JP2021106598A - 二重特異性抗体 - Google Patents
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Abstract
Description
(i)第1のCH1ドメイン(CH1)および第1のCLドメイン(CL)を含む第1のCHCLドメイン(CHCL)であって、第1のCH1および第1のCLは第1のCHCL界面で相互作用する、第1のCHCLドメイン(CHCL);
(ii)第2のCH1および第2のCLを含む第2のCHCLであって、第2のCH1および第2のCLは第2のCHCL界面で相互作用する、第2のCHCL;
を含むヘテロ二量体タンパク質であって、第1のCH1は第1のCH1中の少なくとも1つのCH1突然変異残基だけ第2のCH1と異なり;第1のCLは第1のCL中の少なくとも1つのCL突然変異残基だけ第2のCLと異なり;
その結果、第1のCHCLのCH1突然変異残基およびCL突然変異残基は、第2のCHCL上の対応する残基位置に優先して互いに相互作用し、第1のCH1および第1のCLの相互作用している突然変異残基は、それによって第1の相補的な残基セットを形成する、ヘテロ二量体タンパク質が提供されている。
E2.第2のCH1が、第2のCH1中の少なくとも1つのCH1突然変異残基だけ第1のCH1と異なり;第2のCLが、第2のCL中の少なくとも1つのCL突然変異残基だけ第1のCLと異なり;
その結果、第2のCHCLのCH1突然変異残基およびCL突然変異残基が、第1のCHCL上の対応する残基位置に優先して互いに相互作用し、第2のCH1および第2のCLの相互作用している突然変異残基が、それによって第2の相補的な残基セットを形成する、E1に記載のヘテロ二量体タンパク質。
E3.
(i)第1のCHCL界面で相互作用して第1のCHCLドメイン(CHCL)を形成する、第1のCH1ドメイン(CH1)および第1のCLドメイン(CL);
(ii)第2のCHCL界面で相互作用して第2のCHCLドメイン(CHCL)を形成する、第2のCH1ドメイン(CH1)および第2のCLドメイン(CL)
を含むヘテロ二量体タンパク質であって、第1のCH1は、第1のCH1中の少なくとも1つのCH1突然変異残基だけ第2のCH1と異なるように改変されており;
第1のCLは、第1のCL中の少なくとも1つのCL突然変異残基だけ第2のCLと異なるように改変されており;
その結果、第1のCHCLのCH1突然変異残基およびCL突然変異残基は、第2のCHCL上の対応する残基位置に優先して互いに相互作用し、第1のCH1および第1のCLの相互作用している突然変異残基は、それによって第1の相補的な残基セットを形成する、ヘテロ二量体タンパク質。
E4.第2のCH1が、第2のCH1中の少なくとも1つのCH1突然変異残基だけ第1のCH1と異なるように改変されており;第2のCLが、第2のCL中の少なくとも1つのCL突然変異残基だけ第1のCLと異なるように改変されており;その結果、第2のCHCLのCH1突然変異残基およびCL突然変異残基が、第1のCHCL上の対応する残基位置に対して互いに優先的に相互作用し、第2のCH1および第2のCLの相互作用している突然変異残基が、それによって第2の相補的な残基セットを形成する、E3に記載のヘテロ二量体タンパク質。
E5.第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、225Å2未満である、E1からE4のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E6.第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、220Å2未満である、E1からE5のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E7.第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、150Å2未満である、E1からE6のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E8.第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、100Å2未満である、E1からE7のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E9.第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、50Å2未満である、E1からE8のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E10.第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、20Å2未満である、E1からE9のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E11.第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、10Å2未満である、E1からE10のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E12.第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、5Å2未満である、E1からE11のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E12.第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、1Å2未満である、E1からE12のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E13.第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、225Å2未満である、E1からE12のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E14.第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、220Å2未満である、E1からE13のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E15.第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、150Å2未満である、E1からE14のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E16.第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、100Å2未満である、E1からE15のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E17.第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、50Å2未満である、E1からE16のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E18.第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、20Å2未満である、E1からE17のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E19.第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、10Å2未満である、E1からE18のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E20.第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、5Å2未満である、E1からE19のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E21.第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、1Å2未満である、E1からE20のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E21.第1または第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、約0Å2である、E1からE20のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E22.第1の相補的残基セットの突然変異残基が、第2の相補的残基セットの突然変異残基と異なる、E1からE21のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E23.第1のCHCLおよび第2のCHCLの形成が、第1のCH1および第2のCL、または第2のCH1および第1のCLから構成されるCHCLの形成に対して優先的に起こる、E1からE22のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E24.第1のCHCLおよび第2のCHCLの形成が、第1のCH1および第2のCL、または第2のCH1および第1のCLから構成されるCHCLの形成に対して、少なくとも約4倍優先的に起こる、E1からE23のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E25.第1のCH1が、第1の可変重鎖ドメイン(VH)に付着されており、第1のCLが、第1の可変軽鎖ドメイン(VL)に付着されており、第2のCH1が、第2のVHに付着されており、第2のCLが、第2のVLに付着されている、E1からE24のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E26.第1のCHCLおよび第2のCHCLの優先的な形成が、可変ドメインの相補的対合を利用しない、E1からE25のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E27.第1のCHCLおよび第2のCHCLの形成が、第1のCH1および第2のCL、または第2のCH1および第1のCLから構成されるCHCLの形成に対して、少なくとも約5倍優先的に起こる、E1からE26のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E28.第1のCHCLおよび第2のCHCLの形成が、第1のCH1および第2のCL、または第2のCH1および第1のCLから構成されるCHCLの形成に対して、少なくとも約6倍優先的に起こる、E1からE27のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E29.第1のCHCLおよび第2のCHCLの形成が、第1のCH1および第2のCL、または第2のCH1および第1のCLから構成されるCHCLの形成に対して、少なくとも約8倍優先的に起こる、E1からE28のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E30.第1のCHCLおよび第2のCHCLの形成が、第1のCH1および第2のCL、または第2のCH1および第1のCLから構成されるCHCLの形成に対して、少なくとも約10倍優先的に起こる、E1からE29のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E31.第1のCHCLおよび第2のCHCLの形成が、第1のCH1および第2のCL、または第2のCH1および第1のCLから構成されるCHCLの形成に対して、少なくとも約15倍優先的に起こる、E1からE30のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E32.第1のCHCLおよび第2のCHCLの形成が、第1のCH1および第2のCL、または第2のCH1および第1のCLから構成されるCHCLの形成に対して、少なくとも約20倍優先的に起こる、E1からE31のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E33.第1のCHCLおよび第2のCHCLの形成が、第1のCH1および第2のCL、または第2のCH1および第1のCLから構成されるCHCLの形成に対して、少なくとも約25倍優先的に起こる、E1からE32のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E34.第1のCHCLおよび第2のCHCLの形成が、第1のCH1および第2のCL、または第2のCH1および第1のCLから構成されるCHCLの形成に対して、少なくとも約30倍優先的に起こる、E1からE33のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E35.第1のCHCLおよび第2のCHCLの形成が、第1のCH1および第2のCL、または第2のCH1および第1のCLから構成されるCHCLの形成に対して、少なくとも約40倍優先的に起こる、E1からE34のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E36.第1のCHCLおよび第2のCHCLの形成が、第1のCH1および第2のCL、または第2のCH1および第1のCLから構成されるCHCLの形成に対して、少なくとも約50倍優先的に起こる、E1からE35のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E37.第1のCHCLおよび第2のCHCLの形成が、第1のCH1および第2のCL、または第2のCH1および第1のCLから構成されるCHCLの形成に対して、少なくとも約60倍優先的に起こる、E1からE36のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E38.第1のCHCLおよび第2のCHCLの形成が、第1のCH1および第2のCL、または第2のCH1および第1のCLから構成されるCHCLの形成に対して、少なくとも約80倍優先的に起こる、E1からE37のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E39.第1のCHCLおよび第2のCHCLの形成が、第1のCH1および第2のCL、または第2のCH1および第1のCLから構成されるCHCLの形成に対して、少なくとも約90倍優先的に起こる、E1からE38のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E40.第1のCHCLおよび第2のCHCLの形成が、第1のCH1および第2のCL、または第2のCH1および第1のCLから構成されるCHCLの形成に対して、少なくとも約100倍優先的に起こる、E1からE39のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E41.第1のCHCLおよび第2のCHCLの優先的な形成が、可変ドメイン中の任意の相補的対合の非存在下で起こる、E25からE39のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E42.一緒に組み合わされた第1のVH、第1のVL、第1のCH、および第1のCLが、第1のFabを形成し、一緒に組み合わされた第2のVH、第2のVL、第2のCH1、および第2のCLが、第2のFabを形成する、E25からE41のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E43.第1のFabおよび第2のFabの優先的な形成が、可変ドメインの相補的対合を利用しない、E42に記載のヘテロ二量体タンパク質。
E44.第1のFabおよび第2のFabの優先的な形成が、可変ドメイン中の任意の相補的対合の非存在下で起こる、E42からE43のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E44.第1のCHCLおよび第2のCHCLの優先的な形成が、相補的残基セットの相補的対合を利用する、E1からE43のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E45.CLドメインの少なくとも1つが、カッパドメインである、E1からE46のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E46.第1のCLおよび第2のCLの両方が、カッパドメインである、E1からE45のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E47.相補的残基セットが、一方のドメイン中に正または負に荷電した残基、および他方のドメイン中に極性残基、または逆に荷電した残基を含む、E1からE46のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E48.相補的残基セットの場所が、Kabat番号付けによる、CH1−124およびCL−176;(ii)CH1−188およびCL−178;(iii)CH1−143およびCL−178;(iv)CH1−143およびCL−131;(v)CH1−221およびCL−123;(vi)CH1−145およびCL−131;(vii)CH1−179およびCL−131;(viii)CH1−186およびCL−131;ならびに(ix)CH1−188およびCL−133からなる群から選択される、E1からE47のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E49.CH1位置の突然変異が、W、H、K、R、S、およびTからなる群から選択され、CL位置の突然変異が、S、M、D、およびEからなる群から選択される、E48に記載のヘテロ二量体タンパク質。
E50.CH1位置の突然変異が、EおよびDからなる群から選択され、CL位置の突然変異が、H、K、およびRからなる群から選択される、E49に記載のヘテロ二量体タンパク質。
E51.相補的残基セットが、CH1−143D、CH1−145S、CH1−186A、CH1−186E、CH1−188G、CH1−143S、CH1−190S、CH1−190I、CL−133S、CL−135I、CL−176G、CL−176M、およびCL−178G、CL−178Sからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異をさらに含む、E49からE50のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E52.第1および第2の相補的残基セットが、以下の群:CH1−124K、CL−176D、CH1−190S、CL−133S;(ii)CH1−124K、CL−176D、CL−133S;(iii)CH1−124E、CL−176K;(iv)CH1−124E、CL−176K、CH1−188G;(v)CH1−188E、CL−178K、CH1−143E;(vi)CH1−188K、CL−178D、CH1−143D;(vii)CH1−143K、CL−178D;(viii)CH1−143D、CL−178R;(ix)CH1−143K、CL−178D;(x)CH1−143D、CL−178K;(xi)CH1−143D、CL−178K、CL−176M;(xii)CH1−143E、CL−131R;(xiii)CH1−143R、CL−131E;(xiv)CH1−143R、CL−131E、CH1−186A;(xv)CH1−221D、CL−123K;(xvi)CH1−221D、CL−123K、CH1−190I、CL−135I;(xvii)CH1−145E、CL−131H;(xviii)CH1−143H、CH1−179D、CH1−186E、CL−131H;(xix)CH1−145E、CL−131H;(xx)CH1−186E、CL−131H、CH1−145S;(xxi)CH1−143S、CL−131D、CH1−188W、CL−133S、CL−178S;(xxii)CH1−143S、CH1−188W、CL−133M、CL−176G、CL−178G;(xxiii)CH1−143H、CH1−179D、CH1−186E、CL−131H、CH−190I、CL−135I、(xxiv)CH−186E、CL−131H、CH−145S;(xxv)CH1−143S、CL−131D、CH1−188W、CL−133S、CL−176C;(xxvi)CH1−143S、CH1−188W、CL−133M、CL−178G、CL−176G;(xxvii)CH1−143S、CH1−188W、CL−131Dの2つから選択される、E1からE51のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E53.第1のCH1と第1のCL、および/または第2のCH1と第2のCLとの間に改変されたジスルフィド結合を含む、E1からE52のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E54.改変されたジスルフィド結合が、以下の位置(i)CH1−122およびCL−123;(ii)CH1−139およびCL−116;ならびに(iii)CH1−174およびCL−176の1つまたは複数に位置している、E53に記載のヘテロ二量体タンパク質。
