JP2007246772A - 多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料 - Google Patents

多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料 Download PDF

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Abstract

【課題】多量の無機酸化物を含有していても透明性が有利に確保され得、また、製膜性に優れたポリイミド系ハイブリッド材料を提供すること。
【解決手段】芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族トリアミンとを反応せしめて得られる多分岐ポリアミド酸と、無機酸化物微粒子とを含む混合物を用いて、該混合物中の該多分岐ポリアミド酸をイミド化せしめることにより、目的とする多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料を得た。
【選択図】図1

Description

本発明は、多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料に係り、特に、電子材料用絶縁膜、気体分離膜、耐熱性接着剤等の原料として好適に用いられ得る、多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料に関するものである。
従来より、有機高分子及び無機化合物の特性を併せ持つ材料として、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ナイロン(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の汎用高分子と、タルク(炭酸カルシウム)、クレイ(粘土)、シリカ等の無機化合物や無機酸化物等との混合物が、複合材料(ハイブリッド材料)として広く用いられている。また、近年では、そのような従来の複合材料より優れた特性を発揮し得る材料として、有機高分子相と無機酸化物相とが一体化されて、複合構造を呈している(ハイブリッド化された)有機−無機ポリマーハイブリッドからなるハイブリッド材料も各種開発されている(特許文献1を参照)。
そこにおいて、それら各種のハイブリッド材料を構成する有機高分子としては、従来の汎用高分子以外にも様々なものが用いられている。例えば、優れた気体透過性を発揮し、ガス分離材料等(特許文献2〜4を参照)に利用されているポリイミドは、気体透過性以外にも、耐熱性、機械的強度、電気特性、耐薬品性や成形特性(プロセス特性)において非常に優れているところから、ポリイミドを用いた有機−無機ポリマーハイブリッドからなるハイブリッド材料が、各種提案されている(非特許文献1を参照)。ここで、それら従来のハイブリッド材料に用いられるポリイミドは、一般に、無水ピロメリット酸やビフェニルテトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物と、ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンとから得られる直鎖状(線状)のものが、用いられていた。
しかしながら、従来の、ポリイミドを用いた有機−無機ポリマーハイブリッドからなるハイブリッド材料にあっては、ポリイミド相と無機酸化物相とが一体的となった複合構造を呈することにより、種々の優れた特性を発揮するものであるものの、近年では、複合材料に対して従来以上の特性が要求されるようになってきており、更に優れた特性を発揮し得る新規なハイブリッド材料の開発が望まれている。また、電子部品用材料として用いられるポリイミド系ハイブリッド材料には透明性が要求されるところ、従来のポリイミド系ハイブリッド材料にあっては、その透明性を確保する観点から、無機酸化物の含有量を比較的少なく(10重量%程度)せざるを得なかった。更に、従来のポリイミド系ハイブリッド材料において無機酸化物の含有量を多くすると、膜状の材料を製造し難いという問題もあった。
かかる状況の下、本願発明者等の一部は、先に、ポリイミドが本来的に有する優れた特性を維持しつつ、従来のものと比較して、より優れた気体透過性、電気的特性、耐熱性、機械的強度等を有するポリイミド系ハイブリッド材料として、多分岐ポリイミド相とゾル−ゲル法による無機酸化物相とを有し、それらが共有結合によって一体化されて、複合構造となっている有機−無機ポリマーハイブリッドからなる多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料を開発し、提案した(PCT/JP2005/015662参照)。この先に提案の多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料は、樹木状(三次元)構造を呈するポリイミド相と、ゾル−ゲル法による無機酸化物相とが共有結合によって一体化されて、複雑な複合構造を呈しているのであり、そのような構造に起因して、優れた気体透過性等を発揮するのである。また、かかる多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料においては、それを構成する多分岐ポリイミドに多数の(反応性)末端が存在し、そこにおいて無機酸化物相と共有結合を形成せしめることが可能であり、材料中の無機酸化物の含有量を比較的多く、具体的には、30〜40重量%程度にまですることが可能なものであり、更に、そのような多量の無機酸化物を含有するものを膜状に製造することが可能であった。
