JP2021022128A - 画像形成装置およびデータ保護方法 - Google Patents
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Abstract
Description
課金に係るカウンタ等、限られたデータ容量であるが重要なデータを保存する不揮発性の記憶デバイスとして、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)が適用されることもある。しかし、画像データや管理用のカウンタデータ等は大容量のデータである。そのため、大容量でビット単価の安い不揮発性記憶デバイスとしてHDD(ハードディスクドライブ)が一般的に使用される。
HDDは、PC(Personal Computer)のデータを格納する記憶デバイスとして一般に広く使用されており、持ち運びを前提としたモバイルPCやモバイル型でなくともノート型やデスクトップ型の小型軽量なPCにも広く使用されている。そのためもあって、HDDが振動に弱いことは説明書等によりユーザーに周知されており、一般のユーザーはPCにHDDが搭載されていることを知っている。
しかし、取り扱いについて十分な知識を持たないユーザーは、MFPを乱雑に扱いがちである。例えば、フロアの清掃等のために動作中にもかかわらずMFPを移動させたりする。その移動に伴ってACコードが引っ張られ、ACコンセントからプラグが抜けたりすることがある。
しかし、MFPの高機能化に伴って近年は各種カウンタ等のデータ容量が増大する傾向にある。全てのデータが記憶されるまで回路が作動するように、十分な蓄電容量を電源回路に持たせるとコスト的な負担が大きくなる。しかし、蓄電容量を小さくすれば、データ破損や記憶デバイスの破損が生じるリスクが増大する。
特許文献1の手法によれば、主電源スイッチの操作による電源遮断に対して、書き込みデータが保証されない問題やメモリの物理的な故障を防ぐことは可能である。しかし、振動や電源プラグの抜けに対する対策とはならない。また、データの書き込みを中止することによって書き込みデータは保証されるものの、書き込みが中止されるのでそのデータがメモリに書き込まれないまま電源がオフされてしまう。即ち、データ書き込みの機会を逸することになる。
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、電源遮断や機器の移動に伴う振動などの事象が発生するのを予測して、データの破損や記憶デバイスの破損を回避するための処理を行い、データや記憶デバイスが破損する機会を低減させるものである。
この発明によるデータ保護方法についても同様である。
(実施の形態1)
≪MFPの構成≫
図1は、この実施形態における画像形成装置の一態様であるMFP(デジタル複合機)の構成を示すブロック図である。図2は、図1に示すMFP100の外観を示す斜視図である。
なお、この実施形態では画像形成装置の例としてMFP100を挙げているが、これに限るものでない。例えば、スキャナ装置、コピー装置、ファクシミリ装置、プリンタ装置などであってもよいし、画像形成に係る装置であればこれらに限られるものでない。
制御部11と印刷ユニット13、制御部11とスキャナユニット15とはバスで接続されており、相互に通信可能となっている。
制御部11は、図1に示すMFP100の各部の動作を制御する。具体的には、CPUあるいはMPU(以下、両者をまとめてCPUと呼ぶ)を中心に、メモリ、入出力インターフェイス回路、タイマ回路等のハードウェア資源で構成される。
制御部11が備えるROMの少なくとも一部が、書き換え可能な不揮発性メモリであってもよい。制御部11が備えるCPUは、ROMに格納された制御プログラムを読み出して適宜、RAMに展開する。そして、RAMに展開された制御プログラムに従った処理を実行する。
制御部11は、検出情報取得部11a、保護処理部11b、対象認識部11c、履歴生成部11dおよび注意レベル判定部11eを含む。前記CPUが、ROMに格納された制御プログラムを実行することによって、検出情報取得部11a、保護処理部11b、対象認識部11c、履歴生成部11dおよび注意レベル判定部11eの機能が実現される。
なお、この実施形態の基本構成は対象認識部11c、履歴生成部11dおよび注意レベル判定部11eを備えない。それらは必須の構成要素でなく、好ましい態様として備えられる。
検出情報取得部11aは、センサー20や外部のセンサーである監視カメラ30から検出情報を受ける。
即ち、センサー20または外部のセンサーとしての監視カメラ30からの検出情報に基づいて、MFP100に振動が加わったり電源が遮断されたりすることを予測し、重要保護データおよび保護データの少なくとも何れかを記憶デバイスに書き込む処理を開始する。MFP100に振動が加わったり電源が遮断されたりすることが起こる前にデータの書き込みを終えるようにして、データや記憶デバイスが破損する機会を低減させる。
