JPH0759755B2 - 耐系錆性に優れた自動車用A▲l▼合金塗装板の製造方法 - Google Patents

耐系錆性に優れた自動車用A▲l▼合金塗装板の製造方法

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JPH0759755B2 JP63109787A JP10978788A JPH0759755B2 JP H0759755 B2 JPH0759755 B2 JP H0759755B2 JP 63109787 A JP63109787 A JP 63109787A JP 10978788 A JP10978788 A JP 10978788A JP H0759755 B2 JPH0759755 B2 JP H0759755B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は自動車のボディパネル等として使用される自
動車用Al合金塗装板の製造方法に関するものである。
従来の技術 従来一般に自動車のボディパネルとしては鋼板を用いる
のが通常であったが、最近では寒冷地における凍結防止
剤散布による腐食防止のための耐食性向上の要求や燃費
向上のための軽量化の要求がますます強くなってきてお
り、そこで例えばZnめっきやZn合金めっき等の金属めっ
きを施した表面処理鋼板や、薄くて強度の高い高張力鋼
板を自動車のボディパネルに適用することなどが進めら
れている。しかしながら鋼を素材としている限りは、耐
食性向上や軽量化も限界があるのが実状である。
そこで鋼板に代えて、鋼よりも材料特性として耐食性と
して耐食性が優れかつ軽量であるアルミニウム合金を自
動車用ボディパネル等に適用することが考えられ、一部
では実用化も開始されている。
ところで自動車のボディパネルは塗装を施して用いるの
が通常であり、アルミニウム合金板をボディパネルに使
用する場合、先ず前処理として板表面に付着している圧
延油や油脂類を除去するために脱脂処理を行ない、次い
で水洗した後塗膜の下地に対する密着性向上および塗装
下地の耐食性向上のために化成処理を行なって化成膜を
生成させ、その後電着塗装を行ない、さらに中塗り塗装
および仕上塗り塗装を施すのが一般的である。ここで、
従来アルミニウム合金板の脱脂処理にはアルカリ脱脂処
理液としてケイ酸ソーダ(Na2SiO3)を用いるのが一般
的であり、また化成処理としてはクロメート処理および
/またはリン酸亜鉛処理を施して化成皮膜を生成するの
が一般的である。
発明が解決すべき問題点 アルミニウム合金はそれ自体で鋼よりも耐食性が優れて
おり、したがって塗装を施した板としてもアルミニウム
合金塗装板は鋼板塗装板により耐食性が優れてはいる
が、自動車用ボディパネルとして考慮した場合、アルミ
ニウム合金塗装板は未だ満足できる程度に耐食性が優れ
ているとは言えなかった。すなわち、自動車ボディパネ
ルとして使用した場合、凍結防止剤が散布された道路や
海浜地区など極めて苛酷な腐食環境下で長時間使用すれ
ば、アルミニウム合金塗装板であっても糸錆が発生し易
く、特に美的外観が強く求められる自動車用ボディパネ
ルとしては未だ耐食性が充分とは言い得なかったのだが
実情である。
そこでアルミニウム合金塗装板の耐食性、特に耐糸錆性
の向上を図る技術の開発が強く求められており、素材で
あるアルミニウム合金の成分面での改良や塗装下地膜で
ある化成皮膜についての改良、あるいは塗装技術、塗料
の改良などが試みられているが、いずれもその効果に限
界があった。
ところで塗装前処理としての脱脂処理は、従来は要はア
ルミニウム合金板表面に付着している防錆油や圧延油等
の油脂類さえ除去できれば良いと考えられ、表面の油脂
類が完全に除去されるような脱脂処理であれば、塗装板
の耐食性を劣化させる要因は脱脂処理には特に存在しな
いと考えられていた。しかしながら本発明者等がアルミ
ニウム合金板の脱脂処理について詳細に実験・検討を重
ねたところ、脱脂処理直後の板の表面状況が塗装板にお
ける糸錆の発生に大きく影響していることを見出し、こ
