以下、図面を参照しつつ、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るクレーン10の側面図である。なお、以後、各図には、「上」、「下」、「前」および「後」の方向が示されているが、当該方向は、本実施形態に係るクレーン10の構造および組立方法を説明するために便宜上示すものであり、本発明に係るクレーンの移動方向や使用態様などを限定するものではない。
クレーン10は、クレーン本体に相当する旋回体12と、この旋回体12を旋回可能に支持する走行体14と、ブーム16及びジブ18を含む起伏部材と、ブーム起伏用部材であるマスト20と、を備える。また、旋回体12の後部には、クレーン10のバランスを調整するためのカウンタウエイト13が積載されている。また、旋回体12の前端部には、キャブ15が備えられている。キャブ15は、クレーン10の運転席に相当する。
図1に示されるブーム16は、いわゆるラチス型であり、下部ブーム16Aと、一または複数(図例では5個)の中間ブーム16B,16C,16D,16E,16Fと、上部ブーム16Gとから構成される。具体的に、下部ブーム16Aは、旋回体12の前部に起伏方向に回動可能となるように連結される。中間ブーム16B,16C,16D,16E,16Fは、その順に下部ブーム16Aの先端側に着脱可能に継ぎ足される。上部ブーム16Gは中間ブーム16Fの先端側に着脱可能に継ぎ足され、この上部ブーム16Gの先端部に、後述のようにジブ18を回動させるためのリアストラット21及びフロントストラット22が回動可能に連結される。ブーム16は、下端部に備えられたブームフット16Sを支点として旋回体12に回動可能に軸支される。ただし、本発明ではブームの具体的な構造は限定されない。例えば、上記とは中間ブームの数が異なるものでもよい。
ジブ18も、その具体的な構造は限定されないが、図例ではラチス型の構造を有する。そして、ジブ18は、下部ジブ18Aと、一または複数(図例では4個)の中間ジブ18B,18C,18D,18Eと、上部ジブ18Fとから構成される。具体的に、下部ジブ18Aは、ブーム16の上部ブーム16Gに起伏方向に回動可能となるように連結される。中間ジブ18B,18C,18D,18Eは、その順に下部ジブ18Aの先端側に着脱可能に継ぎ足される。上部ジブ18Fは中間ジブ18Eの先端側に着脱可能に継ぎ足され、このジブ18の基端部(下部ジブ18A)に配置されるジブフット18Sは、ブーム16の上部ブーム16Gの先端部に回動可能に連結(軸支)されている。ジブ18の回動中心軸は、旋回体12に対するブーム16の回動中心軸(ブームフット16S)と平行な横軸になっている。なお、ジブ18の長さは、少なくともブーム16のうち2つの中間ブーム(たとえば、中間ブーム16Bおよび中間ブーム16C、ブーム部材ともいう)の長さの和よりも長く設定されている。
マスト20は、基端及び回動端を有し、その基端が旋回体12に回動可能に連結される。マスト20の回動軸は、ブーム16の回動軸と平行でかつ当該ブーム16の回動軸のすぐ後方に位置している。すなわち、このマスト20はブーム16の起伏方向と同方向に回動可能である。一方、このマスト20の回動端は左右一対のブーム用ガイライン24を介してブーム16の先端に連結される。この連結は、マスト20の回動とブーム16の回動とを連携させる。
旋回体12上には左右一対のバックストップ23が設けられる。これらのバックストップ23は、ブーム16が図1に示される起立姿勢まで到達した時点で当該ブーム16の基端側部材16Aの左右両側部に当接する。この当接によって、ブーム16が強風等で後方に煽られることが規制される。
リアストラット21およびフロントストラット22は、ブーム16の先端に回動可能に軸支される。リアストラット21は、上部ブーム16Gの先端からブーム起立側(図1では左側)に張り出す姿勢で保持される。この姿勢を保持する手段として、リアストラット21とブーム16との間に左右一対のバックストップ25及び左右一対のガイリンク26が介在する。バックストップ25は、中間ブーム16Fとリアストラット21の中間部位との間に介在し、リアストラット21を下から支える。ガイリンク26はリアストラット21の先端部とブーム16の下部ブーム16Aとを接続するように張設され、その張力によってリアストラット21の位置を規制する。なお、他の実施形態において、リアストラット21およびフロントストラット22は、ジブ18の基端部に回動可能に軸支されてもよい。また、リアストラット21がブーム16の先端部に回動可能に軸支され、フロントストラット22がジブ18の基端部に回動可能に軸支されてもよい。
フロントストラット22は、ジブ18と連動して(一体的に)回動するようにこのジブ18に連結される。詳しくは、このフロントストラット22の先端部とジブ18の先端部とを結ぶように左右一対のジブ用ガイライン28が張設される。従って、このフロントストラット22の回動駆動によってジブ18も回動駆動される。なお、前述のリアストラット21は、図1に示すようにフロントストラット22の後側に配置され、フロントストラット22との間で略二等辺三角形形状を形成する。
クレーン10には、各種ウインチが搭載される。具体的には、ブーム16を起伏させるためのブーム起伏用ウインチ30と、ジブ18を起伏方向に回動させるためのジブ起伏用ウインチ32と、吊り荷の巻上げ及び巻下げを行うための主巻用ウインチ34及び補巻用ウインチ36とが搭載される。本実施形態に係るクレーン10では、ブーム起伏用ウインチ30がマスト20の基端近傍部位に据え付けられる。また、ジブ起伏用ウインチ32、主巻用ウインチ34、及び補巻用ウインチ36がいずれもブーム16における基端側部材16Aに据え付けられる。これらのウインチ30,32,34,36は旋回体12に搭載されていてもよい。
ブーム起伏用ウインチ30は、ブーム起伏用ロープ38の巻き取り及び繰り出しを行う。そして、この巻き取り及び繰り出しによりマスト20が回動するようにブーム起伏用ロープ38が配索される。具体的には、マスト20の回動端部及び旋回体12の後端部にはそれぞれ複数のシーブが幅方向に配列されたシーブブロック40,42が設けられ、ブーム起伏用ウインチ30から引き出されたブーム起伏用ロープ38がシーブブロック40,42間に掛け渡される。従って、ブーム起伏用ウインチ30がブーム起伏用ロープ38の巻き取りや繰り出しを行うことにより、両シーブブロック40,42間の距離が変化し、これによってマスト20さらにはこれと連動するブーム16が起伏方向に回動する。
ジブ起伏用ウインチ32は、リアストラット21とフロントストラット22との間に巻き回されたジブ起伏用ロープ44の巻き取り及び繰り出しを行う。そして、この巻き取りや繰り出しによってフロントストラット22が回動するようにジブ起伏用ロープ44が配索される。具体的には、リアストラット21の長手方向中間部にはガイドシーブ46が設けられるとともに、リアストラット21の回動端部及びフロントストラット22の回動端部にそれぞれ複数のシーブが幅方向に配列されたシーブブロック47,48が設けられている。そして、ジブ起伏用ウインチ32から引き出されたジブ起伏用ロープ44がガイドシーブ46に掛けられ、かつ、シーブブロック47,48間に掛け渡される。従って、ジブ起伏用ウインチ32によるジブ起伏用ロープ44の巻き取りや繰り出しは、両シーブブロック47,48間の距離を変え、フロントストラット22さらにはこれと連動するジブ18を起伏方向に回動させる。