しかしながら、上述の如き、本願発明者等の一部が先に提案したポリイミド系ハイブリッド材料にあっては、従来より多量の無機酸化物を含有せしめることが可能なものではあるものの、その含有量が50重量%程度を越えると、材料が徐々に透明性や製膜性を失い、材料の透明性や製膜性が要求される電子部品用材料としては使用し難くなる恐れがあったのであり、その点において、未だ改良の余地が残されていたのである。
特開2004−277512号公報 特開昭57−15819号公報 特開昭60−82103号公報 特開昭60−257805号公報 山田 保治 他2名、「シリコン含有ポリイミドの特性と応用」、月刊高分子加工 別冊、株式会社高分子刊行会、1997年2月、第46巻、第2号、第2〜11頁
ここにおいて、本発明のかくの如き事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、多量の無機酸化物を含有していても透明性が有利に確保され得、また、製膜性に優れたポリイミド系ハイブリッド材料を提供することにある。
そして、本発明者等は、そのような課題を解決すべく鋭意検討を重ねたところ、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族トリアミンとを反応せしめて得られる多分岐ポリアミド酸と、比較的多量の無機酸化物微粒子とを含む混合物を用いて、かかる混合物中の多分岐ポリアミド酸をイミド化せしめると、無機酸化物微粒子を多く含有しつつも透明性に優れた多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料を、膜状に製造することが可能であり、更に検討を重ねたところ、複数の末端のうちの少なくとも一部に水酸基又はアルコキシ基を有する多分岐ポリアミド酸と、更に多量の無機酸化物微粒子とを含む混合物を用いて、かかる混合物中の多分岐ポリアミド酸をイミド化せしめると、より多くの無機酸化物微粒子を含有する多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料であって、透明性に優れたものを、膜状に製造することが可能であることを見出したのである。
すなわち、本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであって、その要旨とするところは、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族トリアミンとを反応せしめて得られる多分岐ポリアミド酸と、無機酸化物微粒子とを含む混合物を用いて、該混合物中の該多分岐ポリアミド酸をイミド化せしめて多分岐ポリイミドとすることにより得られる多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料にある。
また、本発明は、芳香族テトラカルボン酸二無水物と、芳香族トリアミンと、末端にアミノ基或いはカルボキシル基を有する、ケイ素、マグネシウム、アルミニウム、ジルコニウム又はチタンのアルコキシ化合物若しくはそれらの誘導体とを反応せしめて得られる、複数の末端のうちの少なくとも一部に水酸基又はアルコキシ基を有する多分岐ポリアミド酸と、無機酸化物微粒子とを含む混合物を用いて、該混合物中の該多分岐ポリアミド酸をイミド化せしめて多分岐ポリイミドとすることにより得られる多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料をも、その要旨とするものである。
なお、そのような本発明に従う多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料においては、好ましくは、前記無機酸化物微粒子が、シリカ微粒子、マグネシア微粒子、アルミナ微粒子、ジルコニア微粒子及びチタニア微粒子のうちの少なくとも一種以上である。
また、本発明は、上述した多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料からなる気体分離膜、電子材料用絶縁膜及び耐熱性接着剤をも、その要旨とするものである。
さらにまた、本発明は、上述のイミド化せしめられた多分岐ポリイミドが、その複数の末端に反応性残基を有し、そのうちの少なくとも一部が、1)アミン、カルボン酸、カルボン酸ハライド又はカルボン酸無水物、2)アミン、カルボン酸、カルボン酸ハライド又はカルボン酸無水物のフッ素含有化合物、又は、3)アミン、カルボン酸、カルボン酸ハライド又はカルボン酸無水物のスルホン酸基含有化合物との反応によって修飾されている多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料、並びに、前記3)の多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料からなる固体電解質膜をも、その要旨としているのである。
