JP2005152935A - 溶融亜鉛めっき鋼帯の製造方法、調質圧延装置および連続溶融めっき設備 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ワークロールの目詰まりを防止して、表面外観に優れ、自動車用パネル部品への使用に好適な表面粗さ仕様を有する溶融亜鉛めっき鋼帯の製造に好適な溶融亜鉛めっき鋼帯の製造方法、前記溶融亜鉛めっき鋼帯の製造に好適な調質圧延機および連続溶融めっき設備を提供する。
【解決手段】 溶融亜鉛めっき鋼帯を調質圧延するにあたり、防錆油を表面に塗布した溶融亜鉛めっき鋼帯に対して調質圧延を行う。溶融亜鉛めっき鋼帯の製造方法は、鋼帯を溶融亜鉛浴に浸漬通板してめっきした後、前記亜鉛浴から引き上げてめっき付着量を調整するめっき・付着量調整工程と、付着量調整後の鋼帯表面に防錆油を塗布する防錆油塗布工程と、防錆油を塗布した鋼帯を調質圧延する圧延工程とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】 溶融亜鉛めっき鋼帯を調質圧延するにあたり、防錆油を表面に塗布した溶融亜鉛めっき鋼帯に対して調質圧延を行う。溶融亜鉛めっき鋼帯の製造方法は、鋼帯を溶融亜鉛浴に浸漬通板してめっきした後、前記亜鉛浴から引き上げてめっき付着量を調整するめっき・付着量調整工程と、付着量調整後の鋼帯表面に防錆油を塗布する防錆油塗布工程と、防錆油を塗布した鋼帯を調質圧延する圧延工程とを備える。
【選択図】 図1
Description
この発明は、溶融亜鉛めっき鋼帯の製造方法、調質圧延装置および連続溶融めっき設備に関する。
防錆性の向上の観点から、自動車用パネル部品には亜鉛系めっき鋼帯、特に溶融亜鉛系めっき鋼帯の使用比率が増加している。溶融亜鉛系めっき鋼帯には亜鉛めっき後に合金化処理を施したものと施さないものとがあり、一般に前者は合金化溶融亜鉛めっき鋼帯、後者は溶融亜鉛めっき鋼帯と称される。従来、自動車用パネル部品に使用される溶融亜鉛系めっき鋼帯としては、溶接性および塗装性に優れている特性を生かして、溶融亜鉛めっき後に500℃程度に加熱して合金化処理を施した合金化溶融亜鉛めっき鋼帯が使用されていた。
近年、さらなる防錆性向上の観点から、自動車メーカーでは厚目付けの亜鉛系めっき鋼帯を使用する動きがある。合金化溶融亜鉛めっき鋼帯で厚目付け化すると、合金化不良による焼けムラや過合金化によってめっき−鋼帯界面に脆いΓ相が生成し、加工時にめっき剥離が発生しやすくなるという問題があるため、厚目付けの合金化溶融亜鉛めっき鋼帯を製造することは非常に困難である。
厚目付け化の観点からは溶融亜鉛めっき鋼帯が有利であり、自動車用パネル部品に溶融亜鉛めっき鋼帯を採用する動きがある。自動車用パネル部品に使用される溶融亜鉛めっき鋼帯では、プレス成形性と塗装後の鮮映性を良好にするために、中心線平均粗さRaが0.8〜2.0μmであること、あるいは更にピークカウントPPIが127以上であることが求められる。
溶融亜鉛めっき鋼帯は、通常、調質圧延機を備える連続溶融めっき設備で製造される。図5は調質圧延機を備える連続溶融めっき設備の要部を示す概略図、図6は、図5の連続溶融めっき設備に配置されている調質圧延機9の要部を示す概略図である。
図5および4において、1は鋼帯、2は巻き戻し装置、3は焼鈍炉、4はスナウト、5はめっき浴、6はシンクロール、7はガスワイピング装置、8は冷却装置、9は調質圧延機、10はレベラー、11は後処理設備、12は巻取り装置、21、22はワークロール、23、24はバックアップロール、25、26は調圧液スプレーヘッダーである。
前記連続溶融めっき設備において、脱スケールされた熱延鋼帯または前記熱延鋼帯を冷間圧延した冷延鋼帯などの素材鋼帯1は、焼鈍炉3で表面清浄、焼鈍等の処理が行われ、スナウト4を経て、溶融亜鉛浴5に浸漬通板されて亜鉛めっきされ、次いで溶融亜鉛浴5から引き上げられ、ガスワイピング装置7でめっき付着量が調整され、冷却装置8で冷却される。次いで、表面を平滑にするため、あるいは機械的性質の調整のため、調質圧延機9で調質圧延されて、巻取り装置12で巻取られて製造される。
