JP2021505773A - アルミニウム合金からなる形材、圧延されたストリップおよび薄板のためのピックリング方法 - Google Patents

アルミニウム合金からなる形材、圧延されたストリップおよび薄板のためのピックリング方法 Download PDF

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Abstract

機械加工されていないアルミニウム合金製品を洗浄するための方法であって、それらアルミニウム合金製品のアルカリ脱脂と、アルカリピックリング後の酸性溶液による処理と、を含む方法において、前記アルミニウム合金製品は、(a)アルカリ脱脂の前の酸による前洗浄または(b)アルカリ脱脂と、それに続く酸すすぎと、新たにアルカリ処理と、その後の追加の酸すすぎと、を受け、アルミニウム合金製品は、圧延アルミニウム合金ストリップ、圧延アルミニウム薄板およびアルミニウム合金形材であり得る。【選択図】なし

Description

本発明は、均一な表面外観および優れた耐食性を作り出すことを目的とするアルミニウム合金製品のための洗浄方法と、本発明による方法を用いて製造されたアルミニウム合金製品と、に関する。
詳しくは、アルミニウム合金インゴットからのアルミニウム合金ストリップの製造に含まれる圧延ステップにおいて、圧延油または圧延エマルションが用いられる。圧延油または圧延エマルションは、関与する圧延ステップに起因して他の粒子と共にアルミニウム合金ストリップの表面に取り込まれる。アルミニウム合金ストリップを特定の微細構造状態にするために、または要望通りに所望の機械的特性を実現するために、圧延後または個々の圧延パス間で、熱処理プロセス、好ましくは焼鈍、例えば中間焼鈍または仕上げ焼鈍も行うことができる。アルミニウム合金ストリップの焼鈍は、ストリップの表面に近い区域における亜鉛、ケイ素、銅またはマグネシウムなどの合金化成分、特に酸化マグネシウム、の蓄積を招く。表面におけるこの蓄積は、それがストリップの熱処理に起因するのかまたは圧延プロセスに起因するのかまたは一般に合金組成に起因するのかに関係なくその結果として、アルミニウム合金ストリップはより暗い表面を有する。従って、脱脂後でも、アルミニウム合金ストリップは、暗い表面外観を有し続ける。
従って、アルミニウム合金ストリップの表面における不純物は、塵埃、金属摩耗物および油もしくは油分解生成物を含む。さらに、アルミニウム合金ストリップの表面における酸化物層は、欠陥部位を有し得る。高温におけるアルミニウム材料の変形は、表面の近くに不規則な微結晶構造部分を形成することによって、表面特性を変化させることは公知の事実である(非特許文献1)。
これらの不純物を除去するため、かつ表面品質を向上させるために、アルミニウム合金ストリップは、酸ピックリングプロセスを受けることができる。アルミニウム合金ストリップが最初にアルカリピックリングまたは弱アルカリ脱脂、続くステップで酸すすぎまたは酸ピックリングを受ける場合、特に良好な結果が得られる。そのような方法が、特許文献1に記載され、すべての可能な用途、特に自動車産業における用途に向けたアルミニウム薄板の製造のために大規模に用いられている。酸ピックリングだけの場合、アルカリピックリングだけの場合より少ない量の不純物が表面から除去される。
アルミニウム合金ストリップの表面構造は、アルカリピックリングによって洗浄される。しかし、アルカリ性溶液に溶けない酸化物層の成分、例えば酸化マグネシウムは、ストリップの表面にとどまり続ける。これらの成分は、特に、ストリップの表面における突起形の酸化マグネシウム構造物が除去される酸すすぎプロセス(デキャピテーション)によって除去される。
現在では、アルミニウム合金ストリップの両面の縁部区域において灰色から灰色がかった茶色のむらが発生することがあることが示されている。この現象は、焼鈍欠陥である可能性がある。この種類の焼鈍欠陥は、後続の湿式化学処理のための表面への作用しやすさに悪影響を及ぼすことがある。従って、多くの場合に正確にこの領域においてそのような欠陥が発生する。
この焼鈍欠陥は、コイルの焼鈍時に、コイルの縁部領域からの空気中酸素がコイル状ストリップの隙間に侵入し、他方で、圧延油、圧延油成分またはその分解生成物がアルミニウム表面から蒸発し、ストリップの縁部領域において空気中の酸素と接触する可能性があり、そこで次に化学反応または物理反応が起こり、アルミニウム合金ストリップ中の灰色から灰色がかった茶色のむらをもたらす可能性があるという事実によって生じる可能性がある。
これらの不均一部分が、例えば、マグネシウム(酸化物)、または亜鉛、ケイ素もしくは銅などの他の合金化成分の種々の量および/または変態を含み、これらが、熱処理プロセス時に表面に移動し、そこで、コイル面に侵入し、巻いたコイルの層の間に局所的に存在する様々な酸素供給に起因して、酸化物層の異なる面内構造体をもたらすことも考えられる。本発明によれば、表面という用語は、アルミニウム合金製品の表面からその内部に向かって(Z−軸)好ましくは0.5μm未満、特に好ましくは0.2μm未満、の厚さを有する層も指す。特に、高いマグネシウム含量を有するアルミニウム合金から作られたアルミニウム合金ストリップの場合に、アルカリ脱脂およびそれに続く酸性すすぎにもかかわらずそのような不均一部分が表面に存在することがある。この欠陥または不均一性が、強アルカリピックリング溶液によって初めて見えるようになることは、かなり考えられることである。それでも、強いピックリング溶液は、表面洗浄の改善の助けとなるため、有用である。