このように、本発明に従う多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料にあっては、多分岐ポリイミドの前駆体である所定の多分岐ポリアミド酸と、無機酸化物微粒子とを含む混合物を用いて、混合物中の多分岐ポリアミド酸をイミド化せしめて得られるものであるところ、かかる混合物中に、比較的多量の無機酸化物微粒子を含有せしめても、多分岐ポリイミドと同様の三次元構造を呈する多分岐ポリアミド酸の存在によって、無機酸化物微粒子は(相分離せずに)均一に分散せしめられることとなるところから、そのような混合物中の多分岐ポリアミド酸をイミド化して得られる本発明の多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料中においても、無機酸化物微粒子は凝集せず均一に分散しており、以て、優れた透過性を発揮すると共に、製膜性に優れたハイブリッド材料となるのである。
そのような効果は、多分岐ポリアミド酸として、複数の末端のうちの少なくとも一部に水酸基又はアルコキシ基を有する多分岐ポリアミド酸を用いることで、多分岐ポリアミド酸と無機酸化物微粒子との間に強い相互作用を形成せしめることによって、より有利に享受することが可能である。
また、本発明の多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料は、特に、気体分離膜、電子材料用絶縁膜及び耐熱性接着剤の原料として、有利に用いられ得る。
一方、多分岐ポリアミド酸、或いはイミド化せしめられた多分岐ポリイミドにおける複数の末端に存在する反応性残基(アミノ基、酸無水物基)を、様々な化合物と反応せしめて、修飾することによって得られる多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料にあっては、他の優れた特性をも効果的に発揮することとなる。具体的には、反応性残基(アミノ基、酸無水物基)のうちの少なくとも一部が、アミン、カルボン酸、カルボン酸ハライド又はカルボン酸無水物のフッ素含有化合物にて修飾された多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料は、極めて低い誘電率を示し、また、アミン、カルボン酸、カルボン酸ハライド又はカルボン酸無水物のスルホン酸基含有化合物との反応にて修飾されたものは、優れたプロトン伝導度を発揮し得る。
ところで、上述したような多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料は、有利には、以下の手法に従って製造される。
先ず、芳香族テトラカルボン酸二無水物と、芳香族トリアミンとを反応せしめて、多分岐ポリアミド酸を合成する。
ここで、本発明において用いられ得る芳香族テトラカルボン酸二無水物及び芳香族トリアミンとしては、従来より公知の各種のものであれば、何れも用いることが可能であり、それら公知のものの中から、目的とする多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料に応じた一種若しくは二種以上のものが、適宜に選択されて、用いられることとなる。
具体的には、芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、無水ピロメリット酸(PMDA)、オキシジフタル酸二無水物(OPDA)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)、2,2’−ビス[(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物(BSAA)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)等の化合物を、例示することが出来る。
また、芳香族トリアミンとしては、分子内に3個のアミノ基を有する芳香族化合物、例えば、1,3,5−トリアミノベンゼン、トリス(3−アミノフェニル)アミン、トリス(4−アミノフェニル)アミン、トリス(3−アミノフェニル)ベンゼン、トリス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−アミノフェノキシ)トリアジン等を挙げることが出来る。
なお、本発明においては、上述した芳香族トリアミンと共に、芳香族ジアミン、シロキサンジアミン、或いは、分子内にアミノ基を4個以上有する芳香族化合物を、芳香族トリアミンと共重合せしめた状態にて、或いは、ポリアミド酸合成時に芳香族トリアミン等と同時に添加することにより、使用することも可能である。そのような芳香族ジアミンとしては、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニール、ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−アミノフェノキシフェニル]スルホン、2,2−ビス[(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−[フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパンや9,9−ビス(アミノフェニル)フルオレン等が挙げられ、また、シロキサンジアミンとしては、(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(アミノフェノキシ)ジメチルシランやビス(3−アミノプロピル)ポリメチルジシロキサン等が挙げられる。更に、分子内にアミノ基を4個以上有する芳香族化合物としては、トリス(3,5−ジアミノフェニル)ベンゼン、トリス(3,5−ジアミノフェノキシ)ベンゼン等が挙げられる。
