以下、本実施形態を図面を参照して説明する。なお、複数の図面中、同一または相当部分には同一符号を付している。
(第1の実施形態)
本実施形態は、制動単輪キャスター用のブレーキ装置1に係る。すなわち、図2に示すように制動単輪キャスター4用の第1のブレーキ装置1は、鞄の一例であるスーツケース2に装着される。図2は、ケース蓋体2bを全開してケース本体2aの左右に展開したときの一部を断面で示すスーツケース2の外観正面図である。
スーツケース2は、鞄本体の一例である剛性を有する合成樹脂製や金属製等の角筒状のケースシェル2cを有する。このケースシェル2cは、有底角筒状のケース本体2aの一側辺部(図2では左側辺部)に、ほぼ同形同大またはやや薄型のケース蓋体2bの一側辺部(図2では右側辺部)を図示省略のヒンジ等により開閉可能に設けることにより構成されている。
スーツケース2は、例えばケース本体2aのケースシェル2cの底部の図2中、左右両角部外面に、制動可能に構成されていない通常のキャスターであって、非制動のフリー単輪キャスター3,3をそれぞれ設けている。また、例えば、ケース蓋体2bのケースシェル2cの底部には、図2中左右両角部外面に、後述する第1のロック装置17を具備した制動可能の制動単輪キャスター4,4を設けている。
そして、この第1のキャスターのブレーキ装置1はケース本体2aの所要箇所、例えば図2中正面の上部に、操作ユニット5を配設している。図3にも示すように、この操作ユニット5には、複数本、例えば2本の操作ワイヤー6,6を介して制動単輪キャスター4,4がそれぞれ接続されている。
これら左右一対の操作ワイヤー6,6は、例えば弾性を有する金属製ワイヤー等により形成され、その各上端部には、図8(a),(b)で示す横向き小円柱状の係止柱6aを一体に結合している。また、各操作ワイヤー6の外面を、弾性を有する合成樹脂製等の左右一対のアウターチューブ7,7により長さ(軸)方向に移動可能にそれぞれ被覆している。
すなわち、これら左右一対のアウターチューブ7,7は操作ユニット5と、左右一対の制動単輪キャスター4,4とに接続され、これらアウターチューブ7,7の内部には、左右一対の操作ワイヤー6,6を長さ方向に移動可能に挿通させている。これら左右一対の操作ワイヤー6,6とアウターチューブ7,7は、ケースシェル2cの内面に添設される。
図1(a),(b)、図4(a),(b)、図5等に示すように、操作ユニット5は、偏平有底角筒状のユニットベース5bを有し、このユニットベース5bの開口背面には、平板状のベースカバー5cを設けて、ユニットベース5bの開口背面を閉じている。
ユニットベース5bは、その底部外面5d上に矩形平板状のフロントパネル5eを配設している。底部外面5dには、つまみ5fを図中前方へ突出させる矩形のつまみ操作用開口部5gと、アンロックボタン8を図中前方へ突出させるボタン孔8aを形成している。これらつまみ操作用開口部5gとボタン孔8aは、フロントパネル5eにもほぼ同位置に形成されている。
図1(a),(b)、図6(a)に示すようにユニットベース5bは、その底部内面5h上に、偏平有底角筒状の主スライダ9を図中上下方向に摺動するように配設している。主スライダ9は、その底部外面9aにつまみ5fを直接突設し、つまみ5fの上下動操作により直接上下方向に摺動する手動操作部として構成されている。
そして、図4(a)等で示すようにつまみ5fは、図中下部側のロック操作位置と、図4(b)で示す図中上部側のアンロック操作位置との間を図中上下方向に摺動して往復し得るスライダ式に構成されている。これら2操作位置間で往動復可能のつまみ5fの往復ストロークは、オーバーストロークに構成されている。すなわち、操作ワイヤー6の長さが適切な長さの場合に制動単輪キャスター4の車輪(単輪)16を確実にロックし、アンロックすることができる適切なストロークよりも若干長く形成されている。すなわち、つまみ5fの往復ストロークは操作ワイヤー6の長さ(または後述する芯出し部6bの長さ)が適切な所定長よりも若干長過ぎる場合でも、つまみ5fをアンロック操作位置まで引き上げて保持される位置まで確実に移動できるように余裕を持たせたストロークに形成している。
また、主スライダ9は、その図中上部に、ほぼ横長矩形枠状の係止フレーム9bを一体に形成し、図中下部には、左右一対の副スライダ10,11を図中上下方向に摺動可能に収容する摺動凹部9cを形成している。この摺動凹部9cは、その図6中下端部を、図中前方にほぼ直角に突出する左右一対の下端突出部9d,9eにそれぞれ形成している。
左右一対の副スライダ10,11は、図中縦長で前面と背面を開口させた矩形枠状の副スライダ本体10a,11aを有し、これら副スライダ本体10a,11aの図中下端には、例えば2本の操作ワイヤー6,6をそれぞれ接続するワイヤー接続部10b,11bを形成している。各ワイヤー接続部10b,11bは各操作ワイヤー6の図中上端部に固着された各係止柱6aを係脱可能に収容する凹部をそれぞれ形成しており、これら凹部内に各係止柱6aを挿入することにより、各操作ワイヤー6と接続される。
各副スライダ10,11は、その縦長枠状の副スライダ本体10a,11a内に、その背面開口側から主スライダ9の左右一対の下端突出部9d,9eを挿入した状態で収容している。そして、ワイヤー接続部10b,11bの反対側である左右一対の下端突出部9d,9eと、左右一対の副スライダ10,11の各図中上端部10c,11cの間には、伸縮部の一例である左右一対のコイルスプリング10d,11dをそれぞれ介装している。
