JP2021131236A - オージェ電子分光装置および分析方法 - Google Patents

オージェ電子分光装置および分析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】容易に、波形分離計算を行うことができるオージェ電子分光装置を提供する。【解決手段】オージェ電子分光装置100は、処理部を含み、処理部は、分析対象元素を含む被験試料を測定して得られた、実測オージェスペクトルを取得する処理と、互いに化学状態が異なる分析対象元素を含む複数の標準試料を測定して得られた、複数の標準オージェスペクトルを取得する処理と、複数の標準オージェスペクトルのそれぞれに対して、被験試料を測定したときの測定条件である被験試料測定条件および標準試料を測定したときの測定条件である標準試料測定条件に基づいて、標準試料測定条件の標準オージェスペクトルから被験試料測定条件の標準オージェスペクトルを算出する処理と、算出された複数の被験試料測定条件の標準オージェスペクトルを用いて、実測オージェスペクトルの波形分離計算を行う処理と、を行う。【選択図】図1

Description

本発明は、オージェ電子分光装置および分析方法に関する。
オージェ電子分光装置は、化学状態の分析を行うことができる。また、オージェ電子分光装置では、定量分析を行うことができる。
オージェ電子分光法による定量分析では、検出された全ての元素のピーク強度に対して、それぞれの元素の相対感度因子で割った値を規格化して得られる相対値を元素濃度とする手法が一般的に使用されている。
オージェスペクトルにおいて、各元素のピーク強度は、一般的に用いられているピーク面積ではなく、微分ピークの最大値と最小値の差(Peak-to-Valley)で表される。微分ピークの最大値と最小値の差は、元素濃度だけでなく、化学状態変化によるピーク形状の変化や、複数のピークが重畳した際の形状変化でも大きく変化してしまう。
そのため、特許文献1では、分析対象元素の微分オージェスペクトルを、互いに化学状態が異なる分析対象元素を含む複数の標準試料を測定して得られた、複数の標準オージェスペクトルを用いて波形分離計算を行う。この波形分離計算において、複数の標準オージェスペクトルに乗じられた各係数から、化学状態比だけでなく、定量値を求めることができる。
特開2008−20386号公報
特許文献1に開示された分析方法では、波形分離計算に用いられる標準オージェスペクトルとして、被験試料のオージェスペクトルと同一の測定条件で測定された標準試料のオージェスペクトルが用いられている。そのため、特許文献1に開示された分析方法では、被験試料の測定条件に合わせて、標準試料を被験試料と同一の測定条件で測定して、標準オージェスペクトルを準備しなければならなかった。
本発明に係るオージェ電子分光装置の一態様は、
オージェ電子分光法による測定を行う測定部と、
前記測定部で得られたオージェスペクトルの解析を行う処理部と、
を含み、
前記処理部は、
分析対象元素を含む被験試料を測定して得られた、実測オージェスペクトルを取得する処理と、
互いに化学状態が異なる前記分析対象元素を含む複数の標準試料を測定して得られた、複数の標準オージェスペクトルを取得する処理と、
複数の前記標準オージェスペクトルのそれぞれに対して、前記被験試料を測定したときの測定条件である被験試料測定条件および前記標準試料を測定したときの測定条件である標準試料測定条件に基づいて、前記標準試料測定条件の前記標準オージェスペクトルから
前記被験試料測定条件の前記標準オージェスペクトルを算出する処理と、
算出された複数の前記被験試料測定条件の前記標準オージェスペクトルを用いて、前記実測オージェスペクトルの波形分離計算を行う処理と、
を行う。
このようなオージェ電子分光装置では、処理部が標準試料測定条件の標準オージェスペクトルから被験試料測定条件の標準オージェスペクトルを算出するため、実測オージェスペクトルの測定条件と標準オージェスペクトルの測定条件が異なる場合でも、波形分離計算を行うことができる。
本発明に係る分析方法の一態様は、
分析対象元素を含む被験試料を測定して得られた、実測オージェスペクトルを取得する工程と、
互いに化学状態が異なる前記分析対象元素を含む複数の標準試料を測定して得られた、複数の標準オージェスペクトルを取得する工程と、
複数の前記標準オージェスペクトルのそれぞれに対して、前記被験試料を測定したときの測定条件である被験試料測定条件および前記標準試料を測定したときの測定条件である標準試料測定条件に基づいて、前記標準試料測定条件の前記標準オージェスペクトルから前記被験試料測定条件の前記標準オージェスペクトルを算出する工程と、
算出された複数の前記被験試料測定条件の前記標準オージェスペクトルを用いて、前記実測オージェスペクトルの波形分離計算を行う工程と、
を含む。
