JP6868394B2 - 二重特異性抗体 - Google Patents

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Description

本発明は、改変された二重特異性抗体、および関連したポリペプチド、これらの多量体形態、ならびにこのようなタンパク質を作製する方法に関する。
少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有する抗体は、二重特異性抗体(BsAb)と呼ばれ、改変されてきた。2つの同一のヘテロ二量体(すなわち、軽鎖部分および重鎖部分)「アーム」を含み、各アームが抗原結合部位(例えば、Fab領域)を含む古典的な抗体と異なり、二重特異性抗体は、2つのアームのそれぞれの中に異なる配列(例えば、Fab領域)を有し、その結果、Y形状分子の各アームは、異なる抗原または同じ抗原の異なるエピトープに結合する。
同じ抗原の2つの異なる抗原分子または異なるエピトープに結合することによって、BsAbは、in vitroおよびin vivoの診断薬および免疫療法のための標的化剤として多種多様な臨床用途をもたらす。二重特異性抗体は、がんを含めた様々な疾患状態のin vitroまたはin vivo診断にとっても有利である。例えば、BsAbの一方のアームを腫瘍関連抗原に結合するように改変することができ、他方のアームを検出可能マーカーに結合するように改変することができる。
BsAbは、患者の細胞免疫防御機構を腫瘍細胞または感染性病原体(例えば、HIVもしくはインフルエンザウイルスなどのウイルス感染細胞;トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)などの原生動物)に向けるのに使用することができる。特に、BsAbの一方のアームを所望の標的(例えば、腫瘍細胞または病原体)に結合するように改変し、BsAbの他方のアームを細胞傷害性トリガー分子、例えば、T細胞受容体またはFcガンマ受容体などに結合するように改変し、それによって下流の免疫エフェクター経路を活性化することによって、免疫モジュレート細胞傷害性を向け直すことができる。このストラテジーを使用して、FcガンマRIIIに結合するBsAbは、in vitroでナチュラルキラー(NK)細胞/大型顆粒リンパ球(LGL)細胞によって腫瘍細胞死滅を媒介し、in vivoで腫瘍増殖を防止することが示された。代わりに、治療指標に関連した2つの別個の抗原または標的を標的化すると、特異性を増強し、望まれない相互作用を低減し、それによって治療指数を広げることができる。
二重特異性抗体は、カノニカルな二価の単一特異性の古典的な抗体に対してある特定の利点を有するが、二重特異性抗体の使用は、十分な量および純度でBsAbを得ることにおける費用によって妨げられている。
多重特異性タンパク質、例えば、二重特異性抗体および他のヘテロ二量体またはヘテロ多量体を生成するために、ホモ多量体より所望のヘテロ多量体の形成を優遇する方法を使用することが望ましい。Fc含有BsAbを得るための一方法は、相変わらず2つの抗体が同時発現されるハイブリッドハイブリドーマ技法である。しかし、この手法は、収率および純度に関して非効率であり、所望のヘテロ多量体は、不適切に対合したポリペプチド鎖を含む相対的に大きいレベルの混入物からさらに精製することが困難であることが多い。
ヘテロ多量体形成を優遇し、不適切なマッチングを低減する他の技法は、C3ドメイン界面における多量体化ドメイン中で立体的に相補的な突然変異を改変し、Ridgwayら(US5731168)およびMerchantら(US7183076)によって記載されたように「ノブイントゥホール」ストラテジーと呼ばれる。
ヘテロ二量体形成を促進するために両方のC3ドメイン中でC3−C3界面を構成する1つまたは複数の残基を荷電アミノ酸と置き換える技法も、Stropら(WO2011/143545)によって記載されている。
最近の総説にはまた、二重特異性抗体を生成するときの鎖会合問題を克服するための様々な手法が論じられている(Kleinら、mAbs、4(6):653〜663(2012))。
しかし、これらの技法のほとんどは、重鎖ポリペプチドの適切な対合を保証することを対象とし、機能的な抗原結合部位をもたらすために各軽鎖ポリペプチドをその対応する重鎖ポリペプチドとさらにマッチングすることに対処していない。したがって、所望の二重特異性抗体の生成は、製品の高いコストに起因して商業的に実現可能でない技術的に困難で高価なプロセスのままである。
したがって、BsAbが組換え細胞培養液から直接かつ/もしくは効率的に発現および回収されることを可能にし、かつ/または商業的に合理的なコストで効率的な収率および純度を伴って生成され得る二重特異性抗体断片および/または全長BsAbを改変するための方法について、当技術分野において長年の切実な必要性が存在する。
E1.本発明の第1の実施形態によれば、
(i)第1のC1ドメイン(C1)および第1のCドメイン(C)を含む第1のCドメイン(C)であって、第1のC1および第1のCは第1のC界面で相互作用する、第1のCドメイン(C);
(ii)第2のC1および第2のCを含む第2のCであって、第2のC1および第2のCは第2のC界面で相互作用する、第2のC
を含むヘテロ二量体タンパク質であって、第1のC1は第1のC1中の少なくとも1つのC1突然変異残基だけ第2のC1と異なり;第1のCは第1のC中の少なくとも1つのC突然変異残基だけ第2のCと異なり;
その結果、第1のCのC1突然変異残基およびC突然変異残基は、第2のC上の対応する残基位置に優先して互いに相互作用し、第1のC1および第1のCの相互作用している突然変異残基は、それによって第1の相補的な残基セットを形成する、ヘテロ二量体タンパク質が提供されている。
以下に記載されているのは、本発明のこの第1の実施形態のいくつかのさらなる実施形態(E)であり、便宜上、E1は第1の実施形態と同一である。
E2.第2のC1が、第2のC1中の少なくとも1つのC1突然変異残基だけ第1のC1と異なり;第2のCが、第2のC中の少なくとも1つのC突然変異残基だけ第1のCと異なり;
その結果、第2のCのC1突然変異残基およびC突然変異残基が、第1のC上の対応する残基位置に優先して互いに相互作用し、第2のC1および第2のCの相互作用している突然変異残基が、それによって第2の相補的な残基セットを形成する、E1に記載のヘテロ二量体タンパク質。
E3.
(i)第1のC界面で相互作用して第1のCドメイン(C)を形成する、第1のC1ドメイン(C1)および第1のCドメイン(C);
(ii)第2のC界面で相互作用して第2のCドメイン(C)を形成する、第2のC1ドメイン(C1)および第2のCドメイン(C
を含むヘテロ二量体タンパク質であって、第1のC1は、第1のC1中の少なくとも1つのC1突然変異残基だけ第2のC1と異なるように改変されており;
第1のCは、第1のC中の少なくとも1つのC突然変異残基だけ第2のCと異なるように改変されており;
その結果、第1のCのC1突然変異残基およびC突然変異残基は、第2のC上の対応する残基位置に優先して互いに相互作用し、第1のC1および第1のCの相互作用している突然変異残基は、それによって第1の相補的な残基セットを形成する、ヘテロ二量体タンパク質。
E4.第2のC1が、第2のC1中の少なくとも1つのC1突然変異残基だけ第1のC1と異なるように改変されており;第2のCが、第2のC中の少なくとも1つのC突然変異残基だけ第1のCと異なるように改変されており;その結果、第2のCのC1突然変異残基およびC突然変異残基が、第1のC上の対応する残基位置に対して互いに優先的に相互作用し、第2のC1および第2のCの相互作用している突然変異残基が、それによって第2の相補的な残基セットを形成する、E3に記載のヘテロ二量体タンパク質。
E5.第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、225Å未満である、E1からE4のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E6.第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、220Å未満である、E1からE5のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E7.第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、150Å未満である、E1からE6のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E8.第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、100Å未満である、E1からE7のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E9.第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、50Å未満である、E1からE8のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E10.第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、20Å未満である、E1からE9のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E11.第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、10Å未満である、E1からE10のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E12.第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、5Å未満である、E1からE11のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E12.第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、1Å未満である、E1からE12のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E13.第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、225Å未満である、E1からE12のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E14.第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、220Å未満である、E1からE13のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E15.第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、150Å未満である、E1からE14のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E16.第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、100Å未満である、E1からE15のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E17.第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、50Å未満である、E1からE16のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E18.第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、20Å未満である、E1からE17のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E19.第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、10Å未満である、E1からE18のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E20.第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、5Å未満である、E1からE19のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E21.第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、1Å未満である、E1からE20のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E21.第1または第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、約0Åである、E1からE20のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E22.第1の相補的残基セットの突然変異残基が、第2の相補的残基セットの突然変異残基と異なる、E1からE21のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E23.第1のCおよび第2のCの形成が、第1のC1および第2のC、または第2のC1および第1のCから構成されるCの形成に対して優先的に起こる、E1からE22のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E24.第1のCおよび第2のCの形成が、第1のC1および第2のC、または第2のC1および第1のCから構成されるCの形成に対して、少なくとも約4倍優先的に起こる、E1からE23のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E25.第1のC1が、第1の可変重鎖ドメイン(V)に付着されており、第1のCが、第1の可変軽鎖ドメイン(V)に付着されており、第2のC1が、第2のVに付着されており、第2のCが、第2のVに付着されている、E1からE24のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E26.第1のCおよび第2のCの優先的な形成が、可変ドメインの相補的対合を利用しない、E1からE25のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E27.第1のCおよび第2のCの形成が、第1のC1および第2のC、または第2のC1および第1のCから構成されるCの形成に対して、少なくとも約5倍優先的に起こる、E1からE26のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E28.第1のCおよび第2のCの形成が、第1のC1および第2のC、または第2のC1および第1のCから構成されるCの形成に対して、少なくとも約6倍優先的に起こる、E1からE27のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E29.第1のCおよび第2のCの形成が、第1のC1および第2のC、または第2のC1および第1のCから構成されるCの形成に対して、少なくとも約8倍優先的に起こる、E1からE28のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E30.第1のCおよび第2のCの形成が、第1のC1および第2のC、または第2のC1および第1のCから構成されるCの形成に対して、少なくとも約10倍優先的に起こる、E1からE29のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E31.第1のCおよび第2のCの形成が、第1のC1および第2のC、または第2のC1および第1のCから構成されるCの形成に対して、少なくとも約15倍優先的に起こる、E1からE30のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E32.第1のCおよび第2のCの形成が、第1のC1および第2のC、または第2のC1および第1のCから構成されるCの形成に対して、少なくとも約20倍優先的に起こる、E1からE31のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E33.第1のCおよび第2のCの形成が、第1のC1および第2のC、または第2のC1および第1のCから構成されるCの形成に対して、少なくとも約25倍優先的に起こる、E1からE32のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E34.第1のCおよび第2のCの形成が、第1のC1および第2のC、または第2のC1および第1のCから構成されるCの形成に対して、少なくとも約30倍優先的に起こる、E1からE33のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E35.第1のCおよび第2のCの形成が、第1のC1および第2のC、または第2のC1および第1のCから構成されるCの形成に対して、少なくとも約40倍優先的に起こる、E1からE34のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E36.第1のCおよび第2のCの形成が、第1のC1および第2のC、または第2のC1および第1のCから構成されるCの形成に対して、少なくとも約50倍優先的に起こる、E1からE35のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E37.第1のCおよび第2のCの形成が、第1のC1および第2のC、または第2のC1および第1のCから構成されるCの形成に対して、少なくとも約60倍優先的に起こる、E1からE36のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E38.第1のCおよび第2のCの形成が、第1のC1および第2のC、または第2のC1および第1のCから構成されるCの形成に対して、少なくとも約80倍優先的に起こる、E1からE37のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E39.第1のCおよび第2のCの形成が、第1のC1および第2のC、または第2のC1および第1のCから構成されるCの形成に対して、少なくとも約90倍優先的に起こる、E1からE38のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E40.第1のCおよび第2のCの形成が、第1のC1および第2のC、または第2のC1および第1のCから構成されるCの形成に対して、少なくとも約100倍優先的に起こる、E1からE39のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E41.第1のCおよび第2のCの優先的な形成が、可変ドメイン中の任意の相補的対合の非存在下で起こる、E25からE39のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E42.一緒に組み合わされた第1のV、第1のV、第1のC、および第1のCが、第1のFabを形成し、一緒に組み合わされた第2のV、第2のV、第2のC1、および第2のCが、第2のFabを形成する、E25からE41のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E43.第1のFabおよび第2のFabの優先的な形成が、可変ドメインの相補的対合を利用しない、E42に記載のヘテロ二量体タンパク質。
E44.第1のFabおよび第2のFabの優先的な形成が、可変ドメイン中の任意の相補的対合の非存在下で起こる、E42からE43のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E44.第1のCおよび第2のCの優先的な形成が、相補的残基セットの相補的対合を利用する、E1からE43のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E45.Cドメインの少なくとも1つが、カッパドメインである、E1からE46のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E46.第1のCおよび第2のCの両方が、カッパドメインである、E1からE45のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E47.相補的残基セットが、一方のドメイン中に正または負に荷電した残基、および他方のドメイン中に極性残基、または逆に荷電した残基を含む、E1からE46のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E48.相補的残基セットの場所が、Kabat番号付けによる、C1−124およびCL−176;(ii)C1−188およびCL−178;(iii)C1−143およびCL−178;(iv)C1−143およびCL−131;(v)C1−221およびCL−123;(vi)C1−145およびCL−131;(vii)C1−179およびCL−131;(viii)C1−186およびCL−131;ならびに(ix)C1−188およびCL−133からなる群から選択される、E1からE47のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E49.C1位置の突然変異が、W、H、K、R、S、およびTからなる群から選択され、C位置の突然変異が、S、M、D、およびEからなる群から選択される、E48に記載のヘテロ二量体タンパク質。
E50.C1位置の突然変異が、EおよびDからなる群から選択され、C位置の突然変異が、H、K、およびRからなる群から選択される、E49に記載のヘテロ二量体タンパク質。
E51.相補的残基セットが、C1−143D、C1−145S、C1−186A、C1−186E、C1−188G、C1−143S、C1−190S、C1−190I、C−133S、C−135I、C−176G、C−176M、およびC−178G、C−178Sからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異をさらに含む、E49からE50のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E52.第1および第2の相補的残基セットが、以下の群:C1−124K、C−176D、C1−190S、C−133S;(ii)C1−124K、C−176D、C−133S;(iii)C1−124E、C−176K;(iv)C1−124E、C−176K、C1−188G;(v)C1−188E、C−178K、C1−143E;(vi)C1−188K、C−178D、C1−143D;(vii)C1−143K、C−178D;(viii)C1−143D、C−178R;(ix)C1−143K、C−178D;(x)C1−143D、C−178K;(xi)C1−143D、C−178K、C−176M;(xii)C1−143E、C−131R;(xiii)C1−143R、C−131E;(xiv)C1−143R、C−131E、C1−186A;(xv)C1−221D、C−123K;(xvi)C1−221D、C−123K、C1−190I、C−135I;(xvii)C1−145E、C−131H;(xviii)C1−143H、C1−179D、C1−186E、C−131H;(xix)C1−145E、C−131H;(xx)C1−186E、C−131H、C1−145S;(xxi)C1−143S、C−131D、C1−188W、C−133S、C−178S;(xxii)C1−143S、C1−188W、C−133M、C−176G、C−178G;(xxiii)C1−143H、C1−179D、C1−186E、C−131H、C−190I、C−135I、(xxiv)C−186E、C−131H、C−145S;(xxv)C1−143S、C−131D、C1−188W、C−133S、C−176C;(xxvi)C1−143S、C1−188W、C−133M、C−178G、C−176G;(xxvii)C1−143S、C1−188W、C−131Dの2つから選択される、E1からE51のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E53.第1のC1と第1のC、および/または第2のC1と第2のCとの間に改変されたジスルフィド結合を含む、E1からE52のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E54.改変されたジスルフィド結合が、以下の位置(i)C1−122およびCL−123;(ii)C1−139およびCL−116;ならびに(iii)C1−174およびCL−176の1つまたは複数に位置している、E53に記載のヘテロ二量体タンパク質。
E55.野生型ジスルフィド結合が、第1のCおよび/または第2のC上で、C1−C230およびC−214の一方または両方を、Cを除く任意の残基に突然変異させることによって除去されている、E53からE54のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E56.第1および/または第2のC1−C230、ならびに第1および/または第2のC−C214が、Sに突然変異されている、E55に記載のヘテロ二量体タンパク質。
E57.第1のCが、以下の群:(i)C1−124K、C−176D、C1−190S、C−133S;(ii)C1−124K、C−176D、C−133S;(iii)C1−124E、C−176K、C−133S;(iv)C1−124E、C−176K、C1−188G、C−133S;(v)C1−188E、C−178K、C1−143E;(v)C1−188K、C−178D、C1−143D;(vi)C1−143K、C−178D;(vii)C1−143D、C−178R;(viii)C1−143K、C−178D;(ix)C1−143D、C−178K;(x)C1−143D、C−178K、C−176M;(xi)C1−143E、C−131R;(xii)C1−143R、C−131E;(xiii)C1−143R、C−131E、C1−186A;(xiv)C1−221D、C−123K;(xv)C1−221D、C−123K、C1−190I、C−135I、C1−174C、C1−230S、C−176C、C−214S;(xvi)C1−145E、C−131H;(xvii)C1−143H、C1−179D、C1−186E、C−131H;(xviii)C1−122C、C1−145E、C1−230S、C−123C、C−131H、C−214S;(xix)C1−186E、C−131H、C1−145S;(xx)C1−143S、C−131D、C1−188W、C−133S、C−178S;(xxi)C1−143S、C1−188W、C−133M、C−176G、C−178G;(xxii)C1−143H、C1−179D、C1−186E、C−131H、C−190I、C−135I、C1−174C、C1−230S、C−176C、C−214S;(xxiii)C−186E、C−131H、C−145S、C1−139C、C1−230S、C−116C、C−214S;(xxiv)C1−143S、C−131D、C1−188W、C−133S、C−178S、C1−174C、C1−230S、C−176C、C−214S;(xxv)C1−143S、C1−188W、C1−122C、C1−230S、C−133M、C−178G、C−176G、C−123C、C−214S;(xxvi)C1−143S、C1−188W、C1−122C、C1−139C、C1−174C、C1−230S、C−133S、C−178S、C−131D、C−116C、C−123C、C−176C、C−214Sの1つからの残基を含む、E1からE56のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E58.第2のCが、群i〜xxviiの1つからの残基を含み、ただし、第1および第2のCがともに、同じ群からの残基を含むことはない、E57に記載のヘテロ二量体タンパク質。
E59.第1のC1が、第1のC3ドメイン(C3)に接続されている第1のC2ドメイン(C2)に接続されており、第2のC1が、第2のC3に接続されている第2のC2に接続されている、E1からE58のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E60.第1のC3および第2のC3が、それぞれ第1のC3突然変異残基および第2のC3突然変異残基を含み、第1のC3突然変異残基および第2のC3突然変異残基が、互いに異なり、かつ互いに優先的に相互作用するように改変されており、それによってC3ホモ二量体の形成より多くC3ヘテロ二量体を形成する、E59に記載のヘテロ二量体タンパク質。
E61.第1のC1が第1の可変重鎖ドメイン(V)に付着されており、第1のCが第1の可変軽鎖ドメイン(V)に付着されており、第2のC1が第2のVに付着されており、第2のCが第2のVに付着されており、第1のVがV−Q39およびV−Q105を含む、E1からE60のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E62.第1のC1が、第1の可変重鎖ドメイン(V)に付着されており、第1のCが、第1の可変軽鎖ドメイン(V)に付着されており、第2のC1が、第2のVに付着されており、第2のCが、第2のVに付着されており、第2のVが、V−Q39およびV−Q105を含む、E1からE61のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E63.第1のC1が、第1の可変重鎖ドメイン(V)に付着されており、第1のCが、第1の可変軽鎖ドメイン(V)に付着されており、第2のC1が、第2のVに付着されており、第2のCが、第2のVに付着されており、第1のVが、(i)V−Q38;および(ii)V−Q1、V−S1、V−D1、V−E1、V−A1、またはV−N1の1つ;および(iii)V−T42、V−Q42、またはV−K42の1つを含む、E1からE62のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E64.第1のC1が第1の可変重鎖ドメイン(V)に付着されており、第1のCが第1の可変軽鎖ドメイン(V)に付着されており、第2のC1が第2のVに付着されており、第2のCが第2のVに付着されており、第2のVが、(i)V−Q38;および(ii)V−Q1、V−S1、V−D1、V−E1、V−A1、またはV−N1の1つ;および(iii)V−T42、V−Q42、またはV−K42の1つを含む、E1からE63のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E65.第1のCが、C1−124K、C−176D、C1−190S、およびC−133Sを含む、E1からE64のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E66.第2のCが、C1−124E、C−176K、C1−188G、およびC−133Sを含む、E1からE65のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E67.第1のCが、C1−124K、C−176D、C1−190S、およびC−133Sを含み、第2のCが、C1−124E、C−176K、C1−188G、およびC−133Sを含む、E1からE66のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質。
E68.E1からE67のいずれか1つのようなヘテロ二量体タンパク質を含む二重特異性抗体。
E69.第1のCが、C1−124K、C−176D、C1−190S、およびC−133Sを含む、E66に記載の二重特異性抗体。
E70.第2のCが、C1−124E、C−176K、C1−188G、およびC−133Sを含む、E68からE69のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
E71.第1のCが、C1−124K、C−176D、C1−190S、およびC−133Sを含み、第2のCが、C1−124E、C−176K、C1−188G、およびC−133Sを含む、E68からE70のいずれか1つに記載の二重特異性抗体。
E72.E1からE65のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質、またはE68からE71のいずれか1つに記載の二重特性抗体をコードする核酸。
E73.E72に記載の核酸を含むベクター。
E74.E72に記載の核酸を含み、またはE71に記載のベクターを含む細胞。
E75.E1からE67のいずれか1つに記載のヘテロ二量体タンパク質を作製する方法であって、(i)細胞株に1種または複数のベクターをコトランスフェクトして、第1のCの第1のC1、第1のC、ならびに第2のCの第2のC1および第2のCを発現させることと;(ii)1種または複数のベクターを発現させる、かつ第1のCおよび第2のCをアセンブルさせる条件下で細胞株を培養することと;(iii)細胞培養液からヘテロ二量体タンパク質を精製することとを含む、方法。
E76.細胞株に、第1のC1、第1のC、第2のC1、および第2のCを1:1:1:1の比で発現するベクターがコトランスフェクトされる、E75に記載の方法。
2つの異なる抗体軽鎖および2つの異なる抗体重鎖の同時発現を介して二重特異性抗体を生成するように試みることから生じ得る潜在的な生成物であって、C3界面は、ヘテロ二量体形成を優遇するように確立された技術を使用して改変されているが、重鎖/軽鎖界面は、本発明の突然変異を欠く、潜在的な生成物を表す図である。HC1と対合したLC1は、1つのエピトープに結合しているFabアームをもたらし、HC2と対合したLC2は、場合により異なる抗原上の別個のエピトープに結合しているFabアームをもたらす。HC2と対合したLC1、またはHC1と対合したLC2は、これらのエピトープへの結合が低減した、またはこれらに結合していないFabをもたらす。A:左のアーム上に、第1のCの優先的な形成(黒丸および白丸により表した第1の相補的残基セットの相互作用によって促進される)を通じた第1のVおよび第1のV(それぞれ濃い垂直の縞および薄い垂直のダッシュによって表した)の組合せ、ならびに右のアーム上に、第2のCの優先的な形成(黒三角および白三角により表した第2の相補的残基セットの相互作用によって促進される)を通じた第2のVおよび第2のV(それぞれ濃い斜め網掛けおよび薄いチェックパターンにより表した)の組合せを示す、代表的な二重特異性抗体の正しい対合。B:左のアーム上に、第3のCの形成を通じた第1のVおよび第2のV(それぞれ濃い垂直の縞および薄いチェックパターンで表した)の組合せ、ならびに右のアーム上に、第4のCの形成を通じた第2のVおよび第1のV(それぞれ濃い斜め網掛けおよび薄い垂直のダッシュによって表した)の組合せを示す、二重特性抗体の誤った対合。CおよびDはそれぞれ、左または右のアームが正しく対合され、他方のアームが誤って対合された半機能的な二重特異性抗体を示す。 野生型ヒトIgG1 C1(パネルA)、カッパC(パネルB)、およびラムダCドメインの配列を表す図である。アミノ酸残基は、Kabat番号付けスキームに従って番号付けされている。ダッシュ(「−」)は、異なるタイプの抗体ドメインまたは異なる種においてのみ占有されているアミノ酸位置を示す。 天然のジスルフィド架橋を有する(A)、ジスルフィド架橋を有さない(B)、またはそれぞれクローンCys1、Cys3a、Cys3b、およびCys6について表1に詳述した新規の位置にジスルフィド架橋を有する(C〜F)野生型29D7モノクローナルIgG1抗体の非還元性および還元性SDS−PAGE分析を表す図である。M;分子量マーカー。 改変されたジスルフィドを有するコンストラクトの質量分光分析を表す図である。パネルA:クローンCys_ベータ、野生型ジスルフィドが除去されたコンストラクト;パネルB:クローンCys_1;パネルC:クローンCys_3a;パネルD:クローンCys_3b;パネルE:クローンCys_6。 設計S1に伴った界面領域のX線結晶構造を表す図である。各パネル内で、C1ドメインは、重要残基をボールアンドスティック形式にして暗灰色で上に示されている。Cドメインは、重要残基をチューブとして与えて薄灰色で下に示されている。重要な相互作用は、オングストロームでの距離とともに点線で示されている。パネルA:IgG1 C1およびカッパCLを含む天然Fabアーム中の重要残基C1−124、およびC−S176、ならびにサポート残基C−V133、C1−S188、およびC1−V190の配向。パネルB:突然変異C1−L124K、C−S176D、C−V133S、およびC1−V190Sを有する標準的な2アーム抗体の一方のFabアーム中に使用される設計。パネルC:突然変異C1−L124E、C−S176K、C−V133S、およびC1−S188Gを有する標準的な2アーム抗体の他方のFabアーム中に使用される設計。いずれの特定の理論にも束縛されることを望むことなく、BおよびCに示した突然変異が抗体の2本のFabアームのそれぞれに導入される場合、重鎖/軽鎖誤対合は、Lys/LysもしくはAsp/Glu電荷反発によって退けられることになり、かつ/または正しい対合は、Lys/AspもしくはLys/Glu電荷誘引によって奨励されることになる。パネルAは、PDBエントリー3QQ9を表し、一方、パネルBおよびCは、未発表の結晶構造である。 実施例4に記載した両方のFabアームのC1/C−カッパ界面において改変された好都合な静電相互作用を含むヘテロ二量体二重特異性抗体Ab1/Ab2(パネルA)、および天然のC1/C−カッパ界面を有する対照Ab1/Ab2コンストラクト(パネルB)の質量分光分析の結果を表す図である。新規の静電相互作用突然変異は、単離されたFab断片中で誤って対合される軽鎖を有意に低減した。凡例:潜在的な不完全なリーダー配列プロセシング;^軽鎖中に翻訳後修飾を伴った正しく対合された(H鎖およびL鎖の両方)Ab2 Fabアーム 二重特異性抗体Ab1/Ab2 Fcドメイン(パネルA)、およびHCヘテロ二量体化突然変異を含有するが、FabアームC/C界面突然変異を含有しない対照Ab1/Ab2の質量分光分析を表す図である。Fc(Ab1&2に由来する重鎖からなる)の予期された分子量が両方の場合において検出され、一方、重鎖ホモ二量体は、検出されなかった。 陰イオン交換クロマトグラフィーを使用する二重特異性抗体Ab1/Ab2の分離からの結果を示すグラフを表す図である。陰イオン交換クロマトグラフィーを使用して、プロテインAおよび分取SECクロマトグラフィー後の二重特異性Ab1/Ab2抗体調製物内のタンパク質異種性を評価した。親抗体Ab1およびAb2の分析結果が、それぞれパネルA(i)およびパネルA(ii)に示されている。親Ab1は、明らかな単一ピークを示す。親Ab2は、それぞれ主ピークの前および後に溶出する酸性および塩基性の電荷種の集団を示す。ヘテロ二量体二重特異性Ab1/Ab2抗体は、パネルBに示されている。二重特異性Ab1/Ab2抗体(パネルB)からのピーク1、ピーク2A、およびピーク2Bからの画分を、質量分析によって分析した。 イオン交換分画されたヘテロ二量体二重特異性抗体Ab1/Ab2からのFabコンポーネント(図8Bで得た)の質量分光分析を示すグラフを表す図である。パネル9Aは、図8Bからのピーク2Bが、各Fabアーム中に正しく対合された軽鎖を含むが、Ab2 Fabアーム中に翻訳後修飾を伴った富んだ二重特異性Ab1/Ab2を含有することを示す。パネル9Bは、図8Bからのピーク2Aが富んだ誤った軽鎖対合(抗体1重鎖が抗体2軽鎖を組み合わせた)を有することを示し、パネル9Cは、図8Bからのピーク1を示す。このピークは、翻訳後修飾を伴わない正しく対合された二重特異性Ab1/Ab2 Fabアームのみを表す。凡例:潜在的な不完全なリーダー配列プロセシング;^翻訳後修飾を伴ったAb2 Fab。 コンストラクトC5XAb3−M1&C5XAb3−M1−NEGATIVEのデュアルアームFab断片の質量分光分析を示すグラフを表す図である。C5&Ab3間の誤って対合された軽鎖の有意な低減が、C5XAb3−M1−NEGATIVEと比較してコンストラクトC5XAb3−M1において観察された。凡例:潜在的な不完全なリーダー配列プロセシング。 コンストラクトC5XAb3−M2(パネル11B)およびC5XAb3−M2−NEGATIVE(パネル11A)のデュアルアームFab断片の質量分光分析を示すグラフを表す図である。C5&Ab3間の誤って対合された軽鎖の有意な低減が、C5XAb3−M2−NEGATIVEと比較してコンストラクトC5XAb3−M2において観察された。凡例:潜在的な不完全なリーダー配列プロセシング。 疎水性相互作用クロマトグラフィーを使用する二重特異性抗体の分離を示すグラフを表す図である。それぞれパネル12A(1)およびパネル12A(2)に示した親抗体Ab3およびC5は、それぞれ明らかな単一ピークを示す。ヘテロ二量体化手法M1は、パネル12Cに示されており、ヘテロ二量体化手法M2は、パネル12Bに示されている。パネル12B(1)および12C(1)の両方の左のクロマトグラムは、重鎖ヘテロ二量体化突然変異単独の組込みを示す。右のクロマトグラム(パネル12B(2)および12C(2))は、実施例5に記載した重鎖および軽鎖の突然変異の両方を含有する二重特異性抗体を示す。これらの結果は、C3/C3突然変異のみを含む二重特異性(例えば、「NEGATIVE」)と比較して、正しい軽鎖対合のためのC1およびC−カッパ突然変異ならびにC3突然変異の両方を組み込んで生成した抗体の異種性の低減を実証する。 1ドメインとCドメインとの間の界面領域(PDBエントリー3QQ9からの)を表す図である。図は、左に暗灰色のC1、右に薄灰色のCを用いて、ドメイン間の相互作用エッジに沿っている。 図13と同様の描画スタイルを用いたC1ドメインとCドメインとの間の界面領域(PDBエントリー3QQ9からの)を表す図である。この図は、Cと相互作用するC1の領域を強調する(相互作用残基の骨格原子は、ボールアンドスティックレンダリングを用いて示されている)。主要なIg−フォールドβ−鎖領域は、N末端からC末端に1〜7で番号付けられている。 図13と同様の描画スタイルを用いたC1ドメインとCドメインとの間の界面領域(PDBエントリー3QQ9からの)を表す図である。この図は、C1と相互作用するCの領域を強調する(相互作用残基の骨格原子は、ボールアンドスティックレンダリングを用いて示されている)。主要なIg−フォールドβ−鎖領域は、N末端からC末端に1〜7で番号付けられている。 PDBエントリー3QQ9のC1ドメインとCドメインとの間のほとんど埋め込まれた溶媒和したポケットを表す図である。薄灰色のリボンを使用して示した軽鎖骨格は、図の前にあり、暗灰色の重鎖骨格リボンは、より後ろである。このポケットを画定する重要な水分子は、球として示されている。 S1およびS1_rev突然変異のサブセットのインパクトを示すように設計されたデュアルアームFab断片の質量分光分析を示すグラフを表す図である。パネルAおよびBは、C1/C突然変異を含まない元の単一特異性抗体を示す。2つの親抗体を組み合わせた二重特異性は、S1およびS1_rev突然変異の非存在下で有意な誤対合を有する(パネルC)が、S1およびS1_revが使用される場合、ほぼ排除された誤対合を有する(パネルD)。S1およびS1_rev突然変異の様々なサブセットを使用すると、パネルCと比べて誤対合が低減されているが、パネルDで使用した完全なS1およびS1_rev設計より依然として忠実度が低い抗体(パネルEおよびF)がもたらされる。誤対合したFabに対応するピークは、「Ab3H C5L」および「C5H Ab3L」と標識されており、一方、正しい対合は、「C5 Fab」および「Ab3 Fab」と標識されている。 疎水性クロマトグラフィーを使用する二重特異性抗体の分離を示すグラフを表す図である。パネルAでは、C5およびAb3抗体が組み合わされて、重鎖ヘテロ二量体化のためのCH3突然変異のみを組み込んでいるが、重鎖/軽鎖界面において二重特異性優遇(bispecific−favoring)突然変異を組み込んでいない二重特異性にされている。3つの主要ピークが存在し、不均一な試料を示す。パネルBでは、S1およびS1 rev設計が、間違った重鎖および軽鎖の誤対合を退けるために重鎖/軽鎖界面に加えられている。試料均質性は、大いに改善されている。S1およびS1_rev設計の二次支援の突然変異の一部が利用されない場合(パネルCおよびD)、試料は、中間レベルの異種性を有する。パネルEおよびFは、パネルA〜Dの二重特異性抗体をアセンブルするのに使用した2つの抗体の単一特異性バージョンで観察された均質性のレベルを示す対照である。 表23に記載した、各Fabアーム中に突然変異の様々な組合せを含む二重特異性Fabの示差走査熱量測定(DSC)曲線を表す図である。実線の太線は、生データを示し、一方、薄い点線は、必要に応じて2転移または3転移モデルに生データをフィッティングした結果を示す。表24に要約したように、すべてのFabは、65℃超のこれらの最も低い転移を伴って良好な安定性を示した。 表23に列挙した各Fabアーム中に設計の様々な組合せを含むデュアルアームFab断片の質量分光分析を表す図である。Ab3 Fabアーム中にS1、およびC5 Fabアーム中にT1、T2、T3、T4、またはT9のいずれかを含む二重特異性抗体は、高い忠実度の重鎖/軽鎖対合を示した(パネルA〜E)。少量の誤対合(約3%)が、一方のFabアーム中のS1と他方のFabアーム中のS1_revとを組み合わせる試料中で検出された(パネルF、「C5 H Ab3 L」と標識された誤対合)。一方のFabアーム(パネルG〜H)または両方のFabアーム(パネルI)が二重特異性優遇設計を含有しない場合、より大量の誤対合したFab(19%またはそれ超)が検出された。 疎水性相互作用クロマトグラフィーを使用する二重特異性抗体の分離を表す図である。抗体は、表23に列挙されている。Ab3 Fabアーム中にS1、およびC5 Fabアーム中にT1、T2、T3、T4、またはT9のいずれかを含む二重特異性抗体は、高い忠実度の重鎖/軽鎖対合を示した(パネルA〜E)。少量の誤対合が、主ピークの左側の小さいテールとして明らかである。ピークのこのテールは、C5上のS1_revと対合したAb3上のS1についてわずかにより大きい(パネルF、矢印を参照)。これらの結果は、実施例41および図20の質量分光分析と一致する。一方のFabアーム(パネルG〜H)または両方のFabアーム(パネルI)が二重特異性優遇設計を含有しない場合、追加のピークの存在によって示されているように、より大量の誤対合したFabが検出された。参考のために、パネルJ〜Kは、これらの二重特異性設計の基となった単一特異性Ab3およびC5抗体の対応するプロファイルを示す。 本発明による二重特異性抗体を表す図である。ドメインは、以下の通り標識されている:1−V:第1の可変軽鎖ドメイン;1−V:第1の可変軽鎖ドメイン。1−C:第1の定常軽鎖ドメイン。1−C1:第1の定常重鎖1ドメイン。1−C2:第1の定常重鎖2ドメイン。1−C3:第1の定常重鎖3ドメイン。2−V:第2の可変軽鎖ドメイン;2−V:第2の可変軽鎖ドメイン。2−C:第2の定常軽鎖ドメイン。2−C1:第2の定常重鎖1ドメイン。2−C2:第2の定常重鎖2ドメイン。2−C3:第2の定常重鎖3ドメイン。第1のCおよび第2のCドメインは、中括弧記号間に示されており(それぞれ1−Cおよび2−C)、それぞれのCおよびCドメインを包含する。点線の長円形の線は、第1および第2のFab(それぞれ1−Fabおよび2−Fab)を構成する4つのドメイン(V、V、C、C1)を捕捉する。第1のC界面および第2のC界面は、れんが積みでパターン化されている。CおよびC1ドメイン中の突然変異残基は、黒丸および白丸ならびに黒三角および白三角によって表されている(黒丸および白丸のセットは、第1のFabの相補的残基セットを表し、黒三角および白三角のセットは、第2のFabの相補的残基セットを表す)。第1のC3および第2のC3ドメインの「ノブアンドホール」対合は、矢印および環によって表されている。 この図は、本発明によって回避される2つの半機能的および1つの非機能的順列をさらに例示する。すなわち、本発明は、第1のC1(1−C1)および第2のC(2−C)が会合して、本明細書および図1Aに示した優遇される対合と比較して第3のC(図1B、左のアーム)を形成する確率を低減する。同様に、本発明は、図1C(右のアーム)に例示した第4のC(第2の2−C1および1−Cを含む)の形成の可能性を低減する。同様に、本発明は、一方のアーム中に第3のCおよび他方のアーム中に第4のCを含む非機能抗体(例えば、図1B)の形成を低減する。 キメラTOA−1抗体は、ヒトTrkBに結合することを示す図である。 キメラTOA−1抗体は、マウスTrkBに結合することを示す図である。 ヒト化TOA−1バリアントは、ビオチン化キメラTOA−1とヒトTrkBへの結合を競合することを示す図である。 ヒト化TOA−1バリアントは、ビオチン化キメラTOA−1とヒトTrkBへの結合を競合することを示す図である。 ヒト化TOA−1バリアントは、ビオチン化キメラTOA−1とヒトTrkBへの結合を競合することを示す図である。 ヒト化TOA−1バージョン1.0/1.4は、親TOA−1抗体と比べてヒトTrkB結合性質を完全に保持することを示す図である。 抗TrkB TOA−1抗体のアゴニスト活性を示す図である。 ヒト化TOA−1は、TrkBシグナル伝達カスケードを活性化することを示す図である。 hTrkB上のTOA−1およびBDNF結合部位が重なることを示す図である。 キメラTrkB−TrkA受容体へのTOA−1結合を示す図である。 抗TrkB抗体は、マウス、ネコ、およびイヌTrkBに結合することを示す図である。 TOA−1抗体は、TrkAまたはTrkCに結合しないことを示す図である。 ヒト化TOA−1は、p75に結合しないことを示す図である。 ヒト化TOA−1は、p75に結合しないことを示す図である。 TOA−1は、TrkAまたはTrkCシグナル伝達カスケードを活性化しないことを示す図である。 TAM−163は、hTrkB細胞内のCre−ルシフェラーゼレポーター遺伝子を活性化することを示す図である。 TAM−163は、hTrkA−CreおよびhTrkC−Cre細胞内のCre−ルシフェラーゼレポーター遺伝子を活性化しないことを示す図である。 TAM−163は、SHC1動員アッセイにおいてhTrkBを活性化するが、hTrkAまたはhTrkCを活性化しないことを示す図である。 図1.TAM−163は、hTrkB−Cre細胞内でTrkB依存性リン酸化事象を活性化することを示す図である。 TAM−163は、hTrkA−CreまたはhTrkC−Cre細胞内でTrk依存性リン酸化事象を活性化しないことを示す図である。 TAM−163は、ヒト神経芽細胞腫SH−SY5Y細胞内でTrk依存性リン酸化事象を活性化することを示す図である。 TAM−163は、hTrkB−Creおよびヒト神経芽細胞腫SH−SY5Y細胞内でTrkBの内部移行を誘導することを示す図である。 TAM−163は、hTrkB−Creおよびヒト神経芽細胞腫SH−SY5Y細胞内でTrkBの分解を誘導することを示す図である。 TAM−163は、ヒトp75NTRに結合しないことを示す図である − FACS分析。 TAM−163は、ヒトp75NTRに結合しないことを示す図である − 細胞ベースELISA TAM−163は、高親和性を伴ってマウス、イヌ、およびネコTrkBに結合することを示す図である。 TAM−163は、マウスTrkBをトランスフェクトした細胞内でTrkB依存性シグナル伝達を活性化することを示す図である。 TAM−163は、イヌTrkBをトランスフェクトした細胞内でTrkB依存性シグナル伝達を活性化することを示す図である。
一部の態様では、本発明は、(i)第1のC界面で相互作用して第1のCドメイン(C)を形成する、第1のC1ドメイン(C1)および第1のCドメイン(C);(ii)第2のC界面で相互作用して第2のCを形成する、第2のC1ドメイン(C1)および第2のCドメイン(C)を含むヘテロ二量体タンパク質であって、第1のC1は、第1のC1中の少なくとも1つのC1突然変異残基だけ第2のC1と異なるように改変されており;第1のCは、第1のC中の少なくとも1つのC突然変異残基だけ第2のCと異なるように改変されており;その結果、第1のCのC1突然変異残基およびC突然変異残基は、第2のC上の対応する残基位置に優先して互いに相互作用し、第1のC1および第1のCの相互作用している突然変異残基は、それによって第1の相補的残基セットを形成する、ヘテロ二量体タンパク質に関する。
一部の態様では、第2のC1は、第2のC1中の少なくとも1つのC1突然変異残基だけ第1のC1と異なるように改変されており;第2のCは、第2のC中の少なくとも1つのC突然変異残基だけ第1のCと異なるように改変されており;その結果、第2のCのC1突然変異残基およびC突然変異残基は、第1のC上の対応する残基位置に対して互いに優先的に相互作用し、第2のC1および第2のCの相互作用している突然変異残基は、それによって第2の相補的残基セットを形成する。
第1のC1は、野生型C1と異なるように改変され得る。第2のC1は、野生型C1と異なるように改変され得る。第1のCは、野生型Cと異なるように改変され得る。第2のCは、野生型Cと異なるように改変され得る。
第1のC1は、第2のC1上の対応する位置と異なるように改変された少なくとも1つのC1突然変異残基を含む場合がある。第1のCは、第2のC上の対応する位置と異なるように改変された少なくとも1つのC突然変異残基を含む場合がある。第2のC1は、第1のC1上の対応する位置と異なるように改変された少なくとも1つのC1突然変異残基を含む場合がある。第2のCは、第1のC上の対応する位置と異なるように改変された少なくとも1つのC突然変異残基を含む場合がある。