この実施形態において、重要保護データはEEPROM19aに格納されるものとする。ただし、これに限定されるものでない。例えば、重要保護データの少なくとも一部がHDD19bに格納されてもよい。
EEPROM19aは、HDD19bに比べて格納できるデータの容量は小さい。しかし、後述する電源回路21は、系統電力からの電源が遮断されてもEEPROM19aに重要保護データを書き込む処理の期間中は回路の動作が保証されるだけの蓄電容量を備えている。
この実施形態において、保護データはHDD19bに格納されるものとする。ただし、これに限定されるものでない。例えば、保護データの少なくとも一部がEEPROM19aに格納されてもよい。
対象認識部11c、履歴生成部11d、注意レベル判定部11eについては、実施の形態2で述べる。
表示ユニット12は、例えば、液晶ディスプレイ装置で構成される。表示ユニット12は、例えば操作ユニット10が受け付けた入力等に基づいて、各種の情報や画像等を表示可能である。制御部11は、表示ユニット12に表示するべき内容を生成し、更新する。それに伴って、表示ユニット12は各種の情報や画像を表示する。
スキャナユニット15は、制御部11の制御下で、コピー、ファックスおよびスキャナのジョブにおける画像を読み取って画像形成を行う。即ち、原稿画像を読み取って、画像信号に変換し、画像データを生成する。
画像データ生成回路16は、スキャナユニット15が出力する画像信号に基づいて画像データを生成する。
ただし、すべての保護データをHDD19bに書き込めるだけのエネルギーは蓄積されておらず、まして画像データの書き込み完了は保証されない。
ユーザーが図示しない電源スイッチをオフする通常のシャットダウンは、系統電力からの電力供給が遮断されないため、時間をかけて順次処理を終了させることができる点で、電源の遮断とは異なる。
手差しトレイ17bは、各種サイズおよび各種のタイプの用紙を給送可能なトレイである。
図1および図2に図示しない給紙機構は、制御部11の制御下で、指定された給紙トレイの用紙を給送して印刷ユニット13へ搬送する、
印刷ユニット13は、制御部11の制御下で、給紙トレイ17aまたは手差しトレイ17bから給送された用紙に、指定された画像データを印刷して画像形成を行う。この実施形態において、印刷ユニット13は、電子写真方式の装置であって、電子写真感光体上に印刷に係るトナー像を形成して用紙に転写する。そして、トナー像が転写された用紙を図示しない定着ユニットに搬送してトナーを用紙上に熱定着させる。
通信インターフェイス回路14は、ネットワークを介して外部の機器とデータの通信を行うためのインターフェイスである。この実施形態で、MFP100は、ネットワークを介して接続された監視カメラ30と通信する。監視カメラ30は、一台に限らず、複数台であってもよい。
なお、図1において、検出情報取得部11a、保護処理部11bはMFP100の制御部11に含まれるとしているが、変形例として、それらが通信インターフェイス回路14を介して接続される外部の機器に存在し、制御部11がその機器から情報を得てMFP100の保護に係る処理を実行する態様もあり得る。認識対象部11c、履歴生成部11d、注意レベル判定部11eについても同様である。
この実施形態において、保護処理部11bは、MFP100が移動されていること、好ましくはその移動のされ方をも検出し、それに応じて記憶デバイス19へデータを書き込む処理を行う。
例えば、MFP100の背後の清掃などのためにユーザーがMFP100を移動させることがある。
一般的に、MFP100にPCと同様の精密部品(例えばHDD)が搭載されているというユーザーの認識がPCに比べると希薄である。MFP100が設置されて日常的にそれを使用しているオフィスのユーザー、MFP100が設置されるコンビニエンスストアの店員あるいはMFP100の管理者であっても、そのような傾向がみられる。そのため、上述の清掃などの場合に、電源をシャットダウンする操作が行われないまま、通電状態でMFP100が移動させられることがある。その移動が、MFP100の動作中に傾きや振動を生じさせる可能性がある。
振動センサー20aが移動開始の時点で振動を検出すると、検出情報取得部11aは、振動センサー20aから検出情報を取得する。また、MFP100が段差を通過するなどした場合は傾斜センサー20bから検出情報を取得する。それらの検出情報に基づいて保護処理部11bは、HDD19bに振動が加えられると判断した場合、予想される振動の大きさや種類に応じた処理を行う。
また、振動が所定期間を超えて続く場合は、移動量が大きく電源コードが引っ張られて電源プラグが抜け、MFP100の電源供給が遮断される可能性がある。よって、電源遮断によるデータ破損やディスク破損、引いてはMFP100の破損を防止するためにシャットダウンを行う。