E55.野生型ジスルフィド結合が、第1のCHCLおよび/または第2のCHCL上で、CH1−C230およびCL−214の一方または両方を、Cを除く任意の残基に突然変異させることによって除去されている、E53からE54のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E56.第1および/または第2のCH1−C230、ならびに第1および/または第2のCL−C214が、Sに突然変異されている、E55に記載のヘテロ二量体タンパク質。
E57.第1のCHCLが、以下の群:(i)CH1−124K、CL−176D、CH1−190S、CL−133S;(ii)CH1−124K、CL−176D、CL−133S;(iii)CH1−124E、CL−176K、CL−133S;(iv)CH1−124E、CL−176K、CH1−188G、CL−133S;(v)CH1−188E、CL−178K、CH1−143E;(v)CH1−188K、CL−178D、CH1−143D;(vi)CH1−143K、CL−178D;(vii)CH1−143D、CL−178R;(viii)CH1−143K、CL−178D;(ix)CH1−143D、CL−178K;(x)CH1−143D、CL−178K、CL−176M;(xi)CH1−143E、CL−131R;(xii)CH1−143R、CL−131E;(xiii)CH1−143R、CL−131E、CH1−186A;(xiv)CH1−221D、CL−123K;(xv)CH1−221D、CL−123K、CH1−190I、CL−135I、CH1−174C、CH1−230S、CL−176C、CL−214S;(xvi)CH1−145E、CL−131H;(xvii)CH1−143H、CH1−179D、CH1−186E、CL−131H;(xviii)CH1−122C、CH1−145E、CH1−230S、CL−123C、CL−131H、CL−214S;(xix)CH1−186E、CL−131H、CH1−145S;(xx)CH1−143S、CL−131D、CH1−188W、CL−133S、CL−178S;(xxi)CH1−143S、CH1−188W、CL−133M、CL−176G、CL−178G;(xxii)CH1−143H、CH1−179D、CH1−186E、CL−131H、CH−190I、CL−135I、CH1−174C、CH1−230S、CL−176C、CL−214S;(xxiii)CH−186E、CL−131H、CH−145S、CH1−139C、CH1−230S、CL−116C、CL−214S;(xxiv)CH1−143S、CL−131D、CH1−188W、CL−133S、CL−178S、CH1−174C、CH1−230S、CL−176C、CL−214S;(xxv)CH1−143S、CH1−188W、CH1−122C、CH1−230S、CL−133M、CL−178G、CL−176G、CL−123C、CL−214S;(xxvi)CH1−143S、CH1−188W、CH1−122C、CH1−139C、CH1−174C、CH1−230S、CL−133S、CL−178S、CL−131D、CL−116C、CL−123C、CL−176C、CL−214Sの1つからの残基を含む、E1からE56のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E58.第2のCHCLが、群i〜xxviiの1つからの残基を含み、ただし、第1および第2のCHCLがともに、同じ群からの残基を含むことはない、E57に記載のヘテロ二量体タンパク質。
E59.第1のCH1が、第1のCH3ドメイン(CH3)に接続されている第1のCH2ドメイン(CH2)に接続されており、第2のCH1が、第2のCH3に接続されている第2のCH2に接続されている、E1からE58のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E60.第1のCH3および第2のCH3が、それぞれ第1のCH3突然変異残基および第2のCH3突然変異残基を含み、第1のCH3突然変異残基および第2のCH3突然変異残基が、互いに異なり、かつ互いに優先的に相互作用するように改変されており、それによってCH3ホモ二量体の形成より多くCH3ヘテロ二量体を形成する、E59に記載のヘテロ二量体タンパク質。
E61.第1のCH1が第1の可変重鎖ドメイン(VH)に付着されており、第1のCLが第1の可変軽鎖ドメイン(VL)に付着されており、第2のCH1が第2のVHに付着されており、第2のCLが第2のVLに付着されており、第1のVHがVH−Q39およびVH−Q105を含む、E1からE60のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E62.第1のCH1が、第1の可変重鎖ドメイン(VH)に付着されており、第1のCLが、第1の可変軽鎖ドメイン(VL)に付着されており、第2のCH1が、第2のVHに付着されており、第2のCLが、第2のVLに付着されており、第2のVHが、VH−Q39およびVH−Q105を含む、E1からE61のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E63.第1のCH1が、第1の可変重鎖ドメイン(VH)に付着されており、第1のCLが、第1の可変軽鎖ドメイン(VL)に付着されており、第2のCH1が、第2のVHに付着されており、第2のCLが、第2のVLに付着されており、第1のVLが、(i)VL−Q38;および(ii)VL−Q1、VL−S1、VL−D1、VL−E1、VL−A1、またはVL−N1の1つ;および(iii)VL−T42、VL−Q42、またはVL−K42の1つを含む、E1からE62のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E64.第1のCH1が第1の可変重鎖ドメイン(VH)に付着されており、第1のCLが第1の可変軽鎖ドメイン(VL)に付着されており、第2のCH1が第2のVHに付着されており、第2のCLが第2のVLに付着されており、第2のVLが、(i)VL−Q38;および(ii)VL−Q1、VL−S1、VL−D1、VL−E1、VL−A1、またはVL−N1の1つ;および(iii)VL−T42、VL−Q42、またはVL−K42の1つを含む、E1からE63のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E65.第1のCHCLが、CH1−124K、CL−176D、CH1−190S、およびCL−133Sを含む、E1からE64のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E66.第2のCHCLが、CH1−124E、CL−176K、CH1−188G、およびCL−133Sを含む、E1からE65のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E67.第1のCHCLが、CH1−124K、CL−176D、CH1−190S、およびCL−133Sを含み、第2のCHCLが、CH1−124E、CL−176K、CH1−188G、およびCL−133Sを含む、E1からE66のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E68.E1からE67のいずれか1つのようなヘテロ二量体タンパク質を含む二重特異性抗体。
E69.第1のCHCLが、CH1−124K、CL−176D、CH1−190S、およびCL−133Sを含む、E66に記載の二重特異性抗体。
E70.第2のCHCLが、CH1−124E、CL−176K、CH1−188G、およびCL−133Sを含む、E68からE69のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
E71.第1のCHCLが、CH1−124K、CL−176D、CH1−190S、およびCL−133Sを含み、第2のCHCLが、CH1−124E、CL−176K、CH1−188G、およびCL−133Sを含む、E68からE70のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
E72.E1からE65のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質、またはE68からE71のいずれか1つに記載の二重特性抗体をコードする核酸。
E73.E72に記載の核酸を含むベクター。
E74.E72に記載の核酸を含み、またはE71に記載のベクターを含む細胞。
E75.E1からE67のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質を作製する方法であって、(i)細胞株に1種または複数のベクターをコトランスフェクトして、第1のCHCLの第1のCH1、第1のCL、ならびに第2のCHCLの第2のCH1および第2のCLを発現させることと;(ii)1種または複数のベクターを発現させる、かつ第1のCHCLおよび第2のCHCLをアセンブルさせる条件下で細胞株を培養することと;(iii)細胞培養液からヘテロ二量体タンパク質を精製することとを含む、方法。
E76.細胞株に、第1のCH1、第1のCL、第2のCH1、および第2のCLを1:1:1:1の比で発現するベクターがコトランスフェクトされる、E75に記載の方法。
第2のCHCL中に第2の相補的残基セットをもたらすと、ドメインの誤対合のリスクがさらに減少する。このストラテジーは、異なるドメインの改変された突然変異同士間にほとんど重なりがない場合により有効であり得る。一部の態様では、第1のCHCLの第1の相補的残基セットは、第2のCHCLの第2の相補的残基セットの場所と比べて異なる位置に位置する。
非野生型ヒト残基(本明細書の相補的残基セットなど;以下を参照)をヒト患者への投与を意図した抗体中に導入する場合、ヒト免疫系が修飾された残基を外来と認識し、治療剤に対する抗体(抗薬物抗体またはADA応答、これは、より速いクリアランス、循環している治療剤の活性の低減、または両方をもたらし得る)を産生するリスクがある。ADAによって認識されるために、治療抗体の非ヒト残基は、ADAに接触可能でなければならない。ADAに接触可能な表面積を最小限にすると、ADAの治療抗体と相互作用する能力が低減されることが予期される。
一部の態様では、第1のCH1は、第1の可変重鎖ドメイン(VH)に付着されており、第1のCLは、第1の可変軽鎖ドメイン(VL)に付着されており、第2のCH1は、第2のVHに付着されており、第2のCLは、第2のVLに付着されている。組み合わせたとき、第1のVH、第1のVL、第1のCH1、および第1のCLは、第1のFabを形成する。組み合わせたとき、第2のVH、第2のVL、第2のCH1、および第2のCLは、第2のFabを形成する。
一部の態様では、相補的残基セットは、一方のドメイン中に正または負に荷電した残基、および他方のドメイン中に逆に荷電した残基を含む。一部の態様では、相補的残基セットは、一方のドメイン中に正に荷電した残基、および他方のドメイン中に負に荷電した残基を含む。一部の態様では、相補的残基セットは、一方のドメイン中に正または負に荷電した残基、および他方のドメイン中に極性残基、または逆に荷電した残基を含む。正に荷電した残基は、H、K、およびRからなる群から選択され得る。負に荷電した残基は、EおよびDからなる群から選択され得る。疑義を回避するために、負に荷電した残基は、正に荷電した残基に対して逆に荷電していると言われ、逆の場合も同様である。極性残基は、S、T、M、Q、N、W、およびYからなる群から選択され得る。極性残基は、S、T、M、Q、N、およびWからなる群から選択される場合がある。極性残基は、S、T、M、Q、N、およびYからなる群から選択される場合がある。極性残基は、S、T、M、W、およびYからなる群から選択される場合がある。極性残基は、S、T、M、W、およびYからなる群から選択される場合がある。極性残基は、S、T、M、およびWからなる群から選択される場合がある。極性残基は、S、M、W、およびYからなる群から選択される場合がある。極性残基は、S、M、およびWからなる群から選択される場合がある。極性残基は、SおよびTからなる群から選択される場合がある。一部の態様では、Mは、極性残基と見なされない。
一部の態様では、本発明は、第1のCH1と第1のCL、および/または第2のCH1と第2のCLの間に新規のジスルフィド結合をもたらす。新規のジスルフィド結合は、以下の位置(i)CH1−122およびCL−123;(ii)CH1−139およびCL−116;ならびに(iii)CH1−174およびCL−176の1つまたは複数に位置し得る。
一部の態様では、第1のCHCLおよび/または第2のCHCLは、以下の群:(i)CH1−124K、CL−176D、CH1−190S、CL−133S;(ii)CH1−124E、CL−176K、CH1−188G、CL−133S;(iii)CH1−124K、CL−176D、CL−133S;(iv)CH1−124E、CL−176K、CL−133S;(v)CH1−188E、CL−178K、CH1−143E;(vi)CH1−188K、CL−178D、CH1−143D;(vii)CH1−143K、CL−178D;(viii)CH1−143D、CL−178R;(ix)CH1−143K、CL−178D;(x)CH1−143D、CL−178K;(xi)CH1−143D、CL−178K、CL−176M;(xii)CH1−143E、CL−131R;(xiii)CH1−143R、CL−131E;(xiv)CH1−143R、CL−131E、CH1−186A;(xv)CH1−221D、CL−123K;(xvi)CH1−221K、CL−123K、CH1−190I、CL−135I、CH1−174C、CH1−230S、CL−176C、CL−214S;(xvii)CH1−145E、CL−131H;(xviii)CH1−143H、CH1−179D、CH1−186E、CL−131H;(xix)CH1−122C、CH1−145E、CH1−230S、CL−123C、CL−131H、CL−214S;(xx)CH1−186E、CL−131H、CH1−145S;(xxi)CH1−143S、CL−131D、CH1−188W、CL−133S、CL−178S;(xxii)CH1−143S、CH1−188W、CL−133M、CL−176G、CL−178G;(xxiii)CH1−143H、CH1−179D、CH1−186E、CL−131H、CH−190I、CL−135I、CH1−174C、CH1−230S、CL−176C、CL−214S;(xxiv)CH−186E、CL−131H、CH−145S、CH1−139C、CH1−230S、CL−116C、CL−214S;(xxv)CH1−143S、CL−131D、CH1−188W、CL−133S、CL−178S、CH1−174C、CH1−230S、CL−176C、CL−214S;(xxvi)CH1−221D、CL−123K、CH1−190I、CL−135I、CH1−174C、CH1−230S、CL−176C、CL−214S;(xxvii)CH1−143S、CH1−188W、CH1−122C、CH1−139C、CH1−174C、CH1−230S、CL−133S、CL−178S、CL−131D、CL−116C、CL−123C、CL−176C、CL−214Sの1つからの残基を含む。
一部の態様では、第1のCH1は、第1のCH2ドメイン(CH2)に接続されており、第2のCH1は、第2のCH2に接続されている。第1および第2のCH2は、それぞれ、互いに異なるように改変されている、それぞれ第1および第2のCH2突然変異残基を含み、互いに優先的に相互作用し、それによってCH2ホモ二量体の形成に対して優先的にCH2ヘテロ二量体を形成し得る。
一部の実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、1つまたは複数のIgAドメインを含み得る。一部の実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、1つまたは複数のIgDドメインを含み得る。一部の実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、1つまたは複数のIgEドメインを含み得る。一部の実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、1つまたは複数のIgGドメインを含み得る。一部の実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、1つまたは複数のIgMドメインを含み得る。
一部の実施形態では、異なる核酸分子が、本明細書に開示のヘテロ二量体タンパク質、例えば、二重特異性抗体の1つまたは複数の鎖または部分をコードする。他の実施形態では、同じ核酸分子が、本明細書に開示のヘテロ二量体タンパク質をコードする。
a)細胞株に、タンパク質の各Fab領域の各重鎖および各軽鎖を発現するベクターをコトランスフェクトするステップと;
b)タンパク質の各Fab領域の各重鎖および各軽鎖を発現させる、かつヘテロ多量体タンパク質をアセンブルするのを可能にする条件下で細胞株を培養するステップと;
c)細胞培養液からヘテロ多量体タンパク質を精製するステップとを含む。一部の実施形態では、細胞株に、各Fab領域の重鎖および軽鎖を1:1:1:1の比で発現するベクターがコトランスフェクトされる。
(i)細胞株に、第1のCHCLの第1のCH1、第1のCL、ならびに第2のCHCLの第2のCH1および第2のCLを発現する1種または複数のベクターをコトランスフェクトするステップと;
(ii)1種または複数のベクターを発現させる、かつ第1のCHCLおよび第2のCHCLをアセンブルするのを可能にする条件下で細胞株を培養するステップと;
(iii)細胞培養液からヘテロ多量体タンパク質を精製するステップとを含む。
本発明は、本発明のタンパク質のための様々な治療用途も提供する。一態様では、本発明のタンパク質は、第1のタンパク質(例えば、第1のヒト抗体可変ドメイン)をエフェクター抗原に結合することによって、かつ第2のタンパク質(例えば、第2のヒト抗体可変ドメイン)を標的抗原に結合することによって様々な疾患(例えば、がん、自己免疫疾患、またはウイルス感染症)を処置するのに使用することができる。例えば、本発明のタンパク質は、細胞傷害性を向け直し、血栓溶解剤を血餅に送達するため、免疫毒素を腫瘍細胞に送達するため、または標的部位(例えば、腫瘍)で酵素活性化プロドラッグを変換するために使用することができる。
本発明は、本発明のタンパク質および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物を提供する。本明細書において、「薬学的に許容できる担体」は、生理学的に適合性である任意かつすべての溶媒、分散媒質、被覆剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。薬学的に許容できる担体の例は、水、生理食塩水、リン酸緩衝溶液、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびこれらの組合せの1種または複数を含み、組成物中に等張剤、例えば、糖、多価アルコール、例えば、マンニトール、ソルビトールなど、または塩化ナトリウムを含んでもよく、抗体または抗体部分の保存可能期間または有効性を増強する薬学的に許容できる物質、例えば、湿潤量または少量の補助物質、例えば、湿潤剤もしくは乳化剤、防腐剤、または緩衝液などを含み得る。