図6(b)に示すように主スライダ9は、その係止フレーム9bの図中上端部9fに、係止段部9gを切欠形成している。この係止段部9gは、係止爪8bに係脱可能に係止される。係止爪8bは図7に示すように、主スライダ9が上限のアンロック位置に引き上げられたときに係止段部9gに係止される。この係止状態は、アンロックボタン8を常時突出させるように付勢するコイルばね8c等のばねの弾圧力により保持され、アンロックボタン8を押し込んだときに解除される。すなわち、アンロックボタン8は、その押圧時に、ユニットベース5b側へ押し込まれ、その押圧を止めたときに、コイルばね8cの弾性復元力により外方へ突出する原状に復帰する。
一方、図3,図8(a),(b)等に示すように各制動単輪キャスター4は、ほぼ全体が合成樹脂により形成され、被取付体の一例であるスーツケース2の底部外面にボルト等により取付固定される取付ハウジング12を取付部として具備している。
図8(a),(b)に示すように、取付ハウジング12は、その平面中央部において、例えば図9(a),(b)で示す金属製の中空円管状の中空旋回軸13をほぼ直立させた状態で埋設して固定し、中空旋回軸13の外周部には、複数の取付ボス部を周方向に所要の間隔を置いて一体に形成している。これら取付ボス部は、スーツケース2等の鞄類や病院用の床頭台、ベッド、テーブル等の被取付体の所要の取付部にタッピングねじ等によりねじ結合される。
図9(a),(b)に示すように取付ハウジング12は、その下面に、スラスト軸受14を介してキャスター本体の一例である合成樹脂製のヘッド15を配設しており、中空旋回軸13周りにヘッド15が旋回するようになっている。
図8(a),(b)に示すようにヘッド15は、2股に分岐する左右一対のフォーク15a,15bを支持部として一体に形成し、単一の車輪(単輪)16の車軸16aの両端部を回転可能に支持するほぼ円板状の両端支持部15c,15dをこれらフォーク15a,15bに一体に形成している。車軸16aは中空旋回軸13の下方へ垂下する垂直中心軸に対し横方向に所要距離ずれた位置にあり、偏心している。車輪16の外周部には弾性を有するタイヤ16bを配設している。
そして、図9(a),(b)に示すように中空旋回軸13は、取付ハウジング12とヘッド15をその厚さ方向に貫通する下端部に、直径方向外方に突出する外向きフランジ13aを一体に形成している。この外向きフランジ13aは、その図中上端をヘッド15の空洞部15eの図中上端に当接させて係止させ、この係止端と、中空旋回軸13の上部外側面にて取付ハウジング12にかしめられたかしめ部材20とにより取付ハウジング12とヘッド15とを図中上下方向に挟持している。
また、中空旋回軸13は、外向きフランジ13aよりも図中上方に位置する下部に、大径部13bを形成している。この大径部13bは、これよりも上方にある上部の直径よりも太く、かつ段状に拡径している。
そして、中空旋回軸13は、その大径部13b内に第1のロック装置17を配設している。この第1のロック装置17はブレーキピン18とロックばね19を有する。
すなわち、第1のロック装置17は、図9でも示すほぼ有底円筒状の金属製のブレーキピン18を押圧部材として軸方向に移動(摺動)可能に収容している。
図10にも示すようにブレーキピン18は上端が開口している直胴状の胴部18aと、この胴部18aの図中下端から下方へ向けて漸次縮径する逆円錐台状の先細部18bとを一体に連成し、さらに、この先細部18bの下端部には押圧部18cを突設している。
図9(a),(b)にも示すようにブレーキピン18は、その胴部18a内にコイルばねのロックばね19を同心状に収容している。このロックばね19は、中空旋回軸13の大径部13bよりも上方の上部の直径よりも大径に形成されており、その図中上端部を胴部18aの開口上端から上方へ突出させている。このロックばね19の図中突出上端部は中空旋回軸13の大径部13bの図中上端部に当接して係止されている。
図10に示すようにブレーキピン18は、その胴部18aの側面に操作ワイヤー6を外側方から胴部18a内に横方向へ挿通させる縦スリットのワイヤー挿通孔18dを形成している。また、ブレーキピン18は、その先細部18bに、操作ワイヤー6の図中下端に配設された係止球6cを収容する係止球収容室18eを形成している。この係止球収容室18eは横方向から係止球6cを挿通させるための円形の開口を有する。
図9(a),(b)に示すように係止球収容室18eとロックばね19を収容する収容室との間には仕切壁18fが形成されている。この仕切壁18fには操作ワイヤー6のみを挿通させて係止球6cの挿通を阻止する縦スリットのワイヤースリット18gが形成されている。操作ワイヤー6は合成樹脂製のアウターチューブ7により軸方向に移動可能に被覆されている。
図9,図10に示すようにアウターチューブ7の図中下端部には金属製円管状の端金23が射出成型等により一体に結合されている。
端金23は、中空旋回軸13内に挿入される挿入部23aと、この挿入部23aの上端よりも上方において、中空旋回軸13の挿入開口端よりも大径の止めフランジ23bを一体に形成している。
そして、操作ワイヤー6の下端部(先端部)は、アウターチューブ7と端金23内を挿通してから小球状の係止球6cが射出成型等により一体に形成されている。さらに、この係止球6cは、ロックばね19の環状空間部を軸方向に挿通してからブレーキピン18の側面外側方へ垂下され、その外側方から横移動してワイヤー挿通孔18dを挿通し、ブレーキピン18内へ収容される。
このために、ブレーキピン18内には係止球6cと、これに結合された操作ワイヤー6の下端部が挿入されて固定されている。また、ブレーキピン18内にはその上端開口からロックばね19が挿入されている。
これにより、図9(a),(b)に示すように、ロックばね19の図中上端部が中空旋回軸13の大径部13b内の図中上端に当接して係止されるので、ブレーキピン18はこのロックばね19のばね力により大径部13bの開口下端から図中下方へ常時突出するように付勢される。
これにより、ブレーキピン18の押圧部18cが車輪16のタイヤ16bに弾性的に押圧され、車輪16がロックされる。すなわち、車輪16は常時ロックされている。
