JP7152245B2 - アルミニウム合金板の洗浄方法 - Google Patents

アルミニウム合金板の洗浄方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7152245B2
JP7152245B2 JP2018196638A JP2018196638A JP7152245B2 JP 7152245 B2 JP7152245 B2 JP 7152245B2 JP 2018196638 A JP2018196638 A JP 2018196638A JP 2018196638 A JP2018196638 A JP 2018196638A JP 7152245 B2 JP7152245 B2 JP 7152245B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum alloy
alloy plate
cleaning
brush
solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018196638A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019181450A (ja
Inventor
徹也 小島
義弘 阿部
駿 五十嵐
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Publication of JP2019181450A publication Critical patent/JP2019181450A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7152245B2 publication Critical patent/JP7152245B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Cleaning In General (AREA)
  • Cleaning By Liquid Or Steam (AREA)
  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Description

本発明は、自動車用パネル材等に用いられるアルミニウム合金板の洗浄方法に関する。
従来、アルミニウム合金材は、自動車、船舶あるいは車両などの輸送機の外板や構造材あるいは部材、また家電製品の構造材あるいは部材、さらには屋根材などの建築、構造物の部材(建材)として使用され、特に、自動車のドアやフェンダーあるいはボンネットなどのパネル材として好適に使用されている。
自動車メーカーにおいて、自動車の一般的な生産工程は、以下のように行なわれている。まず、素材メーカーから納入されたアルミニウム合金板がプレス等により部品として成型され、その後、部品が接着、溶接または機械接合などにより接合され、車体が組み立てられる。そして、車体に脱脂処理、表面調整、化成処理、電着塗装、スプレー塗装、焼付処理が施され、エンジンのマウント、内装等を施し、自動車が生産される。
また、素材メーカーにおいて、前記した自動車パネル用途におけるアルミニウム合金板は、圧延等によって厚さ0.8~3.0mm程度に作製され、必要に応じて溶体化や焼鈍が施される。その後、脱脂性、化成処理性および接着性の向上のため、アルミニウム合金板の表面がZr系またはTiZr系の表面処理剤で表面処理される。
ここで、アルミニウム合金板を圧延する場合、摩擦熱や摩耗の抑制など、圧延性の向上のために圧延油が使用される。この圧延油の除去が不十分であると、アルミニウム合金板の溶体化、焼鈍、表面処理などの熱処理工程の際、アルミニウム合金板の表面への一部成分の残存によりスジ状の模様を形成し、最悪の場合、反応性にムラを生じ、例えば自動車パネル材として使用した場合、塗装外観が変化する。そのため、熱処理前にアルミニウム合金板の表面の圧延油を除去することが必要となる。
また、圧延時には摩耗粉が発生する。摩耗粉の除去が不十分であると、凝集物がアルミニウム合金板に押し込まれ、アルミニウム合金板表面の疵の原因となる。そのため、摩耗粉を除去することが必要となる。