このような分析方法では、標準試料測定条件の標準オージェスペクトルから被験試料測定条件の標準オージェスペクトルを算出する工程を含むため、実測オージェスペクトルの測定条件と標準オージェスペクトルの測定条件が異なる場合でも、波形分離計算を行うことができる。
実施形態に係るオージェ電子分光装置の構成を示す図。 実施形態に係るオージェ電子分光装置の情報処理装置の構成を示す図。 赤錆試料を測定して得られたオージェスペクトルに対して波形分離計算を行った結果を示す表。 実施形態に係るオージェ電子分光装置の処理部の処理の一例を示すフローチャート。 被験試料の実測オージェスペクトルを示す図。 実測オージェスペクトル、Snの疑似標準オージェスペクトル、SnOの疑似標準オージェスペクトル、およびSnOの疑似標準オージェスペクトルを示すグラフ。 波形分離計算の結果を示すグラフ。 定量分析の結果を示す表。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. オージェ電子分光装置
まず、本発明の一実施形態に係るオージェ電子分光装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るオージェ電子分光装置100の構成を示す
図である。
オージェ電子分光装置100は、オージェ電子分光法による測定を行い、測定の結果得られたオージェスペクトルの解析を行う装置である。オージェ電子分光法とは、電子線等により励起されて試料から放出されるオージェ電子のエネルギーを測定することによって、元素分析を行う手法である。
オージェ電子分光装置100は、図1に示すように、測定部10と、情報処理装置20と、を含む。
測定部10は、オージェ電子分光法による測定を行う。測定部10は、電子源11と、光学系12と、試料ステージ13と、インプットレンズ14と、電子分光器15と、検出器16と、計数演算装置17と、を含む。
電子源11は、電子線を発生させる。電子源11は、例えば、陰極から放出された電子を陰極と陽極との間に印加された加速電圧によって加速させ、電子線を放出する電子銃である。
光学系12は、電子源11から放出された電子線を試料Sに照射する。光学系12は、集束レンズ12aと、対物レンズ12bと、偏向器12cと、を含む。
集束レンズ12aおよび対物レンズ12bは、電子源11から放出された電子線を集束させる。集束レンズ12aおよび対物レンズ12bによって電子源11から放出された電子線を集束させることで電子プローブを形成することができる。集束レンズ12aおよび不図示の絞りによって、試料Sに照射される電子プローブ内を流れる電流である照射電流を制御できる。
偏向器12cは、集束レンズ12aおよび対物レンズ12bによって集束された電子線を偏向させる。偏向器12cによって、電子線を試料S上の任意の位置に照射できる。また、偏向器12cによって、電子線を試料S上で走査することができる。
試料ステージ13は、試料Sを保持している。試料ステージ13は、試料Sを水平方向に移動させる水平方向移動機構、試料Sを高さ方向に移動させる高さ方向移動機構、および試料Sを傾斜させる傾斜機構を備えている。試料ステージ13によって、試料Sを位置決めすることができる。
インプットレンズ14は、試料Sから放出されたオージェ電子を取り込んで、電子分光器15に導く。例えば、インプットレンズ14によって電子を減速させることによってエネルギー分解能を可変にできる。インプットレンズ14において、電子を減速させるほど分解能は良くなるが、感度は低下する。
電子分光器15は、電子線が試料Sに照射されることによって試料Sから発生するオージェ電子を分光する。電子分光器15は、例えば、静電半球型アナライザーである。
電子分光器15は、内半球電極と、外半球電極と、を有している。電子分光器15では、内半球電極と外半球電極との間に電圧を印加することで、印加した電圧に応じたエネルギー範囲の電子を取り出すことができる。検出器16は、電子分光器15で分光された電子を検出する。
計数演算装置17は、検出器16で検出された電子をエネルギーごとに計数する。計数
演算装置17における単位時間に計数された電子の数は、強度に対応する。計数演算装置17における電子の計数結果から、オージェスペクトルを得ることができる。計数演算装置17における計数結果は、情報処理装置20に送られる。
図2は、情報処理装置20の構成を示す図である。情報処理装置20は、図2に示す測定部10で得られたオージェスペクトルの解析を行う。情報処理装置20は、処理部210と、操作部220と、表示部230と、記憶部240と、を含む。
操作部220は、ユーザーが操作情報を入力するためのものであり、入力された操作情報を処理部210に出力する。操作部220の機能は、キーボード、マウス、ボタン、タッチパネル、タッチパッドなどのハードウェアにより実現することができる。
表示部230は、処理部210によって生成された画像を表示する。表示部230の機能は、LCD(liquid crystal display)、操作部220としても機能するタッチパネルなどにより実現できる。
