JPH07228774A - 摺動特性に優れたポリアミド組成物 - Google Patents

摺動特性に優れたポリアミド組成物

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JPH07228774A
JPH07228774A JP6021000A JP2100094A JPH07228774A JP H07228774 A JPH07228774 A JP H07228774A JP 6021000 A JP6021000 A JP 6021000A JP 2100094 A JP2100094 A JP 2100094A JP H07228774 A JPH07228774 A JP H07228774A
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acid
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mol
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JP6021000A
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Hideaki Oka
秀明 岡
Tsugifumi Kashiwamura
次史 柏村
Shinichi Yokota
伸一 横田
Hiroshi Hayashibara
広 林原
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 [A]ジカルボン酸成分の60〜100モル
%がテレフタル酸であるジカルボン酸成分と、ジアミン
成分の60〜100モル%が1,9−ノナンジアミンで
あるジアミン成分とからなり、濃硫酸中30℃で測定し
た[η]が0.4〜3.0dl/gであるポリアミド1
00重量部;および[B]繊維状または粉末状の、有機
系または無機系の充填剤0.1〜100重量部からな
る、摺動特性に優れたポリアミド組成物。 【効果】 本発明のポリアミド組成物は、摺動特性に優
れると共に、低吸水性、靱性、耐薬品性、成形性、軽量
性などのいずれの性能にも優れ、各種摺動材用として好
適に使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なポリアミド組成
物に関する。詳しくは、摺動特性に優れ、さらに、耐熱
性、力学強度、靱性、耐衝撃性、低吸水性、耐薬品性、
軽量性、成形性などのいずれの性能にも優れたポリアミ
ド組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ナイロン6、ナイロン66に代表される
脂肪族ポリアミドは、耐熱性、耐薬品性、剛性、耐磨耗
性、成形性などの優れた性質を持つために、エンジニア
リングプラスチックとして多くの用途に使用されてき
た。特に、耐磨耗性に優れるだけでなく、無潤滑状態で
も焼き付きが起こりにくく、また騒音が小さく、軽量
性、耐蝕性にも優れているため、軸受け、歯車、ブッシ
ュ、スペーサー、ローラー、カムなどの摺動部品に数多
く使用されている。
【0003】プラスチックを定常的に摩擦の生じるよう
な条件下で使用した場合、摩擦熱による温度上昇で、あ
る限界を越えると、溶融が起こると同時に著しい磨耗を
起こし、定常の摩擦運動が続けられなくなる。従来のナ
イロン樹脂の場合も状況は同じで、過酷な条件下で使用
した場合には試料全体の温度が上昇し、最終的には磨耗
面全体が溶融する場合もある。さらに、従来のナイロン
は吸水性のために寸法が変化したり物性が低下するとい
った問題点もあり、さらなる性能の向上が望まれてい
る。
【0004】これに対し、最近では1,6−ヘキサンジ
アミンとテレフタル酸からなるポリアミドを主成分とし
た6T系ポリアミドと呼ばれる半芳香族ポリアミドもこ
の分野に参入しており、特開昭60−158220号公
報、特開昭62−256830号公報などには、6T系
ポリアミドを始めとする半芳香族ポリアミドが摺動材用
の成形材料として使用できることが示されている。しか
しながら、テレフタル酸と1,6−ヘキサンジアミンか
らなるポリアミドは、ポリマーの分解温度を超える37
0℃付近に融点があるため、溶融重合、溶融成形が困難
であり、実用に耐えるものではない。そのため実際に
は、アジピン酸、イソフタル酸などのジカルボン酸成
分、あるいはナイロン6などの脂肪族ポリアミドを30
〜40モル%共重合することにより、実使用可能温度領
域、すなわち280〜320℃程度にまで低融点化した
組成で用いられているのが現状である。このように多量
の第3成分(場合によっては第4成分)を共重合するこ
とは、確かにポリマーの低融点化には有効なものの、一
方では結晶化速度、到達結晶化度の低下を伴い、その結
果、高温下での剛性、耐薬品性、寸法安定性などの諸物
性が低下するばかりでなく、成形サイクルの延長に伴う
生産性の低下をも招く。また、吸水による寸法安定性な
どの諸物性の変動に関しても、芳香族基の導入により、
従来の脂肪族ポリアミドに比べれば多少改善されてはい
るものの、実質的な問題解決のレベルまでには達してい
ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、汎用ナ
イロンの欠点を従来の半芳香族ポリアミドを使用するこ
とによりある程度は補うことはできたが、依然改良が望
まれる性能も多い。特に、摺動材として使用する場合に
は、摺動特性をはじめとして、耐熱性、耐薬品性などの
性能の更なる改良が望まれる。
【0006】本発明の目的は、摺動特性に優れると共
に、低吸水性、靱性、耐薬品性、成形性、軽量性などの
いずれの性能にも優れたポリアミド組成物を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究した結果、テレフタル酸と
1,9−ノナンジアミンを主成分とするポリアミドと、
特定の種類と量の充填剤からなる組成物において初め
て、上記性能に優れた摺動材用成形材料を得ることがで
きることを見出だして、本発明を完成するに至った。
【0008】本発明によれば、上記の目的は、[A]ジ
カルボン酸成分の60〜100モル%がテレフタル酸で
あるジカルボン酸成分と、ジアミン成分の60〜100
モル%が1,9−ノナンジアミンであるジアミン成分と
からなり、濃硫酸中30℃で測定した[η]が0.4〜
3.0dl/gであるポリアミド100重量部;および
[B]繊維状または粉末状の、有機系または無機系の充
填剤0.1〜100重量部からなる、摺動特性に優れた
ポリアミド組成物を提供することにより達成される。
【0009】以下、本発明を具体的に説明する。本発明
の組成物の構成成分であるポリアミド[A]のジカルボ
ン酸成分のうち、テレフタル酸成分が60モル%以上で
あり、好ましくは75モル%以上、より好ましくは90
モル%以上である。テレフタル酸成分が60モル%未満
の場合には、得られるポリアミドの耐熱性、耐薬品性、
耐磨耗性、限界PV値などの諸物性が低下するため好ま
しくない。
【0010】テレフタル酸成分以外の他のジカルボン酸
成分としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク
酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、
トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチル
グルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン
酸、セバシン酸、スベリン酸などの脂肪族ジカルボン
酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シ
クロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;
イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,
7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカ
ルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3
−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、ジ安息香
酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−
4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,
4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン
酸などの芳香族ジカルボン酸、あるいはこれらの任意の
混合物を挙げることができる。これらのうち芳香族ジカ
ルボン酸が好ましく使用される。さらに、トリメリット
酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの多価カルボン
酸を溶融成形が可能な範囲内で用いることもできる。
【0011】本発明の組成物の構成成分であるポリアミ
ド[A]のジアミン成分としては、1,9−ノナンジア
ミン成分が60モル%以上であり、好ましくは75モル
%以上、より好ましくは90モル%以上である。ジアミ
ン成分の組成がこの範囲であれば、得られるポリアミド
の耐熱性、成形性、低吸水性、軽量性、耐衝撃性の各性
能に優れるので好ましい。
【0012】1,9−ノナンジアミン成分以外の他のジ
アミン成分としては、エチレンジアミン、プロピレンジ
アミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジ
アミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカン
ジアミン、1,12−ドデカンジアミン、3−メチル−
1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−
1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−
1,6−ヘキサンジアミン、2−メチル−1,8−オク
タンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミンな
どの脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチル
シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミンなどの脂
環式ジアミン;p−フェニレンジアミン、m−フェニレ
ンジアミン、キシレンジアミン、4,4’−ジアミノジ
フェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホ
ン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどの芳香
族ジアミン、あるいはこれらの任意の混合物を挙げるこ
とができる。なかでも2−メチル−1,8−オクタンジ
アミンが好ましい。
【0013】本発明の組成物の構成成分であるポリアミ
ドは、好ましくはその分子鎖の末端基の10%以上、よ
り好ましくは40%以上、さらに好ましくは70%以上
が、モノカルボン酸やモノアミンなど、ポリアミド末端
のアミノ基またはカルボキシル基と反応性を有する単官
能性の化合物である末端封止剤により封止されているこ
とが望ましい。末端封止を行うことによって、溶融安定
性、耐熱水性などの性能がさらに優れた組成物を得るこ
とができる。
【0014】本発明の組成物の構成成分であるポリアミ
ドを製造する際に用いることができる末端封止剤の使用
量は、用いる末端封止剤の反応性、沸点、反応装置、反
応条件などによって変化するが、通常、ジカルボン酸と
ジアミンの総モル数に対して0.1〜15モル%の範囲
内で使用される。
【0015】本発明の組成物の構成成分であるポリアミ
ドは、結晶性ポリアミドを製造する方法として知られて
いる任意の方法を用いて製造することができる。例え
ば、酸クロライドとジアミンを原料とする溶液重合法あ
るいは界面重合法、ジカルボン酸とジアミンを原料とす
る溶融重合法、固相重合法、溶融押出機重合法などの方
法により重合可能である。以下に、ポリアミドの重合法
の一例を示す。
【0016】本発明者らの研究によれば、触媒および必
要に応じて末端封止剤を、最初にジアミンおよびジカル
ボン酸に一括して添加し、ナイロン塩を製造した後、い
ったん200〜250℃の温度において濃硫酸中30℃
における極限粘度[η]が0.10〜0.60dl/g
のプレポリマーとし、さらに固相重合するか、あるいは
溶融押出機を用いて重合を行うことにより、容易に本発
明のポリアミドを得ることができる。プレポリマーの極
限粘度[η]が0.10〜0.60dl/gの範囲内で
あると、後重合の段階においてカルボキシル基とアミノ
基のモルバランスのずれや重合速度の低下が少なく、さ
らに分子量分布の小さな、各種性能や成形性に優れたポ
リアミドが得られる。重合の最終段階を固相重合により
行う場合、減圧下または不活性ガス流通下に行うのが好
ましく、重合温度が200〜280℃の範囲内であれ
ば、重合速度が大きく、生産性に優れ、着色やゲル化を
有効に押さえることができるので好ましい。重合の最終
段階を溶融押出機により行う場合、重合温度が370℃
以下であるとポリアミドの分解がほとんどなく、劣化の
無いポリアミドが得られるので好ましい。
【0017】本発明に用いられるポリアミドの、濃硫酸
中30℃で測定した極限粘度[η]は0.4〜3.0d
l/gであり、好ましくは0.6〜2.0dl/g、よ
り好ましくは0.8〜1.8dl/gである。
【0018】上記ポリアミドを製造するに際して、前記
の末端封止剤の他に、例えば、触媒として、リン酸、亜
リン酸、次亜リン酸またはその塩またはそのエステル、
具体的にはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、バナ
ジウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、錫、
タングステン、ゲルマニウム、チタン、アンチモンなど
の金属塩やアンモニウム塩、エチルエステル、イソプロ
ピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、イ
ソデシルエステル、オクタデシルエステル、デシルエス
テル、ステアリルエステル、フェニルエステルなどを添
加することができる。
【0019】本発明の摺動特性に優れた組成物は、上記
ポリアミド以外の構成成分として、ポリアミド100重
量部に対し0.1〜100重量部の粉末状充填剤、ある
いは0.1〜100重量部の繊維状充填剤を含有する。
粉末状充填剤としては、シリカ、シリカアルミナ、アル
ミナ、タルク、グラファイト、二酸化チタン、二硫化モ
リブデン、ポリテトラフルオロエチレンが用いられる。
これらのうちで特に好ましくは、グラファイト、二硫化
モリブデン、ポリテトラフルオロエチレンであり、これ
ら使用すると、該組成物から得られる成形体の動摩擦係
数、テーバー磨耗、限界PV値などの耐磨耗性が向上す
る。かかる充填剤の平均粒径は通常0.1mμ〜200
μの範囲、とくに1mμ〜100μの範囲にあると前述
の耐磨耗性が著しく向上するので好ましい。かかる充填
剤の配合割合は該ポリアミド100重量部に対して0.
