JP4707431B2 - 長繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、成形性が良好で機械物性、耐熱老化性、耐疲労性に優れた長繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂組成物および当該樹脂組成物からなるペレット、ならびに当該樹脂組成物を成形してなる成形品および当該ペレットを成形してなる成形品に関する。
ナイロン6、ナイロン66に代表される汎用ポリアミドは、耐熱性、耐薬品性、剛性、摺動性、成形性等の優れた性質を有し、かつ吸湿状態では極めて高い靭性を示すことから、自動車部品、電気電子部品、摺動部品等、広範な用途に使用されてきた。しかし、これら汎用ポリアミドでは吸水時の寸法変化や耐薬品性能が十分使用に耐えるものではなく近年の材料に対する高性能化においては様々な問題が発生しつつある。また、自動車分野においては、環境問題に付随する自動車の軽量化、低燃費化、それに伴う金属代替としての樹脂化の動きが求められているが、これら汎用ポリアミドでは十分な要求に応えることができなくなっている。
例えば、エンジンの高効率化追求によるエンジンルーム内の温度上昇に伴い、自動車に使用される樹脂部品に対する耐熱性向上の要求が高まりつつある。また、自動車に使用される樹脂部品には、ガソリン、エンジンオイル、塩化カルシウム水溶液、LLC水溶液(冷却水)等の薬品に対する耐久性が必須であり、かつ剛性、強度、靱性、耐クリープ性等の性能に対する要求も年々高度化していることから、従来のポリアミドでは吸水による寸法変化、耐熱性不足等の問題から対応できなくなりつつある。
また、電気電子分野においては、表面実装技術(SMT)の拡がりに伴い、コネクタ等に使用される樹脂にはリフロー半田耐熱性が要求されている。特に近年、鉛フリー半田の急速な進展から、リフロー半田温度はさらに上昇する傾向にあり、従来のポリアミドではもはや対応できなくなりつつある。また、リフロー半田時のブリスター抑制の観点から、耐熱性と共に、低吸水性を併せ持つ樹脂への要求が高まっている。
さらに、摺動部品においては、その使用環境が、高面圧、高温雰囲気下へと拡がりつつあり、従来のポリアミドでは耐摩耗性や耐久性が不十分である。また、摺動部品には、寸法精度が極めて重要であるが、従来のポリアミドでは、吸水による寸法変化が大きく、ギアの噛み合い不良に起因するトラブルが発生するという問題があった。
上記した様々な問題に対応可能なポリアミドとして、テレフタル酸およびイソフタル酸をジカルボン酸成分とし、1,6−ヘキサンジアミンをジアミン成分とする半芳香族ポリアミド(PA6T)からなる樹脂組成物が提案されている(特許文献1〜3参照)。
また、耐熱性、低吸水性および耐クリープ性においてさらに優れた性能を有する樹脂組成物として、テレフタル酸をジカルボン酸単位とし、1,9−ノナンジアミンおよび/または2−メチル−1,8−オクタンジアミンをジアミン単位とする半芳香族ポリアミドからなる樹脂組成物が提案されている(特許文献4〜6参照)。
一方、ポリアミド樹脂の強度を向上させるための手段として、該ポリアミドにガラス繊維等の繊維状強化材を配合する技術が知られており、一般には、ポリアミド樹脂とチョップドストランド等の短繊維を混合し押出機で押し出すことにより繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造が行われている。しかしながら、この方法では押出機での混練中に繊維の折損が避けられず、配合される繊維状強化材が本来有する性能を充分に引き出すことが困難であった。
このような問題を解決して、より高度の機械的強度を付与するために、ポリアミド66等のポリアミド樹脂を含有するポリアミド樹脂組成物に、長繊維(例えば長さ3mm以上のガラス繊維)を配合する技術が知られている(特許文献7〜11参照)。
しかしながら、高温下において長時間晒されるような非常に過酷な条件下においても、高度の機械的強度を維持できるポリアミド樹脂組成物はこれまで知られていなかった。
特開平3−7761号公報 特開平3−72565号公報 特開昭60−158220号公報 特開平7−228769号公報 特開平7−228772号公報 特開平7−228774号公報 特開平8−28572号公報 特開平5−9380号公報 特開平5−208418号公報 特開平6−107944号公報 特開平7−330918号公報