主巻用ウインチ34は、主巻ロープ50による吊り荷の巻上げ及び巻下げを行う。この主巻について、リアストラット21の基端近傍部位、フロントストラット22の基端近傍部位、及びジブ18の先端部にはそれぞれ主巻用ガイドシーブ52,53,54が回転可能に設けられ、さらに主巻用ガイドシーブ54に隣接する位置に複数の主巻用ポイントシーブ56が幅方向に配列された主巻用シーブブロックが設けられている。主巻用ウインチ34から引き出された主巻ロープ50が主巻用ガイドシーブ52,53,54に順に掛けられ、かつ、シーブブロックの主巻用ポイントシーブ56と、吊荷用の主フック57に設けられたシーブブロックのシーブ58との間に掛け渡される。従って、主巻用ウインチ34が主巻ロープ50の巻き取りや繰り出しを行うと、両シーブ56,58間の距離が変わって、ジブ18の先端から垂下された主巻ロープ50に連結された主フック57の巻上げ及び巻下げが行われる。
同様にして、補巻用ウインチ36は、補巻ロープ60による吊り荷の巻上げ及び巻下げを行う。この補巻については、主巻用ガイドシーブ52,53,54とそれぞれ同軸に補巻用ガイドシーブ62,63,64が回転可能に設けられ、補巻用ガイドシーブ64に隣接する位置に不図示の補巻用ポイントシーブが回転可能に設けられている。補巻用ウインチ36から引き出された補巻ロープ60は、補巻用ガイドシーブ62,63,64に順に掛けられ、かつ、補巻用ポイントシーブから垂下される。従って、補巻用ウインチ36が補巻ロープ60の巻き取りや繰り出しを行うと、補巻ロープ60の末端に連結された図略の吊荷用の補フックが巻上げられ、または巻下げられる。
図2は、本発明の第1実施形態に係るクレーン10の2つのジブ部材(中間ジブ18Bおよび中間ジブ18C)が接続された状態の斜視図である。図3は、図2の2つのジブ部材の接続部を拡大した斜視図である。図4は、図3の接続部(ブーム部材接続部K)にカバー部材(接続部材、接続部カバー80)が装着された状態の斜視図である。図5は、本実施形態に係るクレーン10のジブ18にレールユニット70(レール部材)が装着された様子を示す斜視図である。図6Aおよび図6Bは、本実施形態に係るクレーン10のジブ18にレールユニット70が装着された様子を示す正面図および断面図である。
本実施形態では、クレーン10の組立段階において、ジブ18上でブーム16が組み立てられるとともに、ブーム16とジブ18とが互いに接続される。以下では、まず、ジブ18の構造について詳述する。なお、ジブ18を構成する複数のジブ部材(18A~18F)のうち、中間ジブ18Bおよび中間ジブ18Cを例に説明するが、その他のブーム部材も略同様の構造を有している。前述のように、ジブ18は、少なくとも中間ジブ18B(第1ジブ部材)と、中間ジブ18C(第2ジブ部材)とを有し、中間ジブ18Cは、所定の接続方向(ジブ18の長手方向、本実施形態では水平方向)に沿って中間ジブ18Bに接続される。
図2を参照して、中間ジブ18Bおよび中間ジブ18Cは、それぞれ左右一対の第1メインパイプ181と、左右一対の第2メインパイプ182(メインフレーム)と、前後二対の第1接続パイプ183(接続フレーム)と、前後二対の第2接続パイプ184と、を有する。
図2に示すように、中間ジブ18Bおよび中間ジブ18C(ジブ18)が地上に倒伏された状態において、左右一対の第1メインパイプ181は、ジブ18の下面部を画定するとともに各ジブ部材の接続方向に沿ってそれぞれ延びている。同様に、左右一対の第2メインパイプ182は、ジブ18の上面部を画定するとともに各ジブ部材の接続方向に沿ってそれぞれ延びている。前後二対の第1接続パイプ183は、中間ジブ18Bおよび中間ジブ18Cの前端部および後端部において、第1メインパイプ181同士と第2メインパイプ182同士をそれぞれ左右方向に接続するように延びている。また、前後二対の第2接続パイプ184は、中間ジブ18Bおよび中間ジブ18Cの前端部および後端部において、第1メインパイプ181と第2メインパイプ182とを互いに上下方向に接続するように延びている。このようなパイプ部材によって、中間ジブ18Bおよび中間ジブ18Cが、略直方体形状を備える。また、図2に示すように、中間ジブ18Bおよび中間ジブ18Cは、第1メインパイプ181同士、第2メインパイプ182同士、第1メインパイプ181および第2メインパイプ182を互いに接続する複数のラチスパイプを有する。
なお、図2に示すように、中間ジブ18Bが有する左右一対の第2メインパイプ182は、左右一対の第1サブパイプ182A(第1サブフレーム)とも言う。同様に、中間ジブ18Cが有する左右一対の第2メインパイプ182は、左右一対の第2サブパイプ182B(第2サブフレーム)とも言う。
また、中間ジブ18Bおよび中間ジブ18Cは、それぞれ4つの第1接続部18Jと4つの中間ジブ18Cとを有する。4つの第1接続部18Jは、左右一対の第1メインパイプ181および左右一対の第2メインパイプ182の前端部(接続方向における端部、一端部)に配置されている。同様に、4つの第2接続部18Hは、左右一対の第1メインパイプ181および左右一対の第2メインパイプ182の後端部(接続方向における端部、他端部)に配置されている。4つの第2接続部18Hは、4つの第1接続部18Jにそれぞれ不図示の連結ピンによって接続される。この結果、図2に示すように、中間ジブ18Bと中間ジブ18Cとが互いに連結される。その他の中間ジブ同士の連結についても同様である。
更に、ジブ18は、複数のレールユニット70を備える(図2)。図2に示すように、レールユニット70は、中間ジブ18Bおよび中間ジブ18Cを含む各中間ジブにそれぞれ固定されている。
レールユニット70は、左右一対のレール部材701(左側案内部材、右側案内部材)と、前後一対のレール接続部702と、複数の締結部材70Gと、を有する。
左右一対のレール部材701は、ジブ18が地上に倒伏された倒伏状態において後記の車輪ユニット95をそれぞれ下方から支持し中間ジブ18B(第1ブーム部材)に近づくように中間ジブ18C(第2ブーム部材)を前記接続方向に沿って案内する。左右一対のレール部材701は、それぞれ、レール部701A(左側レール部、右側レール部)と、レール固定部701B(左側レール拘束部、右側レール拘束部)と、内周面701Cと、を有する(図6A、図6B)。
左右一対のレール部材701のレール部701Aは、図6A、図6Bに示すように、左右一対の第2メインパイプ182上にそれぞれ配置され後記の車輪ユニット95と係合する。また、左右一対のレール部材701のレール固定部701Bは、第2メインパイプ182の外周面にそれぞれ係合し、レール部701Aを第2メインパイプ182に対して左右方向において拘束する。内周面701Cは、図6Bに示すように、第2メインパイプ182の外周面に密接するように、円弧形状を有している。