また、上述してきた、芳香族テトラカルボン酸二無水物、芳香族トリアミン、芳香族ジアミン、及び分子内にアミノ基を4個以上有する芳香族化合物の各化合物におけるベンゼン環に、炭化水素基(アルキル基、フェニル基、シクロヘキシル基等)、ハロゲン基、アルコキシ基、アセチル基、スルホン酸基等の置換基を有する誘導体であっても、本発明においては、用いることが可能である。
そのような芳香族テトラカルボン酸二無水物と、芳香族トリアミン(及び、芳香族ジアミン、シロキサンジアミン、或いは分子内にアミノ基を4個以上有する芳香族化合物。以下、適宜アミン成分という。)との反応は、比較的低温、具体的には100℃以下、好ましくは50℃以下の温度下において実施することが好ましい。また、芳香族テトラカルボン酸二無水物とアミン成分の反応モル比([芳香族テトラカルボン酸二無水物]:[アミン成分]は、1.0:0.3〜1.0:1.2、好ましくは、1.0:0.4〜1.0:1.1の範囲内となるような量的割合において、反応せしめることが好ましい。
さらに、本発明に係る多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料を製造するに際しては、所定の溶媒内にて行なうことが好ましい。本発明において用いられ得る溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチルスルホン、ヘキサメチルスルホン、ヘキサメチルフォスホアミド等の非プロトン性極性溶媒や、m−クレゾール、o−クレゾール、m−クロロフェノール、o−クロロフェノール等のフェノール系溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム等のエーテル系溶媒等を挙げることが出来、これらは単独で、若しくは二種以上の混合溶媒として、使用することが可能である。
本発明においては、上述のようにして得られた多分岐ポリアミド酸を、そのまま用い得ることは勿論であるが、有利には、かかる多分岐ポリアミド酸と、末端にアミノ基又はカルボキシル基を有する、ケイ素、マグネシウム、アルミニウム、ジルコニウム又はチタンのアルコキシ化合物若しくはそれらの誘導体とが、反応せしめられる。このようにして得られる、複数の末端のうちの少なくとも一部に水酸基又はアルコキシ基を有する多分岐ポリアミド酸を用いることにより、後述する無機酸化物微粒子をより多く配合せしめることが可能となる。
ここで、本発明において用いられる、末端にアミノ基或いはカルボキシル基を有する、ケイ素、マグネシウム、アルミニウム、ジルコニウム又はチタンのアルコキシ化合物としては、従来より公知のものであれば、何れも用いることが可能である。また、末端にカルボキシル基を有する、ケイ素、マグネシウム、アルミニウム、ジルコニウム又はチタンのアルコキシ化合物とは、末端に、一般式:−COOH、或いは、一般式:−CO−O−CO−で表わされる官能基を有するカルボン酸、酸無水物であり、それらの誘導体である酸ハライド(一般式:−COX。但し、XはF、Cl、Br、Iの何れかの原子。)も、本発明において用いることが可能である。具体的には、ケイ素のアルコキシ化合物としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノフェニルジメチルメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシリルカルボン酸、プロピルメチルジエトキシシリルカルボン酸、ジメチルメトキシシリル安息香酸等を例示することが出来、アルミニウムのアルコキシ化合物としては、特開平2004−114360号公報中の段落[0085]において示されている如き構造を呈するもの等を、例示することが出来る。また、それらアルコキシ化合物の誘導体としては、例えば、各種ハロゲン化物等が挙げられる。
なお、アルコキシ化合物と多分岐ポリアミド酸との反応は、先に説明した芳香族テトラカルボン酸二無水物とアミン成分とを反応せしめた際と同様の温度条件にて、実施されることが望ましい。
次いで、上述の如くして得られた多分岐ポリアミド酸、若しくは、複数の末端のうちの少なくとも一部に水酸基又はアルコキシ基を有する多分岐ポリアミド酸(以下、これらを総称して、単に多分岐ポリアミド酸ともいう。)と、無機酸化物微粒子とを用いて、混合物が調製される。
かかる混合物の調製に際して用いられる無機酸化物微粒子としては、従来より公知の各種無機酸化物の微粒子が用いられ得るが、それらの中でも、シリカ微粒子、マグネシア微粒子、アルミナ微粒子、ジルコニア微粒子又はチタニア微粒子が、得られる多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料の特性の向上に効果的に寄与し得るとの観点から有利に用いられる。また、そのようなら無機酸化物微粒子は、100nm以下、好ましくは50nm以下、特に5〜30nm程度の大きさ(粒径)のものが好ましく、更に、それら無機酸化物微粒子のオルガノゾルが、有利に用いられる。なお、無機酸化物微粒子の使用量は、目的とする多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料の特性に応じて、適宜に決定されることとなるが、本発明のハイブリッド材料にあっては、末端変性していない多分岐ポリアミド酸を用いる場合には、ハイブリッド材料中の無機酸化物含有量が40重量%程度の割合となるような量を使用(添加)しても、更に、所定のアルコキシ化合物等でその末端を変性した多分岐ポリアミド酸を用いる場合には、ハイブリッド材料中の無機酸化物含有量が70重量%程度の割合となるような量を使用しても、後述する各種の製膜手法に従って、透明性に優れた膜状の多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料を製造することが可能である。
