JP2021020978A - 耐熱性に優れ、軽量かつ高比弾性率である成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性に優れ、軽量かつ高比弾性率である成形体を提供する。【解決手段】半芳香族ポリアミドからなり、密度が1.30以下、かつ、比弾性率が2.30以上である成形体、および、半芳香族ポリアミドが、テレフタル酸と炭素数6〜12の脂肪族ジアミンを主成分とする半芳香族ポリアミドである前記成形体、炭素数6〜12の脂肪族ジアミンが1,10−デカンジアミンである前記成形体、および、切削加工用部材である前記成形体、および、圧縮成形または押出成形してなる前記成形体。【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性に優れ、軽量かつ高比弾性率である成形体に関するものである。
半芳香族ポリアミドは、耐熱性や機械的特性が優れていることから、自動車部品、電気電子部品等の成形材料として広く用いられている。近年、これらの分野においては、部品の小型化や軽量化が進められており、それに伴い、それぞれの部品に用いる成形材料にはさらなる単位密度あたりの機械的強度の向上が求められている。また、これらの分野においては、電気配線等をおこなうことが多いことから、リフローはんだ工程に対する耐熱性が求められており、近年は、その工程の高速化の要望から、さらなる耐熱性が求められている。
半芳香族ポリアミドを用いた成形体としては、特許文献1に、半芳香族ポリアミドを射出成形した成形体が開示され、特許文献2には、ポリアミド10Tが繊維状材料に含浸された複合構造体が開示されている。しかしながら、特許文献1の成形体は、耐熱性や単位密度あたりの機械的強度の観点から、用途が限定されており、特許文献2の複合構造体は、繊維状補強材の配合量が多く、軽量化の観点から不十分な場合があった。
国際公開2013/042541号パンフレット 特開2016−102194号公報
本発明は、耐熱性に優れ、軽量かつ高比弾性率である成形体を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、半芳香族ポリアミドを圧縮成形または押出成形することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)半芳香族ポリアミドからなり、密度が1.30以下、かつ、比弾性率が2.30以上である成形体。
(2)半芳香族ポリアミドが、テレフタル酸と炭素数6〜12の脂肪族ジアミンを主成分とする半芳香族ポリアミドである(1)に記載の成形体。
(3)炭素数6〜12の脂肪族ジアミンが1,10−デカンジアミンである(2)に記載の成形体。
(4)切削加工用部材である(1)〜(3)いずれかに記載の成形体。
(5)圧縮成形または押出成形してなる(1)〜(4)いずれかに記載の成形体。
本発明によれば、耐熱性に優れ、軽量かつ高比弾性率である成形体を提供することができる。
成形材料に電気配線等をおこなう際には微細な微細孔を設けることが多いが、本発明の成形体は、ドリル等で切削した際にバリ等が発生しにくく、切削加工性にも優れている。
本発明の成形体は、自動車部品や電気電子部品等に好適に用いることができる。
本発明に用いる半芳香族ポリアミドは、芳香族ジカルボン酸成分と脂肪族ジアミン成分とから構成される。
芳香族ジカルボン酸成分においては、テレフタル酸を主成分とすることが好ましい。本発明において、「テレフタル酸を主成分とする」とは、芳香族ジカルボン酸成分におけるテレフタル酸の含有量が75モル%以上であることを意味する。芳香族ジカルボン酸成分におけるテレフタル酸の含有量は、耐熱性や比弾性率が高くなりやすいことから、95モル%以上とすることが好ましく、100モル%とすることがより好ましい。
脂肪族ジアミン成分においては、耐熱性や比弾性率が高くなりやすいことから、炭素数6〜12の脂肪族ジアミンを主成分とすることが好ましい。炭素数6〜12の脂肪族ジアミンとしては、例えば、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミンが挙げられ、中でも、汎用性が高いことから、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミンが好ましく、1,10−デカンジアミンがより好ましい。炭素数6〜12の脂肪族ジアミンは、前記のうち1種を単独で用いてもよいし、併用してもよいが、耐熱性や比弾性率が高くなりやすいことから、単独で用いることが好ましい。
半芳香族ポリアミドの具体例としては、例えば、ポリアミド6T、ポリアミド7T、ポリアミド8T、ポリアミド9T、ポリアミド10T、ポリアミド11T、ポリアミド12Tが挙げられる。