図3は、この実施形態において、制御部11が実行する保護に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図3に示す保護に係る処理は、一つのタスクとして他のタスクと平行にマルチタスク処理される。後述する図4〜図8も同様である。
図3に示すように、検出情報取得部11aとしての制御部11は、電源遮断が検出されたか否かを判定する(ステップS11)。ここで、電源遮断は、瞬時停電や電源プラグ抜けなどによって生じるものであって、電源スイッチの操作による通常の電源オフとは異なる事象である。
ここで、EEPROM19aの書き込み可能な回数は、素子の寿命に起因する上限がある(一例では100万回)。よって、制御部11は、電源オン後の初期化処理でEEPROM19aから重要保護データである課金に係るカウンタを読み出してRAM上に重要保護データのイメージを生成し、頻繁なデータの更新は生成されたイメージに対して行う。即ち、画像形成動作中において重要保護データを更新する際、制御部11はEEPROM19aに格納されたデータではなくRAM上のイメージを更新する。
保護処理部11bとしての制御部11は、EEPROM19aに保護データを書き込む上述の処理の他に、電源遮断に伴うシャットダウン処理として、即時に出力をオフしないとMFP100を損傷させる可能性のある出力信号をオフする。例えば、HDD19bのヘッドを退避させてディスクを停止させる。さらに、定着装置の熱源であるヒータ(図1に不図示)をオフしてもよい。それらオフ処理の後、制御部11のCPUにハードウェアリセット信号を送ってCPUを停止させる。電源回路21の出力が定格電圧より降下する際にCPUが暴走しないようにするためである。
傾き検出に伴うシャットダウン処理は、電源遮断に伴うシャットダウン処理と同様にEEPROM19aに保護データを書き込む。また、出力をオフしないとMFP100を損傷させる可能性のある出力信号をオフする。上述の電源遮断に伴うシャットダウンと異なるのは電源が即時には遮断されない点である。よって、動作停止までに若干の時間を要する出力オフ処理も実行する。例えば、スキャナユニット15の図示しない走査用モーターにブレーキをかけて即時に停止させるようにしてもよい。また、電子写真プロセスに係る帯電、現像バイアス、転写等の高圧出力を所定のタイミングに従ってオフし、感光体や現像剤へのダメージが抑制されるようにしてもよい。
前記ステップS13で、傾きが検出されなかった場合(ステップS13のNo)、続いて検出情報取得部11aとして制御部11は、振動センサー20aが予め定められた閾値を超える大きさの振動を検出したか否かを判定する(ステップS15)。MFP100の通常の動作に伴って若干の振動が生じるので、前記閾値は通常動作に伴う振動を誤って判定しないように設定されている。
閾値を超える振動が検出されなければ(ステップS15のNo)、検出情報取得部11aとして制御部11は、電源遮断(ステップS11)、傾き検出(ステップS13)および振動検出(ステップS15)の監視を繰り返す。
一方、未書き込みのデータブロックがある場合(ステップS17のYes)、次のデータブロックをHDD19bに書き込む(ステップS19)。そして、振動が所定期間以上継続しているか否かを判定する(ステップS21)。
振動が継続していなければ(ステップS21のNo)、ルーチンは前述のステップS17へ戻り、未書き込みのデータブロックが残っているか否かを判定する。即ち、わずかな移動量と判断した場合、シャットダウン処理は行わず、保護データおよび重要保護データの書き込みだけを実施する。
振動検出に伴うシャットダウン処理は、傾き検出に伴うシャットダウン処理に比べてさらに、動作停止までに時間を要する出力オフ処理を含む。例えば、仕掛かりの用紙への印刷が完了するまで印刷ジョブの実行を継続してから印刷ジョブを停止させるようにしてもよい。そうすれば、MFP100の機内に用紙が滞留したまま動作を停止することがなく、動作再開時にユーザーが機内の用紙を取り除く必要がない。
ここで、振動が長く続いた場合は長い距離を移動した可能性があり、移動の際に不注意で電源コードが引っ張られて電源プラグが抜ける可能性がある。この実施形態ではその点を考慮して、振動検出に伴うシャットダウン処理の実行中も、電源遮断が検出されたか否かを判定する(ステップS25)。
一方、HDD19bへのデータブロック書き込み処理中に電源遮断が検出された場合は(ステップS25のYes)、電源プラグ抜けで電源の供給が遮断されるので、上述のステップS12と同様、電源遮断に伴うシャットダウン処理を実行する(ステップS27)。そして、EEPROM19aに重要保護データを書き込む(ステップS29)。未書き込みのデータブロックがあった場合はそのデータブロックについて保護データに齟齬が生じるものの、重要保護データを優先して処理する。
なお、上述の説明において、傾きの検出は傾斜センサー20bにより、振動の検出は振動センサー20aによると述べたが、他の手段で傾きや振動を検出してもよい。例えば、搭載カメラ20cを用いて、撮影された画像の傾きの変化、ブレあるいはシフトから傾き、振動あるいは移動を検出してもよい。