特許文献2は、通常、プロセス中でずっと後になって不良品をもたらす特定のタイプの欠陥、すなわちソフトスポット形成としても知られているものを、早くもアルカリピックリングプロセスまたはアルカリピックリング後に(弱)酸性すすぎを用いて検出することができる方法を記載している。こういう理由で、上記のピックリングプロセス後に目視検査を行い、それによってソフトスポットを検出することができ、従って、構成材は、プロセス中の早期段階で不良品と判定される。従って、そのような不良品は、それ以降は加工されない。早期段階で不良品を特定するとコストが低下する。構成材は、好ましくは、目視検査のために乾燥される。湿式化学処理浴の結果として生じる中断に起因して、目視検査後にピックリングプロセスを最初から繰り返さなければならない。ソフトスポット化(独:Weichfleckigkeit,英:soft-spotting)とも呼ばれる、ソフトスポットの形成は、アルカリピックリング時に銅のセメンテーション(独:Auszementieren,英:cementation)によって作り出される、緻密な黒色の層の中の薄茶色がかったスポットとして目視し得る現象である。これは、焼鈍欠陥とみなされない。そうではなく、特許文献2は、ソフトスポット化が、機械加工時に局所的な過熱によって引き起こされることを示している。従って、この文献において参照される構成材は、常に、前記構成材のピックリングの前に機械加工され、いずれの場合にもピックリング後に陽極酸化処理が意図される。さらに、この文献によれば、アルカリピックリングは、常にアルカリ洗浄後に行われる。本書において、そもそも処理された構成材が焼鈍されたことを示すものもない。
特許文献3は、付着汚れのある金属表面を洗浄または艶出しするための方法を記載している。この方法において、洗浄される物体は、最初に、酸と選択された界面活性剤との希釈された水溶液中に浸漬される。その後で、それは、錯化剤を有するアルカリ水溶液で処理され、任意選択として、最終ステップにおいて不動態化もされる。アルカリ性溶液による処理の後、酸ピックリング溶液または浸漬溶液を用いるそれ以上の処理は行われなかった。
国際公開第2013/113598(A1)号 国際公開第2014/023283(A1)号 独国特許第10 2005 050 556(B3)号
「ウェア(Wear)」、第206巻、1997年、168頁
従って、本発明の目的は、この灰色から灰色がかった茶色の縁部または欠陥部位を有しないアルミニウム合金製品(ワークピース)を得るための方法を提供することである。この欠陥は、比較的高めのマグネシウムの含量を有するアルミニウム合金ストリップおよび他のアルミニウム合金製品において、あるいは熱プロセス(例えば焼鈍)が表面において高くなったマグネシウムの濃度をもたらすアルミニウム合金ストリップおよび他のアルミニウム合金製品において、明瞭に目視可能である。それでも、本プロセスは、他のアルミニウム合金が関与する用途においても利点を提示する。
現在、アルミニウム合金製品をいくつかのpH値の飛躍に順次さらすことによって上記の不均一部分を除去することができることが証明されている。その結果として、本発明の目的は、アルミニウム合金製品が、酸によって前洗浄され、続いてアルカリ性溶液で脱脂され、その後に、酸ですすがれる、機械加工されていないアルミニウム合金製品を洗浄するための方法によって実現される。あるいは、アルミニウム合金製品を、酸洗浄する前にアルカリ溶液で処理してもよい(4段階プロセス)。
本発明による方法全体において、アルミニウム合金製品は、処理液で濡れている。この場合、処理液とは、すすぎ浴が関与する任意選択のステップにおいて用いられるすすぎ液も指す。
本発明の目的は、前に記載した本発明による表面洗浄または表面改質を受けたコイルから、圧延された、ストリップ状のアルミニウム合金製品がほどかれ、次に、任意選択として、不動態化され、再び巻かれてコイルにされる、アルミニウム合金製品を提供するための方法も含む。
本発明の目的は、形材を形成するためにアルミニウム押し出し合金が押し出され、前に記載した本発明による表面洗浄または表面改質プロセスに付され、続いて、任意選択として、表面において不動態化され、必要な場合、さらなる整形に付され、任意選択として粉体被覆される、アルミニウム合金製品を提供するための方法も含む。
最後に、本発明の目的は、本発明による方法によって得られ、ピックリングによる不純物の除去にもかかわらず、記載した表面不均一部分を示さない、アルミニウム合金製品である。
本発明によるこれらの、少なくとも3つの、ピックリングステップのならびは、新規であり、驚くべきことに、より良好な特性をもたらす。本発明による方法は、向上した表面外観を有し、向上した腐食試験結果を有するアルミニウム合金ストリップおよびアルミニウム合金薄板を提供する。また、本方法は、ストリップの品質に影響を及ぼさないでアルカリ脱脂プロセスに必要な処理時間を短縮することができるため、金属ストリップの表面処理のより速い速度を容易にする。
