JP2002241878A - 平版印刷版用アルミニウム合金材および平版印刷版 - Google Patents

平版印刷版用アルミニウム合金材および平版印刷版

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JP2002241878A JP2001034021A JP2001034021A JP2002241878A JP 2002241878 A JP2002241878 A JP 2002241878A JP 2001034021 A JP2001034021 A JP 2001034021A JP 2001034021 A JP2001034021 A JP 2001034021A JP 2002241878 A JP2002241878 A JP 2002241878A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高強度平版印刷版の製造に際し、残渣の
発生を防止し、また良好なエッチング性を確保する。 【解決手段】 平版印刷版用アルミニウム合金材が、F
e:0.1〜0.5%、Si:0.01〜0.1%未
満、Mn:0.2〜0.3%を含有し、残部がAlおよ
び不可避不純物からなる。望ましくは0.5≦[%F
e]/[%Mn]≦2.0、0.1≦[%Si]/[%
Mn]≦0.4を満たす。 【効果】 製造過程で残渣の発生が少なく、エッチ
ング性にも優れている。得られた支持体は高い強度を有
し、表面性状に優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷に用いら
れる平版印刷版用アルミニウム合金材および該合金材を
用いた平版印刷版に関するものである。
【0002】
【従来の技術】平版印刷では、予め感光層が形成され、
そのまますぐ焼き付けて使用できるPS版が幅広く使用
されており、該PS版は、支持体の表面に感光剤を塗布
したものである。この支持体の構成材料としては、電解
エッチング性に優れる1050系のアルミニウム合金が
広く用いられているが、最近では、強度が高くて、傷が
付き難く、印刷機胴に取り付けた際に版切れし難い31
03等のAl−Mn系合金が用いられるようになってき
ている。支持体は、これらのアルミニウム合金を用いて
所定の製造工程を経て製造されるものであり、感光剤の
塗布に先立っては表面処理が施される。表面処理は、通
常は電解エッチングによって支持体表面を粗面化処理し
た後、陽極酸化被膜処理するものであり、また粗面化処
理前には、脱脂等を目的として苛性処理等の洗浄がなさ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで上記した31
03等のAl−Mn系合金はMnを1%程度含有するこ
とにより強度面で優位性があり、PS版用支持体での使
用の増大が見込まれるものであるが、PS版の製造工程
において、脱脂処理やデスマット処理のような水酸化ナ
トリウム水溶液等のアルカリ溶液を用いた表面溶解処理
を行った際、アルカリ不溶の残渣が大量に発生し、それ
が支持体表面に付着して表面欠陥の原因となったり、表
面処理液を循環させるポンプやシャワーノズルを詰まら
せたりするという問題がある。さらに、電解粗面化処理
において生成するピットの均一性が1050系合金に較
べ劣る傾向にあるために、Al−Mn系合金はブラシ等
の機械的処理によって粗面化が行われているのが現状で
ある。そのため、電解粗面化面のような繊細で均一な粗
面が得られず、平版印刷版として使用した際に、汚れ難
さや画像再現性等の印刷性能が劣っているという問題が
ある。
【0004】本発明は上記事情を背景としてなされたも
のであり、強度、電解エッチング性において優れた特性
を示し、さらに印刷版としての表面性状に優れたアルミ
ニウム合金材および該合金を用いた平版印刷版を提供す
ることを目的とする。
【0005】
【問題を解決するための手段】本発明者の研究から、3
000系材料を苛性ソーダ等を用いて洗浄することによ
って生じる残渣は主としてMnの水酸化物であり、Mn
含有量を減量することが有効である。さらに、Mn量を
減量した材料を検討する過程で判ったこととして、Mn
量を0.20〜0.30%の範囲とすると、それ以上の
Mn量では劣っていた電解エッチング表面の均一性が優
れたものとなることが判明した。また、この現象にはF
e、SiとMnのバランスが必要であった。この理由は
以下のように考えられる。材料中に晶析出した金属間化
合物は電解エッチングの起点となる。この起点となる作
用は金属間化合物の種類により異なっているものと推定
される。当材料にはAlMn系或いはAlMnFe系、
AlMnSi系、AlMnFeSi系の金属間化合物が
形成するが、AlMn系はピットを粗大化する傾向にあ
り、AlMnFe系、AlMnSi系、AlMnFeS
i系は比較的微細なピットを形成する傾向にある。これ
は、FeやSiの取り込みによりAlMn系とは電気化
学的な性質(導電性や溶解性)が異なることによると考
えられる。一方、MnがFeやSiに比較して多くなる
と、AlMn系の金属間化合物が増えて、電解エッチン
グのピットは不均一化する。逆に、FeやSiがMnに
対して多くなるとAlFe系やSiの晶析出が多くなり
ピットは不均一化する。従って、本発明では上記観点か
らMn、Fe、Si含有量がバランス良い組成とするこ
とが重要であり、さらにこれを的確にするために、これ
ら成分の含有量の関係(Fe/Mn及びSi/Fe)を
規定するのが望ましい。
【0006】すなわち、本発明の平版印刷版用アルミニ
ウム合金材のうち第1の発明は、質量%で、Fe:0.