本発明に用いる半芳香族ポリアミドには、モノカルボン酸成分を含有することが好ましい。モノカルボン酸を含有することにより、半芳香族ポリアミドは、末端の遊離アミノ基量を低く保つことが可能となり、熱を受けた際の、熱劣化や酸化劣化によるポリアミドの分解や変色が抑えられ、また末端が疎水性となるため低吸水性とすることができる。その結果、得られる半芳香族ポリアミドの耐熱性を向上させることができる。
モノカルボン酸成分の含有量は、半芳香族ポリアミドを構成する全モノマー成分に対して0.3〜4.0モル%とすることが好ましく、0.8〜2.5モル%とすることがより好ましい。モノカルボン酸成分の含有量を0.3〜4.0モル%とすることにより、比弾性率を低下させることなく、より耐熱性を向上させることができる。
モノカルボン酸成分としては、脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸が挙げられる。圧縮成形する際には、金型からの離形性が特に重要になるが、前記離形性が向上しやすいことから、脂肪族モノカルボン酸が好ましい。脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、カプリル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸が挙げられ、脂環族モノカルボン酸としては、例えば、4−エチルシクロヘキサンカルボン酸、4−へキシルシクロヘキサンカルボン酸、4−ラウリルシクロヘキサンカルボン酸が挙げられ、芳香族モノカルボン酸としては、例えば、4−エチル安息香酸、4−へキシル安息香酸、4−ラウリル安息香酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸が挙げられる。モノカルボン酸成分は、上記のうち1種を単独で用いてもよいし、併用してもよい。
本発明に用いる半芳香族ポリアミドには、テレフタル酸と炭素数6〜12の脂肪族ジアミンのほかに、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸や、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸や、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸や、1,2−エタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,13−トリデカンジアミン、1,14−テトラデカンジアミン、1,15−ペンタデカンジアミン等の脂肪族ジアミンや、シクロヘキサンジアミン等の脂環式ジアミンや、キシリレンジアミン、ベンゼンジアミン等の芳香族ジアミンや、カプロラクタム、ラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸等のω−アミノカルボン酸を含有してもよい。テレフタル酸と炭素数6〜12の脂肪族ジアミン以外のモノマーは、半芳香族ポリアミドを構成する全モノマーに対して、5モル%以下で含むことが好ましく、実質的に含まないことがより好ましい。
本発明に用いる半芳香族ポリアミドは、従来から知られている加熱重合法や溶液重合法の方法を用いて製造することができる。工業的に有利である点から、加熱重合法が好ましく用いられる。加熱重合法としては、芳香族ジカルボン酸成分と、ジアミン成分とから反応生成物を得る工程(i)と、得られた反応生成物を重合する工程(ii)とからなる方法が挙げられる。
工程(i)としては、例えば、ジカルボン酸粉末を、予めジアミンの融点以上、かつジカルボン酸の融点以下の温度に加熱し、この温度のジカルボン酸粉末に、ジカルボン酸の粉末の状態を保つように、実質的に水を含有させずに、ジアミンを添加する方法が挙げられる。別の方法としては、溶融状態のジアミンと固体のジカルボン酸とからなる懸濁液を攪拌混合し、混合液を得た後、最終的に生成する半芳香族ポリアミドの融点未満の温度で、ジカルボン酸とジアミンの反応による塩の生成反応と、生成した塩の重合による低重合物の生成反応とをおこない、塩および低重合物の混合物を得る方法が挙げられる。この場合、反応をさせながら破砕をおこなってもよいし、反応後に一旦取り出してから破砕をおこなってもよい。工程(i)としては、反応生成物の形状の制御が容易な前者の方が好ましい。
工程(ii)としては、例えば、工程(i)で得られた反応生成物を、最終的に生成する半芳香族ポリアミドの融点未満の温度で固相重合し、所定の分子量まで高分子量化させ、半芳香族ポリアミドを得る方法が挙げられる。固相重合は、重合温度180〜270℃、反応時間0.5〜10時間で、窒素等の不活性ガス気流中でおこなうことが好ましい。