本発明は、吸水性、耐熱性、耐薬品性、耐疲労性等に優れる樹脂組成物、および当該樹脂組成物からなるペレット、ならびにそれらを成形してなる成形品を提供すること、特に、高温に長時間晒されるような条件下においても高度の機械的強度を維持できるような樹脂組成物および当該樹脂組成物からなるペレット、ならびにそれらを成形してなる成形品を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、特定のポリアミド樹脂に特定サイズの長繊維強化材を配合すると、高度の機械的強度を付与できることに加えて、高温下に長時間晒されても高度の機械的強度を維持できるポリアミド樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、テレフタル酸単位を50〜100モル%含有するジカルボン酸単位(a)と、1,9−ノナンジアミン単位および/または2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を50〜100モル%含有するジアミン単位(b)とからなる半芳香族ポリアミド樹脂(A)100質量部と、繊維長が3mm以上である繊維状強化材(B)5〜300質量部とを含む長繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂組成物である。
また、本発明は、上記長繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂組成物からなるペレットであって、該ペレットの長さが3〜30mmであり、且つ繊維状強化材(B)が実質上、ペレットと同一長さであることを特徴とするペレットである。
好ましくは、本発明は、繊維状強化材(B)がペレットの長さ方向に対して略平行に配列している上記ペレットである。
さらに、本発明は、上記長繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂組成物や、上記ペレットを成形して得られる成形品である。
本発明の長繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂組成物は、従来の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物に比べて、耐熱性、機械的物性、耐薬品性等に優れることに加えて、特に耐熱老化性に優れ、高温下長時間晒されるような条件下においても高度の機械的強度を維持できる。そのため、例えば、自動車用金属部品等の用途において、従来は困難であった代替材料としての使用が可能となる。
以下、本発明について詳しく述べる。
本明細書において、「長繊維」とは、繊維長が3mm以上の繊維を意味し、「短繊維」とは、繊維長が3mm未満の繊維を意味する。
本発明の長繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂組成物は、半芳香族ポリアミド樹脂(A)100質量部と、繊維長が3mm以上である繊維状強化材(B)5〜300質量部とを含む。
(半芳香族ポリアミド樹脂(A)の説明)
半芳香族ポリアミド樹脂(A)は、テレフタル酸単位を50〜100モル%含有するジカルボン酸単位(a)(以下、単にジカルボン酸単位(a)という)と、1,9−ノナンジアミン単位および/または2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を50〜100モル%含有するジアミン単位(b)(以下、単にジアミン単位(b)という)とからなる。
ジカルボン酸単位(a)におけるテレフタル酸単位の含有率は、50〜100モル%であり、好ましくは75〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%の範囲内である。ジカルボン酸単位(a)におけるテレフタル酸単位の含有率が50モル%未満の場合には、得られる長繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂組成物の耐熱性が低下する。
ジカルボン酸単位(a)は、50モル%未満であればテレフタル酸単位以外の他のジカルボン酸単位を含んでいてもよい。かかる他のジカルボン酸単位としては、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、2,2−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸から誘導される単位等を挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上を使用することができる。ジカルボン酸単位(a)におけるこれらの他のジカルボン酸単位の含有率は、25モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸から誘導される単位を、溶融成形が可能な範囲内で含んでいてもよい。
ジアミン単位(b)における、1,9−ノナンジアミン単位および/または2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位の含有率は50〜100モル%であり、好ましくは75〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%の範囲内である。ジアミン単位(b)における1,9−ノナンジアミン単位および/または2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位の含有率を上記範囲とすることにより、靱性、摺動性、耐熱性、成形性、低吸水性、軽量性に優れた長繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂組成物を得ることができる。