本発明の一部の態様では、第1の相補的残基セットの突然変異残基の同一性は、第2の相補的残基セットの突然変異残基の同一性と異なる。一部の態様では、第1の相補的残基セットの突然変異残基の場所は、第2の相補的残基セットの突然変異残基の場所と異なる(本明細書に記載のKabat番号付けによる場所)。本発明の一部の態様では、第1の相補的残基セットの突然変異残基の同一性および場所は、第2の相補的残基セットの突然変異残基の同一性および場所と異なる
ヘテロ二量体の優先的な形成
第2のC中に第2の相補的残基セットをもたらすと、ドメインの誤対合のリスクがさらに減少する。このストラテジーは、異なるドメインの改変された突然変異同士間にほとんど重なりがない場合により有効であり得る。一部の態様では、第1のCの第1の相補的残基セットは、第2のCの第2の相補的残基セットの場所と比べて異なる位置に位置する。
したがって、本発明の一部の態様では、第1のCおよび第2のCの形成は、第1のC1および第2のC(以下、第3のCと呼ぶ)、または第2のC1および第1のC(以下、第4のCと呼ぶ)から構成されるCの形成に対して優先的に起こる。
図1Aおよび図22は、正しく対合した抗体(第1のCおよび第2のCを含む)を例示する。不適切に対合したドメインも表されている。第3のC(第1のC1および第2のCを含む)は、図1Bおよび1Dの左のアームとして示されており、第4のC(第2のC1および第1のCを含む)は、図1Bおよび1Cの右のアームとして示されている。同様に、図22の右手の軽鎖と左手の軽鎖を交換すると、第3のCおよび第4のCを含む非機能的抗体がもたらされる。
有利には、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約4倍優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約5倍優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約6倍優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約7倍優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約8倍優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約9倍優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約10倍優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約12倍優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約15倍優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約20倍優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約25倍優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約30倍優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約35倍優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約40倍優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約50倍優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約60倍優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約70倍優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約75倍優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約80倍優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約85倍優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約90倍優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約95倍優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約99倍優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約100倍優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約200倍優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約500倍優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約1000倍優先的に起こる。
一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約4対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約5対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約6対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約7対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約8対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約9対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約10対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約12対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約15対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約20対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約25対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約30対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約35対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約40対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約45対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約50対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約55対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約60対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約65対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約70対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約75対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約80対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約85対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約90対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約95対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約99対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約100対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約200対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約500対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約1000対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約2000対約1の比で優先的に起こる。一部の態様では、第1および第2のCの形成は、第3および第4のCの形成に対して、少なくとも約5000対約1の比で優先的に起こる。
「誤った」軽鎖対合(すなわち、形成される第3および第4のC)と比べた「正しい」ヘテロ二量体軽鎖対合(すなわち、形成される第1および第2のC)のレベルは、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)によって測定され得る。二重特異性抗体調製物は、いずれの凝集体も除去するためにプロテインAクロマトグラフィーおよび分取サイズ排除クロマトグラフィーによって精製することができ、またはより低い分子量コンポーネントは、独立した断片(合計で3つの断片)として各FabアームおよびFcを放出するためにLysC酵素で消化される。次いでLCMSを使用して各FabアームおよびFcの経験的質量を測定することができ、得られた値は、2つの可能な正しいFabアームおよび2つの可能な誤ったFabアームの理論的質量と比較され、Fcについて、ホモ二量体対ヘテロ二量体Fcの理論的質量の比較が行われる。各断片の信号強度は、バックグラウンドノイズを超えて検出されたすべての断片の全強度の%に変換し、正しいFab生成物と誤ったFab生成物の比の比較を可能にすることができる。別個の手法では、プロテインA後の二重特異性抗体調製物溶離液をイオン交換またはHICクロマトグラフィーを使用して分画し、溶出した画分を、LCMSを使用して同定することができる。次いで同定されたピークは、クロマトグラフィーステップと関連したA280測定からの%AUCに対応付けられる。イオン交換クロマトグラフィーまたは疎水性相互作用クロマトグラフィーは、差分電荷または疎水性性質に基づいて正しいおよび誤った軽鎖対合を含有する二重特異性IgGを分画する。得られたA280クロマトグラムからの%曲線下面積は、正しい生成物の量を定量化するのに使用することができる。
溶媒接触可能表面積
非野生型ヒト残基(本明細書の相補的残基セットなど;以下を参照)をヒト患者への投与を意図した抗体中に導入する場合、ヒト免疫系が修飾された残基を外来と認識し、治療剤に対する抗体(抗薬物抗体またはADA応答、これは、より速いクリアランス、循環している治療剤の活性の低減、または両方をもたらし得る)を産生するリスクがある。ADAによって認識されるために、治療抗体の非ヒト残基は、ADAに接触可能でなければならない。ADAに接触可能な表面積を最小限にすると、ADAの治療抗体と相互作用する能力が低減されることが予期される。
一部の態様では、第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、225Å未満である。一部の態様では、第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、225Å未満である。一部の態様では、第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、220Å未満である。一部の態様では、第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、220Å未満である。一部の態様では、第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、150Å未満である。一部の態様では、第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、150Å未満である。一部の態様では、第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、120Å未満である。一部の態様では、第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、120Å未満である。一部の態様では、第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、100Å未満である。一部の態様では、第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、100Å未満である。一部の態様では、第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、80Å未満である。一部の態様では、第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、80Å未満である。一部の態様では、第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、50Å未満である。一部の態様では、第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、50Å未満である。一部の態様では、第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、40Å未満である。一部の態様では、第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、40Å未満である。一部の態様では、第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、30Å未満である。一部の態様では、第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、30Å未満である。一部の態様では、第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、20Å未満である。一部の態様では、第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、20Å未満である。一部の態様では、第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、10Å未満である。一部の態様では、第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、10Å未満である。一部の態様では、第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、5Å未満である。一部の態様では、第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、5Å未満である。一部の態様では、第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、2Å未満である。一部の態様では、第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、2Å未満である。一部の態様では、第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、1Å未満である。一部の態様では、第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定した場合、1Å未満である。
一部の態様では、溶媒接触可能表面積は、Maestro9.6、9.7、または9.9(Schrodinger,LLC.)中の表面積アルゴリズムを使用して測定される。分解能は、0.3であり得る。好ましくは、第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、Maestro9.6、9.7、または9.9(Schrodinger,LLC.)中の表面積アルゴリズムを使用して、高分解能(例えば、0.3の分解能)で2.5Åプローブを使用して測定した場合、50Å未満である。
単一側鎖の突然変異は、抗体結合効力を1桁またはそれ超改善することができることが当技術分野で周知である。例えば、約90Åの接触可能表面積を有するHis/Tyr置換は、ベバシズマブの10倍超の結合性改善を引き起こすことが公知である(J.Chem.Inf.Model.、53(11)、2937〜50(2013))。しかし、より小さい表面変化でさえ、同様の効果を有し得ることが当技術分野で周知である。アラニン側鎖は、約20Åの接触可能表面積を有する。アラニンへの突然変異は、2つのタンパク質間の結合親和性を1桁超変化させるのに十分であり得る。例えば、Mabs、3(5)、479〜486(2011)を参照。したがって、小さい突然変異された表面積は、免疫系が、天然ヒト抗体に結合することに対して有意な選択性を有しながら改変された生物治療抗体を認識する抗薬物抗体(ADA)を産生することを可能にするのに十分であり得る。
溶媒接触可能表面積(SASA)は、溶媒(典型的には水)に接触可能な生体分子の表面である。SASAは、1973年にShrake&Rupleyによって開発された「ローリングボール」アルゴリズムを使用することによって計算することができ、このアルゴリズムは、分子の表面を「プローブ」するのに溶媒分子のサイズを近似する球をモデル化する。球の半径の典型的な値は、1.4Åであり、理由は、これが水分子のおおよその半径に対応するためである。しかし、より大きい値(2.5Åなど、本明細書で使用する場合)が、結晶構造において固有の原子位置の実験の不確定度を考慮するとき、または生体分子の表面へのアクセスが問われている分子的実体が水分子より大きい場合(例えば、潜在的な宿主の免疫系の生体分子)、適切となり得る。
本発明の一態様は、C1およびCドメイン中の改変された突然変異を使用することによって、二重特異性異種抗体またはこれらのFab断片を生成および維持する手段を提供することである。しかし、in vivoで使用するために抗体中に非カノニカルな残基を導入すると、宿主免疫応答を誘発するリスクにさらされる。したがって、抗体またはそのFab断片に対して導入され、または改変される残基が潜在的に宿主免疫応答を誘発し得る程度を最小限にすることが有利である。したがって、本発明のいくつかの態様の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定される場合、50Å未満である。
一部の態様では、本発明の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定される場合、45Å未満である。一部の態様では、本発明の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定される場合、40Å未満である。一部の態様では、本発明の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定される場合、35Å未満である。一部の態様では、本発明の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定される場合、30Å未満である。一部の態様では、本発明の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定される場合、25Å未満である。一部の態様では、本発明の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定される場合、20Å未満である。一部の態様では、本発明の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定される場合、15Å未満である。一部の態様では、本発明の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定される場合、10Å未満である。一部の態様では、本発明の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定される場合、9Å未満である。一部の態様では、本発明の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定される場合、8Å未満である。一部の態様では、本発明の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定される場合、7Å未満である。一部の態様では、本発明の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定される場合、6Å未満である。一部の態様では、本発明の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定される場合、5Å未満である。一部の態様では、本発明の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定される場合、4Å未満である。一部の態様では、本発明の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定される場合、3Å未満である。一部の態様では、本発明の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定される場合、2Å未満である。一部の態様では、本発明の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定される場合、1Å未満である。一部の態様では、本発明の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定される場合、0.5Å未満である。一部の態様では、本発明の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積は、2.5Åプローブを使用して測定される場合、約0Å未満である。
可変ドメイン
一部の態様では、第1のC1は、第1の可変重鎖ドメイン(V)に付着されており、第1のCは、第1の可変軽鎖ドメイン(V)に付着されており、第2のC1は、第2のVに付着されており、第2のCは、第2のVに付着されている。組み合わせたとき、第1のV、第1のV、第1のC1、および第1のCは、第1のFabを形成する。組み合わせたとき、第2のV、第2のV、第2のC1、および第2のCは、第2のFabを形成する。
一部の態様では、第1のVは、第1のC1に接続されており、これはさらに、第1のC2に接続されており、これはさらに第1のC3に接続されており、それによって第1の重鎖を形成している。一部の態様では、第2のVは、第2のC1に接続されており、これはさらに第2のC2に接続されており、これはさらに第2のC3に接続されており、それによって第2の重鎖を形成している。
一部の態様では、第1のVは、第1のCに接続されており、それによって第1の軽鎖を形成している。一部の態様では、第2のVは、第2のCに接続されており、それによって第2の軽鎖を形成している。
一部の態様では、本発明は、可変ドメインの相補的対合を利用しない第1のFabおよび第2のFabの優先的な形成を提供する。
ヘテロ二量体タンパク質ドメイン相互作用の優先的な形成が、可変ドメインの相補的残基対合を利用しないとして論じられている場合、これは、例えば、第1のC1および第1のCドメインの相補的対合が、第1のC(または第1のFab)の優先的な形成を生じさせるのに十分であることを意味する。可変または定常ドメインの1つまたは複数における追加の改変された残基は、所望のドメイン対合の優先的な形成の忠実度を増大させる相加効果をもたらし得る。
一部の態様では、第1の相補的残基セットは、第1のCの優先的な形成に必要である。一部の態様では、第1の相補的残基セットは、第1のFabの優先的な形成に必要である。一部の態様では、第2の相補的残基セットは、第2のCの優先的な形成に必要である。一部の態様では、第2の相補的残基セットは、第2のFabの優先的な形成に必要である。
一部の態様では、第1の相補的残基セットは、第1のCの優先的な形成に十分である。一部の態様では、第1の相補的残基セットは、第1のFabの優先的な形成に十分である。一部の態様では、第2の相補的残基セットは、第2のCの優先的な形成に十分である。一部の態様では、第2の相補的残基セットは、第2のFabの優先的な形成に十分である。
一部の態様では、本発明は、第1および第2のCの形成が、少なくとも約4対約1の比で、第3および第4のCの形成に対して優先的に起こり、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、12、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、500、1000、2000、および5000対1の群から選択される値の比で起こり得るように、可変ドメインの相補的対合を利用しない第1のFabおよび第2のFabの優先的な形成をもたらす。
互いに天然の親和性を有する公知のV/V対のいくつかの事例が存在する。したがって、一部の態様では、本発明は、相補的残基セットを形成する改変された突然変異残基を含む可変ドメインのいずれも利用しない第1のFabおよび第2のFabの優先的な形成をもたらす。一部の態様では、本発明の多量体タンパク質は、改変されてない、または野生型V/Vフレームワーク配列のものを超えて相補的対合を増大させるように改変されている、可変ドメインのいずれかにおける突然変異を含まない。
可変ドメイン中に相補的残基セットの突然変異残基を挿入することを回避することによって実現される複数の利点が存在する。例えば、可変領域に異なる生殖系列フレームワークを使用することが時に有利である。各生殖系列中の配列バリエーションは、可変ドメイン中で行われる任意の突然変異に対して異なる局所環境を提示し;いくつかのフレームワーク中で働く突然変異は、他のフレームワーク中で働かない場合がある(例えば、発現、凝集、安定性、または他の物理的性質の問題が起こり得る)。また、V/V界面(対合特異性に影響する可能性が最も高い範囲)における突然変異は、CDR付近にあり、抗体から抗体で、およびフレームワーク間で異なる微妙な様式でVおよびVの相対的な配向に影響し得る。V/V配向の微妙なバリエーションは、いくつかの抗体によって許容され得るが、他の抗体によって許容され得ない。さらに、タンパク質表面の複数の領域(可変および定常ドメインの両方)を突然変異させると、患者の免疫系が抗体を外来として認識し、抗薬物抗体応答(ADA)を介してそれを拒絶する追加の機会がもたらされる。ADA応答の2つの可能性がある結果は、患者からの治療剤のクリアランスのより速い速度、および薬物の意図された標的に結合するその能力の中和である(Jawaら、Clin.Immunol.、149(3)、534〜55(2013))。二重特異性抗体の開発では、ADA応答を開始する患者の免疫系の確率を最小限にするステップを採用することが望ましい。T細胞ADA応答を予測するためのいくつかのコンピューターモデルが存在するが、立体構造エピトープのための正確なツールは、欠如している。したがって、in silico予測の限られた精度を考慮すると、Lewisらの方法(以下を参照)によって、必要に応じて複数のドメインを突然変異させるのではなく、C1およびCドメインに高忠実度二重特異性IgG分子の修飾を限定することが好ましい。
一部の態様では、第1のVは、V−Q39(DP54もしくはDP75のような)またはV−Q105(JH2以外のヒトJセグメントのような)を含む。一部の態様では、第2のVは、V−Q39(DP54もしくはDP75のような)またはV−Q105(JH2以外のヒトJセグメントのような)を含む。
一部の態様では、第1のVは、(i)V−Q38(DPK9またはDPL16のような);および(ii)V−Q1(DPL7のような)、V−S1(DPL16のような)、V−D1(DPK9のような)、V−E1(DPK23のような)、V−A1(DPK3のような)、またはV−N1(DPK2のような)の1つ;および(iii)V−T42(DPL7のような)、V−Q42(DPL16のような)、またはV−K42(DPK9のような)の1つのうちの1つまたは複数を含む。
一部の態様では、第2のVは、(i)V−Q38(DPK9またはDPL16のような);および(ii)V−Q1(DPL7のような)、V−S1(DPL16のような)、V−D1(DPK9のような)、V−E1(DPK23のような)、V−A1(DPK3のような)、またはV−N1(DPK2のような)の1つ;および(iii)V−T42(DPL7のような)、V−Q42(DPL16のような)、またはV−K42(DPK9のような)の1つのうちの1つまたは複数を含む。
一部の態様では、第1のVは、V−Q39(DP54またはDP75のような)およびV−Q105(JH2以外のヒトJセグメントのような)を含む。一部の態様では、第2のVは、V−Q39(DP54またはDP75のような)およびV−Q105(JH2以外のヒトJセグメントのような)を含む。一部の態様では、第1および第2のVの両方がこれらの残基を含む。
一部の態様では、第1のVは、(i)V−Q38(DPK9またはDPL16のような);および(ii)V−Q1(DPL7のような)、V−S1(DPL16のような)、V−D1(DPK9のような)、V−E1(DPK23のような)、V−A1(DPK3のような)、またはV−N1(DPK2のような)の1つ;および(iii)V−T42(DPL7のような)、V−Q42(DPL16のような)、またはV−K42(DPK9のような)の1つを含む。
一部の態様では、第2のVは、(i)V−Q38(DPK9またはDPL16のような);および(ii)V−Q1(DPL7のような)、V−S1(DPL16のような)、V−D1(DPK9のような)、V−E1(DPK23のような)、V−A1(DPK3のような)、またはV−N1(DPK2のような)の1つ;および(iii)V−T42(DPL7のような)、V−Q42(DPL16のような)、またはV−K42(DPK9のような)の1つを含む。
一部の態様では、第1のVおよび第2のVの両方が上記残基を含む。
ルイスら(Nat.Biotechnol.、32、191〜98(2014)、または以下で「Lewis刊行物」)は、軽鎖を適切な重鎖と対合する問題に対処するように試みたC1、C、V、およびVドメイン中の突然変異を報告した。関連した特許出願、WO2014150973では、可変ドメインの少なくとも1つの突然変異をすべて伴う二重特異性抗体が開示されている。Lewis刊行物では、「我々の方法は、可変および定常ドメインの両方の保存されたフレームワーク領域中への複数の突然変異の導入を必要とする」と述べられている。この著者らは、彼らの経験において、「可変ドメインが重鎖および軽鎖の特異的アセンブリーを支配した」とさらに注記した。彼らは、タンパク質折り畳み経路の間に、可変ドメインは、「最初に互いに認識し、Cドメインに折り畳まれていないC1と相互作用させる」ことができ、その結果、重鎖/軽鎖対合は、C1およびCが相互作用する前にVおよびVの相互作用によって概ね決定されると仮定した。その仮説は、可変領域中の突然変異が要求された彼らの観察を説明するはずである。
対照的に、本発明は、CDR、またはさらには可変領域の残りの突然変異を必要とせず、それでも高い忠実度の鎖対合を実現するヘテロ二量体タンパク質(例えば、二重特異性抗体)を提供する。したがって、この分野における最近の技術、具体的にはLewisおよびWO2014150973と比べて、本発明のヘテロ二量体タンパク質および二重特異性抗体は、予想外であり、かなりの有益な利点をもたらす。
当技術分野で公知であるように、抗体とその抗原との間の相互作用は、CDRループによって主に推進される。すべてのCDRループがすべての抗原の抗原結合に参加するわけではないが、高忠実度二重特異性鎖対合を試し、実現するための抗体改変の方法を設計するとき、CDRおよび可変領域内の位置の突然変異は、抗体結合親和性に悪影響するリスクに起因して不利である。単一のFabではなく複数のFab配列(または二重特異性IgG)の同時生成を伴う場合について、WO2014150973の様々な実施形態はすべて、Kabatによって定義される重鎖のCDR2領域を突然変異させることを想定している(「KabatによるHFR3の第1の残基の上流の4つのアミノ酸である残基」がグルタミン酸に突然変異され、ここでHFR3は、重鎖のフレームワーク3を指す)。本発明のヘテロ二量体タンパク質および二重特異性抗体は、CDRを修飾せず、したがってこのリスクを回避する。さらに、軽鎖可変領域の1位(WO2014/150973A1の特許請求の範囲によれば、4本鎖混合物の生成中にArgに突然変異される)は、CDR1およびCDR3ループ付近にあり、それは、この位置における突然変異は、いくつかの抗原に対する結合親和性にも影響し得ることを意味する。PDBエントリー4LLY、Lewis刊行物に記載された結晶構造において、1位の側鎖は、Cβを超えると無秩序であるが、骨格原子は、CDR L1の5Å以内、およびCDR L3の6Å以内にあり、Cβは、CDR残基の大部分を含有するFabの面(すなわち、抗原が結合すると予期される場所)に向けて配向している。対照的に、本発明のヘテロ二量体タンパク質および二重特異性抗体は、この位置、または可変ドメイン中の任意の他の位置の突然変異を伴わず、したがって、近傍のフレームワーク残基を突然変異させるとき存在するCDR適所配置および/または抗原結合を妨害するリスクを回避する。
原理上は、ヘテロ二量体優遇(heterodimer−favoring)突然変異は、C1ドメインとCドメインとの間の界面、および可変重鎖ドメインと可変軽鎖ドメインとの間の界面である重鎖と軽鎖との間の主要な界面領域のいずれかに含めることができる。しかし、上記で部分的に述べたように、C1/C界面中の突然変異が、ロバストな二重特異性プラットフォームの開発にとって高度に好適である。可変ドメイン界面中の突然変異は、CDRループのコンホメーションに影響し得る。理由は、CDRループは、可変ドメイン界面の一部を形成するので、これらは、可変ドメイン中に行われた突然変異と相互作用し得る(直接に、または近傍の残基を通じて間接的に)ためである。ヘテロ二量体増強突然変異とのこのような相互作用が抗体親和性に影響する様式でCDRループコンホメーションを変更する場合、これらのヘテロ二量体突然変異は、広い範囲の抗体にわたる信頼できる使用にとって芳しくない候補であることを証明することになる。
さらに、2つの可変ドメインの相対的な配向は、すべての抗体の間で一定ではなく、2つのドメイン間の角度は、抗体間で少なくとも30度変動し得ることが公知である(AbhinandanおよびMartin、Protein Eng Des Sel.、23(9)、689〜97、(2010))。これらの変化は、可変ドメイン中の残基同士間の接触の詳細なパターンを必然的に変更し、対応して、界面内で許容されるアミノ酸置換の範囲を変更する。
これらの事実を考慮すると、可変ドメイン突然変異がヘテロ二量体優遇プラットフォーム設計で使用される場合、既知の抗体構造中で一般的なやり方で遭遇する様々なCDRコンホメーションおよび可変ドメイン配向角度をカバーする多数の例を試験することなく、ロバストで信頼できる適用性を実証することが困難であるはずである。したがって、本発明によるヘテロ二量体および二重特異性抗体の生成における利点の1つは、C1/C界面の修飾をもっぱら利用することである。本発明の実施形態のいずれも、有用なレベルの対合忠実度を実現するための本質的な特徴として可変ドメインの修飾体との対合を必要としない。
本発明は、有利なことに、第1のFabおよび第2のFabの優先的な形成が、相補的残基セットの相補的対合を利用することを示す。
一部の態様では、優先的な形成は、第2のCとともに第1のC1、または第1のCとともに第2のC1を含むFab(またはC)の形成より大きい程度の第1のC1および第1のCを含む第1のFab(または第1のC)の形成を指す。一部の態様では、優先的な形成は、第2のCとともに第1のC1、または第1のCとともに第2のC1を含むFab(またはC)の形成より大きい程度の第2のC1および第2のCを含む第2のFab(または第2のC)の形成を指す。
一部の態様では、Cドメインの少なくとも1つは、カッパドメインである。一部の態様では、Cドメインの少なくとも1つは、ラムダドメインである。一部の態様では、Cドメインの両方がカッパドメインである。一部の態様では、Cドメインの両方がラムダドメインである。一部の態様では、Cドメインの一方は、カッパドメインであり、他方のCドメインは、ラムダドメインである。
一部の態様では、本発明は第1のCおよび第2のCの形成が、第1のC1および第2のC、または第2のC1および第1のCから構成されるCの形成に対して、少なくとも約4倍、5倍、6倍、8倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、60倍、80倍、90倍、100倍、150倍、および200倍からなる群から選択される量で優先的に起こるヘテロ二量体タンパク質および二重特異性抗体を提供する。
正しいC対合の判定は、質量スペクトル分析によって行われ得る。
相補的残基セット
一部の態様では、相補的残基セットは、一方のドメイン中に正または負に荷電した残基、および他方のドメイン中に逆に荷電した残基を含む。一部の態様では、相補的残基セットは、一方のドメイン中に正に荷電した残基、および他方のドメイン中に負に荷電した残基を含む。一部の態様では、相補的残基セットは、一方のドメイン中に正または負に荷電した残基、および他方のドメイン中に極性残基、または逆に荷電した残基を含む。正に荷電した残基は、H、K、およびRからなる群から選択され得る。負に荷電した残基は、EおよびDからなる群から選択され得る。疑義を回避するために、負に荷電した残基は、正に荷電した残基に対して逆に荷電していると言われ、逆の場合も同様である。極性残基は、S、T、M、Q、N、W、およびYからなる群から選択され得る。極性残基は、S、T、M、Q、N、およびWからなる群から選択される場合がある。極性残基は、S、T、M、Q、N、およびYからなる群から選択される場合がある。極性残基は、S、T、M、W、およびYからなる群から選択される場合がある。極性残基は、S、T、M、W、およびYからなる群から選択される場合がある。極性残基は、S、T、M、およびWからなる群から選択される場合がある。極性残基は、S、M、W、およびYからなる群から選択される場合がある。極性残基は、S、M、およびWからなる群から選択される場合がある。極性残基は、SおよびTからなる群から選択される場合がある。一部の態様では、Mは、極性残基と見なされない。
例えば、C1突然変異残基は、正または負に荷電した残基を含み得、C突然変異残基は、極性残基、または逆に荷電した残基を含み得る。C突然変異残基は、正または負に荷電した残基を含み得、C1突然変異残基は、極性残基、または逆に荷電した残基を含み得る。C突然変異残基は、正に荷電した残基を含み得、C1突然変異残基は、負に荷電した残基を含み得る。C1突然変異残基は、正に荷電した残基を含み得、C突然変異残基は、負に荷電した残基を含み得る。
本発明の一部の態様では、相補的残基セットは、C1突然変異残基およびC突然変異残基を含み得、これらの逆に荷電した側鎖が静電相互作用を促進する。有利には、改変された突然変異残基から生じるそれぞれのC1およびCドメインの変更された荷電極性が、第1または第2のFabの形成を支持し、同様に、改変された突然変異残基の1つまたは複数から生じる反発的な電荷相互作用が、第3または第4のFabの形成を抑制する。
一部の態様では、相補的残基セットの場所は、本明細書に定義したKabat番号付けによる(i)C1−124およびCL−176;(ii)C1−188およびCL−178;(iii)C1−143およびCL−178;(iv)C1−143およびCL−131;(v)C1−221およびCL−123;(vi)C1−145およびCL−131;(vi)C1−179およびCL−131;(vii)C1−186およびCL−131;ならびに(viii)C1−143およびCL−133からなる群から選択される。
一部の態様では、相補的残基セットは、C1−124およびCL−176を含む。一部の態様では、相補的残基セットは、C1−188およびCL−178を含む。一部の態様では、相補的残基セットは、C1−143およびCL−178を含む。一部の態様では、相補的残基セットは、C1−143およびCL−131を含む。一部の態様では、相補的残基セットは、C1−221およびCL−123を含む。一部の態様では、相補的残基セットは、C1−145およびCL−131を含む。一部の態様では、相補的残基セットは、C1−179およびCL−131を含む。一部の態様では、相補的残基セットは、C1−145、C1−179、C1−186、およびCL−131を含む。一部の態様では、相補的残基セットは、C1−143、C1−179、C1−186、およびCL−131を含む。一部の態様では、相補的残基セットは、C1−186およびCL−131を含む。一部の態様では、相補的残基セットは、C1−143およびCL−133を含む。
一部の態様では、C1位置における突然変異は、W、H、K、R、S、およびTからなる群から選択され、C位置における突然変異は、S、M、D、およびEからなる群から選択される。
一部の態様では、C1位置における突然変異は、EおよびDからなる群から選択され、C位置における突然変異は、H、K、およびRからなる群から選択される。
一部の態様では、相補的残基セットの1つまたは複数は、1つまたは複数のさらなる突然変異をさらに含む。
一部の態様では、相補的残基セットの1つまたは複数は、C1−143D、C1−145S、C1−186A、C1−186E、C1−188G、C1−188W、C1−190S、C1−190I、C−133S、C−135I、C−176G、C−176M、およびC−178Sからなる群から選択される1つまたは複数のさらなる突然変異を含む。
一部の態様では、相補的残基セットの1つまたは複数は、本明細書に記載のKabat番号付けによるC1−143、C1−145、C1−186、C1−188、C1−188、C1−190、C1−190、C−133、C−135、C−176、C−176、およびC−178からなる群から選択される1つまたは複数の位置に位置したさらなる突然変異を含む。
一部の態様では、相補的残基セットの1つまたは複数は、C1−143においてさらなるC1突然変異残基を含む。C1−143における突然変異残基は、H、K、R、E、およびDからなる群から選択され得る。C1−143における突然変異残基は、EおよびDからなる群から選択される場合がある。C1−143における突然変異残基は、Eであり得る。C1−143における突然変異残基は、Dであり得る。
一部の態様では、相補的残基セットの1つまたは複数は、C1−145においてさらなるC1突然変異残基を含む。C1−145における突然変異残基は、S、T、M、Q、N、E、D、W、またはYからなる群から選択され得る。C1−145における突然変異残基は、S、T、M、Q、N、E、またはDからなる群から選択される場合がある。C1−145における突然変異残基は、S、T、M、Q、またはNからなる群から選択される場合がある。C1−145における突然変異残基は、S、T、またはMからなる群から選択される場合がある。C1−145における突然変異残基は、Sであり得る。C1−145における突然変異残基は、Tであり得る。
一部の態様では、相補的残基セットの1つまたは複数は、C1−186においてさらなるC1突然変異残基を含む。C1−186における突然変異残基は、G、A、L、V、I、W、F、またはYからなる群から選択され得る。C1−186における突然変異残基は、G、A、L、V、I、またはWからなる群から選択される場合がある。C1−186における突然変異残基は、G、A、L、V、またはIからなる群から選択される場合がある。C1−186における突然変異残基は、G、A、V、またはLからなる群から選択される場合がある。C1−186における突然変異残基は、G、A、またはVからなる群から選択される場合がある。C1−186における突然変異残基は、GまたはAからなる群から選択される場合がある。C1−186における突然変異残基は、AまたはWからなる群から選択される場合がある。C1−186における突然変異残基は、F、Y、またはWからなる群から選択される場合がある。C1−186における突然変異残基は、Wであり得る。C1−186における突然変異残基は、Aであり得る。
一部の態様では、相補的残基セットの1つまたは複数は、C1−188においてさらなるC1突然変異残基を含む。C1−188における突然変異残基は、G、A、L、V、I、W、F、またはYからなる群から選択され得る。C1−188における突然変異残基は、G、A、L、V、I、またはWからなる群から選択される場合がある。C1−188における突然変異残基は、G、A、L、V、またはIからなる群から選択される場合がある。C1−188における突然変異残基は、G、A、V、またはLからなる群から選択される場合がある。C1−188における突然変異残基は、GまたはAからなる群から選択される場合がある。C1−188における突然変異残基は、G、A、またはWからなる群から選択される場合がある。C1−188における突然変異残基は、GまたはWからなる群から選択される場合がある。C1−188における突然変異残基は、F、Y、またはWからなる群から選択される場合がある。C1−188における突然変異残基は、Wであり得る。C1−188における突然変異残基は、Aであり得る。C1−188における突然変異残基は、Gであり得る。
一部の態様では、相補的残基セットの1つまたは複数は、C1−190においてさらなるC1突然変異残基を含む。C1−190における突然変異残基は、S、T、I、Lからなる群から選択され得る。C1−190における突然変異残基は、IまたはLからなる群から選択される場合がある。C1−190における突然変異残基は、SまたはTからなる群から選択される場合がある。C1−190における突然変異残基は、SまたはIからなる群から選択される場合がある。C1−190における突然変異残基は、Tであり得る。C1−190における突然変異残基は、Lであり得る。C1−190における突然変異残基は、Iであり得る。C1−190における突然変異残基は、Sであり得る。
一部の態様では、相補的残基セットの1つまたは複数は、C−133においてさらなるC突然変異残基を含む。C−133における突然変異残基は、S、T、Q、またはMからなる群から選択され得る。C−133における突然変異残基は、Sであり得る。C−133における突然変異残基は、Tであり得る。C−133における突然変異残基は、Mであり得る。C−133における突然変異残基は、Qであり得る。
一部の態様では、相補的残基セットの1つまたは複数は、C−135においてさらなるC突然変異残基を含む。C−135における突然変異残基は、I、T、またはMからなる群から選択され得る。C−135における突然変異残基は、Iであり得る。
一部の態様では、相補的残基セットの1つまたは複数は、C−176においてさらなるC突然変異残基を含む。C−135における突然変異残基は、G、A、V、I、L、M、N、またはTからなる群から選択され得る。C−176における突然変異残基は、G、A、V、I、L、またはMからなる群から選択される場合がある。C−176における突然変異残基は、G、A、V、L、またはMからなる群から選択される場合がある。C−176における突然変異残基は、G、A、V、またはMからなる群から選択される場合がある。C−176における突然変異残基は、G、A、またはMからなる群から選択される場合がある。C−176における突然変異残基は、GまたはMからなる群から選択される場合がある。C−176における突然変異残基は、Gであり得る。C−176における突然変異残基は、Aであり得る。C−176における突然変異残基は、Mであり得る。C−176における突然変異残基は、Nであり得る。
一部の態様では、相補的残基セットの1つまたは複数は、C−178においてさらなるC突然変異残基を含む。C−135における突然変異残基は、G、S、V、またはAからなる群から選択され得る。C−135における突然変異残基は、Sであり得る。
一部の態様では、第1および第2の相補的残基セットは、以下の群:(i)C1−124K、C−176D;(ii)C1−124K、C−176D、C1−190S、C−133S;(iii)C1−124K、C−176D、C−133S;(iv)C1−124E、C−176K;(v)C1−124E、C−176K、C1−188G;(vi)C1−188E、C−178K、C1−143E;(vii)C1−188K、C−178D、C1−143D;(viii)C1−143K、C−178D;(ix)C1−143D、C−178R;(x)C1−143K、C−178D;(xi)C1−143D、C−178K;(xii)C1−143D、C−178K、C−176M;(xiii)C1−143E、C−131R;(xiv)C1−143R、C−131E;(xv)C1−143R、C−131E、C1−186A;(xvi)C1−221D、C−123K;(xvii)C1−221D、C−123K、C1−190I、C−135I;(xviii)C1−145E、C−131H;(xvix)C1−143H、C1−179D、C1−186E、C−131H;(xix)C1−145E、C−131H;(xx)C1−186E、C−131H、C1−145S;(xxi)C1−143S、C−131D、C1−188W、C−133S、C−178S;(xxii)C1−143S、C1−188W、C−133M、C−176G、C−178G;(xxiii)C1−143H、C1−179D、C1−186E、C−131H、C−190I、C−135I、(xxiv)C−186E、C−131H、C−145S;(xxv)C1−143S、C−131D、C1−188W、C−133S、C−176C;(xxvi)C1−143S、C1−188W、C−133M、C−178G、C−176G;(xxvii)C1−143S、C1−188W、C−131Dの2つから選択される。
新規のジスルフィド連結
一部の態様では、本発明は、第1のC1と第1のC、および/または第2のC1と第2のCの間に新規のジスルフィド結合をもたらす。新規のジスルフィド結合は、以下の位置(i)C1−122およびCL−123;(ii)C1−139およびCL−116;ならびに(iii)C1−174およびCL−176の1つまたは複数に位置し得る。
野生型ジスルフィド結合は、第1のCおよび/または第2のCのいずれかまたは両方上で、C1−C230およびC−214の一方または両方を、Cを除く任意の残基に突然変異させることによって除去され得る。一部の態様では、C−C214は、第1および/または第2のCのいずれかまたは両方において欠失される。一部の態様では、C1−C230は、第1および/または第2のCのいずれかまたは両方において欠失される。
一部の態様では、第1および/または第2のC1−C230ならびに第1および/または第2のC−C214は、Sに突然変異される。一部の態様では、第1のCは、C1−C230SおよびC−C214Sを含み、以下の残基対:C1−122CおよびCL−123C;C1−139CおよびCL−116C;ならびにC1−174CおよびCL−176Cの1つまたは複数をさらに含む。一部の態様では、第2のCは、C1−C230SおよびC−C214Sを含み、以下の残基対:C1−122CおよびCL−123C;C1−139CおよびCL−116C;ならびにC1−174CおよびCL−176Cの1つまたは複数をさらに含む。有利には、第1のCおよび第2のCは、同じ対応する位置に位置した新規のサイトカイン突然変異を含まない。
一部の態様では、所与のCはC−174CおよびC−176Cを含み、所与のCは、C−190IおよびC−135Iをさらに含む。
/C突然変異
一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、以下の群:(i)C1−124K、C−176D、C1−190S、C−133S;(ii)C1−124E、C−176K、C1−188G、C−133S;(iii)C1−124K、C−176D、C−133S;(iv)C1−124E、C−176K、C−133S;(v)C1−188E、C−178K、C1−143E;(vi)C1−188K、C−178D、C1−143D;(vii)C1−143K、C−178D;(viii)C1−143D、C−178R;(ix)C1−143K、C−178D;(x)C1−143D、C−178K;(xi)C1−143D、C−178K、C−176M;(xii)C1−143E、C−131R;(xiii)C1−143R、C−131E;(xiv)C1−143R、C−131E、C1−186A;(xv)C1−221D、C−123K;(xvi)C1−221K、C−123K、C1−190I、C−135I、C1−174C、C1−230S、C−176C、C−214S;(xvii)C1−145E、C−131H;(xviii)C1−143H、C1−179D、C1−186E、C−131H;(xix)C1−122C、C1−145E、C1−230S、C−123C、C−131H、C−214S;(xx)C1−186E、C−131H、C1−145S;(xxi)C1−143S、C−131D、C1−188W、C−133S、C−178S;(xxii)C1−143S、C1−188W、C−133M、C−176G、C−178G;(xxiii)C1−143H、C1−179D、C1−186E、C−131H、C−190I、C−135I、C1−174C、C1−230S、C−176C、C−214S;(xxiv)C−186E、C−131H、C−145S、C1−139C、C1−230S、C−116C、C−214S;(xxv)C1−143S、C−131D、C1−188W、C−133S、C−178S、C1−174C、C1−230S、C−176C、C−214S;(xxvi)C1−221D、C−123K、C1−190I、C−135I、C1−174C、C1−230S、C−176C、C−214S;(xxvii)C1−143S、C1−188W、C1−122C、C1−139C、C1−174C、C1−230S、C−133S、C−178S、C−131D、C−116C、C−123C、C−176C、C−214Sの1つからの残基を含む。
