JP2021155238A - トバモライト型ケイ酸カルシウム粒子およびその製造方法、ならびにそれを用いた油脂濾過剤 - Google Patents

トバモライト型ケイ酸カルシウム粒子およびその製造方法、ならびにそれを用いた油脂濾過剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 食用油などの油脂に対して優れた脱酸性および脱色性を発揮し得る、トバモライト型ケイ酸カルシウム粒子およびその製造方法、ならびにそれを用いた油脂濾過剤を提供すること。【解決手段】 本発明のトバモライト型カルシウム粒子は、粒子の全体重量を基準として、Al2O3換算で0.05重量%以上15重量%以下のアルミニウム成分を含有する。この粒子を構成するシリカ成分とカルシウム成分との重量比は、SiO2/CaO換算で1.0〜6.0であり、粒子のBET比表面積は280m2/g〜600m2/gである。本発明のケイ酸カルシウム粒子は油脂濾過剤の主成分として使用され得、例えば使用済みの食用油を再生することができる。【選択図】 図1

Description

本発明は、トバモライト型ケイ酸カルシウム粒子およびその製造方法、ならびにそれを用いた油脂濾過剤に関する。
食品加工工場や、スーパーマーケット、レストラン、居酒屋等の店舗または飲食店では、揚げ油として使用されている食用油は、製造効率を高めるために、例えば茶褐色に色相が変化(変色)するまで繰り返し使用されることがある。こうした食用油は、繰り返し行われた加熱を通じて酸化して遊離脂肪酸や過酸化物を生成し、さらに重合反応を通じてその粘度が上昇し、再使用に適さないものとなる。そして、変色した食用油を用いて調理された揚げ物は、油っこく、風味も悪く、食味が低下するだけでなく、癌や高血圧、肝機能障害などの健康障害を引き起こす原因にもなり得る。そのため、揚げ物用に使用される食用油は定期的に交換または廃棄される。
近年、このような使用済み食用油は再生用の油脂濾過剤を用いて濾過され、再利用可能な食用油として再使用が行われている。再生用の油脂濾過剤によって濾過された食用油は、使用前に近い色に戻り、遊離脂肪酸や過酸化物が低減するため、風味や食味も改善し、再び揚げ物油等で使用できる。その結果、新規な食用油の使用量を減じることができる点でコストダウンが可能でありかつ環境負荷の低減にも繋がる。このことから、使用済み食用油を再利用する動きが高まっている。
こうした再生用の油脂濾過剤としては、二酸化ケイ素(シリカ)、酸性白土、活性白土、ケイ酸マグネシウム、シリカ・マグネシア製剤、カルシウム系化合物(ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム等)、活性炭、ゼオライト、珪藻土等が用いられている(例えば、特許文献1〜5)。
ここで、従来の油脂濾過剤の中で最も使用されている活性白土は安価ではあるが、脱色力はケイ酸マグネシウム、シリカ・マグネシア製剤には劣っており、脱酸力が低く、劣化食用油の再生剤としては十分な性能を有しているとは言い難い。
他方、ケイ酸マグネシウムやシリカ・マグネシア製剤は優れた脱色力を有するが、脱酸力という点ではケイ酸カルシウム等のカルシウム系製剤に劣っており、使用済みの食用油に対して十分に酸価を低減することができない。さらに、カルシウム系油脂濾過剤は脱酸力には優れるものの、脂肪酸カルシウムの脱酸時に発生した脂肪酸カルシウムの吸着力が低いために濾過後に濁りを生じやすく、低温での使用に限られてきた。これは濾過のためには、使用済みの食用油の温度を一旦所定の値以下にまで低下させなければならず、効率性を低下させる一因である。また、ケイ酸カルシウム系油脂濾過剤は、吸着力の点ではシリカ、ケイ酸マグネシウム、シリカ・マグネシア製剤等に劣り、十分な脱色力を有しているとも言い難い。
特許3787923号公報 特許4831517号公報 特許4669212号公報 特許5804458号公報 特開2001−335793号公報
本発明は上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、食用油などの油脂に対して優れた脱酸性および脱色性を発揮し得る、トバモライト型ケイ酸カルシウム粒子およびその製造方法、ならびにそれを用いた油脂濾過剤を提供することにある。
本発明は、トバモライト型ケイ酸カルシウム粒子であって、
該粒子の全体重量を基準としてAl換算で0.05重量%以上15重量%以下のアルミニウム成分を含有し、
該粒子を構成するシリカ成分とカルシウム成分との重量比がSiO/CaO換算で1.0〜6.0であり、そして
該粒子のBET比表面積が280m/g〜600m/gである、粒子である。
1つの実施形態では、本発明のトバモライト型ケイ酸カルシウム粒子は、上記粒子の全体重量を基準として酸化物換算で0.02重量%以上3.0重量%以下のアルカリ金属成分を含有する。
1つの実施形態では、上記粒子のCTAB吸着表面積は100m/g以上450m/g以下である。
本発明はまた、トバモライト型ケイ酸カルシウム粒子の製造方法であって、
(a)第一のシリカ材料、カルシウム材料および水を含有する反応液を調製する工程、
(b)該反応液に水酸化アルカリ金属塩および第二のシリカ材料を添加してスラリーを調製する工程、ならびに
(c)該スラリーを水熱処理する工程、
を含み、
該第一のシリカ材料および該第二のシリカ材料の少なくとも一方がアルミニウム成分を含有し、そして該スラリーに含まれるシリカ成分とカルシウム成分との重量比がSiO/CaO換算で1.0〜6.0である、方法である。
1つの実施形態では、上記第一のシリカ材料は全体重量を基準としてAl換算で0.03重量%〜15重量%の上記アルミニウム成分を含有する。
1つの実施形態では、上記第二のシリカ材料は全体重量を基準としてAl換算で0.03重量%〜15重量%の上記アルミニウム成分を含有する。
1つの実施形態では、上記工程(b)において上記スラリーがpH10以上で調製される。
1つの実施形態では、上記工程(c)の水熱処理は125℃〜240℃の温度で行われる。
本発明はまた、上記トバモライト型ケイ酸カルシウム粒子を含有する、油脂濾過剤である。
本発明はまた、油脂の再生方法であって、原料油脂に上記油脂濾過剤を接触させる工程を含む、方法である。
1つの実施形態では、上記原料油脂は使用済みの食用油脂である。
本発明によれば、優れた脱酸性および脱色性を提供することにより、たとえ劣化した油脂であっても再使用に適した良質な油脂に再生することができる。このため、例えば食用油の再生が可能となり、揚げ物の調理に使用される食用油の定期的な交換または廃棄の時期を遅らせることができる。本発明のトバモライト型ケイ酸カルシウム粒子は、活性白土やシリカ・マグネシア製の油脂濾過剤に匹敵する新規な油脂濾過剤の主成分として有用である。
実施例1で得られたケイ酸カルシウム粒子の走査型電子顕微鏡写真であって、(a)は5000倍に拡大した当該ケイ酸カルシウム粒子の写真であり、(b)は10000倍に拡大した当該計算カルシウム粒子の写真である。
以下、本発明について詳述する。
(トバモライト型ケイ酸カルシウム粒子)
一般に、シリカ(SiO)と酸化カルシウム(CaO)とを所定の圧力下で水熱処理(水熱反応)させることにより、ケイ酸カルシウム水和物を得ることができる。ケイ酸カルシウム水和物は、これを構成するCaO、SiO、HOの組成比の相違により様々な結晶型を有し得る。こうしたケイ酸カルシウムの結晶型には、例えば、ジャイロライト型、トバモライト型、ゾノトライト型等が挙げられる。
本発明のケイ酸カルシウム粒子はトバモライト型の結晶構造を有する。具体的には、本発明におけるケイ酸カルシウム粒子は、構成成分であるSiOとCaOとのモル比やこれを製造するために選択される後述の水熱処理の条件等に基づいて、繊維状結晶および/または網目状、針状結晶の凝集した構造を有する。この点で、本発明のケイ酸カルシウム粒子は、花弁状の結晶構造を有するジャイロライト型の粒子(結晶体)や針状結晶のゾノライト型の粒子(結晶体)とは明確に区別される。こうした構造の差異は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて容易に観察することができる。
