで、網状赤血球特異的抗原、例えば、CD71およびCD36などに対する抗体を用いて処置する。抗体は、磁気ビーズに直接付着されてもよく、または例えば、抗PE抗体を有する磁気ビーズが反応するPEにコンジュゲートしてもよい。抗体−磁気ビーズ複合体は、例えば、赤血球集団から残存する網状赤血球を選択的に抽出できる。
赤血球はまた、アフェレーシスを使用して単離できる。アフェレーシスのプロセスは、患者またはドナーからの全血の回収、遠心分離または細胞選別を使用する血液成分の分離、1つまたは複数の分離された部分の除去および残存する成分を患者またはドナーへ注入して戻すことを含む。例えば、Baxter(Deerfield、Ill.、USA)製のAmicusおよびAlyx機器、Gambro BCT(Lakewood、Colo.、USA)製のTrima Accel機器およびHaemonetics(Braintree、Mass.、USA)製のMCS+9000機器など、この目的のためにいくつかの機器が現在使用されている。適当な程度の細胞純度を達成するためにさらなる精製方法が必要となる場合がある。
網状赤血球は、未熟赤血球であり、ヒト身体において赤血球のおよそ1%を構成する。網状赤血球は、骨髄において発達し、成熟する。網状赤血球は、ひとたび循環中に放出されると、成熟赤血球への最終分化を迅速に起こす。網状赤血球は、成熟赤血球と同様に、細胞核を有さない。
網状赤血球成熟につれて細胞密度の差に基づいてさまざまな齢の網状赤血球が末梢血から単離され得る。網状赤血球は、種々の密度勾配による分画遠心分離を使用して末梢血から単離され得る。例えば、網状赤血球を単離するためにPercoll勾配を使用できる(例えば、Noble el al., Blood 74:475-481 (1989)を参照されたい)。密度1.096および1.058g/mlの滅菌等張性Percoll溶液を、Percoll(Sigma−Aldrich、Saint Louis、Mo.、USA)を10mMトリエタノールアミン、117mM NaCl、5mMグルコースおよび1.5mg/mlウシ血清アルブミン(BSA)の最終濃度に希釈することによって作製する。これらの溶液は、295から310mOsmの間の浸透圧を有する。第1のPercoll溶液(密度1.096)の例えば5ミリリットルを、滅菌15mlコニカル遠沈管に添加する。第2のPercoll溶液(密度1.058)の例えば2ミリリットルを、より高密度の第1のPercoll溶液の上に層にする。2〜4ミリリットルの全血を、管の頂部に層にする。スイングアウトチューブホルダーを備えた冷却遠心機で、管を250×gで30分間遠心分離する。網状赤血球および一部の白血球は、2つのPercoll層の間の界面に移動する。界面の細胞を、新規管に移し、5mMグルコース、0.03mMナトリウムアジドおよび1mg/mlのBSAを有するリン酸緩衝食塩水(PBS)で2回洗浄する。残存する白血球を、サイズ排除カラムでのPBSでのクロマトグラフィーによって除去する。
あるいは、網状赤血球を、免疫磁気性分離アプローチを使用するポジティブ選択によって単離できる(例えば、Brun et al., Blood 76:2397-2403 (1990)を参照されたい)。このアプローチは、成熟前の赤血球に対して、網状赤血球の表面で発現される多数のトランスフェリン受容体を利用する。混合血液細胞集団から網状赤血球を選択的に単離するために、トランスフェリン受容体に対する抗体でコーティングされた磁気ビーズを使用できる。ヒトを含む種々の哺乳動物種のトランスフェリン受容体に対する抗体は、市販の供給源(例えば、Affinity BioReagents、Golden、Colo.、USA;Sigma−Aldrich、Saint Louis、Mo.、USA)から入手可能である。トランスフェリン抗体を、磁気ビーズに直接連結してもよい。あるいは、トランスフェリン抗体を、二次抗体を介して磁気ビーズに間接的に連結してもよい。例えば、ヒトトランスフェリンに対するマウスモノクローナル抗体10D2(Affinity BioReagents、Golden、Colo.、USA)を、ヒツジ抗マウス免疫グロブリンG(Dynal/Invitrogen、Carlsbad、Calif.、USA)を用いてコーティングされた免疫磁気ビーズと混合できる。次いで、免疫磁気ビーズを、白血球が枯渇した赤血球画分とともにインキュベートする。ビーズおよび赤血球を、22℃で穏やかに混合しながら60〜90分間インキュベートし、それに続いて、磁場を使用して網状赤血球が付着しているビーズを単離する。単離された網状赤血球は、例えば、DETACHaBEAD溶液(Invitrogen製、Carlsbad、Calif.、USA)を使用して磁気ビーズから回収できる。あるいは、網状赤血球を、本明細書において記載される方法を使用するCD34+造血幹細胞のin vitro成長および成熟から単離できる。
最終分化した除核赤血球は、そのDNA含量に基づいて他の細胞から分離できる。限定されない例では、細胞を、Hoechst33342(Invitrogen Corp.)などの生体DNA色素を用いてまず標識する。Hoechst33342は、二本鎖DNAに結合される青色蛍光を発光する細胞透過性核対比染色である。培養中の未分化前駆体細胞、マクロファージまたは他の有核細胞は、Hoechst33342によって染色されるが、除核赤血球はHoechst陰性である。Hoechst陽性細胞を、蛍光活性化セルソーターまたは他の細胞選別技術を使用することによって除核赤血球から分離できる。Hoechst色素を、透析または他の適した方法によって単離された赤血球から除去できる。
本明細書において記載されるポリペプチドのためのビヒクル
本明細書における多数の実施形態において、1つまたは複数の(例えば、2つまたはそれより多い)外因性ポリペプチドは、除核赤血球系細胞上または除核赤血球系細胞中に位置しているが、本明細書において記載される任意のポリペプチドまたは外因性ポリペプチドの組合せはまた、別のビヒクル上または別のビヒクル中に位置し得ることは理解される。ビヒクルは、例えば、細胞、赤血球系細胞、小体、ナノ粒子、ミセル、リポソームまたはエキソソームを含み得る。例えば、一部の態様では、本開示は、例えば、その表面上に、本明細書において記載される1つまたは複数の物質を含むビヒクル(例えば、細胞、赤血球系細胞、小体、ナノ粒子、ミセル、リポソームまたはエキソソーム)を提供する。一部の実施形態では、1つまたは複数の物質は、表1または8〜16のいずれかのポリペプチドから選択される物質もしくはその断片もしくはバリアントまたはそれに対する抗体分子を含む。一部の実施形態では、ビヒクルは、本明細書において記載される2つまたはそれより多い物質、例えば、本明細書において記載される物質の任意の対を含む。
一態様では、本明細書において記載される1つまたは複数のポリペプチドは、非細胞送達ビヒクルの表面にロードされる、付着される(例えば、固定またはコンジュゲートされる)および/またはそれに封入される。非細胞性送達ビヒクルは、例えば、ナノ脂質ゲル、ポリマー粒子、アガロース粒子、ラテックス粒子、シリカ粒子、リポソームまたは多重ラメラ小胞であり得る。一部の実施形態では、非細胞送達ビヒクルは、直径約1nm〜約900nmのナノ粒子を含むまたはからなる。一部の実施形態では、非細胞送達ビヒクルは、約0.1〜約20ミクロン(約0.5ミクロン〜約10ミクロン、例えば、約5ミクロンまたはそれより小さい(例えば、約2.5〜約5ミクロン)など)の平均直径を含む。一部の実施形態では、非細胞送達ビヒクルは、約1μm〜約10μmの平均直径を含む。一部の実施形態では、非細胞送達ビヒクルは、生分解性ポリマーを含む。一部の実施形態では、非細胞送達ビヒクルは、天然ポリマーを含む。一部の実施形態では、非細胞送達ビヒクルは、合成ポリマーを含む。代表的なポリマーとして、これだけに限定されないが、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(エステル)、ポリ(アルキルシアノアクリレート)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)およびD,L−乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)およびそれらの組合せが挙げられる。一部の実施形態では、非細胞送達ビヒクルは、アガロース、ラテックスまたはポリスチレンを含む。本明細書において記載されるポリペプチドのうち1つまたは複数は、当技術分野で公知の標準方法を使用して非細胞送達ビヒクルにコンジュゲートされ得る(例えば、Ulbrich et al. (2016) Chem Rev. 116(9): 5338-431を参照されたい)。コンジュゲーションは、共有結合または非共有結合であり得る。例えば、非細胞送達ビヒクルがリポソームである実施形態では、本明細書において記載されるポリペプチドは、ポリエチレングリコール(PEG)鎖を介してリポソームに付着され得る。ポリペプチドのリポソームへのコンジュゲーションはまた、例えば、チオールとマレイミド基の反応によるチオエステル結合を含み得る。ポリペプチドの非細胞送達ビヒクルへの付着のためのスルフヒドリル基を作出するために、架橋剤が使用され得る(例えば、Paszko and Senge (2012) Curr. Med. Chem. 19(31): 5239-77を参照されたい)。一部の実施形態では、任意の本明細書において提供される治療方法において、本明細書において記載されるポリペプチドのうち1つまたは複数を含む非細胞送達ビヒクルが使用され得る。
細胞の不均一な集団
本明細書における多数の実施形態において、1つまたは複数の(例えば、2つまたはそれより多い)外因性ポリペプチドは、単細胞上または単細胞中に位置しているが、本明細書において記載される任意のポリペプチドまたはポリペプチドの組合せはまた、複数の細胞上に位置し得ることは理解される。例えば、一部の態様では、本開示は、複数のうち第1の細胞が、第1の外因性ポリペプチドを含み、複数のうち第2の細胞が、第2の外因性ポリペプチドを含む、複数の赤血球系細胞を提供する。一部の実施形態では、複数の細胞は、2つまたはそれより多い本明細書において記載されるポリペプチド、例えば、本明細書において記載されるポリペプチドの任意の対を含む。一部の実施形態では、集団中の90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、2%または1%未満の細胞は、第1の外因性ポリペプチドおよび第2の外因性ポリペプチドの両方を含む。
膜に被包された細胞
一部の実施形態では、本明細書において記載される除核赤血球系細胞または他のビヒクルは、膜、例えば、半透膜に被包される。一部の実施形態では、膜は、多糖、例えば、アニオン性多糖アルギン酸塩を含む。一部の実施形態では、半透膜は、細胞が通過することを可能にしないが、小分子または高分子、例えば、代謝産物、タンパク質もしくはDNAの通過を可能にする。一部の実施形態では、膜は、その全文で参照により本明細書に組み込まれる、Lienert et al., "Synthetic biology in mammalian cells: next generation research tools and therapeutics" Nature Reviews Molecular Cell Biology 15, 95-107 (2014)に記載されるものである。理論に捉われようとは思わないが、一部の実施形態では、膜は、細胞を免疫系から遮蔽し、および/または複数の細胞を近接して維持し、互いにまたは互いの生成物との相互作用を促進する。
赤血球系前駆細胞
操作された赤血球系前駆細胞ならびに操作された赤血球系前駆細胞、網状赤血球および赤血球を作製する方法が、本明細書において提供される。
多能性幹細胞は、赤血球生成のプロセスによって赤血球を生じさせる。幹細胞は、小さいリンパ球のようであり、赤血球の機能的能力を欠く。幹細胞は、無限分裂の能力、成熟細胞が欠くものを有する。幹細胞から生じる娘細胞の一部は、世代および時間にわたる赤血球の特性を獲得する。骨髄における赤血球系細胞のほとんどは、別個の形態学を有するが、赤血球成熟への関与は、赤血球系統に特有の形態学的特色を獲得していなかった細胞においてさえ見られる。これらの細胞は、in vitroで形成するコロニーの種類によって認識される。2つのこのような細胞が認識される。バースト形成性単位−赤血球(BFU−E)は、幹細胞から生じ、コロニー形成単位−赤血球(CFU−E)を生じさせる。CFU−Eは、前正赤芽球、別個の形態学を有する赤血球系細胞の最も未熟なものを生じさせる。BFU−EおよびCFU−Eは、骨髄細胞の極めて小さい部分を形成する。5種の赤血球前駆体の形態学は、Romanovsky染色を用いて染色された骨髄において識別可能である。最も未熟から最も成熟までの5段階は、前赤芽球、好塩基性正赤芽球(初期赤芽球)、多染性正赤芽球(中期赤芽球)、正染性正赤芽球(後期赤芽球)および網状赤血球である。BFU−E(バースト形成単位−赤血球)、CFU−E(赤血球コロニー形成単位)、前正赤芽球(前赤芽球)、好塩基性正赤芽球、多染性正赤芽球および正染性正赤芽球は、系統制限される。
以下の表6には、赤血球系前駆細胞および赤血球の形態学的特色をまとめられている。
正常ヒト赤血球は、CD36、単球、血小板および内皮細胞の接着分子を発現する(van Schravendijk MR et al., Blood. 1992 Oct 15;80(8):2105-14)。したがって、一部の実施形態では、ヒト赤血球を同定するために抗CD36抗体が使用され得る。
任意の種類の、赤血球に分化可能である当技術分野で公知の細胞、すなわち、任意の赤血球系前駆細胞が、操作された赤血球系前駆細胞を生成するように本明細書において記載される方法に従って修飾され得る。ある特定の実施形態では、本明細書において記載される方法に従って修飾された赤血球系前駆細胞は、赤血球に分化するプロセスにある細胞である、すなわち、細胞は、哺乳動物赤血球生成の間に存在すると知られている種類のものである。例えば、細胞は、多能性造血幹細胞(HSC)またはCD34+細胞、多能性骨髄系始原細胞、CFU−S細胞、BFU−E細胞、CFU−E細胞、前正赤芽球(前赤芽球)、好塩基性正赤芽球、多染性正赤芽球および正染性正赤芽球であり得る。本明細書において提供される修飾された赤血球系前駆細胞は、当技術分野で公知の方法を使用して、すなわち、赤血球生成を促進すると知られている分子、例えば、本明細書において以下に記載されるSCF、エリスロポエチン、IL−3および/またはGM−CSFを使用して、in vitroで操作された網状赤血球または赤血球に分化し得る。あるいは、修飾された赤血球系前駆細胞は、本発明の組成物中で提供され、in vivoで対象への投与の際に赤血球に分化可能である。
一部の実施形態では、赤血球系前駆細胞、例えば、造血幹細胞は、O陰性ドナーに由来する。一部の実施形態では、赤血球系前駆細胞は、Aおよび/またはB抗原を欠く(例えば、発現もコードもしない)。
培養
本明細書に記載の操作された赤血球系細胞を作製するための供給源は、循環赤血球系細胞を含む。適した細胞供給源は、本明細書に記載の通り対象から、必要に応じて、培養および分化された、不死化赤血球細胞系に由来する、または人工多能性幹細胞に由来する、患者由来造血または赤血球系始原細胞から単離できる。細胞培養技術を使用して赤血球を作製する方法は、当技術分野で周知である、例えば、Giarratana et al., Blood 2011, 118:5071, Huang et al., Mol Ther 2013, epub ahead of print September 3またはKurita et al., PLOS One 2013, 8:e59890。プロトコールは、得られる細胞が特徴付けられる、増殖因子、出発細胞系、培養期間および形態学的形質に従って変わる。ドナー輸血の代わりとなり得る血液産生のための培養システムもまた、確立されている(Fibach et al. 1989 Blood 73:100)。最近、CD34+細胞が網状赤血球段階に分化し、それに続いて、ヒト対象への輸血に成功した(Giarratana et al., Blood 2011, 118:5071)。
赤血球系細胞および操作された赤血球系細胞の培養方法が本明細書において提供される。赤血球系細胞は、例えば、CD34+造血前駆細胞(Giarratana et al., Blood 2011, 118:5071)、人工多能性幹細胞(Kurita et al., PLOS One 2013, 8:e59890)および胚幹細胞(Hirose et al. 2013 Stem Cell Reports 1:499)を含む造血前駆細胞から培養できる。前駆細胞を拡大および分化させるのに適している成長および分化因子のカクテルは、当技術分野で公知である。適した拡大および分化因子の例として、これだけに限定されないが、幹細胞因子(SCF)、インターロイキン(IL)、例えば、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−11、IL−12、CSF、G−CSF、トロンボポエチン(TPO)、GM−CSF、エリスロポエチン(EPO)、Flt3、Flt2、PIXY321および白血病抑制因子(LIF)が挙げられる。
赤血球系細胞は、マルチステップ培養プロセスで前駆細胞を規定の因子と接触させることによって、CD34+細胞などの造血前駆細胞から培養できる。例えば、赤血球系細胞は、3ステッププロセスで造血前駆細胞から培養できる。
第1のステップは、培養中の細胞を、1〜1000ng/mLの幹細胞因子(SCF)、1〜100U/mLのエリスロポエチン(EPO)および0.1〜100ng/mLのインターロイキン−3(IL−3)と接触させることを含み得る。第1のステップは、必要に応じて、培養中の細胞を、核ホルモン受容体、例えば、グルココルチコイド受容体、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、アンドロゲン受容体またはプレグナンx受容体と結合し、活性化するリガンドと接触させることを含む。これらの受容体のリガンドとして、例えば、10nM〜100μMのデキサメタゾンまたは10nM〜100μMのヒドロコルチゾンなどの副腎皮質ステロイド、例えば、10nM〜100μMのベータ−エストラジオールなどのエストロゲン、例えば、10nM〜100μMのプロゲステロン、10nM〜100μMのヒドロキシプロゲステロン、10nM〜100μMの5a−ジヒドロプロゲステロン、10nM〜100μMの11−デオキシコルチコステロンなどのプロゲストゲンまたは例えば、10nM〜100μMの酢酸クロルマジノンなどの合成プロゲスチン、例えば、10nM〜100μMのテストステロン、10nM〜100μMのジヒドロテストステロンもしくは10nM〜100μMのアンドロステンジオンなどのアンドロゲンまたは例えば、10nM〜100μMのリファンピシン、10nM〜100のハイパーフォリン、10nM〜100μMのセントジョーンズワート(ヒペリシン)などのプレグナンx受容体リガンドまたは例えば、10nM〜100のトコフェロールなどのビタミンE様分子などが挙げられる。第1のステップはまた、必要に応じて、培養中の細胞を、インスリン様分子、例えば、1〜50μ.g/mLのインスリン、1〜50μg/mLのインスリン様増殖因子1(IGF−1)、1〜50μg/mLのインスリン様増殖因子2(IGF−2)または1〜50μg/mLの機械的増殖因子などと接触させることを含み得る。第1のステップは、必要に応じて、培養中の細胞を、0.1〜5mg/mLのトランスフェリンと接触させることをさらに含み得る。
第1のステップは、必要に応じて、培養中の細胞を、1種または複数のインターロイキン(IL)または増殖因子、例えば、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−11、IL−12、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、トロンボポエチン、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF−B)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF−A)、巨核球増殖分化因子(MGDF)、白血病抑制因子(LIF)およびFlt3リガンドなどと接触させることを含み得る。各インターロイキンまたは増殖因子は、通常、0.1〜100ng/mLの濃度で供給され得る。第1のステップはまた、必要に応じて、培養中の細胞を、血清タンパク質または非タンパク質分子、例えば、ウシ胎児血清(1〜20%)、ヒト血漿(1〜20%)、プラズマネート(1〜20%)、ヒト血清(1〜20%)、アルブミン(0.1〜100mg/mL)またはヘパリン(0.1〜10U/mL)などと接触させることを含み得る。
第2のステップは、培養中の細胞を、1〜1000ng/mLの幹細胞因子(SCF)および1〜100U/mLのエリスロポエチン(EPO)と接触させることを含み得る。第2のステップはまた、必要に応じて、培養中の細胞を、インスリン様分子、例えば、1〜50μg/mLのインスリン、1〜50μg/mLのインスリン様増殖因子1(IGF−1)、1〜50μg/mLのインスリン様増殖因子2(IGF−2)または1〜50μg/mLの機械的増殖因子などと接触させることを含み得る。第2のステップは、必要に応じて、培養中の細胞を、0.1〜5mg/mLのトランスフェリンと接触させることをさらに含み得る。第2はまた、必要に応じて、培養中の細胞を、血清タンパク質または非タンパク質分子、例えば、ウシ胎児血清(1〜20%)、ヒト血漿(1〜20%)、プラズマネート(1〜20%)、ヒト血清(1〜20%)、アルブミン(0.1〜100mg/mL)またはヘパリン(0.1〜10U/mL)などと接触させることを含み得る。
第3のステップは、培養中の細胞を、1〜100U/mLのエリスロポエチン(EPO)と接触させることを含み得る。第3のステップは、必要に応じて、培養中の細胞を、1〜1000ng/mLの幹細胞因子(SCF)と接触させることを含み得る。第3のステップは、必要に応じて、培養中の細胞を、インスリン様分子、例えば、1〜50μg/mLのインスリン、1〜50μg/mLのインスリン様増殖因子1(IGF−1)、1〜50μg/mLのインスリン様増殖因子2(IGF−2)または1〜50μg/mLの機械的増殖因子などと接触させることをさらに含み得る。第3のステップはまた、必要に応じて、培養中の細胞を、0.1〜5mg/mLのトランスフェリンと接触させることを含み得る。第3のステップはまた、必要に応じて、培養中の細胞を、血清タンパク質または非タンパク質分子、例えば、ウシ胎児血清(1〜20%)、ヒト血漿(1〜20%)、プラズマネート(1〜20%)、ヒト血清(1〜20%)、アルブミン(0.1〜100mg/mL)またはヘパリン(0.1〜10U/mL)などと接触させることを含み得る。
一部の実施形態では、1つまたは複数の外因性ポリペプチドを提示する除核細胞を含む操作された赤血球系細胞を拡大および分化させる方法は、操作された赤血球系細胞を、骨髄増殖性受容体(mpl)リガンドを含む培地中で培養することを含まない。
培養プロセスは、必要に応じて、当技術分野で公知の方法によって、細胞を、1つまたは複数の遺伝子を活性化またはノックダウンする分子、例えば、DNA分子、RNA分子、mRNA、siRNA、microRNA、lncRNA、shRNA、ホルモンまたは小分子と接触させることを含み得る。標的遺伝子は、例えば、これだけに限定されないが、例えば、GATA1、GATA2、CMyc、hTERT、p53、EPO、SCF、インスリン、EPO−R、SCF−R、トランスフェリン−R、インスリン−Rを含む、転写因子、増殖因子または増殖因子受容体をコードする遺伝子を含み得る。
一部の実施形態では、CD34+細胞を、3つの別個の分化段階で、合計22日間、変動する量のIMDM、FBS、グルタミン、BSA、ホロトランスフェリン、インスリン、デキサメタゾン、β−エストラジオール、IL−3、SCFおよびエリスロポエチンを含有する培養物中に入れる。
一部の実施形態では、CD34+細胞を、3つの別個の分化段階で、合計14日間、変動する量のIMDM、FBS、グルタミン、BSA、ホロトランスフェリン、インスリン、デキサメタゾン、β−エストラジオール、IL−3、SCFおよびトロンボポエチンを含有する培養物中に入れる。
一部の実施形態では、CD34+細胞を、3つの別個の分化段階で、合計15日間、変動する量のIMDM、FBS、グルタミン、BSA、ホロトランスフェリン、インスリン、デキサメタゾン、β−エストラジオール、IL−3、SCFおよびGCSFを含有する培養物中に入れる。
一部の実施形態では、赤血球系細胞を、少なくとも100、1000、2000、5000、10,000、20,000、50,000または100,000倍(必要に応じて、最大100,000、200,000または500,000倍)拡大する。細胞数を、一部の実施形態では、自動細胞計数機を使用して測定する。
一部の実施形態では、赤血球系細胞の集団は、少なくとも30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または98%(必要に応じて、最大約80、90または100%)の操作された赤血球系細胞を含む。除核を、一部の実施形態では、核染色を使用するFACSによって測定する。一部の実施形態では、集団中の少なくとも30、35、40、45、50、55、60、65、70、75または80%(必要に応じて、最大約70、80、90または100%)の赤血球系細胞は、外因性ポリペプチドのうち1つまたは複数(例えば、2、3、4つまたはそれより多く)を含む。ポリペプチドの発現を、一部の実施形態では、ポリペプチドに対して標識された抗体を使用して赤血球系細胞によって測定する。一部の実施形態では、集団中の少なくとも30、35、40、45、50、55、60、65、70、75または80%(必要に応じて、最大約70、80、90または100%)の赤血球系細胞は、除核されており、外因性ポリペプチドのうち1つまたは複数(例えば、2、3、4つまたはそれより多く)を含む。一部の実施形態では、赤血球系細胞の集団は、約1×109〜2×109、2×109〜5×109、5×109〜1×1010、1×1010〜2×1010、2×1010〜5×1010、5×1010〜1×1011、1×1011〜2×1011、2×1011〜5×1011、5×1011〜1×1012、1×1012〜2×1012、2×1012〜5×1012または5×1012〜1×1013個の細胞を含む。
一部の実施形態では、培養中に、in vitroで赤血球系始原細胞、例えば、造血幹細胞を部分的にのみ分化させ、in vivoで対象へ導入された際に、さらなる分化、例えば、網状赤血球または完全に成熟した赤血球への分化が生じることを可能にすることは、望ましいものであり得る(例えば、Neildez-Nguyen et al., Nature Biotech. 20:467-472 (2002)を参照されたい)。本発明の種々の実施形態では、in vitroでの成熟および/または分化を、所望の任意の段階で停止できることは理解されよう。例えば、本明細書において別の場所に記載の通り、例えば、インターロイキン3、Flt3リガンド、幹細胞因子、トロンボポエチン、エリスロポエチン、トランスフェリンおよびインスリン増殖因子を含む種々の因子を含有する、例えば、培地中で、単離されたCD34+造血幹細胞を、分化の所望の段階に到達するようにin vitroで拡大できる。得られた操作された赤血球系細胞を、CD36およびGPAの表面発現ならびに個々の所望の細胞種に特異的なその他の特徴によって特徴付けることができ、成熟赤血球への最終分化が生じることが許容される対象に注入できる。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞を、赤血球系始原細胞から、除核の前であるがそれを含まない成熟の任意の段階に部分的に拡大し、したがって、有核細胞、例えば、赤血球系前駆細胞のままである。ある特定の実施形態では、得られる細胞は、有核化され、赤血球系統制限されている。ある特定の実施形態では、得られる細胞は、多能性骨髄系始原細胞、CFU−S細胞、BFU−E細胞、CFU−E細胞、前正赤芽球(前赤芽球)、好塩基性正赤芽球、多染性正赤芽球および正染性正赤芽球から選択される。除核を含む最終分化ステップは、対象への操作された赤血球系細胞の投与後にのみ生じる、すなわち、このような実施形態では、除核ステップは、in vivoで生じる。別の実施形態では、操作された赤血球系細胞を、除核の段階を通して、例えば、網状赤血球になるようにin vitroで拡大および分化させる。操作された赤血球系細胞が網状赤血球(reticuloyctes)の段階へ分化されるこのような実施形態では、赤血球になる最終分化ステップは、対象へ操作された赤血球系細胞を投与した後にのみ生じる、すなわち、最終分化ステップは、in vivoで生じる。別の実施形態では、操作された赤血球系細胞を、最終分化段階を通して、赤血球になるようにin vitro拡大および分化させる。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、赤血球系始原細胞、例えば、造血幹細胞から、種々の系統の造血細胞になる、例えば、血小板になるように拡大および分化させることができることはさらに認識されよう。種々の系統の造血細胞、例えば、血小板を成熟および分化させる方法は、当業者には周知である。本明細書に記載の通り、外因性ポリペプチドを発現するこのような操作された血小板は、本発明によって包含されると考えられる。
上記の態様および実施形態の一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、除核細胞である。上記の態様および実施形態の一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、有核細胞である。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、赤血球系始原細胞、例えば、造血幹細胞から、種々の系統の造血細胞になる、例えば、血小板になるように拡大および分化させることができることはさらに認識されよう。種々の系統の造血細胞、例えば、血小板を成熟および分化させる方法は、当業者には周知である。一部の実施形態では、本明細書に記載の通り、外因性ポリペプチドを発現するこのような操作された血小板は、本発明によって包含されると考えられる。
上記の態様および実施形態の一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、除核細胞である。上記の態様および実施形態の一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、有核細胞である。
一部の実施形態では、本明細書において提供される除核細胞は、血小板である。in vitroで血小板を生産する方法は、当技術分野で公知である(例えば、Wang and Zheng (2016) Springerplus 5(1): 787および米国特許第9,574,178号を参照のこと)。外因性ポリペプチドを含む血小板を生産する方法は、例えば、各々、その全文で参照により本明細書に組み込まれる、国際特許出願公開番号WO2015/073587およびWO2015/153102に記載されている。血小板産生は、トロンボポエチン(TPO)とその細胞性受容体TPOR/MPUc−MPLの間の相互作用によって誘導されるシグナル伝達機序によって幾分か調節される。さらに、複数のサイトカイン(例えば、幹細胞因子(SCF)、IL−1、IL−3、IL−6、IL−11、白血病抑制因子(LIF)、G−CSF、GM−CSF、M−CSF、エリスロポエチン(EPO)、kitリガンドおよびインターフェロン)が、血小板減少性(thrombocytopoietic)活性を有すると示されている。
一部の実施形態では、血小板を造血前駆細胞、例えば、CD34+造血幹細胞、人工多能性幹細胞または胚幹細胞から作製する。一部の実施形態では、マルチステップ培養プロセスにおいて前駆細胞を規定の因子と接触させることによって、血小板を産生する。一部の実施形態では、マルチステップ培養プロセスは、造血前駆細胞の集団を、巨核球前駆細胞の集団を産生するのに適した条件下で培養することおよび巨核球前駆細胞の集団を血小板を産生するのに適した条件下で培養することを含む。前駆細胞を拡大および分化させ、血小板を産生するのに適している成長および分化因子のカクテルは、当技術分野で公知である。適した拡大および分化因子の例として、これだけに限定されないが、幹細胞因子(SCF)、Flt−3/Flk−2リガンド(FL)、TPO、IL−11、IL−3、IL−6およびIL−9が挙げられる。例えば、一部の実施形態では、血小板は、CD34+ HSCを2〜4×104個細胞/mLで血清不含培地に播種することおよび培養4日目に等体積の培地を添加することによって培地をリフレッシュすることによって産生できる。培養6日目に、細胞を計数し、解析する:1.5×105個細胞を洗浄し、1mLのTPO(30ng/mL)、SCF(1ng/mL)、IL−6(7.5ng/mL)およびIL−9(13.5ng/mL)を含むサイトカインカクテルを補給した同一培地中に入れて、巨核球分化を誘導する。培養10日目に、懸濁培養物の約1/4〜約1/2を新鮮培地と置換する。細胞を加湿雰囲気(10% CO2)中、最初の6培養日間を39℃で、最後の8培養日間を37℃で培養する。トリパンブルー染色後に生存有核細胞を血球算定器を用いて計数する。培養中の血小板の分化状態は、参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願公開番号WO2015/073587の実施例44および45に記載されるように、フローサイトメトリーまたは定量的PCRによって評価できる。
その他の特徴
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞(例えば、操作された除核赤血球系細胞)または操作された除核細胞または操作された赤血球系細胞の集団または操作された除核細胞は、内因性GPA(C235a)、トランスフェリン受容体(CD71)、Band3(CD233)またはインテグリンアルファ4(C49d)のうち1つまたは複数(例えば、すべて)を含む。これらのタンパク質は、例えば、その全文で参照により本明細書に組み込まれる国際出願公開番号WO2018/009838の実施例10に記載の通り測定できる。GPA陽性細胞およびBand3陽性細胞のパーセンテージは、通常、赤血球系細胞の成熟期間を増大し、インテグリンアルファ4陽性のパーセンテージは、通常、成熟を通じて高いままである。
一部の実施形態では、赤血球系細胞の集団は、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%または95%(必要に応じて、最大90または100%)のGPAについて陽性である細胞を含む。GPAの存在を、一部の実施形態では、FACSを使用して検出する。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞(操作された除核赤血球系細胞)または操作された除核細胞の集団は、少なくとも約50%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%のGPA+(すなわち、CD235a+)細胞を含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞(操作された除核赤血球系細胞)または操作された除核細胞の集団は、約50%から約100%(例えば、約60%から約100%、約65%から約100%、約70%から約100%、約75%から約100%、約80%から約100%、約85%から約100%、約90%から約100%、約95%から約100%、約75%から約99%、約80%から約99%、約85%から約99%、約90%から約99%、約95%から約99%、約75%から約95%、約80%から約95%、約85%から約95%、約90%から約95%、約95%から約98%)の間のGPA+細胞を含む。GPAの存在を、一部の実施形態では、FACSを使用して検出する。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞(操作された除核赤血球系細胞)または操作された除核細胞の集団は、少なくとも約50%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のCD71+細胞を含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞(操作された除核赤血球系細胞)または操作された除核細胞の集団は、約70%から約100%の間(例えば、約75%〜約100%、約80%〜約100%、約85%〜約100%、約90%〜約100%、約95%〜約100%、約75%〜約99%、約80%〜約99%、約85%〜約99%、約90%〜約99%、約95%〜約99%、約75%〜約95%、約80%〜約95%、約85%〜約95%、約90%〜約95%、約95%〜約98%)のCD71+細胞を含む。CD71(トランスフェリン受容体)の存在は、一部の実施形態では、FACSを使用して検出される。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞(操作された除核赤血球系細胞)または操作された除核細胞の集団は、少なくとも約50%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のCD233+細胞を含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞(操作された除核赤血球系細胞)または操作された除核細胞の集団は、約70%から約100%の間(例えば、約75%〜約100%、約80%〜約100%、約85%〜約100%、約90%〜約100%、約95%〜約100%、約75%〜約99%、約80%〜約99%、約85%〜約99%、約90%〜約99%、約95%〜約99%、約75%〜約95%、約80%〜約95%、約85%〜約95%、約90%〜約95%、約95%〜約98%)のCD233+細胞を含む。CD233(バンド3)の存在は、一部の実施形態では、FACSを使用して検出される。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞(操作された除核赤血球系細胞)または操作された除核細胞の集団は、少なくとも約50%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のCD47+細胞を含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞(操作された除核赤血球系細胞)または操作された除核細胞の集団は、約70%から約100%の間(例えば、約75%〜約100%、約80%〜約100%、約85%〜約100%、約90%〜約100%、約95%〜約100%、約75%〜約99%、約80%〜約99%、約85%〜約99%、約90%〜約99%、約95%〜約99%、約75%〜約95%、約80%〜約95%、約85%〜約95%、約90%〜約95%、約95%〜約98%)のCD47+細胞を含む。CD47(インテグリン関連タンパク質)の存在は、一部の実施形態では、FACSを使用して検出される。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞(操作された除核赤血球系細胞)または操作された除核細胞の集団は、少なくとも約50%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のCD36−(CD36陰性)細胞を含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞(操作された除核赤血球系細胞)または操作された除核細胞の集団は、約70%から約100%の間(例えば、約75%〜約100%、約80%〜約100%、約85%〜約100%、約90%〜約100%、約95%〜約100%、約75%〜約99%、約80%〜約99%、約85%〜約99%、約90%〜約99%、約95%〜約99%、約75%〜約95%、約80%〜約95%、約85%〜約95%、約90%〜約95%、約95%〜約98%)のCD36−(CD36陰性)細胞を含む。CD36の存在は、一部の実施形態では、FACSを使用して検出される。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞(操作された除核赤血球系細胞)または操作された除核細胞の集団は、少なくとも約50%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のCD34−(CD34陰性)細胞を含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞(操作された除核赤血球系細胞)または操作された除核細胞の集団は、約70%から約100%の間(例えば、約75%〜約100%、約80%〜約100%、約85%〜約100%、約90%〜約100%、約95%〜約100%、約75%〜約99%、約80%〜約99%、約85%〜約99%、約90%〜約99%、約95%〜約99%、約75%〜約95%、約80%〜約95%、約85%〜約95%、約90%〜約95%、約95%〜約98%)のCD34−(CD34陰性)細胞を含む。CD34の存在は、一部の実施形態では、FACSを使用して検出される。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞(操作された除核赤血球系細胞)または操作された除核細胞の集団は、少なくとも約50%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のCD235a+/CD47+/CD233+細胞を含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞(操作された除核赤血球系細胞)または操作された除核細胞の集団は、約70%から約100%の間(例えば、約75%〜約100%、約80%〜約100%、約85%〜約100%、約90%〜約100%、約95%〜約100%、約75%〜約99%、約80%〜約99%、約85%〜約99%、約90%〜約99%、約95%〜約99%、約75%〜約95%、約80%〜約95%、約85%〜約95%、約90%〜約95%、約95%〜約98%)のCD235a+/CD47+/CD233+細胞を含む。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞(操作された除核赤血球系細胞)または操作された除核細胞の集団は、少なくとも約50%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のCD235a+/CD47+/CD233+/CD34−/CD36−細胞を含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞(操作された除核赤血球系細胞)または操作された除核細胞の集団は、約70%から約100%の間(例えば、約75%〜約100%、約80%〜約100%、約85%〜約100%、約90%〜約100%、約95%〜約100%、約75%〜約99%、約80%〜約99%、約85%〜約99%、約90%〜約99%、約95%〜約99%、約75%〜約95%、約80%〜約95%、約85%〜約95%、約90%〜約95%、約95%〜約98%)のCD235a+/CD47+/CD233+/CD34−/CD36−細胞を含む。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞(操作された除核赤血球系細胞)または赤血球系細胞を含む操作された除核細胞の集団は、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%未満の棘状赤血球を含む。
一部の実施形態では、赤血球系細胞を含む操作された赤血球系細胞(例えば、本明細書において記載されるような人工抗原提示細胞)の集団は、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%未満の棘状赤血球を含む。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞(操作された除核赤血球系細胞)または操作された除核細胞の集団は、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%未満のピレノサイトを含む。
一部の実施形態では、赤血球系細胞は、除核され、例えば、本明細書において記載される治療調製物として使用される赤血球系細胞を含む細胞の集団は、50%、60%、70%、80%、90%より多く除核される。一部の実施形態では、細胞、例えば、赤血球系細胞は、非機能性である、例えば、不活性化されている核を含有する。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、除核細胞である。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、有核細胞である。
外因性刺激性ポリペプチドの発現
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞、例えば、本明細書において記載される除核細胞は、適した単離細胞、例えば、赤血球系細胞、網状赤血球、赤血球系前駆細胞、血小板または血小板前駆体を、本開示の刺激性ポリペプチド(例えば、IL−1、IL−2、IL−12、IL−15、IL−15/IL−15RA融合物、IL−18、IL−21、IFNα、4−1BBL、MICA、MICB、PVR/CD155、CD48、HLA−A、HLA−C、HLA−G、HS、HLA−E、CpG、IgG、ULBP、MIC、B7−H6、NkP44L、Nectin2、NTBA、AICLおよびIGF−1)をコードする外因性核酸と接触させることによって作製される。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、除核細胞である。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、有核細胞である。
一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、DNAによってコードされ、これが、有核赤血球系前駆細胞または有核血小板前駆体細胞と接触される。一部の実施形態では、外因性ポリペプチドは、RNAによってコードされ、これが、血小板、有核(nucleate)赤血球系細胞、有核血小板前駆体細胞または網状赤血球と接触される。一部の実施形態では、外因性ポリペプチドは、一次血小板、有核赤血球系細胞、有核血小板前駆体細胞、網状赤血球または赤血球と接触される。