有利には、第1および第2のFabはともに、同じ群からの残基を含むことはない。
一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−124K、C−176D、C1−190S、およびC−133Sを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−124KおよびC−176Dを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−124K、C−176Eを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−124R、C−176Dを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−124R、C−176Eを含む。
一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−124E、C−176K、C1−188G、およびC−133Sを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−124EおよびC−176Kを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−124E、およびC−176Rを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−124D、およびC−176Kを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−124D、およびC−176Rを含む。
一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−188E、C−178KおよびC1−143Eを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−188E、およびC−178Kを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−188D、およびC−178Kを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−188E、C−178Rを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−188D、C−178Rを含む。
一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−188K、C−178D、およびC1−143Dを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−188K、C−178Dを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−188R、C−178Dを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−188K、C−178Eを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−188R、C−178Eを含む。
一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143K、およびC−178Dを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143K、およびC−178Eを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143R、およびC−178Dを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143R、およびC−178Eを含む。
一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143D、およびC−178Rを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143E、およびC−178Rを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143D、およびC−178Kを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143E、およびC−178Kを含む。
一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143D、C−178K、およびC−176Mを含む。
一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143E、およびC−131Rを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143D、およびC−131Rを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143E、およびC−131Kを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143D、およびC−131Kを含む。
一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143R、C−131E、およびC−186Aを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143R、およびC−131Eを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143K、およびC−131Eを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143R、およびC−131Dを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143K、およびC−131Dを含む。
一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−221D、C−123K、C1−190I、C−135I、C1−174C、C1−230S、C−176C、およびC−214Sを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−221D、およびC−123Kを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−221E、およびC−123Kを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−221D、およびC−123Rを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−221E、およびC−123Rを含む。
一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−145E、およびC−131Hを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−145DおよびC−131Hを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−145E、およびC−131Kを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−145E、およびC−131Rを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−145D、およびC−131Kを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−145E、およびC−131Hを含む。
一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143H、C1−179D、C1−186E、およびC−131Hを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143E、C1−179D、C1−186E、およびC−131Hを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143D、C1−179D、C1−186D、およびC−131Hを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143H、C1−179D、C1−186D、およびC−131Hを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143H、C1−179E、C1−186D、およびC−131Hを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143H、C1−179E、C1−186E、およびC−131Hを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143H、C1−179E、C1−186D、およびC−131Hを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143H、C1−179E、C1−186E、およびC−131Hを含む。
一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−145E、C−131H、C1−122C、C1−230S、C−123CおよびC−214Sを含む。
一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−186E、C−131H、およびC1−145Sを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−186E、およびC−131Hを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−186D、およびC−131Hを含む。
一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143S、C−131D、C1−188W、C−133S、およびC−178Sを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143S、C1−188WおよびC−131Dを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143T、C1−188W、およびC−131Dを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143S、C1−188W、およびC−131Eを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143T、C1−188W、およびC−131Eを含む。
一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143S、C1−188W、C−133M、C−176G、およびC−178Gを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143S、C1−188W、およびC−133Mを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143T、C1−188W、およびC−133Mを含む。
一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143H、C1−179D、C1−186E、C−131H、C−190I、C−135I、C1−174C、C1−230S、C−176C、およびC−214Sを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143H、C1−179D、C1−186E、およびC−131Hを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143H、C1−179E、C1−186E、およびC−131Hを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143H、C1−179D、C1−186D、およびC−131Hを含む。一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143H、C1−179E、C1−186D、およびC−131Hを含む。
一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C−186E、C−131H、C−145S、C1−139C、C1−230S、C−116CおよびC−214Sを含む。
一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143S、C−131D、C1−188W、C−133S、C−178S、C1−174C、C1−230S、C−176CおよびC−214Sを含む。
一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143S、C1−188W、C−133M、C−178G、C−176G、C1−122C、C1−230S、C−123C、およびC−214Sを含む。
一部の態様では、第1のCおよび/または第2のCは、残基C1−143S、C−131D、C1−188W、C−133S、C−178S、C1−122C、C−139C、C−174C、C1−230S、C−116C、C−123C、C−176C、およびC−214Sを含む。
一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号1と同一の配列を含むC1ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号2と同一の配列を含むC1ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号3と同一の配列を含むC1ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号4と同一の配列を含むC1ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号5と同一の配列を含むC1ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号6と同一の配列を含むC1ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号7と同一の配列を含むC1ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号8と同一の配列を含むC1ドメインを含む。
一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号33と同一の配列を含むC1ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号34と同一の配列を含むC1ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号35と同一の配列を含むC1ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号36と同一の配列を含むC1ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号37と同一の配列を含むC1ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号38と同一の配列を含むC1ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号39と同一の配列を含むC1ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号40と同一の配列を含むC1ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号41と同一の配列を含むC1ドメインを含む。
一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号9と同一の配列を含むCドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号10と同一の配列を含むCドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号11と同一の配列を含むCドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号12と同一の配列を含むCドメインを含む。
一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号24と同一の配列を含むCドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号25と同一の配列を含むCドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号26と同一の配列を含むCドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号27と同一の配列を含むCドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号28と同一の配列を含むCドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号29と同一の配列を含むCドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号30と同一の配列を含むCドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号31と同一の配列を含むCドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号32と同一の配列を含むCドメインを含む。
ヘテロ二量体を生成するための抗体の定常ドメインへの修飾は、US5731168、WO2009089004、およびWO2011143545に開示されており、これらの内容のそれぞれは、その全体が本明細書に組み込まれている。
2およびC3ドメイン
一部の態様では、第1のC1は、第1のC2ドメイン(C2)に接続されており、第2のC1は、第2のC2に接続されている。第1および第2のC2は、それぞれ、互いに異なるように改変されている、それぞれ第1および第2のC2突然変異残基を含み、互いに優先的に相互作用し、それによってC2ホモ二量体の形成に対して優先的にC2ヘテロ二量体を形成し得る。
一部の態様では、本発明のヘテロ二量体タンパク質は、第1のC2領域および第2のC2領域をさらに含み、これらは、相互作用してC2界面を形成し、C2界面内の1つまたは複数のアミノ酸は、ホモ二量体形成を不安定化し、ホモ二量体形成に対して静電気的に不都合でない。
一部の態様では、第1のC1またはC2は、第1のC3ドメイン(C3)に接続されており、第2のC1またはC2は、第2のC3に接続されている。第1および第2のC3は、それぞれ、互いに異なるように改変されている、それぞれ第1および第2のC3突然変異残基を含み、互いに優先的に相互作用し、それによってC3ホモ二量体の形成に対して優先的にC3ヘテロ二量体を形成し得る。ヘテロ二量体形成を促進するために、両方のC3ドメイン中でC3−C3界面を構成する1つまたは複数の残基を荷電アミノ酸と置き換えることを伴う技法は、WO2009/089004にも記載されている。
一部の態様では、本発明のヘテロ二量体タンパク質は、第1のC3領域および第2のC3領域をさらに含み、これらは、相互作用してC3界面を形成し、C3界面内の1つまたは複数のアミノ酸は、ホモ二量体形成を不安定化し、ホモ二量体形成に対して静電気的に不都合でない。一部の実施形態では、改変されたC3界面は、ホモ二量体形成に対してヘテロ二量体形成を立体的に優遇する。一部の実施形態では、改変されたC3界面は、ホモ二量体形成に対してヘテロ二量体形成を静電気的に優遇する。
一部の実施形態では、第1のC3ポリペプチド中のアミノ酸修飾は、C3−391におけるアミノ酸置換であり、第2のC3ポリペプチド中のアミノ酸修飾は、C3−441におけるアミノ酸置換である(配列番号18の番号付けによる)。一部の実施形態では、第1のC3ポリペプチド中のアミノ酸修飾は、C3−441Rであり、第2のC3ポリペプチド中のアミノ酸修飾は、C3−391EまたはC3−391Dである(より詳細については、WO2011/143545を参照)。一部の実施形態では、二重特異性抗体は、一方のアームにおいて、配列番号42(ヒンジIgG1)のC2−D232位およびC2−P241位、または配列番号79(IgG2ヒンジ配列)のC2−C233位、C2−E237位、およびC2−P241位において第1のヒンジ領域中にアミノ酸修飾をさらに含み、第1のヒンジ領域中の置換された/置き換えられたアミノ酸は、別のアームにおける第2のヒンジ領域中の対応するアミノ酸と反対電荷を有する(より詳細については、WO2011/143545を参照)。例えば、ヒンジ領域中のアミノ酸修飾は、C2−D232R、C2−D232E、C2−P241R、および/またはC2−P241Eであり得る。別の例では、ヒンジ領域中のアミノ酸修飾は、C2−C233D、C2−C233E、C2−C233K、C2−C223R、C2−E237E、C2−E237K、C2−E237R、C2−P241D、C2−P241E、C2−P241K、および/またはC2−P228Rであり得る。一部の態様では、C3ドメインは、配列番号82、83、84、および85からなる群から選択される。
一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号13と同一の配列を含むC2ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号14と同一の配列を含むC2ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号15と同一の配列を含むC2ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号16と同一の配列を含むC2ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号17と同一の配列を含むC2ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号45と同一の配列を含むC2ドメインを含む。
一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号18と同一の配列を含むC3ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号19と同一の配列を含むC3ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号20と同一の配列を含むC3ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号21と同一の配列を含むC3ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号22と同一の配列を含むC3ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号23と同一の配列を含むC3ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号46と同一の配列を含むC3ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号47と同一の配列を含むC3ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号48と同一の配列を含むC3ドメインを含む。一部の態様では、本発明は、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、および99%からなる群から選択される量で配列番号49と同一の配列を含むC3ドメインを含む。
一部の態様では、本発明は、C1領域とC2領域との間にIgGヒンジ領域をさらに含む。IgGヒンジ領域は、配列番号42を含み得る。IgGヒンジ領域は、配列番号43を含み得る。IgGヒンジ領域は、配列番号44を含み得る。IgGヒンジ領域は、IgG2ヒンジ領域である場合があり、配列番号79を含み得る。
Igアイソタイプおよびサブクラス
一部の実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、1つまたは複数のIgAドメインを含み得る。一部の実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、1つまたは複数のIgDドメインを含み得る。一部の実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、1つまたは複数のIgEドメインを含み得る。一部の実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、1つまたは複数のIgGドメインを含み得る。一部の実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、1つまたは複数のIgMドメインを含み得る。
一部の実施形態では、少なくとも1つのFabは、IgA1またはIgA2である。一部の実施形態では、少なくとも1つのFabは、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4である。一部の実施形態では、IgG Fabは、ヒトIgG Fab(例えば、IgG、IgG、IgG、またはIgG)を含む。一部の実施形態では、第1および第2のFabは、同じサブクラスである(すなわち、両方は、IgGであり、または両方は、IgGであり、または両方は、IgGであり、または両方は、IgGである)。
代替の実施形態では、第1のFabは、第2のFabと異なるサブクラスのものである(すなわち、第1のFabおよび第2のFabは、それぞれ異なるサブクラスのものであってもよく、それぞれは、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、またはIgAからなる群から選択され得る)。例えば、本発明の抗体は、1つの抗体サブクラス(例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、またはIgA2からなる群から選択される)に由来する第1のFab、ならびに異なるサブクラス(例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、またはIgAからなる群から選択され、ただし第2のFabは、第1のFabと異なるサブクラスのものである)に由来する第2のFab、ならびに単一抗体クラス(例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、またはIgAからなる群から選択される)に由来する第1および第2のC2ドメインならびに第1および第2のC3ドメインを含み得る。
本発明の別の態様では、本明細書に記載の抗体またはそのFab領域(例えば、二重特異性抗体)は、全長のヒト抗体を含み、抗体またはそのFabの第1の抗体可変ドメインは、ヒト免疫エフェクター細胞上に位置したエフェクター抗原に特異的に結合することによってヒト免疫エフェクター細胞の活性を動員することができ、ヘテロ二量体タンパク質の第2の抗体可変ドメインは、標的抗原に特異的に結合することができる。一部の実施形態では、ヒト抗体は、IgG、IgG、IgG、またはIgGアイソタイプを有する。
脈絡によって別段に示されている場合を除いて、用語「第1の」および「第2の」、ならびにこれらのバリエーションは、単に一般的な識別子であり、具体的なまたは特定のC1、C、V、V、C2、C3、またはFabを同定すると解釈されるべきでない。
本発明の別の態様では、本明細書に開示のヘテロ二量体タンパク質は、例えば、PCT公開第WO98/52976号および同第WO00/34317号に記載されたものなどの公知の技法を使用して、対象に投与した後の免疫原性を低減するために脱免疫化され得る。
他の実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、別のポリペプチドまたは分子剤に連結された、ヘテロ二量体ポリペプチド、例えば、本明細書に開示の二重特異性抗体のすべてまたは一部を含む融合抗体またはイムノアドヘシンを作製するなどによって修飾または誘導体化され得る。本明細書に開示のヘテロ多量体、例えば、ヘテロ二量体ポリペプチド(例えば、二重特異性抗体)は、より安定な融合分子を生成することによって、かつ/または「PEG化」と一般に呼ばれるポリエチレングリコール(PEG)などの生体適合性ポリマーを用いた処置によって、またはいくつかの当技術分野で周知の他の改変方法のいずれかによって、例えば、in vivo半減期を延長するために修飾または誘導体化され得る。
ヘテロ二量体タンパク質は、周知の技法を使用して、それだけに限らないが、ポリエチレングリコール(PEG)、メチルもしくはエチル基、エステル、炭水化物基などを含めた化学基を用いて誘導体化され得る。これらの化学基(およびin vivoで安定性治療化合物に使用されてきたこれらと同様の他の基)は、ヘテロ二量体ポリペプチドの生物学的特性を改善する、例えば、血清半減期および生物活性を増大させるのに有用である。
ヘテロ二量体タンパク質は、多数の当技術分野で公知の方法のいずれかを使用して標識することもできる。本明細書において、用語「標識」または「標識された」は、抗体中の別の分子の組込みを指す。一実施形態では、標識は、検出可能マーカー、例えば、放射性標識アミノ酸の組込み、またはマークされたアビジン(例えば、光学的方法もしくは比色法によって検出され得る蛍光マーカーもしくは酵素活性を含有するストレプトアビジン)によって検出され得るビオチニル部分のポリペプチドへの付着である。別の実施形態では、標識またはマーカーは、治療剤、例えば、薬物コンジュゲートまたは毒素であり得る。ポリペプチドおよび糖タンパク質を標識する様々な方法が、当技術分野で公知であり、使用され得る。ポリペプチドの標識の例としては、それだけに限らないが、放射性同位体または放射性核種(例えば、3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光標識(例えば、FITC、ローダミン、ランタニドリン光体)、酵素標識(例えば、西洋わさびペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光マーカー、ビオチニル基、二次レポーターによって認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)、ガドリニウムキレートなどの磁性剤、百日咳毒素などの毒素、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、ならびにこれらの類似体または同族体がある。一部の実施形態では、標識は、潜在的な立体障害を低減するために様々な長さのスペーサーアームによって付着されている。
本発明のポリペプチドおよびヘテロ二量体タンパク質を生成する核酸および方法
一部の実施形態では、異なる核酸分子が、本明細書に開示のヘテロ二量体タンパク質、例えば、二重特異性抗体の1つまたは複数の鎖または部分をコードする。他の実施形態では、同じ核酸分子が、本明細書に開示のヘテロ二量体タンパク質をコードする。
一態様では、本発明は、上述した本明細書に開示のヘテロ二量体タンパク質の鎖の1つ、またはその部分をコードする核酸配列を提供する。本発明の核酸分子としては、高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸、例えば、本発明の核酸配列と少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、もしくは99%、またはそれ超同一のものなどがある。
一部の態様では、核酸は、DNAである。一部の態様では、核酸は、RNAである。一部の態様では、核酸は、mRNAである。一部の態様では、核酸は、非天然核酸、例えば、PNA(ペプチド核酸)、モルホリノ核酸、およびロックされた核酸など、グリコール核酸、ならびにトレオース核酸である。
さらなる態様では、本発明は、本明細書に開示のヘテロ多量体もしくはヘテロ二量体タンパク質の鎖もしくは部分の1つもしくは複数、または本明細書に記載のその部分をコードする核酸配列を含むベクターを提供する。
さらなる態様では、本発明は、本明細書に開示のヘテロ二量体タンパク質の鎖もしくは部分の1つもしくは複数、または本明細書に記載のその部分を発現させるのに適したベクターを提供する。一部の態様では、本発明は、本発明の核酸を含むベクターを提供する。
別の実施形態では、本発明の核酸分子は、特定のアミノ酸配列、例えば、ヒンジおよび定常重鎖ドメイン配列などの中の特異的抗体配列のためのプローブまたはPCRプライマーとして使用される。例えば、核酸は、診断法におけるプローブとして、またはとりわけ、有用な配列をコードする追加の核酸分子を単離するのに使用され得るDNAの領域を増幅するためのPCRプライマーとして使用することができる。一部の実施形態では、核酸分子は、オリゴヌクレオチドである。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、目的の抗体の重鎖および軽鎖のヒンジおよび定常ドメイン領域に由来する。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、本明細書に記載の本発明のヘテロ二量体ポリペプチド、例えば、二重特異性抗体、またはこれらの断片の修飾されたFab領域の1つまたは複数のすべてまたは一部をコードする。
本発明の組換え発現ベクターは、一部の実施形態では、宿主細胞内の抗体鎖遺伝子の発現を制御する調節配列を担持し得る。調節配列の選択を含めた発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、望まれるタンパク質の発現のレベルなどの要因に依存し得ることが当業者によって察知されるであろう。哺乳動物宿主細胞発現についての好適な調節配列としては、哺乳動物細胞内で高レベルのタンパク質発現を指示するウイルスエレメント、例えば、レトロウイルスLTR、サイトメガロウイルス(CMV)(CMVプロモーター/エンハンサーなど)、シミアンウイルス40(SV40)(SV40プロモーター/エンハンサーなど)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))に由来するプロモーターおよび/またはエンハンサーなど、ポリオーマ、ならびに強力な哺乳動物プロモーター、例えば、天然免疫グロブリンおよびアクチンプロモーターなどがある。
抗体鎖遺伝子および調節配列に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、追加の配列、例えば、宿主細胞内でベクターの複製を調節する配列(例えば、複製起点)および選択可能マーカー遺伝子などを担持し得る。例えば、典型的には、選択可能マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞に対して、G418、ハイグロマイシン、またはメトトレキセートなどの薬物に対する耐性を付与する。例えば、選択可能マーカー遺伝子としては、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子(メトトレキセート選択/増幅を用いてdhfr宿主細胞内で使用するため)、neo遺伝子(G418選択のため)、およびグルタミン酸合成酵素遺伝子がある。
用語「発現制御配列」は、本明細書において、ポリヌクレオチド配列であって、これらがライゲーションされるコード配列の発現およびプロセシングを行うのに必要である、ポリヌクレオチド配列を意味する。発現制御配列としては、適切な転写開始、終結、プロモーターおよびエンハンサー配列;効率的なRNAプロセシングシグナル、例えば、スプライシングおよびポリアデニル化シグナルなど;細胞質mRNAを安定化させる配列;翻訳効率を増強する配列(すなわち、コザック共通配列);タンパク質安定性を増強する配列;ならびに望まれる場合、タンパク質分泌を増強する配列がある。このような制御配列の特質は、宿主生物に応じて異なり;原核生物では、このような制御配列は、一般に、プロモーター、リボソーム結合部位、および転写終結配列を含み;真核生物では、一般に、このような制御配列は、プロモーターおよび転写終結配列を含む。用語「制御配列」は、最低でも、その存在が発現およびプロセシングに本質的であるすべてのコンポーネントを含むように意図されており、その存在が有利である追加のコンポーネント、例えば、リーダー配列および融合パートナー配列も含むことができる。
一部の態様では、本発明は、本発明の少なくとも1つのC1またはCをコードする核酸を含む。本発明はさらに、本発明のFabをコードする核酸を提供する。一部の態様では、本発明は、本発明の第1のFabをコードする核酸を提供する。一部の態様では、本発明は、本発明の第2のFabをコードする核酸を提供する。
一部の態様では、本発明は、本発明の第1の重鎖をコードする核酸を提供する。一部の態様では、本発明は、本発明の第2の重鎖をコードする核酸を提供する。一部の態様では、本発明は、本発明の第1の軽鎖をコードする核酸を提供する。一部の態様では、本発明は、本発明の第2の軽鎖をコードする核酸を提供する。
一部の態様では、本発明は、本発明のベクターを含む細胞を提供する。一部の態様では、本発明は、本発明の核酸を含む細胞を提供する。一部の態様では、本発明は、本発明の核酸を発現する細胞を提供する。
有利には、本発明は、本明細書に記載のヘテロ二量体タンパク質を発現する細胞を提供する。同じ細胞内での第1のCおよび第2のCの同時発現は、ヘテロ多量体タンパク質の正しい形成を可能にする相補的残基セットを利用する。一部の態様では、これは、二重特異性抗体が完全にアセンブルされた形態で発現および生成されることを可能にし、モノクローナル抗体の精製に典型的には要求されるものに対して皆無かそれに近い追加の精製またはプロセシングステップを必要とする。
一部の態様では、本発明の二重特異性抗体は、mRNA補充療法またはRNA転写物療法で使用され得る。したがって、一部の態様では、本発明は、本発明の1種または複数のポリペプチド鎖をコードする1種または複数の核酸を含む細胞またはベクターを含み、その結果、in vivoで本発明のポリペプチド鎖が発現されると、in vivoで二重特異性抗体が生成される。このようなベクターの送達機構としては、脂質ベースシステムおよびナノ粒子がある(例えば、その内容のそれぞれが完全に組み込まれているWO2010053572、WO2012170930、およびWO2011068810を参照)。
一部の態様では、本発明は、核酸を含めた生物学的活性剤の投与に関連して使用することができる標準的な薬学的担体、希釈剤、賦形剤などのいずれかとして本明細書で定義される移動ビヒクル(transfer vehicle)をさらに含む。本明細書に記載の組成物、特に、移動ビヒクルは、本発明の核酸を標的細胞に送達することができる。一部の実施形態では、移動ビヒクルは、mRNAを標的細胞に移動させるのに適した脂質ナノ粒子である。
一部の態様では、本発明は、本発明の二重特異性抗体をコードするmRNA、移動ビヒクルを含み、かつ標的細胞との接触、および後続のそのトランスフェクションを促進する作用物質を含んでもよい。
一部の実施形態では、本発明の1種または複数のポリペプチドをコードするmRNAは、mRNAに安定性を付与する(例えば、野生型または天然バージョンのmRNAと比較して)1つまたは複数の修飾を含むことができる。例えば、本発明の核酸は、5’および3’非翻訳領域の一方または両方への修飾を含み得る。このような修飾として、それだけに限らないが、サイトメガロウイルス(CMV)前初期1(immediate−early 1)(IE1)遺伝子の部分配列、ポリA尾部、Capl構造、またはヒト成長ホルモン(hGH)をコードする配列を含めることを挙げることができる。一部の実施形態では、mRNAは、mRNA免疫原性を減少させるように修飾される。
一部の実施形態では、本発明のmRNAは、これらをより安定にするために化学的または生物学的修飾を受けている。mRNAへの例示的な修飾としては、塩基の枯渇(例えば、欠失、もしくは1つのヌクレオチドの別のものへの置換による)、または塩基の修飾、例えば、塩基の化学修飾がある。一部の態様では、ポリA尾部をmRNA分子に付加し、こうしてmRNAをより安定にすることができる。
一部の態様では、本発明の組成物における移動ビヒクルは、リポソーム移動ビヒクル、例えば、脂質ナノ粒子である。移動ビヒクルは、mRNAの標的細胞への送達を最適にするように選択および/または調製され得る。例えば、標的細胞が肝実質細胞である場合、移動ビヒクルの性質(例えば、サイズ、電荷、および/またはpH)を、このような移動ビヒクルを標的細胞に有効に送達し、免疫クリアランスを低減し、かつ/またはその標的細胞内での保持を促進するように最適化することができる。代わりに、標的細胞が中枢神経系である場合(例えば、神経変性疾患を処置するために投与されるmRNAは、脳または脊髄組織を特異的に標的にし得る)、移動ビヒクルの選択ならびに調製は、血液脳関門の侵入、およびその中での保持、ならびに/またはこのような移動ビヒクルをこのような標的細胞に直接送達する代替手段の使用を考慮しなければならない。一部の態様では、本発明の組成物は、外因性mRNAの移動を促進する作用物質(例えば、血液脳関門の浸透性を破壊または改善し、それによって外因性mRNAの標的細胞への移動を増強する作用物質)と組み合わせてもよい。
核酸の標的細胞への送達を促進するためのリポソーム移動ビヒクルの使用は、本発明によって企図されている。一部の態様では、移動ビヒクルは、脂質ナノ粒子として製剤化される。適当な脂質の例としては、例えば、ホスファチジル化合物(例えば、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴ脂質、セレブロシド、およびガングリオシド)がある。単独での、または他の移動ビヒクルと組み合わせた移動ビヒクルとしてのポリマーの使用も企図されている。適当なポリマーとして、例えば、ポリアクリレート、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリラクチド、ポリラクチド−ポリグリコリドコポリマー、ポリカプロラクトン、デキストラン、アルブミン、ゼラチン、アルギネート、コラーゲン、キトサン、シクロデキストリン、デンドリマー、およびポリエチレンイミンを挙げることができる。
本発明は、タンパク質産生のためのデポーとして作用する、カプセル化し、かつ/またはmRNAの標的細胞への送達を増強するためのカチオン性脂質を含む移動ビヒクルとしての脂質ナノ粒子の使用を企図する。本明細書において、語句「カチオン性脂質」は、生理的pHなどの選択されたpHで正味の正電荷を有し得るいくつかの脂質種のいずれかを指す。
一態様では、本発明は、抗体の1つまたは複数のFab領域の軽鎖と重鎖との間の界面を変更または改変することによって、二重特異性抗体の形成を増強するためのストラテジーを提供する。一部の実施形態では、1つまたは複数のFab領域のC1/C界面を構成する1つまたは複数の残基は、修飾された残基が、タンパク質中の他のFab領域の重鎖または軽鎖との誤対合に対して、修飾されたFab領域の特定の重鎖および軽鎖の対合を優遇するような残基と置き換えられる。一実施形態では、修飾により、Fab領域中に新規のジスルフィド架橋が導入される。別の実施形態では、修飾により、Fab領域のC1ドメインとCドメインとの間の天然界面を破壊する破壊突然変異、および界面で非天然安定相互作用を導入する復帰修飾(restoring modification)が導入される。別の実施形態では、破壊突然変異は、新規のジスルフィド架橋ならびに破壊および復帰突然変異の両方を導入する場合がある。
一部の実施形態では、本明細書に開示の1つまたは複数のFab領域のC1/C界面中に1つまたは複数のアミノ酸修飾を含むヘテロ二量体タンパク質の形成は、このような修飾を含まない野生型ヘテロ二量体タンパク質と比較して、実質的に増大する。一部の実施形態では、少なくとも1つのFab領域のC1/C界面中に1つまたは複数のアミノ酸修飾を含むヘテロ二量体タンパク質の形成は、このような修飾を含まない野生型ヘテロ二量体タンパク質と比較して、少なくとも約51%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、99%、または100%増大のいずれかである。
別の態様では、本発明は、本発明のヘテロ多量体タンパク質、例えば、二重特異性抗体などのヘテロ二量体タンパク質を生成する方法も提供する。一部の実施形態では、本方法は、
a)細胞株に、タンパク質の各Fab領域の各重鎖および各軽鎖を発現するベクターをコトランスフェクトするステップと;
b)タンパク質の各Fab領域の各重鎖および各軽鎖を発現させる、かつヘテロ多量体タンパク質をアセンブルするのを可能にする条件下で細胞株を培養するステップと;
c)細胞培養液からヘテロ多量体タンパク質を精製するステップとを含む。一部の実施形態では、細胞株に、各Fab領域の重鎖および軽鎖を1:1:1:1の比で発現するベクターがコトランスフェクトされる。
一部の実施形態では、本方法は、
(i)細胞株に、第1のCの第1のC1、第1のC、ならびに第2のCの第2のC1および第2のCを発現する1種または複数のベクターをコトランスフェクトするステップと;
(ii)1種または複数のベクターを発現させる、かつ第1のCおよび第2のCをアセンブルするのを可能にする条件下で細胞株を培養するステップと;
(iii)細胞培養液からヘテロ多量体タンパク質を精製するステップとを含む。
一部の態様では、細胞株に、第1のC1、第1のC、第2のC1、および第2のCを1:1:1:1の比で発現するベクターがコトランスフェクトされる。
当業者は、本明細書に開示の方法に従って使用するための分子または抗体の相対量を、周知の技法を使用して容易に判定することができる。
本明細書に開示の方法では、インキュベーションは、ある範囲の温度にわたって実施され得る。このような温度は、当業者によって認識されることになり、例えば、混合された分子または抗体中で変性または分解などの有害な物理的変化が起こらないインキュベーション温度を含むことになる。ある特定の実施形態では、インキュベーションは、約37℃で実施される。
いくつかの宿主細胞のいずれも、本発明の方法において使用され得る。このような細胞は、当技術分野で公知であり(これらのいくつかは、本明細書に記載されている)、または当技術分野で公知の慣例的技術を使用して本発明の方法において使用するための適性に関して経験的に判定することができる。ある特定の実施形態では、宿主細胞は、原核生物である。一部の実施形態では、宿主細胞は、グラム陰性菌細胞である。他の実施形態では、宿主細胞は、大腸菌(E.coli)である。一部の実施形態では、大腸菌(E.coli)は、内因性プロテアーゼ活性が欠乏した系統のものである。一部の実施形態では、大腸菌(E.coli)宿主細胞の遺伝子型は、degPおよびprc遺伝子を欠き、突然変異体spr遺伝子を宿す。本発明の他の実施形態では、宿主細胞は、哺乳動物、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
一部の実施形態では、本発明の方法は、宿主細胞内でのその発現が本発明の二重特異性抗体またはヘテロ二量体タンパク質の収率を高める分子をコードするポリヌクレオチドまたは組換えベクターを宿主細胞内で発現させることをさらに含む。例えば、このような分子は、シャペロンタンパク質であり得る。一実施形態では、前記分子は、DsbA、DsbC、DsbG、およびFkpAからなる群から選択される原核生物ポリペプチドである。これらの方法の一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、DsbAおよびDsbCの両方をコードする。
一態様では、本発明は、本発明の抗体またはこれらの部分の組換え発現を可能にする組換え宿主細胞を提供する。このような組換え宿主細胞内のこのような組換え発現によって産生される抗体は、「組換え抗体」と本明細書で呼ばれる。本発明は、このような宿主細胞の子孫細胞、およびそれによって産生される抗体も提供する。用語「組換え宿主細胞」(または単に「宿主細胞」)は、本明細書において、中に組換え発現ベクターが導入された細胞を意味する。「組換え宿主細胞」および「宿主細胞」は、特定の対象細胞だけでなく、このような細胞の子孫も意味することが理解されるべきである。ある特定の修飾が突然変異または環境的な影響に起因して世代を継いでいく中で起こり得るので、このような子孫は、実際には、親細胞と同一でない場合があるが、本明細書において用語「宿主細胞」の射程内に依然として含まれる。このような細胞は、上述した本発明によるベクターを含み得る。
別の態様では、本発明は、上述した抗体またはその部分を作製するための方法を提供する。一実施形態によれば、前記方法は、上述したベクターをトランスフェクトされた、またはそれで形質転換された細胞を培養することと、前記抗体またはその部分を抽出することとを含む。抗体をコードする核酸分子、およびこれらの核酸分子を含むベクターは、適当な哺乳動物、植物、細菌、または酵母宿主細胞のトランスフェクションに使用することができる。形質転換は、ポリヌクレオチドを宿主細胞内に導入するための任意の公知の方法によるものであり得る。非相同ポリヌクレオチドを哺乳動物細胞内に導入するための方法は、当技術分野で周知であり、これらとしては、デキストラン媒介トランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン媒介トランスフェクション、プロトプラスト融合、電気穿孔、ポリヌクレオチドのリポソーム中へのカプセル化、およびDNAの核内への直接のマイクロインジェクションがある。さらに、核酸分子は、ウイルスベクターによって哺乳動物細胞内に導入されてもよい。細胞を形質転換する方法は、当技術分野で周知である。例えば、米国特許第4,399,216号、同第4,912,040号、同第4,740,461号、および同第4,959,455号を参照。植物細胞を形質転換する方法は、例えば、アグロバクテリウム媒介形質転換、微粒子銃形質転換、直接注射、電気穿孔、およびウイルス形質転換を含めて、当技術分野で周知である。細菌および酵母細胞を形質転換する方法も、当技術分野で周知である。
発現のための宿主として利用可能な哺乳動物細胞株は、当技術分野で周知であり、これらとしては、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から入手可能な多くの不死化細胞株がある。これらとして、とりわけ、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0細胞、SP2細胞、HEK−293T細胞、293Freestyle細胞(Invitrogen)、NIH−3T3細胞、HeLa細胞、仔ハムスター腎臓(BHK)細胞、アフリカミドリザル腎細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)、A549細胞、およびいくつかの他の細胞株が挙げられる。特に好ましい細胞株は、どの細胞株が高発現レベルを有するかを判定することにより選択される。使用され得る他の細胞株は、Sf9またはSf21細胞などの昆虫細胞株である。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターが、哺乳動物宿主細胞内に導入される場合、抗体は、宿主細胞内での抗体の発現、またはより好ましくは、宿主細胞が増殖されている培地中への抗体の分泌を可能にするのに十分な時間にわたって宿主細胞を培養することによって産生される。抗体は、標準的なタンパク質精製方法を使用して培地から回収することができる。適当な植物宿主細胞として、例えば、タバコ、シロイヌナズナ、ウキクサ、トウモロコシ、コムギ、ジャガイモを挙げることができる。適当な細菌宿主細胞として、例えば、大腸菌(E.coli)およびストレプトマイセス(Streptomyces)種を挙げることができる。適当な酵母宿主細胞として、例えば、スキゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)、およびピキア・パストリス(Pichia pastoris)を挙げることができる。
産生細胞株からの本発明のポリペプチドまたはこれらの部分の発現は、いくつかの公知の技法を使用して増強することができる。例えば、グルタミン合成酵素遺伝子発現系(GS系)は、ある特定の条件下で発現を増強するための一般的な手法である。GS系は、EP0216846、EP0256055、EP0323997、およびEP0338841に関連して全体または一部において論じられている。
FcポリペプチドまたはFc領域を含むポリペプチドおよび免疫グロブリン様ヒンジポリペプチド、例えば、異なる細胞株によって、またはトランスジェニック動物内で発現される抗体などは、これらのグリコシル化パターンにおいて互いに異なることになる可能性が高い。免疫グロブリン様ヒンジ配列を含むポリペプチドのすべてのヘテロ二量体、二重特異性ポリペプチド、抗体などを含めた本発明のポリペプチドのすべてのこのような「糖型」は、これらのグリコシル化状態にかかわらず、かつより一般に、任意の翻訳後修飾の存在または非存在にかかわらず本発明の一部であると見なされる。
一部の実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、抗体、マキシボディ、モノボディ、ペプチボディ、Fc融合タンパク質、または上記のいずれかのFab領域である。一部の実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、二重特異性抗体である。