1〜100重量部の範囲にあることが必要であり、好ま
しくは0.5〜50重量部の範囲である。
【0020】繊維状充填剤としては、有機系の繊維ある
いは無機系のガラス繊維、炭素繊維またはホウ素繊維が
用いられる。これらの繊維状充填剤のうち、有機系の繊
維状充填剤としては、ポリパラフェニレンテレフタルア
ミド繊維、ポリアメタフェニレンテレフタルアミド繊
維、ポリパラフェニレンイソフタルアミド繊維、ポリア
メタフェニレンイソフタルアミド繊維、ジアミノジフェ
ニルエーテルとテレフタル酸またはイソフタル酸からの
縮合物から得られる繊維などの全芳香族ポリアミド繊
維、あるいは、全芳香族液晶ポリエステル繊維などを使
用する。このような繊維状充填剤を使用すると、該組成
物から得られる成形体の摺動特性が向上するだけでな
く、機械特性、耐熱特性、化学的物理的特性などが向上
するので好ましい。前記の繊維状充填剤の平均長は5〜
50mmの長い繊維、あるいは0.05〜5mmの短い
繊維を使用することができる。とくに、前記の平均長が
1〜10mmの範囲にあると、該組成物の良好な成形性
を保持することができ、かつ該組成物から得られる成形
体の摺動特性、耐熱性、機械的特性が向上するので好ま
しい。前記の繊維状充填剤の配合割合は、該ポリアミド
100重量部に対して0.1〜100重量部の範囲にあ
ることが必要であり、好ましくは0.5〜50重量部の
範囲である。また、これらの繊維状充填剤はクロス状な
どに二次加工されていても良い。
【0021】上記のような粉末状あるいは繊維状の充填
剤は単独で、あるいは組み合わせて用いることができ
る。これらの充填剤はシランカップラーやチタンカップ
ラーなどで処理されていても良い。また、本発明の組成
物には、上記の粉末状あるいは繊維状の充填剤の他に本
発明の目的を損なわない範囲で、板状、クロス状などの
各種形態を有する他の充填剤が含まれていても良い。
【0022】さらに、本発明の組成物は、上記の添加剤
のほかに、必要に応じて、ヒンダードフェノール系酸化
防止剤、ヒンダードアミン酸化防止剤系、リン系酸化防
止剤、チオ系酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安
定化剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、結晶核剤、難燃剤
あるいは他種ポリマーなども添加することができる。特
に、結晶核剤を必要に応じて使用することは組成物の摺
動特性の向上に効果が大きい。結晶核剤としては、酸化
亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化アンチモン、酸
化チタン、アルミナ、シリカなどの金属酸化物、炭酸ナ
トリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、
炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸鉛、ケイ
酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸鉛、硫酸カ
ルシウム、硫酸バリウムなどの無機塩、タルク、カオリ
ン、マイカ、酸性白土などの粘土類、蓚酸カルシウム、
安息香酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、サリ
チル酸亜鉛などの有機酸塩、ナイロン6T、ナイロン2
2などの高融点ポリマー、亜鉛粉末、アルミ粉末、グラ
ファイト粉末、カーボンブラックなどの粉末単体物質、
p−t−ブチル安息香酸アルミニウム、燐酸ビス(4−
t−ブチルフェニル)ナトリウム、燐酸2,2´−メチ
レンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウ
ム、ジ(p−t−ブチル安息香酸)ヒドロキシアルミニ