の発明をなすに至ったのである。
したがってこの発明は、自動車のボディパネル等の塗装
板として、優れた耐糸錆性を示すことが可能な、自動車
用アルミニウム合金塗装板を得るための製造方法を提供
することを目的とするものである。またこの発明は、塗
装用アルミニウム合金板の製造工程内での処理によっ
て、最終的な塗装板の状態での耐糸錆性を向上させ、こ
れによって、実際に塗装や塗装前処理を行なう自動車メ
ーカーなどのユーザー(アルミニウム合金板を実際に自
動車部品に加工、塗装するユーザー)側における耐糸錆
性向上のための処理の負担を軽減することをも目的とし
ている。
問題点を解決するための手段 この発明の請求項1記載の自動車用アルミニウム合金塗
装素板の製造方法は、基本的には、塗装用Al合金板を常
法により製造するにあたってその製造工程中における30
0℃以上でかつ30分以上の熱処理をそれ以降行なわなく
なった段階で、Al合金に対するエッチング性を有する脱
脂処理剤を用いて脱脂処理を行なって、Al合金表面の酸
化膜および表面不良部を除去し、その後、化成処理とし
てクロメート処理もしくはリン酸亜鉛処理を施してから
電着塗装を施すことを特徴とするものである。
ここで、上述の樹脂処理においては脱脂処理剤がエッチ
ング性を有するところから、Al合金板表面がエッチング
されるが、そのエッチング深さは平均0.5μm以上とす
ることが好ましい。
作用 先ずアルミニウム合金塗装板における耐糸錆性と、脱脂
処理後のアルミニウム合金板の表面状況との関係につい
て、本発明者等が新規に見出した知見について述べる。
既に述べたように、従来のアルミニウム合金板の脱脂処
理においては、アルカリ脱脂処理剤としてケイ酸ソーダ
を用いているが、ケイ酸ソーダを用いた場合、アルミニ
ウム合金板の表面に付着している油脂類は除去される
が、アルミニウム合金板自体はほとんどエッチング溶解
されないことが判明した。
一方、種々の脱脂処理剤を用いて脱脂処理を行なった
後、化成処理を施してから電着塗装、中塗り塗装、上塗
り塗装を施したアルミニウム合金塗装板について、それ
ぞれ耐糸錆性を評価し、脱脂処理よるアルミニウム合金
板表面のエッチング量との塗装板での耐糸錆性との関係
を調べたところ、脱脂処理によるエッチング量がほとん
ど零の場合には塗装板での耐糸錆性が低く、脱脂処理で
のエッチング量がある程度以上あれば塗装板での耐糸錆
性が著しく良好となることを新規に見出した。
このことから、脱脂処理剤としてエッチング性を有する
ものを用いて、脱脂処理時にアルミニウム合金板表面を
エッチング溶解させることにより、塗装板における耐糸
錆性の向上を図り得ることを見出した。
さらに、上述のような脱脂処理時のエッチング溶解によ
る塗装板での耐糸錆性の向上効果は、その脱脂処理が所
定の製品板厚、製品強度に仕上げられた塗装用アルミニ
ウム合金板に対する塗装前処理としてのものでなくて
も、塗装用アルミニウム合金板の製造工程中途において
実施した場合にも得られることを見出した。すなわち、
塗装用アルミニウム合金板の通常の製造工程中途であっ
ても、それ以降に300℃以上でしかも30分以上の熱処理
を行なわないような段階であれば、その段階でエッチン
グ性を有する脱脂処理剤を用いてのエッチング溶解を伴
った脱脂処理を行ない、その段階までに発生した厚くま
た不均一な酸化皮膜や、油焼付層その他の汚染層などの
表面不良部を除去しておくことにより、最終的に塗装用
アルミニウム合金板とした後の塗装処理工程において化
成処理皮膜をほぼ均一にむらなく形成することができ、
そのため塗膜の密着性も均一かつ良好となるとともに塗
装欠陥も少なくなり、糸錆発生を防止することができる
ことを見出し、この発明をなすに至ったのである。
またここで本発明等の実験によれば、エッチング性を有
する脱脂処理剤を用いての脱脂処理において、アルミニ
ウム合金板の表面のエッチング深さが平均0.5μm以上
であれば、塗装板で実用上充分な対糸錆性が得られるこ
とが判明しており、したがってエッチング深さが平均0.