そのヘテロ二量体タンパク質は、1つまたは複数のヒトドメインを含み得る。ヘテロ二量体タンパク質は、1つまたは複数のヒト化Igドメインを含み得る。ヘテロ二量体タンパク質は、1つまたは複数のマウスIgドメインを含み得る。ヘテロ二量体タンパク質は、ヒト、サル、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、ロバ、ヤギ、ラクダ、ウシ、ウマ、ブタ、ニワトリ、およびサメからなる群から選択される種に由来する1つまたは複数のIgドメインを含み得る。
一部の態様では、本発明の抗体は、起源が哺乳動物、トリ、またはツノザメ(Squaliform)である(任意の人工的に突然変異された、または別段に改変されたバージョンを生成するのに使用される方法にかかわらず)。哺乳動物、トリ、またはツノザメ種は、ヒト、マウス、ウサギ、ラット、げっ歯類、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ロバ、ウマ、ラクダ、ラマ、霊長類、サル、イヌ、ネコ、ニワトリ、またはアブラツノザメであり得る。本発明の抗体は、ヒト化であり得る。
一部の態様では、本発明は、突然変異抗体およびこれらの部分を含み、突然変異体は、その天然のカノニカル配列以外の配列に改変または変更された配列として定義され、その結果、本発明のポリペプチドのある特定の実施形態は、定義の射程内に入る天然に存在する配列を特に除外する。したがって、一部の態様では、本発明は、Igドメインポリペプチド配列がその天然に存在する対応する配列と異なるようにヘテロ二量体Igドメイン対合を可能にするための突然変異を含む本発明のポリペプチドに関する。
抗体C1ドメインは、Cα1、Cδ1、Cε1、Cγ1、およびCμ1からなる群から選択され得る。
一部の態様では、本発明の定常軽鎖(C)ドメインは、可変軽鎖(V)ドメインに接続されている。まとめると、これらは、抗体軽鎖を含み得る。Cドメインは、Cκ(定常軽鎖カッパ)であり得る。Cドメインは、Cλ(定常軽鎖ラムダ)であり得る。
一部の態様では、本発明のC1ドメインは、可変重鎖(V)ドメインに接続されている。まとめると、これらは、Fab分子の重鎖部分を含み得る。一部の態様では、VおよびC1ドメインは、その特定のIgアイソタイプに典型的なCドメインの残りに接続されている(すなわち、Cα1は、Cα2およびCα3に接続されている場合があり;Cδ1は、Cδ2およびCδ3に接続されている場合があり;Cε1は、Cε2、Cε3およびCε4に接続されている場合があり;Cγ1は、Cγ2およびCγ3に接続されている場合があり;Cμ1は、Cμ2、Cμ3、およびCμ4に接続されている場合がある)。
一部の態様では、本発明は、本発明の抗体を組換え産生する単離宿主細胞を提供する。本発明は、本発明のタンパク質、ドメイン、および抗体をコードするヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド、ならびに前記ポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。一部の態様では、本発明は、抗体、免疫グロブリンドメイン、またはタンパク質を生成する方法であって、抗体、免疫グロブリンドメイン、またはタンパク質の産生をもたらす条件下で宿主細胞を培養することと、宿主細胞または培養液から抗体、免疫グロブリンドメイン、またはタンパク質を単離することとを含む、方法を提供する。
本発明は、ヘテロ多量体複合分子、より好ましくは、例えば、二重特異性抗体などのヘテロ二量体タンパク質を生成するための改良法、組成物、キット、および製造品を提供する。本発明は、生物学的治療薬の商業的生産に望ましい収率および純度でヘテロ多量体複合分子を作製および精製する方法を提供する。本発明は、ひいては多重特異性抗体の使用が望ましい、かつ/または要求される様々な障害または状態を診断および/または処置するのに使用することができる複合分子の効率的な生成を可能にする。本発明の方法、組成物、キット、および製造品の詳細は、本明細書に提供されている。
本発明のタンパク質を使用する方法
本発明は、本発明のタンパク質のための様々な治療用途も提供する。一態様では、本発明のタンパク質は、第1のタンパク質(例えば、第1のヒト抗体可変ドメイン)をエフェクター抗原に結合することによって、かつ第2のタンパク質(例えば、第2のヒト抗体可変ドメイン)を標的抗原に結合することによって様々な疾患(例えば、がん、自己免疫疾患、またはウイルス感染症)を処置するのに使用することができる。例えば、本発明のタンパク質は、細胞傷害性を向け直し、血栓溶解剤を血餅に送達するため、免疫毒素を腫瘍細胞に送達するため、または標的部位(例えば、腫瘍)で酵素活性化プロドラッグを変換するために使用することができる。
別の態様では、本発明のタンパク質は、治療剤の特異性を増大させ、かつ/または相乗的もしくは相加的な経路(例えば、代謝経路もしくは生化学的経路)をモジュレートするのに使用することができる。例えば、本発明のタンパク質は、受容体/受容体、受容体/リガンド、リガンド/リガンド、細胞/細胞、リガンド/ペイロード、受容体/ペイロード、または単一受容体を噛み合わせることができる。
医薬組成物
本発明は、本発明のタンパク質および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物を提供する。本明細書において、「薬学的に許容できる担体」は、生理学的に適合性である任意かつすべての溶媒、分散媒質、被覆剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。薬学的に許容できる担体の例は、水、生理食塩水、リン酸緩衝溶液、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびこれらの組合せの1種または複数を含み、組成物中に等張剤、例えば、糖、多価アルコール、例えば、マンニトール、ソルビトールなど、または塩化ナトリウムを含んでもよく、抗体または抗体部分の保存可能期間または有効性を増強する薬学的に許容できる物質、例えば、湿潤量または少量の補助物質、例えば、湿潤剤もしくは乳化剤、防腐剤、または緩衝液などを含み得る。
ある特定の実施形態では、本発明のタンパク質は、中性形態(双性イオン形態を含む)で、または正もしくは負に荷電した種として存在し得る。一部の実施形態では、ポリペプチドは、対イオンと複合体形成して「薬学的に許容できる塩」を形成する場合があり、この塩は、1種または複数のポリペプチドおよび1種または複数の対イオンを含む複合体を指し、この場合、対イオンは、薬学的に許容できる無機および有機の酸および塩基に由来する。
本発明の組成物は、様々な形態で存在し得る。これらとしては、例えば、液体、半固体、および固形剤形、例えば、溶液(例えば、注射用および注入用溶液)、分散液または懸濁液、錠剤、ピル、粉末、リポソーム、および坐剤などがある。好適な形態は、意図される投与モードおよび治療用途に依存する。典型的な好適な組成物は、一般に抗体を用いたヒトの受動免疫に使用されるものと同様の組成物などの注射用または注入用溶液の形態で存在する。好適な投与モードは、非経口(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内)である。好適な実施形態では、本発明のタンパク質は、静脈内注入または注射によって投与される。別の好適な実施形態では、本発明のタンパク質は、筋肉内または皮下注射によって投与される。
医薬組成物は、別のコンポーネント、例えば、抗腫瘍剤またはイメージング試薬などをさらに含み得る。本発明の別の態様は、本発明の抗体、およびこれらの抗体を含む医薬組成物を含むキットを提供する。キットは、抗体または医薬組成物に加えて、診断剤または治療剤を含み得る。キットは、診断法または治療法で使用するための指示書も含み得る。一部の実施形態では、キットは、抗体またはその医薬組成物、および診断剤を含む。他の実施形態では、キットは、抗体またはその医薬組成物、および1種または複数の治療剤、例えば、追加の抗新生物剤、抗腫瘍剤、または化学療法剤などを含む。
本発明のこれらの作用物質および化合物は、薬学的に許容できるビヒクル、例えば、生理食塩水、リンガー液、デキストロース溶液などと組み合わせることができる。特定の投薬レジメン、すなわち、用量、タイミング、および繰り返しは、特定の個体およびその個体の医療歴に依存することになる。
許容できる担体、賦形剤、または安定剤は、使用される投与量および濃度でレシピエントに無毒性であり、緩衝液、例えば、リン酸、クエン酸、および他の有機酸など;塩化ナトリウムなどの塩;アスコルビン酸およびメチオニンを含めた抗酸化剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルもしくはプロピルパラベンなど;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくはIgなど;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリシンなど;グルコース、マンノース、またはデキストリンを含めた単糖、二糖、および他の炭水化物;EDTAなどのキレート化剤;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなど;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);ならびに/または非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)などを含み得る。
本発明の化合物を含有するリポソームは、US4485045およびUS4544545に記載されているものなどの当技術分野で公知の方法によって調製される。循環時間が増強されたリポソームは、US5013556に開示されている。特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、およびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成物を用いて逆相蒸発法によって生成することができる。リポソームは、規定された孔サイズのフィルターに通して押出されて、所望の直径を有するリポソームが得られる。
活性成分は、例えば、コアセルベーション技法もしくは界面重合によって調製されるマイクロカプセル、例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチン−マイクロカプセル、およびポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中に、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル)中に、またはマクロエマルジョン中に封入することもできる。このような技法は、Remington、The Science and Practice of Pharmacy、20版、Mack Publishing(2000)に開示されている。
持続放出調製物が調製され得る。持続放出調製物の適当な例としては、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスがあり、このマトリックスは、造形品、例えば、膜またはマイクロカプセルの形態で存在する。持続放出マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(US3773919)、L−グルタミン酸と7エチル−L−グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、例えば、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸コポリマーおよびロイプロリド酢酸塩から構成される注射用ミクロスフェア)など、スクロースアセテートイソブチレート、ならびにポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸がある。
in vivo投与に使用される製剤は、滅菌されていなければならない。これは、例えば、滅菌濾過膜に通す濾過によって容易に達成される。本発明の治療化合物は、一般に、滅菌したアクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針によって穿孔可能な栓を有する静脈注射用溶液バッグまたはバイアル中に入れられる。
本発明の例示的な限定されない医薬組成物は、約5.0〜約6.5の範囲であるpHを有し、本発明のヘテロ二量体タンパク質を含む約1mg/mL〜約200mg/mLの組成物、約1ミリモル〜約100ミリモルのヒスチジン緩衝液、約0.01mg/mL〜約10mg/mLのポリソルベート80、約100ミリモル〜約400ミリモルのトレハロース、および約0.01ミリモル〜約1.0ミリモルのEDTA二ナトリウム二水和物を含む滅菌水溶液としての製剤である。
適当なエマルジョンは、市販の脂肪エマルジョン、例えば、Intralipid(商標)、Liposyn(商標)、Infonutrol(商標)、Lipofundin(商標)、およびLipiphysan(商標)などを使用して調製され得る。活性成分は、予備混合エマルジョン組成物中に溶解させてもよく、または代わりにこれは、油(例えば、ダイズ油、サフラワー油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、または扁桃油)、およびリン脂質(例えば、卵リン脂質、ダイズリン脂質、またはダイズレシチン)と水を混合すると形成されるエマルジョン中に溶解させてもよい。エマルジョンの張性を調整するために他の成分、例えば、グリセロールまたはグルコースを添加してもよいことが察知されるであろう。適当なエマルジョンは、典型的には、最大で20%の油、例えば、5から20%の間の油を含有することになる。脂肪エマルジョンは、0.1から1.0μm、特に0.1から0.5μmの間の脂肪滴を含み、5.5〜8.0の範囲内のpHを有することができる。
エマルジョン組成物は、本発明の化合物をIntralipid(商標)またはそのコンポーネント(ダイズ油、卵リン脂質、グリセロール、および水)と混合することによって調製されるものであり得る。
吸入またはガス注入用組成物としては、薬学的に許容できる水性もしくは有機溶媒、またはこれらの混合物中の溶液および懸濁液、ならびに粉末がある。液体または固体組成物は、上記に示した適当な薬学的に許容できる賦形剤を含有し得る。一部の実施形態では、組成物は、局所的または全身的な効果のために経口または鼻呼吸経路によって投与される。好ましくは滅菌した薬学的に許容できる溶媒中の組成物は、ガスを使用することによって霧状化される場合がある。霧状化された溶液は、噴霧器から直接呼吸されてもよく、または噴霧器をフェイスマスク、テント、または間欠的陽圧呼吸機に取り付けてもよい。溶液、懸濁液、または粉末組成物は、好ましくは、適切な様式で製剤を送達するデバイスから経口的または経鼻的に投与され得る。
本発明の化合物および組成物は、関連した適応症について確立された処置とともに使用され得る。
本発明の治療法
治療法も本発明によって提供されている。治療法は、本発明の化合物または組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
本明細書において、薬物、化合物、または医薬組成物の「有効投与量」または「有効量」は、任意の1つまたは複数の有益なまたは所望の結果に影響するのに十分な量である。予防的使用に関して、有益なまたは所望の結果としては、疾患、その合併症、および疾患の発症中に存在する中間病理学的表現型の生化学的な、組織学的な、および/または行動性の症状を含めた疾患のリスクの排除もしくは低減、重症度の緩和、または始まりの遅延がある。治療的使用に関して、有益なまたは所望の結果としては、臨床結果、例えば、腫瘍の腫瘍サイズ、伝播、血管系、またはがんもしくは血管新生の増大と関連した他の疾患の1つもしくは複数の症状の低減、疾患を処置するのに要求される他の薬剤の用量の減少、別の薬剤の効果の増強、および/あるいは患者の疾患の進行の遅延などがある。有効投与量は、1回または複数の投与で投与することができる。本発明の目的に関して、薬物、化合物、または医薬組成物の有効投与量は、直接または間接的に予防的または治療的処置を達成するのに十分な量である。臨床状況において理解されているように、薬物、化合物、または医薬組成物の有効投与量は、別の薬物、化合物、または医薬組成物とともに実現されてもよく、または実現されなくてもよい。したがって、「有効投与量」は、1種または複数の治療剤の投与との関連で考慮される場合があり、単剤は、1種または複数の他の作用物質と併せて、望ましい結果が実現され得る、または実現されている場合、有効量で与えられていると見なすことができる。
「個体」または「対象」は、哺乳動物、より好ましくはヒトである。哺乳動物として、それだけに限らないが、家畜、競技動物、ペット、霊長類、およびウマも挙げられる。
ヒト対象への投与に関して、本発明の抗体の合計の毎月の用量は、典型的には、投与モードに応じて、患者1人当たり約0.5〜約1200mgの範囲内である。例えば、静脈内の毎月の用量は、約1〜約1000mg/患者を必要とし得る。合計の毎月の用量は、単回または分割用量で投与することができ、医師の自由裁量で、本明細書に示した典型的な範囲外に入ってもよい。
本明細書に開示のヘテロ二量体タンパク質、例えば、二重特異性抗体またはその部分の治療有効量または予防有効量の例示的な限定されない範囲は、約1〜約1000mg/患者/月である。ある特定の実施形態では、ヘテロ二量体タンパク質は、約1〜約200または約1〜約150mg/患者/月で投与され得る。
本発明における方法による本発明の化合物の投与は、例えば、レシピエントの生理的条件、投与の目的が治療的または予防的であるか否か、および熟練した専門家に公知の他の要因に応じて連続的または断続的であり得る。本発明の化合物の投与は、予め選択された時間にわたって本質的に連続的であってもよく、または一連の間隔を置いた投薬であってもよい。
抗体
「抗体」は、免疫グロブリン分子であって、免疫グロブリン分子の可変領域に位置した少なくとも1つの抗原結合部位を通じて標的または抗原、例えば、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどに特異的に結合することができる、免疫グロブリン分子である。
本明細書において、脈絡によって別段に示されていない限り、この用語は、2つの同一の全長重鎖ポリペプチドおよび2つの同一の軽鎖ポリペプチドを含むインタクトなポリクローナルまたはモノクローナル抗体だけでなく、これらの断片(Fab、Fab’、F(ab’)、Fvなど)、サメおよびラクダ抗体を含めた単鎖(ScFv)およびドメイン抗体(dAb)、ならびに抗体部分を含む融合タンパク質、多価抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体が所望の生物活性を呈する限り二重特異性抗体)、ならびに本明細書に記載の抗体断片、ならびに抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された構成、例えば、限定することなく、ミニボディ、マキシボディ、モノボディ、ペプチボディ、イントラボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、v−NAR、およびビス−scFvも包含するように意図されている。
抗原結合部分は、組換えDNA技法、またはインタクト抗体の酵素もしくは化学切断によって生成され得る。抗原結合部分としては、とりわけ、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、dAb、および相補性決定領域(CDR)断片、単鎖抗体(scFv)、キメラ抗体、ダイアボディ、ならびにポリペプチドに特異的抗原結合を付与するのに十分であるIgの少なくとも一部を含有するポリペプチドがある。
免疫グロブリン(Ig)ドメインは、典型的には2つのβ−シート中に配置された7β−鎖と9β−鎖との間の2層サンドイッチからなる(しかし、これらの配置のバリエーションが公知である)、一タイプのタンパク質ドメインである。β−鎖は、ほとんど完全に伸長したコンホメーションにある骨格を伴った典型的には3〜10アミノ酸の長さのポリペプチド鎖のストレッチである。βシートは、少なくとも2または3つの骨格水素結合によって横方向に接続されたβ−鎖からなり、一般にねじれた、ひだ状のシートを形成している。鎖の骨格は、シート中のその2本の反対の隣接する鎖との相互作用間で、またはシートの縁部の鎖のシートと非シートの相互作用間で繰り返して切り替わる。Igスーパーファミリーのメンバーは、異なる機能の数百のタンパク質中に見つかる。例としては、抗体、巨大筋肉キナーゼタイチン、および受容体チロシンキナーゼがある。Ig様ドメインは、タンパク質−タンパク質およびタンパク質−リガンド相互作用に関与している場合がある。
免疫グロブリン(Ig)は、ヘテロ多量体分子である。天然に存在するIgでは、各多量体は、ポリペプチド鎖の同一の対から主に構成され、各対は、1本の「軽」鎖(約25kDa)および1本の「重」鎖(約50〜70kDa)を有する。
各鎖のアミノ末端部分は、抗原認識を主に担う約100〜110またはそれ超のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能を主に担う定常領域を画定する。ヒト軽鎖は、κおよびλ軽鎖として分類される。重鎖は、α、δ、ε、γ、およびμとして分類され、それぞれIgA、IgD、IgE、IgG、IgMとして抗体のアイソタイプを定義する。これらのクラスのいくつかは、アイソタイプIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2にさらに細分される場合がある。
軽鎖および重鎖内で、可変領域および定常領域は、約12またはそれ超のアミノ酸の「J」領域によって接合されており、重鎖は、さらに約10アミノ酸の「D」領域も含む(抗体配列全体との関連で、DおよびJ領域は、これらが接合された後に可変領域の一部として時に見なされる)。各軽鎖/重鎖対の可変領域は、インタクトなIgが2つの結合部位を有するように抗体結合部位を形成する。
抗体分子中の各ドメインは、圧縮された逆平行のβ−バレル中に互いにしっかりと詰められた2つのβ−シートという同様の構造を有する。この保存された構造は、免疫グロブリン(Ig)フォールドと呼ばれる。定常ドメインのIgフォールドは、互いに詰められた2つのβシートを含有し、各鎖は、連続したポリペプチドストリング(polypeptide string)によって分離されている。これらの連続したポリペプチドストリングは、典型的には、α−ヘリックス、ループ、ターン、およびβ−ヘアピンと呼ばれる2つのβ−シート間の短い、鋭いターンを含む。
可変ドメインは、相補性決定領域またはCDRとも呼ばれる3つの超可変領域によって接合された相対的に保存されたフレームワーク領域(FR)の同じ一般構造を呈する。各対の2本の鎖に由来するCDRは、フレームワーク領域によって整列され、特定のエピトープへの結合を可能にする。N末端からC末端に、軽鎖および重鎖の両方は、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4を含む。
CDRを構成する特定の抗体中のアミノ酸残基の同一性は、当技術分野で周知の方法を使用して判定することができる。例えば、抗体CDRは、Kabatら(Kabatら、1991、Sequences of Proteins of Immunological Interest、5版、公衆衛生局、NIH、Washington D.C.、NIH刊行物番号91−3242)によって最初に定義された超可変領域として同定され得る。CDRの位置は、Chothiaら(Chothiaら、1989、Nature、342:877〜883)によって記載された構造的ループ構造として同定される場合もある。CDR同定の他の手法は、KabatとChothiaとの間の妥協案であり、Abysisプログラム(www.abysis.org)から導出される「AbM定義」、またはMacCallumら、1996、J.Mol.Biol.、262:732〜745に示された観察される抗原接触に基づくCDRの「接触定義」がある。Northは、CDR定義の異なる好適なセット使用してカノニカルCDRコンホメーションを同定した(Northら、2011、J.Mol.Biol、406:228〜256)。CDRの「コンホメーション定義」と本明細書で呼ばれる別の手法では、CDRの位置は、抗原結合にエンタルピー的寄与をする残基として同定され得る(Makabeら、2008、Journal of Biological Chemistry、283:1156〜1166)。さらに他のCDR境界定義は、上記手法の1つに厳密には従わないが、それにもかかわらず、Kabat CDRの少なくとも一部と重なることになり、それでも、これらは、特定の残基もしくは残基の群、またはさらにはCDR全体が抗原結合に著しくインパクトを与えないという予測または実験の知見を踏まえて短く、または長くされ得る。本明細書において、CDRは、手法の組合せを含めた当技術分野で公知の任意の手法によって定義されるCDRを指すことができる。本明細書で使用される方法は、これらの手法のいずれかに従って定義されるCDRを利用することができる。1つを超えるCDRを含有する任意の所与の実施形態に関して、CDR(または抗体の他の残基)は、Kabat、Chothia、North、拡張、AbM、接触、および/またはコンホメーション定義のいずれかに従って定義され得る。
明示的に、または脈絡によって別段に示されている場合を除いて、本明細書に記載のすべてのC1残基番号付け位置は、配列番号1の番号付けに従い、すべてのC残基位置は、配列番号9の番号付けに従って本明細書に記載されている。この番号付けは、Kabatの番号付けに最も厳密に関連し、これは、(a)ある特定の実験データが、Kabatが誤っていると示したIgMドメインなどの場合において、(b)Kabatの参照が内部で矛盾しているとき、または(c)別段に言及されているときを除いて本明細書で使用される。元のKabat参照では、107A位がCの第1の残基である。多くの軽鎖配列は、107A位に割り当てられる任意の残基を有さず、多くは、108位にも残基を有さない。Cの第1の残基は、それが何であっても107超に番号付けられた第1の残基である。
1ドメインは、好ましくは長さが少なくとも80残基であり、その残基の85%超を配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、または配列番号41の1つまたは複数と共通して有するタンパク質配列の領域である。一部の態様では、C1ドメインは、その残基の85%超を配列番号1と共通して有するタンパク質配列である。
2ドメインは、好ましくは長さが少なくとも80残基であり、その残基の85%超を配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、または配列番号45の1つまたは複数と共通して有するタンパク質配列の領域である。一部の態様では、C2ドメインは、その残基の85%超を配列番号13と共通して有するタンパク質配列である。
ヒンジ領域は、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号79、配列番号80、または配列番号81の1つまたは複数と80%超の同一性を有するタンパク質配列の領域である。一部の態様では、ヒンジ領域は、その残基の80%超を配列番号42と共通して有するタンパク質配列である。
3ドメインは、好ましくは長さが少なくとも80残基であり、その残基の85%超を配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号46、配列番号47、配列番号48、または配列番号49の1つまたは複数と共通して有するタンパク質配列の領域である。一部の態様では、C3ドメインは、その残基の85%超を配列番号18と共通して有するタンパク質配列である。
ドメインは、好ましくは長さが少なくとも80残基であり、その残基の85%超を配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、または配列番号32の1つまたは複数と共通して有するタンパク質配列の領域である。一部の態様では、Cドメインは、Cカッパドメインであり、配列番号9、配列番号10、または配列番号11の1つまたは複数と少なくとも85%の同一性を共有する。一部の態様では、Cドメインは、Cラムダドメインであり、配列番号12と少なくとも85%の同一性を共有する。一部の態様では、Cドメインは、その残基の85%超を配列番号9と共通して有するタンパク質配列である。
哺乳動物の軽鎖は、2つのタイプ、κおよびλのものであり、任意の所与の天然に存在する抗体分子では、ただ1つのタイプが存在する。λ分子のおよそ2倍多くのκがヒトにおいて産生されるが、他の哺乳動物では、この比は変動し得る。各遊離軽鎖分子は、定常および可変領域ドメインを形成するように折り畳まれている単一ポリペプチド鎖中におよそ220アミノ酸を含有する。
B細胞発生中に、DNAレベルでの組換え事象により、単一可変(V)セグメントが接合(J)セグメントと接合され;定常(C)セグメントは、RNAレベルでのスプライシングによって後に接合される。多くの異なるVセグメントのいくつかのJセグメントとの組換えは、広範囲の抗原認識をもたらす。追加の多様性は、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼによるヌクレオチドのランダムな付加から生じる接合多様性によって、かつ脾臓およびリンパ節内のB細胞成熟中に起こる体細胞超変異によって達成される。定常カッパ(CLκ)領域は、単一遺伝子によってコードされ、一方、ラムダ定常(CLλ)領域は、複数の遺伝子によってコードされ、スプライシングを受ける。CLλの特定の多型種と関連したいくつかのマーカーが公知である:例えば、IgCLλ1(Mcgマーカー);IgLC2−IgCLλ2(Kern−Oz−マーカー);IgCLλ3(Kern−Oz+マーカー)、およびIgCLλ7。当業者は、ヒトCLλ鎖においてこれまで同定された多型のすべてを容易に確認することができる。本発明の配列は、CLκおよびCLλ、ならびに一般に抗体の他の公知の多型を包含する。2つの多型遺伝子座がCLκにおいて同定されている;CLκ−V/A153およびCLκ−L/V191。これまで同定された3つの多型は、Km(1):CLκ−V153/L191;Km(1,2):CLκ−A153/L191;およびKm(3):CLκ−A153/V191である。
用語「Fc領域」は、本明細書において一般に、免疫グロブリン重鎖のC末端ポリペプチド配列を含む二量体複合体を指し、C末端ポリペプチド配列は、インタクト抗体のパパイン消化によって入手可能であるものである。Fc領域は、天然またはバリアントFc配列を含み得る。免疫グロブリンのFc配列は一般に、2つの定常ドメイン、C2ドメインおよびC3ドメインを含み、C4ドメインを含んでもよい。用語「Fcポリペプチド」は、Fc領域を構成するポリペプチドの1つを指すのに本明細書で使用される。一部の実施形態では、Fcポリペプチドは、様々なIgG1、IgG2、IgG3、もしくはIgG4サブタイプの少なくとも1つ、またはIgA、IgE、IgD、もしくはIgMなど、任意の適当な免疫グロブリンから得ることができ、またはそれに由来し得る。一部の実施形態では、Fcポリペプチドは、野生型ヒンジ配列の一部またはすべてを含む(一般にそのN末端において)。一部の実施形態では、Fcポリペプチドは、野生型ヒンジ配列を含まない。Fcポリペプチドは、天然またはバリアントFc配列を含み得る。
「免疫グロブリン様ヒンジ領域」、「免疫グロブリン様ヒンジ配列」、およびそのバリエーションは、本明細書において、免疫グロブリン様または抗体様分子(例えば、イムノアドヘシン)のヒンジ領域およびヒンジ配列を指す。一部の実施形態では、免疫グロブリン様ヒンジ領域は、そのキメラ形態、例えば、キメラIgG1/2ヒンジ領域を含めた、任意のIgG1、IgG2、IgG3、もしくはIgG4サブタイプ、またはIgA、IgE、IgD、もしくはIgMからのものであり得、またはそれに由来し得る。
「抗体断片」は、インタクト抗体の部分のみを含み、この部分は、好ましくはインタクト抗体中に存在するときその部分と通常関連した機能の少なくとも1つ、好ましくはほとんどまたはすべてを保持する。
「二価抗体」は、1分子(例えば、IgG)当たり2つの抗原結合部位を含む。一部の場合では、2つの結合部位は、同じ抗原特異性を有する。しかし、二価抗体は、二重特異性であり得る(以下を参照)。
「一価抗体」は、1分子(例えば、IgG)当たり1つの抗原結合部位を含む。一部の場合では、一価抗体は、1つを超える抗原結合部位を有することができるが、結合部位は、異なる抗原に由来する。
「多重特異性抗体」は、1つを超える抗原またはエピトープを標的にするものである。「二重特異性」、「デュアル特異性」、または「二官能性」抗体は、2つの異なる抗原結合部位を有するハイブリッド抗体である。二重特異性抗体は、多重特異性抗体の1つの種であり、それだけに限らないが、ハイブリドーマの融合、またはFab’断片の連結を含めた様々な方法で生成され得る。例えば、Songsivilai&Lachmann(1990)、Clin.Exp.Immunol.、79:315〜321;およびKostelnyら(1992)、J.Immunol.、148:1547〜1553を参照。二重特異性抗体の2つの結合部位は、同じまたは異なるタンパク質標的上に存在し得る2つの異なるエピトープに結合することになる。
語句「抗原結合アーム」、「標的分子結合アーム」、およびそのバリエーションは、本明細書において、目的の標的分子に特異的に結合する能力を有する本発明の抗体のコンポーネント部分を指す。一般にかつ好ましくは、抗原結合アームは、免疫グロブリンポリペプチド配列、例えば、免疫グロブリン軽鎖および重鎖のCDRおよび/または可変ドメイン配列の複合体である。
用語「モノクローナル抗体」は、本明細書において、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る可能な天然に存在する突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、単一の抗原に向けられて、高度に特異的である。さらに、典型的には異なる決定基(エピトープ)に向けられた異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物と対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に向けられている。
本明細書において、用語「イムノアドヘシン」は、異種タンパク質(「アドヘシン」、例えば、受容体、リガンド、または酵素)の「結合ドメイン」を免疫グロブリン定常ドメインのエフェクターコンポーネントと組み合わせる抗体様または免疫グロブリン様分子を指定する。構造的には、イムノアドヘシンは、抗体の抗原認識および結合部位(antigen recoginition and binding site)(抗原結合部位(antigen combining site))以外である(すなわち、「非相同」である)所望の結合特異性を有するアドヘシンアミノ酸配列、ならびに免疫グロブリン定常ドメイン配列の融合物を含む。イムノアドヘシン中の免疫グロブリン定常ドメイン配列は、任意の免疫グロブリン、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4サブタイプ、IgA、IgE、IgD、またはIgMなどから得ることができる。
Fab断片は、V、V、C、およびC1ドメインからなる一価断片であり;F(ab’)2断片は、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片であり;Fd断片は、VおよびC1ドメインからなり;Fv断片は、抗体の単一アームのVおよびVドメインからなり;dAb断片は、VドメインまたはVドメインからなる(例えば、ヒト、ラクダ科の動物、またはサメ)。
単鎖抗体(scFv)は、VおよびV領域が、これらが単一のタンパク質鎖として作製されることを可能にする合成リンカーを介して一価の分子を形成するように対合されている抗体である。ダイアボディは、VおよびVドメインが、単一のポリペプチド鎖上であるが、短すぎて、同じ鎖上で2つのドメイン間の対合を可能にすることができず、それによってドメインを別の鎖の相補的なドメインと強制的に対合させ、2つの抗原結合部位を創製するリンカーを使用して発現される二価の二重特異性抗体である。1つまたは複数のCDRは、分子中にそれをイムノアドヘシンにするように共有結合的または非共有結合的に組み込まれ得る。イムノアドヘシンは、CDRをより大きいポリペプチド鎖の一部として組み込む場合があり、CDRを別のポリペプチド鎖に共有結合的に連結する場合があり、CDRを非共有結合的に組み込む場合がある。CDRは、イムノアドヘシンが目的の特定の抗原に特異的に結合することを可能にする。
抗体は、1つまたは複数の結合部位を有し得る。1つを超える結合部位が存在する場合、結合部位は、互いに同一であってもよく、または異なっていてもよい。例えば、天然に存在する抗体は、2つの同一の結合部位を有し、単鎖抗体またはFab断片は、1つの結合部位を有し、一方、「二重特異性」または「二官能性」抗体は、2つの異なる結合部位を有する。
「単離抗体」は、(1)その天然の状態でそれに伴う他の天然に付随した抗体を含めた天然に付随したコンポーネントと付随していない、(2)同じ種に由来する他のタンパク質を含まない、(3)抗体を天然に発現しない細胞によって発現され、もしくは異なる種に由来する細胞によって発現される、または(4)自然において存在しない抗体である。
用語「ヒト抗体」は、ヒトIg配列に由来する1つまたは複数の可変領域および定常領域を有するすべての抗体を含む。本発明の一部の実施形態では、抗体の可変ドメインおよび定常ドメインのすべては、ヒトIg配列に由来する(完全ヒト抗体)。
ヒト化抗体は、ある特定のアミノ酸がヒトにおける免疫応答を回避または阻止するように突然変異された、非ヒト種に由来する抗体である。代わりに、ヒト化抗体は、ヒト抗体に由来する定常ドメインを非ヒト種の可変ドメインに融合することによって生成され得る。
用語「キメラ抗体」は、1つの抗体に由来する1つまたは複数の領域、および1つまたは複数の他の抗体に由来する1つまたは複数の領域を含有する抗体を指す。各抗体は、別個の種(ヒトおよびマウスなど)に源を発し得る
用語「エピトープ」は、IgまたはT細胞受容体に特異的に結合することができる任意の分子決定基を含む。エピトープ決定基は通常、原子の表面基群(surface grouping)、例えば、アミノ酸または糖側鎖などからなり、通常、特異的な3次元の構造特性および特異的な荷電特性を有する。抗体は、解離定数が1μM未満、好ましくは100nM未満、より好ましくは10nM未満であるとき、抗原に特異的に結合すると言われる。
完全ヒト抗体は、マウスまたはマウス誘導体化モノクローナル抗体(Mab)に固有の免疫原性反応およびアレルギー反応を最小限にし、したがって、投与される抗体の有効性および安全性を増大させると予期される。完全ヒト抗体を使用すると、抗体投与の繰り返しを要求し得る慢性および再発性ヒト疾患、例えば、炎症およびがんなどの処置において実質的な利点がもたらされることを予期することができる。
さらに、2つ(またはそれ超)の単鎖抗体が互いに連結された融合抗体を創製することができる。これは、単一ポリペプチド鎖上に二価または多価抗体を創製したい場合、または二重特異性抗体を創製したい場合有用である。
「Fc融合物」とは、本明細書において、1つまたは複数のポリペプチドがFcポリペプチドに作動可能に連結したタンパク質を意味する。Fc融合物は、免疫グロブリンのFc領域を、一般に任意のタンパク質、ポリペプチド、または低分子であり得る融合パートナーと組み合わせる。実質的に任意のタンパク質または低分子が、Fc融合物を生成するためにFcに連結され得る。タンパク質融合パートナーとして、それだけに限らないが、受容体の標的結合領域、接着分子、リガンド、酵素、サイトカイン、ケモカイン、またはいくつかの他のタンパク質もしくはタンパク質ドメインを挙げることができる。低分子融合パートナーとして、Fc融合物を治療標的に向ける任意の治療剤を挙げることができる。このような標的は、任意の分子、例えば、限定することなく、疾患に結びつけられる細胞外受容体であり得る。
一タイプの誘導体化抗体は、2つまたはそれ超の抗体(同じタイプまたは異なるタイプの;例えば、二重特異性抗体を創製するために)を架橋することによって生成される。適当な架橋剤としては、適切なスペーサーによって分離された2つの明確に反応性の基を有するヘテロ二官能性(例えば、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、またはホモ二官能性(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)であるものがある。
別のタイプの誘導体化抗体は、標識抗体である。本発明の抗体または抗体部分が誘導体化され得る有用な検出剤としては、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、5−ジメチルアミン−1−ナフタレンスルホニルクロリド、フィコエリトリン、ランタニドリン光体などを含めた蛍光化合物がある。抗体は、検出に有用である酵素、例えば、西洋わさびペルオキシダーゼ、ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼなどで標識されてもよい。抗体が検出可能な酵素で標識される場合、それは、見分けることができる反応生成物を生成するために酵素が使用する追加の試薬を添加することによって検出される。例えば、作用物質西洋わさびペルオキシダーゼが存在する場合、過酸化水素およびジアミノベンジジンを添加すると、検出可能である着色された反応生成物がもたらされる。抗体を、ビオチンで標識し、アビジンまたはストレプトアビジン結合の間接測定によって検出してもよい。抗体は、ガドリニウムなどの磁性剤で標識される場合がある。抗体は、二次レポーター(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)によって認識される所定のポリペプチドエピトープで標識してもよい。一部の実施形態では、標識は、潜在的な立体障害を低減するために様々な長さのスペーサーアームによって付着される。
抗体は、化学基、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、メチルもしくはエチル基、または炭水化物基などで誘導化される場合もある。これらの基は、抗体の生物学的特性を改善する、例えば、血清半減期を増大させ、または組織結合を増大させるのに有用であり得る。
抗体特異性
抗原結合ドメインを含むいくつかの実施形態において、少なくとも抗原結合ドメイン(例えば、限定されるものではないが、6個全部のCDRを有する抗体可変領域、または抗体可変領域と少なくとも90%同一である等価な領域)は、アバゴボマブ、アバタセプト(ORENCIA(登録商標))、アブシキシマブ(REOPRO(登録商標)、c7E3 Fab)、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標))、アデカツムマブ、アレムツズマブ(CAMPATH(登録商標)、MabCampathもしくはCampath−1H)、アルツモマブ、アフェリモマブ、アナツモマブマフェナトックス、アネツムマブ、アンルキズマブ、アポリズマブ、アルシツモマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、アトロリムマブ、バピネウズマブ、バシリキシマブ(SIMULECT(登録商標))、バビツキシマブ、ベクツモマブ(LYMPHOSCAN(登録商標))、ベリムマブ(LYMPHO−STAT−B(登録商標))、ベルチリムマブ、ベシレソマブ、βセプト(EMBREL(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、ビシロマブブラロバルビタール、ビバツズマブメルタンシン、ブレンツキシマブベドチン(ADCETRIS(登録商標))、カナキヌマブ(ACZ885)、カンツズマブメルタンシン、カプロマブ(PROSTASCINT(登録商標))、カツマキソマブ(REMOV AB(登録商標))、セデリズマブ(CIMZIA(登録商標))、セルトリズマブペゴール、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、クレノリキシマブ、ダセツズマブ、ダクリキシマブ、ダクリズマブ(ZENAP AX(登録商標))、デノスマブ(AMG 162)、デツモマブ、ドルリモマブアリトックス、ドルリキシズマブ、ダンツムマブ、デュリムルマブ、デュルムルマブ、エクロメキシマブ、エクリズマブ(SOLIRIS(登録商標))、エドバコマブ、エドレコロマブ(Mabl7−1A、PANOREX(登録商標))、エファリズマブ(RAPTIVA(登録商標))、エフングマブ(MYCOGRAB(登録商標))、エルシリモマブ、エンリモマブペゴール、エピツモマブシツキセタン、エファリズマブ、エピツモマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、エルツマキソマブ(REXOMUN(登録商標))、エタラシズマブ(エタラツズマブ、VITAXIN(登録商標)、ABEGRIN(商標))、エクスビビルマブ、ファノレソマブ(NEUTROSPEC(登録商標))、ファラリモマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ(HUZAF(登録商標))、ガリキシマブ、ガンテネルマブ、ガビリモマブ(ABX−CBL(R))、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標))、ゴリムマブ(CNTO 148)、ゴミリキシマブ、イバリズマブ(TNX−355)、イブリツモマブチウキセタン(ZEVALIN(登録商標))、イゴボマブ、イムシロマブ、インフリキシマブ(REMICAD E(登録商標))、イノリモマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ(YERVOY(登録商標)、MDX−010)、イラツムマブ、ケリキシマブ、ラベツズマブ、レマレソマブ、レブリリズマブ、レルデリムマブ、レキサツムマブ(HGS−ETR2、ETR2−ST01)、レキシツムマブ、リビビルマブ、リンツズマブ、ルカツムマブ、ルミリキシマブ、マパツムマブ(HGS−ETRI、TRM−I)、マスリモマブ、マツズマブ(EMD72000)、メポリズマブ(BOSATRIA(登録商標))、メテリムマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ、ミツモマブ、モロリムマブ、モタビズマブ(NUMAX(商標))、ムロモナブ(OKT3)、ナコロマブタフェナトックス、ナプツモマブエスタフェナトックス、ナタリズマブ(TYSABRI(登録商標)、ANTEGREN(登録商標))、ネバクマブ、ネレリモマブ、ニモツズマブ(THERACIM hR3(登録商標)、THERA−CIM−hR3(登録商標)、THERALOC(登録商標))、ノフェツモマブメルペンタン(VERLUMA(登録商標))、オクレリズマブ、オデュリモマブ、オファツムマブ、オマリズマブ(XOLAIR(登録商標))、オレゴボマブ(OVAREX(登録商標))、オテリキシズマブ、パギバキシマブ、パリビズマブ(SYNAGIS(登録商標))、パニツムマブ(ABX−EGF、VECTIBIX(登録商標))、パスコリズマブ、ペムツモマブ(THERAGYN(登録商標))、ペルツズマブ(2C4、OMNITARG(登録商標)、ペキセリズマブ、ピンツモマブ、ポネズマブ、プリリキシマブ、プリツムマブ、ランビズマブ(LUCENTIS(登録商標))、ラキシバクマブ、レガビルマブ、レスリズマブ、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標)、MabTHERA(登録商標))、ロベリズマブ、ルプリズマブ、サツモマブ、セビルマブ、シブロツズマブ、シプリズマブ(MEDI−507)、ソンツズマブ、スタムルマブ(Myo−029)、スレソマブ(LEUKOSCAN(登録商標))、タカツズマブテトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、タプリツモマブパプトックス、テフィバズマブ(AUREXIS(登録商標))、テリモマブアリトックス、テネリキシマブ、テプリズマブ、チシリムマブ、トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標))、トラリズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、トレメリムマブ(CP−675,206)、ツコツズマブセルモロイキン、ツビルマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ(CNTO 1275)、バパリキシマブ、ベルツズマブ、ベパリモマブ、ビシリズマブ(NUVION(登録商標))、ボロシキシマブ(M200)、ボツムマブ(HUMASPECT(登録商標))、ザルツムマブ、ザノリムマブ(HuMAX−CD4)、ジラリムマブ、またはゾリモマブアリトックスに存在するものから選択される。
抗原結合ドメインを含む一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、6つのCDRを有する重鎖および軽鎖可変ドメインを含み、かつ/または先のリストから選択される抗体と結合を競合する。抗原結合ドメインを含む一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、先のリスト中の抗体と同じエピトープに結合する。抗原結合ドメインを含む一部の実施形態では、抗原結合ドメインは、合計6つのCDRを有する重鎖および軽鎖可変ドメインを含み、先のリスト中の抗体と同じ抗原に結合する。
抗原結合ドメインを含むいくつかの実施形態において、少なくとも第一の抗原結合ドメインは、6個全部のCDRを有する重鎖および軽鎖可変ドメインを含み、PDGFRα、PDGFRβ、PDGF、VEGF、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGF−E、VEGF−F、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、FGF、FGF2、HGF、KDR、flt−1、FLK−1、Ang−2、Ang−1、PLGF、CEA、CXCL13、Baff、IL−21、CCL21、TNF−α、CXCL12、SDF−I、bFGF、MAC−I、IL23pl9、FPR、IGFBP4、CXCR3、TLR4、CXCR2、EphA2、EphA4、EphrinB2、EGFR(ErbBl)、HER2(ErbB2またはpl85neu)、HER3(ErbB3)、HER4 ErbB4またはtyro2)、SCl、LRP5、LRP6、RAGE、s100A8、s100A9、Navl.7、GLPl、RSV、RSV Fタンパク質、インフルエンザHAタンパク質、インフルエンザNAタンパク質、HMGBl、CD16、CD19、CD20、CD21、CD28、CD32、CD32b、CD64、CD79、CD22、ICAM−I、FGFRl、FGFR2、HDGF、EphB4、GITR、β−アミロイド、hMPV、PIV−I、PIV−2、OX40L、IGFBP3、cMet、PD−I、PLGF、ネプリライシン(Neprolysin)、CTD、IL−18、IL−6、CXCL−13、IL−IRl、IL−15、IL−4R、IgE、PAI−I、NGF、EphA2、uPARt、DLL−4、αvβ5、αvβ6、α5β1、α3β1、インターフェロン受容体I型およびII型、CD 19、ICOS、IL−17、第II因子、Hsp90、IGF、IGF−I、IGF−II、CD 19、GM−CSFR、PIV−3、CMV、IL−13、IL−9、およびEBVから選択される抗原に特異的に結合する。
抗原結合ドメインを含むいくつかの実施形態において、少なくとも第一の抗原結合ドメインは、TNFスーパーファミリーのメンバー(受容体またはリガンド)に特異的に結合する。様々な分子として、限定されるものではないが、腫瘍壊死因子−α(「TNF−α」)、腫瘍壊死因子−β(「TNF−β」)、リンホトキシン−α(「LT−α」)、CD30リガンド、CD27リガンド、CD40リガンド、4−1BBリガンド、Apo−1リガンド(FasリガンドまたはCD95リガンドとも呼ばれる)、Apo−2リガンド(TRAILとも呼ばれる)、Apo−3リガンド(TWEAKとも呼ばれる)、オステオプロテゲリン(OPG)、APRIL、RANKリガンド(TRANCEとも呼ばれる)、TALL−1(BlyS、BAFFまたはTHANKとも呼ばれる)、DR4、DR5(Apo−2、TRAIL−R2、TR6、Tango−63、hAPO8、TRICK2、またはKILLERとしても知られる)、DR6、DcRI、DcR2、DcR3(TR6またはM68としても知られる)、CARI、HVEM(ATARまたはTR2としても知られる)、GITR、ZTNFR−5、NTR−I、TNFLI、CD30、LTBr、4−1BB受容体およびTR9が挙げられる。