溶融亜鉛めっき鋼帯に調質圧延を行うと、調質圧延機のワークロール表面に亜鉛粉などの異物が付着することで、調質圧延後の溶融亜鉛めっき鋼帯の外観を損なうという問題がある。また、ワークロールが目詰まりすると、ワークロールの表面粗さが低下し、調質圧延後の溶融亜鉛めっき鋼帯の表面粗さを所要の表面粗さにすることができなくなることで、所要のプレス成形性と鮮映性を確保できなくなるという問題や、溶融亜鉛めっき鋼帯に凹状のロール疵が発生するという問題がある。
調質圧延では、ワークロールの目詰まりを防止するために、濃度が5〜10%の水溶性調圧液を調圧液スプレーヘッダー25、26からワークロール又は鋼帯に吹き付けて圧延すること、またはさらにワークロール表面をブラシで研磨することが行われている。しかし、これらでは、溶融亜鉛めっき鋼帯を圧延した時のワークロールの目詰まりを防止する効果は不十分であり、ワークロール表面をブラシで研磨することでワークロールの表面粗さが低下する問題もある。そのため、以下のようなワークロールの目詰まり防止方法が提案されている。
特許文献1には、亜鉛系めっき鋼帯の調質圧延において、圧延機のロール表面に付着する亜鉛粉、鉄粉等の異物の除去を行う際に、ロール表面に500kg/cm2(49MPa)以上の高圧流体を直接吹き付けることが提案されている。
また、特許文献2には、亜鉛系めっき鋼帯の調質圧延機において、ワークロールの入側に高圧流体吹き付けノズル、出側にブラシあるいは研磨布による機械研磨機を配し、ワークロールに高圧流体を吹き付けるとともに、ブラシあるいは研磨布による機械研磨を少なくとも二時間に1回以上合計1分以上30分以下の割合で間欠的に併用しながら調質圧延することが提案されている。さらに、異物除去の観点から、高圧流体の吹き付け圧力を1500kg/cm2(147MPa)とすることが記載されている。
以下に、先行技術文献情報について記載する。
特開昭61−147901号公報
特開平3−27803号公報
しかし、特許文献1および特許文献2に提案される方法では、ロールの目詰まりの発生を防止する効果が不十分なため、ロールの目詰まり部分で亜鉛めっき鋼帯に凹状のロール疵を発生する問題や、前述の粗さ仕様を満足する溶融亜鉛めっき鋼帯を安定製造できないという問題がある。
本発明は、上記問題点を考慮し、ワークロールの目詰まりを防止して、表面外観に優れ、自動車用パネル部品への使用に好適な表面粗さ仕様を有する溶融亜鉛めっき鋼帯の製造に好適な溶融亜鉛めっき鋼帯の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、前記溶融亜鉛めっき鋼帯の製造に好適な調質圧延機および連続溶融めっき設備を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の手段は以下の通りである。
(1)溶融亜鉛めっき鋼帯を調質圧延するにあたり、防錆油を表面に塗布した溶融亜鉛めっき鋼帯に対して調質圧延を行うことを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼帯の製造方法。
(2)鋼帯を溶融亜鉛浴に浸漬通板してめっきした後、前記亜鉛浴から引き上げてめっき付着量を調整するめっき・付着量調整工程と、付着量調整後の鋼帯表面に防錆油を塗布する防錆油塗布工程と、防錆油を塗布した鋼帯を調質圧延する圧延工程と、を備えることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼帯の製造方法。
(3)鋼帯表面の防錆油塗布量は0.5g/m2以上4.0g/m2以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の溶融亜鉛めっき鋼帯の製造方法。