5μm以上となるように脱脂処理時のエッチング溶解量
を制御することが望ましい。
上述のように塗装用アルミニウム合金板製造工程中での
脱脂処理時においてエッチング性のある脱脂処理剤を用
いて積極的にアルミニウム合金表面をエッチング溶解さ
せることによって、塗装板での耐糸錆性が向上する理由
は次のように考えられる。
すなわち、塗装用アルミニウム合金板に対する塗装処理
工程におけるクロメート処理もしくはリン酸鉛処理によ
って生成される化成処理皮膜は、アルミニウム合金板基
板と塗膜との密着性向上に大きな役割を果たしている。
化成処理皮膜が均一にむらなく緻密に形成されていれ
ば、次工程の電着塗装において塗膜が均一に優れた密着
性をもって生成され、その場合には塗装板での耐食性が
良好となり、糸錆の発生のおそれは少なくなる。これに
対して化成処理皮膜にむらがあれば、塗膜の密着性が劣
る部分や塗膜欠陥が生じたりし、このような塗膜の密着
性が劣る部分や塗膜欠陥の部分で糸錆が発生する。しか
るに、塗装用アルミニウム合金板製造工程での脱脂処理
においてアルミニウム合金板表面がほとんどエッチング
されない場合、酸化皮膜や表面不良部(油焼付層やその
他の汚染層など)がほとんど除去されずに残っているた
め、化成処理工程において皮膜生成が均一に進行せず、
そのためむらのある不均一な化成処理皮膜が生成されて
しまい、これにより塗膜にも密着性の劣る部分や塗膜欠
陥が生じ、その部分で糸錆が発生し易くなる。これに対
してアルミニウム合金板製造工程における脱脂処理時に
その表面をエッチング溶解させて酸化皮膜や表面不良部
を除去しておけば、化成処理皮膜をほぼ均一にむらなく
生成させることができ、そのため塗膜の密着性も均一で
かつ良好でまた塗膜欠陥も少なくなり、糸錆発生のおそ
れが少なくなる。そして特に脱脂処理におけるエッチン
グ量が平均エッチング深さにして0.5μm以上であれ
ば、このような傾向が顕著となり、糸錆発生を実用上充
分な程度まで防止することができるのである。
上述のような脱脂処理時のエッチング溶解による塗装板
での耐糸錆性の向上効果は、前述のようにその脱脂処理
が塗装用アルミニウム合金板の通常の製造工程中途であ
っても、それ以降に300℃以上でしかも30分以上の熱処
理を行なわないような段階であれば、その段階でエッチ
ング性を有する脱脂処理剤を用いての脱脂処理を行な
い、その段階までに発生した酸化皮膜や表面不良部を除
去しておくことにより、塗装用アルミニウム合金板とし
た後の塗装処理工程において化成処理皮膜をほぼ均一に
むらなく形成することができ、そのため塗膜の密着性も
均一かつ良好となるとともに塗膜欠陥も少なくなり、糸
錆発生を防止することができる。
但し、エッチング性を有する脱脂処理剤による脱脂処理
後に、300℃以上でしかも30分以上の熱処理を行なえ
ば、表面に再び酸化膜が厚くあるいは不均一に生成され
たり表面不良部が発生したりしてしまい、そのため前述
のような効果が得られなくなる。したがって塗装用アル
ミニウム合金板の製造工程中途でエッチング性を有する
脱脂処理剤を用いて脱脂処理を行なう場合は、それ以後
に300℃以上でかつ30分以上の熱処理をもはや行なわな
くなった段階とする必要がある。
ここで、脱脂処理後に300℃未満もしくは30分未満の熱
処理を行なった場合でも、熱処理条件によっては表面に
酸化皮膜が生成されることがあるが、300℃未満もしく
は30分未満の熱処理で生成される酸化皮膜は薄くかつ均
一で、表面に大きな凹凸が生じたりすることなく、表面
性状も良好に保たれるから、脱脂処理後の熱処理が300
℃未満もしくは30分未満であれば、その後に生成される
化成処理皮膜の均一性を損なうことがなく、また塗膜の
密着性も均一かつ良好となって、充分な耐糸錆性を確保
することができる。
なお前述のような脱脂処理剤によるエッチング溶解にお
いては、アルミニウム合金板表面に微細な凹凸が生じ、
この微細な凹凸は表面積を増加させるとともに、後の電
着塗装においてアンカー効果を担う役割を果たし、した
がってこのこともエッチング性を有する脱脂処理剤を用
いた脱脂処理による塗膜密着性の向上、ひいては耐糸錆
性の向上に寄与する。
また前述のようなエッチングを伴なう脱脂処理を行なっ
た後のアルミニウム合金板表面には、スマット(Alを溶
解した後の溶解残渣物)が存在することがあるが、その
後の化成処理においては、酸性クロメート処理液もしく
はリン酸亜鉛処理液によってそのスマットが溶解されて
除去されてしまうから、エッチングを伴なう脱脂処理に
よるスマットが塗膜の密着性に悪影響を及ぼすことを未