一方、操作ワイヤー6は、図7(b)及び図8(a),(b)に示されるように、その上端部を、横置き円筒状の係止柱6aの胴部側面に固定し、この係止柱6aを上記操作ユニット5の係止用挿入孔11e内にそれぞれ挿入して係止させることにより、この操作ユニット5に接続されている。この操作ユニット5は、ロックばね19のばね力に抗して操作ワイヤー6を図中上方へ所定量引き上げるアンロック(ロック解除)操作を手動操作したときに、第1のロック装置17により車輪16がロックされているロック状態を解除して、車輪16を走行可能にするように構成されている。このアンロック操作は、主スライダ9の係止フレーム9bの係止段部9gに係止爪8bが係合することにより保持される。
したがって、図9(a),(b)に示すように各制動単輪キャスター4によれば、第1のロック装置17は、常時ロックばね19の伸長力によりブレーキピン18を、中空旋回軸13の大径部13b内から外方へ所定量突出させ、ブレーキピン18の押圧部18cを車輪16のタイヤ16bに弾性的に押圧する。これにより、車輪16は常時ロックされており走行できない。
図1(a)、図6(a),(b)は、このように制動単輪キャスター4がロック状態にあるときの操作ユニット5の動作状態を示している。すなわち、制動単輪キャスター4がロックされているときは、第1のロック装置17のロックばね19のばね力により左右一対の操作ワイヤー6が図中下方へ引き下げられるので、操作ユニット5側では、主スライダ9と左右一対の副スライダ10,11が共に図中下方へ引き下げられ、左右一対の副スライダ10,11の左右一対のワイヤー接続部10b,11bの図中下端がユニットベース5bの図中下端部の下限まで引き下げられて当接する。その当接位置は、ロックばね19の弾性力の引下げ力により弾性的に保持される。すなわち、操作ユニット5のロック操作位置はロックばね19により弾性的に保持される。
一方、このロック時に、操作ユニット5のつまみ5fがロック操作位置からアンロック(ロック解除)操作位置に摺動するように手動操作されると、操作ワイヤー6がつまみ5fのロック操作位置からアンロック操作位置への引上げ量に相当する分、上方へ引き上げられる。このつまみ5fのアンロック操作位置は、上記アンロックボタン8の係止爪8bの保持機構により自動的に保持される。
すなわち、制動単輪キャスター4がロック状態の時に、つまみ5fが図7(a)に示すようにロック操作位置からアンロック操作位置へ引き上げられると、つまみ5fに直結された主スライダ9がユニットベース5bの底部内面5h上を図1(a)中上方へ引き上げられるように摺動する。
このために、主スライダ9の左右一対の下端突出部9d,9eも図中上方へ引き上げられる一方、左右一対の副スライダ10,11のワイヤー接続部10b,11bは左右一対の操作ワイヤー6,6により図中下方へ引き下げられているので、これら両者間にある各コイルスプリング10d,11dがそれぞれ軸方向に個別に収縮しつつ、これら各コイルスプリング10d,11dの各弾性復原力により左右一対の各副スライダ10,11がそれぞれ主スライダ9上を個別に摺動して上昇する。
これにより、図1(b)に示すように主スライダ9が上限のアンロック操作位置まで上昇すると、アンロックボタン8の係止爪8bが主スライダ9の係止段部9gに係止され、その係止状態が保持される。
このとき、左右一対の副スライダ10,11の各コイルスプリング10d,11dが軸方向にそれぞれ個別に収縮した状態で左右一対のワイヤー接続部10b,11bを図中上方へ引き上げる。
このために、係止球6cが操作ワイヤー6により上方へ引き上げられるので、この係止球6cに接続されているブレーキピン18がロックばね19のばね力に抗して図中上方へ引き上げられ、中空旋回軸13の大径部13b内へ引き込まれる。
これにより、ロックばね19が軸方向に収縮し、ブレーキピン18の押圧部18cが車輪16のタイヤ16b外面から上方へ所定距離離脱する。
このために、車輪16のロックが解除され車輪16が走行可能になる。このロック解除は上述したように主スライダ9の係止フレーム9bが係止爪8bにより係止されるので、その間中維持される。
そして、このロック解除時に、操作ユニット5のアンロックボタン8が押圧されると、係止爪8bが押圧されるので、図1(a)に示すように主スライダ9の係止段部9gと係止爪8bとの係止状態が解除される。
すると、アンロック時に軸方向に収縮していた左右一対の副スライダ10,11のコイルスプリング10d,11dがそれぞれ解放されて軸方向に伸長すると共に、第1のロック装置17のロックばね19が軸方向に伸長するので、左右一対のワイヤー接続部10b,11bの下端部がユニットベース5bの図中下端部のロック操作位置まで引き下げられ、当接する。この当接状態は左右一対のコイルスプリング10d,11dの弾性的な伸長力とロックばね19の引張力との弾性的な引き合いにより保持される。すなわち、ロック操作位置が保持される。
これにより、ブレーキピン18がロックばね19の軸方向の伸長力により、中空旋回軸13の大径部13b内から外方へ突出される。
このために、ブレーキピン18の押圧部18cが車輪16のタイヤ16bに弾性的に押圧されるので、車輪16が再びロックされ、車輪16の走行が阻止される。このロック状態は、操作ユニット5の上記保持機構によりアンロック操作されるまで保持される。
したがって、この制動単輪キャスター4によれば、ブレーキピン18を駆動する駆動手段である第1のロック装置17をキャスター本体であるヘッド15内に配設しているので、上述した従来のキャスターのようにブレーキピン18を駆動する制動ユニット等の駆動手段を省略することができる。このために、部品数と組立工数の低減を図ることができ、コスト低減を図ることができる。