外因性刺激性ポリペプチドは、電気穿孔、化学的もしくはポリマートランスフェクション、ウイルスによる形質導入、機械的膜破壊もしくはその他の方法によって赤血球系細胞中に導入された導入遺伝子から発現できる;電気穿孔、化学的もしくはポリマートランスフェクション、ウイルスによる形質導入、機械的膜破壊もしくはその他の方法によって細胞中に導入されるmRNAから発現される外因性ポリペプチド;外部因子、例えば、転写アクチベーター、転写レプレッサーもしくは分泌経路エンハンサーの導入によって天然遺伝子座から過剰発現される外因性ポリペプチド;および/または産生細胞もしくはその他の外部系から合成、抽出または産生され、赤血球系細胞中に組み込まれるポリペプチド。
外因性刺激性ポリペプチド(例えば、IL−1、IL−2、IL−12、IL−15、IL−15/IL−15RA融合物、IL−18、IL−21、IFNα、4−1BBL、MICA、MICB、PVR/CD155、CD48、HLA−A、HLA−C、HLA−G、HS、HLA−E、CpG、IgG、ULBP、MIC、B7−H6、NkP44L、Nectin2、NTBA、AICLおよびIGF−1)を、遺伝子の単一もしくは複数のコピーのトランスフェクション、ウイルスを用いる形質導入またはDNAもしくはRNAの存在下での電気穿孔によって導入できる。哺乳動物細胞において外因性タンパク質を発現させる方法は、当技術分野で周知である。例えば、造血細胞における外因性因子IXの発現は、CD34+前駆細胞のウイルスによる形質導入によって誘導される、Chang et al., Nat Biotechnol 2006, 24:1017を参照されたい。
一部の実施形態では、1つより多い刺激性ポリペプチド(例えば、2つまたはそれより多い)がある場合には、刺激性ポリペプチドは、単一核酸、例えば、単一ベクター中にコードされる。実施形態では、単一ベクターは、各遺伝子について別個のプロモーターを有し、中央にプロテアーゼ切断部位を有する単一ポリペプチドに最初に転写される2つのタンパク質を有し、その結果、その後のタンパク質分解プロセシングが、2つのタンパク質または任意のその他の適した立体配置をもたらす。一部の実施形態では、2つまたはそれより多いポリペプチドは、2つまたはそれより多い核酸中にコードされる、例えば、各ベクターは、ポリペプチドうちの1つをコードする。
外因性ポリペプチドを産生するためのDNA発現ベクターまたはmRNAなどの核酸を、本明細書に記載の外因性ポリペプチドを産生するのに適している前駆細胞(例えば、赤血球系細胞前駆体または血小板前駆体などの)の中に導入できる。前駆細胞は、元の供給源から単離できる、または本明細書において提供される通り、日常的な組換え技術によって拡大された前駆細胞集団から得ることができる。一部の場合には、発現ベクターを、当技術分野で公知の方法による相同または非相同組換えによって細胞のゲノム中に組み込むことができるように設計できる。
一部の実施形態では、造血前駆細胞、例えば、CD34+造血前駆細胞を、1つまたは複数の外因性ポリペプチドをコードする核酸(単数または複数)と接触させ、細胞が培養において拡大および分化することを可能にする。
一部の実施形態によれば、1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドを、トランスフェクションのためにプラスミド構築物中にクローニングすることができる。本明細書に記載の操作された赤血球系細胞を産生するのに適している細胞中に発現ベクターを移すための方法として、これだけに限定されないが、ウイルス媒介性遺伝子導入、リポソーム媒介性トランスファー、形質転換、遺伝子銃、トランスフェクションおよび形質導入、例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスおよびヘルペスウイルスならびにレトロウイルスベースのベクターなどのDNAウイルスに基づくベクターの使用などのウイルス媒介性遺伝子導入が挙げられる。遺伝子導入の様式の例として、例えば、裸のDNA、CaPO4沈殿、DEAEデキストラン、電気穿孔、プロトプラスト融合、リポフェクションおよび細胞マイクロインジェクションが挙げられる。
一部の実施形態によれば、各外因性刺激性ポリペプチドをコードする組換えDNAを、赤血球系細胞への組込みのためにレンチウイルスベクタープラスミド中にクローニングできる。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、赤血球系細胞への組込みのために単一外因性刺激性ポリペプチドをコードするDNAを含む。他の実施形態では、レンチウイルスベクターは、赤血球系細胞への組込みのために、本明細書に記載の通り、2つ、3つ、4つまたはそれより多い外因性刺激性ポリペプチドを含む。一部の実施形態によれば、1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドをコードする組換えDNAを、抗生物質耐性遺伝子などの選択可能な形質をコードするプラスミドDNA構築物中にクローニングすることができる。一部の実施形態によれば、外因性刺激性ポリペプチドをコードする組換えDNAを、赤血球系細胞において各組換えタンパク質を安定に発現するように適応しているプラスミド構築物中にクローニングすることができる。
一部の実施形態によれば、外因性刺激性ポリペプチド配列(例えば、1つ、2つ、3つ、4つまたはそれより多い外因性ポリペプチド配列)を有するトランスファーベクター、エンベロープベクターおよびパッケージングベクターが、ウイルス産生のために宿主細胞中に各々トランスフェクトされるレンチウイルス系を使用できる。一部の実施形態によれば、リン酸カルシウム沈殿トランスフェクション、脂質ベースのトランスフェクションまたは電気穿孔のいずれかによって、レンチウイルスベクターを宿主細胞中にトランスフェクトすることができ、一晩インキュベートする。外因性刺激性ポリペプチド配列が、蛍光リポーターを伴い得る実施形態については、一晩インキュベートした後に、蛍光についての宿主細胞の検査を調べることができる。ウイルス粒子を含む宿主細胞の培養培地を、8〜12時間毎に2または3回回収し、遠心分離して剥離した細胞および細片を沈降させることができる。次いで、必要に応じて、培養培地を直接使用する、凍結する、または濃縮することができる。
成熟赤血球への分化を可能にする適した条件、例えば、本明細書に記載のin vitro培養プロセス下で、外因性刺激性ポリペプチドをコードする外因性核酸のトランスファーの前駆細胞対象を培養できる。得られた赤血球は、成熟赤血球と関連しているタンパク質、例えば、ヘモグロビン、グリコホリンAならびに標準方法(例えば、ウエスタンブロッティングまたはFACS解析)によって検証および定量化できる外因性刺激性ポリペプチドを提示する。複数の外因性刺激性ポリペプチドを含む単離された成熟赤血球、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む単離された成熟赤血球ならびにMICA、MICBおよびIGF−1からなる群から選択される少なくとも1つの外因性刺激性ポリペプチドを含む単離された成熟除核赤血球は、本開示の操作された赤血球系細胞の限定されない例である。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞を、赤血球系前駆細胞を、外因性刺激性ポリペプチドをコードする外因性核酸と接触させることによって作製する。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、赤血球系前駆細胞と接触されるRNAによってコードされる。
単離された赤血球系前駆細胞を、1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドをコードするmRNAを用いてトランスフェクトし、操作された赤血球系細胞を作製できる。メッセンジャーRNAは、1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドに対応するコード配列を含有するcDNAプラスミド構築物のin vitro転写から導くことができる。例えば、外因性刺激性ポリペプチドに対応するcDNA配列を、特定のRNAポリメラーゼと適合するプロモーター配列を含有するクローニングベクター中に挿入できる。例えば、クローニングベクターZAP EXPRESS pBK−CMV(Stratagene、La Jolla、Calif.、USA)は、それぞれ、T3およびT7 RNAポリメラーゼと適合するT3およびT7プロモーター配列を含有する。センスmRNAのin vitro転写のために、外因性ポリペプチドのコード配列の末端に対応する停止コドン(複数可)の下流の制限部位でプラスミドを線形化する。mRNAを、例えば、RNAMAXX High Yield転写キット(Stratagene製、La Jolla、Calif.、USA)などの市販のキットを使用して線形DNA鋳型から転写する。一部の場合には、5’−m7GpppGキャップを有するmRNAを作製することは望ましいものであり得る。そのようなものとして、線形化cDNA鋳型の転写は、例えば、Ambion(Austin、Tex.、USA)製のmMESSAGE mMACHINE High Yield Capped RNA転写キットを使用して実施できる。転写は、37℃で30分〜4時間、20〜100μlの反応体積で実施できる。転写されたmRNAを、DNアーゼIを用いる短時間の処置によって反応ミックスから精製して、線形化DNA鋳型を排除し、続いて、塩化リチウム、酢酸ナトリウムまたは酢酸アンモニウムの存在下、70%エタノール中で沈殿させる。転写されたmRNAの完全性は、アガロース−ホルムアルデヒドゲルまたは市販のNovexプレキャストTBEゲル(例えば、Novex、Invitrogen、Carlsbad、Calif.、USA)を用いる電気泳動を使用して評価できる。
例えば、リポフェクションおよび電気穿孔を含むさまざまなアプローチを使用して、1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドをコードするメッセンジャーRNAを網状赤血球中に導入できる(van Tandeloo et al., Blood 98:49-56 (2001))。リポフェクションのために、5μgのin vitro転写されたmRNAを、例えば、Opti−MEM(Invitrogen、Carlsbad、Calif.、USA)中でカチオン性脂質DMRIE−C(Invitrogen)と1:4比で5〜15分間インキュベートする。あるいは、例えば、DOTAP、種々の形態のポリエチレンイミンおよびポリL−リシン(Sigma−Aldrich、Saint Louis、Mo.、USA)およびSuperfect (Qiagen、Inc.、Valencia、Calif.、USA;例えば、Bettinger et al., Nucleic Acids Res. 29:3882-3891 (2001)を参照されたい)を含む、さまざまなその他のカチオン性脂質またはカチオン性ポリマーを、mRNAを用いて細胞をトランスフェクトするために使用できる。得られたmRNA/脂質複合体を、細胞(1〜2×106個細胞/ml)とともに37℃で2時間インキュベートし、洗浄し、培養に戻す。電気穿孔のために、例えば、500μlのOpti−MEM(Invitrogen、Carlsbad、Calif.、USA)中の約5〜20×106個細胞を約20μgのin vitro転写されたmRNAと混合し、例えば、Easyject Plusデバイス(EquiBio、Kent、United Kingdom)を使用して0.4cmキュベット中で電気穿孔する。一部の場合には、特定のmRNAの網状赤血球へのトランスフェクションのための有用な条件を決定するために種々の電圧、電気容量および電気穿孔体積を試験することが必要であり得る。一般に、mRNAを用いて細胞を効率的にトランスフェクトするために必要な電気穿孔パラメーターは、細胞に対して、DNAの電気穿孔のために必要なものよりもあまり有害ではないと思われる(van Tandeloo et al., Blood 98:49-56 (2001))。
あるいは、ペプチド媒介性RNA送達戦略を使用して、mRNAを赤血球系前駆細胞中にトランスフェクトできる(例えば、Bettinger et al., Nucleic Acids Res. 29:3882-3891 (2001)を参照されたい)。例えば、特に、有糸分裂後一次細胞において、カチオン性脂質ポリエチレンイミン2kDA(Sigma−Aldrich、Saint Louis、Mo.、USA)をメリチンペプチド(Alta Biosciences、Birmingham、UK)と組み合わせて、mRNAトランスフェクションの効率を増大することができる。メリチンペプチドを、ジスルフィドクロスリンカー、例えば、ヘテロ二官能性クロスリンカースクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネートなどを使用してPEIにコンジュゲートできる。in vitro転写されたmRNAをメリチン−PEIとともに5〜15分間プレインキュベートして、RNA/ペプチド/脂質複合体を形成する。次いで、この複合体を、5%CO2加湿環境において血清不含培養培地中で細胞に37℃で2〜4時間添加し、次いで、除去し、トランスフェクトされた細胞を培養で成長し続けさせる。
一部の実施形態では、適した単離された赤血球系前駆細胞または血小板前駆体細胞を、1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドをコードする外因性核酸と接触させることによって操作された赤血球系細胞を作製する。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、DNAによってコードされ、これが、有核赤血球系前駆細胞または有核血小板前駆体細胞と接触される。一部の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドは、RNAによってコードされ、これが、血小板、有核赤血球系細胞または有核血小板前駆体細胞と接触される。
1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドを、一過性または安定トランスフェクションおよび遺伝子療法アプローチを含むさまざまなDNA技術を使用して最終分化前に赤血球系前駆細胞、血小板前駆体または有核赤血球系細胞中に遺伝子導入できる。外因性刺激性ポリペプチドを、成熟赤血球または血小板の表面に、および/または細胞質中に発現させることができる。
1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドをコードするDNAを用いて細胞をトランスフェクトするために、ウイルスによる遺伝子導入を使用できる。例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV1)などのレンチウイルスおよび泡沫状ウイルスなどのスプーマウイルスを含むいくつかのウイルスを、遺伝子導入媒体として使用できる(例えば、Osten et al., HEP 178:177-202 (2007)を参照されたい)。レトロウイルスは、例えば、ヒト細胞を含む哺乳動物細胞を効率的に形質導入し、染色体中に組み込まれ、安定遺伝子導入を与える。
1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドを、赤血球系前駆細胞、血小板前駆体細胞または有核赤血球系細胞中にトランスフェクトし、成熟赤血球または血小板において発現させ、その後保持し、示すことができる。適したベクターとして、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)ベクター骨格がある(Malik et al., Blood 91:2664-2671 (1998))。MMLVに基づくベクター、発がん性レトロウイルスが、遺伝子療法臨床試験において現在使用されている(Hossle et al., News Physiol. Sci. 17:87-92 (2002))。例えば、外因性刺激性ポリペプチドをコードするcDNAを含有するDNA構築物を、標準分子生物学技術を使用してMMLVベクター骨格において作製できる。構築物を、パッケージング細胞系、例えば、PA317細胞などにトランスフェクトし、ウイルス上清を使用して、プロデューサー細胞、例えば、PG13細胞などをトランスフェクトする。PG13ウイルス上清を、本明細書に記載の通り、単離され、培養されている、または新たに単離された赤血球系前駆細胞、血小板前駆体または有核赤血球系細胞とともにインキュベートする。操作された赤血球系細胞の表面に位置している場合には、外因性ポリペプチドの発現を、例えば、蛍光標識された外因性刺激性ポリペプチドに対する抗体を用いるFACS解析(蛍光活性化細胞選別)を使用してモニタリングできる。同様の方法を使用して、操作された赤血球系細胞の内側に位置する外因性ポリペプチドを発現させることができる。
必要に応じて、ウイルスベースのアプローチ(Tao et al., Stem Cells 25:670-678 (2007))を使用して、蛍光追跡分子、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)などをトランスフェクトできる。強化緑色蛍光タンパク質(EGFP)または赤色蛍光タンパク質(例えば、DsRed−Express)をコードするDNAを含有するエコトロピック(Ecotopic)レトロウイルスベクターを、パッケージング細胞、例えば、Phoenix−Eco細胞系(Orbigen、San Diego、Calif.によって配布される)を使用してパッケージングする。パッケージング細胞系は、例えば、gag、polおよびenvを含む適切なウイルスパッケージングに必要なウイルスタンパク質を安定に発現する。ウイルス粒子が与えられたPhoenix−Eco細胞から得た上清を使用して、例えば、赤血球系前駆細胞、血小板前駆体または有核赤血球系細胞に形質導入する。一部の場合には、特別にコーティングされた表面、例えば、組換えフィブロネクチンの断片などで形質導入を実施して、レトロウイルス媒介性遺伝子導入の効率を改善できる(例えば、RetroNectin、Takara Bio USA、Madison、Wis.)。細胞を、RetroNectinコーティングされたプレート中で、レトロウイルスPhoenix−Eco上清および適した補助因子とともにインキュベートする。形質導入を翌日に繰り返すことができる。この場合には、EGFPまたはDsRed−Expressを発現する細胞のパーセンテージをFACSによって評価することができる。形質導入効率を評価するために使用できるその他のリポーター遺伝子として、例えば、ベータ−ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼおよびルシフェラーゼならびに低親和性神経増殖因子受容体(LNGFR)およびヒト細胞表面CD24抗原が挙げられる(Bierhuizen et al., Leukemia 13:605-613 (1999))。
適した赤血球系細胞、血小板またはその前駆体中に遺伝物質を導入するために非ウイルスベクターを使用して、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞を作製できる。非ウイルス媒介性遺伝子導入は、プラスミドベクターがタンパク質を含有しない、より毒性が少ない、スケールアップすることがより容易である、宿主細胞の優先がないという点でウイルス媒介性遺伝子導入とは異なる。プラスミドベクターの「裸のDNA」は、ポリペプチドをコードする遺伝物質の細胞への送達においてそれ自体では非効率的であり、したがって、細胞へ入ることを可能にする遺伝子送達方法と組み合わせる。化学的および物理的方法を含むいくつかの送達方法を使用して、非ウイルスベクターを適した赤血球系細胞、血小板またはそれらの前駆体中に移すことができる。
1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドをコードする非ウイルスベクターを、カチオン性脂質およびポリマーなどの合成高分子を使用して適した赤血球系細胞、血小板またはそれらの前駆体中に導入することができる(Papapetrou et al., Gene Therapy 12:S118-S130 (2005))。カチオン性リポソームは、例えば、電荷相互作用によってDNAと複合体を形成する。正電荷を有するDNA/脂質複合体は、負の細胞表面と結合し、エンドサイトーシスによって細胞により取り込まれる。このアプローチを使用して、例えば、造血細胞をトランスフェクトできる(例えば、Keller et al., Gene Therapy 6:931-938 (1999)を参照されたい)。赤血球系細胞、血小板またはそれらの前駆体については、プラスミドDNA(25〜100μLの血清不含培地、例えば、OptiMEM(Invitrogen、Carlsbad、Calif.)中、およそ0.5μg)を、カチオン性リポソーム(25μ.Lの血清不含培地中、およそ4μ.g)、例えば、市販のトランスフェクション試薬Lipofectamine.TM.(Invitrogen、Carlsbad、Calif.)と混合し、少なくとも20分間インキュベートして、複合体を形成させる。DNA/リポソーム複合体を、適した赤血球系細胞、血小板またはそれらの前駆体に添加し、5〜24時間インキュベートを可能とし、その時間の後、ポリペプチドの導入遺伝子発現を評価できる。あるいは、その他の市販のリポソームトランスフェクション剤を使用してもよい(例えば、In vivo GeneSHUTTLE.、Qbiogene、Carlsbad、Calif.)。
必要に応じて、赤血球系細胞前駆細胞、例えば、造血および臍帯血由来CD34+細胞を効率的にトランスフェクトするために、カチオン性ポリマー、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)などを使用できる(例えば、Shin et al., Biochim. Biophys. Acta 1725:377-384 (2005)を参照されたい)。ヒト臍帯血からヒトCD34+細胞を単離し、200ng/mlの幹細胞因子および20%の熱不活性化ウシ胎児血清を補給したIscoveの改変Dulbecco培地中で培養する。外因性刺激性ポリペプチドをコードするプラスミドDNAを、0.8K〜750Kで大きさの変動する分岐または直鎖PEIとともにインキュベートする(Sigma Aldrich、Saint Louis、Mo.、USA;Fermetas、Hanover、Md.、USA)。PEIを、4.2mg/ml蒸留水でストック溶液として調製し、HClを使用してpH5.0へわずかに酸性化する。DNAの1μgが3nmolのリン酸を含有し、PEIストック溶液の1μlが10nmolのアミン窒素を含有するという計算に基づいて、DNAをPEIと、種々の窒素/リン酸比で室温で30分間組み合わせることができる。単離されたCD34+細胞をDNA/カチオン性複合体とともに播種し、280×gで5分間遠心分離し、ポリペプチドの遺伝子発現が評価されるまで培養培地中で4時間またはそれより多くインキュベートする。
プラスミドベクターを、物理的方法、例えば、粒子媒介性トランスフェクション、「遺伝子銃」、微粒子銃(biolistics)または微粒子銃(particle bombardment)技術(Papapetrou, et al., (2005) Gene Therapy 12:S118-S130)を使用して適した赤血球系細胞、血小板またはそれらの前駆体中に導入できる。この場合には、ポリペプチドをコードするDNAが、金粒子上に吸収され、パーティクルガンによって細胞に投与される。このアプローチを、例えば、赤血球系始原細胞、例えば、臍帯血由来の造血幹細胞をトランスフェクトするために使用できる(例えば、Verma et al., Gene Therapy 5:692-699 (1998)を参照されたい)。そのようなものとして、臍帯血を単離し、リン酸緩衝食塩水で3倍希釈する。抗CD34モノクローナル抗体を、二次抗体でコーティングされた磁性マイクロビーズおよび磁性単離システムと組み合わせて使用してCD34+細胞を精製する(例えば、Miltenyi MiniMac System、Auburn、Calif.、USA)。CD34+濃縮細胞を、本明細書に記載の通り培養できる。トランスフェクションのために、ポリペプチドをコードするプラスミドDNAを、塩化カルシウムおよびスペルミジンを用いる処置によって、粒子、例えば、金ビーズ上に沈殿させる。DNAによってコーティングされたビーズをエタノールを用いて洗浄した後、ビーズを、例えば、Biolistic PDS−1000/He System(Bio−Rad、Hercules、Calif.、USA)を使用して培養細胞中に送達することができる。リポーター遺伝子、例えば、ベータ−ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ルシフェラーゼまたは緑色蛍光タンパク質などを使用してトランスフェクションの効率を評価できる。
必要に応じて、電気穿孔方法を使用して、プラスミドベクターを適した赤血球系細胞、血小板またはそれらの前駆体中に導入できる。電気穿孔は、細胞膜中に一過性の孔を作出し、例えば、DNAおよびRNAならびに抗体および薬物を含む種々の分子の細胞への導入を可能にする。そのようなものとして、CD34+細胞を、本明細書に記載の通り、単離し、培養する。電気穿孔の直前に、細胞を250×g、室温で10分間の遠心分離によって単離し、0.2〜10×106個の生存細胞/mlで電気穿孔緩衝剤、例えば、1.0%ヒト血清アルブミン(HSA)を補給したX−VIVO 10などに再懸濁する。プラスミドDNA(1〜50μg)を500μlの細胞懸濁液とともに、適当な電気穿孔キュベットに添加する。電気穿孔を、例えば、ECM600電気穿孔機(Genetronics、San Diego、Calif.、USA)を200V〜280Vの範囲の電圧および25〜70ミリ秒の範囲のパルス長を用いて使用して行うことができる。いくつかの代替電気穿孔機器が市販されており、この目的のために使用できる(例えば、Gene Pulser XCELL、BioRad、Hercules、Calif.;Cellject Duo、Thermo Science、Milford、Mass.)。あるいは、単離されたCD34+細胞の効率的な電気穿孔を以下のパラメーターを使用して実施できる:4mmキュベット、1600μF、550V/cmおよび1×105個細胞/mlの500μlの細胞あたり10μgのDNA(Oldak et al., Acta Biochimica Polonica 49:625-632 (2002))。
適した赤血球系細胞、血小板またはそれらの前駆体をトランスフェクトするために、電気穿孔の一形態であるNucleofectionも使用できる。この場合には、トランスフェクションを、DNA(またはその他の試薬)が核に直接輸送されることを可能にし、したがって、細胞質における潜在的分解のリスクを低減する細胞種特異的溶液における電気パラメーターを使用して実施する。例えば、ヒトCD34細胞NYCLEOFECTORキット(Amaxa Inc.製)を使用して、適した赤血球系細胞、血小板またはそれらの前駆体をトランスフェクトできる。この場合には、ヒトCD34細胞NUCLEOFECTOR溶液中の1〜5×106個細胞を1〜5μgのDNAと混合し、生産者によって決定されたような事前にプログラムされた設定を使用してNUCLEOFECTOR機器でトランスフェクトする。
赤血球系細胞、血小板またはそれらの前駆体を、ゲノム中に組み込まれるまで哺乳動物細胞において自己複製できない従来の発現ベクターを用いて非ウイルス的にトランスフェクトできる。あるいは、赤血球系細胞、血小板またはそれらの前駆体を、染色体へ組み込まれずに自己複製性遺伝子単位として宿主核において持続し得るエピソームベクターを用いてトランスフェクトできる(Papapetrou et al., Gene Therapy 12:S118-S130 (2005))。これらのベクターは、普通、例えば、EBV、ヒトポリオーマウイルスBK、ウシ乳頭腫ウイルス−1(BPV−1)、単純ヘルペスウイルス−1(HSV)およびサルウイルス40(SV40)などの潜在感染の際に細胞において染色体外で複製するウイルスに由来する遺伝エレメントを利用する。非ウイルス遺伝子導入のために哺乳動物人工染色体も使用できる(Vanderbyl et al., Exp. Hematol. 33:1470-1476 (2005))。
1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドをコードする外因性核酸を、当技術分野で公知の標準の分子生物学方法、例えば、制限酵素消化、オーバーラップエクステンションPCRおよびGibsonアセンブリーによって発現ベクターにアセンブルできる。
外因性核酸は、細胞表面で外因性刺激性ポリペプチドが発現されるように内因性または天然膜タンパク質をコードする遺伝子に融合された、例えば、赤血球系細胞の細胞表面で通常発現されない1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドをコードする遺伝子を含み得る。例えば、外因性刺激性ポリペプチドをコードする外因性遺伝子を、1型膜タンパク質のリーダー配列の後ろのN末端で、2型膜タンパク質のC末端で、またはGPI連結膜タンパク質のGPI付着部位の上流にクローニングできる。
2つの融合された遺伝子の間に可動性アミノ酸リンカーを導入するために標準クローニング法を使用できる。例えば、可動性リンカーとして、全長抗体からの一本鎖抗体断片の作製においてよく使用されるポリ−グリシンポリ−セリンリンカー、例えば、[Gly4Ser]3(Antibody Engineering: Methods & Protocols, Lo 2004)または一本鎖Arcリプレッサーを作製するために使用されるものなどのala−gly−ser−thrポリペプチド(Robinson & Sauer, PNAS 1998)がある。一部の実施形態では、可動性リンカーは、可動性リンカーを有さない等価構築物よりも多くの可動性および立体的自由を有するポリペプチドを提供する。
2つの融合された遺伝子、例えば、HAエピトープタグ−−アミノ酸YPYDVPDYA(配列番号78)、CMycタグ−−アミノ酸EQKLISEEDL(配列番号79)またはFlagタグ−−アミノ酸DYKDDDDK(配列番号80)をコードする核酸配列などの間にエピトープタグを入れることができる。フローサイトメトリー、ウエスタンブロットまたは免疫沈降によるエピトープタグに対する抗体を使用する発現の容易な検出および定量化のために、エピトープタグを使用できる。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドおよび少なくとも1つのその他の異種ポリペプチドを含む。少なくとも1つのその他の異種ポリペプチドは、蛍光タンパク質であり得る。蛍光タンパク質は、形質導入効率を評価するためにリポーターとして使用できる。一部の実施形態では、両方が同一転写物から作製される場合には、蛍光タンパク質を外因性刺激性ポリペプチドの発現レベルを評価するためにリポーターとして使用する。一部の実施形態では、少なくとも1つのその他のポリペプチドは異種であり、機能、例えば、複数の抗原、複数の捕獲標的、酵素カスケードなどを提供する。一部の実施形態では、組換え核酸は、外因性刺激性ポリペプチドをコードする遺伝子および第2の遺伝子を含み、第2の遺伝子は、ウイルス由来T2A配列(gagggcagaggaagtcttctaacatgcggtgacgtggaggsgsstcccggccct(配列番号81))によって外因性刺激性ポリペプチドをコードする遺伝子から分離され、2つの成熟タンパク質に翻訳後切断される。
一部の実施形態では、赤血球系細胞の集団を、1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドをコードする外因性核酸を含むレンチウイルスベクターとともにインキュベートして、操作された赤血球系細胞を作製し、その特定のプラスミドとして、pLKO.1 puro、PLKO.1−−TRCクローニングベクター、pSico、FUGW、pLVTHM、pLJM1、pLion11、pMD2.G、pCMV−VSV−G、pCI−VSVG、pCMV−dR8.2 dvpr、psPAX2、pRSV−RevおよびpMDLg/pRREを挙げることができる。ベクターを10、100、1,000、10,000pfuで投与し、12時間インキュベートできる。
ある特定の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、第2の外因性刺激性ポリペプチドとコンジュゲートされる第1の外因性刺激性ポリペプチドを提示する除核細胞である。コンジュゲーションは、化学的または酵素的に達成できる。化学的コンジュゲーションは、リンカーの使用を伴って、または伴わずに、外因性抗原提示ポリペプチドと1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドの共有結合によって達成できる。化学的コンジュゲーションは、リンカーの使用を伴って、または伴わずに、同時刺激性ポリペプチドおよび結合対メンバーの共有結合によって達成できる。化学的コンジュゲーションは、リンカーの使用を伴って、または伴わずに、同時阻害性ポリペプチドおよび結合対メンバーの共有結合によって達成できる。このようなコンジュゲートの形成は、当業者の範囲内であり、コンジュゲーションを達成するための種々の技術は公知であり、特定の技術の選択は、コンジュゲートされる材料によって導かれる。イオン化可能側鎖、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、システイン、ヒスチジンまたはチロシンを含有し、ポリペプチド配列の活性部分中に含有されない、ポリペプチド(CまたはN末端)へのアミノ酸の添加は、非プロトン化状態において強力な求核剤として働いて、ポリマー、例えば、ホモ−またはヘテロ−二官能性PEGに付着している反応性基との種々のバイオコンジュゲーション反応に関与する(例えば、Lutolf and Hubbell, Biomacromolecules 2003; 4:713-22, Hermanson, Bioconjugate Techniques, London. Academic Press Ltd; 1996)。
外因性刺激性ポリペプチドの間にその他の分子融合を形成でき、直接または間接コンジュゲーションを含む。外因性ポリペプチドを互いに直接的に、またはリンカーを介して間接的にコンジュゲートできる。リンカーは、ペプチド、ポリマー、アプタマーまたは核酸であり得る。ポリマーは、例えば、天然、合成、直鎖または分岐であり得る。外因性刺激性ポリペプチドは、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドを含む異種融合タンパク質を含むことができ、融合タンパク質は、互いに直接連結される、または介在するリンカー配列および/または一方の末端もしくは両端のさらなる配列とともにポリペプチドを含む。リンカーとのコンジュゲーションは、共有結合またはイオン結合によるものであり得る。
ある特定の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、第2の外因性刺激性ポリペプチドとの複合体で第1の外因性刺激性ポリペプチドを提示する除核細胞である。他の実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドは、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む。さらなる実施形態では、IL−15ポリペプチドおよびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分は、複合体として存在する。他のさらなる実施形態では、IL−15ポリペプチドおよびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分は、融合ポリペプチドとして存在する。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドは、リンカー、例えば、GGGGSリンカー(配列番号11)、特に、(GGGGS)3リンカー(配列番号12)によってIL−15RAポリペプチドの細胞外部分に連結される。
本明細書に記載の赤血球系細胞は、外因性刺激性ポリペプチドを細胞と連結するカップリング試薬を使用して製造することもできる。例えば、クリックケミストリーを使用できる。例えば、外因性ポリペプチドが複合体である、またはポリペプチド、例えば、ポリペプチド、例えば、多量体ポリペプチド、大きなポリペプチド、in vitroで誘導体化されたポリペプチド、赤血球系細胞に対して毒性を有し得る、または赤血球系細胞において効率的に発現されない外因性ポリペプチドを発現することが困難である場合に、外因性ポリペプチドを細胞とカップリングするためにカップリング試薬を使用できる。クリックケミストリーおよび赤血球系細胞に機能付与するためのその他のコンジュゲーション方法は、参照によりその全文で本明細書に組み込まれる、2017年2月17日に出願された米国仮特許出願番号第62/460589号および2017年7月8日に出願された米国仮特許出願番号第62/542142号の優先権を主張する国際出願番号PCT/US2018/000042に記載されている。
したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載の赤血球系細胞は、細胞あたり少なくとも、それより多くの、または約5,000、10,000、50,000、100,000、200,000、300,000、400,000、500,000のカップリング試薬ほど多くを含む。一部の実施形態では、赤血球系細胞を、a)第1のカップリング試薬を赤血球系細胞とカップリングし、それによって、医薬品調製物、製品または中間体を作製することを含む方法によって作製する。一実施形態では、方法は、b)例えば、第1のカップリング試薬の第2のカップリング試薬との反応に適した条件下で、細胞を、第2のカップリング試薬にカップリングされた外因性刺激性ポリペプチドと接触させることをさらに含む。実施形態では、2つまたはそれより多い外因性刺激性ポリペプチドが細胞に(例えば、クリックケミストリーを使用して)カップリングされる。実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドが、細胞(例えば、クリックケミストリーを使用して)にカップリングされ、第2の外因性刺激性ポリペプチドは、外因性核酸から発現されたポリペプチドを含む。
一部の実施形態では、カップリング試薬は、アジドカップリング試薬を含む。一部の実施形態では、アジドカップリング試薬は、アジドアルキル部分、アジドアリール部分またはアジドヘテロアリール部分を含む。例示的アジドカップリング試薬として、3−アジドプロピオン酸スルホ−NHSエステル、アジド酢酸NHSエステル、アジド−PEG−NHSエステル、アジドプロピルアミン、アジド−PEG−アミン、アジド−PEG−マレイミド、ビス−スルホン−PEG−アジドまたはそれらの誘導体が挙げられる。カップリング試薬はまた、アルケン部分、例えば、トランスシクロアルケン部分、オキサノルボルナジエン部分またはテトラジン部分を含み得る。さらなるカップリング試薬は、各々その全文で参照により本明細書に組み込まれるClick Chemistry Tools(https://clickchemistrytools.com/)またはLahann, J (ed) (2009) Click Chemistry for Biotechnology and Materials Scienceに見い出すことができる。
別の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドを、共有結合による付着によって赤血球系細胞に付着させて、1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチド(例えば、第1の外因性刺激性ポリペプチドおよび第2の外因性刺激性ポリペプチド)を提示する赤血球系(erytrhroid)細胞を含む操作された赤血球系細胞を作製する。例えば、外因性刺激性ポリペプチドを誘導体化し、赤血球系細胞または血小板上の求核剤と反応する求電子性基を含有するカップリング化合物を使用して赤血球系細胞または血小板と結合して、相互結合関係を形成できる。これらの求電子性基を代表するものとして、αβ不飽和カルボニル、アルキルハリドおよびチオール試薬、例えば、置換マレイミドが挙げられる。さらに、カップリング化合物を、アミノ、カルボキシルおよびチロシン基などのポリペプチド中の1つまたは複数の官能基を介して外因性刺激性ポリペプチドにカップリングすることができる。この目的上、カップリング化合物は、遊離カルボキシル基、遊離アミノ基、芳香族アミノ基および酵素官能基と反応可能なその他の基を含有しなくてはならない。例えば、静電結合によって赤血球系細胞または血小板上に固定化して、操作された赤血球系細胞を作製するために、高電荷を有する外因性刺激性ポリペプチドもまた調製できる。これらの誘導体の例として、ポリリシルおよびポリグルタミル酵素が挙げられるであろう。
誘導体で具体化される反応性基の選択は、固定化のために求電子試薬を赤血球系細胞または血小板上の求核基とカップリングするために使用される反応条件に応じて変わる。制御因子は、赤血球系細胞または血小板との付着によって固定化された外因性刺激性ポリペプチドのカップリングの前にカップリング剤を不活性化しないという望みである。このようなカップリング固定化反応は、いくつかの方法で進行し得る。通常、カップリング剤を使用して、外因性ポリペプチドと赤血球系細胞または血小板の間に架橋を形成できる。この場合には、カップリング剤は、外因性ポリペプチドとの反応を引き起こすことができる官能基、例えば、カルボキシル基を有さなくてはならない。コンジュゲーションのための外因性刺激性ポリペプチドを調製する1つの方法として、外因性ポリペプチドと反応する混合無水物を形成するためのカップリング剤中のカルボキシル基の利用が挙げられ、これでは、混合無水物を形成可能であるアクチベーターが使用される。このようなアクチベーターを代表するものとして、カップリング剤とともに混合無水物をもたらすイソブチルクロロホルメートまたはその他のクロロホルメート、例えば、5,5’−(ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)、p−クロロ第二水銀安息香酸(CMB)またはm−マレイミド安息香酸(MBA)がある。カップリング剤の混合無水物は、外因性ポリペプチドと反応して、反応性誘導体をもたらし、これは、順に、赤血球系細胞または血小板上の求核基と反応して、外因性刺激性ポリペプチドを固定化できる。
カルボキシル基などの外因性刺激性ポリペプチド上の官能基を、カルボジイミドなどのアクチベーターを用いて活性化できる。その後、アミノ基などの架橋試薬上の官能基が、外因性刺激性ポリペプチド上の活性化された基と反応して、反応性誘導体を形成する。さらに、カップリング剤は、赤血球系細胞または血小板上の適当な求核基と反応して架橋を形成する第2の反応性基を有さなくてはならない。このような反応性基の典型的なものとして、ヨード酢酸などのアルキル化剤、アクリル酸などのαβ不飽和カルボニル化合物、水銀などのチオール試薬、置換マレイミドなどがある。
あるいは、外因性刺激性ポリペプチド上の官能基を活性化して、例えば、赤血球系細胞または血小板上の求核剤と直接反応させて、架橋形成化合物の必要性を取り除くことができる。この目的のために、混合無水物とは識別される、エノールエステルへの外因性ポリペプチド中のカルボキシル基の形成を引き起こすWoodward試薬Kなどの試薬などのアクチベーターを使用する。外因性ポリペプチドのエノールエステル誘導体は、その後、例えば、赤血球系細胞または血小板上の求核基と反応し、外因性刺激性ポリペプチドの固定化を達成し、それによって、操作された赤血球系細胞を作出する。
一部の実施形態では、赤血球系細胞を、外因性刺激性ポリペプチドおよび必要に応じて、ペイロードと接触させることによって、複数の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞を作製し、接触させることは、Band3(CD233)、アクアポリン−1、Glut−1、Kidd抗原、RhAg/R1i50(CD241)、Rli(CD240)、Rh30CE(CD240CE)、Rh30D(CD240D)、Kx、グリコホリンB(CD235b)、グリコホリンC(CD235c)、グリコホリンD(CD235d)、Kell(CD238)、Duffy/DARCi(CD234)、CR1(CD35)、DAF(CD55)、Globoside、CD44、ICAM−4(CD242)、Lu/B−CAM(CD239)、XG1/XG2(CD99)、EMMPRIN/ニューロテリン(CD147)、JMH、Glycosyltransferase、Cartwright、Dombrock、C4A/CAB、Scianna、MER2、ストマチン、BA−1(CD24)、GPIV(CD36)、CD108、CD139またはH抗原(CD173)を含む付着部位を使用して外因性刺激性ポリペプチドを赤血球系細胞とコンジュゲートすることを含まない。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドを提示する赤血球系細胞を含み、1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドは、細胞上に酵素的にコンジュゲートされる。
特定の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドを、これだけに限定されないが、二官能性架橋剤、例えば、第一級アミン基を還元チオール基とつなぐNHSエステル−マレイミドヘテロ二官能性クロスリンカーなどを用いる化学的コンジュゲーションを含む、種々の化学的および酵素的手段によって、例えば、赤血球系細胞または血小板の表面にコンジュゲートできる。これらの方法はまた、酵素的戦略、例えば、アクセプター配列LPXTG(配列番号82)またはLPXTA(配列番号83)を含有する1つのポリペプチドを、N末端ドナー配列GGGを含有するポリペプチドとつなぐ、ソルターゼ酵素によって媒介されるトランスペプチダーゼ反応なども含む、例えば、Swee et al., PNAS 2013を参照されたい。方法はまた、併用方法、例えば、それぞれ、抗原および細胞上のクリックケミストリーハンドル(アジドおよびアルキン)のソルターゼ媒介性コンジュゲーションと、それに続く、抗原を細胞と化学的に結合するためのシクロ付加反応なども含む、例えば、Neves et al., Bioconjugate Chemistry, 2013を参照されたい。タンパク質のソルターゼ媒介性修飾は、両方ともその全文で参照により本明細書に組み込まれる国際出願番号PCT/US2014/037545および国際出願番号PCT/US2014/037554に記載されている。
一部の実施形態では、タンパク質をアミノ酸、ペプチド、タンパク質、ポリヌクレオチド、炭水化物、タグ、金属原子、造影剤、触媒、非ポリペプチドポリマー、認識エレメント、小分子、脂質、リンカー、標識、エピトープ、抗原、治療剤、毒素、放射性同位元素、粒子または反応性化学基、例えば、クリックケミストリーハンドルを含む部分を含むソルターゼ基質のコンジュゲーションによって修飾する。
