(第1実施形態)
図1〜図7を参照して、第1実施形態のロープ巻取装置20、およびロープ巻取装置20が用いられるクレーン1について説明する。
クレーン1は、ウインチ19を備える建設機械である。クレーン1は、下部走行体11と、上部旋回体12と、下部ブーム13と、マスト14と、ウインチ19と、を備える。
下部走行体11は、クレーン1を走行させる部分である。下部走行体11は、クローラを備えてもよく、ホイールを備えてもよい。上部旋回体12は、下部走行体11に旋回可能に搭載される。上部旋回体12は、キャブ12aと、カウンタウエイト12bと、を備える。キャブ12aは、クレーン1のオペレータが乗ることが可能な運転室である。キャブ12aは、上部旋回体12の例えば前側X1端部に配置される。「前側X1」などの方向については後述する。カウンタウエイト12bは、クレーン1の前後方向Xのバランスを調整するための錘である。カウンタウエイト12bは、上部旋回体12の後側X2端部に配置される。
下部ブーム13は、上部旋回体12に起伏可能に取り付けられる。下部ブーム13は、ラチス構造を有するブーム(ラチスブーム)の構成要素である。なお、上部旋回体12に取り付けられるブームは、ラチスブームでなくてもよく、箱型構造を有する伸縮ブームでもよい。
(前後方向Xについて)
下部走行体11に対する上部旋回体12の回転軸が延びる方向を上下方向とし、上部旋回体12に対する下部ブーム13の回転軸が延びる方向を横方向としたとき、上下方向と横方向とのそれぞれに直交する方向を、前後方向Xとする。前後方向Xにおいて、カウンタウエイト12bから、上部旋回体12への下部ブーム13の取付部(ブームフット)に向かう側を、前側X1とする。前後方向Xにおける前側X1とは逆側を、後側X2とする。
マスト14は、上部旋回体12に対して、下部ブーム13を含むブームを起伏させるための部材(ブーム起伏用部材)である。マスト14は、上部旋回体12に起伏可能に取り付けられる。図示しないガイラインが、マスト14の先端部とブームの先端部とに接続される。マスト14が上部旋回体12に対して起伏することで、上部旋回体12に対してブームが起伏する。なお、ブームを起伏させるための部材は、マスト14でなくてもよく、ガントリでもよい。
ウインチ19は、ロープ21の巻き取りおよび繰り出しを行う装置である。ウインチ19は、下部ブーム13に設けられてもよく、上部旋回体12に設けられてもよい。ウインチ19は、ブームから吊り下げられる吊荷の巻き上げおよび巻き下げを行うもの(主巻用ウインチ、補巻用ウインチなど)でもよい。ウインチ19は、クレーンの起伏部材を起伏させるものでもよい。上記「クレーンの起伏部材」は、マスト14でもよく、ブームでもよく、ブームの先端部に起伏可能に取り付けられるジブ(図示なし)でもよい。なお、ウインチ19は、クレーン1に設けられなくてもよい。
ロープ巻取装置20は、ウインチ19から繰り出されたロープ21を巻き取る装置である。ロープ巻取装置20は、ウインチ19に巻かれるロープ21を繰り出す機能を有してもよい。ロープ巻取装置20は、例えば地面Gに置かれる。ロープ巻取装置20は、車両などに置かれてもよい。具体的には例えば、ロープ巻取装置20は、ロープ巻取装置20を輸送する車両(例えばトラック)の荷台上に置かれた状態で使用されてもよい。ロープ巻取装置20は、例えばクレーン1に前後方向Xに対向するように配置され、例えば下部ブーム13に前後方向Xに対向するように配置される。下部ブーム13の先端側(上部旋回体12とは反対側)に、中間ブームや上部ブームなどが設けられる場合、ロープ巻取装置20は、中間ブームや上部ブームに前後方向Xに対向するように配置されてもよい。ロープ巻取装置20は、例えば、下部ブーム13(または中間ブームや上部ブーム)の先端部の近傍などに配置される。ロープ巻取装置20は、例えばクレーン1よりも前側X1に配置され、例えば下部ブーム13よりも前側X1に配置される。ロープ21は、例えばワイヤロープであり、繊維ロープでもよい。ロープ巻取装置20は、台座23と、アンカー25と、張力付与部30と、ロープ巻取部40と、を備える。
台座23は、張力付与部30およびロープ巻取部40を支持する。台座23は、例えば地面Gに置かれる。台座23は、板状でもよく、ブロック状でもよく、枠のような形状でもよい。
アンカー25は、地面Gに対してロープ巻取装置20が移動することを抑制するためのものである。アンカー25は、ウインチ19やロープ巻取ドラム60によりロープ21が巻き取られる際に、ロープ21が巻き取られる力によってロープ巻取装置20が移動することを抑制するためのものである。アンカー25は、地面Gに置かれる錘でもよく、地面Gに埋め込まれてもよい。アンカー25は、台座23に取り付けられる。台座23が車両(例えばトラックの荷台など)に置かれ、台座23が車両に取り付けられることで、車両がアンカー25として用いられてもよい。
張力付与部30(張力付与機構、ブレーキドラム部)は、ロープ巻取装置20からウインチ19に繰り出されるロープ21に張力を付与する。張力付与部30は、ウインチ19でのロープ21の乱巻きを抑制するためのものである。張力付与部30は、ロープ21の経路における、ウインチ19とロープ巻取ドラム60(後述、図2参照)との間に配置される。張力付与部30は、台座23に取り付けられ、例えば台座23の後側X2部分などに取り付けられる。図2に示すように、張力付与部30は、ブレーキドラム支持部31と、ブレーキドラム33と、ブレーキ装置35と、を備える。
ブレーキドラム支持部31は、台座23に固定される。ブレーキドラム支持部31は、ブレーキドラム中心軸33aを中心に回転可能にブレーキドラム33を支持する。ブレーキドラム中心軸33aが延びる方向(ブレーキドラム33の軸方向)は、巻胴部61の軸方向Y(巻胴部軸方向)と一致してもよく、巻胴部61の軸方向Yと一致しなくてもよい。以下では、ブレーキドラム33の軸方向が、軸方向Yである場合について説明する。ブレーキドラム支持部31は、例えばブレーキドラム33の軸方向Y外側の両側に配置される。ブレーキドラム支持部31は、ブレーキドラム33の軸方向Y外側の片側にのみ配置されてもよい。
ブレーキドラム33は、ロープ21が巻かれ、ロープ21に張力を付与するためのドラム(張力付与ドラム)である。ブレーキドラム33は、ブレーキドラム中心軸33aを中心とする略円柱状または略円筒状である。ブレーキドラム33は、ブレーキドラム外周面33oを備える。ブレーキドラム外周面33oは、ロープ21が巻かれる部分である。ブレーキドラム外周面33oは、傾斜面33o1を備える。傾斜面33o1は、ブレーキドラム33の軸方向Y中央部から軸方向Y外側の両側に向かって、ブレーキドラム中心軸33aから遠ざかるように、軸方向Yに対して傾斜する。傾斜面33o1の(ブレーキドラム外周面33oの)外径は、ブレーキドラム33の軸方向Y中央部から軸方向Y外側の両側に向かって、連続的に拡大する。