ジアミン単位(b)は、50モル%以下であれば、1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位以外の他のジアミン単位を含んでいてもよい。かかる他のジアミン単位としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等の脂環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンから誘導される単位を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を使用することができる。ジアミン単位(b)における、これらの他のジアミン単位の含有率は25モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。
また、ジアミン単位(b)が1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位の両方を含む場合、ジアミン単位(b)中における1,9−ノナンジアミン単位と2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位とのモル比は、1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位=90:10〜50:50の範囲内であることが好ましく、85:15〜55:45の範囲内であることがより好ましい。
さらに、本発明で使用する半芳香族ポリアミド樹脂(A)には、必要に応じてアミノカルボン酸単位を含ませることもできる。このようなアミノカルボン酸単位の具体例としては、カプロラクタム、ラウリルラクタム等のラクタム;1−アミノラウリン酸、1−アミノドデシル酸等のアミノカルボン酸等から誘導される単位を挙げることができる。アミノカルボン酸単位の含有率は、半芳香族ポリアミド樹脂(A)の全ジカルボン酸単位(a)100モルに対して40モル以下であることが好ましく、20モル以下であることがより好ましい。
本発明において使用される半芳香族ポリアミド樹脂(A)は、その分子鎖の末端基の10モル%以上が末端封止剤により封止されていることが好ましい。分子鎖の末端基が末端封止剤により封止されている割合(末端封止率)としては、40モル%以上であることがより好ましく、60モル%以上であることがさらに好ましい。末端封止率が10モル%以上の半芳香族ポリアミド樹脂(A)を用いると、耐熱性等がより優れた長繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂組成物が得られる。
上記の末端封止率は、半芳香族ポリアミド樹脂(A)に存在している末端のカルボキシル基、末端のアミノ基および末端封止剤によって封止された末端基の数をそれぞれ測定し、下記の式(1)に従って求めることができる。各末端基の数は、H−NMRにより、各末端基に対応する特性シグナルの積分値より求めるのが精度、簡便さの点から好ましい。
[数1]
末端封止率(%)=[(A−B)/A]×100 (1)
〔式中、Aは分子鎖の末端基の総数(これは通常、半芳香族ポリアミド樹脂(A)分子の数の2倍に等しい)を表し、Bは封止されずに残った末端カルボキシル基および末端アミノ基の合計数を表す。〕
末端封止剤としては、半芳香族ポリアミド樹脂(A)末端のアミノ基またはカルボキシル基との反応性を有する単官能性の化合物であれば特に制限はないが、反応性および封止末端の安定性等の点から、モノカルボン酸またはモノアミンが好ましく、取扱いの容易さ等の点から、モノカルボン酸がより好ましい。その他、酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類等を使用することもできる。
末端封止剤として使用されるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;これらの任意の混合物等を挙げることができる。これらの中でも、反応性、封止末端の安定性、価格等の点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸が好ましい。
また、末端封止剤として使用されるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン;これらの任意の混合物等を挙げることができる。これらの中でも、反応性、高沸点、封止末端の安定性および価格等の点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリンが好ましい。