前後一対のレール接続部702(図2)は、左右一対のレール部材701を左右方向において互いに接続する。前後一対のレール接続部702は、左右一対のレール部材701の前端部および後端部に接続される。この結果、図6A、図6Bに示すように、前後一対のレール接続部702は、それぞれ前後一対の第1接続パイプ183の直上に配置される。
複数の締結部材70G(図2、図5)は、第1接続パイプ183とレール接続部702とを締結することで、左右一対のレール部701Aを左右一対の第2メインパイプ182に対して前後方向(接続方向)において拘束する。このように、複数の締結部材70Gおよび左右一対のレール固定部701Bによって、レールユニット70が中間ジブ18Bおよび中間ジブ18Cに対して装着(固定)されるとともに、前後方向および左右方向にずれることが防止される。また、複数の締結部材70Gによって、左右一対のレール部701Aを含むレールユニット70を中間ジブ18Bおよび中間ジブ18Cに着脱可能に装着(固定)することができる。
図3を参照して、図2における中間ジブ18Bと中間ジブ18Cとのブーム部材接続部K(図2の右側のブーム部材接続部K)について説明する。図3において、中間ジブ18B側に配置されるレール部701Aが第1サブレール部701A1と定義される。また、図3において、中間ジブ18C側に配置されるレール部701Aが第2サブレール部701A2と定義される。第1サブレール部701A1および第2サブレール部701A2は、いずれもレール部701Aの一部を構成するとともに、それぞれ第1サブパイプ182Aおよび第2サブパイプ182B上に配置され、後記の車輪ユニット95の車輪90と係合する。
図3に示すように、本実施形態では、第1接続部18Jは左右一対の板状部からなり、第2接続部18Hは1つの板状部からなる。第1接続部18Jにはピン孔18J1が開口されており、第2接続部18Hにも同様の孔部が開口されている。これらの孔部に不図示の連結ピンが挿通されることで、中間ジブ18Bと中間ジブ18Cとが連結される。第1接続部18Jおよび第2接続部18Hは、略円筒状の第2メインパイプ182(第1サブパイプ182A、第2サブパイプ182B)とは異なる形状を有しているため、レール部701Aは第2メインパイプ182の直上に配置されるが、第1接続部18Jおよび第2接続部18Hの上方には配置されていない。したがって、第1サブレール部701A1および第2サブレール部701A2を連続的につなげるために、本実施形態では、レールユニット70が、更に、複数の接続部カバー80(接続部材)(図4)を有する。
接続部カバー80は、第1接続部18Jおよび第2接続部18Hの上方を覆うように第1サブレール部701A1と第2サブレール部701A2との間に配置され、第1サブレール部701A1の上面部と第2サブレール部701A2の上面部とが互いに連なるように第1サブレール部701A1と第2サブレール部701A2とを接続する。この結果、複数のジブ部材を跨ぐように左右一対の連続的なレール部701Aが形成される。
なお、中間ジブ18Bおよび中間ジブ18Cの左側端部に配置されるブーム部材接続部Kについても上記と同様である。すなわち、中間ジブ18Bと中間ジブ18Cとの間の2つのブーム部材接続部Kにそれぞれ接続部カバー80が装着される。
次に、本実施形態に係るブーム16の構造について詳述する。ブーム16を構成する複数のブーム部材のうち、中間ブーム16B~中間ブーム16Fは、上記の中間ジブ18Bおよび中間ジブ18Cと同様の構造を有している。一例として、中間ブーム16Bは、左右一対のブーム第1メインパイプ161と、左右一対のブーム第2メインパイプ162と、前後二対のブーム第1接続パイプ163と、前後二対のブーム第2接続パイプ164と、を有する(図16B参照)。なお、図16Bでは、上記の部材のうちの一部が現れている。図7は、本実施形態に係るクレーン10のブーム16の中間ブーム16Bに車輪ユニット95が装着された様子を示す正面図である。以下では、複数のブーム部材のうち、中間ブーム16Bを例に説明するが、その他のブーム部材についても同様の構造を有する。
中間ブーム16Bは、車輪ユニット95(左側走行用部材、右側走行用部材)を備える。車輪ユニット95は、中間ブーム16Bと中間ブーム16Cとが接続される接続方向に沿って、中間ブーム16Bを支持しながらジブ18上を走行可能とされる。車輪ユニット95は、左右一対の外側ブラケット951と、ブラケットシャフト952と、左右一対の内側ブラケット953(ブラケット)と、複数のシム954と、車輪90と、を有する。
左右一対の外側ブラケット951は、それぞれ、中間ジブ18Bのブーム第1接続パイプ163に左右方向に所定の間隔をおいて溶接接合(固定)されている。この際、図7における外側ブラケット951の紙面奥側(前端部)がブーム第1接続パイプ163に固定されており、外側ブラケット951は、ブーム第1接続パイプ163から後方(紙面手前)に延びている。ブラケットシャフト952は、ブーム第1接続パイプ163よりも後方において左右一対の外側ブラケット951の間に配置された軸部である。左右一対の内側ブラケット953は、左右一対の外側ブラケット951の間に配置されている。内側ブラケット953には、孔部953Hが開口されており、当該孔部953Hにブラケットシャフト952が挿通されている。また、左右一対の内側ブラケット953は、左右一対の外側ブラケット951よりも下方に延びるように配置されており、内側ブラケット953の下端部には、車輪シャフト953Aが固定されている。車輪シャフト953Aは、車輪90を回転可能に支持している。車輪90は、ジブ18のレールユニット70上を転動する。
このような構成によって、左右一対の内側ブラケット953が、車輪90を回転可能に支持した状態で、左右一対の外側ブラケット951の間を左右方向に移動可能とされる。そして、外側ブラケット951と内側ブラケット953との間に、所定の枚数のシム954が挿入されることで、車輪90の左右方向における位置が固定される。したがって、予め、ジブ18の左右一対のレール部701Aの間隔に合致するように、中間ブーム16B(ブーム16)の左右複数対の車輪90の位置が調整されることで、中間ブーム16Bが、ジブ18上のレールユニット70に載置可能とされる。また、少なくとも左右一対の車輪90のブーム16に対する左右方向における位置を安定して保持することができる。
なお、一例として、中間ジブ18Bは、6つ(左右三対)の車輪ユニット95を有している。すなわち、左右一対の第1メインパイプ181の前後方向の両端部と、前後方向の中央部にそれぞれ車輪ユニット95は装着されている。なお、他の中間ブームについても同様である。この場合、前後方向において隣接する車輪ユニット95同士の間隔は、地面に倒伏された状態の中間ジブ18Bの前後方向における長さよりも短い。
更に、図7を参照して、車輪90は、車輪内周面911(接触面)と、車輪内周面911に接続される車輪内側面912(車輪拘束部)を含む左右一対のフランジと、を有する。一方、レール部701Aは、上方に面するレール上面部701P(上面部)と、レール上面部701Pに接続される左右一対のレール側面部701Q(側面部)と、を有する。