特許文献1によるアルカリ脱脂および酸すすぎ後の、前に記載した焼鈍欠陥を有するアルミニウム合金ストリップコイルの写真である。 初期酸洗浄とそれに続くアルカリ脱脂および後続の酸すすぎを含む3段階処理プロセスの実施による焼鈍欠陥の完全な除去の後の、同じバッチのアルミニウム合金ストリップコイルの写真である。 本発明によって得られた金属薄板および同じアルミニウム合金ストリップから製作された比較金属薄板における腐食試験の結果を示す。 焼鈍後および本発明による3段階ピックリング方法後のアルミニウム合金ストリップ(AA 5182)の表面におけるマグネシウムの質量分率の曲線を描く。マグネシウム含量は、グロー放電光学発光分光法によって測定された。上の曲線は、焼鈍後の測定結果を示し、下の曲線は、本発明による3段階方法後の測定結果を示す。 ストリップ状アルミニウム合金製品の幅の2分の1にわたる、2つのアルミニウム合金ストリップの最初の0から500nmの組成を示す。 ストリップ状アルミニウム合金製品の幅の2分の1にわたる、2つのアルミニウム合金ストリップの0から500nmの表面組成の、さらに別の合金化成分の含量を示す。 ストリップ状アルミニウム合金製品の幅全体にわたる、2つのアルミニウム合金ストリップの最初の0から500nmの組成を示す。 アルカリ処理時間に対する本発明によるアルミニウム合金ストリップにおける表面累積物の効率的な除去を示す。 標準的なピックリング手順によるおよび、本発明に記載されるピックリング方法によるピックリングを受けたストリップにおける耐候試験後の接着強度の低下を耐候試験に付されなかった対照群と比較して示す。
本発明の文脈において、アルミニウム合金製品という用語は、アルミニウム合金ストリップ、アルミニウム合金薄板およびアルミニウム合金形材を指す。アルミニウム合金ストリップは、インゴットを圧延するか、ストリップを鋳造することによって製造することができる。アルミニウム合金形材は、押し出しによって製造される。以下の本発明の記載において、アルミニウム合金ストリップという用語は、これらのアルミニウム合金製品のすべてを表すために用いられる。
本発明による方法は、アルミニウム合金ストリップのためのピックリングと表面洗浄との最適化されたプロセスを含む。本方法は、強力なピックリングプロセスを受けることを意図される、焼鈍されたアルミニウム合金製品にとって特に有利である。本発明による方法において、マグネシウム/酸化マグネシウムまたは他の酸可溶性合金元素の濃度を有するアルミニウム合金ストリップの表面層は、酸による前洗浄段階において除去される。アルカリピックリング溶液は、表面に近い酸化アルミニウム母材を除去し、アルミニウムおよびアルカリ可溶性合金元素および金属間相も除去する。後続の酸すすぎは、アルカリピックリング段階後にまだ存在する表面に近い合金元素および金属間相を除去する。
本発明による方法は、表面特性を向上させることに貢献し、時間および資源を節約する助けともなる。ストリップの外観は、向上する。本発明によるピックリングプロセス後にアルミニウム合金ストリップの不規則な面内退色は、もはや存在しない。アルミニウム合金ストリップの表面全体は、均一な外観を提示する。この均一な外観の結果として、アルミニウム合金ストリップの表面のあらゆる箇所がその後のプロセスに向けて一様に調製されていると結論することができる。異なる表面の特性を示す局所的な差異は、本発明による方法によって眼に見えて除去され、従って、ストリップの幅および長さにわたって一定の結果が実現される。
本発明による方法は、糸状腐食試験において向上した耐食性も実現する。驚くべきことに、アルミニウム合金薄板のリン酸塩処理特性およびその接着強度が向上する。さらに、本発明によるピックリングプロセスを受けたアルミニウム合金ストリップの耐候性試験後の接着強度の低下は、標準的なピックリングプロセスを受けたストリップのものより著しく少ない。
本発明によるピックリングプロセスを受けたストリップまたはワークピースは、耐候性試験後、より大きな接着強度を示すため、本発明によるピックリング方法は、灰色がかった茶色の欠陥を有しないアルミニウム合金ストリップまたはアルミニウム合金ワークピースにとっても利点を提示する。
化学反応として、ピックリングプロセスの成功は、常に反応物の濃度、温度および接触時間に依存する。より効果的なアルカリピックリングステップのおかげで実現される驚くほどより良好な結果は、ここで、いくつかの理由で商業的な利点、生態学的な利点または品質的な利点を提示する。処理温度を低くすることができ、脱脂溶液中の濃度を低くすることができ、処理時間を短くすることができ(より速いプラント速度)、または同じ時間内でより大きな量の不純物を除去することができ、より清浄な表面を生み出すことができる。
本発明による方法の原料は、例えば、アルミニウムインゴットの熱間圧延および冷間圧延あるいは連続鋳造および冷間圧延のどちらかによって製造されるアルミニウム合金ストリップである。アルミニウム合金ストリップは、焼鈍されたものであり得る。用いられるアルミニウム合金は、アルミニウム協会(The Aluminum Association)の国際合金指定(International Alloy Designations)によるクラスAA 5xxx、例えばAA 5005、AA 5083、特に好ましくは、AA 5182、AA 5754、AA 5454、AA 5251およびAA 5018、またはタイプAA 1xxx、例えば、AA 1050、AA 1110およびAA 1200、またはタイプAA 3xxx、例えばAA 3003、AA 3004、AA 3005、AA 3103、AA 3104およびAA 3105、またはタイプAA 6xxx、例えばAA 6016、AA 6014、AA 6005C、AA 6060、AA 6070およびAA 6451、またはタイプAA 7xxxおよびタイプAA 8xxx、例えばAA 8006、AA 8011およびAA 8079であり得る。本発明による方法は、高いマグネシウム含量を有するアルミニウム合金のストリップにとって特に有利である。そのようなアルミニウム合金の組成は、クラスAA 5xxxに記載されている。