ブレーキ装置35(ブレーキドラム回転機)は、ブレーキドラム中心軸33aを中心とするブレーキドラム33の回転を制動する。例えば、ブレーキ装置35とブレーキドラム33とで軸方向Y片側のブレーキドラム支持部31を挟むように、ブレーキ装置35が配置される。ブレーキ装置35は、例えばディスクブレーキを備えてもよく、ドラムブレーキを備えてもよい。
ロープ巻取部40は、ウインチ19(図1参照、以下のウインチ19について同様)から繰り出されたロープ21を巻き取る。ロープ巻取部40は、ウインチ19に巻かれるロープ21を繰り出してもよい。例えば、ウインチ19を本巻きウインチとすれば、ロープ巻取部40は、仮巻きウインチ(仮巻きドラム部)である。ロープ巻取部40は、台座23に取り付けられ、台座23の例えば前側X1部分などに取り付けられる。図3に示すように、ロープ巻取部40は、モータ41と、カップリング42と、駆動軸支持部44と、駆動軸51と、周方向移動規制部53と、軸方向移動規制部55と、ロープ巻取ドラム60と、を備える。
(軸方向Yおよび径方向R)
ロープ巻取ドラム60の中心軸、さらに詳しくは、後述する巻胴部61の筒状部61cの中心軸を、中心軸60aとする。中心軸60aは、台座23に対するロープ巻取ドラム60の回転軸である。中心軸60aが延びる方向を、軸方向Y(巻胴部軸方向)とする。軸方向Yは、水平方向と一致または略一致する。軸方向Yにおいて、後述する第2フランジ72から第1フランジ71に向かう側を軸方向第1側Y1とし、その逆側を軸方向第2側Y2とする。中心軸60aに直交し中心軸60aを中心とする仮想円の直径方向を、径方向Rとする。径方向Rにおいて、中心軸60aに近づく側を径方向内側R1とし、中心軸60aから遠ざかる側を径方向外側R2とする。上記仮想円の円周に沿う方向を周方向Cとする(図5参照)。
モータ41は、中心軸60aを回転軸として、駆動軸51およびロープ巻取ドラム60を回転させる。モータ41は、電動モータでもよく、流体圧モータ(油圧モータ、空圧モータなど)でもよい。モータ41の出力軸41a(モータ回転軸)の中心軸は、中心軸60aと一致してもよく、中心軸60aと一致しなくてもよい。
カップリング42(軸カップリング)は、モータ41の出力軸41aと駆動軸51とを連結する。カップリング42は、出力軸41aと駆動軸51とを、例えば同軸に連結し、例えば直結する。なお、出力軸41aと駆動軸51とは同軸でなくてもよい。出力軸41aの力は、ギヤやベルトなどを介して駆動軸51に伝えられてもよい。
駆動軸支持部44(ドラム支持部、軸受部、軸受スタンド)は、図4に示すように、中心軸60aを中心に駆動軸51が回転可能となるように、駆動軸51を支持する。駆動軸支持部44は、駆動軸51を介してロープ巻取ドラム60を支持する。駆動軸支持部44は、ロープ巻取ドラム60を軸方向Y外側の両側から支持する(両持ち支持する)。駆動軸支持部44は、ロープ巻取ドラム60の軸方向Y外側の片側のみから支持してもよい(片持ち支持してもよい)。駆動軸支持部44は、複数か所(例えば図4では3か所、図10では2か所)で駆動軸51を支持してもよく、1か所のみで駆動軸51を支持してもよい。駆動軸支持部44は、例えば、台座23から上に延びるように(立つように)配置される。駆動軸支持部44は、モータ側駆動軸支持部45と、反モータ側駆動軸支持部47と、を備える。
モータ側駆動軸支持部45は、ロープ巻取ドラム60よりも軸方向第1側Y1(モータ41側)で、駆動軸51を支持する。モータ側駆動軸支持部45は、カップリング42よりも軸方向第2側Y2に配置される。モータ側駆動軸支持部45は、出力軸41aを支持してもよい。モータ側駆動軸支持部45は、複数設けられてもよく、1つのみ設けられてもよい(図10のモータ側駆動軸支持部345を参照)。
反モータ側駆動軸支持部47は、ロープ巻取ドラム60よりも軸方向第2側Y2(ロープ巻取ドラム60に対してモータ41が設けられる側とは反対側)に配置される。反モータ側駆動軸支持部47は、「支持状態」と、「支持解除状態」と、になることが可能に構成される。「支持状態」は、反モータ側駆動軸支持部47が駆動軸51を支持する状態である。反モータ側駆動軸支持部47が支持状態のとき、例えば後述する支柱部47bが、台座23から上に立てられた状態である。「支持解除状態」は、反モータ側駆動軸支持部47が駆動軸51から離れて、反モータ側駆動軸支持部47が駆動軸51の支持を解除する状態である(図4において二点鎖線で示す)。反モータ側駆動軸支持部47が支持解除状態のとき、支柱部47bが倒された状態(例えば軸方向第2側Y2に倒された状態)である。反モータ側駆動軸支持部47は、台座固定部47aと、支柱部47bと、回動支持ピン47cと、駆動軸受け部47dと、駆動軸着脱ピン47eと、回動固定ピン47fと、を備える。
台座固定部47aは、台座23に固定される部分である。支柱部47bは、台座固定部47aに回転可能に取り付けられ、さらに詳しくは回動支持ピン47cを中心に回転可能に台座固定部47aに取り付けられる。台座23に対する支柱部47bの回転の方向は、軸方向Yである。台座23に対する支柱部47bの回転軸が延びる方向は、前後方向Xである。駆動軸受け部47dは、駆動軸51を支持する部分である。駆動軸受け部47dは、支柱部47bの先端部に設けられる(さらに詳しくは固定される)。図5に示すように、駆動軸受け部47dは、駆動軸51を受け入れることが可能な形状を有する。反モータ側駆動軸支持部47が支持状態のときに軸方向Yから見たとき、駆動軸受け部47dは、例えばU字状の凹部を有する形状である。駆動軸着脱ピン47eは、駆動軸受け部47dに支持された駆動軸51が、駆動軸受け部47dから外れることを防ぐ部材である。図4に示すように、回動固定ピン47fは、台座23に対する支柱部47bの回転を規制する。回動固定ピン47fは、支柱部47bが立てられた状態で、台座固定部47aに対して支柱部47bを固定することで、反モータ側駆動軸支持部47を支持状態で固定するピンである。
駆動軸51は、モータ41に回転させられることで、ロープ巻取ドラム60を回転させる。駆動軸51は、棒状である。駆動軸51の長手方向に延びる駆動軸51の中心軸は、ロープ巻取ドラム60の中心軸60aと一致(または略一致)する。
周方向移動規制部53は、駆動軸51に対するロープ巻取ドラム60の周方向Cへの移動を規制する。周方向移動規制部53は、駆動軸51とロープ巻取ドラム60とを中心軸60aを中心に一体的に回転させるための部分である。周方向移動規制部53は、駆動軸側部材53aと、駆動軸側係合部53bと、ドラム側係合部53cと、を備える。
駆動軸側部材53a(ドラム回転連結板)は、駆動軸51と駆動軸側係合部53bとをつなぐ部材である。駆動軸側部材53aは、駆動軸51から径方向外側R2に延びるように設けられる。駆動軸側部材53aは、駆動軸51に固定される。駆動軸側部材53aは、例えば板状である。