車輪90の車輪内周面911は、レール部701Aのレール上面部701Pに接触する。また、車輪90のフランジの車輪内側面912が、レール部701Aのレール側面部701Qに当接することで、車輪90が左右方向において拘束される。すなわち、レール部701Aが車輪90の転動を案内するとともに車輪90の左右方向における位置を維持することができる。このため、車輪90がレール部701Aから脱輪することが抑止される。
図8A乃至図8Gは、本実施形態に係るクレーン10におけるジブ18およびブーム16の組立工程図である。図9は、本実施形態に係るクレーン10においてブーム部材(中間ブーム)同士が接続される様子を示す側面図である。
クレーン10において、ブーム16およびジブ18の組立に際して、まず、旋回体12を支持している走行体14が水平な堅土からなる地面Gに設置される(図8A)。この際、旋回体12に装着されたマスト20の先端から吊上げユニット20Aが垂下される。次に、不図示の補助クレーンを用いて、上部ジブ18Fを走行体14の近傍に配置する。その後、図8Bに示すように、上部ジブ18Fの基端側に、中間ジブ18E、中間ジブ18D、中間ジブ18C、中間ジブ18Bおよび下部ジブ18Aを順に配置するとともに、不図示の連結ピンによってこれらのジブ部材を連結する。この際、前述のように、各中間ジブには、レールユニット70が予め装着(固定)されている。また、本実施形態では、上部ジブ18Fおよび下部ジブ18Aにも、同様のレールユニット70が装着されており、これらのレールユニット70の左右一対のレール部701Aは、連続的に前後方向に沿って延びている。
次に、補助クレーンおよび吊上げユニット20Aによって下部ブーム16Aを吊り上げ、下部ブーム16Aのブームフット16S(図1)を旋回体12に配置された不図示の孔部に合わせる。そして、ブームフット16Sに開口された孔部と前記旋回体12の孔部に不図示の連結ピンが挿入される。その後、図8Cに示すように、補助クレーンおよび吊上げユニット20Aによって下部ブーム16Aの先端部が吊り下げられると当該先端部がレールユニット70上に載置される。その後、補助クレーンが下部ブーム16Aから取り外される。
次に、図8Dに示すように、補助クレーンによって、中間ブーム16Bがジブ18の基端側(旋回体12から遠い側)のレールユニット70上に載置される。この際、中間ブーム16Bの車輪ユニット95が、ジブ18上のレールユニット70のレール部701A上に配置される。ここで、補助クレーンは中間ブーム16Bから取り外され、不図示のロープを使って作業者が中間ブーム16Bを後方に牽引する。この際、ブーム16側の車輪ユニット95の車輪90が、ジブ18側のレールユニット70のレール部701A上を後方に向かって走行する。
やがて、図8Eに示すように、中間ブーム16Bが下部ブーム16Aに近づき、両者の連結が可能となる。なお、下部ブーム16Aは、前述の第1接続部18Jと同様の接続部を4つ備え、中間ブーム16Bは、前述の第2接続部18Hと同様の接続部を4つ備えている。これらの接続部に不図示の連結ピンが挿入されると、下部ブーム16Aと中間ブーム16Bとが連結される。なお、中間ブーム16Bがレールユニット70上を走行することで、中間ブーム16Bが下方向および左右方向において拘束される。この際、下部ブーム16Aと中間ブーム16Bの接続部の上下および左右方向の位置が合致するように、レールユニット70および車輪ユニット95の位置が予め設定されている。したがって、上記の4つの接続部同士の前後方向の位置関係を作業者が調整するだけで、下部ブーム16Aと中間ブーム16Bとを容易に連結することができる。なお、他の実施形態において、上記の下部ブーム16Aおよび中間ブーム16Bの計4つの接続部のうち上側の2つの接続部において連結ピンが挿入され、ブーム16が組み上がった後に、残りの下側の2つの接続部に連結ピンが挿入されてもよい。
その後、上記と同様の手順で、図8Fに示すように、中間ブーム16Cから中間ブーム16Fまでがジブ18上で順に連結される。更に、補助クレーンによって吊り上げられた上部ブーム16Gが、図8Gに示すように中間ブーム16Fの近傍に配置され、不図示の連結ピンによって、中間ブーム16Fと上部ブーム16Gとが連結される。
その後、図8Gに示される状態で、マスト20の先端部およびブーム16の上部ブーム16Gにブーム用ガイライン24(図1)が接続されるとともに、上部ブーム16Gにリアストラット21およびフロントストラット22が装着される。また、リアストラット21とフロントストラット22との間に、ジブ起伏用ロープ44が掛け回される。また、ジブフット18Sにおいて、不図示の連結ピンによって、上部ブーム16Gとジブ18(下部ジブ18A)とが連結される。その後、ブーム起伏用ロープ38が巻き上げられ、ブーム16が起伏するとともに、フロントストラット22とジブ18の上部ジブ18Fとにガイライン28が接続される。そして、ブーム起伏用ロープ38およびジブ起伏用ロープ44が巻き上げられながら、クレーン10が図1に示される姿勢とされる。
以上のように、本実施形態によれば、ジブ18に配置された少なくとも左右一対のレール部701Aが少なくとも中間ジブ18Cに配置された車輪ユニット95を下方から支持しながら、ジブ18上で中間ジブ18Cが中間ジブ18Bに近づくように移動することができる。このため、ジブ18上でブーム16を組み立てることが可能となる。また、中間ブーム16Cがジブ18のレール部701A上を移動可能であるため、補助クレーンなどによって中間ブーム16Cを吊り上げ移動させる距離を少なくすることができる。また、中間ブーム16Bに中間ブーム16Cを接続する際に、旋回体12の旋回動作が不要となり、左右方向の幅が小さなスペースでもブームを組み立てることができる。特に、本実施形態では、中間ブーム16Cが走行用部材として車輪ユニット95を有している。このため、中間ブーム16Bと中間ブーム16Cとを容易に連結することができる。
また、本実施形態では、レール固定部701Bによって、少なくとも左右一対のレール部701のジブ18に対する左右方向における位置を安定して保持することができる。更に、少なくとも一つの締結部材70Gによって、少なくとも左右一対のレール部701Aのジブ18に対する前後方向における位置を安定して保持することができる。また、少なくとも左右一対の接続部カバー80によって、第1接続部18Jと第2接続部18Hとの接続箇所の形状の影響を受けることなく、車輪90が第1サブレール部701A1と第2サブレール部701A2との間をスムーズに転動することができる。
図9を参照して、補助クレーンACによってジブ18のジブフット18S(図8G)の上方まで吊り上げられた中間ブーム16D(図9(a))は、レールユニット70に載置するために、距離L1だけ移動させればよい(図9(b))。その後、前述のように、ロープなどを用いて中間ブーム16Dをレールユニット70上でスライド移動させることで、中間ブーム16Dを中間ブーム16Cに容易に近づけることができる。