望ましい場合には、触媒的結合形成性ポリペプチドドメインを、細胞内または細胞外のいずれかで、例えば、赤血球系細胞もしくは血小板上または赤血球系細胞もしくは血小板中に発現させることができる。Spy0128、Streptococcus pyogenesから単離されたタンパク質に由来するものを含む、トランスペプチダーゼ、ソルターゼおよびイソペプチダーゼを含む、多数の触媒的結合形成性ポリペプチドが存在する。
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドのいずれも、ソルターゼを使用して細胞にコンジュゲートしない。
Spy0128の自己触媒的イソペプチド結合形成性サブユニット(CnaB2ドメイン)をわけることが、互いに対して特異性を有する触媒活性を保持する2つの別個のポリペプチドをもたらすことは実証されている。この系におけるポリペプチドは、SpyTagおよびSpyCatcherと呼ばれる。混合すると、SpyTagおよびSpyCatcherは、SpyTag上のAsp117とSpyCatcher上のLys31の間でイソペプチド結合形成を起こす(Zakeri and Howarth, JACS 2010, 132:4526)。反応は、細胞環境と適合し、タンパク質/ペプチドコンジュゲーションに対して高度に特異的である(Zakeri, B.; Fierer, J. O.; Celik, E.; Chittock, E. C.; Schwarz-Linek, U.; Moy, V. T.; Howarth, M. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 2012, 109, E690-E697)。SpyTagおよびSpyCatcherは、エラスチン様タンパク質において翻訳後トポロジー修飾に向かわせることがわかっている。例えば、SpyTagをN末端に、SpyCatcherをC末端に配置することが、環状エラスチン様タンパク質の形成に向かわせる(Zhang et al, Journal of the American Chemical Society, 2013)。
分子AがSpyTagに融合され、分子BがSpyCatcherに融合される系が、分子AがSpyCatcherに融合され、分子BがSpyTagに融合される系と機能的に等価であるように、SpyTagおよびSpyCatcherの構成成分を交換することができる。本文書の目的上、SpyTagおよびSpyCatcherが使用される場合には、相補的分子がその場所で置換され得ることは理解されるべきである。
SpyTag/SpyCatcher系などの触媒的結合形成性ポリペプチドを使用して、外因性刺激性ポリペプチドを、例えば、赤血球系細胞の表面に付着して、操作された赤血球系細胞を作製することができる。SpyTagポリペプチド配列を、赤血球系細胞の細胞外表面上に発現させることができる。SpyTagポリペプチドを、例えば、1型または3型膜貫通タンパク質、例えば、グリコホリンAのN末端に融合する、2型膜貫通タンパク質、例えば、KellのC末端に融合する、複数回膜貫通タンパク質、例えば、Band 3の細胞外末端に、もしくは細胞外ループ中にインフレームで挿入する、GPI−アクセプターポリペプチド、例えば、CD55もしくはCD59に融合する、脂質鎖によって係留されたポリペプチドに融合する、または末梢膜タンパク質に融合することができる。SpyTag融合物をコードする核酸配列を、操作された赤血球系細胞内で発現させることができる。外因性刺激性ポリペプチドを、SpyCatcherに融合することができる。SpyTag融合物を発現する同一赤血球系細胞から、SpyCatcher融合物をコードする核酸配列を発現させ、分泌させることができる。あるいは、SpyCatcher融合物をコードする核酸配列を、外因性に、例えば、細菌、真菌、昆虫、哺乳動物または細胞不含産生系において産生することができる。SpyTagおよびSpyCatcherポリペプチドが反応すると、共有結合が形成され、それが、外因性刺激性ポリペプチドを赤血球系細胞の表面に付着させ、操作された赤血球系細胞を形成する。
一部の実施形態では、SpyTagポリペプチドを、赤血球系細胞においてGatalプロモーターの制御下で、グリコホリンAのN末端への融合物として発現させてもよい。同一赤血球系細胞においてGatalプロモーターの制御下で、SpyCatcherポリペプチド配列に融合された外因性刺激性ポリペプチドを発現させることができる。両融合ポリペプチドが発現すると、SpyTagとSpyCatcherポリペプチドの間でイソペプチド結合が形成され、赤血球系細胞表面と外因性刺激性ポリペプチドの間で共有結合を形成する。
別の実施形態では、SpyTagポリペプチドを、赤血球系細胞においてGatalプロモーターの制御下で、グリコホリンAのN末端への融合物として発現させてもよい。SpyCatcherポリペプチド配列に融合された外因性刺激性ポリペプチドを、適した哺乳動物細胞発現系、例えば、HEK293細胞において発現させることができる。赤血球系細胞でSpyTag融合ポリペプチドを発現すると、SpyCatcher融合ポリペプチドを細胞と接触させることができる。適した反応条件下で、SpyTagとSpyCatcherポリペプチドの間にイソペプチド結合が形成され、赤血球系細胞表面と外因性刺激性ポリペプチドの間に共有結合が形成される。
ある特定の実施形態では、外因性刺激性ポリペプチドを、操作された赤血球系細胞中に負荷する。一部の実施形態では、例えば、赤血球系細胞または血小板に1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドを負荷し、その結果、1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドが赤血球系細胞または血小板内に内部移行されることによって操作された赤血球系細胞を作製する。必要に応じて、赤血球系細胞または血小板をペイロード、例えば、治療剤をさらに負荷してもよい。
いくつかの方法を使用して、例えば、赤血球系細胞または血小板に外因性刺激性ポリペプチドを負荷できる。適した方法として、例えば、低張溶解、低張透析、浸透、浸透圧パルス、浸透圧ショック、イオン泳動、電気穿孔、超音波処理、マイクロインジェクション、カルシウム沈殿、膜インターカレーション、脂質媒介性トランスフェクション、洗浄剤処置、ウイルス感染、拡散、受容体媒介性エンドサイトーシス、タンパク質形質導入ドメインの使用、粒子発射、膜融合、凍結解凍、機械的破壊および濾過が挙げられる。任意の1種のこのような方法またはそれらの組合せを使用して、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞を作製できる。
低張溶解のために、例えば、赤血球系細胞を低イオン強度緩衝剤に対して曝露し、それらをバーストさせる。外因性刺激性ポリペプチドは、細胞内に分布する。赤血球系細胞、具体的には、赤血球を、単離された赤血球のペレットに30〜50倍体積過剰の5mMリン酸緩衝剤(pH8)を添加することによって低浸透圧性に溶解できる。得られた溶解した細胞膜を、遠心分離によって単離する。溶解した赤血球膜のペレットを再懸濁し、低イオン強度緩衝剤中で、例えば、30分間、外因性ポリペプチドの存在下でインキュベートする。あるいは、溶解した赤血球膜を、赤血球系細胞に効率的に負荷するために決定された最良条件に応じて1分程度に短く、または数日程度に長く、外因性ポリペプチドとともにインキュベートすることができる。
あるいは、細胞を膨潤させ、細胞膜中に孔を作出するために低張溶液に対する制御された透析を使用して、赤血球系細胞、具体的には、赤血球に外因性刺激性ポリペプチドを負荷できる(例えば、米国特許第4,327,710号、同第5,753,221号および同第6,495,351号を参照されたい)。例えば、単離された赤血球のペレットを、10mM HEPES、140mM NaCl、5mM グルコースpH7.4に再懸濁し、10mM NaH2PO4、10mM NaHCO3、20mMグルコースおよび4mM MgCl2を含有する低イオン強度緩衝剤、pH7.4に対して透析する。30〜60分後、赤血球を外因性ポリペプチドを含有する16mM NaH2PO4、pH7.4溶液に対してさらに30〜60分間さらに透析する。これらの手順のすべてを4℃の温度で実施することが有利であり得る。一部の場合には、透析アプローチによって多量の赤血球系細胞、具体的には、赤血球を負荷することは有益である場合があり、この目的のために設計された特定の装置を使用できる(例えば、米国特許第4,327,710号、同第6,139,836号および同第6,495,351号を参照されたい)。
負荷された赤血球系細胞、具体的には、赤血球を、生理学的溶液、例えば、0.9%生理食塩水、リン酸緩衝食塩水、リンゲル溶液、細胞培養培地、血漿またはリンパ液などの存在下で穏やかに加熱することによって再密閉することができる。例えば、破壊された赤血球系細胞、具体的には、赤血球を、例えば、60℃の温度で100mMリン酸塩(pH8.0)および150mM塩化ナトリウムの150mMの塩溶液中で1〜2分間処置することによって十分に密閉された膜を作製することができる。あるいは、細胞を25〜50℃の温度で30分〜4時間インキュベートしてもよい(例えば、米国特許出願第2007/0243137A1号を参照されたい)。あるいは、破壊された赤血球を、5mMアデニン、100mMイノシン、2mM ATP、100mMグルコース、100mMピルビン酸Na、4mM MgCl2、194mM NaCl、1.6M KClおよび35mM NaH2PO4、pH7.4中、37℃の温度で20〜30分間インキュベートすることによって再密閉することができる(例えば、米国特許第5,753,221号を参照されたい)。
電気穿孔のためには、例えば、赤血球系細胞または血小板を、細胞膜中に一過性の孔を引き起こす電場に対して曝露し、1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドが細胞中に拡散することを可能にする(例えば、米国特許第4,935,223号を参照されたい)。赤血球系細胞、具体的には、赤血球を、例えば、生理学的および導電性培地、例えば、血小板不含血漿に懸濁し、それに、1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドを添加する。0.2〜1.0mlの範囲の体積の混合物を、電気穿孔キュベットに入れ、氷上で10分間冷却する。キュベットを、電気穿孔装置、例えば、ECM830(BTX Instrument Division、Harvard Apparatus製、Holliston、Mass.)などに入れる。細胞を、およそ2.4ミリ秒の長さおよびおよそ2.0kV/cmの場の強度のシングルパルスを用いて電気穿孔する。あるいは、Bio−Rad Gene Pulsar 装置(Bio−Rad、Hercules、Calif.、USA)を使用して0.25.mu.Fで送達される2.2kVのダブルパルスを使用して、赤血球系細胞、具体的には、赤血球の電気穿孔を実施して、60%を超える負荷能力を達成できる(Flynn et al., Cancer Lett. 82:225-229 (1994))。キュベットを、氷浴に10〜60分間戻し、次いで、37℃の水浴に入れて、細胞膜の再密閉を誘導する。本明細書に記載の操作された赤血球系細胞を作製するために任意の適した電気穿孔方法を使用できる。
超音波処理のためには、赤血球系細胞を、例えば、高強度音波に対して曝露し、細胞膜の一過性の破壊を引き起こし、細胞中へ1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドが拡散することを可能にする。本明細書に記載の操作された赤血球系細胞を作製するために任意の適した超音波処理方法を使用できる。
洗浄剤処置のためには、赤血球系細胞を、例えば、1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドが拡散し得る孔を作出することによって細胞膜を一過性に損なう穏やかな洗浄剤を用いて処置する。細胞が負荷された後、細胞から洗浄剤を洗浄する。例えば、洗浄剤はサポニンであり得る。本明細書に記載の操作された赤血球系細胞を作製するために任意の適した洗浄剤処置方法を使用できる。
受容体媒介性エンドサイトーシスのためには、赤血球系細胞は、例えば、1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドの結合の際、受容体および会合された外因性刺激性ポリペプチドの内部移行を誘導する表面受容体を有し得る。本明細書に記載の操作された赤血球系細胞を作製するために任意の適したエンドサイトーシス方法を使用できる。
機械的発射のためには、赤血球系細胞に、例えば、重いまたは電荷を有する粒子、例えば、金マイクロキャリアなどに付着され、細胞膜を越えるように機械的または電気的に加速された1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドを照射することができる。微粒子銃は、例えば、Helios Gene Gun(例えば、Bio−Rad製、Hercules、Calif.、USA)を使用して達成できる。本明細書に記載の操作された赤血球系細胞を作製するために任意の適した微粒子銃方法を使用できる。
濾過のためには、赤血球系細胞または血小板および外因性刺激性ポリペプチドを、細胞より小さい孔の大きさのフィルターを通して押し出すことができ、細胞膜の一過性の破壊を引き起こし、外因性刺激性ポリペプチドが細胞に入ることを可能にする。本明細書に記載の通りの操作された赤血球系細胞を作製するために任意の適した濾過方法を使用できる。
凍結解凍のためには、赤血球系細胞を数回の凍結解凍サイクルに付し、その結果、細胞膜が破壊される(例えば、米国特許出願第2007/0243137A1号を参照されたい)。この場合には、パッケージングされた赤血球のペレット(0.1〜1.0ml)を、等体積(0.1〜1.0ml)の1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドを含有する等張溶液(例えば、リン酸緩衝食塩水)と混合する。細胞および1つまたは複数の外因性刺激性ポリペプチドを含有する試験管を液体窒素中に浸漬することによって、赤血球を凍結する。あるいは、試験管を−20℃または−80℃の冷凍庫に入れることによって細胞を凍結できる。次いで、細胞を、例えば、23℃の水浴中で解凍し、負荷を増大するために必要に応じてサイクルを反復する。本明細書に記載の通りの操作された赤血球系細胞を作製するために任意の適した凍結解凍方法を使用できる。
操作された赤血球系細胞で外因性刺激性ポリペプチドを検出することができる。外因性刺激性ポリペプチドの存在は、標準分子生物学方法、例えば、ウエスタンブロッティングまたはFACS解析を使用して検証し、定量化できる。細胞内環境中に存在する外因性刺激性ポリペプチドは、細胞溶解の際に、または蛍光検出を使用して定量化できる。
上記の態様および実施形態の一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、除核細胞である。上記の態様および実施形態の一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、有核細胞である。
III.使用の方法
本明細書に記載の通り、本発明は、免疫細胞、例えば、細胞溶解性T細胞(CD8+細胞)、メモリーCD8+T細胞、ヘルパーT細胞(CD4+細胞)およびNK細胞を刺激する(simulating)方法を提供する。免疫細胞の刺激は、正常な細胞機能を増強し得る、または異常な細胞において正常な細胞機能を開始し得る。方法は、活性化されるべき免疫細胞を、免疫細胞を刺激するのに有効な量の、本明細書における態様および実施形態のうち任意の1つの操作された赤血球系細胞と接触させることを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、除核細胞である。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、有核細胞である。免疫細胞を刺激することとは、免疫細胞、例えば、NK細胞および/またはCD8+T細胞などのキラー免疫細胞の活性化および/または拡大などの細胞反応をもたらすプロセス(例えば、シグナルまたは刺激の提供を含む)を指す。一部の実施形態では、免疫細胞、例えば、NK細胞および/またはCD8+T細胞などのキラー免疫細胞を刺激する方法とは、刺激またはシグナル、例えば、免疫細胞の活性化および/または拡大をもたらす刺激性ポリペプチドの提供を指す。
好ましい実施形態では、本発明は、免疫キラー細胞、例えば、細胞溶解性T細胞(CD8+細胞)、メモリーCD8+T細胞およびNK細胞を刺激する方法であって、免疫キラー細胞を、免疫キラー細胞を刺激するのに有効な量の、本明細書における態様および実施形態のうち任意の1つの操作された赤血球系細胞(例えば、操作された除核細胞)と接触させることを含む方法を提供する。本発明の方法によって刺激することができる免疫キラー細胞として、例えば、細胞溶解性T細胞(CD8+細胞)、メモリーCD8+T細胞およびNK細胞が挙げられる。一部の実施形態では、キラー免疫細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞である。一部の実施形態では、NK細胞は、メモリー様NK細胞である。一部の実施形態では、キラー免疫細胞は、CD8+T細胞である。一部の実施形態では、CD8+T細胞は、メモリーT細胞である。したがって、本発明はまた、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞を用いて刺激する方法に起因する細胞の集団を提供する。
ある特定の実施形態では、操作された赤血球系細胞が、キラー免疫細胞のうち1種より多く、例えば、細胞溶解性T細胞(CD8+細胞)、メモリーCD8+T細胞およびNK細胞のうち1種より多くを同時に刺激する方法において使用される。例示的実施形態では、操作された赤血球系細胞は、CD8+T細胞およびNK細胞の両方を同時に刺激可能である。
一部の実施形態では、免疫キラー細胞を、操作された赤血球系細胞と接触させることを、in vivoで実施する。接触をin vivoで実施する場合に、免疫キラー細胞の2つ以上の集団を活性化できることが、本発明の利点である。例えば、接触をin vivoで実施する場合に、NK細胞およびCD8+T細胞の両方とも、活性化および/または拡大され得る。
別の実施形態では、免疫キラー細胞を、操作された赤血球系細胞と接触させることをex vivoで実施する。したがって、一部の実施形態では、1種または複数のナチュラルキラー細胞を、本発明の操作された赤血球系細胞とex vivoで接触させる。
NK細胞を、任意の従来の供給源から得ることができ、末梢血、骨髄、臍帯血、細胞系またはサイトカインによって刺激された末梢血に由来することが好ましい。NK細胞を、例えば、末梢血単核細胞(PBMC)の試料から拡大することができる。PBMCは、単球およびリンパ球の混合物;顆粒球が分離され除去された血液白血球である。細胞(例えば、PBMC)を培養する前に、当業者に周知の方法に従って精製し、分離する。細胞傷害性細胞を拡大するための培養条件は、健常個体から得たPBMCでこれまでに最適化されている(Carlens et al., Hum. Immunol. 2001; 62:1092-1098)。ある特定の実施形態では、NK細胞を約100から約1,000,000倍の間、または約1,000から約1,000,000倍の間、例えば、1,000から約100,000倍の間に拡大する。
その後、拡大されたNK細胞を、それを必要とする対象、例えば、免疫細胞刺激を必要とする対象に投与できる。投与は1回または反復して数回実施してもよい。
別の実施形態では、1種または複数のCD8+T細胞を本発明の操作された赤血球系細胞とex vivoで接触させる。
ex vivo T細胞活性化および拡大を、T細胞の単離およびその後の刺激と、それに続くさらなる拡大によって実施できる。拡大の前に、T細胞の供給源を対象から得る。T細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、脾臓組織および腫瘍を含むいくつかの供給源から得ることができる。本発明のある特定の実施形態では、当技術分野で利用可能な任意の数のT細胞系を使用できる。本発明のある特定の実施形態では、T細胞は、任意の数の当業者に公知の技術、例えば、Ficoll分離を使用して対象から採取された血液の単位から得ることができる。一部の実施形態では、個体の循環血液に由来する細胞を、アフェレーシスまたは白血球アフェレーシスによって得る。アフェレーシス生成物は、通常、T細胞、単球、顆粒球、B細胞、その他の有核白血球、赤血球および血小板を含むリンパ球を含有する。一部の実施形態では、アフェレーシスによって集められた細胞を洗浄して、血漿画分を除去し、細胞をその後の処理ステップにとって適当な緩衝剤または培地中に入れる。本発明の一部の実施形態では、細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS)を用いて洗浄する。当業者ならば容易に理解するであろうが、洗浄ステップは、当業者に公知の方法によって、例えば、半自動「フロースルー」遠心分離(例えば、Cobe 2991細胞プロセッサー)を、製造業者の使用説明書に従って使用することによって達成できる。洗浄後、細胞をさまざまな生体適合性バッファー、例えば、Ca不含、Mg不含PBSに再懸濁できる。あるいは、アフェレーシス試料の望ましくない構成成分を除去し、細胞を培養培地に直接再懸濁することができる。
別の実施形態では、赤血球を溶解させ、例えば、PERCOLL勾配を通した遠心分離によって単球を枯渇させることによって、T細胞を末梢血リンパ球から単離する。ポジティブまたはネガティブ選択技術によって、T細胞の特定の亜集団、例えば、CD28+、CD4+、CD8+、CD45RA+およびCD45RO+T細胞をさらに単離することができる。ネガティブに選択される細胞に特有の表面マーカーに対する抗体の組合せを用いて、ネガティブ選択によるT細胞集団の濃縮を達成することができる。好ましい方法は、ネガティブに選択された細胞上に存在する細胞表面マーカーに対するモノクローナル抗体のカクテルを使用する、ネガティブ磁気免疫接着またはフローサイトメトリーによる細胞選別および/または選択である。ポジティブまたはネガティブ選択による所望の細胞の集団の単離のために、細胞および表面(例えば、ビーズなどの粒子)の濃度を変えることができる。ある特定の実施形態では、細胞およびビーズの最大接触を確実にするためにビーズおよび細胞が一緒に混合される体積を著しく減少させる(すなわち、細胞の濃度を増大する)ことが、望ましいものであり得る。例えば、一部の実施形態では、20億個細胞/mlの濃度を使用する。一部の実施形態では、10億個細胞/mlの濃度を使用する。さらなる実施形態では、1億個細胞/mlより多くを使用する。さらなる実施形態では、1000万、1500万、2000万、2500万、3000万、3500万、4000万、4500万または5000万個細胞/mlの細胞の濃度を使用する。さらに別の実施形態では、7500万、8000万、8500万、9000万、9500万または1億個細胞/mlの細胞の濃度を使用する。さらなる実施形態では、1億2500万または1億5000万個細胞/mlの濃度を使用できる。高濃度を使用することは、細胞収率の増大、細胞活性化および細胞拡大をもたらし得る。さらに、高い細胞濃度の使用は、目的の標的抗原、例えば、CD28ネガティブT細胞を弱く発現する可能性がある細胞の、または多数の腫瘍細胞が存在するサンプル(すなわち、白血病の血液、腫瘍組織など)からのより効率的な捕獲を可能にする。このような細胞の集団は、治療的価値を有する可能性があり、得ることが望ましいものであろう。例えば、高濃度の細胞を使用することで、通常、弱いCD28発現を有するCD8+T細胞のより効率的な選択が可能となる。
ある特定の実施形態では、T細胞を、約100から約1,000,000倍の間または約1,000から約1,000,000倍の間、例えば、1,000から約100,000倍の間に拡大する。
ex vivo拡大後のT細胞の適応度は、そのin vivoで機能する能力の優れた予測因子(predicator)である。したがって、ある特定の実施形態では、操作された赤血球系細胞の、重要な細胞生存遺伝子Bcl−xLを誘導する能力も測定される。拡大プロセスの間の培養物におけるアポトーシス細胞のパーセンテージを使用して、操作された赤血球系細胞のいずれかが、拡大されたT細胞に特定の生存上の利点を付与するか否かを決定する。さらに、ex vivo拡大後の細胞のテロメアの長さを測定して、特定の操作された赤血球系細胞が、拡大する細胞の複製能力を保持することにおいてより有効であるか否かを決定できる。
本開示は、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞を使用する種々の方法を考慮する。当業者には理解されるであろうが、本明細書において提供される本開示に基づいて、操作された赤血球系細胞の投与の用量およびタイミングを、本明細書に記載の各適用のために特別に合わせることができる。
本発明の操作された赤血球系細胞の投与が、肝臓毒性をもたらさないことが有利である。一部の実施形態では、本発明の外因性ポリペプチドを提示する操作された赤血球系細胞の投与は、対応する組換えタンパク質(複数可)単独の投与と比較して、または外因性ポリペプチドの標的(例えば、受容体)と結合する抗体などの組換え結合タンパク質単独の投与と比較して、少ない毒性しかもたらさない(例えば、4−1BBLを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−15/IL−15RAを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、組換え4−1BBL単独、組換えIL−15/IL−15RA単独、それらの組合せもしくは抗4−1BB抗体の投与と比較して少ない肝臓毒性しかもたらさない;IL−12を含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−15/IL−15RAを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、組換えIL−12単独、組換えIL−15/IL−15RA単独もしくはそれらの組合せの投与と比較して、少ない肝臓毒性しかもたらさない;またはIL−12を含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよび4−1BBLを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、組換えIL−12単独、組換え4−1BBL単独、それらの組合せもしくは4−1BB抗体の投与と比較して、少ない肝臓毒性しかもたらさない)。
一部の実施形態では、本発明の操作された赤血球系細胞の投与は、対応する組換えタンパク質(複数可)単独の投与と比較して、または外因性ポリペプチドの標的(例えば、受容体)と結合する抗体などの組換え結合タンパク質単独の投与と比較して、少ない肝臓毒性および大きい治療有効性をもたらす(例えば、4−1BBLを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−15/IL−15RAを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、組換え4−1BBL単独、組換えIL−15/IL−15RA単独、それらの組合せもしくは抗4−1BB抗体の投与と比較して、少ない肝臓毒性および大きい治療有効性をもたらす、IL−12を含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−15/IL−15RAを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、組換えIL−12単独、組換えIL−15/IL−15RA単独もしくはそれらの組合せの投与と比較して、少ない肝臓毒性および大きい治療有効性をもたらす、またはIL−12を含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよび4−1BBLを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、組換えIL−12単独、組換え4−1BBL単独、それらの組合せもしくは抗4−1BB抗体の投与と比較して、少ない肝臓毒性および大きい治療有効性をもたらす)。
治療指数(TIまたは治療比)は、毒性を引き起こす量に対する、治療効果を引き起こす治療剤の量の比較である(参照によりその全文で本明細書に組み込まれる、Trevor A et al. (2013). "Chapter 2: Pharmacodynamics". Pharmacology Examination & Board Review (10th ed.). New York: McGraw-Hill Medical. p. 17)。治療指数(TI)は、医薬品の治療上有効用量と、毒性用量を比較するために使用される。TIは、薬物の相対安全性の声明である。所望の治療反応をもたらすために必要とされる用量に対する毒性をもたらす用量の比である。TIを導き出すために使用される一般的な方法は、TD50(毒性用量)およびED50(有効用量)を含む50%用量−反応点を使用することである。
したがって、より高いTIを有する薬物は、より低いTIを有する薬物よりも安全であると考えられる(例えば、10のTIを有する薬物は、3のTIを有する薬物よりも安全であると考えられる)。
一部の実施形態では、本発明の操作された赤血球系細胞の投与は、対応する組換えタンパク質(複数可)単独の投与と比較して、または外因性ポリペプチドの標的(例えば、受容体)と結合する抗体などの組換え結合タンパク質単独の投与と比較して、より高い治療指数(TI)をもたらす(例えば、4−1BBLを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−15/IL−15RAを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、組換え4−1BBL単独、組換えIL−15/IL−15RA単独、それらの組合せもしくは抗4−1BB抗体の投与と比較して、より高いTIを有する、IL−12を含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−15/IL−15RAを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、組換えIL−12単独、組換えIL−15/IL−15RA単独もしくはそれらの組合せの投与と比較して、より高いTIを有する、またはIL−12を含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよび4−1BBLを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、組換えIL−12単独、組換え4−1BBL単独、それらの組合せもしくは抗4−1BB抗体の投与と比較して、より高いTIを有する)。一部の実施形態では、治療反応は、腫瘍負荷低減である。
一部の実施形態では、本発明の操作された赤血球系細胞の投与は、肝臓毒性のマウスモデルによって決定されるように、対応する組換えタンパク質(複数可)単独の投与と比較して、または外因性ポリペプチドの標的(例えば、受容体)と結合する抗体などの組換え結合タンパク質単独の投与と比較して少ない毒性しかもたらさない(参照によりその全内容が本明細書に組み込まれる、Niu et al J Immunology 2007 178:4194-4213)(例えば、4−1BBLを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−15/IL−15RAを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、組換え4−1BBL単独、組換えIL−15/IL−15RA単独、それらの組合せもしくは抗4−1BB抗体の投与と比較して、少ない肝臓毒性しかもたらさない;IL−12を含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−15/IL−15RAを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、組換えIL−12単独、組換えIL−15/IL−15RA単独もしくはそれらの組合せの投与と比較して、少ない肝臓毒性しかもたらさない;またはIL−12を含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよび4−1BBLを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、組換えIL−12単独、組換え4−1BBL単独、それらの組合せもしくは抗4−1BB抗体の投与と比較して、少ない肝臓毒性しかもたらさない)。
一部の実施形態では、本発明の操作された赤血球系細胞の投与は、対応する組換えタンパク質(複数可)単独の投与と比較して、または外因性ポリペプチドの標的(例えば、受容体)と結合する抗体などの組換え結合タンパク質単独の投与と比較して、少ない肝臓毒性および大きい治療有効性をもたらす(例えば、4−1BBLを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−15/IL−15RAを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、組換え4−1BBL単独、組換えIL−15/IL−15RA単独、それらの組合せもしくは抗4−1BB抗体の投与と比較して、少ない肝臓毒性および大きい治療有効性をもたらす、IL−12を含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−15/IL−15RAを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、組換えIL−12単独、組換えIL−15/IL−15RA単独もしくはそれらの組合せの投与と比較して、少ない肝臓毒性および大きい治療有効性をもたらす、またはIL−12を含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよび4−1BBLを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、組換えIL−12単独、組換え4−1BBL単独、それらの組合せもしくは抗41BB抗体の投与と比較して、少ない肝臓毒性および大きい治療有効性(efficiacy)をもたらす)。
一部の実施形態では、本発明の操作された赤血球系細胞の投与は、組換えタンパク質(複数可)の投与前のレベルと比較して、組換えタンパク質(複数可)の投与によってALTのレベルが上昇される場合には、対応する組換えタンパク質(複数可)単独の投与と比較して、または外因性ポリペプチドの標的(例えば、受容体)と結合する抗体などの組換え結合タンパク質単独の投与と比較して、アラニントランスアミナーゼ(ALT)肝臓酵素のレベルに対してより少ない効果しかもたらさない、もしくは全く効果をもたらさない(すなわち、操作された赤血球系細胞の投与前のレベルと比較して有意な効果がない)(例えば、4−1BBLを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−15/IL−15RAを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、投与前のレベルと比較して、組換えタンパク質(複数可)の投与によってALTのレベルが上昇される場合には、組換え4−1BBL単独、組換えIL−15/IL−15RA単独、それらの組合せもしくは抗41BB抗体の投与と比較して、ALTのレベルに対してより少ない効果しかもたらさない、もしくは全く効果をもたらさない;IL−12を含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−15/IL−15RAを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、投与前のレベルと比較して、組換えタンパク質(複数可)の投与によってALTのレベルが上昇される場合には、組換えIL−12単独、組換えIL−15/IL−15RA単独もしくはそれらの組合せの投与と比較して、ALTのレベルに対してより少ない効果しかもたらさない、もしくは全く効果をもたらさない;IL−12を含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよび4−1BBLを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、投与前のレベルと比較して、組換えタンパク質(複数可)の投与によってALTのレベルが上昇される場合には、組換えIL−12単独、組換え4−1BBL単独、それらの組合せもしくは抗41BB抗体の投与と比較して、ALTのレベルに対してより少ない効果しかもたらさない、もしくは全く効果をもたらさない)。
一部の実施形態では、本発明の操作された赤血球系細胞の投与は、組換えタンパク質(複数可)の投与前のレベルと比較して、組換えタンパク質(複数可)の投与によってIFNgのレベルが上昇される場合には、対応する組換えタンパク質(複数可)単独の投与と比較して、または外因性ポリペプチドの標的(例えば、受容体)と結合する抗体などの組換え結合タンパク質単独の投与と比較して、インターフェロンガンマ(IFNg)のレベルに対してより少ない効果しかもたらさない、もしくは全く効果をもたらさない(すなわち、操作された赤血球系細胞の投与前のレベルと比較して有意な効果がない)(例えば、4−1BBLを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−15/IL−15RAを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、投与前のレベルと比較して、組換えタンパク質(複数可)の投与によってIFNgのレベルが上昇される場合には、組換え4−1BBL単独、組換えIL−15/IL−15RA単独、それらの組合せもしくは抗4−1BB抗体の投与と比較して、IFNgのレベルに対してより少ない効果しかもたらさない、もしくは全く効果をもたらさない;IL−12を含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−15/IL−15RAを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、投与前のレベルと比較して、組換えタンパク質(複数可)の投与によってIFNgのレベルが上昇される場合には、組換えIL−12単独、組換えIL−15/IL−15RA単独もしくはそれらの組合せの投与と比較して、IFNgのレベルに対してより少ない効果しかもたらさない、もしくは全く効果をもたらさない;IL−12を含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよび4−1BBLを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、投与前のレベルと比較して、組換えタンパク質(複数可)の投与によってIFNgのレベルが上昇される場合には、組換えIL−12単独、組換え4−1BBL単独、それらの組合せもしくは抗4−1BB抗体の投与と比較して、IFNgのレベルに対してより少ない効果しかもたらさない、もしくは全く効果をもたらさない)。
マクロファージ、CD8+T細胞および/またはCD8+/Eomes+/KLGR1+T細胞の肝臓浸潤は、肝臓毒性における重要な因子であると考えられる。一部の実施形態では、本発明の操作された赤血球系細胞の投与は、組換えタンパク質(複数可)投与前のレベルと比較して、組換えタンパク質(複数可)の投与によって浸潤マクロファージ、CD8+T細胞および/またはCD8+/Eomes+/KLGR1+T細胞の数が増大される場合には、対応する組換えタンパク質(複数可)単独の投与と比較して、または外因性ポリペプチドの標的(例えば、受容体)と結合する抗体などの組換え結合タンパク質単独の投与と比較して、浸潤マクロファージ、CD8+T細胞および/またはCD8+/Eomes+/KLGR1+T細胞の数に対して、より少ない効果しかもたらさない、もしくは全く効果をもたらさない(すなわち、操作された赤血球系細胞の投与前のレベルと比較して有意な効果)(例えば、4−1BBLを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−15/IL−15RAを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、投与前のレベルと比較して、組換えタンパク質(複数可)の投与によって浸潤マクロファージ、CD8+T細胞および/またはCD8+/Eomes+/KLGR1+T細胞の数が増大される場合には、組換え4−1BBL単独、組換えIL−15/IL−15RA単独、それらの組合せもしくは抗41BB抗体の投与と比較して、浸潤マクロファージ、CD8+T細胞および/またはCD8+/Eomes+/KLGR1+T細胞の数に対してより少ない効果しかもたらさない、もしくは全く効果をもたらさない;IL−12を含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−15/IL−15RAを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、投与前のレベルと比較して、組換えタンパク質(複数可)の投与によって浸潤マクロファージ、CD8+T細胞および/またはCD8+/Eomes+/KLGR1+T細胞の数が増大される場合には、組換えIL−12単独、組換えIL−15/IL−15RA単独もしくはそれらの組合せの投与と比較して、浸潤マクロファージ、CD8+T細胞および/またはCD8+/Eomes+/KLGR1+T細胞の数に対してより少ない効果しかもたらさない、もしくは全く効果をもたらさない;IL−12を含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよび4−1BBLを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、投与前のレベルと比較して、組換えタンパク質(複数可)の投与によって浸潤マクロファージ、CD8+T細胞および/またはCD8+/Eomes+/KLGR1+T細胞の数が増大される場合には、組換えIL−12単独、組換え4−1BBL単独、それらの組合せもしくは抗4−1BB抗体の投与と比較して、浸潤マクロファージ、CD8+T細胞および/またはCD8+/Eomes+/KLGR1+T細胞の数に対してより少ない効果しかもたらさない、もしくは全く効果をもたらさない)。理論に捉われようとは思わないが、操作された赤血球系細胞(例えば、除核された操作された赤血球系細胞)は、血管から骨髄に拡散し、そこで、活性化し、骨髄性細胞を拡大し、順に、肝臓に輸送されて、Kupfer細胞になり、CD8細胞を活性化することによって肝臓毒性を引き起こすと考えられる組換えタンパク質(例えば、抗体)とは異なり、血管中に隔離されると考えられる。
ある特定の実施形態では、炎症は、ALTおよびIshakスコア(参照によりその全文で本明細書に組み込まれる、Ishak K, Baptista A, Bianchi L, et al. Histological grading and staging of chronic hepatitis. J Hepatol 1995; 22:696)によって測定できる。一部の実施形態では、本発明の操作された赤血球系細胞の投与は、組換えタンパク質(複数可)の投与前のレベルと比較して、組換えタンパク質(複数可)の投与によって肝臓炎症スコアが増大される場合には、組換えタンパク質(複数可)単独の投与と比較して、または外因性ポリペプチドの標的(例えば、受容体)と結合する抗体などの組換え結合タンパク質単独の投与と比較して、肝臓炎症スコアに対してより少ない効果しかもたらさない、もしくは全く効果をもたらさない(すなわち、操作された赤血球系細胞の投与前のスコアと比較して有意な効果がない)(例えば、4−1BBLを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−15/IL−15RAを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、投与前スコアに対する肝臓炎症スコアの増大をもたらす、組換え4−1BBL単独、組換えIL−15/IL−15RA単独、それらの組合せもしくは抗4−1BB抗体の投与と比較して、投与前スコアに対する肝臓炎症スコアに対してより少ない効果しかもたらさない、もしくは全く効果をもたらさない;IL−12を含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−15/IL−15RAを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、投与前スコアに対する肝臓炎症スコアの増大をもたらす、組換えIL−12単独、組換えIL−15/IL−15RA単独もしくはそれらの組合せの投与と比較して、投与前スコアに対する肝臓炎症スコアに対してより少ない効果しかもたらさない、もしくは全く効果をもたらさない;またはIL−12を含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよび4−1BBLを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の投与は、投与前スコアに対する肝臓炎症スコアの増大をもたらす、組換えIL−12単独、組換え4−1BBL単独、それらの組合せもしくは抗4−1BB抗体の投与と比較して、投与前スコアに対する肝臓炎症スコアに対して、より少ない効果しかもたらさない、もしくは全く効果をもたらさない)。
上記の態様および実施形態のいずれかの一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、除核細胞である。上記の態様および実施形態のいずれかの一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、有核細胞である。
一部の態様では、本開示は、対象において免疫キラー細胞を刺激する方法であって、対象に、4−1BBLポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む複数の操作された赤血球系細胞を、免疫キラー細胞を刺激するために有効な量で投与することを含み、有効量が対象において毒性を引き起こさない方法を提供する。
