JP2021161376A - 重合体微粒子およびその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性が要求される用途にも使用可能な、耐熱性が向上した新規の重合体微粒子およびその利用技術を提供すること。【解決手段】コア部と、シェル部と、を備えるコア−シェル構造を有し、前記コア部は、シリコーン成分を含み、前記シェル部は、ポリイミド成分を含む、重合体微粒子とする。【選択図】なし

Description

本発明は、重合体微粒子およびその利用に関する。
熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂の耐衝撃性を改善するために、樹脂にエラストマー、特に、架橋重合体微粒子を添加する方法が広く用いられている。
例えば、特許文献1には、オルガノポリシロキサン粒子に、アクリル系樹脂をグラフト結合したオルガノポリシロキサン含有グラフト共重合体が記載されている。
特許文献2には、第1油性媒体として熱硬化性液状シリコーンゴム粒子を含む溶液、第2油性媒体としてポリイミドと硬化剤とを含む溶液を用い、マイクロリアクターにて水性媒体中でコアシェル粒子を得ることが記載されている。
特許文献3には、ポリイミドセグメント(A)とポリシロキサンセグメント(B)とのブロック共重合体が、粒子形状を取りうることが記載されている。
特許文献4には、ポリアリーレンスルフィド樹脂とシロキサン変性ポリエーテルイミド樹脂とを含有した組成物からなるフィルムが記載されている。
国際公開WO2005/087866号公報 特開2017−82045号公報 特開2003−165840号公報 特開2013−139532号公報
上述した特許文献1に記載の架橋重合体微粒子は、耐衝撃性の改善の面では優れたものであるが、熱安定性の点で改善の余地があり、耐熱性が要求される用途に使用することは困難であった。
特許文献2に記載のコアシェル粒子は、シェル成分として耐熱性の高いポリイミドを採用できるが、粒子径が数百μm程度と大きいコアシェル粒子しか得られず、樹脂改質に有効な粒子径を有するコアシェル粒子を得ることは困難であった。また、特許文献2には、耐熱性が要求される樹脂改質用途に当該コアシェル粒子を使用できるとの記載も示唆もなかった。
特許文献3に記載の粒子は、コアシェル粒子ではなく、また粒子径が数十nmと小さい粒子しか得られず、樹脂改質に有効な粒子径を有する粒子を得ることは困難であった。また、特許文献3には、耐熱性が要求される樹脂改質用途に当該粒子を使用できるとの記載も示唆もなかった。
特許文献4に記載のシロキサン変性ポリエーテルイミド樹脂は、ポリアリーレンスルフィド樹脂とシロキサン変性ポリエーテルイミド樹脂とは相溶していることが望ましいとされるものであって、粒子形状ではなく、その目的も製膜安定性・均一延伸性といったフィルムの製造に寄与するものでしかなく、耐衝撃性の改善の効果については不明であった。
本発明の一実施形態は、前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、耐熱性が要求される用途にも使用可能な、耐熱性が向上した新規の重合体微粒子およびその利用技術を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、シリコーン系粒子をコアとし、ポリイミド樹脂をシェルとするコアシェル構造の新規の重合体微粒子を開発することに成功し、当該重合体微粒子は従来のアクリル系等の重合体微粒子に比べて耐熱性が向上していることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明の一実施形態は、以下の構成を含むものである。
〔1〕コア部と、シェル部と、を備えるコア−シェル構造を有し、前記コア部は、シリコーン成分を含み、前記シェル部は、ポリイミド成分を含む、重合体微粒子。
〔2〕前記シリコーン成分が、下記一般式(1)
SiO(4−m)/2 ・・・(1)
(式中、Rは置換または非置換の1価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていてもよい)で表されるシロキサン構造単位を含むものであり、
前記一般式(1)において、m=2のジシロキサン構造単位が、前記一般式(1)で表されるシロキサン構造単位全体の80mol%以上であり、
前記ジシロキサン構造単位に由来するシリコーン成分が、前記コア部全体を100wt%として、50wt%以上である、〔1〕に記載の重合体微粒子。
〔3〕前記シリコーン成分が、アミノ基を有するポリオルガノシロキサンから誘導されるものである、〔1〕または〔2〕に記載の重合体微粒子。
〔4〕前記シリコーン成分が、下記一般式(2)
Figure 2021161376
(式中、Xは、任意の官能基を示す。Rは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜24のアリール基、および、それらを任意の官能基で置換した置換炭化水素基からなる群より選ばれる、少なくとも1つの置換基を有するまたは非置換の1価の炭化水素基を示す)で表され、以下の特性(a)および(b)を満たすポリジシロキサンから誘導され、
かつ、前記ポリジシロキサンが、前記コア部全体を100wt%として、50wt%以上である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の重合体微粒子:
(a)粘度(25℃、mm/s):1〜1000
(b)官能基当量(g/mol):100〜10000。
〔5〕重合体微粒子全体を100vol%として、前記コア部が10〜95vol%であり、シェル部が5〜90vol%である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の重合体微粒子。
〔6〕前記ポリイミド成分が、芳香族酸二無水物成分に由来する構造単位と、芳香族ジアミン成分に由来する構造単位とを有するものである、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の重合体微粒子。
〔7〕アミノ基を有するポリオルガノシロキサン成分およびジアミン成分を含有する第1の溶液と、酸二無水物成分を含有する第2の溶液と、を混合する混合工程を含み、
前記第1の溶液および第2の溶液に用いる溶媒が、以下の条件(1)〜(3)を満たす、重合体微粒子の製造方法:
(1)アミノ基を有するポリオルガノシロキサン成分が不溶
(2)ジアミン成分と酸二無水物成分とが可溶
(3)ジアミン成分に由来する構造単位と、酸二無水物成分に由来する構造単位と、を有するポリアミック酸が不溶。
〔8〕前記第1の溶液および第2の溶液に用いる溶媒が、ケトン類、エーテル類、およびエステル類からなる群より選択されるいずれかである、〔7〕に記載の重合体微粒子の製造方法。
〔9〕さらに、前記混合工程により得られたポリアミック酸を含む微粒子をイミド化する工程を含む、〔7〕または〔8〕に記載の重合体微粒子の製造方法。
〔10〕〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の重合体微粒子と、マトリクス樹脂と、を含む、樹脂組成物。
本発明の一実施形態によれば、耐熱性が向上した重合体微粒子を提供できる。かかる重合体微粒子であれば、高耐熱性が要求されるマトリクス樹脂に配合することができる。
本発明の実施例に係る重合体微粒子の構造を示す像である。 本発明の比較例に係る重合体微粒子の構造を示す像である。 本発明の実施例に係る割れ裂けの評価方法を模式的に示す図である。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態または実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態または実施例についても、本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意図する。
〔1.重合体微粒子〕