実施の形態1では、MFP100に加わる実際の振動や傾きを検出したが、この実施の形態では、MFP100に振動や傾きを加える可能性のある対象を認識して保護に係る処理をより早い段階から実行する。この実施の形態による手法を実施の形態1と組み合わせてもよい。以降に述べる実施の形態についても、合理的な範囲で他の実施形態と組み合わせることが可能である。
より詳細には、この実施の形態において、制御部11は、MFP100に近づく人や近づいた人(例えばMFP100がコンビニエンスストア等の店舗に設置されている場合は、店員を含む)を対象として認識する。そして、認識された対象が通常の電源オフ操作をせずにMFP100を移動させたり電源を遮断したりする行動、あるいはそのように推測される行動の有無を、対象毎の行動履歴として記憶する。そして、認識された対象について記憶されている行動履歴に基づいて、保護に係る処理の要否および程度を判断する。
また、認識された対象が、通常の電源オフの操作を行わずに電源遮断を行ったことがある人物であれば、保護データおよび重要保護データを書き込む処理を実行する。そして、HDD19bのヘッドを退避させてディスクを停止させる。しかし、実行中のジョブは継続し、印刷ユニット13やスキャナユニット15の動作停止までは行わないなど、行動注意レベルに応じて保護に係る処理を実行する。
それ以外に、例えばMFP100が課金に係るユーザー認証(例えば、ICカードを用いたユーザー認証や暗証コードを用いたユーザー認証)を行う場合は、ユーザー認証に係る情報を用いてもよい。
行動注意レベルが高い対象であってもMFP100を使用することがある。よって、そのユーザーの利便性を考慮し、例えば使用上の注意をメッセージとして表示ユニット12に表示してユーザーの注意を喚起するといった保護に係る処理の態様も考えられる。
図4は、この実施形態において、制御部11が実行する保護に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4に示すように、検出情報取得部11aとしての制御部11は、MFP100に接近する人あるいは接近した人がいるか否かを判定する(ステップS31)。
接近する人あるいは接近した人がいると判断すると、対象認識部11cとして制御部11はその人を対象として認識する(ステップS32)。
そして、認識された対象が過去に認識されて行動履歴が格納された対象か否かを判定する(ステップS33)。なお、この実施形態において、生成された行動履歴はHDD19bに格納されるものとする。ただし、これに限るものでない。
認識された対象の行動履歴が格納されていなければ(ステップS33のNo)、履歴生成部11dとして制御部11は、新たな行動履歴を生成する(ステップS35)。行動注意レベルの初期値は、複数レベルのうちで最小のレベル(低レベル)とする。
行動注意レベルが最高レベルまたは高レベルの場合(ステップS37のYes)、保護処理部11bとして制御部11は、保護データをHDD19bに格納する処理を行う(ステップS39)。図4では図示を省略しているが、実施の形態1と同様にデータブロックごとに書き込みを行うことが好ましい。しかし、ユーザーがMFP100に近づきつつある段階で保護データの書き込みが完了する場合は全ての保護データをHDD19bに一括で書き込むようにしてもよい。
以上のようにして、重要保護データおよび保護データを書き込んだ後に、保護処理部11bとして制御部11は、対象の行動注意レベルが最高レベルか否かを判定する(ステップS45)。最高レベルの場合は、認識された対象がMFP100に振動を加える可能性が高いと判断し、MFP100の動作を停止させる。即ち、印刷ユニット13およびスキャナユニット15の動作を停止させて(ステップS47)、処理を終了する。
一方、上述のステップS37で、対象の行動注意レベルが最高レベルまたは高レベルでないと判断した場合、注意レベル判定部11eとして制御部11は、行動注意レベルが中レベル、低レベルの何れかを判定する(ステップS51)。
一方、上述のステップS51の処理で行動注意レベルが低レベルの場合(ステップS51のNo)、保護処理部11bとして制御部11は、保護データをHDD19aに書き込む処理は行わず、重要保護データをEEPROM19aに書き込む処理(ステップS55)のみを行って、処理を終了する。
この実施形態は、実施の形態2と同様、MFP100に振動や傾きを加える可能性のある対象を認識して保護に係る処理を実行する。実施の形態2と異なる点は、対象を認識するタイミングをMFP100が設置されたコンビニエンスストア等の店舗や部屋へ入店あるいは入室する時点としている点である。
対象を認識するセンサーとしては、MFP100が設置された店舗や部屋に備えられた監視カメラ30を適用することが考えられる。また、オフィスの場合はMFP100が設置された部屋に備えられた入退室システムの情報を適用してもよい。