本発明のトバモライト型ケイ酸カルシウム粒子は、上記層状構造におけるSiO層内のシリカ成分の一部がアルミニウム成分(例えばアルミニウム原子)に置き換わったトバモライト(アルミニウム含有トバモライト)である。本発明のケイ酸カルシウム粒子では、このアルミニウムによってSiO層が細密化され、粒子中の細孔容量が増大している。さらに、このアルミニウム含有トバモライト粒子は、その構造中の一部のシリカ成分の代わりにアルミニウム成分が存在することによる電荷不足を補うために、好ましくは後述のアルカリ金属イオンのような一価のイオン性成分が含まれている。この一価のイオン性成分がイオン交換を促すため、アルミニウム含有トバモライトは他のイオンを吸着し、ケイ酸カルシウムの他の結晶型よりも優れた吸着剤となり得る。
本発明のトバモライト型ケイ酸カルシウム粒子は、全体重量を基準としてAl換算で0.05重量%以上15重量%以下、好ましくは0.1重量%以上13重量%以下、より好ましくは0.15重量%以上12重量%以下のアルミニウム成分を含有する。アルミニウム成分の含有量が0.05重量%を下回ると、吸着力に優れたシリカ構造を有することができず、例えば油脂濾過剤としての使用する際の性能が低下する。アルミニウム成分の含有量が15重量%を上回った場合、アルミニウム含有トバモライト型のケイ酸カルシウム以外の結晶体を多く生じることにより、得られる粒子の純度が低下する。
ケイ酸カルシウム粒子におけるアルミニウム成分の含有量は、例えばサンプルとなるケイ酸カルシウム粒子を市販の蛍光X線分析装置を用いて、アルミニウムの含有量を測定し、これを酸化物(Al)であると仮定して換算することにより算出可能である。
また、本発明のトバモライト型ケイ酸カルシウム粒子では、当該粒子を構成するシリカ成分とカルシウム成分との重量比(Rw)は、SiO/CaO換算で1.0〜6.0であり、好ましくは1.2〜5.0であり、より好ましくは1.5〜4.0である。ケイ酸カルシウム粒子のRwが1.0を下回ると、ケイ酸カルシウム粒子において、吸着力に影響するシリカ成分の含有比率が低すぎて、油脂濾過剤として使用した際に十分な脱色力を発揮することができないだけでなく、脱酸により生じた脂肪酸カルシウムの吸着力も低下して濾過後の油脂に濁りを生じることがある。さらに、ケイ酸カルシウム粒子の表面が脂肪酸カルシウムで覆われ易くなり、脱酸力も併せて低下することがある。ケイ酸カルシウム粒子のRwが6.0を上回ると、ケイ酸カルシウム粒子内に含まれるカルシウム成分の割合が少なすぎて、吸着に有用な構造を有することができないことがある。具体的には粒子の表面に現れる細孔が小さくなりすぎて、油脂濾過剤として使用した際に生成された脂肪酸カルシウムが当該細孔を閉塞し易くなり、十分な脱色力を発揮できないだけでなく、脱酸力も低下することがある。
Rwは、例えばサンプルとなるケイ酸カルシウム粒子を市販の蛍光X線分析装置を用いて、シリカおよびカルシウムの含有量をそれぞれ測定し、これらがSiOまたはCaOであったと仮定して各々換算することにより算出可能である。
さらに本発明のトバモライト型ケイ酸カルシウム粒子では、当該粒子のBET比表面積(Sw)は280m/g〜600m/gであり、好ましくは300m/g〜500m/gであり、より好ましくは320m/g〜450m/gである。ケイ酸カルシウム粒子のSwが280m/gを下回ると、得られる粒子において、脱酸や脱色に有用な吸着表面積が少なくなり、例えば油脂濾過剤として十分な性能を発揮することができないことがある。ケイ酸カルシウム粒子のSwが600m/gを上回ると、当該粒子の表面に現れる細孔が小さくなりすぎて、脱酸の際に生成する脂肪酸カルシウムによって当該細孔が閉塞し易くなり、脱酸力および脱色力が低下することがある。
ケイ酸カルシウム粒子のBET比表面積(Sw)は、市販のBET比表面積測定装置を用いて測定される。具体的には、サンプルとなるケイ酸カルシウム粒子(所定量)を前処理として窒素ガス雰囲気下で180℃にて2時間加熱し、その後窒素およびヘリウムの混合ガス雰囲気下で200℃にて5分間加熱し、液体窒素の環境下で低温低湿物理吸着を行って、当該比表面積が測定される。
本発明のトバモライト型ケイ酸カルシウム粒子は、その構造中の一部のシリカ成分(4価のケイ素原子を含有)の代わりにアルミニウム成分(3価のアルミニウム原子を含有)が存在することに伴って不足する電荷を補うために、当該構造中にアルカリ金属成分(1価のアルカリ金属イオン)を含有することが好ましい。アルカリ金属成分の例としては、ナトリウムおよびカリウム、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。本発明のトバモライト型ケイ酸カルシウム粒子では、当該粒子の全体重量を基準として酸化物換算で好ましくは0.02重量%以上3.0重量%以下、より好ましくは0.05重量%以上2.0重量%以下、さらにより好ましくは0.10重量%以上1.5重量%以下の上記アルカリ金属成分を含有する。アルカリ金属成分の含有量が0.02重量%を下回ると、粒子内に存在するアルミニウム成分の含有量が低下して、アルミニウム含有トバモライト型の結晶型を保持することが困難となる場合がある。アルカリ金属成分の含有量が3.0重量%を上回ると、得られた粒子を油脂濾過剤として使用した場合、アルカリ金属石鹸が生成されやすくなり、濾過した油脂に濁りを生じ、風味が劣化する場合がある。
ケイ酸カルシウム粒子に含まれるアルカリ金属成分の量は、例えば以下のようにして測定される。
まず、室温で蒸留水にサンプルであるケイ酸カルシウム粒子を所定量添加し、撹拌した後、サンプル液が調製される。このサンプル液について電気伝導度が測定される。ここで、電気伝導度の測定値が200μs/cm以下であれば、硝酸または塩酸を添加してpH3以下とした後、濾過され、濾液が回収される。
あるいは、このサンプル液の電気伝導度が200μs/cm以上であれば、ケイ酸カルシウム粒子を蒸留水で水洗し、上記サンプル液の調製およびその電気伝導度の測定が繰り返される。最終的にサンプル液の電気伝導度が200μs/cm以下になった場合、硝酸または塩酸を添加してpH3以下とした後、濾過され、濾液が回収される。
このように作製した濾液について、市販の偏光ゼーマン原子吸光光度計を用い、フレーム法を適用することによりケイ酸カルシウム粒子に含まれるナトリウム、カリウム等のアルカリ金属成分をこれが酸化物であると仮定して換算することにより、アルカリ金属成分の合計値として算出することができる。
さらに本発明のトバモライト型ケイ酸カルシウム粒子では、当該粒子のCTAB吸着表面積(Cw)は好ましくは100m/g以上450m/g以下、より好ましくは120m/g以上430m/g以下、さらにより好ましくは150m/g以上400m/g以下である。CTAB(n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド)は陽イオン性の界面活性剤(逆性石鹸)であり、その吸着表面積(吸着量)の値が脱酸によって生じた脂肪酸カルシウムや食用油の酸化によって生じた褐色色素の吸着力を判断する指標となり得る。このため、ケイ酸カルシウム粒子のCwが100m/gを下回ると、脂肪酸の中和で生じた脂肪酸カルシウムや褐色色素等の吸着量も少なく、そのようなケイ酸カルシウム粒子は油脂濾過剤として使用しても十分な吸着力を発揮することができない場合がある。ケイ酸カルシウム粒子のCwが450m/gを上回ると、得られるケイ酸カルシウム粒子のSiO層が緻密化し、吸着した脂肪酸カルシウム塩によって細孔が閉塞し易くなる場合がある。
ケイ酸カルシウム粒子のCTAB吸着比表面積は、JIS K6430(ゴム用配合剤 シリカ試験法:2008年)に準じて測定される。具体的には、CTAB比表面積の測定は、以下のようにして測定される。
まず、ケイ酸カルシウム粒子がCTAB水溶液に添加され、当該ケイ酸カルシウム粒子の表面にCTABを吸着させた後、CTABを吸着したケイ酸カルシウム粒子が遠心分離機等の分離手段を用いてCTAB水溶液と分離される。次いで、ケイ酸カルシウム粒子を分離したCTAB水溶液中に残存するCTAB量をエアロゾルOT(スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム)溶液で滴定して定量することにより、ケイ酸カルシウム粒子に吸着したCTAB量を算出することができる。その後、CTAB1分子あたりの吸着断面積を0.35nmとして、ケイ酸カルシウム粒子のCTAB吸着比表面積を算出することができる。