本発明の一実施形態に係る重合体微粒子は、コア部と、シェル部と、を備えるコア−シェル構造を有し、前記コア部は、シリコーン成分を含み、前記シェル部は、ポリイミド成分を含むものである。
本発明者は、マトリクス樹脂に配合することにより、当該マトリクス樹脂の耐衝撃性等を改善するための樹脂改質剤として利用可能な重合体微粒子について、耐熱性が要求される用途にも使用可能とすべく、重合体微粒子の熱安定性を向上させるために鋭意検討した。その結果、コア部がシリコーン(ポリオルガノシロキサン)成分を含み、シェル部がポリイミド成分を含む、コア−シェル構造を有する微粒子(球状)の開発に成功した。本重合体微粒子によれば、コア部およびシェル部のいずれも熱安定性が高い樹脂から構成されているため、従来の重合体微粒子に比べて、耐熱性を向上させることができる。それゆえ、本重合体微粒子であれば、耐熱性が要求される用途に使用するマトリクス樹脂にも配合可能である。さらに、本重合体微粒子をマトリクス樹脂に配合することにより、耐薬品性(例えば、耐アルカリ性)も向上させ得る。以下、各構成要件について説明する。
〔1−1.シリコーン成分を含むコア部〕
本発明の一実施形態におけるコア部は、シリコーン成分を主成分として含むものである。コア部に含まれるシリコーン成分の割合は、特に限定されないが、例えば、コア部全体を100wt%として、シリコーン成分が50wt%以上含むことが好ましく、60wt%以上であることが好ましく、70wt%以上であることがより好ましく、80wt%以上であることがさらに好ましく、90wt%以上であることが特に好ましい。上限は特に限定されないが、例えば、100wt%を挙げることができる。本範囲内であれば、耐熱性の向上の観点から好ましい。
なお、コア部に含まれる、シリコーン成分以外の成分としては、特に限定されないが、単官能シラン化合物、多官能シラン化合物、その他の架橋剤、可塑剤、オイル、安定剤等を挙げることができる。
また、マトリクス樹脂に配合した際に、当該マトリクス樹脂の耐衝撃性等を改善するために、コア部は弾性体であることが好ましい。すなわち、コア部は、ポリシロキサンゴム系弾性体と換言することもできる。
シリコーン成分としては、種々のポリシロキサン系重合体を使用でき、特に限定されないが、例えば、(a)ジメチルシリルオキシ、ジエチルシリルオキシ、メチルフェニルシリルオキシ、ジフェニルシリルオキシ、ジメチルシリルオキシ−ジフェニルシリルオキシなどの、アルキルもしくはアリール2置換シリルオキシ単位から構成されるポリシロキサン系重合体、(b)側鎖のアルキルの一部が水素原子に置換されたオルガノハイドロジェンシリルオキシなどの、アルキルもしくはアリール1置換シリルオキシ単位から構成されるポリシロキサン系重合体、が挙げられる。これらのポリシロキサン系重合体は、1種類のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、シリコーン成分は、実質的に、下記一般式(1)
SiO(4−m)/2 ・・・(1)
(式中、Rは置換または非置換の1価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていてもよい。)で表されるシロキサン構造単位を含むものが好適に用いられる。また、シリコーン成分は、前記一般式(1)において、m=2のジシロキサン構造単位が、前記一般式(1)で表されるシロキサン構造単位全体の80mol%以上であることが好ましい。また、85mol%以上であることがより好ましく、90mol%以上であることがさらに好ましく、95mol%以上であることが特に好ましい。上限は特に限定されないが、例えば、100mol%を挙げることができる。
また、上述の構成に加えて、前記ジシロキサン構造単位に由来するシリコーン成分が、前記コア部全体を100wt%として、50wt%以上であることが好ましい。また、60wt%以上であることが好ましく、70wt%以上であることがより好ましく、80wt%以上であることがさらに好ましく、90wt%以上であることが特に好ましい。上限は特に限定されないが、例えば、100wt%を挙げることができる。
本範囲内であれば、コア部の柔軟性が確保でき、マトリクス樹脂に配合した際に、耐衝撃性の改善や応力緩和の効果を十分に発揮することができる。
また、前記シリコーン成分が、下記一般式(2)
Figure 2021161376
(式中、Xは、任意の官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、エポキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、Si−Hにおける水素原子基などの反応性を有する官能基;炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜24のアリール基、シアノ基などの非反応性官能基等)を示す。Rは、炭素数1〜4(好ましくは炭素数1〜2)のアルキル基、炭素数6〜24(好ましくは炭素数6〜12、より好ましくは炭素数6〜8)のアリール基、および、それらを任意の官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、エポキシ基、メルカプト基、カルボキシル基等)で置換した置換炭化水素基からなる群より選ばれる、少なくとも1つの置換基を有するまたは非置換の1価の炭化水素基を示す)
で表され、以下の特性(a)および(b)を満たすポリジシロキサンから誘導されるものであることが好ましい;
(a)粘度(25℃、mm/s):1〜1000
(b)官能基当量(g/mol):100〜10000
(前記(a)粘度(25℃、mm/s)は、10〜600であることがより好ましく、30〜400であることがさらに好ましく、60〜200であることが最も好ましい。また、(b)官能基当量(g/mol)は、400〜6000であることがより好ましく、1000〜4000であることがさらに好ましく、1800〜3000であることが最も好ましい。本範囲内であれば、コア作成時のプロセス安定性の観点で優れる。);
官能基Xは、後述する酸二無水物成分またはジアミン成分と反応性を有することが好ましく、酸二無水物成分と反応性を有することがより好ましく、アミノ基であることがさらに好ましい。および/または、Rは、後述する酸二無水物成分またはジアミン成分と反応性を有する官能基を有する置換炭化水素基であることが好ましく、酸二無水物成分と反応性を有する官能基を有する置換炭化水素基であることがより好ましく、アミノ基を有する置換炭化水素基であることがさらに好ましい。ここで、官能基Xがアミノ基であり、かつ、Rがアミノ基を有する置換炭化水素基であっても良く、あるいは、それらのうちのいずれかが、アミノ基に関するものであっても良い。それらの中では、官能基Xがアミノ基であり、Rが非置換炭化水素基であることがより好ましい。
さらに、上述の構成に加えて、前記ポリジシロキサンが、前記コア部全体を100wt%として、50wt%以上であることが好ましい。また、60wt%以上であることが好ましく、70wt%以上であることがより好ましく、80wt%以上であることがさらに好ましく、90wt%以上であることが特に好ましい。上限は特に限定されないが、例えば、100wt%を挙げることができる。
また、前記オルガノシロキサンは、直鎖状構造または分岐状構造を有するが、入手の容易さやコストの観点から、直鎖状構造を有するオルガノシロキサンを用いるのが好ましい。このオルガノシロキサンの有する前記Rで表される置換または非置換の1価の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、トルイル基等の炭素数6〜24のアリール基;それらをシアノ基、アミノ基等で置換した置換炭化水素基などを挙げることができる。ここで、一般式(2)で示されるXと同一の官能基で置換した炭化水素基を用いる場合には、その官能基の当量は、前記(b)で示された官能基当量に含まれるものとする。