さらに、本発明による方法は、製造時に焼鈍、好ましくは中間焼鈍を受けた、および/または、状態を調節するために軟化焼鈍または再焼鈍または溶液焼鈍された、あらゆるアルミニウム合金にとって特に有利である。熱処理時に、合金元素は、表面に拡散し、そこで累積する。個々の合金元素の拡散速度は、異なり得る。例えば、亜鉛、マグネシウム、ケイ素および銅は、最も速い拡散速度を有する。従って、熱処理後、アルミニウム表面のすぐ上の濃度は、この合金についての濃度の何倍かのことがある。このことは、チャンバー炉中のコイルと保持炉中の焼鈍の場合との両方においてアルミニウムストリップの焼鈍にあてはまる。
従って、本発明による方法は、上記のように、例えば、マグネシウム(酸化物)または亜鉛、ケイ素もしくは銅などの他の合金化成分の種々の含量および/または変態に起因して、アルミニウムストリップの表面に不均一部分が発生することがある、コイル焼鈍されたアルミニウムストリップにとって、特に有利である。コイルでの熱処理時に、上記合金化成分は、表面に移動し、コイル面に侵入し、巻いたコイルの層の間に局所的に存在する異なる酸素供給に起因して、酸化物層の異なる面内構造物をもたらすことがある。この状況における唯一の重要な要因は、アルミニウムストリップが、製造時にコイルでの熱処理を受けたことである。コイルでの中間焼鈍とコイルでの仕上げ焼鈍との形の両方でのコイルでの熱処理の結果として生じるアルミニウムストリップ表面における退色またはシェーディング(独:Schattierungen,英:shading)は、本発明による方法によってほとんど完全に取り除くことができる。
例えば、自動車金属薄板用の典型的AA 5xxxアルミニウム合金であるAlMg4.5合金は、軟化焼鈍された状態で20%以上の表面Mg濃度を有することがある。同じように、自動車金属薄板用または押し出し用の典型的なAA 6xxxアルミニウム合金である、定格0.5重量%Mgを有するAlMgSi合金は、溶液焼鈍されたT4状態で、例えば合金全体中に5重量%以上の表面Mg濃度を有することがある。従って、表に挙げられている合金化成分の濃度は、表面において実際に脱脂媒質によって化学処理しなければならない組成についてごくわずかな情報しか提供しない。本発明による方法は、例えば、Zn、Mg、Si、Cuまたは他の迅速に拡散する合金元素を含有する、熱処理されるすべての合金にとって特別な利点を提供する。
本発明による方法による焼鈍後にアルミニウム合金ストリップの表面から除去される物質は、100nm未満、好ましくは50nm未満である。従って、好ましくは、マグネシウムおよび酸化マグネシウムの濃度を有する表面層だけが除去される。本発明によると、アルミニウム合金ストリップを前洗浄するために酸性の洗浄液が用いられる。この洗浄液は、少なくとも1種類の鉱酸の水溶液、例えば硫酸、硝酸、リン酸および/またはフッ化水素酸を含有する水溶液であってよい。これらの鉱酸は、酸性ピックリング溶液中で0.2から10重量%の濃度を有し得る。それぞれの場合に酸ピックリング溶液の重量に対して、硝酸の濃度は、好ましくは0.2から5重量%、特に好ましくは1.5から4重量%であってよく、硫酸のそれは、好ましくは0.5から5重量%、特に好ましくは1.5から3.5重量%であってよい。酸性溶液は、50から1000ppm、好ましくは、100から500ppm、特に好ましくは200から400ppmまたは600から800ppmのフッ化物のフッ化物を含有し得る。酸性の洗浄溶液のpHレベルは、ピックリング用途に向けて調節されることがあり、他の成分を含有し得る。ピックリング水溶液中の1種類以上の界面活性剤は、アルミニウム合金ストリップ表面の脱脂、を助けることができ、初期洗浄段階における酸ピックリング溶液のピックリング効果の均一性および速度を向上させることができる。好ましくは、1種類以上の非イオンまたは1種類以上の陰イオンもしくは陽イオン界面活性剤あるいはそれらの混合物が用いられる。ストリップを洗浄することを助けるために錯化剤が用いられてよい。酸による前洗浄ステップは、好ましくは0.5から15秒、特に好ましくは1から8秒または1から5秒を要し得る。
アルミニウム合金ストリップの酸による前洗浄の後、すすぎを含む任意選択のステップを含むことができる。すすぎは、1段階以上で行うことができる。すすぎ液として水を用いることができる。水に加えて、すすぎ液は、界面活性剤、および必要な場合にはすすぎ効果を助ける他の添加物を含有し得る。
アルカリピックリング溶液または脱脂用アルカリ溶液は、アルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物もしくは炭酸塩を含有する。アルカリ金属水酸化物が好ましい。水酸化ナトリウムが特に好ましい。アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物の濃度は、それぞれの場合にアルカリピックリング溶液の重量に対して、好ましくは0.2から3重量%、特に好ましくは0.4から2.5重量%または0.5から1.5重量%である。アルカリピックリング溶液は、添加物を含有し得る。適当な添加物は、界面活性剤および錯化剤を含む。界面活性剤は、好ましくは、非イオンおよび陰イオン界面活性剤から選択される。界面活性剤は、アルカリピックリング溶液の重量に対して0.13から2重量%、の濃度で用いることができる。適当な錯化剤は、例えば、ポリリン酸塩、ホスホン酸塩、グルコン酸塩、クエン酸塩およびシュウ酸塩であり、アルカリピックリング溶液中に混合物としても存在し得る。それらは、ナトリウム塩として用いることができる。