一方、図21は、本実施形態に係るクレーン10と比較される他のクレーンにおいてブーム部材同士が接続される様子を示す側面図である。図21に示すように、補助クレーンACによってブーム16を組み立てる組立方法では、中間ブーム16Cと中間ブーム16Dとの接続位置まで補助クレーンACによって中間ブーム16Dを移動させる必要があった。この場合、中間ブーム16Dを前述の距離L1よりも大きな距離L2だけ移動させるため、組立作業時間や補助クレーンACの移動時間、占有時間が増大する。
更に、図22は、本実施形態に係るクレーンと比較される他のクレーンにおいてブーム16およびジブ18が互いに接続される様子を示す側面図である。図22を参照して、予め組み立てられたブーム16がジブ18上に配置される、従来の組立方法について説明する。当該組立方法では、ブーム16が旋回体12に装着される。一方、ジブ18は予め組み立てられた後、地上Gに載置される。この際、旋回体12に近い位置にジブ18の先端部が配置され旋回体12から遠い位置にジブ18の基端部が配置される。ブーム16を備えた旋回体12が旋回動作を行い、ジブ18の上方にブーム16を配置した後ブーム16の先端部をジブ18の基端部に近づける。当該方法では、ブーム16が水平な姿勢で旋回体12によって支持されながら、ブーム16がジブ18の上方に配置される。この際、ブーム16の先端部は、旋回体12から引き出されたブーム用ガイライン24によって牽引されているが、長尺なブーム16は、その中央部が下方に突出するように撓みやすい(図22の一点鎖線参照)。このため、ブーム16の先端部とジブ18の基端部とが近付く前に、ブーム16の中央部とジブ18の中央部とが接触するという問題があった。一方、本実施形態では、前述のように、ジブ18上を各ブーム部材が走行しながら、ブーム16が順に組み立てられる。このため、図22に示されるような、長尺なブーム16およびジブ18同士の中央部の衝突が発生することがない。
次に、本発明の変形実施形態について説明する。図10A乃至図10Cは、本発明の変形実施形態に係るクレーンにおける車輪(90N、90M、90P)およびレール部材(701、701R)を示す正面図である。先の第1実施形態では、図7に示すように、車輪90が左右一対のフランジを有する態様にて説明したが、図10Aに示される車輪90Nのように、ブーム16の左右中心線CLからみて外側にのみフランジが配置されるものでもよく、また、図10Bに示される車輪90Mのように、ブーム16の左右中心線CLからみて内側にのみフランジが配置されるものでもよい。このような場合であっても、中間ブーム16B(ブーム16、ブーム部材)の左右方向に間隔をおいて複数対の車輪90N、90Mが配置されることで、車輪90N、90Mを備える中間ブーム16Bの左右方向の位置を左右一対のレール部材701によって規制することができる。また、図10Cに示すように、車輪90Pは、左右一対の突起部90P1を有し、レール部材701Rは、断面凹部形状を有するものでもよい。この場合も、車輪90Pがレール部材701Rの凹部に嵌りこむことで、車輪90Pを備える中間ブーム16Bの左右方向の位置を左右一対のレール部材701Rによって規制することができる。したがって、レール部材701、701Rが車輪90N、90M、90Pの転動を案内するとともに各車輪の左右方向における位置を維持することができる。このため、各車輪が各レール部材から脱輪することが抑止される。
また、図11は、本発明の変形実施形態に係るクレーンにおいてジブにレールユニット70Nが装着された様子を示す正面図である。先の第1実施形態では、図6Aに示すように、第2メインパイプ182の直上にレール部701Aが配置される態様にて説明した。一方、図11に示すように、レールユニット70Nは、レール接続部702上に配置されるレール部702Aを有するものでも良い。この場合、レール固定部701Bにおいて、レールユニット70Nと第2メインパイプ182とが係合し、ブーム16に備えられた車輪90(図7)は、第2メインパイプ182よりも左右方向内側のレール部702A上を走行する。この場合、図3に示すように、ブーム部材接続部K上にレール部702Aが配置されないため、レール部702Aを複数のブーム部材(中間ブーム)に跨るように配置することができる。換言すれば、接続部カバー80のようなブーム部材接続部Kを覆う部材が不要となる。一方、第1実施形態のように、第2メインパイプ182の直上にレール部701Aが配置される場合、剛性が高く設定されている第2メインパイプ182によって、中間ブーム16B(中間ブーム16C)の自重を安定して支えることができる。
また、図12A乃至図12Cは、本発明の変形実施形態に係るクレーンにおいてジブ部材(中間ジブ18B、中間ジブ18C)およびレールユニット70P1、70P2、70P3を示す模式的な斜視図である。先の第1実施形態では、中間ジブ18Bおよび中間ジブ18Cがそれぞれ第2メインパイプ182と略同等の長さを有するレールユニット70を備える態様にて説明した。すなわち、この態様は、図12Bに示されるレールユニット70P2に等しい。この場合、予めレールユニット70P2を中間ジブ18Bおよび中間ジブ18Cに装着した上で、中間ジブ18Bおよび中間ジブ18Cを互いに連結することができる。このため、ジブ18の組立時にレールユニット70P2を中間ジブ18Bおよび中間ジブ18Cに装着する作業が省かれる。一方、図12Aに示されるレールユニット70P1のように、中間ジブ18Bおよび中間ジブ18Cよりも短いレール部を有するものでもよい。この場合、レールユニット70P1の保管スペースを小さくすることができる。また、複数のレールユニット70P1の長さを共通化することで、レールユニット70P1のコストを低減することができる。なお、レールユニット70P1は中間ジブ18Bおよび中間ジブ18Cが互いに連結された後に、装着されることが望ましい。更に、図12Cに示されるレールユニット70P3のように、中間ジブ18Bおよび中間ジブ18Cの長さの和に略等しい長さを有するものでもよい。この場合、中間ジブ18Bおよび中間ジブ18Cの連結後に、短時間でレールユニット70P3を装着することができる。また、ジブ18を組み立てた後に、レール部をジブに固定することが可能となる。このため、ジブ18とレールユニット70P3とを別々に輸送することができる。また、上記のように各レールユニットがジブ18に対して着脱可能な場合、ブーム16の組立後にジブ18からレールユニットを取り外すことによって、クレーン10の作業時におけるジブ18の重量を小さくすることができる。この結果、クレーン10の吊り上げ能力が低下することが抑止される。