治療法も本発明によって提供されている。治療法は、本発明の化合物または組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
「抗体」は、免疫グロブリン分子であって、免疫グロブリン分子の可変領域に位置した少なくとも1つの抗原結合部位を通じて標的または抗原、例えば、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどに特異的に結合することができる、免疫グロブリン分子である。
抗原結合ドメインを含むいくつかの実施形態において、少なくとも抗原結合ドメイン(例えば、限定されるものではないが、6個全部のCDRを有する抗体可変領域、または抗体可変領域と少なくとも90%同一である等価な領域)は、アバゴボマブ、アバタセプト(ORENCIA(登録商標))、アブシキシマブ(REOPRO(登録商標)、c7E3 Fab)、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標))、アデカツムマブ、アレムツズマブ(CAMPATH(登録商標)、MabCampathもしくはCampath−1H)、アルツモマブ、アフェリモマブ、アナツモマブマフェナトックス、アネツムマブ、アンルキズマブ、アポリズマブ、アルシツモマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、アトロリムマブ、バピネウズマブ、バシリキシマブ(SIMULECT(登録商標))、バビツキシマブ、ベクツモマブ(LYMPHOSCAN(登録商標))、ベリムマブ(LYMPHO−STAT−B(登録商標))、ベルチリムマブ、ベシレソマブ、βセプト(EMBREL(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、ビシロマブブラロバルビタール、ビバツズマブメルタンシン、ブレンツキシマブベドチン(ADCETRIS(登録商標))、カナキヌマブ(ACZ885)、カンツズマブメルタンシン、カプロマブ(PROSTASCINT(登録商標))、カツマキソマブ(REMOV AB(登録商標))、セデリズマブ(CIMZIA(登録商標))、セルトリズマブペゴール、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、クレノリキシマブ、ダセツズマブ、ダクリキシマブ、ダクリズマブ(ZENAP AX(登録商標))、デノスマブ(AMG 162)、デツモマブ、ドルリモマブアリトックス、ドルリキシズマブ、ダンツムマブ、デュリムルマブ、デュルムルマブ、エクロメキシマブ、エクリズマブ(SOLIRIS(登録商標))、エドバコマブ、エドレコロマブ(Mabl7−1A、PANOREX(登録商標))、エファリズマブ(RAPTIVA(登録商標))、エフングマブ(MYCOGRAB(登録商標))、エルシリモマブ、エンリモマブペゴール、エピツモマブシツキセタン、エファリズマブ、エピツモマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、エルツマキソマブ(REXOMUN(登録商標))、エタラシズマブ(エタラツズマブ、VITAXIN(登録商標)、ABEGRIN(商標))、エクスビビルマブ、ファノレソマブ(NEUTROSPEC(登録商標))、ファラリモマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ(HUZAF(登録商標))、ガリキシマブ、ガンテネルマブ、ガビリモマブ(ABX−CBL(R))、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標))、ゴリムマブ(CNTO 148)、ゴミリキシマブ、イバリズマブ(TNX−355)、イブリツモマブチウキセタン(ZEVALIN(登録商標))、イゴボマブ、イムシロマブ、インフリキシマブ(REMICAD E(登録商標))、イノリモマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ(YERVOY(登録商標)、MDX−010)、イラツムマブ、ケリキシマブ、ラベツズマブ、レマレソマブ、レブリリズマブ、レルデリムマブ、レキサツムマブ(HGS−ETR2、ETR2−ST01)、レキシツムマブ、リビビルマブ、リンツズマブ、ルカツムマブ、ルミリキシマブ、マパツムマブ(HGS−ETRI、TRM−I)、マスリモマブ、マツズマブ(EMD72000)、メポリズマブ(BOSATRIA(登録商標))、メテリムマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ、ミツモマブ、モロリムマブ、モタビズマブ(NUMAX(商標))、ムロモナブ(OKT3)、ナコロマブタフェナトックス、ナプツモマブエスタフェナトックス、ナタリズマブ(TYSABRI(登録商標)、ANTEGREN(登録商標))、ネバクマブ、ネレリモマブ、ニモツズマブ(THERACIM hR3(登録商標)、THERA−CIM−hR3(登録商標)、THERALOC(登録商標))、ノフェツモマブメルペンタン(VERLUMA(登録商標))、オクレリズマブ、オデュリモマブ、オファツムマブ、オマリズマブ(XOLAIR(登録商標))、オレゴボマブ(OVAREX(登録商標))、オテリキシズマブ、パギバキシマブ、パリビズマブ(SYNAGIS(登録商標))、パニツムマブ(ABX−EGF、VECTIBIX(登録商標))、パスコリズマブ、ペムツモマブ(THERAGYN(登録商標))、ペルツズマブ(2C4、OMNITARG(登録商標)、ペキセリズマブ、ピンツモマブ、ポネズマブ、プリリキシマブ、プリツムマブ、ランビズマブ(LUCENTIS(登録商標))、ラキシバクマブ、レガビルマブ、レスリズマブ、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標)、MabTHERA(登録商標))、ロベリズマブ、ルプリズマブ、サツモマブ、セビルマブ、シブロツズマブ、シプリズマブ(MEDI−507)、ソンツズマブ、スタムルマブ(Myo−029)、スレソマブ(LEUKOSCAN(登録商標))、タカツズマブテトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、タプリツモマブパプトックス、テフィバズマブ(AUREXIS(登録商標))、テリモマブアリトックス、テネリキシマブ、テプリズマブ、チシリムマブ、トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標))、トラリズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、トレメリムマブ(CP−675,206)、ツコツズマブセルモロイキン、ツビルマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ(CNTO 1275)、バパリキシマブ、ベルツズマブ、ベパリモマブ、ビシリズマブ(NUVION(登録商標))、ボロシキシマブ(M200)、ボツムマブ(HUMASPECT(登録商標))、ザルツムマブ、ザノリムマブ(HuMAX−CD4)、ジラリムマブ、またはゾリモマブアリトックスに存在するものから選択される。
RPINEl(PAI−I)、SERPINFl、SHIP−I、SHIP−2、SHBl、SHB2、SHBG、SfcAZ、SLC2A2、SLC33A1、SLC43A1、SLIT2、SPPl、SPRRlB(Sprl)、ST6GAL1、STABl、STAT6、STEAP、STEAP2、SULF−1、Sulf−2、TB4R2、TBX21、TCPlO、TDGFl、TEK、TGFA、TGFBl、TGFBlIl、TGFB2、TGFB3、TGFBI、TGFBRl、TGFBR2、TGFBR3、THlL、THBSl(トロンボスポンジン−1)、THBS2/THBS4、THPO、TIE(Tie−1)、TIMP3、組織因子、TIKI2、TLR10、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6JLR7、TLR8、TLR9、TM4SF1、TNF、TNF−a、TNFAIP2(B94)、TNFAIP3、TNFRSFIlA、TNFRSFlA、TNFRSFlB、TNFRSF21、TNFRSF5、TNFRSF6(Fas)、TNFRSF7、TNFRSF8、TNFRSF9、TNFSFlO(TRAIL)、TNFSFl 1(TRANCE)、TNFSF12(AP03L)、TNFSF13(April)、TNFSF13B、TNFSF14(HVEM−L)、TNFSF15(VEGI)、TNFSF 18、TNFSF4(OX40リガンド)、TNFSF5(CD40リガンド)、TNFSF6(FasL)、TNFSF7(CD27リガンド)、TNFSF8(CD30リガンド)、TNFSF9(4−1BBリガンド)、TOLLIP、Toll様受容体、TLR2、TLR4、TLR9、T0P2A(トポイソメラーゼIia)、TP53、TPMl、TPM2、TRADD、TRAFl、TRAF2、TRAF3、TRAF4、TRAF5、TRAF6、TRKA、TREMl、TREM2、TRPC6、TROY、TSLP、TWEAK、チロシナーゼ、uPAR、VEGF、VEGFB、VEGFC、バーシカン、VHL C5、VLA−4、Wnt−1、XCLl(リンホタクチン)、XCL2(SCM−Ib)、XCRl(GPR5/CCXCRl)、YYl、およびZFPM2から選択される1つまたは複数の標的に結合することができる。
一般に、生化学、分析化学、合成有機化学、医薬および製薬化学、細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質および核酸化学、ならびに本明細書に記載のハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法、ならびにこれらの技法は、周知の、かつ一般に当技術分野で使用されるものである。本発明の方法および技法は、一般に、別段に示されていない限り、当技術分野で周知の、かつ本明細書全体にわたって引用され、論じられている様々な一般的および具体的な参考文献に記載されている従来法に従って実施される。反応および精製技法は、当技術分野で一般に達成され、または本明細書に記載するように、製造者の仕様に従って実施される。本明細書において、20の天然のまたは慣例的なアミノ酸、およびこれらの略語は、IUPACの1文字および3文字コードに従う。
本発明のタンパク質配列を用いた構造的整列が、例えば、標的配列のNMRまたは結晶構造データがないことに起因して可能でない場合、配列整列が使用され得る。当業者は、配列整列ツール(BLAST、CLUSTAL、および本明細書に記載のものなどの当業者に公知のその他など)に精通しており、特に、サブタイプおよび種にわたって免疫グロブリンドメイン、抗体、および抗体定常ドメインについて既に存在する多数の例示的な構造的試験に特に起因して、配列、特に、公知の構造モチーフに従う抗体定常ドメイン配列を整列させることができる。
野生型アミノ酸残基は、図2に例示したようにKabat適合性番号方式を使用して番号付けする。本明細書において、表に列挙した突然変異は、ドメイン、その後のKabat適合性番号付けによる残基位置を指す(例えば、配列番号1(CH1)、配列番号9(CL)、配列番号13(CH2)、および配列番号18(CH3)を参照)。野生型残基の素性は、残基位置の前にIUPAC一文字コードで記載する(例えば、CH1−S188)。突然変異残基の素性は、残基位置の後に記載する(CH1−188E)。該当する場合、野生型および突然変異残基の素性の両方を提供する(CH1−S188E)。代替の表示法では、天然アミノ酸を最初に、その後、括弧内に鎖および位置、その後に置換されたアミノ酸を列挙することができる。例えば、Ser(H188)Glu。
抗体中にヘテロ二量体優遇突然変異を生成するための部位の同定
タンパク質と別の分子との間の結合親和性は、結合状態で最も近い空間的な近接における原子を修飾することによって変更することができることが多い。天然抗体では、CH1およびCLドメインは、互いに結合しており、結合の程度は、結合状態で密接に接触している(5.0Å未満)原子の対、各ドメイン中の1つの原子によって著しく影響を受け得る。これらの結合対に関与した原子に対する変更は、結合を増大または減少させ得る。関与した具体的な原子は、NMR分光法およびタンパク質X線結晶構造解析法などの方法によって判定することができる。他のドメインと密接に接触している1つのドメイン上の原子は、原子およびその局所環境の特質に応じて2つのドメイン間で引力または反発力をもたらし得る。さらに、第2のドメインの12Å以内に原子を有する第1のドメイン中の残基(Glyなど)について、第2のドメインとの密接な接触は、残基が異なるコンホメーションを採用する異なる残基(Argなど)によって置き換えられる場合に起こり得、第1のドメイン中のこのような残基はまた、本明細書で密接接触残基と見なされる。修飾後、新しいアミノ酸は、以前に第1のドメインと密接に接触していなかった第2のドメイン上の残基と密接に接触した状態になり得、これらの残基も、密接接触残基と見なされる。例えば、第1のドメイン上のAlaからTrpへの突然変異は、第2のドメインと不都合な立体的相互作用を引き起こす場合があり、それは、第1のドメイン上にTrpを導入する前に密接に接触していなかった第2のドメイン上の残基を変更することによって緩和され得る。この原理を、野生型CH1(またはCL)ドメインと相互作用しない新規のCL(またはCH1)ドメインを設計するのに使用してもよい。次いで新規のCL(またはCH1)ドメインと相互作用を復帰させる新規のCH1(またはCL)ドメインを構築することができる。多重特異性抗体は、各重鎖と各軽鎖との間の正しい対合を保証するために、このような新規のCLおよびCH1ドメインの1つまたは複数の組合せを使用することができる。このような設計は、立体的相互作用だけでなく、静電相互作用、または両タイプの相互作用にも基づき得る。
新規の共有結合性CH1−CLジスルフィド連結を有する抗体
二重特異性抗体は、各Fabアーム中に異なる重鎖および軽鎖を含有することができる。例えば、二重特異性抗体が、それぞれが異なるLCおよびHCを有する2つのFabアームを有する場合、二重特異性抗体の生成は、4つの異なるポリペプチドの発現を伴い得る。誤った重鎖とクロスオーバーおよび対合する軽鎖の可能性に起因して、重鎖がヘテロ二量体化を優遇するように修飾されていても、4つの異なる重鎖および軽鎖のコトランスフェクションおよび発現が、図1に例示したように望ましくない生成物を依然としてもたらし得る。
Cys変更された重鎖/軽鎖の発現および精製
表2に示した3つの新規の重鎖/軽鎖ジスルフィド架橋位置(Cys1、Cys3、Cys6)が、ジスルフィド結合を形成することができるか否かを判定するためのプラットフォームとして抗体29D7を使用した。29D7は、二価、単一特異性、モノクローナル抗チロシンキナーゼ受容体B(TrkB)IgG1抗体である(Qianら、J.Neuroscience、26(37):9394〜9403(2006)を参照)。
HEK293F細胞内で発現された29D7抗体の精製
濾過した馴化培地を、PBS−CMF(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM Na2HPO4、2.7mM KH2PO4、pH7.2)で平衡化したHiTrap(商標)プロテインA HPカラム(GE Life Sciences)に装填した。樹脂をPBS−CMF pH7.2 10カラム容積で洗浄した後、抗体をプロテインA溶出緩衝液(20mM クエン酸、150mM NaCl、pH2.5)の0〜100%の直線勾配で溶出した。ピーク画分を2M トリス−HCl pH8.0を用いてpH7.0に中和し、プールした。材料を、PBS−CMF pH7.2中で平衡化したHiLoad(商標)16/60 Superdex(商標)200分取サイズ排除カラム(GE Life Sciences)に装填した。ピーク画分をプールし、30kDaスピンフィルター(Amicon)を使用して濃縮し、0.2μmで濾過した。
ジスルフィド連結が変更された抗体の質量分析
新規の共有結合性CH1−CLジスルフィド連結のために導入された突然変異の効果を判定するために、様々な29D7コンストラクトのインタクトな質量分析を実施した。表2に列挙したジスルフィド修飾を含有する抗体29D7の精製形態、ならびに陽性および陰性対照を、PNGaseFの存在下で脱グリコシル化し、その後以下の通りLC/MSを続けた。抗体を、400:1のタンパク質:酵素比でLys−C(Wako Chemicals USA,Inc)とともにインキュベートし、37℃で20分間インキュベートした。消化反応を、水中の0.1%ギ酸を添加してクエンチした。消化した試料を、Water Xevo G2 Q−TOF質量分析計とカップリングしたAglient 1100キャピラリーHPLCでのLC/MS分析によって分析した。分析物を、0.1%ギ酸とともにZorbax Poroshell 300SB C3 カラム(1.0mm×75mm、80℃で維持した)に装填し、4分にわたって65μl/分の流量で15〜98%の緩衝液B(アセトニトリル中の0.1%ギ酸)の勾配を使用して溶出した。質量分析検出を、キャピラリー電圧を3.3kVに設定して正、感度モードで実施した。データ分析は、MassLynx中のMaxEnt1関数を用いて実施した。
ジスルフィド連結が変更された抗体のDSC分析
抗体の熱安定性を、示差走査熱量測定(DSC)を使用して測定した。表2に記載した29D7ジスルフィドバリアント抗体を、0.3mg/mLの濃度に、同じ緩衝液(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM Na2HPO4、および1.47mM KH2PO4、pH7.2)中で希釈した。試料および緩衝液(400μL)を、96ウェルディープウェルプレートに移し、DSC(Cap−DSC、Microcal/GE Healthcare)のオートサンプラー内に置いた。計測器中に注入した後、試料を10℃から110℃に100℃/時間で加熱した。データを緩衝液およびベースラインで補正した後、3つの非二状態転移にフィッティングして融解温度を判定した(表2)。すべての突然変異体は、高いTm値を伴った安定なタンパク質であった。いくらかの差異を、それぞれCH2およびFabドメインに割り当てられたTm1およびTm2において観察することができた。
Rosettaモデル化を使用して同定される破壊的突然変異体
複数のモデル化方法を使用して、突然変異がそれぞれのCLおよびCHドメインの対合を退けるという点で「破壊突然変異」として分類され得る一連の突然変異を同定した。突然変異を示差走査熱量測定(DSC)によって評価した(表5)(やはり、試験抗体として抗体29D7を使用して)。1つのモデル化方法は、Rosetta(Dasら、Ann.Rev.Biochemistry、77:363〜82(2008))、バージョン2.3においてインプリメントされる界面エネルギー法を使用した。いくつかのプロトコールを、タンパク質中の様々な程度のフレキシビリティとともに使用した。「RFlex」プロトコールは、突然変異した残基付近の側鎖を結合および非結合状態において別個に緩和させた。「ExRFlex」プロトコールは、アミノ酸側鎖コンホメーションのより細かい拡張サンプリングを可能にした(Rosettaオプション[−extrachi_cutoff 12」、「−ex1 1」、「−ex2 1」、「−ex3 1」、および「−ex4 1」)。10kcal/mol超の不都合な鎖内エネルギーを生じさせることなく1kcal/mol超鎖間結合親和性を破壊することが予測されたアミノ酸変化を初期に選択した(「破壊突然変異」)。いくつかの突然変異は、結合を破壊したが、不都合な鎖内エネルギー変化も引き起こした(例えば、CH1−S188Yについて+22kcal/mol;表3を参照)。
SCWRL4モデル化を使用して同定される破壊的突然変異体