本発明において使用される半芳香族ポリアミド樹脂(A)は、結晶性ポリアミドを製造する方法として知られている任意の方法を用いて製造することができる。例えば、酸クロライドとジアミンを原料とする溶液重合法または界面重合法、ジカルボン酸とジアミンを原料とする溶融重合法、固相重合法等の方法により製造することができる。
半芳香族ポリアミド樹脂(A)は、例えば、最初にジアミン、ジカルボン酸、触媒および必要に応じて末端封止剤を一括して添加してナイロン塩を製造した後、200〜250℃の温度において加熱重合して濃硫酸中30℃における極限粘度〔η〕が0.1〜0.6dl/gのプレポリマーとし、さらに固相重合するか、または溶融押出機を用いて重合することにより製造することができる。重合の最終段階を固相重合により行う場合、減圧下または不活性ガス流通下に行うことが好ましい。このときの重合温度としては、200〜280℃の範囲内が好ましい。また、重合の最終段階を溶融押出機により行う場合の重合温度としては、370℃以下であることが好ましい。
半芳香族ポリアミド樹脂(A)を製造するに際して、前記の末端封止剤の他に、例えば、触媒として、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、それらの塩またはエステル等を添加することができる。上記の塩またはエステルとしては、リン酸、亜リン酸または次亜リン酸とカリウム、ナトリウム、マグネシウム、バナジウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、錫、タングステン、ゲルマニウム、チタン、アンチモン等の金属との塩;リン酸、亜リン酸または次亜リン酸のアンモニウム塩;リン酸、亜リン酸または次亜リン酸のエチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、イソデシルエステル、オクタデシルエステル、デシルエステル、ステアリルエステル、フェニルエステル等が挙げられる。
本発明に用いられる半芳香族ポリアミド樹脂(A)は、濃硫酸中30℃の条件下で測定した極限粘度〔η〕が、0.4〜3.0dl/gであることが好ましく、0.6〜2.0dl/gであることがより好ましく、0.8〜1.8dl/gであることがさらに好ましい。
(繊維状強化材(B)の説明)
本発明において用いられる繊維状強化材(B)の種類としては特に制限はなく、例えばガラス繊維、カーボン繊維、ホウ素繊維、または、金属繊維(例:ステンレス繊維、アルミニウム繊維、銅繊維等)等の無機系のものや、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、ポリメタフェニレンテレフタルアミド繊維、ポリパラフェニレンイソフタルアミド繊維、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維、ジアミノジフェニルエーテルとテレフタル酸またはイソフタル酸からの縮合物から得られる繊維等の全芳香族ポリアミド繊維、あるいは、全芳香族液晶ポリエステル繊維等の有機系のものが使用できるが、ガラス繊維を使用することが好ましい。繊維状強化材(B)は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
また、繊維状強化材(B)は、半芳香族ポリアミド樹脂(A)中への分散性および密着性を高める目的で、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、その他の高分子または低分子の表面処理剤で表面処理されているものを使用することができる。
本発明の長繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂組成物中、繊維状強化材(B)は、3mm以上の繊維長を有する。該繊維長が、樹脂組成物中で3mm未満であると、高度の機械的強度を有する成形品を得にくくなる。繊維状強化材(B)の繊維長は、本発明の長繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂組成物を成形する際に押出機等のスクリューの噛み込み性を良好にする観点から、3〜30mmの範囲内であるのが好ましく、4〜20mmの範囲内であるのがより好ましく、5〜15mmの範囲内であるのがさらに好ましい。
なお、該繊維長とは、本発明の長繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂組成物における、配合後の繊維状強化材(B)に対して規定された値である。すなわち、配合する前の繊維状強化材(B)の繊維長は特に限定されない。