なお、多分岐ポリアミド酸と無機酸化物微粒子との混合物の調製は、多分岐ポリアミド酸を合成した際と同様に、上述したような各種溶媒を用いて行なわれることが望ましく、例えば、多分岐ポリアミド酸の溶液中に無機酸化物微粒子(オルガノゾル)を添加することによって行なわれる。
そして、多分岐ポリアミド酸と無機酸化物微粒子との混合物(混合溶液)を用いて、かかる混合物(混合溶液)中の多分岐ポリアミド酸をイミド化せしめることにより、本発明の多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料が得られるのである。
すなわち、かかる混合物(混合溶液)中における無機酸化物微粒子の分散性は、他の成分である多分岐ポリアミド酸との相互作用によって決定されるところ、多分岐ポリアミド酸は、多分岐ポリイミドと同様の複雑な三次元構造を呈するものである。そのような複雑な構造を呈する多分岐ポリアミド酸が存在することによって、従来より多量の無機酸化物微粒子を多分岐ポリアミド酸溶液中に添加しても、その混合物(混合溶液)中において、無機酸化物微粒子は(相分離することなく)均一に分散せしめられ得るのであり、かかる混合物(混合溶液)について多分岐ポリアミド酸のイミド化を行なうと、無機酸化物微粒子の均一な分散状態を維持した多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料が得られることとなるのであり、以て、従来より無機酸化物微粒子の含有量の多いハイブリッド材料が、ポリイミドが本来的に有する優れた透明性を維持しつつ、膜状に製造され得るのである。
ここで、混合物(混合溶液)中の多分岐ポリアミド酸のイミド化は、最終的に目的とするハイブリッド材料の形態、用途等に応じた手法が、従来より公知のものの中から適宜に選択されて、採用される。例えば、フィルム、コーティング剤、分離膜等として使用することを目的として、薄膜状のハイブリッド材料を製造する場合には、一般の高分子材料の場合と同様に、下記の如き手法にて製造することが可能である。すなわち、1)多分岐ポリアミド酸及び無機酸化物微粒子を所定の溶媒に添加してなる混合溶液を、ガラス、高分子フィルム等の基盤上に流延せしめた後、熱イミド化(加熱乾燥)する方法、2)混合溶液をガラス、高分子フィルム等の基盤上にキャストした後、水、アルコール、ヘキサン等の受溶媒に浸漬せしめ、フィルム化させた後、熱イミド化(加熱乾燥)する方法等が挙げられ、本発明においては、これらの何れをも採用することが可能である。
そして、上述の如くして製造された、本発明に従う多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料にあっては、従来より多量の無機酸化物微粒子を用いた場合にあっても、透明性に優れたものとなるのである。また、かかる多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料は、ポリイミドを構成成分とするものであることから、ポリイミドが本来的に有する気体透過性、気体の選択透過性、電気的特性(低誘電率)、耐熱性等においても優れたものであり、このハイブリッド材料を用いてなる気体分離膜、電子材料用絶縁膜及び耐熱性接着剤においても、それら優れた効果が有利に発揮されることとなる。
そのような優れた効果を発揮し得る、本発明の多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料にあっては、その多分岐ポリイミドの末端に存在する反応性残基(アミノ基、酸無水物基)を、種々の化合物により化学修飾して、機能性基を付与することにより、更に多種多様な機能を発揮し得るようにすることも可能である。
例えば、アミン、カルボン酸、カルボン酸ハライド又はカルボン酸無水物の、フッ素含有化合物やケイ素含有化合物を用いて化学修飾を実施すると、より優れた低誘電性や、撥水性、密着・接着性等の表面特性を付与することが可能である。
また、アミン、カルボン酸、カルボン酸ハライド又はカルボン酸無水物のスルホン酸基含有化合物を用いて化学修飾を実施すると、プロトン導電性を付与することが出来る。
さらに、感光性を有する化合物で化学修飾すれば、感光性を有する多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料を、また、センサー機能を有する化合物で化学修飾すれば、種々のセンサー材料を、更には、酵素や触媒成分となる金属化合物を用いて化学修飾すれば、固定化酵素や坦持型触媒として有利に用いられ得る多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料を、製造することが可能である。
あっては、
なお、本発明の多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料を使用する場合には、それを構成するポリイミドとは異なる構造のポリイミドや、その他の樹脂、更には、従来より公知の酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、充填剤等を配合することも、勿論、可能である。