ウムなどを1種あるいは2種以上組み合わせて使用する
ことができる。また、本発明の組成物の用途によって、
さらに靱性が必要とされるような場合には、α,β−不
飽和カルボン酸やその酸無水物または誘導体などで変性
されたポリオレフィンなどを配合して使用することもで
きる。
【0023】上記各構成成分の配合方法としては、重縮
合反応時に添加するか、あるいはドライブレンドする方
法、押出機を用いた溶融混練配合などの方法が挙げられ
るが、操作の容易さから、通常は後者の方法が有利であ
る。
【0024】以上のように、本発明のポリアミド組成物
は摺動特性に優れるばかりではなく、低吸水性、靱性、
耐薬品性、成形性、軽量性などのいずれの性能にも優
れ、軸受け、歯車、ブッシュ、スペーサー、ローラー、
カム、ベアリングリテーナーなどの摺動部品などに幅広
い条件下で好適に使用できる。
【0025】
【実施例】以下、本発明のポリアミド組成物を実施例に
より具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら制
限されるものではない。なお、実施例中の末端封止率、
極限粘度、引張り強度、引張り伸び、耐衝撃強度、熱変
形温度、テーバー磨耗、限界PV値、比重、飽和吸水
率、耐熱水性、耐薬品性は以下の方法により測定した。
【0026】末端封止率:1H−NMR(500MH
z,重水素化トリフルオロ酢酸中、50℃で測定)を用
い、各末端基ごとの特性シグナルの積分値よりカルボキ
シル基末端、アミノ基末端および封止末端の数をそれぞ
れ測定し、下記の式(1)から末端封止率を求めた。測
定に用いた代表的なシグナルの化学シフト値を以下に示
す。 封止率(%)=[(A−B)÷A]×100 ………(1) 〔式中、Aは分子鎖末端基総数(これは通常、ポリアミ
ド分子の数の2倍に等しい)を表し、Bはカルボキシル
基末端およびアミノ基末端の合計数を表す〕
【0027】
【表1】
【0028】極限粘度[η]:濃硫酸中、30℃にて、
0.05,0.1,0.2,0.4g/dlの濃度の試
料の固有粘度(ηinh )を測定し、これを濃度0に外挿
した値を極限粘度[η]とした。 ηinh =[ln(t1/t0)]/c 〔式中、ηinh は固有粘度(dl/g)を表し、t0
溶媒の流下時間(秒)を表し、t1は試料溶液の流下時
間(秒)を表し、cは溶液中の試料の濃度(g/dl)
を表す。〕
【0029】引張強度、引張り伸び、耐衝撃強度、熱変
形温度、テーバー磨耗、限界PV値:ポリアミドの融点
より約20℃高い温度で射出成形した絶乾状態の試料片
を、そのまま用いるかあるいは必要な大きさに切削加工
して、以下の方法で測定した。
【0030】
【表2】
【0031】比重:密度勾配管を使用して測定した。
【0032】飽和吸水率:ポリアミドの融点より20℃
高い温度で熱プレスし、150℃で5分間の冷却を行っ
た、厚さ約200μmのフィルム(5cm×5cm)
を、減圧下に120℃で5日間乾燥し、秤量した後、2
3℃の水中に10日間浸漬し、秤量して、増量分の浸漬
前の重量に対する割合(%)として求めた。
【0033】耐熱水性:JIS1号ダンベル型射出成形
片を、耐圧オートクレーブ中で、120℃/2気圧/1
20hの条件でスチーム処理し、その試料を120℃で
120時間真空乾燥した。処理後のサンプルの極限粘度
[η]の処理前の値に対する保持率(%)を求めた。
【0034】耐薬品性:ポリアミドの融点より約20℃
高い温度で熱プレスした、厚さ200ミクロンのフィル
ムをJIS3号ダンベルで打ち抜いた試料片を、23℃
の各種薬品中に7日間浸漬し、引張強度の処理前の試料
に対する保持率を測定した。
【0035】実施例1 テレフタル酸3272.9g(19.70mol)、
1,9−ノナンジアミン3165.8g(20.0mo
l)、安息香酸73.27g(0.60mol)、次亜
リン酸ナトリウム一水和物6.5g(原料に対して0.