大規模な用途において、アルミニウム合金ストリップのアルカリピックリング溶液中の滞留時間は、通常、2段階プロセス(アルカリ脱脂とそれに続く酸処理、公知のプロセスまたは標準的なピックリング)において11から45秒であってよい。驚くべきことに、今や、3段階ピックリングプロセスにおいて、ピックリング段階全体の結果に対する酸による前洗浄の正の効果のおかげで、アルカリピックリング溶液中の滞留時間を短縮することができることが見いだされた。従って、アルカリピックリング溶液中の滞留時間は、1から25秒であってよい。しかし、プロセスを速くすることが必要な場合、滞留時間を1.5から15秒または1.5から3秒または1.5から6秒に短縮することもできる。これらの滞留時間は、本発明による方法においてアルミニウム合金ストリップ表面の十分な洗浄、脱脂およびピックリングを可能にする。高度に自動化した工業プロセスにおいて、本発明による方法は、製造速度を100メートル/分から最高150メートル/分に増加することを可能にする。
アルミニウム合金ストリップの脱脂媒質中の滞留時間は、アルカリ濃度およびpHレベルにも依存してよい。より強いまたはより鋭いピックリングは、不純物を含む材料のより速い除去を意味する。過度に強いアルカリ溶液の効果は、表面の不均一部分をさらに顕著にすることができることが知られている。従って、従来の2段階脱脂プロセスにおいて、より強い、またはより鋭いアルカリピックリングによってプロセスの速度を上げる可能性は、限られている。少なくとも3つのステップを含む本発明による方法は、驚くべきことに自由度を増加する。任意選択として、焼鈍欠陥の深刻さに応じて接触時間を適宜、延長することができる。
脱脂媒質の温度を45℃または50℃から85℃、好ましくは60℃から80℃、特に好ましくは65℃から75℃に設定すると、アルミニウム合金ストリップの脱脂媒質中の滞留時間に影響を及ぼすこともできる。温度の増加は、より高い脱脂媒質の反応性、ひいては、より強いピックリング処理をもたらす。
アルカリ脱脂の後、好ましくは、アルミニウム合金ストリップは、すすぎを受けることができる。これは、1つ以上のすすぎステップを含み得る。すすぎ液として水を用いることができる。水に加えて、すすぎ液は、界面活性剤、および必要な場合にはすすぎ効果を助ける他の添加物を含有し得る。
アルカリピックリング処理および任意選択のすすぎステップの後、脱脂されたアルミニウム合金ストリップは、強い鉱酸を含有する酸ピックリング溶液で処理される。前洗浄手順のための酸性溶液と、酸ピックリング溶液との組成は、同一であってよい。従って、適当な強い鉱酸は、硝酸、硫酸およびリン酸である。酸ピックリング溶液中の強い鉱酸の濃度は、酸ピックリング溶液の重量に対して0.2から10重量%であり得る。硝酸の濃度は、好ましくは0.2から5重量%、特に好ましくは1.5から4重量%であり、硫酸の濃度は、好ましくは0.5から5重量%、特に好ましくは1.5から3.5重量%である。上記酸濃度は、アルカリ洗浄されたストリップの高いプロセス速度での良好な洗浄を可能にする。両方の酸がすすぎ時にアルミニウム合金ストリップの表面不純物を十分に除去するので、非常に清浄かつ均一に洗浄されたアルミニウム合金ストリップの表面を信頼性高く提供することができる。任意選択として、フッ化水素酸またはフッ化物を加えることによって、酸すすぎのピックリング効果を調節することができる。適当なフッ化物濃度は、50から1000ppmフッ化物、好ましくは、100から500ppm、特に好ましくは200から400ppmまたは600から800ppmフッ化物である。この第2の酸すすぎの継続時間は、好ましくは0.5から15秒、特に1から8秒、特に好ましくは1から5秒であり得る。
アルミニウム合金ストリップは、好ましくは、3つのピックリング処理段階の間に、および最後の酸すすぎの後にすすがれる。水または水溶液をこの目的で用いることができる。ピックリング処理段階の間および後に1回、2回またはそれ以上のすすぎを行うことができる。より急激なpHレベルの変化を実現するために、最後のすすぎを除いて、任意選択としてすすぎステップを省略することができる。最後のすすぎは、好ましくは、完全に脱塩した水を用いて、特に好ましくは高温、たとえば60℃から95℃で行われる。次に、ストリップを乾燥させることができる。
4段階プロセスにおける最初のピックリング段階として行われる酸による前洗浄の前のアルミニウム合金製品のアルカリ処理のためのアルカリ溶液として、同じアルカリピックリング溶液、または言い換えるとアルカリ脱脂溶液を3段階プロセスにおいて用いることができる。この手順は、焼鈍されていないアルミニウム合金製品にとって利点を提供する。アルカリピックリング溶液に代るものとして、4段階プロセスにおいてアルミニウム合金製品を脱脂するために弱アルカリ性の洗浄剤または中性の洗浄剤を用いることができる。
好ましくは、アルミニウム合金製品にそれぞれのピックリング溶液を噴霧することによって、任意選択として、ピックリング処理段階の間の、および最終ピックリング段階後の噴霧すすぎによってアルミニウム合金製品の3段階ピックリングと4段階ピックリングとの両方が実行される。アルミニウム合金ストリップは、それぞれのピックリング溶液を有するピックリング浴を通過させてもよく、ピックリング浴の間にすすぎ浴を配置することができる。
従って、本発明による方法における処理溶液は、浸漬することによって、浸し絞ることによって、または噴霧処理によって施用することができる。同程度の化学濃度および処理温度において、噴霧施用の方が、一般に、浸漬処理プロセスより短い接触時間を要する。