(4)前記調質圧延のワークロールは、表面粗さRaが2.0〜5.0μm、且つピークカウントPPI(粗さ曲線の平均線方向の長さ25.4mm当たりの山の数)が130以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の溶融亜鉛めっき鋼帯の製造方法。
(5)調質圧延機の前段に鋼帯表面に防錆油を塗布する塗布装置が配置されていることを特徴とする鋼帯の調質圧延機。
(6)溶融めっき装置と、該溶融めっき装置の下流側に(5)に記載の調質圧延機と、を備えることを特徴とする連続溶融めっき設備。
(7)調質圧延機の後方に防錆油を洗浄除去する洗浄装置が配置されていることを特徴とする(6)に記載に連続溶融めっき設備。
本発明によれば、亜鉛粉等の異物が付着することによるワークロールの目詰まりを防止でき、表面に凹状ロール疵のない表面外観に優れた溶融亜鉛めっき鋼帯を製造できる。またワークロールの目詰まりが防止されることで、粗さ仕様が所定範囲にある溶融亜鉛めっき鋼帯を安定製造することが可能になる。
本発明によれば、中心線平均粗さRaが0.8〜2.0μmおよび/またはPPI値が127以上である溶融亜鉛めっき鋼帯を安定製造できる。また、中心線平均粗さRaが1.0〜2.0μmである溶融亜鉛めっき鋼帯も安定製造可能である。
本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼帯は、プレス成形性と塗装後の鮮映性が要求される自動車用パネル部品に使用される溶融亜鉛めっき鋼帯として好適である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る溶融亜鉛めっき鋼帯の製造に使用する調質圧延機の要部を示す概略図である。図1において、21、22はワークロール、23、24はバックアップロール、25、26は調圧液スプレーヘッダー、27は塗油装置(静電オイラー)、1Bは溶融亜鉛めっき鋼帯であり、図6に示した調質圧延機9に対して、調質圧延機9前段(ワークロール23、24入側)に鋼帯の上下面に防錆油を塗布する塗油装置27が設置されていることが特徴である。防錆油は、図示されていないポンプを用いて塗油装置27に供給され、溶融亜鉛めっき鋼帯の上下面に塗布される。
図1に示す調質圧延機では、溶融亜鉛めっき鋼帯は次のようにして調質圧延される。ワークロール21、22には、所定表面仕上げに加工されたロールが配置される。溶融亜鉛めっき鋼帯1Bは、調質圧延前に塗油装置27からその両面に防錆油が塗布され、次いで、調圧液スプレーヘッダー25、26からその表面に調圧液を吹き付けながら、ワークロール21、22で所定伸長率で圧延される。
前記のように、防錆油を塗布した後調質圧延を行うことで、調質圧延時のワークロールの目詰まりが防止され、鋼帯表面に凹状のロール疵の発生を防止して表面外観に優れる溶融亜鉛めっき鋼帯を製造できる。また、ワークロールの目詰まりが防止されることで、所定の粗さ仕様の溶融亜鉛めっき鋼帯を安定製造することが可能になる。
溶融亜鉛めっき鋼帯表面に塗布する防錆油は、鋼帯用防錆油を使用可能であるが、オイルステイン等を防止する観点から、亜鉛めっき鋼帯用防錆油を使用することが好ましい。溶融亜鉛めっき鋼帯表面へ塗布する防錆油の塗布量は、0.5g/m2以上、4.0g/m2以下であることが好ましい。0.5g/m2未満であると鋼帯表面に防錆油が不均一に付着するようになり、ワークロールの目詰まりを防止する効果が低下する。塗布量が4.0g/m2を超えると、ロールの目詰まりを防止する効果が飽和し、また鋼帯とロールのスリップ等によりスクラッチ疵が発生しやすくなる。
溶融亜鉛めっきされた鋼帯表面に防錆油を塗布した後調質圧延を行うことで、ワークロールの目詰まりを防止できる理由は明確ではないが、次のように推定される。すなわち、ロールの目詰まりは、めっき表面とロール表面は直接接触することで、亜鉛粉等の異物がロール表面に溶着する現象であると推定される。鋼帯の防錆油は、鉱物油を基油にして、めっき鋼帯の表面に吸着して防錆効果をあげる極性物質である有機添加剤が配合されている。防錆油を鋼帯表面に塗布すると、めっき表面に有機添加剤が吸着した防錆油の油膜が鋼帯表面に形成される。この状態で鋼帯が圧延されることによってロール表面とめっき表面が直接接触することが防止又は緩和され、亜鉛粉等の異物のロール表面への溶着が防止されることで、ロールの目詰まりが防止される。