1重量%)および蒸留水6リットルを内容積20リット
ルのオートクレーブに入れ、窒素置換した。100℃で
30分間撹拌し、2時間かけて内部温度を210℃に昇
温した。この時、オートクレーブは22kg/cm2
で昇圧した。そのまま1時間反応を続けたのち230℃
に昇温し、その後2時間の間、230℃に温度を保ち、
水蒸気を徐々に抜いて圧力を22kg/cm2に保ちな
がら反応させた。次に、30分かけて圧を10kg/c
2まで下げ、更に1時間反応させて、[η]=0.2
5dl/gのプレポリマーを得た。これを、100℃減
圧下で12時間乾燥し、2mm以下の大きさまで粉砕し
た。これを230℃、0.1mmHg下、10時間固相
重合し、融点317℃、[η]1.35dl/g、末端
封止率90%、白色のポリアミドを得た。次にこのポリ
アミドを減圧下120℃で24時間乾燥し、平均長6m
mのガラス繊維(PPG製PPG3540)とドライブ
レンドした。これを、1軸押出機(スクリュー径40m
m、L/D=28、シリンダー温度=320〜350
℃、回転数=60rpm)を用いて溶融混練し、ペレッ
ト化した。得られた組成物を、シリンダー温度340
℃、金型温度100℃で射出成形し、得られた成形品の
各種物性値を測定した。得られた結果を下記の表3に示
す。
【0036】実施例2 実施例1において、ジアミン成分を1,9−ノナンジア
ミン2849.2g(18.0モル)、2−メチル−
1,8−オクタンジアミン316.58g(2.0モ
ル)、安息香酸73.27g(0.60モル)とした以
外は、実施例1に記載した方法でポリアミドを重合し
て、融点が310℃、極限粘度[η]が1.26dl/
g、末端の封止率が90%である白色のポリアミドを得
た。次に、このポリアミドにガラス繊維および二硫化モ
リブデンを実施例1に記載の方法で配合し、得られた組
成物をシリンダ温度340℃、金型温度100℃で射出
成形し、得られた成形品の各種物性値を測定した。得ら
れた結果を下記の表3に示す。
【0037】実施例3 実施例1において、テレフタル酸の量を3372.5g
(20.3モル)、ジアミン成分を1,9−ノナンジア
ミン2849.2g(18.0モル)および2−メチル
−1,8−オクタンジアミン316.58g(2.0モ
ル)とし、安息香酸用いなかったこと以外は、実施例1
に記載した方法でポリアミドを重合して、融点が310
℃、極限粘度[η]が1.28dl/g、末端封止率が
0%の白色のポリアミドを得た。次に、このポリアミド
にガラス繊維およびポリ四フッ化エチレンを実施例1に
記載の方法で配合し、得られた組成物を、シリンダ温度
340℃、金型温度100℃で射出成形し、得られた成
形品の各種物性値を測定した。得られた結果を下記の表
3に示す。
【0038】比較例1 実施例1において、テレフタル酸2325.9g(1
4.0モル)、イソフタル酸996.8g(6.0モ
ル)、1,6−ヘキサンジアミン2324.2g(2
0.0モル)、安息香酸24.43g(0.20モル)
とした以外は、実施例1に記載した方法でポリアミドを
重合し、融点が320℃、極限粘度[η]が1.02d
l/g、末端封止率が45%の淡黄色のポリアミドを得
た。次に、このポリアミドを、シリンダ温度340℃、
金型温度100℃で射出成形し、得られた成形品の各種
物性値を測定した。得られた結果を下記の表3に示す。
【0039】比較例2 比較例1のポリアミドにガラス繊維を実施例1に記載の
方法で配合し、得られた組成物を、シリンダ温度340
℃、金型温度100℃で射出成形し、得られた成形品の
各種物性値を測定した。得られた結果を下記の表3に示
す。
【0040】
【表3】
【0041】
【発明の効果】本発明のポリアミド組成物は、摺動特性
に優れると共に、低吸水性、靱性、耐薬品性、成形性、
軽量性などのいずれの性能にも優れ、各種摺動材用とし
て好適に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F16C 33/20 A 6814−3J F16H 55/06 (72)発明者 林原 広 岡山県倉敷市酒津2045番地の1 株式会社 クラレ内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 [A]ジカルボン酸成分の60〜100
    モル%がテレフタル酸であるジカルボン酸成分と、ジア
    ミン成分の60〜100モル%が1,9−ノナンジアミ
    ンであるジアミン成分とからなり、濃硫酸中30℃で測
    定した極限粘度[η]が0.4〜3.0dl/gである
    ポリアミド100重量部;および[B]繊維状または粉
    末状の、有機系または無機系の充填剤0.1〜100重
    量部からなる、摺動特性に優れたポリアミド組成物。
  2. 【請求項2】 ポリアミド[A]の末端基の10%以上
    が封止されている、請求項1記載の摺動特性に優れたポ
    リアミド組成物。
  3. 【請求項3】 繊維状または粉末状の充填剤[B]が、
    ガラス繊維、炭素繊維、二硫化モリブデン、グラファイ
    ト、ポリ四フッ化エチレンのうち少なくとも1種類であ
    る請求項1または請求項2記載の摺動特性に優れたポリ
    アミド組成物。
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