記憶部240は、処理部210の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラムや各種データを記憶している。また、記憶部240は、処理部210のワーク領域としても機能する。記憶部240の機能は、ハードディスク、RAM(Random Access Memory)などにより実現できる。
記憶部240には、標準オージェスペクトルのデータベースが記憶されている。標準オージェスペクトルは、化学状態およびその量が既知の標準試料を測定して得られたオージェスペクトルである。データベースには、分析対象元素ごとに、互いに化学状態が異なる分析対象元素を含む複数の標準試料を測定して得られた、複数の標準オージェスペクトルが登録されている。また、データベースでは、各標準オージェスペクトルに対して、当該標準オージェスペクトルを測定したときの測定条件が関連付けられて登録されている。
また、記憶部240には、測定部10での試料Sを測定して得られた、オージェスペクトルが記憶される。また、記憶部240には、測定部10で測定されたオージェスペクトルの測定条件の情報が記憶される。
処理部210の機能は、各種プロセッサ(CPU(Central Processing Unit)、DSP(digital signal processor)等)などのハードウェアで、プログラムを実行することにより実現できる。処理部210は、実測スペクトル取得部211と、標準スペクトル取得部212と、標準スペクトル補正部213と、波形分離計算部214と、解析部215と、を含む。
実測スペクトル取得部211は、実測オージェスペクトルを取得する。実測オージェスペクトルは、分析対象元素を含む被験試料を測定して得られたオージェスペクトルである。また、実測スペクトル取得部211は、被験試料の測定条件である被験試料測定条件を取得する。実測スペクトル取得部211は、記憶部240から解析対象となる実測オージェスペクトルを読み出すことで、実測オージェスペクトルを取得する。
標準スペクトル取得部212は、互いに化学状態の異なる分析対象元素を含む複数の標準試料を測定して得られた、複数の標準オージェスペクトルを取得する。標準スペクトル取得部212は、記憶部240に記憶されたデータベースから、分析対象元素についての複数の標準オージェスペクトルを読み出すことで、当該複数の標準オージェスペクトルを取得する。このとき、標準スペクトル取得部212は、記憶部240に記憶されたデータベースから、各標準試料の測定条件である標準試料測定条件の情報も取得する。
標準スペクトル補正部213は、標準スペクトル取得部212が取得した、複数の標準オージェスペクトルのそれぞれに対して、被験試料測定条件および標準試料測定条件に基づいて、標準試料測定条件の標準オージェスペクトルから、被験試料測定条件の標準オージェスペクトルである疑似標準オージェスペクトルを算出する。すなわち、実測オージェスペクトルとは異なる測定条件で得られた標準オージェスペクトルから、実測オージェスペクトルの測定条件と同一の測定条件で得られるべきオージェスペクトルを算出する。これにより、標準スペクトル取得部212が取得した複数の標準オージェスペクトルから、複数の疑似標準オージェスペクトルを得ることができる。
波形分離計算部214は、標準スペクトル補正部213で算出された複数の疑似標準オージェスペクトルを用いて、実測オージェスペクトルの波形分離計算を行う。波形分離計算では、複数の疑似標準オージェスペクトルの各々に係数を乗じた複数の加算スペクトルと、実測オージェスペクトルとの残差が最小を与えるときの係数を求める。なお、波形分離計算の詳細については、後述する。
解析部215は、波形分離計算部214における波形分離計算の結果に基づいて、分析対象元素の化学状態を解析する。例えば、解析部215は、波形分離計算で求められた複数の係数に基づいて、分析対象元素の化学状態ごとの存在比および原子濃度を求める。
2. 波形分離計算
次に、波形分離計算について説明する。なお、以下の説明に使用するオージェスペクトルは全て微分スペクトルである。これは、波形分離計算を行う場合に、バックグラウンドの影響を低減するためである。なお、バックグラウンドの影響を低減する方法として、他の方法も使用可能であり、必ずしも微分スペクトルを用いることが必須ではない。
また、以下、波形分離計算に用いる標準試料および被験試料からのオージェスペクトルは、全て同一の測定条件で測定されたデータとする。ここでは、波形分離計算はスペクトルの最小二乗法フィッティングを行っており、以下の行列式(1)を解くことを目的としている。
Figure 2021131236
波形分離に用いるスペクトルのエネルギー幅をn点に分割する。式(1)の左辺が被験試料からのスペクトルのy成分(オージェ電子強度)であり、右辺はそれに相当する標準試料からのスペクトル(S1〜Sm)のy成分の集合行列である。ここで示すa,a,…,aが各標準スペクトルの係数であり、bが定数ベクトルである。式(1)の左辺
