JP2021035655A - 重金属含有灰の処理方法 - Google Patents
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Abstract
Description
還元剤とキレート薬剤とを含む混合薬剤を使用し、
前記混合薬剤で処理した薬剤処理灰の溶出液の安定化後の酸化還元電位が六価クロムを三価クロムに還元することができる酸化還元電位となるように、前記混合薬剤の添加量を決定することを特徴とする重金属含有灰の処理方法。
前記相関関係にもとづき、実際に処理した薬剤処理灰の溶出試験終了後の溶出液の酸化還元電位から、六価クロム溶出防止の合否を判断することを特徴とする上記(1)の重金属含有灰の処理方法。
前記灰と同じ種類の灰を用いて、実験式(a)から算出した鉛溶出防止に必要な混合薬剤の添加量(F)と、この灰に前記混合薬剤と加湿水とを加えて混練したうえで溶出試験を行う場合において、同混合薬剤の添加量を変化させたときに鉛の溶出量を溶出基準値以下にすることができる同混合薬剤の添加量(B)と、六価クロムの溶出量を溶出基準値以下にすることができる同混合薬剤の添加量(D)と、安定化後の標準水素電極での酸化還元電位を0mV以下にするために必要な同混合薬剤の添加量(E)とを求めるとともに、
処理しようとする灰について実験式(a)から求めた鉛溶出防止に必要な前記混合薬剤の添加量に、{(B/F)の平均値}×{(D/B)の平均値}×{(E/D)の平均値}を乗じて得られた値を、添加すべき同混合薬剤の添加量とすることを特徴とする上記(1)の重金属含有灰の処理方法。
鉛溶出防止に必要な混合薬剤の添加量(質量%)
=k1×Cu(質量%)+k2×Pb(質量%)・・・・(a)
表1に記載された飛灰1と飛灰2とを使用して、飛灰100質量部に混合薬剤(東ソー社製の品番:TS−400、キレート薬剤の種類:ピペラジンのカルボジチオ酸カリウム塩系薬剤、含有される還元剤の種類:(メーカによる開示が行われていない)、還元剤の含有量:2〜5質量%)を0〜12質量部、加湿水を28〜40質量部(混合薬剤+加湿水で40質量部)を加えてよく混練し、日本国環境庁告示13号により6時間をかけて溶出試験を行った。孔径1μmのガラスクロスフィルターでろ過した溶出液について、温度、pH、ORPおよび重金属濃度(Pb、Cr6+)を測定した。ORPは、溶出試験終了直後から10日後まで測定した。なお、「溶出試験終了」の時点とは、溶出試験が終了したと客観的に判断される時点を意味する。また、溶出試験終了後1時間以内に測定したデータを「溶出試験終了直後」のデータとした。表2にその結果を示す。
ここで、上述の東ソー社製の品番:TS−400に含まれるキレートすなわちピペラジンのカルボジチオ酸カリウム塩のモル質量は314.6[g/mol]であり、上記TS−400におけるキレートの濃度は35[質量%]である。
ここで、混合薬剤中に含まれる還元剤の濃度は3.5[質量%]である。また、1.5はCr6+をCr3+に還元するのに必要な還元剤の反応当量比である。
飛灰3〜飛灰8を使用して、飛灰100質量部に、混合薬剤(東ソー社製の品番:TS−400)を0〜10質量部と、加湿水を30〜40質量部(混合薬剤+加湿水で40質量部)とを加えてよく混練し、日本国環境庁告示13号により溶出試験を行った。孔径1μmのガラスクロスフィルターでろ過した溶出液について、温度、pH、ORPおよび重金属濃度(Pb、Cr6+)を測定した。ORPは、溶出試験終了直後から10日後まで測定した。その結果を表4に示す。
y=−4.3114x + 110.59
より、たとえば、飛灰に5質量%の混合薬剤(東ソー社製の品番:TS−400)を添加混練処理した処理物の溶出試験終了直後における溶出液のEhが89.0mV(25℃でのORPで−117mV)よりも低ければ、Cr6+の溶出を溶出基準値以下に抑制できることになる。もちろん、Pbの溶出についても溶出基準値以下に抑制できていることになる。ただし、データのバラツキを考慮すると、図示のように、近似式で求められる電位の+15%以下、好ましくは±15%程度の範囲内での管理が適当と考えられる。
飛灰3を使用して、同飛灰100質量部に、還元剤を含まないキレート薬剤(東ソー社製の品番:TS−300)を0〜10質量部、同キレート薬剤との相溶性を有する還元剤として硫化二カリウムをキレート薬剤10質量部に対して0.35質量部、加湿水を30〜40質量部(キレート薬剤+加湿水で40質量部)を加えてよく混練し、日本国環境庁告示13号により溶出試験を行った。孔径1μmのガラスクロスフィルターでろ過した溶出液について、温度、pH、ORPおよび重金属濃度(Pb、Cr6+)を測定した。ORPは、溶出試験終了直後から10日後まで測定した。その結果を用いて検討例1の図1および図2と同様のグラフを作成し、PbとCr6+の溶出防止に必要な混合薬剤量、溶出試験から10日後のEhが0mV以下になる混合薬剤量、この混合薬剤量での溶出試験終了直後のEhを求めた。その結果を表6に示す。