ケイ酸カルシウム粒子の上記BET比表面積では、上記のように窒素分子(断面積約0.16nm)の吸着量に基づいて算出される。しかし、BET比表面積では、油脂中に含まれる脂肪酸塩や色素等を吸着するには小さすぎるような細孔に現れる表面積まで含むため、実際に油脂中に含まれる脂肪酸塩や色素等が吸着するために有効な表面積とは必ずしも一致するとはいえない。そのため、界面活性剤であるCTAB分子(断面積約0.35nm)を油脂中の脂肪酸塩や色素等に見立て、その吸着量を測定することにより、油脂濾過剤の脂肪酸塩や色素等の吸着量の指標とすることができる。
そのため、特定のケイ酸カルシウム粒子について、たとえそのBET比表面積の値が高かったとしても、CTAB比表面積の値が低ければ、脂肪酸塩、色素等の吸着に適した細孔径を有しているとは言えないことがわかる。これにより、ケイ酸カルシウム粒子のCTAB比表面積の値から、当該ケイ酸カルシウム粒子が有する脱酸力および脱色力の有無やその程度を見極めることができる。
(トバモライト型ケイ酸カルシウム粒子の製造方法)
上記トバモライト型ケイ酸カルシウム粒子は、例えば以下のようにして製造される。
本発明の製造方法では、まず、第一のシリカ材料、カルシウム材料および水を含有する反応液が調製される。
第一のシリカ材料はシリカベースの成分を主成分として含有する。第一のシリカ材料に含まれるシリカベースの成分としては、必ずしも限定されないが、例えばケイ酸ナトリウム、ケイ砂、石英、および二酸化珪素、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
第一のシリカ材料はまた、上記シリカベースの成分以外にアルミニウム成分を含有していてもよい。アルミニウム成分としては、例えばシリカの結晶構造中のケイ素原子がアルミニウム原子に置換された形態もの、およびアルミナ(Al)のような独立したアルミニウム化合物の形態のもの、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
第一のシリカ材料に含有され得るアルミニウム成分の量は、全体重量を基準としてAl換算で好ましくは0.03重量%〜15重量%、より好ましくは0.1重量%〜12重量%である。第一のシリカ材料が上記範囲内のアルミニウム成分を含有することにより、得られるケイ酸カルシウム粒子は、例えば油脂濾過剤の主成分として優れた吸着力を提供し得る。
第一のシリカ材料におけるアルミニウム成分の含有量は、例えばサンプルとなる第一のシリカ材料を市販の蛍光X線分析装置を用いて、アルミニウムの含有量を測定し、これを酸化物(Al)であると仮定して換算することにより算出可能である。
カルシウム材料は、カルシウムベースの成分を主成分として含有し、ケイ酸カルシウムの合成に一般的に使用されるものである。カルシウムベースの成分としては、必ずしも限定されないが、例えば酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、および硫酸カルシウム、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
反応液を調製するために使用される水としては、必ずしも限定されないが、例えば、イオン交換水、RO水、蒸留水、および水道水、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。使用可能な水の量もまた特に限定されず、例えば上記第一のシリカ材料およびカルシウム材料がゲルとなって略均一に撹拌可能となる量が当業者によって適宜選択され得る。略均一に分散した状態で反応させることができるという理由から、当該水を用いて、好ましくは第一のシリカ材料およびカルシウム材料の合計の固形分含有量が15重量%以下となるような濃度に調製される。
反応液は、上記第一のシリカ材料、カルシウム材料および水を一緒に混合し、必要に応じて撹拌することにより調製され得る。そして、この反応液中で第一のシリカ材料とカルシウム材料とが反応する。反応中に前駆体の生成を避け、かつ均一な粒子を得るために、反応液の温度を、5℃〜60℃に保持することが好ましく、10℃〜40℃に保持することがより好ましい。
本発明の製造方法では、次いで、この反応液に水酸化アルカリ金属塩および第二のシリカ材料が添加されて、スラリーが調製される。
水酸化アルカリ金属塩の例としては、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。添加される水酸化アルカリ金属塩の量は必ずしも限定されないが、後述の水熱処理の際に第二のシリカ材料を反応液に速やかに溶解させることができるという理由から、調製されるスラリーのpHが好ましくは10以上、より好ましくは11以上となる量が選択され得る。
第二のシリカ材料はシリカベースの成分を主成分として含有する。第二のシリカ材料に含まれるシリカベースの成分としては、必ずしも限定されないが、例えばケイ酸ナトリウム、ケイ砂、石英、および二酸化珪素、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。本発明の製造方法において、第二のシリカ材料は上記第一のシリカ材料と同一のものであってもよく、異なるものであってもよい。
第二のシリカ材料はまた、上記シリカベースの成分以外にアルミニウム成分を含有していてもよい。第二のシリカ材料中に含まれていてもよいアルミニウム成分は、上記第一のシリカ材料に含まれていてもよいアルミニウム成分と同様である。
第二のシリカ材料に含有され得るアルミニウム成分の量は、Al換算で好ましくは0.03重量%〜15重量%、より好ましくは0.1重量%〜12重量%である。第二のシリカ材料が上記範囲内のアルミニウム成分を含有することにより、得られるケイ酸カルシウム粒子は、例えば油脂濾過剤の主成分として優れた吸着力を提供し得る。
第二のシリカ材料におけるアルミニウム成分の含有量は、例えばサンプルとなる第二のシリカ材料を市販の蛍光X線分析装置を用いて、アルミニウムの含有量を測定し、これを酸化物(Al)であると仮定して換算することにより算出可能である。
なお、本発明の製造方法では、上記第一のシリカ材料または第二のシリカ材料のいずれか、あるいは両方が上記アルミニウム成分を含有する。なお、第一のシリカ材料および第二のシリカ材料の両方が上記アルミニウム成分を含有する場合、当該アルミニウム成分の合計量は、Al換算で好ましくは0.03重量%〜15重量%、より好ましくは0.1重量%〜12重量%である。第一のシリカ材料および第二のシリカ材料が合計して上記範囲内のアルミニウム成分を含有することにより、得られるケイ酸カルシウム粒子は、例えば油脂濾過剤の主成分として優れた吸着力を提供し得る。
さらに、本発明の製造方法では、上記スラリーに含まれるシリカ成分とカルシウム成分との重量比(Rw)が、SiO/CaO換算で1.0〜6.0であり、好ましくは1.2〜5.0であり、より好ましくは1.5〜4.0である。ここで、本明細書中に用いられる用語「スラリーに含まれるシリカ成分」とは、当該スラリー中のすべてのシリカ(SiO)を対象とするものであり、これはスラリーの調製のために添加された上記第一のシリカ材料を構成するシリカ成分と、上記第二のシリカ材料を構成するシリカ成分との合計を含む。Rwが1.0を下回ると、得られるケイ酸カルシウム粒子において、吸着力に影響するシリカ成分の含有比率が低すぎて、油脂濾過剤として使用した際に十分な脱色力を発揮することができないだけでなく、脱酸により生じた脂肪酸カルシウムの吸着力も低下して濾過後の油脂に濁りを生じることがある。さらに、得られるケイ酸カルシウム粒子の表面が脂肪酸カルシウムで覆われ易くなり、脱酸力も併せて低下することがある。Rwが6.0を上回ると、得られるケイ酸カルシウム粒子内に含まれるカルシウム成分の割合が少なすぎて、吸着に有用な構造を有することができないことがある。具体的には粒子の表面に現れる細孔が小さくなりすぎて、油脂濾過剤として使用した際に生成された脂肪酸カルシウムが当該細孔を閉塞し易くなり、十分な脱色力を発揮できないだけでなく、脱酸力も低下することがある。
Rwは、例えばサンプルとなるスラリーを市販の蛍光X線分析装置を用いて、シリカおよびカルシウムの含有量をそれぞれ測定し、これらがSiOまたはCaOであったと仮定して各々換算することにより算出可能である。