また、取付ハウジング12の構造や型式等に関係なく、制動単輪キャスター4のブレーキ機能を持たせることができるので、スーツケース等被取付体の形状等のデザインの相違に応じて第1のロック装置17を複数種類用意する必要が無い。このために、制動単輪キャスター4はスーツケース等のデザインの激しい変化や開発スピードに容易かつ低コストで対応できる。
したがって、従来のキャスターでは、取付ハウジング12の型式等毎に駆動手段の設計を変更する必要があったために、その設計変更のための労力や時間、新しい金型の費用やその製作時間が必要であったが、本実施形態の制動単輪キャスター4によれば、これらは全て必要でなくなった。
そして、従来のキャスターでは、駆動手段をスーツケースの内底部上等に配置した状態で、この駆動手段を取付ハウジング12上に取付固定していたので、その分、スーツケースの内部容積が減少していた。そこで、必要な内容積を確保するために、スーツケースの大型重量化を招いていたが、本実施形態の制動単輪キャスター4によれば、スーツケース内に駆動手段等を設けないので、スーツケースの内容積の増大を図る必要も無く、その分、小型軽量化を図ることができる。
そして、この制動単輪キャスター4によれば、小型軽量のブレーキピン18とロックばね19により第1のロック装置17を構成しているので、第1のロック装置17の小型軽量化を図ることができる。
しかも、ブレーキピン18は、このブレーキピン18内に内蔵されたロックばね19のばね力のみにより、車輪16のタイヤ16bに押圧されて車輪16を常時ロックするという簡素な構成であるので、第1のロック装置17の小型軽量化とさらなるコスト低減を図ることができる。
また、この小型軽量の第1のロック装置17を中空旋回軸13の内部に配設したので、この第1のロック装置17をキャスター本体であるヘッド15と一体に構成することができる。このために、第1のキャスターブレーキ装置1全体としての部品点数の削減を図ることができる。
さらにまた、操作ワイヤー6の図中下端部がコイルスプリングのロックばね19内を挿通する一方、このロックばね19が中空旋回軸13の大径部13bとブレーキピン18内へ収容されているので、係止球6cが係止球収容室18eから外部へ放出されることを防止できる。このために、係止球6cに接続された操作ワイヤー6がブレーキピン18から抜け出ることを防止できる。
そして、アウターチューブ7の端金23には止めフランジ23bを配設したので、アウターチューブ7を中空旋回軸13の所定の高さ等の位置に位置決めすることができる。
すなわち、止めフランジ23bが中空旋回軸13の開口上端に当接するので、端金23の挿入部23aが中空旋回軸13内へ所定量以上に挿入されることを阻止し、所定量に規制することができる。
このために、アウターチューブ7の一端をなす端金23の挿入部23aの一端(図中下端)から中空旋回軸13内へ延出する操作ワイヤー6の芯出し部6bの芯出し量を所定量にすることができる。
これにより、ブレーキピン18が車輪16のロック動作位置とアンロック操作位置との間でほぼ正確に上下動できるので、これらロック操作とアンロック操作を確実に行うことができる。
そして、操作ワイヤー6の長さが適切な所定長よりも若干過不足(ばらつき)がある場合は、その過不足分が副スライダ10,11のワイヤー接続部10b,11bの往復動と、左右一対のコイルスプリング10d,11dのばねの伸縮とにより、自動的に調節される。
すなわち、各操作ワイヤー6の全長、または芯出し部6bの長さが適切な所定長よりも若干ばらつきがある場合には、そのばらつきの程度に応じて左右一対の副スライダ10,11の左右一対のコイルスプリング10d,11dの軸方向収縮量が自動的に調整される。すなわち、操作ワイヤー6の長さの不足分が大きいときは、これらコイルスプリング10d,11dの収縮量が大きくなり、操作ワイヤー6の長さの不足分が小さいときは、これらコイルスプリング10d,11dの収縮量が小さくなり、自動的に調整される。
一方、左右一対の操作ワイヤー6,6の長さが長過ぎる場合には、その長さに応じて左右一対のコイルスプリング10d,11dの収縮量も小さくなると共に、予めオーバーストロークに形成されているつまみ5fのストロークにより吸収されるので、両操作ワイヤー6,6の長さが自動的かつ弾性的に調節される。
したがって、この第1のキャスターブレーキ装置1によれば、操作ワイヤー6の長さに若干のばらつきがあっても制動単輪キャスター4を確実にロックし、アンロックすることができる。また、各操作ワイヤー6の両端を操作ユニット5のコイルスプリング10d,11dと、キャスター4側の第1のロック装置17のロックばね19とにより常時弾性的に引き合っているので、操作ワイヤー6の撓みや弛緩を低減し防止できる。これにより、第1のロック装置17によるロック動作とロック解除動作の精度と確実性の向上を図ることができる。
なお、上記実施形態では、操作ユニット5を手動操作する場合について説明したが、主スライダ9をつまみ5fの直接手動操作により、ロック操作位置とアンロック操作位置に往復動させる場合について説明したが、つまみ5fをレバー機構やカム機構等の機構を介して駆動するように構成してもよい。また、自動操作可能に構成してもよい。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、図8(a),(b)、図9(a),(b)で示す制動単輪キャスター4を、図11(a),(b)〜図13(a),(b)で示す制動双輪キャスター201に置換した第2のキャスターのブレーキ装置1Aに係る。この第2のキャスターのブレーキ装置1Aは、上記操作ユニット5を具備している。この操作ユニット5は、上記第1の実施形態に係る操作ユニット5と同様に構成されているので、その重複した説明は省略する。