駆動軸側係合部53bは、駆動軸51に設けられ、さらに詳しくは駆動軸側部材53aに固定(例えば固着)される。駆動軸側係合部53bは、例えば突起部であり、駆動軸側部材53aから軸方向第2側Y2に突出する。駆動軸側係合部53bは、例えば軸方向Yから見て円形でもよく(図7参照)、多角形などでもよい。
ドラム側係合部53cは、駆動軸側係合部53bと係合可能である。ドラム側係合部53cは、ロープ巻取ドラム60に設けられ、例えば後述するモータ側側面61aに設けられる。ドラム側係合部53cは、例えば突起部である駆動軸側係合部53bを差し込み可能な孔(切欠き孔)である。ドラム側係合部53cは、モータ側側面61aを貫通する孔でもよく、モータ側側面61aを貫通しない凹部でもよい。なお、ドラム側係合部53cが突起部、駆動軸側係合部53bが孔や凹部でもよい。また、駆動軸側係合部53bおよびドラム側係合部53cは、図4に示す例では1組のみ設けられるが、複数組設けられてもよい。
軸方向移動規制部55は、駆動軸51に対するロープ巻取ドラム60の(さらに詳しくは巻胴部61の)軸方向Yへの移動を規制する。軸方向移動規制部55は、モータ側規制部55aと、反モータ側規制部55b(規制具)と、を備える。
モータ側規制部55aは、駆動軸51に対する巻胴部61の軸方向第1側Y1への移動を規制する。モータ側規制部55aは、駆動軸51に固定(例えば固着)される。モータ側規制部55aは、巻胴部61よりも軸方向第1側Y1に配置され、巻胴部61のモータ側側面61aに接触可能である。モータ側規制部55aは、周方向移動規制部53(さらに詳しくは駆動軸側部材53a)と兼用されてもよく、周方向移動規制部53とは別に設けられてもよい。
反モータ側規制部55b(規制具)は、駆動軸51に対する巻胴部61の軸方向第2側Y2への移動を規制する。モータ側規制部55aおよび反モータ側規制部55bは、巻胴部61を軸方向Yに挟むように配置される。図6に示すように、反モータ側規制部55bは、例えばリング状であり、駆動軸51が通される。反モータ側規制部55bは、駆動軸51の軸方向Yの任意の位置に固定可能である。反モータ側規制部55bは、例えば締付部材55cにより駆動軸51に固定される。締付部材55cは、例えばボルトおよびナットなどである。締付部材55cは、例えば反モータ側規制部55bの複数か所(図6では4か所)に設けられ、例えば等間隔に配置される。締付部材55cは、1か所にのみ設けられてもよい。
ロープ巻取ドラム60(仮巻きドラム)は、図2に示すように、ロープ21を巻き取るドラムである。図4に示すように、ロープ巻取ドラム60は、駆動軸51に取り付けられる。ロープ巻取ドラム60は、駆動軸51に着脱可能に取り付けられる(着脱の詳細は後述)。なお、ロープ巻取ドラム60は、駆動軸51に対して着脱可能でなくてもよい。以下では、ロープ巻取ドラム60が、駆動軸51に対して着脱可能である場合について説明する。ロープ巻取ドラム60は、巻胴部61と、第1フランジ71と、第2フランジ72と、第2フランジ固定部73と、隙間形成部材80と、を備える。なお、図4では、中心軸60aよりも上では、後側X2から見たロープ巻取ドラム60の断面であって中心軸60aを通る断面を示し、中心軸60aよりも下では、ロープ巻取ドラム60よりも前側X1から見たロープ巻取ドラム60を示す(図10も同様)。
巻胴部61(ドラム胴部)は、ロープ21(図2参照)が巻かれる部分である。巻胴部61は、略円柱状であり、例えば中空であり、中空でなくてもよい。巻胴部61は、駆動軸51に固定可能であり、さらに詳しくは、周方向移動規制部53および軸方向移動規制部55により駆動軸51に固定可能である。巻胴部61は、中心軸60aを中心に回転可能であり、駆動軸51と一体的に回転可能である。巻胴部61は、中心軸60aを中心に回転することで、ロープ21(図2参照)を巻き取りおよび繰り出しする。ロープ21は、軸方向Yに順に(1本分ずつ軸方向Yにずれながら)巻胴部61に巻かれる、および繰り出される。ロープ21は、軸方向Yに往復するように巻かれる、および繰り出される。巻胴部61は、モータ側側面61aと、反モータ側側面61bと、筒状部61cと、を備える。
モータ側側面61aは、巻胴部61の軸方向第1側Y1(モータ41側)の面である。モータ側側面61aは、径方向Rに延びるように設けられる。モータ側側面61aは、モータ側規制部55aに接触可能である。
反モータ側側面61bは、巻胴部61の軸方向第2側Y2(モータ41側とは反対側)の面である。反モータ側側面61bは、径方向Rに延びるように設けられる。反モータ側側面61bは、反モータ側規制部55bに接触可能である。
筒状部61cは、モータ側側面61aと反モータ側側面61bとをつなぐように設けられる。筒状部61cは、中心軸60aを中心とする円筒状である。筒状部61cは、巻胴部内周面61c1と、巻胴部外周面61c2と、を備える。巻胴部内周面61c1は、筒状部61cの径方向内側R1の面である。巻胴部外周面61c2は、筒状部61cの径方向外側R2の面である。巻胴部外周面61c2は、ロープ21(図2参照)が巻かれる面である。
第1フランジ71および第2フランジ72は、巻胴部61へのロープ21の巻取範囲(軸方向Yの範囲)を制限する。第1フランジ71および第2フランジ72のそれぞれは、巻胴部61から径方向外側R2に突出する。
第1フランジ71は、2つのフランジ(第1フランジ71および第2フランジ72)のうち、軸方向第1側Y1に配置される。第1フランジ71は、巻胴部61の軸方向第1側Y1部分(例えば端部)に配置される。第1フランジ71は、巻胴部61に対して固定され、巻胴部61に対して常に固定される。例えば、第1フランジ71は、巻胴部61(さらに詳しくはモータ側側面61a)と一体的に構成される。第1フランジ71は、巻胴部61と別体でもよい。なお、第1フランジ71は、巻胴部61に着脱可能に固定されてもよい(巻胴部61への着脱については第2フランジ72の説明を参照)。第1フランジ71は、第1フランジ本体部71aと、第1取付部71bと、を備える。
第1フランジ本体部71aは、中心軸60aを中心とするリング状である。第1フランジ本体部71aは、径方向Rに延びるように設けられ、例えば板状である。第1フランジ本体部71aの内径は、巻胴部外周面61c2と同径である。第1フランジ本体部71aの外径は、巻胴部外周面61c2よりも大径である。
第1取付部71bは、隙間形成部材80が取り付けられる部分である。第1取付部71bは、隙間形成部材80を通すことが可能に構成される。具体的には例えば、第1取付部71bは、第1フランジ本体部71aに設けられた孔(切欠き孔)であり、第1フランジ本体部71aを軸方向Yに貫通する。なお、第1取付部71bは、雌ねじ部を備えてもよい(第2フランジ72の雌ねじ部72b1を参照)。また、第1取付部71bは、隙間形成部材80を取り付け可能であればよく、貫通孔でなくてもよい。