一部の態様では、本開示は、対象においてがんを処置する方法であって、対象に、4−1BBLポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む複数の操作された赤血球系細胞を、がんを処置するために有効な量で投与することを含み、有効量が対象において毒性を引き起こさない方法を提供する。
一部の態様では、本開示は、対象において感染症を処置する方法であって、対象に、4−1BBLポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む複数の操作された赤血球系細胞を、感染症を処置するために有効な量で投与することを含み、有効量が対象において毒性を引き起こさない方法を提供する。
本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、有効量の投与は、対象において単離された4−1BBアゴニスト抗体の投与よりも少ない毒性をもたらす。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、有効量の投与は、対象において単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量の投与よりも少ない毒性をもたらす。
本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれる4−1BBLポリペプチドの量と等価の(例えば、コピー数、重量またはモル濃度において)単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれる4−1BBLポリペプチドの量と同じアゴニスト活性を有する単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、4−1BBLポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の有効量と同じアゴニスト活性を有する単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれる4−1BBLポリペプチドの量と同じ生物学的効果を有する単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、4−1BBLポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の有効量と同じ生物学的効果を有する単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれる4−1BBLポリペプチドの量と同じ治療効力を有する単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、4−1BBLポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の有効量と同じ治療効力を有する単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。
一部の態様では、本開示は、対象において免疫キラー細胞を刺激する方法であって、対象に、IL−15ポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む複数の操作された赤血球系細胞を、免疫キラー細胞を刺激するために有効な量で投与することを含み、有効量が対象において毒性を引き起こさない方法を提供する。
一部の態様では、本開示は、対象においてがんを処置する方法であって、対象に、IL−15ポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む複数の操作された赤血球系細胞を、がんを処置するために有効な量で投与することを含み、有効量が対象において毒性を引き起こさない方法を提供する。
一部の態様では、本開示は、対象において感染症を処置する方法であって、対象に、IL−15ポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む複数の操作された赤血球系細胞を、感染症を処置するために有効な量で投与することを含み、有効量が対象において毒性を引き起こさない方法を提供する。
一部の実施形態では、前記投与は、対象において、複数の操作された赤血球系細胞に含まれるIL−15ポリペプチドの量に対して同等である単離されたIL−15ポリペプチドの量の投与よりも少ない毒性をもたらす。
本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、有効量の投与は、対象において単離されたIL−15ポリペプチドの投与よりも少ない毒性をもたらす。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、有効量の投与は、対象において単離されたIL−15ポリペプチドの等価量の投与よりも少ない毒性をもたらす。
本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれるIL−15ポリペプチドの量と量的に同じ量(例えば、コピー数またはモル濃度において)である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれるIL−15ポリペプチドの量と同じ生物活性を有する単離されたIL−15ポリペプチドの量である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量は、IL−15ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の有効量と同じ生物活性を有する単離されたIL−15ポリペプチドの量である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれるIL−15ポリペプチドの量と同じ治療効力を有する単離されたIL−15ポリペプチドの量である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量は、IL−15ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の有効量と同じ治療効力を有する単離されたIL−15ポリペプチドの量である。
一部の実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドとIL−15RAポリペプチドの細胞外部分は複合体として存在する。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドとIL−15RAポリペプチドの細胞外部分は融合ポリペプチドである。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドまたはその断片は、IL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片とリンカーによって連結している。一部の実施形態では、リンカーは、GGGGS(配列番号11)を含む。一部の実施形態では、リンカーは、(GGGGS)3(配列番号12)リンカーを含む。一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、配列番号1に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドは、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15受容体アルファsushi結合性ドメインを含む。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドまたはその断片とIL−15受容体アルファsushi結合性ドメインは複合体として存在する。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドまたはその断片とIL−15受容体アルファsushi結合性ドメインは融合ポリペプチドとして存在する。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドまたはその断片は、IL−15受容体アルファsushi結合性ドメインとリンカーによって連結している。一部の実施形態では、リンカーは、GGGGS(配列番号11)を含み、必要に応じて、リンカーは、(GGGGS)3(配列番号12)リンカーを含む。一部の実施形態では、融合ポリペプチドは、配列番号2に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の態様では、本開示は、対象において免疫キラー細胞を刺激する方法であって、対象に、IL−12ポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む複数の操作された赤血球系細胞を、免疫キラー細胞を刺激するために有効な量で投与することを含み、有効量が対象において毒性を引き起こさない方法を提供する。
一部の態様では、本開示は、対象においてがんを処置する方法であって、対象に、IL−12ポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む複数の操作された赤血球系細胞を、がんを処置するために有効な量で投与することを含み、有効量が対象において毒性を引き起こさない方法を提供する。
一部の態様では、本開示は、対象において感染症を処置する方法であって、対象に、IL−12ポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む複数の操作された赤血球系細胞を、感染症を処置するために有効な量で投与することを含み、有効量が対象において毒性を引き起こさない方法を提供する。
本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、有効量の投与は、対象において単離されたIL−12ポリペプチドの投与よりも少ない毒性をもたらす。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、有効量の投与は、対象において単離されたIL−12ポリペプチドの等価量の投与よりも少ない毒性をもたらす。
本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれるIL−12ポリペプチドの量と量的に同じ量(例えば、コピー数またはモル濃度において)である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれるIL−12ポリペプチドの量と同じ生物活性を有する単離されたIL−12ポリペプチドの量である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量は、IL−12ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の有効量と同じ生物活性を有する単離されたIL−12ポリペプチドの量である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれるIL−12ポリペプチドの量と同じ治療効力を有する単離されたIL−12ポリペプチドの量である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量は、IL−12ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞の有効量と同じ治療効力を有する単離されたIL−12ポリペプチドの量である。
一部の態様では、本開示は、対象において免疫キラー細胞を刺激する方法であって、対象に、4−1BBLポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−15ポリペプチドを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む複数の操作された赤血球系細胞を、免疫キラー細胞を刺激するために有効な量で投与することを含み、有効量が対象において毒性を引き起こさない方法を提供する。
一部の態様では、本開示は、対象においてがんを処置する方法であって、対象に、4−1BBLポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−15ポリペプチドを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む複数の操作された赤血球系細胞を、がんを処置するために有効な量で投与することを含み、有効量が対象において毒性を引き起こさない方法を提供する。
一部の態様では、本開示は、対象において感染症を処置する方法であって、対象に、4−1BBLポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−15ポリペプチドを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む複数の操作された赤血球系細胞を、感染症を処置するために有効な量で投与することを含み、有効量が対象において毒性を引き起こさない方法を提供する。
本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、有効量の投与は、対象において単離された4−1BBアゴニスト抗体、単離されたIL−15ポリペプチドまたはそれらの組合せの投与よりも少ない毒性をもたらす。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、有効量の投与は、対象において単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量またはそれらの組合せの投与よりも少ない毒性をもたらす。
本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれるIL−15ポリペプチドの量と量的に同じ量(例えば、コピー数またはモル濃度において)である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれるIL−15ポリペプチドの量と同じ生物活性を有する単離されたIL−15ポリペプチドの量である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれるIL−15ポリペプチドの量と同じ治療効力を有する単離されたIL−15ポリペプチドの量である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれる4−1BBLポリペプチドの量と同じアゴニスト活性を有する単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれる4−1BBLポリペプチドの量と同じ生物学的効果を有する単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれる4−1BBLポリペプチドの量と同じ治療効力を有する単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。
一部の実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドとIL−15RAポリペプチドの細胞外部分は複合体として存在する。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドとIL−15RAポリペプチドの細胞外部分は融合ポリペプチドである。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドまたはその断片は、IL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片とリンカーによって連結している。一部の実施形態では、リンカーは、GGGGS(配列番号11)を含む。一部の実施形態では、リンカーは、(GGGGS)3リンカー(配列番号12)を含む。一部の実施形態では融合ポリペプチドは、配列番号1と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドは、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15受容体アルファsushi結合性ドメインを含む。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドまたはその断片とIL−15受容体アルファsushi結合性ドメインは複合体として存在する。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドまたはその断片とIL−15受容体アルファsushi結合性ドメインは融合ポリペプチドとして存在する。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドまたはその断片は、IL−15受容体アルファsushi結合性ドメインとリンカーによって連結している。一部の実施形態では、リンカーは、GGGGS(配列番号11)を含み、必要に応じて、リンカーは、(GGGGS)3リンカー(配列番号12)を含む。一部の実施形態では融合ポリペプチドは、配列番号2と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の態様では、本開示は、対象において免疫キラー細胞を刺激する方法であって、対象に、4−1BBLポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−12ポリペプチドを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む複数の操作された赤血球系細胞を、免疫キラー細胞を刺激するために有効な量で投与することを含み、有効量が対象において毒性を引き起こさない方法を提供する。
一部の態様では、本開示は、対象においてがんを処置する方法であって、対象に、4−1BBLポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−12ポリペプチドを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む複数の操作された赤血球系細胞を、がんを処置するために有効な量で投与することを含み、有効量が対象において毒性を引き起こさない方法を提供する。
一部の態様では、本開示は、対象において感染症を処置する方法であって、対象に、4−1BBLポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−12ポリペプチドを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む複数の操作された赤血球系細胞を、感染症を処置するために有効な量で投与することを含み、有効量が対象において毒性を引き起こさない方法を提供する。
本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、有効量の投与は、対象において単離された4−1BBアゴニスト抗体、単離されたIL−12ポリペプチドまたはそれらの組合せの投与よりも少ない毒性をもたらす。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、有効量の投与は、対象において単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量またはそれらの組合せの投与よりも少ない毒性をもたらす。
本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれるIL−12ポリペプチドの量と量的に同じ量(例えば、コピー数またはモル濃度において)である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれるIL−12ポリペプチドの量と同じ生物活性を有する単離されたIL−12ポリペプチドの量である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれるIL−12ポリペプチドの量と同じ治療効力を有する単離されたIL−12ポリペプチドの量である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれる4−1BBLポリペプチドの量と同じアゴニスト活性を有する単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれる4−1BBLポリペプチドの量と同じ生物学的効果を有する単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離された4−1BBアゴニスト抗体の等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれる4−1BBLポリペプチドの量と同じ治療効力を有する単離された4−1BBアゴニスト抗体の量である。
一部の態様では、本開示は、対象において免疫キラー細胞を刺激する方法であって、対象に、IL−15ポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−12ポリペプチドを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む複数の操作された赤血球系細胞を、免疫キラー細胞を刺激するために有効な量で投与することを含み、有効量が対象において毒性を引き起こさない方法を提供する。
一部の態様では、本開示は、対象においてがんを処置する方法であって、対象に、IL−15ポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−12ポリペプチドを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む複数の操作された赤血球系細胞を、がんを処置するために有効な量で投与することを含み、有効量が対象において毒性を引き起こさない方法を提供する。
一部の態様では、本開示は、対象において感染症を処置する方法であって、対象に、IL−15ポリペプチドを含む第1の外因性刺激性ポリペプチドおよびIL−12ポリペプチドを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドを含む複数の操作された赤血球系細胞を、感染症を処置するために有効な量で投与することを含み、有効量が対象において毒性を引き起こさない方法を提供する。
本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、有効量の投与は、対象において、単離されたIL−15ポリペプチド、単離されたIL−12ポリペプチドまたはそれらの組合せの投与よりも少ない毒性をもたらす。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、有効量の投与は、対象において、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量またはそれらの組合せの投与よりも少ない毒性をもたらす。
本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれるIL−12ポリペプチドの量と量的に同一の量(例えば、コピー数またはモル濃度において)である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれるIL−12ポリペプチドの量と同じ生物活性を有する単離されたIL−12ポリペプチドの量である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離されたIL−12ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれるIL−12ポリペプチドの量と同じ治療効力を有する単離されたIL−12ポリペプチドの量である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれるIL−15ポリペプチドの量と同じ量(例えば、コピー数またはモル濃度において)を有する単離されたIL−15ポリペプチドの量である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれるIL−15ポリペプチドの量と同じ生物活性を有する単離されたIL−15ポリペプチドの量である。本明細書において開示される方法の一部の実施形態では、単離されたIL−15ポリペプチドの等価量は、操作された赤血球系細胞の有効量に含まれるIL−15ポリペプチドの量と同じ治療効力を有する単離されたIL−15ポリペプチドの量である。
一部の実施形態では、第1の外因性ポリペプチドは、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドとIL−15RAポリペプチドの細胞外部分は複合体として存在する。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドとIL−15RAポリペプチドの細胞外部分は融合ポリペプチドである。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドまたはその断片は、IL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片とリンカーによって連結している。一部の実施形態では、リンカーは、GGGGS(配列番号11)を含む。一部の実施形態では、リンカーは、(GGGGS)3リンカー(配列番号12)を含む。一部の実施形態では融合ポリペプチドは、配列番号1と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
一部の実施形態では、第1の外因性刺激性ポリペプチドは、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15受容体アルファsushi結合性ドメインを含む。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドまたはその断片とIL−15受容体アルファsushi結合性ドメインは複合体として存在する。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドまたはその断片とIL−15受容体アルファsushi結合性ドメインは融合ポリペプチドとして存在する。一部の実施形態では、IL−15ポリペプチドまたはその断片は、IL−15受容体アルファsushi結合性ドメインとリンカーによって連結している。一部の実施形態では、リンカーは、GGGGS(配列番号11)を含み、必要に応じて、リンカーは、(GGGGS)3リンカー(配列番号12)を含む。一部の実施形態では融合ポリペプチドは、配列番号2と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。
免疫キラー細胞活性化から恩恵を受ける状態の処置
外因性物質(例えば、ポリペプチド)を含む(例えば、提示する)操作された赤血球系細胞を投与する方法は、例えば、WO2015/073587およびWO2015/153102に記載されており、各々、参照によりその全文で本明細書に組み込まれる。
実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞を対象、例えば、哺乳動物、例えば、ヒトに投与する。処置できる例示的哺乳動物として、制限するものではないが、ヒト、飼育動物(例えば、イヌ、ネコなど)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなど)および実験動物(例えば、サル、ラット、マウス、ウサギ、モルモットなど)が挙げられる。本明細書に記載の方法は、ヒト療法および獣医適用の両方に適用可能である。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、除核細胞である。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、有核細胞である。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞を患者に、1、2、3、4、5または6カ月毎に投与する。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞の用量は、約1×109〜2×109、2×109〜5×109、5×109〜1×1010、1×1010〜2×1010、2×1010〜5×1010、5×1010〜1×1011、1×1011〜2×1011、2×1011〜5×1011、5×1011〜1×1012、1×1012〜2×1012、2×1012〜5×1012または5×1012〜1×1013個の細胞を含む。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞を、患者に、2週間〜1年、例えば、1カ月〜1年またはそれより長い、例えば、少なくとも2週間、4週間、6週間、8週間、3カ月、6カ月、1年、2年の期間にわたって患者の血流中で投与された赤血球系細胞の機能を維持するのに十分である投薬レジメン(投与の用量および周期性)で投与する。
一部の態様では、本開示は、免疫キラー細胞活性化を必要とする対象へ、免疫キラー細胞を刺激する方法であって、免疫キラー細胞を、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞と免疫細胞を刺激するのに有効な量で接触させることを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、対象は、がんを有すると診断されている。
一部の実施形態では、対象は、感染症を有する。
一部の態様では、本開示は、本明細書に記載の疾患または状態、例えば、がんまたは感染症を処置するための本明細書に記載の操作された赤血球系細胞の使用を提供する。一部の態様では、本開示は、本明細書に記載の疾患または状態、例えば、がんまたは感染症を処置するための医薬の生産のための本明細書に記載の操作された赤血球系細胞の使用を提供する。
がん
一部の態様では、本発明は、対象においてがんを処置する方法であって、対象に、本明細書に記載の通り、免疫細胞、特に、NK細胞またはCD8+T細胞などのキラー免疫細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞を投与することを含む方法を提供する。操作された赤血球系細胞を、対象にがんを処置するために有効な量で投与する。実施形態では、対象は、がんを有する、および/またはがんと診断されており、したがって、処置を必要としている。
本開示は、ある特定の種類のがんに制限されず、むしろ任意のがんが、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞によって処置されると企図される。ある特定の実施形態では、がんとして、これだけに限定されないが、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、肛門がん、胆管がん、膀胱がん、骨がん、腸がん、脳腫瘍、乳がん、原発不明のがん、骨に転移したがん、脳に転移したがん、肝臓に転移したがん、肺に転移したがん、カルチノイド、子宮頸がん、絨毛癌、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、眼のがん、胆嚢がん、胃(gastric)がん、妊娠性絨毛腫瘍(GTT)、ヘアリー細胞白血病、頭頸部がん、ホジキンリンパ腫、腎臓がん、咽頭がん、白血病、肝臓がん、肺がん、リンパ腫、黒色腫皮膚がん、中皮腫、奇胎妊娠、口および口腔咽頭がん、骨髄腫、鼻腔および副鼻腔がん、鼻咽頭がん、非ホジキンリンパ腫(NHL)、食道がん、卵巣がん、膵臓がん、陰茎がん、前立腺がん、希少がん、直腸がん、唾液腺がん、続発性がん、皮膚がん(非黒色腫)、軟部組織肉腫、胃(stomach)がん、精巣がん、甲状腺がん、原発不明がん、子宮がん、膣がんおよび外陰部がんから選択されるがんが挙げられる。
ある特定の実施形態では、処置されるべきがんは、肺がん、肝細胞がん、黒色腫およびリンパ腫から選択される。さらなる実施形態では、リンパ腫は、ホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫から選択される。一部の実施形態では、処置されるべきがんは、肺がんである。一部の実施形態では、がんは、肝細胞がんである。一部の実施形態では、がんは、黒色腫である。一部の実施形態では、がんは、リンパ腫である。一部の実施形態では、がんは、ホジキンリンパ腫である。一部の実施形態では、がんは、非ホジキンリンパ腫である。
一部の実施形態では、処置されるべきがんは、固形腫瘍である。固形腫瘍として、これだけに限定されないが、乳がん、膀胱がん、結腸および直腸がん、子宮内膜がん、腎臓(腎細胞)がん、肺がん、黒色腫、膵臓がん、前立腺がん、甲状腺がん、皮膚がん、骨がん、脳がん、子宮頸がん、肝臓がん、胃(stomach)がん、口および口腔がん、神経芽細胞腫、精巣がん、子宮がん、甲状腺がん、頭頸部、腎臓、肺、非小細胞肺、黒色腫、中皮腫、卵巣、肉腫、胃(stomach)、子宮および髄芽腫および外陰部がんが挙げられる。ある特定の実施形態では、処置されるべき固形腫瘍は、肺がん、肝細胞がんまたは黒色腫である。一部の実施形態では、固形腫瘍は、肺がんである。一部の実施形態では、固形腫瘍は、肝細胞がんである。一部の実施形態では、固形腫瘍は、黒色腫である。
ある特定の実施形態では、処置されるべきがんは、血液がんである。血液がんは、血液、骨髄またはリンパ系に影響を及ぼすがんである。血液がんは、5番目に最も一般的に発生するがんであり、がんによる死亡の2番目に多い原因に相当する。血液がんの最も一般的な形態として、白血病、リンパ腫および骨髄腫が挙げられる。白血病は、骨髄が異常な白血球を過剰産生する場合に発生し、影響を受ける白血球の種類によって分類される:骨髄性またはリンパ性。リンパ腫は、悪性白血球の制御されない成長をもたらし、リンパ節に腫瘍を形成するリンパ系のがんである。リンパ腫は、2つの主な種類:ホジキンと非ホジキンリンパ腫(HLおよびNHL)に分類される。骨髄腫は、異常な形質細胞(抗体を産生する白血球の1種)が骨髄中に蓄積すると発生する。
白血病は、それらが急性であるか慢性であるか、骨髄性であるか、リンパ性であるかに基づいて4つの主な種類に分類され得る:急性骨髄性(myeloid)(または骨髄性(myelogenous))白血病(AML)、慢性骨髄性(myeloid)(または骨髄性(myelogenous))白血病(CML)、急性リンパ性(またはリンパ芽球性)白血病(ALL);慢性リンパ性白血病(CLL)。AMLの最初の処置後多数の患者が寛解(徴候および症状がないこと)を達成するが、一部の患者は、強化処置後でさえもその骨髄中に残存する白血病細胞を有する。これは、「難治性白血病」と呼ばれる。一部の患者は、寛解に到達するが、次いで、骨髄において白血病細胞の戻りがあり、正常血液細胞が減少する。これは、「再発白血病」と呼ばれる。
急性骨髄性白血病またはAMLは、骨髄性芽球の増殖によって特徴付けられる。骨髄性芽球が骨髄にとって代わり、その結果、血小板、赤血球および好中球の産生が最小となる。主に、高齢者の疾患であり、診断の中央値年齢が68歳である。2017年には、米国で、20,000より多いAMLの新規症例があり、10,000より多い死亡がAMLによって引き起こされた。
標準的な最前線のAML処置は、40年以上変わっていない:強化導入および地固め療法のレジメン。ほとんどの患者が反応するが、大部分は、経時的に再発する。したがって、AMLを有する多数の若い患者は、造血幹細胞移植またはHSCTを受け、移植が成功する場合には治癒的であり得る。2016年には、米国で3,500人より多いAML患者が、アロHSCTを受け、欧州では200人を超える人がこの術式を受けた。
療法に反応し、生存するAMLを有する患者は、造血幹細胞移植へとつながることが多く、患者の3分の2について治癒的であり得る。同種移植後に再発する患者の3分の1については(AML患者のために2015年に米国で、3,235の同種移植が実施された)、処置選択肢は制限され、ほぼすべての患者が1年のスパン内に死亡する。これらの場合には、患者は、主に、T細胞機能および抗腫瘍免疫を阻害する免疫チェックポイント関与(CTLA4−B7およびPD−1−PDL−1)のために移植片対腫瘍効果の利益を失う。
最近、AMLの処置のために、ゲムツズマブ オゾガマイシン、抗CD33抗体薬物コンジュゲート、CPX−351、多剤併用化学療法および特定の突然変異を有する患者のために、ミドスタウリンおよびエナシデニブなどのさらなる療法が承認された。これらの療法は奏効率を改善し、より多くの患者が移植につながることを可能にするが、全生存率は低いままである。
NK細胞および自然免疫系の関与は、AMLの有効な免疫学的処置および造血幹細胞移植(HSCT)後の潜在的にはその他の関連する血液学的悪性腫瘍の中心と考えられる。骨髄除去および同種移植後、NK細胞は、回復する第1のリンパ球集団であるが、その死滅機能およびサイトカイン分泌機能は、健康なドナーのNK細胞と比較した場合には制限される。NK細胞の回復率と機能は、HSCT後の処置成績と関連しており、そのため、HSCT後のNK細胞の数および機能を増大して移植片対白血病効果を刺激することは、AMLの処置のためにHSCTを受けている患者において生存を増大する可能性を有する。
したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞を、NK細胞、CD8+T細胞またはNKおよびCD8+T細胞集団を活性化して、移植反応および/または全生存期間を改善する意図で、AMLの処置において、特に、同種HSCTを受けている、または受ける予定となっている患者において使用する。一部の実施形態では、本明細書に記載の通り、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む操作された赤血球系細胞を、同種HSCTを受けている、または受ける予定となっている患者においてAMLの処置において使用する。一部の実施形態では、本明細書に記載の通り、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片および4−1BBLポリペプチドまたはその断片を含む操作された赤血球系細胞を、同種HSCTを受けている、または受ける予定となっている患者においてAMLの処置において使用する。一部の実施形態では、本明細書に記載の通り、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドならびにIL−12ポリペプチドまたはその断片を含む外因性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞を、同種HSCTを受けている、または受ける予定となっている患者においてAMLの処置において使用する。一部の実施形態では、本明細書に記載の通り、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドならびにIL−12ポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞を、同種HSCTを受けている、または受ける予定となっている患者においてAMLの処置において使用する。一部の実施形態では、本明細書に記載の通り、IL−12ポリペプチドまたはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドおよび4−1BBLポリペプチドまたはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞を、同種HSCTを受けている、または受ける予定となっている患者においてAMLの処置において使用する。
別の実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞を、再発性または難治性AMLの処置において使用する。一実施形態では、操作された赤血球系細胞を、NK細胞、CD8+T細胞またはNKおよびCD8+T細胞集団を活性化して、移植反応および全生存期間を改善する意図で、同種HSCTを受けている、または受ける予定となっている患者において再発性または難治性AMLの処置において使用する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の通りのIL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞を再発性または難治性AMLの処置において使用する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の通りのIL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片および4−1BBLポリペプチドまたはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞を、再発性または難治性AMLの処置において使用する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の通りのIL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドならびに4−1BBLポリペプチドまたはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞を、再発性または難治性AMLの処置において使用する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の通りのIL−12ポリペプチドまたはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドおよび4−1BBLポリペプチドまたはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞を、再発性または難治性AMLの処置において使用する。
実施形態では、NKおよびCD8+T細胞集団の両方を活性化して、移植反応および全生存期間を改善する意図で処置されるべき患者は、同種HSCTを受けている、または受ける予定となっている。
The Cancer Genome Atlas(TCGA)データセットの最近の解析は、腫瘍のゲノムランドスケープを腫瘍免疫と関連付けており、ネオ抗原負荷をT細胞反応の駆動と関係づけ(Brown et al., Genome Res. 2014 May; 24(5):743-50, 2014)、免疫浸潤物と関連する体細胞突然変異を同定する(Rutledge et al., Clin Cancer Res. 2013 Sep 15; 19(18):4951-60, 2013)。Rooney et al.(2015 Jan 15;160(1-2):48-61)は、ネオ抗原およびウイルスは、細胞溶解活性を駆動する可能性が高いことを示唆しており、腫瘍が免疫攻撃に抵抗することを可能にする既知および新規突然変異を示す。したがって、ある特定の実施形態では、処置されるべきがんは、発がん性ウイルスと関連するがんである。発がん性ウイルスの限定されない例として、例えば、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、B型およびC型肝炎(HBVおよびHCV)、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)、カポジ肉腫ウイルス(KSV)およびポリオーマウイルスが挙げられる。他のある特定の実施形態では、がんは、レトロウイルスエピトープが同定されるがんである。ウイルスと関連する、本発明の方法を使用して処置できるがんとして、これだけに限定されないが、子宮頸がん、頭頸部がん、リンパ腫および腎臓明細胞癌が挙げられる。
低いMHCクラスI発現を有するがん
がん細胞でのMHC I発現は、T細胞による検出および破壊にとって必要である。細胞傷害性Tリンパ球(CTL、CD8+)は、非自己から自己を描写するためにMHCクラスI分子による標的細胞上での腫瘍抗原提示を必要とする。腫瘍が宿主免疫応答を逃れる最も一般的な手段のうち1つは、MHCクラスI分子発現の下方調節によるものであり、その結果、腫瘍は、低いMHCI発現を有し、それによって任意の内因性または治療用抗腫瘍T細胞反応を無効にする(Haworth et al., Pediatr Blood Cancer. 2015 Apr; 62(4): 571-576)。ほとんどの場合、腫瘍細胞でのMHC発現の喪失は、エピジェニック事象およびMHC遺伝子座の転写の下方調節および/または抗原プロセシング機構によって媒介される。プロセシングされたペプチドがないことは、空のMHC分子が細胞表面上で安定ではないのでMHC発現の減少につながる。
種々の成人腫瘍におけるMHCクラスI発現が、以下の表7に示されている。種々の小児がんにおけるMHCクラスI発現は、以下の表8に示されている。MHC発現に関して最も広く研究された小児腫瘍は、神経芽細胞腫であり、これは、特にハイリスク患者において特に低いMHCクラスI発現を有する。
NK細胞は、CTLと同一の死滅機序を使用して事前感作を伴わずに腫瘍細胞を溶解可能である自然免疫に寄与するリンパ球のサブセットである。サイトカイン分泌および細胞毒性を含むナチュラルキラー反応性は、キラー免疫グロブリン様受容体(KIR)およびナチュラル細胞傷害性受容体(NCR)などの、いくつかの生殖系列によってコードされる抑制性および活性化受容体のバランスによって制御される。標的細胞上のMHCクラスI分子の存在は、NK細胞上のMHCクラスI特異的受容体、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)のそのような抑制性リガンドの1つとして役立つ。KIR受容体の関与は、NK活性化を遮断し、不活性化シグナルを引き起こすことによって連続遭遇に応じる能力を逆説的に保存する。したがって、KIRがMHCクラスIと十分に結合できる場合には、この関与は、死滅のためのシグナルを無効にする場合があり、標的細胞が生存することを可能にする。対照的に、NK細胞が標的細胞上のMHCクラスIと十分に結合できない場合には、標的細胞の死滅が進行し得る。結果的に、低MHCクラスIを発現し、T細胞媒介性攻撃を逃れることができると考えられる腫瘍は、実際には、代わりに、NK細胞媒介性免疫応答に対して感受性であり得る。
したがって、ある特定の実施形態では、本発明の操作された赤血球系細胞を使用して、低MHC I提示によって特徴付けられるがんを処置する。例えば、本発明の操作された赤血球系細胞を使用して、表7および8に示されるような低MHC I提示によって特徴付けられるがんを処置する。一部の実施形態では、本発明の操作された赤血球系細胞を使用して、表7に示されるような低MHC I提示によって特徴付けられるがんを処置する。別の実施形態では、本発明の操作された赤血球系細胞を使用して、表85に示されるような低MHC I提示によって特徴付けられるがんを処置する。一部の実施形態では、低MHC I提示を有するがんは、結腸直腸癌である。一部の実施形態では、低MHC I提示を有するがんは、乳腺癌である。一部の実施形態では、低MHC I提示を有するがんは、子宮内膜癌である。一部の実施形態では、低MHC I提示を有するがんは、子宮頸癌である。一部の実施形態では、低MHC I提示を有するがんは、頭頸部癌である。一部の実施形態では、低MHC I提示を有するがんは、前立腺癌である。一部の実施形態では、低MHC I提示を有するがんは、黒色腫である。一部の実施形態では、低MHC I提示を有するがんは、肺癌である。一部の実施形態では、低MHC I提示を有するがんは、神経芽細胞腫である。一部の実施形態では、低MHC I提示を有するがんは、ユーイング肉腫/PNETである。