このため、圧延油および摩耗粉の除去方法として、特許文献1には、空気を加圧溶解したアルカリ洗浄液を金属帯に噴射することを特徴とする金属帯の洗浄方法が提案されている。
特開平08-253883号公報
しかしながら、従来の洗浄方法では、圧延油および摩耗粉の除去が不十分であるという問題がある。
そこで、本発明は、このような問題を解決すべく創案されたもので、その課題は、圧延油および摩耗粉の除去性に優れたアルミニウム合金板の洗浄方法を提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明に係る発明アルミニウム合金板の洗浄方法は、アルミニウム合金からなる圧延後のアルミニウム合金板を準備する準備工程と、前記準備工程の終了後に、前記アルミニウム合金板の表面にアルカリ液を接触させながらブラシロールで前記表面を洗浄するブラシ洗浄工程と、を含むこととする。
本発明に係るアルミニウム合金板の洗浄方法は、さらに、前記準備工程の終了後に、前記アルミニウム合金板を溶体化または焼鈍する熱処理工程と、前記アルミニウム合金板にアルカリ液を接触させて前記アルミニウム合金板の表面を洗浄するアルカリ洗浄工程と、前記アルミニウム合金板の表面に酸液を接触させて前記アルミニウム合金板の表面を洗浄する酸洗浄工程と、を含むことが好ましい。
本発明に係るアルミニウム合金板の洗浄方法は、前記準備工程に続いて、前記ブラシ洗浄工程と、前記熱処理工程と、前記アルカリ洗浄工程と、前記酸洗浄工程と、をこの順で行うことが好ましい。
本発明に係るアルミニウム合金板の洗浄方法は、前記準備工程に続いて、前記熱処理工程と、前記ブラシ洗浄工程と、前記アルカリ洗浄工程と、前記酸洗浄工程と、をこの順で行うことが好ましい。
本発明係るアルミニウム合金板の洗浄方法は、前記アルミニウム合金は、Al-Mg系合金またはAl-Mg-Si系合金であることが好ましい。
本発明に係るアルミニウム合金板の洗浄方法は、アルカリ液とブラシロールを併用してアルミニウム合金板の表面を洗浄するブラシ洗浄工程を含むことによって、圧延油および摩耗粉の除去性が向上する。また、アルカリ液とブラシロールの併用によって、アルミニウム合金板とアルカリ液との接触時間を短くすることができる。そのため、アルミニウム合金板がアルカリ液によってエッチングされることがないため、変色やスマットの発生を抑制できる。
本発明に係るアルミニウム合金板の洗浄方法によれば、圧延油および摩耗粉の除去性に優れ、高い洗浄効果が得られる。
本発明に係るアルミニウム合金板の洗浄方法の工程を示すフロー図である。 本発明に係るアルミニウム合金板の洗浄方法の工程を示すフロー図である。 本発明に係るアルミニウム合金板の洗浄方法に用いられる洗浄装置の構成を模式的に示す概略図である。 明度L値と摩耗粉量の相関を示すグラフである。
<洗浄装置>
まず、アルミニウム合金板の洗浄方法に用いられる洗浄装置について、図面を参照して説明する。
に示すように、洗浄装置100は、ブラシ洗浄装置2と、熱処理装置3と、アルカリ洗浄装置4と、酸洗浄装置5と、を備え、この順で配置される。洗浄装置100は、アルミニウム合金板1の用途に応じて、表面処理装置6と、塗油装置7と、を備えてもよい。洗浄装置100内への圧延後のアルミニウム合金板1の搬入は常用の繰出装置8によって行われ、洗浄されたアルミニウム合金板1の搬出は、常用の繰入装置10によって行われる。
(ブラシ洗浄装置)
ブラシ洗浄装置2は、アルミニウム合金板1の表面から圧延油および摩耗粉を除去する装置で、スプレーノズル22およびブラシロール25を室内に配置した洗浄室21と、タンク23と、ろ過器26と、を備える。
スプレーノズル22は、アルカリ液24をアルミニウム合金板1に吹きかけるもので、アルミニウム合金板1の上下方向に単数本または複数本、かつ、アルミニウム合金板1の流動方向に単数列または複数列で配置されることが好ましい。タンク23は、スプレーノズル22に供給されるアルカリ液24を収容するもので、洗浄室21外に配置されることが好ましい。ろ過器26は、洗浄室21に回収されたアルカリ液24から摩耗粉をろ過するものである。なお、ろ過器26でろ過されたアルカリ液24は、タンク23に戻される。また、スプレーノズル22は、アルカリ液24をブラシロール25の前方でアルミニウム合金板1に吹きかけるパターンの他に、ブラシロール25にアルカリ液24を吹きかけてアルカリ液24をブラシロール25と一緒にアルミニウム合金板1に接触させるパターン、ブラシロール25の後方からブラシロール25とアルミニウム合金板1の接触部に斜めに吹きかけるパターンであってもよい。