第2フランジ72は、第1フランジ71よりも軸方向第2側Y2に配置される。第2フランジ72は、第1フランジ71に対して、モータ41が設けられる側とは反対側に配置される。第2フランジ72は、第1フランジ71との間に軸方向Yに間隔をあけて配置される。第2フランジ72は、巻胴部61の軸方向第2側Y2の部分(例えば軸方向第2側Y2端部の近傍など)に配置される。
この第2フランジ72(着脱可能フランジ)は、巻胴部61に着脱可能である。巻胴部61に対する第2フランジ72の軸方向Yにおける位置は、調整可能である。さらに詳しくは、第2フランジ72は、移動可能状態と、固定状態と、になることが可能に構成される。上記「移動可能状態」は、軸方向Yの所定範囲内で、巻胴部61に対して移動可能な第2フランジ72の状態である。図4に示す例では、第2フランジ72は、巻胴部61に対して軸方向Yの任意の位置に移動可能である。なお、図8に示す例のように、第2フランジ72は、巻胴部61に対して軸方向Yの特定の範囲内でのみ移動可能でもよい(詳細は後述)。上記「固定状態」は、図4に示すように、軸方向Yの上記所定範囲内の任意の位置で、巻胴部61に第2フランジ72が固定される状態である。なお、巻胴部61に対する第2フランジ72の軸方向Yにおける位置は、調整不可能でもよい。第2フランジ72は、第2フランジ本体部72aと、第2取付部72bと、を備える。
第2フランジ本体部72aは、中心軸60aを中心とするリング状である。第2フランジ本体部72aは、径方向Rに延びるように設けられ、例えば板状である。第2フランジ本体部72aの内径は、巻胴部外周面61c2と同径である。第2フランジ本体部72aの外径は、巻胴部外周面61c2よりも大径である。図5に示すように、第2フランジ本体部72aは、複数の第2フランジ分割部材72a1に分割可能である。第2フランジ本体部72aは、中心軸60aを中心に等分(または略等分)に分割可能である。複数の第2フランジ分割部材72a1は、周方向Cに連結可能である。第2フランジ分割部材72a1の数は、2でもよく、3以上でもよい。すなわち、第2フランジ本体部72aは、2分割(例えば中心軸60aを中心に180度ずつに分割)されてもよく、3以上に分割されてもよい。
第2取付部72bは、図4に示すように、隙間形成部材80が取り付けられる部分である。第2取付部72bは、隙間形成部材80を通すことが可能に構成される。具体的には例えば、第2取付部72bは、第2フランジ本体部72aに設けられた孔(切欠き孔)であり、第2フランジ本体部72aを軸方向Yに貫通する。第2取付部72bは、雌ねじ部72b1を備えてもよい。雌ねじ部72b1は、第2取付部72bの内周面に設けられた雌ねじである。
第2フランジ固定部73は、図5に示すように、第2フランジ72を巻胴部61に固定する部分である。第2フランジ固定部73は、第2フランジ分割部材72a1どうしを連結および固定する部分でもある。第2フランジ固定部73は、板部73aと、締結部材73bと、を備える。
板部73aは、複数の第2フランジ分割部材72a1のそれぞれの、周方向Cの両端部に設けられる。周方向Cに隣り合う第2フランジ分割部材72a1の、隣り合う板部73a(板部73aA、板部73aBとする)は、互いに周方向Cに対向する。板部73aAと板部73aBとの間には、隙間があけられる。さらに詳しくは、第2フランジ分割部材72a1の径方向内側R1の面が巻胴部外周面61c2に接触し、締結部材73bによる締結が行われていない状態で、板部73aAと板部73aBとの間に、隙間があけられる。
締結部材73bは、複数の第2フランジ分割部材72a1どうしを締結し、さらに詳しくは、板部73aAと板部73aBとを締結する(詳細は後述)。
隙間形成部材80は、ロープ巻取ドラム60からロープ21を取り外しやすくするための部材である。隙間形成部材80は、ロープ21と巻胴部61との間に隙間を形成するための部材である。隙間形成部材80は、巻胴部外周面61c2よりも径方向外側R2に配置される。図4に示すように、隙間形成部材80は、第1フランジ71と第2フランジ72とをつなぐように配置され、さらに詳しくは、第1取付部71bと第2取付部72bとをつなぐように配置される。隙間形成部材80は、第1フランジ71および第2フランジ72に着脱可能に取り付けられ、さらに詳しくは、第1取付部71bおよび第2取付部72bに着脱可能に取り付けられる。隙間形成部材80は、軸方向Yに延びるように配置される。隙間形成部材80は、隙間形成部材本体部81と、把手部83と、を備える。
隙間形成部材本体部81は、軸方向Yに延びる棒状部材である。軸方向Yから見た隙間形成部材本体部81の断面は、例えば、円形または略円形などである(図5参照)。具体的には例えば、隙間形成部材本体部81は、直径20mm程度の丸鋼などである。なお、隙間形成部材本体部81の直径は、様々に設定可能である。隙間形成部材本体部81は、雄ねじ部81aと、テーパ部81bと、を備える。
雄ねじ部81aは、雌ねじ部72b1にねじ結合される。雄ねじ部81aは、隙間形成部材本体部81の外周面に設けられる。雄ねじ部81aと雌ねじ部72b1とのねじの作用により、隙間形成部材80が、第1フランジ71および第2フランジ72に対して軸方向Yに移動可能である。
テーパ部81bは、第1フランジ71と第2フランジ72との間(軸方向Yにおける間)の位置、すなわちロープ21が巻かれる位置に設けられる。テーパ部81bは、第1フランジ71と第2フランジ72との間の領域の、全体または略全体に設けられることが好ましい。テーパ部81bは、軸方向Yの一方側(例えば軸方向第1側Y1とする)に向かって先細りになるように構成される。上記「軸方向Yの一方側」は、第1フランジ71および第2フランジ72から隙間形成部材本体部81を取り外す向き(例えば軸方向第2側Y2)とは逆向き(例えば軸方向第1側Y1)である。軸方向Yから見たテーパ部81bの断面積は、軸方向Yの一方側に向かって小さくなる。軸方向Yから見た隙間形成部材本体部81の断面が円形の場合は、テーパ部81bの直径は、軸方向Yの一方側に向かって小径になる。
把手部83は、隙間形成部材本体部81を作業者が手で引きやすくするための部分である(図3参照)。把手部83は、隙間形成部材本体部81の軸方向第2側Y2部分(例えば端部)に取り付けられる。
(ロープ巻取ドラム60の組み立て)
ロープ巻取ドラム60は、次のように組み立てられる。
(第2フランジ72の巻胴部61への取り付け)
図5に示す第2フランジ72が、巻胴部61に、次のように取り付けられる。複数の第2フランジ分割部材72a1が、巻胴部外周面61c2の任意の位置に配置される。次に、第2フランジ固定部73により、第2フランジ分割部材72a1どうしが連結される。具体的には、締結部材73bが、板部73aAと板部73aBとを締結する。このとき、締結部材73bが、板部73aAと板部73aBとの隙間を小さくする向きに、板部73aAおよび板部73aBに力を作用させる。すると、複数の第2フランジ分割部材72a1が、巻胴部61を径方向内側R1に挟む。その結果、第2フランジ72が、巻胴部61に固定される。