ワークロールが目詰まりすると、凹状のロール疵発生の問題に加え、圧延作業の継続によるワークロールの表面粗さRaの減少やピークカウントPPIの減少が顕著であるため、粗さ変動の少ない溶融亜鉛めっき鋼帯を安定製造することができない。一方、本発明法では、ワークロールの目詰まりがなくなるので、凹状のロール疵発生の問題が解消され、また粗さ変動の少ない溶融亜鉛めっき鋼帯やピークカウントPPIの大きい溶融亜鉛めっき鋼帯を安定製造することが可能になる。
例えば、自動車用パネル部品に使用される溶融亜鉛めっき鋼帯では、加工性と塗装後鮮映性の点から、表面粗さRaが0.8〜2.0μmの範囲内にあるもの、あるいはさらにピークカウントPPIが127以上であるものが望まれている。表面粗さRaの下限値0.8μmは、塗装後の高鮮映性を確保する観点から規定され、上限値2.0μmは、良好な加工性を得る観点から規定されている。
従来法では、凹状のロール疵のない良好な外観と表面粗さRaやピークカウントPPIが前記仕様を満足する溶融亜鉛めっき鋼帯を安定製造すること、特に表面粗さRaを1.0μm以上、あるいはさらにピークカウントPPIが前記仕様を満足する溶融亜鉛めっき鋼帯を安定製造することが困難であった。これに対して、本発明法では、ワークロールの目詰まりが防止されることで、凹状のロール疵のない良好な外観が得られ、また表面粗さRaやピークカウントPPIが前記仕様を満足する溶融亜鉛めっき鋼帯を安定製造できるようになる。
すなわち、本発明法では、ワークロールの目詰まりが防止されることで、ワークロールの表面粗さRaの変化(粗さの減少量)は、圧延開始直後は大きいが、その後その変化が次第に緩やかになる。ピークカウントPPIの変化もほぼ同様である。ワークロールの表面粗さRa、ピークカウントPPIの変化、表面粗さRa、ピークカウントPPIの鋼帯表面への転写率等を考慮して、ワークロールの粗さ仕様を決定し、粗さ変化が緩やかになった領域で鋼帯を圧延することで、粗さ仕様(Ra、PPI)が前述の所定範囲にある溶融亜鉛めっき鋼帯を安定製造することが可能になる。
表面粗さRaとピークカウントPPIが前記範囲にある溶融亜鉛めっき鋼帯を製造するには、表面粗さRaが2.0〜5.0μm、またはさらにピークカウントPPIが130以上の範囲内にあるワークロールを用いるのがよい。前記ワークロールを用いて、調質圧延後にワークロールの表面粗さRaの変化が緩やかになった領域(例えば、鋼帯圧延長5km程度以降)で鋼帯を圧延することで、粗さ仕様が前記範囲内にある溶融亜鉛めっき鋼帯を安定製造することが可能になる。
図2は、本発明の実施の形態に係る連続めっき設備の要部を示す概略図である。図2では、調質圧延機9Aには、図1に示した調質圧延機が配置されており、調質圧延機9Aの下流に洗浄装置13が設置されている。図2のその他の部分には、図1と同じ作用の部分には同じ符号が付されている。
図2の装置において、溶融亜鉛めっき鋼帯は、以下のようにして製造される。すなわち、鋼帯1は、常法によって、焼鈍炉3で焼鈍され、スナウト4を経て、めっき浴5に浸漬通板されて亜鉛めっきされ、次いでめっき浴5から引き上げられ、ガスワイピング装置7でめっき付着量が調整され、冷却装置8で冷却され、しかる後調質圧延機9Aに通板される。
調質圧延機9Aでは、塗油装置27から溶融亜鉛めっき鋼帯1B両面に防錆油が塗布され、しかる後調圧液を用いてワークロール21、22で所定伸長率で調質圧延され、さらにレベラー10で形状矯正され、巻取り装置12で巻取られる。また、必要に応じて巻取り装置12で巻き取られる前に、後処理設備11で防錆油塗布、その他の後処理が施される。
図2に示される連続溶融めっき設備を用いて、前記のようにして溶融亜鉛めっき鋼帯を製造することで、ワークロールの目詰まりがなく、表面外観に優れる溶融亜鉛めっき鋼帯を安価に製造することができる。