MFP100が店舗に設置されている場合、店舗の従業員にはMFP100が精密機械であり、振動等に弱いことを説明して取り扱いについて教育し、慎重な取り扱いをしてもらうことができる。しかし、店舗を訪れる一般ユーザーは、MFP100の取扱い方を周知することができず、取り扱いが店員よりも雑になることが予想される。
この実施形態の応用例として、サービスエンジニア等のメンテナンス作業員が入店したことを検出した場合、メンテナンス用のMFP100に係るデータを収集してバックアップしておくことも考えられる。そうしなければ、MFP100をメンテナンスのために停止させてからメンテナンス用のデータを収集することになる。それに比べると、データ収集の時間を短縮させることができ、ダウンタイムを短縮できる。
図5は、この実施形態において、制御部11が実行する保護に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。図4と同様に行動履歴に基づく処理を行ってもよいが冗長になるため、図5においてそれらの処理は省略している。図5は、図4と異なる処理に焦点を当てたフローチャートである。
図5に示すように、検出情報取得部11aとして制御部11は、入店者を監視する(ステップS61)。
入店者を検出した場合(ステップS61のYes)、対象認識部11cとして制御部11はその入店者を対象として認識する(ステップS62)。
入店者が従業員であると判断した場合(ステップS63のNo)、保護処理部11bとして制御部11は、最小限の保護処理を入店検出時に実行する。即ち、重要保護データをEEPROM19aに書き込む処理を行って(ステップS73)、処理を終了する。
一方、入店者が一般ユーザーであると判断した場合、履歴生成部11dとして制御部11は、そのユーザーが登録済みの一般ユーザーであるか否かを判定する(ステップS65)。
登録されていないユーザーであれば(ステップS65のNo)、その対象を新たな一般ユーザーとして登録する(ステップS67)。そして、保護処理部11bとして制御部11は保護データの書き込み処理を行う(ステップS69)。
なお、上述のように、登録済みのユーザーについて図4と同様に行動注意レベルに基づいて保護に係る処理を行ってもよいが、図5ではそれを省略した態様を示しており、一般ユーザーであれば一律に保護データの書き込み処理を行うものとしている。
HDD19bへ保護データを書き込む処理(ステップS69)が終了したら、保護処理部11bとして制御部11は、HDD19bのヘッドを退避させてディスクを停止させる(ステップS71)。
そして、重要保護データをEEPROM19aに書き込んで(ステップS73)、処理を終了する。
この実施形態は、入店者あるいは入室者を検出する実施の形態3の構成と、MFP100への接近を検出する実施の形態2の構成を組み合わせた態様である。即ち、入店者あるいは入室者を対象として検出し、その対象がMFP100の周囲(警戒エリア)に近づいたら保護に係る処理を実行するものである。
例えば、コンビニエンスストア等の店舗に設置されたMFP100の場合、入店者のすべてがMFP100に接近するとは限らない。多数の人が入店する店舗では、入店者を検出する毎に保護データおよび重要保護データを書き込んでいたのでは処理負荷が重くなる。そればかりか、EEPROM19aの書き込み可能回数の上限を上回る可能性がある。
一方で、入店者を精度よく認識するには、性能のよい店舗監視カメラの使用が好適である。よって、両者を組み合わせることによって好適な保護を実現できる場合がある。
この実施の形態によれば、店舗の監視カメラ30のみで、あるいは監視カメラ30とMFP100が備えるセンサー20(例えば、搭載カメラ20cや、図1に図示しない人感センサー等)とを連携させて、警戒エリアに立ち入る者があった場合に保護に係る処理を実行する。
図6は、この実施形態において、制御部11が実行する保護に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。図4と同様に行動履歴に基づく処理を行ってもよいが冗長になるため、図6はそれらの処理を省略した態様を示している。図4および図5と異なる処理に焦点を当てたフローチャートである。
図6に示すように、検出情報取得部11aとして制御部11は、入店者を監視する(ステップS81)。
入店者を検出した場合(ステップS81のYes)、対象認識部11cとして制御部11は、その入店者を対象として認識する(ステップS83)。
さらに対象認識部11cとして制御部11は、認識された対象が警戒エリアに接近あるいは進入するかを監視する(ステップS85)。警戒エリアは、MFP100の周囲に予め定められた領域であって、警戒エリアへの進入は、店舗の監視カメラ30またはMFP100のセンサー20によって検出される。