ブラシロール25は、アルミニウム合金板1の繰入繰出に使用されるロールに市販のブラシを取り付けたロールで、対面するロール間にアルミニウム合金板1を通過させることで、アルカリ液24とブラシロール25とで圧延油および摩耗粉を除去するものである。ブラシとしては、合成樹脂製ブラシが用いられ、特にナイロン樹脂製ブラシが好ましい。また、ブラシは、ナイロン樹脂製ブラシ内に砥材を含有させてもよい。ブラシは、繊維を異なる本数で束ねることで太さ・硬さの異なる毛を作製し、それらを任意の割合で織り込んだものでもよい。ブラシロール25は、ロール表面にブラシを等間隔で設けたものが好ましい。
(熱処理装置)
熱処理装置3は、アルミニウム合金板1に、溶体化処理または焼鈍処理を施す加熱炉である。アルミニウム合金板1がAl-Mg系合金(5000系合金)からなる際に焼鈍処理が施され、アルミニウム合金板1がAl-Mg-Si系合金(6000系合金)からなる際に溶体化処理が施される。
(アルカリ洗浄装置)
アルカリ洗浄装置4は、アルミニウム合金板1の表面の圧延油を除去する装置で、アルミニウム合金板1の表面にアルカリ液43を吹きかけるスプレーノズル41と、アルカリ液43を収容するタンク42と、を備える。また、スプレーノズル41は、アルミニウム合金板1の上下方向に単数本または複数本、かつ、アルミニウム合金板1の流動方向に単数列または複数列で配置される。アルカリ洗浄装置4は、アルミニウム合金板1を浸漬する図示しないアルカリ浴であってもよい。
(酸洗浄装置)
酸洗浄装置5は、アルミニウム合金板1の表面の酸化皮膜を除去する装置で、アルミニウム合金板1の表面に酸液53を吹きかけるスプレーノズル51と、酸液53を収容するタンク52と、を備える。また、スプレーノズル51は、アルミニウム合金板1の上下方向に単数本または複数本、かつ、アルミニウム合金板1の流動方向に単数列または複数列で配置される。酸洗浄装置5は、アルミニウム合金板1を浸漬する図示しない酸浴であってもよい。
(表面処理装置)
表面処理装置6は、アルミニウム合金板1の使用時の脱脂性、化成処理性、接着性を向上させるために、Zr系、TiZr系の表面処理剤などを用いて、アルミニウム合金板1の表面に表面改質膜を形成させるための装置で、常用の装置が使用される。
(塗油装置)
塗油装置7は、アルミニウム合金板1を保管する際、表面状態が経時変化しないように、アルミニウム合金板1の表面に防錆油73を塗布するための装置で、防錆油73をアルミニウム合金板1の表面に吹きかけるスプレーノズル71と、防錆油73を収容するタンク72と、を備える。また、スプレーノズル71は、アルミニウム合金板1の上下方向に単数本または複数本、かつ、アルミニウム合金板1の流動方向に単数列または複数列で配置される。塗油装置7は、アルミニウム合金板1を浸漬する防錆油浴であってもよい。
図示しないが、洗浄装置100は、ブラシ洗浄装置2の前方に、熱処理装置3を配置してもよい。また、洗浄装置100は、アルカリ洗浄装置4、酸洗浄装置5の後方に、温水洗浄装置および乾燥機を配置し、乾燥機の後方に表面処理装置6、塗油装置7を配置してもよい。
<洗浄方法>
本発明に係るアルミニウム合金板の洗浄方法の実施形態について、図1、図2を参照して詳細に説明する。なお、洗浄装置の構成については、図3を参照する。
図1、図2に示すように、本発明に係るアルミニウム合金板の洗浄方法は、準備工程S1と、ブラシ洗浄工程S2と、を含み、好ましくは、さらに熱処理工程S3と、アルカリ洗浄工程S4と、酸洗浄工程S5と、を含む。
図1に示すように、本発明に係るアルミニウム合金板の洗浄方法は、準備工程S1と、ブラシ洗浄工程S2と、熱処理工程S3と、アルカリ洗浄工程S4と、酸洗浄工程S5と、をこの順で行うことが好ましい。