またワークロールとして、表面粗さRaが2.0〜5.0μm、且つピークカウントPPIが130以上のワークロールを使用することで、自動車用パネル部材への適用に好適な、表面粗さRaが0.8〜2.0μmで、ピークカウントPPIが127以上である溶融亜鉛めっき鋼帯を安価に安定製造することができる。ワークロールのピークカウントPPIの上限は特に限定されないが、現状のロール加工方法、例えば放電ダル加工では、その上限は600程度である。
調質圧延前で鋼帯表面に塗布された防錆油は、調質圧延機の後段に配置されたリンガーロール28で絞り取られ、調圧液とともに系外に除去される。しかし、少量の防錆油は鋼帯に付着して調質圧延機下流側に持ち出されるおそれがある。調質圧延機下流側に持ち出された防錆油が、化成処理などの後処理や鋼帯の通板安定性などに悪影響を及ぼすことを防止する観点からは、調質圧延機の下流に洗浄装置を設置して、鋼帯表面に付着している防錆油を除去することが有利である。
図2の装置では、調質圧延装置9Aの下流に、洗浄装置13が設置されており、必要に応じて洗浄装置13で鋼帯を洗浄することで、鋼帯表面に付着している防錆油を除去可能に構成されている。洗浄装置13としては、高温水を鋼帯表面に吹き付けて洗浄する湯洗設備や弱アルカリ液で洗浄するアルカリ洗浄設備を適用できる。
また、本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼帯を製造するには、通常の連続溶融めっき設備で一旦コイルに巻取り、巻取ったコイルを図1に示す調質圧延機を用いて調質圧延して製造してもよい。また、連続溶融めっき設備で防錆油を塗油して一旦巻取った後、通常の調質圧延機で調質圧延してもよい。その際、自動車用パネル部品に使用される溶融亜鉛めっき鋼帯を製造する場合は、調質圧延のワークロールには、前記した粗さ仕様のワークロールを使用する。
防錆油塗布量の異なる溶融亜鉛めっき鋼帯(寸法:厚さ0.7mm×幅1500mm、めっき付着量:60g/m2)を準備した。防錆油はノックスラスト550HN(日本パーカライジング社製)を使用した。前記溶融亜鉛めっき鋼帯を、通常の調質圧延機を備える設備に装入して調質圧延を行い、圧延長10km程度の時点において、調質圧延後の鋼帯の表面外観、表面粗さRa、ピークカウントPPIを調査した。鋼帯の表面外観は、ワークロールの目詰まりによる凹状のロール疵の発生有無を評価した。
比較のために、表面に防錆油が塗布されていない溶融亜鉛めっき鋼帯を調質圧延し、同様の評価を行った(従来例)。従来例では、ワークロールの目詰まりが発生したため、圧延長5kmの時点での評価結果である。
ワークロールには放電加工したダル仕上げロールを使用した。使用したワークロールの粗さ条件、防錆油の塗布量、外観観察結果(凹状ロール疵の有無)を表1に記載した。
本発明例では、ロールの目詰まりが防止されるため、凹状ロール疵は発生していない。これに対して、比較例では、圧延長5kmの時点でロールの目詰まりによって凹状ロール疵が発生した。
図2に示した連続溶融めっき設備で、厚さ0.5〜1.6mm、幅900〜1800mmの範囲内にある冷間圧延鋼帯を、焼鈍、溶融亜鉛めっきを行い、めっき付着量を60g/m2(片面当たり)に調整後、ほぼ常温まで冷却し、次いで防錆油を塗布した後、調質圧延液を用いて調質圧延を行い、溶融亜鉛めっき鋼帯を製造した。
本発明例では、調質圧延前にめっき鋼板の表面に防錆油を塗布した。防錆油は、実施例1と同様のノックスラスト550HNを使用し、鋼帯表面への塗布量は2.0g/m2にした。調質圧延のワークロールには表面粗さRaを3.4μm、ピークカウントPPIを220に加工した放電加工ロール(ダル仕上げロール)を使用し、伸長率は1.2%にした。