本発明の長繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂組成物における、繊維状強化材(B)の含有率は、半芳香族ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して、5〜300質量部である。該含有率が、5質量部未満では繊維状強化材(B)による補強効果は小さく、逆に300質量部を越えると組成物の調製あるいは成形における加工性が著しく劣るものとなり、また、繊維量増加に伴う強度向上もほとんど期待できない。補強効果と加工性等のバランスを考慮すると、好ましい繊維の配合量は半芳香族ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して20〜200質量であり、特に好ましくは30〜150質量部である。
本発明の長繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂組成物中における、上記半芳香族ポリアミド樹脂(A)と上記繊維状強化材(B)の合計の質量が占める割合は、40〜100質量%であることが好ましく、55〜100質量%であることがさらに好ましい。
本発明の長繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂組成物には、その目的、効果を大きく阻害しない範囲で他の熱可塑性樹脂の1種または2種以上を含有することも可能である。また、目的に応じ所望の特性を付与するため、一般に熱可塑性樹脂に添加される公知の添加物、例えば、銅系安定剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤等の安定剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、染料や顔料等の着色剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、結晶化促進剤、結晶核剤等をさらに配合することも可能である。また、ガラスフレーク、マイカ、ガラス粉、ガラスビーズ、タルク、クレー、アルミナ、カーボンブラック、ウォラストナイト等の板状、粉粒状の無機化合物あるいはウィスカー等を適当量併用してもよい。また、繊維長が3mm未満の短繊維からなる繊維状強化材や繊維長が30mmを超える長繊維からなる繊維状強化材等、上記の繊維状強化材(B)以外の他の繊維状強化材を含んでいてもよい。
上記の銅系安定剤としては、例えば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、塩化第二銅、臭化第二銅、ヨウ化第二銅、燐酸第二銅、ピロリン酸第二銅、硫化銅、硝酸銅等の無機銅塩、酢酸銅等の有機カルボン酸の銅塩、銅アセチルアセトネート等の有機金属化合物等を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらの銅化合物を配合する場合には、その配合量としては、半芳香族ポリアミド樹脂(A)100質量部に対して、0.01〜1質量部の範囲内であるのが好ましく、0.02〜0.5質量部の範囲内であるのがより好ましい。
これらの銅系安定剤は、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム等のハロゲン化アルカリ金属塩、またはベンゾイミダゾール誘導体、アルキレンジアミン、アルキレントリアミン等の銅と錯体を形成し得る有機物と共に使用することができる。これらの中でも、ヨウ化カリウムが好ましい。上記のハロゲン化アルカリ金属塩または銅と錯体を形成し得る有機物の使用量としては、銅系安定剤に対して1〜20質量倍量の範囲内が好ましい。
また、上記の酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等を挙げることができる。
このような、他の熱可塑性樹脂や公知の添加物等を配合する場合の配合方法としては特に制限されず、これらを均一に混合させ得る方法を採用することが好ましく、通常、半芳香族ポリアミド樹脂(A)と他の熱可塑性樹脂や公知の添加物等とを溶融混練した後に、上記の繊維状強化材(B)を配合する方法が採用される。溶融混練に使用する装置の種類や溶融混練条件等は特に限定されないが、概ね300〜350℃の範囲の温度で1〜30分間、2軸押出機等の装置で混練する方法を採用することができる。
本発明の長繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂組成物の製造法は特に限定されるものではないが、繊維状強化材(B)配合後の繊維の破断を抑えるため、剪断力が極力かからない製造法が好ましく、中でも引き抜き成形による製造法が特に好ましく用いられる。引き抜き成形とは、基本的には連続した強化用繊維を引きながら樹脂を含浸するものであり、本発明においては、上記半芳香族ポリアミド樹脂(A)や、所望により、上述した他の熱可塑性樹脂や公知の添加物等をさらに配合したもののエマルジョン、サスペンジョン、溶液あるいは溶融物を入れた含浸浴の中に繊維状強化材(B)を通し含浸する方法、上記半芳香族ポリアミド樹脂(A)や、これに上記他の熱可塑性樹脂や公知の添加物等を配合したものの粉末を繊維状強化材(B)に吹きつけるか、該粉末を入れた槽の中に繊維状強化材(B)を通すことによって、繊維状強化材(B)に該粉末を付着させたのちに、該粉末を溶融する方法等がいずれも利用できるが、押出機を用いて、クロスヘッドダイの中にロービング状の繊維状強化材(B)を通しながら、溶融させた上記半芳香族ポリアミド樹脂(A)や、これに上記、他の熱可塑性樹脂や公知の添加物等を配合したものをクロスヘッドダイに供給し直接含浸する方法が好ましい。