図11(a),(b)〜図13(a),(b)に示すように各制動双輪キャスター201が図8(a),(b)〜図9(a),(b)等で示す制動単輪キャスター4と異なる点は、主に単一の車輪16を、左右に並設して双輪202a,202bに構成する点と、図9(a),(b),図10で示す第1のロック装置17を第2のロック装置203に構成する点にあり、これら以外はほぼ同一に構成されている。
したがって、図11(a),(b)〜図13(a),(b)中、図9(a),(b)等で示す制動単輪キャスター4と同一または相当部分には同一符号を付して、その重複した説明は省略する。
図11(a),(b)に示すように各制動双輪キャスター201は、取付ハウジング12の図中平面中央部に、第2の中空旋回軸204を固定している。
第2の中空旋回軸204は、その図中下端部をヘッド15内に延伸させ、図示省略のラジアルベアリングにより回転可能に支持されている。この第2の中空旋回軸204を固定している取付ハウジング12は、図示省略のスラスト軸受を介してヘッド15に接続され、第2の中空旋回軸204回りに旋回可能に連結される。第2の中空旋回軸204は、その中空部内に、操作ワイヤー6を軸方向に移動可能(上下動可能)に挿通している。
そして、ヘッド15は、円柱状のヘッド本体を有し、このヘッド本体の下部に、図示省略の一本のフォークを設けている。このフォークは、左右一対の双輪202a,202bを回転可能に支持する車軸202cを支持している。双輪202a,202bは、その外側面をホイールカバー202dにより被覆している。
各双輪202a,202bは、円形のホイール202eを有し、これらの各ホイール202eのリム外周には、弾性を有するタイヤ202fをそれぞれ外嵌固定している。これら左右一対のホイール202e,202eは、その内側面に、第2のロック装置203の一部をなす左右一対の円形環状の係止部205をそれぞれ設けている。
各環状係止部205は、その環状外周部に、その中心側へ突出する山形の係止凸部205aを周方向に所要の間隔(ピッチ)を置いて形成することにより、これら周方向で隣り合う係止凸部205a,205a同士間に、相対的に凹む複数の係止凹部205bを周方向に所要のピッチでそれぞれ形成して、係止段部を形成している。これら係止凹部205bは、環状係止部205の中心に向けて次第に拡開する台形状の凹部に形成されている。これら左右一対の環状係止部205,205は、その係止凸部205a…と各係止凹部205b…とを左右方向でそれぞれ一致する位置に設けている。
そして、図12(a)に示すように第2のロック装置203は、揺動可能の片持ち揺動ストッパ206を具備している。揺動ストッパ206は、ほぼ同形同大の左右一対の円弧状のストッパ本体206a,206bを有し、これら左右一対のストッパ本体206a,206bの図12(a)中右側の揺動端同士を、帯板状のクロスプレート206cにより左右方向に一体に連結している。このクロスプレート206cの反対側の一端では、左右一対のストッパ本体206a,206b同士を、揺動中心軸の一例であるリンクシャフト206dにより左右方向に連結して片持ちで支持している。リンクシャフト206dの軸方向両端部は上記フォーク15a,15bの各外側面に回動可能に支持される。
そして、左右一対のストッパ本体206a,206bは左右一対のフォーク15a,15bの外側面よりも外側方へ若干突出した状態でほぼ平行に並設される。これら左右一対のフォーク15a,15bは、左右一対のストッパ本体206a,206b同士を連結するリンクシャフト206dの軸方向両端部を回転可能に支持する。
クロスプレート206cは、その図12(a)中右端部に、操作ワイヤー6の終端部に結合される係止球6cの図中上面よりもやや上方において、操作ワイヤー6を挿脱可能に挿通させるスリット207を形成し、操作ワイヤー6をクロスプレート206cに接続している。スリット207はクロスプレート206cの図中左端近傍まで一体に連成されている。
図12(a)等により示すように、左右一対のストッパ本体206a,206bは、その長手方向中間部の外側面に、水平方向に突出する矩形舌片状の係止舌片206e,206fをそれぞれ突設している。これら係止舌片206e,206fは各環状係止部205の係止凹部205bに挿脱可能に挿入される大きさと形状に形成されている。すなわち、これら左右一対の係止舌片206e,206fは、リンクシャフト206dとクロスプレート206cとの中間部に配設されている。
また、図12(a)に示すようにリンクシャフト206dの両端部には、作動ばねの一例であるトーションばね208をそれぞれ設けている。このトーションばね208は、左右一対のストッパ本体206a,206b同士の対向方向(左右方向)の内側端において、リンクシャフト206dの軸方向両端部外周に複数回巻き付けられる各左右一対のコイル状部208a,208bを有する。トーションばね208は、クロスプレート206c上面上でコ字状に屈曲するコ字状部208cを一体に連成している。コ字状部208cは、両コイル状部の図12(a),(b)中の右端同士を、クロスプレート206c側へそれぞれほぼ平行に延伸させてから、クロスプレート206cの上面上でほぼ直角に屈曲して一体または一体的に連結してコ字状に形成され、クロスプレート206cの前端部上面に密着しており、このクロスプレート206cの前端部上面を弾性的に常時下方へ付勢している。
すなわち、トーションばね208は左右一対のストッパ本体206a,206bの各係止舌片206e,206fが各係止凹部205b内から離脱させて左右一対の双輪202a,202bを走行可能のアンロック位置に常時付勢する作動ばねである。
したがって、図13(a)に示すように操作ワイヤー6が制動双輪キャスター201のトーションばね208により図中下方へ引き下げられている状態では、双輪202a,202bは走行可能のアンロック位置に保持される。