から右辺を引いたものが残差εであり、式(2)に示すように、この残差が最小になる係数aと定数bを計算する。
Figure 2021131236
εは、必ず正の値となることが明らかなので、この式をa,a,…,aで偏微分し、その偏微分した値が0となる点が最小の残差である。よって、次式を満たすように方程式の解を求めれば、各標準試料からのスペクトルの係数aと定数bが求まる。
Figure 2021131236
これらの偏微分方程式を解いて、各標準スペクトルの係数a,a,…,aと定数bを求めることができる。ただし、条件としてa,a,…,aはすべて正の数であるという条件を付加して解を求める。以上のようにして、最小二乗法によるピーク分離を行う。
このようにして求められた各標準スペクトルの係数a,a,…,aは、被験試料における化学状態ごとの存在比に相当する。なお、実際に波形分離計算を行う際は、ピークシフト等を考慮して非負拘束条件付の最小二乗法を用いることが望ましい。
各標準スペクトルの係数a,a,…,aは、上述したように、各分子の存在比、すなわち、化学状態の存在比に相当する。また、各分子の存在比は、化学量論比から原子濃度に換算できる。そのため、上記の手法を用いてオージェスペクトルの波形分離計算を行うことで、定量分析が可能である。
波形分離計算の一例として、被験試料として赤錆試料を用いた場合について説明する。
赤錆試料を測定して得られた実測オージェスペクトルに対して、Feの標準オージェスペクトル、FeOの標準オージェスペクトル、およびFeの標準オージェスペクトルで波形分離計算を行った。なお、Feの標準オージェスペクトル、FeOの標準オージェスペクトル、およびFeの標準オージェスペクトルは、実測オージェスペクトルと同一の測定条件で得られたものである。
図3は、赤錆試料を測定して得られたオージェスペクトルに対して波形分離計算を行った結果を示す表である。
図3には、赤錆試料のオージェスペクトルに含まれていた各標準オージェスペクトルの絶対強度比と、当該絶対強度比から求められた原子濃度と、を示している。絶対強度比は、赤錆試料のオージェスペクトルに含まれていた各標準試料のオージェスペクトルの強度と、各標準試料の本来のオージェスペクトルの強度との絶対強度比である。図3に示す表では、Feの絶対強度比、FeOの絶対強度比、Feの絶対強度比を示している。
絶対強度比は、各分子の存在比、すなわち、化学状態の存在比に相当する。また、各分子の存在比は、化学量論比から原子濃度に換算できる。図3に示す表には、Feの絶対強度比、FeOの絶対強度比、Feの絶対強度比から求められた、Feの原子濃度、Fe2+の原子濃度、Fe3+の原子濃度、O2−の原子濃度が示されている。
絶対強度比は、上記の波形分離計算を行った結果として得られる各標準スペクトルの係数に対応する。したがって、上記の波形分離計算を行うことで、定量分析が可能である。
ここで、上記では、波形分離計算に用いる標準試料および被験試料からのオージェスペクトルは、同一の測定条件で測定されたデータとして説明したが、本実施形態では、波形分離計算に用いる標準試料からのオージェスペクトルとして、疑似標準オージェスペクトルを用いる。疑似標準オージェスペクトルを用いた場合でも、同一の測定条件の標準オージェスペクトルを用いた場合と同様に、波形分離計算を行うことができ、同様の結果を得ることができる。
疑似標準オージェスペクトルを用いることで、標準オージェスペクトルの測定条件と実測オージェスペクトルの測定条件が異なっていても波形分離計算が可能である。したがって、例えば、標準オージェスペクトルとして、実測オージェスペクトルを測定したオージェ電子分光装置とは別のオージェ電子分光装置で測定されたスペクトルを用いることも可能である。
3. 疑似標準オージェスペクトルの算出
次に、疑似標準オージェスペクトルを算出する手法について説明する。本実施形態では、複数の標準オージェスペクトルのそれぞれに対して、被験試料測定条件および標準試料測定条件に基づいて標準試料測定条件の標準オージェスペクトルから被験試料測定条件の標準オージェスペクトルを算出する。
オージェスペクトルを取得するための測定条件は、加速電圧の条件、照射電流の条件、電子線の滞在時間(Dwell time)の条件、試料の傾斜角度の条件、スペクトルの積算回数の条件、およびエネルギーステップの条件を含む。さらに、波形分離計算に微分スペクトルを用いる場合には、測定条件は、微分点数を含む。
3.1. 加速電圧
加速電圧は、オージェ電子分光装置において、電子を加速させるための電圧である。疑似標準オージェスペクトルを算出するときには、標準オージェスペクトルに加速電圧補正係数を乗じることで、実測オージェスペクトルとの加速電圧の違いに由来するピーク強度の違いを補正する。
加速電圧補正係数は、実測オージェスペクトルの加速電圧の条件と標準オージェスペクトルの加速電圧の条件に基づいて求めることができる。例えば、イオン化断面積の式(例えばGryzinskの式)より、加速電圧の違いによる分析対象元素のピーク強度の違いを求め、加速電圧補正係数を求める。