上記によって調製されるスラリーは、全体重量を基準として好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下の濃度の固形分含有量を有する。スラリーに含まれる固形分含有量が20重量%を上回ると、スラリー全体の粘度が高くなって、後述する水熱処理の際に十分な撹拌ができないことがある。その結果、得られるケイ酸カルシウム粒子は不揃いとなり、一定した品質を保持することが困難となる場合がある。
得られたスラリーは、その後水熱処理される。
水熱処理には、例えば、オートクレーブのような当該技術分野にて公知の水熱装置を用いられる。水熱処理に採用され得る温度(水熱温度)は、好ましくは125℃〜240℃であり、より好ましくは140℃〜240℃である。水熱温度が125℃を下回ると、十分に結晶成長が進まないことがある。水熱温度が240℃を上回ると、当該水熱温度に耐え得る水熱装置が非常に高額化して経済的に不利となることがある。
水熱処理に要する時間は、処理するスラリーの全体量、当該スラリーに含まれる固形分含有量や各構成成分の割合、上記水熱温度等の条件によって変動するため、必ずしも限定されず、当業者によって適切な時間が選択され得る。水熱処理に要する時間は、例えば3時間〜72時間である。
上記水熱処理によってケイ酸カルシウム粒子が生成される。この水熱処理の後、必要に応じて当該技術分野において公知の固液分離方法によって脱水が行われる。その後、周知の手段を用いて、水洗、乾燥、粉砕、分級等の操作が行われてもよい。
このようにして本発明のトバモライト型ケイ酸カルシウム粒子を製造することができる。
得られたトバモライト型ケイ酸カルシウム粒子は、繊維状結晶および/または針状網目状結晶の凝集体で構成される。このような凝集体は、花弁状の結晶体(ジャイロライト型結晶体)や針状の結晶体(ゾノライト型結晶体)とは明らかに相違する該表面を有し、当該相違は例えば走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて当業者が容易に観察かつ識別することができる。
本発明のトバモライト型ケイ酸カルシウム粒子はまた、粒子の表面に吸着力に優れたSiO層が形成されており、BET比表面積が大幅に増大している。これにより、このケイ酸カルシウム粒子を油脂濾過剤として用いた際、油脂の脱酸の際に発生する脂肪酸カルシウム塩がSiO層に吸着され易く、未吸着の脂肪酸カルシウムが共存することによる油脂の濁りを回避し得る。
さらに本発明のトバモライト型ケイ酸カルシウム粒子はで、上記表面に位置するSiO層が、例えば食用油の酸化によって生じるような褐色色素にも優れた吸着力を発揮するため、優れた脱色剤としても機能し得る。
本発明のトバモライト型ケイ酸カルシウム粒子は、例えば、油脂濾過剤、担持剤、賦形剤、流動化剤などを構成する主成分として使用され得る。
(油脂濾過剤および油脂の再生方法)
本発明の油脂濾過剤は、上記トバモライト型ケイ酸カルシウム粒子を含有する。
油脂濾過剤は、本発明の効果を阻害しない範囲において、トバモライト型ケイ酸カルシウム粒子以外の他の成分を含有していてもよい。このような他の成分の例としては、公知の濾過剤(例えば、酸性白土、活性白土、二酸化珪素、ケイ酸マグネシウム、活性炭、および珪藻土ならびにそれらの組み合わせ)が挙げられる。
本発明の油脂濾過剤における他の成分の含有量は必ずしも限定されず、本発明の効果を阻害しない範囲の量が当業者によって任意に選択され得る。例えば、本発明の油脂濾過剤にはトバモライト型ケイ酸カルシウム粒子100重量部に対して20重量部以下の上記他の成分が含有させていてもよい。
本発明の油脂濾過剤を用いて、油脂の再生は、例えば原料油脂に本発明の油脂濾過剤を接触させることにより行われる。
1つの実施形態では、原料油脂は、使用済みの油脂であり、好ましくは使用済みの食用油脂である。ここで、本明細書中で使用される用語「使用済みの食用油脂」とは、製油後に調理などの所定の目的のために使用されたことのある食物油脂を指して言い、劣化の有無または程度は特に限定されない。
あるいは、1つの実施形態では、原料油脂は未使用または製油途中(すなわち半製品)の油脂であり、好ましくは未使用または半製品の食用油脂である。
上記食用油脂の例としては大豆油、菜種油、オリーブ油、胡麻油、ひまわり油、コーン油、綿実油、落花生油、米油、およびアマニ油、ならびにそれらの組み合わせ等が挙げられる。
原料油脂と油脂濾過剤との接触は、特に限定されないが、例えば、原料油脂に本発明の油脂濾過剤を添加すること、表面の細孔が設けられた袋状の容器内に本発明の油脂濾過剤を充填し、これを濾材として原料油脂を通過させることが挙げられる。
なお、原料油脂は、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、さらにより好ましくは150℃以下の温度で油脂濾過剤と接触させられる。接触の際原料油脂の温度が200℃を超えると、油脂濾過剤に含まれ得る水分によって油脂の所望でない酸化を進めることがあるからである。
油脂の再生のために採用され得る、原料油脂に対する本発明の油脂濾過剤の使用量は、当該原料油脂100重量部に対して好ましくは0.1重量部〜10重量部であり、より好ましくは0.3重量部〜5重量部である。原料油脂100重量部に対して油脂濾過剤の使用量が0.1重量部を下回ると、油脂濾過剤に対して原料油脂の量が多すぎるため、濾過を効率的に行うことが難しい場合がある。原料油脂100重量部に対して油脂濾過剤の使用量が10重量部を上回ると、実質的な濾過効率に大きな変動はなく、むしろ多量の油脂濾過剤を使用するのみとなる場合がある。
本発明の油脂濾過剤は、原料油脂に対する脱酸力および脱色力に優れ、例えば150℃のような極めて高温の環境下であっても、例えば使用により劣化した原料油脂に対して高度な脱酸力を発揮できる。
このようにして、本発明の油脂濾過剤を用いて原料油脂から油脂の再生を行うことができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1〜22および比較例1〜6で得られたケイ酸カルシウム粒子または油脂濾過剤について以下の物性を測定した。
(ケイ酸カルシウム粒子のアルミニウム成分の含有量)
得られたケイ酸カルシウム粒子におけるアルミニウム成分の量について、蛍光X線分析装置(BRUKER社製 S8 Tiger)を用い、当該ケイ酸カルシウム粒子に含まれるアルミニウムの含有量を測定し、これをAlであると仮定して換算することにより算出した。
(水熱処理後のケイ酸カルシウム粒子のSiO/CaO重量比(Rw))
得られたケイ酸カルシウム粒子(水熱処理を通じて得られたケイ酸カルシウム粒子)のシリカ成分とカルシウム成分との重量比(SiO/CaO)(Rw)について、蛍光X線分析装置(BRUKER社製 S8 Tiger)を用い、当該ケイ酸カルシウム粒子に含まれるシリカおよびカルシウムの含有量をそれぞれ測定し、これらをSiOまたはCaOであると仮定して各々換算することにより算出した。
(ケイ酸カルシウム粒子のBET比表面積(Sw))
得られたケイ酸カルシウム粒子のBET比表面積(Sw)を以下のようにして測定した。ケイ酸カルシウム粒子(0.2〜0.3g)を測定用のガラス製サンプル管に入れ、前処理として窒素ガス雰囲気下で180℃にて2時間加熱し、その後窒素およびヘリウムの混合ガス雰囲気下で200℃にて5分間加熱し、液体窒素の環境下で低温低湿物理吸着を行った。このようにして処理されたケイ酸カルシウム粒子について、BET比表面積測定装置(Mountech社製Macsorb)を用い、そのBET比表面積(Sw)を測定した。
(ケイ酸カルシウム粒子のアルカリ金属成分の含有量)
室温で蒸留水1000mLに、得られたケイ酸カルシウム粒子50gを添加し、撹拌機で約30分間撹拌してサンプル液を調製した。このサンプル液について電気伝導度を測定した。ここで、得られた電気伝導度の測定値が500μs/cm以下であれば、サンプル液に硝酸または塩酸を添加してpH3以下に調節した後、濾過し、濾液を回収した。他方、このサンプル液の電気伝導度が500μs/cm以上であれば、ケイ酸カルシウム粒子を蒸留水で水洗し、上記サンプル液の調製およびその電気伝導度の測定を繰り返した。最終的にサンプル液の電気伝導度が200μs/cm以下になった後、サンプル液に硝酸または塩酸を添加してpH3以下に調節した後、濾過し、濾液を回収した。