このようにして得られた長繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂組成物は、ペレットに加工することが好ましい。ペレットに加工する場合には、上記のように引き抜き成形をして得られたストランド状の長繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂組成物を冷却後、ペレタイザー等により切断して得ることができる。なお、ペレットにする際のペレットの長さは、3〜30mmの範囲内に調整することが好ましい。ペレットの長さをこの範囲内に調整することにより、繊維状強化材(B)が実質上ペレットと同一長さであるペレットを得ることができる。ペレットの長さとしては、4〜20mmの範囲内であることがより好ましく、5〜15mmの範囲内であることがさらに好ましい。
また、このような手法によって、ペレット中の繊維状強化材(B)が、ペレットの長さ方向に略平行に配列したペレットを得ることができる。
本発明の成形品は、長繊維強化ポリアミド樹脂組成物や、上記ペレットの溶融物を成形することにより得ることができる。成形の方法としては、公知のいずれの方法も用いることができ、具体的には、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、カレンダー成形、流延成形等の一般に熱可塑性樹脂組成物に対して用いられる成形方法が挙げられる。また上記の成形方法を組み合わせた成形方法を採用することもできる。なお、成形品においては、繊維状強化材(B)由来の繊維状強化材が1mm〜10mmの重量平均繊維長で分散しているのが好ましい。
本発明の樹脂組成物またはペレットから得られる成形品の用途は、特に限定されないが、例えば、自動車部品(例:リアデフマウント、エンジンマウント、アッパーアーム、ロアアーム、シャフト等)、電気電子部品(例:封止材、電気絶縁材料、誘電体材料、コネクタ、コンデンサー座板、リレー、ソケット等)、摺動部品(例:各種ギア用途等)、工業部品、衣料製品等への用途が挙げられる。
本発明の成形品中に含まれる繊維状強化材の重量平均繊維長は、例えば、以下の方法で測定することができる。
(i)成形品から、幅5mm,厚さ3mm、長さ15mmの試験片を切り出す。
(ii)試験片を溶剤(例:トリフルオロ酢酸等)に浸漬し、繊維状強化材以外の成分(半芳香族ポリアミド樹脂等)を溶解し、試験片から繊維状強化材のみを取り出す。
(iii)取り出した繊維状強化材を、必要に応じて水等に分散させ、光学顕微鏡(倍率50倍程度)等で観察して、視野内の繊維状強化材500本の繊維長を測定する。
(iv)各繊維の繊維長をLi、繊維長Liの繊維の本数をqiとし、次式(2)に基づいて重量平均繊維長Lwを求める。
[数2]
Lw=(Σqi×Li)/(Σqi×Li) (2)
本発明の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物や、それから得られるペレットは、機構/構造部品(例:自動車の足回り部品や金属代替用途等)に成形することができる。本発明の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物や、それから得られるペレットを使用することで、これらの部品は強度、耐疲労性、耐衝撃性に優れるとともに、特に耐熱老化性に優れたものとなる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例においては、ポリアミド樹脂や繊維状強化材として下記のものを使用した。また、各評価方法は、以下の方法に従った。
PA−1:
特開平7−228689号公報の実施例2に記載された方法に準じて製造した、テレフタル酸単位と、1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位〔1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位=80:20(モル比)〕からなる、極限粘度〔η〕(濃硫酸中、30℃で測定)1.20dl/g、融点302℃、末端封止率70%(末端封止剤:安息香酸)、密度1.14g/cmの半芳香族ポリアミド樹脂。
PA−2:
特開平7−228689号公報の実施例2に記載された方法に準じて製造した、テレフタル酸単位と、1,9−ノナンジアミン単位および2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位〔1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位=60:40(モル比)〕からなる、極限粘度〔η〕(濃硫酸中、30℃で測定)1.20dl/g、融点273℃、末端封止率70%(末端封止剤:安息香酸)、密度1.14g/cmの半芳香族ポリアミド樹脂。