3.2. 照射電流
照射電流は、試料に照射される電子プローブ内を流れる電流量である。疑似標準オージェスペクトルを算出するときには、標準オージェスペクトルに照射電流補正係数を乗じることで、実測オージェスペクトルとの照射電流の違いに由来するピーク強度の違いを補正する。
照射電流補正係数は、実測オージェスペクトルの照射電流の条件と標準オージェスペクトルの照射電流の条件に基づいて求めることができる。オージェスペクトルのピーク強度は照射電流量に比例するため、実測オージェスペクトルの照射電流量と標準オージェスペクトルの照射電流量とを比較することで、照射電流補正係数を求めることができる。
3.3. 電子線の滞在時間
電子線の滞在時間(Dwell time)は、1つの測定領域に電子線が滞在する時間である。疑似標準オージェスペクトルを算出するときには、標準オージェスペクトルに滞在時間補正係数を乗じることで、実測オージェスペクトルとの滞在時間の違いに由来するピーク強度の違いを補正する。
滞在時間補正係数は、実測オージェスペクトルの滞在時間の条件と標準オージェスペクトルの滞在時間の条件に基づいて求めることができる。オージェスペクトルのピーク強度は、電子線の滞在時間に比例するため、実測オージェスペクトルの滞在時間と標準オージェスペクトルの滞在時間とを比較することで、滞在時間補正係数を求めることができる。
3.4. 試料の傾斜角度
試料の傾斜角度は、試料ステージの傾斜角度である。疑似標準オージェスペクトルを算出するときには、標準オージェスペクトルに試料傾斜角度補正係数を乗じることで、実測オージェスペクトルとの試料の傾斜角度の違いに由来するピーク強度の違いを補正する。
試料傾斜角度補正係数は、実測オージェスペクトルの試料の傾斜角度の条件と標準オージェスペクトルの試料の傾斜角度の条件に基づいて求めることができる。例えば、電子線の入射角度と検出器との角度ΦがΦ=60度の場合、試料の傾斜角度が0度の時の検出量をIとし、試料の傾斜角度がθの時の検出量をIθとすると、傾斜角度が0度のときと試料の傾斜角度がθのときの強度比Iθ/Iは、次式で表される。
Figure 2021131236
上記式を用いることで、試料傾斜角度補正係数を求めることができる。
3.5. 積算回数
積算回数は、スペクトルを積算した回数である。疑似標準オージェスペクトルを算出するときには、標準オージェスペクトルに積算回数補正係数を乗じることで、実測オージェスペクトルとの積算回数の違いに由来するピーク強度の違いを補正する。
積算回数補正係数は、実測オージェスペクトルの積算回数の条件と標準オージェスペクトルの積算回数の条件に基づいて求めることができる。オージェスペクトルのピーク強度は、積算回数に比例するため、実測オージェスペクトルの積算回数と標準オージェスペクトルの積算回数とを比較することで、積算回数補正係数を求めることができる。
3.6. 測定エネルギーステップ
測定エネルギーステップは、オージェスペクトルを測定間隔であり、オージェスペクトルのエネルギー軸の間隔である。測定エネルギーステップの補正は、まず、実測オージェスペクトルの測定エネルギーステップと標準オージェスペクトルの測定エネルギーステップの違いを求める。エネルギーステップに違いがある場合、線形補間などを用いて、標準オージェスペクトルの測定エネルギーステップを、実測オージェスペクトルの測定エネルギーステップに一致させる。
3.7. 微分点数
オージェスペクトルをSavitzky Golay法などを用いて微分して微分オージェスペクトルを得る場合、微分点数が異なると平滑化の程度が異なって、ピーク強度に違いが生じる。そのため、標準オージェスペクトルを微分する時には、実測オージェスペクトルを微分したときの微分点数と同じ微分点数で、微分を行う。なお、標準オージェスペクトルを微分する前に、上述した測定エネルギーステップの補正を行って、実測オージェスペクトルと標準オージェスペクトルの測定エネルギーステップを一致させておく。
微分点数の補正を行う場合、データベースに登録される標準オージェスペクトルは、微分スペクトルではなく、微分する前のスペクトル、すなわち、バックグラウンドを除去する前のスペクトルである。
3.8. 補正方法
標準オージェスペクトルを補正して疑似標準オージェスペクトルを得る場合、まず、「3.6. 測定エネルギーステップ」に記載したように、標準オージェスペクトルの測定エネルギーステップを実測オージェスペクトルの測定エネルギーステップと一致させる。次に、「3.7. 微分点数」に記載したように、実測オージェスペクトルを微分したときの微分点数と同じ微分点数で、標準オージェスペクトルを微分して、微分標準オージェスペクトルを求める。このようにして求めた微分標準オージェスペクトルに、加速電圧補正係数、照射電流補正係数、滞在時間補正係数、試料傾斜角度補正係数、および積算回数補正係数を乗じる。これにより、疑似標準オージェスペクトルを算出できる。