このように作製した濾液について、偏光ゼーマン原子吸光光度計(株式会社日立製作所製ZA3300)を用い、フレーム法を適用することにより、ケイ酸カルシウム粒子に含まれるナトリウム、カリウム等のアルカリ金属成分をこれが酸化物であると仮定して換算することにより、アルカリ金属成分の合計値として算出した。
(ケイ酸カルシウム粒子のCTAB吸着比表面積(Cw))
得られたケイ酸カルシウム粒子のCTAB吸着比表面積を、JIS K6430(ゴム用配合剤 シリカ試験法:2008年)に準じて以下のようにして測定した。
まず、得られたケイ酸カルシウム粒子0.24gを、0.015mol/LのCTAB水溶液に添加し、当該ケイ酸カルシウム粒子の表面にCTABを吸着させた。次いで、CTABを吸着したケイ酸カルシウム粒子を遠心分離機(4000rpm,20分間)にかけ、CTAB水溶液から分離した。その後、ケイ酸カルシウム粒子を分離したCTAB水溶液中に残存するCTAB量をエアロゾルOT(スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム)溶液で滴定して定量することにより、ケイ酸カルシウム粒子に吸着したCTAB量を算出した。最終的に、CTAB1分子あたりの吸着断面積を0.35nmと仮定して、ケイ酸カルシウム粒子のCTAB吸着比表面積を算出した。
(油脂試験(1);脱酸率)
同一のサンプル油脂から小分けした熱劣化食用油(日清オイリオグループ株式会社製サラダ油)100gに対して、実施例または比較例で得られた油脂濾過剤2gを添加した後、80℃のオイルバス中で、振盪器にて130回/分の条件で15分間振盪して、劣化食用油の脱酸を行った。振盪後、これを直ちに濾紙(アドバンテック東洋株式会社製No.5C)にて濾過した。得られた濾液3gを精密に量り取り、ジエチルエーテル/エタノール混合溶液(容積比2:1)50mlに溶解させ、検液とした。この検液にフェノールフタレイン指示薬を数滴加え、0.1mol/Lのエタノール製水酸化カリウム溶液で30秒間紅色が持続するまで滴定し、下記式(I)にしたがって酸価を算出した。
Figure 2021155238
なお、このジエチルエーテル/エタノール混合溶液については、当該溶液に溶存する二酸化炭素を中和するために、使用前にフェノールフタレイン指示薬を添加し、紅色が30秒間持続するまで0.1mol/Lエタノール製水酸化カリウム溶液を加えたものを使用した。
このようにして得られた酸価の値を「脱酸後の食用油の酸価値」と呼ぶことにした。また、このようにして脱酸を行って得られた濾液を「脱酸後の食用油」と呼ぶことにした。
一方、油脂濾過剤を加えないことにより食用油の脱酸を行わなかったこと以外は、上記と同様にして振盪し、濾過し、滴定し、式(I)に従って酸価を算出した。このようにして得られた酸価の値を「脱酸前の食用油の酸価値」と呼ぶことにした。また、このようにして脱酸を行うことなく得られた濾液を「脱酸前の食用油」と呼ぶことにした。
次いで、上記「脱酸後の食用油の酸価値」および「脱酸前の食用油の酸価値」を用いて劣化食用油の脱酸率(%)を以下の式(II)を用いて算出した:
Figure 2021155238
(油脂試験(2);濁り)
上記油脂試験(1)において、実施例または比較例で得られた油脂濾過剤を添加し、振盪し、かつ濾過して得られた濾液について濁りの有無を目視で観察した。
(油脂試験(3);脱色率)
上記油脂試験(1)で得られた脱酸後の食用油と脱酸前の食用油との色差ΔEを、色差計(日本電色工業株式会社製側色色差計ZE−2000)を用いて測定し、これを実施例または比較例で得られた油脂濾過剤が有する脱色力の指標として、以下の式(III)を用いて脱色率(%)を算出した:
Figure 2021155238
(実施例1:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E1)の作製)
第一工程として蒸留水7190gを含む10Lのステンレス容器に、シリカ原料として、アルミニウム成分を当該シリカ材料の重量を基準としてAl換算で0.005重量%含有する4号ケイ酸ソーダ(富士化学株式会社製)612g(SiO換算:150g)と、消石灰198g(CaO換算:150g)をSiO/CaO重量比が1.0となるように撹拌しながら投入し、1時間撹拌して反応液を得た。次いで、第二工程として、この反応液に、シリカ原料として、アルミニウム成分を当該シリカ材料の重量を基準としてAl換算で0.74重量%含有するシリカ150gとアルカリ金属原料として水酸化カリウム20gとを添加してpHが12以上となるように調節し、さらに約1時間撹拌してスラリーを得た。
その後、第三工程として、このスラリーを10Lの反応装置(耐圧硝子工業株式会社製TAS−10)に仕込み、180℃で10時間水熱処理を行って、脱水、水洗、乾燥および粉砕を行うことにより、ケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た。
得られたケイ酸カルシウム粒子の走査型電子顕微鏡写真(5000倍および10000倍)を図1の(a)および(b)に示す。図1に示すように、本実施例で得られたケイ酸カルシウム粒子は、繊維状粒子の上にシリカ層が形成して凝集した結晶構造を有していることがわかる。
このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(E1)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E1)の各物性値を表1に示す。
(実施例2:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E2)の作製)
第二工程で添加したシリカの添加量を90gに変更したこと以外は実施例1と同様にしてケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た。このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(E2)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E2)の各物性値を表1に示す。
(実施例3:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E3)の作製)
第二工程で添加したシリカの添加量を240gに変更したこと以外は実施例1と同様にしてケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た。このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(E3)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E3)の各物性値を表1に示す。
(実施例4:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E4)の作製)
第二工程で添加したシリカの添加量を495gに変更したこと以外は実施例1と同様にしてケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た。このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(E4)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E4)の各物性値を表1に示す。
(実施例5:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E5)の作製)
第二工程で添加したシリカの添加量を675gに変更したこと以外は実施例1と同様にしてケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た。このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(E5)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E5)の各物性値を表1に示す。
(実施例6:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E6)の作製)