また、図2に示すように、本発明に係るアルミニウム合金板の洗浄方法は、準備工程S1と、熱処理工程S3と、ブラシ洗浄工程S2と、アルカリ洗浄工程S4と、酸洗浄工程S5と、をこの順で行うことが好ましい。以下、2つの洗浄方法の各工程について説明する。
(準備工程)
準備工程S1は、アルミニウム合金からなる圧延後のアルミニウム合金板1を準備する工程である。
ここで、アルミニウム合金は、アルミニウム合金板1の用途に応じて、JISに規定される、または、JISに近似する種々のアルミニウム合金から適宜選択される。例えば、アルミニウム合金は、純アルミニウム(1000系)、Al-Mn系合金(3000系)、Al-Si系合金(4000系)、Al-Mg系合金(5000系)、Al-Cu-Mg系合金(2000系)、Al-Mg-Si系合金(6000系)、Al-Zn-Mg系合金(7000系)である。自動車パネル材に使用されるアルミニウム合金としては、Al-Mg系合金(5000系)またはAl-Mg-Si系合金(6000系)が好ましい。
圧延後のアルミニウム合金板1は、常法により製造されたものである。例えば、アルミニウム合金板は、所定の成分組成に溶解調整されたアルミニウム合金溶湯を通常の溶解鋳造法で鋳造し、このアルミニウム合金鋳塊に均質化熱処理を施した後、熱間圧延および冷間圧延、必要により中間焼鈍を施して板材に製造されたものである。
(ブラシ洗浄工程)
ブラシ洗浄工程S2は、ブラシ洗浄装置2を用いて、アルカリ液24とブラシロール25とでアルミニウム合金板1の表面を洗浄する工程である。具体的には、ブラシ洗浄工程S2は、圧延後のアルミニウム合金板1の表面に、スプレーノズル22からアルカリ液24を吹きかけ、アルカリ液24が塗られたアルミニウム合金板1を対面するブラシロール25の間を通過させて、アルミニウム合金板1の表面を洗浄する工程である。この工程で、アルカリ液24とブラシロール25とを併用して洗浄を行うことによって、アルミニウム合金板1の表面に付着した圧延油および摩耗粉が除去される。また、スプレーノズル22からのアルカリ液24の吹きかけは、ブラシロール25の前方でアルミニウム合金板1に吹きかけるパターンの他に、ブラシロール25にアルカリ液24を吹きかけてアルカリ液24をブラシロール25と一緒にアルミニウム合金板1に接触させるパターン、ブラシロール25の後方からブラシロール25とアルミニウム合金板1の接触部に斜めに吹きかけるパターンであってもよい。なお、圧延油および摩耗粉は、アルミニウム合金板1の表面全体に付着し、摩耗粉の大きさは、数μm~数十μm程度である。
ここで、アルカリ液24は、0.1~5.0質量%の炭酸ナトリウム溶液、0.1~5.0質量%の珪酸ナトリウム溶液、0.1~5.0質量%のリン酸ナトリウム溶液、0.01~5.0質量%の水酸化ナトリウム溶液、または、前記溶液の2種以上を組み合わせた混合溶液等が好ましい。アルカリ液24のpHは9~13、温度は40~70℃であることが好ましい。アルカリ液24のpHおよび温度が前記範囲であると、圧延油および摩耗粉の除去性が向上する。
洗浄時間は、アルミニウム合金板1がブラシロール25を通過する時間で定義され、0.01~3.0秒であることが好ましい。洗浄時間が前記範囲であれば、圧延油および摩耗粉の除去性が向上すると共に、アルカリ液24の接触時間が長くなることによって発生するアルミニウム合金板1のエッチングがなくなり、変色やスマットの発生が抑制される。
(熱処理工程)
熱処理工程S3は、熱処理装置3を用いて、アルミニウム合金板1を熱処理としての溶体化または焼鈍する工程である。この工程で、溶体化処理または焼鈍処理を行うことによって、アルミニウム合金板1の成形性および強度を調整することが可能である。
熱処理としての溶体化処理は、溶け込んでいない元素を組織中に溶け込ませる加熱処理である。溶体化処理は、アルミニウム合金板1がAl-Cu-Mg系合金(2000系)、Al-Mg-Si系合金(6000系)、Al-Zn-Mg系合金(7000系)などの熱処理型アルミニウム合金からなる場合に行うものであり、6000系であれば500~550℃程度で行う。