上記のように、疑似標準オージェスペクトルは、微分波形である。したがって、本実施形態では、標準オージェスペクトルの微分スペクトルに対して、疑似標準オージェスペクトルの微分スペクトルを用いて、波形分離計算を行うことができる。そのため、波形分離計算において、バックグラウンドの影響を低減できる。
なお、標準オージェスペクトルの測定条件と実測オージェスペクトルの測定条件が同じ場合、速電圧補正係数、照射電流補正係数、滞在時間補正係数、試料傾斜角度補正係数、および積算回数補正係数は1となり、測定エネルギーステップおよび微分点数の補正は行われない。すなわち、疑似標準オージェスペクトルと標準オージェスペクトルは一致する。
4. 処理
図4は、オージェ電子分光装置100の処理部210の処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、分析対象元素がSnの場合について説明する。
測定部10において、Snを含む被験試料を測定する。これにより、被験試料の実測オージェスペクトルが得られる。例えば、測定部10で被験試料の測定が行われると、測定部10から実測オージェスペクトルの情報が情報処理装置20に送られて、記憶部240に記憶される。また、測定部10の各部を制御する制御装置から、被験試料の測定条件で
ある被験試料測定条件が送られて、記憶部240に記憶される。
ユーザーが、操作部220を用いて、実測オージェスペクトルの解析を開始する指示を入力すると、実測スペクトル取得部211は、記憶部240から解析対象となる被験試料の実測オージェスペクトルを読み出して、実測オージェスペクトルを取得する(S10)。
実測スペクトル取得部211は、実測オージェスペクトルとともに、記憶部240から標準試料の測定条件である被験試料測定条件の情報も取得する。なお、実測スペクトル取得部211が、ユーザーが操作部220を介して入力した測定条件を被験試料測定条件として取得してもよい。
図5は、被験試料の実測オージェスペクトルMを示す図である。
実測スペクトル取得部211は、取得した実測オージェスペクトルMを表示部230に表示させる。
次に、標準スペクトル取得部212は、記憶部240に記憶されたデータベースから、互いに化学結合状態の異なる分析対象元素を含む複数の標準試料を測定して得られた、複数の標準オージェスペクトルを取得する(S12)。
また、標準スペクトル取得部212は、データベースから複数の標準オージェスペクトルのそれぞれについての測定条件である標準試料測定条件の情報も取得する。
具体的には、標準スペクトル取得部212は、Snの標準試料を測定して得られたSnの標準オージェスペクトル、SnOの標準試料を測定して得られたSnOの標準オージェスペクトル、SnOの標準試料を測定して得られたSnOの標準オージェスペクトルを取得する。さらに、標準スペクトル取得部212は、Snの標準試料の測定条件、SnOの標準試料の測定条件、およびSnOの標準試料の測定条件を取得する。
次に、標準スペクトル補正部213は、複数の標準オージェスペクトルのそれぞれに対して、被験試料測定条件および標準試料測定条件に基づいて標準試料測定条件の標準オージェスペクトルから被験試料測定条件の標準オージェスペクトル(疑似標準オージェスペクトル)を算出する(S16)。
具体的には、標準スペクトル補正部213は、被験試料の測定条件およびSnの標準試料の測定条件に基づいて、Snの標準オージェスペクトルから、Snの疑似標準オージェスペクトルを算出する。Snの疑似標準オージェスペクトルは、上述した「3. 疑似標準オージェスペクトルの算出」で説明した手法で算出できる。
標準スペクトル補正部213は、同様に、SnOの疑似標準オージェスペクトル、SnOの疑似標準オージェスペクトルを算出する。
図6は、実測オージェスペクトルM、Snの疑似標準オージェスペクトルSn、SnOの疑似標準オージェスペクトルSn(SnO)、およびSnOの疑似標準オージェスペクトルSn(SnO2)を示すグラフである。
標準スペクトル補正部213は、算出された、Snの疑似標準オージェスペクトルSn、SnOの疑似標準オージェスペクトルSn(SnO)、およびSnOの疑似標準オージェスペクトルSn(SnO2)を、表示部230に表示させる。
波形分離計算部214は、算出された複数の疑似標準オージェスペクトルを用いて、実測オージェスペクトルの波形分離計算を行う(S16)。
波形分離計算は、上述した「2. 波形分離計算」に記載された手法を用いて行われる。具体的には、波形分離計算部214は、Snの疑似標準オージェスペクトルSn、SnOの疑似標準オージェスペクトルSn(SnO)、およびSnOの疑似標準オージェスペクトルSn(SnO2)の各々に係数を乗じた複数の加算スペクトルと、実測オージェスペクトルMとの残差が最小を与えるときの各係数を求める。