(巻胴部61の駆動軸51への取り付け)
図4に示す巻胴部61が、駆動軸51に、次のように取り付けられる。反モータ側駆動軸支持部47が、支持解除状態とされる。具体的には、支柱部47bが、軸方向第2側Y2に倒された状態(横転姿勢)とされる。この状態で、巻胴部61が、駆動軸51に取り付けられる。駆動軸51に対して巻胴部61が軸方向第1側Y1に移動すると、巻胴部61のモータ側側面61aが、モータ側規制部55aに接触する。すると、駆動軸51に対する軸方向第1側Y1への巻胴部61の移動が、規制される。巻胴部61の周方向Cにおける位置(すなわち中心軸60aを中心とする回転角度)が調整されることで、ドラム側係合部53cと駆動軸側係合部53bとが、係合させられる。すると、駆動軸51に対する巻胴部61の周方向Cへの移動が、規制される。次に、反モータ側規制部55bが、駆動軸51に取り付けられ、巻胴部61の反モータ側側面61bに接触する。この状態で、反モータ側規制部55bが、締付部材55c(図6参照)により、駆動軸51に固定される。すると、駆動軸51に対する軸方向Yへの巻胴部61の移動が、規制される。その結果、巻胴部61が、駆動軸51に対して固定され、駆動軸51と一体的に回転可能な状態になる。
(隙間形成部材80の取り付けなど)
隙間形成部材80が、第1フランジ71および第2フランジ72に取り付けられる。具体的には例えば、隙間形成部材本体部81が、第1取付部71bおよび第2取付部72bに差し込まれる。そして、隙間形成部材本体部81の雄ねじ部81aが、第1取付部71bの雌ねじ部72b1に、ねじ込まれる。
なお、ロープ巻取ドラム60の組み立ての順序は適宜変更可能である。例えば、第2フランジ72が巻胴部61に固定された後、巻胴部61が駆動軸51に固定されてもよく、巻胴部61が駆動軸51に固定された後、第2フランジ72が巻胴部61に固定されてもよい。また、ロープ巻取ドラム60の組み立てとは逆の手順により、ロープ巻取ドラム60の分解が可能である。
(ロープ21の巻き取り)
図1に示すロープ巻取ドラム60が、ウインチ19に巻かれたロープ21を巻き取る。例えば、クレーン1の輸送時に、輸送する物の質量を調整するために、ロープ巻取ドラム60が、ウインチ19からロープ21を巻き取ってもよい。また、ウインチ19に巻かれたロープ21が交換時期を迎えた際に、ロープ巻取ドラム60が、ウインチ19からロープ21(使用済みの古ロープ)を巻き取ってもよい。
図4に示すロープ巻取ドラム60が、ロープ21を、次のように巻き取る。モータ41が駆動すると、駆動軸51とロープ巻取ドラム60とが、一体的に中心軸60aを中心に回転する。これと同時に、図1に示すウインチ19が、ロープ21を繰り出す。すると、ロープ21が、ウインチ19からロープ巻取ドラム60に移動し、ロープ巻取ドラム60に巻き取られる。このとき、図5に示すように、ロープ21が、巻胴部61の上(径方向外側R2)かつ隙間形成部材80の上(さらに詳しくは隙間形成部材本体部81の径方向外側R2)に巻かれる。なお、図1に示すロープ巻取ドラム60がロープ21を巻き取る際、ロープ21は、図2に示す張力付与部30を経由してもよく(ブレーキドラム支持部31に巻かれてもよく)、張力付与部30を経由しなくてもよい。
(ロープ21の取り外し)
図5に示すロープ巻取ドラム60に巻き取られたロープ21が、ロープ巻取ドラム60から取り外される場合がある。例えば、ロープ21が廃棄される場合などに、ロープ21が、ロープ巻取ドラム60から取り外される。ロープ巻取ドラム60からのロープ21の取り外しは、次のように行われる。第2フランジ72の巻胴部61への固定が、解除される。具体的には、締結部材73bが板部73aから取り外された状態で、第2フランジ分割部材72a1が巻胴部61から径方向外側R2に取り外されてもよい。また、締結部材73bによる板部73aAと板部73aBとの締結が緩められた状態で、図4に示す第2フランジ72が、巻胴部61に対して軸方向第2側Y2に移動させられ、巻胴部61から取り外されてもよい。また、反モータ側駆動軸支持部47が、支持解除状態とされ、駆動軸51から外れた状態とされる。
図5に示す第2フランジ72が巻胴部61から取り外されるのと同時に、隙間形成部材80が、ロープ21から抜き取られてもよい。また、第2フランジ72が巻胴部61に取り付けられた状態で、隙間形成部材80が、ロープ21から抜き取られてもよい。巻胴部61および隙間形成部材80にロープ21が強固に巻かれている場合(強い力で巻かれている場合や、多層に巻かれている場合など)は、ロープ21から隙間形成部材80を抜き取ることが難しい場合がある。この場合でも、図4に示す雄ねじ部81aおよび雌ねじ部72b1の作用により、隙間形成部材80の中心軸を中心に隙間形成部材80が回転させられることで、隙間形成部材80が軸方向Yに容易に移動する。よって、隙間形成部材80が、ロープ21から容易に抜き取られる。また、テーパ部81bにより、隙間形成部材80が、ロープ21から軸方向第2側Y2に容易に抜き取られる。
図5に示すロープ21から隙間形成部材80が抜き取られると、ロープ21と巻胴部61との間に隙間が形成され、ロープ21がゆるんだ状態になる。この状態で、ロープ21が、軸方向第2側Y2に移動させられ、巻胴部61から取り外される。
(ロープ21の繰り出し)
図1に示すロープ巻取ドラム60に巻き取られたロープ21が、ウインチ19に、次のように繰り出される。ウインチ19が、ロープ21を巻き取る向きに駆動する。すると、ロープ21が、ロープ巻取ドラム60から繰り出され、張力付与部30を介して、ウインチ19に向かって移動する。なお、ロープ巻取ドラム60からウインチ19までのロープ21の経路に、ロープ21の方向を変えるシーブS1が設けられてもよい。シーブS1は、クレーン1に設けられてもよく、ロープ巻取装置20に設けられてもよく、クレーン1とロープ巻取装置20との間に設けられてもよい。例えば、ロープ巻取ドラム60へのロープ21の巻き取り位置を制御するためのシーブS1などが設けられてもよい。
ロープ巻取ドラム60が、ウインチ19でのロープ21の巻取量(すなわち張力付与部30でのロープ21の繰り出し量)に応じて回転し、ロープ21を繰り出す。ロープ巻取ドラム60におけるロープ21の繰り出し位置は、軸方向Yに往復移動する。このとき、図2に示すモータ41による駆動力が無くても、ロープ巻取ドラム60が、ロープ21の張力により回転する。