1〜0.5%、Si:0.01〜0.1%未満、Mn:
0.20〜0.30%を含有し、残部がAlおよび不可
避不純物からなることを特徴とする。
【0007】第2の発明の平版印刷版用アルミニウム合
金材は、第1の発明において、前記含有成分が、質量%
の関係において、0.5≦[%Fe]/[%Mn]≦
2.0、0.1≦[%Si]/[%Mn]≦0.4を満
たすことを特徴とする。
【0008】第3の発明の平版印刷版は、第1又は第2
の発明の合金材により支持体が構成されていることを特
徴とする。第4の発明の平版印刷版は、第3の発明にお
いて、前記支持体が少なくとも粗面化及び陽極酸化処理
が施されており、該支持体上に感光層が設けられている
ことを特徴とする。第5の発明の平版印刷版は、第4の
発明において、前記支持体がさらにアルカリ溶液による
表面溶解処理がなされていることを特徴とする。
【0009】以下に本発明における組成成分の作用およ
びその含有量の限定理由を説明する。なお、各含有量は
いずれも質量%で示されている。 Fe:0.1〜0.5% FeはAlFe系の晶析出物を形成して電解エッチング
を均一化する作用があり、必須成分として含有させる。
ただし、0.1%未満ではAlFe系晶析出物の形成が
不足し、また、高純度な地金の使用が必要となってコス
トが増加する。一方、0.5%を超えると粗大な晶析出
物を生じ易く、電解エッチングのピットが不均一化する
ので、その含有量を0.1〜0.5%の範囲内に定め
る。なお、同様の理由で、下限を0.2%、上限を0.
4%とするのが望ましい。
【0010】Si:0.01〜0.1%未満 SiはAlFeSi系の晶析出物を形成し、熱間圧延時
に再結晶粒を微細化して強度を向上させるとともに、エ
ッチングを均一にする作用を有するので必須元素として
含有させる。ただし、0.01%未満では、AlFeS
i系晶析出物の形成が不足する。また、高純度な地金の
使用が必要となってコストが増加する。一方、0.1%
以上では粗大なSiの析出物が生じやすく、電解エッチ
ングのピットが不均一化するので、Si含有量を0.0
1〜0.1%未満の範囲内に定める。なお、上記と同様
の理由で下限を0.04%、上限を0.08%とするの
が望ましい。
【0011】Mn:0.2〜0.3% Mnは材料強度を上げるために添加するが、0.2%未
満では熱処理後の強度が不足する。さらにAlMnF
e、AlMnSi系晶析出物の形成が不足し、電解エッ
チング性が低下する。一方、0.3%を越えると、先に
述べたように、表面溶解処理で生じる残渣が増すので、
Mn含有量を0.2〜0.3%に定める。なお、上記と
同様の理由で下限を0.22%、上限を0.28%とす
るのが望ましい。
【0012】[%Fe]/[%Mn]:0.5〜2.0 FeとMnとは、前述したように、その含有量をバラン
スさせることにより、電解エッチング性が顕著に向上す
る。ここで、Fe含有量とMn含有量との比、すなわち
[%Fe]/[%Mn]が0.5未満であると、AlM
nFe系晶析出物の形成が不足し、電解エッチング性が
低下する。一方、その比が2.0を越えるとAlFe系
の晶析出物が多くなり、電解エッチングのピットが不均
一となるので、その比を0.5〜2.0%の範囲内に定
めるのが望ましい。
【0013】[%Si]/[%Mn]:0.1〜0.4 FeとSinも、前述したように、その含有量をバラン
スさせることにより、電解エッチング性が顕著に向上す
る。ここでSi含有量とMn含有量との比、すなわち
[%Si]/[%Mn]が0.1未満であると、AlM
nSi系晶析出物の形成が不足し、電解エッチング性が
低下する。一方、0.4を越えるとSiの晶析出物が多
くなり、電解エッチングのピットが不均一となるので、
その比を0.1〜0.4の範囲内に定めるのが望まし
い。なお、上記各比は双方を満たすことによりSi、F
eおよびMn含有量の最適なバランスが得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明のアルミニウム合金は、常
法により溶製することができ、上記成分範囲内で成分調
整、鋳造したものを用いることができる。所定の成分を
有するアルミニウム合金は、熱間圧延→冷間圧延(1)
→中間焼鈍→冷間圧延(2)の工程を経てアルミニウム