従って、本発明による3段階ピックリング方法において、酸による前洗浄が行われる。続いて、アルミニウム合金ストリップをすすぐことができる。その後に、アルカリピックリング/脱脂を行い、任意選択として1種類以上のすすぎまたはすすぎ浴を併用する。このステップの後に、アルミニウム合金ストリップは、最終酸すすぎを受け、任意選択としてもう一度1種類以上のすすぎまたはすすぎ浴を併用する。最終すすぎは、好ましくは、完全に脱塩した水(κ<30μS)を用いるすすぎである。
3段階洗浄プロセスへの代替として、4段階洗浄プロセスも実施することができる。4段階洗浄プロセスは特許文献1による、最初にアルカリピックリング溶液、続いて酸すすぎを用いて行われる2段階洗浄プロセスを含む。構成材は、次に、再びアルカリ処理を受け、最後に酸性処理を受ける。この手順の利点は、より短いアルカリピックリング処理とそれに続く酸すすぎのおかげで、第2の操作においてアルカリピックリングがはるかに速く始まることである。その結果、第1および第2のアルカリピックリング操作の継続時間の合計を、特許文献1によるプロセスに記載されている単一のピックリング操作の継続時間より短くすることができる。
本発明による4段階方法において、アルミニウム合金製品の第1のアルカリピックリング溶液中の処理時間または滞留時間は、1から12秒、好ましくは1から5秒であってよい。アルミニウム合金製品の第1の酸すすぎにおける処理時間または滞留時間は、0.5から15秒、好ましくは1から8秒であってよい。アルミニウム合金製品の第2のアルカリピックリング溶液中の処理時間または滞留時間は、1から12秒、好ましくは1から5秒であり得る。アルミニウム合金製品の第2の酸のすすぎにおける処理時間または滞留時間は、0.5から15秒、好ましくは1から8秒であり得る。
本発明による4段階方法の好ましい実施形態によれば、第1のピックリングプロセスの処理時間は、第2のピックリングプロセスの時間の2分の1にすぎない。
本発明による方法のさらに別の実施形態によれば、アルミニウム合金ストリップの表面は、少なくとも3段階を含むピックリング処理後に、または4段階プロセス後に、または最終すすぎ後に、および必要な場合には乾燥段階後に、例えばクロメート処理によって、ジルコニウムおよび/またはチタンによるクロムフリーの不動態化によってまたはゾル−ゲル、シロキサンまたはシランに基づく不動態化によって、不動態化することができる。他の不動態化方法も想到することができる。
この場合、表面不動態化溶液を施用するために、すすぎを含まない方法が好ましい。表面不動態化は、その後のプロセスステップ、例えば接着剤の助けを借りるかまたは表面を溶接するか、リン酸処理するかまたは塗装することによって構成材を接合するステップを単純化し、ストリップの表面品質を左右する影響に対する十分な保護も提供する。表面不動態化は、好ましくは、本発明による洗浄またはピックリング方法を実施することによって「インライン」で行われる。従って、「インライン」表面不動態化は、ストリップの最終酸すすぎに続くすすぎ段階の後に、表面不動態化を行う前にまったくストリップを巻く必要なく、同じプラントの中ですぐに行うことができる。このようにすると、アルミニウム合金ストリップの表面状態を最適に保つことができる。
本発明によって製造されたアルミニウム薄板は、自動車組立、オフセット印刷、包装および建築目的のために用いることができる。それらは、例えば、車体組立、シャシー組立、船およびヨットの組立、建築用途、刷板、食品および医薬品包装、ブリキかんおよび密封装置において用いられる。
図1に示すアルミニウム合金ストリップは、高いマグネシウム含量と、AA 5182の組成に対応する組成と、を有する。縁部において不規則な波形の灰色がかった茶色の縞として、前に記載した欠陥が見える。このストリップは、最初にアルカリピックリング(0.5%NaOH、非イオンおよび陰イオン界面活性剤ならびに錯化剤からなる1.5%の脱脂組成物、接触時間45秒)、その後に酸ピックリング(2%HNO+300ppmF、接触時間11秒)を受けた。図2に示すストリップは、図1のストリップと同じバッチから製造される。図2のストリップは、さらに、ピックリングに送られる前に、本発明に記載される方法によって酸洗浄(2%HNO+300ppmF、接触時間11秒)され、それによって、プロセス時間が2分の1(23秒)に短縮された。このストリップにおいて、欠陥は、見えない。
一方で、本発明に記載される3段階ピックリング方法によって処理したアルミニウム合金ストリップ(試料CV2、CV3、CV5)と、他方で、公知の2段階ピックリング方法によって処理したアルミニウム合金ストリップ(試料CV1、CV4)とを、実験室試験において比較した。いずれの場合も同じアルミニウム合金を用い、ピックリングの前のストリップの処理も同一であった。問題のアルミニウム合金は、タイプAA 5182である。薄板は、比較試験を行う前に有機溶媒で脱脂した。薄板は、手動で浴に浸けた。下表1に測定した値を示す。
第1行において、「H前」は、酸性の前洗浄段階を示し、「OH」は、アルカリピックリング、「H]は、後続の酸性すすぎを表す。酸性ピックリング溶液は、室温で5重量%HNOを含有した。アルカリピックリング溶液は、70℃の温度で2重量%NaOHおよび2重量%の脱脂剤組成物を含有した。
ピックリング後、薄板CV−1は、不均一な表面色を有する図1の写真に示すような表面外観を提示する。試料CV−2は、均一な梨地面を有する良好な結果を示す。試料CV−3は、均一な梨地の外観を有する最も良い結果を示す。試料CV−4は、試料CV−1より良好ではあるが依然として不均一な外観を有する。試料CV−5の表面は、わずかな退色を有するわずかに不均一な外観を提示する。