抗原結合ドメインを含むいくつかの実施形態において、少なくとも第一の抗原結合ドメインは、5T4、ABL、ABCB5、ABCFl、ACVRl、ACVRlB、ACVR2、ACVR2B、ACVRLl、AD0RA2A、アグレカン、AGR2、AICDA、AIFI、AIGl、AKAPl、AKAP2、AMH、AMHR2、アンギオゲニン(ANG)、ANGPTl、ANGPT2、ANGPTL3、ANGPTL4、アネキシンA2、ANPEP、APC、APOCl、AR、アロマターゼ、ATX、AXl、AZGPl(亜鉛−a−糖タンパク質)、B7.1、B7.2、B7−H1、BAD、BAFF、BAGl、BAIl、BCR、BCL2、BCL6、BDNF、BLNK、BLRl(MDR15)、BIyS、BMP1、BMP2、BMP3B(GDFlO)、BMP4、BMP6、BMP7、BMP8、BMP9、BMP11、BMP12、BMPR1A、BMPR1B、BMPR2、BPAGl(プレクチン)、BRCAl、C19orflO(IL27w)、C3、C4A、C5、C5R1、CANTl、CASPl、CASP4、CAVl、CCBP2(D6/JAB61)、CCLl(1−309)、CCLI 1(エオタキシン)、CCL13(MCP−4)、CCL15(MIP−Id)、CCL16(HCC−4)、CCL17(TARC)、CCL18(PARC)、CCL19(MIP−3b)、CCL2(MCP−1)、MCAF、CCL20(MIP−3a)、CCL21(MEP−2)、SLC、エクソダス−2、CCL22(MDC/STC−I)、CCL23(MPIF−I)、CCL24(MPIF−2/エオタキシン−2)、CCL25(TECK)、CCL26(エオタキシン−3)、CCL27(CTACK/ILC)、CCL28、CCL3(MIP−Ia)、CCL4(MIP−Ib)、CCL5(RANTES)、CCL7(MCP−3)、CCL8(mcp−2)、CCNAl、CCNA2、CCNDl、CCNEl、CCNE2、CCRl(CKRl/HM145)、CCR2(mcp−IRB/RA)、CCR3(CKR3/CMKBR3)、CCR4、CCR5(CMKBR5/ChemR13)、CCR6(CMKBR6/CKR−L3/STRL22/DRY6)、CCR7(CKR7/EBI1)、CCR8(CMKBR8/TERl/CKR−Ll)、CCR9(GPR−9−6)、CCRLl(VSHKl)、CCRL2(L−CCR)、CD164、CD19、CDlC、CD20、CD200、CD−22、CD24、CD28、CD3、CD33、CD35、CD37、CD38、CD3E、CD3G、CD3Z、CD4、CD40、CD40L、CD44、CD45RB、CD46、CD52、CD69、CD72、CD74、CD79A、CD79B、CD8、CD80、CD81、CD83、CD86、CD105、CD137、CDHl(E−カドヘリン)、CDCP1CDH10、CDH12、CDH13、CDH18、CDH19、CDH20、CDH5、CDH7、CDH8、CDH9、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK9、CDKNlA(p21Wapl/Cipl)、CDKNlB(p27Kipl)、CDKNlC、CDKN2A(pl6INK4a)、CDKN2B、CDKN2C、CDKN3、CEBPB、CERl、CHGA、CHGB、キチナーゼ、CHSTlO、CKLFSF2、CKLFSF3、CKLFSF4、CKLFSF5、CKLFSF6、CKLFSF7、CKLFSF8、CLDN3、CLDN7(クラウジン−7)、CLN3、CLU(クラステリン)、CMKLRl、CMKORl(RDCl)、CNRl、COLl 8Al、COL1A1、COL4A3、COL6A1、CR2、Cripto、CRP、CSFl(M−CSF)、CSF2(GM−CSF)、CSF3(GCSF)、CTLA4、CTL8、CTNNBl(b−カテニン)、CTSB(カテプシンB)、CX3CL1(SCYDl)、CX3CR1(V28)、CXCLl(GROl)、CXCLlO(IP−IO)、CXCLIl(I−TAC/IP−9)、CXCL12(SDFl)、CXCL13、CXCL 14、CXCL 16、CXCL2(GR02)、CXCL3(GR03)、CXCL5(ENA−78/LIX)、CXCL6(GCP−2)、CXCL9(MIG)、CXCR3(GPR9/CKR−L2)、CXCR4、CXCR6(TYMSTR/STRL33/Bonzo)、CYB5、CYCl、Cyr61、CYSLTRl、c−Met、DAB2IP、DES、DKFZp451J0118、DNCLl、DPP4、E2F1、ECGFl5EDGl、EFNAl、EFNA3、EFNB2、EGF、ELAC2、ENG、エンドグリン、ENOl、EN02、EN03、EPHAl、EPHA2、EPHA3、EPHA4、EPHA5、EPHA6、EPHA7、EPHA8、EPHA9、EPHAlO、EPHBl、EPHB2、EPHB3、EPHB4、EPHB5、EPHB6、EPHRIN−Al、EPHRIN−A2、EPHRIN−A3、EPHRIN−A4、EPHRIN−A5、EPHRIN−A6、EPHRIN−Bl、EPHRIN−B2、EPHRTN−B3、EPHB4、EPG、ERBB2(Her−2)、EREG、ERK8、エストロゲン受容体、ESRl、ESR2、F3(TF)、FADD、ファルネシルトランスフェラーゼ、FasL、FASNf、FCER1A、FCER2、FCGR3A、FGF、FGFl(aFGF)、FGFlO、FGFl 1、FGF12、FGF12B、FGF13、FGF14、FGF16、FGF17、FGF18、FGF19、FGF2(bFGF)、FGF20、(mimAb1のような)FGF21、FGF22、FGF23、FGF3(int−2)、FGF4(HST)、FGF5、FGF6(HST−2)、FGF7(KGF)、FGF8、FGF9、FGFR3、FIGF(VEGFD)、FILl(EPSILON)、FBLl(ZETA)、FLJ12584、FLJ25530、FLRTl(フィブロネクチン)、FLTl、FLT−3、FOS、FOSLl(FRA−I)、FY(DARC)、GABRP(GABAa)、GAGEBl、GAGECl、GALNAC4S−6ST、GATA3、GD2、GD3、GDF5、GDF8、GFIl、GGTl、GM−CSF、GNASl、GNRHl、GPR2(CCRlO)、GPR31、GPR44、GPR81(FKSG80)、GRCClO(ClO)、gremlin、GRP、GSN(ゲルゾリン)、GSTPl、HAVCR2、HDAC、HDAC4、HDAC5、HDAC7A、HDAC9、ヘッジホッグ、HGF、HIFlA、HIPl、ヒスタミンおよびヒスタミン受容体、HLA−A、HLA−DRA、HM74、HMOXl、HSP90、HUMCYT2A、ICEBERG、ICOSL、ID2、IFN−a、IFNAl、IFNA2、IFNA4、IFNA5、EFNA6、BFNA7、IFNBl、IFNガンマ、IFNWl、IGBPl、IGFl、IGFlR、IGF2、IGFBP2、IGFBP3、IGFBP6、DL−I、ILlO、ILlORA、ILlORB、IL−1、ILlRl(CD121a)、ILlR2(CD121b)、IL−IRA、IL−2、IL2RA(CD25)、IL2RB(CD122)、IL2RG(CD132)、IL−4、IL−4R(CD123)、IL−5、IL5RA(CD125)、IL3RB(CD131)、IL−6、IL6RA(CD126)、IR6RB(CD130)、IL−7、IL7RA(CD127)、IL−8、CXCRl(IL8RA)、CXCR2(IL8RB/CD128)、IL−9、IL9R(CD129)、IL−10、IL10RA(CD210)、IL10RB(CDW210B)、IL−11、ILl IRA、IL−12、IL−12A、IL−12B、IL−12RB1、IL−12RB2、IL−13、IL13RA1、IL13RA2、IL14、IL15、IL15RA、1L16、IL17、IL17A、IL17B、IL17C、IL17R、IL18、IL18BP、IL18R1、IL18RAP、IL19、ILIA、ILlB、ILlFlO、IL1F5、IL1F6、IL1F7、IL1F8、DL1F9、ILlHYl、ILlRl、IL1R2、ILlRAP、ILlRAPLl、IL1RAPL2、ILlRLl、IL1RL2、ILlRN、IL2、IL20、IL20RA、IL21R、IL22、IL22R、IL22RA2、IL23、DL24、IL25、IL26、IL27、IL28A、IL28B、IL29、IL2RA、IL2RB、IL2RG、IL3、IL30、IL3RA、IL4、IL4R、IL6ST(糖タンパク質130)、ILK、INHA、INHBA、INSL3、INSL4、IRAKI、IRAK2、ITGA1、ITGA2、ITGA3、ITGA6(α6インテグリン)、ITGAV、ITGB3、ITGB4(β4インテグリン)、JAKl、JAK3、JTB、JUN、K6HF、KAIl、KDR、KIM−1、KITLG、KLF5(GCボックスBP)、KLF6、KLKlO、KLK12、KLK13、KLK14、KLK15、KLK3、KLK4、KLK5、KLK6、KLK9、KRTl、KRT19(ケラチン19)、KRT2A、KRTHB6(毛髪特異的II型ケラチン)、LAMA5、LEP(レプチン)、Lingo−p75、Lingo−Troy、LPS、LRP5、LRP6、LTA(TNF−b)、LTB、LTB4R(GPR16)、LTB4R2、LTBR、MACMARCKS、MAGまたはOmgp、MAP2K7(c−Jun)、MCP−I、MDK、MIBl、ミドカイン、MIF、MISRII、MJP−2、MK、MKI67(Ki−67)、MMP2、MMP9、MS4A1、MSMB、MT3(メタロチオネクチン−Ui)、mTOR、MTSSl、MUCl(ムチン)、MYC、MYD88、NCK2、ニューロカン、ニューレグリン−1、ニューロピリン−1、NFKBl、NFKB2、NGFB(NGF)、NGFR、NgR−Lingo、NgR−Nogo66(Nogo)、NgR−p75、NgR−Troy、NMEl(NM23A)、NOTCH、NOTCHl、N0X5、NPPB、NROBl、NR0B2、NRlDl、NR1D2、NR1H2、NR1H3、NR1H4、NR1I2、NR1I3、NR2C1、NR2C2、NR2E1、NR2E3、NR2F1、NR2F2、NR2F6、NR3C1、NR3C2、NR4A1、NR4A2、NR4A3、NR5A1、NR5A2、NR6A1、NRPl、NRP2、NT5E、NTN4、OCT−1、ODZ1、OPN1、OPN2、OPRDl、P2RX7、PAP、PARTl、PATE、PAWR、PCA3、PCDGF、PCNA、PDGFA、PDGFB、PDGFRA、PDGFRB、PECAMl、peg−アスパラギナーゼ、PF4(CXCL4)、Plexin B2(PLXNB2)、PGF、PGR、ホスファカン、PIAS2、PI3キナーゼ、PIK3CG、PLAU(uPA)、PLG5PLXDCl、PKC、PKC−β、PPBP(CXCL7)、PPID、PRl、PRKCQ、PRKDl、PRL、PROC、PROK2、pro−NGF、プロサポシン、PSAP、PSCA、PTAFR、PTEN、PTGS2(COX−2)、PTN、RAC2(P21Rac2)、RANK、RANKリガンド、RARB、RGSl、RGS13、RGS3、RNFI10(ZNF144)、Ron、R0B02、RXR、セレクチン、S100A2、S100A8、S100A9、SCGB 1D2(リポフィリンB)、SCGB2A1(マンマグロビン2)、SCGB2A2(マンマグロビン1)、SCYEl(内皮単球活性化サイトカイン)、SDF2、SERPENA1、SERPINA3、SERPINB5(マスピン)、SE
RPINEl(PAI−I)、SERPINFl、SHIP−I、SHIP−2、SHBl、SHB2、SHBG、SfcAZ、SLC2A2、SLC33A1、SLC43A1、SLIT2、SPPl、SPRRlB(Sprl)、ST6GAL1、STABl、STAT6、STEAP、STEAP2、SULF−1、Sulf−2、TB4R2、TBX21、TCPlO、TDGFl、TEK、TGFA、TGFBl、TGFBlIl、TGFB2、TGFB3、TGFBI、TGFBRl、TGFBR2、TGFBR3、THlL、THBSl(トロンボスポンジン−1)、THBS2/THBS4、THPO、TIE(Tie−1)、TIMP3、組織因子、TIKI2、TLR10、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6JLR7、TLR8、TLR9、TM4SF1、TNF、TNF−a、TNFAIP2(B94)、TNFAIP3、TNFRSFIlA、TNFRSFlA、TNFRSFlB、TNFRSF21、TNFRSF5、TNFRSF6(Fas)、TNFRSF7、TNFRSF8、TNFRSF9、TNFSFlO(TRAIL)、TNFSFl 1(TRANCE)、TNFSF12(AP03L)、TNFSF13(April)、TNFSF13B、TNFSF14(HVEM−L)、TNFSF15(VEGI)、TNFSF 18、TNFSF4(OX40リガンド)、TNFSF5(CD40リガンド)、TNFSF6(FasL)、TNFSF7(CD27リガンド)、TNFSF8(CD30リガンド)、TNFSF9(4−1BBリガンド)、TOLLIP、Toll様受容体、TLR2、TLR4、TLR9、T0P2A(トポイソメラーゼIia)、TP53、TPMl、TPM2、TRADD、TRAFl、TRAF2、TRAF3、TRAF4、TRAF5、TRAF6、TRKA、TREMl、TREM2、TRPC6、TROY、TSLP、TWEAK、チロシナーゼ、uPAR、VEGF、VEGFB、VEGFC、バーシカン、VHL C5、VLA−4、Wnt−1、XCLl(リンホタクチン)、XCL2(SCM−Ib)、XCRl(GPR5/CCXCRl)、YYl、およびZFPM2から選択される1つまたは複数の標的に結合することができる。
定義
一般に、生化学、分析化学、合成有機化学、医薬および製薬化学、細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質および核酸化学、ならびに本明細書に記載のハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法、ならびにこれらの技法は、周知の、かつ一般に当技術分野で使用されるものである。本発明の方法および技法は、一般に、別段に示されていない限り、当技術分野で周知の、かつ本明細書全体にわたって引用され、論じられている様々な一般的および具体的な参考文献に記載されている従来法に従って実施される。反応および精製技法は、当技術分野で一般に達成され、または本明細書に記載するように、製造者の仕様に従って実施される。本明細書において、20の天然のまたは慣例的なアミノ酸、およびこれらの略語は、IUPACの1文字および3文字コードに従う。
「相補的残基セット」は、本明細書において、互いに相互作用するように改変された、C−1ドメイン中の少なくとも1つのアミノ酸、およびCドメイン中の少なくとも1つのアミノ酸を指す。互いに相互作用することによって、これらは、これらのそれぞれのドメインがヘテロ二量体化するのを推進し、相補的残基セットの残基間の相互作用の少なくとも一部を含む界面を形成する。相互作用は、塩橋、静電相互作用、またはファンデルワールス力によって特徴付けられ得る。相補的残基セットは、各ドメイン中に1つを超える改変された残基を含み得る。
相補的残基セット内の任意の所与の残基は、その相補的残基セットの少なくとも1つの他の残基の5Å以内に存在することになる。
相補的残基セットとの関連で、2つの残基は、各残基の少なくとも1個の原子が互いに5Å以内にある場合、相互作用すると言われる。残基相互作用は、塩橋、静電相互作用、またはファンデルワールス力として特徴付けられ得る。誤解を避けるために、他の脈絡において、原子間力は、より長い距離にわたって作用し得ることが認識される。
ドメイン間の「相補的対合」は、相補的残基セットを少なくとも部分的に通じたこれらの2つのドメインの相互作用を指す。
「改変された」は、本明細書において、支配的な野生型配列中に見つからない残基の意図的な突然変異を指し、改変された挿入、欠失、または置換突然変異であり得る。
「ヘテロ多量体」、「ヘテロ多量体複合体」、または「ヘテロ多量体ポリペプチド」は、少なくとも第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドを含む分子であって、第2のポリペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸残基だけ第1のポリペプチドとアミノ酸配列が異なる、分子である。ヘテロ多量体は、第1および第2のポリペプチドによって形成される「ヘテロ二量体」を含むことができ、または第1および第2のポリペプチドに加えてポリペプチドが存在するより高次の三次構造を形成することができる。
「ヘテロ二量体」、「ヘテロ二量体タンパク質」、「ヘテロ二量体複合体」、または「ヘテロ多量体ポリペプチド」は、第1のポリペプチドおよび第2のポリペプチドを含む分子であって、第2のポリペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸残基だけ第1のポリペプチドとアミノ酸配列が異なる、分子である。
本発明との関連で、用語ヘテロ二量体は、異なるアミノ酸配列を有する少なくとも2つのポリペプチドを含むヘテロ多量体を示すのに使用されるが、それは、多くの実施形態、特に、本発明がIgG抗体および同様の分子に関するものでは、本発明のヘテロ二量体タンパク質は、ヘテロ多量体タンパク質と同等に呼ばれる場合があり、理由は、4つの別個のポリペプチド(第1の重鎖および軽鎖、ならびに第2の重鎖および軽鎖)が必然的に存在することになるためであることが容易に察知されるであろう。
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指すのに互換的に使用される。本明細書において、これらの用語は、1つまたは複数のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工化学的類似体であるアミノ酸ポリマーに適用する。これらの用語は、天然に存在するアミノ酸ポリマーにも適用する。アミノ酸は、ペプチドの結合特性および他の所望の特性が維持される限り、L型であってもD型であってもよい。ポリペプチドは、モノマーであっても、ポリマーであってもよい。この用語は、天然に修飾された、あるいは介入、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識コンポーネントとのコンジュゲーションなどの任意の他の改変もしくは修飾によって修飾されたアミノ酸鎖も包含する。例えば、アミノ酸(例えば、非天然アミノ酸などを含む)の1種または複数の類似体、および当技術分野で公知の他の修飾を含有するポリペプチドもこの定義内に含まれる。ポリペプチドは、単鎖または会合鎖として存在し得ることが理解される。
「D」の接頭辞、例えば、D−AlaもしくはN−Me−D−Ileによって、または小文字形式、例えば、a、i、l(Ala、Ile、LeuのDバージョン)で書かれて別段に示されていない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載のペプチド中のアミノ酸およびアミノアシル残基のα−炭素の立体化学は、天然または「L」構成である。
すべてのペプチド配列は、α−N末端アミノ酸残基が左にあり、α−C末端アミノ酸残基が右にある一般に認められている慣習に従って書かれる。本明細書において、用語「N末端」は、ペプチド中のアミノ酸の遊離αアミノ基を指し、用語「C末端」は、ペプチド中のアミノ酸の遊離α−カルボン酸末端を指す。1つの基でN末端をなしているペプチドは、N末端アミノ酸残基のα−アミノ窒素上に1つの基を持つペプチドを指す。1つの基でC末端をなしているアミノ酸は、メチルエステルをもたらすメチル基などのカルボキシル部分上に1つの基を持つアミノ酸を指す。
本明細書において、「生物活性」は、化合物、組成物、もしくは他の混合物のin vivo活性、または化合物、組成物、もしくは他の混合物をin vivo投与すると生じる生理反応を指す。したがって生物活性は、このような化合物、組成物、および混合物の治療効果、診断効果、および薬学的活性を包含する。
用語「生物学的に適合性の」は、本明細書において、細胞内および細胞外生物学的分子と生物学的に不活性または非反応性であり、かつ無毒性であるものを意味する。
「約」または「およそ」は、測定可能な数値変数に関連して使用される場合、変数の示された値、および示された値の実験誤差以内(例えば、平均についての95%信頼区間以内)、または示された値の10パーセント以内のいずれか大きい方である変数のすべての値を指す。数値範囲は、範囲を画定する数値を含む。
用語「同一性」は、当技術分野で公知であるように、配列を比較することによって判定される、2つもしくはそれ超のポリペプチド分子、または2つもしくはそれ超の核酸分子の配列間の関係を指す。当技術分野において、「同一性」は、場合によって、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列のストリング間の一致によって判定される、ポリペプチドまたは核酸分子配列間の配列関連性の程度も意味する。「同一性」は、コンピュータープログラムの特定の数学的モデル(すなわち「アルゴリズム」)によって対処されるギャップ整列を用いて2つまたはそれ超の配列間の完全な一致のパーセントを測定する。
用語「類似性」は、関連した概念であるが、「同一性」と対照的に、完全な一致および保存的置換一致の両方を含む類似性の尺度を指す。保存的置換は、ポリペプチドに適用し、核酸分子に適用しないので、類似性は、ポリペプチド配列比較のみを扱う。2つのポリペプチド配列が例えば、20のうち10の同一のアミノ酸を有し、残りがすべて非保存的置換である場合、パーセント同一性および類似性はともに50%である。同じ例において、保存的置換が存在する位置がさらに5つ存在する場合、パーセント同一性は、50%のままであるが、パーセント類似性は、75%である(20のうち15)。したがって、保存的置換が存在する場合では、2つのポリペプチド配列間の類似性の程度は、これらの2つの配列間のパーセント同一性より高いことになる。
用語「保存的アミノ酸置換」は、その位置におけるアミノ酸残基の極性、電荷、およびおおよその体積に対してほとんどまたはまったく効果がないような、天然アミノ酸残基の非天然残基との置換を指す。例えば、保存的置換は、ポリペプチド中の非極性残基の任意の他の非極性残基との置換から生じる。この用語は、BLOSUM62マトリックスまたは関連したマトリックスのような高度に同様のタンパク質間で頻繁に起こるとして同定される置換も指す場合がある(PNAS,USA、89(22)、10915〜9、1992)。
用語「ベクター」は、本明細書において、核酸分子であって、それが連結された別の核酸を輸送することができる核酸分子を指すように意図される。一タイプのベクターは、「プラスミド」であり、それは、追加のDNAセグメントがライゲーションされ得る環状二本鎖DNAループを指す。別のタイプのベクターは、ファージベクターである。別のタイプのベクターは、追加のDNAセグメントがウイルスゲノム中にライゲーションされ得るウイルスベクターである。ある特定のベクターは、これらが導入されている宿主細胞内で自律複製することができる(例えば、細菌複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞内に導入されると宿主細胞のゲノム中に組み込まれ得、それによって宿主ゲノムとともに複製される。さらに、ある特定のベクターは、これらが作動可能に連結された遺伝子の発現を指示することができる。このようなベクターは、「組換え発現ベクター」(または単に、「組換えベクター」)と本明細書で呼ばれる。一般に、組換えDNA技法において有用なものの発現ベクターは、プラスミドの形態にあることが多い。本明細書では、「プラスミド」および「ベクター」は、プラスミドがベクターの最も一般に使用される形態であるので、互換的に使用され得る。
「ポリヌクレオチド」または「核酸分子」は、本明細書で互換的に使用される場合があり、長さが少なくとも10塩基のヌクレオシドまたはヌクレオチドのポリマーの、場合により単離された形態を指す。この用語は、一本鎖および二本鎖形態を含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、もしくは塩基、および/またはこれらの類似体、あるいはDNAもしくはRNAポリメラーゼ、または合成反応によってポリマー中に組み込むことができる任意の基質であり得る。
ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびこれらの類似体などの修飾ヌクレオチドを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造への修飾は、ポリマーをアセンブルする前または後に与えられ得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチドコンポーネントによって中断される場合がある。ポリヌクレオチドは、標識とのコンジュゲーションなどによって、合成後にさらに修飾され得る。他のタイプの修飾としては、例えば、「キャップ」、天然に存在するヌクレオチドの1つまたは複数の類似体との置換、ヌクレオチド間修飾、例えば、非荷電連結(例えば、ホスホン酸メチル、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)および荷電連結(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を有するもの、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、poly−L−リシンなど)などのペンダント部分を含有するもの、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)を有するもの、キレーター(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、修飾連結(例えば、アルファアノマー核酸など)を有するもの、ならびにポリヌクレオチドの無修飾形態などがある。さらに、糖中に通常存在する水酸基のいずれも、例えば、ホスホネート基、リン酸基によって置き換えられ、標準的な保護基によって保護され、もしくは追加のヌクレオチドへの追加の連結を調整するために活性化される場合があり、または固体もしくは半固体支持体にコンジュゲートされる場合がある。5’および3’末端OHをリン酸化し、またはアミン、もしくは1〜20炭素原子の有機キャッピング基部分で置換することができる。他のヒドロキシルも標準的な保護基に誘導体化され得る。ポリヌクレオチドは、例えば、2’−O−メチル−、2’−O−アリル、2’−フルオロ−、または2’−アジド−リボース、炭素環糖類似体、アルファ−アノマー糖、エピマー糖、例えば、アラビノース、キシロース、またはリキソースなど、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類似体、およびメチルリボシドなどの脱塩基ヌクレオシド類似体を含めて、当技術分野で一般に公知であるリボースまたはデオキシリボース糖の類似型も含有することができる。1つまたは複数のホスホジエステル連結は、代替の連結基によって置き換えられ得る。これらの代替の連結基としては、それだけに限らないが、リン酸が、P(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、CO、またはCH(「ホルムアセタール」)に置き換えられている実施形態があり、式中、各RあるいはR’は、独立して、H、またはエーテル(−−O−−)連結を含有してもよい置換もしくは非置換のアルキル(1〜20C)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、あるいはアラルジルである。ポリヌクレオチド中のすべての連結が同一である必要はない。前記記載は、RNAおよびDNAを含めた本明細書に参照されるすべてのポリヌクレオチドに当てはまる。
「オリゴヌクレオチド」は、本明細書において、一般に、しかし必ずしもではないが、長さが約200ヌクレオチド未満である短い、一般に一本鎖の、一般に合成ポリヌクレオチドを一般に指す。用語「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」は、相互に排他的でない。ポリヌクレオチドについての上記記載は、オリゴヌクレオチドに同等にかつ完全に適用可能である。
ヌクレオチド配列への言及は、本明細書において、別段に指定されていない限りその相補体を包含する。したがって、特定の配列を有する核酸への言及は、脈絡により別段に定義されていない限り、その相補配列を有するその相補鎖を包含することが理解されるべきである。
「細胞」または「細胞株」は、本明細書において、本発明のヘテロ二量体タンパク質、ポリペプチド、または核酸を発現させるのに使用することができる様々なタイプの細胞、例えば、原核細胞、真核細胞、哺乳動物細胞、ラット細胞、ヒト細胞を含む。
用語「精製する」、およびその文法的バリエーションは、ポリペプチドおよび1種または複数の不純物を含有する混合物から少なくとも1種の不純物を、完全にであっても部分的にであっても除去し、それによって組成物中のポリペプチドの純度のレベルを改善する(すなわち、組成物中の不純物の量(ppm)を減少させることによって)ことを意味するのに使用される。
用語「イオン交換」および「イオン交換クロマトグラフィー」は、目的のイオン性溶質(例えば、混合物中の目的のタンパク質)が、pHおよび伝導性の適切な条件下で、固相イオン交換材料に連結した(例えば、共有結合によって)逆に荷電したリガンドと相互作用し、その結果、目的の溶質が、混合物中の溶質不純物または混入物より多くまたは少なく荷電化合物と非特異的に相互作用するクロマトグラフィープロセスを指す。混合物中の汚染溶質は、イオン交換材料のカラムから洗浄することができ、または目的の溶質より速くもしくは遅く樹脂に結合され、もしくは樹脂から除外される。「イオン交換クロマトグラフィー」は、具体的には、陽イオン交換、陰イオン交換、および混合モードクロマトグラフィーを含む。
「阻止」抗体または「アンタゴニスト」抗体は、それが結合する抗原の生物活性を阻害または低減するものである。「アゴニスト抗体」は、本明細書において、目的のポリペプチドの機能的活性の少なくとも1つを模倣する抗体である。
用語「免疫エフェクター細胞」または「エフェクター細胞」は、本明細書において、標的細胞の生存能に影響するように活性化され得るヒト免疫系中の細胞の天然レパートリー内の細胞を指す。標的細胞の生存能として、細胞生存、増殖、および/または他の細胞と相互作用する能力を挙げることができる。
塩橋は、一タイプの非共有結合相互作用である。塩橋は、反対の形式電荷を有する2つの原子間の近距離直接相互作用を伴う。タンパク質構造との関連で、塩橋は、アスパラギン酸またはグルタミン酸のアニオン性カルボキシレート(RCOO)と、ヒスチジンが別の可能性を伴って、リシンに由来するカチオン性アンモニウム(RNH )またはアルギニンのグアニジニウム(RNHC(NH )との間でほとんどの場合形成する。しかし、他のアミノ酸も、これらのpKa値の変化およびポリペプチド鎖中の場所に応じて参加することができる(NおよびC末端残基がイオン化される場合があり、したがってアミノ酸タイプにかかわらず塩橋を形成することができる)。
静電相互作用は、非ゼロ電荷を有する原子間の非共有結合相互作用である。これらは、好都合な、不都合な、または中性の相互作用エネルギーを有し得、形式電荷を有し、または形式電荷の欠如にかかわらず分極した原子を伴い得る。水素結合、塩橋、およびパイカチオンスタッキング(pi−cation stacking)は、タンパク質構造中で頻繁に観察される静電相互作用の例である。
通常、タンパク質に、および時にRNA配列に特異的である構造的整列は、配列を整列させるのに役立つタンパク質またはRNA分子の二次および三次構造についての情報を使用する。これらの方法は、2つまたはそれ超の配列に使用され、典型的には、局所的な整列を生じさせるが、これらは、構造情報の利用可能性に依存するので、対応する構造が既知である(通常、X線結晶構造解析法またはNMR分光法によって)配列についてのみ使用することができる。タンパク質およびRNA構造はともに、配列より進化的に保存されているので、構造的整列は、非常に遠縁であり、かつ配列比較がその類似性を確実に検出することができないほど非常に広範に分岐している配列間でより信頼できるものであり得る。タンパク質の1つについて利用可能な構造データが存在しない場合、構造データが種にわたる免疫グロブリン、特に、種およびサブタイプにわたる抗体定常ドメインなどの1つまたは好ましくはそれ超の厳密に関連したタンパク質について利用可能であれば、比較を依然として行うことができる。
構造的整列は、「ゴールドスタンダード」として使用され、理由は、これらが配列情報をもっぱら利用するのではなく構造的に同様であるタンパク質配列の領域を明示的に整列させるためである。構造的整列について一般に使用されるアルゴリズムは、TM−ALIGN(ZhangおよびSkolnick、Nucleic Acids Research、33:2302〜2309(2005))であり、これは、重ね合わせ中の構造の最も同様の領域に大きくした重みを割り当てる。
配列整列
本発明のタンパク質配列を用いた構造的整列が、例えば、標的配列のNMRまたは結晶構造データがないことに起因して可能でない場合、配列整列が使用され得る。当業者は、配列整列ツール(BLAST、CLUSTAL、および本明細書に記載のものなどの当業者に公知のその他など)に精通しており、特に、サブタイプおよび種にわたって免疫グロブリンドメイン、抗体、および抗体定常ドメインについて既に存在する多数の例示的な構造的試験に特に起因して、配列、特に、公知の構造モチーフに従う抗体定常ドメイン配列を整列させることができる。
配列整列へのコンピューターによる手法は、2つのカテゴリー:グローバル整列およびローカル整列に入る。グローバル整列の計算は、整列がすべてのクエリー配列の全長に及ぶように「強要する」グローバル最適化の一形態である。対照的に、ローカル整列は、全体的に広く多岐にわたることが多い長い配列内の類似性の領域を同定する。ローカル整列は、好ましいことが多いが、類似性の領域を同定するという追加の課題のために、計算するのがより困難であり得る。様々なコンピューターによるアルゴリズムが、配列整列問題に適用されている。これらには、ダイナミックプログラミングのような遅いが正式に正しい方法、およびまた、ベストマッチを見つけることを保証しない大規模データベース検索のために設計された、効率的な、ヒューリスティックアルゴリズムまたは確率論的方法が含まれる。
あらゆる配列中のあらゆる残基を整列させようと試みるグローバル整列は、クエリーセット中の配列が同様であり、おおよそ等しいサイズのものであるとき、最も有用である。一般的なグローバル整列技法は、Needleman−Wunschアルゴリズムであり、これは、ダイナミックプログラミングに基づく。ローカル整列は、そのより大きい配列関係内で類似性の領域または同様の配列モチーフを含有する疑いのある異なった配列についてより有用である。Smith−Watermanアルゴリズムは、やはりダイナミックプログラミングに基づく一般的なローカル整列法である。
ペアワイズ配列整列法は、2つのクエリー配列のベストマッチングピースワイズ(ローカル)またはグローバル整列を見つけるのに使用される。ペアワイズ整列を生じさせる3つの主要な方法は、ドットマトリックス法、ダイナミックプログラミング、およびワード法であるが、多重配列整列技法も、配列の対を整列させることができる。各方法は、その個々の強みおよび弱点を有するが、3つすべてのペアワイズ法は、特に、反復の数が整列される2つの配列中で異なる場合、低い情報含有量の高度に反復性の配列に対して困難を有する。所与のペアワイズ整列の有用性を定量化する一方法は、「最大ユニークマッチ(maximum unique match)」(MUM)、または両方のクエリー配列中に存在する最長部分配列である。より長いMUM配列は、典型的には、より近い関連性を反映する。同一性および/または類似性を判定する好適な方法は、試験される配列間で最大の一致を与えるように設計される。同一性および類似性を判定する方法は、公的に入手可能なコンピュータープログラム中に体系的にまとめられている。2つの配列間の同一性および類似性を判定する好適なコンピュータープログラム法としては、それだけに限らないが、GAP(Devereuxら、Nuc.Acids Res.、12:387(1984);遺伝学コンピューターグループ、ウィスコンシン大学、Madison、WI)を含めたGCGプログラムパッケージ、BLASTP、BLASTN、およびFASTA (Atschulら、J.Mol.Biol.、215:403〜10(1990))がある。BLAST Xプログラムは、国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)および他の源(Altschulら、BLAST Manual(NCB NLM NIH、Bethesda、MD);Altschulら、1990、上記)から公的に入手可能である。周知のSmith Watermanアルゴリズムも、同一性を判定するのに使用され得る。
例として、コンピューターアルゴリズムGAP(遺伝学コンピューターグループ)を使用して、パーセント配列同一性が判定される2つのポリペプチドが、これらのそれぞれのアミノ酸の最適なマッチングについて整列される(アルゴリズムによって判定される「マッチドスパン」)。ギャップ開始ペナルティー(平均対角項(average diagonal)の3倍として計算され;「平均対角項」は、使用されている比較マトリックスの対角項の平均であり;「対角項」は、特定の比較行列によってそれぞれの完全なアミノ酸マッチに割り当てられるスコアまたは数値である)、およびギャップ伸長ペナルティー(通常、ギャップ開始ペナルティーの0.1倍である)、および比較行列、例えば、PAM250またはBLOSUM62などが、アルゴリズムと併せて使用される。ポリペプチド配列比較のための好適なパラメータは、以下を含む:アルゴリズム:Needlemanおよび Wunsch、J.Mol.Biol.、48:443〜53(1970)。比較行列:Henikoffら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、89:10915〜19(1992)からのBLOSUM62。
Program Manual、WisconsinPackage、バージョン9、1997年9月に示されたものを含めた他の例示的なアルゴリズム、ギャップ開始ペナルティー、ギャップ伸長ペナルティー、比較行列、類似性の閾値なども、当業者によって使用され得る。行われる特定の選択は、行われる具体的な比較、例えば、DNAとDNA、タンパク質とタンパク質、タンパク質とDNAなど;さらに、比較が、配列の所与の対間であるか(この場合ではGAPもしくはBestFitが一般に好適である)、または1つの配列と配列の大きいデータベースとの間であるか(この場合ではFASTAもしくはBLASTAが好適である)否かに依存することになる。
保存された構造を有する特定のタンパク質ファミリーについて、他の整列アルゴリズムも利用可能である。抗体の場合では、Kabat番号付けを割り当てるための様々なアルゴリズムが利用可能である。Abysis(www.abysis.org)の2012年リリースでインプリメントされるアルゴリズムが、別段に注記されていない限り、可変領域にKabat番号付けを割り当てるのに本明細書で使用される。
核酸配列との関連で用語「パーセント配列同一性」は、最大対応について整列されるとき同じである2つの配列中の残基を意味する。配列同一性比較の長さは、少なくとも約9ヌクレオチド、通常、少なくとも約18ヌクレオチド、より通常には少なくとも約24ヌクレオチド、典型的には少なくとも約28ヌクレオチド、より典型的には、少なくとも約32ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約36、48、またはそれ超のヌクレオチドのストレッチにわたるものであり得る。ヌクレオチド配列同一性を測定するのに使用することができる当技術分野で公知のいくつかの異なるアルゴリズムが存在する。例えば、ポリヌクレオチド配列は、ウィスコンシンパッケージバージョン10.0、遺伝学コンピューターグループ(GCG)、Madison、ウィスコンシン州中のプログラムであるFASTA、Gap、またはBestfitを使用して比較することができる。例えば、プログラムFASTA2およびFASTA3を含むFASTAは、クエリー配列とサーチ配列との間のベストオーバーラップの領域の整列およびパーセント配列同一性をもたらす(Pearson、Methods Enzymol.、183:63〜98(1990);Pearson、Methods Mol.Biol.、132:185〜219(2000);Pearson、Methods Enzymol.、266:227〜258(1996);Pearson、J.Mol.Biol.、276:71〜84(1998);参照により本明細書に組み込まれている)。別段に指定されていない限り、特定のプログラムまたはアルゴリズムのデフォルトのパラメータが使用される。例えば、核酸配列間のパーセント配列同一性は、そのデフォルトのパラメータ(6のワードサイズ、およびスコアリングマトリックスについてNOPAMファクター)を用いてFASTAを使用して、または参照により本明細書に組み込まれているGCGバージョン6.1に提供されているそのデフォルトのパラメータを用いてGapを使用して判定することができる。
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残基の番号付け
野生型アミノ酸残基は、図2に例示したようにKabat適合性番号方式を使用して番号付けする。本明細書において、表に列挙した突然変異は、ドメイン、その後のKabat適合性番号付けによる残基位置を指す(例えば、配列番号1(C1)、配列番号9(C)、配列番号13(C2)、および配列番号18(C3)を参照)。野生型残基の素性は、残基位置の前にIUPAC一文字コードで記載する(例えば、C1−S188)。突然変異残基の素性は、残基位置の後に記載する(C1−188E)。該当する場合、野生型および突然変異残基の素性の両方を提供する(C1−S188E)。代替の表示法では、天然アミノ酸を最初に、その後、括弧内に鎖および位置、その後に置換されたアミノ酸を列挙することができる。例えば、Ser(H188)Glu。
(実施例1)
抗体中にヘテロ二量体優遇突然変異を生成するための部位の同定
タンパク質と別の分子との間の結合親和性は、結合状態で最も近い空間的な近接における原子を修飾することによって変更することができることが多い。天然抗体では、C1およびCドメインは、互いに結合しており、結合の程度は、結合状態で密接に接触している(5.0Å未満)原子の対、各ドメイン中の1つの原子によって著しく影響を受け得る。これらの結合対に関与した原子に対する変更は、結合を増大または減少させ得る。関与した具体的な原子は、NMR分光法およびタンパク質X線結晶構造解析法などの方法によって判定することができる。他のドメインと密接に接触している1つのドメイン上の原子は、原子およびその局所環境の特質に応じて2つのドメイン間で引力または反発力をもたらし得る。さらに、第2のドメインの12Å以内に原子を有する第1のドメイン中の残基(Glyなど)について、第2のドメインとの密接な接触は、残基が異なるコンホメーションを採用する異なる残基(Argなど)によって置き換えられる場合に起こり得、第1のドメイン中のこのような残基はまた、本明細書で密接接触残基と見なされる。修飾後、新しいアミノ酸は、以前に第1のドメインと密接に接触していなかった第2のドメイン上の残基と密接に接触した状態になり得、これらの残基も、密接接触残基と見なされる。例えば、第1のドメイン上のAlaからTrpへの突然変異は、第2のドメインと不都合な立体的相互作用を引き起こす場合があり、それは、第1のドメイン上にTrpを導入する前に密接に接触していなかった第2のドメイン上の残基を変更することによって緩和され得る。この原理を、野生型C1(またはC)ドメインと相互作用しない新規のC(またはC1)ドメインを設計するのに使用してもよい。次いで新規のC(またはC1)ドメインと相互作用を復帰させる新規のC1(またはC)ドメインを構築することができる。多重特異性抗体は、各重鎖と各軽鎖との間の正しい対合を保証するために、このような新規のCおよびC1ドメインの1つまたは複数の組合せを使用することができる。このような設計は、立体的相互作用だけでなく、静電相互作用、または両タイプの相互作用にも基づき得る。
Maestro(Maestro、バージョン9.2、Schrodinger、LLC、New York、NY(2011))などのグラフツールを使用するタンパク質結晶構造の検査により、上記に定義した基準を使用して原子間距離を測定することによって、直接密接に接触した原子が明らかになった。タンパク質データバンク(PDB)エントリー3QQ9(DOI:10.2210/pdb3qq9/pdb)における結晶構造の場合では、C1ドメインと密接に接触しているCドメイン中の残基は、それだけに限らないが、116〜119、121、123〜124、127、129、131、133、135〜138、160〜164、167、174〜176、178、180、209を含む(本明細書に記載の番号付けスキームを使用して;図2を参照)。Cと同様に密接に接触しているC1中の残基は、それだけに限らないが、121〜127、137〜140、143、145、169、172〜180、186、188、190、192、221を含む(本明細書に記載の番号付けスキームを使用して)。
実験的測定中に存在する不確定性、および異なる結晶形におけるタンパク質表面環境の差異に起因して、他のタンパク質構造の検査は、相対的な原子位置の変動を示す場合があり、その結果、これらの構造の検査は、ここで与えたものと実質的に同様であるが、同一でない残基のリストをもたらす。例えば、PDBエントリー1HZH(Saphireら、Science、293:1155〜59(2001))において、構造は、異なる局所環境を有する2つのC1ドメインを含有し、一方のドメインでは、Lys221は、そのパートナーCドメインの4.5Å以内に存在する一方、他方のC1ドメインでは、それは、その中にない。1つのこのようなC1/C界面中の密接な接触の判定は、密接接触残基として残基を定義するのに十分である。
修飾アミノ酸側鎖の配向、およびこのような変化がタンパク質/タンパク質界面結合親和性に対して有し得る相対的な効果を予測するのに、複数の計算方法が利用可能である。しかし、異なる方法は、異なる結果を与えることが多い。方法にわたるこのばらつきを補償するために、いくつかの方法を使用して、C1/C結合の親和性を低減し得るアミノ酸変化を同定した。次いで、標的にされるはずである潜在的なアミノ酸残基のリストを、構造モデルの検分に基づいて洗練させた。
(実施例2)
新規の共有結合性C1−Cジスルフィド連結を有する抗体
二重特異性抗体は、各Fabアーム中に異なる重鎖および軽鎖を含有することができる。例えば、二重特異性抗体が、それぞれが異なるLCおよびHCを有する2つのFabアームを有する場合、二重特異性抗体の生成は、4つの異なるポリペプチドの発現を伴い得る。誤った重鎖とクロスオーバーおよび対合する軽鎖の可能性に起因して、重鎖がヘテロ二量体化を優遇するように修飾されていても、4つの異なる重鎖および軽鎖のコトランスフェクションおよび発現が、図1に例示したように望ましくない生成物を依然としてもたらし得る。
1とCとの間の野生型界面は、C1−C230とC−C214との間の共有結合性ジスルフィド結合によって安定化される。二重特異性抗体のアセンブリー中に、任意の誤ったHC/LC対合が起こる場合、このジスルフィド結合の形成は、誤った対合を所定の位置に保持するのを助け得る。
本発明者らは、誤対合した抗体アームが天然のジスルフィドを形成することができない場合、それは、誤対合した鎖を解離させ、正しいパートナーを見つける機会を増大させ得ると仮定した。この可能性を探索するために、ジスルフィド結合の代替の位置を設計した。これらの設計では、誤って対合したC1およびCドメインは、システインがあまりに遠く離れて存在するためにジスルフィド結合を形成することができない。正しいC1/C対合が起こる場合、ジスルフィド結合は、形成し、対合を所定の位置に保持するのを助けることができる。
1とCとの間の界面を調査し、可能なジスルフィド連結を評価する特定用途向けの方法を開発した。この方法は、Daniら(Prot.Eng.、16(3):187〜93(2003))のものと同様であるが、各部位の品質をランク付けするために追加のタイプの分析を実施する。
2つの残基のアルファ炭素が7.5Å以内にあり(Cα1−Cα2距離)、2つの残基のベータ炭素が6.0Å以内にある(Cβ1−Cβ2距離)、各鎖上に1つの残基の対を選択した。側鎖が互いに離れて配向している対を除去するために、Cβ1とCβ2との間の距離をCβ1とCα2との間の距離と比較した。前者の距離がより大きい場合、側鎖は、互いに離れて部分的に配向しており、したがってジスルフィドを形成するための芳しくない候補であり、前者の距離が0.5Å超大きい場合、対を断念した。
残存している対について、各推定上のジスルフィドを、突然変異される原子についてランダム化された開始座標から築いた9つのモデルを用いてモデラー(Eswarら、Nuc. Acids Res.、31(13):3375〜80(2003))で構造的にモデル化した。野生型の対照モデルも、モデラーで構築した。すべてのモデルを、TM−ALIGN(ZhangおよびSkolnick、Nuc.Acids Res.、33:2302〜9(2005))を使用して元の結晶構造上に再び重ね合わせた。1.0Åおよび1.5Åのプローブ半径を用いて、VOIDOO(KleywegtおよびJones、Acta Cryst、D50:178〜85(1994))を使用して、タンパク質コア中の空隙体積の導入についてモデルを点検した。小さい、または存在しない空隙が好適であった。モデラーDOPE Zスコアを計算し、野生型と同じぐらい低い突然変異体スコアが好適であった。突然変異前後のラマチャンドランプロットを、PROCHECK(Laskowski、Nuc.Acids Res.、29(1):221〜2(2001))を使用して比較して、共有結合性ジスルフィド結合の束縛によって引き起こされる骨格品質の任意の劣化を検出した。モデラー目的関数によって最良にランク付けされた突然変異体モデルを野生型と比較し、突然変異されている2つの残基中の任意の骨格原子の最大の変位に注目し、より小さい変位が好適であった。
最後に、突然変異体システインのχ1、χ2、およびχ3角度を算出し、40%の配列同一性レベルでフィルタリングした4500の高分解能結晶構造中のこれらの角度の分布と比較した。実験的に観察された分布から最小に逸脱している幾何形状を有するモデルをもたらす推定上のジスルフィドが好適であった。
このプロセスから得たいくつかの基本設計を表2に列挙する。設計Cys2、Cys4、およびCys5は、マニュアル検分によっても、上述した自動手順によってもあまり有利にランク付けされず、さらに探求しなかった。設計Cys3は、2つのバリアント:Cys3aおよびCys3bを有する。Cys3bでは、2つの追加の近傍の残基を、ジスルフィド周囲のパッキングを改善するためにIleに変更した(V190IおよびL135I)。理由は、F174C突然変異は、構造中に小さい腔を導入することが予測されたためである。
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(実施例3)
Cys変更された重鎖/軽鎖の発現および精製
表2に示した3つの新規の重鎖/軽鎖ジスルフィド架橋位置(Cys1、Cys3、Cys6)が、ジスルフィド結合を形成することができるか否かを判定するためのプラットフォームとして抗体29D7を使用した。29D7は、二価、単一特異性、モノクローナル抗チロシンキナーゼ受容体B(TrkB)IgG1抗体である(Qianら、J.Neuroscience、26(37):9394〜9403(2006)を参照)。
天然ジスルフィド架橋を有する陽性対照(C−C230とC−C214との間、「29D7」)、および架橋をまったく有さない陰性対照(C−C230SおよびC−C214S:「29D7 ΔCys」)も、アッセイ設計において使用した。29D7発現カセット遺伝子を、新規の遺伝子合成を使用して部分的に構築し、制限酵素−ライゲーションベースクローニング技法を使用して発現ベクター中に29D7重鎖および軽鎖可変領域とインフレームでサブクローニングした。軽鎖遺伝子をpSMEN3中にクローニングし、重鎖遺伝子をpSMED2中にクローニングした。懸濁HEK293F細胞(アメリカンタイプカルチャーコレクション)を、無血清FreeStyle(商標)293発現培地(Life Technologies)中で培養した。細胞を、37℃で7%COとともに加湿したインキュベーター内で維持した。馴化培地を、標準的な一過性のHEK293Fトランスフェクションプロセスから生成した。馴化培地を0.2μmフィルターに通して濾過した後、精製した。コンストラクトは、馴化培地中に30〜50mg/Lの範囲で発現した。
(実施例4)
HEK293F細胞内で発現された29D7抗体の精製
濾過した馴化培地を、PBS−CMF(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM NaHPO、2.7mM KHPO、pH7.2)で平衡化したHiTrap(商標)プロテインA HPカラム(GE Life Sciences)に装填した。樹脂をPBS−CMF pH7.2 10カラム容積で洗浄した後、抗体をプロテインA溶出緩衝液(20mM クエン酸、150mM NaCl、pH2.5)の0〜100%の直線勾配で溶出した。ピーク画分を2M トリス−HCl pH8.0を用いてpH7.0に中和し、プールした。材料を、PBS−CMF pH7.2中で平衡化したHiLoad(商標)16/60 Superdex(商標)200分取サイズ排除カラム(GE Life Sciences)に装填した。ピーク画分をプールし、30kDaスピンフィルター(Amicon)を使用して濃縮し、0.2μmで濾過した。
分析SECを、Agilent 1100 Series HPLCシステムに接続されたSuperdex(商標)200 10/300 GLカラム(GE Life Sciences)を使用して実施した。非還元性条件下で、SDS−PAGE分析(図3)により、陰性対照、Ab 29D7 Cys Negは、SDS変性によって推進され、重鎖/軽鎖ジスルフィド架橋の欠如に起因して100kDa重鎖および25kDa軽鎖コンポーネントに崩壊することが明らかになった。天然ジスルフィド架橋を有する陽性対照(「29D7])は、98kDaと188kDaマーカーの間で移動する単一バンドを呈し、おそらくジスルフィド架橋によって結合された重鎖および軽鎖を有するインタクトな150kDa IgG1分子を表す。表2に記載した4つの新規のシステインコンストラクト(29D7 Cys1、Cys 3a、Cys3b、およびCys6)は、陽性対照と同様の様式で挙動し、表2に示した位置におけるジスルフィド架橋の形成を暗示する。