第2のモデル化方法は、界面中で突然変異される密接接触残基の側鎖の位置を予測するのにSCWRL4(Krivovら、Proteins、77(4):778〜95(2009))を使用し、その後、MacroModel(MacroModel、バージョン9.9、Schrodinger,LLC、New York、NY(2012))におけるエネルギー最小化を使用した。SCWRLステップにおいてバリエーションを用いて、2つのプロトコールをこの方法とともに使用した。「Base」法については、突然変異される側鎖のみを調整し、一方、「Repack」法については、すべての側鎖を詰め直した。「Repack」法からの結果が好適であった。これらが、破壊は、軽微な側鎖調整によって容易に和らげられないことを示すように予期されたためである。MacroModelステップは、GB/SA溶媒和とともにOPLS−2005力場を使用し、すべての水素原子および突然変異される残基の自由な移動を可能にした。他の原子は、100kJ/mol−Å2の束縛によって束縛されたが、エネルギー井戸上に0.2Åの半値幅のフラットボトムを伴った。各突然変異体について、SCWRL4およびMacroModel計算を、結合状態、ならびに非結合の個々のCH1およびCLドメインに対して実施し、結合エネルギーを、結合形態と非結合形態との間のエネルギー差異として算出した。この方法は、突然変異されている鎖上の歪みを直接測定せず、したがって最も有望なモデルを、立体的衝突、歪んだ結合角、または歪みの他の徴候について手作業で検分し、補償突然変異を、要求される場合加えた。およそ40の異なるバリアントをモデル化および評価した。このプロトコールによって同定された有望な代表的な設計を、表4に列挙する(一部の突然変異は、RosettaおよびSCWRL4+MacroModelの両方によって同定した)。
モデル化からのコンストラクトの生成
各破壊突然変異セット(表3〜4中の各行)を含有する突然変異体Ab 29D2コンストラクトの生成を試みた。CH1ドメインは、本質的に無秩序であり、CLとの相互作用後にのみ、通常の折り畳みIgG構造を採用する。CLと相互作用する前に、重鎖は、小胞体中で、シャペロン結合免疫グロブリンタンパク質(chaperone binding immunoglobulin protein)(BiP)に結合して、折り畳まれていない状態で保持されている(Feigeら、Mol.Cell、34(5):569〜79(2009))。したがって、モデル化された設計がCH1/CL相互作用を完全に破壊する場合、どの材料も、さらなる特徴付けのために単離可能でない。コンストラクトH2、H3、H6、H10、H11、H16、H17、L1、L3、L4、L5、L8、L11、L12、およびL14は、精製にとって十分に発現し、CH1/CL結合のせいぜい部分的な破壊を示した。中程度に低減された発現(15μg/mL超の親の発現と比較して4μg/mL未満)が、コンストラクトL4およびL8についてCOS細胞内で観察された。9b、9c、10b、および10cの発現は、試みなかった。
発現されたコンストラクトのDSC
部位の構造的な多様性、ならびにCH1およびCL部位の同様の数の選択に基づいて、実施例9の発現されたAb 29D7抗体バリアントのサブセットを、示差走査熱量測定(DSC)による検査のために選択した(以下の表5を参照)。PBS(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM Na2HPO4、および1.47mM KH2PO4、pH7.2)中のコンストラクトを、0.3mg/mLの濃度に同じ緩衝液中で希釈した。試料および緩衝液(400μL)を、96ウェルディープウェルプレートに移し、DSC(Cap−DSC、Microcal/GE Healthcare)のオートサンプラー内に置いた。計測器中に注入した後、試料を10℃から110℃に100℃/時間で加熱した。データを緩衝液およびベースラインで補正した後、3つの非二状態転移にフィッティングして融解温度を判定した。最も大きい変化がTm2に見られ、転移をFabドメインに割り当てた。表5に示した標準誤差を考慮すると、表5中のすべてのコンストラクトは、破壊突然変異を欠く抗体と比べて少なくともわずかに低減された熱安定性を有することが判明し、CH1/CL界面中の突然変異が抗体を不安定化することを示した。CH1(H2 H10)の、およびCL(L1、L4)の最大破壊を有するコンストラクトを、フォローアップ作業のために選択した。
復帰突然変異体
復帰突然変異を、上述したSCWRL+MacroModelおよびRosetta2プロトコールを使用して、またはRosetta3配列トレランス法(Rosetta 3 Sequence Tolerance method)(SmithおよびKortemme、PLoS One、6(7):e20451(2011))を使用することによって設計した。SCWRL+MacroModelを用いて、破壊突然変異に由来する反対の鎖上の残基を、手動検分によって同定し、2つの鎖の空間的または静電的な相補性を潜在的に増大させる残基を記録した。これらの残基の二重または三重突然変異体の組合せを、SCWRL+MacroModelを用いて網羅的に列挙し、結合エネルギーを野生型配列と比較して、破壊的突然変異によって引き起こされる結合エネルギー喪失を有意に低減したアミノ酸置換を同定した。最新のコンピューティングクラスターで、このプロトコールは、数万の突然変異の組合せを評価することができる。例えば、復帰突然変異の1000超の組合せを、表5のH10の破壊例について考慮した。最大で数百万の突然変異体を評価したRosetta2プロトコールについては、復帰突然変異の探索を上述した。Rosetta3配列トレランス法は、破壊突然変異を見つけるために設計されていないが、その設計は、復帰突然変異を見つけるのに適切である。破壊突然変異のモデル(他の方法の1つを使用して構築した)を、突然変異が破壊効果を回復させることができた近傍の残基のリスト(手動検分によって判定した)とともに、入力として提供した。このプロトコールからの主要な出力は、近傍の部位のそれぞれにおけるアミノ酸タイプの好感度ランキングである。次いでこれらの残基を含有する特異的配列を、配列トレランスソフトウェアを使用して、かつ/またはSCWRL+MacroModelでモデル化した。配列トレランスパッケージでインプリメントされたデフォルトのボルツマン加重(Boltzmann−weighted)配列ランキングに加えて、各位置のアミノ酸頻度の統計を、配列の上位スコア1%に1の加重、および残りの配列に0の加重を適用するステップ関数によって判定した方法も使用した。
破壊、復帰、および新規のジスルフィド突然変異を有する設計
突然変異体の追加のセットは、適切な場合分子モデル化に基づいて、表6に列挙した設計の1つまたは複数とともに、表2で強調した新規の鎖間ジスルフィド結合設計を組み込むことからなっていた。新規のジスルフィドを組み合わせて二重特異性設計にした場合では、天然ジスルフィドシステイン残基(CH1−C230およびCL−C214)をともに、天然ジスルフィド結合を切断するためにセリン残基に突然変異させた。
新規の静電相互作用を有する二重特異性抗体
一タイプのタンパク質界面選択性設計は、静電気的な相補性を伴い、この場合、界面の一方の側上の正電荷は、界面の反対側上の負電荷と対合される。電荷が反転されている界面の代替のバリアントが改変されている場合、選択性が起こり得る。
S1およびS1_revX線結晶構造
分子モデル化が好都合な静電相互作用の形成を正しく予測したか否かを確認するために、表8からのS1およびS1_rev設計のX線結晶構造を判定した(図5、パネルBおよびC)。設計をそれぞれ、HEK−293細胞内の一過性トランスフェクションによって組換えFab分子として発現させた(可変ドメインについて抗体Ab1を使用して)。Fabを、PorosプロテインA樹脂へのバッチ結合、その後の0.1M グリシン pH2.5を用いた溶出によって馴化培地から精製した。次いで、溶出したFabを、20mM トリス pH7.0、50mM NaClで平衡化したSuperdex 200 16/60カラムでのサイズ排除クロマトグラフィーによって精製した。S1 Fabは、100mM HEPES pH7.5、10% PEG3350、200mM プロリン中で結晶化させ、106.7、127.1、84.5Åの単位格子の輪郭を伴った空間群P21212で結晶化した。S1_revは、100mM クエン酸ナトリウム pH5.9、14% PEG6000の条件下で空間群P42212(格子輪郭118.4、118.4、84.2Å)の結晶を形成した。
Fabアーム改変設計の混合
組合せの追加のセットは、表7からの行のいずれかのように改変された抗体の一方のFabアーム、および表8に与えたS1アミノ酸置換を使用して改変された抗体の他方のFabアームを使用する。表9は、得られた組合せを示す。
修飾された二重特異性抗体Ab1/Ab2の設計
抗原1(AG1)に特異的な抗体1(Ab1)を、そのFabアームが、定常ドメイン界面で新規の静電相互作用を導入して、表8のFabID S1に表したようにCH1およびCカッパドメイン中に突然変異を含有するように突然変異させた。抗原2(AG2)に特異的な抗体2(Ab2)を、そのFabアームが、やはりドメイン界面で新規の静電相互作用を導入して、表8のFabID S1_REVに表したようにCH1およびCカッパドメイン中に突然変異を含有するように突然変異させた。ノブイントゥホール突然変異をCH3ドメイン界面中に導入して、重鎖ヘテロ二量体化に偏りをかけた(Ridgwayら、上記、およびMerchantら、上記を参照)。一方のCH3ドメインでは、CH3−Y370をCに突然変異させ、CH3−T389をWに突然変異させ、立体的な隆起を創り出した(「ノブ」鎖と呼ばれる;残基の番号付けは、元の参考文献のEU番号付けとは対照的にKabatに適合する)。反対のCH3ドメインでは、CH3−S375をCに、CH3−T389をSに、CH3−L391をAに、かつCH3−Y438をVに突然変異させ、腔(「ホール」鎖と呼ばれる)、したがって2つの異なるCH3ドメイン間に立体的な相補性を創り出した。CH3−C370およびCH3−C375は、鎖間ジスルフィド結合を形成してヘテロ二量体を安定化させる。Fab重鎖/軽鎖界面は、突然変異を帯びない(野生型界面)が、重鎖ヘテロ二量体化突然変異が依然として存在する適切な対照を生じさせた。Ab1の重鎖、Ab2の重鎖、Ab1の軽鎖、およびAb2の軽鎖を含む合計4本の鎖を哺乳動物細胞内に同時にトランスフェクトし、正しい軽鎖対合のレベルを、BIAcoreベース化学量論分析、質量分析、および陰イオン交換クロマトグラフィーによる異種性評価を介して評価した。生物物理学的な分析結果を、重鎖ヘテロ二量体化突然変異を含有するが、重鎖および軽鎖間の界面で突然変異を含有しない対照と比較した。抗体のアイソタイプは、エフェクター機能を切断するヒンジ/CH2重鎖突然変異(L247A、L248A、およびG250A)を有するヒトIgG1であった。表9に示した追加の突然変異設計も、正しい軽鎖対合の傾向を評価するためにAb1/Ab2抗体を使用して実験的に評価した。
二重特異性抗体の発現
二重特異性抗体遺伝子を、新規の遺伝子合成および制限酵素−ライゲーションベースクローニング技法を使用して構築した。軽鎖遺伝子をpSMEN3中にクローニングし、重鎖遺伝子をpSMED2中にクローニングした。懸濁HEK293F細胞(アメリカンタイプカルチャーコレクション)を、無血清FreeStyle(商標)293発現培地(Life Technologies)中で培養した。細胞を、37℃で7%CO2とともに加湿したインキュベーター内で維持した。馴化培地は、標準的な一過性のHEK293Fトランスフェクションプロセスから生成した。馴化培地を0.2μmフィルターに通して濾過した後、精製した。典型的には、二重特異性抗体は、馴化培地中に5〜50mg/Lの範囲で発現した。
HEK293F細胞内で発現された抗体の精製
濾過した馴化培地を、PBS−CMF(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM Na2HPO4、2.7mM KH2PO4、pH7.2)で平衡化したHiTrap(商標)プロテインA HPカラム(GE Life Sciences)に装填した。樹脂をPBS−CMF pH7.2 10カラム容積で洗浄した後、抗体をプロテインA溶出緩衝液(20mM クエン酸、150mM NaCl、pH2.5)の0〜100%の直線勾配で溶出した。ピーク画分を2M トリス−HCl pH8.0を用いてpH7.0に中和し、プールした。材料を、PBS−CMF pH7.2中で平衡化したHiLoad(商標)16/60 Superdex(商標)200分取サイズ排除カラム(GE Life Sciences)に装填した。ピーク画分をプールし、30kDaスピンフィルター(Amicon)を使用して濃縮し、0.2μmで濾過した。
二重特異性抗体(Ab1/Ab2)の質量分光分析
二重特異性抗体の生成を確認するために、Ab1およびAb2のFab断片を質量分析によって分析した。Ab1およびAb2に由来するFab断片の分子量は、これらのユニークなアミノ酸配列によって定義され、正確な分子量判定は、正しく対合した抗体の存在の証拠をもたらす。
二重特異性抗体(Ab1/Ab2)のタンデム陰イオン交換および質量分光分析
Q−STAT(Tosoh Bioscience)を装備したAgilent Infinity1290 UHLPC(Agilent Technologies)を使用して、プロテインAおよび分取SECクロマトグラフィーによって精製した二重特異性Ab1/Ab2タンパク質およそ20〜30μgを、1mL/分の流量で、20mM トリス pH8.6で平衡化したカラムに注入した。次いでタンパク質を、0〜100%の7分の直線勾配で、20mM トリス pH8.6中の1M NaClで溶出させた。
DSC分析
PBS(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM Na2HPO4、および1.47mM KH2PO4、pH7.2)中の二重特異性抗体Ab1/Ab2を、0.3mg/mLの濃度に同じ緩衝液中で希釈した。さらに、タンパク質を、10kDa カットオフ Slide−A−Lyzer透析カセットを使用して、His:スクロース(20mM His、8.5% スクロース、50mg/L EDTA、pH6.0)中に2つの緩衝液変更を用いて一晩透析し、引き続いて0.3mg/mLに希釈した。試料および緩衝液(400μL)を、96ウェルディープウェルプレートに移し、DSC(Cap−DSC、Microcal/GE Healthcare)のオートサンプラー内に置いた。計測器中に注入した後、試料を10℃から110℃に100℃/時間で加熱した。データを緩衝液およびベースラインで補正した後、2つの非二状態転移にフィッティングして融解温度を判定した。グラフ的に、PBSおよびHis:スクロース中の熱的プロファイルは、広く同様である。これは、得られたTm値にも反映されている(表10)。
高濃度の二重特異性抗体の安定性
二重特異性抗体Ab1/Ab2を、10kDa カットオフ Slide−A−Lyzer透析カセットを使用して、His:スクロース(20mM His、8.5% スクロース、50mg/L EDTA、pH6.0)中に2つの緩衝液変更を用いて一晩透析した。タンパク質を、Vivaspin500濃縮器、10kDaカットオフに移し、14,000gで回転させた。到達した最終濃度は、112mg/mLであった。試料を、プラスチックSECバイアルに移し、鉱油20μLを覆い被せた。試料を室温にて暗所で貯蔵した。各時点について、試料をAgilent1200内に置き、ランニング緩衝液としてのPBS(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM Na2HPO4、および1.47mM KH2PO4、pH7.2)、流量0.5mL/分、15分のランを使用して、1μLをTOSOH QC−PAK 300カラムに注入した。ピーク下面積を各注入に対して監視した。平均回収率は、106±2%であった。良好な回収率という状況から、パーセント凝集体を、モノマーピークの曲線下面積を凝集体ピークのものと比較することによって得た。室温で14週間後、わずか2.4%の凝集が観察された(表11)。
抗体1(Ab1)×抗体2(Ab2)対サイトカイン1×サイトカイン2のBIAcore分析
表8からの対1から使用したFabアーム突然変異(Fab ID S1およびS1_Rev)
BIAcore表面プラズモン共鳴バイオセンサー(T200モデル;GE Healthcare)を使用して、結合化学量論比の分析を行った。結合分析を、300mM NaCl、3.4mM EDTA、および0.01% Tween−20を含有するリン酸緩衝溶液からなるランニング緩衝液を使用して行った。抗ヒト抗体(GE Healthcare)12,000RUを、ヒト抗体捕捉キット(部品BR−1008−39、GE Healthcare)に供給された製造者の指示書に従って、CM5カルボキシメチル化デキストランチップ(GE Healthcare)表面にアミンカップリング化学を介して固定化した。抗ヒト抗体を、参照および試験フローセルの両方にアミンカップリングさせた。結合化学量論比を測定するために、精製した推定上の二重特異性抗体100〜200RUを、1〜10nMの濃度で30〜60秒にわたって10μL/分の流量で試験フローセル上に捕捉した。60秒にわたってサイトカイン/抗体相互作用のKDの100倍を超える飽和濃度で、50μL/分の流量で両方のフローセル上にサイトカイン1を引き続いて流し、この時点で、反応は、定常状態に到達していた。サイトカインおよび試験抗体を、3M MgCl2を使用して表面から剥がした。このMgCl2は、30〜40秒にわたって10μL/分でチップ表面に曝露した。次いで注入ポートを、次のサイクルの前にランニング緩衝液で洗浄した。次いで、記載したプロセスを、サイトカイン2を使用して繰り返した。サイトカインの分子量(MWC)、抗体の分子量(MWA)、捕捉された試験抗体の量(AB−RU)、および飽和でのサイトカインの観察された結合(Rmax_Obs)に基づいて、観察された結合化学量論比(OBST)を計算した。このための式は、
OBST=[Rmax_Obs]/[(MWC/MWA)×AB−RU]
であった。
抗体1(Ab1)×抗体2(Ab2)対サイトカイン1×サイトカイン2 − 複数の追加の設計の評価
一方のFabアームにおいて表7から使用し、かつ天然界面を持つ他方のFabアームを伴ったFabアーム突然変異
BIAcore表面プラズモン共鳴バイオセンサー(T200モデル;GE Healthcare)を使用して、結合化学量論比の分析を行った。結合分析を、300mM NaCl、3.4mM EDTA、および0.01% Tween−20を含有するリン酸緩衝溶液からなるランニング緩衝液を使用して行った。抗ヒト抗体(GE Healthcare)12,000RUを、ヒト抗体捕捉キット(部品BR−1008−39、GE Healthcare)に供給された製造者の指示書に従って、CM5カルボキシメチル化デキストランチップ(GE Healthcare)表面にアミンカップリング化学を介して固定化した。抗ヒト抗体を、参照および試験フローセルの両方にアミンカップリングさせた。結合化学量論比を測定するために、推定上の二重特異性抗体100〜200RUを、1〜10nMの濃度で30〜60秒にわたって10μL/分の流量で試験フローセル上に未精製の馴化培地から捕捉した。60秒にわたってサイトカイン/抗体相互作用のKDの100倍を超える飽和濃度で、50μL/分の流量で両方のフローセル上にサイトカイン1を引き続いて流し、この時点で、反応は、定常状態に到達していた。サイトカインおよび試験抗体を、3M MgCl2を使用して表面から剥がした。このMgCl2は、30〜40秒にわたって10μL/分でチップ表面に曝露した。次いで注入ポートを、次のサイクルの前にランニング緩衝液で洗浄した。次いで、記載したプロセスを、サイトカイン2を使用して繰り返した。サイトカインの分子量(MWC)、抗体の分子量(MWA)、捕捉された試験抗体の量(AB−RU)、および飽和でのサイトカインの観察された結合(Rmax_Obs)に基づいて、観察された結合化学量論比(OBST)を計算した。このための式は、OBST=[Rmax_Obs]/[(MWC/MWA)×AB−RU]であった。
抗体1(Ab1)×抗体2(Ab2)対サイトカイン1×サイトカイン2 − 複数の追加の設計の評価
表9に要約した、表7から使用したFabアーム突然変異(一方のアームにおける)および表8からの静電相互作用突然変異(他方のアームにおけるFab ID S1)