前記で製造した溶融亜鉛めっき鋼帯の表面外観を観察するとともに、圧延長に応じた適宜位置でサンプリングし、表面粗さRa、ピークカウントPPIを調査した。鋼帯の表面外観はワークロールの目詰まりによる凹状のロール疵の発生有無で評価した。本発明例では、ワークロールの目詰まりによる凹状のロール疵の発生は認められなかった。本発明例の鋼帯の表面粗さRa、ピークカウントPPIの推移を図3および図4に示す。図中の太い実線は、圧延長と表面粗さRa、又は圧延長とピークカウントPPIの関係を示す実験式である。
比較のために、図2に示した連続溶融めっき設備を用いて、調質圧延の際に、防錆油を塗布することに代えて、ブラシでワークロール表面を研磨しながら調質圧延を行うとともに、それ以外の条件は前述の本発明例と同様の条件で溶融亜鉛めっき鋼帯を製造し、さらに製造した溶融亜鉛めっき鋼帯の表面外観調査、表面粗さRa、ピークカウントPPIを調査した(従来例)。従来例では、圧延長4kmの時点で既にワークロールの目詰まりによる凹状のロール疵の発生が認められ、圧延長14kmの時点でその程度が酷くなったので圧延作業を中止した。従来例の表面粗さRa、ピークカウントPPIの推移を図3および図4にあわせて示した。図中の太い破線は、圧延長と表面粗さRa、又は圧延長とピークカウントPPIの関係を示す実験式である。
従来例では、ワークロールの目詰まりが発生することで、圧延開始後早期に凹状のロール疵が発生した。また表面粗さRaが0.8μm以上の粗さ仕様を満足できる圧延長区間も短く、ピークカウントPPIが127以上を満足する圧延長区間はさらに短い。従って、表面外観に優れ、表面粗さRaとピークカウントPPIが自動車用パネル部材として好適な範囲内(Ra:0.8〜2.0μm、PPI:127以上)にある溶融亜鉛めっき鋼板を安定製造することは困難である。
一方、本発明例では、ワークロールの目詰まりが防止されるため、圧延作業を継続してもワークロールの目詰まりに起因する凹状のロール疵は発生していない。表面粗さRaは、圧延長が10km以上の領域で1.0〜1.4μm程度の範囲に飽和している。また、ピークカウントPPIは、圧延長が5km以上の領域では140〜180程度の高PPI値が安定して得られている。
本発明例では、引き続き圧延長45kmまで圧延し、所要の圧延作業を終了したが、この間でワークロールの目詰まりによる凹状のロール疵の発生は認められなかった。また、表面粗さRaは1.0〜1.4μmの範囲内にあり、ピークカウントPPIは140〜180の高PPI値が得られていた。
すなわち、本発明例では、表面外観に優れ、表面粗さRaとピークカウントPPIが自動車用パネル部材として好適な範囲内(Ra:0.8〜2.0μm、PPI:127以上)にある溶融亜鉛めっき鋼板を安定製造することが可能である。また、粗さ仕様が、Ra:1.0〜2.0μm、PPI:127以上である溶融亜鉛めっき鋼板を安定製造することもできる。
本発明は、亜鉛粉等の異物が付着することによるワークロールの目詰まりを防止でき、表面に凹状ロール疵のない表面外観に優れた溶融亜鉛めっき鋼帯の製造に利用できる。またワークロールの目詰まりが防止されることで、粗さ仕様が所定範囲にある溶融亜鉛めっき鋼帯の製造に利用できる。
本発明の溶融亜鉛めっき鋼帯は、プレス成形性と塗装後の鮮映性が要求される自動車用パネル部品の用途に利用できる。
1 鋼帯
1B 溶融亜鉛めっき鋼帯
2 巻き戻し装置
3 焼鈍炉
4 スナウト
5 めっき浴
6 シンクロール
7 ガスワイピング装置
8 冷却装置
9、9A 調質圧延機
10 レベラー
11 後処理設備
12 巻取り装置
13 洗浄装置
21、22 ワークロール
23、24 バックアップロール
25、26 調圧液スプレーヘッダー
27 塗油装置(静電オイラー)
28 リンガーロール
1B 溶融亜鉛めっき鋼帯
2 巻き戻し装置
3 焼鈍炉
4 スナウト
5 めっき浴
6 シンクロール
7 ガスワイピング装置
8 冷却装置
9、9A 調質圧延機
10 レベラー
11 後処理設備
12 巻取り装置
13 洗浄装置
21、22 ワークロール
23、24 バックアップロール
25、26 調圧液スプレーヘッダー
27 塗油装置(静電オイラー)