熱処理としての焼鈍処理は、加工硬化分を部分的に除去する、あるいは組織を再結晶化させる加熱処理である。焼鈍処理は、アルミニウム合金板1が純アルミニウム(1000系)、Al-Mn系合金(3000系)、Al-Si系合金(4000系)、Al-Mg系合金(5000系)などの非熱処理型アルミニウム合金からなる場合に行うものであり、5000系であれば400~500℃程度で行う。
(アルカリ洗浄工程)
アルカリ洗浄工程S4は、アルカリ洗浄装置4を用いて、アルミニウム合金板1の表面にアルカリ液を接触させて、アルミニウム合金板1の表面を洗浄する工程である。具体的には、アルカリ洗浄工程S4は、スプレーノズル41からアルカリ液43をアルミニウム合金板1に吹きかける工程であるが、図示しないアルカリ浴にアルミニウム合金板1を浸漬させてもよい。この工程で、アルカリ液43を用いて洗浄を行うことによって、アルミニウム合金板1の表面に残存する圧延油が除去される。
ここで、アルカリ液43は、0.5~5.0質量%の炭酸ナトリウム溶液、0.5~5.0質量%の珪酸ナトリウム溶液、0.5~5.0質量%のリン酸ナトリウム溶液、0.1~1.0質量%の水酸化ナトリウム溶液、または、前記溶液の2種以上を組み合わせた混合溶液等が好ましい。アルカリ液43のpHは9~13、温度は40~70℃であることが好ましい。アルカリ液43のpHおよび温度が前記範囲であると、圧延油の除去性が向上する。
(酸洗浄工程)
酸洗浄工程S5は、酸洗浄装置5を用いて、アルミニウム合金板1の表面に酸液53を接触させて、アルミニウム合金板1の表面を洗浄する工程である。具体的には、酸洗浄工程S5は、スプレーノズル51から酸液53をアルミニウム合金板1に吹きかける工程であるが、図示しない酸浴にアルミニウム合金板1を浸漬させてもよい。この工程では、酸液53を用いて洗浄を行うことによって、アルミニウム合金板1の表面に形成された酸化皮膜が除去される。
ここで、酸液53は、0.1~20質量%の無機酸水溶液、例えば、硝酸水溶液、硫酸水溶液、フッ化水素酸などが好ましく、硝酸と硫酸とフッ化水素酸の混酸水溶液でもよい。また、酸液53は、無機酸水溶液に微量の界面活性剤などを添加したものであってもよい。酸液53のpHは1~4、温度は40~70℃であることが好ましい。酸液53のpHおよび温度が前記範囲であると、酸化皮膜の除去性が向上する。
本発明に係るアルミニウム合金板の洗浄方法は、前記工程に加えて、酸洗浄工程S5の終了後に表面処理工程、塗油工程などを行ってもよい。表面処理工程は、表面処理装置6を用いて、アルミニウム合金板1の表面に表面改質膜を常法で形成する工程である。塗油工程は、塗油装置7を用いて、アルミニウム合金板1の表面に防錆油を吹きかける工程である。また、塗油工程は、防錆油浴にアルミニウム合金板1を浸漬する工程であってもよい。
なお、本発明に係るアルミニウム合金板の洗浄方法は、準備工程S1とブラシ洗浄工程S2との間に熱処理工程S3を行ってもよい。その場合、前記したように、熱処理工程S3では、準備工程S1で準備された圧延後のアルミニウム合金板1のアルミニウム合金が熱処理型アルミニウム合金である場合には溶体化処理を行い、非熱処理型アルミニウム合金である場合には焼鈍処理を行う。
次に、本発明の実施例について説明する。
常法により、厚さ1.0mmのアルミニウムJIS合金である5182合金または6016合金からなる表面形態MF(Mill Finish)の供試材(No.1~15)を作製した。なお、表面形態MFは、通常の圧延ロールを使用した圧延板であることを示す。
作製した供試材(No.1~15)について、図3に示すブラシ洗浄装置2を用いて、表2、表3に示す条件で洗浄した。なお、ブラシロールとしては、ナイロン製ブラシを備えた市販のロールを使用した。
洗浄された供試材(No.1~15)について、以下の手順で圧延油および摩耗粉の除去性について評価した。その結果を表2、表3に示す。
(圧延油の除去性)
圧延油の除去性については、水濡れ面積率で評価した。
各供試材を、30秒間水洗(流水)した後の供試材面積に対する水濡れ面積率(表裏の平均)を測定した(良好な程、高い数値となり、完全に水濡れする場合は100%となる)。各供試材は、それぞれ3枚とし、水濡れ面積率は、これらの平均値とした。なお、水漏れ面積率が40%以上のものを、圧延油の除去性が良好、40%未満のものを、圧延油の除去性が不良とした。