また、図13A乃至図13Cは、本発明の変形実施形態に係るクレーンにおいてジブ部材(中間ジブ18B、中間ジブ18C)およびレールユニット70を示す模式的な斜視図および拡大側面図である。先の第1実施形態では、図3、図4に示すように、ブーム部材接続部Kに接続部カバー80が装着される態様にて説明した。図13Aに示されるように、第2メインパイプ182よりも大きな高さを有するレール部材701に対しても、そのブーム部材接続部Kに接続部カバー80が装着されることで、レール部材701の上面部および接続部カバー80の上面部を車輪90(図7)が転動することができる。また、図13Bに示されるように、接続部カバー80を備えることなく、中間ジブ18B側のレール部材701の一端部に形成されたレール第1端部701Sと、中間ジブ18C側のレール部材701の一端部に形成されたレール第2端部701Tとが噛み合うように構成されてもよい。この場合も、レール第1端部701Sおよびレール第2端部701Tが、第1接続部18Jおよび第2接続部18Hの上方を覆うとともに、レール部701Aが連続的に延びることで、車輪90がレール部701A上を安定して転動することができる。また先の図12Cに示される態様では、図13Cに示されるように、レール部材701のうち第1接続部18Jおよび第2接続部18Hの上方に予めレール凹部701Vが形成されることで、第1接続部18Jおよび第2接続部18Hが第2メインパイプ182とは異なる形状を有する場合でも、車輪90がレール部701A上を安定して転動することができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図14は、本実施形態に係るクレーンにおいてジブ部材(ジブ部材18B、18C)同士の接続部を示す斜視図である。図15は、本実施形態に係るクレーンのブーム16に車輪ユニット95が装着された様子を示す正面図である。なお、本実施形態では、先の第1実施形態と比較して、車輪93がジブ18の第2メインパイプ182上を走行する点で相違するため、当該相違点を中心に説明する。本実施形態では、各ジブ部材(下部ジブ18A、中間ジブ18B、18C、18D、18E、上部ジブ18F)に備えられた左右一対の第2メインパイプ182が、本発明の左側案内部材および右側案内部材を構成する。すなわち、左右一対の第2メインパイプ182は、ジブ18が地上に倒伏された倒伏状態において左右の車輪ユニット95をそれぞれ下方から支持し、中間ジブ18Bに近づくように中間ジブ18Cを前記接続方向に沿って案内する。図15に示されるように、中間ジブ18Cがジブ18上を移動する際に、車輪ユニット95に備えられた車輪93は第2メインパイプ182上を転動する。なお、車輪93は、図15に示すように、第2メインパイプ182の外周面に沿うような断面形状を有している。また、第2メインパイプ182上を安定して走行するために、車輪93は、第2メインパイプ182の外周面に接触し弾性変形可能な弾性部931を有する。一例として、弾性部931は、ゴム部材からなり、車輪93全体がゴム部材からなるものでも、車輪93の外周面に所定の厚さを備えたゴム部材が固定されるものでもよい。このような弾性部931が備えられることによって、第2メインパイプ182のブーム部材接続部Kなどに段差がある場合でも、車輪93が当該段差部を通過する際の衝撃を抑制することができる。
また、このように、車輪93が第2メインパイプ182上を転動しながら各ブーム部材がジブ18上を走行する場合、第1実施形態と同様に、第1接続部18Jと第2接続部18Hとの接続部において、車輪93の転動が不安定になる場合がある。本実施形態では、図14に示すように、第1接続部18Jおよび第2接続部18Hの接続部を覆うようにゴム部材(弾性部材)からなる接続部カバー81が装着されている。接続部カバー81は、第2メインパイプ182と第1接続部18Jおよび第2接続部18Hとの間の段差部を覆うように、上方に凸の緩やかなカーブ形状を有している。このため、車輪93が第1接続部18Jおよび第2接続部18Hの上方を安定して転動することができる。車輪93が第2メインパイプ182上を転動することによって、中間ブーム16Bと中間ブーム16Cとを更に容易に連結することができる。また、本実施形態では、第2メインパイプ182が案内部材として機能するため、ジブ18がレール部701Aを備える第1実施形態と比較して、ブーム16を組み立てるためのコストを低減することができる。
また、図16Aおよび図16Bは、本発明の変形実施形態に係るクレーンにおいてブームに車輪ユニットが装着された様子を示す拡大側面図および斜視図である。本変形実施形態では、図16Bに示すように、中間ブーム16Bが、複数のブームラチスパイプ165と、複数のローラ取付用パイプ166とを有する。ブームラチスパイプ165は、左右一対のブーム第1メインパイプ161を接続するように、略左右方向に沿って延びている。複数のローラ取付用パイプ166は、左右一対のブーム第1メインパイプ161の間で、隣接するブームラチスパイプ165同士を接続するように前後方向に延びている。そして、車輪93を含む車輪ユニット95は、ローラ取付用パイプ166に回動可能に装着されている。
図16Aを参照して、車輪ユニット95は、内側ブラケット953を有する。内側ブラケット953は、車輪シャフト953Aと、ピン孔953Bと、ブラケット回動支点953Cと、を有する。また、ローラ取付用パイプ166には、第1孔部161Pおよび第2孔部161Qが開口されている。車輪シャフト953Aは、車輪93を回転可能に支持する。ブラケット回動支点953Cは、車輪ユニット95の回動における支点となる。車輪ユニット95の回動に伴って、車輪93が図16Aの実線で示されるブーム組立用車輪93Aに配置されると、第1孔部161Pとピン孔953Bとが合致し、当該孔部に不図示の連結ピンが挿入されることで、車輪ユニット95が固定される。一方、車輪ユニット95の回動に伴って、車輪93が図16Aの鎖線で示されるジブ収容用車輪93Bに配置されると、第2孔部161Qとピン孔953Bとが合致し、当該孔部に不図示の連結ピンが挿入されることで、車輪ユニット95が固定される。
図16Bを参照して、中間ブーム16Bは、ジブ18上を矢印D161方向に走行する。この際、車輪93がブーム組立用車輪93A(図16A)に配置されることで、車輪93がブーム第1接続パイプ163(中間ブーム16Bの下面部)よりも下方に突出し、レールユニット70または第2メインパイプ182上を走行することができる。一方、本変形実施形態では、クレーン10が分解された後、ジブ18がブーム16の内部に挿入(図16Bの矢印D162)、収容可能とされる(ネスティング機能)。すなわち、ブーム16には、前記接続方向の一端側からジブ18が挿通されることを許容する内部空間が形成されている。この作業に先だって、車輪ユニット95がブラケット回動支点953Cを支点として回動され、車輪93がジブ収容用車輪93B(図16A)に配置される。この結果、車輪93がブーム第1接続パイプ163(中間ブーム16Bの下面部)よりもブーム16の内部空間に突出する。したがって、ジブ18が車輪93上を走行することが可能となり、ジブ18の挿入、収納作業を補助することができる。
このように、本変形実施形態では、内側ブラケット953(ブラケット)は、車輪93をブーム組立用位置93Aに配置する第1の姿勢と、車輪93をジブ収容用位置93Bに配置する第2の姿勢との間で姿勢変更可能である。そして、車輪93はブーム組立用位置93Aに配置されるとレールユニット70または第2メインパイプ182上を転動可能なように中間ジブ18B(その他のブーム部材も同様)から下方に突出する。また、車輪93はジブ収容用位置93Bに配置されると、ジブ18がブーム16の内部空間に挿通される際にジブ18の下面部(第1メインパイプ181)に接触することでジブ18を案内する。このような構成によれば、ブーム16を組み立てるための車輪93を利用して、ジブ18をブーム16の内部空間に収容することができる。