また、前記シリコーン成分は、実質的に、アミノ基を有するポリオルガノシロキサンから誘導されるものであることが好ましい。前記シリコーン成分がアミノ基を有することにより、後述するポリイミド成分を有するシェル部との間で縮合反応により結合を形成するため、安定的なコア−シェル構造を有するシリコーン系重合体微粒子を得ることができる。「誘導されるもの」とは、アミノ基を有するポリオルガノシロキサンにおいて、当該アミノ基の少なくとも一部(全部であっても構わない)が、後述するシェル部におけるポリイミド成分の酸二無水物成分と反応していることを意味する。
また、アミノ基は、ポリオルガノシロキサンの末端および/または側鎖に有することが好ましく、両末端にアミノ基を有することがより好ましい。当該構成によれば、後述するシェル部におけるポリイミド成分の酸二無水物成分と安定して結合し得る。
コア部であるシリコーン粒子の製造方法は特に限定は無いが、有機溶媒中で粒子を形成させる方法により製造することが可能であり、粒子径の制御が可能である点や簡便性の点から、有機溶媒中で粒子を形成させる方法が好ましい。また、コア部であるシリコーン粒子を形成させてからシェル部を被覆させる方法と、コア部とシェル部とを同時に形成させる方法とがあるが、簡便であることから後者が好ましい。
コア部であるシリコーン粒子は、例えば上記のオルガノシロキサン、後述する芳香族酸二無水物成分、後述する芳香族ジアミン成分、および有機溶媒を含んだ各種原料をホモミキサー、コロイドミル、ホモジナイザー等を用いてまたはそれらを用いずに混合して、溶液または分散物とし、当該溶液または分散物を、加熱することによって、および/または、物理的刺激(例えば、攪拌、超音波照射、エネルギー線照射)を加えることによって、芳香族酸二無水物成分と芳香族ジアミン成分とを反応させることで、芳香族酸二無水物成分と芳香族ジアミン成分とを含有する層に被覆されたシリコーン粒子を得ることが出来る。
反応温度、時間に特に制限はないが、反応制御の容易さから反応温度は0℃〜用いる有機溶媒の沸点が好ましく、0〜50℃がさらに好ましい。反応時間は、好ましくは1分〜10時間であり、さらに好ましくは10分〜5時間である。
用いる有機溶媒の量については特に制限は無く、各種原料を溶解または分散させるために必要な量であれば良く、通常原料の合計量(重量)に対して1〜1000倍量であれば良く、1〜500倍量、または、1〜100倍量であっても良い。
コア部の体積平均粒径は、原料の使用量の増減などで、制御することが可能である。
コア部の体積平均粒径は、0.01μm〜100μmであり、0.05μm〜10μmが好ましく、0.1μm〜1.0μmであることがより好ましい。上述した範囲であれば、マトリクス樹脂への分散性も良好であり、耐衝撃性も向上させ得る。なお、体積平均粒子径の測定は、例えば、ナノトラック粒度分析計UPA150(日機装株式会社製)を用いて行うことができる。
シリコーン成分の合成の際に、必要によっては多官能シラン化合物、またはその他の架橋剤を添加することもできる。
多官能シラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシランなどの縮合反応に関与できる官能基を3個含むいわゆる3官能性シラン化合物;テトラエトキシシラン、1,3ビス〔2−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1−〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕−3−〔2−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕ベンゼン、1−〔1−(ジメトキシメチルシリル)エチル〕−4−〔2−ジメトキシメチルシリル〕エチル〕ベンゼンなどの縮合反応に関与できる官能基を4個含むいわゆる4官能性シラン化合物;さらにはこれらシラン化合物のアルコキシ基を縮合させたオリゴマーを挙げることができる。
これらシラン化合物は、必要に応じ、1種若しくは2種以上組み合わせて用いることができる。このシラン化合物の添加量は、オルガノシロキサン100重量部に対して、10重量部以下が好ましい。シラン化合物の添加量が10重量部より多いと、シリコーンコアの柔軟性が損なわれるため、シリコーン系組成物の低温での耐衝撃性が低下する場合がある。またシラン化合物の添加量を調節することで、架橋度を変化させることによりシリコーンコアの弾性を任意に調節することができる。
その他の架橋剤は、例えば、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、p−ビニルフェニルエチルジメトキシシラン、2−(p−ビニルフェニル)エチルメチルジメトキシシラン、3−(p−ビニルベンゾイロキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、テトラビニルテトラメチルシクロシロキサン、アリルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
その他の架橋剤の使用量は、オルガノシロキサンの100重量部に対して10重量部以下が好ましい。その他の架橋剤の使用量が10重量部より多いとシリコーンコアの柔軟性が損なわれるため、シリコーン系組成物の低温での耐衝撃性が低下する場合がある。
〔1−2.ポリイミド成分を含むシェル部〕
本発明の一実施形態において、シェル部は、ポリイミド成分を主成分として含むものである。本シェル部は、上述したコア部の表面を被覆するものである。
ポリイミド成分は、ポリイミド構造を有するものであればよく、その具体的な構成は特に限定されないが、良好な耐熱性を付与し得る観点から、芳香族ポリイミド構造を有するものであることが好ましい。すなわち、ポリイミド成分は、芳香族酸二無水物成分に由来する構造単位と、芳香族ジアミン成分に由来する構造単位とを有するものであることが好ましい。
ポリイミド成分は、熱可塑性ポリイミド、非熱可塑性ポリイミドのいずれであってもよい。熱可塑性ポリイミドとは、一般的にDSC(示差走査熱量測定)で、ガラス転移温度を有するポリイミドをいう。本発明での熱可塑性ポリイミドは、前記ガラス転移温度が、150℃〜350℃であるものをいう。
熱可塑性ポリイミドで用いる芳香族酸二無水物成分としては、特に限定されないが、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの誘導体を含み、これらを単独で、または任意の割合で混合した混合物を好ましく用いることができる。
熱可塑性ポリイミドで用いる芳香族ジアミン成分は特に制限されないが、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルN−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、ビス(4−アミノフェニル)テレフタレート、及びそれらの誘導体などが挙げられ、これらを単独で、または任意の割合で混合した混合物を好ましく用いることができる。
非熱可塑性ポリイミドを設計するために好適に用いられる芳香族酸二無水物成分の例としては、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、などが挙げられ、これらを単独又は複数併用することができる。
非熱可塑性ポリイミドに好適に用いられる芳香族ジアミン成分の例としては、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−1,1’−ビフェニル、などが挙げられ、これらを単独又は複数併用することができる。
なかでも、前記ポリイミド成分は、無水ピロメリット酸に由来する単位と、ジアミノジフェニルエーテルに由来する単位とを含むものが、耐熱性の向上の観点から好ましい。
ポリイミド成分は、芳香族酸二無水物成分と芳香族ジアミン成分とを、芳香族酸二無水物成分が過剰の状態で反応させて、末端部が酸無水物基を有するポリマーとすることが好ましく、さらには両末端部に酸二無水物基を有することが好ましい。ポリイミド成分が末端部に酸二無水物基を有することにより、シリコーン成分がアミノ基を有する場合、当該アミノ基と反応して、強固なコア−シェル構造を形成することができる。