ストレスリガンドの調節を有するがん
他の実施形態では、本発明の操作された赤血球系細胞を用いて処置されるべきがんは、NK受容体関与(活性化または抑制のいずれか)を変更する細胞性ストレスの効果を示す腫瘍によって特徴付けられる。例えば、がん細胞は、一般に、低酸素症、慢性増殖性シグナルによる(すなわち、構成的活性化Ras突然変異による)一定状態の細胞性ストレスおよび進行中のゲノム不安定性中に存在する。したがって、多数のがん細胞は、その表面上のキラー活性化受容体(KAR)リガンドを上方調節し、それらをNK細胞死滅に対して感受性にする。しかし、ストレスリガンドの調節は、NK細胞認識を減少するためにがん細胞によって使用される重要なエスケープ機序である。例えば、ストレスリガンドULBP2は、腫瘍細胞において頻繁に過剰発現されるRNA結合性タンパク質によって抑制され得る。この発がん性タンパク質の、ULBP2 mRNAとの結合によって、mRNAの安定性が低減され、細胞表面上のULBP2レベルが下方調節される。その結果、腫瘍細胞はNK細胞認識から保護される(Schmiedel D, et al. Elife (2016) 5:e13426)。NK細胞の阻害はまた、神経芽細胞腫ならびに頭頸部癌について示されるようなストレスリガンドMICAの可溶性形態によるNKG2Dの遮断によって生じ得る。したがって、一部の実施形態では、本発明は、1つまたは複数のストレスリガンドまたはKARリガンドのレベルが上方調節されるがんを処置する方法を提供する。理論に捉われようとは思わないが、NK細胞死滅に対して感受性であるこのようながんは、NK細胞の数および/または活性の増大に対して特に応答性であることが予想される。別の実施形態では、本発明は、ストレスリガンドのレベルまたは活性が下方調節または阻害されるがん、例えば、ストレスリガンドまたはKARリガンドのサプレッサーが発現されるがんを処置する方法を提供する。理論に捉われようとは思わないが、サプレッサーの存在のためにNK細胞死滅に対してあまり感受性ではないこのようながんは、NK細胞の数および/または活性の増大から恩恵を受けることが予想される。
4−1BBアゴニストに対する非反応性によって特徴付けられるがん
他の実施形態では、本発明の操作された赤血球系細胞、例えば、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞を用いて処置されるべきがんは、4−1BBアゴニストに対する非反応性によって特徴付けられる。一部の実施形態では、4−1BBアゴニストに対するがんの非反応性は、高用量での毒性、例えば、肝臓毒性によるものである。したがって、本開示は、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞の投与による例えば、4−1BBアゴニストの毒性のために、1種または複数の4−1BBアゴニストに対して非反応性であるがんを有する対象を処置する方法を含む。
一部の実施形態では、4−1BBアゴニスト抗体は、当技術分野で公知の通り、任意の4−1BBアゴニスト抗体であり得る。一部の実施形態では、4−1BBアゴニスト抗体は、ウトミルマブ(utomilumab)である(例えば、参照によりその全文で本明細書に組み込まれる国際特許出願公開番号WO2012/032433を参照されたい)。一部の実施形態では、4−1BBアゴニスト抗体は、INBRX−105である(例えば、参照によりその全文で本明細書に組み込まれる国際特許出願公開番号WO2017/123650を参照されたい)。一部の実施形態では、4−1BBアゴニスト抗体は、ADG106である(例えば、参照によりその全文で本明細書に組み込まれる国際特許出願公開番号WO2019/036855を参照されたい)。一部の実施形態では、4−1BBアゴニスト抗体は、ウレルマブである(例えば、参照によりその全文で本明細書に組み込まれる国際特許出願公開番号WO2005/035584を参照されたい)。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、4−1BBポリペプチドまたはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドならびに4−1BBLポリペプチドまたはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、IL−12ポリペプチドまたはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドおよび4−1BBLポリペプチドまたはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドを含む。
チェックポイント阻害に対する反応によって特徴付けられる腫瘍
チェックポイント阻害剤は、がん処置を改革してきたが、その制限は、ますます明らかとなっている。反応は特定の腫瘍の種類に限局され、わずかな患者のみが治癒される。現在、免疫療法における課題は、チェックポイント阻害剤の有効性をより多くの腫瘍の種類にわたって広げること、ならびに反応の速度、深度および持続期間を増大することである。反応を改善し、広げる両方のために、免疫系の両アームを刺激することによって、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞をチェックポイント阻害剤と組み合わせて使用する。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、IL−15ポリペプチド、またはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドならび4−1BBLポリペプチドまたはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、IL−12ポリペプチドまたはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドおよび4−1BBLポリペプチドまたはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドならびにIL−12ポリペプチドまたはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドを含む。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞を使用して、その反応性、例えば、チェックポイント阻害剤に対して反応性または非反応性によって特徴付けられるがんを処置する。
免疫チェックポイント分子、例えば、PD−1、PD−L1、PD−L2、CTLA4、TIM3、LAG3、CCR4、OX40、OX40L、IDOおよびA2ARは、腫瘍微小環境におけるT細胞反応の調節において重要な役割を果たす細胞表面シグナル伝達受容体である。腫瘍細胞は、その発現および活性を上方調節することによってその利益のためにこれらのチェックポイントを利用し、それによって、抗腫瘍免疫応答を逃れるとわかっている。
しかし、一部のヒト腫瘍は、患者の免疫系によって排除され得る。例えば、CTLA−4およびPD−1/PD−L1系などのチェックポイント分子を標的とする免疫チェックポイント阻害剤が、いくつかの種類のがんにおいて臨床活性を示しており、完全奏効および腫瘍寛解につながる可能性がある。免疫チェックポイント阻害剤は、同時抑制性T細胞シグナル伝達を撹乱することによって抗腫瘍免疫応答を再活性化する。特に、抗CTLA−4および抗PD−1抗体の作用様式は、それぞれ、腫瘍が抗腫瘍免疫応答からの保護として利用してきた、CTLA−4およびPD−1の阻害によるものである。これらのチェックポイント分子を阻害すること(例えば、アンタゴニスト抗体を用いて)によって、患者のCD8+T細胞が、増殖し、腫瘍細胞を破壊することが可能となり得る。しかし、チェックポイント阻害剤を用いる処置を受けているがん患者の大部分は、がんおよび治療介入に応じて12カ月以内に進行する。MHC複合体は、免疫系における重要なつながりであり、T細胞ががん細胞を認識し、死滅させる方法であるが、NK細胞の死滅機能も遮断する。チェックポイント阻害剤に対する抵抗の一般的な手段は、T細胞に対してがんを不可視にするMHC発現の喪失であるが、結果として、NK細胞依存性死滅に対して感受性となる。腫瘍細胞でのMHC提示の下方調節および周囲の領域においてT細胞を使い果たすことが、この免疫療法抵抗に寄与する。
したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載の通りの操作された赤血球系細胞を、チェックポイント阻害剤に対して反応していた、反応性である、または反応性であるとわかっているがん(例えば、固形腫瘍または血液がん)の処置において使用する。例えば、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA−4)、プログラム死−1(PD−1)またはそのリガンド(PD−L1)などの免疫系チェックポイントを標的とするいくつかの免疫調節剤が、悪性黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞癌、古典的ホジキンリンパ腫および再発性または転移性頭頸部扁平細胞癌を含む複数のがんの処置のための規制当局の承認を受けている。したがって、一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞を使用して、PD−1反応性腫瘍によって特徴付けられるがんを処置する。実施形態では、操作された赤血球系細胞をこのようながんの処置のためのチェックポイント阻害剤と組み合わせて、処置のために投与または使用する。このような方法において適したチェックポイント阻害剤は、本明細書に記載されている。
他の実施形態では、本明細書に記載の通りの操作された赤血球系細胞を使用して、もはやチェックポイント阻害剤に対して反応しない患者において固形腫瘍を処置する。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞を、単剤療法として単独で使用して、もはやチェックポイント阻害剤に対して反応しない患者において固形腫瘍を処置する。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞を、チェックポイント阻害剤と組み合わせて使用して、もはやチェックポイント阻害剤に対して反応しない患者において固形腫瘍を処置する。一部の実施形態では、固形腫瘍は、黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞癌、膀胱がんおよび頭頸部がんから選択される。
上記で論じた通り、MHC複合体は、免疫系における重要なつながりであり、T細胞ががん細胞を認識し、死滅させる方法であるが、NK細胞の死滅機能も遮断する。チェックポイント阻害剤に対する抵抗の一般的な手段は、T細胞に対してがんを不可視にするMHC発現の喪失であるが、結果として、NK細胞依存性死滅に対して感受性となる。一部の実施形態では、本明細書に記載の通りの操作された赤血球系細胞を使用して、MHC発現の喪失によりチェックポイント阻害剤療法で進行してしまった患者集団を処置する。
例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載の通りの操作された赤血球系細胞を、PD−1およびPD−L1もしくはPD−L2のいずれかを遮断、低減および/もしくは阻害する、ならびに/またはPD−1のPD−L1もしくはPD−L2との結合を遮断、低減および/もしくは阻害する薬剤(限定されない例として、ニボルマブ(ONO−4538/BMS−936558、MDX1106、オプジーボ、BRISTOL MYERS SQUIBB)、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA、Merck)、ピディリズマブ(CT−011、CURE TECH)、MK−3475(MERCK)、BMS936559(BRISTOL MYERS SQUIBB)およびMPDL328OA (ROCHE)のうち1種または複数)と組み合わせて使用できる。一部の実施形態では、本明細書に記載の通りの操作された赤血球系細胞を、CTLA−4の活性および/またはCTLA−4の1つもしくは複数のその受容体(例えば、CD80、CD86、AP2M1、SHP−2およびPPP2R5A)との結合を遮断、低減および/または阻害する薬剤と組み合わせて使用できる。例えば、一部の実施形態では、CTLA−4の活性を阻害する薬剤は、制限されない例として、イピリムマブ(MDX−010、MDX−101、Yervoy、BMS)および/またはトレメリムマブ(Pfizer)などの抗体である。さらに、本明細書において提供される操作された赤血球系細胞を、例えば、BTLA、HVEM、TIM3、GALS、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160(BY55とも呼ばれる)、CGEN−15049、CHK1およびCHK2キナーゼ、A2aR、CEACAM(例えば、CEACAM−1、CEACAM−3および/またはCEACAM−5)、GITR、GITRL、ガレクチン−9、CD244、CD160、TIGIT、SIRPα、ICOS、CD172a、TMIGD2および種々のB−7ファミリーリガンド(これだけに限定されないが、B7−1、B7−2、B7−DC、B7−H1、B7−H2、B7−H3、B7−H4、B7−H5、B7−H6およびB7−H7を含む)などの免疫チェックポイント分子を標的とする1種または複数の遮断抗体と組み合わせて使用できる。
一部の実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞を、抗PD−1抗体と組み合わせて投与する。
本明細書に記載の通りの操作された赤血球系細胞を用いる処置は、T細胞だけでなくNK細胞の活性化も促進するように機能し、それによって、局所適応免疫応答を再活性化し、がんをチェックポイント阻害に対して再感作させ、自然免疫応答の活性化によって腫瘍死滅を相加的または相乗的に増強することができる。
前記の処置の方法の特定の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドを含む。特定の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、IL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドならびに4−1BBLポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドを含む。
前記の処置の方法の特定の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、インターロイキン−12p40(IL−12p40)ポリペプチドまたはその断片およびインターロイキン−12p35(IL−12p35)ポリペプチドまたはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドを含む。特定の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、インターロイキン−12p40(IL−12p40)ポリペプチドまたはその断片およびインターロイキン−12p35(IL−12p35)ポリペプチドまたはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドならびにIL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドを含む。
前記の処置の方法の特定の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、インターロイキン−12p40(IL−12p40)ポリペプチドまたはその断片およびインターロイキン−12p35(IL−12p35)ポリペプチドまたはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドを含む。特定の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、インターロイキン−12p40(IL−12p40)ポリペプチドまたはその断片およびインターロイキン−12p35(IL−12p35)ポリペプチドまたはその断片を含む外因性刺激性ポリペプチドならびに4−1BBLポリペプチドを含む外因性刺激性ポリペプチドを含む。
高い腫瘍遺伝子変異数を有するがん
腫瘍は、成長するにつれてその遺伝物質に突然変異を蓄積し得る。これらの体細胞突然変異は、細胞分裂の際に新規がん細胞に受け継がれることがある。腫瘍細胞中の獲得された突然変異は、タンパク質の発現を変更し、ネオ抗原の形成をもたらすことがある。腫瘍遺伝子変異数(TMB)は、腫瘍細胞によって保持される突然変異の測定値である。TMBは、さまざまな進行がんにおいて免疫療法に対する反応を予測する新規臨床マーカーである。TMBは、タンパク質ベースのバイオマーカーとは異なり、腫瘍ゲノムのコーディング領域あたりの突然変異の総数の定量的尺度である。高いレベルのTMBを有する腫瘍ほど、より多くのネオ抗原を発現すると考えられ、これによってより頑強な免疫応答を、したがって、免疫療法に対するより耐久性のある反応を可能にし得る。したがって、一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞を使用して、高い遺伝子変異数を有する腫瘍によって特徴付けられるがんを処置する。
血管形成された腫瘍/漏れやすい脈管構造を有する腫瘍
他の実施形態では、本開示の操作された赤血球系細胞を使用して、高度に血管形成された腫瘍を処置する。理論に捉われずに、より大きな血管形成ほど、腫瘍を本開示の操作された赤血球系細胞に対して接近しやすくする。腫瘍血管分布は、例えば、毛細血管間距離(腫瘍酸素化を反映すると考えられる)および微小血管密度(腫瘍血管新生の組織学的評価を提供する)によって測定できる。高度血管性腫瘍は、血管起源の任意の腫瘍、例えば、血管腫、リンパ管腫、血管内皮腫、カポジ肉腫、血管肉腫、血管芽腫であり得る。
他の実施形態では、本開示の操作された赤血球系細胞を使用して、漏れやすい脈管構造を有する腫瘍を処置する。腫瘍中の血管は異常であるという一般的な合意がある。この異常性の1つの顕在化が、欠陥のある、漏れやすい内皮である。血管の漏れやすさは、腫瘍の内部環境およびおそらくは血管新生の速度に影響を及ぼすだけでなく、治療薬の接近も支配する。理論に捉われずに、漏れやすい血管は、本開示の操作された赤血球系細胞へのより多い接近を提供するであろう。
感染症
一部の態様では、本発明は、対象において感染症を処置する方法であって、対象に、免疫細胞、例えば、免疫キラー細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞を投与することを含む方法を提供する。操作された赤血球系細胞を、対象において感染症を処置するために有効な量で投与する。
ある特定の実施形態では、感染症は、ウイルス感染によって引き起こされる。
本発明の操作された赤血球系細胞を用いて処置されるべきウイルス感染として、アデノウイルス、コクサッキーウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、エプスタイン・バーウイルス、単純ヘルペス1型、単純ヘルペス2型、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス8型、水痘帯状疱疹ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、乳頭腫ウイルス、狂犬病ウイルスおよび風疹ウイルスが挙げられる。その他のウイルス標的として、パラミクソウイルス科(例えば、ニューモウイルス、モルビリウイルス、メタニューモウイルス、レスピロウイルスまたはルブラウイルス)、アデノウイルス科(例えば、アデノウイルス)、アレナウイルス科(例えば、アレナウイルス、例えば、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス)、アルテリウイルス科(例えば、ブタ呼吸器生殖器症候群ウイルスまたはウマ動脈炎ウイルス)、ブニヤウイルス科(例えば、フレボウイルスまたはハンタウイルス)、カリシウイルス科(例えば、ノーウォークウイルス)、コロナウイルス科(例えば、コロナウイルスまたはトロウイルス)、フィロウイルス科(例えば、エボラ様ウイルス)、フラビウイルス科(例えば、ヘパシウイルスまたはフラビウイルス)、ヘルペスウイルス科(例えば、シンプレックスウイルス、バリセロウイルス、サイトメガロウイルス、ロゼオロウイルスまたはリンホクリプトウイルス)、オルトミクソウイルス科(例えば、インフルエンザウイルスまたはトゴトウイルス)、パルボウイルス科(例えば、パルボウイルス)、ピコルナウイルス科(Picomaviridae)(例えば、エンテロウイルスまたはヘパトウイルス)、ポックスウイルス科(例えば、オルソポックスウイルス、トリポックスウイルスまたはレポリポックスウイルス)、レトロウイルス科(例えば、レンチウイルスまたはスプーマウイルス)、レオウイルス科(例えば、ロタウイルス)、ラブドウイルス科(例えば、リッサウイルス、ノビラブドウイルスまたはベジクロウイルス)およびトガウイルス科(例えば、アルファウイルスまたはルビウイルス)が挙げられる。これらのウイルスの具体例として、ヒト呼吸器コロナウイルス、インフルエンザウイルスA〜C、A〜G型肝炎ウイルスおよび単純ヘルペスウイルス1〜9型が挙げられる。
ある特定の実施形態では、ウイルス感染は、アデノウイルス、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、B型肝炎(hetpatitis)ウイルス(HBV)、結核、ヒト免疫不全(immunodeficientcy)ウイルス(HIV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、乳頭腫ウイルスおよびサイトメガロウイルスから選択されるウイルスによって引き起こされる。
他の実施形態では、ウイルス感染は、MHC I提示の下方調節によって特徴付けられる。ヒトウイルスは、CTL溶解をエスケープするためにMHCクラスI経路を阻害する多様な機序を使用する。MHCクラスI経路を干渉するタンパク質の例は、アデノウイルスおよびレトロウイルスによってコードされている(Tortorella et al., Annu Rev Immunol. 2000; 18():861-926)。これらとして、アデノウイルスE3/19Kおよびヒト免疫不全ウイルス−1(HIV−1)Nef遺伝子産物が挙げられる。ヘルペスウイルスは、免疫適格性宿主において持続性の生涯感染を確立しており、すべてではなくともほとんどのヘルペスウイルスが、MHCクラスI抗原提示を阻害するタンパク質をコードし、これらのタンパク質は、ウイルスがCTLによる検出を逃れることを可能にすることにおいて重要な役割を果たす。これは、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)によって例示され、これでは、ウイルスゲノムの独特な短い領域が、MHCクラスI経路を阻害する少なくとも5種のタンパク質(US2、US3、US6、US10およびUS11)をコードする。
MICBは、ナチュラルキラー(NK)細胞活性化受容体NKG2Dのストレス誘導性リガンドであり、ウイルス感染細胞および腫瘍細胞のNK細胞死滅にとって重要である。NK細胞死滅の回避の別の例では、ウイルス感染の際にMICB発現が下方調節され、NKG2Dの結合の減少およびNK細胞による死滅の低減につながる。したがって、一部の実施形態では、本発明は、MICBの下方調節と関連するウイルス疾患を処置する方法であって、ウイルス感染した細胞のNK細胞による死滅が増大される方法を提供する。
ある特定の実施形態では、感染症は、細菌感染によって引き起こされる。
本発明の操作された赤血球系細胞を用いて処置されるべき細菌感染として、これだけに限定されないが、Mycobacteria、Rickettsia、Mycoplasma、Neisseria meningitides、Neisseria gonorrheoeae、Legionella、Vibrio cholerae、Streptococci、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Pseudomonas aeruginosa、Corynobacteria diphtheriae、Clostridium spp.、腸内毒素原性Eschericia coli、Bacillus anthracis、リケッチア、Bartonella henselae、Bartonella quintana、Coxiella burnetii、Chlamydia trachomatis、Mycobacterium leprae、Salmonella、Shigella、Yersinia enterocolitica、Yersinia pseudotuberculosis、Legionella pneumophila、Mycobacterium tuberculosis、Listeria monocytogenes、Mycoplasma spp.、Pseudomonas fluorescens、Vibrio cholerae、Haemophilus influenzae、Bacillus anthracis、Treponema pallidum、Leptospira; Borrelia、Corynebacterium diphtheriae、Francisella、Brucella melitensis、Campylobacter jejuni、Enterobacter、Proteus mirabilis、ProteusおよびKlebsiella pneumoniaeが挙げられる。
対象
本明細書に記載の方法は、これらの方法の恩恵を経験し得る任意の対象で使用するように意図されている。したがって、「対象」、「患者」および「個体」(同義的に使用される)は、ヒトならびに非ヒト対象、特に、飼育化動物を含む。
一部の実施形態では、対象および/または動物は、哺乳動物、例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ウサギ、ヒツジまたは非ヒト霊長類、例えば、サル、チンパンジーまたはヒヒである。他の実施形態では、対象および/または動物は、非哺乳動物である。一部の実施形態では、対象および/または動物は、ヒトである。一部の実施形態では、ヒトは、小児のヒトである。他の実施形態では、ヒトは成体のヒトである。他の実施形態では、ヒトは、高齢期のヒトである。他の実施形態では、ヒトは、患者と呼ばれることもある。
ある特定の実施形態では、ヒトは、約0カ月〜約6カ月齢、約6〜約12カ月齢、約6〜約18カ月齢、約18〜約36カ月齢、約1〜約5歳、約5〜約10歳、約10〜約15歳、約15〜約20歳、約20〜約25歳、約25〜約30歳、約30〜約35歳、約35〜約40歳、約40〜約45歳、約45〜約50歳、約50〜約55歳、約55〜約60歳、約60〜約65歳、約65〜約70歳、約70〜約75歳、約75〜約80歳、約80〜約85歳、約85〜約90歳、約90〜約95歳または約95〜約100歳のさまざまな年齢を有する。
他の実施形態では、対象は、非ヒト動物であり、したがって、本開示は、獣医使用に関する。具体的な実施形態では、非ヒト動物は、ペットである。別の具体的な実施形態では、非ヒト動物は、家畜動物である。ある特定の実施形態では、対象は、化学療法を受けることができないヒトがん患者である、例えば、患者は、化学療法に対して非反応性である、または化学療法の適した治療域を有するには病気が重すぎる(例えば、あまりに多数の用量−またはレジメン−制限副作用を経験している)。ある特定の実施形態では、対象は、進行性および/または転移性疾患を有しているヒトがん患者である。
一部の実施形態では、対象は、本開示の免疫キラー細胞を刺激するのに十分である複数の外因性刺激性ポリペプチドを含む、免疫キラー細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞を用いる処置のために選択される。一部の実施形態では、対象は、本開示の免疫キラー細胞を刺激するのに十分である複数の外因性刺激性ポリペプチドを含む、免疫キラー細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞を用いるがんの処置のために選択される。一部の実施形態では、対象は、本開示の免疫キラー細胞を刺激するのに十分である複数の外因性刺激性ポリペプチドを含む、免疫キラー細胞を刺激するように操作された赤血球系細胞を用いる感染症の処置のために選択される。
一部の実施形態では、対象は、第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞を用いる処置のために選択され、第1の外因性刺激性ポリペプチドは、本開示のIL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、例えば、4−1BBLを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドをさらに含む。一部の実施形態では、対象は、第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞を用いるがんの処置のために選択され、第1の外因性刺激性ポリペプチドは、本開示のIL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、例えば、4−1BBLを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドをさらに含む。一部の実施形態では、対象は、第1の外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞を用いる感染症の処置のために選択され、第1の外因性刺激性ポリペプチドは、本開示のIL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、例えば、4−1BBLを含む第2の外因性刺激性ポリペプチドをさらに含む。
一部の実施形態では、対象は、本開示のMICA、MICBおよびIGF−1からなる群から選択される少なくとも1つの外因性刺激性ポリペプチドを含む操作された赤血球系細胞を用いる処置のために選択される。
上記の態様および実施形態の一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、除核細胞である。上記の態様および実施形態の一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、有核細胞である。
IV.医薬組成物
本開示は、有効成分として本開示の操作された赤血球系細胞を含む医薬組成物の調製および使用を包含する。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、除核細胞である。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、有核細胞である。このような医薬組成物は、対象への投与に適した形態での、少なくとも1種の有効成分(例えば、操作された赤血球系細胞の有効用量)の組合せとして、有効成分単独からなり得る、または医薬組成物は、有効成分および1種もしくは複数の薬学的に許容される担体、1種もしくは複数のさらなる(活性および/または不活性の)成分またはこれらの一部の組合せを含み得る。
本開示の医薬組成物は、処置される(または防止される)べき疾患に対して適当な方法で投与できる。適当な投与量は、臨床試験によって決定され得るが、投与の量および頻度は、患者の状態ならびに患者の疾患の種類および重症度などの因子によって左右される。
医薬組成物の投与は、エアゾール吸入、注射、経口摂取、輸血、埋め込みまたは移植によってを含め、任意の従来法で実施できる。本開示の組成物を、患者に皮下に、皮内に、筋肉内に、静脈内(i.v.)注射によって、または腹腔内に投与することができる。医薬組成物を、腫瘍またはリンパ節中に直接注入できる。
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される担体」とは、有効成分を組み合わせることができ、組み合わせた後に、対象に有効成分を投与するために使用できる化学組成物を意味する。
本明細書に記載の医薬組成物の製剤は、薬理学の技術分野で公知のまたは今後開発される任意の方法によって調製できる。一般に、このような調製方法は、有効成分を、担体または1種もしくは複数の他の付属成分と関連させ、次いで、必要な場合または望ましい場合には、生成物を所望の単回または複数回用量単位に成形またはパッケージングするステップを含む。
本明細書において提供される医薬組成物の説明は、主にヒトへの倫理的投与に適している医薬組成物に向けられているが、このような組成物は、すべての種類の動物への投与に一般的に適しているということは当業者には理解されよう。組成物を種々の動物への投与にとって適したものにするための、ヒトへの投与に適している医薬組成物の修飾は、十分に理解されており、当業の獣医学の薬理学者ならば、このような修飾をあるとすれば、単に通常の実験を用いて設計および実施できる。本開示の医薬組成物の投与が考慮される対象として、これだけに限定されないが、ヒトおよび他の霊長類、商業的に関連する哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコおよびイヌを含む哺乳動物、商業的に関連する鳥類、例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウおよびシチメンチョウを含む鳥類、養殖魚および観賞魚を含む魚類および甲殻類、例えば、養殖貝類が挙げられる。
本開示の方法において有用である医薬組成物は、経口の、直腸の、膣の、非経口の、局所の、肺の、鼻腔内、病巣内、頬側の、眼の、静脈内、臓器内または別の投与経路に適した製剤で調製、パッケージングまたは販売できる。他の企図される製剤として、投射されるナノ粒子、リポソーム調製物、有効成分を含有する再密閉された赤血球および免疫学的ベースの製剤が挙げられる。
本開示の医薬組成物は、単回単位用量として、または複数の単回単位用量としてバルクで調製、パッケージングまたは販売できる。本明細書で使用される場合、「単位用量」は、所定量の有効成分を含む医薬組成物の別個の量である。有効成分の量は、一般に、対象に投与されるであろう有効成分の投与量またはこのような投与量の好都合な画分、例えば、このような投与量の2分の1もしくは3分の1などと等しい。
本開示の医薬組成物中の有効成分、薬学的に許容される担体および任意のさらなる成分の相対量は、処置される対象の同一性、大きさおよび状態に応じて、さらに組成物が投与される経路に応じて変わる。例として、組成物は、0.1%から100%(w/w)の間の有効成分を含み得る。
本開示の医薬組成物は、有効成分に加えて、1種または複数のさらなる医薬上活性な物質をさらに含み得る。特に企図されるさらなる物質として、制吐剤ならびにシアン化物およびシアン酸スカベンジャーなどのスカベンジャーならびにAZT、プロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、インターロイキン−2、インターフェロン、サイトカインなどが挙げられる。
本開示の医薬組成物の徐放性または持続放出性製剤を、従来技術を使用して作製できる。
本明細書で使用される場合、医薬組成物の「非経口投与」は、対象の組織を物理的に破損することおよび組織中の破損を通した医薬組成物の投与によって特徴付けられる任意の投与経路を含む。したがって、非経口投与として、これだけに限定されないが、組成物の注射による、外科的切開による組成物の適用による、組織浸透性非外科的創傷を通る組成物の適用などによる医薬組成物の投与が挙げられる。特に、非経口投与は、これだけに限定されないが、皮下、腹腔内、筋肉内、胸骨内注射および腎臓透析注入技術を含むように企図される。
非経口投与に適した医薬組成物の製剤は、薬学的に許容される担体、例えば、滅菌水または滅菌等張性生理食塩水と組み合わされた有効成分を含む。このような製剤は、ボーラス投与に、または連続投与に適した形態で、調製、パッケージングまたは販売できる。注射用製剤は、アンプルでなどの単位投与形で、または防腐剤を含有する複数回用量容器で、調製、パッケージングまたは販売できる。非経口投与用製剤として、これだけに限定されないが、懸濁液、溶液、油性または水性ビヒクル中のエマルジョン、ペーストおよび埋め込み可能な持続放出性または生分解性製剤を含む。このような製剤は、これだけに限定されないが、懸濁剤、安定化剤または分散剤を含む1種または複数のさらなる成分をさらに含み得る。
医薬組成物は、滅菌注射用水性または油性懸濁液または溶液の形態で調製、パッケージングまたは販売できる。この懸濁液または溶液は、公知の技術に従って製剤化でき、有効成分に加えて、本明細書に記載のさらなる成分、例えば、分散剤、湿潤剤または懸濁剤を含み得る。このような滅菌注射用製剤は、例えば、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒、例えば、水または1,3−ブタンジオールを使用して調製できる。他の許容される希釈剤および溶媒として、これだけに限定されないが、リンゲル溶液、等張性塩化ナトリウム溶液および固定油、例えば、合成モノ−またはジ−グリセリドが挙げられる。有用であるその他の非経口投与可能な製剤として、有効成分を、微晶質形態で、リポソーム調製物で、または生分解性ポリマー系の構成成分として含むものが挙げられる。持続放出または埋め込み用組成物は、薬学的に許容されるポリマー性または疎水性材料、例えば、エマルジョン、イオン交換樹脂、難溶性ポリマーまたは難溶性塩を含み得る。
本開示の操作された赤血球系細胞を、動物、好ましくは、ヒトに投与できる。操作された赤血球系細胞を、それによって拡大されるT細胞またはNK細胞とともにまたはともなわずに投与する場合には、それらを約100,000〜約10億個細胞の範囲の量で投与でき、細胞は、それを必要とする動物、好ましくは、ヒト患者中に注入される。さらに、投与される正確な投与量は、これだけに限定されないが、動物の種類および処置されている疾患状態の種類、動物の齢および投与経路を含む、任意の数の因子に応じて変わる。
操作された赤血球系細胞を、毎日数回ほどの頻度で動物に投与できる、または1日1回、週に1回、2週に1回、月に1回などの少ない頻度で、もしくはさらに少ない頻度で、例えば、数カ月に1回または年に1回もしくはそれより少なく投与できる。用量の頻度は、当業者には容易に明らかとなり、これだけに限定されないが、処置されている疾患の種類および重症度、動物の種類および齢などといった任意の数の因子に応じて変わるであろう。
操作された赤血球系細胞(またはそれによって拡大されるT細胞またはNK細胞)を、種々の他の化合物(多数の他のものの中でも、サイトカイン、化学療法薬、チェックポイント阻害剤および/または抗ウイルス薬)と同時投与できる。あるいは、化合物(複数可)を、操作された赤血球系細胞(またはそれによって拡大されるT細胞またはNK細胞)の1時間前、1日前、1週間前、1月前またはそれより長く前に、またはそれらの任意の並べ替えで投与できる。さらに、化合物(複数可)を、操作された赤血球系細胞(またはそれによって拡大されるT細胞またはNK細胞)の投与の1時間後、1日後、1週間後、またはそれよりも長く後に、またはそれらの任意の並べ替えで投与できる。頻度および投与レジメンは、当業者には容易に明らかとなり、これだけに限定されないが、処置されている疾患の種類および重症度、動物の齢および健康状態、投与されている化合物(単数または複数)の同一性、種々の化合物および操作された赤血球系細胞(またはそれによって拡大されるT細胞またはNK細胞)の投与経路などといった、任意の数の因子に応じて変わるであろう。
さらに、本明細書において提供される本開示に基づいて、操作された赤血球系細胞が哺乳動物に投与される予定である場合には、細胞を、それらが「成長なしの状態」にある、すなわち、細胞が哺乳動物に投与される場合に分裂できないように処置することは、当業者には理解されるであろう。本明細書において別の場所で論じたように、細胞に、それらを哺乳動物中に投与されると成長または分裂できないようにするように照射できる。細胞を、特に、ヒトへ投与されるようにする、成長できないようにするためのハプテン化(haptenization)(例えば、ジニトロフェニルおよび他の化合物を使用する)を含む他の方法は、当技術分野で公知であり、これらの方法は本明細書においてさらには論じない。さらに、一部の本明細書において論じられる分子をコードするプラスミドベクターを用いてトランスフェクトされた操作された赤血球系細胞を使用する第I相臨床試験において、in vivoで分裂できないようにされている操作された赤血球系細胞の投与の安全性は確立されている。
上記の態様および実施形態の一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、除核細胞である。上記の態様および実施形態の一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、有核細胞である。
一部の実施形態では、本開示は、複数の本明細書に記載の操作された赤血球系細胞および医薬担体を含む医薬組成物を特徴とする。他の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の通りの操作された赤血球系細胞の集団および医薬担体を含む医薬組成物を特徴とする。本明細書において別の場所で記載される通りの、任意の単一の操作された赤血球系細胞、複数の操作された赤血球系細胞または操作された赤血球系細胞の集団は、本発明の医薬組成物中に存在し得るということは理解されるであろう。
一部の実施形態では、本明細書において提供される医薬組成物は、操作された(すなわち、修飾された)赤血球系細胞および未修飾の赤血球系細胞を含む。例えば、赤血球系細胞(例えば、修飾されたおよび未修飾の赤血球系細胞)の単回単位用量は、種々の実施形態において、約、少なくとも、または多くとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%)、85%、90%、95%または99%の操作された赤血球系細胞を含む場合があり、組成物中の残りの赤血球系細胞は、操作されていない。
一部の実施形態では、本明細書において提供される医薬組成物は、操作された除核赤血球系細胞および有核赤血球系細胞を含む。例えば、操作された赤血球系細胞(例えば、除核および有核赤血球系細胞)の単回単位用量は、種々の実施形態において、約または少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の除核赤血球系細胞を含む場合があり、組成物中の残りの赤血球系細胞は、有核である。
併用療法
一部の実施形態によれば、本開示は、対象にさらなる物質を投与することをさらに含む方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、同時投与および/または同時製剤化に関する。
一部の実施形態では、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞を、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)によって腫瘍を死滅させるモノクローナル抗体と組み合わせて使用する。一部の実施形態では、本明細書に記載の通りのIL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片を含む操作された赤血球系細胞を、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)によって腫瘍を死滅させるモノクローナル抗体と組み合わせて使用する。一部の実施形態では、本明細書に記載の通りのIL−15ポリペプチドまたはその断片およびIL−15RAポリペプチドの細胞外部分またはその断片および4−1BBLを含む操作された赤血球系細胞を、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)によって腫瘍を死滅させるモノクローナル抗体と組み合わせて使用する。
腫瘍細胞の表面上の腫瘍選択的抗原を認識する腫瘍特異的mAbが、毒性分子を標的細胞に方向づけること、標的細胞増殖を阻害すること、免疫細胞のための抑制シグナルを遮断することおよび標的をADCCによって死滅させるように免疫細胞を方向付けることを含めた種々の機序によって腫瘍細胞を標的とし、攻撃する。ADCCによって機能する腫瘍抗原を標的とするモノクローナル抗体の例として、これだけに限定されないが、リツキシマブ、オビヌツズマブ、ジヌツキシマブ、トラスツズマブおよびセツキシマブが挙げられる。例えば、トラスツズマブ(traztuzumab)(Roche)は、乳がん細胞の表面上に発現されたHER−2抗原と結合する。局在NK細胞が、抗体のFc部分を認識し、ひとたび結合すると、プログラム細胞死(アポトーシス)シグナルを駆動する細胞毒素を標的中に放出する。このような腫瘍特異的mAbを含む併用療法は、本発明の方法に包含される。
一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞の投与は、別の物質と同時投与されると相乗的に作用し、このような物質が単剤療法として使用される場合によく使用される用量よりも低い用量で投与される。