HDD19bへ保護データを書き込む処理(ステップS87)が終了したら、保護処理部11bとして制御部11は、HDD19bのヘッドを退避させてディスクを停止させる(ステップS89)。
そして、重要保護データをEEPROM19aに書き込んで(ステップS91)、処理を終了する。
図6に図示していないが、登録済みのユーザーについて図4と同様に行動注意レベルに基づいて保護に係る処理を行ってもよい。また、図5と同様に従業員と一般ユーザーとを判別して保護に係る処理を行ってもよい。
この実施形態では、電源プラグの抜けを事前に検出して保護に係る処理を行う。第1の態様によれば、センサー20が図1に図示しない電源プラグをユーザーが把持したことを検出するセンサー(図1に不図示)を有し、動作中に電源プラグが把持されたことをセンサーが検出したら、電源プラグが抜かれると予想して保護に係る処理を行う。
第2の態様によれば、電源プラグが電源プラグの外れ防止のためのラッチ機構と、そのラッチ機構を作動させるアクチュエータとをさらに有する。そして、ユーザーが電源プラグを抜こうとしても、保護データおよび重要保護データの書き込みが終了するまでアクチュエータによりラッチ機構を作動させるので電源プラグの抜けが防止される。
単純な家庭電化製品には、電源スイッチを備えておらず、電源プラグの挿抜によって電源をオン/オフするものがある。MFPの取扱いについても、ユーザーの中にはそのような家庭電化製品を扱うのと同様に軽い気持ちで、清掃等の際に電源スイッチを操作することなく電源プラグを抜いてしまう人がないとはいえない。
上述した第1の態様によれば、電源プラグが把持したことに応答して保護データおよび重要保護データ書き込みを開始する。例えば、電源プラグが抜かれ電源が遮断されてから500ミリ秒の期間は、電源回路の蓄電機能によりデータ書き込みに関連する制御部11および記憶デバイス19動作が保証されるものとする。その場合、500ミリ秒以内に書き込めるデータが、書き込みの保証されたデータといえる。
これに対して、電源プラグの把持が検出されてから電源プラグが抜けるまでさらに500ミリ秒の猶予ができるとすれば、合計で1秒以内に書き込めるデータが、書き込みの保証されたデータといえる。
一般的に電源の蓄電機能は電源回路に大容量コンデンサやバッテリーを搭載することにより実現される。電源の保持時間を増やすにはより大容量のコンデンサやバッテリーが必要になり、電源回路のコストアップにつながる。
電源プラグが把持されたことを検出するセンサーは、公知のスイッチやタッチセンサ―を用いて実現可能である。
電源プラグ抜けを防止するラッチ機構は、電源コンセントの側も機構的に対応した構成が必要であるが、ラッチ機構付きの電源プラグとそれに対応するコンセントを対で提供することは可能である。
図7は、この実施形態による第1の態様において、制御部11が実行する保護に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8は、この実施形態による第2の態様において、制御部11が実行する保護に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7を用いて、第1の態様の処理を述べる。
図7に示すように、検出情報取得部11aとしての制御部11は、電源プラグが把持されたか否かを監視する(ステップS101)。なお、電源プラグがアクチュエータのないラッチ機構を備えてユーザーが手動でラッチを解除して電源プラグを抜ける構造とし、把持の検出に代えてラッチ機構の解除をスイッチ等により検出するように構成してもよい。
電源プラグが把持されたことをセンサー20が検出したら、保護処理部11bとして制御部11は、電源プラグ操作に伴うシャットダウン処理を開始する(ステップS103)。即ち、速やかに出力をオフしないとMFP100を損傷させる可能性のある出力信号をオフする。また、保護データの書き込みを行い、電源プラグが抜かれて電源遮断が検出されたら、未書き込みのデータブロックがあっても重要保護データの書き込み処理に移行する。
電源が遮断されるまでの間(ステップS111のNo)、ルーチンは前述のステップS105へ戻り、未書き込みのデータブロックが残っているか否かを判定する。即ち、電源プラグが抜かれて電源が遮断されるまで、データブロックごとに保護データの書き込み処理を行う。
一方、データブロックごとに保護データの書き込み処理を行っている間に電源プラグが抜かれ電源が遮断されたら(ステップS111のYes)、重要保護データをEEPROM19aに書き込む処理を行ない(ステップS113)、処理を終了する。
以上のように、可能な限りの保護データと、全ての重要保護データの書き込みを行う。
図8に示すように、検出情報取得部11aとしての制御部11は、電源プラグが把持されたか否かを監視する(ステップS121)。
電源プラグが把持されたことをセンサー20が検出したら、保護処理部11bとして制御部11は、電源プラグ操作に伴うシャットダウン処理を開始する(ステップS123)。