(摩耗粉の除去性)
摩耗粉の除去性については、摩耗粉量で評価した。
摩耗粉量としては、明度L値と摩耗粉量の相関式より求めた摩耗粉量計算値を使用した。相関式は、以下に示す方法で求めた。
常法により、表1に示すアルミニウム合金板からなる試験材(No.A~D)を作製した。なお、表1において、表面形態EDTは、放電ダル(Electric Discharge Textured)加工ロールを使用した圧延板であることを示す。作製した試験材(No.A~D)について、供試材(No.1~15)と同様に、図3に示すブラシ洗浄装置2を用いて洗浄した。なお、洗浄液としては温度約70℃の温水を使用し、ブラシロールとしてはナイロン製ブラシを備えた市販のロールを使用して約0.04秒ブラッシングした。
洗浄された試験材(No.A~D)について、試験材表面に市販のテープを貼り、摩耗粉をテープに転写させた後に剥がした。次に、白色の紙に摩耗粉を転写させたテープを三枚重ねて貼り付け、色差計を用いて白さの程度を明度L値で測定した。その結果を表1に示す。
明度L値を求めた試験材(No.A~D)を用い、100mm×100mmの範囲の試験材表面を、ヘキサンを染み込ませた4cm×4cmの脱脂綿で1分間の拭取りを行うことで摩耗粉を採取した。摩耗粉を採取した脱脂綿を50℃に加温した塩酸と硝酸の混合液に30分間浸漬することで摩耗粉を溶解させ、抽出液をICP発光分光分析によりアルミニウム摩耗粉量を定量した。その結果を表1に示す。測定した明度L値と定量した摩耗粉量より、相関式を求め、図4に示す。
次に、洗浄された供試材(No.1~15)について、試験材(No.A~D)と同様に摩耗粉を転写させたテープの明度L値を測定し、その明度L値から図4に示す相関式(明度L値を「y」、摩耗粉量を「x」とした際、y=-0.024x+88.708)を用いて摩耗粉量を計算した。なお、アルミニウム摩耗粉量が65mg/m以下のものを、摩耗粉の除去性が良好、65mg/mを超えるものを、摩耗粉の除去性が不良とした。
Figure 0007152245000001
Figure 0007152245000002
表2の結果から、供試材No.1~5(実施例)は、本発明の要件を満足するため、圧延油の除去性が良好で、摩耗粉の除去性も良好であった。これに対し、供試材No.6は、アルカリ液を使用しているため、圧延油の除去性は良好であったが、ブラシロールを使用していないため、摩耗粉の除去性が不良であった。供試材No.7は、アルカリ液を使用しているが、ブラシロールを使用していないため、摩耗粉の除去性、および、圧延油の除去性が不良であった。供試材No.8は、アルカリ液およびブラシロールを使用していないため、摩耗粉の除去性、および、圧延油の除去性が不良であった。
Figure 0007152245000003
表3の結果から、供試材No.9~12(実施例)は、本発明の要件を満足するため、圧延油の除去性が良好で、摩耗粉の除去性も良好であった。これに対し、供試材No.13は、ブラシロールを使用しているため、摩耗粉の除去性は良好であったが、アルカリ液を使用していないため、圧延油の除去性が不良であった。供試材No.14は、アルカリ液を使用しているため、圧延油の除去性は良好であったが、ブラシロールを使用していないため、摩耗粉の除去性が不良であった。供試材No.15は、アルカリ液を使用しているが、ブラシロールを使用していないため、摩耗粉の除去性、および、圧延油の除去性が不良であった。
1 アルミニウム合金板
2 ブラシ洗浄装置
21 洗浄室
22 スプレーノズル
23 タンク
24 アルカリ液
25 ブラシロール
3 熱処理装置
4 アルカリ洗浄装置
41 スプレーノズル
42 タンク
43 アルカリ液
5 酸洗浄装置
51 スプレーノズル
52 タンク
53 酸液
6 表面処理装置
7 塗油装置
71 スプレーノズル
72 タンク
73 防錆油
8 繰出装置
10 繰入装置
S1 準備工程
S2 ブラシ洗浄工程
S3 熱処理工程
S4 アルカリ洗浄工程
S5 酸洗浄工程