制限するものではないが、がん適用を含む一部の実施形態では、本開示は、さらなる物質としての化学療法剤に関する。化学療法剤の例として、これだけに限定されないが、チオテパおよびCYTOXANシクロスホスファミド(cyclosphosphamide)などのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなどのスルホン酸アルキル;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)およびウレドーパ(uredopa)などのアジリジン;エチレンイミンおよびアルトレタミンを含めたメチラメラミン(methylamelamines)、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミドおよびトリメチロロメラミン;アセトゲニン(例えば、ブラタシンおよびブラタシノン);カンプトセシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(例えば、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW−2189およびCB1−TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコディクチン(sarcodictyin);スポンギスタチン;クロラムブシルなどのナイトロジェンマスタード、クロルナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチンおよびラニムヌスチン(ranimnustine)などのニトロソウレア(nitrosureas);エネジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特に、カリケアマイシンガンマ1IおよびカリケアマイシンオメガI1などの抗生物質;ジネマイシンAを含めたジネマイシン;クロドロネートなどのビスホスホネート;エスペラマイシン;ならびにネオカルジノスタチン発色団および関連色素タンパク質エネジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン(carabicin)、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシニス(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ADRIAMYCINドキソルビシン(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサートおよび5−フルオロウラシル(5−FU)などの代謝拮抗剤;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジンなどのピリミジン類似体、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどのアンチアドレナール;フロリン酸(frolinic acid)などの葉酸補充剤(replenisher);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド(aldophosphamide glycoside);アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート(edatraxate);デメコルシン;ジアジクオン;エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate);エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン(lonidainine);マイタンシンおよびアンサマイトシン(ansamitocins)などのマイタンシノイド(maytansinoids);ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジン;プロカルバジン;PSK多糖複合体;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン(triaziquone);2,2’,2”−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(trichothecenes)(例えば、T−2毒素、ベラキュリン(verracurin)A、ロリジン(roridin)Aおよびアンギジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、TAXOLパクリタキセル(Bristol−Myers Squibb Oncology、Princeton、N.J.)、ABRAXANEクレモフォール不含、パクリタキセルのアルブミンを操作したナノ粒子製剤およびTAXOTEREドセタキセル;クロランブシル(chloranbucil);GEMZARゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン、オキサリプラチンおよびカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イフォスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINEビノレルビン;ノバントロン(novantrone);テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(Camptosar、CPT−11)(イリノテカンならびに5−FUおよびロイコボリンの処置レジメンを含む);トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;カペシタビン;コンブレタスタチン;ロイコボリン(LV);オキサリプラチン処置レジメン(FOLFOX)を含むオキサリプラチン;ラパチニブ(TYKERB);細胞増殖を低減するPKC−α.、Raf、H−Ras、EGFR(例えば、エルロチニブ(タルセバ))およびVEGF−Aの阻害剤ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体が挙げられる。さらに、処置の方法は、照射の使用をさらに含み得る。
一部のヒト腫瘍は、患者の免疫系によって排除され得る。例えば、免疫「チェックポイント」分子を標的とするモノクローナル抗体の投与は、完全奏効および腫瘍寛解につながる可能性がある。このような抗体の作用様式は、腫瘍が抗腫瘍免疫応答からの保護として利用してきた、免疫調節性分子の阻害によるものである。これらの「チェックポイント」分子を阻害すること(例えば、アンタゴニスト抗体を用いて)によって、患者のCD8+T細胞が、増殖し、腫瘍細胞を破壊することが可能となり得る。
例えば、例として、制限するものではないが、CTLA−4またはPD−1を標的とするモノクローナル抗体の投与は、完全奏効および腫瘍寛解につながる可能性がある。このような抗体の作用様式は、腫瘍が抗腫瘍免疫応答からの保護として利用してきた、CTLA−4またはPD−1の阻害によるものである。これらの「チェックポイント」分子を阻害すること(例えば、アンタゴニスト抗体を用いて)によって、患者のCD8+T細胞が、増殖し、腫瘍細胞を破壊することが可能となり得る。
したがって、本明細書に記載の操作された赤血球系細胞を、免疫「チェックポイント」分子を標的とする1種または複数の遮断抗体と組み合わせて使用できる。例えば、一部の実施形態では、本明細書において提供される組成物を、CTLA−4またはPD−1などの分子を標的とする1種または複数の遮断抗体と組み合わせて使用できる。例えば、本明細書において提供される組成物を、PD−1およびPD−L1もしくはPD−L2を、ならびに/またはPD−1のPD−L1もしくはPD−L2との結合を遮断、低減および/もしくは阻害する物質(限定されない例として、ニボルマブ(ONO−4538/BMS−936558、MDX1106、オプジーボ、BRISTOL MYERS SQUIBB)、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA、Merck)、ピディリズマブ(CT−011、CURE TECH)、MK−3475(MERCK)、BMS936559(BRISTOL MYERS SQUIBB)、MPDL328OA(ROCHE)のうち1種または複数)と組み合わせて使用できる。一実施形態では、本明細書において提供される組成物を、CTLA−4の活性および/またはCTLA−4の1つもしくは複数のその受容体(例えば、CD80、CD86、AP2M1、SHP−2およびPPP2R5A)との結合を遮断、低減および/または阻害する物質と組み合わせて使用できる。例えば、一部の実施形態では、免疫調節剤は、限定されない例として、イピリムマブ(MDX−010、MDX−101、Yervoy、BMS)および/またはトレメリムマブ(Pfizer)などの抗体である。これらの分子に対する遮断抗体は、例えば、Bristol Myers Squibb(New York、N.Y.)、Merck(Kenilworth、N.J.)、Medlmmune(Gaithersburg、Md.)およびPfizer(New York、N.Y.)から入手することができる。
さらに、本明細書において記載される操作された赤血球系細胞組成物を、例えば、BTLA、HVEM、TIM3、GALS、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160(BY55とも呼ばれる)、CGEN−15049、CHK1およびCHK2キナーゼ、A2aR、CEACAM(例えば、CEACAM−1、CEACAM−3および/またはCEACAM−5)、GITR、GITRL、ガレクチン−9、CD244、CD160、TIGIT、SIRPα、ICOS、CD172aおよびTMIGD2ならびに種々のB−7ファミリーリガンド(これだけに限定されないが、B7−1、B7−2、B7−DC、B7−H1、B7−H2、B7−H3、B7−H4、B7−H5、B7−H6およびB7−H7を含む)などの免疫チェックポイント分子を標的とする1種または複数の遮断抗体と組み合わせて使用できる。
V.キット
本開示は、本開示の操作された赤血球系細胞を含み、必要に応じて、外因性刺激性ポリペプチドをコードする核酸をさらに含む種々のキットを含む。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、除核細胞である。一部の実施形態では、操作された赤血球系細胞は、有核細胞である。
例示的キットを以下に記載するが、他の有用なキットの内容は、本開示を踏まえると当業者には明らかとなろう。これらのキット各々が、本開示内に含まれる。
一部の実施形態では、キットは、操作された赤血球系細胞を、NK細胞またはT細胞に投与するのに有用なアプリケーターをさらに含む。キット中に含まれる個々のアプリケーターは、例えば、操作された赤血球系細胞を投与するために使用される方法に応じて変わり、このようなアプリケーターは、当技術分野で周知であり、中でも、ピペット、シリンジ、ドロッパーなどを挙げることができる。さらに、実施形態では、キットは、本明細書に記載の方法を実施するためのキットの使用を説明する説明材料をさらに含む。これらの使用説明書は、本明細書において提供される本開示を単に具体化するものである。
一部の実施形態では、キットは、薬学的に許容される担体を含む。組成物は、本明細書において別の場所で示されたような適当な量で提供される。さらに、投与経路および投与の頻度は、本明細書において別の場所でこれまでに示された通りである。
キットは、広い大量の分子、これだけに限定されないが、本明細書において示される外因性刺激性ポリペプチドなどを含む操作された赤血球系細胞を包含する。しかし、本明細書において提供される教示を有する当業者ならば、本開示は、分子のこれら、または任意のその他の組合せに決して制限されないことは容易に理解するであろう。むしろ、本明細書において示される組合せは、例示目的であって、それらは、本開示によって包含される組合せを決して制限しない。さらに、キットは、操作された赤血球系細胞に形質導入されるべき各分子が、分子をコードする単離された核酸、分子をコードする核酸を含むベクターおよびそれらの任意の組合せとして提供されるキットを含み、少なくとも2つの分子が連続核酸によってコードされ、および/または同一ベクターによってコードされるキットを含む。
本明細書で引用されるすべての刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願がすべての目的のために参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で論じられている刊行物は、単に本出願の出願日の前のそれらの開示のため提供されている。本明細書に記載の発明者が、事前の開示または任意のその他の理由により、そのような開示に先行する権利がないことを認めると解釈されるべきものは本明細書には何もない。
(実施例1)
IL−15/IL−15−RA融合タンパク質を発現するように遺伝子操作された赤血球系細胞の生成。
IL−15およびIL−15/IL−15RA融合構築物
融合ポリペプチドをコードする種々のDNA構築物を、以下の表11に示されるように、赤血球系細胞における発現のために調製した:
DNA構築物(V3、V4、V5、V3.1またはV4.1)を、以下に記載するように、赤血球系細胞における発現のために、System Biosciencesの、MSCVプロモーター配列を有するレンチウイルスベクターpCDHのマルチクローニングサイト中にクローニングした。
レンチウイルスベクターの産生
IL−15/IL−15−RA融合タンパク質遺伝子を、System Biosciencesの、MSCVプロモーター配列を有するレンチウイルスベクターpCDHのマルチクローニングサイト中にクローニングした。レンチウイルスを、pPACKH1(System Biosciences)、およびIL−15/IL−15−RA融合物遺伝子を含むpCDHレンチウイルスベクターで細胞をトランスフェクトすることによって、293T細胞において産生する。細胞を、新鮮な培養培地中に配置した。ウイルス上清を、培地交換の48時間後に、1,500rpmで5分間の遠心分離によって収集した。上清を収集し、濾過し、−80℃でアリコートで凍結した。
IL−15/IL−15RA融合タンパク質は、本明細書でIL−15TPとも呼ばれる。
赤血球系細胞の増大および分化
正常ヒトドナー由来の動員された末梢血細胞に由来するヒトCD34+細胞を、AllCells Inc.から凍結状態で購入した。増大/分化手順は、3つの段階を含む。第1段階では、解凍したCD34+赤血球系前駆体を、組換えヒトインスリン、ヒトトランスフェリン、組換えヒト組換えヒト幹細胞因子および組換えヒトインターロイキン3を含むIscove’s MDM培地中で培養した。第2段階では、赤血球系細胞を、組換えヒトインスリン、ヒトトランスフェリン、ヒト組換え幹細胞因子、ヒト組換えエリスロポエチンおよびL−グルタミンを補充したIscove’s MDM培地中で培養した。第3段階では、赤血球系細胞を、ヒトトランスフェリン、組換えヒトインスリン、ヒト組換えエリスロポエチンおよびヘパリンを補充したIscove’s MDM培地中で培養した。培養物を、5%CO2インキュベーター中で37℃で維持した。
赤血球系前駆細胞の形質導入
赤血球系前駆細胞を、上記培養プロセスのステップ1の間に形質導入した。培養培地中の赤血球系細胞を、レンチウイルス上清およびポリブレンと組み合わせた。感染を、室温で90分間にわたって2000rpmでプレートをスピンさせるスピノキュレーション(spinoculation)によって達成した。スピノキュレーション後、細胞を、37℃で一晩インキュベートした。
抗体結合
PE標識された抗IL−15−RA抗体(例えば、抗IL−15RA抗体(JM7A4)(ab91270)、AbCam)の結合を使用して、操作された赤血球系細胞におけるIL−15/IL−15−RAの発現を検証した。抗体の結合を、APC蛍光またはPE蛍光についてのフローサイトメトリーによって測定した。ゲートを、染色された形質導入されていない細胞に基づいて設定した。
(実施例2)
IL−15/IL−15RAを発現するように遺伝子操作された赤血球系細胞は、総CD8+細胞における増加をin vitroで誘導する。
IL−15/IL−15RAバリアントIL−15v3(配列番号27)、IL−15v4(配列番号29)およびIL−15v5(配列番号31)を含む赤血球系細胞を、概して実施例1に記載したように調製した。
3人のドナー由来の100,000個の末梢血単核球(PBMC)を、300,000個の操作された赤血球系細胞と共に培養した。操作された赤血球系細胞なしで培養したPBMC(RBCなし)およびその表面上にHAエピトープタグのみを発現する赤血球系細胞と共に培養したPBMCを、陰性対照として使用した。図1Aは、IL−15/IL−15RAバリアントv3、v4およびv5を発現するように操作された赤血球系細胞が、末梢血単核球(PBMC)と共に培養し、未刺激の場合に、CD8+細胞の総数における増加を誘導することを示すグラフである。組換えヒトIL−15(rh IL−15)と共に培養したPBMCを、可溶性IL−15に対する比較として使用した。CD8+細胞の総数を、5日目に計数した。図1Aに示される結果は、各々2〜3人のPBMCドナー(合計で6人の試験した異なるPBMCドナー)を用いた4つの独立した実験を表している。
次のセットの実験において、IL−15/IL−15−RAバリアントv3、v4およびv5を発現する操作された赤血球系細胞を、PBMCと共に培養し、抗CD3抗体(aCD3)で刺激した。3人のドナー由来の100,000個のPBMCを、0.5μg/mLのaCD3プラス300,000個または100,000個の赤血球系細胞と共に培養した。操作された赤血球系細胞なしで培養したPBMC(RBCなし)およびその表面上にHAエピトープタグのみを発現する赤血球系細胞と共に培養したPBMCを、陰性対照として使用した。組換えヒトIL−15(rh IL−15)と共に培養したPBMCを、陽性対照として使用した。図1Bは、IL−15/IL−15RAバリアントv3、v4およびv5を発現するように操作された赤血球系細胞をPBMCと共に培養し、aCD3で刺激した場合に、CD8+細胞の総数における増加が誘導されることを示すグラフである。図1Bに示されるグラフ中の2本の棒は、使用した300,000個(左)または100,000個(右)の操作された赤血球系細胞を示す。CD8+細胞の総数を、5日目に計数した。図1Bに示される結果は、各々2〜3人のPBMCドナー(合計で6人の試験した異なるPBMCドナー)を用いた4つの独立した実験を表している。
この実施例からの結果は、IL−15/IL−15RAを発現するように遺伝子操作された赤血球系細胞が、刺激の存在下または非存在下で、総CD8+細胞における増加を誘導することを示している。IL−15/IL−15RAを含む赤血球系細胞は、刺激の存在下および非存在下の両方で、HA含有対照赤血球と比較して、CD8+細胞のより高い誘導をもたらす。
(実施例3)
IL−15/IL−15RAバリアントを発現するように遺伝子操作された赤血球系細胞は、NK細胞をin vitroで増大させる。
IL−15/IL−15RAバリアントIL−15v3、IL−15v4およびIL−15v5を含む赤血球系細胞を、概して実施例1に記載したように調製した。
NK細胞増大に対するIL−15/IL−15RAバリアントの影響を試験した。図2Aは、IL−15/IL−15RAバリアントv3、v4およびv5を発現するように操作された赤血球系細胞が、精製されたNK細胞と共に培養した場合に、NK細胞を増大させることができることを示すグラフ(i、iiおよびiii)のパネルである。図2A(i)では、NK細胞を、操作された赤血球系細胞なしで培養した(RBCなし)。その表面上にHAエピトープタグのみを発現する赤血球系細胞と共に培養したNK細胞を、対照として使用した。1人のドナー由来の40,000個の精製されたNK細胞を二連でプレートし、以下の用量設定で7日間培養した:操作された赤血球系細胞(900,000個、300,000個、100,000個)、rhIL−2(1000、100、10U/mL)、rhIL−15(10、1、0.1ng/mL)。解析を、7日目に実施した。図2A(ii)では、NK細胞を、900,000個の操作された赤血球と共に培養し、これらの細胞上に発現されたコピー数を考慮に入れて、細胞に提示された総IL−15コピー数を計算した(X軸上に示される)。図2A(iii)では、NK細胞を、300,000個の操作された赤血球と共に培養し、これらの細胞上に発現されたコピー数を考慮に入れて、細胞に提示された総IL−15コピー数を計算した(X軸上に示される)。
図2Bは、IL−15/IL−15RAバリアントv3、v4およびv5を発現する操作された赤血球系細胞が、PBMCと共に培養した場合に、NK細胞を増大させることができることを示すグラフ(i、iiおよびiii)のパネルである。図2B(i)では、2人のドナー由来の100,000個のPBMCを取得し、二連でプレートした。細胞を、陰性対照として、操作された赤血球系細胞なしで培養した(RBCなし)、またはその表面上にHAエピトープタグのみを発現する赤血球系細胞と共に培養した。2人のドナー由来の100,000個のPBMCを取得し、二連でプレートした。細胞を、900,000個、300,000個または100,000個の操作された赤血球系細胞と共に培養した。フローサイトメトリー解析を、生/死、CD56+CD3−細胞にゲートを適用して、7日目に実施した。図2B(ii)では、PBMCを、900,000個の操作された赤血球と共に培養し、これらの細胞上に発現されたコピー数を考慮に入れて、細胞に提示された総IL−15コピー数を計算した(X軸上に示される)。図2B(iii)では、PBMC細胞を、300,000個の操作された赤血球と共に培養し、これらの細胞上に発現されたコピー数を考慮に入れて、細胞に提示された総IL−15コピー数を計算した(X軸上に示される)。
この実施例からの結果は、IL−15/IL−15RAバリアントを発現するように遺伝子操作された赤血球系細胞が、精製されたNK細胞集団からまたはPBMCからNK細胞を増大させることができることを示している。v3およびv4の活性を比較すると、v3およびv4は、同じコピー数で異なる活性を示すことが示された。IL−15/IL−15RAを含む赤血球系細胞は、HA含有対照赤血球と比較して、高濃度および低濃度の両方で、より高いNK細胞増大をもたらす。さらに、用量応答が、バリアントv4およびv5について見られる。
(実施例4)
IL−15/IL−15RAを発現するように調製された赤血球系細胞は、NK細胞をin vivoで活性化する。
ex vivoでのNK細胞増大に対する、細胞表面上にヒトIL−15/IL−15RAを提示するように調製されたマウス赤血球系細胞の影響を試験した。マウス赤血球系細胞を、クリック方法論を使用して、IL−15−RA−Fcとコンジュゲートさせた(赤血球系細胞を官能化するためのクリックケミストリーは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる2017年2月17日出願の米国仮特許出願第62/460589号および2017年7月8日出願の米国仮特許出願第62/542142号に対する優先権を主張する国際出願番号PCT/US2018/000042に記載されている)。IL−15/IL−15RA融合タンパク質は、IL−15鎖に融合した受容体のsushiドメインを含む(本明細書の表10に示されるタンパク質構築物を参照のこと)。
最初に、1人のドナー由来の40,000個の精製されたNK細胞(Astsrte Biologics)を二連でプレートし、RBCの用量設定(900000個、300000個、100000個)と共に7日間培養した。7日後、試料を、フローサイトメトリーを用いて解析して、CD56+/CD3−である生細胞を見ることによって、培養物中のNK細胞の相対量を推定した。図3Aに示されるように、その表面にIL−15/IL−15Rを提示するように調製された赤血球系細胞は、強力なNK細胞増大をex vivoで促進する。
次に、in vivoでのNK細胞活性化に対する、その表面にIL−15/IL−15RAを提示するように調製されたマウス赤血球系細胞の影響を試験した。IL−15−RA−Fc赤血球系細胞および対照赤血球系細胞を、C57/B6マウスに静脈内注射した。脾臓を注射の3日後に収集し、単一細胞懸濁物になるように処理し、フローサイトメトリーを使用してKi67およびグランザイムBについて染色した。
図3Bに示されるように、強力なリンパ球増殖が、IL−15/IL−15RAを発現するように調製された赤血球系細胞(mRBC)で処置したマウスにおいて観察された。増殖性細胞のマーカーとしてのパーセントKi67染色によって決定したNK細胞増殖が示される。さらに、図3Cに示されるように、強力なリンパ球活性化が、IL−15/IL−15RAを提示するように調製された赤血球系細胞(mRBC)で処置したマウスにおいて見出された。活性化された細胞のマーカーとしてのパーセントグランザイムB発現によって決定したNK細胞活性化が示される。
この実施例で示された結果は、IL−15/IL−15RAを提示するように調製されたマウス赤血球系細胞が、NK細胞の増殖および活性化をin vivoで誘導することを示している。
(実施例5)
IL−15/IL−15RAを含む赤血球系細胞は、腫瘍成長をin vivoで緩徐化させる。
黒色腫についてのB16F10マウスモデル系を使用して、腫瘍成長に対する、ヒトIL−15/IL−15RAを含むマウス赤血球系細胞(IL−15 RBC)の影響を試験する。皮下注射すると、B16は、5〜10日で触知可能な腫瘍を形成し、14〜21日で1×1×1cmの腫瘍にまで成長する。B16マウスモデル系は、Overwijk and Restifo(Curr Protoc Immunol. 2001 May; CHAPTER: Unit-20.1、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる)によって記載されている。
マウス赤血球系細胞を、クリック方法論を使用して、ヒトIL−15/IL−15RAとコンジュゲートさせる(赤血球系細胞を官能化するためのクリックケミストリーは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる2017年2月17日出願の米国仮特許出願第62/460589号および2017年7月8日出願の米国仮特許出願第62/542142号に対する優先権を主張する国際出願番号PCT/US2018/000042に記載されている)。IL−15/IL−15RA融合タンパク質を、本明細書の表10に示される構築物で、IL−15鎖に融合した受容体のsushiドメインとして発現させる。IL−15/IL−15RAを、フローサイトメトリーを使用して定量化する。
最初に、6〜12週齢の雌性C57BL/6マウスに、1×105のB16細胞/マウスを皮下接種する。腫瘍がおよそ100mm3の体積に達した時点で、動物に、IL−15/IL−15RAを提示する赤血球系細胞、または対照としてのIL−15/IL−15RAなしの赤血球系細胞もしくは食塩水を投薬する。動物に投薬するために、平均1e9のIL−15 RBCを、1用量当たり、2ugまたは0.1mg/kgのIL−15/IL−15RAに相当する細胞1つ当たり平均50,000個のIL−15/RA分子で、1用量ごとに投与する。
動物の重量および状態を毎日記録し、腫瘍を、1週間に3回測定する。腫瘍を、各腫瘍を2つの次元で測定することによって、1週間に3回測定する。腫瘍体積を、以下の標準式を使用して計算する:(L×W2)/2。平均腫瘍重量および平均の標準誤差を、各時点において各群について計算する。
さらに、体重を毎日記録する。体重における変化を、1日目に記録した体重と比較して、各マウスについて計算する。
食塩水および未処置対照と比較した、IL−15/IL−15RAを含む調製された赤血球系細胞の抗腫瘍活性を、腫瘍体積および/または腫瘍重量における経時的な変化を評価することによって決定する。
(実施例6)
4−1BBLを発現するように遺伝子操作された赤血球系細胞の生成。
4−1BBL構築物
DNA構築物を、以下の表12に示されるように、赤血球系細胞における発現のために調製した:
レンチウイルスベクターの産生
4−1BBL遺伝子構築物を、表12に示されるように構築した。遺伝子を、System Biosciencesの、MSCVプロモーター配列を有するレンチウイルスベクターpCDHのマルチクローニングサイト中にクローニングした。レンチウイルスを、pPACKH1(System Biosciences)、および4−1BBL遺伝子を含むpCDHレンチウイルスベクターで細胞をトランスフェクトすることによって、293T細胞において産生した。細胞を、新鮮な培養培地中に配置した。ウイルス上清を、培地交換の48時間後に、1,500rpmで5分間の遠心分離によって収集した。上清を収集し、濾過し、−80℃でアリコートで凍結した。
赤血球系細胞の増大および分化
正常ヒトドナー由来の動員された末梢血細胞に由来するヒトCD34+細胞を、AllCells Inc.から凍結状態で購入した。増大/分化手順は、3つの段階を含む。第1段階では、解凍したCD34+赤血球系前駆体を、組換えヒトインスリン、ヒトトランスフェリン、組換えヒト組換えヒト幹細胞因子および組換えヒトインターロイキン3を含むIscove’s MDM培地中で培養した。第2段階では、赤血球系細胞を、組換えヒトインスリン、ヒトトランスフェリン、ヒト組換え幹細胞因子、ヒト組換えエリスロポエチンおよびL−グルタミンを補充したIscove’s MDM培地中で培養した。第3段階では、赤血球系細胞を、ヒトトランスフェリン、組換えヒトインスリン、ヒト組換えエリスロポエチンおよびヘパリンを補充したIscove’s MDM培地中で培養した。培養物を、5%CO2インキュベーター中で37℃で維持した。
赤血球系前駆細胞の形質導入
赤血球系前駆細胞を、上記培養プロセスのステップ1の間に形質導入した。培養培地中の赤血球系細胞を、レンチウイルス上清およびポリブレンと組み合わせた。感染を、室温で90分間にわたって2000rpmでプレートをスピンさせるスピノキュレーションによって達成した。スピノキュレーション後、細胞を、37℃で一晩インキュベートした。
抗体結合
PE標識された抗4−1BBL抗体(例えば、精製された抗ヒト4−1BBリガンド(CD137L)抗体、BioLegend)の結合を使用して、操作された赤血球系細胞における4−1BBLの発現を検証した。抗体の結合を、PE蛍光についてのフローサイトメトリーによって測定した。ゲートを、染色された形質導入されていない細胞に基づいて設定した。
(実施例7)
操作された赤血球系細胞の表面上の4−1BBLの発現は、T細胞活性化をin vitroで駆動する。
4−1BBLを含む赤血球系細胞を、実施例6に記載したように調製した。
T細胞活性化に対する、操作された赤血球系細胞の表面上の4−1BBL発現の影響を、細胞内NFκBシグナル伝達がヒトT細胞系であるJurkat細胞を使用して測定される、標準的なin vitroアッセイにおいて試験した。形質導入されていないRBC(UTR RBC)は、活性タンパク質を発現するように操作されていない対照RBCである。図4Aに示されるように、RBC−4−1BBLは、強力なT細胞活性化を駆動し、4−1BB/NFκB/Lucを過剰発現するJurkat細胞のルシフェラーゼ活性によって測定した場合に、NFκB経路の80〜100倍の活性化を刺激する。対照的に、4−1BBアゴニスト性mAb(α−4−1BB Ab)は、二次抗体と架橋結合させた場合、限定的な6倍のNFκB活性化を刺激する。α−4−1BB Ab単独または二次抗体単独をJurkat細胞と共にインキュベートした場合、NFκB活性化は誘導されなかった。類似の結果が、対照RBCをJurkat細胞と共にインキュベートした場合に得られた。この実験は、4−1BB−Lを含む操作された赤血球系細胞が、アゴニスト性4−1BBモノクローナル抗体α−4−1BB Abおよび未処置対照と比較して、>15倍高いNFκB活性化を誘導することを示している。
別の実験では、赤血球系細胞を、漸増量の4−1BB−L mRNAでトランスフェクトし、4−1BB−L発現を測定した(図4B)。細胞1つ当たりの4−1BBL分子のコピー数は、x軸上に示される。50,000個の4−1BBLを含む操作された赤血球系細胞を、Jurkat細胞と共に共培養した。細胞を6時間後に収集し、ルシフェラーゼ活性を決定した。図4Bは、4−1BBLを含む操作された赤血球系細胞によるNFκBの活性化が調節可能であることを示している。
従って、図4Aおよび図4Bに示されるように、表面上に4−1BBLを発現するように操作された操作された赤血球系細胞上の4−1BBLタンパク質のコピー数を増加させると、活性化について用量応答が生じる。従って、赤血球系細胞は、最大のT細胞活性化を確実にするために、4−1BBLを発現するように操作され得る。
次に、初代CD4+およびCD8+T細胞の増殖および活性化を測定した。3人のドナー由来の100,000個のPBMCを、CTFRで標識し、4−1BB−Lを含む操作された赤血球系細胞(「RBC−4−1BBL」)、対照RBC(「RBC−CTL」)、α−4−1BB Ab単独または二次抗体と共にインキュベートした。RBCは、50,000個の細胞、25,000個の細胞または12,500個の細胞で存在した。α−4−1BB Ab濃度は、100nM、10nM、1nMの範囲であった。5日目に、CD8+およびCD4+T細胞の相対量を、CTFR希釈を使用して評価した。上清を収集し、IFNγおよびTNFαの量を、ELISAを使用して評価した。図5Aおよび5Bに示されるように、RBC−4−1BBLは、初代CD4+およびCD8+T細胞を、強力に増殖するように、また、ヒト免疫応答の中核をなす活性化されたT細胞によって放出される2つのサイトカインIFNγおよびTNFαの産生によって測定されるように活性化されるように、刺激した。RBC−41BBLは、それぞれCD8+T細胞およびCD4+T細胞における4〜6倍および2〜3倍の増加、ならびにIFNγおよびTNFα産生における最大で3倍の増加によって測定されるような、顕著なT細胞活性化を刺激する。対照的に、4−1BBアゴニスト性mAb(α−4−1BB Ab)は、いずれの測定可能な増殖も刺激せず、T細胞の最小の活性化のみを刺激した。理論に束縛されることは望まないが、RBC−4−1BBLの強力なT細胞刺激活性は、抗原提示細胞とT細胞との間に形成される免疫シナプスを刺激する、細胞表面上のその天然の三量体コンフォメーションでの4−1BBLの高い発現に起因すると考えられる。
併せて考えると、この実施例で示された結果は、RBCの表面上のその天然の三量体コンフォメーションでの4−1BBLの発現が、4−1BB/NKfB/Luc Jurkat細胞におけるNFκB活性化ならびに初代CD4+およびCD8+T細胞の強力な増殖および活性化によって測定した場合に、高度に強力なT細胞活性化を駆動することを示している。
(実施例8)
4−1BBLを含む赤血球系細胞は、転移性黒色腫マウスモデルにおいてCD8+T細胞を刺激する。
B16F10肺転移マウスモデルを使用して、がん患者における改善および持続された臨床奏効率にとって重要である、CD8+T細胞、ならびにCD8+T細胞下位集団、例えば、増殖性CD8+メモリーT細胞、CD8+エフェクターT細胞およびグランザイムB+CD8+T細胞の刺激に対する、マウス4−1BBLを含むマウス赤血球系細胞の影響を試験した。
マウス赤血球系細胞を、クリック方法論を使用して、マウス4−1BBLとコンジュゲートさせた(赤血球系細胞を官能化するためのクリックケミストリーは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる2017年2月17日出願の米国仮特許出願第62/460589号および2017年7月8日出願の米国仮特許出願第62/542142号に対する優先権を主張する国際出願番号PCT/US2018/000042に記載されている)。マウス4−1BBLタンパク質を、本明細書の表10に示される構築物で発現させた。
その天然の三量体コンフォメーションの4−1BBLとコンジュゲートさせたマウス赤血球系細胞(RBC−4−1BBL)は、その細胞表面上におよそ150,000コピーの4−1BBLを含み、これは、4−1BBLを発現するように調製されたヒト赤血球系細胞の2分の1であるが、強いT細胞活性化および増殖を刺激するのに十分である。図9に示される結果は、mRBC−4−1BBLが強力なT細胞活性化および増殖を刺激するのに十分であることを示しており、それは、mRBC−4−1BBLが、15倍高い用量の3H3抗マウス4−1BBアゴニスト性モノクローナル抗体(a4−1BB mAb)と類似のレベルの、in vivoでのCD8+T細胞の活性化および増殖を駆動したからであるが、これは、三量体4−1BBLの細胞提示がより強力であることを示している。陰性対照であるリン酸緩衝食塩水(PBS)および活性タンパク質を発現しないマウス対照RBC(mRBC−CTRL)は、CD8+T細胞のin vivo増殖を刺激しなかった。
(実施例9)
4−1BBLを含む赤血球系細胞は、腫瘍成長をin vivoで緩徐化させる。
結腸癌についてのMC38同系マウスモデル系を使用して、腫瘍成長に対する、マウス4−1BBLを含むマウス赤血球系細胞の影響を試験した。MC38は、市販の結腸癌マウスモデルである(例えば、Selby et al. (2016) PLoS ONE 11(9): e0161779を参照のこと;Altogen Labs;Charles River Laboratories)。
マウス赤血球系細胞を、クリック方法論を使用して、組換えマウス4−1BBLタンパク質とコンジュゲートさせた(赤血球系細胞を官能化するためのクリックケミストリーは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる2017年2月17日出願の米国仮特許出願第62/460589号および2017年7月8日出願の米国仮特許出願第62/542142号に対する優先権を主張する国際出願番号PCT/US2018/000042に記載されている)。マウス4−1BBLタンパク質を、本明細書の表10に示される構築物で発現させた。
腫瘍がおよそ100mm3の体積に達した時点で、動物に、4−1BBLを提示する赤血球系細胞、または対照としての4−1BBLなしの赤血球系細胞もしくは食塩水を投薬した。動物に投薬するために、平均1e9の4−1BBL RBCを、1用量当たり、1〜3μgまたはおよそ0.05〜0.15mg/kgの4−1BB−Lに相当する細胞1つ当たり平均20,000〜65,000個の4−1BBL分子で、マウス1匹当たり1用量ごとに投与した。
動物の重量および状態を毎日記録し、腫瘍を、各腫瘍を2つの次元で測定することによって、1週間に3回測定した。腫瘍体積を、以下の標準式を使用して計算した:(L×W2)/2。平均腫瘍重量および平均の標準誤差を、各時点において各群について計算した。
さらに、体重を毎日記録した。体重における変化を、1日目に記録した体重と比較して、各マウスについて計算した。
未処置対照と比較した、4−1BBLを含む調製された赤血球系細胞の抗腫瘍活性を、腫瘍体積および/または腫瘍重量における経時的な変化を評価することによって決定した。結果は図6に示され、4−1BBLを含む調製された赤血球系細胞が、未処置対照と比較して、腫瘍体積における経時的な増加を低減させたことを実証している。
(実施例10)
マウスRBC−4−1BBLの毒性の欠如
肝臓毒性のマウスモデルを使用して、マウスRBC−4−1−BBLの毒性の欠如または忍容性を評価した(例えば、Niu et al (2007) J. Immunology 178:4194-4213を参照のこと)。図10に示されるように、マウスRBC−4−1BBLの好ましい忍容性が、実施例8に記載した前臨床研究において使用したのと同じ投薬スケジュールに従って観察された。アラニントランスアミナーゼ(ALT)およびアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)肝臓酵素のレベルは、マウスRBC−4−1BBLの投与後に、有意には上昇しなかった。対照的に、これらの肝臓酵素の有意な上昇が、4−1BBアゴニストモノクローナル抗体3H3の投与後に観察された。これは、マウスRBC−4−1BBLでin vivoで観察されたCD8陽性T細胞の強力な刺激には、他の4−1BBアゴニストの投与と関連した肝臓毒性が伴わないことを示している。
(実施例11)
IL−15/IL−15−RA融合タンパク質および4−1BBLを発現するように遺伝子操作された赤血球系細胞の生成。
レンチウイルスベクターの産生
IL−15/IL−15−RA融合タンパク質および4−1BBL遺伝子を構築した。1つのベクターがIL−15/IL−15RAの遺伝子を含み、別のベクターが4−1BBLの遺伝子を含むように、各遺伝子を、レンチウイルスベクターpCDH(System Biosciences)のMSCVプロモーター配列の制御下にあるマルチクローニングサイト中にクローニングした。レンチウイルスを、pPACKH1(System Biosciences)、ならびにIL−15/IL−15−RA遺伝子を含むpCDHレンチウイルスベクターおよび4−1BBL遺伝子を含むpCDHレンチウイルスベクターで細胞を共トランスフェクトすることによって、293T細胞において産生した。細胞を、新鮮な培養培地中に配置した。ウイルス上清を、培地交換の48時間後に、1,500rpmで5分間の遠心分離によって収集した。上清を収集し、濾過し、−80℃でアリコートで凍結した。
あるいは、IL−15/IL−15−RA融合タンパク質および4−1BBL遺伝子を構築し、単一のベクターがIL−15/IL−15RAの遺伝子および4−1BBLの遺伝子を含むように、レンチウイルスベクターpCDH(System Biosciences)のMSCVプロモーター配列の制御下にあるマルチクローニングサイト中にクローニングした。レンチウイルスを、pPACKH1(System Biosciences)、ならびにIL−15/IL−15−RA遺伝子および4−1BBL遺伝子の両方を含むpCDHレンチウイルスベクターで細胞を共トランスフェクトすることによって、293T細胞において産生した。細胞を、新鮮な培養培地中に配置した。ウイルス上清を、培地交換の48時間後に、1,500rpmで5分間の遠心分離によって収集した。上清を収集し、濾過し、−80℃でアリコートで凍結した。
赤血球系細胞の増大および分化
正常ヒトドナー由来の動員された末梢血細胞に由来するヒトCD34+細胞を、AllCells Inc.から凍結状態で購入した。増大/分化手順は、3つの段階を含む。第1段階では、解凍したCD34+赤血球系前駆体を、組換えヒトインスリン、ヒトトランスフェリン、組換えヒト組換えヒト幹細胞因子および組換えヒトインターロイキン3を含むIscove’s MDM培地中で培養した。第2段階では、赤血球系細胞を、組換えヒトインスリン、ヒトトランスフェリン、ヒト組換え幹細胞因子、ヒト組換えエリスロポエチンおよびL−グルタミンを補充したIscove’s MDM培地中で培養した。第3段階では、赤血球系細胞を、ヒトトランスフェリン、組換えヒトインスリン、ヒト組換えエリスロポエチンおよびヘパリンを補充したIscove’s MDM培地中で培養した。培養物を、5%CO2インキュベーター中で37℃で維持した。
赤血球系前駆細胞の形質導入
赤血球系前駆細胞を、上記培養プロセスのステップ1の間に形質導入した。培養培地中の赤血球系細胞を、レンチウイルス上清およびポリブレンと組み合わせた。感染を、室温で90分間にわたって2000rpmでプレートをスピンさせるスピノキュレーションによって達成した。スピノキュレーション後、細胞を、37℃で一晩インキュベートした。
抗体結合
PE標識された抗IL−15−RA抗体(例えば、抗IL−15RA抗体(JM7A4)(ab91270)、AbCam)の結合を使用して、操作された赤血球系細胞におけるIL−15/IL−15−RAの発現を検証した。PE標識された抗4−1BBL抗体(例えば、精製された抗ヒト4−1BBリガンド(CD137L)抗体、BioLegend)の結合を使用して、操作された赤血球系細胞における4−1BBLの発現を検証した。抗体の結合を、PE蛍光についてのフローサイトメトリーによって測定した。ゲートを、染色された形質導入されていない細胞に基づいて設定した。
(実施例12)
操作された赤血球系細胞の表面上のIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLの発現は、T細胞活性化をin vitroで駆動する。
IL−15/IL−15RAおよび4−1BBLを含むヒト赤血球系細胞を、実施例11に記載したように調製した。
T細胞活性化に対する、操作された赤血球系細胞の表面上のIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLの発現の影響を、細胞内NFκBシグナル伝達がヒトT細胞系であるJurkat細胞を使用して測定される、標準的なin vitroアッセイにおいて試験した。形質導入されていないRBC(UTR RBC)は、活性タンパク質を発現するように操作されていない対照RBCである。図11に示されるように、RBC−IL−15/IL−15RA−4−1BBLは、RBC−4−1BBLについて観察されたT細胞活性化のレベル(図4A)と類似の、強力なT細胞活性化を駆動する。4−1BBアゴニスト性mAb(α−4−1BB Ab)を二次抗体と架橋結合させた場合、限定的なNFκB活性化が見られた。α−4−1BB Ab単独または二次抗体単独をJurkat細胞と共にインキュベートした場合、NFκB活性化は誘導されなかった。この実験は、IL−15/IL−15RAおよび4−1BB−Lを含む操作された赤血球系細胞が、アゴニスト性4−1BBモノクローナル抗体α−4−1BB Abおよび未処置対照と比較して、強力なNFκB活性化を誘導したことを示している。図11にまた示されるように、赤血球系細胞を、漸増量のIL−15/IL−15RAおよび4−1BB−Lでトランスフェクトし、IL−15/IL−15RAおよび4−1BBL発現を測定した。細胞1つ当たりのIL−15/IL−15RAおよび4−1BB−Lのコピー数は、x軸上に示される。図11は、IL−15/IL−15RAおよび4−1BBLを含む操作された赤血球系細胞によるNFκBの活性化が調節可能であることを示している。
(実施例13)
IL−15/IL−15−RA融合タンパク質および4−1BBLを発現するように操作された赤血球系細胞は、CD3刺激ありまたはなしで、脾細胞を強力に活性化する。
マウス赤血球系細胞を、クリック方法論を使用して、IL−15/IL−15−RA融合タンパク質と、および4−1BBLとコンジュゲートさせた(赤血球系細胞を官能化するためのクリックケミストリーは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる2017年2月17日出願の米国仮特許出願第62/460589号および2017年7月8日出願の米国仮特許出願第62/542142号に対する優先権を主張する国際出願番号PCT/US2018/000042に記載されている)。
脾細胞は、CD8+T細胞およびNK細胞を含む、免疫機能を有する種々の細胞集団からなる。脾細胞を、3匹のナイーブマウスから単離した。150,000個の脾細胞を、4−1BBL単独、IL−15/IL−15RA単独、IL−15/IL−15RAおよび41BBLの両方のいずれかを含むか、またはタンパク質を含まない1e7のクリックされた細胞;マウス4−1BBアゴニスト抗体3H3(1ug/mL)または組換えヒトIL−15(10ng/mL)のいずれかと共に、37度で2日間共インキュベートした。脾細胞を、抗CD3(aCD3)ありまたはなしで処置した。aCD3を使用して、脾細胞T細胞集団を刺激した。aCD3刺激の非存在下では、活性は、NK細胞活性化に帰せられ得る。上清中の産生されたIFNγを、ELISAによって測定した。インターフェロンガンマ(IFNγ)サイトカイン分泌を、脾細胞活性化の尺度として使用した。