比較を目的として、2つのアルミニウム合金ストリップの薄板を加速糸状腐食試験として知られているものに付す腐食試験を行った。両方の薄板は、同じアルミニウム合金ストリップ、タイプAA 5182から取った。「標準」と記された試料に公知の2段階プロセスを用いてピックリングを施した。残りの試料は、本発明によって得た試料である。ピックリング後、試料薄板に透明ラッカーを塗布した。薄板は、不動態化しなかった。加速糸状腐食試験によって、試料薄板中に1ミリメートルの幅を有する溝を製作した。試料薄板をHClで処理し、次に40℃および80%の相対湿度に5日間保った。下表2に結果を示す。
表2は、50mmあたり56.1本のフィラメントでの2段階標準ピックリングプロセス後の腐食フィラメントの数が、50mmあたり51.4本のフィラメントでの本発明によるピックリングプロセスの後より大きいことを示す。従って、本発明によって得られる金属薄板は、糸状腐食に対してより良好な抵抗性を示す。全体として、本発明による金属シートの糸状因子は、より良好である。図3に試験の影響を示す。
本発明による4段階ピックリング方法のピックリング結果を下表3に示す。アルミニウム協会によって発行された出版物である国際合金指定に詳述されている、AA 5182アルミニウム合金のアルミニウム合金薄板の処理は、第1のアルカリピックリング溶液を有する浴中に浸漬するステップ、水ですすぐステップ、第1の酸すすぎ液を有する浴中に浸漬するステップ、水ですすぐステップ、第2のアルカリピックリング溶液を有する浴中に浸漬するステップ、水ですすぐステップ、第2の酸すすぎ液を有する浴中に浸漬するステップを含んでいた。両方のアルカリ浴は、同じ組成を有し、両方の酸すすぎ液は、同じ組成を有する。アルカリピックリング溶液は、70℃の温度で2重量%のNaOHおよび2重量%の脱脂剤の組成物を含有する。酸すすぎ液は、室温で5重量%のHNOを含有する。
下表3の結果は、本発明による4段階方法が、公知の2段階方法(V1、V2)と比較して驚くほど短い処理時間を容易にし、それでも、処理時間が比較的非常に長いV1の良好な結果をもたらすことを示している。しかし、V1の場合に示す長い処理時間は、非経済的である。
さらに別のピックリング試験をスプレーブース内で行った。4種類の異なる合金からなるアルミニウム合金ストリップについて、本発明によるピックリング方法および標準ピックリングプロセスを用いて前記ストリップを処理した後に、除去された物質の量を決定した。さらに、両方の手順は、10秒間および20秒間のアルカリピックリングを含んだ。表4の結果は、本発明によるピックリング方法を実施することによって、等しい量の不純物を有する物質を除去するために必要な時間がより少なくなることを示している。化学処理の前後の示差重量分析によって除去量(ピックリングによる)を決定した。続いて、処理された表面について除去速度を決定した。
図5は、同じ合金の2種類のアルミニウム合金ストリップの表面層における合金化成分の組成に対する本発明による方法の効果の比較を示す。一方のストリップを処理するために標準的なピックリングプロセス(アルカリピックリングとそれに続く酸すすぎ)を実施し、他方で、他方のストリップを処理するために本発明によるピックリング方法を実施した。標準的なピックリングプロセスによって処理したアルミニウム合金ストリップは、図1において標準的なピックリングプロセスによって処理したストリップにマークした点に位置する通常の灰色がかった茶色の縞(1=明、2=暗、3=明、4=暗、5=明、6=暗、7=明)を示す。
ストリップの幅の2分の1(ストリップの縁部から中央まで)にわたって両方のアルミニウム合金ストリップの表面から500nmの深さまで合金化成分の濃度を決定した。測定した範囲における合金化成分の濃度を図5に示す。グラフAは、標準的なピックリングプロセスを実施したストリップ中の濃度を示し、グラフBは、本発明によるピックリング方法を実施したストリップ中の濃度を示す。ストリップの残りの2分の1では観測値の鏡像が繰り返されるとみなすことができるので、ストリップの幅にわたって2分の1だけを分析した。
本発明に記載される方法によるピックリングを受けたストリップ(図2も参照)は、測定区域全体にわたって均一なアルミニウム合金成分の分布を示し、標準的なプロセスによるピックリングを受けたストリップと対比して顕著に減少した酸素の濃度を有する。このストリップにおいて灰色がかった茶色の縞は、発生しない。
灰色がかった茶色の縞を有する、標準的なプロセスによるピックリングを受けたストリップ中の合金化成分の割合の揺らぎ(図1も参照)は、本発明の方法によるピックリングを受けたストリップにおいて測定した合金化成分の濃度と対比して顕著に高い。
ストリップ中の合金化成分の濃度は、グロー放電発光分光法(GDOES)によって決定した。分析時、プラズマ中で表面の元素はナノメートルステップでスパッタリングされる。次に、各層について元素組成を決定するために個々の元素の発光を用いる。0から500nmの間のすべての層の元素組成を積分することによって最も上の500nmの表面組成を計算した。合金化成分の濃度を決定するためにスペクトリューマ・アナリティク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング(Spectruma Analytik GmbH)からのGDA 750スペクトロメータを用いた。