Claims (4)

  1. アルミニウム合金からなる圧延後のアルミニウム合金板を準備する準備工程と、前記準備工程の終了後に、前記アルミニウム合金板の表面にアルカリ液を接触させながらブラシロールで前記表面を洗浄するブラシ洗浄工程と、前記ブラシ洗浄工程の終了後に、前記アルミニウム合金板を溶体化または焼鈍する熱処理工程と、を含むことを特徴とするアルミニウム合金板の洗浄方法。
  2. さらに、前記準備工程の終了後に前記アルミニウム合金板にアルカリ液を接触させて前記アルミニウム合金板の表面を洗浄するアルカリ洗浄工程と、前記アルミニウム合金板の表面に酸液を接触させて前記アルミニウム合金板の表面を洗浄する酸洗浄工程と、を含む請求項1に記載のアルミニウム合金板の洗浄方法。
  3. 前記準備工程に続いて、前記ブラシ洗浄工程と、前記熱処理工程と、前記アルカリ洗浄工程と、前記酸洗浄工程と、をこの順で行うことを特徴とする請求項2に記載のアルミニウム合金板の洗浄方法
  4. 前記アルミニウム合金は、Al-Mg系合金またはAl-Mg-Si系合金であることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のアルミニウム合金板の洗浄方法。
JP2018196638A 2018-04-17 2018-10-18 アルミニウム合金板の洗浄方法 Active JP7152245B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018079264 2018-04-17
JP2018079264 2018-04-17