実施例1と同様にして第三工程の水熱処理まで行った後、得られた反応液に、pHが9になるまで硝酸を添加した。このようにpHを調節した反応液について、脱水、水洗、乾燥および粉砕を行うことにより、ケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た。このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(E6)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E6)の各物性値を表1に示す。
(実施例7:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E7)の作製)
第二工程におけるアルカリ金属原料として水酸化カリウムの代わりに水酸化ナトリウム20gを用いたこと以外は実施例1と同様にしてケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た。このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(E7)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E7)の各物性値を表1に示す。
(実施例8:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E8)の作製)
第三工程における水熱処理の温度を125℃に変更したこと以外は実施例1と同様にしてケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た。このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(E8)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E8)の各物性値を表1に示す。
(実施例9:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E9)の作製)
第三工程における水熱処理の温度を150℃に変更したこと以外は実施例1と同様にしてケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た。このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(E9)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E9)の各物性値を表1に示す。
(実施例10:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E10)の作製)
第三工程における水熱処理の温度を240℃に変更したこと以外は実施例1と同様にしてケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た。このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(E10)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E10)の各物性値を表1に示す。
(実施例11:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E11)の作製)
実施例1の第一工程の終了後、反応液を水洗かつ濾過し、濾液が1000μs/cm以下になるまでこれを繰り返した。このようにして得られた濾液を用いて第二工程を行い、かつ当該第二工程における水酸化カリウム添加後に調節されるpHを10.3に変更したこと以外は実施例1と同様にしてケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た。このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(E11)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E11)の各物性値を表1に示す。
(実施例12:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E12)の作製)
第二工程で添加されるシリカのアルミニウム含有量を7.8重量%に変更した以外は実施例1と同様にしてケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た。このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(E5)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E12)の各物性値を表1に示す。
(実施例13:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E13)の作製)
第一工程として蒸留水7107gを含む10Lのステンレス容器に、シリカ原料として、アルミニウム成分を当該シリカ材料の重量を基準としてAl換算で0.05重量%含有する4号ケイ酸ソーダ(富士化学株式会社製)735g(SiO換算:180g)と、消石灰159g(CaO換算:120g)をSiO/CaO重量比が1.5となるように撹拌しながら投入し、1時間撹拌して反応液を得た。次いで、第二工程として、この反応液に、シリカ原料として、アルミニウム成分を当該シリカ材料の重量を基準としてAl換算で0.75重量%含有するシリカ144gとアルカリ金属原料として水酸化カリウム20gとを添加してpHが12以上となるように調節し、さらに約1時間撹拌してスラリーを得た。
その後、第三工程として、このスラリーを10Lの反応装置(耐圧硝子工業株式会社製TAS−10)に仕込み、180℃で10時間水熱処理を行って、脱水、水洗、乾燥および粉砕を行うことにより、ケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た。
このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(E13)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E13)の各物性値を表1に示す。
(実施例14:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E14)の作製)
第二工程で添加したシリカの添加量を324gに変更したこと以外は実施例13と同様にしてケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た。このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(E14)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E14)の各物性値を表1に示す。
(実施例15:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E15)の作製)
第二工程で添加したシリカの添加量を540gに変更したこと以外は実施例13と同様にしてケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た。このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(E15)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E15)の各物性値を表1に示す。
(実施例16:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E16)の作製)
第二工程で添加したシリカのアルミニウム含有量を14.2重量%に変更したこと以外は実施例13と同様にしてケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た。このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(E16)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E16)の各物性値を表1に示す。