〔1−3.コア部とシェル部とを備えるコア−シェル構造を有する重合体微粒子〕
本発明の一実施形態に係る重合体微粒子は、上述したシリコーン成分を含むコア部に、ポリイミド成分を含むシェル部が被覆したコア−シェル構造を有する。すなわち、シリコーン系弾性体をコア部とし、ポリイミド樹脂層をシェル部としたコア−シェル構造を有するシリコーン系重合体微粒子である。
「コア−シェル構造」については、例えば、以下の方法で確認し得る。各方法の具体的な手法については、後述する実施例における方法を一例として挙げ得る。なお、本願発明は、以下の方法に限定されるものではない。
(i)透過型電子顕微鏡(TEM)観察において、四酸価ルテニウムで淡色に染色されるコア部と、当該コア部に比べて濃色に染色されるシェル部とを有するコアシェル構造を有する粒子の個数が、観察の視野角である2μm四方において観察される粒子の個数の80%以上を占める。また、当該個数は、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。上限は特に限定されないが、100%を挙げることができる。
(ii)X線マイクロアナライザーによる元素分析において、ケイ素原子が濃く分布しているコア部と、当該コア部に比べてケイ素が薄く分布しているシェル部とを有するコアシェル構造を有する粒子が観察される。
また、重合体微粒子の形状は特に限定されないが、球形の粒子状であることが好ましい。球状の粒子であることにより、マトリクス樹脂に配合した際の分散性が良好となる。後述する実施例に示すように、走査型電子顕微鏡(SEM)観察により、球状の重合体微粒子であるか否かを確認できる。
また、重合体微粒子のTEM観察による見かけの粒径は、0.01μm〜100μmであることが好ましく、0.05μm〜50μmが好ましく、0.1μm〜10μmであることがより好ましい。本範囲内であれば、マトリクス樹脂への分散性も良好であり、耐衝撃性も向上させ得る。
重合体微粒子の組成は特に限定されないが、重合体微粒子全体を100vol%として、前記コア部が10〜90vol%であり、シェル部が90〜10vol%であることが好ましい。また、コア部が20〜80vol%であり、シェル部が80〜20vol%であることがより好ましく、コア部が30〜70vol%であり、シェル部が70〜30vol%であることがさらに好ましい。上述した範囲であれば、マトリクス樹脂に配合した際に耐衝撃性を向上させ得るとともに、重合体微粒子の耐熱性も良好となる。
重合体微粒子は、耐熱性を有することが好ましい。具体的には、後述する実施例に示す耐熱性試験において、1%重量減少率が250℃以上であることが好ましく、1%重量減少率が300℃以上であることがより好ましく、1%重量減少率が350℃以上であることがさらに好ましい。
〔2.重合体微粒子の製造方法〕
本発明の一実施形態にかかる重合体微粒子の製造方法は、アミノ基を有するポリオルガノシロキサン成分およびジアミン成分を含有する第1の溶液と、酸二無水物成分を含有する第2の溶液と、を混合する混合工程を含み、前記第1の溶液および第2の溶液に用いる溶媒が、以下の条件(1)〜(3)を満たす、重合体微粒子の製造方法である:
(1)アミノ基を有するポリオルガノシロキサン成分が不溶
(2)ジアミン成分と酸二無水物成分とが可溶
(3)ジアミン成分に由来する構造単位と、酸二無水物成分に由来する構造単位と、を有するポリアミック酸が不溶。
従来、コア部がシリコーンであって、シェル部がポリイミド樹脂であるコア−シェル粒子を得ることは困難であった。本発明者が鋭意検討したところ、上述した特定の条件(1)〜(3)を満たす溶媒を使用することにより、シリコーンコア−ポリイミドシェル構造を有する重合体微粒子を製造できることを見出した。
(2−1.混合工程)
第1の溶液として、アミノ基を有するポリオルガノシロキサン成分と、ジアミン成分とを含有する溶液を調製する。アミノ基を有するポリオルガノシロキサン成分とは、上述したシリコーン成分に相当するものであり、その記載を援用する。第1の溶液におけるアミノ基を有するポリオルガノシロキサン成分の濃度は、0.1〜10wt%であることが好ましい。
ジアミン成分とは、上述したポリイミド成分を構成するものであり、その記載を援用する。第1の溶液におけるジアミン成分の濃度は、0.1〜10wt%であることが好ましい。
第2の溶液として、酸二無水物成分を含有する溶液を調製する。酸二無水物成分とは、上述したポリイミド成分を構成するものであり、その記載を援用する。第2の溶液における酸二無水物成分の濃度は、0.1〜10wt%であることが好ましい。
ジアミン成分が溶解した第1の溶液と、酸二無水物成分が溶解した第2の溶液と、との混合比率は特に限定されないが、ジアミン成分1モルに対する酸二無水物成分の添加量が0.5〜1.5モルとなるように混合することが好ましい。この範囲内であれば、反応後の溶液にモノマー成分の未反応分の残存量が少なくなり、生成したポリアミック酸に悪影響を及ぼさない。なお、ジアミン成分1モルに対する酸二無水物成分の添加量は、より好ましい下限が0.8モル、より好ましい上限が1.2モルである。
前記第1の溶液と第2の溶液とを混合する混合工程の具体的な方法は特に限定されず、種々の方法を利用できる。例えば、撹拌している第1の溶液に対して、第2の溶液を滴下する方法を好ましく例示できる。第1の溶液に含まれるポリオルガノシロキサン成分は溶媒に不溶であるため、撹拌しておくことにより沈殿を防ぐことができる。攪拌する方法は特に限定されず、従来公知の撹拌方法が用いられ、例えば、マグネチックスターラー、プロペラ撹拌棒、ホモジナイザー、振とう機等を用いた攪拌方法、超音波照射による攪拌方法等が挙げられる。
本混合工程では、以下の機序により重合体微粒子が製造されると考えられる。すなわち、まず、第1の溶液に含まれるジアミン成分と、第2の溶液に含まれる酸二無水物成分とが反応し、ポリアミック酸が形成される。このとき、第2の溶液に含まれる酸二無水物成分のモル数を、第1の溶液に含まれるジアミン成分のモル数に比べて過剰とすることが好ましい。これにより、酸二無水物基を末端に有するポリアミック酸が得られる。次に、形成されたポリアミック酸と、ポリオルガノシロキサン成分のアミノ基とが縮合反応し、ポリオルガノシロキサンに、ポリアミック酸が被覆された重合体微粒子が得られる。ここで、ポリアミック酸のブロックとポリオルガノシロキサンのブロックとが交互に連結する場合もあり得るが、重合体微粒子としてはシリコーンコア−ポリアミック酸シェルのコアシェル粒子が得られることになる。なお、ポリアミック酸およびポリオルガノシロキサン成分は、いずれも溶媒に不溶であるため、反応後に得られる溶液は、不透明なものとなる。
本混合工程においては、混合した溶液に物理的衝撃を加えることが好ましい。加えられる物理的衝撃は特に限定されず、例えば、攪拌、振盪、超音波照射、ホモジナイザー等による処理等が挙げられる。なかでも超音波照射がより好ましい。溶液に対して超音波を照射する方法は特に限定されず、例えば、溶液を入れた容器を超音波装置の浴槽に入れて超音波照射を行う方法、溶液を入れた容器に超音波振動子を接触させて超音波照射を行う方法、溶液に超音波振動子を浸漬させて超音波照射を行う方法等が挙げられる。なかでも、超音波振動子により発生した振動が損失することなく直接反応成分に伝達されるため、溶液に超音波振動子を浸漬させることが好ましい。
超音波照射の条件は特に限定されず、例えば、0〜130℃で、20〜100kHz、20〜2000Wの条件等が挙げられる。また、超音波装置として、例えば、超音波発振機、超音波ホモジナイザー、卓上型超音波洗浄機等の従来公知の超音波装置が挙げられる。
(2−2.溶媒)
前記第1の溶液および第2の溶液に用いる溶媒は、以下の条件(1)〜(3)を満たすものである:
(1)アミノ基を有するポリオルガノシロキサン成分が不溶
(2)ジアミン成分と酸二無水物成分とが可溶
(3)ジアミン成分に由来する構造単位と、酸二無水物成分に由来する構造単位と、を有するポリアミック酸が不溶。