28 リンガーロール
Claims (7)
- 溶融亜鉛めっき鋼帯を調質圧延するにあたり、防錆油を表面に塗布した溶融亜鉛めっき鋼帯に対して調質圧延を行うことを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼帯の製造方法。
- 鋼帯を溶融亜鉛浴に浸漬通板してめっきした後、前記亜鉛浴から引き上げてめっき付着量を調整するめっき・付着量調整工程と、付着量調整後の鋼帯表面に防錆油を塗布する防錆油塗布工程と、防錆油を塗布した鋼帯を調質圧延する圧延工程と、を備えることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼帯の製造方法。
- 鋼帯表面の防錆油塗布量は0.5g/m2以上4.0g/m2以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の溶融亜鉛めっき鋼帯の製造方法。
- 前記調質圧延のワークロールは、表面粗さRaが2.0〜5.0μm、且つピークカウントPPI(粗さ曲線の平均線方向の長さ25.4mm当たりの山の数)が130以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の溶融亜鉛めっき鋼帯の製造方法。
- 調質圧延機の前段に鋼帯表面に防錆油を塗布する塗布装置が配置されていることを特徴とする鋼帯の調質圧延機。
- 溶融めっき装置と、該溶融めっき装置の下流側に請求項5に記載の調質圧延機と、を備えることを特徴とする連続溶融めっき設備。
- 調質圧延機の後方に防錆油を洗浄除去する洗浄装置が配置されていることを特徴とする請求項6に記載に連続溶融めっき設備。
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JP2003394276A Pending JP2005152935A (ja) | 2003-11-25 | 2003-11-25 | 溶融亜鉛めっき鋼帯の製造方法、調質圧延装置および連続溶融めっき設備 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005152935A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010043332A (ja) * | 2008-08-14 | 2010-02-25 | Nippon Steel Corp | 防眩性溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 |
US9433986B2 (en) | 2011-05-16 | 2016-09-06 | Nippon Steel & Sumikin Engineering Co., Ltd. | Rolling mill roll-cleaning device and cleaning method |
CN113278770A (zh) * | 2021-04-29 | 2021-08-20 | 张家港扬子江冷轧板有限公司 | 一种深冲马口铁产品的制备方法 |
CN113528764A (zh) * | 2021-06-02 | 2021-10-22 | 广西柳钢华创科技研发有限公司 | 一种改善镀锌产品钝化膜质量的方法 |
-
2003
- 2003-11-25 JP JP2003394276A patent/JP2005152935A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010043332A (ja) * | 2008-08-14 | 2010-02-25 | Nippon Steel Corp | 防眩性溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 |
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