一方、図13(b)に示すように操作ユニット5のつまみ5fが図中上方のロック操作位置に引き上げられると、揺動ストッパ206のクロスプレート206cが図中上方へ引き上げられる。このために、揺動ストッパ206の係止舌片206e,206fが環状係止部205の係止凹部205b内に嵌入されて係止され、ロックされる。
すなわち、上述した通り、操作ユニット5は上記第1の実施形態の操作ユニット5と構成は同一であるが、制動双輪キャスター201のロック動作とアンロック動作が制動単輪キャスター4とは正反対であるので、この操作ユニット5のロック操作位置とアンロック操作位置とは逆になる。つまり、制動双輪キャスター201を操作ユニット5により操作する場合は、つまみ5fの上下動ストロークの上限位置がロック操作位置となり、下限位置がアンロック操作位置となる。しかし、操作ユニット5の上下動ストロークは上記第1の実施形態と同様にオーバーストロークに構成されている。
そして、図11(b)と図13(a),(b)に示すように各アウターチューブ7は、第2の中空旋回軸204内に単に出入可能に挿入される挿入先端部の外周に、円筒状の端金23を固着している。この端金23の図中下端から下方の第2のロック装置203側へ、延伸している各操作ワイヤー6の図中下端部は、アウターチューブ7から露出した芯出し状態の芯出し部6bとして延伸している。
この芯出し部6bの係止球6cの上端までの長さは、スーツケース2等鞄や制動単輪キャスター4、第2のロック装置203の寸法や形状、型式等に応じて、第2のロック装置203を確実にロックまたはアンロックさせるために必要な適切な長さ(所定長)に予め設定されている。芯出し部6bの図中下端部には係止球6cが射出成形等により一体に連成されている。
なお、非制動の上記フリーキャスター3は、制動双輪キャスター201の上記第2のロック装置203を具備しておらず、制動することはできない。
次に、このように構成された制動双輪キャスター201用のブレーキ装置1Aの作用を説明する。
(ロック)
図7(a)に示すように操作ユニット5のつまみ5fが図中上方へ押し上げられて、ロック操作位置に手動操作されると、図7(b)に示すように主スライダ9と左右一対の副スライダ10,11の全体が直接図中上方へ押し上げられる。
これにより、図1(b)に示すようにアンロックボタン8の係止爪8bが主スライダ9の係止段部9g上を一旦乗り越えた後、その底部に係止される。この係止状態は係止爪8bのコイルばね8cの弾圧力により保持される。これにより、左右一対の副スライダ10,11の各コイルスプリング10d,11dは軸方向に収縮した状態で保持される。
すなわち、操作ユニット5のつまみ5fをロック位置に押し上げると、図13(b)に示すように左右一対の操作ワイヤー6,6が、図中矢印で示す上方側へ引き上げられるので、揺動ストッパ206のクロスプレート206cがトーションばね208のコ字状部208cのばね力に抗して図中上方へ引き上げられる。
このために、左右一対のストッパ本体206a,206bの右端の揺動端がリンクシャフト206d回りに上方へ回動して、左右一対の係止舌片206e,206fが左右一対の環状係止部205の所要の係止凹部205b内に嵌入する。
これにより、左右一対の双輪202a,202bの回転が停止ないし阻止され、ロックされる。このロック状態は、操作ユニット5のアンロックボタン8の係止爪8bが主スライダ9の係止段部9gに係止していることにより保持される。
そして、このロック動作は操作ワイヤー6の長さ、すなわち、芯出し部6bの長さが適切な所定長よりも若干不足がある場合は、その不足分に応じて左右一対の副スライダ10,11の各コイルスプリング10d,11dの収縮量が、それぞれ個別にかつ自動的に調節される。すなわち、操作ワイヤー6や芯出し部6bの長さの不足分が大きい程、コイルスプリング10d,11dの収縮量も大きく、不足分が小さい程、コイルスプリング10d,11dの収縮量も小さい。また、操作ワイヤー6が長過ぎる場合は操作ユニット5のオーバーストロークにより吸収される。
(アンロック)
一方、このロック時に、操作ユニット5のアンロックボタン8を押し込むと、図1(a)で示すようにアンロックボタン8の係止爪8bが付勢ばね8cのばね力に抗して押し込まれ、主スライダ9の係止段部9gとの係止状態が解除される。
このために、主スライダ9と左右一対の副スライダ10,11は、これら副スライダ10,11、コイルスプリング10d,11dの伸長力と、制動双輪キャスター201のトーションばね208のばね力とにより、操作ワイヤー6を介して図中下方へ引き下げられ、左右一対のワイヤー接続部10b,11bがユニットベース5bの図中下端部に当接して停止する。この停止状態はトーションばね208の図中下方への引下げ力により弾性的に保持される。
これにより、主スライダ9と副スライダ10,11がその下限位置であるアンロック操作位置に保持される。
このため、図13(a)に示すように左右一対のストッパ本体206a,206bのクロスプレート206cが図中下方へ引き下げられるので、これら左右一対のストッパ本体206a,206bの係止舌片206e,206fが、リンクシャフト206d回りに下方向へ回動して図中下方へ押し下げられる。すると、これまで係止していた係止凹部205bから各係止舌片206e,206fが外方へ離脱し、係止凹部205bとの係合が解除される。
そして、従来では、例えば操作ワイヤー6の長さやその芯出し部6bの長さが予め設定された適切な長さ(所定長)よりも短い場合に、操作ユニット5でロック操作すると、操作ワイヤー6や芯出し部6b自体の長さは延伸しないので、つまみ5fがロック操作位置の途中で停止する可能性があった。