合金薄板とすることができる。なお、冷間圧延(2)で
の圧下率は70〜90%の範囲内とするのが望ましい。
上記工程では、中間焼鈍を省略することも可能であり、
中間焼鈍を加えない方が工程は短縮され、また熱処理
(感光剤焼付け)前の強度は増すが、該熱処理による強
度の低下も大きく、結果としてPS版としての強度は低
くなる。一方、中間焼鈍を加えると再結晶化によりやや
強度は低下するものの、熱処理による強度低下(熱軟
化)は少なくなり、結果的に強度は高いものとなる。し
たがって、最終的な強度の点では冷間圧延中途での中間
焼鈍は行うのが望ましい。この中間焼鈍の条件として
は、350〜480℃で5秒〜1時間の条件を例示する
ことができる。また、上記冷間圧延(2)での圧下率が
70%よりも小さいと、熱処理前の強度が小さくなり過
ぎ、一方、90%を超えると中間焼鈍しない場合と同程
度に熱処理による強度低下が大きくなるため、上記範囲
が望ましい。
【0015】なお、中間焼鈍を行わない製造方法(熱間
圧延→冷間圧延(3))では、上記したように熱軟化性
はやや劣るが中間焼鈍が不要となるため工程短縮できる
メリットがある。冷間圧延(3)での圧下率は90〜9
5%とするのが望ましい。この圧下率が90%よりも小
さいと、熱処理前の強度が小さくなり過ぎ、一方、95
%を超えると加工硬化により圧延が困難となるので、上
記範囲が望ましい。
【0016】上記工程を経ることにより得られるアルミ
ニウム合金薄板は、平版印刷版の支持体用材料として用
いられる。支持体では、前述したように表面処理がなさ
れる。表面処理では、通常は、前述したように表面に付
着している油、汚れ等の除去を目的に洗浄がなされる。
この洗浄は、通常は苛性ソーダを用いた苛性処理によっ
てなされる。ただし、本発明としては酸処理、その他の
処理を含むものであってもよく、また苛性処理を含まな
い処理からなるものであってもよく、要は洗浄を目的と
する処理過程であればよい。なお、洗浄に用いる溶液や
洗浄の手順、条件等については本発明としては特に限定
されるものではなく、常法により行うことができる。本
発明では、この洗浄工程において発生する残渣が大幅に
減少する。
【0017】表面の清浄化がなされたアルミニウム合金
は、その後、表面を粗面化するために粗面化処理がなさ
れる。この粗面化処理は、通常は、電解エッチングによ
り行われる。この粗面化は後述する感光剤を支持体表面
に強固に固定することを目的としており、したがって薄
板の表面が均一にエッチングされることが望ましい。本
発明では、この電解エッチングの条件は特に限定される
ものではなく、常法により行うことができる。ただし、
本発明では、成分の適切な選定によりエッチング性が良
好なものとなっており、したがって、エッチングに際
し、より短時間での処理が可能になる。なお、本発明の
支持体は電解エッチングを行うものにおいて最適な効果
が出現するが、本発明としては電解エッチングを行うも
のに限定されるものではない。
【0018】さらに、上記支持体では通常、粗面化処理
後に、防食、耐摩耗のために陽極酸化皮膜を形成する。
この皮膜処理は常法により行うことができ、本発明とし
て製造条件、皮膜の性状について特に限定されるもので
はない。陽極酸化皮膜形成後には、その表面に所望の感
光剤を塗布する。この感光剤の種別も本発明としては限
定されるものではなく、公知の感光剤を使用することが
できる。例えばキノンジアジド化合物とアルカリ可溶性
樹脂からなる組成物、ジアゾニウム塩とバインダーポリ
マーからなる組成物、活性光線の照射により二量化する
不飽和カルボン酸(例えばケイ皮酸やフェニレンジアク
リル酸)をその構成成分とするポリマー、活性光線の照
射により重合反応を起こす化合物とバインダーポリマー
との組成物、アジド系感光性組成物、光酸発生剤及び架
橋剤及び光熱変換物質とバインダーポリマーを含む架橋
系(ネガ型)感光性組成物、光熱変換物質とバインダー
ポリマーを含有するポジ型感光性組成物などが挙げられ
る。より具体的には特開昭60−190392号公報に
記載の組成物及び特開平2000−43440号公報に
記載の組成物などが挙げられる。また、感光剤の塗布に
用いられる装置や塗布方法、塗布量についても適宜選定
される。なお、本発明の合金を用いた印刷版では、感光
剤の塗布を予め行って供給するPS版としてもよく、ま