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等が加え得るものであることが、理解されるべきである。なお、得られた各試料における光透過率、ガラス転移温度(Tg )、熱分解温度(5%重量減少温度:Td 5)、線膨張係数(CTE)、引張強度、引張弾性率及び破断伸びの測定等は、それぞれ、以下に述べる各手法に従って行なった。
−光透過率−
紫外可視近赤外分光光度計(日本分光株式会社製、V-530 UV/VIS Spectrometer )を用いて、紫外−可視光透過率の測定を行なった。具体的には、得られた試料(膜厚:約20μm)を用いて、波長領域:200〜800nm、分解能:1nm、スキャン速度:200nm/minにて行なった。得られた測定結果のうち、波長:600nmにおける光透過率(%)を下記表1及び表2に示し、その数値にて試料の透明性を評価した。
−ガラス転移温度(Tg )及び熱分解温度(5%重量減少温度:Td 5)−
示差熱熱重量同時測定装置(セイコーインスツル株式会社製、TG/DTA6300)を用いて、TG−DTA測定を行なった。測定は、所定量の試料を、プラチナパンに収容せしめた状態にて、空気気流下(250ml/min)、温度範囲:25〜800℃、昇温速度:10℃/minの条件にて加熱することにより行なった。測定により得られたTG曲線より、熱分解温度(5%重量減少温度:Td 5[℃])を求め、一方、得られたDTA曲線より、ガラス転移温度(Tg [℃])を求めた。
−線膨張係数(CTE)−
熱・応用・歪測定装置(セイコーインスツル株式会社製、TMA/SS6100)を用いて、TMA測定を行なった。測定は、長さ:約40mm×幅:約4mmの大きさにカットした試料を、試料固定フォルダー(フォルダー間隔:20mm)にセットし、窒素雰囲気下において、引張モード、引張負荷:50mN、温度範囲:25〜330℃、昇温速度:5℃/minの条件にて行なった。測定により得られたTMA曲線の100〜150℃間における伸張度から線膨張係数(CTE[ppm/℃])を求めた。
−引張強度、引張弾性率及び破断伸び−
卓上型引張試験機(ジェイティトーシ株式会社製、リトルセンスターLSC-05/30 )を用いて、引張試験を行なった。測定は、幅:約7mm×長さ:約35mmの大きさに切り出した短冊状の試料を、引張試験用ホルダーに固定し、チャック間距離:20mm、引張速度:5mm/minの条件にて行なった。測定により得られた応力−歪曲線より、引張強度[MPa]及び破断時の伸び率(破断伸び[%])を求め、また、その初期勾配から引張弾性率[GPa]を求めた。
−試料1の作製及び物性測定−
撹拌棒、窒素導入管及び塩化カルシウム管を備えた100mL三つ口フラスコを準備し、その内部を窒素で置換した後、3.0mmolのオキシジフタル酸二無水物(ODPA)を仕込み、30mLのジメチルアセトアミド(DMAc)を加えて、撹拌速度:300rpmにて撹拌しながらODPAを溶解した。この溶液に、予め17mLのDMAcに溶解せしめた1,3,5−トリス(アミノフェノキシ)ベンゼン(TAPOB):1.5mmolを、撹拌しながら、約20分かけて徐々に滴下した。かかる滴下終了の後、窒素気流下にて、室温で3時間、撹拌することにより、多分岐ポリアミド酸のDMAc溶液を得た。
次いで、得られた多分岐ポリアミド酸のDMAc溶液に、所定量のDMAc分散コロイダルシリカ溶液(日産化学株式会社製、DMAC−ST、シリカ粒径:10〜15nm)を滴下し、15分間、激しく撹拌した。なお、本試料(試料1)及び以下の各試料を作製した際のDMAc分散コロイダルシリカ溶液の使用量は、最終的に得られるハイブリッド内のシリカ含有量に応じて、適宜に設定した。そのようにして得られた混合溶液をPETシート上にキャストし、これを85℃に加熱したオーブン内に3時間、静置して、乾燥させることにより、多分岐ポリアミド酸−コロイダルシリカハイブリッド膜を得た。
さらに、得られた多分岐ポリアミド酸−コロイダルシリカハイブリッド膜をPETシート上から剥がし取り、かかるハイブリッド膜の外周をテフロン(登録商標)シートに挟んだ状態にて、金属枠に固定した。そして、かかる固定されたハイブリッド膜を、窒素雰囲気下の加熱オーブンにて、100℃で1時間、200℃で1時間、300℃で1時間、加熱処理をして熱イミド化せしめることにより、多分岐ポリイミド−コロイダルシリカハイブリッド膜(試料1、シリカ(SiO2 )含有量:10重量%)を得た。かかるハイブリッド膜について、光透過率、ガラス転移温度(Tg )、熱分解温度(5%重量減少温度:Td 5)、引張強度、引張弾性率及び破断伸びを測定した。その結果を、下記表1に示す。
−試料2、3の作製及び物性測定−
DMAc分散コロイダルシリカ溶液の使用量を変えた以外は、試料1と同様にして、シリカ含有量の異なる2種類の多分岐ポリイミド−コロイダルシリカハイブリッド膜(試料2[シリカ含有量:20重量%]、試料3[シリカ含有量:30重量%])を得た。それらハイブリッド膜について、光透過率等を測定し、その結果を下記表1に示す。
−試料4の作製及び物性測定−
試料1と同様にして、先ず、多分岐ポリアミド酸のDMAc溶液を得た。かかる多分岐ポリアミド酸のDMAc溶液に、0.045mmolの3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTrMOS)を2mLのDMAcに混合させてなる溶液を、撹拌しながら滴下した。その後、更に1時間、撹拌することにより、シラン末端多分岐ポリアミド酸のDMAc溶液を得た。