然に防止できる。
なお、アルミニウム合金メーカーにおける塗装用アルミ
ニウム合金板製造工程において前述のようなエッチング
を伴なう脱脂処理を施しておけば、その段階で表面の厚
く不均一な酸化皮膜や表面不良部が除去されているた
め、合金板メーカーからのユーザーへの出荷後、自動車
メーカーなどのユーザー側において塗装前処理として改
めて脱脂処理を行なう場合においても、もはや短時間の
軽い油落とし程度の脱脂処理で足り、そのためユーザー
側において生産性の向上を図ることができるとともに、
ユーザー側での脱脂処理に特殊な処理剤を使用する必要
がなくなって、コスト低減を図ることができる。
発明の実施のための具体的な説明 この発明で対象となるアルミニウム合金の種類は特に限
定されるものでなく、全てのアルミニウム合金に適用可
能であるが、自動車ボディパネルに使用することが考え
られるAl−Mg系合金(JIS 5000番系合金)およびAl−M
g−Si系合金(JIS 6000番系合金)のうちでは、特にAl
−Mg−Si系合金の場合に、塗装前の脱脂処理時にはほと
んどエッチング溶解されない場合の塗装板での耐糸錆性
劣化が著しい。したがってこの発明の方法は、Al−Mg−
Si系合金の場合に最も有効となる。
この発明の方法において使用されるエッチング性を有す
る脱脂処理剤としては、Alが両性であるところから、酸
性のもの、アルカリ性のもの両者いずれも適用可能であ
る。要は、アルミニウム合金表面に存在する防錆油や圧
延油等の油脂類を除去するだけでなく、表面の酸化物層
や、油焼付層その他の汚染層などの表面不良部をエッチ
ング溶解によって除去し、アルミニム合金表面に活性な
面を均一に露呈させるような脱脂処理剤であれば良い。
具体的には、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭
酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、硫
酸ナトリウム(Na2SO4・10H2O)、セスキ炭酸ナトリウ
ム(Na2SO3・NaCO3・2H2O)、あるいはそれらの2種以
上を含有するものを脱脂処理剤として用いれば良い。な
お脱脂処理における処理液の濃度、浸漬時間等の条件は
特に限定しないが、要はアルミニウム合金表面の酸化皮
膜および表面不良部が除去できれば良い。
上述のようにして得られた塗装用アルミニウム合金板に
対して塗装を行なうようにあたっては、クロメート処理
および/またはリン酸亜鉛処理によって化成処理を行な
い水洗した後、電着塗装を行ない、さらに必要に応じて
1層または2層以上の焼付け塗装を行なうのが通常であ
る。
またこの発明の方法の場合、エッチング性を有する脱脂
処理剤による脱脂処理を塗装用アルミニウム合金板の製
造工程において行なっているが、この場合塗装用アミニ
ウム合金板とした後の塗装前処理として、改めて再度樹
脂処理を行なっても良いことは勿論である。但しこの場
合は、既に述べたように塗装用アルミニウム合金板での
脱脂処理はエッチング性がほとんどない脱脂処理剤、例
えばケイ酸ソーダ等を用いた短時間の軽い油落し程度の
処理で足り、このようにしても、製造工程中途での脱脂
処理によるエッチング溶解によってこの発明の目的は充
分に達成されている。
実 施 例 [実施例1] Al−Mg系合金であるJIS 5182合金、およびAl−Mg−Si
系合金であるJIS 6061合金について、通常の製造方法
にしたがって圧延して板厚1.0mmの圧延板とし、その圧
延板について、第1表中のNo.1〜No.14に示すような種
々条件で脱脂処理を行ない、脱脂処理済みの塗装用アル
ミニウム合金板とした。なおこの脱脂処理後は特に圧延
および熱処理は行なわなかった。脱脂処理後、水洗し、
さらに化成処理としてクロメート処理を施し、次いで水
洗および純水洗を行なった後、エポキシ樹脂のカチオン
電着塗装(180℃×20分)を厚さ20μmで行ない、さら
に中塗り塗液としてメラミンアルキド樹脂の焼付塗装
(140℃×30分)を厚さ35μmで行ない、その後上塗り
塗装としてメラミンアルキド樹脂の焼付塗装(140℃×3
0分)を厚さ35μmで行なった。
このようにして得られた塗装試験片について次のような
条件の試験を行ない、耐糸錆性の評価を行なった。
すなわち先ず塗膜にクロスカットを入れて、JIS Z2371
に準拠した塩水霧試験を24時間行ない、続いて湿潤試験
として、温度25℃、湿度85%RHの湿潤雰囲気に42日間放
置し、表面に発生した糸錆の長さにより耐糸錆性を評価