BIAcore表面プラズモン共鳴バイオセンサー(T200モデル;GE Healthcare)を使用して、結合化学量論比の分析を行った。結合分析を、300mM NaCl、3.4mM EDTA、および0.01% Tween−20を含有するリン酸緩衝溶液からなるランニング緩衝液を使用して行った。抗ヒト抗体(GE Healthcare)12,000RUを、ヒト抗体捕捉キット(部品BR−1008−39、GE Healthcare)に供給された製造者の指示書に従って、CM5カルボキシメチル化デキストランチップ(GE Healthcare)表面にアミンカップリング化学を介して固定化した。抗ヒト抗体を、参照および試験フローセルの両方にアミンカップリングさせた。結合化学量論比を測定するために、推定上の二重特異性抗体100〜200RUを、1〜10nMの濃度で30〜60秒にわたって10μL/分の流量で試験フローセル上に未精製の馴化培地から捕捉した。60秒にわたってサイトカイン/抗体相互作用のKDの100倍を超える飽和濃度で、50μL/分の流量で両方のフローセル上にサイトカイン1を引き続いて流し、この時点で、反応は、定常状態に到達していた。サイトカインおよび試験抗体を、3M MgCl2を使用して表面から剥がした。このMgCl2は、30〜40秒にわたって10μL/分でチップ表面に曝露した。次いで注入ポートを、次のサイクルの前にランニング緩衝液で洗浄した。次いで、記載したプロセスを、サイトカイン2を使用して繰り返した。サイトカインの分子量(MWC)、抗体の分子量(MWA)、捕捉された試験抗体の量(AB−RU)、および飽和でのサイトカインの観察された結合(Rmax_Obs)に基づいて、観察された結合化学量論比(OBST)を計算した。このための式は、OBST=[Rmax_Obs]/[(MWC/MWA)×AB−RU]であった。
修飾二重特異性抗体C5×Ab3
ヒトCCL20に特異的な抗CCL20抗体(クローンC5)をファージライブラリーから単離し、IgG1形式に変換した。そのFabアームは、表8のFab ID S1_Revに表したCH1およびC−カッパドメイン中に突然変異を含有し、定常ドメイン界面で新規の静電相互作用を導入した。ヒトIL13に特異的な抗IL13抗体(クローンAb3)を、そのFabアームが、表8のFab ID S1に表したCH1およびC−カッパドメイン中に突然変異を含有し、やはりドメイン界面で新規の静電相互作用を導入するように突然変異させた。突然変異の2つの異なるセットを、以下の実施例において方法1(M1)と呼ぶノブイントゥホール(Ridgwayら、上記、およびMerchantら、上記を参照)、または方法2(M2)と呼ぶStropら、上記、およびWO2011/143545に開示されたヘテロ二量体化法によって、重鎖ヘテロ二量体化に偏りをかけるようにCH3ドメイン中に導入した。M1、抗IL13クローンAb3重鎖(Fab ID S1を有する)について、CH3ドメインは、重鎖ヘテロ二量体化のために以下の突然変異を有していた:CH3−Y370をCに突然変異させ、CH3−T389をWに突然変異させ、立体的な隆起(「ノブ」鎖と呼ぶ)を創り出した。抗CCL20クローンC5重鎖(Fab ID S1_Revを有する)では、CH3ドメインは、重鎖ヘテロ二量体化のために以下の突然変異を有していた:腔(「ホール」鎖と呼ぶ)、したがって、2つの異なるCH3ドメイン間で立体的な相補性を創り出すCH3−S375C、CH3−T389S、CH3−L391A、およびCH3−Y438V。Cys−370およびCys−375は、鎖間ジスルフィド結合を形成して、ヘテロ二量体を安定化させる。M2設計では、使用した突然変異は、抗IL13 Ab3重鎖上にD232R、P441R、およびK440R、ならびに抗−CCL20 C5重鎖上にD’232E、P’441E、L’391Eを含む。Fab重鎖/軽鎖界面は、突然変異を帯びない(野生型界面)が、重鎖ヘテロ二量体化突然変異(方法1または方法2)が依然として存在する適切な対照を生じさせた。すべての抗体は、ヒンジ/CH2エフェクター機能切断突然変異(L247A、L248A、およびG250A)を有するIgG1アイソタイプであった。Ab3の重鎖、C5の重鎖、Ab3の軽鎖、およびC5の軽鎖を含む合計4本の鎖を哺乳動物細胞内に同時にトランスフェクトし、正しい軽鎖対合のレベルを、重鎖ヘテロ二量体化突然変異を含有するが、重鎖と軽鎖との間の界面で突然変異を含有しない対照と比較して、様々な生物物理学的分析技法を介して評価した。4つの別個の発現を実施した。第1のもの(「Ab3×C5−M1」と呼ぶ)は、重鎖ヘテロ二量体化方法M1と組み合わせて、上記に論じたFabアーム突然変異(表7からのFab ID S1およびS1_Rev)からなる。第2の発現は、第1のものの対照であり(「Ab3×C5−M1−NEGATIVE」と呼ぶ)、Fabアーム中に突然変異はないが、重鎖ヘテロ二量体化突然変異が存在する(方法M1)。第3の発現(「Ab3×C5−M2」と呼ぶ)は、重鎖ヘテロ二量体化方法M2と組み合わせて、上記に論じたFabアーム突然変異(表7からのFab ID S1およびS1_Rev)からなる。第4の発現は、第3のものの対照であり(「Ab3×C5−M2−NEGATIVE」と呼ぶ)、Fabアーム中に突然変異はないが、重鎖ヘテロ二量体化突然変異が存在する(方法M2)。対照対試験中に存在する正しい軽鎖対合のレベルを比較することによって、突然変異の効果を評価することができる。二重特異性抗体CCL20×Ab3を、Ab1/Ab2について実施例16および17で上記に論じたように発現させ、精製した。
二重特異性抗体C5×Ab3の質量分光分析
デュアルアーム抗体(C5&Ab3)コンストラクトのFab生成およびLC/MS分析を、Ab1/Ab2について上述したのと同じ方法論を使用して実施した。上述した合計4つのコンストラクトを分析して、Fab分子量測定に基づいて重鎖および軽鎖の存在を判定した。
DSC分析
以下の表15に列挙したタンパク質を、PBS(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM Na2HPO4、および1.47mM KH2PO4、pH7.2)中に入れ、0.3mg/mLの濃度に同じ緩衝液中で希釈した。試料および緩衝液(400μL)を、96ウェルディープウェルプレートに移し、DSC(Cap−DSC、Microcal/GE Healthcare)のオートサンプラー内に置いた。計測器中に注入した後、試料を10℃から110℃に100℃/時間で加熱した。データを緩衝液およびベースラインで補正した後、2または3つの非二状態転移にフィッティングして融解温度を判定した。全体的に、これらはすべて、高いTm値を伴って安定なタンパク質であった。
pH可逆性
以下の表16に列挙したタンパク質を、PBS(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM Na2HPO4、および1.47mM KH2PO4、pH7.2)中に入れ、同じ緩衝液を使用して1mg/mLに希釈した。2つの20μLのアリコートに、PBS 0.8μLを添加した。2つのさらなる20μLのアリコートを、10×プロテインA溶出緩衝液(200mM クエン酸、1.5M NaCl、pH2.0)0.8μLを添加することによって約pH3.5に酸性化した。4℃で24時間後、さらなるPBS 0.5μLを、以前にPBSを添加されていた試料に添加し、一方、酸性化した試料を、2M トリス pH8.0緩衝液0.5μLを添加することによって中和した。試料をAgilent1200システムに装填し、ランニング緩衝液としてのPBS(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM Na2HPO4、および1.47mM KH2PO4、pH7.2)、流量0.5mL/分、15分のランを使用して、15μLをTOSOH QC−PAK300カラムに注入した。各注入からのパーセントモノマーを記録し、各試料中のパーセント凝集体を計算するのに使用した。凝集の有意な増大は、酸性化後に観察されなかった。
強制凝集
以下の表17に列挙したタンパク質を、PBS(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM Na2HPO4、および1.47mM KH2PO4、pH7.2)中に入れ、同じ緩衝液を使用して1mg/mLに希釈した。アリコート(20μL)を96ウェルプレート中に置き、鉱油40μLを覆い被せ、24時間にわたって勾配PCRブロック中で40℃、43.9℃、50℃、54℃、60.1℃、および64℃でインキュベートした。この後、アリコートをAgilent1200システムに装填し、ランニング緩衝液としてのPBS(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM Na2HPO4、および1.47mM KH2PO4、pH7.2)、流量0.5mL/分、15分のランを使用して、15μLをTOSOH QC−PAK300カラムを注入した。各注入からのパーセントモノマーを記録し、各試料中のパーセント凝集体を計算するのに使用した。回収率が著しい凝集に起因して低かった場合、ピーク面積を、凝集体のパーセントを計算するのに使用した。一価の二重特異性は、54℃から著しい凝集を示し、一方、二価の二重特異性は、この温度で依然として安定であった。一価のC5×Ab3−M2は、C5×Ab3−M1より凝集しやすかった。
Biacore分析 CCL20−クローン5(C5)×IL13−クローンAb3(Ab3)抗原:ヒトCCL20×ヒトIL13
表8からの対1から使用したFabアーム突然変異(Fab ID S1およびS1_Rev)
BIAcore表面プラズモン共鳴バイオセンサー(T200モデル;GE Healthcare)を使用して、結合化学量論比の分析を行った。結合分析を、500mM NaClおよび0.01% 界面活性剤p20を含有するhepes緩衝食塩水(HBS)からなるランニング緩衝液を使用して行った。組換えプロテインA(Pierce)1500RUを、CM5カルボキシメチル化デキストランチップにアミンカップリング化学を介して固定化した。組換えプロテインAを、参照および試験フローセルの両方にアミンカップリングさせた。結合化学量論比を測定するために、推定上の二重特異性抗体100〜200RUを、1〜10nMの濃度で30〜60秒にわたって10μL/分の流量で試験フローセル上に捕捉した。60秒にわたってCCL20/抗体相互作用のKDの100倍を超える飽和濃度で、50μL/分の流量で両方のフローセル上に組換えヒトCCL20(Peprotech)を引き続いて流し、この時点で、反応は、定常状態に到達していた。サイトカインおよび試験抗体を、10mM グリシン−HCL pH1.7を使用して表面から剥がした。このグリシン−HCLは、30秒にわたって10μL/分でチップ表面に曝露した。次いで注入ポートを、次のサイクルの前にランニング緩衝液で洗浄した。次いで、記載したプロセスを、組換えヒトIL13(R&D Systems)を使用して繰り返した。サイトカインの分子量(MWC)、抗体の分子量(MWA)、捕捉された試験抗体の量(AB−RU)、および飽和でのサイトカインの観察された結合(Rmax_Obs)に基づいて、観察された結合化学量論比(OBST)を計算した。このための式は、OBST=[Rmax_Obs]/[(MWC/MWA)×AB−RU]であった。
疎水性相互作用クロマトグラフィーを使用する二重特異性抗体の分離
疎水性相互作用クロマトグラフィーを、コンストラクトC5×Ab3−M1、C5xAb3−M1−NEGATIVE、C5×Ab3−M2、およびC5×Ab3−M2−NEGATIVEの馴化培地からの2ステップ抗体精製法の後にタンパク質異種性を評価するのに使用した。ProPac HIC−10(Dionex)を装備したAgilent Infinity1290 UHLPC(Agilent Technologies)を使用して、タンパク質およそ20〜30μgを、1mL/分の流量で、100mM リン酸ナトリウムおよび1M 硫酸アンモニウム pH7.0で平衡化したカラムに注入した。次いでタンパク質を、0〜100%の7分の直線勾配で、100mM リン酸ナトリウム pH7.0で溶出させた。タンパク質は、280nmの吸収によって検出した。この分析の結果を図12に示す。図12パネルAに示した親C5およびAb3抗体は、明らかな単一ピークを示す。ヘテロ二量体化手法M2を図12パネルCに示し、ヘテロ二量体化手法M1を図12パネルBに示す。パネルBおよびCの両方の左のクロマトグラムは、重鎖ヘテロ二量体化突然変異単独の組込みを示す。右のクロマトグラムは、重鎖および軽鎖突然変異の両方を含有する二重特異性抗体のものである。これらの結果は、重鎖および軽鎖突然変異の両方の組込みでの異種性の低減を明らかに示す。
接触可能表面積の計算
非ヒト残基をヒト患者への投与を意図した抗体中に導入する場合、ヒト免疫系が修飾された残基を外来と認識し、治療剤に対する抗体(抗薬物抗体またはADA応答、これは、より速いクリアランス、循環している治療剤の活性の低減、または両方をもたらし得る)を産生するリスクがある。
対合忠実度の測定
疎水性相互作用クロマトグラフィーを使用して、正しい二重特異性分子とこの特定の二重特異性抗体にとって誤対合した軽鎖を含有する分子とを区別することは可能でなかった。理由は、誤対合した軽鎖を有する分子が、HICカラム樹脂と相互作用するのに十分異なる傾向を有さない可能性が最も高いためである。しかし、陰イオン交換クロマトグラフィー(図8B)は、誤対合した軽鎖/重鎖相互作用を含有する二重特異性抗体(図8Bからのピーク2A)から二重特異性抗体(図8Bからのピーク1)を完全に分離することができた。残念ながら、親抗体の1つの翻訳後修飾(硫酸化)は、二重特異性分子に伝わり(図8Bからのピーク2B)、二重特異性陰イオン交換溶出時間を変化させ、その結果これは、誤対合した軽鎖を含有する二重特異性分子からベースライン分解されなかった。したがって、陰イオン交換クロマトグラフィーによって%二重特異性抗体を正確に定量化することは可能でなかった。図8Bピーク1の%AUC(60%)を、17%を占めた硫酸化形態(図8Bピーク2B)に加えると、正しい二重特異性抗体の%がタンパク質製剤の78%であると近似される。以下の表20は、Ab1×Ab2の例示的調製物中の正しく対合したFabアームの質量分析による相対定量化を表す。
S1およびS1_revにおける二次突然変異の効果
表8に示したように、設計S1は、二次突然変異CL−V133SおよびCH1−V190Sを伴った一次突然変異CH1−L124KおよびCL−S176Dからなる。設計S1_revは、二次突然変異CL−V133SおよびCH1−S188Gを伴った一次突然変異CH1−L124EおよびCL−S176Kからなる。二次突然変異は、界面中の側鎖パッキングを最適化するために設計した。これらの突然変異が軽鎖対合の忠実度に寄与するか否かを試験するために、二次突然変異のいずれも省略しなかった、そのいくつか、またはすべてを省略したC5×Ab3のバリアントを生成した。C5 FabアームをS1_revのバリエーションを試験するのに使用し、一方、Ab3 FabアームをS1のバリエーションを試験するのに使用した。M1と呼ぶノブイントゥホール(Ridgwayら、上記、およびMerchantら、上記)法を使用して、各組合せの重鎖ヘテロ二量体化に偏りをかけた。M1から、この実施例のために作製した各Ab3バリアントのCH3ドメインは、重鎖ヘテロ二量体化のための以下の突然変異を有していた:CH3−Y370をCに突然変異させ、CH3−T389をWに突然変異させた(「ノブ」鎖)。M1から、この実施例のために作製した各C5バリアントのCH3ドメインは、重鎖ヘテロ二量体化のために以下の突然変異を有していた:CH3−S375C、CH3−T389S、CH3−L391A、およびCH3−Y438V(「ホール」鎖)。Cys−370およびCys−375は、ヘテロ二量体を安定化させるための鎖間ジスルフィド結合を形成する。6つのコンストラクトを、突然変異の役割をデコンボリュートするために試験した。C5およびAb3について上述したM1突然変異のみを含有し、S1またはS1_rev突然変異のいずれも含有しなかった「Ab3 C5−M1−NEGATIVE」。デコンボリュート−2を対照として再使用した。これを、この実施例については、デコンボリュート−1とも呼ぶ。上述したM1突然変異、C5 Fabアーム中にS1_rev、およびAb3アーム中にS1を含有した「Ab3 C5−M1」を対照として再使用した。これを、この実施例については、デコンボリュート−2と呼ぶ。デコンボリュート−3は、それが、表8に列挙したS1およびS1_revについて「二次突然変異」のいずれも含まなかったことを除いてデコンボリュート−2と同一であった。デコンボリュート−4は、それが、S1およびS1_revの両方についてCH1ドメインの二次突然変異を省略したことを除いてデコンボリュート−2と同一であった。したがって、明確にするために、デコンボリュート−4のAb3 Fabアームは、CH1−L124K、CL−S176D、およびCL−V133Sを含有したが、CH1−V190Sを含有しなかった。そして、明確にするために、デコンボリュート−4のC5 Fabアームは、CH1−L124E、CL−S176K、およびCL−V133Sを含有したが、CH1−S188Gを含有しなかった。M1突然変異も、S1またはS1_rev突然変異(CH配列54およびCL配列9)も有さない親単一特異性コンストラクト「C5」および「Ab3」(それぞれデコンボリュート−5およびデコンボリュート−6とも呼ぶ)を、各抗体の単一特異性バリアントの挙動を確立するために、対照として試験した。6つすべての設計は、ヒンジ/CH2エフェクター機能切断突然変異(L247A、L248A、およびG250A)を有するIgG1であった。設計デコンボリュート−1〜デコンボリュート−4について、Ab3の重鎖、C5の重鎖、Ab3の軽鎖、およびC5の軽鎖を含む合計4本の鎖を、哺乳動物細胞中に同時にトランスフェクトした。正しい軽鎖対合のレベルを、様々な生物物理学的な分析技法を介して評価し、Ab3Ab3 C5−M1−NEGATIVE、C5、およびAb3Ab3対照と比較した。別個の発現を記載したコンストラクトについて実施した。対照対試験中に存在する正しい軽鎖対合のレベルを比較することによって、突然変異の効果を評価することができる。Abを、Ab1/Ab2について実施例16および17に論じたように発現させ、精製した。コンストラクトのデコンボリュート−1〜デコンボリュート−6の発現は、9〜200mg/Lの範囲であった。
S1およびS1_revデコンボリューションの質量分光分析
デュアルアーム抗体コンストラクトのデコンボリュート−1〜デコンボリュート−6(先の実施例で記載した)のFab生成およびLC/MS分析を、Ab1/Ab2について上述したのと同じ方法を使用して実施した。上述した合計6つのコンストラクトを分析して、Fab分子量に基づいて重鎖および軽鎖の対合を判定した。
S1およびS1_revデコンボリューションコンストラクトの疎水性相互作用クロマトグラフィー分析
疎水性相互作用クロマトグラフィーを、コンストラクトのデコンボリュート−1〜デコンボリュート−6の馴化培地からの2ステップ抗体精製法の後にタンパク質異種性を評価するのに使用した。ProPac HIC−10(Dionex)を装備したAgilent Infinity1290 UHLPC(Agilent Technologies)を使用して、タンパク質およそ20〜30μgを、1mL/分の流量で、100mM リン酸ナトリウムおよび1M 硫酸アンモニウム pH7.0で平衡化したカラムに注入した。次いでタンパク質を、0〜100%の7分の直線勾配で、100mM リン酸ナトリウム pH7.0で溶出させた。タンパク質を280nmの吸収によって検出した。この分析の結果を図18に示す。対照単一特異性抗体「C5」および「Ab3」はそれぞれ、鋭い主ピークを示す(パネルE〜F)。2つの抗体が、CH3ドメインのみが改変されている二重特異性にアセンブルされる場合、単一の主ピークの代わりに重複するピークが存在し、重鎖および軽鎖の様々な組合せに起因して試料中の異種性を示す(パネルA)。S1およびS1_rev突然変異が、正しい重鎖/軽鎖対合のみを優遇するようにCH1/CL界面に加えられる場合、試料の異種性は、大いに低減される(パネルB)。S1およびS1_rev設計は、表8に示したように、静電相互作用を直接形成する一次突然変異、およびサポート二次突然変異(supporting secondary mutation)を含有する。重鎖サポート突然変異が除去され(パネルC)、一方軽鎖サポート突然変異がインタクトなままにされる場合、異種性のレベルは、HICによって同様であるが、差異は、質量分析によって検出可能であった(実施例36)。すべてのサポート突然変異が除去される場合(パネルD)、異種性は、「Ab3 C5−M1−NEGATIVE」と比べて低減されるが、デコンボリュート−2、「Ab3 C5−M1」と比べて依然としてより顕著である。実施例36の質量分析データと総合すると、これらの結果は一括して、完全なS1およびS1_rev設計が組み合わされる場合、最少量の異種性が生じることを例示する。