ここで、「不溶」とは、室温における溶媒に対する成分の溶解度が10wt%未満、すなわち、10wt%の成分を含む溶液が目視で濁っていることを意図する。また、「可溶」とは、室温における溶媒に対する成分の溶解度が10wt%以上、すなわち、10wt%の成分を含む溶液が目視で透明であることを意図する。
第1の溶液と第2の溶液とに使用する溶媒は同一であってもよいし、異なるものであってもよいが、同一であることが好ましい。
上述した(1)〜(3)の条件を満たす溶媒であればよく、特に限定されないが、例えば、エーテル類、エステル類、ケトン類、アルコール類等を挙げることができる。エーテル類の有機溶剤としては、ジオキサン、エチルエーテル、ジエチルエーテル、ブチルジグリコール、2−ブトキシエタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(別名;PMAC)等が挙げられる。エステル類の有機溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、メトキシプロピルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、n−ブチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート等が挙げられる。ケトン類の有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、エチルイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン(別名;MIBK)、メチルイソアミルケトン、ダイアセトンアルコール等が挙げられる。アルコール類の有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、(イソ)プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。上述した溶媒の中から、上述した(1)〜(3)の条件を満たす溶媒を適宜選択することができる。
なかでも、ケトン類、エステル類、エーテル類が好ましく、ケトン類がより好ましい。ケトン類のなかでもアセトンが特に好ましい。
(2−3.イミド化工程)
本製造方法では、さらに、前記混合工程により得られたポリアミック酸を含む微粒子をイミド化する工程を含むことが好ましい。上述のとおり、混合工程により得られる微粒子は、シリコーン成分であるシリコーンコアに、ポリアミック酸がシェル部として被覆された重合体微粒子である。本加熱工程は、このポリアミック酸をイミド化する工程である。ポリアミック酸を含む微粒子をイミド化することにより、シェル部として、高温でも分解しにくく耐熱性の高いポリイミド構造を有する重合体微粒子を製造することができる。
イミド化する方法は特に限定されず、従来公知の方法が用いられる。例えば、ポリアミック酸を加熱閉環してイミド化する方法のほか、ポリアミック酸を化学閉環してイミド化する方法が挙げられる。
加熱閉環してイミド化する方法は特に限定されず、例えば、ポリアミック酸を溶媒中に分散させて、攪拌しながら130〜250℃程度の温度で1〜10時間程度加熱する方法が挙げられる。
また、化学閉環してイミド化する方法も特に限定されず、例えば、ポリアミック酸を公知のイミド化触媒と脱水剤との混合有機溶媒中に分散させて、攪拌しながら15〜115℃程度の温度で24時間程度加熱する方法が挙げられる。
上述した加熱閉環してイミド化する方法において、加熱工程の前段階として、前記混合工程により得られた微粒子を含む溶液から、溶媒置換を行うことも可能である。特に、混合工程において使用する溶媒の沸点が、加熱工程における加熱温度以下である場合、溶媒置換を行うことが好ましい。このとき、置換後の溶媒の沸点は、加熱温度より高いことが好ましい。なお、混合工程から加熱工程にかけて溶媒置換を行う方法は特に限定されず、例えば、(i)濾過、あるいは(ii)混合工程後の溶液に、置換する溶液を添加して加熱することにより、混合工程で使用した溶媒を除去する方法、を挙げることができる。
加熱工程で使用する溶媒としては、(a)アミノ基を有するポリオルガノシロキサン成分が不溶であって、かつ(b)ジアミン成分に由来する構造単位と、酸二無水物成分に由来する構造単位と、を有するポリアミック酸が不溶であることが好ましい。また、ポリアミック酸をイミド化して得られるポリイミドも不要であることが好ましい。
かかる溶媒としては、キシレン、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンを挙げることができるが、なかでもキシレンが好ましい。
イミド化した後に得られた重合体微粒子は、濾過、遠心分離機、デカンテーション、真空乾燥等の従来公知の方法により、得られた重合体微粒子と有機溶媒とを分離回収することができる。その際、必要に応じて、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)、エーテル、アルコール等の有機溶媒を用いて、得られた重合体微粒子を洗浄してもよい。
〔3.樹脂組成物〕
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物は、上述した重合体微粒子と、マトリクス樹脂と、を含むものである。本発明の一実施形態に係る樹脂組成物を、以下、単に本樹脂組成物と称し、マトリクス樹脂を成分と称する場合もある。
(3−1.マトリクス樹脂)
マトリクス樹脂としては、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を好適に利用し得る。
熱硬化性樹脂は、エチレン性不飽和単量体を重合させてなる重合体を含む樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリオール樹脂、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリエステル原料を重合させてなる重合体を含む樹脂、マレイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリイミド樹脂を挙げることができる。これら熱硬化性樹脂は1種類のみを用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
熱可塑性樹脂としては、ポリアリーレンスルフィド、アクリル系重合体、ビニル系共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、液晶ポリマー、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。これらは1種類のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、耐熱性が要求される用途で使用されるポリアリーレンスルフィド、ポリイミド樹脂が好ましい。またポリイミド樹脂に上述した重合体微粒子を配合する場合、例えば、ポリイミド前駆体溶液(ポリアミック酸溶液)に重合体微粒子を添加し均一に分散させた後、ポリイミド樹脂へ硬化させる方法を挙げることができる。これにより、簡便にポリイミド樹脂中に、重合体微粒子を均一に分散させ得る。
上述した重合体微粒子とマトリクス樹脂との配合比率は、重合体微粒子とマトリクス樹脂の合計を100wt%とした場合に、通常、重合体微粒子が0.5〜50wt%、マトリクス樹脂が50〜99.5wt%であることが好ましく、重合体微粒子が1〜35wt%、マトリクス樹脂が65〜99wt%であることがより好ましく、重合体微粒子が1.5〜25wt%、マトリクス樹脂が75〜98.5wt%であることが特に好ましく、重合体微粒子が2.5〜20wt%、マトリクス樹脂が80〜97.5wt%であることがもっとも好ましい。
また、本樹脂組成物は、透過型電子顕微鏡観察において、マトリクス樹脂中に、重合体微粒子が粒子として分散していることが好ましい。本構成により、マトリクス樹脂の成形体の耐衝撃性等の諸性能を向上させることができる。