した。その結果を第1表中に示す。なおここで、耐糸錆
性評価は、糸錆の長さが1.0mm以下では良好として◎
印、1.0〜2.0mmでやや良好として○印、2.0〜4.0mmでや
や不良として△印、4mm以上不良として×印を付した。
第1表に示されるように、エッチング性がほとんどない
ケイ酸ナトリウムもしくはそれを主体とする脱脂処理剤
を用いて脱脂処理を行って脱脂処理時におけるエッチン
グ溶解量で零であったNo.13、No.14の比較例では、特に
Al−Mg−Si系合金の場合に塗装板での耐糸錆性が劣って
いた。これに対しエッチング性を有する脱脂処理剤を用
いてエッチング溶解深さが0.5μm以上となった本発明
例(No.1〜No.12)ではいずれも塗装板で良好な耐糸錆
性を示すことが判明した。
[実施例2] 実施例1と同様なAl−Mg系合金およびAl−Mg−Si係合金
について、厚さ1.0mmの最終板を製造する工程の中途に
おいて第2表のNo.15〜No.17に示すような条件で脱脂処
理(第1次)を行ない、その後最終板厚、最終強度に仕
上げて、塗装用Al合金板とし、その塗装用Al合金板につ
いて再度脱脂処理(第2次)を行ない、その後実施例1
と同じ条件で化合処理、電着塗装、中塗り塗装(焼付塗
装)、上塗り塗装(焼付塗装)を行なった。なお塗装用
Al合金板を得るための製造工程としては、鋳塊に対し53
0℃×10時間均熱処理を施した後、530℃×2時間加熱し
て板厚4mmに熱間圧延し、次いで第1次冷間圧延を行な
って板厚2mmとし、さらに350℃×2時間の中間焼鈍を行
なってから第2次冷間圧延を行なって板厚1mmとし、そ
の後540℃に加熱して60秒間保持後1200℃/分の冷却速
度で急冷する溶体化処理を行なった。そしてこのような
製造工程中途における第1次脱脂処理は、中間焼鈍と第
2次冷間圧延との間で行なった。
前述のようにして得られた塗装板について、実施例1の
場合と同様に、塩水噴霧試験および湿潤試験を行ない、
耐糸錆性を評価した。その結果を第2表中に示す。
第2表から明らかなように、塗装用Al合金板を得るため
の製造工程の中途(但しそれ以降に300℃以上でかつ30
分以上の熱処理を施さなくなった段階)においてエッチ
ング性を有する脱脂処理剤を用いて脱脂処理(第1次)
を行ない、その段階で表面をエッチング溶解させた場合
には、塗装用Al合金板に対してエッチング性がほとんど
ないケイ酸ナトリウムを脱脂処理剤として用いて脱脂処
理(第2次)を行なっても、塗装板で充分な耐糸錆性を
得ることができた。
発明の効果 この発明の自動車用アルミニウム合金の塗装板の製造方
法によれば、塗装用アルミニウム合金板の製造工程にお
いてエッチング性を有する脱脂処理剤を用いて脱脂処理
を行なっておくことによって、塗装板の状態で著しく優
れた耐糸錆性を得ることができる。また特にそのエッチ
ングを伴なう脱脂処理を塗装用アルミニウム合金板の製
造工程において行なっておくことにより、アルミニウム
合金板製造メーカーから自動車メーカー等のユーザーに
出荷された後にユーザー側において再度脱脂処理を行な
うあたっても、ユーザー側での脱脂処理の負担を軽減
し、生産性を向上させるとともに、コスト低減を図るこ
とができる。したがってこの発明の方法による自動車用
アルミニウム合金塗装板は、凍結防止が散布された道路
あるいは海浜地区の如く苛酷な腐食環境下で長時間使用
しても糸錆発生のおそれが少なく、しかも自動車用ボデ
ィパネルや各種自動車部品の製造工程の生産性向上やコ
スト低減に有利である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塗装用Al合金板を常法により製造するにあ
    たってその製造工程中における300℃以上でかつ30分以
    上の熱処理をそれ以降行なわなくなった段階で、Al合金
    に対するエッチング性を有する脱脂処理剤を用いて脱脂
    処理を行なって、Al合金表面の酸化膜および表面不良部
    を除去し、その後、化成処理としてクロメート処理もし
    くはリン酸亜鉛処理を施してから電着塗装を施すことを
    特徴とする、耐糸錆性に優れた自動車用Al合金塗装板の
    製造方法。
  2. 【請求項2】前記脱脂処理におけるAl合金の表面のエッ
    チング深さを平均0.5μm以上とする請求項1記載の耐
    糸錆性に優れた自動車用Al合金塗装板の製造方法。
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