混合Fabアーム設計を有する二重特異性抗体の生成
概念的に、二重特異性Fabは、実施例15に論じたように、本明細書に記載のCH1/CL改変設計の異なる組合せを使用することによって改変することができる。この仮説を試験するために、Ab3およびC5 Fabアームを有する二重特異性抗体を生成した。ここで、Ab3 Fabアームは、二重特異性改変突然変異を含有していなかったか(陰性対照)、または表8のS1設計を含有していた。C5アームは、二重特異性改変突然変異を含有していなかった(陰性対照)、表8のS1_rev設計(陽性対照)、または表7に指定した設計T1、T2、T3、T4、T9の1つを含有していたのいずれかであった。C5中にS1_rev突然変異を含有するが、Ab3中にFabアーム二重特異性突然変異を含有しない追加の対照も調製した。表23中に要約および命名したこれらの9つのコンストラクトすべてを、実施例35に記載した同じ構成でAb3およびC5重鎖中にM1ノブイントゥホール(Ridgwayら、上記、およびMerchantら、上記)突然変異、ならびに以前に記載したように、両方の重鎖のCH2中にエフェクター機能切断突然変異を有するIgG1として生成した。
混合Fabアーム設計のDSC分析
実施例38に記載し、以下の表24に列挙したタンパク質を、PBS(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM Na2HPO4、および1.47mM KH2PO4、pH7.2)中に入れ、同じ緩衝液中で0.3mg/mLの濃度に希釈した。試料および緩衝液(400μL)を、96ウェルディープウェルプレートに移し、DSC(Cap−DSC、Microcal/GE Healthcare)のオートサンプラー内に置いた。計測器中に注入した後、試料を10℃から110℃に100℃/時間で加熱した。データを緩衝液およびベースラインで補正した後、2または3つの非二状態転移にフィッティングして融解温度を判定した。全体的に、これらはすべて、高いTm値を伴って安定なタンパク質であった。各抗体の詳細な融解温度プロファイルを、図19に提供する。
混合Fabアーム設計のBiacore結合化学量論比分析
表23(実施例38)から使用したFabアーム突然変異
BIAcore表面プラズモン共鳴バイオセンサー(T200モデル;GE Healthcare)を使用して、結合化学量論比の分析を、実施例31に記載したように行った。推定上の二重特異性抗体のCCL20およびIL13についての飽和結合化学量論比を、二価単一特異性陽性対照、および軽鎖対合のすべての順列を呈し、したがって全体的な結合化学量論比にインパクトを与えるFabアーム改変を伴わない対照と比較した。データ(表25)は、両方のFabアーム中に改変を有するすべての組合せは、標的サイトカインおよびケモカインとの抗体の各対について1:1に近い結合化学量論比を実現し(1:1結合から10%以下の変動)、一方、一方または両方のアーム中に改変を欠く組合せは、一方のアームにおいて0.7:1未満の化学量論比を有したことを示す。これらの結果は、二重特異性設計の異なる組合せを、重鎖/軽鎖誤対合を低減するのに使用することができることを示す。
混合Fabアーム設計の質量分光分析
各Fabアーム中に設計の様々な組合せを有するデュアルアーム抗体コンストラクト(表23および実施例38に記載した)のFab生成およびLC/MS分析を、Ab1/Ab2について上述したのと同じ方法を使用して実施した。上述した合計9つのコンストラクトを分析して、Fab分子量に基づいて重鎖および軽鎖の対合を判定した。デコンボリューション質量スペクトルを図20に示す。Ab3 Fabアーム中のS1設計をC5 Fabアーム中のT1、T2、T3、T4、またはT9(図20、パネルA〜E)と対合させたとき、最低量の誤対合したFab:T1、T2、およびT3について0.5%;T4について0.4%、ならびにT9について1.3%が検出された。C5 Fabアーム中のS1_revと対合したAb3×S1も、高い忠実度を与え、3.2%のみが誤対合した(パネルF;この二重特異性設計は、実施例37のデコンボリュート2と同じFabアーム突然変異を使用し、したがって、この設計の有効性の第2の測定であることに留意されたい)。しかし、いずれかのFabアームが二重特異性優遇設計を欠いていたとき、より大量の誤対合した試料:Ab3−S1および天然C5に対して19%(パネルG)、天然Ab3およびC5−S1revに対して41%(パネルH)、ならびに一方のFabアーム中に天然Ab3および他方に天然C5に対して35%(パネルI)が生成された。したがって、異なる組合せを、異なる二重特異性優遇設計を使用して各Fabアームで試行した各場合において、試料純度は、質量分析によって測定した場合、著しく改善した。
混合Fabアーム設計の疎水性相互作用クロマトグラフィー分析
疎水性相互作用クロマトグラフィーを、各Fabアーム中に設計の様々な組合せを有するコンストラクト(表23および実施例38に記載した)の馴化培地からの2ステップ抗体精製法の後のタンパク質異種性を評価するのに使用した。TOSOHブチルカラムを装備したAgilent Infinity1290 UHLPC(Agilent Technologies)を使用して、タンパク質およそ20〜30μgを、1mL/分の流量で、50mM リン酸ナトリウムおよび2M硫酸アンモニウム pH7.2で平衡化したカラムに注入した。次いでタンパク質を、0〜100%の7分の直線勾配で、50mM リン酸ナトリウム pH7.2で溶出させた。タンパク質を280nmの吸収によって検出した。この分析の結果を図21に示す。Ab3 Fabアーム中にS1、およびC5 Fabアーム中にT1、T2、T3、T4、またはT9のいずれかを有する二重特異性抗体は、重鎖/軽鎖対合の高い忠実度を示した(パネルA〜E)。少量の誤対合が主ピークの左側の小さいテールとして明らかである。ピークのこのテールは、C5上のS1_revと対合したAb3上のS1についてわずかにより大きい(パネルF、矢印を参照)。これらの結果は、実施例41および図20の質量分光分析と一致する。一方のFabアーム(パネルG〜H)または両方のFabアーム(パネルI)が二重特異性優遇設計を含有しない場合、追加のピークの存在によって示されるように、より大量の誤対合したFabが検出された。参照のために、パネルJ〜Kは、これらの二重特異性設計の基になった単一特異性Ab3およびC5抗体の対応するプロファイルを示す。両方は、鋭い単一ピークを示す。したがって、異なる組合せを、異なる二重特異性優遇設計を使用して各Fabアームで試行した各場合において、試料純度は、疎水性相互作用クロマトグラフィーによって測定した場合、Fab改変設計を欠く設計に対して著しく改善した。
マウス抗TrkB TOA−1抗体
本発明は、ヒトTrkBに特異的に結合するヒト化マウス抗体を含む。
キメラTOA−1抗体の構築
マウス重鎖および軽鎖可変領域配列が正しかったことを検証するために、キメラTOA−1抗体を構築した。キメラTOA−1重鎖を生成するために、TOA−1重鎖可変領域のヌクレオチド配列(配列番号104のヌクレオチド58〜411)を、最小限のエフェクター機能について突然変異されたヒトIgG1定常ドメインをコードするcDNAにライゲーションした。これらの突然変異は、ヒトIgG1アミノ酸配列を、EU番号付けによって定義される残基234、235、および237において、それぞれロイシン、ロイシン、およびグリシンからアラニン、アラニン、およびアラニンに変更する。キメラTOA−1軽鎖は、TOA−1軽鎖可変領域のヌクレオチド配列(配列番号106のヌクレオチド61〜381)を、ヒトカッパ定常領域をコードするDNAに接合することによって構築した。TOA−1軽鎖可変領域の残基1に存在するアラニンを、この位置で一般に見つかるアスパラギン酸に変更し、次いでこれをヒトカッパ定常領域に融合してキメラTOA−1 A1D軽鎖(ヌクレオチド配列配列番号108およびアミノ酸配列配列番号109)を生成した。キメラTOA−1抗体の両バージョンをコードするDNAを、COS−1細胞内に一過性にトランスフェクトしてタンパク質を生成した。TOA−1抗体を含有する結果として生じる馴化培地を、総ヒトIgGサンドイッチELISAによって定量化した。キメラTOA−1抗体の活性を、直接結合ELISAによって評価した。直接結合アッセイは、ヒトまたはマウスTrkB−細胞外ドメインタンパク質(R and D Systems)でELISAプレートを被覆し、キメラTOA−1抗体を含有する連続希釈された馴化培地を添加し、ヤギ−抗ヒトIgG−HRP(Southern Biotech)を用いて結合した抗体を検出することによって実施した。キメラTOA−1抗体は、マウスTOA−1抗体と同等の親和性でヒトおよびマウスTrkBに結合した(図23および24)。TOA−1軽鎖可変領域の1位でアラニンをアスパラギン酸に変更しても、ヒトまたはマウスTrkBへの結合性質に影響しなかった(図23および24)。キメラTOA−1抗体を、COS−1細胞にキメラTOA−1をコードするDNAを一過性にトランスフェクトすることによって生成した馴化培地から標準的なプロテインA精製技法によって精製した。
マウスTOA−1抗体のヒト化
マウスTOA−1抗体のCDRを、配列変異性および構造ループ領域の場所に基づくAbM定義を使用して同定した。ヒト化TOA−1重鎖可変領域を、ヒトDP−54フレームワーク領域にグラフトされたマウスTOA−1のCDRを含むように構築した。このアミノ酸配列を配列番号51 huTOA−1 VH v1.0として示す。huTOA−1 VH v1.0は、配列番号110中の核酸配列によってコードされる。ヒトフレームワーク受容体配列の追加の突然変異を、例えば、抗原接触に関与すると考えられるマウス残基および/または抗原結合部位の構造的完全性に関与する残基を復帰させるために行う。TrkB結合性質を保存するのに重要であると予測されたA24T、R72V、およびL79A突然変異を、DP−54フレームワークに導入した。このアミノ酸配列を配列番号111として示し、huTOA−1 VH v1.1と本明細書で呼ぶ。huTOA−1 VH v1.1は、配列番号112中の核酸配列によってコードされる。さらに、ヒト化TOA−1重鎖可変領域を、DP−3ヒト生殖系列受容体フレームワークであって、それがマウスTOA−1重鎖可変領域のフレームワーク領域と実質的に同様であることに基づいて選択された、DP−3ヒト生殖系列受容体フレームワークにグラフトされたマウスTOA−1のCDRを含むように構築した。このアミノ酸配列を配列番号113 huTOA−1 VH v2.0に示す。huTOA−1 VH v2.0は、配列番号114中の核酸配列によってコードされる。同様に、DPK21ヒト生殖系列受容体フレームワークを、ヒト化TOA−1軽鎖可変領域のCDRグラフトバージョンを構築するのに使用した。理由は、この生殖系列フレームワークが、TOA−1軽鎖可変領域と高い配列同一性を呈するためである。このアミノ酸配列を配列番号132 huTOA−1 VL v2.0に示す。huTOA−1 VL v2.0は、配列番号133中の核酸配列によってコードされる。別のヒト化TOA−1軽鎖可変領域を、ヒトDPK9生殖系列受容体フレームワーク領域にグラフトされたマウスTOA−1のCDRを含むように構築した。このアミノ酸配列を配列番号115 huTOA−1 VL v1.0として示す。huTOA−1 VL v1.0は、配列番号116中の核酸配列によってコードされる。さらに、TrkB結合性質を保存するのに重要であると予測されたK42E、A43S、およびY49K突然変異を、TOA−1可変軽鎖領域CDRを含有するDPK9フレームワークに導入した。このアミノ酸配列を配列番号117 huTOA−1 VL v1.1.として示す。huTOA−1 VL v1.1は、配列番号118中の核酸配列によってコードされる。VH v1.0およびVL v1.4を含むhuTOA−1を、huTOA−1およびTAM−163と本明細書で互換的に呼ぶ。DPK9フレームワークに基づく他のバリアントも構築した。対応するヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を、表27に列挙した配列番号によって表す。ヒト化TOA−1抗体のすべての可能なバージョンをコードするDNAをCOS−1細胞内に一過性にトランスフェクトしてタンパク質を生成した。ヒト化TOA−1抗体バリアントを含有する結果として生じる馴化培地を、総ヒトIgGサンドイッチELISAによって定量化した。TrkB結合性質を、ビオチン化キメラTOA−1抗体との競合ELISAを使用して、かつ表面プラズモン共鳴(SPR:Biacore)によって評価した。
huTOA−1バリアントのTrkB結合性質の評価
TrkB結合性質を、ビオチン化キメラTOA−1抗体との競合ELISAアッセイを使用して、huTOA−1バリアントについて評価した。このアッセイ手順について、96−ウェルプレートを4℃にて一晩1μg/mlで、rhTrkB−ECD(R&D #397−TR/CF)で被覆した。次いでプレートを室温にて1時間PBS+0.02% カゼインでブロックした。PBS+0.5% BSA+0.02% tween−20中の25ng/mlのビオチン化キメラTOA−1を、様々な濃度のhuTOA−1バリアントまたは未標識キメラTOA−1と混合し、室温で1時間インキュベートした。ウェルをPBS+0.03% tween−20で4回洗浄した。1:10,000に希釈したストレプトアビジン−HRP(Southern Biotech カタログ#7100−05)を添加し、室温で30分間インキュベートした。ウェルをPBS+0.03% tween−20で4回洗浄し、TMB(BioFx)を添加した。反応を5〜10分間展開し、次いで0.18N H2SO4でクエンチした。450nmの吸光度を判定した。表28に要約した結果は、ヒト化TOA−1 VH バージョン1.0およびVLバージョン1.1が、キメラTOA−1抗体と比べてTrkB結合性質を完全に保持したことを示す(図25、26、および27)。さらなる特徴付けを行って、TOA−1 VLバージョン1.1内に含有したどのマウスフレームワーク残基がTrkBに結合するのに要求されるかを判定した。ヒト化TOA−1 VLバージョン1.4は、単一のマウスフレームワーク残基K49(Kabat番号付け)を含有し、このバージョンは、TOA−1 VLバージョン1.1と同等の活性を有する(図28)。
huTOA−1バリアントの動力学的評価
BIACORE(登録商標)分析を実施して、ヒトおよびマウスTrkBに対するTOA−1およびヒト化TOA−1バリアントについての親和定数を判定した。BIACORE(登録商標)技術は、TOA−1抗体バリアントが層に固定化されたTrkBタンパク質に結合した際の表面層における屈折率の変化を利用する。結合は、表面から屈折するレーザー光の表面プラズモン共鳴(SPR)によって検出する。信号動態オンレートおよびオフレートの分析は、非特異的相互作用と特異的相互作用との識別を可能にする。ヒトおよびマウスTrkB外部ドメインタンパク質(R&D Systems、#397/TR/CFおよび#1494−TB/CF)をCM5チップ上に低密度で固定化し(それぞれ41および30RU)、次いで様々な濃度のTOA−1およびヒト化TOA−1バリアントを表面の上に注入した。表面を注入サイクル間に4M MgCl2で再生した。結果は、ヒト化TOA−1バリアントが、親マウスTOA1抗体およびキメラTOA−1抗体の両方と比べてヒトおよびマウスの両方について同等の親和定数を有することを示し(表29)、これらのヒト化バリアントが完全に保持されたTrkB結合性質を有すること実証する。
抗TrkB抗体のアゴニスト活性
ヒト化抗TrkB TOA−1抗体の、TrkBシグナル伝達カスケードを活性化する能力を、1)TrkBシグナル伝達活性化を監視するための転写レポーター、ならびに2)TrkBシグナル伝達のメディエーターとして公知のhTrkBの自己リン酸化、ならびにERK1/2、AKT、およびPLCγ1のリン酸化の評価を使用して評価した(Friedmanら、Exp Cell Res、1999;253:131〜142に総説されている)。
CRE−ルシフェラーゼレポーター、およびrhuTrkB(nm_006180)またはrmuTrkB(nm_001025074)の両方を発現するHEK−293細胞の安定な細胞株を、標準技法を使用して生成した(Zhangら、2007、Neurosignals、15:29〜39)。安定な細胞株をrhuTrkB−CREおよびrmuTrkB−CREと命名する。
ルシフェラーゼレポーターアッセイを、以下の通り実施した。rhuTrkB−CRE細胞を、白底96−ウェルプレート中の増殖培地(10% FCS−DMEM)中に35,000細胞/100μl/ウェルで蒔いた。翌日、10μl/ウェルのマウスTOA1、ヒト化TOA−1バリアント、またはアイソタイプ対照(mIgG1もしくはhIgG1)抗体を、培地を変更することなくアッセイプレートに10×として添加した。ルシフェラーゼ活性は、製造者のプロトコールに従ってSteady−Gloルシフェラーゼアッセイシステム(Promega、E2520)を使用して16〜18時間後に測定した。簡単に説明すると、培地を100μl/ウェルの1×PBSと置き換えた。次に、100μl/ウェルのSteady−Glo試薬を添加する。プレートをTopSeal(PerkinElmerカタログ番号6005185)で密閉し、A Plate Shaker(IKA Works,Inc.)で、速度600で5分間振盪させる。発光をVICTOR3、1420 Multilabel Counter(Perkin Elmer)を使用して測定した。
リン酸化分析を実施して、TrkBを過剰発現する改変された細胞株(上述したように生成したrhuTrkB−CREおよびrmuTrkB−CRE安定細胞株)、ならびにヒトTrkBを発現する分化したヒトSH−SY5Y神経芽細胞腫細胞内のTrkBシグナル伝達の近位マーカーの活性化を測定した。これらの細胞内のヒトTrkB発現は、抗TrkB抗体(BD Transduction Labsカタログ番号610102)を使用して、以下に記載するように標準技法を使用してウエスタン分析によって確認した。以下で詳述するように、TrkB発現細胞をTOA−1抗体で処置し、ウエスタン分析を実施して、hTrkB(Tyr490)の自己リン酸化、ならびにERK1/2(Thr202/Tyr204)、AKT(Ser473)、p38(Thr180/Tyr182)、およびPLCγ1(Tyr783)のリン酸化を監視した。
BDNFに対する抗体結合エピトープの特徴付け
競合ELISAを使用して、TrkBタンパク質への抗TrkB抗体の結合がどのようにTrkBタンパク質とのBDNF相互作用に影響するかを評価した。
ヒトTrkB上のTOA−1結合部位のマッピング
TrkB上のTOA−1結合部位をさらに描写するために、一連のキメラTrkB−TrkA受容体を生成し、細胞ベースELISAでTOA−1結合について評価した。
TrkA−TrkBキメラ受容体を生成し、標準的な分子クローニング技法を使用して哺乳動物発現ベクターpcDNA3.1(Invitrogen)中にクローニングした。キメラTrkB(d5TrkA)受容体(配列35)を、TrkBのドメイン5と呼ばれる残基284〜377(np_001018074 配列34)を、TrkAドメイン5の残基280〜377(np_002520、配列33)と置き換えることによって生成した。同様に、キメラTrkA(d5TrkB)を、TrkAの残基283〜377をTrkBの残基281〜377(配列36)と置き換えることによって生成した。キメラTrkB(d4TrkA)を、TrkBの残基190〜282をTrkAの残基187〜281(配列37)と置き換えることによって生成した。キメラTrkA(d4TrkB)を、TrkAの残基187〜281をTrkBの残基190〜282(配列38)と置き換えることによって生成した。
