JP2021195885A - NOx吸蔵還元触媒の吸蔵量推定装置 - Google Patents
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Abstract
Description
このようなNOX吸蔵還元触媒に吸蔵されたNOXは、エンジンがリッチ状態で運転される際に排ガスを還元剤として還元(N2化)され処理される。
例えば、特許文献1には、ガス流速、触媒温度、上流NOx濃度、NOx浄化率に関わる相当吸蔵率補正パラメータ並びに限界NOx吸蔵量及びNOx吸蔵量に基づいてリーン運転中におけるNOx吸蔵触媒の下流側のNOx濃度を演算し、リーン運転中においてNOx濃度の演算値と実測値との比較結果に基づいて最小二乗法により相当吸蔵率補正パラメータを同定させることが記載されている。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、NOX吸蔵量を演算負荷を抑制しつつ精度よく推定するNOX吸蔵還元触媒の吸蔵量推定装置を提供することである。
請求項1に係る発明は、エンジンの排気装置に設けられリーン運転時にNOXを吸蔵するとともにリッチ運転時にNOXを還元処理するNOX吸蔵還元触媒の吸蔵量推定装置であって、前記エンジンの運転状態に基づいて前記NOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量推定値を求めるNOX吸蔵量推定部と、前記エンジンの運転状態に基づいて前記NOX吸蔵還元触媒の下流側へのNOX放出量推定値を求めるNOX放出量推定部と、前記NOX吸蔵還元触媒の下流側における実NOX放出量を検出するNOXセンサと、前記NOX放出量推定値と前記実NOX放出量との乖離に基づいて補正値が読みだされる補正値テーブルを有する補正値設定部とを備え、前記NOX吸蔵量推定部は、前記NOX吸蔵量推定値を前記補正値に基づいて補正すことを特徴とするNOX吸蔵還元触媒の吸蔵量推定装置である。
これによれば、NOX放出量推定値と実NOX放出量との乖離が算出できれば、補正値テーブルから直ちに補正値を読み出すことが可能であり、この補正値でNOX吸蔵量推定値を補正することにより、低い演算負荷で精度よくNOX吸蔵量を推定することができる。
実施形態の吸蔵量推定装置は、例えば、乗用車等の自動車に走行用動力源として搭載される水平対向4気筒のガソリン直噴ターボ過給エンジンに設けられるものである。
エンジン1は、クランクシャフト10、シリンダブロック20、シリンダヘッド30、ターボチャージャ40、インテークシステム50、エキゾーストシステム(排気装置)60、エンジン制御ユニット(ECU)100等を有して構成されている。
クランクシャフト10の一方の端部には、図示しない変速機等の動力伝達機構が接続されている。
クランクシャフト10には、図示しないコンロッドを介してピストンが連結されている。
クランクシャフト10の端部には、クランクシャフトの角度位置を検出するクランク角センサ11が設けられている。
クランク角センサ11の出力は、エンジン制御ユニット100に伝達される。
シリンダブロック20の中央部には、クランクシャフト10を収容するとともに、クランクシャフト10を回転可能に支持するメインベアリングを有するクランクケース部が設けられている。
クランクケース部を挟んで左右に配置されるシリンダブロック20の左右バンクの内部には、ピストンが挿入され内部で往復するシリンダが例えば一対ずつ(4気筒の場合)形成されている。
シリンダヘッド30は、燃焼室31、点火プラグ32、吸気ポート33、排気ポート34、吸気バルブ35、排気バルブ36、吸気カムシャフト37、排気カムシャフト38、インジェクタ39等を備えて構成されている。
点火プラグ32は、燃焼室31の中央に設けられ、エンジン制御ユニット100からの点火信号に応じてスパークを発生し、混合気に点火するものである。
排気ポート34は、燃焼室31から既燃ガス(排ガス)を排出する流路である。
吸気バルブ35、排気バルブ36は、吸気ポート33、排気ポート34を所定のバルブタイミングで開閉するものである。
吸気バルブ35、排気バルブ36は、各気筒に例えば2本ずつ設けられる。