図7は、波形分離計算の結果を示すグラフである。図7には、被験試料の実測オージェスペクトルM、波形分離の結果を示す関数Convolution、Snの疑似標準オージェスペクトルSn、SnOの疑似標準オージェスペクトルSn(SnO)、およびSnOの疑似標準オージェスペクトルSn(SnO2)を示している。なお、図7に示すSnの疑似標準オージェスペクトルSn、SnOの疑似標準オージェスペクトルSn(SnO)、およびSnOの疑似標準オージェスペクトルSn(SnO2)には、それぞれ係数を乗じてある。
解析部215は、波形分離計算を行うことで求められた各係数に基づいて、化学状態分析および定量分析を行う(S18)。
解析部215は、「2. 波形分離計算」で記載した手法を用いて、各係数から化学状態ごとの存在比および原子濃度を求める。
図8は、定量分析の結果を示す表である。解析部215は、波形分離計算した結果得られた、Snの疑似標準オージェスペクトルSn、SnOの疑似標準オージェスペクトルSn(SnO)、およびSnOの疑似標準オージェスペクトルSn(SnO2)のピーク強度比Mag.から、Snの原子濃度(Atomic%)、SnOの原子濃度(Atomic%)、SnOの原子濃度(Atomic%)を算出する。
解析部215は、図8に示す解析の結果を、表示部230に表示させる。そして、処理部210は、処理を終了する。
5. 作用効果
オージェ電子分光装置100は、測定部10で得られたオージェスペクトルの解析を行う処理部210を含み、処理部210は、分析対象元素を含む被験試料を測定して得られた、実測オージェスペクトルを取得する処理と、互いに化学状態が異なる分析対象元素を含む複数の標準試料を測定して得られた、複数の標準オージェスペクトルを取得する処理と、複数の標準オージェスペクトルのそれぞれに対して、被験試料測定条件および標準試料測定条件に基づいて標準試料測定条件の標準オージェスペクトルから被験試料測定条件の標準オージェスペクトルを算出する処理と、算出された複数の被験試料測定条件の標準オージェスペクトルを用いて、実測オージェスペクトルの波形分離計算を行う処理と、を行う。
このように、オージェ電子分光装置100では、処理部210が標準試料測定条件の標準オージェスペクトルから被験試料測定条件の標準オージェスペクトル、すなわち疑似標準オージェスペクトルを算出するため、実測オージェスペクトルの測定条件と標準オージェスペクトルの測定条件が異なる場合でも、波形分離計算を行うことができる。
オージェ電子分光装置100では、記憶部240には、複数の標準オージェスペクトル
のそれぞれについて、標準オージェスペクトルと標準試料測定条件が関連付けられて記憶されている。また、複数の標準オージェスペクトルを取得する処理では、記憶部240から複数の標準オージェスペクトル、および関連付けられた標準試料測定条件を読み出す。そのため、オージェ電子分光装置100では、容易に、波形分離計算を行うことができる。
オージェ電子分光装置100では、被験試料測定条件の標準オージェスペクトル、すなわち疑似標準オージェスペクトルを算出する処理において、被験試料測定条件および標準試料測定条件に基づいて、標準試料測定条件の標準オージェスペクトルのピークの強度を補正する。そのため、オージェ電子分光装置100では、実測オージェスペクトルの測定条件と標準オージェスペクトルの測定条件が異なる場合でも、波形分離計算を行うことができる。
オージェ電子分光装置100では、被験試料測定条件および標準試料測定条件は、加速電圧の条件、照射電流の条件、電子線の滞在時間の条件、試料の傾斜角度の条件、スペクトルの積算回数の条件、およびエネルギーステップの条件の少なくとも1つを含む。そのため、オージェ電子分光装置100では、実測オージェスペクトルと標準オージェスペクトルにおいて、これらの条件が異なる場合でも、波形分離計算を行うことができる。
オージェ電子分光装置100では、波形分離計算を行う処理において、複数の被験試料測定条件の標準オージェスペクトルの各々に係数を乗じた複数の加算スペクトルと、実測オージェスペクトルとの残差が最小を与えるときの前記係数を求める。また、処理部210は、波形分離計算を行うことで求められた複数の係数に基づいて、分析対象元素の化学状態ごとの存在比を求める。これにより、分析対象元素の化学状態が混在していても、分析対象元素の化学状態の割合を求めることができる。