このとき、ロープ巻取ドラム60が、回転慣性力によって必要以上に回転する場合がある。そこで、モータ41が、ロープ巻取ドラム60の回転を制動してもよい。さらに詳しくは、ロープ巻取ドラム60からのロープ21の繰り出し速度が、ウインチ19(図1参照)でのロープ21の巻き取り速度(すなわち張力付与部30でのロープ21の繰り出し速度)以下になるように、モータ41の駆動が制御されてもよい。ロープ巻取ドラム60が制動されることで、ロープ巻取ドラム60とブレーキドラム33との間のロープ21に張力が付与される。なお、モータ41以外のブレーキが、ロープ巻取ドラム60を制動してもよい。
ロープ巻取ドラム60から繰り出されたロープ21が、ブレーキドラム33に巻かれる。ブレーキドラム33に巻かれたロープ21が、傾斜面33o1に接触しながら、ブレーキドラム33の特定位置(例えばブレーキドラム33の軸方向Y中央位置)に移動する。そして、ロープ21が、ブレーキドラム33の特定位置からウインチ19(図1参照)に繰り出される。
このとき、張力付与部30が、ロープ21に張力を付与する。さらに詳しくは、ロープ21は、ブレーキドラム33に巻かれており、ブレーキドラム33が、ブレーキドラム中心軸33aを中心に回転する。このブレーキドラム33の回転を、ブレーキ装置35が制動する。よって、ブレーキドラム33とウインチ19(図1参照)との間のロープ21に、張力が付与される。この張力が適切な大きさになるように、ブレーキ装置35による制動力が調整される。その結果、ウインチ19でのロープ21の乱巻が抑制される。
ロープ巻取ドラム60に代えて、ロープ巻取ドラム60以外のドラムが、駆動軸51に取り付けられてもよい。具体的には例えば、ウインチ19(図1参照)に巻かれていたロープ21が廃棄され、新しいロープ21がウインチ19に巻かれる場合がある。この場合、新しいロープ21が巻かれたドラム(例えば図示しない木製ドラムなど)が駆動軸51に取り付けられ、このドラムから繰り出されたロープ21が、張力付与部30を介して、ウインチ19(図1参照)に巻き取られてもよい。
(第1の発明の効果)
図4に示すロープ巻取ドラム60による効果は次の通りである。ロープ巻取ドラム60は、ロープ21が巻かれる巻胴部61と、第1フランジ71と、第2フランジ72と、を備える。第1フランジ71は、巻胴部61から径方向外側R2(巻胴部径方向外側)に突出する。第2フランジ72は、巻胴部61から径方向外側R2に突出し、第1フランジ71との間に軸方向Y(巻胴部軸方向)に間隔をあけて配置される。
[構成1]第2フランジ72は、巻胴部61に着脱可能に取り付けられる。
上記[構成1]により、巻胴部61から第2フランジ72を取り外した場合、巻胴部61に巻かれたロープ21を、ロープ巻取ドラム60から繰り出さなくても、巻胴部61から取り外すことができる。よって、巻胴部61からロープ21を取り外す作業を容易に行うことができる。さらに詳しくは、巻胴部61からロープ21を取り外す作業の手間と労力を抑制することができる。
(第2の発明の効果)
[構成2]第2フランジ72は、軸方向Yの所定範囲内で巻胴部61に対して移動可能な状態(移動可能状態)と、上記の所定範囲内の任意の位置で巻胴部61に固定される状態(固定状態)と、になることが可能に構成される。
上記[構成2]により、巻胴部61に対する第2フランジ72の軸方向Yの位置を調整および固定することで、第1フランジ71と第2フランジ72との間の寸法(ロープ21の巻き取り幅)を調整することができる。その結果、例えば、第1フランジ71と第2フランジ72との間の寸法を、ウインチ19(図1参照)(相手方ドラム)のフランジ間寸法に合わせることなどができる。
(第3の発明の効果)
図5に示すように、ロープ巻取ドラム60は、第2フランジ72を巻胴部61に固定するための締結部材73bを備える。
[構成3−1]第2フランジ72は、周方向C(巻胴部周方向)に連結可能な複数の第2フランジ分割部材72a1を備える。
[構成3−2]締結部材73bは、複数の第2フランジ分割部材72a1どうしを締結することで第2フランジ72を巻胴部61に固定する。
上記[構成3−1]により、巻胴部61に対して径方向Rに第2フランジ分割部材72a1を着脱することができる。よって、第2フランジ72が分割不可能である場合に比べ、巻胴部61に対して第2フランジ72を容易に着脱することができる。
上記[構成3−2]により、第2フランジ分割部材72a1を締結部材73bで締結すれば、第2フランジ72が、巻胴部61に固定される。よって、第2フランジ分割部材72a1どうしの締結のための部材と、第2フランジ72を巻胴部61に固定するための部材と、を兼用することができる。
(第5の発明の効果)
[構成5]ロープ巻取ドラム60は、隙間形成部材80を備える。隙間形成部材80は、巻胴部外周面61c2よりも径方向外側R2に配置される。図4に示すように、隙間形成部材80は、第1フランジ71と第2フランジ72とをつなぐように配置され、第1フランジ71および第2フランジ72に着脱可能に取り付けられる。
上記[構成5]により、図5に示すように、巻胴部61および隙間形成部材80の径方向外側R2にロープ21が巻かれた後、第1フランジ71および第2フランジ72から隙間形成部材80が取り外されると、ロープ21と巻胴部61との間に隙間が形成される。よって、巻胴部61からロープ21を取り外す作業を、より容易に行うことができる。
(第6の発明の効果)
[構成6]図4に示すように、隙間形成部材80は、第1フランジ71と第2フランジ72との間の位置で軸方向Yの一方側(例えば軸方向第1側Y1)に向かって先細りになるテーパ部81bを備える。
上記[構成6]により、次の効果が得られる。巻胴部61および隙間形成部材80の径方向外側R2にロープ21が巻かれた状態で、軸方向Yの一方側とは反対側(例えば軸方向第2側Y2)に隙間形成部材80が引かれる。すると、ロープ21から隙間形成部材80を容易に引き抜くことができる。その結果、巻胴部61からロープ21を取り外す作業を、より容易に行うことができる。
(第7の発明の効果)
[構成7]第1フランジ71および第2フランジ72の少なくともいずれかは、隙間形成部材80が取り付けられる部分に設けられる雌ねじ部72b1を備える。隙間形成部材80は、雌ねじ部72b1にねじ結合される雄ねじ部81aを備える。
上記[構成7]により、第1フランジ71および第2フランジ72に隙間形成部材80を固定するための部材を、別途(第1フランジ71、第2フランジ72、および隙間形成部材80以外に)設ける必要はない。また、上記[構成7]により、第1フランジ71および第2フランジ72に対して隙間形成部材80が、ねじの作用により移動できる。よって、ロープ21から隙間形成部材80を容易に引き抜くことができる。その結果、巻胴部61からロープ21を取り外す作業を、より容易に行うことができる。
(第8の発明の効果)
ロープ巻取装置20による効果は、次の通りである。
[構成8]ロープ巻取装置20は、ロープ巻取ドラム60と、モータ41と、モータ41に回転させられる駆動軸51と、を備える。ロープ巻取ドラム60は、駆動軸51と一体的に回転可能に前記駆動軸に取り付けられる。