工程(i)および工程(ii)の反応装置としては、特に限定されず、公知の装置を用いればよい。工程(i)と工程(ii)を同じ装置で用いてもよいし、異なる装置で用いてもよい。
半芳香族ポリアミドの製造において、重合の効率を高めるため重合触媒を用いてもよい。重合触媒としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸またはそれらの塩が挙げられる。重合触媒の添加量は、通常、半芳香族ポリアミドを構成する全モノマーに対して、2.0モル%以下とすることが好ましい。
本発明の成形体には、半芳香族ポリアミド以外の他の熱可塑性樹脂を含有してもよい。他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド6等の脂肪族ポリアミドが挙げられる。他の熱可塑性樹脂は、耐熱性や比弾性率の低下を抑制するため、半芳香族ポリアミド100質量部に対し、100質量部以下とすることが好ましく、50質量部以下とすることがより好ましく、実質的に含有しないことがさらに好ましい。
本発明に用いる半芳香族ポリアミドには、本発明の効果を損なわない範囲で、強化材、安定剤、着色剤、帯電防止剤、導電材、難燃剤、難燃助剤、炭化抑制剤等の添加剤をさらに含有してもよい。強化材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、タルク、膨潤性粘土鉱物、シリカ、アルミナ、ガラスビーズ、グラファイト、ガラスフレーク、チタン酸カリウムが挙げられる。安定剤としては、例えば、ヒンダートフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、光安定剤、銅化合物等の熱安定剤、アルコール類等の熱安定剤が挙げられる。着色剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック等の顔料、ニグロシン等の染料が挙げられる。難燃剤としては、例えば、臭素系難燃剤、ホスフィン酸金属塩等のリン系難燃剤、ホスファゼン化合物等の難燃剤が挙げられる。難燃助剤としては、例えば、錫酸亜鉛、硼酸亜鉛、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンやアンチモン酸ナトリウム等の金属塩が挙げられる。炭化抑制剤は、耐トラッキング性を向上させる添加剤であり、例えば、金属水酸化物、ホウ酸金属塩等の無機物が挙げられる。なお、軽量化や切削加工性の観点からは、強化材は実質的に含有しないことが好ましい。
本発明に用いる半芳香族ポリアミドにその他の成分を含有させる方法は特に限定されないが、溶融混練法やブレンド法等が挙げられる。溶融混練法としては、例えば、ブラベンダー等のバッチ式ニーダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、ヘリカルローター、ロール、一軸押出機、二軸押出機等を用いる方法が挙げられる。ブレンド法としては、例えば、水平円筒型、V型、二重円錐型等の容器回転式混合機や、リボン、スクリュー、パドル等を用いた撹拌翼式混合機、その他振動、気流、重力式混合機を用いる方法が挙げられる。
本発明に用いる半芳香族ポリアミドの形状は特に限定されないが、粉末状であることが好ましい。
本発明の成形体の形状は特に限定されないが、例えば、板状、ブロック状、丸棒状、角棒状、その他多角棒状等の棒状、円筒状、角筒状等の筒状が挙げられる。
本発明の成形体は、軽量化の指標である密度が1.30以下であることが必要であり、1.20以下であることが好ましい。密度が1.30を超える場合、成形体としての質量が重くなり、軽量な部品の作製が困難となるので好ましくない。
また、本発明の成形体は、単位密度あたりの機械的強度の指標であって、後述の算出方法で求められる比弾性率が2.30以上であることが必要であり、2.50以上であることが好ましく、3.00以上であることがより好ましい。比弾性率が2.30未満の場合、密度に対する弾性率が低く、小型化した場合、十分な機械的強度が得られないので好ましくない。
また、本発明の成形体は、同一の樹脂で対比した場合、耐熱性の指標である熱たわみ温度が、射出成型品よりも高い。