また、本樹脂組成物は、上述した重合体微粒子をマトリクス樹脂中に含む構成により、耐薬品性(例えば、耐アルカリ性)も向上する。本樹脂組成物は、上述した重合体微粒子をマトリクス樹脂に添加混練することにより、耐薬品性が向上する。このため、例えば、耐薬品性のコーティング層を別途塗布する必要がない点等で好ましい。
(3−2.その他の任意成分)
本樹脂組成物は、必要に応じて、前述した成分以外の、その他の任意成分を含有してもよい。その他の任意成分としては、硬化剤、顔料および染料などの着色剤、体質顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定化剤(ゲル化防止剤)、可塑剤、レベリング剤、消泡剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、減粘剤、低収縮剤、無機質充填剤、有機質充填剤、熱可塑性樹脂、乾燥剤、並びに分散剤などが挙げられる。
(3−3.樹脂組成物の製造方法)
本発明の一実施形態にかかる樹脂組成物の製造方法としては、上述した重合体微粒子と、マトリクス樹脂とを混合する工程を有するものであればよく、各種成分や具体的な工程については特に限定されない。例えば、二軸押出機による溶融混合の方法を挙げることができる。
(3−4.用途)
本発明の一実施形態に係る重合体微粒子または樹脂組成物は、様々な用途に使用することができ、それらの用途は特に限定されない。例えば、接着剤、コーティング材、強化繊維のバインダー、レジンコンクリート、複合材料、3Dプリンターの造形材料、封止剤、電子基板、インキバインダー、木材チップバインダー、ゴムチップ用バインダー、フォームチップバインダー、鋳物用バインダー、床材用およびセラミック用の岩盤固結材、ウレタンフォーム、自動車エンジン部品、電気モーター部品、耐熱性オイル容器、電子部品・半導体部品のパッケージ、機械部品のハウジング、電装部品のハウジングなどの用途に好ましく用いられる。ウレタンフォームとしては、自動車シート、自動車内装部品、吸音材、制振材、ショックアブソーバー(衝撃吸収材)、断熱材、工事用床材クッションなどが挙げられる。
例えば、本樹脂組成物は、フレキシブル金属箔積層体とすることができる。具体的な一例としては、非熱可塑性ポリイミド樹脂層の少なくとも一面に熱可塑性ポリイミド樹脂層を積層し、当該熱可塑性ポリイミド樹脂上に金属箔を積層した構成であって、当該非熱可塑性ポリイミド樹脂層が上述した重合体微粒子を含有する構成を挙げることができる。かかるフレキシブル金属箔積層体は、上述したとおり、耐熱性、耐衝撃性に加えて、耐薬品性も向上させ得る。
以下、実施例および比較例によって本発明の一実施形態をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の一実施形態は、前記または後記の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更して実施することが可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお下記実施例および比較例において「部」および「%」とあるのは、重量部または重量%を意味する。
[顕微鏡観察用の試験片の作製]
後述する実施例1にて得られた重合体微粒子を四酸化ルテニウムによって染色した後、当該重合体微粒子に、包埋用の硬化樹脂を配合して、硬化板を作製した。得られた硬化板をウルトラミクロトーム(Leica製ARTOS 3D)によって加工し、超薄切片Aを得た。得られた超薄切片Aを四酸化ルテニウムによって2度目の染色を行い、超薄切片Bを得た。
[顕微鏡観察]
実施例で得られたコアシェル粒子を、SEM(JEOL製JSM−6060LA及び日立製S−4800)によって観察した。
[熱分解温度測定]
後述する実施例および比較例にて得られた重合体微粒子を、示差熱熱重量同時測定装置(日立ハイテクサイエンス製TG/DTA6300)を用いて、室温から100℃まで昇温後、室温まで冷却し、その後室温から500℃まで加熱した。昇温条件は10℃/分で行った。1%重量減少する温度を1%熱分解温度と定義して検出した。
[破壊靱性測定用の試験片の作製]
ポリフェニレンスルフィド(PPS、DIC製FZ−2100)に対して、実施例または比較例にて得られた重合体微粒子を、含有量が5wt%となるように加えた。当該混合物を、下記の表1に示す条件にて、ラボプラストミル(東洋精機製作所製20C200)を用いて押出混錬して、ペレットを得た。
次に、得られたペレットを、30t射出成形機(東洋機械金属製PLASTAR Si−30IV(CH150V))を用いて、下記の表に示す条件にて、(h)厚み4mm、(b)幅10mm、長さ75mmの棒状成形体に加工した。棒状成形体に加工した後、当該棒状成形体に、ノッチングマシーンを用いてVノッチを入れた。その後、カミソリ刃を用いて、Vノッチの先端から棒状成形体の中央まで、クラックを入れた。具体的に、Vノッチの先端から棒状成形体の中央を結ぶ線に沿ってカミソリ刃を当て、当該カミソリ刃を鈍器で軽く打ち込むことで、クラックを形成させた。
Figure 2021161376
[破壊靱性の測定]
上述した[熱分解温度測定用の試験片の作製]にて得られた試験片を23℃で養成した。その後、オートグラフAG−10TB(島津製作所製)を用い、支点間距離(L)50mm、テストスピード10mm/分の条件にて、当該試験片に対して3点曲げ試験を行った。
3点曲げ試験の結果の接線法から得られた応力値F(kN)より算出し、下記の数式1〜数式4にしたがって、破壊靱性値K1c(MPa・m1/2)を算出した。ここで、aは、Vノッチの深さと、Vノッチの先端からクラックの先端までの長さとの和である。bは、試験片の幅(1cm)である。hは、試験片の厚み(0.4cm)である。なお、a、b、hおよびLの単位は、「cm」である。
K1c=(F×L/(h×b3/2))×f ・・・(数式1);
f=3(a×b)1/2×AA/BB ・・・・・・(数式2);
AA=1.99−(a/b){1−(a/b)}{2.15−3.93(a/b)+2.7(a/b)} ・・・・・・・・・・・・・・(数式3);
BB=2{1+2(a/b)}{1−(a/b)}3/2 ・・・(数式4)。
[溶媒の選定]
原料として、PMDA(ピロメリット酸無水物、東京化成工業製)、ODA(4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、和歌山精化製)、および、KF−8012(アミノ変性シリコーン、信越化学製)を用いた。
下記の表に示すように、各原料と各有機溶剤とを、原料の濃度が10wt%となるように混合した後、当該混合物を1時間以上撹拌した。得られた溶液を1時間以上静置し、各原料の溶解状態を、目視にて判別した。溶液が均一に見える場合を「溶解」と評価し、溶液中に成分の分離が見られる場合を「分離」と評価した。下記の表に評価結果を示す。
Figure 2021161376
[重合体微粒子を構成するコア部およびシェル部の体積比率の測定]
重合体微粒子を構成するコア部およびシェル部の体積比率は、TEM観察結果から、コア部の半径とシェル部の厚みとを計測し、これらの測定値から算出する方法で行った。
[実施例1]
A液を、以下の手順で調製した。40gの超脱水アセトン(富士フィルム和光純薬製)中に、0.412gのODA(4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、和歌山精化製)、および、0.14gのKF−8012(アミノ変性シリコーン、信越化学製)を添加した後、当該混合物を30分間以上撹拌することによって、A液を得た。
なお、KF−8012は、アミノ基を有するポリオルガノシロキサン(より具体的に、両末端にアミノ基を有するポリオルガノシロキサン)である。KF−8012は、粘度(25℃)が90mm/sであり、官能基当量が2200g/molである。