上記[構成8]では、ロープ巻取ドラム60は、駆動軸51を介してモータ41に駆動される。よって、ロープ巻取ドラム60をモータ41により駆動または制動することができる。
上記[構成8]により、例えば次の効果が得られてもよい。ロープ巻取ドラム60がロープ21を巻き取りまたは繰り出しする際に、モータ41の回転数を調整した場合は、ロープ巻取ドラム60からのロープ21の巻き取りまたは繰り出しの速度を調整することができる。その結果、ロープ巻取ドラム60から繰り出されるロープ21に張力を付与することができてもよい。
(第9の発明の効果)
[構成9]ロープ巻取ドラム60は、駆動軸51に着脱可能に取り付けられる。
上記[構成9]により、ロープ巻取ドラム60が駆動軸51に着脱可能でない場合に比べ、利便性を向上させることができる。
上記[構成9]により、例えば次の効果が得られてもよい。ロープ巻取ドラム60が駆動軸51から取り外された状態で、ロープ巻取ドラム60からロープ21を取り外す作業を行うことができる。また、ロープ巻取ドラム60を駆動軸51から取り外すことで、別のドラムを駆動軸51に取り付けることができる。上記「別のドラム」は、駆動軸51から取り外されたロープ巻取ドラム60とは別のロープ巻取ドラム60でもよく、巻胴部61に対して着脱可能なフランジを備えないドラム(ロープ巻取ドラム60ではないドラム)でもよい。
(第10の発明の効果)
[構成10]ロープ巻取装置20は、反モータ側規制部55b(規制具)を備える。反モータ側規制部55bは、駆動軸51の任意の位置に固定可能であり、駆動軸51に対する巻胴部61の軸方向Yへの移動を規制する。
上記[構成10]では、反モータ側規制部55bが、駆動軸51の任意の位置に固定可能である。よって、様々な幅(軸方向Yにおける幅)のロープ巻取ドラム60に対応することができる。さらに詳しくは、ロープ巻取ドラム60の軸方向Yにおける幅が変わっても、反モータ側規制部55bの軸方向Yの位置を変えることで、駆動軸51に対する巻胴部61の軸方向Yへの移動を規制することができる。
(第11の発明の効果)
[構成11]第2フランジ72は、第1フランジ71に対してモータ41が設けられる側とは反対側(第1フランジ71に対して軸方向第2側Y2)に配置される。
巻胴部61に対して着脱可能な第2フランジ72が、第1フランジ71よりもモータ41側(軸方向第1側Y1)に配置される場合について検討する。この場合に、駆動軸51にロープ巻取ドラム60が取り付けられた状態で、第2フランジ72が巻胴部61から取り外され、ロープ21が巻胴部61から取り外されるとする。そして、ロープ21が軸方向第1側Y1に移動させられると、ロープ21が、モータ41またはモータ41の周囲の物体に干渉する。一方、上記[構成11]では、ロープ巻取ドラム60が駆動軸51に取り付けられた状態で、第2フランジ72が巻胴部61から取り外され、ロープ21が軸方向第2側Y2に移動させられると、モータ41およびモータ41の周囲の物体にロープ21が干渉しない。よって、巻胴部61からロープ21を取り外す作業を、より容易に行うことができる。
(第12の発明の効果)
ロープ巻取装置20は、反モータ側駆動軸支持部47を備える。反モータ側駆動軸支持部47は、ロープ巻取ドラム60に対してモータ41が設けられる側とは反対側(ロープ巻取ドラム60に対して軸方向第2側Y2)に配置される。
[構成12]反モータ側駆動軸支持部47は、駆動軸51を支持する状態(支持状態)と、駆動軸51から離れて駆動軸51の支持を解除する状態(支持解除状態)と、になることが可能に構成される。
上記[構成12]では、反モータ側駆動軸支持部47を支持解除状態にすることで、次の効果が得られる。ロープ巻取ドラム60が駆動軸51に取り付けられた状態で、第2フランジ72が巻胴部61から取り外され、ロープ21が軸方向第2側Y2に移動させられたときに、ロープ21が反モータ側駆動軸支持部47と干渉することを抑制することができる。よって、巻胴部61からロープ21を取り外す作業を、より容易に行うことができる。また、駆動軸51からロープ巻取ドラム60を軸方向第2側Y2に抜き取る作業を容易に行うことができる。
上記[構成12]では、反モータ側駆動軸支持部47を支持状態にすることで、ロープ巻取ドラム60よりも軸方向第2側Y2の位置で、駆動軸51を支持することができる。よって、ロープ巻取ドラム60よりも軸方向第2側Y2の位置で駆動軸51が支持されない場合に比べ、駆動軸51が確実に支持される。その結果、ロープ巻取ドラム60が確実に支持される。
(第13の発明の効果)
[構成13]図1に示すように、ロープ巻取装置20は、張力付与部30を備える。張力付与部30は、ロープ巻取ドラム60から繰り出されたロープ21を巻き取るウインチ19と、ロープ巻取ドラム60と、の間であって、ロープ21の経路における間に配置される。張力付与部30は、ロープ21に張力を付与する。
上記[構成13]により、張力付与部30とウインチ19との間のロープ21に張力を付与することができる。よって、ウインチ19に巻かれるロープ21の乱巻きを抑制することができる。
(第2実施形態)
図8および図9を参照して、第2実施形態のロープ巻取装置220のロープ巻取ドラム260について、第1実施形態との相違点を説明する。なお、ロープ巻取ドラム260のうち、第1実施形態との共通点については、説明を省略する。共通点の説明を省略する点については、後述する第3実施形態の説明も同様である。第1実施形態では、図5に示すように、第2フランジ分割部材72a1が巻胴部61を径方向内側R1に挟むことで、第2フランジ72が巻胴部61に固定された。一方、本実施形態では、図9に示すように、第2フランジ272は、分割不可能である。また、図8に示すように、巻胴部61は、切欠き部263を備える。
切欠き部263は、後述する締結部材273fが通される部分である(図9参照)。切欠き部263は、筒状部61cを径方向Rに貫通する孔(切欠き孔)である。切欠き部263は、軸方向Yに延びるように設けられる。切欠き部263の軸方向Yにおける長さに応じて、巻胴部61に対する第2フランジ272の軸方向Yへの移動可能範囲が決まる。
第2フランジ固定部273は、次のように構成される。図5に示す例では、第2フランジ固定部73は、第2フランジ分割部材72a1どうしを連結する機能と、第2フランジ72を巻胴部61に固定する機能と、を有した。一方、図9に示す第2フランジ固定部273は、第2フランジ272を巻胴部61に固定する機能を有し、第2フランジ分割部材72a1(図5参照)どうしを連結する機能は有さない。第2フランジ固定部273は、第2フランジ側部材273dと、巻胴部側部材273eと、締結部材273fと、を備える。