ヒト胚腎臓293細胞(ATCC)を、10cm2の組織培養プレート1つ当たり4.5×106細胞で蒔き、37℃で一晩培養する。翌日、製造者プロトコールを使用して試薬とプラスミドDNAの3:1の比でLF2000試薬(Invitrogen、カタログ番号11668−019)を使用して、細胞にキメラTrkA−B発現プラスミドをトランスフェクトする。細胞を、トリプシンを使用してトランスフェクトして48時間後に回収し、リン酸緩衝溶液(PBS)で1回洗浄し、次いで2×106細胞/mlで血清を含まない増殖培地中に懸濁させる。
1μg/mlの抗TrkBまたは対照抗体を、96−ウェルプレートを使用して1% BSAを含有するPBS中で1:3に連続希釈する。無血清増殖培地中2×106細胞/mlの適切なキメラTrkA−B−トランスフェクト293細胞または対照親293細胞 100μlをU底96ウェルプレートに添加して1×105細胞/ウェルを得る。細胞を1600cpmで2分間遠心分離する。上清を1回のスイングで廃棄し、プレートを穏やかにたたいて細胞ペレットを放つ。10% FCSを含有する冷PBS中の希釈した一次抗TrkBまたはアイソタイプ−マッチング対照抗体100μlを細胞に添加し、氷上で1時間インキュベートする。次いで細胞を、希釈した二次抗IgG抗体HRPコンジュゲート(ロバ抗ウサギIgG、Thermo、カタログ番号31458;ヤギ抗マウスIgG FC、Pierce、31439;ヤギ抗ヒトIgG Fc、Pierce、カタログ番号31413)100μlを用いて氷上で1時間染色する。一次抗体および二次抗体インキュベーションの各ステップの後、細胞を氷冷PBSで3回洗浄する。基質TMB1コンポーネント(BIO FX、TMBW−0100−01)100μlをプレートに添加し、室温で10分間インキュベートする。発色を、0.18M H2SO4 100μlを添加することによって停止する。細胞を遠心分離し、上清を新鮮なプレートに移し、450nm(Soft MAX pro 4.0、Molecular Device)で読み取る。
ネコNTRK2(TrkB)cDNAの単離
方法
ネコ(フェリス・ドメスティクス(Felis domesticus))TrkBの単離
TrkBネココード配列を単離し、標準的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を使用してクローニングした。全長ネコ(フェリス・ドメスティクス(Felis domesticus))TrkB配列を、Stratagene Easy−A High−Fidelityシステム(カタログ番号600640)、ならびにプライマーとしてオリゴヌクレオチド、5’GGATCCGCCGCCACCATGTCGTCCTGGACGAGGTGGCATGG(配列番号144)および5’GCGGCCGCCTAGCCCAGAATATCCAGGTAGACCGGAGAT(配列番号145)を使用する示唆されたプロトコールを使用して、ネコ脳cDNAプール(BioChain)から増幅させた。cDNAをpCR2.1−TOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングし、引き続いてBamHIおよびNotI制限酵素部位を用いてpcDNA3.1−Hyg(Invitrogen)中にサブクローニングした。結果として生じるプラスミドを配列決定した(配列番号140、141)。
細胞ベースELISAによって測定した異なる種のTrkBへの抗体結合
細胞ベースELISAを実施して、マウス(nm_001025074)、ネコ、およびイヌTrkB受容体への抗TrkB抗体の結合を評価した。
ヒト胚腎臓293細胞(ATCC)細胞を、10cm2の組織培養プレート1つ当たり5×106細胞で蒔き、37℃で一晩培養する。翌日、製造者のプロトコールを使用して試薬とプラスミドDNAの3:1の比でFugene6(Roche Applied Sciences)を使用して、細胞にヒト、イヌ、またはネコTrkB発現プラスミドをトランスフェクトする。細胞を、Accutase(Millipore)を使用してトランスフェクトして24時間後に回収し、リン酸緩衝溶液(PBS)で1回洗浄し、次いで2×106細胞/mlで0.2%BSAを含むDMEM中に懸濁させる。
10μg/mlの抗TrkBまたは対照抗体を、96−ウェルプレートを使用して0.2% BSAを含有するDMEM中で1:3.17に連続希釈する。上記からの適切なTrkB−トランスフェクト293細胞または対照LacZ−トランスフェクト293細胞50μlをU底96ウェルプレートに添加して1×105細胞/ウェルを得る。プレートを4℃で15分間放置した後、希釈した一次抗TrkBまたはアイソタイプ−マッチング対照抗体50μlを細胞に添加する。細胞および抗体を穏やかなピペット操作によって混合し、次いで4℃で1時間インキュベートする。細胞を、1600cpmで2分間遠心分離することよって氷冷PBSで3回洗浄する。各回に、上清を1回のスイングで廃棄し、プレートを穏やかにたたいて細胞ペレットを放した後、次の緩衝液または培地を添加する。次いで、0.2% BSAを含むDMEM中の希釈した二次抗IgG抗体HRPコンジュゲート(Pierce)100μlを細胞に添加する。細胞を4℃で1時間インキュベートし、上述したように3回洗浄する。染色のために、基質TMB1コンポーネント(BIO FX、TMBW−0100−01)100μlを各ウェルに添加し、室温で5〜30分間インキュベートする。色展開を、0.18M H2SO4 100μlを添加することによって停止する。細胞を遠心分離し、上清を新鮮なプレートに移し、450nm(Soft MAX pro 4.0、Molecular Device)で読み取る。
TrkA、TrkC、およびp75に対する抗TrkB抗体の選択性
複数の実験的手法を使用して、抗TrkB抗体、TOA−1が、ヒトTrkA、TrkC、および低親和性BDNF受容体p75 NTRに対してヒトTrkBについて選択的であることを実証した。
TrkBへのTOA−1選択性を、以下の通り、ビオチン化ヒト化TOA−1、キメラTOA−1、およびマウスTOA−1抗体を用いた組換えヒトTrkA−Fc、TrkB−Fc、またはTrkC−Fcへの直接結合ELISAによって評価した。
90%コンフルエントなHEK293細胞に、製造者の指示に従ってFugene6 (Roche Applied Sciences)を使用して、ヒトTrkB(哺乳動物発現ベクターpcDNA3.1−hyg中にクローニングしたnm_006180に由来するオープンリーディングフレーム、Invitrogen)またはヒトp75NTR(ベクターpSMED2中にクローニングしたNM_002507に由来するオープンリーディングフレーム)を発現するプラスミドを一過性にトランスフェクトした。ヒトTrkBおよびヒトp75NTRの発現をウエスタン分析によって検証した。トランスフェクション後24時間において、細胞を回収し、PBSで洗浄し、PBS/0.5% BSA中に再懸濁させた。2.5×105個のhuTrkBおよびhu p75NTR細胞を以下の通り抗体を用いて染色した。p75NTR検出のために、細胞を1μg/ml マウス抗P75−Alexa488(Millipore MAB5368X)とともに4℃で30分間インキュベートし、その後、遠心分離(5分にわたって1500rpm)によってPBSで洗浄した。TrkB染色のために、細胞を1μg/ml ヒト化TOA−1抗体とともに、4℃で30分間インキュベートし、その後、上述したようにPBSで洗浄した。次に、細胞をFITC標識マウス抗ヒトIgG(Southern Biotech S9670−02)とともに4℃で30分間インキュベートし、その後上述したようにPBSで洗浄した。染色した細胞を、CellQuestソフトウェア(Becton Dickinson)を使用してFACSCaliburで分析した。
細胞ベースELISAを実施して、TOA−1がヒトTrkB受容体に結合するが、p75NTRに結合しないことを評価した。
マウス、キメラ、およびヒト化抗TrkB TOA−1抗体の、TrkBシグナル伝達カスケードを活性化するが、TrkAまたはTrkCカスケードを活性化しない能力を、Trkシグナル伝達のメディエーターとして公知のTrkの自己リン酸化、ならびにERK1/2、AKT、およびPLCγ1のリン酸化を監視することによって評価した(Friedmanら、Exp Cell Res、1999;253:131〜142に総説されている)。
触媒および非触媒TrkBアイソフォームのmRNA発現
機能的試験に備えて、かつ高レベルの内因性TrkBを発現する組織および細胞株を同定するために、TrkBの非触媒アイソフォームと比較した触媒アイソフォームの組織分布を、Taqman定量的PCR(Q−PCR)を使用して検査した。プライマー−プローブ対を、すべてのhTrkBアイソフォームに一般的な細胞外ドメイン(ECD)、または触媒hTrkB−aおよびhTrkB−cアイソフォームに一般的な触媒ドメインを認識するように設計した。検量線を、TrkBプラスミドcDNAを使用して各プライマープローブ対について生成し、生データをTrkB cDNA分子に変換するのに使用した。異なるmRNA試料について同様の効率の逆転写を仮定すると、この数値は、各組織についてのTrkB mRNAの分子を反映する。2つの独立したプライマー−プローブ対を各領域について設計し、同様の結果が両方の対で得られた。表32で分かるように、hTrkBは、脳内で最も高度に発現され、この組織において、TrkBの触媒アイソフォームは、すべてのTrkBアイソフォームの約35%を占める。神経芽細胞腫細胞株SH−SY5Yは、レチノイン酸で分化させたとき、ヒト脳内で見つかるものと同等のレベルのTrkB mRNAを発現し、TrkB mRNAの87%が触媒アイソフォームによって占められた。したがって、この細胞株を、内因性TrkBに対するTAM−163の効果を評価するのに選択した。非神経細胞組織は、すべてのアイソフォームの発現を検査したとき、脳内で見つかるTrkB mRNAレベルの10%未満を示し、触媒アイソフォームの発現は、より低くさえあり、脳内で観察される量の2%未満を構成した。TrkBの最低の発現が末梢血白血球内で観察され、TrkB mRNAは、かろうじて検出可能であった。
組換えhTrkB、hTrkA、およびhTrkCを発現する細胞株内のTAM−163によるシグナル伝達
TAM−163の、TrkBシグナル伝達カスケードを活性化する能力を、1)TrkBシグナル伝達活性化を監視するための転写レポーターアッセイ、2)シグナル伝達分子SHC1のTrkBへの動員を監視するための酵素相補性アッセイ、ならびに3)Trkシグナル伝達のメディエーターとして公知のhTrkBの自己リン酸化、ならびにERK1/2、AKT、およびPLCγ1のリン酸化の評価を使用して評価した。同じアッセイを、TAM−163のTrkAおよびTrkCシグナル伝達経路を活性化する能力を検査するのにも使用した。
TAM−163は、hTrkBを発現する細胞株内でCre−ルシフェラーゼレポーター遺伝子を活性化するが、hTrkAまたはhTrkCを発現する細胞株内で活性化しない。
Cre−ルシフェラーゼ(Cre−luc)転写レポーターアッセイは、TrkBリガンドのCRE応答エレメントを活性化し、したがって、複数の上流シグナル伝達経路を組み込む能力を測定する。このアッセイに使用される細胞株、hTrkB−Cre、hTrkA−Cre、およびhTrkC−Creは、以前に記載されており、適切な内因性リガンドに対して特異的に応答することが示された(Zhangら、Neurosignals.、2006−2007;15(1):26〜39、Qianら、J Neurosci.、2006年9月13日;26(37):9394〜9403)。hTrkB−Cre細胞をTAM−163で処置すると、ルシフェラーゼ活性が用量依存的に増大し、EC50は、0.2nMであり、最大増大倍率は、5倍であった(図38)。同じ実験において、ヒトBDNF(Peprotech、Rocky Hill、NJ)は、5.2nMのEC50および7.5倍の最大増大倍率を示し、一方、hIgG対照抗体は、効果を有さなかった(図38)。実験間で、EC50および最大誘導倍率は、TAM−163について0.10nM〜0.79nMおよび2.5〜5.4倍、ならびにヒトBDNFについて5.2〜8.2nMおよび6〜7.5倍の範囲であった。hTrkB Cre−lucレポーターアッセイにおいて複数回試験したTAM−163の異なるロットについての個々の活性データを以下に示す(表33)。すべてのアッセイにわたって平均すると、このアッセイにおけるTAM−163のEC50値は、0.37±0.06nMであると判定され、誘導倍率は、4.2±0.3であった。
TAM−163は、hTrkBを発現する細胞内でSHC1動員を媒介するが、hTrkAまたはhTrkCを発現する細胞内で媒介しない
TAM−163のhTrkA、hTrkB、およびhTrkCを活性化する能力も、酵素相補性アッセイでアッセイした(図40;表34)。このアッセイは、Discoverx Pathhunter技術を使用してU20S細胞内の自己リン酸化TrkBへのシグナル伝達分子SHC1の動員を監視する。TAM−163は、Cre−ルシフェラーゼレポーターアッセイで観察されたものと同様の効力を伴って、このアッセイにおいてhTrkBを活性化した(EC50=0.67nM)(図40;表34)。Cre−ルシフェラーゼアッセイと同様に、TAM−163によって誘導された最大信号は、BDNFで観察された最大信号より有意に低く、TAM−163がこのアッセイにおいて部分アゴニストであることを示唆した。重要なことに、TAM−163は、最大で670nMの濃度でhTrkAまたはhTrkCを活性化せず、一方、これらの受容体の内因性リガンドは、非常に低い濃度で強い活性化を示した(図40;表34)。hTrkA、hTrkB、およびhTrkCは、このアッセイにおいて著しく広いアレイの内因性Trkリガンドによって活性化された。それは、アッセイした特定のシグナル伝達経路(SHC1動員)、細胞バックグラウンド(U2OS細胞)、またはPathhunterシステムの特質を反映し得る(このアッセイは、小さいペプチドエピトープに融合したhTrkB−aアイソフォームを使用し、一方、本発明者らの他のアッセイは、天然hTrkB−cアイソフォームで行う)。TAM−163は、このアッセイにおける内因性リガンドの明らかな緩和された特異性にもかかわらずhTrkAおよびhTrkCを交差活性化(crossactivate)しなかったことは注目すべきである。
TAM−163は、hTrkBを発現する細胞内でTrk依存性リン酸化事象を活性化するが、hTrkAまたはhTrkCを発現する細胞内で活性化しない。
TrkBの下流のシグナル伝達事象を直接監視するために、本発明者らは、ウエスタンブロッティングを使用した。TrkB(Y490)の自己リン酸化、ならびにERK1/2(Thr202/Tyr204)、PLCγ1(Tyr783)、およびAKT(Ser473)を含めたTrkBの下流のシグナル伝達分子のリン酸化を、上述したhTrkA−Cre、hTrkB−Cre、およびhTrkC−Cre細胞株を使用して評価した。TAM−163は、hTrkB−Cre細胞内でTrkB(Y490)、ERK1/2(Thr202/Tyr204)、PLCγ1(Tyr783)、およびAKT(Ser473)の用量依存的リン酸化を誘導したが、hIgG対照抗体は、それを誘導しなかった(図42)。
TAM−163は、内因性hTrkBを発現するヒト神経芽細胞腫細胞株内でTrk依存性リン酸化事象を活性化する。
TAM−163の内因性TrkBを発現する細胞内でシグナル伝達する能力を検査するために、本発明者らは、分化したヒト神経芽細胞腫SH−SY5Y細胞を使用した。TAM−163は、これらの細胞内で、用量依存的な様式でERK1/2、PLCγ1、およびAKTのリン酸化を誘導したが、hIgG対照抗体は、それを誘導しなかった。効果は、1nM以上のTAM−163の濃度で明らかとなった(図43)。BDNFと比較して、TAM−163は、いくぶん強力でないと思われ、リン酸化の有意により低い最大刺激を示し、TAM−163がこのシステムにおいて部分アゴニストであることを示唆した。
TAM−163は、hTrkBの内部移行および分解を誘導する
BDNFは、TrkBの内部移行および分解を媒介すると報告されている。本発明者らは、組換え(hTrkB−Cre)または内因性(SH−SY5Y)TrkBを発現する細胞株を使用してTrkBの内部移行および分解に対するTAM−163の効果を検査した。内部移行を監視するために、細胞を、示した時間にわたってTAM−163またはBDNFで活性化し、次いで細胞表面タンパク質を、ビオチンで標識し、ストレプトアビジン親和性精製によって単離し、細胞表面TrkBタンパク質をウエスタンブロッティングによって同定した。このアッセイにおいて、ビオチン化TrkBは、活性化後に細胞表面上に残っているTrkBを表す。図44で分かるように、TAM−163は、組換えTrkB(hTrkB−Cre)を発現する細胞、および内因性TrkB(SH−SY5Y)を発現する細胞内でTrkBのかなりの内部移行を誘導したが、対照hIgG抗体は、それを誘導しなかった。TAM−163は、無関係のタンパク質(EGF−受容体、NMDA−受容体)の細胞表面レベルに影響しなかった。TAM−163によって誘導されるTrkB内部移行の時間経過および量は、hTrkB−CreおよびSH−SY5Y細胞の両方においてBDNFと同等であった(図44)。
TAM−163は、ヒトp75NTRに結合しない
TAM−163のヒトp75NTRへの交差反応性を、hTrkBまたはヒトp75NTRを一過性にトランスフェクトしたHEK293細胞を使用して、蛍光活性化細胞選別装置(FACS)分析によって検査した。TAM−163(6.7nM)は、対照空ベクターをトランスフェクトした細胞と比較して蛍光の増大によって証明されるように、hTrkBをトランスフェクトした細胞に特異的に結合することができた(図46)。TAM−163は、ヒトp75NTRをトランスフェクトした細胞へのいずれの結合も示さず、実際には、染色は、対照のトランスフェクトした細胞と比較してわずかにより低かった(図46、上のパネル)。p75NTRが実際に発現され、細胞表面に存在したことを検証するために、細胞をALEXA−標識抗p75NTR抗体で染色した。図46、下のパネルで分かるように、抗p75NTR抗体は、p75NTRを発現する細胞を強く染色したが、hTrkBまたは対照ベクターを発現する細胞を染色しなかった。
サル、マウス、イヌ、およびネコTrkBとのTAM−163の交差反応性
カニクイザルTrkBについての配列情報が利用可能でないので、本発明者らは、標準的なクローニング生物学技法および鋳型として脳を使用してこの種に由来するTrkB cDNAを単離した。配列決定は、TrkB−cおよびTrkB−aアイソフォームの両方の存在を明らかにし、クローンの大部分(8/10)は、TrkB−cアイソフォームを含有した。カニクイザルTrkB cDNA配列のヒトTrkB配列との比較は、シグナル配列中の1つのアミノ酸変化を例外として、成熟したカニクイザルTrkBタンパク質は、ヒトTrkBのアミノ酸配列において同一であることを示す。アカゲザルTrkB配列(XP_001107264として公共データベースにおいて利用可能)は、成熟したヒトTrkBと同一であることが見出される(示さず)。サルTrkBタンパク質は、ヒトと同一であるので、上記に示したすべてのヒトTrkB結合およびシグナル伝達データは、サルTrkBに同等に適用可能である。
感覚神経性難聴におけるTrkB:
一時的および永続的な難聴を、強烈な音への過剰曝露、化学誘導損傷、または老化から起こる神経変性(老人性難聴)を含めた様々な源によって誘導する。Liberman、2009、J.Neurosci.、29(45):14077〜14085からの最近の証拠は、リボンシナプスが急性騒音曝露後の、および老人性難聴においての両方の傷害の原因の第1の部位であることを示唆する。このリボンシナプス損傷は、らせん神経節ニューロン(SGN)および毛髪細胞消失に先行し、リボンシナプスを難聴介入の誘引性の標的にする。
結論