(実施例5)
ジスルフィド連結が変更された抗体の質量分析
新規の共有結合性CH1−CLジスルフィド連結のために導入された突然変異の効果を判定するために、様々な29D7コンストラクトのインタクトな質量分析を実施した。表2に列挙したジスルフィド修飾を含有する抗体29D7の精製形態、ならびに陽性および陰性対照を、PNGaseFの存在下で脱グリコシル化し、その後以下の通りLC/MSを続けた。抗体を、400:1のタンパク質:酵素比でLys−C(Wako Chemicals USA,Inc)とともにインキュベートし、37℃で20分間インキュベートした。消化反応を、水中の0.1%ギ酸を添加してクエンチした。消化した試料を、Water Xevo G2 Q−TOF質量分析計とカップリングしたAglient 1100キャピラリーHPLCでのLC/MS分析によって分析した。分析物を、0.1%ギ酸とともにZorbax Poroshell 300SB C3 カラム(1.0mm×75mm、80℃で維持した)に装填し、4分にわたって65μl/分の流量で15〜98%の緩衝液B(アセトニトリル中の0.1%ギ酸)の勾配を使用して溶出した。質量分析検出を、キャピラリー電圧を3.3kVに設定して正、感度モードで実施した。データ分析は、MassLynx中のMaxEnt1関数を用いて実施した。
29D7ΔCysについて、基準ピークを、23190Daの理論的質量を有するモノマー軽鎖に割り当てた(図4A)。二次ピークをクリップされたリシンを有する重鎖二量体(理論的質量98086Da)に割り当てた。この結果は、CH1とCLとの間のジスルフィド結合の形成を破壊するための初期設計と一致した。コンストラクトCys1の結果を図4Bに示す。基準ピークは、リシンクリッピングを有するインタクトなIgG(理論重量144438Da)に対応する。2本の重鎖および1本のみの軽鎖を有する部分的にインタクトなIgG(理論重量121292Da)も観察された。同様の結果が、2本の重鎖および1本のみの軽鎖を有する部分的にインタクトなIgG(理論重量121199Da)の検出に加えて、基準ピークがリシンクリッピングを有するインタクトなIgG(理論重量144404Da)を表すコンストラクトCys3aについて得られた(図4C)。
2本の重鎖および1本のみの軽鎖を有するわずかに残留する部分的にインタクトなIgGを伴ってインタクトな抗体として大部分を示す2つの追加のコンストラクトを図4D&Eに示す。
(実施例6)
ジスルフィド連結が変更された抗体のDSC分析
抗体の熱安定性を、示差走査熱量測定(DSC)を使用して測定した。表2に記載した29D7ジスルフィドバリアント抗体を、0.3mg/mLの濃度に、同じ緩衝液(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM NaHPO、および1.47mM KHPO、pH7.2)中で希釈した。試料および緩衝液(400μL)を、96ウェルディープウェルプレートに移し、DSC(Cap−DSC、Microcal/GE Healthcare)のオートサンプラー内に置いた。計測器中に注入した後、試料を10℃から110℃に100℃/時間で加熱した。データを緩衝液およびベースラインで補正した後、3つの非二状態転移にフィッティングして融解温度を判定した(表2)。すべての突然変異体は、高いT値を伴った安定なタンパク質であった。いくらかの差異を、それぞれC2およびFabドメインに割り当てられたT1およびT2において観察することができた。
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結論として、Fab ID(Cys1、Cys3a、Cys3b、およびCys6)を用いて表2で概説した突然変異体は、重鎖のCH1ドメインおよびカッパ軽鎖の定常軽鎖ドメインの両方中に導入された新規のシステイン残基を有し、これらのシステインは、意図的に除去された天然ジスルフィド結合の代わりとなる新規の鎖間ジスルフィド結合を形成することができる。次いでこれらの設計を、一方のFabアーム中に天然ジスルフィド架橋、および他方のFabアーム中に新規のジスルフィド架橋を有する二重特異性抗体状況において正しい軽鎖対合を優遇するこれらの能力について引き続いて評価した。
(実施例7)
Rosettaモデル化を使用して同定される破壊的突然変異体
複数のモデル化方法を使用して、突然変異がそれぞれのCLおよびCHドメインの対合を退けるという点で「破壊突然変異」として分類され得る一連の突然変異を同定した。突然変異を示差走査熱量測定(DSC)によって評価した(表5)(やはり、試験抗体として抗体29D7を使用して)。1つのモデル化方法は、Rosetta(Dasら、Ann.Rev.Biochemistry、77:363〜82(2008))、バージョン2.3においてインプリメントされる界面エネルギー法を使用した。いくつかのプロトコールを、タンパク質中の様々な程度のフレキシビリティとともに使用した。「RFlex」プロトコールは、突然変異した残基付近の側鎖を結合および非結合状態において別個に緩和させた。「ExRFlex」プロトコールは、アミノ酸側鎖コンホメーションのより細かい拡張サンプリングを可能にした(Rosettaオプション[−extrachi_cutoff 12」、「−ex1 1」、「−ex2 1」、「−ex3 1」、および「−ex4 1」)。10kcal/mol超の不都合な鎖内エネルギーを生じさせることなく1kcal/mol超鎖間結合親和性を破壊することが予測されたアミノ酸変化を初期に選択した(「破壊突然変異」)。いくつかの突然変異は、結合を破壊したが、不都合な鎖内エネルギー変化も引き起こした(例えば、C1−S188Yについて+22kcal/mol;表3を参照)。
1−S188Yについて、検分により、L143をより小さい残基に突然変異させると、この鎖内歪みが軽減され得ることが示唆された。Rosettaにより、C1−S188YをC1−L143Aと組み合わせると、軽鎖との相互作用を依然として破壊しながら、C1鎖を安定化させる(−5.9kcal/mol)ことが予測された。C1−A139などの一部の位置で、すべての他のアミノ酸は、複合体を破壊すると予測された(結果のサブセットのみが表3に示されている)。
モデル化によって得られる可能な破壊突然変異の総数は、実験的な試験にとって大きすぎ、したがって破壊突然変異を、結合を復帰させることができるパートナー鎖中の突然変異(「復帰突然変異」)を補償することを設計する実現可能性についてさらにモデル化した。各破壊突然変異について、プロトコールは、上述した反対の鎖上のすべての密接接触残基を同定した。各破壊突然変異について、復帰突然変異を有する最大で数百万の候補配列(すべての可能な単一および二重復帰突然変異体の組合せ)を、Rosettaでモデル化した。少なくとも1つのRosettaで予測された破壊突然変異をDSCによって実験的に試験した代表的なアミノ酸位置を表3に示す。
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(実施例8)
SCWRL4モデル化を使用して同定される破壊的突然変異体
第2のモデル化方法は、界面中で突然変異される密接接触残基の側鎖の位置を予測するのにSCWRL4(Krivovら、Proteins、77(4):778〜95(2009))を使用し、その後、MacroModel(MacroModel、バージョン9.9、Schrodinger,LLC、New York、NY(2012))におけるエネルギー最小化を使用した。SCWRLステップにおいてバリエーションを用いて、2つのプロトコールをこの方法とともに使用した。「Base」法については、突然変異される側鎖のみを調整し、一方、「Repack」法については、すべての側鎖を詰め直した。「Repack」法からの結果が好適であった。これらが、破壊は、軽微な側鎖調整によって容易に和らげられないことを示すように予期されたためである。MacroModelステップは、GB/SA溶媒和とともにOPLS−2005力場を使用し、すべての水素原子および突然変異される残基の自由な移動を可能にした。他の原子は、100kJ/mol−Åの束縛によって束縛されたが、エネルギー井戸上に0.2Åの半値幅のフラットボトムを伴った。各突然変異体について、SCWRL4およびMacroModel計算を、結合状態、ならびに非結合の個々のCH1およびCLドメインに対して実施し、結合エネルギーを、結合形態と非結合形態との間のエネルギー差異として算出した。この方法は、突然変異されている鎖上の歪みを直接測定せず、したがって最も有望なモデルを、立体的衝突、歪んだ結合角、または歪みの他の徴候について手作業で検分し、補償突然変異を、要求される場合加えた。およそ40の異なるバリアントをモデル化および評価した。このプロトコールによって同定された有望な代表的な設計を、表4に列挙する(一部の突然変異は、RosettaおよびSCWRL4+MacroModelの両方によって同定した)。
Figure 0006868394
(実施例9)
モデル化からのコンストラクトの生成
各破壊突然変異セット(表3〜4中の各行)を含有する突然変異体Ab 29D2コンストラクトの生成を試みた。C1ドメインは、本質的に無秩序であり、Cとの相互作用後にのみ、通常の折り畳みIgG構造を採用する。Cと相互作用する前に、重鎖は、小胞体中で、シャペロン結合免疫グロブリンタンパク質(chaperone binding immunoglobulin protein)(BiP)に結合して、折り畳まれていない状態で保持されている(Feigeら、Mol.Cell、34(5):569〜79(2009))。したがって、モデル化された設計がC1/C相互作用を完全に破壊する場合、どの材料も、さらなる特徴付けのために単離可能でない。コンストラクトH2、H3、H6、H10、H11、H16、H17、L1、L3、L4、L5、L8、L11、L12、およびL14は、精製にとって十分に発現し、C1/C結合のせいぜい部分的な破壊を示した。中程度に低減された発現(15μg/mL超の親の発現と比較して4μg/mL未満)が、コンストラクトL4およびL8についてCOS細胞内で観察された。9b、9c、10b、および10cの発現は、試みなかった。
(実施例10)
発現されたコンストラクトのDSC
部位の構造的な多様性、ならびにCH1およびCL部位の同様の数の選択に基づいて、実施例9の発現されたAb 29D7抗体バリアントのサブセットを、示差走査熱量測定(DSC)による検査のために選択した(以下の表5を参照)。PBS(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM NaHPO、および1.47mM KHPO、pH7.2)中のコンストラクトを、0.3mg/mLの濃度に同じ緩衝液中で希釈した。試料および緩衝液(400μL)を、96ウェルディープウェルプレートに移し、DSC(Cap−DSC、Microcal/GE Healthcare)のオートサンプラー内に置いた。計測器中に注入した後、試料を10℃から110℃に100℃/時間で加熱した。データを緩衝液およびベースラインで補正した後、3つの非二状態転移にフィッティングして融解温度を判定した。最も大きい変化がT2に見られ、転移をFabドメインに割り当てた。表5に示した標準誤差を考慮すると、表5中のすべてのコンストラクトは、破壊突然変異を欠く抗体と比べて少なくともわずかに低減された熱安定性を有することが判明し、C1/C界面中の突然変異が抗体を不安定化することを示した。C1(H2 H10)の、およびC(L1、L4)の最大破壊を有するコンストラクトを、フォローアップ作業のために選択した。
理論では、一方の鎖上に復帰突然変異(特に、反対の鎖上の立体的な「隆起」を収容するように設計した「穴」)、および他方の鎖上に天然配列を有する誤対合した抗体が依然として形成し得る。破壊突然変異は、すべての可能な誤対合の組合せを退けるために、C1およびCドメインの両方上で作製されなければならない場合があることが仮定された。したがって、L1およびL4を、DSC実験におけるこれらのより小さい程度の破壊にもかかわらず、H17に対して選択した。理由は、C1およびCの両方について複数の破壊選択肢を有することが好適であったためである。
Figure 0006868394
(実施例11)
復帰突然変異体
復帰突然変異を、上述したSCWRL+MacroModelおよびRosetta2プロトコールを使用して、またはRosetta3配列トレランス法(Rosetta 3 Sequence Tolerance method)(SmithおよびKortemme、PLoS One、6(7):e20451(2011))を使用することによって設計した。SCWRL+MacroModelを用いて、破壊突然変異に由来する反対の鎖上の残基を、手動検分によって同定し、2つの鎖の空間的または静電的な相補性を潜在的に増大させる残基を記録した。これらの残基の二重または三重突然変異体の組合せを、SCWRL+MacroModelを用いて網羅的に列挙し、結合エネルギーを野生型配列と比較して、破壊的突然変異によって引き起こされる結合エネルギー喪失を有意に低減したアミノ酸置換を同定した。最新のコンピューティングクラスターで、このプロトコールは、数万の突然変異の組合せを評価することができる。例えば、復帰突然変異の1000超の組合せを、表5のH10の破壊例について考慮した。最大で数百万の突然変異体を評価したRosetta2プロトコールについては、復帰突然変異の探索を上述した。Rosetta3配列トレランス法は、破壊突然変異を見つけるために設計されていないが、その設計は、復帰突然変異を見つけるのに適切である。破壊突然変異のモデル(他の方法の1つを使用して構築した)を、突然変異が破壊効果を回復させることができた近傍の残基のリスト(手動検分によって判定した)とともに、入力として提供した。このプロトコールからの主要な出力は、近傍の部位のそれぞれにおけるアミノ酸タイプの好感度ランキングである。次いでこれらの残基を含有する特異的配列を、配列トレランスソフトウェアを使用して、かつ/またはSCWRL+MacroModelでモデル化した。配列トレランスパッケージでインプリメントされたデフォルトのボルツマン加重(Boltzmann−weighted)配列ランキングに加えて、各位置のアミノ酸頻度の統計を、配列の上位スコア1%に1の加重、および残りの配列に0の加重を適用するステップ関数によって判定した方法も使用した。
すべてのプロトコールについて、プロトコールのエネルギースコア、およびモデルの手動検分の組合せを使用して、最良の設計を選択した。突然変異された側鎖の回転異性体が既知の回転異性体(Maestroソフトウェアで分配された回転異性体データからの)と密接に一致するモデルが、手動検分中に好適であった。複数の復帰設計が、特定の破壊突然変異体についてもっともらしいことが多かった。代表的な復帰設計を表6に示す。C−E123とC1−K221との間など、天然塩橋が反転されている場合では、どの残基が破壊性であり、どれが復帰性であるかの割り当ては、自由裁量によって考慮され得る。
要約すると、DSCによって確認した後に選択した突然変異の破壊セット(L1、L4、H2、H10)について、推定上の復帰突然変異を、複数のコンピューターモデル化技法の組合せを使用して同定した。L1、野生型配列中の塩橋について、塩橋の反転(しかし、GluがAspによって置き換えられた)が、試験する価値のあると判断された唯一の設計であった。他の3つの破壊設計については、複数のもっともらしい復帰設計が同定された。
Figure 0006868394
(実施例12)
破壊、復帰、および新規のジスルフィド突然変異を有する設計
突然変異体の追加のセットは、適切な場合分子モデル化に基づいて、表6に列挙した設計の1つまたは複数とともに、表2で強調した新規の鎖間ジスルフィド結合設計を組み込むことからなっていた。新規のジスルフィドを組み合わせて二重特異性設計にした場合では、天然ジスルフィドシステイン残基(C1−C230およびC−C214)をともに、天然ジスルフィド結合を切断するためにセリン残基に突然変異させた。
組合せのほとんどは、相補的と思われたが、一部の場合では、突然変異される残基は、互いに近くに存在し(突然変異間の予想外の相互作用のリスクを増大させていた)、または同一であった。例えば、Cys6設計は、突然変異C−E123Cを使用し、そのことは、これが表6中のC−E123Kコンストラクトに適合しないことを意味する。R4.2およびR10.3はともに、残基C1−L143を突然変異させる。R4.1およびR10.3は、同じ残基を突然変異させないが、構造的に隣接し、これらの間の思いがけない相互作用のリスクを増大させ、天然構造では、R4.1で使用される残基C−S131は、R10.3で使用されるC1−L143に接触する。例示的な適合性の設計は、表7の行に示されており、各行のC1およびCの列は、対合した設計を構成している。
Figure 0006868394
(実施例13)
新規の静電相互作用を有する二重特異性抗体
一タイプのタンパク質界面選択性設計は、静電気的な相補性を伴い、この場合、界面の一方の側上の正電荷は、界面の反対側上の負電荷と対合される。電荷が反転されている界面の代替のバリアントが改変されている場合、選択性が起こり得る。
本実施例では、現存するC−Cドメイン塩橋に関与した各ドメインの対合した残基は、相互作用しているドメイン間で反転され得る。1つのこのような例は、表6のように、K221Dと組み合わされたE123Kである。最終的な二重特異性では、抗体の1つの結合アームは、野生型塩橋を有し、1つは、反転された塩橋を有する。
上述した二段階設計プロセス(最初に表5のような1つまたは複数の破壊突然変異を見つけ、次いで表6のような補償性復帰突然変異を見つける)も、静電気的な選択性を改変することができ、この場合、表6のR4.1設計などのように、2つの荷電残基の1つのみが天然タンパク質中に存在する。ここで、天然残基は、C−S131およびC1−K145である。プロセスの第1段階は、Lysと同じ電荷の破壊突然変異、この場合、C−S131Hを見つける。次いで、第2段階は、復帰突然変異、C1−K145Eとして反対電荷に天然Lysを突然変異させ、それは、好都合な静電相互作用を創り出す。
しかし、いずれの天然残基も荷電されていない新規の好都合な静電的電荷相互作用を設計し、この新規の電荷相互作用を使用して界面選択性を推進することが概念的に可能である。第2の荷電残基の非存在下で、第1の荷電残基の導入は、破壊的でない場合があり(立体的接触などの他の理由でない限り)、したがって上述した二段階プロセスによって見つけられない場合がある。したがって、新規の静電相互作用改変のための異なるプロセスも使用した。
新規の静電相互作用は、バルク溶媒への曝露がほとんどもしくはまったくない界面コア中に配置することができ、またはこれは、溶媒および両タンパク質鎖が出会う境界に配置することができる。CH1/CL界面コアを含めたコア領域は、一般に疎水性であり、荷電側鎖にとって理想的な環境でない。両残基の水素結合の可能性を完全に満たす最適な水素結合ネットワークを改変することができない限り、推定上の荷電残基は、互いにではなく、溶媒との相互作用(CH1およびCLドメインは非結合のままである)に対してエネルギー的優先権を有し得る。他方では、電荷相互作用が界面の周辺で改変される場合、荷電残基(特にLys、Arg、およびGlu)は、電荷/電荷誤対合が、介在する溶媒によって著しく減衰させられた静電反発力を伴って、2つの同様に荷電した残基を互いに離れて向かせることを可能にし得るように十分にフレキシブルである。免疫系が突然変異された曝露された残基に対して抗薬物抗体(ADA)応答を開始する場合、曝露された残基も、タンパク質治療剤の望まれないクリアランスのリスクを創り出す。新規の電荷相互作用設計の理想的な場合は、立体配置的に制限されたポケットであり、これは、著しい側鎖のフレキシビリティを可能にしないが、やはり十分に極性であり、その結果、相互作用している荷電残基は、近傍の残基または水分子との追加の極性相互作用によって安定化される。
1/C界面上のこのような領域を同定し、取り組みをそこに集中させた。C1/C界面は、両ドメインと密接に接触しており、バルク溶媒から概ね遮蔽されている水分子の2つのポケットを含む。PDBエントリー3QQ9では、これらの水分子は、残基C−292、C−319、C−498、C−504、C−544、C−254、C−279、C−359、およびC−490と標識されたものを含む(図16)。これらの水は、C−L124、C−L143、C−K145、C−Q179、C−S186、C−S188、C−S131、C−V133、C−S162、C−S176、C−T178、およびC−T180を含めたタンパク質側鎖に接触する。これらの残基のほとんどは、極性であるが、C−K145のみが荷電している。SCWRL/MacroModel法を使用して、C1に対する1つの突然変異およびC上の1つ突然変異を伴い、天然残基がArg、Asp、Glu、およびLysのすべての可能な組合せに突然変異されるこれらの残基のすべての可能な二重突然変異体を評価した。この手順は、単一設計段階で新規の好都合な電荷相互作用の両方の残基を改変した。完全なタンパク質リパッキングを伴わないプロトコールからの結果は、著しい調整を必要とすることなく天然側鎖回転異性体によって容易に適応される設計を優遇するのに好適であった。ポケット中の追加の残基、例えば、C−F174、C−V177、C−F118、およびC−Q128などを参考のために記載したが、初期設計スキャンの一部ではなかった。
結果の検分は、C−L124位およびC−S176位における突然変異が有望であることを示した。これらの残基の野生型の配向を図5Aに示す。モデル化(図示せず)は、好都合な静電相互作用を、C−S176Dと対合したC−L124Kの組合せから形成することができ、電荷相互作用の反転配向をC−L124EおよびC−S176Kで形成することができることを示した。しかし、いくつかの悪い立体的な接触が各場合において明白であった。モデルの手動検分は、前者の荷電対について、突然変異C−V190SおよびC−V133Sは、歪みを和らげ、さらに、C−S133は、C−K124位および/またはC−D176位と追加の水素結合を形成し得ることを示唆した。同様に、相互作用の反転配向について、突然変異C−S188GおよびC−V133Sを加えて、パッキング接触を改善した。これらの設計を作成し、実験的にバリデートした後、各電荷対設計のX線結晶構造を判定した。結果を図5のパネルBおよびCに示す。
上記手順により、いずれかの配向(正のアミノ酸を有するVおよび負のアミノ酸を有するV、または反対、したがってこれらは、「可逆性」電荷相互作用と見なされ得る)で有利に形成することができるいくつかの追加の潜在的な電荷相互作用を同定した。多くの場合、1つまたは複数の突然変異された側鎖は、別の近傍の側鎖との軽微な悪い接触を作り、または別の近傍の側鎖によって好適な回転異性体を採用することを防止された。これらの場合では、予測された二重突然変異体構造を、他の近傍の周囲の残基を最適化するためにRosetta配列トレランスプロトコールにまわした。
同定された好都合な電荷相互作用設計を表8に示す。この表中の各行は、単一のC1/C界面を修飾するのに使用することができる設計である。しかし、第1の列は、抗体の2つのC1/C界面が、それぞれが2つの対をなした設計(電荷相互作用の「順」および「逆」配向)の1つを含有するように別個に改変されている設計の好適な対合を示す。好適な対合は、いずれかのCが誤ったC1ドメインを会合するように試みる場合、明白な電荷/電荷反発をもたらすことになる。
Figure 0006868394
(実施例14)
S1およびS1_revX線結晶構造
分子モデル化が好都合な静電相互作用の形成を正しく予測したか否かを確認するために、表8からのS1およびS1_rev設計のX線結晶構造を判定した(図5、パネルBおよびC)。設計をそれぞれ、HEK−293細胞内の一過性トランスフェクションによって組換えFab分子として発現させた(可変ドメインについて抗体Ab1を使用して)。Fabを、PorosプロテインA樹脂へのバッチ結合、その後の0.1M グリシン pH2.5を用いた溶出によって馴化培地から精製した。次いで、溶出したFabを、20mM トリス pH7.0、50mM NaClで平衡化したSuperdex 200 16/60カラムでのサイズ排除クロマトグラフィーによって精製した。S1 Fabは、100mM HEPES pH7.5、10% PEG3350、200mM プロリン中で結晶化させ、106.7、127.1、84.5Åの単位格子の輪郭を伴った空間群P21212で結晶化した。S1_revは、100mM クエン酸ナトリウム pH5.9、14% PEG6000の条件下で空間群P42212(格子輪郭118.4、118.4、84.2Å)の結晶を形成した。
データは、Advanced Photon Sourceにおいてビームライン17−IDで収集した。データを、Autoproc(Global Phasing Ltd.)を使用して処理した。構造は、探索モデルとしてそのリガンドとの複合体中で以前に解明された野生型Fabの構造(データを示さず)を使用して、Phaser(Phenix)を用いて分子置換によって解明した。構造は、buster(Global Phasing Ltd.)を使用して洗練させ、cootを使用して構築した。S1設計のFabは、1.3Åの分解能に回折し、16.8%のR因子(19.0%のRfree)に洗練された。S1_rev結晶は、2.1Åの分解能に回折し、構造を17.8%のR因子(21.7%のRfree)に洗練された。
S1_rev設計では、C−K176は、C1−E124の両方のカルボキシル酸素と好都合な静電的接触をした(3.3Åおよび3.5Å、図5C)。S1設計では、C1−K124は、C−D176と同様であるが、わずかにより長い(3.5Åおよび3.7Å)接触をした。この実験結果により、理論的な設計が確認され、S1およびS1_revはともに、重要な設計された残基間で好都合な静電相互作用を有する。
(実施例15)
Fabアーム改変設計の混合
組合せの追加のセットは、表7からの行のいずれかのように改変された抗体の一方のFabアーム、および表8に与えたS1アミノ酸置換を使用して改変された抗体の他方のFabアームを使用する。表9は、得られた組合せを示す。
Figure 0006868394
(実施例16)
修飾された二重特異性抗体Ab1/Ab2の設計
抗原1(AG1)に特異的な抗体1(Ab1)を、そのFabアームが、定常ドメイン界面で新規の静電相互作用を導入して、表8のFabID S1に表したようにCH1およびCカッパドメイン中に突然変異を含有するように突然変異させた。抗原2(AG2)に特異的な抗体2(Ab2)を、そのFabアームが、やはりドメイン界面で新規の静電相互作用を導入して、表8のFabID S1_REVに表したようにC1およびCカッパドメイン中に突然変異を含有するように突然変異させた。ノブイントゥホール突然変異をCH3ドメイン界面中に導入して、重鎖ヘテロ二量体化に偏りをかけた(Ridgwayら、上記、およびMerchantら、上記を参照)。一方のC3ドメインでは、C3−Y370をCに突然変異させ、C3−T389をWに突然変異させ、立体的な隆起を創り出した(「ノブ」鎖と呼ばれる;残基の番号付けは、元の参考文献のEU番号付けとは対照的にKabatに適合する)。反対のCH3ドメインでは、C3−S375をCに、C3−T389をSに、C3−L391をAに、かつC3−Y438をVに突然変異させ、腔(「ホール」鎖と呼ばれる)、したがって2つの異なるC3ドメイン間に立体的な相補性を創り出した。C3−C370およびC3−C375は、鎖間ジスルフィド結合を形成してヘテロ二量体を安定化させる。Fab重鎖/軽鎖界面は、突然変異を帯びない(野生型界面)が、重鎖ヘテロ二量体化突然変異が依然として存在する適切な対照を生じさせた。Ab1の重鎖、Ab2の重鎖、Ab1の軽鎖、およびAb2の軽鎖を含む合計4本の鎖を哺乳動物細胞内に同時にトランスフェクトし、正しい軽鎖対合のレベルを、BIAcoreベース化学量論分析、質量分析、および陰イオン交換クロマトグラフィーによる異種性評価を介して評価した。生物物理学的な分析結果を、重鎖ヘテロ二量体化突然変異を含有するが、重鎖および軽鎖間の界面で突然変異を含有しない対照と比較した。抗体のアイソタイプは、エフェクター機能を切断するヒンジ/C2重鎖突然変異(L247A、L248A、およびG250A)を有するヒトIgG1であった。表9に示した追加の突然変異設計も、正しい軽鎖対合の傾向を評価するためにAb1/Ab2抗体を使用して実験的に評価した。
(実施例17)
二重特異性抗体の発現
二重特異性抗体遺伝子を、新規の遺伝子合成および制限酵素−ライゲーションベースクローニング技法を使用して構築した。軽鎖遺伝子をpSMEN3中にクローニングし、重鎖遺伝子をpSMED2中にクローニングした。懸濁HEK293F細胞(アメリカンタイプカルチャーコレクション)を、無血清FreeStyle(商標)293発現培地(Life Technologies)中で培養した。細胞を、37℃で7%COとともに加湿したインキュベーター内で維持した。馴化培地は、標準的な一過性のHEK293Fトランスフェクションプロセスから生成した。馴化培地を0.2μmフィルターに通して濾過した後、精製した。典型的には、二重特異性抗体は、馴化培地中に5〜50mg/Lの範囲で発現した。
(実施例18)
HEK293F細胞内で発現された抗体の精製
濾過した馴化培地を、PBS−CMF(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM NaHPO、2.7mM KHPO、pH7.2)で平衡化したHiTrap(商標)プロテインA HPカラム(GE Life Sciences)に装填した。樹脂をPBS−CMF pH7.2 10カラム容積で洗浄した後、抗体をプロテインA溶出緩衝液(20mM クエン酸、150mM NaCl、pH2.5)の0〜100%の直線勾配で溶出した。ピーク画分を2M トリス−HCl pH8.0を用いてpH7.0に中和し、プールした。材料を、PBS−CMF pH7.2中で平衡化したHiLoad(商標)16/60 Superdex(商標)200分取サイズ排除カラム(GE Life Sciences)に装填した。ピーク画分をプールし、30kDaスピンフィルター(Amicon)を使用して濃縮し、0.2μmで濾過した。
分析SECを、Agilent 1100 Series HPLCシステムに接続されたSuperdex(商標)200 10/300 GLカラム(GE Life Sciences)を使用して実施した。抗体v−ドメインの組合せに応じて、典型的な%高分子量種は、2〜20%の範囲であり、低分子量種は、150kDaの二重特異性抗体種を表す目的の支配的なピーク以外に観察されなかった。
(実施例19)
二重特異性抗体(Ab1/Ab2)の質量分光分析
二重特異性抗体の生成を確認するために、Ab1およびAb2のFab断片を質量分析によって分析した。Ab1およびAb2に由来するFab断片の分子量は、これらのユニークなアミノ酸配列によって定義され、正確な分子量判定は、正しく対合した抗体の存在の証拠をもたらす。
二重特異性抗体を、400:1のタンパク質:酵素比でLys−C(Wako Chemicals USA,Inc)とともにインキュベートし、37℃で20分間インキュベートした。消化反応を、水中の0.1%ギ酸を添加してクエンチした。消化した試料を、Water Xevo G2 Q−TOF質量分析計とカップリングしたAglient 1100キャピラリーHPLCでのLC/MS分析によって分析した。分析物を、0.1%ギ酸とともにZorbax Poroshell 300SB C3カラム(1.0mm×75mm、80℃で維持した)に装填し、4分にわたって65μl/分の流量で15〜98%の緩衝液B(アセトニトリル中の0.1%ギ酸)の勾配を使用して溶出した。質量分析検出を、キャピラリー電圧を3.3kVに設定して正、感度モードで実施した。データ分析は、MassLynx中のMaxEnt1関数を用いて実施した。
二重特異性抗体Ab1/Ab2のFab分析は、検出されたFab断片の大部分が、図6に示したように正しく対合したAb1およびAb2であることを実証した。C1/C−カッパ界面での本発明者らの新規の突然変異の導入に対して、Ab1とAb2との間の誤って対合した軽鎖の著しい低減があった。Fc分析は、重鎖の大部分がAb1に由来する1本の重鎖およびAb2に由来する1本の重鎖から構成されていることを示唆する。重鎖ホモ二量体は、検出されなかった(図7)。
(実施例20)
二重特異性抗体(Ab1/Ab2)のタンデム陰イオン交換および質量分光分析
Q−STAT(Tosoh Bioscience)を装備したAgilent Infinity1290 UHLPC(Agilent Technologies)を使用して、プロテインAおよび分取SECクロマトグラフィーによって精製した二重特異性Ab1/Ab2タンパク質およそ20〜30μgを、1mL/分の流量で、20mM トリス pH8.6で平衡化したカラムに注入した。次いでタンパク質を、0〜100%の7分の直線勾配で、20mM トリス pH8.6中の1M NaClで溶出させた。
タンパク質は、280nmの吸収によって検出した。この分析の結果を、図8に示す。親抗体を図8パネルAに示す。親Ab1(図8A(i))は、明らかな均質の単一ピークを示す。Ab2の陰イオン交換クロマトグラム(図8A(ii))は、それぞれ主ピークの前および後に溶出する酸性および塩基性電荷種の集団を示し、抗体調製物の割合に影響するAb2 Fabアーム内の翻訳後修飾によって引き起こされる異種性を表す。二重特異性ヘテロ二量体Ab1/Ab2抗体を、図8パネルBに示す。このクロマトグラムは、親抗体(Ab2)から二重特異性抗体への電荷不均一性の組込みを示す。プロットは、タンパク質種のおよそ60%を占める主ピーク(ピーク1)からなる。残りのタンパク質の32%を占めるピーク2は、2つのサブピーク(ピーク2Aおよびピーク2B)からなる。タンパク質の残り8%は、2つの軽微なピークに分けられる。
二重特異性Ab1/Ab2分画からのピーク1、2A、および2Bに由来する材料を含有し、またはこの材料に富んだ画分を、上述したFabアーム単離のために収集および処理し、質量分析によって分析した(図9)。3つの陰イオン交換画分の分析により、ピーク1が、予期されたMWに基づいて正しい軽鎖対合を伴った2つのFabアームのみを含有することが明らかになった。画分2Aは、正しく対合したab2 Fabに加えて、Ab1の重鎖およびAb2からの軽鎖からなる誤って対合したFabに富んでいる。画分2Bは、正しく対合したAb1 Fabおよび正しく対合したAb2 Fabからなるが、後者は、親抗体から継承された翻訳後修飾を含有する。
(実施例21)
DSC分析
PBS(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM NaHPO、および1.47mM KHPO、pH7.2)中の二重特異性抗体Ab1/Ab2を、0.3mg/mLの濃度に同じ緩衝液中で希釈した。さらに、タンパク質を、10kDa カットオフ Slide−A−Lyzer透析カセットを使用して、His:スクロース(20mM His、8.5% スクロース、50mg/L EDTA、pH6.0)中に2つの緩衝液変更を用いて一晩透析し、引き続いて0.3mg/mLに希釈した。試料および緩衝液(400μL)を、96ウェルディープウェルプレートに移し、DSC(Cap−DSC、Microcal/GE Healthcare)のオートサンプラー内に置いた。計測器中に注入した後、試料を10℃から110℃に100℃/時間で加熱した。データを緩衝液およびベースラインで補正した後、2つの非二状態転移にフィッティングして融解温度を判定した。グラフ的に、PBSおよびHis:スクロース中の熱的プロファイルは、広く同様である。これは、得られたTm値にも反映されている(表10)。
Figure 0006868394
(実施例22)
高濃度の二重特異性抗体の安定性
二重特異性抗体Ab1/Ab2を、10kDa カットオフ Slide−A−Lyzer透析カセットを使用して、His:スクロース(20mM His、8.5% スクロース、50mg/L EDTA、pH6.0)中に2つの緩衝液変更を用いて一晩透析した。タンパク質を、Vivaspin500濃縮器、10kDaカットオフに移し、14,000gで回転させた。到達した最終濃度は、112mg/mLであった。試料を、プラスチックSECバイアルに移し、鉱油20μLを覆い被せた。試料を室温にて暗所で貯蔵した。各時点について、試料をAgilent1200内に置き、ランニング緩衝液としてのPBS(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM NaHPO、および1.47mM KHPO、pH7.2)、流量0.5mL/分、15分のランを使用して、1μLをTOSOH QC−PAK 300カラムに注入した。ピーク下面積を各注入に対して監視した。平均回収率は、106±2%であった。良好な回収率という状況から、パーセント凝集体を、モノマーピークの曲線下面積を凝集体ピークのものと比較することによって得た。室温で14週間後、わずか2.4%の凝集が観察された(表11)。
Figure 0006868394
(実施例23)
抗体1(Ab1)×抗体2(Ab2)対サイトカイン1×サイトカイン2のBIAcore分析
表8からの対1から使用したFabアーム突然変異(Fab ID S1およびS1_Rev)
BIAcore表面プラズモン共鳴バイオセンサー(T200モデル;GE Healthcare)を使用して、結合化学量論比の分析を行った。結合分析を、300mM NaCl、3.4mM EDTA、および0.01% Tween−20を含有するリン酸緩衝溶液からなるランニング緩衝液を使用して行った。抗ヒト抗体(GE Healthcare)12,000RUを、ヒト抗体捕捉キット(部品BR−1008−39、GE Healthcare)に供給された製造者の指示書に従って、CM5カルボキシメチル化デキストランチップ(GE Healthcare)表面にアミンカップリング化学を介して固定化した。抗ヒト抗体を、参照および試験フローセルの両方にアミンカップリングさせた。結合化学量論比を測定するために、精製した推定上の二重特異性抗体100〜200RUを、1〜10nMの濃度で30〜60秒にわたって10μL/分の流量で試験フローセル上に捕捉した。60秒にわたってサイトカイン/抗体相互作用のKDの100倍を超える飽和濃度で、50μL/分の流量で両方のフローセル上にサイトカイン1を引き続いて流し、この時点で、反応は、定常状態に到達していた。サイトカインおよび試験抗体を、3M MgClを使用して表面から剥がした。このMgClは、30〜40秒にわたって10μL/分でチップ表面に曝露した。次いで注入ポートを、次のサイクルの前にランニング緩衝液で洗浄した。次いで、記載したプロセスを、サイトカイン2を使用して繰り返した。サイトカインの分子量(MWC)、抗体の分子量(MWA)、捕捉された試験抗体の量(AB−RU)、および飽和でのサイトカインの観察された結合(Rmax_Obs)に基づいて、観察された結合化学量論比(OBST)を計算した。このための式は、
OBST=[Rmax_Obs]/[(MWC/MWA)×AB−RU]
であった。
これらの試験において、式の既知の要素は、サイトカインおよび抗体のMW、捕捉された抗体のRU、ならびに飽和でのサイトカイン結合のRUであり、後者の2つの変数は、実験的に測定した。その情報から、観察された結合化学量論比を計算した。それは、各それぞれの抗原について正しく形成されたFabアームを有する捕捉抗体分子の%を推測する。理由は、誤った重鎖/軽鎖対合を有するFabアームが、所与のサイトカインへの所与のFabアームの検出可能な結合無し、およびしたがって抗体集団全体を表すプールされた結合化学量論比の低減をもたらすことになるためである。この後者の事実を、抗体1重鎖に抗体2軽鎖をトランスフェクトし、逆の場合も同様にした試験、およびELISAによって試験した各抗原への結合から検証した(データを示さず)。Rmax_Obsのデータを、参照を差し引いたデータから生成し、経時的なチップ表面からの抗体の根本的な解離によって引き起こされるベースラインドリフト、および非特異的結合について調整した。結合化学量論比を、親二価陽性対照抗体への飽和結合に基づいて正規化した。
推定上の二重特異性抗体のサイトカイン1およびサイトカイン2についての飽和結合化学量論比を、二価単一特異性陽性対照、および軽鎖対合のすべての順列を呈し、したがって全体的な化学量論比にインパクトを与えるFabアーム改変を伴わない対照と比較した。データ(表12)は、Fabアーム改変された新規の静電相互作用が、正しい軽鎖会合に向けた偏りのためのFabアーム改変された静電相互作用を欠く陰性対照と比較して、1:1に著しくより近い結合化学量論比を伴って少なくも90%に正しい軽鎖対合を増大させることを示す。
Figure 0006868394
(実施例24)
抗体1(Ab1)×抗体2(Ab2)対サイトカイン1×サイトカイン2 − 複数の追加の設計の評価
一方のFabアームにおいて表7から使用し、かつ天然界面を持つ他方のFabアームを伴ったFabアーム突然変異
BIAcore表面プラズモン共鳴バイオセンサー(T200モデル;GE Healthcare)を使用して、結合化学量論比の分析を行った。結合分析を、300mM NaCl、3.4mM EDTA、および0.01% Tween−20を含有するリン酸緩衝溶液からなるランニング緩衝液を使用して行った。抗ヒト抗体(GE Healthcare)12,000RUを、ヒト抗体捕捉キット(部品BR−1008−39、GE Healthcare)に供給された製造者の指示書に従って、CM5カルボキシメチル化デキストランチップ(GE Healthcare)表面にアミンカップリング化学を介して固定化した。抗ヒト抗体を、参照および試験フローセルの両方にアミンカップリングさせた。結合化学量論比を測定するために、推定上の二重特異性抗体100〜200RUを、1〜10nMの濃度で30〜60秒にわたって10μL/分の流量で試験フローセル上に未精製の馴化培地から捕捉した。60秒にわたってサイトカイン/抗体相互作用のKDの100倍を超える飽和濃度で、50μL/分の流量で両方のフローセル上にサイトカイン1を引き続いて流し、この時点で、反応は、定常状態に到達していた。サイトカインおよび試験抗体を、3M MgClを使用して表面から剥がした。このMgClは、30〜40秒にわたって10μL/分でチップ表面に曝露した。次いで注入ポートを、次のサイクルの前にランニング緩衝液で洗浄した。次いで、記載したプロセスを、サイトカイン2を使用して繰り返した。サイトカインの分子量(MWC)、抗体の分子量(MWA)、捕捉された試験抗体の量(AB−RU)、および飽和でのサイトカインの観察された結合(Rmax_Obs)に基づいて、観察された結合化学量論比(OBST)を計算した。このための式は、OBST=[Rmax_Obs]/[(MWC/MWA)×AB−RU]であった。
これらの試験において、式の既知の要素は、サイトカインおよび抗体のMW、捕捉された抗体のRU、ならびに飽和でのサイトカイン結合のRUであり、後者の2つの変数は、実験的に測定した。その情報から、観察された結合化学量論比を計算した。それは、各それぞれの抗原について正しく形成されたFabアームを有する捕捉抗体分子の%を推測する。理由は、誤った重鎖/軽鎖対合を有するFabアームが、所与のサイトカインへの所与のFabアームの検出可能な結合無し、およびしたがって抗体集団全体を表すプールされた結合化学量論比の低減をもたらすことになるためである。Rmax_Obsのデータを、参照を差し引いたデータから生成し、経時的なチップ表面からの抗体の根本的な解離によって引き起こされるベースラインドリフト、および非特異的結合について調整した。結合化学量論比を、親二価陽性対照抗体への飽和結合に基づいて正規化した。
推定上の二重特異性抗体のサイトカイン1およびサイトカイン2についての飽和結合化学量論比を、軽鎖対合のすべての順列を呈し、したがって全体的な化学量論比にインパクトを与えるFabアーム改変を伴わない対照と比較した。データ(表13)は、表7からのFabアーム改変された突然変異が、天然重鎖/軽鎖Fabアーム界面を有する陰性対照と比較して、正しい軽鎖対合を増大させることを示す。
Figure 0006868394
(実施例25)
抗体1(Ab1)×抗体2(Ab2)対サイトカイン1×サイトカイン2 − 複数の追加の設計の評価
表9に要約した、表7から使用したFabアーム突然変異(一方のアームにおける)および表8からの静電相互作用突然変異(他方のアームにおけるFab ID S1)
BIAcore表面プラズモン共鳴バイオセンサー(T200モデル;GE Healthcare)を使用して、結合化学量論比の分析を行った。結合分析を、300mM NaCl、3.4mM EDTA、および0.01% Tween−20を含有するリン酸緩衝溶液からなるランニング緩衝液を使用して行った。抗ヒト抗体(GE Healthcare)12,000RUを、ヒト抗体捕捉キット(部品BR−1008−39、GE Healthcare)に供給された製造者の指示書に従って、CM5カルボキシメチル化デキストランチップ(GE Healthcare)表面にアミンカップリング化学を介して固定化した。抗ヒト抗体を、参照および試験フローセルの両方にアミンカップリングさせた。結合化学量論比を測定するために、推定上の二重特異性抗体100〜200RUを、1〜10nMの濃度で30〜60秒にわたって10μL/分の流量で試験フローセル上に未精製の馴化培地から捕捉した。60秒にわたってサイトカイン/抗体相互作用のKDの100倍を超える飽和濃度で、50μL/分の流量で両方のフローセル上にサイトカイン1を引き続いて流し、この時点で、反応は、定常状態に到達していた。サイトカインおよび試験抗体を、3M MgClを使用して表面から剥がした。このMgClは、30〜40秒にわたって10μL/分でチップ表面に曝露した。次いで注入ポートを、次のサイクルの前にランニング緩衝液で洗浄した。次いで、記載したプロセスを、サイトカイン2を使用して繰り返した。サイトカインの分子量(MWC)、抗体の分子量(MWA)、捕捉された試験抗体の量(AB−RU)、および飽和でのサイトカインの観察された結合(Rmax_Obs)に基づいて、観察された結合化学量論比(OBST)を計算した。このための式は、OBST=[Rmax_Obs]/[(MWC/MWA)×AB−RU]であった。
これらの試験において、式の既知の要素は、サイトカインおよび抗体のMW、捕捉された抗体のRU、ならびに飽和でのサイトカイン結合のRUであり、後者の2つの変数は、実験的に測定した。その情報から、観察された結合化学量論比を計算した。それは、各それぞれの抗原について正しく形成されたFabアームを有する捕捉抗体分子の%を推測する。理由は、誤った重鎖/軽鎖対合を有するFabアームが、所与のサイトカインへの所与のFabアームの検出可能な結合無し、およびしたがって抗体集団全体を表すプールされた結合化学量論比の低減をもたらすことになるためである。Rmax_Obsのデータを、参照を差し引いたデータから生成し、経時的なチップ表面からの抗体の根本的な解離によって引き起こされるベースラインドリフト、および非特異的結合について調整した。結合化学量論比を、親二価陽性対照抗体への飽和結合に基づいて正規化した。
推定上の二重特異性抗体のサイトカイン1およびサイトカイン2についての飽和結合化学量論比を、軽鎖対合のすべての順列を呈し、したがって全体的な化学量論比にインパクトを与えるFabアーム改変を伴わない対照と比較した。データ(表14)は、表9からの選択されたFabアーム改変された突然変異が、天然重鎖/軽鎖Fabアーム界面を有する陰性対照と比較して、正しい軽鎖対合を増大させることを示す。
Figure 0006868394
(実施例26)
修飾二重特異性抗体C5×Ab3
ヒトCCL20に特異的な抗CCL20抗体(クローンC5)をファージライブラリーから単離し、IgG1形式に変換した。そのFabアームは、表8のFab ID S1_Revに表したCH1およびC−カッパドメイン中に突然変異を含有し、定常ドメイン界面で新規の静電相互作用を導入した。ヒトIL13に特異的な抗IL13抗体(クローンAb3)を、そのFabアームが、表8のFab ID S1に表したCH1およびC−カッパドメイン中に突然変異を含有し、やはりドメイン界面で新規の静電相互作用を導入するように突然変異させた。突然変異の2つの異なるセットを、以下の実施例において方法1(M1)と呼ぶノブイントゥホール(Ridgwayら、上記、およびMerchantら、上記を参照)、または方法2(M2)と呼ぶStropら、上記、およびWO2011/143545に開示されたヘテロ二量体化法によって、重鎖ヘテロ二量体化に偏りをかけるようにCH3ドメイン中に導入した。M1、抗IL13クローンAb3重鎖(Fab ID S1を有する)について、C3ドメインは、重鎖ヘテロ二量体化のために以下の突然変異を有していた:C3−Y370をCに突然変異させ、C3−T389をWに突然変異させ、立体的な隆起(「ノブ」鎖と呼ぶ)を創り出した。抗CCL20クローンC5重鎖(Fab ID S1_Revを有する)では、C3ドメインは、重鎖ヘテロ二量体化のために以下の突然変異を有していた:腔(「ホール」鎖と呼ぶ)、したがって、2つの異なるC3ドメイン間で立体的な相補性を創り出すC3−S375C、C3−T389S、C3−L391A、およびC3−Y438V。Cys−370およびCys−375は、鎖間ジスルフィド結合を形成して、ヘテロ二量体を安定化させる。M2設計では、使用した突然変異は、抗IL13 Ab3重鎖上にD232R、P441R、およびK440R、ならびに抗−CCL20 C5重鎖上にD’232E、P’441E、L’391Eを含む。Fab重鎖/軽鎖界面は、突然変異を帯びない(野生型界面)が、重鎖ヘテロ二量体化突然変異(方法1または方法2)が依然として存在する適切な対照を生じさせた。すべての抗体は、ヒンジ/C2エフェクター機能切断突然変異(L247A、L248A、およびG250A)を有するIgG1アイソタイプであった。Ab3の重鎖、C5の重鎖、Ab3の軽鎖、およびC5の軽鎖を含む合計4本の鎖を哺乳動物細胞内に同時にトランスフェクトし、正しい軽鎖対合のレベルを、重鎖ヘテロ二量体化突然変異を含有するが、重鎖と軽鎖との間の界面で突然変異を含有しない対照と比較して、様々な生物物理学的分析技法を介して評価した。4つの別個の発現を実施した。第1のもの(「Ab3×C5−M1」と呼ぶ)は、重鎖ヘテロ二量体化方法M1と組み合わせて、上記に論じたFabアーム突然変異(表7からのFab ID S1およびS1_Rev)からなる。第2の発現は、第1のものの対照であり(「Ab3×C5−M1−NEGATIVE」と呼ぶ)、Fabアーム中に突然変異はないが、重鎖ヘテロ二量体化突然変異が存在する(方法M1)。第3の発現(「Ab3×C5−M2」と呼ぶ)は、重鎖ヘテロ二量体化方法M2と組み合わせて、上記に論じたFabアーム突然変異(表7からのFab ID S1およびS1_Rev)からなる。第4の発現は、第3のものの対照であり(「Ab3×C5−M2−NEGATIVE」と呼ぶ)、Fabアーム中に突然変異はないが、重鎖ヘテロ二量体化突然変異が存在する(方法M2)。対照対試験中に存在する正しい軽鎖対合のレベルを比較することによって、突然変異の効果を評価することができる。二重特異性抗体CCL20×Ab3を、Ab1/Ab2について実施例16および17で上記に論じたように発現させ、精製した。
(実施例27)
二重特異性抗体C5×Ab3の質量分光分析
デュアルアーム抗体(C5&Ab3)コンストラクトのFab生成およびLC/MS分析を、Ab1/Ab2について上述したのと同じ方法論を使用して実施した。上述した合計4つのコンストラクトを分析して、Fab分子量測定に基づいて重鎖および軽鎖の存在を判定した。
C5×Ab3−M1およびC5×Ab3−M1−NEGATIVEコンストラクトのデコンボリューション質量スペクトルを図10に示す。この場合、かなりの量の誤って対合したFab(Ab3軽鎖とのC5重鎖&Ab3重鎖とのC5軽鎖)が、コンストラクトC5×Ab3−M1−NEGATIVE中で検出された(合計強度の24.8%が誤って対合したFabに由来する)。しかし、誤って対合したFabの量は、そのFabアーム中に存在する記載した静電相互作用突然変異を有するC5×Ab3−M1において低減された。正しく軽鎖対合したIgGのレベルは、およそ95%に上昇した。
コンストラクトC5×Ab3−M2およびC5×Ab3−M2−NEGATIVEのデータ(図11)は、コンストラクトC5×Ab3−M2−NEGATIVE中の誤って対合したFabの強度は、28.5%になり、コンストラクトC5×Ab3−M2中の誤対合したFabは、4.6%に低減されることを示す。誤った対合のかなりの低減は、改変された静電相互作用突然変異の有効性を実証する。
(実施例28)
DSC分析
以下の表15に列挙したタンパク質を、PBS(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM NaHPO、および1.47mM KHPO、pH7.2)中に入れ、0.3mg/mLの濃度に同じ緩衝液中で希釈した。試料および緩衝液(400μL)を、96ウェルディープウェルプレートに移し、DSC(Cap−DSC、Microcal/GE Healthcare)のオートサンプラー内に置いた。計測器中に注入した後、試料を10℃から110℃に100℃/時間で加熱した。データを緩衝液およびベースラインで補正した後、2または3つの非二状態転移にフィッティングして融解温度を判定した。全体的に、これらはすべて、高いTm値を伴って安定なタンパク質であった。
Figure 0006868394
(実施例29)
pH可逆性