た、感光剤を塗布することなく供給するものであっても
良い。
【0019】感光剤が塗布されたPS版は、その後、露
光、現像等の製版処理がなされる。さらには、感光剤を
強固に定着させるためにPS版を加熱して感光剤を焼き
付ける熱処理、いわゆるバーニング処理を行うことがで
きる。この熱処理も常法により行うことができるが、条
件としては240〜300℃、3〜10分の加熱条件を
例示することができる。本発明の材料は、熱軟化しにく
い成分設計がなされており、上記熱処理後において高い
強度を有している。
【0020】
【実施例】以下に、本発明の一実施例を説明する。 (材料の製作)表1に示す組成でアルミニウム合金を溶
解鋳造し、得られたスラブの表面を面削し、540〜5
80℃で4時間の均質化処理を行った。ついで、520
℃に加熱した後、熱間圧延を行い4.5mm厚まで圧延
した。この圧延材を以下のいずれかの工程を経て冷間圧
延材を得た。 (工程A)実施例1、5、比較例1、3〜5、7、8 冷間圧延で0.3mm厚まで冷間圧延(中間焼鈍な
し)。 (工程B)実施例2、4および比較例2 冷間圧延で3.0mm厚まで圧延し、450℃で10秒
の中間焼鈍を行い、さらに、0.3mm厚まで冷間圧
延。 (工程C)実施例3、比較例6 冷間圧延で2.5mm厚まで圧延し、450℃で10秒
の中間焼鈍を行い、さらに、0.3mm厚まで冷間圧
延。 上記工程Aにおける冷間圧延率および行程B、Cにおけ
る中間焼鈍後の冷間圧延率をそれぞれ表1に示した。
【0021】次いで上記供試材について、PS版用支持
体に対する表面処理を想定した試験を行った。 (アルカリ洗浄による残渣)80℃の3%NaOHに上
記供試材を溶解した後、0.3μmの目開きのテフロン
(商標)製フィルタでろ過して残渣量を測定した。測定
結果は、合金量に対する残渣量の質量比が0.02g/
合金g以下であるものを○、越える場合を×として表1
に示した。 (材料強度)上記供試材について引張強度試験を行うと
ともに、焼付熱処理を想定した加熱処理(260℃×1
0分)を行い、その後、同様に引張強度試験を行った。
試験結果は強度として表1に示した。
【0022】
【表1】
【0023】実施例および比較例に示す合金板を用い、
下記に示す手順にて全て同様に処理してポジ型PS版を
作製し、PS性能を評価した。 PS版支持体の作製:合金板を65℃の水酸化ナトリウ
ム水溶液(3%)中で7秒間脱脂処理した後、30℃の
硫酸水溶液(10%)中に3秒間浸漬してスマットを除
去した。次いで、正弦波交流電源(50Hz)を使用
し、25℃の硝酸水溶液(2%)中にて電流密度80A
/dmで10秒間、電解粗面化処理を行った。続いて
70℃の水酸化ナトリウム水溶液(1%)にて3秒間デ
スマット処理を行った後、30℃の硫酸水溶液(10
%)中にて3秒間中和処理を行った。そして35℃の硫
酸水溶液(30%)中にて電流密度10A/dmで1
5秒間、陽極酸化処理を行った。陽極酸化皮膜量は25
mg/dmであった。上記処理を行った板を0.1%
の酢酸アンモニウム水溶液中において90℃で1分間浸
漬し、次いでpH8.5の90℃のCMCダイセル12
20(ダイセル化学製)水溶液(0.005%)に1分
間浸漬した後、乾燥させてPS版用支持体を得た。
【0024】(電解粗面化評価)支持体表面を走査型電
子顕微鏡にて1000倍で観察し、観察表面に形成され
たピットのうちピット径1〜3μmのものが85%以上
存在する場合を◎、80%以上85%未満の場合を○、
70%以上80%未満の場合を△、70%未満の場合を
×として評価し、その結果を表3に示した。
【0025】前記のように作製したPS版用支持体に対
し、それぞれ下記組成のポジ型感光性組成物を塗布し、
ポジ型PS版を得た。感光液塗布重量は2.2mg/d
であった。
【0026】
【表2】
【0027】得られたポジ型PS版試料のそれぞれにつ
いて評価用画像を4kWメタルハライドランプで露光量
400mJ/cmにて焼き付け、KD−53現像液
(三菱化学製)で25℃、30秒間現像した。このよう
にして得られた版について、PS性能として下記評価
(製版画像の再現性評価、印刷時の水幅評価)を行っ
た。その結果を表3に示した。
【0028】(製版画像の再現性評価)現像して得られ