本実施形態に係る分析方法は、分析対象元素を含む被験試料を測定して得られた、実測オージェスペクトルを取得する工程と、互いに化学状態が異なる分析対象元素を含む複数の標準試料を測定して得られた、複数の標準オージェスペクトルを取得する工程と、複数の標準オージェスペクトルのそれぞれに対して、被験試料測定条件および標準試料測定条件に基づいて標準試料測定条件の標準オージェスペクトルから被験試料測定条件の標準オージェスペクトルを算出する工程と、算出された複数の被験試料測定条件の標準オージェスペクトルを用いて、実測オージェスペクトルの波形分離計算を行う工程と、を含む。そのため、実測オージェスペクトルの測定条件と標準オージェスペクトルの測定条件が異なる場合でも、波形分離計算を行うことができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成を含む。実質的に同一の構成とは、例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成である。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…測定部、11…電子源、12…光学系、12a…集束レンズ、12b…対物レンズ、12c…偏向器、13…試料ステージ、14…インプットレンズ、15…電子分光器、16…検出器、17…計数演算装置、20…情報処理装置、100…オージェ電子分光装置、210…処理部、211…実測スペクトル取得部、212…標準スペクトル取得部、213…標準スペクトル補正部、214…波形分離計算部、215…解析部、220…操
作部、230…表示部、240…記憶部

Claims (8)

  1. オージェ電子分光法による測定を行う測定部と、
    前記測定部で得られたオージェスペクトルの解析を行う処理部と、
    を含み、
    前記処理部は、
    分析対象元素を含む被験試料を測定して得られた、実測オージェスペクトルを取得する処理と、
    互いに化学状態が異なる前記分析対象元素を含む複数の標準試料を測定して得られた、複数の標準オージェスペクトルを取得する処理と、
    複数の前記標準オージェスペクトルのそれぞれに対して、前記被験試料を測定したときの測定条件である被験試料測定条件および前記標準試料を測定したときの測定条件である標準試料測定条件に基づいて、前記標準試料測定条件の前記標準オージェスペクトルから前記被験試料測定条件の前記標準オージェスペクトルを算出する処理と、
    算出された複数の前記被験試料測定条件の前記標準オージェスペクトルを用いて、前記実測オージェスペクトルの波形分離計算を行う処理と、
    を行う、オージェ電子分光装置。
  2. 請求項1において、
    記憶部を含み、
    前記記憶部には、複数の前記標準オージェスペクトルのそれぞれについて、前記標準オージェスペクトルと前記標準試料測定条件が関連付けられて記憶されている、オージェ電子分光装置。
  3. 請求項2において、
    複数の前記標準オージェスペクトルを取得する処理では、前記記憶部から複数の前記標準オージェスペクトル、および関連付けられた前記標準試料測定条件を読み出す、オージェ電子分光装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、
    前記被験試料測定条件の前記標準オージェスペクトルを算出する処理では、
    前記被験試料測定条件および前記標準試料測定条件に基づいて、前記標準試料測定条件の前記標準オージェスペクトルのピークの強度を補正する、オージェ電子分光装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、
    前記被験試料測定条件および前記標準試料測定条件は、加速電圧の条件、照射電流の条件、電子線の滞在時間の条件、試料の傾斜角度の条件、スペクトルの積算回数の条件、およびエネルギーステップの条件の少なくとも1つを含む、オージェ電子分光装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、
    前記波形分離計算を行う処理では、
    複数の前記被験試料測定条件の前記標準オージェスペクトルの各々に係数を乗じた複数の加算スペクトルと、前記実測オージェスペクトルとの残差が最小を与えるときの各前記係数を求める、オージェ電子分光装置。
  7. 請求項6において、
    前記処理部は、
    前記波形分離計算を行うことで求められた各前記係数に基づいて、前記分析対象元素の化学状態ごとの存在比を求める処理を行う、オージェ電子分光装置。
  8. 分析対象元素を含む被験試料を測定して得られた、実測オージェスペクトルを取得する工程と、
    互いに化学状態が異なる前記分析対象元素を含む複数の標準試料を測定して得られた、複数の標準オージェスペクトルを取得する工程と、
    複数の前記標準オージェスペクトルのそれぞれに対して、前記被験試料を測定したときの測定条件である被験試料測定条件および前記標準試料を測定したときの測定条件である標準試料測定条件に基づいて、前記標準試料測定条件の前記標準オージェスペクトルから前記被験試料測定条件の前記標準オージェスペクトルを算出する工程と、
    算出された複数の前記被験試料測定条件の前記標準オージェスペクトルを用いて、前記実測オージェスペクトルの波形分離計算を行う工程と、
    を含む、分析方法。
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