以下の表16に列挙したタンパク質を、PBS(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM NaHPO、および1.47mM KHPO、pH7.2)中に入れ、同じ緩衝液を使用して1mg/mLに希釈した。2つの20μLのアリコートに、PBS 0.8μLを添加した。2つのさらなる20μLのアリコートを、10×プロテインA溶出緩衝液(200mM クエン酸、1.5M NaCl、pH2.0)0.8μLを添加することによって約pH3.5に酸性化した。4℃で24時間後、さらなるPBS 0.5μLを、以前にPBSを添加されていた試料に添加し、一方、酸性化した試料を、2M トリス pH8.0緩衝液0.5μLを添加することによって中和した。試料をAgilent1200システムに装填し、ランニング緩衝液としてのPBS(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM NaHPO、および1.47mM KHPO、pH7.2)、流量0.5mL/分、15分のランを使用して、15μLをTOSOH QC−PAK300カラムに注入した。各注入からのパーセントモノマーを記録し、各試料中のパーセント凝集体を計算するのに使用した。凝集の有意な増大は、酸性化後に観察されなかった。
Figure 0006868394
(実施例30)
強制凝集
以下の表17に列挙したタンパク質を、PBS(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM NaHPO、および1.47mM KHPO、pH7.2)中に入れ、同じ緩衝液を使用して1mg/mLに希釈した。アリコート(20μL)を96ウェルプレート中に置き、鉱油40μLを覆い被せ、24時間にわたって勾配PCRブロック中で40℃、43.9℃、50℃、54℃、60.1℃、および64℃でインキュベートした。この後、アリコートをAgilent1200システムに装填し、ランニング緩衝液としてのPBS(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM NaHPO、および1.47mM KHPO、pH7.2)、流量0.5mL/分、15分のランを使用して、15μLをTOSOH QC−PAK300カラムを注入した。各注入からのパーセントモノマーを記録し、各試料中のパーセント凝集体を計算するのに使用した。回収率が著しい凝集に起因して低かった場合、ピーク面積を、凝集体のパーセントを計算するのに使用した。一価の二重特異性は、54℃から著しい凝集を示し、一方、二価の二重特異性は、この温度で依然として安定であった。一価のC5×Ab3−M2は、C5×Ab3−M1より凝集しやすかった。
Figure 0006868394
(実施例31)
Biacore分析 CCL20−クローン5(C5)×IL13−クローンAb3(Ab3)抗原:ヒトCCL20×ヒトIL13
表8からの対1から使用したFabアーム突然変異(Fab ID S1およびS1_Rev)
BIAcore表面プラズモン共鳴バイオセンサー(T200モデル;GE Healthcare)を使用して、結合化学量論比の分析を行った。結合分析を、500mM NaClおよび0.01% 界面活性剤p20を含有するhepes緩衝食塩水(HBS)からなるランニング緩衝液を使用して行った。組換えプロテインA(Pierce)1500RUを、CM5カルボキシメチル化デキストランチップにアミンカップリング化学を介して固定化した。組換えプロテインAを、参照および試験フローセルの両方にアミンカップリングさせた。結合化学量論比を測定するために、推定上の二重特異性抗体100〜200RUを、1〜10nMの濃度で30〜60秒にわたって10μL/分の流量で試験フローセル上に捕捉した。60秒にわたってCCL20/抗体相互作用のKDの100倍を超える飽和濃度で、50μL/分の流量で両方のフローセル上に組換えヒトCCL20(Peprotech)を引き続いて流し、この時点で、反応は、定常状態に到達していた。サイトカインおよび試験抗体を、10mM グリシン−HCL pH1.7を使用して表面から剥がした。このグリシン−HCLは、30秒にわたって10μL/分でチップ表面に曝露した。次いで注入ポートを、次のサイクルの前にランニング緩衝液で洗浄した。次いで、記載したプロセスを、組換えヒトIL13(R&D Systems)を使用して繰り返した。サイトカインの分子量(MWC)、抗体の分子量(MWA)、捕捉された試験抗体の量(AB−RU)、および飽和でのサイトカインの観察された結合(Rmax_Obs)に基づいて、観察された結合化学量論比(OBST)を計算した。このための式は、OBST=[Rmax_Obs]/[(MWC/MWA)×AB−RU]であった。
これらの試験において、式の既知の要素は、サイトカインおよび抗体のMW、捕捉された抗体のRU、ならびに飽和でのサイトカイン結合のRUであり、後者の2つの変数は、実験的に測定した。その情報から、観察された結合化学量論比を計算した。それは、各それぞれの抗原について正しく形成されたFabアームを有する捕捉抗体分子の%を推測する。理由は、誤った重鎖/軽鎖対合を有するFabアームが、所与のサイトカインへの所与のFabアームの検出可能な結合無し、およびしたがって抗体集団全体を表すプールされた結合化学量論比の低減をもたらすことになるためである。Rmax_Obsのデータを、参照を差し引いたデータから生成し、経時的なチップ表面からの抗体の根本的な解離によって引き起こされるベースラインドリフト、および非特異的結合について調整した。結合化学量論比を、親二価陽性対照抗体への飽和結合に基づいて正規化した。
推定上の二重特異性抗体のCCL20およびIL13についての飽和結合化学量論比を、二価単一特異性陽性対照、および軽鎖対合のすべての順列を呈し、したがって全体的な化学量論比にインパクトを与えるFabアーム改変を伴わない対照と比較した。データ(表18)は、Fabアーム改変された静電相互作用が、各サイトカイン/ケモカインについて、1:1に近い結合化学量論比を伴って約95%に正しい軽鎖対合を増大させることを示す。
Figure 0006868394
(実施例32)
疎水性相互作用クロマトグラフィーを使用する二重特異性抗体の分離
疎水性相互作用クロマトグラフィーを、コンストラクトC5×Ab3−M1、C5xAb3−M1−NEGATIVE、C5×Ab3−M2、およびC5×Ab3−M2−NEGATIVEの馴化培地からの2ステップ抗体精製法の後にタンパク質異種性を評価するのに使用した。ProPac HIC−10(Dionex)を装備したAgilent Infinity1290 UHLPC(Agilent Technologies)を使用して、タンパク質およそ20〜30μgを、1mL/分の流量で、100mM リン酸ナトリウムおよび1M 硫酸アンモニウム pH7.0で平衡化したカラムに注入した。次いでタンパク質を、0〜100%の7分の直線勾配で、100mM リン酸ナトリウム pH7.0で溶出させた。タンパク質は、280nmの吸収によって検出した。この分析の結果を図12に示す。図12パネルAに示した親C5およびAb3抗体は、明らかな単一ピークを示す。ヘテロ二量体化手法M2を図12パネルCに示し、ヘテロ二量体化手法M1を図12パネルBに示す。パネルBおよびCの両方の左のクロマトグラムは、重鎖ヘテロ二量体化突然変異単独の組込みを示す。右のクロマトグラムは、重鎖および軽鎖突然変異の両方を含有する二重特異性抗体のものである。これらの結果は、重鎖および軽鎖突然変異の両方の組込みでの異種性の低減を明らかに示す。
(実施例33)
接触可能表面積の計算
非ヒト残基をヒト患者への投与を意図した抗体中に導入する場合、ヒト免疫系が修飾された残基を外来と認識し、治療剤に対する抗体(抗薬物抗体またはADA応答、これは、より速いクリアランス、循環している治療剤の活性の低減、または両方をもたらし得る)を産生するリスクがある。
ADA応答のこれらの結果を最小限にする一方法は、突然変異であって、これらが治療剤の表面上になく、したがってADAによる結合にアクセスできないことを意味する、治療剤のコアに概ね閉じ込められている、突然変異を選択することである。したがって、二重特異性設計の好ましさをランク付けする1つのやり方は、修飾残基の接触可能表面積(ASA)を測定することである。すべての他の要因が等しい場合、その突然変異された残基についてより低いASA値を有する二重特異性設計は、より高いASA値を有する二重特異性設計より低いADAリスクを有するはずである。表6の相補的残基セットのASAを、上述した分子モデルに基づいて測定し、表8からの設計S1およびS1_revのASAも、X線結晶解析に基づいて測定した。上述したように、表8中の設計(実施例13)を、ASAを最小限にする埋め込まれたポケット中に特別に設計した。結果を表19に示す。これらは、背景としてそれぞれの関与したドメインの構造(背景設定としての「エントリー」)を使用して、溶媒および緩衝液分子を除去した後、高分解能設定で、Maestro 9.7(Schrodinger、LLC、2014)またはMaestro 9.9(Schrodinger、LLC、2015)中の分子表面ツールを使用して計算した。プローブ半径は、2.5Åに設定した。溶媒分子の半径は、1.4Åとして選択されることが多い。X線構造中の実験的な座標誤差、X線構造で明らかでない側鎖の動き、および多くの他のASA計算において仮定されているように、水分子とは対照的に表面における極めて狭い開口部にアクセスすることのADAの困難を考慮するために、2.5Åをここで使用した。ベータ鎖相互作用で観察されるタンパク質骨格の密接な接近は、一般に、2.5Åまたはそれ超の水素結合接触をもたらすはずであり、したがってこれは、非分岐状側鎖より広い任意のタンパク質化学基によって侵入され得る最小のホールのおおよそのサイズである。
ADA応答の結果は、適応症によって異なる場合がある。免疫系が抑制されるある特定の疾患では、ADA応答のリスクは、より低い場合があり、より高いASAを有する設計をより実現可能にする。免疫系が過敏性であるある特定の疾患では、ADAリスクは、より高い場合があり、したがって、低い(好ましくは50Å未満、40Å未満、30Å未満、20Å未満、10Å未満)またはゼロのASA値を有する二重特異性設計の使用を必要とする。以前に報告されたいくつかの設計(Lewisらによって、およびWO2014/150973A1においてなど)は、本明細書で報告したある特定の設計(S1およびS1_revなど)より高いASAを有し、このような以前に報告された設計は、望まれないADA応答に対してより感受性であり得る。WO2014150973に開示された様々な実施形態はすべて、ASAが、Lewisらによって報告されたように、少なくとも148Åまたはそれ超(PDBエントリー4LLY(WO2014150973の請求項1)または4LLW(WO2014150973の請求項7)から計算される)である改変された残基を有する。WO2014150973の請求項1および関連した請求項に開示された実施形態について、報告された値は、過小評価であり、理由は、軽鎖可変ドメイン上の残基1の側鎖が、結晶構造において無秩序であったためである。主張されたアルギニンが存在すると、モデル化は、230.3という増大した値を示唆する。
1つの例外は、いくつかのバリアントにおいて請求項1のより大きいTyrではなくPheであるC−135位の突然変異であるが、この残基は埋もれており、ASA計算から完全にそれを除外すると、WO2014150973の請求項1および請求項7で開示された残基を組み合わせるとき、依然として149Åという値がもたらされる(WO2014150973の表19も参照)。さらに、Lewisによって報告された結晶構造4LLY(WO2014150973に関連した突然変異を含有する)について、Argに突然変異される軽鎖の残基1は、無秩序側鎖を有する。この残基がその最も一般に存在する回転異性体コンホメーションでそれをモデル化することによって加えられる場合(Maestroソフトウェア中の回転異性体ライブラリーを使用して)、WO2014150973に含まれた突然変異された残基の総ASAは、230Åにさらに増大する。本明細書に報告した設計(最も特にS1およびS1_rev)の露出表面積は、2つの異なる重鎖配列および2つの異なる軽鎖配列を有する二重特異性との関連でインプリメントされるとき、相当により低い。
好都合な性質を有する治療抗体の設計において、外来残基に接触可能ないくらかの表面の導入は、ある特定の機能特性(それだけに限らないが、安定性を含む)を付与するための必要な要件であり得る。したがって、他の改変ステップ中に導入される外来残基のASA実装面積のいかなる最小化も、外来残基の総最終ASAの低減において有利であると見ることができる。
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(実施例34)
対合忠実度の測定
疎水性相互作用クロマトグラフィーを使用して、正しい二重特異性分子とこの特定の二重特異性抗体にとって誤対合した軽鎖を含有する分子とを区別することは可能でなかった。理由は、誤対合した軽鎖を有する分子が、HICカラム樹脂と相互作用するのに十分異なる傾向を有さない可能性が最も高いためである。しかし、陰イオン交換クロマトグラフィー(図8B)は、誤対合した軽鎖/重鎖相互作用を含有する二重特異性抗体(図8Bからのピーク2A)から二重特異性抗体(図8Bからのピーク1)を完全に分離することができた。残念ながら、親抗体の1つの翻訳後修飾(硫酸化)は、二重特異性分子に伝わり(図8Bからのピーク2B)、二重特異性陰イオン交換溶出時間を変化させ、その結果これは、誤対合した軽鎖を含有する二重特異性分子からベースライン分解されなかった。したがって、陰イオン交換クロマトグラフィーによって%二重特異性抗体を正確に定量化することは可能でなかった。図8Bピーク1の%AUC(60%)を、17%を占めた硫酸化形態(図8Bピーク2B)に加えると、正しい二重特異性抗体の%がタンパク質製剤の78%であると近似される。以下の表20は、Ab1×Ab2の例示的調製物中の正しく対合したFabアームの質量分析による相対定量化を表す。
Figure 0006868394
Figure 0006868394
Figure 0006868394
(実施例35)
S1およびS1_revにおける二次突然変異の効果
表8に示したように、設計S1は、二次突然変異C−V133SおよびC1−V190Sを伴った一次突然変異C1−L124KおよびC−S176Dからなる。設計S1_revは、二次突然変異C−V133SおよびC1−S188Gを伴った一次突然変異C1−L124EおよびC−S176Kからなる。二次突然変異は、界面中の側鎖パッキングを最適化するために設計した。これらの突然変異が軽鎖対合の忠実度に寄与するか否かを試験するために、二次突然変異のいずれも省略しなかった、そのいくつか、またはすべてを省略したC5×Ab3のバリアントを生成した。C5 FabアームをS1_revのバリエーションを試験するのに使用し、一方、Ab3 FabアームをS1のバリエーションを試験するのに使用した。M1と呼ぶノブイントゥホール(Ridgwayら、上記、およびMerchantら、上記)法を使用して、各組合せの重鎖ヘテロ二量体化に偏りをかけた。M1から、この実施例のために作製した各Ab3バリアントのC3ドメインは、重鎖ヘテロ二量体化のための以下の突然変異を有していた:C3−Y370をCに突然変異させ、C3−T389をWに突然変異させた(「ノブ」鎖)。M1から、この実施例のために作製した各C5バリアントのC3ドメインは、重鎖ヘテロ二量体化のために以下の突然変異を有していた:C3−S375C、C3−T389S、C3−L391A、およびC3−Y438V(「ホール」鎖)。Cys−370およびCys−375は、ヘテロ二量体を安定化させるための鎖間ジスルフィド結合を形成する。6つのコンストラクトを、突然変異の役割をデコンボリュートするために試験した。C5およびAb3について上述したM1突然変異のみを含有し、S1またはS1_rev突然変異のいずれも含有しなかった「Ab3 C5−M1−NEGATIVE」。デコンボリュート−2を対照として再使用した。これを、この実施例については、デコンボリュート−1とも呼ぶ。上述したM1突然変異、C5 Fabアーム中にS1_rev、およびAb3アーム中にS1を含有した「Ab3 C5−M1」を対照として再使用した。これを、この実施例については、デコンボリュート−2と呼ぶ。デコンボリュート−3は、それが、表8に列挙したS1およびS1_revについて「二次突然変異」のいずれも含まなかったことを除いてデコンボリュート−2と同一であった。デコンボリュート−4は、それが、S1およびS1_revの両方についてC1ドメインの二次突然変異を省略したことを除いてデコンボリュート−2と同一であった。したがって、明確にするために、デコンボリュート−4のAb3 Fabアームは、C1−L124K、C−S176D、およびC−V133Sを含有したが、C1−V190Sを含有しなかった。そして、明確にするために、デコンボリュート−4のC5 Fabアームは、C1−L124E、C−S176K、およびC−V133Sを含有したが、C1−S188Gを含有しなかった。M1突然変異も、S1またはS1_rev突然変異(C配列54およびC配列9)も有さない親単一特異性コンストラクト「C5」および「Ab3」(それぞれデコンボリュート−5およびデコンボリュート−6とも呼ぶ)を、各抗体の単一特異性バリアントの挙動を確立するために、対照として試験した。6つすべての設計は、ヒンジ/C2エフェクター機能切断突然変異(L247A、L248A、およびG250A)を有するIgG1であった。設計デコンボリュート−1〜デコンボリュート−4について、Ab3の重鎖、C5の重鎖、Ab3の軽鎖、およびC5の軽鎖を含む合計4本の鎖を、哺乳動物細胞中に同時にトランスフェクトした。正しい軽鎖対合のレベルを、様々な生物物理学的な分析技法を介して評価し、Ab3Ab3 C5−M1−NEGATIVE、C5、およびAb3Ab3対照と比較した。別個の発現を記載したコンストラクトについて実施した。対照対試験中に存在する正しい軽鎖対合のレベルを比較することによって、突然変異の効果を評価することができる。Abを、Ab1/Ab2について実施例16および17に論じたように発現させ、精製した。コンストラクトのデコンボリュート−1〜デコンボリュート−6の発現は、9〜200mg/Lの範囲であった。
(実施例36)
S1およびS1_revデコンボリューションの質量分光分析
デュアルアーム抗体コンストラクトのデコンボリュート−1〜デコンボリュート−6(先の実施例で記載した)のFab生成およびLC/MS分析を、Ab1/Ab2について上述したのと同じ方法を使用して実施した。上述した合計6つのコンストラクトを分析して、Fab分子量に基づいて重鎖および軽鎖の対合を判定した。
デコンボリューション質量スペクトルを図17に示す。パネルAおよびBは、単一特異性対照抗体、C5C5およびAb3Ab3が、これらのそれぞれのFab断片の予測された分子量に対応する1つの支配的なピークを提示することを示す。S1およびS1_rev突然変異を欠く陰性対照二重特異性Ab3Ab3 C5−M1−NEGATIVE(パネルC)は、2つの正しい、ならびに2つの誤った(Ab3重鎖+C5軽鎖およびAb3軽鎖+C5重鎖)、4つすべての可能な重鎖/軽鎖対合を示す。分析は、試料のおよそ30%が誤対合したFabからなることを示す。S1およびS1_rev突然変異の完全セットを含有する陽性対照二重特異性Ab3Ab3 C5−M1(パネルD)は、47397および46906の予測された質量を有する重鎖/軽鎖誤対合の目に見える証拠を示さない。これらの値の小さい読み(図中で容易に目に見えない)は、この試料中の0.5%の誤対合を予測する。対照的に、重鎖および軽鎖中の二次S1およびS1_rev突然変異(表8を参照)がデコンボリュート−2と比べて除去されているデコンボリュート−3(パネルE)は、試料のおよそ18%を占める両方の可能な重鎖/軽鎖誤対合の明らかな証拠を示す。最後に、デコンボリュート−4(パネルF)は、重鎖から二次S1およびS1_rev突然変異を除去しても(しかし軽鎖中にこれらを残して)、誤対合した鎖が検出可能なレベルで形成することが可能になり、試料の11%が誤対合していると推定されることを示す。要約すると、S1およびS1_revについての突然変異の完全セットは、最高の忠実度をもたらし、一方、S1およびS1_rev設計の部分的なインプリメンテーションは、CH1/CL二重特異性改変突然変異を欠く陰性対照に対して検出可能な(しかしより小さい)改善をもたらす。
(実施例37)
S1およびS1_revデコンボリューションコンストラクトの疎水性相互作用クロマトグラフィー分析
疎水性相互作用クロマトグラフィーを、コンストラクトのデコンボリュート−1〜デコンボリュート−6の馴化培地からの2ステップ抗体精製法の後にタンパク質異種性を評価するのに使用した。ProPac HIC−10(Dionex)を装備したAgilent Infinity1290 UHLPC(Agilent Technologies)を使用して、タンパク質およそ20〜30μgを、1mL/分の流量で、100mM リン酸ナトリウムおよび1M 硫酸アンモニウム pH7.0で平衡化したカラムに注入した。次いでタンパク質を、0〜100%の7分の直線勾配で、100mM リン酸ナトリウム pH7.0で溶出させた。タンパク質を280nmの吸収によって検出した。この分析の結果を図18に示す。対照単一特異性抗体「C5」および「Ab3」はそれぞれ、鋭い主ピークを示す(パネルE〜F)。2つの抗体が、C3ドメインのみが改変されている二重特異性にアセンブルされる場合、単一の主ピークの代わりに重複するピークが存在し、重鎖および軽鎖の様々な組合せに起因して試料中の異種性を示す(パネルA)。S1およびS1_rev突然変異が、正しい重鎖/軽鎖対合のみを優遇するようにC1/C界面に加えられる場合、試料の異種性は、大いに低減される(パネルB)。S1およびS1_rev設計は、表8に示したように、静電相互作用を直接形成する一次突然変異、およびサポート二次突然変異(supporting secondary mutation)を含有する。重鎖サポート突然変異が除去され(パネルC)、一方軽鎖サポート突然変異がインタクトなままにされる場合、異種性のレベルは、HICによって同様であるが、差異は、質量分析によって検出可能であった(実施例36)。すべてのサポート突然変異が除去される場合(パネルD)、異種性は、「Ab3 C5−M1−NEGATIVE」と比べて低減されるが、デコンボリュート−2、「Ab3 C5−M1」と比べて依然としてより顕著である。実施例36の質量分析データと総合すると、これらの結果は一括して、完全なS1およびS1_rev設計が組み合わされる場合、最少量の異種性が生じることを例示する。
(実施例38)
混合Fabアーム設計を有する二重特異性抗体の生成
概念的に、二重特異性Fabは、実施例15に論じたように、本明細書に記載のCH1/C改変設計の異なる組合せを使用することによって改変することができる。この仮説を試験するために、Ab3およびC5 Fabアームを有する二重特異性抗体を生成した。ここで、Ab3 Fabアームは、二重特異性改変突然変異を含有していなかったか(陰性対照)、または表8のS1設計を含有していた。C5アームは、二重特異性改変突然変異を含有していなかった(陰性対照)、表8のS1_rev設計(陽性対照)、または表7に指定した設計T1、T2、T3、T4、T9の1つを含有していたのいずれかであった。C5中にS1_rev突然変異を含有するが、Ab3中にFabアーム二重特異性突然変異を含有しない追加の対照も調製した。表23中に要約および命名したこれらの9つのコンストラクトすべてを、実施例35に記載した同じ構成でAb3およびC5重鎖中にM1ノブイントゥホール(Ridgwayら、上記、およびMerchantら、上記)突然変異、ならびに以前に記載したように、両方の重鎖のC2中にエフェクター機能切断突然変異を有するIgG1として生成した。
各設計について、Ab3の重鎖、C5の重鎖、Ab3の軽鎖、およびC5の軽鎖を含む4本の鎖を、哺乳動物細胞中に同時にトランスフェクトした。正しい軽鎖対合のレベルを、様々な生物物理学的な分析技法を介して評価し、重鎖ヘテロ二量体化突然変異を含有するが、重鎖と軽鎖との間の界面で突然変異を含有しない対照と比較した。別個の発現を、記載したばかりのコンストラクトについて実施した。対照対試験中に存在する正しい軽鎖対合のレベルを比較することによって、突然変異の効果を評価することができる。抗体を、Ab1/Ab2について実施例16および17で上記に論じたように発現させ、精製した。表23中のコンストラクトの発現は、4〜73mg/Lの範囲であった。
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(実施例39)
混合Fabアーム設計のDSC分析
実施例38に記載し、以下の表24に列挙したタンパク質を、PBS(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM NaHPO、および1.47mM KHPO、pH7.2)中に入れ、同じ緩衝液中で0.3mg/mLの濃度に希釈した。試料および緩衝液(400μL)を、96ウェルディープウェルプレートに移し、DSC(Cap−DSC、Microcal/GE Healthcare)のオートサンプラー内に置いた。計測器中に注入した後、試料を10℃から110℃に100℃/時間で加熱した。データを緩衝液およびベースラインで補正した後、2または3つの非二状態転移にフィッティングして融解温度を判定した。全体的に、これらはすべて、高いTm値を伴って安定なタンパク質であった。各抗体の詳細な融解温度プロファイルを、図19に提供する。
Figure 0006868394
(実施例40)
混合Fabアーム設計のBiacore結合化学量論比分析
表23(実施例38)から使用したFabアーム突然変異
BIAcore表面プラズモン共鳴バイオセンサー(T200モデル;GE Healthcare)を使用して、結合化学量論比の分析を、実施例31に記載したように行った。推定上の二重特異性抗体のCCL20およびIL13についての飽和結合化学量論比を、二価単一特異性陽性対照、および軽鎖対合のすべての順列を呈し、したがって全体的な結合化学量論比にインパクトを与えるFabアーム改変を伴わない対照と比較した。データ(表25)は、両方のFabアーム中に改変を有するすべての組合せは、標的サイトカインおよびケモカインとの抗体の各対について1:1に近い結合化学量論比を実現し(1:1結合から10%以下の変動)、一方、一方または両方のアーム中に改変を欠く組合せは、一方のアームにおいて0.7:1未満の化学量論比を有したことを示す。これらの結果は、二重特異性設計の異なる組合せを、重鎖/軽鎖誤対合を低減するのに使用することができることを示す。
Figure 0006868394
(実施例41)
混合Fabアーム設計の質量分光分析
各Fabアーム中に設計の様々な組合せを有するデュアルアーム抗体コンストラクト(表23および実施例38に記載した)のFab生成およびLC/MS分析を、Ab1/Ab2について上述したのと同じ方法を使用して実施した。上述した合計9つのコンストラクトを分析して、Fab分子量に基づいて重鎖および軽鎖の対合を判定した。デコンボリューション質量スペクトルを図20に示す。Ab3 Fabアーム中のS1設計をC5 Fabアーム中のT1、T2、T3、T4、またはT9(図20、パネルA〜E)と対合させたとき、最低量の誤対合したFab:T1、T2、およびT3について0.5%;T4について0.4%、ならびにT9について1.3%が検出された。C5 Fabアーム中のS1_revと対合したAb3×S1も、高い忠実度を与え、3.2%のみが誤対合した(パネルF;この二重特異性設計は、実施例37のデコンボリュート2と同じFabアーム突然変異を使用し、したがって、この設計の有効性の第2の測定であることに留意されたい)。しかし、いずれかのFabアームが二重特異性優遇設計を欠いていたとき、より大量の誤対合した試料:Ab3−S1および天然C5に対して19%(パネルG)、天然Ab3およびC5−S1revに対して41%(パネルH)、ならびに一方のFabアーム中に天然Ab3および他方に天然C5に対して35%(パネルI)が生成された。したがって、異なる組合せを、異なる二重特異性優遇設計を使用して各Fabアームで試行した各場合において、試料純度は、質量分析によって測定した場合、著しく改善した。
(実施例42)
混合Fabアーム設計の疎水性相互作用クロマトグラフィー分析
疎水性相互作用クロマトグラフィーを、各Fabアーム中に設計の様々な組合せを有するコンストラクト(表23および実施例38に記載した)の馴化培地からの2ステップ抗体精製法の後のタンパク質異種性を評価するのに使用した。TOSOHブチルカラムを装備したAgilent Infinity1290 UHLPC(Agilent Technologies)を使用して、タンパク質およそ20〜30μgを、1mL/分の流量で、50mM リン酸ナトリウムおよび2M硫酸アンモニウム pH7.2で平衡化したカラムに注入した。次いでタンパク質を、0〜100%の7分の直線勾配で、50mM リン酸ナトリウム pH7.2で溶出させた。タンパク質を280nmの吸収によって検出した。この分析の結果を図21に示す。Ab3 Fabアーム中にS1、およびC5 Fabアーム中にT1、T2、T3、T4、またはT9のいずれかを有する二重特異性抗体は、重鎖/軽鎖対合の高い忠実度を示した(パネルA〜E)。少量の誤対合が主ピークの左側の小さいテールとして明らかである。ピークのこのテールは、C5上のS1_revと対合したAb3上のS1についてわずかにより大きい(パネルF、矢印を参照)。これらの結果は、実施例41および図20の質量分光分析と一致する。一方のFabアーム(パネルG〜H)または両方のFabアーム(パネルI)が二重特異性優遇設計を含有しない場合、追加のピークの存在によって示されるように、より大量の誤対合したFabが検出された。参照のために、パネルJ〜Kは、これらの二重特異性設計の基になった単一特異性Ab3およびC5抗体の対応するプロファイルを示す。両方は、鋭い単一ピークを示す。したがって、異なる組合せを、異なる二重特異性優遇設計を使用して各Fabアームで試行した各場合において、試料純度は、疎水性相互作用クロマトグラフィーによって測定した場合、Fab改変設計を欠く設計に対して著しく改善した。
(実施例43)
マウス抗TrkB TOA−1抗体
本発明は、ヒトTrkBに特異的に結合するヒト化マウス抗体を含む。
抗TrkB抗体を、ヒトおよびマウスTrkB−細胞外ドメイン抗原、ならびに免疫化のための標準法を使用してマウス中で調製した。TOA−1抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を、個々のB細胞の骨髄腫細胞との融合によって生成した。マウスTOA−1抗体は、「29D7」とも呼ばれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれているUS7,750,122に開示されている。
TOA−1抗TrkB抗体重鎖および軽鎖可変領域は、SMART(登録商標)cDNA合成システム(Clontech Laboratories Incof Mountain View、California)、その後PCR増幅を使用してクローニングした。cDNAは、POWERSCRIPT(商標)逆転写酵素(Clontech Laboratories Inc.)とともに、オリゴ体(oligo)(dT)および SMART(登録商標)IIAオリゴ体(Clontech Laboratories Inc.)を使用して、TOA−1ハイブリドーマ細胞から単離したトータルRNA 1μgから合成した。次いでcDNAを、VENT(登録商標)ポリメラーゼ(New England Biolabs Incof Ipswich、Massachusetts)とともに、SMART(登録商標)IIAオリゴ配列にアニールするプライマー、ならびにマウス定常領域特異的プライマー(軽鎖についてマウスカッパおよび重鎖についてマウスIgG1)を使用して、PCRによって増幅させた。重鎖および軽鎖PCR産物をpED6発現ベクター中にサブクローニングし、核酸配列を判定した。この方法は、DNA配列の先の知識は、要求されないという点で有利である。さらに、結果として生じるDNA配列は、縮重PCRプライマーの使用によって変更されない。
TOA−1重鎖可変領域のヌクレオチド配列を、配列番号104のヌクレオチド58〜411として示す。TOA−1重鎖可変領域のアミノ酸配列を、配列番号105の残基20〜137として示す。TOA−1軽鎖可変領域のヌクレオチド配列を、配列番号106のヌクレオチド61〜381として示す。TOA−1軽鎖可変領域のアミノ酸配列を、配列番号107の残基20〜137として示す。
(実施例44)
キメラTOA−1抗体の構築
マウス重鎖および軽鎖可変領域配列が正しかったことを検証するために、キメラTOA−1抗体を構築した。キメラTOA−1重鎖を生成するために、TOA−1重鎖可変領域のヌクレオチド配列(配列番号104のヌクレオチド58〜411)を、最小限のエフェクター機能について突然変異されたヒトIgG1定常ドメインをコードするcDNAにライゲーションした。これらの突然変異は、ヒトIgG1アミノ酸配列を、EU番号付けによって定義される残基234、235、および237において、それぞれロイシン、ロイシン、およびグリシンからアラニン、アラニン、およびアラニンに変更する。キメラTOA−1軽鎖は、TOA−1軽鎖可変領域のヌクレオチド配列(配列番号106のヌクレオチド61〜381)を、ヒトカッパ定常領域をコードするDNAに接合することによって構築した。TOA−1軽鎖可変領域の残基1に存在するアラニンを、この位置で一般に見つかるアスパラギン酸に変更し、次いでこれをヒトカッパ定常領域に融合してキメラTOA−1 A1D軽鎖(ヌクレオチド配列配列番号108およびアミノ酸配列配列番号109)を生成した。キメラTOA−1抗体の両バージョンをコードするDNAを、COS−1細胞内に一過性にトランスフェクトしてタンパク質を生成した。TOA−1抗体を含有する結果として生じる馴化培地を、総ヒトIgGサンドイッチELISAによって定量化した。キメラTOA−1抗体の活性を、直接結合ELISAによって評価した。直接結合アッセイは、ヒトまたはマウスTrkB−細胞外ドメインタンパク質(R and D Systems)でELISAプレートを被覆し、キメラTOA−1抗体を含有する連続希釈された馴化培地を添加し、ヤギ−抗ヒトIgG−HRP(Southern Biotech)を用いて結合した抗体を検出することによって実施した。キメラTOA−1抗体は、マウスTOA−1抗体と同等の親和性でヒトおよびマウスTrkBに結合した(図23および24)。TOA−1軽鎖可変領域の1位でアラニンをアスパラギン酸に変更しても、ヒトまたはマウスTrkBへの結合性質に影響しなかった(図23および24)。キメラTOA−1抗体を、COS−1細胞にキメラTOA−1をコードするDNAを一過性にトランスフェクトすることによって生成した馴化培地から標準的なプロテインA精製技法によって精製した。
(実施例45)
マウスTOA−1抗体のヒト化
マウスTOA−1抗体のCDRを、配列変異性および構造ループ領域の場所に基づくAbM定義を使用して同定した。ヒト化TOA−1重鎖可変領域を、ヒトDP−54フレームワーク領域にグラフトされたマウスTOA−1のCDRを含むように構築した。このアミノ酸配列を配列番号51 huTOA−1 V v1.0として示す。huTOA−1 V v1.0は、配列番号110中の核酸配列によってコードされる。ヒトフレームワーク受容体配列の追加の突然変異を、例えば、抗原接触に関与すると考えられるマウス残基および/または抗原結合部位の構造的完全性に関与する残基を復帰させるために行う。TrkB結合性質を保存するのに重要であると予測されたA24T、R72V、およびL79A突然変異を、DP−54フレームワークに導入した。このアミノ酸配列を配列番号111として示し、huTOA−1 V v1.1と本明細書で呼ぶ。huTOA−1 V v1.1は、配列番号112中の核酸配列によってコードされる。さらに、ヒト化TOA−1重鎖可変領域を、DP−3ヒト生殖系列受容体フレームワークであって、それがマウスTOA−1重鎖可変領域のフレームワーク領域と実質的に同様であることに基づいて選択された、DP−3ヒト生殖系列受容体フレームワークにグラフトされたマウスTOA−1のCDRを含むように構築した。このアミノ酸配列を配列番号113 huTOA−1 V v2.0に示す。huTOA−1 V v2.0は、配列番号114中の核酸配列によってコードされる。同様に、DPK21ヒト生殖系列受容体フレームワークを、ヒト化TOA−1軽鎖可変領域のCDRグラフトバージョンを構築するのに使用した。理由は、この生殖系列フレームワークが、TOA−1軽鎖可変領域と高い配列同一性を呈するためである。このアミノ酸配列を配列番号132 huTOA−1 V v2.0に示す。huTOA−1 V v2.0は、配列番号133中の核酸配列によってコードされる。別のヒト化TOA−1軽鎖可変領域を、ヒトDPK9生殖系列受容体フレームワーク領域にグラフトされたマウスTOA−1のCDRを含むように構築した。このアミノ酸配列を配列番号115 huTOA−1 V v1.0として示す。huTOA−1 V v1.0は、配列番号116中の核酸配列によってコードされる。さらに、TrkB結合性質を保存するのに重要であると予測されたK42E、A43S、およびY49K突然変異を、TOA−1可変軽鎖領域CDRを含有するDPK9フレームワークに導入した。このアミノ酸配列を配列番号117 huTOA−1 V v1.1.として示す。huTOA−1 V v1.1は、配列番号118中の核酸配列によってコードされる。V v1.0およびV v1.4を含むhuTOA−1を、huTOA−1およびTAM−163と本明細書で互換的に呼ぶ。DPK9フレームワークに基づく他のバリアントも構築した。対応するヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を、表27に列挙した配列番号によって表す。ヒト化TOA−1抗体のすべての可能なバージョンをコードするDNAをCOS−1細胞内に一過性にトランスフェクトしてタンパク質を生成した。ヒト化TOA−1抗体バリアントを含有する結果として生じる馴化培地を、総ヒトIgGサンドイッチELISAによって定量化した。TrkB結合性質を、ビオチン化キメラTOA−1抗体との競合ELISAを使用して、かつ表面プラズモン共鳴(SPR:Biacore)によって評価した。
Figure 0006868394
(実施例46)
huTOA−1バリアントのTrkB結合性質の評価
TrkB結合性質を、ビオチン化キメラTOA−1抗体との競合ELISAアッセイを使用して、huTOA−1バリアントについて評価した。このアッセイ手順について、96−ウェルプレートを4℃にて一晩1μg/mlで、rhTrkB−ECD(R&D #397−TR/CF)で被覆した。次いでプレートを室温にて1時間PBS+0.02% カゼインでブロックした。PBS+0.5% BSA+0.02% tween−20中の25ng/mlのビオチン化キメラTOA−1を、様々な濃度のhuTOA−1バリアントまたは未標識キメラTOA−1と混合し、室温で1時間インキュベートした。ウェルをPBS+0.03% tween−20で4回洗浄した。1:10,000に希釈したストレプトアビジン−HRP(Southern Biotech カタログ#7100−05)を添加し、室温で30分間インキュベートした。ウェルをPBS+0.03% tween−20で4回洗浄し、TMB(BioFx)を添加した。反応を5〜10分間展開し、次いで0.18N HSOでクエンチした。450nmの吸光度を判定した。表28に要約した結果は、ヒト化TOA−1 V バージョン1.0およびVバージョン1.1が、キメラTOA−1抗体と比べてTrkB結合性質を完全に保持したことを示す(図25、26、および27)。さらなる特徴付けを行って、TOA−1 Vバージョン1.1内に含有したどのマウスフレームワーク残基がTrkBに結合するのに要求されるかを判定した。ヒト化TOA−1 Vバージョン1.4は、単一のマウスフレームワーク残基K49(Kabat番号付け)を含有し、このバージョンは、TOA−1 Vバージョン1.1と同等の活性を有する(図28)。
Figure 0006868394
(実施例47)
huTOA−1バリアントの動力学的評価
BIACORE(登録商標)分析を実施して、ヒトおよびマウスTrkBに対するTOA−1およびヒト化TOA−1バリアントについての親和定数を判定した。BIACORE(登録商標)技術は、TOA−1抗体バリアントが層に固定化されたTrkBタンパク質に結合した際の表面層における屈折率の変化を利用する。結合は、表面から屈折するレーザー光の表面プラズモン共鳴(SPR)によって検出する。信号動態オンレートおよびオフレートの分析は、非特異的相互作用と特異的相互作用との識別を可能にする。ヒトおよびマウスTrkB外部ドメインタンパク質(R&D Systems、#397/TR/CFおよび#1494−TB/CF)をCM5チップ上に低密度で固定化し(それぞれ41および30RU)、次いで様々な濃度のTOA−1およびヒト化TOA−1バリアントを表面の上に注入した。表面を注入サイクル間に4M MgClで再生した。結果は、ヒト化TOA−1バリアントが、親マウスTOA1抗体およびキメラTOA−1抗体の両方と比べてヒトおよびマウスの両方について同等の親和定数を有することを示し(表29)、これらのヒト化バリアントが完全に保持されたTrkB結合性質を有すること実証する。
Figure 0006868394
(実施例48)
抗TrkB抗体のアゴニスト活性
ヒト化抗TrkB TOA−1抗体の、TrkBシグナル伝達カスケードを活性化する能力を、1)TrkBシグナル伝達活性化を監視するための転写レポーター、ならびに2)TrkBシグナル伝達のメディエーターとして公知のhTrkBの自己リン酸化、ならびにERK1/2、AKT、およびPLCγ1のリン酸化の評価を使用して評価した(Friedmanら、Exp Cell Res、1999;253:131〜142に総説されている)。
TrkBを発現する安定な細胞株
CRE−ルシフェラーゼレポーター、およびrhuTrkB(nm_006180)またはrmuTrkB(nm_001025074)の両方を発現するHEK−293細胞の安定な細胞株を、標準技法を使用して生成した(Zhangら、2007、Neurosignals、15:29〜39)。安定な細胞株をrhuTrkB−CREおよびrmuTrkB−CREと命名する。
転写レポーターアッセイ
ルシフェラーゼレポーターアッセイを、以下の通り実施した。rhuTrkB−CRE細胞を、白底96−ウェルプレート中の増殖培地(10% FCS−DMEM)中に35,000細胞/100μl/ウェルで蒔いた。翌日、10μl/ウェルのマウスTOA1、ヒト化TOA−1バリアント、またはアイソタイプ対照(mIgG1もしくはhIgG1)抗体を、培地を変更することなくアッセイプレートに10×として添加した。ルシフェラーゼ活性は、製造者のプロトコールに従ってSteady−Gloルシフェラーゼアッセイシステム(Promega、E2520)を使用して16〜18時間後に測定した。簡単に説明すると、培地を100μl/ウェルの1×PBSと置き換えた。次に、100μl/ウェルのSteady−Glo試薬を添加する。プレートをTopSeal(PerkinElmerカタログ番号6005185)で密閉し、A Plate Shaker(IKA Works,Inc.)で、速度600で5分間振盪させる。発光をVICTOR3、1420 Multilabel Counter(Perkin Elmer)を使用して測定した。
図29に例示し、表30に要約したように、TOA−1抗体処置は、マウスTOA−1およびすべてのヒト化TOA−1バリアントに対してルシフェラーゼ活性を用量依存的に増大させ、これらの抗体がTrkBシグナル伝達カスケードを活性化することができることを示した。
Figure 0006868394
TOA−1抗体によるTrkB自己リン酸化、ならびにPLCγ1、AKT、およびERK1/2のリン酸化の刺激
リン酸化分析を実施して、TrkBを過剰発現する改変された細胞株(上述したように生成したrhuTrkB−CREおよびrmuTrkB−CRE安定細胞株)、ならびにヒトTrkBを発現する分化したヒトSH−SY5Y神経芽細胞腫細胞内のTrkBシグナル伝達の近位マーカーの活性化を測定した。これらの細胞内のヒトTrkB発現は、抗TrkB抗体(BD Transduction Labsカタログ番号610102)を使用して、以下に記載するように標準技法を使用してウエスタン分析によって確認した。以下で詳述するように、TrkB発現細胞をTOA−1抗体で処置し、ウエスタン分析を実施して、hTrkB(Tyr490)の自己リン酸化、ならびにERK1/2(Thr202/Tyr204)、AKT(Ser473)、p38(Thr180/Tyr182)、およびPLCγ1(Tyr783)のリン酸化を監視した。
rhuTrkB−CREまたはrmuTrkB−CRE細胞を、10% FCS−DMEM増殖培地中に5×10細胞/ウェルで6ウェルプレートに蒔き、細胞が85〜90%コンフルエントになるまで培養した。細胞を0.1% FCS − DMEM(低血清培地)で1回洗浄し、低血清培地中でさらに4時間インキュベートした。次に、細胞をBDNF(R&D #248BD)またはTOA−1抗体で、指定濃度で15〜60分間処置した。培地をウェルから吸引し、1×ローディング緩衝液(Invitrogen、1% b−MEを含む)0.6mlを1ウェル当たりに添加して細胞を溶解させた。細胞溶解物をエッペンドルフチューブに移し、100℃で5分間加熱した。各試料25μlをNuPAGE 4〜20%ビス−トリス勾配ゲル(Invitrogen)に溶解させた。
ウエスタン分析を以下の通り実施した。電気泳動後、サイズ分画されたタンパク質をニトロセルロース膜上に移した。膜をT−TBS(TBS中0.15% Tween 20)中の5%ミルクでブロックし、1%ミルク T−TBS中の適切な一次抗体[抗P−TrkB:Phospho−TrkA(Tyr490)、Cell Signaling(CS)#9141;抗ホスホ−PLCγ1(Tyr783)、CS#2821;抗ホスホAKT(Ser473)、CS#9271;抗P−ERK1/2(ホスホ−P44/P42(Thr202/Tyr204)、CS #9101;抗アクチン、Sigma A2066]とともに、4℃にて一晩ロッキングプラットフォーム上でインキュベートした。膜をT−TBS中で3回洗浄し、次いで適切なHRP−コンジュゲート二次抗体(Cell Signaling #7974)とともに2時間インキュベートした。次に、膜をT−TBS中で4回、およびTBS中で1回洗浄した。信号を、ECLキット(GE RPN2106V)および製造者のプロトコール、その後X線フィルム曝露またはGel−Doc(Bio−Rad)を使用して展開させて、画像を捕捉した。
ヒト神経芽細胞腫SH−SY5Y細胞を2×10細胞/ウェルで6ウェルプレート中に蒔き、増殖培地(2mM L−グルタミン、15% FBS、およびペニシリン/ストレプトマイシンを補充したDMEM:F12(1:1))中で培養した。細胞をレチノイン酸(10μM)とともに3日間インキュベートして分化を誘導した。次いで細胞を低血清培地(1% FBSを含む増殖培地)中で一晩培養し、0.1% FBS培地中で4時間さらに培養した。指定濃度のBDNF(R&D #248BD)またはTOA−1抗体を添加し、細胞を15〜60分間インキュベートした。培地をウェルから吸引し、1×ローディング緩衝液(Invitrogen、1% b−MEを含む)0.6mlを1ウェル当たりに添加して細胞を溶解させた。細胞溶解物をエッペンドルフチューブに移し、100℃で5分間加熱した。各試料20μlをNuPAGE 4〜20%ビス−トリス勾配ゲル(Invitrogen)上に溶解させた。ウエスタン分析を上述したように実施した。
図30に示したように、ヒト化TOA−1抗体を用いた処置は、ヒトTrkB(過剰発現されたTrkB、図30A、および内因性TrkB、図30Cの両方)、またはマウスTrkB(図30B)を発現する細胞内で、用量依存的なTrkBの自己リン酸化、ならびにシグナル伝達分子ERK1/2、AKT、およびPLCγ1のリン酸化を誘導した。
上述したように実施したリン酸化アッセイにおけるBDNFおよびmTOA−1の相対的な活性も示す。BDNFは、mTOA−1より、TrkB自己リン酸化およびPLCγ1リン酸化によって測定した場合、TrkBシグナル伝達カスケードの強力な刺激物質である(図30D)。
要約すると、転写レポーターアッセイおよびリン酸化アッセイはともに、TOA−1抗体がTrkBシグナル伝達経路を活性化することを実証した。
(実施例49)
BDNFに対する抗体結合エピトープの特徴付け
競合ELISAを使用して、TrkBタンパク質への抗TrkB抗体の結合がどのようにTrkBタンパク質とのBDNF相互作用に影響するかを評価した。
1つのフォーマットでは、96ウェルプレート(Costar、カタログ番号3590)を、4℃でPBS中のBDNF(0.3μg/ml、R&Dシステム、カタログ番号248−BD)で被覆し、一晩インキュベートした。プレートをPBS、0.1% Tween−20で洗浄し、次いでウェルを、PBS、1% BSA、0.05% Tween−20を用いて、室温で1時間ブロックした。複数の濃度のProA精製抗TrkB抗体を、rhTrkB/Fcキメラ(150ng/ml、R&D systems、カタログ番号688−TK)とともに、室温で30分間プレインキュベートし、次いで混合物をプレートに添加し、室温で1時間インキュベートした。プレートをPBS、0.1% Tween−20で6回洗浄し、ペルオキシダーゼコンジュゲートヤギ抗ヒトIgG(Fc)抗体(PIERCE、カタログ番号31413)を添加し、室温で1時間インキュベートした。ウェルをPBSで3回洗浄し、基質TMB(BioFX Laboratories、カタログ番号TMBW−0100−01)を10分にわたって添加した。反応を、0.18N HSOで停止させた。450nmの吸光度を判定した。
第2のフォーマットでは、96−ウェルプレートを、PBS中のrhTrkB−ECD−His(1μg/ml)で4℃にて一晩被覆した。次いでプレートを、PBS+0.02%カゼインで、室温で1時間ブロックした。25ng/mlのビオチン化ヒト化TOA−1を、様々な濃度のrhBDNF、未標識huTOA−1、または無関係のヒトIgG1抗体とともにインキュベートし、次いで混合物をプレートに添加し、室温で1時間インキュベートした。プレートをPBS+0.03% tween−20で4回洗浄し、1:10,000に希釈したストレプトアビジン−HRP(Southern Biotech カタログ#7100−05)を添加し、室温で30分間インキュベートした。ウェルをPBS+0.03% tween−20で4回洗浄し、TMB(BioFx)を添加した。反応を5〜10分間展開し、次いで0.18N HSOでクエンチした。450nmの吸光度を判定した。
図31に示したように、両方の競合ELISAフォーマットを使用した結果は、TOA−1がBDNFとヒトTrkBへの結合を部分的に競合することを示し、TOA−1結合部位がhTrkB上のBDNFドッキング部位と少なくとも部分的に重なることを示唆する。
(実施例50)
ヒトTrkB上のTOA−1結合部位のマッピング
TrkB上のTOA−1結合部位をさらに描写するために、一連のキメラTrkB−TrkA受容体を生成し、細胞ベースELISAでTOA−1結合について評価した。
TrkB−TrkAキメラ受容体発現コンストラクトの生成
TrkA−TrkBキメラ受容体を生成し、標準的な分子クローニング技法を使用して哺乳動物発現ベクターpcDNA3.1(Invitrogen)中にクローニングした。キメラTrkB(d5TrkA)受容体(配列35)を、TrkBのドメイン5と呼ばれる残基284〜377(np_001018074 配列34)を、TrkAドメイン5の残基280〜377(np_002520、配列33)と置き換えることによって生成した。同様に、キメラTrkA(d5TrkB)を、TrkAの残基283〜377をTrkBの残基281〜377(配列36)と置き換えることによって生成した。キメラTrkB(d4TrkA)を、TrkBの残基190〜282をTrkAの残基187〜281(配列37)と置き換えることによって生成した。キメラTrkA(d4TrkB)を、TrkAの残基187〜281をTrkBの残基190〜282(配列38)と置き換えることによって生成した。
ヒト化TOA−1抗体のTrkB−TrkAキメラ受容体への結合を評価するための細胞ベースELISAを、以下の通り実施した。
細胞トランスフェクション:
ヒト胚腎臓293細胞(ATCC)を、10cmの組織培養プレート1つ当たり4.5×10細胞で蒔き、37℃で一晩培養する。翌日、製造者プロトコールを使用して試薬とプラスミドDNAの3:1の比でLF2000試薬(Invitrogen、カタログ番号11668−019)を使用して、細胞にキメラTrkA−B発現プラスミドをトランスフェクトする。細胞を、トリプシンを使用してトランスフェクトして48時間後に回収し、リン酸緩衝溶液(PBS)で1回洗浄し、次いで2×10細胞/mlで血清を含まない増殖培地中に懸濁させる。
細胞ベースELISAアッセイ
1μg/mlの抗TrkBまたは対照抗体を、96−ウェルプレートを使用して1% BSAを含有するPBS中で1:3に連続希釈する。無血清増殖培地中2×10細胞/mlの適切なキメラTrkA−B−トランスフェクト293細胞または対照親293細胞 100μlをU底96ウェルプレートに添加して1×10細胞/ウェルを得る。細胞を1600cpmで2分間遠心分離する。上清を1回のスイングで廃棄し、プレートを穏やかにたたいて細胞ペレットを放つ。10% FCSを含有する冷PBS中の希釈した一次抗TrkBまたはアイソタイプ−マッチング対照抗体100μlを細胞に添加し、氷上で1時間インキュベートする。次いで細胞を、希釈した二次抗IgG抗体HRPコンジュゲート(ロバ抗ウサギIgG、Thermo、カタログ番号31458;ヤギ抗マウスIgG FC、Pierce、31439;ヤギ抗ヒトIgG Fc、Pierce、カタログ番号31413)100μlを用いて氷上で1時間染色する。一次抗体および二次抗体インキュベーションの各ステップの後、細胞を氷冷PBSで3回洗浄する。基質TMB1コンポーネント(BIO FX、TMBW−0100−01)100μlをプレートに添加し、室温で10分間インキュベートする。発色を、0.18M HSO 100μlを添加することによって停止する。細胞を遠心分離し、上清を新鮮なプレートに移し、450nm(Soft MAX pro 4.0、Molecular Device)で読み取る。