吸気バルブ35、排気バルブ36は、クランクシャフト10の1/2の回転数で同期して回転する吸気カムシャフト37、排気カムシャフト38によって開閉される。
吸気カムシャフト37、排気カムシャフト38のカムスプロケット部には、各カムシャフトの位相を進角、遅角させて各バルブの開弁時期、閉弁時期を変化させる図示しないバルブタイミング可変機構が設けられている。
インジェクタ39は、シリンダヘッド30における吸気ポート33の間隔に設けられ、エンジン制御ユニット100が発する開弁信号に応じて、燃焼室31内に燃料を噴射して混合気を形成するものである。
ターボチャージャ40は、タービン41、コンプレッサ42、エアバイパス流路43、エアバイパスバルブ44、ウェイストゲート流路45、ウェイストゲートバルブ46等を備えている。
タービン41は、エンジン1の排ガスによって回転駆動される。
コンプレッサ42は、タービン41に同軸に取り付けられ、タービン41によって回転駆動され空気を圧縮する。
エアバイパスバルブ44は、エアバイパス流路43に設けられ、エンジン制御ユニット100からの指令に応じてエアバイパス流路43を実質的に閉塞する閉状態と、エアバイパス流路43を空気が通過可能な開状態とを、二段階に切換えるものである。
エアバイパスバルブ44は、電動アクチュエータによって開閉駆動される弁体を有する電動バルブとなっている。
エアバイパスバルブ44は、例えば、スロットルバルブ56を急激に閉じた場合等に、ターボチャージャ40のサージング防止やブレードの保護等を図るため開状態とされ、コンプレッサ42よりも下流側の吸気管内の空気をコンプレッサ42の上流側に還流させ、余剰圧力を低減させる。
ウェイストゲート流路45は、タービン41のハウジングに一体に形成されている。
ウェイストゲートバルブ46は、ウェイストゲート流路45に設けられ流路を開閉する弁体を有し、ウェイストゲート流路45を通過する排ガスの流量を制御するものである。
ウェイストゲートバルブ46は、エンジン制御ユニット100からの指令に応じて弁体を開閉駆動する電動アクチュエータを有する電動ウェイストゲートバルブである。
位置センサ46aの出力は、エンジン制御ユニット100に伝達される。
電動アクチュエータは、エンジン制御ユニット100によって、位置センサ46aにより検出される位置が所定の目標位置に近付くようフィードバック制御される。
ウェイストゲートバルブ46は、全開状態と全閉状態とを切換可能であるとともに、これらの中間位置においても任意の開度設定が可能となっている。
インテークシステム50は、インテークダクト51、チャンバ52、エアクリーナ53、エアフローメータ54、インタークーラ55、スロットルバルブ56、インテークマニホールド57、吸気圧センサ58等を備えて構成されている。
チャンバ52は、インテークダクト51の入口部近傍に連通して設けられた空間部である。
エアクリーナ53は、インテークダクト51におけるチャンバ52との連通箇所の下流側に設けられ、空気を濾過してダスト等を取り除くものである。
エアフローメータ54は、エアクリーナ53の出口近傍に設けられ、インテークダクト51内を通過する空気流量を計測するものである。
エアフローメータ54の出力は、エンジン制御ユニット100に伝達される。
ターボチャージャ40のコンプレッサ42は、エアフローメータ54の下流側に設けられている。
スロットルバルブ56は、インテークダクト51におけるインタークーラ55の下流側に設けられ、空気の流量を調節してエンジン1の出力を制御するバタフライバルブである。
スロットルバルブ56は、ドライバによる図示しないアクセルペダル操作等に応じて、スロットルアクチュエータ151(図2参照)によって開閉駆動される。
また、スロットルバルブ56には、その開度を検出するスロットルセンサが設けられ、その出力はエンジン制御ユニット100に伝達される。
インテークマニホールド57は、スロットルバルブ56の下流側に設けられ、空気を各気筒の吸気ポート33に分配する分岐管である。
吸気圧センサ58の出力は、エンジン制御ユニット100に伝達される。
エキゾーストシステム60は、エキゾーストマニホールド61、エキゾーストパイプ62、三元触媒63、フロントNOX吸蔵還元触媒64、リアNOX吸蔵還元触媒65、空燃比センサ66、フロントNOXセンサ67、リアNOXセンサ68等を有して構成されている。