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019181450A JP2019181450A (ja) 2019-10-24
JP7152245B2 true JP7152245B2 (ja) 2022-10-12

Family

ID=68338761

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018196638A Active JP7152245B2 (ja) 2018-04-17 2018-10-18 アルミニウム合金板の洗浄方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7152245B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111809127B (zh) * 2020-07-17 2021-11-30 河南明晟新材料科技有限公司 一种扬声器铝质振膜用铝合金箔材的制备方法
WO2023176959A1 (ja) * 2022-03-17 2023-09-21 奥野製薬工業株式会社 含ケイ素アルミニウム合金用スマット除去剤、及び、含ケイ素アルミニウム合金のスマット除去方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003321787A (ja) 2002-04-26 2003-11-14 Kobe Steel Ltd 金属板の脱脂方法およびその脱脂装置
JP2013032591A (ja) 2004-10-29 2013-02-14 Showa Denko Kk 電解コンデンサ電極用アルミニウム材の製造方法、電解コンデンサ電極用アルミニウム材、アルミニウム電解コンデンサ用陽極材およびアルミニウム電解コンデンサ
JP2013133526A (ja) 2011-12-27 2013-07-08 Kao Corp 鋼板用洗浄剤

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS51119323U (ja) * 1975-03-22 1976-09-28
JPS5976564U (ja) * 1982-11-15 1984-05-24 日本鋼管株式会社 ストリツプのアルカリ洗浄装置
JPS61227177A (ja) * 1985-03-30 1986-10-09 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 食品缶用アルミニウム合金板の塗装下地処理方法
JPH01111889A (ja) * 1987-10-26 1989-04-28 Kao Corp 金属洗浄用水溶液組成物
JPH0759755B2 (ja) * 1988-05-02 1995-06-28 スカイアルミニウム株式会社 耐系錆性に優れた自動車用A▲l▼合金塗装板の製造方法
JPH07113153A (ja) * 1993-10-18 1995-05-02 Nippon Steel Corp アルミニウム板の連続熱処理及び表面処理設備
JP3233787B2 (ja) * 1994-08-10 2001-11-26 川崎製鉄株式会社 圧延鋼帯のアルカリ脱脂方法
JPH09195019A (ja) * 1996-01-12 1997-07-29 Sumitomo Light Metal Ind Ltd アルミニウム合金板の連続処理方法および装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003321787A (ja) 2002-04-26 2003-11-14 Kobe Steel Ltd 金属板の脱脂方法およびその脱脂装置
JP2013032591A (ja) 2004-10-29 2013-02-14 Showa Denko Kk 電解コンデンサ電極用アルミニウム材の製造方法、電解コンデンサ電極用アルミニウム材、アルミニウム電解コンデンサ用陽極材およびアルミニウム電解コンデンサ
JP2013133526A (ja) 2011-12-27 2013-07-08 Kao Corp 鋼板用洗浄剤

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019181450A (ja) 2019-10-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4970429B2 (ja) リソストリップのコンディショニング
JP4201600B2 (ja) 金属表面の被覆方法および該方法により被覆した支持体の使用
JP7152245B2 (ja) アルミニウム合金板の洗浄方法
JPH09508177A (ja) 高度に反射性の表面を有するアルミニウム合金からスマットを除去する方法
JP5001359B2 (ja) アルミニウムワークピースの洗浄方法
JPH08325689A (ja) 潤滑性、化成処理性に優れた溶融亜鉛系めっき熱延鋼板の製造設備
JP4308572B2 (ja) 熱交換器用アルミニウム合金製基体の表面処理方法およびこの方法により製造された熱交換器
JP7216097B2 (ja) アルミニウム合金からなる形材、圧延されたストリップおよび薄板のためのピックリング方法
JPH0759755B2 (ja) 耐系錆性に優れた自動車用A▲l▼合金塗装板の製造方法
JPH04218681A (ja) アルミニウムと鋼材を組み合わせた成形物の表面処理方法および処理液
JP6378553B2 (ja) 皮膜の剥脱時のスマット除去の方法
JP2786388B2 (ja) ステンレス研磨製品の製造方法及び製造装置
US6881282B2 (en) Method of manufacturing a chromed bumper
JPH0432583A (ja) 塗装性に優れたAl板の製造方法
JP5436782B2 (ja) アルミホイールの製造方法、およびアルミホイール
JPS61190098A (ja) カチオン電着塗装方法
JP2005152935A (ja) 溶融亜鉛めっき鋼帯の製造方法、調質圧延装置および連続溶融めっき設備
JPH0790689A (ja) 熱交換器用フィン材の製造方法
JPH0432585A (ja) 塗装性に優れたアルミニウム板の製造方法
JP3175475B2 (ja) 無塗装AlまたはAl合金部材、製造方法、洗浄方法、耐汚染性向上方法および表面被覆方法
JPH0257692A (ja) 自動車用アルミニウム合金部材
JP4681398B2 (ja) 化成処理性に優れたアルミニウム合金材およびその洗浄方法
US20220090269A1 (en) Continuous surface treatment for coils made of aluminum alloys sheets
JP3330078B2 (ja) 成形加工性に優れたプレコートアルミニウム条材の製造方法
JPS6036473B2 (ja) 鋼材の塗装前処理剤及び塗装前処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201130

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210914

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210928

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211117

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20220218

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220412

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220603

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220920

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220929

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7152245

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150