図6のグラフは、標準的なピックリングプロセスを用いる処理後および本発明による方法を用いる処理後の、アルミニウム合金ストリップの表面における他の合金化成分ケイ素、マンガン、マグネシウムおよび銅の種々の濃度を示す。これらの分析値は、本発明に記載される方法によるピックリング後のストリップ上の合金化成分の標準的なピックリングプロセスにおいてピックリングを受けたストリップと対比してむらのない分布も示す。
図7は、合金組成AA 5018の2種類のアルミニウム合金ストリップの濃度の分析結果を示す。一方のストリップをピックリングするために標準的なプロセスを実施し、他方のストリップには本発明による方法を用いた。この合金では、ストリップに灰色がかった茶色の縞は、表れない。しかし、本発明によるピックリング方法を用いる利点は、例えば、表面における減少した酸素含量および比較的減少した合金元素マグネシウムの濃度によって示される、同じ接触時間の時のアルカリピックリングステップのより高い効率である。
図8は、タイプAA 6451のアルミニウム合金からなる2種類のアルミニウム合金ストリップの表面組成を示す。ストリップは、ストリップ上にピックリング剤をスプレーするスプレーブース中で標準的なプロセスによる、および本発明の方法によるピックリングを受けた。ストリップの表面における合金化成分の濃度を、グロー放電発光分光法(GDOES)によって決定した。本発明の方法によるピックリングを受けた薄板は、より短い期間で表面における合金元素および酸化物のより低い濃度を実現する。次に、平衡状態を実現する。
図9は、中性塩噴霧試験における500時間後の接着強度分析の結果を示す。試験パラメータおよび手順は、DIN EN ISO 9227に記載されている。タイプAA 5182の薄板について、標準的なプロセスによるピックリングを受けたものと本発明の方法によるピックリングを受けたものとについて、接合されたアセンブリの引張重ね剪断強さを決定した。「DIN EN 1465:2009−07」に従って、標準からそれるL=10±0.25mmの全重なり長さで、接合されたアセンブリとその後の重ね剪断試験とを行った。図9は、特に、本発明の方法によるピックリングを受けた薄板の場合の方が標準的なプロセスによるピックリングを受けた薄板の場合より低い耐候試験後の接着強度の低下を示す。

Claims (14)

  1. 機械加工されていないアルミニウム合金製品を洗浄するための方法であって、前記アルミニウム合金製品は、酸で前洗浄され、続いてアルカリ性溶液で脱脂され、その後、酸ですすがれることを特徴とする方法。
  2. 前記アルミニウム合金製品は、酸による前洗浄の前にアルカリ性溶液で処理されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記アルミニウム合金製品を脱脂するために用いられる前記アルカリ性溶液は、50℃〜85℃の温度を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記アルミニウム合金製品は、圧延アルミニウム合金ストリップ、圧延アルミニウム薄板およびアルミニウム合金形材から選択されることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
  5. 用いられる前記アルミニウム合金製品は、アルミニウム協会の国際合金指定によるタイプAA 5xxx、AA 1xxx、AA 3xxx、AA 6xxxおよびAA 8xxxのアルミニウム合金から製造されることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。
  6. 洗浄される前記アルミニウム合金製品は、中間焼鈍または仕上げ焼鈍を受けていることを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載の方法。
  7. 前記アルミニウム合金製品の酸による前洗浄は、0.5〜15秒間、特に1〜8秒間続くことを特徴とする、請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。
  8. 前記アルミニウム合金製品のアルカリ脱脂は、1〜25秒、特に、1.5〜15秒続くことを特徴とする、請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
  9. 前記アルミニウム合金製品の酸すすぎは、0.5〜15秒間、特に、1〜8秒間続くことを特徴とする、請求項1〜8の何れか一項に記載の方法。
  10. 前記アルミニウム合金製品の表面は、前記酸すすぎ後に不動態化されることを特徴とする、請求項1〜9の何れか一項に記載の方法。
  11. アルミニウム協会の国際合金指定による、クラスAA 5xxx、AA 1xxx、AA 3xxx、AA 6xxxおよびAA 8xxxのアルミニウム合金で製作され、請求項1〜10の何れか一項に記載のプロセスによって得ることができるアルミニウム合金製品であって、前記アルミニウム合金製品は、表面において、灰色から灰色がかった茶色のむら部分または欠陥部位をまったく有しないアルミニウム合金製品。
  12. 前記アルミニウム合金製品は、洗浄を受ける前に焼鈍されていることを特徴とする、請求項11に記載のアルミニウム合金製品。
  13. 前記アルミニウム合金製品上のマグネシウムの分布がその幅にわたって均一であることを特徴とする、請求項11に記載のアルミニウム合金製品。
  14. 前記アルミニウム合金製品は、圧延アルミニウム合金ストリップ、圧延アルミニウム薄板およびアルミニウム合金形材から選択されることを特徴とする、請求項11に記載のアルミニウム合金製品。
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