灰中の重金属濃度の自動計測装置を、飛灰混練装置の入口シュート部に設置して、飛灰中のCuとPbの濃度すなわち含有量を自動計測した。この自動計測装置としては、特許第5361698号公報、同第5657112号公報に記載されたものを用いた。また、同じ飛灰について、混合薬剤添加試験により、混合薬剤で処理した薬剤処理灰からのPb溶出量を0.3mg/L以下にするのに必要な混合薬剤量を求めた。そして、20検体程度の試験結果より、PbとCuの分析結果に一定の定数k1、k2を乗じた数値と、Pb溶出量を0.3mg/L以下にするのに必要な混合薬剤量とが合致するように、上記の定数k1、k2の値を決めた。本検討例4に用いた飛灰において、Cu含有量(質量%)にk1として4.4を乗じ、またPb含有量(質量%)にk2として17.6を乗じることで、必要混合薬剤量を求めることができた。すなわち、次の式3を得ることができた。
Pb溶出量を0.3mg/L以下にするのに必要な混合薬剤量(質量%)
=4.4×Cu(質量%)+17.6×Pb(質量%)・・・(式3)
F×{(B/F)の平均値}×{(D/B)の平均値}×{(E/D)の平均値}
で混合薬剤添加量を管理することにより、表8に示すように、混合薬剤使用量を1.6質量%程度削減することができる(8.435−6.837=1.598)。このように管理された混合薬剤量を「管理混合薬剤量(2)」と称し、添加すべき混合薬剤の添加量とする。表8に各混合薬剤量の比較を示す。管理混合薬剤量(2)は、安定化後のEhを0mV以下にするのに必要な混合薬剤量(E)に相当するから、式3にて求められる鉛溶出防止に必要な混合薬剤の添加量(F)と管理混合薬剤量(2)との多い方で飛灰処理することで、カチオン系の重金属とアニオン系の重金属との両方の溶出防止が可能になる。なお、Ehが0mV以下になる混合薬剤量(E)がE>BかつE>Dの条件を満たさない場合は、管理混合薬剤量(2)の代わりに管理混合薬剤量(1)を添加すべき混合薬剤の添加量とすれば良い。
上述の特許第5361698号公報、同第5657112号公報に記載された灰中の重金属濃度の自動計測装置を、飛灰混練装置の入口シュート部に設置して、処理しようとする飛灰中のCuとPbとの濃度を自動計測した。また、同時に飛灰をサンプリングし、T−CrとCr6+との含有量を化学分析すると共に、混合薬剤添加前の重金属溶出量を日本国環境庁告示13号試験により測定した。それらの結果を表9に示す。
Claims (6)
- 水溶液中でカチオンとして安定な重金属類と水溶液中でアニオンとして安定な六価クロムを含む灰の薬剤処理に際し、
還元剤とキレート薬剤とを含む混合薬剤を使用し、
前記混合薬剤で処理した薬剤処理灰の溶出液の安定化後の酸化還元電位が六価クロムを三価クロムに還元することができる酸化還元電位となるように、前記混合薬剤の添加量を決定することを特徴とする重金属含有灰の処理方法。 - あらかじめ採取した灰について、前記混合薬剤の添加量を変化させた溶出試験を行って、溶出液の酸化還元電位の経時変化から、同溶出液の安定化後の酸化還元電位を六価クロムを三価クロムに還元するための安定な電位とするために必要な混合薬剤の添加量と、溶出試験終了後の溶出液の酸化還元電位との相関関係を求めておき、
前記相関関係にもとづき、実際に処理した薬剤処理灰の溶出試験終了後の溶出液の酸化還元電位から、六価クロム溶出防止の合否を判断することを特徴とする請求項1記載の重金属含有灰の処理方法。 - 前記薬剤処理灰の溶出試験終了後の溶出液の酸化還元電位が、前記相関関係にもとづき得られる溶出試験終了後の溶出液の酸化還元電位の+15%以下の数値になったときに、六価クロムの溶出防止が適正であると判断することを特徴とする請求項2記載の重金属含有灰の処理方法。
- あらかじめ採取した灰中の銅含有量(Cu(質量%))と鉛含有量(Pb(質量%))の測定結果と、この灰に添加する前記混合薬剤の量を変化させたときに鉛の溶出量を0.3mg/L以下にすることができる同混合薬剤の添加量とから、鉛の溶出防止に必要な同混合薬剤の添加量に関する下記の実験式(a)における係数k1、k2を求め、
前記灰と同じ種類の灰を用いて、実験式(a)から算出した鉛溶出防止に必要な混合薬剤の添加量(F)と、この灰に前記混合薬剤と加湿水とを加えて混練したうえで溶出試験を行う場合において、同混合薬剤の添加量を変化させたときに鉛の溶出量を溶出基準値以下にすることができる同混合薬剤の添加量(B)と、六価クロムの溶出量を溶出基準値以下にすることができる同混合薬剤の添加量(D)と、安定化後の標準水素電極での酸化還元電位を0mV以下にするために必要な同混合薬剤の添加量(E)とを求めるとともに、
処理しようとする灰について実験式(a)から求めた鉛溶出防止に必要な前記混合薬剤の添加量に、{(B/F)の平均値}×{(D/B)の平均値}×{(E/D)の平均値}を乗じて得られた値を、添加すべき同混合薬剤の添加量とすることを特徴とする請求項1記載の重金属含有灰の処理方法。
鉛溶出防止に必要な混合薬剤の添加量(質量%)
=k1×Cu(質量%)+k2×Pb(質量%)・・・・(a) - 処理しようとする灰について請求項4に記載の重金属含有灰の処理方法における実験式(a)から求められる、鉛溶出防止に必要な前記混合薬剤の添加量と、請求項4に記載の重金属含有灰の処理方法において求められる、添加すべき同混合薬剤の添加量とのうち、どちらか多い方の量の混合薬剤を添加することを特徴とする重金属含有灰の処理方法。
- 前記混合薬剤として、還元剤を含有したキレート薬剤と、還元剤を含有しないキレート薬剤に同キレート薬剤との相溶性を有する還元剤を混合させた薬剤とのいずれかを用いることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項記載の重金属含有灰の処理方法。
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