即ち、速やかに出力をオフしないとMFP100を損傷させる可能性のある出力信号をオフする。
そして、電源プラグのラッチ機構を作動させて電源プラグがコンセントから抜けないようにする(ステップS125)。
図7と同様に、データブロックごとに保護データをHDD19bに書き込んでもよいが、一括でHDD19bに書き込んでもよい。保護データをHDD19bに書き込み終えるまで電源プラグが抜けないようになっているからである。
続いて、保護処理部11bとして制御部11は、重要保護データをEEPROM19aに書き込む処理を行う(ステップS129)。
重要保護データをEEPROM19aに書き込む処理が終了し、前述のステップS123で実行開始したシャットダウン処理も終了したら(ステップS131)、保護処理部11bとして制御部11は、ラッチ機構を解除して電源プラグをユーザーが抜けるようにして(ステップS133)、処理を終了する。
以上のように、全ての保護データと、全ての重要保護データの書き込みを行う。
(i)この発明による画像形成装置は、予め定められたそれぞれの所定タイミングで電源遮断時に保持されるべきデータのうち予め重要と定められた種類の重要保護データもしくは前記重要保護データ以外に電源遮断時に保持されるべき保護データの少なくとも何れかを格納する記憶デバイスと、方向および傾きの何れかの変化、振動、所定の操作、接近してくる人、入室者、予め定められたエリアに進入する人の少なくとも何れかを検出するセンサーからの検出情報を受ける検出情報取得部と、前記所定タイミングとは別に、前記検出情報取得部が受けた検出情報に応答して前記重要保護データおよび前記保護データの少なくとも何れかを前記記憶デバイスに書き込む処理を開始する保護処理部と、を備えることを特徴とする。
この発明において、重要保護データは、画像形成装置の電源が遮断された場合に保持されるべきデータのうち、画像形成装置の設計者によって、特に重要なデータであると予め定められた種類のデータである。典型例は、画像形成装置の使用に基づくユーザーへの課金に係るデータである。より具体的な態様は、例えば、画像形成装置の総使用枚数等を示すカウンタデータや、ユーザー毎(部門毎を含む)の使用枚数を示すカウンタデータ等である。前述の実施形態における課金カウンタは、この発明の重要保護データに相当する。
さらにまた、設定に係る保護データは、画像形成装置の画質、動作タイミング、ユーザー・インターフェース等の設定に係るデータである。
記憶デバイスは、上述の各種データを記憶する書き換え可能な不揮発性の記憶装置である。その典型例はHDDであるが、それに限らず例えばSSD、フラッシュROM、EEPROMあるいはMRAM(磁気抵抗RAM)あるいはFeRAM(強誘電体メモリ)等が挙げられる。複数種類の記憶装置を組み合わせて一つの記憶デバイスが構成されてもよい。
その具体的な態様は、例えば、画像形成装置に加えられた振動を検出する振動センサー、加速度センサー、画像形成装置の傾きを検出する傾斜センサーが挙げられる。また、画像形成装置に振動が加わったり電源が遮断されたりする事態を予測する具体的な手段として、例えば、電源プラグを電源コンセントから抜く行動に関連して、電源コンセントに触れられたことを所定の操作として検出するスイッチや、画像形成装置に近づく人を撮影するカメラが挙げられる。カメラは、画像形成装置が備えてもよいが、画像形成装置が設置された場所の周囲に設置されたものであってもよい。
保護処理部は、画像形成装置が備えるセンサーまたは外部のセンサーからの検出情報に基づいて画像形成装置に振動が加わったり電源が遮断されたりすることを予測し、重要保護データおよび保護データの少なくとも何れかを記憶デバイスに書き込む処理を開始する。そして、画像形成装置に振動が加わったり電源が遮断されたりすることが起こる前にデータの書き込みを終えるようにして、データや記憶デバイスが破損する機会を低減させる。
このようにすれば、対象の行動注意レベルの高低に応じて記憶デバイスへの書き込み処理の範囲を決定できる。例えば、行動注意レベルの高い対象を認識した場合、画像形成装置に振動が加わったり電源が遮断されたりする可能性が高いと判断してより多くのデータを記憶デバイスに書き込むようにできる。例えば記憶デバイスの少なくとも一部にEEPROM等が使用され、多過ぎる書き込みは記憶デバイスの寿命の観点から好ましくない場合でも、対象の行動注意レベルに応じて書込みの範囲を決定し無駄な書き込みを抑制できる。
このようにすれば、行動注意レベルの高い対象を認識した場合、画像形成装置に振動が加わったり電源が遮断されたりする可能性が高いと判断してデータや記憶デバイスを保護する処理に加えて、画像形成装置の他の部分についても動作を停止させて破損の機会を低減させることができる。