(実施例17:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E17)の作製)
第一工程として蒸留水6991gを含む10Lのステンレス容器に、シリカ原料として、アルミニウム成分を当該シリカ材料の重量を基準としてAl換算で0.05重量%含有する4号ケイ酸ソーダ(富士化学株式会社製)612g(SiO換算:150g)と、消石灰396g(CaO換算:300g)をSiO/CaO重量比が0.5となるように撹拌しながら投入し、1時間撹拌して反応液を得た。次いで、第二工程として、この反応液に、シリカ原料として、アルミニウム成分を当該シリカ材料の重量を基準としてAl換算で0.75重量%含有するシリカ150gとアルカリ金属原料として水酸化カリウム20gとを添加してpHが12以上となるように調節し、さらに約1時間撹拌してスラリーを得た。
その後、第三工程として、このスラリーを10Lの反応装置(耐圧硝子工業株式会社製TAS−10)に仕込み、180℃で10時間水熱処理を行って、脱水、水洗、乾燥および粉砕を行うことにより、ケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た。
このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(E17)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E17)の各物性値を表1に示す。
(実施例18:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E18)の作製)
第二工程で添加したシリカの添加量を225gに変更したこと以外は実施例15と同様にしてケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た。このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(E18)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E18)の各物性値を表1に示す。
(実施例19:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E19)の作製)
第二工程で添加したシリカの添加量を300gに変更したこと以外は実施例15と同様にしてケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た。このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(E19)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E19)の各物性値を表1に示す。
(実施例20:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E20)の作製)
第二工程で添加したシリカの添加量を450gに変更したこと以外は実施例15と同様にしてケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た。このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(E20)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E20)の各物性値を表1に示す。
(実施例21:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E21)の作製)
第二工程で添加したシリカの添加量を600gに変更したこと以外は実施例15と同様にしてケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た。このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(E21)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E21)の各物性値を表1に示す。
(実施例22:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E22)の作製)
実施例17と同様にして第三工程の水熱処理まで行った後、得られた反応液に、pHが9になるまで硝酸を添加した。このようにpHを調節した反応液について、脱水、水洗、乾燥および粉砕を行うことにより、ケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た。このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(E22)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(E22)の各物性値を表1に示す。
(比較例1:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(C1)の作製)
蒸留水7190gを含む10Lのステンレス容器に、シリカ原料として、アルミニウム成分を当該シリカ材料の重量を基準としてAl換算で0.05重量%含有する4号ケイ酸ソーダ(富士化学株式会社製)612g(SiO換算:150g)と、消石灰195g(CaO換算:150g)をSiO/CaO重量比が1.0となるように撹拌しながら投入し、1時間撹拌して反応液を得た。この反応液を10Lの反応装置(耐圧硝子工業株式会社製TAS−10)に仕込み、180℃で10時間水熱処理を行って、脱水、水洗、乾燥および粉砕を行うことにより、ケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た。
このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(C1)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(C1)の各物性値を表1に示す。
(比較例2:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(C2)の作製)
第一工程として蒸留水7190gを含む10Lのステンレス容器に、シリカ原料として、アルミニウム成分を当該シリカ材料の重量を基準としてAl換算で0.05重量%含有する4号ケイ酸ソーダ(富士化学株式会社製)612g(SiO換算:150g)と、消石灰198g(CaO換算:150g)をSiO/CaO重量比が1.0となるように撹拌しながら投入し、1時間撹拌して反応液を得た。次いで、第二工程として、この反応液に、シリカ原料として、アルミニウム成分を当該シリカ材料の重量を基準としてAl換算で0.75重量%含有するシリカ45gとアルカリ金属原料として水酸化カリウム20gとを添加してpHが12以上となるように調節し、さらに約1時間撹拌してスラリーを得た。
その後、第三工程として、このスラリーを10Lの反応装置(耐圧硝子工業株式会社製TAS−10)に仕込み、180℃で10時間水熱処理を行って、脱水、水洗、乾燥および粉砕を行うことにより、ケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た
このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(C2)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(C2)の各物性値を表1に示す。
(比較例3:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(C3)の作製)