かかるシラン末端多分岐ポリアミド酸のDMAc溶液に、所定量のDMAc分散コロイダルシリカ溶液を滴下し、3分間、激しく撹拌した。そのようにして得られた混合溶液をPETシート上にキャストし、これを85℃に加熱したオーブン内に3時間、静置して、乾燥させることにより、シラン末端多分岐ポリアミド酸−コロイダルシリカハイブリッド膜を得た。
そして、得られたシラン末端多分岐ポリアミド酸−コロイダルシリカハイブリッド膜を、試料1とと同様の手法及び条件にて熱イミド化せしめることにより、シラン末端多分岐ポリイミド−コロイダルシリカハイブリッド膜(試料4、APTrMOS含有量:1モル%、シリカ含有量:20重量%)を得た。かかるハイブリッド膜について、光透過率等を測定し、その結果を下記表1に示す。
−試料5の作製及び物性測定−
DMAc分散コロイダルシリカ溶液の使用量を変えた以外は、試料4と同様にして、多分岐ポリイミド−コロイダルシリカハイブリッド膜(試料5、APTrMOS含有量:1モル%、シリカ含有量:40重量%)を得た。得られたハイブリッド膜について、光透過率等を測定し、その結果を下記表1に示す。
−試料6〜試料11の作製及び物性測定−
多分岐ポリアミド酸の末端を変性させるAPTrMOS溶液として、0.39mmolのAPTrMOSを2mLのDMAcに混合させてなる溶液を用い、また、DMAc分散コロイダルシリカ溶液の使用量を変えた以外は試料4と同様にして、シリカ含有量の異なる6種類の多分岐ポリイミド−コロイダルシリカハイブリッド膜(試料6〜試料11、APTrMOS含有量:8モル%、シリカ含有量:10〜60重量%)を得た。それらの各々について、光透過率等を測定し、その結果を下記表1に示す。
−試料12の作製及び物性測定−
撹拌棒、窒素導入管及び塩化カルシウム管を備えた100mL三つ口フラスコを準備し、その内部を窒素で置換した後、4.2mmolのODPAを仕込み、10mLのDMAcを加えて、撹拌速度:180rpmにて撹拌しながらODPAを溶解した。この溶液に、芳香族ジアミンたる1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TPEQ)の3.85mmolと、DMAcの6mLとを撹拌しながら加え、窒素気流下にて3時間、撹拌した。更に、0.7mmolのAPTrMOSを2mLのDMAcに混合させてなる溶液を、撹拌しながら滴下し、その後、1時間、撹拌することにより、シラン末端直鎖ポリアミド酸のDMAc溶液を得た。
得られたシラン末端直鎖ポリアミド酸のDMAc溶液に、所定量のDMAc分散コロイダルシリカ溶液を、激しく撹拌しながら滴下した。そのようにして得られた混合溶液をPETシート上にキャストし、これを85℃に加熱したオーブン内に2時間、静置して、乾燥させることにより、シラン末端直鎖ポリアミド酸−コロイダルシリカハイブリッド膜を得た。
そして、得られたシラン末端直鎖ポリアミド酸−コロイダルシリカハイブリッド膜を、試料1と同様の手法及び条件にて熱イミド化せしめることにより、シラン末端直鎖ポリイミド−コロイダルシリカハイブリッド膜(試料12、APTrMOS含有量:8モル%、シリカ含有量:5重量%)を得た。このハイブリッド膜について、光透過率等を測定し、その結果を下記表1に示す。
−試料13〜試料15の作製及び物性測定−
DMAc分散コロイダルシリカ溶液の使用量を変えた以外は、試料12と同様にして、シリカ含有量の異なる3種類の直鎖ポリイミド−コロイダルシリカハイブリッド膜(試料13〜試料15、APTrMOS含有量:8モル%、シリカ含有量:10〜30重量%)を得た。得られたハイブリッド膜の各々について、光透過率等を測定し、その結果を下記表1に示す。なお、得られた各ハイブリッド膜は、何れも、白濁したものであることが肉眼で確認された。
Figure 2007246772
かかる表1の結果からも明らかなように、直鎖ポリイミド−コロイダルシリカハイブリッド膜(試料12〜試料15)においては、シリカの含有量を多くしたものは、光透過率が著しく低く、白濁したものであったのに対して、本発明の多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料たる多分岐ポリイミド−コロイダルシリカハイブリッド膜(試料1〜試料11)にあっては、シリカの含有量を多くしたものであっても、優れた光透過率を有し、透明性に優れていることが確認された。
−試料16の作製及び物性測定−
ODPAに代えて、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)を用いた以外は試料1と同様にして、多分岐ポリイミド−コロイダルシリカハイブリッド膜(試料16、シリカ含有量:10重量%)を得た。得られたハイブリッド膜について、光透過率等を測定し、その結果を下記表2に示す。
−試料17の作製及び物性測定−
ODPAに代えて、無水ピロメリット酸(PMDA)を用いた以外は試料2と同様にして、多分岐ポリイミド−コロイダルシリカハイブリッド膜(試料17、シリカ含有量:20重量%)を得た。得られたハイブリッド膜について、光透過率等を測定し、その結果を下記表2に示す。
−試料18の作製及び物性測定−
ODPAに代えてPMDAを用いると共に、DMAc分散コロイダルシリカ溶液の使用量を変えた以外は試料4と同様にして、多分岐ポリイミド−コロイダルシリカハイブリッド膜(試料18、APTrMOS含有量:1モル%、シリカ含有量:10重量%)を得た。得られたハイブリッド膜について、光透過率等を測定し、その結果を下記表2に示す。