PA−3:
ポリヘキサメチレンアジパミド(宇部興産株式会社製「UBEナイロン2020B」)。
PA−4:
テレフタル酸およびイソフタル酸単位(テレフタル酸単位:イソフタル単位=60:40(モル比))と、1,6−ヘキサンジアミン単位からなる半芳香族ポリアミド樹脂(デュポン製「101L」)
繊維状強化材−1:
ガラス繊維(日東紡製、RS240QR482、形状;ロービング状)
繊維状強化材−2:
ガラス繊維(短繊維)(銘柄:日東紡製、CS3J−256S)
ガス発生量の評価:
以下の実施例、比較例において製造したペレットを用いて320℃で射出成形した際に、射出成形機のシリンダー先端より発生する煙の量を以下の基準に従って評価した。
A:発煙ほとんどなし。
B:少し発煙あり。
C:発煙あり。
噛み込み性の評価:
以下の実施例、比較例において製造したペレットを用いて射出成形した際に、射出成形機のスクリューへの噛み込み具合を以下の基準に従って評価した。
A:噛み込み良好。
B:やや不良。
C:ほとんど噛み込みしない。
製品の焼けの評価:
以下の実施例、比較例において製造したペレットを用いて320℃で射出成形した際の金型充填時(金型サイズ:40mm×100mm×2mm、金型の温度:150℃)における成形品の表面の焼けを以下の基準に従って評価した。
A:焼けなし。
B:若干発生。
C:焼け多い。
機械的強度の評価:
以下の実施例、比較例において製造したペレットを用いて、JIS K7113に準拠して、厚さ3mmのダンベル試験片を作製して機械的強度(引張降伏強さ、引張破壊伸び、引張弾性率)を評価した。
耐熱老化性の評価:
以下の実施例、比較例において製造したペレットを用いて作製した厚さ3mmのダンベル試験片を190℃の熱風乾燥機中にそれぞれ一定時間(100、300、500、1000、2000、3000時間)置き、これらをJIS K7113に準拠して引張降伏強さを測定し、熱風乾燥機処理前の引張降伏強さに対する割合(引張降伏強さの保持率)を算出して、耐熱老化性とした。
耐薬品性の評価:
以下の実施例、比較例において製造したペレットを用いて、厚さ3mmのダンベル試験片を作製して以下の薬品類に23℃で7日間浸漬後、該ダンベル試験片を取り出し、ダンベル試験片の表面を目視にて観察して、以下の評価基準に従い評価した。
<薬品類>
ガソリン
エンジンオイル
メタノール
トルエン
クロロホルム
熱水(80℃)
酸(10wt%硫酸水)
アルカリ(50wt%NaOH水)
塩化カルシウム(50wt%水)
<評価基準>
A:外観良好。
B:表面に曇り有り。
C:亀裂の発生有り。
重量平均繊維長の評価
本発明の成形品中の繊維状強化材の重量平均繊維長は以下のようにして測定した。
成形品から、幅5mm、厚さ3mm、長さ15mmの試験片を切り出し、トリフルオロ酢酸に浸漬して、繊維状強化材以外の部分を溶解し、試験片から繊維状強化材のみを取り出した。得られた繊維状強化材を光学顕微鏡(倍率:50倍)で観察して、視野内の任意の繊維状強化材500本を選び、その繊維長を測定して、上記式(2)に基づいて重量平均繊維長を測定した。
<実施例1>
クロスヘッドダイを装着した押出機に、半芳香族ポリアミド樹脂PA−1を供給して、320℃で溶融混練した(滞留時間3分)。同時に、クロスヘッドダイに、ロービング状の繊維状強化材−1を供給して、引き抜き成形により樹脂組成物を製造した。この際、組成物中の繊維状強化材の含有量が、100質量部のPA−1に対して100質量部となるように、PA−1の供給量を調節した。得られた樹脂組成物を水冷によって冷却後、13mmごとに切断して長さ13mm、直径2〜3mmの円柱状のペレットを得た。得られたペレット中において、繊維状強化材がペレットの長さ方向に略平行に配列していることを、光学顕微鏡により確認した。得られたペレットを用いて、上記の各評価方法に従って、各評価を行なった。結果を以下の表1に示した。
<実施例2>
PA−1の代わりにPA−2を用いた以外は、実施例1と同様の方法に従って、長さ13mm、直径2〜3mmの円柱状のペレットを作製した。ペレット中において、繊維状強化材がペレットの長さ方向に略平行に配列していることを光学顕微鏡により確認した。このペレットを用いて、上記の各評価方法に従って各評価を行った。評価結果を以下の表1に示した。
<比較例1>
PA−1の代わりにPA−3を用いた以外は、実施例1と同様の方法に従って、長さ13mm、直径2〜3mmの円柱状のペレットを作製した。ペレット中において、繊維状強化材がペレットの長さ方向に略平行に配列していることを光学顕微鏡により確認した。このペレットを用いて、上記の各評価方法に従って各評価を行った。評価結果を以下の表1に示した。
<比較例2>