このようにすれば、対象の行動注意レベルの高低に応じて画像形成に係る動作の停止の態様を決定できる。例えば、行動注意レベルの高い対象を認識した場合は、仕掛かり中のページ以降の印刷を停止させる。一方、行動注意レベルが中程度の対象を認識した場合は、仕掛かり中の一部が完成するまで印刷を続け、以降の部の印刷を停止させる。
また、行動注意レベルの高い対象を認識した場合、仕掛かり中のすべてのジョブを停止させる。しかし、行動注意レベルが中程度の対象を認識した場合は定着のために熱源を使用する印刷ジョブは安全を考慮して停止させるが、熱源を使用しないスキャナジョブやファックス送信ジョブは動作を継続させるようにしてもよい。
このようにすれば、画像形成装置が備えるセンサーを用いることによって、外部のセンサーを用いることによって、あるいはその両方を用いることによって、画像形成装置に振動が加わったり電源が遮断されたりすることを予測できる。
前記保護処理部は、前記重要保護データおよび前記保護データの少なくとも何れかを前記記憶デバイスへ書き込む間は前記ラッチ機構が動作するように前記アクチュエータを制御してもよい。
このようにすれば、少なくとも前記記憶デバイスへ重要保護データまたは前記保護データを書き込む間は、電源プラグの外れが防止されるので、電源プラグの外れによる電源遮断が防止される。よって、データや記憶デバイスの破損が防止される。
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
100:MFP
Claims (7)
- 予め定められたそれぞれの所定タイミングで電源遮断時に保持されるべきデータのうち予め重要と定められた種類の重要保護データもしくは前記重要保護データ以外に電源遮断時に保持されるべき保護データの少なくとも何れかを格納する記憶デバイスと、
方向および傾きの何れかの変化、振動、所定の操作、接近してくる人、入室者、予め定められたエリアに進入する人の少なくとも何れかを検出するセンサーからの検出情報を受ける検出情報取得部と、
前記所定タイミングとは別に、前記検出情報取得部が受けた検出情報に応答して前記重要保護データおよび前記保護データの少なくとも何れかを前記記憶デバイスに書き込む処理を開始する保護処理部と、を備える画像形成装置。 - 前記検出情報に基づいて、接近してくる人、入室者、予め定められたエリアに進入する人の少なくとも何れかに係る人を対象として認識する対象認識部と、
前記対象に係る行動をその対象と紐付けて行動履歴として前記記憶デバイスに格納する履歴生成部と、
前記対象認識部が認識した対象について、前記記憶デバイスに格納された行動履歴に基づいて前記対象の行動注意レベルを判定する注意レベル判定部とをさらに備え、
前記保護処理部は、前記対象について判定された行動注意レベルに応じて前記記憶デバイスに書き込む処理の範囲を決定する請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記保護処理部は、画像形成中に前記対象認識部が対象を認識した場合、前記記憶デバイスに記憶させる処理の範囲に加えて、画像形成に係る少なくとも一部の動作を停止させるか否かを前記行動注意レベルに応じて決定する請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記保護処理部は、画像形成に係る少なくとも一部の動作を停止させる場合に、前記行動注意レベルに応じて停止させる動作の態様を決定する請求項3に記載の画像形成装置。
- 方向および傾きの何れかの変化、接近してくる人、入室者、予め定められたエリアに進入する人の少なくとも何れかを検出して前記検出情報を出力するセンサーをさらに備えるか、あるいは前記検出情報取得部が外部のセンサーから前記検出情報を取得する請求項1に記載の画像形成装置。
- 電力を得るために電力系統に接続され、外れ防止のラッチ機構およびそのラッチ機構を動作および解除させるアクチュエータを有する電源プラグをさらに備え、
前記保護処理部は、前記重要保護データおよび前記保護データの少なくとも何れかを前記記憶デバイスへ書き込む間は前記ラッチ機構が動作するように前記アクチュエータを制御する請求項1に記載の画像形成装置。 - 画像形成装置の制御部が、
予め定められたそれぞれの所定タイミングで電源遮断時に保持されるべきデータのうち予め重要と定められた種類の重要保護データもしくは前記重要保護データ以外に電源遮断時に保持されるべき保護データの少なくとも何れかを記憶デバイスに書き込むステップと、
方向および傾きの何れかの変化、振動、所定の操作、接近してくる人、入室者、予め定められたエリアに進入する人の少なくとも何れかを検出するセンサーからの検出情報を受けるステップと、
前記所定タイミングとは別に、前記検出情報取得部が受けた検出情報に応答して前記重要保護データおよび前記保護データの少なくとも何れかを前記記憶デバイスに書き込む処理を開始するステップと、を備えるデータ保護方法。
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