本データは、TAM−163がTrkBシグナル伝達カスケードのすべての態様を活性化するヒトTrkBの強力で特異的なアゴニストであることを実証する。TAM−163の効力(EC50)は、内因性TrkBリガンドBDNFと同等であるが、最大効果は、BDNFで観察されるものより低く(アッセイに応じて最大信号の約50〜80%)、TAM−163がヒトTrkBの部分アゴニストであることを示唆する。TAM−163は、BDNFと同様の様式でヒトTrkBの内部移行および分解を誘導する。TAM−163は、細胞−表面結合実験においてヒトTrkA、ヒトTrkC、またはヒトp75NTRと交差反応せず、ヒトTrkAまたはTrkCを発現する細胞株内でシグナル伝達を誘導しない。TAM−163は、ヒトTrkBに対するその効果と同様に、低ナノモル濃度でマウスおよびイヌTrkBに結合し、これらを活性化する。サルTrkBは、ヒトTrkBと100%同一であるので、TAM−163はまた、サルTrkBと完全に交差反応する。正常なヒト組織内のTrkBの触媒アイソフォームおよびすべてのTrkBアイソフォームのmRNA発現を検査すると、TrkBの触媒アイソフォームは、脳内で最も高度に発現され、ヒト神経芽細胞腫細胞株SH−SY5Yを、内因性TrkBによって媒介されるシグナル伝達を検査するのに使用することができることが確認される。
E77.本発明の77番目の実施形態(E77)によれば、ヒトチロシン受容体キナーゼB(huTrkB)に特異的に結合する単離されたhuTrkB抗体であって、VH領域は、配列番号51、配列番号111、および配列番号113からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、VLドメインは、配列番号53、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、および配列番号132からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、単離されたhuTrkB抗体が提供されている。
E78.VH領域が、配列番号51のアミノ酸を含み、VH領域が、配列番号53のアミノ酸配列を含む、E77に記載の抗体。
E79.IgG1サブクラスである、E77からE78のいずれか1つに記載の抗体。
E80.HCが配列番号75を含み、LCが配列番号78を含む、E77からE79のいずれか1つに記載の抗体。
E81.ヒトチロシン受容体キナーゼB(huTrkB)に特異的に結合する単離されたhuTrkB抗体であって、VH領域は、配列番号110、配列番号111、および配列番号113からなる群から選択される配列によってコードされるアミノ酸配列を含み、VL領域は、配列番号123、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、および配列番号133からなる群から選択される配列を含む核酸によってコードされる、単離されたhuTrkB抗体。
E82.VH領域が、配列番号110を含む核酸によってコードされ、VL領域が、配列番号123を含む核酸によってコードされる、E77からE81のいずれか1つに記載の抗体。
E83.E77からE82のいずれか1つに記載の抗体をコードする核酸。
E84.VH領域が、配列番号110、配列番号111、および配列番号113からなる群から選択される配列を含む核酸によってコードされ、VL領域が、配列番号123、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、および配列番号133からなる群から選択される配列を含む核酸によってコードされるE77からE82のいずれか1つに記載の抗体をコードする核酸。
E85.VH領域が、配列番号110を含む核酸によってコードされ、VL領域が、配列番号123を含む核酸によってコードされるE77からE82のいずれか1つに記載の抗体をコードする核酸。
E86.E83からE85のいずれか1つに記載の核酸を含むベクター。
E87.E83からE86のいずれか1つに記載の抗体をコードする核酸を含むベクター。
E88.E83からE85のいずれか1つに記載の核酸を含む細胞。
E89.E86からE87のいずれか1つに記載のベクターを含む細胞。
E90.E77からE82のいずれか1つに記載の抗体を発現する細胞。
E91.E83からE85のいずれか1つに記載の核酸を含む細胞。
E92.抗体を生成する方法であって、抗体発現に貢献する条件下でE88からE91のいずれか1つに記載の細胞を培養することと、前記細胞に前記抗体を発現させることとを含む、方法。
E93.E77からE82のいずれか1つに記載の抗体、および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物。
E94.個体における難聴を処置する方法であって、治療有効量のE93に記載の医薬組成物を個体に投与することを含む、方法。
E95.個体におけるさらなる難聴を防止する方法であって、治療有効量のE93に記載の医薬組成物を個体に投与することを含む、方法。
E96.難聴が、突然の難聴、年齢関連難聴、騒音誘導難聴、薬物誘導難聴、および聴覚の遺伝子障害からなる群から選択される、E94から95のいずれか1つに記載の方法。
E97.難聴が、聴覚神経細胞死によって特徴付けられる、E94からE96のいずれか1つに記載の方法。
E98.聴覚神経細胞死が、TrkB活性化によって最小限にされる、または阻害される、E94からE97のいずれか1つに記載の方法。
E99.聴覚神経細胞死が、リボンシナプスで起こる、E94からE98のいずれか1つに記載の方法。
E100.蝸牛の性能を改善する、E94からE99のいずれか1つに記載の方法。
E101.難聴を処置するのに使用するための、E77からE82のいずれか1つに記載の抗体。
E102.個体におけるさらなる難聴の防止において使用するための、E77からE82のいずれか1つに記載の抗体。
E103.難聴が、突然の難聴、年齢関連難聴、騒音誘導難聴、薬物誘導難聴、および聴覚の遺伝子障害からなる群から選択される、E101から102のいずれか1つに記載の抗体。
E104.難聴が、聴覚神経細胞死によって特徴付けられる、E101からE103のいずれか1つに記載の抗体。
E105.聴覚神経細胞死が、TrkB活性化によって最小限にされ、または阻害される、E104に記載の抗体。
E106.聴覚神経細胞死が、リボンシナプスで起こる、E104からE105のいずれか1つに記載の抗体。
E107.難聴を有する個体への抗体の投与が、蝸牛の性能を改善する、E101からE106のいずれか1つに記載の抗体。
E108.難聴を処置するのに使用するための、E93に記載の医薬組成物。
E109.個体におけるさらなる難聴を防止するのに使用するための、E93に記載の医薬組成物。
E110.難聴が、突然の難聴、年齢関連難聴、騒音誘導難聴、薬物誘導難聴、および聴覚の遺伝子障害からなる群から選択される、E108から109のいずれか1つに記載の医薬組成物。
E111.難聴が、聴覚神経細胞死によって特徴付けられる、E108からE110のいずれか1つに記載の医薬組成物。
E112.聴覚神経細胞死が、TrkB活性化によって最小限にされる、または阻害される、E111に記載の医薬組成物。
E113.聴覚神経細胞死が、リボンシナプスで起こる、E111からE112のいずれか1つに記載の医薬組成物。
E114.難聴を有する個体への抗体の投与が、蝸牛の性能を改善する、E108からE113のいずれか1つに記載の医薬組成物。
E115.E1から71、およびE77からE107のいずれか1つに記載の抗体。
Claims (24)
- (i)第1のCHCL界面で相互作用して第1のCHCLドメイン(CHCL)を形成する、第1のCH1ドメイン(CH1)および第1のCLドメイン(CL);
(ii)第2のCHCL界面で相互作用して第2のCHCLドメイン(CHCL)を形成する、第2のCH1ドメイン(CH1)および第2のCLドメイン(CL)
を含むヘテロ二量体タンパク質であって、
第1のCH1は、第1のCH1中の少なくとも1つのCH1突然変異残基だけ第2のCH1と異なるように改変されており;第1のCLは、第1のCL中の少なくとも1つのCL突然変異残基だけ第2のCLと異なるように改変されており;
その結果、第1のCHCLのCH1突然変異残基およびCL突然変異残基は、第2のCHCL上の対応する残基位置に優先して互いに相互作用し、第1のCH1および第1のCLの相互作用している突然変異残基は、それによって第1の相補的残基セットを形成し、
第1のCH1は、第1の可変重鎖ドメイン(VH)に付着されており、第1のCLは、第1の可変軽鎖ドメイン(VL)に付着されており、第2のCH1は、第2のVHに付着されており、第2のCLは、第2のVLに付着されており、その結果、組み合わされたとき、第1のVH、第1のVL、第1のCH、および第1のCLは一緒に、第1のFabを形成し、組み合わされたとき、第2のVH、第2のVL、第2のCH1、および第2のCLは、第2のFabを形成し、
第1のFabおよび第2のFabの優先的な形成は、可変ドメインの相補的対合を利用しない、ヘテロ二量体タンパク質。 - 第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、225Å2未満である、請求項1に記載のヘテロ二量体タンパク質。
- 第2のCH1が、第2のCH1中の少なくとも1つのCH1突然変異残基だけ第1のCH1と異なるように改変されており;第2のCLが、第2のCL中の少なくとも1つのCL突然変異残基だけ第1のCLと異なるように改変されており;その結果、第2のCHCLのCH1突然変異残基およびCL突然変異残基が、第1のCHCL上の対応する残基位置に対して互いに優先的に相互作用し、第2のCH1および第2のCLの相互作用している突然変異残基が、それによって第2の相補的残基セットを形成する、請求項1または2に記載のヘテロ二量体タンパク質。
- 第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、225Å2未満である、請求項3に記載のヘテロ二量体タンパク質。
- 第1の相補的残基セットの突然変異残基が、第2の相補的残基セットの突然変異残基と異なる、請求項2から4のいずれか一項に記載のヘテロ二量体タンパク質。
- 第1のCHCLおよび第2のCHCLの形成が、第1のCH1および第2のCL、または第2のCH1および第1のCLから構成されるCHCLの形成に対して、少なくとも4倍優先的に起こる、請求項1から5のいずれか一項に記載のヘテロ二量体タンパク質。
- CLドメインの少なくとも1つが、カッパドメインである、請求項1から6のいずれか一項に記載のヘテロ二量体タンパク質。
- 相補的残基セットが、一方のドメイン中に正または負に荷電した残基、および他方のドメイン中に極性残基、または逆に荷電した残基を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のヘテロ二量体タンパク質。
- 相補的残基セットの場所が、
(i)CH1−124およびCL−176;
(ii)CH1−188およびCL−178;
(iii)CH1−143およびCL−178;
(iv)CH1−143およびCL−131;
(v)CH1−221およびCL−123;
(vi)CH1−145およびCL−131;
(vii)CH1−179およびCL−131;
(viii)CH1−186およびCL−131;および
(ix)CH1−188およびCL−133
からなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載のヘテロ二量体タンパ
ク質。 - CH1位置の突然変異が、W、H、K、R、S、およびTからなる群から選択され、CL位置の突然変異が、S、M、D、およびEからなる群から選択され、またはCH1位置の突然変異が、EおよびDからなる群から選択され、CL位置の突然変異が、H、K、およびRからなる群から選択される、請求項9に記載のヘテロ二量体タンパク質。
- 相補的残基セットが、CH1−143D、CH1−145S、CH1−186A、CH1−186E,CH1−188G、CH1−143S、CH1−190S、CH1−190I、CL−133S、CL−135I、CL−176G、CL−176M、CL−178G、およびCL−178Sからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異をさらに含む、請求項10に記載のヘテロ二量体タンパク質。
- 第1および第2の相補的残基セットが、以下の群:
(i)CH1−124K、CL−176D、CH1−190S、CL−133S;
(ii)CH1−124K、CL−176D、CL−133S;
(iii)CH1−124E、CL−176K;
(iv)CH1−124E、CL−176K、CH1−188G;
(v)CH1−188E、CL−178K、CH1−143E;
(vi)CH1−188K、CL−178D、CH1−143D;
(vii)CH1−143K、CL−178D;
(viii)CH1−143D、CL−178R;
(ix)CH1−143K、CL−178D;
(x)CH1−143D、CL−178K;
(xi)CH1−143D、CL−178K、CL−176M;
(xii)CH1−143E、CL−131R;
(xiii)CH1−143R、CL−131E;
(xiv)CH1−143R、CL−131E、CH1−186A;
(xv)CH1−221D、CL−123K;
(xvi)CH1−221D、CL−123K、CH1−190I、CL−135I;
(xvii)CH1−145E、CL−131H;
(xviii)CH1−143H、CH1−179D、CH1−186E、CL−131H;
(xix)CH1−145E、CL−131H;
(xx)CH1−186E、CL−131H、CH1−145S;
(xxi)CH1−143S、CL−131D、CH1−188W、CL−133S、CL−178S;
(xxii)CH1−143S、CH1−188W、CL−133M、CL−176G、CL−178G;
(xxiii)CH1−143H、CH1−179D、CH1−186E、CL−131H、CH−190I、CL−135I,;
(xxiv)CH−186E、CL−131H、CH−145S;
(xxv)CH1−143S、CL−131D、CH1−188W、CL−133S、CL−176C;
(xxvi)CH1−143S、CH1−188W、CL−133M、CL−178G、CL−176G;
(xxvii)CH1−143S、CH1−188W、CL−131D
のうちの2つから選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載のヘテロ二量体タンパク質。 - 第1のCH1と第1のCLおよび/または第2のCH1と第2のCLとの間に改変されたジスルフィド結合を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のヘテロ二量体タンパク質。
- 改変されたジスルフィド結合が、以下の位置:
(i)CH1−122およびCL−123;
(ii)CH1−139およびCL−116;ならびに
(iii)CH1−174およびCL−176
の1つまたは複数に位置している、請求項13に記載のヘテロ二量体タンパク質。 - 野生型ジスルフィド結合が、第1のCHCLおよび/または第2のCHCL上で、CH1−C230およびCL−214の一方または両方を、Cを除く任意の残基に突然変異させることによって除去されており、第1および/または第2のCH1−C230ならびに第1および/または第2のCL−C214が、Sに突然変異されている、請求項13または14に記載のヘテロ二量体タンパク質。
- 第1のCHCLが、以下の群:
(i)CH1−124K、CL−176D、CH1−190S、CL−133S;
(ii)CH1−124K、CL−176D、CL−133S;
(iii)CH1−124E、CL−176K、CL−133S;
(iv)CH1−124E、CL−176K、CH1−188G、CL−133S;
(v)CH1−188E、CL−178K、CH1−143E;
(vi)CH1−188K、CL−178D、CH1−143D;
(vii)CH1−143K、CL−178D;
(viii)CH1−143D、CL−178R;
(ix)CH1−143K、CL−178D;
(x)CH1−143D、CL−178K;
(xi)CH1−143D、CL−178K、CL−176M;
(xii)CH1−143E、CL−131R;
(xiii)CH1−143R、CL−131E;
(xiv)CH1−143R、CL−131E、CH1−186A;
(xv)CH1−221D、CL−123K;
(xvi)CH1−221D、CL−123K、CH1−190I、CL−135I、CH1−174C、CH1−230S、CL−176C、CL−214S;
(xvii)CH1−145E、CL−131H;
(xviii)CH1−143H、CH1−179D、CH1−186E、CL−131H;
(xix)CH1−122C、CH1−145E、CH1−230S、CL−123C、CL−131H、CL−214S;
(xx)CH1−186E、CL−131H、CH1−145S;
(xxi)CH1−143S、CL−131D、CH1−188W、CL−133S、CL−178S;
(xxii)CH1−143S、CH1−188W、CL−133M、CL−176G、CL−178G;
(xxiii)CH1−143H、CH1−179D、CH1−186E、CL−131H、CH−190I、CL−135I、CH1−174C、CH1−230S、CL−176C、CL−214S;
(xxiv)CH−186E、CL−131H、CH−145S、CH1−139C、CH1−230S、CL−116C、CL−214S;
(xxv)CH1−143S、CL−131D、CH1−188W、CL−133S、CL−178S、CH1−174C、CH1−230S、CL−176C、CL−214S;
(xxvi)CH1−143S、CH1−188W、CH1−122C、CH1−230S、CL−133M、CL−178G、CL−176G、CL−123C、CL−214S;
(xxvii)CH1−143S、CH1−188W、CH1−122C、CH1−139C、CH1−174C、CH1−230S、CL−133S、CL−178S、CL−131D、CL−116C、CL−123C、CL−176C、CL−214S
の1つに由来する残基を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載のヘテロ二量体タンパク質。 - 第2のCHCLが、群(i)〜(xxvii)の1つからの残基を含み、ただし、第1および第2のCHCLがともに、同じ群からの残基を含むことはない、請求項18に記載のヘテロ二量体タンパク質。
- 第1のCH3ドメイン(CH3)および第2のCH3が、それぞれ第1のCH3突然変異残基および第2のCH3突然変異残基を含むように、第1のCH1が、第1のCH3に接続されている第1のCH2ドメイン(CH2)に接続されており、第2のCH1が、第2のCH3に接続されている第2のCH2に接続されており、第1のCH3突然変異残基および第2のCH3突然変異残基が、互いに異なり、かつ互いに優先的に相互作用するように改変されており、それによってCH3ホモ二量体の形成より多くCH3ヘテロ二量体を形成する、請求項1から17のいずれか一項に記載のヘテロ二量体タンパク質。
- 第1のCHCLが、CH1−124K、CL−176D、CH1−190S、およびCL−133Sを含み、第2のCHCLが、CH1−124E、CL−176K、CH1−188G、およびCL−133Sを含む、請求項1から18のいずれか一項に記載のヘテロ二量体タンパク質を含む二重特異性抗体。
- 請求項1から19のいずれか一項に記載のヘテロ二量体タンパク質をコードする核酸。
- 請求項20に記載の核酸を含むベクター。
- 請求項21に記載の核酸を含み、または請求項20に記載のベクターを含む細胞。
- 請求項1から18のいずれか一項に記載のヘテロ二量体タンパク質を作製する方法であって、
(i)細胞株に1種または複数のベクターをコトランスフェクトして、第1のCHCLの第1のCH1、第1のCL、ならびに第2のCHCLの第2のCH1および第2のCLを発現させることと;
(ii)1種または複数のベクターを発現させる、かつ第1のCHCLおよび第2のCHCLをアセンブルさせる条件下で細胞株を培養することと;
(iii)細胞培養液からヘテロ二量体タンパク質を精製することと
を含む、方法。 - 細胞株に、第1のCH1、第1のCL、第2のCH1、および第2のCLを1:1:1:1の比で発現するベクターがコトランスフェクトされる、請求項23に記載の方法。
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