た平版印刷版上のUGRA画像(ポジ)の細線再現性
を、8μm再現を○、10μm再現を△、12μm再現
を×として評価した。
【0029】(印刷時の水幅評価)現像して得られた平
版印刷版を印刷機(三菱重工業(株)製DAIYA1ー
F)にかけ、コート紙、湿し水(東京インキ(株)製エ
ッチ液SG−51、濃度1.5%)、インキ(東洋イン
キ製造(株)製ハイプラスM紅)を使用して印刷を行
い、インキ量ダイヤルを一定にして水量ダイヤルを変更
し、非画線部が汚れ始めるか平網部がからみ始める水量
のダイヤル値と、画線部のインキ濃度が低下してくる水
量のダイヤル値を求め、その差が12以上ある場合を
○、10以上12未満を△、10未満を×として水幅を
評価した。
【0030】
【表3】
【0031】上記表1及び3から明らかなように、本発
明の供試材によれば、アルカリ処理に際し残渣の発生が
少なく、電解粗面化性も良好でPS性能にも優れてお
り、しかも熱処理後においても高い強度が得られてい
る。一方、比較材では、残渣の発生、強度、電解粗面化
性、PS性能のいずれかに点において劣っており、本発
明材においてのみ、これら全ての特性で満足する結果が
得られることが明らかとなった。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の平版印刷
版用アルミニウム合金材によれば、Fe:0.1〜0.
5%、Si:0.01〜0.1%未満、Mn:0.2〜
0.3%、を含有し、残部がAlおよび不可避不純物か
らなるので、支持体の脱脂やデスマット等のアルカリ処
理工程において残渣の発生が少なく、支持体の表面欠陥
や機器の損傷を未然に防止する事ができ、また、廃棄物
の発生も極力少なくすることが出来る。さらに版の強度
は3103等のAl−Mn系合金と同程度に高く耐熱軟
化性に優れ、かつ電解粗面性は1050等の純Al系合
金以上に良好で均一なピットが得ることができる。した
がって、この合金材を用いた平版印刷版は画像再現性に
優れ、また印刷時に水を絞っても汚れ難いため水幅を広
くとることができ、優れた印刷性能を発揮する。また、
印刷工程での版の取扱時のペコや擦り傷も付きにくい等
の取り扱い性に優れ、さらに印刷時の版切れも起こりに
くいなど耐久性にも優れている。また、バーニング処理
を行っても版の強度の低下が少ないため、上述の優れた
取り扱い性や耐久性を発揮する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25F 3/04 C25F 3/04 A (72)発明者 中村 健一 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 Fターム(参考) 2H114 AA14 DA04 DA64 EA02 EA09 GA05 GA09 4K053 PA10 PA12 PA13 QA04 RA22 SA06 TA06 TA10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、Fe:0.1〜0.5%、S
    i:0.01〜0.1%未満、Mn:0.2〜0.3%
    を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなること
    を特徴とする平版印刷版用アルミニウム合金材
  2. 【請求項2】 前記含有成分が、質量%の関係におい
    て、0.5≦[%Fe]/[%Mn]≦2.0、0.1
    ≦[%Si]/[%Mn]≦0.4を満たすことを特徴
    とする請求項1記載の平版印刷版用アルミニウム合金材
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の合金材により支
    持体が構成されていることを特徴とする平版印刷版
  4. 【請求項4】 前記支持体は少なくとも粗面化及び陽極
    酸化処理が施されており、該支持体上に感光層が設けら
    れていることを特徴とする請求項3記載の平版印刷版
  5. 【請求項5】 前記支持体はさらにアルカリ溶液による
    表面溶解処理がなされていることを特徴とする請求項4
    に記載の平版印刷版
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