−試料19の作製及び物性測定−
ODPAに代えてPMDAを用いると共に、多分岐ポリアミド酸の末端を変性させるAPTrMOS溶液として、0.23mmolのAPTrMOSを2mLのDMAcに混合せしめてなる溶液を用いた以外は試料4と同様にして、多分岐ポリイミド−コロイダルシリカハイブリッド膜(試料19、APTrMOS含有量:5モル%、シリカ含有量:20重量%)を得た。得られたハイブリッド膜について、光透過率等を測定し、その結果を下記表2に示す。
−試料20の作製及び物性測定−
ODPAに代えて6FDAを用いた以外は試料4と同様にして、多分岐ポリイミド−コロイダルシリカハイブリッド膜(試料20、APTrMOS含有量:1モル%、シリカ含有量:20重量%)を得た。得られたハイブリッド膜について、光透過率等を測定し、その結果を下記表2に示す。
−試料21の作製及び物性測定−
ODPAに代えて6FDAを用いると共に、多分岐ポリアミド酸の末端を変性させるAPTrMOS溶液として、0.23mmolのAPTrMOSを2mLのDMAcに混合せしめてなる溶液を用いた以外は試料5と同様にして、多分岐ポリイミド−コロイダルシリカハイブリッド膜(試料21、APTrMOS含有量:5モル%、シリカ含有量:40重量%)を得た。得られたハイブリッド膜について、光透過率等を測定し、その結果を下記表2に示す。
−試料22の作製及び物性測定−
ODPAに代えて、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA))を用いた以外は試料8と同様にして、多分岐ポリイミド−コロイダルシリカハイブリッド膜(試料22、APTrMOS含有量:8モル%、シリカ含有量:30重量%)を得た。得られたハイブリッド膜について、光透過率等を測定し、その結果を下記表2に示す。
Figure 2007246772
かかる表2の結果からも明らかなように、ODPA以外の芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて得られた多分岐ポリイミド−コロイダルシリカハイブリッド膜においても、シリカの含有量が多いものであっても、透明性に優れていることが確認されたのである。
実施例において作製した試料におけるSiO2 含有量と光透過率との関係を表わすグラフである。

Claims (10)

  1. 芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族トリアミンとを反応せしめて得られる多分岐ポリアミド酸と、無機酸化物微粒子とを含む混合物を用いて、該混合物中の該多分岐ポリアミド酸をイミド化せしめて多分岐ポリイミドとすることにより得られる多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料。
  2. 芳香族テトラカルボン酸二無水物と、芳香族トリアミンと、末端にアミノ基或いはカルボキシル基を有する、ケイ素、マグネシウム、アルミニウム、ジルコニウム又はチタンのアルコキシ化合物若しくはそれらの誘導体とを反応せしめて得られる、複数の末端のうちの少なくとも一部に水酸基又はアルコキシ基を有する多分岐ポリアミド酸と、無機酸化物微粒子とを含む混合物を用いて、該混合物中の該多分岐ポリアミド酸をイミド化せしめて多分岐ポリイミドとすることにより得られる多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料。
  3. 前記無機酸化物微粒子が、シリカ微粒子、マグネシア微粒子、アルミナ微粒子、ジルコニア微粒子及びチタニア微粒子のうちの少なくとも一種以上である請求項1又は請求項2に記載の多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料からなる気体分離膜。
  5. 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料からなる電子材料用絶縁膜。
  6. 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料からなる耐熱性接着剤。
  7. 前記多分岐ポリイミドが、その複数の末端に反応性残基を有し、そのうちの少なくとも一部が、アミン、カルボン酸、カルボン酸ハライド又はカルボン酸無水物との反応によって修飾されている請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料。
  8. 前記多分岐ポリイミドが、その複数の末端に反応性残基を有し、そのうちの少なくとも一部が、アミン、カルボン酸、カルボン酸ハライド又はカルボン酸無水物のフッ素含有化合物との反応によって修飾されている請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料。
  9. 前記多分岐ポリイミドが、その複数の末端に反応性残基を有し、そのうちの少なくとも一部が、アミン、カルボン酸、カルボン酸ハライド又はカルボン酸無水物のスルホン酸基含有化合物との反応によって修飾されている請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料。
  10. 請求項9に記載の多分岐ポリイミド系ハイブリッド材料からなる固体電解質膜。
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