PA−1の代わりにPA−4を用いた以外は、実施例1と同様の方法に従って、長さ13mm、直径2〜3mmの円柱状のペレットを作製した。ペレット中において、繊維状強化材がペレットの長さ方向に略平行に配列していることを光学顕微鏡により確認した。このペレットを用いて、上記の各評価方法に従って各評価を行った。評価結果を以下の表1に示した。
<比較例3>
2軸押出機(プラスチック工学研究所製、BT−30)を用いて、半芳香族ポリアミド樹脂PA−1に対して、繊維状強化材−2をサイドフィードし、320℃で溶融混練した(滞留時間3分)。この際、組成物中の繊維状強化材の含有量が100質量部のPA−1に対して100質量部となるように繊維状強化材−2の供給量を調節した。当該組成物中の繊維状強化材の繊維長は、2mm以下であった。得られた樹脂組成物を水冷によって冷却後、2mmごとに切断して、長さ2mm、直径1.5mmの円柱状のペレットを得た。該ペレットを光学顕微鏡により観察したが、繊維状強化材のペレット中での配列方向は統一されておらず、ペレットの長さ方向に略平行に配列していなかった。得られたペレットを用いて、上記の各評価方法に従って、各評価を行なった。結果を以下の表1に示した。
Figure 0004707431
<実施例3>
実施例1で得られたペレットを用いて、株式会社日本製鋼所製の220トン射出成形機を使用してシリンダー温度320℃、および、金型温度150℃の条件下で射出成形を行い、寸法:215mm×12.7mm×3.2mmの成形品を得た。この成形品のガラス繊維の重量平均繊維長を、上記「重量平均繊維長の測定方法」に説明した方法に準じて測定したところ、3〜5mmであった。
上記より明らかなように、PA−1を100質量部および繊維長が13mmである繊維状強化材を100質量部含む実施例1のペレット、ならびにPA−2を100質量部および繊維長が13mmである繊維状強化材を100質量部含む実施例2のペレットはいずれも、射出成形時において、ガス発生がほとんど観察されず、射出成形機のスクリューへの噛み込み性が良好であり、かつ、金型充填時の成形品表面の焼けが観察されなかった。また、実施例1および2のペレットはいずれも、優れた機械的強度を有した。さらに、実施例1および2のペレットは、メタノールでは耐薬品性がやや不良であったが、それ以外の全ての薬品に対しては良好な耐薬品性を示した。加えて、耐熱老化性の評価から明らかなように、実施例1および2のペレットはいずれも、高温に長時間晒されても良好な機械的強度を維持した。
本発明の長繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂組成物は、低吸水性であり、耐熱性、耐薬品性、摺動性、耐クリープ性、剛性、靱性に優れ、より高強度化が図られた成形品を提供することが可能となる。さらに、本発明の長繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂組成物は、高温に長時間晒されるような条件下においても、高度の機械的強度を維持できる。
従って、本発明の長繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂組成物からなる成形品および当該樹脂組成物のペレットからなる成形品は、自動車部品、摺動部品、電気電子部品(例:封止材、電気絶縁材料、誘電体材料等)、工業部品、衣料製品等の広範な用途に使用することができる。

Claims (4)

  1. テレフタル酸単位を50〜100モル%含有するジカルボン酸単位(a)と、1,9−ノナンジアミン単位および/または2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を50〜100モル%含有するジアミン単位(b)とからなる半芳香族ポリアミド樹脂(A)100質量部と、繊維長が3mm以上である繊維状強化材(B)5〜300質量部とを含む長繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂組成物からなるペレットであって、
    該ペレットの長さが3〜30mmであり、且つ繊維状強化材(B)が実質上、ペレットと同一長さであることを特徴とするペレット
  2. ジアミン単位(b)中における1,9−ノナンジアミン単位と2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位のモル比が1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位=85:15〜50:50である請求項1に記載のペレット
  3. 繊維状強化材(B)がペレットの長さ方向に対して略平行に配列している、請求項1または2に記載のペレット。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のペレットを成形することにより得られ、繊維状強化材(B)が、1mm〜10mmの重量平均繊維長で分散している成形品。
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