しかし、この場合には、左右一対の副スライダ10,11のコイルスプリング10d,11dが各操作ワイヤー6の芯出し部6bの長さの不足分を補うようにそれぞれ別々に収縮する。このために、つまみ5fをロック操作位置まで押し上げることができるので、ロック操作位置を保持することができる。
したがって、この第2のキャスターのブレーキ装置1Aによれば、操作ワイヤー6の長さやその芯出し部6bの長さに多少の過不足があっても、双輪202a,202bを確実にロックすることができる。
このために、この第2のキャスターのブレーキ装置1Aによれば、スーツケース2の大きさや形状、操作ワイヤー6の曲げ回数等により操作ワイヤー6の芯出し部6bの長さの適切な長さがそれぞれ相違する複数種類のスーツケース2等の鞄に、芯出し部6bの長さを一々調整せずに装着することができる。このために鞄に第2のキャスターのブレーキ装置1Aを装着するための作業性の向上を図ることができる。
また、従来、操作ユニット5のロック手動操作時に、左右一対のストッパ本体206a,206bの係止舌片206e,206fの少なくとも一方が、環状係止部205の係止凹部205aに当接した場合(すなわち、凸同士の当接)は、操作ユニット5のつまみ5fがロック操作位置の途中で停止する可能性があった。
しかし、第1,第2の実施形態によれば、左右一対のコイルスプリング10d,11dがそれぞれ個別に収縮するので、つまみ5fを所定のロック操作位置まで移動させ、保持させることができる。しかも、各コイルスプリング10d,11dはそれぞれ個別に収縮するので、左右一対の係止舌片206e,206fが環状係止部205の係止凸部205aとの当接のタイミングがそれぞれずれていても、つまみ5fをロック操作位置に移動させ、保持することができる。また、この凸と凸の当接時に制動双輪キャスター201を手動で若干押し引きして左右一対の双輪202a,202bを若干回転させて、環状係止部205の係止凹部205b,205bの位置を周方向にずらすことにより、左右一対の係止舌片206e,206fを係止凹部205b,205b内に嵌入させてロックすることができる。
さらに、この第2のキャスターのブレーキ装置1Aによれば、環状係止部205の係止凹部205b内に、揺動ストッパ206の左右一対の係止舌片206e,206fを、左右一対のトーションばね208のばね力により係脱可能に係合させることによりロックするので、そのロックの確実性の向上とそのロックの不意の解除の低減を図ることができる。
そして、図12(a),(b)に示すように、操作ワイヤー6は、その下端をクロスプレート206cのスリット内に挿入するが、この挿入部の外側にはトーションばね208のコ字状部208cの一辺を延在させてスリットの開口端を閉じているので、この開口端から操作ワイヤー6がスリット外へ抜脱することを防止できる。
また、操作ワイヤー6を制動双輪キャスター201の揺動ストッパ206のクロスプレート206cに直接接続(係止)して、この揺動ストッパ206を操作ワイヤー6の引上げや引下ろしにより直接駆動するので、上記従来例のように制動双輪キャスター201に押圧停止機構等の駆動部を介装する必要がない。このために、第2のキャスターのブレーキ装置1Aの構成の簡単化や小型軽量化、コスト低減を図ることができる。
さらに、この第2の実施形態によれば、上記従来の駆動部を、上記第1の実施形態と同様に制動双輪キャスター201の取付ハウジング12に取り付ける必要がないので、この従来の駆動部を取り付けるための取付ボス等を取付ハウジング12に設ける必要がない等、上記第1の実施形態とほぼ同様の作用効果を奏することができる。
また、環状係止部205の係止凹部205bと揺動ストッパ206の係止舌片206e,206fとの嵌合により双輪202a,202bをロックし、上記従来例のように棒状の押圧停止バーの先端を車輪のタイヤの踏面に押圧してロックすることもないので、押圧停止バーの局所的な押圧による双輪202a,202bのタイヤの損傷を未然に防止できる。
そして、上記第1の実施形態では、操作ユニット5をスーツケース2のケース本体2aの正面に設けているが、本発明はこれに限定されず、操作ユニット5を、スーツケース2のケース蓋体2b側に設けてもよく、さらに、これらスーツケース2の図2中上端、または左,右側面のいずれに設けてもよい。
図14(a)は他の実施形態に係る回転式の第2の操作ユニット5Aの外観正面図、同(b)は、同,回転式の第2の操作ユニット5Aの一部を分解して示す斜視図である。この回転式の第2の操作ユニット5Aは上記操作ユニット5のつまみ5fを回転可能の回転式つまみ5fAに変更した点に主な特徴がある。すなわち、回転式つまみ5fAの回転操作によりロック操作位置とアンロック操作位置とに操作できる。
この回転式の第2の操作ユニット5Aは、ベースカバー5A1、フロントカバー5A2、図14(b)で示すユニットベース5A3および円筒状のカムレバー5A4を具備している。回転式の第2の操作ユニット5Aはユニットベース5A3上に、矩形枠状の主スライダ5A5を図中上下方向に往復動可能かつ摺動可能に配設し、この主スライダ5A5上に副スライダ5A6を図中上方向に往復動可能かつ摺動可能に配設している。
主スライダ5A5は、その矩形枠上端部内面に、カムレバー5A4の外面を摺動可能に外接し、このカムレバー5A4の回動により図中上下方向に往復動する。このカムレバー5A4は、その図中右端の開口部5A7内には回転式つまみ5fAの軸部5A8を挿入させて連結され、回転式つまみ5fAの回動操作により回動される。
副スライダ5A6は、左右一対の操作ワイヤー6に接続されるワイヤー接続部5A9、主スライダ5A5上を、図中上下方向に摺動する摺動部5A10およびこれら摺動部5A10とワイヤー接続部5A9とを図中上下方向に連結する連結部5A11を有する。
連結部5A11は、主スライダ5A5の図中下端部5A12の図中横方向中間部の貫通孔を摺動可能に貫通し、この下端部5A12と摺動部5A10との間には左右一対のコイルスプリング5A13,5A14が介装されている。