B液を、以下の手順で調製した。40gの超脱水アセトン中に、0.462gのPMDA(ピロメリット酸無水物、東京化成工業製)を添加した後、当該混合物を30分間以上撹拌することによって、B液を得た。
撹拌しているA液中にB液を添加することによって、白黄色の溶液を得た。当該溶液を10分間撹拌した後、当該溶液に、超音波洗浄機(AS ONE製 MCS−10 40kHz)にて超音波を10分間照射した。超音波処理後の溶液を濾過し、濾液は捨て、濾過によって得られた沈殿物を回収した。300mLの容量の三口セパラブルフラスコ中で、回収した沈殿物と、200mLのキシレン(富士フィルム和光純薬製)とを混合し、当該混合物を10分間撹拌した。三口セパラブルフラスコに窒素流路およびディーンスターク管を取り付け、当該三口セパラブルフラスコ内にNを流通させた状態で、150℃にて5時間、還流を行った。還流後、三口セパラブルフラスコ内の溶液を常温にまで放冷し、当該溶液を濾過して得られた固形分(重合体微粒子)を回収した。なお、収率は、6割程度と推定された。
[比較例1]
セパラブルフラスコ内で、60gのNMP(N−メチルピロリドン、富士フィルム和光純薬製)に、3.00gのODAを、撹拌しながら溶解させた。当該溶液に、4.63gのPMDA(ピロメリット酸無水物、東京化成工業製)を添加した。得られた溶液を撹拌しながら、当該溶液に、KF−8012が10wt%の濃度にて溶解しているトルエン溶液を10.2g追加した。得られた溶液を撹拌しながら、当該溶液に、140gのNMP(N−メチルピロリドン、富士フィルム和光純薬製)を更に追加した。セパラブルフラスコに窒素流路およびディーンスターク管を取り付け、当該セパラブルフラスコ内にNを流通させた状態で、200℃にて3時間、還流を行った。還流後、セパラブルフラスコ内の溶液を常温にまで放冷し、当該溶液を濾過して得られた固形分(重合体微粒子)を回収した。
[比較例2]
セパラブルフラスコ内で、60gのNMP(N−メチルピロリドン、富士フィルム和光純薬製)に、3.00gのODA、および、1gのKF−8012を、撹拌しながら溶解させた。当該溶液に、4.54gのBPDA(4,4’-biphtalic anhydride)を添加した。BPDAは、4.2g、0.21g、0.13gに分けて添加した。BPDAをそれぞれ添加した後に、溶液を30分間撹拌し、ODAおよびKF−8012が溶解して溶液が透明になっていることを確認した。当該溶液に対して、さらにトルエンを合計12g添加して撹拌した。セパラブルフラスコに窒素流路およびディーンスターク管を取り付け、当該セパラブルフラスコ内にNを流通させた状態で、150℃にて5時間、還流を行った。還流後、セパラブルフラスコ内の溶液を常温にまで放冷し、当該溶液を濾過して得られた固形分(重合体微粒子)を回収した。
[試験結果]
実施例1、並びに、比較例1および2にて得られた重合体微粒子を用いて、上述した顕微鏡観察、熱分解温度測定、破壊靱性の測定、および、コア部およびシェル部の重量比率の測定を行った。また、参考例1の粒子として、MR−01((株)カネカ製、シリコーンをコア、アクリル系ポリマーをシェルに有するコアシェル粒子)およびニートPPS(FZ2100、DIC製)を用い、上述した顕微鏡観察、熱分解温度測定、および、破壊靱性の測定を行った。
<A.顕微鏡観察>
図1に、実施例1にて得られた重合体微粒子の顕微鏡観察の結果を示す。図1の「超薄切片A」および「超薄切片B」から明らかなように、実施例1にて得られた重合体微粒子は、球状であるとともに、コア部とシェル部とを備えるコア−シェル構造を有していた。特に、「超薄切片B」に示すように、実施例1の重合体微粒子は、透過型電子顕微鏡観察において、四酸価ルテニウムで淡色に染色されるコア部(シリコーン成分)と、それよりは濃色に染色されるシェル部(ポリイミド成分(PI))とを有するコアシェル粒子の個数が、観察の視野角である2μm四方(写真に示されているバーの長さは500nm)において観察される粒子の個数の80%以上を占めていることが分かった。
図2に、比較例1にて得られた重合体微粒子の顕微鏡観察の結果を示す。図2から明らかなように、比較例1にて得られた重合体微粒子は、非球状であるとともに、コア部とシェル部とを備えるコア−シェル構造を有していなかった。比較例2にて得られた重合体微粒子も、比較例1にて得られた重合体微粒子と同様に、非球状であるとともに、コア部とシェル部とを備えるコア−シェル構造を有していなかった(図示せず)。
<B.熱分解温度測定、および、破壊靱性の測定>
下記の表に、熱分解温度測定(1%熱分解温度)、および、破壊靱性の測定の試験結果を示す。
実施例1にて得られた重合体微粒子は、参考例1(MR−01)と比較して、1%熱分解温度が高く、耐熱性を向上させる能力が高いことが明らかになった。
また、実施例1にて得られた重合体微粒子は、参考例1および2と比較して、破壊靱性が高い、または略同じであって、耐衝撃性の能力が高いことが明らかになった。
Figure 2021161376
Figure 2021161376
<C.コア部およびシェル部の体積比率の測定>
実施例1にて得られた重合体微粒子のTEM観察像(図1)から、当該重合体微粒子は、コア層:250〜270nm、シェル層:60〜80nmを有していた。これらの測定値から体積比率を計算すると、重合体微粒子全体を100vol%としたとき、コア部が約50vol%であり、シェル部が約50vol%であった。一方、比較例1および2にて得られた重合体微粒子は、コアシェル粒子ではなかった。
[割れ裂けの測定用の試験片の作製]
図3の左に試験片の形状を示す。具体的には、後述する実施例2〜4にて得られたフレキシブル金属箔積層体を6.0cm×5.5cm角の大きさに切り取り、表面の銅箔の一部を図3の左に示す形状のように格子状(格子1つは一辺が14mmの正方形であり、格子は縦方向および横方向へ向かって3つずつ合計9個配され、格子同士の間隔、および格子周部の幅は1mmであり、格子外周銅部の幅は1.5mmである)パターンに両面エッチングして試験片を得た。
[割れ裂けの測定]
濃度4%の水酸化ナトリウム水溶液(23±2℃)800mLが入った容器に試験片を入れ、23±2℃、230rpmの振盪速度において振盪し、フィルムが裂け、クラックが発生するまでの時間(秒)を測定した。クラックが発生したか否かの判定は、振盪を100秒毎に止め、試験片を入れた容器に対して、ライトボックスにより容器背面から光を当てて、試験片のフィルム部に光が透過したらクラックが発生したと判断した。
(非熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
窒素雰囲気下の容積2000mLのセパラブルフラスコに、DMF 656.54gにODA 33.42gを添加後、BPDA 36.83gを添加し、攪拌した。BPDAが溶解したことを目視確認した後、PMDA 5.46gを添加し30分間攪拌した。その後m−TB 8.86g、PDA 7.52g、PMDA 26.09gを順番に添加した後、30分間攪拌を行うことで、反応液を作製した。また、反応液とは別に1.82gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調製した。上記反応溶液に対して、溶液を粘度上昇に気を付けながら徐々に添加し、粘度が2000ポイズに達した時点で添加を終了した。
(熱可塑性ポリイミド前駆体の合成)
窒素雰囲気下の容積2000mLのセパラブルフラスコに、DMF 643.36gに、ODA 24.50gを添加した。続いて4−APBP 45.08gを添加し攪拌しながら、BPDA 50.40gを添加した。BPDAが溶解したことを目視確認した後、PMDA 14.41gを添加し、30分間攪拌を行うことで、反応液を作製した。また、反応液とは別に1.60gのPMDAを固形分濃度7.2%となるようにDMFに溶解した溶液を調製した。上記反応溶液に対して、溶液を粘度上昇に気を付けながらに徐々に添加し、粘度が1000ポイズに達した時点で添加を終了した。
(重合体微粒子分散非熱可塑性ポリイミド前駆体溶液の作製)