図7に示されるように、aCD3で刺激した場合、IL−15/IL−15−RA融合タンパク質および4−1BBLを提示するように操作された赤血球系細胞は、単独または組み合わせた組換えヒトIL−15またはマウス4−1BBアゴニスト抗体3H3と比較して、優れた応答を示した。図7にまた示されるように、aCD3刺激を使用しなかった場合、IL−15/IL−15RAと4−1BBLとの間には高い相乗作用が存在し、IL−15/IL−15−RA融合タンパク質および4−1BBLを提示するように操作された赤血球系細胞は、組換えヒトIL−15と比較して優れた応答を示す。CD3刺激の非存在下では、観察された影響がNK細胞活性化の結果であったと結論づけることができる。
活性化されたNK細胞の存在を確認するために、IFNγ染色を実施した。脾細胞を単離し、ブレフェルジンAの存在下で37℃で4時間にわたって、PMA/イオノマイシン(2ug/mL)で刺激した。インキュベーション後、細胞をスピンダウンし、PBS中で洗浄し、その後、室温(RT)で15分間にわたって細胞表面染色を実施した。次いで、細胞を洗浄し、15分間固定し、透過処理緩衝剤中でRTで30分間にわたって、IFNγについて染色した。IFNγの存在によって、NK細胞の活性化が確認された。
(実施例14)
IL−15/IL−15RAおよび4−1BBLを発現するように遺伝子操作された赤血球系細胞は、総CD8+細胞における増加を誘導する。
IL−15/IL−15RAおよび4−1BBLを含むヒト赤血球系細胞を、概して実施例11に記載したように調製した。
CD8+T細胞、NK細胞、およびこれらの細胞の重要なサブセットの増大に対する、細胞表面上にIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLを含む操作された除核細胞の影響を決定した。特に、細胞増大に対する、細胞表面上にIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLの両方を含む操作された赤血球系細胞の影響を、単一のアゴニストを含む操作された赤血球系細胞のものと比較し、4−1BBL(RBC−4−1−BBL)またはIL−15/IL−15RA融合タンパク質(RBC−IL−15/IL−15RA)のいずれかを試験した。図12に示されるように、T細胞受容体刺激の存在下(+aCD3刺激)では、CD8+メモリーT細胞の6倍よりも大きい増大が、5日間の共培養後に観察され、これは、α−4−1BB Ab、組換えヒトIL−15(rhIL−15)、α−4−1BB Abおよびrh1L−15の組合せ、ならびにRBC−CTRLに引けをとらなかった。抗CD3抗体によるT細胞刺激の非存在下(aCD3刺激なし)では、8日間の培養後に、CD8+メモリーT細胞およびNK細胞の両方を増大させることにおいて、およそ9倍の、4−1BBLおよびIL−15/IL−15RAの組合せの相乗効果が存在し、これは、α−4−1BB Ab、rhIL−15、α−4−1BB AbおよびrhIL−15の組合せ、RBC−IL−15/IL−15RAならびにRBC−4−1BBよりも有意に高かった。
併せて考えると、この実施例で示された結果は、表面上にIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLを含む操作された除核細胞が、NFκB活性化、ならびにCD8+メモリーT細胞およびNK細胞の増大によって測定した場合に、高度に強力なT細胞活性化を駆動することを示している。さらに、4−1−BBL単独またはIL−15/IL−15RA融合タンパク質単独のいずれかを含む操作された赤血球系細胞と比較して、IL−15/IL−15RAおよび4−1BBLの組合せは、CD8+メモリーT細胞およびNK細胞を増大させることにおいて、相乗効果をもたらした。
(実施例15)
IL−15/IL−15RAおよび4−1BBLを含む赤血球系細胞は、肺転移をin vivoで低減させる。
黒色腫についてのB16F10転移性マウスモデル系(その全体が参照により本明細書に組み込まれるKubo et al. (2017) Cancer Immunology Research 5(9): 1-9)を使用して、転移性成長に対する、ヒトIL−15/IL−15RAおよびマウス4−1BBLを含むマウス赤血球系細胞(IL−15/RA 4−1BBL RBC)の影響を試験した。このモデルでは、腫瘍細胞を静脈内注射して肺における転移を樹立し、次いで、マウスを、単独でまたは抗PD1抗体と組み合わせた、IL−15/IL−15RAおよび4−1BBLを提示するように調製されたマウス赤血球系細胞で処置した。皮下注射すると、B16は、5〜10日で触知可能な腫瘍を形成し、14〜21日で1×1×1cmの腫瘍にまで成長した。
マウス赤血球系細胞を、クリック方法論を使用して、ヒトIL−15/IL−15RAとコンジュゲートさせるか、マウス4−1BBLとコンジュゲートさせるか、またはヒトIL−15/IL−15RAおよびマウス4−1BBLの両方と共コンジュゲートさせた(赤血球系細胞を官能化するためのクリックケミストリーは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる2017年2月17日出願の米国仮特許出願第62/460589号および2017年7月8日出願の米国仮特許出願第62/542142号に対する優先権を主張する国際出願番号PCT/US2018/000042に記載されている)。IL−15/IL−15RAおよび4−1BBLを、フローサイトメトリーを使用して定量化した。IL−15/IL−15RA融合タンパク質を、本明細書の表10に示される構築物で、IL−15鎖に融合した受容体のsushiドメインとして発現させた。マウス4−1BBLタンパク質を、本明細書の表10に示される構築物で発現させた。
最初に、7週齢の雌性C57BL/6マウスに、1×105のB16F10細胞/マウスを静脈内接種した。次いで、種々の実験において、動物に、以下を静脈内(IV)投薬した:4−1BBLを提示する、IL−15/IL−15RAを提示する、もしくは4−1BBLおよびIL−15/IL−15RAの両方を提示する赤血球系細胞;抗PD1モノクローナル抗体単独(αPD−1mAb);αPD−1(IP)と組み合わせてIV投与される4−1BBLおよびIL−15/IL−15RAを提示する赤血球系細胞;腹腔内(IP)投与される4−1BBLおよびIL−15/IL−15RAを提示する赤血球系細胞;マウス4−1BBアゴニスト抗体(3H3);または対照としての4−1BBLおよびIL−15/IL−15RAなしの赤血球系細胞(mRBC−CTL)。動物に投薬するために、平均1e9の赤血球系細胞を、1用量当たり0.2mg/kgの4−1BBLに相当する細胞1つ当たり平均100,000個の分子の41BBL単独および0.12mg/kgのIL−15/IL−15RAに相当する細胞1つ当たり60,000個の分子のIL−15RA単独で、または、4−1BBLおよびIL−15/IL−15RAを含む赤血球系細胞については、それぞれ0.1〜0.12mg/kgおよび0.06〜0.08mg/kgに相当する50,000〜60,000個の分子の41BBLおよび30,000〜40,000個の分子のIL−15−RAで、1用量ごとに投与した。アゴニスト性41BB抗体(3H3)を、2.5mg/kgで投薬した。動物に、接種の1日、5日および8日後に、mRBCまたは3H3を投薬した。
動物の重量および状態を毎日記録した。接種の14日後に、動物を屠殺し、肺を収集した。肺転移を、立体鏡を使用して評価した。
転移の数を、2週間後に決定した。さらに、体重を毎日記録した。体重における変化を、1日目に記録した体重と比較して、各マウスについて計算した。処置したマウスの灌流肺内の免疫浸潤物を、フローサイトメトリーによって測定した。NK細胞(NK1.1+)浸潤を、CD45+免疫細胞内の全細胞のパーセントとして報告した。
図13Aに示されるように、単剤治療としてi.v.投与した、その表面上にIL−15/IL−15RA+4−1BBLの両方を提示するように調製されたマウス赤血球系細胞は、mRBC CTRL、mRBC 4−1BBLおよびmRBC IL−15/IL−15RAで個々に処置したマウスと比較して、マウスにおける腫瘍負荷を低減させ、それにより、赤血球系細胞の細胞表面上に4−1BBLおよびIL−15/IL−15RAの両方を含むことによって達成され得る潜在的な相乗作用が示された。mRBC−4−1BBL+IL−15/IL−15RAで達成された腫瘍負荷における低減は、41BBアゴニストモノクローナル抗体3H3で達成されたものと有意には異ならなかった。さらに、肺転移の数におけるこの減少は、図13Bに示されるように、肺中へのNK細胞浸潤における有意な増加とも関連した(p=0.02)。
別の類似の研究の結果が図13Cに示される。動物に投薬するために、平均1e9の赤血球系細胞を、1用量当たり、細胞1つ当たり平均25,000個の分子の4−1BBLおよび細胞1つ当たり平均45,000個の分子のIL−15/IL−15RAで投与したことを除いて、この研究は、上記のように実施した。図13Cで見られるように、IL−15/IL−15RA+4−1BBLを提示するように調製されたマウス赤血球系細胞は、抗PD1抗体と組み合わせてi.v.投与された場合、陰性対照PBSおよびmRBC CTRL、ならびに抗PD1抗体単独で処置したマウスと比較して、マウスにおける腫瘍負荷を有意に低減させた。マウス4−1BBアゴニスト抗体3H3は、単剤治療としては活性でなかった。この研究では、i.v.投与されたIL−15/IL−15RA+4−1BBLを提示するマウス赤血球系細胞の曝露は、以前の単剤治療研究のおよそ3分の1であったので、IL−15/IL−15RA+4−1BBLを提示するように調製されたマウス赤血球系細胞は、単剤治療としては活性でなかった(上記および図13A)。しかし、血液中でのより高い曝露および/または他の臓器(例えば、リンパ節)中への分布が生じたことにおそらくは起因して、IL−15/IL−15RA+4−1BBLを提示するように調製されたマウス赤血球系細胞は、腹腔内、即ちi.p.投与した場合に、肺転移を低減させることにおいて、単剤治療としてこの研究において高度に有効であった。
さらなる実験では、IL−15/IL−15RA+4−1BBLを提示するように調製された赤血球系細胞の薬力学的影響を、腫瘍中へのNK細胞浸潤の定量化によって、B16F10モデルにおいて評価した。C57BL/6マウスに、B16F10細胞を皮下接種した。腫瘍がおよそ50立方ミリメートルの体積に達した時点で、動物をランダム化し、1日目、4日目および8日目に、1×109のmRBC−m4−1BBL、mRBC−IL−15/IL−15RAまたはmRBC IL−15/IL−15RA+4−1BBLを静脈内投薬した。さらなる群は、陰性対照として機能する200μLのリン酸緩衝食塩水(PBS)を受けた。本明細書では、この実施例に上記したように、IL−15/IL−15RA融合タンパク質を、(表10に示される構築物で)IL−15鎖に融合した受容体のsushiドメインとして発現させた。
細胞1つ当たりの分子の評価により、mRBC−m4−1BBLが細胞1つ当たり150,000個の分子を発現し、IL−15/IL−15RAが細胞1つ当たり90,000個の分子を発現し、mRBC IL−15/IL−15RA+4−1BBLが細胞1つ当たり70,000個の分子のm4−1BBLおよび50,000個の分子のIL−15/IL−15RAを発現したことが示された。11日目に、腫瘍を収集し、消化し、腫瘍細胞懸濁物を、フローサイトメトリーによって、NK細胞の量、ならびにNK成熟化および分化マーカーについて解析した。
図13D〜Fに示されるように、mRBC IL−15/IL−15RA+4−1BBLは、PBS処置した対照マウスと比較して、腫瘍中の総NK細胞計数における増加をもたらした(p=0.013、図13D)。さらなる解析により、対照マウスと比較した場合の、最終分化したNK細胞およびグランザイムB+NK細胞の総数における増加によって実証されるように、mRBC IL−15/IL−15RA+4−1BBL処置したマウスにおけるNK細胞が、より成熟し(p=0.013;図13E)、高度に機能的であった(p=0.008;図13F)ことが実証された。mRBC IL−15/IL−15RA+4−1BBLの影響は、mRBC−m41BBLおよびmRBC−IL−15/IL−15RAの影響よりも顕著であった。これらの知見は、m4−1BBLおよびIL−15/IL−15RAを含むマウス代理産物が、マウスにおいて高度に機能的であり、腫瘍中へのNK細胞浸潤をもたらし得ることを示している。
(実施例16)
IL−15/IL−15RAを含む、4−1BBLを含むまたはIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLを含む赤血球系細胞は、NK細胞の増大および活性化を示す表現型マーカーをin vitroでモジュレートする。
IL−15/IL−15RA(v4、成熟細胞外IL−15RAを含む)を含む赤血球系細胞を、概して実施例1に記載したように調製した。4−1BBLを含む赤血球系細胞を、概して実施例6に記載したように調製した。
凍結された末梢血単核球(PBMC;Astarte)を解凍し、10%FBSを含むRPMI中に再懸濁し、96ウェル丸底プレート中に1ウェル当たり100,000個の細胞でプレートした。IL−15/IL−15RA(v4;成熟細胞外IL−15RAを発現する)を含む、4−1BBLを含むまたはIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLを含む赤血球系細胞を、変動する量(IL−15/IL−15RAについては250,000個の細胞または500,000個の細胞、4−1BBLについては500,000個の細胞)で添加した。培養物を8日間インキュベートし(長期プライミング)、次いで、以下の抗体:BioLegendのCD69(FN50)、TRAIL(RIK−2)、41BB(4B4−1)、NKp44(P44−8)およびKLRG1(14C2A07)、ならびに死細胞を標識するためのInvitrogenのAqua Dyeを使用して、フローサイトメトリーによる解析のために染色した。細胞内染色のために、細胞を固定し、Foxp3/Transcription Factor Fixation/Permeabilizationキット(eBioscience)で透過処理し、Ki67(B56、BD Biosciences)およびGZMB(GB11 BioLegend)について染色した。細胞を、フローサイトメトリー(Novocyte)によって解析した。
この実験の結果は、図14に示される。NK細胞の長期(8日)プライミング後、IL−15/IL−15RA(v4)を含む、41BBLを含むまたはIL−15/IL−15RAおよび41BBLを含む赤血球系細胞(「co」)が、HAを含む対照赤血球系細胞と共に培養したNK細胞と比較して、培養物中での8日間の後に、NK細胞回復を増強することが見出された。NK細胞の生存、増大および活性化についての表現型読み出しとして使用したマーカーのパネルの解析からの結果もまた、図14に示される。各マーカーについて得られた結果は、以下に記載される。
Ki67:IL−15/IL−15RAを含む、4−1BBLを含むまたはIL−15/IL−15RAおよび41BBLを含む赤血球系細胞は、HAを含む対照赤血球系細胞と共に培養したNK細胞と比較して、Ki67染色によって測定した場合に、NK細胞増殖を増強した。
グランザイムB:IL−15/IL−15RAを含む、4−1BBLを含むまたはIL−15/IL−15RAおよび41BBLを含む赤血球系細胞は、対照HAで観察されたものと比較して、NK細胞におけるNK細胞傷害性のマーカーであるグランザイムB発現の増加した割合およびレベルをもたらした(GZMBについて陽性のNK細胞におけるGZMBについてのフローサイトメトリー染色の相対的強度を示す、上の一番右のパネルを参照のこと)。
TRAIL:IL−15/IL−15RAを含む、4−1BBLを含むまたはIL−15/IL−15RAおよび41BBLを含む赤血球系細胞は、対照HAで観察されたものと比較して、NK細胞活性化のマーカーであり、TRAIL−リガンド含有細胞についての死誘導性リガンドであるTRAIL含有NK細胞の増加した割合をもたらした。TRAIL発現は、IL−15刺激で増加することが報告されており、これは、これらの操作された赤血球系細胞が、IL−15トランス提示(transpresentation)の効果を再現していることを示唆している。
CD69:IL−15/IL−15RAを含む赤血球系細胞は、対照HAで観察されたものと比較して、CD69含有NK細胞の増加した割合をもたらした。CD69は、リンパ球における初期活性化のマーカーである。
NKp44:IL−15/IL−15RAを含む、4−1BBLを含むまたはIL−15/IL−15RAおよび41BBLを含む赤血球系細胞は、対照HAで観察されたものと比較して、NKp44含有細胞の増加した割合をもたらした。NKp44は、活性化されたNK細胞上で排他的に発現され、一部のウイルス感染細胞および腫瘍細胞の死滅を促進し得る。
41BB:4−1BBLを含むまたはIL−15/IL−15RAおよび41BBLを含む赤血球系細胞は、対照HAで観察されたものと比較して、NK細胞上の増加した41BB発現をもたらした。41BBは、NK細胞およびT細胞上の活性化マーカーである。
まとめると、表現型マーカーのパネルの解析からの結果は、IL−15/IL−15RA、4−1BBLまたはIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLの両方を含む赤血球系細胞が、NK細胞の生存、増大および活性化をin vitroで増強したことを実証した。
(実施例17)
4−1BBLおよびIL−15/IL−15RAを発現するように遺伝子操作された赤血球系細胞は、腫瘍細胞死滅をin vitroで誘導する。
IL−15/IL−15RA(v5、IL−15RAsushiドメイン)を含む赤血球系細胞
IL−15/IL−15RA(v5、IL−15RAsushiドメインを含む)を含む赤血球系細胞を、概して実施例1に記載したように調製した。4−1BBLを含む赤血球系細胞を、概して実施例6に記載したように調製した。NK細胞によるK562ヒト慢性骨髄性白血病(CML)細胞のin vitro死滅を、(i)4−1BBL含有赤血球系細胞、(ii)IL−15/IL−15RA含有赤血球系細胞;ならびに(iii)IL−15/IL−15RA含有赤血球系細胞および4−1BBL含有赤血球系細胞の混合物、の各々について試験した。簡潔に述べると、20,000個の精製されたNK細胞(Astarte Biologics)を、各々200000個の、4−1BBLもしくはIL−15/IL−15RAまたは4−1BBLおよびIL−15/IL−15RAの両方の混合物を含む200,000個のRBCと共に、16時間インキュベートした。さらに、1つの処置群では、20,000個のNK細胞を、5ng/mLの組換えIL−15と共にインキュベートした。16時間のインキュベーション後、20,000個のK562細胞を、培養物に4時間添加した。これらの細胞は、NK細胞の標的細胞集団として機能した。生K562細胞の計数を、フローサイトメトリーによって測定した。パーセント死滅を、対照と比較した生きたパーセントに基づいて計算した。結果は図8に示される。図8に示されるように、IL−15/IL−15RA+4−1BBLを含む赤血球系細胞は、NK細胞による最も高いパーセント死滅を示した。
IL−15/IL−15RA(v4、成熟細胞外IL−15RA)および4−1BBLを含む赤血球系細胞
さらなる研究を、上記のように実施したが、このとき、(i)異なるIL−15/IL−15RA融合物、特に、sushiドメインではなく成熟細胞外IL−15RAを含むIL−15/IL−15RA v4を使用した、および(ii)赤血球系細胞を、IL−15/IL−15RAおよび4−1BBLを共発現するように操作した。K562ヒトCML細胞のin vitro死滅に対する、IL−15/IL−15RA(v4)を含む、4−1BBLを含むまたはIL−15/IL−15RAを含む赤血球系細胞によるNK細胞の長期(8日)プライミングおよび短期(一晩)プライミングの両方の影響を試験した。これらの実験のために、IL−15/IL−15RA(v4)を含む、4−1BBLを含むならびに4−1BBLおよびIL−15/IL−15RA(v4)を含む赤血球系細胞を、それぞれ、概して実施例1、実施例6および実施例11に記載したように調製した。
(i)長期プライミング
長期プライミングのために、PBMCを、Ficollを使用して新鮮な血液から単離し、NK細胞を、MiltenyiのHuman NK Negative Selectionキットを使用してさらに富化した。次いで、5e5のNK細胞を、IL−15/IL−15RA(v4)を含む、4−1BBLを含むまたはIL−15/IL−15−RAおよび4−1BBLを含む3e6の赤血球系細胞と共に、24ウェルプレート中で8日間培養した。対照として、NK細胞を、0.1、1または10ng/mLのrhIL−15(Peprotech)と共に培養した。
8日後、細胞を、以下の抗体:BioLegendのCD56(5.1H11)、CD3(UCHT1)、CD8(RPA−T8)、CD69(FN50)、TRAIL(RIK−2)、41BB(4B4−1)およびNKp44(P44−8)、ならびに死細胞を標識するためのInvitrogenのAqua Dyeを使用して、フローサイトメトリーによる解析のために染色した。細胞内染色のために、細胞を固定し、Foxp3/Transcription Factor Fixation/Permeabilizationキット(eBioscience)で透過処理し、Ki67(B56、BD Biosciences)およびGZMB(GB11 BioLegend)について染色した。細胞を、フローサイトメトリー(Novocyte)によって解析した。NK細胞の生存、増大および活性化についての表現型読み出しとして使用したマーカーのパネルの解析からの結果は、実施例16で見出されたものと類似であった(データ示さず)。簡潔に述べると、4−1BBLを含むまたはIL−15/IL−15RAおよび41BBLを含む赤血球系細胞は、HAを含む対照赤血球系細胞と共に培養したNK細胞と比較して、Ki67染色によって測定した場合に、NK細胞増殖を増強した。IL−15/IL−15RAを含むまたはIL−15/IL−15RAおよび41BBLを含む赤血球系細胞は、対照HAで観察されたものと比較して、NK細胞におけるNK細胞傷害性のマーカーであるグランザイムB発現の増加した割合およびレベルをもたらした。IL−15/IL−15RAを含む、4−1BBLを含むまたはIL−15/IL−15RAおよび41BBLを含む赤血球系細胞は、対照HAで観察されたものと比較して、NK細胞活性化のマーカーであり、TRAIL−リガンド含有細胞についての死誘導性リガンドであるTRAIL含有NK細胞の増加した割合をもたらした。IL−15/IL−15RAを含む、4−1BBLを含むまたはIL−15/IL−15RAおよび41BBLを含む赤血球系細胞は、対照HAで観察されたものと比較して、CD69含有NK細胞の増加した割合をもたらした。CD69は、リンパ球における初期活性化のマーカーである。IL−15/IL−15RAを含む、4−1BBLを含むまたはIL−15/IL−15RAおよび41BBLを含む赤血球系細胞は、対照HAで観察されたものと比較して、NKp44含有細胞の増加した割合をもたらした。NKp44は、活性化されたNK細胞上で排他的に発現され、一部のウイルス感染細胞および腫瘍細胞の死滅を促進し得る。4−1BBLを含むまたはIL−15/IL−15RAおよび41BBLを含む赤血球系細胞は、対照HAで観察されたものと比較して、NK細胞上の増加した41BB発現をもたらした。41BBは、NK細胞およびT細胞上の活性化マーカーである。従って、表現型マーカーの解析からの結果は、IL−15/IL−15RA、4−1BBLまたはIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLの両方を含む赤血球系細胞が、NK細胞の生存、増大および活性化を増強したことを実証した。
NKとIL−15/IL−15−RAを含む、4−1BBLを含むまたはIL−15/IL−15−RAおよび4−1BBLを含む赤血球系細胞との共培養物から、NK細胞を、Human NK陰性選択キットを使用して再精製した。K562細胞を用いた死滅アッセイのために、K562標的細胞をCellTrace Far Redで標識し、20,000個の細胞を、変動する比率(1:1または5:1の赤血球系:標的)で、精製されたNKと共にプレートし、4時間インキュベートした。次いで、細胞を、氷上でCD56(クローン)、CD3(クローン)、生/死(Invitrogen)で染色し、2%パラホルムアルデヒドで固定し、フローサイトメトリー(Novocyte)によって解析して、生きた標的の数を決定した。特異的死滅を、(「K562+NK」条件における%死K562標的細胞)−(「K562のみ」条件における%死K562標的細胞)として計算し、自発的標的細胞死を求めた。
結果は図15に示される。図15は、特異的死滅としてプロットした、2人のPBMCドナーについての平均パーセント死滅を示し、このとき、E:T(エフェクター(NK):標的(腫瘍))細胞比は5:1であった。図15に示されるように、IL−15/IL−15RAを含むまたはIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLを含む赤血球系細胞でプライミングしたNK細胞は、対照HAと比較して、K562標的細胞に対する増強された細胞傷害性を有する。図8に示される結果と同様に、IL−15/IL−15RA(v4)+4−1BBLを含む赤血球系細胞は、可溶性IL−15またはIL−2でプライミングしたNK細胞で観察されたものと匹敵する、NK細胞による最も高いパーセント死滅を示した。E:T細胞比を1:1とした場合に得られた結果は、IL−15/IL−15RAを含むまたはIL−15/IL−15RA(v4)および4−1BBLを含む赤血球系細胞でプライミングしたNK細胞が、対照HAと比較して、K562細胞に対する増加した細胞傷害性を有することを同様に示したが、より少ない全体的死滅が観察され、標的死滅は、可溶性IL−15またはIL−2でプライミングしたNK細胞で見られたものほど大きくはなかった(データ示さず)。
(ii)短期プライミング
短期プライミングのために、凍結された精製されたNK細胞(Astarte)を解凍し、培地(10%FBS、1%Pen−Stepを含むRPMI)中に再懸濁し、IL−15/IL−15RA(v4)を含む、4−1BBLを含むまたはIL−15/IL−15−RAおよび4−1BBLを含む2e5の赤血球系細胞と共に、96ウェルU底プレート中に1ウェル当たり2e4または1e5でプレートした。対照として、NK細胞を、単独でまたはrhIL−15(実験に依存して0.1、1または10ng/mL;Peprotech)と共にプレートした。さらに、対照ウェルを、赤血球系細胞のみで構成した。細胞を、加湿インキュベーター中で37℃で一晩(16〜20時間の間)インキュベートした。
K562細胞を用いた死滅アッセイのために、K562細胞をCellTrace Far Redで標識し、20,000個の標的細胞を、5:1のE:T比で、NK細胞、NKならびにIL−15/IL−15RA(v4)を含む、4−1BBLを含むもしくはIL−15/IL−15−RAおよび4−1BBLを含む赤血球系細胞、または対照としての赤血球系細胞のみの一晩培養物を含むウェルに添加し、4時間インキュベートした。次いで、細胞を、氷上でCD56(クローン)、CD3(クローン)、生/死(Invitrogen)で染色し、2%パラホルムアルデヒドで固定し、フローサイトメトリー(Novocyte)によって解析して、生きた標的の数を決定した。特異的死滅を、(「K562+NK」条件における%死K562標的細胞)−(「K562のみ」条件における%死K562標的細胞)として計算し、自発的標的細胞死を求めた。結果(データ示さず)は、IL−15/IL−15RAを含むまたはIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLを含む赤血球系細胞で一晩プライミングしたNK細胞が、対照または4−1BBLを含む赤血球系細胞(各々およそ40%の死滅)と比較して増強されているが、rhIL−15でプライミングしたNK細胞(少なくとも90%の死滅)よりは低い、K562標的に対する細胞傷害性(およそ60%の死滅)を有することを示している。
併せて考えると、この実施例の結果は、単独でまたは4−1BBLと一緒にIL−15/IL−15RAを含む赤血球系細胞が、細胞1つ当たり基準でのNK細胞の細胞傷害性を増強すること、つまり、NK細胞がより増大されるだけでなく、得られた個々のNK細胞自体がより活性であることを実証している。
(実施例18)
4−1BBLおよびIL−15/IL−15RA(v4)を発現するように遺伝子操作された赤血球系細胞は、ADCC死滅をin vitroで誘導する。
IL−15/IL−15RA(v4)を含む、4−1BBLを含むまたはIL−15/IL−15RA(v4)および4−1BBLを含む赤血球系細胞によるNK細胞の短期(一晩)プライミングを、上記実施例17に記載したように実施した。
抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)アッセイのために、Raji細胞をCellTrace Far Redで標識し、次いで、5μg/mLの抗CD20 IgG1(Invivogen)またはIgG1アイソタイプ対照抗体(「アイソ」、BioLegend)と共に37℃で15分間インキュベートした。次いで、Raji細胞を洗浄し、20,000個の細胞を、NK細胞、NK細胞ならびに4−1BBLを含む、IL−15/IL−15RAを含むもしくはIL−15/IL−15RAおよび41BBLを含む赤血球系細胞、または操作された赤血球系細胞のみの一晩培養物を含むウェルに添加し、4時間インキュベートした。次いで、細胞を、氷上でCD56(クローン)、CD3(クローン)、生/死(Invitrogen)で染色し、2%パラホルムアルデヒドで固定し、フローサイトメトリー(Novocyte)によって解析して、生きた標的の数を決定した。特異的死滅を、(「Raji+NK」条件における%死Raji標的)−(「Rajiのみ」条件における%死Raji標的)として計算し、自発的標的細胞死を求めた。
図16に示されるように、IL−15/IL−15RAを含むまたはIL−15/IL−15RAおよび41BBLを含む赤血球系細胞で一晩プライミングしたNK細胞は、4−1BBLを含む赤血球系細胞または対照で一晩プライミングしたNK細胞と比較して、Raji細胞の増加したパーセント死滅を実証した。従って、これらの結果は、IL−15/IL−15RAを含むまたはIL−15/IL−15RAおよび41BBLを含む赤血球系細胞が、Raji細胞標的の増強されたADCC死滅をもたらすことを実証しており、これは、これらの赤血球系細胞が、細胞1つ当たり基準でのNK細胞の細胞傷害性を増強すること、つまり、NK細胞がより増大されるだけでなく、得られた個々のNK細胞自体がより活性であることを示している。
(実施例19)
IL−15/IL−15RAおよび4−1BBLを含む赤血球系細胞は、結腸がんマウスモデルにおける腫瘍負荷をin vivoで低減させる。
結腸がんについてのCT26同系マウスモデル系を使用して、腫瘍負荷に対する、ヒトIL−15/IL−15RAおよびマウス4−1BBLを含むマウス赤血球系細胞の影響を試験した。CT26は、市販のマウス結腸癌モデルである(その全体が参照により本明細書に組み込まれるZhang et al., Clin Exp Metastasis. 2013 Oct; 30(7): 10.1007/s10585-013-9591-8)。
マウス赤血球系細胞を、クリック方法論を使用して、IL−15/IL−15RA(「IL−15TP」)および4−1BBLと共コンジュゲートさせた(即ち、同じ細胞上にコンジュゲートさせたIL−15TPおよび4−1BBLの両方)(赤血球系細胞を官能化するためのクリックケミストリーは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる2017年2月17日出願の米国仮特許出願第62/460589号および2017年7月8日出願の米国仮特許出願第62/542142号に対する優先権を主張する国際出願番号PCT/US2018/000042に記載されている)。IL−15/IL−15RA融合タンパク質を、本明細書の表10に示される構築物で、IL−15鎖に融合した受容体のsushiドメインとして発現させた。マウス4−1BBLタンパク質を、本明細書の表10に示される構築物で発現させた。
腫瘍がおよそ50mm3の体積に達した時点で、動物に、静脈内(IV)投与される4−1BBLおよびIL−15/IL−15RA(「IL−15TP」)を提示するマウス赤血球系細胞、腹腔内(IP)投与される抗PD1モノクローナル抗体単独(αPD−1 mAb;150μg)、またはIP投与されるαPD−1と組み合わせてIV投与される4−1BBLおよびIL−15/IL−15RA(「IL−15TP」)を提示するマウス赤血球系細胞、を投薬した。4−1BBLおよびIL−15/IL−15RAなしのマウス赤血球系細胞を、対照として使用した(「mRBC−CTRL」)。動物に投薬するために、平均1e9の赤血球系細胞を、1用量当たり、細胞1つ当たり平均30,000個の分子のm4−1BBLおよび細胞1つ当たり平均35,000個の分子のIL−15TPで、投与した。
動物の重量および状態を毎日記録し、腫瘍を、各腫瘍を2つの次元で測定することによって、1週間に3回測定した。腫瘍体積を、以下の標準式を使用して計算した:(L×W2)/2。平均腫瘍重量および平均の標準誤差を、各時点において各群について計算した。体重を毎日記録した。体重における変化を、1日目に記録した体重と比較して、各マウスについて計算した(示される処置日数は、所望の腫瘍体積が観察された日から開始する)。腫瘍保有マウスから脾臓および腫瘍を採取し、両方の組織由来の細胞懸濁物を、11日目に、フローサイトメトリーによる解析のために生成した。増殖性CD8 T細胞(Ki67+)および機能的CD8 T細胞(グランザイムB+)の総数を解析した。
対照と比較した、4−1BBLおよびIL−15/IL−15RAを提示する調製されたマウス赤血球系細胞の抗腫瘍活性を、腫瘍体積および/または腫瘍重量における経時的な変化を評価することによって決定した。図17A(示されるデータは、13日目のものであり、各点は、1匹のマウス中の腫瘍を示す)に示されるように、単剤治療としてまたは抗PD1抗体と組み合わせてi.v.投与した、4−1BBLおよびIL−15/IL−15RAを提示するように調製されたマウス赤血球系細胞は、CT26結腸がんマウスモデルにおける腫瘍負荷を低減させた。4−1BBLおよびIL−15/IL−15RAを提示するマウス赤血球系細胞と抗PD1抗体との組合せによる処置は、調製された赤血球系細胞または抗PD1抗体単独のいずれかと比較して、安定疾患または腫瘍退縮を有するマウスのより高い数を生じた。さらに、4−1BBLおよびIL−15/IL−15RAによる腫瘍成長阻害には、増殖性CD8 T細胞および細胞傷害性CD8 T細胞の腫瘍浸潤における1.7倍の増加が伴った(図17B)。
(実施例20)
in vivoでのIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLを含むマウス赤血球系細胞の毒性の欠如。
肝臓毒性のマウスモデルを使用して、マウスRBC−4−1−BBLおよびIL−15/IL−15RAの毒性の欠如または忍容性を評価した(その全内容が参照により本明細書に組み込まれるNiu et al J Immunology 2007 178:4194-4213)。簡潔に述べると、6〜12週齢の雌性C57BL/6マウスに、以下を投薬した:4−1BBLおよびIL−15/IL−15RAを提示するマウス赤血球系細胞(1e9の細胞)、4−1BBLおよびIL−15/IL−15RAなしのマウス赤血球系細胞、150μgの抗PD1抗体、4−1BBLおよびIL−15/IL−15RAを提示するマウス赤血球系細胞(1e9の細胞)および150ugの抗PD1抗体、あるいは対照としての、50ugもしくは200ugの3H3抗体、または食塩水。動物の重量および状態を毎日記録した。投薬を、1日目、4日目、8日目および11日目に実施し、最終屠殺を18日目に実施した。肝臓および血清を収集し、マクロファージおよびCD8の浸潤についての解析を、単一細胞懸濁物への肝臓の消化および処理の後の肝臓に対して実施した。さらに、血清中の肝臓トランスアミナーゼALTのレベルを定量化した。
図18に示されるように、マウスRBC−4−1BBL+IL/15/IL−15RAの好ましい忍容性が観察された。アラニントランスアミナーゼ(ALT)肝臓酵素のレベルは、マウスRBC−4−1BBL+IL−15/IL−15RAの投与後に、有意には上昇しなかった。対照的に、この肝臓酵素の有意な上昇が、4−1BBアゴニストモノクローナル抗体3H3の投与後に観察された。マクロファージ、CD8+T細胞、および特にCD8+/Eomes+/KLGR1+T細胞の肝臓浸潤は、4−1BBL誘導される肝臓毒性にとって重要であると考えられる。予想したように、これらの集団の全ての増加した肝臓浸潤が、4−1BBアゴニスト抗体3H3による処置後に観察された。重要なことに、マウスRBC−4−1BBL+IL−15/IL−15RAの投与後に、これらの集団のいずれの増加した肝臓浸潤も存在しなかった。これらの結果は、マウスRBC−4−1BBL+IL−15/IL−15RAでin vivoで観察されたCD8陽性T細胞の強力な刺激には、他の4−1BBアゴニストの投与とは関連していた肝臓毒性が伴わないことを示している。理論に束縛されることは望まないが、RBC−41BBL+IL−15/IL−15RAは、4−1BBアゴニスト抗体とは異なり、血管中に隔離されると考えられ、この4−1BBアゴニスト抗体は、血管から骨髄へと拡散することによって肝臓毒性を引き起こすと考えられ、そこで骨髄性細胞を活性化および増大させ、骨髄性細胞は次に、肝臓に移動してクッパー細胞になり、CD8細胞を活性化する。本明細書に示されるデータは、RBC−4−1BBL+IL−15/IL−15RAが骨髄由来の単球を刺激しないことを示唆しており、これは、RBC−4−1BBL+IL−15/IL−15RAへの曝露が限定的である骨髄において活性化が生じるという仮説と一致している。従って、本明細書で提供される4−1BBLを提示するRBCは、他の4−1BBアゴニストを超える顕著な治療的利点を提供する。
例えば、実施例15では、マウスにおいて肝毒性を生じた用量レベルと等価な用量レベルでの4−1BBアゴニストモノクローナル抗体の投与後に達成された腫瘍負荷低減は、マウスRBC−4−1BBL+IL−15/IL−15RAで達成された腫瘍負荷低減と有意には異ならなかった。同様に、実施例19では、マウスにおいて肝毒性を生じた用量レベルと等価な用量レベルでの4−1BBアゴニストモノクローナル抗体の投与後に達成された抗腫瘍活性は、マウスRBC−4−1BBL+IL−15/IL−15RAで達成された腫瘍負荷低減と有意には異ならなかった。マウスRBC−4−1BBL+IL−15/IL−15RAは、マウスにおいて肝臓毒性を生じなかったので、この観察は、RBC−4−1BBL+IL−15/IL−15RAが、がん患者において、アゴニスト性4−1BB抗体を超える改善された治療指数または改善されたリスク−ベネフィットを有し得ることを支持している。
上記解析に加えて、肝臓H&E染色切片を病理学者が評価し、炎症スコアを割り当てた。これらの結果により、増加した炎症スコアによって見られるように、3H3群について、肝臓病理における有意な増加が明らかになった(図18E)。重要なことに、RBC−4−1BBL+IL−15/IL−15RA群は、mRBC−CTRLまたはPBS対照群と比較して、増加した炎症の徴候も増加した毒性の徴候も示さなかった。3H3群について、病理報告は、性質が主にリンパ球性であるように見える顕著な血管周囲浸潤物を記載した。
併せて考えると、示されたデータは、RBC−4−1BBL+IL−15/IL−15RAが十分に忍容され、安全性の懸念を全く生じなかったことを示している。41BBLおよびIL−15TPを使用したにもかかわらずに毒性が欠如する機構は、循環に制限されるRBC−4−1BBL+IL−15/IL−15RAの体内分布であり得、従って、細胞は、肝臓毒性カスケードを開始すると示唆されるプロセスである、骨髄中の骨髄性細胞との相互作用ができず、他の4−1BBアゴニストを超える顕著な治療的利点が提供される。
(実施例21)
IL−12を発現するように遺伝子操作された赤血球系細胞の生成。
IL−12構築物
DNA構築物を、以下の表13に示されるように、赤血球系細胞における発現のために調製した:
レンチウイルスベクターの産生
IL−12遺伝子構築物(表13に示されるV1またはV2)を構築した。遺伝子を、System Biosciencesの、MSCVプロモーター配列を有するレンチウイルスベクターpCDHのマルチクローニングサイト中にクローニングした。レンチウイルスを、pPACKH1(System Biosciences)、およびIL−12遺伝子を含むpCDHレンチウイルスベクターで細胞をトランスフェクトすることによって、293T細胞において産生した。細胞を、新鮮な培養培地中に配置した。ウイルス上清を、培地交換の48時間後に、1,500rpmで5分間の遠心分離によって収集した。上清を収集し、濾過し、−80℃でアリコートで凍結した。
赤血球系細胞の増大および分化
正常ヒトドナー由来の動員された末梢血細胞に由来するヒトCD34+細胞を、AllCells Inc.から凍結状態で購入した。増大/分化手順は、3つの段階を含む。第1段階では、解凍したCD34+赤血球系前駆体を、組換えヒトインスリン、ヒトトランスフェリン、組換えヒト組換えヒト幹細胞因子および組換えヒトインターロイキン3を含むIscove’s MDM培地中で培養した。第2段階では、赤血球系細胞を、組換えヒトインスリン、ヒトトランスフェリン、ヒト組換え幹細胞因子、ヒト組換えエリスロポエチンおよびL−グルタミンを補充したIscove’s MDM培地中で培養した。第3段階では、赤血球系細胞を、ヒトトランスフェリン、組換えヒトインスリン、ヒト組換えエリスロポエチンおよびヘパリンを補充したIscove’s MDM培地中で培養した。培養物を、5%CO2インキュベーター中で37℃で維持した。
赤血球系前駆細胞の形質導入
赤血球系前駆細胞を、上記培養プロセスのステップ1の間に形質導入した。培養培地中の赤血球系細胞を、レンチウイルス上清およびポリブレンと組み合わせた。感染を、室温で90分間にわたって2000rpmでプレートをスピンさせるスピノキュレーションによって達成した。スピノキュレーション後、細胞を、37℃で一晩インキュベートした。
抗体結合
PE標識された抗IL−12抗体(例えば、精製された抗ヒトIL−12−p70(クローン20C2))の結合を使用して、操作された赤血球系細胞におけるIL−12の発現を検証した。抗体の結合を、PE蛍光についてのフローサイトメトリーによって測定した。ゲートを、染色された形質導入されていない細胞に基づいて設定した。
(実施例22)
IL−12および4−1BBLを発現するように遺伝子操作された赤血球系細胞の生成。
レンチウイルスベクターの産生
IL−12(表13に示されるV1またはV2)および4−1BBL遺伝子を構築した。1つのベクターがIL−12の遺伝子を含み、1つのベクターが4−1BBLの遺伝子を含むように、遺伝子を、System Biosciencesの、MSCVプロモーター配列を有するレンチウイルスベクターpCDHのマルチクローニングサイト中にクローニングした。レンチウイルスを、pPACKH1(System Biosciences)、ならびにIL−12遺伝子を含むpCDHレンチウイルスベクターおよび4−1BBL遺伝子を含むpCDHレンチウイルスベクターで細胞を共トランスフェクトすることによって、293T細胞において産生した。細胞を、新鮮な培養培地中に配置した。ウイルス上清を、培地交換の48時間後に、1,500rpmで5分間の遠心分離によって収集した。上清を収集し、濾過し、−80℃でアリコートで凍結した。
あるいは、1つのベクターがIL−12の遺伝子および4−1BBLの遺伝子を含むように、IL−12および4−1BBL遺伝子を構築することができ、System Biosciencesの、MSCVプロモーター配列を有するレンチウイルスベクターpCDHのマルチクローニングサイト中にクローニングすることができることが認識される。その場合、レンチウイルスを、pPACKH1(System Biosciences)、ならびにIL−12遺伝子および4−1BBL遺伝子の両方を含むpCDHレンチウイルスベクターで細胞を共トランスフェクトすることによって、293T細胞において産生する。細胞を、新鮮な培養培地中に配置する。ウイルス上清を、培地交換の48時間後に、1,500rpmで5分間の遠心分離によって収集する。上清を収集し、濾過し、−80℃でアリコートで凍結する。
赤血球系細胞の増大および分化
正常ヒトドナー由来の動員された末梢血細胞に由来するヒトCD34+細胞を、実施例21に記載したように、増大および分化させた。
赤血球系前駆細胞の形質導入
赤血球系前駆細胞を、上記培養プロセスのステップ1の間に形質導入した。培養培地中の赤血球系細胞を、レンチウイルス上清およびポリブレンと組み合わせた。感染を、室温で90分間にわたって2000rpmでプレートをスピンさせるスピノキュレーションによって達成した。スピノキュレーション後、細胞を、37℃で一晩インキュベートした。
抗体結合
PE標識された抗IL−12抗体(例えば、抗IL−12抗体(IL−12−p70(クローン20C2))の結合を使用して、操作された赤血球系細胞におけるIL−12の発現を検証した。PE標識された抗4−1BBL抗体(例えば、精製された抗ヒト4−1BBリガンド(CD137L)抗体、BioLegend)の結合を使用して、操作された赤血球系細胞における4−1BBLの発現を検証した。抗体の結合を、PE蛍光についてのフローサイトメトリーによって測定した。ゲートを、染色された形質導入されていない細胞に基づいて設定した。
図30Aに示されるように、IL−12 V2(SMIM1に連結されたIL−12)は、単独のまたは4−1BBLと組み合わせたIL−12 V1(GPAに連結されたIL−12)と比較して、細胞表面において有意により高いIL−12を示すことが観察された。細胞表面上のIL−12のこの増加したレベルは、SMIM1を膜ドメインとして使用する場合の、赤血球系細胞の表面上の4−1BBLの増加したコピー数という予想されなかった利点、および従って、予想された増強された活性もまた提供する(図30B)。
(実施例23)
IL−15/IL−15−RA融合タンパク質およびIL−12を発現するように遺伝子操作された赤血球系細胞の生成。
レンチウイルスベクターの産生