ターボチャージャ40のタービン41は、エキゾーストマニホールド61の下流側に配置されている。
エキゾーストパイプ62は、タービン41から出た排ガスを外部に排出する管路である。
三元触媒63は、タービン41の出口に隣接して設けられている。
フロントNOX吸蔵還元触媒64、リアNOX吸蔵還元触媒65は、三元触媒63の下流側に、排ガスの通流方向に沿って順次配置されている。
空燃比センサ66は、排ガス中の酸素濃度に応じた出力電圧を発生することによって、排ガス中の酸素量を検出するものである。
空燃比センサ66は、広範囲の空燃比における酸素濃度を検出可能なリニア出力センサとなっている。
空燃比センサ66の出力は、エンジン制御ユニット100に伝達される。
フロントNOXセンサ67は、三元触媒63とフロントNOX吸蔵還元触媒64との間に配置されている。
リアNOXセンサ68は、リアNOX吸蔵還元触媒65の出口側に配置されている。
フロントNOXセンサ67、リアNOXセンサ68の出力は、ともにエンジン制御ユニット100に伝達される。
エンジン制御ユニット100は、CPU等の情報処理手段、RAMやROM等の記憶手段、入出力インターフェイス及びこれらを接続するバス等を備えて構成されている。
この点について、以下詳細に説明する。
図2は、実施形態のNOX吸蔵還元触媒の吸蔵量推定装置の動作を示すフローチャートである。
以下、ステップ毎に順を追って説明する。
エンジン制御ユニット100は、エンジン1において空燃比が空気過剰であるリーン運転が行われているか否かを判別する。
リーン運転が行われている場合はステップS02に進み、その他の場合は一連の処理を終了(リターン)する。
エンジン制御ユニット100は、例えばエアフローメータ54が検出するエンジン1の吸入空気量、空燃比センサ66が検出するエンジン1の空気過剰率λ、フロントNOXセンサ67が検出する排ガス中のNOX量などに基づいて、フロントNOX吸蔵還元触媒64、リアNOX吸蔵還元触媒65に吸蔵されているNOXの量の推定値(NOX吸蔵量推定値)を算出する。
その後、ステップS03に進む。
エンジン制御ユニット100は、例えばエアフローメータ54が検出するエンジン1の吸入空気量、空燃比センサ66が検出するエンジン1の空気過剰率λ、フロントNOXセンサ67が検出する排ガス中のNOX量、ステップS02において求めたNOX吸蔵量推定値、フロントNOX吸蔵還元触媒64、リアNOX吸蔵還元触媒65の物理モデルなどに基づいて、リアNOX吸蔵還元触媒65の下流側へ放出されるNOx量の演算値であるNOX放出量推定値(リアNOXセンサ68の出力推定値)を算出する。
その後、ステップS04に進む。
エンジン制御ユニット100は、リアNOXセンサ68の出力に基づいて、リアNOX吸蔵還元触媒65から下流側への実際のNOX放出量(実NOX放出量)を検出する。
その後、ステップS05に進む。
エンジン制御ユニット100は、ステップS03において算出したNOX放出量推定値と、ステップS04において検出した実NOX放出量とを比較し、これらの乖離が所定値以上である場合にはNOX吸蔵量推定値の補正を行うためステップS06に進む。
それ以外の場合には、ステップS02において求めたNOX吸蔵量推定値を最終的な推定結果であるとして一連の処理を終了(リターン)する。
エンジン制御ユニット100は、予め準備された補正値テーブルを用いて、ステップS05において求めた乖離量に基づいて、NOX吸蔵量推定値の補正係数(補正値)を読み出す。
その後、ステップS07に進む。
エンジン制御ユニット100は、ステップS02において算出したNOX吸蔵量補正値に、ステップS06において求めた補正係数を乗じることにより、NOX吸蔵量推定値を補正し、補正後の値を最終的な推定結果であるとして一連の処理を終了(リターン)する。
図3に示すように、NOX吸蔵量は、リーン運転時に増加し、リッチ運転時に減少する傾向を有する。
NOX吸蔵量のECU演算値(補正前のNOX吸蔵量推定値)と、NOX吸蔵量(実吸蔵量・実際には測定することができない)は、増減に関して同様の傾向を示すが、何らかの理由によってここでは推定値のほうが実値に対して大きくなっており、最終的には上限値に達してしまう。