図17Aおよび図17Bは、本発明の変形実施形態に係るクレーンにおいてブームに車輪ユニットが装着された様子を示す正面図および側面図である。先の第1および第2実施形態では、車輪90または車輪93が、図7および図15に示される構造をもって中間ブーム16Bのブーム第1接続パイプ163に固定される態様にて説明したが、図17A、図17Bに示される態様でも良い。具体的に、車輪ユニット95は、左右一対の外側ブラケット951と、前後一対のブラケットシャフト952と、左右一対の内側ブラケット953と、車輪93と、を備える。左右一対の外側ブラケット951は、中間ブーム16Bのブーム第1メインパイプ161に固定された板状部材である。前後一対のブラケットシャフト952は、左右一対の外側ブラケット951の間に、前後方向に間隔をおいて配置され、それぞれ左右方向に延びている。左右一対の内側ブラケット953は、左右一対の外側ブラケット951の間に配置されており、それぞれ前後一対のブラケットシャフト952が挿通される不図示の孔部を有する。すなわち、本変形実施形態では、左右一対の内側ブラケット953が車輪93を回転可能に支持しながら、左右一対の外側ブラケット951の間をブラケットシャフト952に沿って左右方向に移動可能とされている。
一方、左右一対の外側ブラケット951には、左右4本ずつの位置決め用ボルトVが挿入される不図示のボルト穴が開口されている。そして、図17Aに示すように、左右一対の外側ブラケット951の左右外側から、それぞれ4本ずつの位置決め用ボルトVが前記ボルト穴に装着されると、当該位置決め用ボルトVの先端部が、外側ブラケット951を貫通して内側ブラケット953に近接する。したがって、左右の4本の位置決め用ボルトVの締め込み量を調整し、位置決め用ボルトVの先端部を内側ブラケット953に当接することで、内側ブラケット953を左右方向における所定の位置に固定することができる。このような構成によれば、ジブ18側のレールユニット70または第2メインパイプ182の配置にあわせて車輪93の位置を容易に調整することができる。
図18Aおよび図18Bは、本発明の変形実施形態に係るクレーンにおいてブームに車輪ユニットが装着された様子を示す正面図および側面図である。車輪93が支持される構造は、図18A、図18Bに示される態様でも良い。具体的に、車輪ユニット95は、左右一対の外側ブラケット951と、前後一対のブラケットシャフト952と、左右一対の内側ブラケット953と、車輪93と、を備える。左右一対の外側ブラケット951は、中間ブーム16Bのブーム第1接続パイプ163に固定される板状部材である。図18Bに示すように、外側ブラケット951は、側面視でU字形状を有するとともに、その基端部がブラケット固定部951Aとして左右方向の外側に屈曲されている。当該ブラケット固定部951Aには、不図示のボルト穴が2つ開口されている。図18Bに示すように、ブーム第1接続パイプ163の外周面に掛けられたU字ボルトVLの一端部および他端部がブラケット固定部951Aのボルト穴に挿通された後、当該一端部および他端部に備えられたネジ部にナットVL1がそれぞれ装着される。図18Bに示される状態では、ブラケット固定部951Aとブーム第1接続パイプ163との間に隙間が形成されている。この状態から、2つのナットVL1を閉めこむことで、当該隙間がなくなり、左右一対の外側ブラケット951がそれぞれブーム第1接続パイプ163に固定される。
前後一対のブラケットシャフト952は、左右一対の外側ブラケット951を接続するように左右方向に延びている。左右一対の内側ブラケット953は、一対のブラケットシャフト952が挿通される不図示の孔部を有し、ブラケットシャフト952を介して一対の外側ブラケット951に支持されている。したがって、4つのナットVL1が緩められ、一対の外側ブラケット951および一対の内側ブラケット953が一体的に左右方向に移動可能である。このような構成によれば、ジブ18側のレールユニット70または第2メインパイプ182の配置にあわせて車輪93の位置を容易に調整することができる。
更に、図19Aおよび図19Bは、本発明の変形実施形態に係るクレーンにおける車輪(93M、93N)および案内部材(第2メインパイプ182)を示す正面図である。先の第2の実施形態では、車輪93の形状について図15に示される態様にて説明したが、図19Aに示される車輪93Mのようにブーム16の中心線CLに対して、左右方向の外側にフランジ部を有するものでもよく、図19Bに示される車輪93Mのようにブーム16の中心線CLに対して、左右方向の内側にフランジ部を有するものでもよい。なお、車輪93M、93Nも、少なくとも外周部に配置された弾性部を有することが望ましい。
また、図20は、本発明の変形実施形態に係るクレーンにおいてブーム(中間ブーム16B)に車輪ユニットが装着された様子を示す斜視図である。図16Aおよび図16Bに示される変形実施形態では、車輪93を支持する車輪ユニット95が回動可能な態様にて説明したが、車輪93は、図20に示されるように支持されるものでもよい。すなわち、中間ブーム16B(他のブーム部材も同様)は、左右一対のブーム第1メインパイプ161を接続する複数のブームラチスパイプ165を有する。車輪93を備える車輪ユニット95は、当該ブームラチスパイプ165に固定されている。図20に示される状態において、車輪93の回転中心は、ブームラチスパイプ165およびブーム第1メインパイプ161の上下方向における中心と一致している。また、車輪93の外径は、ブーム第1メインパイプ161およびブームラチスパイプ165の外径よりも大きく設定されている。このため、車輪93の下端部は、ブーム第1メインパイプ161(ブームラチスパイプ165)よりも下方に突出し、車輪93の上端部は、ブーム第1メインパイプ161(ブームラチスパイプ165)よりも上方に(中間ブーム16Bの内部に)突出している。したがって、中間ブーム16Bは、ジブ18上を矢印D201方向に走行することが可能である。この際、車輪93がブーム第1メインパイプ161(中間ブーム16Bの下面部)よりも下方に突出し、レールユニット70または第2メインパイプ182上を走行することができる。一方、本変形実施形態においても、クレーン10が分解された後、ジブ18がブーム16の内部に挿入(図20の矢印D202)、収容可能とされる(ネスティング機能)。この際、車輪93がブームラチスパイプ165(中間ブーム16Bの下面部)よりもブーム16の内部空間に突出している。したがって、ジブ18が車輪93上を走行することが可能となり、ジブ18の挿入、収納作業を補助することができる。