実施例1で得られた重合体微粒子(コアシェル粒子)を固形分濃度が6.1%となるようにDMFに添加し、DMFスラリーを作製した。上記DMFスラリーに対して、30分間超音波分散を行うことにより、重合体微粒子の分散液を作製した。次に、この分散液を上記非熱可塑性ポリイミド前駆体溶液に添加した。このとき、ポリイミド前駆体溶液中の固形分100重量%に対して、重合体微粒子量が5重量%、10重量%および15重量%となる3種類のドープを作製した。その後、自転公転式ミキサーで攪拌(2500rpm、10分間)及び脱泡(2000rpm、5分間)を行い、ポリイミド前駆体溶液中に重合体微粒子を均一分散させた。ここで、重合体微粒子を5重量%添加したドープを「ドープA1」、重合体微粒子を10重量%添加したドープを「ドープA2」、重合体微粒子を15重量%添加したドープを「ドープA3」とする。
(重合体微粒子分散ポリイミドフィルムの作製)
ドープA1〜A3それぞれに、無水酢酸/イソキノリン(重量比8.2/3.1)およびDMFからなる硬化剤を添加した。なお、DMF量は、硬化剤を添加したドープ中の溶液中固形分濃度が10%になるように調整した。DMFの添加後、0℃以下の温度で混練・脱泡し、コンマコーターを用いてアルミ箔上に流延塗布した。塗布終了後、熱風オーブン110℃×133秒で加熱した後、アルミ箔から自己支持性のゲル膜を引き剥がした。得られたゲル膜を金属製の固定枠に固定し、各熱風オーブン250℃×15秒、350℃×16秒、450℃×13秒、IRオーブン400℃×25秒で乾燥・イミド化させて、厚み17μmの重合体微粒子分散ポリイミドフィルムを得た。
ここで、ドープA1から得られたフィルムを「粒子分散PIフィルム1」と、ドープA2から得られたフィルムを「粒子分散PIフィルム2」と、ドープA3から得られたフィルムを「粒子分散PIフィルム3」とする。
(積層ポリイミドフィルムの作製)
上記熱可塑性ポリイミド前駆体溶液(ポリアミック酸溶液)を、固形分濃度が7.9%になるように希釈した。すなわちポリアミック酸溶液/DMF/1,3−ジオキソラン/3,5−ルチジン(重量比100/56.5/56.5/3)の溶液を調製した。この溶液を、重合体微粒子分散ポリイミドフィルム(粒子分散PIフィルム1〜3)の両面に、最終片面厚みが4.0μmとなるように塗布した。続いて120℃×120秒で乾燥し、更に350℃で15秒間加熱してイミド化を行い、総厚み25.0μmの積層ポリイミドフィルムを得た。
ここで、粒子分散PIフィルム1から得られたものを「積層PIフィルム1」と、粒子分散PIフィルム2から得られたものを「積層PIフィルム2」と、粒子分散PIフィルム3から得られたものを「積層PIフィルム3」とする。
[実施例2]
(フレキシブル金属箔積層体の作製)
得られた積層ポリイミドフィルム(積層PIフィルム1)の両面に12μm電解銅箔(GHY5−93MF−HA−V2、JX金属株式会社製)を配置し、さらに銅箔の両側に保護フィルム(アピカル125NPI;カネカ製)を用いて、ラミネート温度370℃、ラミネート圧力265N/cm(27kgf/cm)、ラミネート速度1.0m/分の条件で熱ラミネートを行い、フレキシブル金属箔積層体1を作製した。
[実施例3]
積層ポリイミドフィルムを積層PIフィルム2としたこと以外は実施例2と同様に、フレキシブル金属箔積層体2を作製した。
[実施例4]
積層ポリイミドフィルムを積層PIフィルム3としたこと以外は実施例2と同様に、フレキシブル金属箔積層体3を作製した。
[比較例3]
(重合体微粒子を含まないフレキシブル金属箔積層体の作製)
重合体微粒子を用いなかった(重合体微粒子の添加量が0重量%のドープを用いてポリイミドフィルムを作製した)こと以外は[実施例2]と同様にして、フレキシブル金属箔積層体を作製した。
[試験結果]
比較例3および実施例2〜4のフレキシブル金属箔積層体についてクラック発生時間の測定を行った。表5にクラック発生時間を記載する。なお、試験は3回行い、その平均値を結果として表5に示す。
Figure 2021161376
実施例2〜4にて得られたフレキシブル金属箔積層体は、クラック発生までの時間が長く耐薬品性が高いことが明らかになった。
本発明の一実施形態によれば、耐熱性が要求されるマトリクス樹脂に配合し、樹脂組成物の耐衝撃性、耐薬品性等を改善する用途に好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. コア部と、シェル部と、を備えるコア−シェル構造を有し、
    前記コア部は、シリコーン成分を含み、
    前記シェル部は、ポリイミド成分を含む、重合体微粒子。
  2. 前記シリコーン成分が、下記一般式(1)
    SiO(4−m)/2 ・・・(1)
    (式中、Rは置換または非置換の1価の炭化水素基であり、各々同一であっても異なっていてもよい)で表されるシロキサン構造単位を含むものであり、
    前記一般式(1)において、m=2のジシロキサン構造単位が、前記一般式(1)で表されるシロキサン構造単位全体の80mol%以上であり、
    前記ジシロキサン構造単位に由来するシリコーン成分が、前記コア部全体を100wt%として、50wt%以上である、請求項1に記載の重合体微粒子。
  3. 前記シリコーン成分が、アミノ基を有するポリオルガノシロキサンから誘導されるものである、請求項1または2に記載の重合体微粒子。
  4. 前記シリコーン成分が、下記一般式(2)
    Figure 2021161376
    (式中、Xは、任意の官能基を示す。Rは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜24のアリール基、および、それらを任意の官能基で置換した置換炭化水素基からなる群より選ばれる、少なくとも1つの置換基を有するまたは非置換の1価の炭化水素基を示す)で表され、以下の特性(a)および(b)を満たすポリジシロキサンから誘導され、
    かつ、前記ポリジシロキサンが、前記コア部全体を100wt%として、50wt%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合体微粒子。
    (a)粘度(25℃、mm/s):1〜1000
    (b)官能基当量(g/mol):100〜10000
  5. 重合体微粒子全体を100vol%として、前記コア部が10〜95vol%であり、シェル部が5〜90vol%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合体微粒子。
  6. 前記ポリイミド成分が、芳香族酸二無水物成分に由来する構造単位と、芳香族ジアミン成分に由来する構造単位とを有するものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合体微粒子。
  7. アミノ基を有するポリオルガノシロキサン成分およびジアミン成分を含有する第1の溶液と、酸二無水物成分を含有する第2の溶液と、を混合する混合工程を含み、
    前記第1の溶液および第2の溶液に用いる溶媒が、以下の条件(1)〜(3)を満たす、重合体微粒子の製造方法:
    (1)アミノ基を有するポリオルガノシロキサン成分が不溶
    (2)ジアミン成分と酸二無水物成分とが可溶
    (3)ジアミン成分に由来する構造単位と、酸二無水物成分に由来する構造単位と、を有するポリアミック酸が不溶。
  8. 前記第1の溶液および第2の溶液に用いる溶媒が、ケトン類、エーテル類、およびエステル類からなる群より選択されるいずれかである、請求項7に記載の重合体微粒子の製造方法。
  9. さらに、前記混合工程により得られたポリアミック酸を含む微粒子をイミド化する工程を含む、請求項7または8に記載の重合体微粒子の製造方法。
  10. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の重合体微粒子と、マトリクス樹脂と、を含む、樹脂組成物。
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