そして、この回転式の第2の操作ユニット5Aは、回転式つまみ5fAを、例えばロック操作位置(Lock)またはアンロック操作位置に回動操作することにより、主スライダ5A5と副スライダ5A6を図中上下方向に移動させることにより、左右一対の操作ワイヤー6を引き上げ、または引き下げ、上記制動単輪キャスター4の第1のロック装置17、制動双輪キャスター201の第2のロック装置203をそれぞれ駆動して、ロックし、またはアンロックすることができる。
また、この回転式の第2の操作ユニット5Aにおいても、回転式つまみ5fAのロック操作位置とアンロック操作位置とでなすストローク中心角を、操作ワイヤー6の長さが適切な長さのときの所定のストローク中心角よりも若干大きい中心角のオーバーストロークに形成してもよく、これによれば、操作ワイヤー6の長さのばらつきを左右一対のコイルスプリング5A13,5A14の収縮量とオーバーストロークの自動調整により自動的に調整することができる。
なお、上記副スライダ5A6は、左右一対のコイルスプリング5A13,5A14の全体を一体に伸縮させるように構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図1(a),(b)で示す左右一対の副スライダ10,11のように、左右一対のコイルスプリング5A13,5A14を各々別々に伸縮するように構成してもよい。
図15は、第3の実施形態に係る第3のキャスターのブレーキ装置1Bに使用されるキャリーバッグ300の外観斜視図である。この第3のキャスターのブレーキ装置1Bは、図2で示すスーツケース2をキャリーバッグ300に置換した点に特徴がある。キャリーバッグ300は、角筒状のバッグ本体300aの底部に、図8(a),(b)、図9(a),(b)等で示す制動単輪キャスター4と図2等で示すフリー単輪キャスター3を複数個配設している(図15,図16ではこれらキャスター4,3を図示省略している)。
バッグ本体300aの図中上端部には、メインハンドル301、出入可能のキャリーバー302および第3の操作ユニット303が配設されている。
第3のキャスターのブレーキ装置1Bは、図16で示す第3の操作ユニット303を具備している。この第3の操作ユニット303は、上記スライド式の操作ユニット5と同様にアンロック操作位置とロック操作位置とに、横方向に往復動可能に手動操作されるつまみ303aと、このつまみ303aの横方向の移動を、ほぼL字状のカムレバー304を介して主スライダ9の図中上下方方向の移動に変換する変換機構305と、上記操作ユニット5とほぼ同様の左右一対の副スライダ10,11、操作ワイヤー6に接続されるワイヤー接続部10b,11bを具備している。
そして、この第3のキャスターブレーキ装置1Bでは、上記第1のキャスターのブレーキ装置1のように、第1のロック装置17のロックばね19により制動単輪キャスター4の単輪16を常時ロックするように付勢し、操作ワイヤー6を操作ユニット5側へ引き上げたときに、そのロックを解除(アンロック)するように構成してもよく、その逆に、ロックばね19により単輪16を常時アンロックする方向に付勢し、操作ワイヤー6を制動単輪キャスター4側へ引き下げたときに、単輪16をロックするように構成してもよい。さらに、上記制動単輪キャスター4を制動可能な制動双輪キャスター201に置換してもよい。
また、上記第3の操作ユニット303の左右一対の副スライダ10,11は、左右一対のコイルスプリング10d,11dの全体を一体に伸縮させるように構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図1(a),(b)で示す左右一対の副スライダ10,11のように、左右一対のコイルスプリング10d,11dを各々別々に伸縮するように構成してもよい。
また、上記各実施形態では、鞄としてフレーム型のスーツケース2やキャリーバッグ300を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばジッパー型のスーツケースやキャリーバッグ等の鞄に適用してもよく、制動可能のキャスターを具備した鞄一般に適用することができる。さらに、被取付体としては、病院の床頭台等に設けてもよい。
図17は、上記図8(a),(b)〜図9(a),(b)等で示す制動単輪キャスター4を、さらに他の実施形態に係るスーツケース400の底部外面等に取り付ける場合の外観斜視図である。
すなわち、スーツケース400は、そのスーツケース本体400aの底部等のキャスター取付部400bに、上記アウターチューブ7を挿通させるチューブ挿通孔400cを形成しているが、図9(a),(b)や図13(a),(b)等で示すアウターチューブ7の止めフランジ23bはこのチューブ挿通孔400cよりも大径に形成されているので、アウターチューブ7がスーツケース本体400a内に大きく引き込まれた場合には、この止めフランジ23bがチューブ挿通孔400cの外面に当接して、それ以上の引込みを阻止することができる。これにより、アウターチューブ7の抜けを防止できる。なお、図17ではキャスターとして制動単輪キャスター4を使用した場合について図示したが、これを図11(a),(b)や図13(a),(b)等で示す制動双輪キャスター201に置換してもよい。なお、図17では、キャスター取付部400bに、ロック装置を具備していないフリー単輪キャスター3を設けてもよい。
さらに、上記第1,第2,第3の操作ユニット5,5A,303は、スーツケース2,300,400等被取付体の上端面や正面、背面、側面等任意の箇所に配設されてもよい。
以上、本発明の種々の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。