図33に示したように、この細胞ベースELISAにおいて、抗TrkB抗体TOA−1は、細胞表面で発現したTrkB(配列34)に結合するが、TrkA(配列33)に結合しない。この同じアッセイフォーマットにおいて、TOA−1は、キメラTrkA(d5TrkB)に結合するが、TrkB(d5TrkA)に結合しない。さらに、TOA−1は、TrkB(d4TrkA)に結合し、TrkA(d4TrkB)に結合しない。総合して、結果は、TOA−1抗体は、TrkBのドメイン5に結合し、TrkBのドメイン4は、TOA−1結合に十分でないことを示す。
(実施例51)
ネコNTRK2(TrkB)cDNAの単離
方法
ネコ(フェリス・ドメスティクス(Felis domesticus))TrkBの単離
TrkBネココード配列を単離し、標準的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を使用してクローニングした。全長ネコ(フェリス・ドメスティクス(Felis domesticus))TrkB配列を、Stratagene Easy−A High−Fidelityシステム(カタログ番号600640)、ならびにプライマーとしてオリゴヌクレオチド、5’GGATCCGCCGCCACCATGTCGTCCTGGACGAGGTGGCATGG(配列番号144)および5’GCGGCCGCCTAGCCCAGAATATCCAGGTAGACCGGAGAT(配列番号145)を使用する示唆されたプロトコールを使用して、ネコ脳cDNAプール(BioChain)から増幅させた。cDNAをpCR2.1−TOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングし、引き続いてBamHIおよびNotI制限酵素部位を用いてpcDNA3.1−Hyg(Invitrogen)中にサブクローニングした。結果として生じるプラスミドを配列決定した(配列番号140、141)。
イヌ(カニス・ファミリアリス(Canis familiaris))全長TrkB(XM_851329)コード配列を、プライマーとしてオリゴヌクレオチド5’GGATCCGCCGCCACCATGTCGTCCTGGACGAGGTGGCATGG(配列番号146)および5’GCGGCCGCCTAGCCTAGAATATCCAGGTAGACTGGAG(配列番号147)を使用して、上述したようにイヌ脳cDNAプール(BioChain)からPCRによって増幅させた。ヒトTrkBアイソフォームcのイヌオルソログを上述したpcDNA3.1−Hyg中へのサブクローニングのために選択した。結果として生じるプラスミドを配列決定した(配列番号142、143)。
(実施例52)
細胞ベースELISAによって測定した異なる種のTrkBへの抗体結合
細胞ベースELISAを実施して、マウス(nm_001025074)、ネコ、およびイヌTrkB受容体への抗TrkB抗体の結合を評価した。
細胞トランスフェクション:
ヒト胚腎臓293細胞(ATCC)細胞を、10cmの組織培養プレート1つ当たり5×10細胞で蒔き、37℃で一晩培養する。翌日、製造者のプロトコールを使用して試薬とプラスミドDNAの3:1の比でFugene6(Roche Applied Sciences)を使用して、細胞にヒト、イヌ、またはネコTrkB発現プラスミドをトランスフェクトする。細胞を、Accutase(Millipore)を使用してトランスフェクトして24時間後に回収し、リン酸緩衝溶液(PBS)で1回洗浄し、次いで2×10細胞/mlで0.2%BSAを含むDMEM中に懸濁させる。
細胞ベースELISAアッセイ
10μg/mlの抗TrkBまたは対照抗体を、96−ウェルプレートを使用して0.2% BSAを含有するDMEM中で1:3.17に連続希釈する。上記からの適切なTrkB−トランスフェクト293細胞または対照LacZ−トランスフェクト293細胞50μlをU底96ウェルプレートに添加して1×10細胞/ウェルを得る。プレートを4℃で15分間放置した後、希釈した一次抗TrkBまたはアイソタイプ−マッチング対照抗体50μlを細胞に添加する。細胞および抗体を穏やかなピペット操作によって混合し、次いで4℃で1時間インキュベートする。細胞を、1600cpmで2分間遠心分離することよって氷冷PBSで3回洗浄する。各回に、上清を1回のスイングで廃棄し、プレートを穏やかにたたいて細胞ペレットを放した後、次の緩衝液または培地を添加する。次いで、0.2% BSAを含むDMEM中の希釈した二次抗IgG抗体HRPコンジュゲート(Pierce)100μlを細胞に添加する。細胞を4℃で1時間インキュベートし、上述したように3回洗浄する。染色のために、基質TMB1コンポーネント(BIO FX、TMBW−0100−01)100μlを各ウェルに添加し、室温で5〜30分間インキュベートする。色展開を、0.18M HSO 100μlを添加することによって停止する。細胞を遠心分離し、上清を新鮮なプレートに移し、450nm(Soft MAX pro 4.0、Molecular Device)で読み取る。
抗TrkB抗体マウスTOA−1およびヒト化TOA−1は、図33に示したように、細胞ベースELISAによって判定した場合、マウス、ネコ、およびイヌTrkBに結合する。細胞ベースELISAによって判定した場合の、細胞表面マウス、イヌ、およびネコTrkBへのTOA−1の結合についてEC50値を表31に示す。
Figure 0006868394
(実施例53)
TrkA、TrkC、およびp75に対する抗TrkB抗体の選択性
複数の実験的手法を使用して、抗TrkB抗体、TOA−1が、ヒトTrkA、TrkC、および低親和性BDNF受容体p75 NTRに対してヒトTrkBについて選択的であることを実証した。
直接結合ELISA
TrkBへのTOA−1選択性を、以下の通り、ビオチン化ヒト化TOA−1、キメラTOA−1、およびマウスTOA−1抗体を用いた組換えヒトTrkA−Fc、TrkB−Fc、またはTrkC−Fcへの直接結合ELISAによって評価した。
96−ウェルプレート(Costar)を、PBS中の1μg/ml rhTrkB−ECD(R&Dシステム、688−TK)、5μg/ml rhTrkA−ECD(R&Dシステム、175−TK)、または5μg/ml rhTrkC−ECD(R&Dシステム、373−TC/TF)で被覆し、4℃で一晩インキュベートした。プレートを、PBS+0.2% カゼイン(1ウェル当たり100μl)で、室温で3時間ブロックした。次に、6.7nMのビオチン化抗体(マウスTOA1、キメラTOA1、ヒト化TOA−1、またはアイソタイプ対照)100μlをウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。ウェルをPBS+0.03% tween−20で4回洗浄した。1:10,000に希釈したストレプトアビジン−HRP(Southern Biotech カタログ番号7100−05)を添加し、室温で30分間インキュベートした。ウェルをPBS+0.03% tween−20で4回洗浄し、TMB(BioFx)を添加した。反応を5〜10分間展開させ、次いで0.18N HSOでクエンチした。450nmの吸光度を判定した。
図34に示したように、ヒト化TOA−1(すなわち、TAM−163)、キメラTOA−1、およびマウスTOA−1は、TrkB−Fcに結合するが、TrkA−FcまたはTrkC−Fcに結合しない。
FACs分析
90%コンフルエントなHEK293細胞に、製造者の指示に従ってFugene6 (Roche Applied Sciences)を使用して、ヒトTrkB(哺乳動物発現ベクターpcDNA3.1−hyg中にクローニングしたnm_006180に由来するオープンリーディングフレーム、Invitrogen)またはヒトp75NTR(ベクターpSMED2中にクローニングしたNM_002507に由来するオープンリーディングフレーム)を発現するプラスミドを一過性にトランスフェクトした。ヒトTrkBおよびヒトp75NTRの発現をウエスタン分析によって検証した。トランスフェクション後24時間において、細胞を回収し、PBSで洗浄し、PBS/0.5% BSA中に再懸濁させた。2.5×10個のhuTrkBおよびhu p75NTR細胞を以下の通り抗体を用いて染色した。p75NTR検出のために、細胞を1μg/ml マウス抗P75−Alexa488(Millipore MAB5368X)とともに4℃で30分間インキュベートし、その後、遠心分離(5分にわたって1500rpm)によってPBSで洗浄した。TrkB染色のために、細胞を1μg/ml ヒト化TOA−1抗体とともに、4℃で30分間インキュベートし、その後、上述したようにPBSで洗浄した。次に、細胞をFITC標識マウス抗ヒトIgG(Southern Biotech S9670−02)とともに4℃で30分間インキュベートし、その後上述したようにPBSで洗浄した。染色した細胞を、CellQuestソフトウェア(Becton Dickinson)を使用してFACSCaliburで分析した。
図35に示したように、FACS分析を使用して、TOA−1抗体は、細胞表面で発現したヒトTrkBに結合するが、細胞表面で発現したヒトp75NTRに結合しない。それぞれの細胞株上の抗p75を使用するFACS分析は、これらの細胞株中のp75の細胞表面発現を確認する。
細胞ベースELISA
細胞ベースELISAを実施して、TOA−1がヒトTrkB受容体に結合するが、p75NTRに結合しないことを評価した。
ヒト胚腎臓293細胞を、2×10細胞/mlで0.2% BSAを含有するDMEM中に再懸濁させたことを除いて上記の通りトランスフェクトおよび回収した。20μg/mlの抗TrkB(TOA−1)、対照抗体(抗p75NTR、R&D AF367)、または抗huIgGアイソタイプ抗体を、96−ウェルプレートを使用して0.2% BSAを含有するDMEM中に1:3.17に連続希釈する。上記からのトランスフェクトまたは対照293細胞50μlをU底96ウェルプレートに添加して1×10細胞/ウェルを得る。プレートを4℃で15分間インキュベートした後、冷たい中での希釈した一次抗TrkBまたはアイソタイプ−マッチング対照抗体50μlを細胞に添加する。細胞および抗体を、上下に3回ピペット操作することによって混合した後、4℃で1時間インキュベートする。細胞を、1600cpmで2分間遠心分離することによって氷冷PBSで3回洗浄する。各回に、上清を1回のスイングで廃棄し、プレートを穏やかにたたいて細胞ペレットを放した後、次の緩衝液または培地を添加する。次いで、0.2% BSAを含むDMEM中の希釈した二次抗IgG抗体HRPコンジュゲート(Pierce)100μlを細胞に添加する。細胞を4℃で1時間インキュベートし、上述したように3回洗浄する。染色に関して、基質TMB1コンポーネント(BIO FX、TMBW−0100−01)100μlを各ウェルに添加し、室温で5〜30分間インキュベートする。色展開を、0.18M HSO 100μlを添加することによって停止する。細胞を遠心分離し、上清を新鮮なプレートに移し、450nm(Soft MAX pro 4.0、Molecular Device)で読み取る。
図36に示したように、TOA−1抗体は、TrkBを発現する細胞に結合するが、p75NTRコンストラクトをトランスフェクトした細胞に結合しない(図36A)。トランスフェクトされた細胞は、抗p75NTR抗体によって検出した場合、細胞表面上でp75NTRを確かに発現する(図36B)。
Trkシグナル伝達
マウス、キメラ、およびヒト化抗TrkB TOA−1抗体の、TrkBシグナル伝達カスケードを活性化するが、TrkAまたはTrkCカスケードを活性化しない能力を、Trkシグナル伝達のメディエーターとして公知のTrkの自己リン酸化、ならびにERK1/2、AKT、およびPLCγ1のリン酸化を監視することによって評価した(Friedmanら、Exp Cell Res、1999;253:131〜142に総説されている)。
CRE−ルシフェラーゼレポーター、ならびにrhuTrkA(NM_002529.3に由来するオープンリーディングフレーム)、rhuTrkB(nm_006180に由来するオープンリーディングフレーム)、およびrhuTrkC(NM_001012338.1に由来するオープンリーディングフレーム)の両方を発現するHEK−293細胞の安定な細胞株を、標準技法を使用して生成した(Zhangら、2007、Neurosignals、15:29〜39)。安定な細胞株を、rhuTrkA−CRE、rhuTrkB−CRE、およびrhuTrkC−CREと命名する。
Trk−発現細胞を、TOA−1抗体、アイソタイプ対照抗体、またはニューロトロフィンリガンドBDNF、NGF、およびNT3で処置した。以下に詳述するように、ウエスタン分析を実施して、hTrk(Tyr490)の自己リン酸化、ならびにERK1/2(Thr202/Tyr204)、AKT(Ser473)、p38(Thr180/Tyr182)、およびPLCγ1(Tyr783)のリン酸化を評価した。
rhuTrkA−CRE、rhuTrkB−CRE、rhuTrkC、または親HEK−293細胞を、10% FCS−DMEM増殖培地中で、5×10細胞/ウェルで6ウェルプレートに蒔き、細胞が85〜90%コンフルエントになるまで培養した。細胞を0.1% FCS−DMEM(低血清培地)で1回洗浄し、低血清培地中でさらに4時間インキュベートした。次に、細胞を、TOA−1抗体(最終濃度100nM)またはニューロトロフィン(TrkB:BDNF、R&D #248BD、10nMの最終濃度;TrkA:NGF、R&D 256GF、10nMの最終濃度;TrkC:NT3、R&D267N3、25nMの最終濃度)で15〜60分間処置した。培地をウェルから吸引し、1×ローディング緩衝液(Invitrogen NP0007、1% b−MEを含む)0.6mlを1ウェル当たりに添加して細胞を溶解させた。細胞溶解物をエッペンドルフチューブに移し、100℃で5分間加熱した。各試料25μlをNuPAGE 4〜20%ビス−トリス勾配ゲル(Invitrogen)上に溶解させた。
ウエスタン分析を以下の通り実施した。電気泳動後、サイズ分画されたタンパク質をニトロセルロース膜上に移した。膜をT−TBS(TBS中0.15% Tween20)中の5%ミルクでブロックし、1%ミルク T−TBS中の適切な一次抗体[抗P−Trk:Phosphor−TrkA(Tyr490)、Cell Signaling(CS)#9141;抗ホスホ−PLCγ1(Tyr783)、CS#2821;抗ホスホAKT(Ser473)、CS#9271;抗P−ERK1/2(ホスホ−P44/P42(Thr202/Tyr204)、CS #9101;抗アクチン、Sigma A2066]とともに、4℃にて一晩ロッキングプラットフォーム上でインキュベートした。膜をT−TBS中で3回洗浄し、次いで適切なHRP−コンジュゲート二次抗体(Cell Signaling #7974)とともに2時間インキュベートした。次に、膜をT−TBS中で4回、およびTBS中で1回洗浄した。信号を、ECLキット(GE RPN2106V)および製造者のプロトコール、その後X線フィルム曝露またはGel−Doc(Bio−Rad)を使用して展開させて、画像を捕捉した。
図37に示したように、TOA−1抗体は、TrkAおよびTrkC発現細胞内で、Trk自己リン酸化、ならびにPLCγ1、AKT、およびERK1/2リン酸化において基礎レベルを超える検出可能な増大を引き起こすことができなかった。対照的に、TrkAおよびTrkCリガンド、それぞれNGFおよびNT3は、応答を誘導し、細胞シグナル伝達システムがインタクトであることを示した。
すべてのさらなる実施例において、huTOA−1(配列番号51および53)をTAM−163と呼ぶ。
(実施例54)
触媒および非触媒TrkBアイソフォームのmRNA発現
機能的試験に備えて、かつ高レベルの内因性TrkBを発現する組織および細胞株を同定するために、TrkBの非触媒アイソフォームと比較した触媒アイソフォームの組織分布を、Taqman定量的PCR(Q−PCR)を使用して検査した。プライマー−プローブ対を、すべてのhTrkBアイソフォームに一般的な細胞外ドメイン(ECD)、または触媒hTrkB−aおよびhTrkB−cアイソフォームに一般的な触媒ドメインを認識するように設計した。検量線を、TrkBプラスミドcDNAを使用して各プライマープローブ対について生成し、生データをTrkB cDNA分子に変換するのに使用した。異なるmRNA試料について同様の効率の逆転写を仮定すると、この数値は、各組織についてのTrkB mRNAの分子を反映する。2つの独立したプライマー−プローブ対を各領域について設計し、同様の結果が両方の対で得られた。表32で分かるように、hTrkBは、脳内で最も高度に発現され、この組織において、TrkBの触媒アイソフォームは、すべてのTrkBアイソフォームの約35%を占める。神経芽細胞腫細胞株SH−SY5Yは、レチノイン酸で分化させたとき、ヒト脳内で見つかるものと同等のレベルのTrkB mRNAを発現し、TrkB mRNAの87%が触媒アイソフォームによって占められた。したがって、この細胞株を、内因性TrkBに対するTAM−163の効果を評価するのに選択した。非神経細胞組織は、すべてのアイソフォームの発現を検査したとき、脳内で見つかるTrkB mRNAレベルの10%未満を示し、触媒アイソフォームの発現は、より低くさえあり、脳内で観察される量の2%未満を構成した。TrkBの最低の発現が末梢血白血球内で観察され、TrkB mRNAは、かろうじて検出可能であった。
Figure 0006868394
(実施例55)
組換えhTrkB、hTrkA、およびhTrkCを発現する細胞株内のTAM−163によるシグナル伝達
TAM−163の、TrkBシグナル伝達カスケードを活性化する能力を、1)TrkBシグナル伝達活性化を監視するための転写レポーターアッセイ、2)シグナル伝達分子SHC1のTrkBへの動員を監視するための酵素相補性アッセイ、ならびに3)Trkシグナル伝達のメディエーターとして公知のhTrkBの自己リン酸化、ならびにERK1/2、AKT、およびPLCγ1のリン酸化の評価を使用して評価した。同じアッセイを、TAM−163のTrkAおよびTrkCシグナル伝達経路を活性化する能力を検査するのにも使用した。
(実施例56)
TAM−163は、hTrkBを発現する細胞株内でCre−ルシフェラーゼレポーター遺伝子を活性化するが、hTrkAまたはhTrkCを発現する細胞株内で活性化しない。
Cre−ルシフェラーゼ(Cre−luc)転写レポーターアッセイは、TrkBリガンドのCRE応答エレメントを活性化し、したがって、複数の上流シグナル伝達経路を組み込む能力を測定する。このアッセイに使用される細胞株、hTrkB−Cre、hTrkA−Cre、およびhTrkC−Creは、以前に記載されており、適切な内因性リガンドに対して特異的に応答することが示された(Zhangら、Neurosignals.、2006−2007;15(1):26〜39、Qianら、J Neurosci.、2006年9月13日;26(37):9394〜9403)。hTrkB−Cre細胞をTAM−163で処置すると、ルシフェラーゼ活性が用量依存的に増大し、EC50は、0.2nMであり、最大増大倍率は、5倍であった(図38)。同じ実験において、ヒトBDNF(Peprotech、Rocky Hill、NJ)は、5.2nMのEC50および7.5倍の最大増大倍率を示し、一方、hIgG対照抗体は、効果を有さなかった(図38)。実験間で、EC50および最大誘導倍率は、TAM−163について0.10nM〜0.79nMおよび2.5〜5.4倍、ならびにヒトBDNFについて5.2〜8.2nMおよび6〜7.5倍の範囲であった。hTrkB Cre−lucレポーターアッセイにおいて複数回試験したTAM−163の異なるロットについての個々の活性データを以下に示す(表33)。すべてのアッセイにわたって平均すると、このアッセイにおけるTAM−163のEC50値は、0.37±0.06nMであると判定され、誘導倍率は、4.2±0.3であった。
Figure 0006868394
TAM−163のヒトTrkAおよびTrkCとの交差反応性を、適切な内在性対照(hTrkAについてNGF、hTrkBについてBDNF、およびhTrkCについてNT−3)とともにhTrkB−Cre、hTrkA−Cre、およびhTrkC−Cre、ならびに20nMまたは100nMのTAM−163を使用して試験した(図39)。内因性リガンドは、予期された応答をもたらした一方(NGF:4.5倍の増大 hTrkA−Cre;NT−3:2.9倍の増大 hTrkC−Cre)、TAM−163は、hTrkAまたはhTrkC細胞のいずれにおいてもhIgG対照と比較していずれのルシフェラーゼ活性の増大も示さなかった。同じ実験において、TAM−163は、3.4〜4.1倍、hTrkB−Cre細胞を確かに活性化し、予期されたようにTAM−163がTrkBに対して有効であったことを実証した。
(実施例58)
TAM−163は、hTrkBを発現する細胞内でSHC1動員を媒介するが、hTrkAまたはhTrkCを発現する細胞内で媒介しない
TAM−163のhTrkA、hTrkB、およびhTrkCを活性化する能力も、酵素相補性アッセイでアッセイした(図40;表34)。このアッセイは、Discoverx Pathhunter技術を使用してU20S細胞内の自己リン酸化TrkBへのシグナル伝達分子SHC1の動員を監視する。TAM−163は、Cre−ルシフェラーゼレポーターアッセイで観察されたものと同様の効力を伴って、このアッセイにおいてhTrkBを活性化した(EC50=0.67nM)(図40;表34)。Cre−ルシフェラーゼアッセイと同様に、TAM−163によって誘導された最大信号は、BDNFで観察された最大信号より有意に低く、TAM−163がこのアッセイにおいて部分アゴニストであることを示唆した。重要なことに、TAM−163は、最大で670nMの濃度でhTrkAまたはhTrkCを活性化せず、一方、これらの受容体の内因性リガンドは、非常に低い濃度で強い活性化を示した(図40;表34)。hTrkA、hTrkB、およびhTrkCは、このアッセイにおいて著しく広いアレイの内因性Trkリガンドによって活性化された。それは、アッセイした特定のシグナル伝達経路(SHC1動員)、細胞バックグラウンド(U2OS細胞)、またはPathhunterシステムの特質を反映し得る(このアッセイは、小さいペプチドエピトープに融合したhTrkB−aアイソフォームを使用し、一方、本発明者らの他のアッセイは、天然hTrkB−cアイソフォームで行う)。TAM−163は、このアッセイにおける内因性リガンドの明らかな緩和された特異性にもかかわらずhTrkAおよびhTrkCを交差活性化(crossactivate)しなかったことは注目すべきである。
Figure 0006868394
(実施例59)
TAM−163は、hTrkBを発現する細胞内でTrk依存性リン酸化事象を活性化するが、hTrkAまたはhTrkCを発現する細胞内で活性化しない。
TrkBの下流のシグナル伝達事象を直接監視するために、本発明者らは、ウエスタンブロッティングを使用した。TrkB(Y490)の自己リン酸化、ならびにERK1/2(Thr202/Tyr204)、PLCγ1(Tyr783)、およびAKT(Ser473)を含めたTrkBの下流のシグナル伝達分子のリン酸化を、上述したhTrkA−Cre、hTrkB−Cre、およびhTrkC−Cre細胞株を使用して評価した。TAM−163は、hTrkB−Cre細胞内でTrkB(Y490)、ERK1/2(Thr202/Tyr204)、PLCγ1(Tyr783)、およびAKT(Ser473)の用量依存的リン酸化を誘導したが、hIgG対照抗体は、それを誘導しなかった(図42)。
TAM−163は、hTrkA−CreまたはhTrkC−Cre細胞内でシグナル伝達を誘導することができなかった(図42)。hTrkA(NGF)およびhTrkC(NT−3)の内因性リガンドは、hTrkA−CreならびにhTrkC−Cre細胞内でTrk自己リン酸化、ならびにシグナル伝達中間体ERK1/2およびPLCγ1のリン酸化の両方を誘導し、これらの細胞株がこれらの適切なリガンドに応答することを実証した。同じ実験において、TAM−163は、hTrkBの下流のシグナル伝達を活性化することができ、TAM−163が活性であることを実証した。
(実施例60)
TAM−163は、内因性hTrkBを発現するヒト神経芽細胞腫細胞株内でTrk依存性リン酸化事象を活性化する。
TAM−163の内因性TrkBを発現する細胞内でシグナル伝達する能力を検査するために、本発明者らは、分化したヒト神経芽細胞腫SH−SY5Y細胞を使用した。TAM−163は、これらの細胞内で、用量依存的な様式でERK1/2、PLCγ1、およびAKTのリン酸化を誘導したが、hIgG対照抗体は、それを誘導しなかった。効果は、1nM以上のTAM−163の濃度で明らかとなった(図43)。BDNFと比較して、TAM−163は、いくぶん強力でないと思われ、リン酸化の有意により低い最大刺激を示し、TAM−163がこのシステムにおいて部分アゴニストであることを示唆した。
(実施例61)
TAM−163は、hTrkBの内部移行および分解を誘導する
BDNFは、TrkBの内部移行および分解を媒介すると報告されている。本発明者らは、組換え(hTrkB−Cre)または内因性(SH−SY5Y)TrkBを発現する細胞株を使用してTrkBの内部移行および分解に対するTAM−163の効果を検査した。内部移行を監視するために、細胞を、示した時間にわたってTAM−163またはBDNFで活性化し、次いで細胞表面タンパク質を、ビオチンで標識し、ストレプトアビジン親和性精製によって単離し、細胞表面TrkBタンパク質をウエスタンブロッティングによって同定した。このアッセイにおいて、ビオチン化TrkBは、活性化後に細胞表面上に残っているTrkBを表す。図44で分かるように、TAM−163は、組換えTrkB(hTrkB−Cre)を発現する細胞、および内因性TrkB(SH−SY5Y)を発現する細胞内でTrkBのかなりの内部移行を誘導したが、対照hIgG抗体は、それを誘導しなかった。TAM−163は、無関係のタンパク質(EGF−受容体、NMDA−受容体)の細胞表面レベルに影響しなかった。TAM−163によって誘導されるTrkB内部移行の時間経過および量は、hTrkB−CreおよびSH−SY5Y細胞の両方においてBDNFと同等であった(図44)。
TrkB分解を監視するために、細胞表面タンパク質をリガンド曝露の前にビオチンで標識し、次いで細胞をTAM−163またはBDNFで示した時間にわたって活性化した。標識したタンパク質をストレプトアビジン親和性精製によって単離し、TrkBをウエスタンブロッティングによって同定した。このアッセイにおいて、ビオチン化TrkBは、活性化後に残っている総TrkBを表し、標識したTrkBの消失は、細胞からのそのクリアランスの尺度である。図45で分かるように、TAM−163は、組換えTrkB(hTrkB−Cre)を発現する細胞、および内因性TrkB(SH−SY5Y)を発現する細胞内で細胞表面標識TrkBの分解を誘導したが、hIgG対照抗体は、それを誘導しなかった。TAM−163は、無関係のタンパク質(EGF−受容体、NMDA−受容体)に影響しなかった。TAM−163によって誘導されるTrkB分解の時間経過および量は、hTrkB−CreおよびSH−SY5Y細胞の両方においてBDNFと同等であった(図45)。
(実施例62)
TAM−163は、ヒトp75NTRに結合しない
TAM−163のヒトp75NTRへの交差反応性を、hTrkBまたはヒトp75NTRを一過性にトランスフェクトしたHEK293細胞を使用して、蛍光活性化細胞選別装置(FACS)分析によって検査した。TAM−163(6.7nM)は、対照空ベクターをトランスフェクトした細胞と比較して蛍光の増大によって証明されるように、hTrkBをトランスフェクトした細胞に特異的に結合することができた(図46)。TAM−163は、ヒトp75NTRをトランスフェクトした細胞へのいずれの結合も示さず、実際には、染色は、対照のトランスフェクトした細胞と比較してわずかにより低かった(図46、上のパネル)。p75NTRが実際に発現され、細胞表面に存在したことを検証するために、細胞をALEXA−標識抗p75NTR抗体で染色した。図46、下のパネルで分かるように、抗p75NTR抗体は、p75NTRを発現する細胞を強く染色したが、hTrkBまたは対照ベクターを発現する細胞を染色しなかった。
第2の手法として、本発明者らは、細胞ベースELISAを使用してp75NTRを発現する細胞へのTAM−163の結合を試験した。hTrkB、ヒトp75NTR、または対照ベクターを一過性にトランスフェクトしたHEK293細胞を、TAM−163または抗p75NTR抗体とともにインキュベートした。TAM−163は、0.2nMという低い濃度で検出可能な結合を伴ってヒトTrkBを発現する細胞に特異的に結合した(図47)。TAM−163は、非常に高い濃度(67nM)でさえ、ヒトp75NTRを発現する細胞へのいずれの結合も示さなかった。p75NTRが実際に発現され、細胞表面に存在したことを検証するために、抗p75NTR抗体を用いた染色を使用した。予期されたように、抗p75NTR抗体は、ヒトp75NTRを発現する細胞を染色したが、対照細胞またはhTrkBを発現する細胞を染色しなかった(図47)。
(実施例63)
サル、マウス、イヌ、およびネコTrkBとのTAM−163の交差反応性
カニクイザルTrkBについての配列情報が利用可能でないので、本発明者らは、標準的なクローニング生物学技法および鋳型として脳を使用してこの種に由来するTrkB cDNAを単離した。配列決定は、TrkB−cおよびTrkB−aアイソフォームの両方の存在を明らかにし、クローンの大部分(8/10)は、TrkB−cアイソフォームを含有した。カニクイザルTrkB cDNA配列のヒトTrkB配列との比較は、シグナル配列中の1つのアミノ酸変化を例外として、成熟したカニクイザルTrkBタンパク質は、ヒトTrkBのアミノ酸配列において同一であることを示す。アカゲザルTrkB配列(XP_001107264として公共データベースにおいて利用可能)は、成熟したヒトTrkBと同一であることが見出される(示さず)。サルTrkBタンパク質は、ヒトと同一であるので、上記に示したすべてのヒトTrkB結合およびシグナル伝達データは、サルTrkBに同等に適用可能である。
本発明者らは、結合およびシグナル伝達実験の両方を使用してTAM−163のマウスおよびイヌTrkBとの交差反応性を評価した。結合については、細胞ベースELISAを使用した。マウス、イヌ、もしくはネコTrkB、または対照ベクターを一過性にトランスフェクトしたHEK293細胞を、様々な濃度のTAM−163抗体とともにインキュベートした。用量依存的な結合が、すべての種に由来するTrkBに対して観察され、一方、結合は、laczを発現する対照細胞株に対して観察されなかった。EC50は、種間で同様であり(マウスTrkB=0.34nM;イヌTrkB=0.94nM;ネコTrkB=0.39nM)、TAM−163は、高親和性を伴ってマウス、イヌ、およびネコTrkBに結合することを示した(図48)。
マウスおよびイヌTrkBにシグナル伝達を誘導するTAM−163の能力を評価するために、本発明者らは、マウスまたはイヌTrkBを発現する安定な細胞株を生成した。TAM−163は、マウス(図49;TAM−163)およびイヌ(図50;TAM−163)TrkB細胞の両方において、TrkB(Y490)、ERK1/2(Thr202/Tyr204)、PLCγ1(Tyr783)、およびAKT(Ser473)のリン酸化を用量依存的に活性化したが、hIgG対照抗体は、それを活性化しなかった。シグナル伝達経路の活性化は、マウスおよびイヌの両方において1nM以下の濃度で検出可能であり、マウスおよびイヌTrkBについての結合アッセイにおいて観察されたEC50と一致した。
(実施例64)
感覚神経性難聴におけるTrkB:
一時的および永続的な難聴を、強烈な音への過剰曝露、化学誘導損傷、または老化から起こる神経変性(老人性難聴)を含めた様々な源によって誘導する。Liberman、2009、J.Neurosci.、29(45):14077〜14085からの最近の証拠は、リボンシナプスが急性騒音曝露後の、および老人性難聴においての両方の傷害の原因の第1の部位であることを示唆する。このリボンシナプス損傷は、らせん神経節ニューロン(SGN)および毛髪細胞消失に先行し、リボンシナプスを難聴介入の誘引性の標的にする。
ニューロトロフィンとして公知の因子関連ペプチドが、神経発達および維持にとって本質的であり、いくつかのニューロトロフィンが、いくつかの神経細胞受容体に対して作用し、神経細胞の生存および分化を促進することが知られている。このクラスのペプチドは、リボンシナプス、具体的には、脳由来神経栄養因子(BDNF)にインパクトを与えることが示されている。Wiseらのエレガントな研究(その内容が参照により本明細書に組み込まれているJ.Comp.Neurol.、2000、487:147〜165)は、BDNF処置が、すべての蝸牛領域にわたって常に聴力を失わせることに応答してSGNの喪失を防止したことを明らかに実証する。具体的には、BDNFを適用すると、試験したモデルにおいて聴覚神経細胞死が防止され、継続した神経細胞喪失が低減され、蝸牛の性能が増強され、聴覚に対して大きい効果が生じた。Melsterら(その内容が参照により本明細書に組み込まれているCurr Biol、2014:24(6):658〜663)は、TrkBが、マウスの蝸牛における騒音外傷に対する概日感度に対する保護を媒介することを実証した。Schimmangら(その内容が参照により本明細書に組み込まれているDevelopment、2003、130:4741〜4750)は、出生後の蝸牛においてBDNFおよびTrkBシグナル伝達が欠如すると、周波数軸(tonotopic axis)に沿った神経支配の空間的な再形成および難聴に至ることを実証した。
チロシンキナーゼ受容体B(TrkB)は、いくつかの増殖因子関連ペプチド(ニューロトロフィン)、特に、BDNFおよびニューロトロフィン−3(NT−3)の高親和性触媒受容体である。TrkBは、それを、突然の難聴、騒音誘導難聴、年齢関連難聴(老人性難聴)、騒音誘導難聴、薬物誘導難聴、および聴覚の遺伝子障害を含めた様々な感音難聴障害の強い潜在的な治療標的にするリボンシナプスを含めた中枢神経系全体にわたる神経細胞内で主に発現され、機能する。したがって、TrkBアゴニストは、このような難聴障害を処置するための潜在的な治療剤であり得る。
TAM−163は、TrkBのアゴニストとして設計されたヒト化モノクローナル抗体である。TAM−163(huTOA−1およびPF−05230901とも呼ぶ)は、下流シグナル伝達カスケードの強い活性化を示し(図41、TRK、PLCγ1、およびERK1/2)、優れた選択性プロファイルを実証する(図42)選択的抗体TrkBアゴニストであることが示されている。したがって、TAM−163は、TrkBアゴニストによって処置され得る難聴障害の処置であって、このような処置を必要とする患者における、処置のための潜在的な治療剤であり得る。
このような患者は、異なる周波数で個体の聴覚感度を判定するために聴力計を使用してオージオロジストが行い得る難聴を判定するための試験によって同定することができる。他の聴覚試験、例えば、当技術分野で公知の多くのこのような試験の中でも、Weber試験、Rinne試験、騒音中の聴覚の試験、音響反射試験、およびティンパノグラムも使用され得る。
(実施例65)
結論
本データは、TAM−163がTrkBシグナル伝達カスケードのすべての態様を活性化するヒトTrkBの強力で特異的なアゴニストであることを実証する。TAM−163の効力(EC50)は、内因性TrkBリガンドBDNFと同等であるが、最大効果は、BDNFで観察されるものより低く(アッセイに応じて最大信号の約50〜80%)、TAM−163がヒトTrkBの部分アゴニストであることを示唆する。TAM−163は、BDNFと同様の様式でヒトTrkBの内部移行および分解を誘導する。TAM−163は、細胞−表面結合実験においてヒトTrkA、ヒトTrkC、またはヒトp75NTRと交差反応せず、ヒトTrkAまたはTrkCを発現する細胞株内でシグナル伝達を誘導しない。TAM−163は、ヒトTrkBに対するその効果と同様に、低ナノモル濃度でマウスおよびイヌTrkBに結合し、これらを活性化する。サルTrkBは、ヒトTrkBと100%同一であるので、TAM−163はまた、サルTrkBと完全に交差反応する。正常なヒト組織内のTrkBの触媒アイソフォームおよびすべてのTrkBアイソフォームのmRNA発現を検査すると、TrkBの触媒アイソフォームは、脳内で最も高度に発現され、ヒト神経芽細胞腫細胞株SH−SY5Yを、内因性TrkBによって媒介されるシグナル伝達を検査するのに使用することができることが確認される。
本発明のさらなる実施形態
E77.本発明の77番目の実施形態(E77)によれば、ヒトチロシン受容体キナーゼB(huTrkB)に特異的に結合する単離されたhuTrkB抗体であって、VH領域は、配列番号51、配列番号111、および配列番号113からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、VLドメインは、配列番号53、配列番号115、配列番号117、配列番号119、配列番号121、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、および配列番号132からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、単離されたhuTrkB抗体が提供されている。
E78.VH領域が、配列番号51のアミノ酸を含み、VH領域が、配列番号53のアミノ酸配列を含む、E77に記載の抗体。
E79.IgG1サブクラスである、E77からE78のいずれか1つに記載の抗体。
E80.HCが配列番号75を含み、LCが配列番号78を含む、E77からE79のいずれか1つに記載の抗体。
E81.ヒトチロシン受容体キナーゼB(huTrkB)に特異的に結合する単離されたhuTrkB抗体であって、VH領域は、配列番号110、配列番号111、および配列番号113からなる群から選択される配列によってコードされるアミノ酸配列を含み、VL領域は、配列番号123、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、および配列番号133からなる群から選択される配列を含む核酸によってコードされる、単離されたhuTrkB抗体。
E82.VH領域が、配列番号110を含む核酸によってコードされ、VL領域が、配列番号123を含む核酸によってコードされる、E77からE81のいずれか1つに記載の抗体。
E83.E77からE82のいずれか1つに記載の抗体をコードする核酸。
E84.VH領域が、配列番号110、配列番号111、および配列番号113からなる群から選択される配列を含む核酸によってコードされ、VL領域が、配列番号123、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号131、および配列番号133からなる群から選択される配列を含む核酸によってコードされるE77からE82のいずれか1つに記載の抗体をコードする核酸。
E85.VH領域が、配列番号110を含む核酸によってコードされ、VL領域が、配列番号123を含む核酸によってコードされるE77からE82のいずれか1つに記載の抗体をコードする核酸。
E86.E83からE85のいずれか1つに記載の核酸を含むベクター。
E87.E83からE86のいずれか1つに記載の抗体をコードする核酸を含むベクター。
E88.E83からE85のいずれか1つに記載の核酸を含む細胞。
E89.E86からE87のいずれか1つに記載のベクターを含む細胞。
E90.E77からE82のいずれか1つに記載の抗体を発現する細胞。
E91.E83からE85のいずれか1つに記載の核酸を含む細胞。
E92.抗体を生成する方法であって、抗体発現に貢献する条件下でE88からE91のいずれか1つに記載の細胞を培養することと、前記細胞に前記抗体を発現させることとを含む、方法。
E93.E77からE82のいずれか1つに記載の抗体、および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物。
E94.個体における難聴を処置する方法であって、治療有効量のE93に記載の医薬組成物を個体に投与することを含む、方法。
E95.個体におけるさらなる難聴を防止する方法であって、治療有効量のE93に記載の医薬組成物を個体に投与することを含む、方法。
E96.難聴が、突然の難聴、年齢関連難聴、騒音誘導難聴、薬物誘導難聴、および聴覚の遺伝子障害からなる群から選択される、E94から95のいずれか1つに記載の方法。
E97.難聴が、聴覚神経細胞死によって特徴付けられる、E94からE96のいずれか1つに記載の方法。
E98.聴覚神経細胞死が、TrkB活性化によって最小限にされる、または阻害される、E94からE97のいずれか1つに記載の方法。
E99.聴覚神経細胞死が、リボンシナプスで起こる、E94からE98のいずれか1つに記載の方法。
E100.蝸牛の性能を改善する、E94からE99のいずれか1つに記載の方法。
E101.難聴を処置するのに使用するための、E77からE82のいずれか1つに記載の抗体。
E102.個体におけるさらなる難聴の防止において使用するための、E77からE82のいずれか1つに記載の抗体。
E103.難聴が、突然の難聴、年齢関連難聴、騒音誘導難聴、薬物誘導難聴、および聴覚の遺伝子障害からなる群から選択される、E101から102のいずれか1つに記載の抗体。
E104.難聴が、聴覚神経細胞死によって特徴付けられる、E101からE103のいずれか1つに記載の抗体。
E105.聴覚神経細胞死が、TrkB活性化によって最小限にされ、または阻害される、E104に記載の抗体。
E106.聴覚神経細胞死が、リボンシナプスで起こる、E104からE105のいずれか1つに記載の抗体。
E107.難聴を有する個体への抗体の投与が、蝸牛の性能を改善する、E101からE106のいずれか1つに記載の抗体。
E108.難聴を処置するのに使用するための、E93に記載の医薬組成物。
E109.個体におけるさらなる難聴を防止するのに使用するための、E93に記載の医薬組成物。
E110.難聴が、突然の難聴、年齢関連難聴、騒音誘導難聴、薬物誘導難聴、および聴覚の遺伝子障害からなる群から選択される、E108から109のいずれか1つに記載の医薬組成物。
E111.難聴が、聴覚神経細胞死によって特徴付けられる、E108からE110のいずれか1つに記載の医薬組成物。
E112.聴覚神経細胞死が、TrkB活性化によって最小限にされる、または阻害される、E111に記載の医薬組成物。
E113.聴覚神経細胞死が、リボンシナプスで起こる、E111からE112のいずれか1つに記載の医薬組成物。
E114.難聴を有する個体への抗体の投与が、蝸牛の性能を改善する、E108からE113のいずれか1つに記載の医薬組成物。
E115.E1から71、およびE77からE107のいずれか1つに記載の抗体。
本発明を、こうして、上述した代表的な実施形態を参照して広く開示し、例示してきた。当業者は、様々な改変を、本発明の趣旨および射程から逸脱することなく、本発明に行うことができることを認識するであろう。すべての刊行物、特許出願、および発行済み特許は、各個々の刊行物、特許出願、または発行済み特許が、その全体が参照により組み込まれるように具体的かつ個々に示されているのと同じ程度に参照により本明細書に組み込まれている。参照により組み込まれているテキストに含有されている定義は、これらが本開示における定義と矛盾する範囲で除外される。
明確にするために別個の実施形態の脈絡で記載されている本発明のある特定の特徴は、単一の実施形態中に組合せで提供される場合もあることが察知される。反対に、簡潔にするために単一の実施形態の脈絡で記載されている本発明の様々な特徴は、別個に、または任意の適当なサブコンビネーションで提供される場合もある。
本発明の一実施形態に関して論じた任意の制限事項は、本発明の任意の他の実施形態に適用し得ることが具体的に企図されている。さらに、本発明の任意の組成物を、本発明の任意の方法で使用することができ、本発明の任意の方法を、本発明の任意の組成物を生成または利用するのに使用することができる。特に、単独で、または1つもしくは複数の追加の請求項および/もしくは本記載の態様と組み合わせた、特許請求の範囲に記載の本発明の任意の態様は、特許請求の範囲、および/または記載、および/または配列表、および/または図面中の他の場所で示した本発明の他の態様と組み合わせられると理解されるべきである。
本明細書に見出される特定の実施例が、本発明の射程内に入らない限りにおいて、前記特定の実施例は、明示的に放棄され得る。
請求項における用語「または」の使用は、選択肢のみを指すように明示的に示されていない限り、または選択肢が相互に排他的でない限り、「および/または」を意味するのに使用されるが、本開示は、選択肢のみ、ならびに「および/または」を指す定義を支持する。本明細書において、指定「a」または「an」は、別段に明らかに示されていない限り、1つまたは複数を意味し得る。請求項において本明細書で使用する場合、単語「含む」と併せて使用される場合、単語「a」または「an」は、1つまたは1つを超えるを意味し得る。本明細書において、「別の」は、少なくとも第2の、またはそれ超を意味し得る。本明細書で別段に定義されていない限り、本発明に関連して使用される科学用語および技術用語は、当業者が一般に理解する意味を有するものとする。さらに、脈絡によって別段に要求されていない限り、単数形の用語は、複数存在することを含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。単語「含む(comprises)/含む(comprising)」および単語「有する/含む(including)」は、本発明を参照して本明細書で使用する場合、述べた特徴、整数、ステップ、またはコンポーネントの存在を指定するのに使用されるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、コンポーネント、またはこれらの群の存在または付加を排除しない。
開示される教示を、様々な用途、方法、および組成物を参照して記載してきたが、様々な変更および改変を、本明細書の教示および以下の請求項に係る発明から逸脱することなく行うことができることが察知されるであろう。実施例は、開示した教示をより良好に例示するように提供されており、本明細書に提示した教示の射程を限定するように意図されていない。本教示をこれらの例示的な実施形態の観点から記載してきたが、これらの例示的な実施形態の多数のバリエーションおよび改変が、過度の実験を用いることなく可能である。すべてのこのようなバリエーションおよび改変は、本教示の射程内である。
本発明の態様または実施形態が、選択肢のマーカッシュ群または他のグループ分けの観点から記載されている場合、本発明は、全体として列挙した群全体だけでなく、個々に群の各メンバー、および主群のすべての可能な亜群、また群メンバーの1つまたは複数を欠く主群も包含する。本発明は、請求項に係る発明における群メンバーのいずれかの1つまたは複数の明確な除外も想定する。
特許、特許出願、論文、教科書などを含めた本明細書に引用されたすべの参考文献、およびその中に引用された参考文献は、それらが既に組み込まれていない範囲で、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。それだけに限らないが、定義される用語、用語使用、記載した技法などを含めて、組み込まれた文献および同様の資料の1つまたは複数が本願と異なり、または矛盾する事象では、本願が支配する。
本記載および実施例は、本発明のある特定の具体的な実施形態を詳述し、本発明者らが企図するベストモードを記載する。しかし、上記がどんなに詳述されて本文に出現し得ても、本発明を多くのやり方で実践することができ、本発明は、添付の特許請求の範囲およびこれらの任意の均等物に従って解釈されるべきであることが察知されるであろう。
Figure 0006868394

Claims (15)

  1. (i)第1のC界面で相互作用して第1のCドメイン(C)を形成する、第1のC1ドメイン(C1)および第1のCドメイン(C);
    (ii)第2のC界面で相互作用して第2のCドメイン(C)を形成する、第2のC1ドメイン(C1)および第2のCドメイン(C
    を含むヘテロ二量体タンパク質であって、第1のC1は、第1のC1中の少なくとも1つのC1突然変異残基だけ第2のC1と異なるように改変されており;第1のCは、第1のC中の少なくとも1つのC突然変異残基だけ第2のCと異なるように改変されており;
    その結果、第1のC1の少なくとも1つのC1突然変異残基および第1のCの少なくとも1つのC突然変異残基は、対応する第2のC1上の少なくとも1つのC1突然変異残基および第2のCの少なくとも1つのC突然変異残基に優先して互いに相互作用し、第1のC1および第1のCの相互作用している突然変異残基は、それによって第1の相補的な残基セットを形成し、
    ここで、第1の相補的残基セットが、C1−L124Kの突然変異およびCS176Dの突然変異を含み、
    ここで、第2のC 1は、第2のC 1中の少なくとも1つのC 1突然変異残基だけ第1のC 1と異なるように改変されており;第2のC は、第2のC 中の少なくとも1つのC 突然変異残基だけ第1のC と異なるように改変されており;
    その結果、第2のC 1の少なくとも1つのC 1突然変異残基および第2のC の少なくとも1つのC 突然変異残基は、対応する第1のC 1上の少なくとも1つのC 1突然変異残基および第1のC の少なくとも1つのC 突然変異残基に優先して互いに相互作用し、第2のC 1および第2のC の相互作用している突然変異残基は、それによって第2の相補的な残基セットを形成し;
    ここで、第2の相補的残基セットが、C 1−L124Eの突然変異およびC −S176Kの突然変異を含み;
    第1および第2のC 1のアミノ酸残基が、配列番号1のアミノ酸配列によって番号付けされるものであり、第1および第2のC のアミノ酸残基が配列番号9のアミノ酸配列によって番号付けされるものであり、
    第1のC1は、第1の可変重鎖ドメイン(V)に付着されており、第1のCは、第1の可変軽鎖ドメイン(V)に付着されており、第2のC1は、第2のVに付着されており、第2のCは、第2のVに付着されており、その結果、組み合わされたとき、第1のV、第1のV、第1のC、および第1のCは一緒に、第1のFabを形成し、組み合わされたとき、第2のV、第2のV、第2のC1、および第2のCは、第2のFabを形成し、
    第1のFabおよび第2のFabの優先的な形成は、可変ドメインの相補的対合を利用しない、ヘテロ二量体タンパク質。
  2. 第1の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、未満である、請求項1に記載のヘテロ二量体タンパク質。
  3. 第2の相補的残基セットの溶媒接触可能表面積が、2.5Åプローブを使用して測定した場合、20Å 未満である、請求項1に記載のヘテロ二量体タンパク質。
  4. 第1のCおよび第2のCの形成が、第1のC1および第2のC、または第2のC1および第1のCから構成されるCの形成に対して、少なくとも4倍優先的に起こる、請求項1から3のいずれか一項に記載のヘテロ二量体タンパク質。
  5. ドメインの少なくとも1つが、カッパドメインである、請求項1からのいずれか一項に記載のヘテロ二量体タンパク質。
  6. 第1のC1と第1のCおよび/または第2のC1と第2のCとの間に改変されたジスルフィド結合を含む、請求項1からのいずれか一項に記載のヘテロ二量体タンパク質。
  7. 改変されたジスルフィド結合が、以下の位置:
    (i)C1−122およびCL−123;
    (ii)C1−139およびCL−116;ならびに
    (iii)C1−174およびCL−176
    の1つまたは複数に位置している、請求項に記載のヘテロ二量体タンパク質。
  8. 野生型ジスルフィド結合が、第1のCおよび/または第2のC上で、C1−C230およびC−C214の一方または両方を、Cを除く任意の残基に突然変異させることによって除去されており、第1および/または第2のC1−C230ならびに第1および/または第2のC−C214が、Sに突然変異されている、請求項に記載のヘテロ二量体タンパク質。
  9. 第1および第2の相補的残基セットが、C1−143D、C1−145S、C1−186A、C1−186E,C1−188G、C1−143S、C1−190S、C1−190I、C133S、C135I、C176G、C176M、C178G、およびC178Sからなる群から選択される1つまたは複数の突然変異をさらに含む、請求項に記載のヘテロ二量体タンパク質。
  10. 第1のCが、C1−124K、C176D、C1−190S、およびC133Sを含み、第2のCが、C1−124E、C176K、C1−188G、およびC133Sを含み、 1のアミノ酸残基が配列番号1のアミノ酸配列によって番号付けられるものであり、C のアミノ酸残基が配列番号9のアミノ酸配列によって番号付けられるものである、請求項1からのいずれか一項に記載のヘテロ二量体タンパク質を含む二重特異性抗体。
  11. 請求項1からのいずれか一項に記載のヘテロ二量体タンパク質または請求項10に記載の二重特異性抗体をコードする単離された核酸。
  12. 請求項11に記載の核酸を含むベクター。
  13. 請求項11に記載の核酸を含み、または請求項12に記載のベクターを含む細胞。
  14. 請求項1からのいずれか一項に記載のヘテロ二量体タンパク質または請求項10に記載の二重特異性抗体を作製する方法であって、
    (i)細胞株に1種または複数のベクターをコトランスフェクトして、第1のCの第1のC1、第1のC、ならびに第2のCの第2のC1および第2のCを発現させることと;
    (ii)1種または複数のベクターを発現させる、かつ第1のCおよび第2のCをアセンブルさせる条件下で細胞株を培養することと;
    (iii)細胞培養液からヘテロ二量体タンパク質または二重特異性抗体を精製することとを含む、方法。
  15. 細胞株に、第1のC1、第1のC、第2のC1、および第2のCを1:1:1:1の比で発現するベクターがコトランスフェクトされる、請求項14に記載の方法。
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