第一工程として蒸留水6991gを含む10Lのステンレス容器に、シリカ原料として、アルミニウム成分を当該シリカ材料の重量を基準としてAl換算で0.05重量%含有する4号ケイ酸ソーダ(富士化学株式会社製)612g(SiO換算:150g)と、消石灰396g(CaO換算:300g)をSiO/CaO重量比が0.5となるように撹拌しながら投入し、1時間撹拌して反応液を得た。次いで、第二工程として、この反応液に、シリカ原料として、アルミニウム成分を当該シリカ材料の重量を基準としてAl換算で0.75重量%含有するシリカ90gとアルカリ金属原料として水酸化カリウム20gとを添加してpHが12以上となるように調節し、さらに約1時間撹拌してスラリーを得た。
その後、第三工程として、このスラリーを10Lの反応装置(耐圧硝子工業株式会社製TAS−10)に仕込み、180℃で10時間水熱処理を行って、脱水、水洗、乾燥および粉砕を行うことにより、ケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た
このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(C3)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(C3)の各物性値を表1に示す。
(比較例4:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(C4)の作製)
第一工程として蒸留水7107gを含む10Lのステンレス容器に、シリカ原料として、アルミニウム成分を当該シリカ材料の重量を基準としてAl換算で0.05重量%含有する4号ケイ酸ソーダ(富士化学株式会社製)735g(SiO換算:180g)と、消石灰159g(CaO換算:120g)をSiO/CaO重量比が1.5となるように撹拌しながら投入し、1時間撹拌して反応液を得た。次いで、第二工程として、この反応液に、シリカ原料として、アルミニウム成分を当該シリカ材料の重量を基準としてAl換算で0.75重量%含有するシリカ860gとアルカリ金属原料として水酸化カリウム20gとを添加してpHが12以上となるように調節し、さらに約1時間撹拌してスラリーを得た。
その後、第三工程として、このスラリーを10Lの反応装置(耐圧硝子工業株式会社製TAS−10)に仕込み、180℃で10時間水熱処理を行って、脱水、水洗、乾燥および粉砕を行うことにより、ケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た。
このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(C4)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(C4)の各物性値を表1に示す。
(比較例5:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(C5)の作製)
第一工程として蒸留水6490gを含む10Lのステンレス容器に、シリカ原料として、アルミニウム成分を当該シリカ材料の重量を基準としてAl換算で0.05重量%含有する4号ケイ酸ソーダ(富士化学株式会社製)727g(SiO換算:178g)と、消石灰784g(CaO換算:593g)をSiO/CaO重量比が0.3となるように撹拌しながら投入し、1時間撹拌して反応液を得た。次いで、第二工程として、この反応液に、シリカ原料として、アルミニウム成分を当該シリカ材料の重量を基準としてAl換算で0.75重量%含有するシリカ18gとアルカリ金属原料として水酸化カリウム20gとを添加してpHが12以上となるように調節し、さらに約1時間撹拌してスラリーを得た。
その後、第三工程として、このスラリーを10Lの反応装置(耐圧硝子工業株式会社製TAS−10)に仕込み、180℃で10時間水熱処理を行って、脱水、水洗、乾燥および粉砕を行うことにより、ケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た
このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(C5)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(C4)の各物性値を表1に示す。
(比較例6:ケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(C6)の作製)
第一工程として蒸留水7354gを含む10Lのステンレス容器に、シリカ原料として、アルミニウム成分を当該シリカ材料の重量を基準としてAl換算で0.05重量%含有する4号ケイ酸ソーダ(富士化学株式会社製)612g(SiO換算:150g)と、消石灰34g(CaO換算:26g)をSiO/CaO重量比が0.3となるように撹拌しながら投入し、1時間撹拌して反応液を得た。次いで、第二工程として、この反応液に、シリカ原料として、アルミニウム成分を当該シリカ材料の重量を基準としてAl換算で0.75重量%含有するシリカ18gとアルカリ金属原料として水酸化カリウム20gとを添加してpHが12以上となるように調節し、さらに約1時間撹拌してスラリーを得た。
その後、第三工程として、このスラリーを10Lの反応装置(耐圧硝子工業株式会社製TAS−10)に仕込み、180℃で10時間水熱処理を行って、脱水、水洗、乾燥および粉砕を行うことにより、ケイ酸カルシウム粒子の粉末を得た。
このケイ酸カルシウム粒子をそのまま油脂濾過剤(C6)として使用し、油脂試験(1)〜(3)の評価を行った。得られたケイ酸カルシウム粒子および油脂濾過剤(C6)の各物性値を表1に示す。
Figure 2021155238
表1に示すように、実施例1〜22で得られたケイ酸カルシウム粒子はいずれも、油脂濾過剤(E1)〜(E22)として使用すると、劣化食用油に対する脱酸率、濁りおよび脱色率のすべてにおいて、比較例1〜6で得られたケイ酸カルシウム粒子を用いた場合よりも良好であったことがわかる。
本発明によれば、例えば、食品加工の技術分野において有用である。

Claims (11)

  1. トバモライト型ケイ酸カルシウム粒子であって、
    該粒子の全体重量を基準としてAl換算で0.05重量%以上15重量%以下のアルミニウム成分を含有し、
    該粒子を構成するシリカ成分とカルシウム成分との重量比がSiO/CaO換算で1.0〜6.0であり、そして
    該粒子のBET比表面積が280m/g〜600m/gである、粒子。
  2. 前記粒子の全体重量を基準として酸化物換算で0.02重量%以上3.0重量%以下のアルカリ金属成分を含有する、請求項1に記載のトバモライト型ケイ酸カルシウム粒子。
  3. 前記粒子のCTAB吸着表面積が100m/g以上450m/g以下である、請求項1または2に記載のトバモライト型ケイ酸カルシウム粒子。
  4. トバモライト型ケイ酸カルシウム粒子の製造方法であって、
    (a)第一のシリカ材料、カルシウム材料および水を含有する反応液を調製する工程、
    (b)該反応液に水酸化アルカリ金属塩および第二のシリカ材料を添加してスラリーを調製する工程、ならびに
    (c)該スラリーを水熱処理する工程、
    を含み、
    該第一のシリカ材料および該第二のシリカ材料の少なくとも一方がアルミニウム成分を含有し、そして該スラリーに含まれるシリカ成分とカルシウム成分との重量比が、SiO/CaO換算で1.0〜6.0である、方法。
  5. 前記第一のシリカ材料が全体重量を基準としてAl換算で0.03重量%〜15重量%の前記アルミニウム成分を含有する、請求項4に記載の方法。
  6. 前記第二のシリカ材料が全体重量を基準としてAl換算で0.03重量%〜15重量%の前記アルミニウム成分を含有する、請求項4に記載の方法。
  7. 前記工程(b)において前記スラリーがpH10以上で調製される、請求項4から6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記工程(c)の水熱処理が125℃〜240℃の温度で行われる、請求項4から7のいずれかに記載の方法。
  9. 請求項1から3のいずれかに記載のトバモライト型ケイ酸カルシウム粒子を含有する、油脂濾過剤。
  10. 油脂の再生方法であって、原料油脂に請求項9に記載の油脂濾過剤を接触させる工程を含む、方法。
  11. 前記原料油脂が使用済みの食用油脂である、請求項10に記載の方法。
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