なお、上記の実施形態および変形実施形態では、ブーム16側に車輪90(93)を配置し、ジブ18側にレールユニット70を配置する態様にて説明したが、ブーム16側にレールユニット70を配置し、ジブ18側に車輪90(93)を配置する態様でもよい。すなわち、ジブ18側に備えられる左右の案内部材は、それぞれ、前記第1ブーム部材または前記第2ブーム部材に固定されるブラケットと、前記ブラケットに回転可能に支持される車輪と、を有する。一方、ブーム16側に配置される左右の走行用部材は、前記車輪上を移動する左右のレール部を含む。このような構成においても、ジブ18側に配置された車輪90(93)上をブーム部材側のレール部(レールユニット70)が移動することで、中間ブーム16Bと中間ブーム16Cとを容易に連結することができる。
また、本発明の各実施形態に係るクレーン10の組立方法は、旋回体12と、少なくとも中間ブーム16Bと中間ブーム16Bに所定の接続方向に沿って接続される中間ブーム16Cとを有し旋回体12に回動可能に軸支されるブーム16と、ブーム16の先端部に回動可能に軸支されるジブ18であって当該ジブ18の長さは少なくとも前記接続方向における中間ブーム16Bの長さおよび中間ブーム16Cの長さの和よりも大きく設定されているジブ18と、を備えるクレーンの組立方法である。当該組立方法は、ジブ18を準備するためのジブ準備工程と、ジブ18に左側案内部材および右側案内部材を装着するための案内部材装着工程と、ブーム16を組み立てるためのブーム組立工程と、ブーム16の先端部とジブ18の基端部とを接続するためのジブブーム接続工程と、を備える。ジブ準備工程は、旋回体12の前方においてジブ18の先端部がジブ18の基端部よりも旋回体12に近い位置に配置されるようにジブ18を地上に載置することを含み、案内部材装着工程は、左側案内部材および右側案内部材(レールユニット70、第2メインパイプ182)を地上に載置されたジブ18の上面部に位置するようにジブ18に装着することを含む。ブーム組立工程は、中間ブーム16Bの下面部および中間ブーム16Cの下面部のうちの少なくとも中間ブーム16Cの下面部に、左側走行用部材および右側走行用部材を装着する、走行用部材装着工程と、中間ブーム16Bをジブ18上に載置する、第1ブーム部材載置工程と、ジブ18上の中間ブーム16Bと水平方向において間隔をおいた位置に中間ブーム16Cを載置し、中間ブーム16Cに装着された左側走行用部材および右側走行用部材を左側案内部材および右側案内部材上で走行させながら中間ブーム16Cを中間ブーム16Bに近づける、第2ブーム部材走行工程と、中間ブーム16Bと中間ブーム16Cとを互いに接続する、ブーム部材接続工程と、を備える。なお、中間ブーム16Bおよび中間ブーム16C以外のブーム部材の接続についても同様である。
このような方法によれば、ジブ18に配置された左右の案内部材が少なくとも中間ブーム16Cに配置された走行用部材を下方から支持しながら、ジブ18上で中間ブーム16Cが中間ブーム16Bに近づくように移動することができる。このため、ジブ18上でブーム16を容易に組み立てることが可能となる。また、中間ブーム16Cがジブ18の案内部材上を移動可能であるため、補助クレーンなどによって中間ブーム16Cを吊り上げ移動させる距離を少なくすることができる。また、中間ブーム16Bに中間ブーム16Cを接続する際に、旋回体12の旋回動作が不要となり、左右方向の幅が小さなスペースでもブーム16を組み立てることができる。
また、前記走行用部材装着工程において、前記左側走行用部材および前記右側走行用部材として、中間ブーム16Bなどに固定される内側ブラケット953と内側ブラケット953に回転可能に支持され前記案内部材上を転動する車輪90、93とを含む車輪ユニット95を中間ブーム16Bなどの下面部の左側部分および右側部分に装着することが望ましい。
このような方法によれば、車輪90、93が各案内部材上を転動可能なため、中間ブーム16Bと中間ブーム16Cとを容易に連結することができる。
また、前記案内部材装着工程において、ジブ18の上面部を画定するとともに前記接続方向に沿ってそれぞれ延びる左右一対の第2メインパイプ182に、前記左側案内部材および前記右側案内部材として、前記左右一対の第2メインパイプ182上にそれぞれ配置され車輪90と係合する左側レール部および右側レール部(701A)をそれぞれ装着することが望ましい。
このような方法によれば、車輪90、93がレール部701A上を転動することによって、中間ブーム16Bと中間ブーム16Cとを更に容易に連結することができる。
また、前記案内部材装着工程において、前記ジブ18の一部を構成する中間ジブ18Bに前記左右のレール部701Aの一部を構成する左右一対の第1サブレール部701A1を装着するとともに、前記ジブ18の一部を構成し中間ジブ18Bに接続される中間ジブ18Cに前記左右のレール部701Aの一部を構成する左右一対の第2サブレール部701A2を装着し、前記ジブ準備工程は、前記左右一対の第1サブレール部701A1と前記左右一対の第2サブレール部701A2とが互いに連なるように、中間ジブ18Bと中間ジブ18Cとを互いに接続するジブ組立工程を含むことが望ましい。
このような方法によれば、中間ブーム16Bと中間ブーム16Cとを互いに接続することで、左右一対の第1サブレール部701A1と左右一対の第2サブレール部701A2とを互いに連なるように接続することができる。
また、前記ジブ準備工程は、少なくとも前記ジブ18の一部を構成する中間ジブ18Bと前記ジブの一部を構成する中間ジブ18Cとを互いに接続することで前記ジブ18を組み立てるジブ組立工程を含み、前記案内部材装着工程は、中間ジブ18Bおよび中間ジブ18Cを跨ぐ長さを有する前記左右のレール部701A(レールユニット70)を、前記互いに接続された中間ジブ18Bおよび中間ジブ18Cに装着することを含むものでもよい。
このような方法によれば、ジブ18を組み立てた後に、長尺の左右一対のレール部701Aをジブ18に装着することができる。このため、ジブ18とレール部701Aを含むレールユニット70とを別々に輸送することができる。
以上、本発明の各実施形態に係るクレーン10およびクレーン10の組立方法について説明した。なお、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。各ブーム部材(中間ブーム16B、中間ブーム16Cなど)に備えられる少なくとも左右の走行用部材が車輪ユニット95の場合、少なくとも左右二対(4つ)の車輪ユニット95が備えられることが望ましく、左右三対(6つ)以上の車輪ユニット95が備えられてもよい。また、ジブ18に備えられる左右の案内部材がレール部材701の場合、複数のジブ部材(中間ジブ18B、中間ジブ18Cなど)に跨るように左右のレール部材701が一括して設けられても良く、各ジブ部材に左右のレール部材701がそれぞれ設けられジブ18の組立とともにこれらのレール部材701が連結されてもよい。
一方、各ブーム部材(中間ブーム16B、中間ブーム16Cなど)に備えられる左右の走行用部材がレール部材701の場合、各ブーム部材に左右のレール部材701が設けられればよい。また、ジブ18に備えられる左右の案内部材が車輪ユニット95の場合、ジブの長手方向(ブーム部材の接続方向)に沿って複数対の車輪ユニット95が間隔をおいて配置されることが望ましい。この場合、ジブ18の複数の車輪ユニット95上を、各ブーム部材のレール部材701が走行しながら、ブーム部材同士が連結される。