IL−15/IL−15−RA(V4.1)融合タンパク質およびIL−12遺伝子を構築した。1つのベクターがIL−15/IL−15RAの遺伝子を含み、1つのベクターがIL−12の遺伝子を含むように、遺伝子を、System Biosciencesの、MSCVプロモーター配列を有するレンチウイルスベクターpCDHのマルチクローニングサイト中にクローニングした。レンチウイルスを、pPACKH1(System Biosciences)、ならびにIL−15/IL−15−RA遺伝子を含むpCDHレンチウイルスベクターおよびIL−12遺伝子を含むpCDHレンチウイルスベクターで細胞を共トランスフェクトすることによって、293T細胞において産生した。細胞を、新鮮な培養培地中に配置した。ウイルス上清を、培地交換の48時間後に、1,500rpmで5分間の遠心分離によって収集した。上清を収集し、濾過し、−80℃でアリコートで凍結した。
あるいは、1つのベクターがIL−15/IL−15RAの遺伝子およびIL−12の遺伝子を含むように、IL−15/IL−15−RA融合タンパク質およびIL−12遺伝子を構築することができ、System Biosciencesの、MSCVプロモーター配列を有するレンチウイルスベクターpCDHのマルチクローニングサイト中にクローニングすることができることが認識される。その場合、レンチウイルスを、pPACKH1(System Biosciences)、ならびにIL−15/IL−15−RA遺伝子およびIL−12遺伝子の両方を含むpCDHレンチウイルスベクターで細胞を共トランスフェクトすることによって、293T細胞において産生する。細胞を、新鮮な培養培地中に配置する。ウイルス上清を、培地交換の48時間後に、1,500rpmで5分間の遠心分離によって収集する。上清を収集し、濾過し、−80℃でアリコートで凍結する。
赤血球系細胞の増大および分化
正常ヒトドナー由来の動員された末梢血細胞に由来するヒトCD34+細胞を、実施例21に記載したように、増大および分化させた。
赤血球系前駆細胞の形質導入
赤血球系前駆細胞を、上記培養プロセスのステップ1の間に形質導入した。培養培地中の赤血球系細胞を、レンチウイルス上清およびポリブレンと組み合わせた。感染を、室温で90分間にわたって2000rpmでプレートをスピンさせるスピノキュレーションによって達成した。スピノキュレーション後、細胞を、37℃で一晩インキュベートした。
抗体結合
PE標識された抗IL−15−RA抗体(例えば、抗IL−15RA抗体(JM7A4)(ab91270)、AbCam)の結合を使用して、操作された赤血球系細胞におけるIL−15/IL−15−RAの発現を検証した。PE標識された抗IL−12抗体(例えば、精製された抗ヒトIL−12抗体(IL−12−p70(クローン20C2))の結合を使用して、操作された赤血球系細胞におけるIL−12の発現を検証した。抗体の結合を、PE蛍光についてのフローサイトメトリーによって測定した。ゲートを、染色された形質導入されていない細胞に基づいて設定した。
(実施例24)
IL−12およびIL−15/IL−15RAの組合せを含む操作された赤血球系細胞は、CD4、CD8、NKおよびNKT細胞のIFNγ応答および増殖の相乗的誘導を引き起こす。
IL−12を含む赤血球系細胞、IL−15/IL−15RA(V4.1)を含む赤血球系細胞およびIL−12+IL−15/IL−15RA(V4.1)を含む赤血球系細胞を、それぞれ、実施例21、1および23に記載したように調製した。
初代CD4+、CD8+、NKおよびNKT細胞の増殖および活性化を測定した。3人のドナー由来の100,000個のPBMCを、CTFRで標識し、IL−12を含む(「RBC−IL−12」)、IL−15/IL−15RAを含む(「RBC−IL−15/IL−15RA」)、およびIL−12+IL−15/IL−15RAを含む(「RBC−IL−12+IL−15/IL−15RA」)操作された赤血球系細胞、対照RBC(「RBC−CTRL」)ならびに培地対照(「培地CTRL」)と共にインキュベートした。RBCは、400,000個の細胞、200,000個の細胞または100,000個の細胞で存在した。8日目に、活発に分裂しているCD8、CD4、NKおよびNKTのパーセンテージを、CTFR希釈を使用して評価した。上清を収集し、IFNγの量を、ELISAを使用して評価した。図19A〜Eに示されるように、RBC−IL−12+IL−15/IL−15RAは、初代CD4+、CD8+、NKおよびNKT細胞を、強力に増殖するように、また、活性化された細胞によって放出されるIFNγサイトカインの産生によって測定されるように活性化されるように、刺激した。RBC−IL−12およびRBC−IL−15/IL−15RAは、これらの細胞の、いくらかの測定可能な増殖および活性化を刺激した。しかし、RBC−IL−12+IL−15/IL−15RAは、CD8+、CD4+、NKおよびNKT細胞の増殖の、かなりより大きい刺激、一部の例では相乗的な刺激、ならびにIFNγ産生における劇的な増加を示した。併せて考えると、この実施例で示された結果は、RBCの表面上のRBC−IL−12+IL−15/IL−15RAの発現が、初代CD4+、CD8+、NKおよびNKT細胞の高度に相乗的かつ強力な活性化を駆動したことを示している。
(実施例25)
IL−12、IL−15/IL−15RA、4−1BBLおよびそれらの組合せを含む赤血球系細胞は、肺転移をin vivoで低減させる。
黒色腫についてのB16F10転移性マウスモデル系(例えば、Kubo et al. (2017)を参照のこと)を使用して、転移性成長に対する、細胞表面上に、単独または組合せのいずれかでマウスIL−12、ヒトIL−15/IL−15RA融合タンパク質およびマウス4−1BBLを提示するマウス赤血球系細胞の影響を試験した。このモデルでは、腫瘍細胞を静脈内注射して肺における転移を樹立し、次いで、マウスを、IL−12、IL−15/IL−15RAもしくは4−1BBLのいずれか単独を提示するように調製されたマウス赤血球系細胞、または以下の組合せを提示するように調製されたマウス赤血球系細胞で処置した:IL−12およびIL−15/IL−15RA(IL−12/IL−15 RBC)、IL−12および4−1BBL(IL−12/4−1BBL RBC)、ならびにIL−15/IL−15RAおよび4−1BBL(IL−15/4−1BBL RBC)。
マウス赤血球系細胞を、クリック方法論を使用して、IL−12、IL−15/IL−15RA、4−1BBLとコンジュゲートさせるか、またはIL−12およびIL−15/IL−15RAの両方、IL−12および4−1BBLの両方ならびにIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLの両方と共コンジュゲートさせた。これらの細胞を、Cy5蛍光についてのフローサイトメトリーによって定量化した(図20A)。IL−15/IL−15RA融合タンパク質、マウス4−1BBLタンパク質およびマウスIl−12タンパク質のアミノ酸配列は、本明細書の表10に提供される。
最初に、7週齢の雌性C57BL/6マウスに、1×105のB16F10細胞/マウスを静脈内接種した。次いで、動物に、以下を静脈内(IV)投薬した:IL−12を提示する赤血球系細胞;IL−15/IL−15RAを提示する赤血球系細胞;4−1BBLを提示する赤血球系細胞;IL−12およびIL−15/IL−15RAの両方を提示する赤血球系細胞;IL−12および4−1BBLを提示する赤血球系細胞;IL−15/IL−15RAおよび4−1BBLを提示する赤血球系細胞;腹腔内(IP)投与される組換えIL−12(rIL−12);腹腔内(IP)投与される組換えIL−15/IL−15RA融合タンパク質;腹腔内(IP)投与されるマウス4−1BBアゴニスト抗体(3H3);または対照としてのIL−12もIL−15/IL−15RAも4−1BBLもなしの赤血球系細胞(mRBC−CTRL)。動物に投薬するために、平均1e9の赤血球系細胞を、1用量当たり0.14mg/kgのIL−12に相当する細胞1つ当たり平均30,000個の分子のIL−12単独、1用量当たり0.22mg/kgの4−1BBLに相当する細胞1つ当たり120,000個の分子の4−1BBL単独、および1用量当たり0.1mg/kgのIL−15/IL−15RAに相当する細胞1つ当たり60,000個の分子のIL−15/IL−15RA単独;またはIL−12およびIL−15/IL−15RAを含む赤血球系細胞については、それぞれ0.1mg/kgおよび0.03mg/kgに相当する20,000個の分子のIL−12および20,000個の分子のIL−15−RA;IL−12および4−1BBLを含む赤血球系細胞については、両方の0.1mg/kgに相当する20,000個の分子のIL−12および40,000個の分子の4−1BBL;または4−1BBLおよびIL−15/IL−15RAを含む赤血球系細胞については、それぞれ0.11mg/kgおよび0.07mg/kgに相当する60,000個の分子の4−1BBLおよび40,000個の分子のIL−15/IL−15RAで、1用量ごとに投与した。アゴニスト性41BB抗体(3H3)を、2.5mg/kgで投薬した。動物に、接種の1日、4日および8日後に、赤血球系細胞または3H3を投薬した。
動物の重量および状態を毎日記録した。体重における変化を、1日目に記録した体重と比較して、各マウスについて計算した。接種の14日後に、動物を屠殺し、肺を収集した。肺転移の数を、顕微鏡を使用して評価した。さらに、肺組織を、単一細胞懸濁物になるように処理し、Ki67およびグランザイムBについて染色し、フローサイトメトリーを使用して試験した。
図20Bに示されるように、単剤治療としてi.v.投与した、その表面上にIL−12およびIL−15/IL−15RAの組合せまたはIL−12および4−1BBLの組合せまたはIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLの組合せを提示するように調製されたマウス赤血球系細胞は、mRBC CTRLと比較して、マウスにおける腫瘍負荷を有意に低減させ、これらの分子を個々に提示する赤血球系細胞、即ち、mRBC IL−12、mRBC IL−15/IL−15RAおよびmRBC 4−1BBLと比較して、より高い有効性を示した。このデータは、細胞表面上にタンパク質のこれらの組合せを含む赤血球系細胞を投与することによって治療利益が達成され得ることを示した。IL−12および4−1BBLの組合せで達成された腫瘍負荷における低減は、IL−12または4−1BBL単独で達成されたものよりも有意に良好であり、4−1BBLおよびIL−15/IL−15RAの組合せで達成された腫瘍負荷における低減は、4−1BBLまたはIL−15/IL−15RA単独で達成されたものよりも有意に良好であった。
さらに、図20Cに示されるように、肺転移の数における減少は、肺中の増殖性細胞傷害性CD8+T細胞およびNK細胞の増加した浸潤と関連した(p=0.0002)。
(実施例26)
IL−12を含む赤血球系細胞は、腫瘍成長をin vivoで緩徐化させる。
結腸癌についてのMC38同系マウスモデル系ならびに黒色腫についてのB16F10腫瘍モデルを使用して、腫瘍成長(例えば、固形腫瘍成長)に対する、細胞表面上にマウスIL−12を提示するマウス赤血球系細胞の影響を試験した。
マウス赤血球系細胞を、クリック方法論を使用して、ヒトIL−15/IL−15RAおよびマウス4−1BBL、マウスIL−12およびマウス4−1BBL、またはマウスIL−12およびヒトIL−15/IL−15RAのいずれかと共コンジュゲートさせた。IL−15/IL−15RA融合タンパク質、マウス4−1BBLタンパク質およびマウスIl−12タンパク質のアミノ酸配列は、本明細書の表10に提供される。
腫瘍がおよそ100mm3の体積に達した時点(およそ7〜10日)で、動物に、IL−15/IL−15RAおよび4−1BBL(mRBC IL−15/IL−15RA+4−1BBL)、IL−12および4−1BBL(mRBC IL−12+4−1BBL)、IL−12およびIL−15/IL−15RA(mRBC IL−12+IL−15/IL−15RA)のいずれかを提示するいずれかの赤血球系細胞;これらのタンパク質なしの赤血球系細胞(mRBC CTRL);または対照としての4−1BBアゴニストモノクローナル抗体3H3を投薬した。投薬を、1日目、4日目および8日目に実施した(示される処置日数は、所望の腫瘍体積が観察された日から開始する)。動物に投薬するために、平均1e9のRBCを、1用量当たり、以下のような細胞1つ当たりの分子の平均数で、マウス1匹当たり1用量ごとに投与した:IL−12およびIL−15/IL−15RAを含む赤血球系細胞については、各々について0.1mg/kgおよび0.03mg/kgに相当する20,000個の分子のIL−12および20,000個の分子のIL−15−RA;IL−12および4−1BBLを含む赤血球系細胞については、それぞれ0.14mg/kgおよび0.15mg/kgに相当する30,000個の分子のIL−12および80,000個の分子の4−1BBL;ならびに4−1BBLおよびIL−15/IL−15RAを含む赤血球系細胞については、それぞれ0.15mg/kgの4−BBLおよび0.09mg/kgに相当する80,000個の分子の4−1BBLおよび50,000個の分子のIL−15/IL−15RA。
動物の重量および状態を毎日記録した。体重における変化を、1日目に記録した体重と比較して、各マウスについて計算した。腫瘍を、各腫瘍を2つの次元で測定することによって、1週間に3回測定した。腫瘍体積を、以下の標準式を使用して計算した:(L×W2)/2。平均腫瘍重量および平均の標準誤差を、各時点において各群について計算した。
未処置対照と比較した、IL−12を含む調製された赤血球系細胞(即ち、IL−12および4−1BBLの組合せまたはIL−12およびIL−15/IL−15RAの組合せのいずれかを提示する赤血球系細胞)の抗腫瘍活性を、腫瘍体積および/または腫瘍重量における経時的な変化を評価することによって決定した。図21Aおよび21Bに示される結果は、IL−12を含む調製された赤血球系細胞が、未処置対照と比較して、腫瘍進行を経時的に顕著に低減させたことを実証している。さらに、IL−12および4−1BBLを含む調製された赤血球系細胞は、MC38マウスモデル系において、3H3と比較して、腫瘍体積の進行を有意に低減させた。
(実施例27)
in vivoでのIL−12を含むマウス赤血球系細胞の毒性の欠如。
黒色腫についてのB16F10転移性マウスモデル系(Kubo et al., 2017;その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる)を使用して、マウスRBC−IL−12+IL−15/IL−15RAおよびRBC−IL−12+4−1BBLの毒性の欠如または忍容性を評価した。肝臓毒性を評価するためのこの実験では、種々のRBC、マウスモデルおよびRBC投薬スケジュールは、実施例25に記載したとおりであった。
実施例25に記載したように、6〜12週齢の雌性C57BL/6マウスに、B16F10黒色腫細胞を静脈内接種して肺における転移を樹立し、次いで、マウスに、以下を投薬した:IL−12およびIL−15/IL−15RAを提示するマウス赤血球系細胞(mRBC IL12+L−15/IL−15RA)(1E9の細胞)、IL−12および4−1BBLを提示するマウス赤血球系細胞(mRBC IL−12+4−1BBL)(1E9の細胞)、IL−12、IL−15/IL−15RAおよび4−1BBLなしのマウス赤血球系細胞(mRBC CTRL)(1E9の細胞)、または対照としての3μgのrIL−12。
動物の重量および状態を毎日記録した。投薬を、1日目、4日目および8日目に実施し、最終屠殺を10日目に実施した。肝臓、脾臓および血清を収集し、血清中のアラニントランスアミナーゼ(ALT)肝臓酵素およびインターフェロンガンマ(IFNg)のレベルを定量化した。
図22に示されるように、好ましい忍容性が、組換えIL12と比較して、IL−12およびIL−15/IL−15RAとまたはIL−12および4−1BBLと共コンジュゲートさせたマウス赤血球系細胞について観察された。脾臓および肝臓の重量ならびにALTおよびIFNgのレベルは、調製されたマウス赤血球系細胞の投与後に、有意には上昇しなかった。対照的に、脾臓および肝臓の重量ならびにALTおよびIFNgのレベルは、rIL−12の投与後に、有意に上昇した。実施例25および26の結果と併せて考えると、データは、IL−12を含むマウス赤血球系細胞が、rIL−12が投与される場合に観察される毒性なしに、固形腫瘍の成長および転移を低減させることにおいて効果的であることを示している。
理論に束縛されることは望まないが、IL−12およびIL−15/IL−15RAの両方またはIL−12および4−1BBLの両方を含む赤血球系細胞の毒性の欠如は、血管中での細胞の隔離、即ち、循環に制限されることに起因すると仮説が立てられる。この制限により、細胞は、肝臓毒性カスケードを開始すると示唆されているプロセスである、骨髄中の骨髄性細胞との相互作用ができなくなる。本明細書に示されるデータは、IL−12を提示する赤血球系細胞が、骨髄由来の単球を刺激せず、従って、これらの細胞がrIL−12を超える顕著な治療的利点を提供することを示唆している。
(実施例28)
単独でまたは抗PD1抗体と組み合わせた、IL−12またはIL−12/IL−15を含む赤血球系細胞は、腫瘍成長をin vivoで阻害する。
黒色腫についてのB16F10腫瘍モデル系を使用して、腫瘍成長に対する、単独でまたはヒトIL−15/IL−15RAと組み合わせてマウスIL−12を含むマウス赤血球系細胞の影響を試験した。このモデルでは、B16F10細胞をマウス中に皮下注射して、約7日間で触知可能な腫瘍を形成させ、抗PD1抗体なしまたは抗PD1抗体と組み合わせた、IL−12、IL−15/IL−15RA、またはIL−12およびIL−15/IL−15RA融合物(IL−12/IL−15/IL−15RA)のいずれかを提示するように調製されたマウス赤血球系細胞で処置した。皮下注射すると、B16F10細胞は、5〜10日で触知可能な腫瘍を形成し、14〜21日で1×1×1cmの腫瘍にまで成長した。
マウス赤血球系細胞を、クリック方法論を使用して、ヒトIL−15/IL−15RA単独とコンジュゲートさせるか、マウスIL−12単独とコンジュゲートさせるか、またはヒトIL−15/IL−15RAおよびマウスIL−12の両方と共コンジュゲートさせた。細胞とコンジュゲートさせたIL−15/IL−15RAおよびIL−12の量を、フローサイトメトリーを使用して定量化した。IL−15/IL−15RA融合タンパク質、マウス4−1BBLタンパク質およびマウスIl−12タンパク質のアミノ酸配列は、本明細書の表10に提供される。
腫瘍がおよそ100mm3の体積に達した時点(およそ7〜10日)で、動物に、抗PD1モノクローナル抗体(αPD−1 mAb)ありもしくはなしで、IL−12単独(mRBC IL−12)、IL−15/IL−15RA融合物単独(mRBC IL−15)、ならびにIL−12およびIL−15/IL−15RAの両方(mRBC IL−12+IL−15/IL−15RA)のいずれかを提示するいずれかの赤血球系細胞;または対照としての、これらのタンパク質なしのいずれかの赤血球系細胞(mRBC CTRL)、4μgの組換えIL−12、5μgの組換えIL−15/IL−15RA融合物、ならびに組換えIL−12および組換えIL−15/IL−15RA融合物の両方を投薬した。投薬を、1日目、4日目および8日目に実施した(示される処置日数は、所望の腫瘍体積が観察された日から開始する)。動物に投薬するために、平均3e8または1e9の赤血球系細胞を、1用量当たり、以下のような細胞1つ当たりの分子の平均数で、マウス1匹当たり1用量ごとに投与した:IL−12およびIL−15/IL−15RAを含む赤血球系細胞については、それぞれ0.3mg/kgおよび0.15mg/kgに相当する70,000個の分子のIL−12および80,000個の分子のIL−15/IL−15−RA;IL−12を含む赤血球系細胞については、0.17mg/kgに相当する35,000個の分子のIL−12;およびIL−15/IL−15RAを含む赤血球系細胞については、0.07mg/kgに相当する40,000個の分子のIL−15/IL−15RA。
動物の重量および状態を毎日記録した。体重における変化を、1日目に記録した体重と比較して、各マウスについて計算した。腫瘍を、各腫瘍を2つの次元で測定することによって、1週間に3回測定した。腫瘍体積を、以下の標準式を使用して計算した:(L×W2)/2。平均腫瘍重量および平均の標準誤差を、各時点において各群について計算した。腫瘍を、11〜12日目に収集し、組織を酵素的に消化して、組織解離器を使用して均一な細胞懸濁物を取得した。次いで、細胞を染色し、免疫プロファイリングのために、様々な異なる抗体を使用するフローサイトメトリーによって解析した。M1細胞(活性化されたマクロファージ)を、CD45+、CD8−、CD11b+、Ly6C低/−かつMHCクラスII+の生細胞集団として定義した。M2細胞を、Ly6C+、MHCクラスII陰性の生細胞集団として定義した。M1細胞は抗腫瘍細胞であり、M2細胞(免疫抑制性)は、腫瘍促進性細胞である。マウス生存もまた、処置後最大で30日間モニタリングした。
未処置対照と比較した、IL−12を含む調製された赤血球系細胞(即ち、IL−12またはIL−12およびIL−15/IL−15RAの組合せを提示する赤血球系細胞)の抗腫瘍活性を、腫瘍体積および/または腫瘍重量における経時的な変化を評価することによって決定した。図23A〜Cに示される結果は、IL−12を含む調製された赤血球系細胞が、未処置対照と比較して、腫瘍進行を経時的に顕著に低減させたことを実証している。IL−12単独またはIL−15と共にIL−12を含む調製された赤血球系細胞は、腫瘍体積の進行を有意に低減させ、これは、a−PD1と組み合わせるとさらに改善された。1e9の細胞による処置は、3e8の細胞による処置よりも、腫瘍阻害についてより有効であることが観察された。さらに、図23D〜Eは、a−PD1と組み合わせた、IL−12単独またはIL−15と共にIL−12を含む調製された赤血球系細胞が、未処置対照と比較して、処置の30日後まで、マウスの改善された生存を示すことを実証している。a−PD1処置の非存在下では、改善された生存が、対照mRBCを受けたマウスと比較して観察された。興味深いことに、IL−15と共にIL−12を含む赤血球系細胞による処置は、3e8の細胞の用量でマウスの生存を有意に改善した。rIL−12およびr−IL−12+rIL−15処置群で観察された体重の劇的な減少とは対照的に、mRBCで処置した群のいずれについても、体重における変化は観察されなかった(データ示さず)。
さらに、図23Fは、IL−12/IL−15+a−PD1で処置した腫瘍群におけるCD8 T細胞の増加した浸潤、およびIL−15/IL−15RA mRBC群におけるNK細胞の増加した浸潤を実証している。IL−12含有群は、M1表現型、即ち、古典的に活性化されたマクロファージの抗腫瘍表現型に向かってマクロファージを極性化することも観察された。rIL−12とは対照的に、IL−12含有群は、高レベルの免疫抑制性IL−10を誘導しなかった(データ示さず)。
(実施例29)
単独でまたは抗PD1抗体と組み合わせた、IL−12を含む赤血球系細胞、またはIL−12/4−1BBLを含む赤血球系細胞、またはIL−12/IL−15/IL−15RAを含む赤血球系細胞は、腫瘍成長をin vivoで阻害する。
結腸癌についてのMC38同系マウスモデル系を使用して、腫瘍成長に対する、単独でまたは抗PD1抗体と組み合わせた、IL−12またはIL−12/4−1BBLを提示するように調製されたマウス赤血球系細胞の影響を試験した。
マウス赤血球系細胞を、クリック方法論を使用して、マウス4−1BBLとコンジュゲートさせるか、IL−12とコンジュゲートさせるか、または4−1BBLおよびIL−12の両方と共コンジュゲートさせた。細胞とコンジュゲートさせた4−1BBLおよびIL−12の量を、フローサイトメトリーを使用して定量化した。IL−15/IL−15RA融合タンパク質、マウス4−1BBLタンパク質およびマウスIl−12タンパク質のアミノ酸配列は、本明細書の表10に提供される。
腫瘍がおよそ100mm3の体積に達した時点(およそ7〜10日)で、動物に、抗PD1モノクローナル抗体(αPD−1 mAb)ありまたはなしの、IL−12単独(mRBC IL−12)、4−1BBL単独(mRBC 4−1BBL)、もしくはIL−12および4−1BBLの両方(mRBC IL−12+4−1BBL)のいずれかを提示する赤血球系細胞;または対照としての、これらのタンパク質なしの赤血球系細胞(mRBC CTRL)、もしくは4μgの組換えIL−12、50μgのアゴニスト41BB抗体(クローン3H3)、もしくは組換えIL−12および41BBアゴニスト抗体(3H3)の両方を投薬した。投薬を、1日目、4日目および8日目に実施した(示される処置日数は、所望の腫瘍体積が観察された日から開始する)。動物に投薬するために、平均3e8または1e9の赤血球系細胞を、1用量当たり、以下のような細胞1つ当たりの分子の平均数で、マウス1匹当たり1用量ごとに投与した:IL−12および4−1BBLを含む赤血球系細胞については、それぞれ0.5mg/kgおよび0.3mg/kgに相当する100,000個の分子のIL−12および180,000個の分子の4−1BBL;IL−12を含む赤血球系細胞については、0.3mg/kgに相当する70,000個の分子のIL−12;および4−1BBLを含む赤血球系細胞については、0.13mg/kgに相当する70,000個の分子の4−1BBL。
動物の重量および状態を毎日記録した。体重における変化を、1日目に記録した体重と比較して、各マウスについて計算した。腫瘍を、各腫瘍を2つの次元で測定することによって、1週間に3回測定した。腫瘍体積を、以下の標準式を使用して計算した:(L×W2)/2。平均腫瘍重量および平均の標準誤差を、各時点において各群について計算した。腫瘍を、11〜12日目に収集し、組織を酵素的に消化して、組織解離器を使用して均一な細胞懸濁物を取得した。次いで、細胞を染色し、様々な異なる抗体を使用するフローサイトメトリーによって解析して、免疫プロファイリングを見た。M1およびM2細胞を、上記実施例28に記載した通りに定義した。腫瘍退縮を、開始時点の腫瘍サイズと比較した、腫瘍サイズにおけるパーセント変化を計算することによって決定した。
未処置対照と比較した、IL−12を含む調製された赤血球系細胞(即ち、IL−12単独またはIL−12および4−1BBLの組合せを提示する赤血球系細胞)の抗腫瘍活性を、腫瘍体積および/または腫瘍重量における経時的な変化を評価することによって決定した。図24A〜Dに示される結果は、IL−12を含む赤血球系細胞が、未処置対照と比較して、腫瘍進行を経時的に顕著に低減させたことを実証している。さらに、IL−12および4−1BBLを含む調製された赤血球系細胞は、腫瘍体積の進行を有意に低減させた。図24Dは、IL−12単独またはIL−12および4−1BBLの両方を含む赤血球系細胞で処置したマウスが、未処置対照と比較して、腫瘍の縮小を示したことをさらに実証している。腫瘍サイズにおける低減は、マウスをαPD−1 mAbでも処置した場合には激化した。全体として、IL−12および4−1BBLの両方を含む調製された赤血球系細胞は、この結腸がんマウスモデルにおいて腫瘍を効果的に阻害し、これは、αPD−1 mAbと組み合わせて投与した場合にさらに激化した。
さらに、図25Aの結果は、腫瘍中への異なる免疫細胞の浸潤を実証している。CD4+T細胞の浸潤は、mRBC−IL12およびαPD−1 mAb、またはIL12および4−1BBL a−PD1で処置したマウスの腫瘍において観察された。CD8+細胞の浸潤は、IL−12群(即ち、IL−12、またはIL−12/4−1BBL、またはIL−12/IL−15/IL−15RA)の全てで処置したマウスの腫瘍において観察され、増加した浸潤が、mRBC IL−12+4−1BBLおよびαPD−1 mAbにおいて観察された。古典的に活性化されたマクロファージ(M1表現型)への極性化は、mRBC IL−12+4−1BBLで処置したマウスおよびmRBC−IL−12で処置したマウスにおいて観察された。特に、αPD−1 mAbの投与は、このM1極性化を抑制した。図25Bは、CD4+T細胞よりもCD8+T細胞へ向かうシフト、およびIL−12で処置したマウス群の全てにおける、エフェクターCD8+T細胞を超える調節性T細胞の喪失をさらに実証している。mRBCで処置したマウスの生存は、処置の20日後まで、腫瘍阻害の有効性と直接相関することが観察された(データ示さず)。
この実施例で上記した方法を使用するさらなる実験を実施して、in vivoの腫瘍成長に対する、単独でまたは抗PD1抗体と組み合わせた、IL−12単独またはIL−12およびIL−15/IL−15RAの両方を含む赤血球系細胞の影響を決定した。これらの結果は、IL−12を含む赤血球系細胞の投与が、コンジュゲートしたタンパク質を欠如する対照赤血球系細胞(即ち、mRBC CTRL)の投与と比較して、腫瘍進行を経時的に顕著に低減させたことを実証した。さらに、IL−12およびIL−15/IL−15RAを含む調製された赤血球系細胞は、腫瘍体積の進行を有意に低減させた。これらの結果は、IL−12単独またはIL−12およびIL−15/IL−15RAを含む調製された赤血球系細胞が、未処置対照と比較して、腫瘍縮小を示し、この効果が、マウスを抗PD1抗体で処置した場合にさらに増加したことをさらに実証した。全体として、IL−12およびIL−15/IL−15RAを含む調製された赤血球系細胞は、有効な腫瘍阻害を示し、これは、αPD−1 mAbと組み合わせて投与された場合にさらに改善された(データ示さず)。
(実施例30)
in vivoでのIL−12+IL−15/IL−15RAまたはIL−12+4−1BBLを含むマウス赤血球系細胞の毒性の欠如。
毒性のマウスモデルを使用して、IL−12およびIL−15/IL−15RA(mRBC−IL−12+IL−15/IL−15RA)、またはIL12および3−1BBL(mRBC−IL−12+4−1BBL)とコンジュゲートさせたマウス赤血球系細胞の毒性の欠如または忍容性を評価した。毒性を評価するためのこの実験では、種々のmRBCおよびmRBC投薬スケジュールは、実施例20に記載した通りであった。毒性の評価を、概して実施例20に記載したように実施した。
一般に、実施例20に記載したように、6〜12週齢の雌性C57BL/6マウスに、以下を投薬した:IL−12およびIL−15/IL−15RAを提示するマウス赤血球系細胞(mRBC IL12+L−15/IL−15RA)(1E9、3e8および1e8の細胞)、IL−12および4−1BBLを提示するマウス赤血球系細胞(mRBC IL−12+4−1BBL)(1E9、3e8および1e8の細胞);または対照としての、IL−12もIL−15/IL−15RAも4−1BBLもなしのマウス赤血球系細胞(mRBC CTRL)(1E9、3e8および1e8の細胞)、組換えIL−12(rIL−12)、組換えIL−15(rIL−15)、アゴニスト4−1BB抗体(3H3)、もしくはrIL−12および3H3の組合せ。
動物の重量および状態を毎日記録した。投薬を、1日目、4日目、8日目および11日目に実施し、最終屠殺を18日目に実施した。肝臓、脾臓、血液および血清を収集した。血清中のアラニントランスアミナーゼ(ALT)肝臓酵素のレベルを定量化した。血清中のサイトカインインターフェロンガンマ(IFNg)、TNFa、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10およびIL−13のレベルを、サイトカインビーズアッセイ(CBA)を使用して定量化した。ビーズを、分析物特異的抗体(IFNg、TNFa、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10およびIL−13を含む)とコンジュゲートさせ、血清と共にインキュベートした。検出抗体を添加し、蛍光を、フローサイトメトリーによって定量化および解析した。全血球計数もまた実施した。
図26A〜26Cに示されるように、好ましい忍容性が、対照と比較して、IL−12およびIL−15/IL−15RA、またはIL−12および4−1BBLと共コンジュゲートさせたマウス赤血球系細胞について観察された。試験したmRBC組合せのいずれにおいても、体重、脾臓重量または肝臓重量における変化は観察されなかった。しかし、体重減少が、rIL−12を受けた全ての群において観察された。同様に、脾臓および肝臓の重量における劇的な増加が、rIL−12処置群において観察された。図26Dは、rIL−12処置したマウスが、低レベルのヘモグロビンを伴う貧血、リンパ球減少症、好中球減少症、および好酸球の喪失によって特徴付けられる白血球(WBC)数の喪失を示したことを実証している。対照的に、mRBC処置を受けた群では、細胞計数における主要な変化は観察されなかった。さらに、rIL−12処置マウスは、IL−12を含むmRBCを投与したマウスと比較して、低レベルのリンパ球および赤血球、ならびに高レベルのALT(14日目および18日目に検出された)を示した(データ示さず)。
さらに、図27A中の結果は、IL−12およびIL−15/IL−15RAの両方またはIL−12および4−1BBLの両方と共コンジュゲートさせたmRBCを受けたマウスが、3日目および10日目に、血清中のIFNgレベルを増加させ、これが、各投薬の2日後に迅速に減少したことを実証している。従って、mRBC処置は、制御されたIFNg応答を誘導し、これは、処置後に撤回することが可能である。対照的に、rIL−12で処置したマウスは、早くも3日目に、劇的により高いALTおよびIFNgレベルを示し、これは、研究の全体を通じて低下しなかった。類似のレベルのALTおよびIFNgが、18日目に観察された(データ示さず)。図27Bに示されるように、IFNgレベルとは対照的に、TNFaレベルは、各用量で上昇し続けた。しかし、mRBCで処置したマウスは、rIL−12で処置したマウスと比較して、TNFaレベルのより低い増加を有した。さらに、mRBCで処置したマウスでは、IL−10産生に対する主要な影響は観察されなかったが、IL−10は、rIL−12で処置した動物の血清中で検出された(データ示さず)。
さらなる実験を実施して、IL12単独とコンジュゲートさせたマウス赤血球系細胞の毒性の欠如を試験し確認した。図26E〜Fに示されるように、類似の好ましい忍容性が、rIL−12と比較して、IL−12とコンジュゲートさせたマウス赤血球系細胞で処置したマウスにおいて観察された。IL−12とコンジュゲートさせた赤血球系細胞で処置したマウスのいずれにおいても、体重、脾臓重量または肝臓重量における変化は観察されなかった。しかし、体重減少が、rIL−12を受けたマウスの全ての群において観察された。同様に、脾臓および肝臓の重量における劇的な増加が、rIL−12で処置したマウスにおいて観察された。図26Fは、rIL−12処置マウスが、IL−12とコンジュゲートさせたマウス赤血球系細胞で処置したマウスと比較して、低レベルのヘモグロビンを伴う貧血、WBC数の喪失、低レベルのリンパ球および赤血球、高レベルのALT(14日目および18日目に検出された)ならびに高レベルのIFNg(10日目に検出された)を示したことをさらに実証している。
これらの結果は、単独でまたはIL−15/IL−15RAもしくは4−1BBLと組み合わせてIL−12を含むマウス赤血球系細胞が、rIL−12、rIL−15または3H3の投与と関連する毒性なしに、固形腫瘍の成長および転移を低減させることにおいて効果的であることを実証している。
(実施例31)
IL−12、IL−15/IL−15RA、4−1BBL、またはそれらの組合せを遺伝的に含む遺伝子操作された除核赤血球系細胞は、NK細胞の細胞傷害性を誘導する。
IL−12単独、IL−15/IL−15RA単独(V4.1)、4−1BBL単独、またはIL−12およびIL−15/IL−15RA(V4.1)の組合せ、IL−12および4−1BBLの組合せ、もしくはIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLの組合せを含むヒト除核赤血球系細胞によるヒトNK細胞の短期(一晩)プライミングを、実施例17に以前に記載したように実施した。簡潔に述べると、凍結されたNKドナー細胞を、5:1の比(100,000個のNK細胞+500,000個のRBC細胞、40,000個のNK細胞+200,000個のRBC細胞)で、除核赤血球系細胞(RBC)と共に一晩インキュベートした。次の日、20,000個のCTFR標識したK562標的細胞を、5:1および2:1のE:T比で、NK細胞およびRBC細胞と4時間接触させた。染色を、GPA PE、CD56 PE−Cy7、固定可能な生存性色素(fixable viability dye)(AmCyan)、CellTrace Far Red(標的)を用いて実施し、試料を、フローサイトメトリーを使用して解析した。さらなる表現型決定を、2:1のE:T比でGzmB、PacBlueおよびCD69 BV605を使用して実施した。
抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)アッセイを、実施例18に記載したように実施した。簡潔に述べると、100,000個または40,000個のNK細胞を、5:1および2:1のE:T比で、Raji標的細胞と接触させた。Raji細胞をCTFR標識し、抗CD20またはアイソタイプ抗体のいずれかで事前処理し、4時間インキュベートした。次いで、細胞を、CD16についてさらに染色した。
図28Aに示される結果は、IL−12単独、IL−15/IL−15RA単独、またはIL−12およびIL−15/IL−15RAの組合せ、IL−12および4−1BBLの組合せもしくはIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLの組合せを含むヒト除核赤血球系細胞で一晩プライミングしたNK細胞が、5:1のNK:標的比において、rhIL−15でプライミングしたNK細胞(少なくとも90%の死滅)と匹敵する、K562標的細胞に対する増強された細胞傷害性(およそ80%〜90%の死滅)を示したことを実証している。従って、これらの分子を含む除核赤血球系細胞は、細胞1つ当たり基準でのNK細胞の細胞傷害性を増強した、即ち、NK細胞がより増大されただけでなく、得られた個々のNK細胞集団はより活性(例えば、より細胞傷害性)であった。
図28Bに示されるように、IL−15/IL−15RA単独を含むまたはIL−12およびIL−15/IL−15RAの両方もしくはIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLの両方を含む除核赤血球系細胞で一晩プライミングしたNK細胞は、IL−12単独、4−1BBL単独またはタンパク質なし(対照)を含む除核赤血球系細胞で一晩プライミングしたNK細胞と比較して、Raji細胞に対する増加した細胞傷害性を実証した。細胞傷害性は、5:1のE:T比において最も顕著であり、IL−12およびIL−15/IL−15RAの組合せまたはIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLの組合せを含む除核赤血球系細胞は、4−1BBL単独またはIL−12単独のいずれかを含む細胞と比較して、増強された細胞傷害性を示さなかった。従って、ADCCの増強は、IL−15/IL−15RAによって駆動されるようである。従って、これらの結果は、IL−15/IL−15RA単独またはIL−12およびIL−15/IL−15RAの両方もしくはIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLの両方を含む除核赤血球系細胞が、Raji細胞標的の細胞1つ当たり基準での、NK細胞のADCC活性を増強したことを実証している。
(実施例32)
抗CD3抗体刺激ありまたはなしの、IL−12、IL−15/IL−15RA、4−1BBLまたはそれらの組合せを含む操作されたヒト赤血球系細胞は、CD4+およびCD8+T細胞、NKならびにNKT細胞のIFNg応答ならびに増殖を誘導する。
初代CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞およびNKT細胞の増殖および活性化に対する、IL−12単独、IL−15/IL−15RA(V4.1)単独、4−1BBL単独、またはIL−12およびIL−15/IL−15RA(V4.1)の両方、IL−12および4−1BBLの両方もしくはIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLの両方を含むヒト除核赤血球系細胞の影響を、抗CD3抗体刺激ありまたはなしで評価した。簡潔に述べると、3人のドナー由来の100,000個のPBMCを、CTFRで標識し、IL−12単独、IL−15/IL−15RA単独、4−1BBL単独、またはIL−12およびIL−15/IL−15RAの組合せ、IL−12および4−1BBLの組合せもしくはIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLの組合せを含むいずれかの除核赤血球系細胞と共にインキュベートした;あるいは対照として、PBMCを、外因性タンパク質を欠如する除核赤血球系細胞(UNT)と共にインキュベートし、または培地と接触させた(培地)。400,000個、200,000個または100,000個のいずれかの除核赤血球系細胞を使用した。5日目または8日目に、活発に分裂しているCD8+T細胞、CD4+T細胞、NK細胞およびNKT細胞のパーセンテージを、CTFR希釈を使用して評価した。上清を収集し、IFNγの量を、ELISAを使用して評価した。実験を、5日目のアッセイとしては抗CD3処置と組み合わせた0.5ug/mLで、または8日目のアッセイとしては抗CD3抗体処置なしで実施した。
図29Aに示されるように、抗CD3抗体刺激と組み合わせた、IL−12を含む除核赤血球系細胞による処置は、PBMCによる有意な量のIFNg産生を誘導したが、抗CD3抗体刺激と組み合わせた、IL−12および4−1BBLの両方を含む除核赤血球系細胞による処置は、PBMCによる最も高いレベルのIFNg産生を誘導した。抗CD3抗体刺激の非存在下では、IL−12を含む除核赤血球系細胞のみが、PBMCによるIFNg産生を誘導した(図29Bを参照のこと)。さらに、抗CD3抗体で刺激したPBMCでは、41BBL単独、IL−12および4−1BBLの両方またはIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLの両方のいずれかを含む除核赤血球系細胞による処置は、CD4+T細胞の増殖を誘導した(図29Cを参照のこと)。従って、CD4+T細胞増殖は、4−1BBLによって駆動されるようである。
図29Dは、抗CD3抗体と、IL−12およびIL−15/IL−15RA、IL−12および4−1BBL、またはIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLのいずれかを含む除核赤血球系細胞との組合せで処置したPBMCが、中程度に増強されたCD8+T細胞増殖(細胞計数におけるおよそ5倍の増加)を示したことを示している。このCD8+T細胞の倍の変化は、他の除核赤血球系細胞で処置したPBMCよりも、IL−12およびIL−15/IL−15RAを含む除核赤血球系細胞で処置したPBMCにおいてより可変性であった。さらに、抗CD3抗体と、IL−12および4−1BBLまたはIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLのいずれかを含む除核赤血球系細胞との組合せで処置したPBMCは、有意なNKT細胞増殖を示したが、これも4−1BBLによって駆動される可能性が高い(図29Eを参照のこと)。IL−12およびIL−15/IL−15RAを含む除核赤血球系細胞によるPBMCの処置は、中程度のNKT細胞増殖を誘導したが、これは、IL−12単独を含む除核赤血球系細胞でPBMCを処置した場合に観察されたNKT細胞増殖を上回らなかった。
図29Fに示されるように、抗CD3抗体で刺激しなかったPBMCでは、IL−12およびIL−15/IL−15RAの両方を含む除核赤血球系細胞のみが、限定的なCD4+T細胞増殖を誘導した。さらに、図29Gに示されるように、これもまた抗CD3抗体で刺激しなかったPBMCでは、IL−12およびIL−15/IL−15RA、IL−12および4−1BBL、またはIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLを含む除核赤血球系細胞は、CD8+T細胞増殖を中程度に増強した(およそ10〜20%の分裂)。IL−12およびIL−15/IL−15RAの両方を含む除核赤血球系細胞によるPBMCの処置は、NK細胞の分裂を増強したが(およそ50〜60%)、細胞計数は増加させず、これは、NK細胞の適度な増殖のみを示している(図29Hを参照のこと)。しかし、IL−12および4−1BBLまたはIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLのいずれかを含む除核赤血球系細胞によるPBMCの処置は、大規模なNK細胞増殖を誘導した。最後に、抗CD3抗体で刺激しなかったPBMCでは、IL−12およびIL−15/IL−15RA、IL−12および4−1BBL、またはIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLを含む除核赤血球系細胞は、NKT細胞に対する中程度の増殖効果を誘導した。
併せて考えると、この実施例で示された結果は、IL−12およびIL−15/IL−15RA、IL−12および4−1BBL、またはIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLのいずれかを含む除核赤血球系細胞が、初代CD4+T細胞、CD8+T細胞、NK細胞およびNKT細胞の強力な活性化を誘導したことを実証した。CD4+T細胞、CD8+T細胞およびNKT細胞の活性化は、PBMCを抗CD3抗体で刺激した場合には、さらに増強された。
さらなる実験において、ヒトナイーブCD4+T細胞を、製造業者のプロトコールに従ってMiltenyiマイクロビーズを使用する陰性選択を使用して、PBMCから単離した。精製されたナイーブCD4+T細胞を、IL−12単独、IL−15/IL−15RA単独、4−1BBL単独、またはIL−12およびIL−15/IL−15RAの両方、IL−12および4−1BBLの両方もしくはIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLの両方のいずれかを含む除核赤血球系細胞と共にインキュベートした;あるいは、対照として、CD4+T細胞を、(UNT)と接触させ、または培地と接触させた(培地)。CD4+T細胞を、抗CD3抗体および抗CD28抗体でも刺激し、接触を、1:5の比(CD4+T細胞:操作された赤血球系細胞)で5日間実施した。培地上清中のIFNgレベルを、ELISAを使用して解析した。図29J中に3人の異なるPBMCドナーからの平均として示されるデータは、IL−12単独、IL−15/IL−15RA単独、4−1BBL単独、またはIL−12およびIL−15/IL−15RAの両方、IL−12および4−1BBLの両方もしくはIL−15/IL−15RAおよび4−1BBLの両方を含む除核赤血球系細胞が、ヒトナイーブCD4+T細胞のTh1分化を誘導できたことを実証している。