第2フランジ側部材273dは、図8に示すように、第2フランジ272に固定される。第2フランジ側部材273dは、第2フランジ272の面のうち、第1フランジ71に対向する面とは反対側の面(軸方向第2側Y2の面、すなわちロープ21と接触しない面)に固定される。第2フランジ側部材273dは、第2フランジ272の軸方向第2側Y2の面から軸方向第2側Y2に突出する。図9に示すように、第2フランジ側部材273dは、巻胴部外周面61c2に沿うように設けられる。第2フランジ側部材273dの径方向内側R1の面は、巻胴部外周面61c2に接触可能であり、例えば、巻胴部外周面61c2に沿うような円弧状である。第2フランジ側部材273dは、ブロック状でもよく、板状でもよい(巻胴部側部材273eも同様)。第2フランジ側部材273dは、締結部材273fを通すことが可能な孔(例えばボルト孔)を有する。
巻胴部側部材273eは、巻胴部61の内部(さらに詳しくは筒状部61cの内部)に設けられる。巻胴部側部材273eは、巻胴部内周面61c1に沿うように設けられる。巻胴部側部材273eの径方向外側R2の面は、巻胴部内周面61c1に接触可能であり、例えば、巻胴部内周面61c1に沿うような円弧状である。巻胴部側部材273eは、締結部材273fを通すことが可能な孔を有する。この孔の内面は、雌ねじを有する。
締結部材273fは、第2フランジ側部材273dと巻胴部側部材273eとを締結(さらに詳しくは径方向Rに締結)する。締結部材273fは、第2フランジ側部材273dの孔と、巻胴部側部材273eの孔と、切欠き部263と、に通される。締結部材273fは、例えばボルトである。締結部材273fは、巻胴部側部材273eの雌ねじにねじ結合する雄ねじを有する。
第2フランジ側部材273dと巻胴部側部材273eとは、巻胴部61(さらに詳しくは筒状部61c)を挟むように配置される。締結部材273fが、第2フランジ側部材273dと巻胴部側部材273eとを締結する。これにより、第2フランジ272が、巻胴部61に固定される。締結部材273fによる締結がゆるんだ状態のとき、図8に示す切欠き部263に沿って締結部材273fが軸方向Yに移動可能である。その結果、第2フランジ272および第2フランジ固定部273が、巻胴部61に対して軸方向Yに移動可能である。なお、巻胴部61の内部に巻胴部側部材273e(図9参照)を配置するために、例えば反モータ側側面61bに孔が設けられてもよい。また、反モータ側側面61bは、筒状部61cに対して着脱可能でもよく、切欠き部263よりも軸方向第1側Y1に配置されてもよい。
(第4の発明の効果)
図9に示すロープ巻取ドラム260による効果は、次の通りである。
[構成4]ロープ巻取ドラム260は、第2フランジ側部材273dと、巻胴部側部材273eと、締結部材273fと、を備える。図8に示すように、第2フランジ側部材273dは、第2フランジ272の面のうち第1フランジ71に対向する面とは反対側の面(軸方向第2側Y2の面)に固定される。図9に示すように、第2フランジ側部材273dは、巻胴部外周面61c2に沿うように設けられる。巻胴部側部材273eは、巻胴部内周面61c1に沿うように設けられる。締結部材273fは、第2フランジ側部材273dと巻胴部側部材273eとを締結する。巻胴部61は、切欠き部263を備える。図8に示すように、切欠き部263は、軸方向Yに延びるように設けられるとともに締結部材273fが通される。
上記[構成4]により、図9に示すように、第2フランジ側部材273dと巻胴部側部材273eとが、巻胴部61を挟む状態で締結部材273fにより締結されることで、第2フランジ272を巻胴部61に固定することができる。この構成では、第2フランジ272を分割可能に構成(図5参照)する必要はない。よって、第2フランジ272を簡易に構成でき、第2フランジ272の製作コストを抑制することができる。
上記[構成4]では、図8に示すように、切欠き部263は、軸方向Yに延びるように巻胴部61に設けられる。よって、切欠き部263に通される締結部材273fが、巻胴部61に対して軸方向Yに移動可能である。その結果、第2フランジ272が、巻胴部61に対して軸方向Yに移動可能である。よって、上記[構成2]による効果を確実に得ることができる。
(第3実施形態)
図10を参照して、第3実施形態のロープ巻取装置320について、第1実施形態との相違点を説明する。第1実施形態では、図4に示す駆動軸51が、駆動軸支持部44に(少なくともモータ側駆動軸支持部45に)常に支持された。そして、ロープ巻取ドラム60が、駆動軸51に対して着脱された。一方、本実施形態では、図10に示す駆動軸51およびロープ巻取ドラム60が、一体的に、駆動軸支持部44に対して着脱される。ロープ巻取装置320では、駆動軸支持部44は、モータ側駆動軸支持部345と、反モータ側駆動軸支持部347と、を備える。
モータ側駆動軸支持部345の上部は、例えば、常に開いた状態(常に駆動軸51を着脱可能な状態)でもよい。モータ側駆動軸支持部345の一部は、開閉可能でもよい。例えば、モータ側駆動軸支持部345は、駆動軸受け部47dおよび駆動軸着脱ピン47eと同様の構造を備えてもよい。モータ側駆動軸支持部345は、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。
図4に示す例では、反モータ側駆動軸支持部47は、駆動軸51から離れた支持解除状態になることが可能であった。一方、本実施形態では、図10に示す反モータ側駆動軸支持部347は、支持解除状態になる必要はない。反モータ側駆動軸支持部347は、常に、駆動軸51を支持可能な支持状態(立てられた状態)でもよい。
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。例えば、互いに異なる実施形態の構成要素どうしが組み合わされてもよい。例えば、各構成要素の配置や形状が変更されてもよい。例えば、構成要素の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。例えば、構成要素どうしの固定や連結などは、直接的でも間接的でもよい。例えば、互いに異なる複数の部材や部分として説明したものが、一つの部材や部分とされてもよい。例えば、一つの部材や部分として説明したものが、互いに異なる複数の部材や部分に分けて設けられてもよい。
具体的には例えば、図1に示すロープ21の経路は、前後方向Xに沿うような経路でもよく、前後方向Xに沿うような経路でなくてもよい。図2に示す張力付与部30は、設けられなくてもよい。例えば、ロープ巻取装置20が、ロープ21の巻き取りに用いられ、ロープ21の繰り出しには用いられない場合(具体的にはロープ21を巻き取って廃棄する場合など)には、張力付与部30は、設けられなくてもよい。図5に示す第2フランジ分割部材72a1どうしを固定する第2フランジ固定部73と、図9に示す第2フランジ272を巻胴部61に固定する第2フランジ固定部273と、が組み合わされてもよい。ロープ巻取ドラム60に巻かれるロープ21は、ウインチ19に巻かれなくてもよい。