本発明の成形体を製造する方法としては、圧縮成形法や押出成形法が用いられる。圧縮成形法としては、半芳香族ポリアミドを金型に充填し、0.5〜50MPaの面圧で圧縮したまま、金型温度を室温から(Tm±50℃)の温度に加熱し(加熱工程)、0.5〜50MPaの面圧で(Tm±50℃)で0.1〜10時間保持し(保持工程)、その後室温まで冷却し(冷却工程)、金型から成形体を取り出される方法が挙げられる。各工程を真空下でおこなうと、原料間の気泡の抜けがよくなるため、ボイドの少ない成形体が得られやすい。押出成形法としては、半芳香族ポリアミドを、押出機を用いて(Tm+10℃)〜(Tm+50℃)の温度で溶融させ、押出機の下流部に設置した金型により賦形し、冷却しながら成形体を得る方法が挙げられる。なお、Tmは半芳香族ポリアミドの融点である。耐熱性や比弾性率が高くなりやすいことから、圧縮成形法がより好ましい。
本発明の成形体は、耐熱性に優れ、軽量かつ高比弾性率であり、さらに切削加工性にも優れている。なお、本発明において、切削加工性とは、切削工具を用いて対象物を削り取る加工のしやすさのことをいう。本発明の成形体は、切削加工用部材として好適に用いることができ、自動車部品、電気電子部品等の広範な用途にも用いることができる。
自動車部品用途としては、例えば、エンジンカバー、エアインテークマニホールド、スロットルボディ、エアインテークパイプ、ラジエタータンク、ラジエターサポート、ラジエータホース、ラジエターグリル、タイミングベルトカバー、ウォーターポンプインレット、ウォーターポンプアウトレット、クーリングファン、ファンシュラウド、エンジンマウント等のエンジン周辺部品;プロペラシャフト、スタビライザーバーリンケージロッド、アクセルペダル、ペダルモジュール、シールリング、ベアリングリテーナー、ギア、スリーブ、ドリブンギア、電動パワステアリングギア等の機構部品;オイルパン、オイルフィルターハウジング、オイルフィルターキャップ、オイルレベルゲージ、燃料タンク、燃料チューブ、フューエルカットオフバルブ、キャニスター、フューエルデリバリーパイプ、フューエルフィラーネック、フューエルセンダーモジュール、燃料配管用継手等の燃料・配管系部品;ワイヤーハーネス、リレーブロック、センサーハウジング、エンキャプシュレーション、イグニッションコイル、ディストリビューター、サーモスタットハウジング、クイックコネクター、ランプリフレクタ、ランプハウジング、ランプエクステンション、ランプソケット、ホーン用ボビン等の電装系部品;マフラーカバー、吸気ダクト、リアスポイラー、ホイールカバー、ホイールキャップ、カウルベントグリル、エアアウトレットルーバー、エアスクープ、フードバルジ、フェンダー、バックドア、シフトレバーハウジング、ウインドーレギュレータ、ドアロック、ドアハンドル、アウトサイドドアミラーステー等の各種内外装部品が挙げられる。
電気・電子部品用途としては、例えば、コネクタ、LEDリフレクタ、スイッチ、センサー、ソケット、コンデンサー、ジャック、ヒューズホルダー、リレー、コイルボビン、抵抗器、IC用トレイ、LEDのハウジング、各種筐体が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
1.測定方法
半芳香族ポリアミドおよび成形体の特性は、以下の方法により測定、評価した。
(1)融点
得られた成形体を削ったものを、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製 DSC−7型)を用いて、昇温速度20℃/分で350℃まで昇温した際の吸熱ピークのトップを融点とした。
(2)密度
得られた成形体を用いて、ISO1183−1に準拠して密度を測定した。
(3)曲げ弾性率
得られた成形体を切削加工し、幅10mm×長さ80mm×厚み4mmの短冊片を作製し、ISO178に準拠して測定した。
(4)比弾性率
(2)の密度と(3)の曲げ弾性率の結果から,次の式を用いて比弾性率を求めた.
比弾性率(GPa・cm/g)=曲げ弾性率(GPa)/密度(g/cm
(5)荷重たわみ温度
(3)で作製した短冊片を用いて、ISO75−1,2に準拠して荷重0.45MPaで測定した。
(6)切削加工性
(3)で作製した短冊片にサイトウ製作所社製「ADRS−0030」を用いてφ0.3mmの微細孔を設け、その際のバリおよび切削ドリルの摩耗について評価をおこなった。
[バリの評価]
バリが全く発生しない場合を「〇」、5〜20μmのバリが発生した場合を「△」、20μm以上のバリが発生した場合を「×」とした。
[ドリルの摩耗の評価]
φ0.3の微細孔を10カ所加工した後のドリルの刃を光学顕微鏡で観察し、摩耗が確認されなかった場合を「〇」、刃長が元の長さの0.5%未満の摩耗が確認された場合を「△」、刃長が元の長さの0.5%以上の摩耗または刃の欠落が確認された場合を「×」とした。
2.原料
実施例および比較例で用いた原料を以下に示す。
(1)半芳香族ポリアミド(PA10T)