このように、実際のNOX吸蔵量は上限値までまだ余裕があるにも関わらず、推定値が上限値に達してしまうと、エンジン制御ユニット100としてはNOXの還元処理のためリッチ運転を行わざるを得なくなり、その結果リーン運転が行える運転領域が減少し、車両の燃費悪化の原因となってしまう。
図3において、NOXセンサ出力値の推定値(NOX放出量推定値)を一点鎖線で示し、実値を実線で示している。
これらの値の差分であるNOX乖離量が存在する場合には、このNOX乖離量に基づいて補正値テーブルから補正係数が読みだされる。
そして、補正係数をNOX吸蔵量推定値(ECU演算値)に乗じることにより、最終的なNOX吸蔵量推定値を得ている。
補正後のNOX吸蔵量推定値は、実吸蔵量と同様の特性を表していることがわかる。
なお、ここではNOX吸蔵量推定値(補正前)が実吸蔵量に対して大きい場合について説明したが、NOX吸蔵量推定値(補正前)が実吸蔵量に対して小さい場合にも本実施形態の補正手法により対応が可能である。
これによって、実際にはまだNOX吸蔵が可能な状態でリッチ運転が行われてリーン運転が行われる運転領域が縮小し、車両の燃費が悪化することや、逆にNOX吸蔵還元触媒の吸蔵量が上限に達して車外へ大量のNOXが排出されたり、触媒の還元に支障が生じることを防止できる。
本発明は、以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)エンジン、補機類、NOX吸蔵還元触媒の吸蔵量推定装置の構成は、上述した実施形態の構成に限らず適宜変更することができる。
例えば、実施形態において、エンジンは一例としてターボ過給を行うガソリン直噴エンジンであったが、本発明はNOX吸蔵還元触媒を用いる他種のエンジンにも用いることができる。
例えば、本発明はディーゼルエンジン等にも適用することが可能であり、過給機の有無やシリンダレイアウトなども特に限定されない。
(2)実施形態では、補正値としてNOX吸蔵量補正値に乗算される補正係数を用いているが、これに代えて、補正値として補正量を用い、NOX吸蔵量補正値に加減して補正を行ってもよい。
11 クランク角センサ 20 シリンダブロック
30 シリンダヘッド 31 燃焼室
32 点火プラグ 33 吸気ポート
34 排気ポート 35 吸気バルブ
36 排気バルブ 37 吸気カムシャフト
38 排気カムシャフト 39 インジェクタ
40 ターボチャージャ
41 タービン 42 コンプレッサ
43 エアバイパス流路 44 エアバイパスバルブ
45 ウェイストゲート流路 46 ウェイストゲートバルブ
46a 位置センサ
50 インテークシステム 51 インテークダクト
52 チャンバ 53 エアクリーナ
54 エアフローメータ 55 インタークーラ
56 スロットルバルブ 57 インテークマニホールド
58 吸気圧センサ
60 エキゾーストシステム 61 エキゾーストマニホールド
62 エキゾーストパイプ 63 三元触媒
64 フロントNOx吸蔵還元触媒 65 リアNOx吸蔵還元触媒
66 空燃比センサ 67 フロントNOxセンサ
68 リアNOxセンサ
100 エンジン制御ユニット
Claims (1)
- エンジンの排気装置に設けられリーン運転時にNOXを吸蔵するとともにリッチ運転時にNOXを還元処理するNOX吸蔵還元触媒の吸蔵量推定装置であって、
前記エンジンの運転状態に基づいて前記NOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量推定値を求めるNOX吸蔵量推定部と、
前記エンジンの運転状態に基づいて前記NOX吸蔵還元触媒の下流側へのNOX放出量推定値を求めるNOX放出量推定部と、
前記NOX吸蔵還元触媒の下流側における実NOX放出量を検出するNOXセンサと、
前記NOX放出量推定値と前記実NOX放出量との乖離に基づいて補正値が読みだされる補正値テーブルを有する補正値設定部とを備え、
前記NOX吸蔵量推定部は、前記NOX吸蔵量推定値を前記補正値に基づいて補正すること
を特徴とするNOX吸蔵還元触媒の吸蔵量推定装置。
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