ジカルボン酸成分として粉末状のテレフタル酸(TPA)4.81kgと、モノカルボン酸成分としてステアリン酸(STA)0.15kgと、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物9.3gとを、リボンブレンダー式の反応装置に入れ、窒素密閉下、回転数30rpmで撹拌しながら170℃に加熱した。その後、温度を170℃に保ち、かつ回転数を30rpmに保ったまま、液注装置を用いて、ジアミン成分として100℃に加温した1,10−デカンジアミン(DDA)5.04kgを、2.5時間かけて連続的(連続液注方式)に添加し反応生成物を得た。なお、原料モノマーのモル比は、TPA:DDA:STA=49.3:49.8:0.9(原料モノマーの官能基の当量比率は、TPA:DDA:STA=49.5:50.0:0.5)であった。
続いて、得られた反応生成物を、同じ反応装置で、窒素気流下、250℃、回転数30rpmで8時間加熱して重合し、PA10T粉末を得た。
得られたPA10T粉末の融点を測定したところ、317℃であった。
(2)半芳香族ポリアミド(PA9T)
ポリアミド9T(クラレ社製、ジェネスタ N1000A 融点303℃)ペレットを、ジェットミル(ホソカワミクロン社製 100AFG)を用いて粉砕し、ポリアミド9T粉末を得た。
(3)脂肪族ポリアミド(PA66)
ポリアミド66(ユニチカ社製 ユニチカナイロン66 A125J 融点260℃)ペレットを、ジェットミル(ホソカワミクロン社製 100AFG)を用いて粉砕し、ポリアミド66粉末を得た。
実施例1
PA10T粉末をキャビティが105mm×105mmの金型に90g仕込み、真空圧縮成形機(井元製作所社製 30トン)に設置し、真空ポンプで成形機内を真空状態にした。その後油圧ポンプで金型を240kNまで加圧し、成形機の熱板温度を室温から340℃まで加熱し(加熱工程)、15kNで型締めしながら340℃で2時間保持した(保持工程)。その後、熱板温度を室温まで下げ(冷却工程)、成形機から金型を取り出し、金型を開いて厚み8mmの成形体を得た。
実施例2
PA9T粉末を用いて、加熱過程の到達温度および保持工程の温度を340℃から320℃に変更した以外は実施例1と同様にして成形体を得た.
実施例3
PA10T粉末を、Tダイを用いた押出成形装置に投入し、シリンダー温度340℃、Tダイ温度300℃の条件で、幅300mm×厚み10mmの成形体を得た。
比較例1
PA66粉末を用いて、加熱工程の到達温度および保持工程を340℃から280℃とした以外は実施例1と同様の操作をおこない、成形体を得た。
比較例2
PA10T粉末を射出成形機(FANUC社製 S2000i)に投入し、シリンダー温度340℃、金型温度140℃で射出成形をおこない、幅100mm×長さ100mm×厚み4mmの成形体を得た。
比較例3
PA9T粉末を射出成形機(FANUC社製 S2000i)に投入し、シリンダー温度330℃、金型温度140℃で射出成形をおこない、幅100mm×長さ100mm×厚み4mmの成形体を得た。
実施例、比較例で得られた成形体を用いて各種評価をおこない、樹脂組成と評価を表1に示す。
Figure 2021020978
実施例1〜3の成形体は、半芳香族ポリアミドを圧縮成形または押出成形したものであったため、密度が1.30以下であって、かつ、比弾性率が2.30以上であった。
また、同一の樹脂で対比した場合、実施例1、3の成形体は、従来の射出成形した比較例2の成形体よりも荷重たわみ温度が高く、実施例2の成形体は、従来の射出成形した比較例3の成形体よりも荷重たわみ温度が高かった。
さらに、実施例1〜3の成形体は、切削加工性にも優れていた。
比較例1の成形体は、PA66を用いたものであったため、荷重たわみ温度が低かった。また、微細孔を設けた際のバリの発生が著しく、切削加工性に劣っていた。
比較例2、3の成形体は、射出成形したものであったため、比弾性率が低かった。

Claims (5)

  1. 半芳香族ポリアミドからなり、密度が1.30以下、かつ、比弾性率が2.30以上である成形体。
  2. 半芳香族ポリアミドが、テレフタル酸と炭素数6〜12の脂肪族ジアミンを主成分とする半芳香族ポリアミドである請求項1に記載の成形体。
  3. 炭素数6〜12の脂肪族ジアミンが1,10−デカンジアミンである請求項2に記載の成形体。
  4. 切削加工用部材である請求項1〜3いずれかに記載の成形体。
  5. 圧縮成形または押出成形してなる請求項1〜4いずれかに記載の成形体。
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