JP2013064420A - 摺動部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】テレフタル酸成分と1,10−デカンジアミン成分からなるポリアミド100質量部および摺動性改良材0.5〜60質量部を含有するポリアミド樹脂組成物からなる摺動部材、およびポリアミドの示差走査熱量計で測定される過冷却度が40℃以下であるポリアミド樹脂組成物、およびポリアミド中のジアミン単位に対するトリアミン単位が0.3モル%以下であるポリアミド樹脂組成物、および摺動性改良材が、フッ素樹脂、シリコーン、二硫化モリブデン、タルク、リン酸塩、鉱物油、カーボン繊維およびモンタン酸塩からなる群より選ばれた1種以上であるポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)テレフタル酸成分と1,10−デカンジアミン成分からなるポリアミド100質量部および摺動性改良材0.5〜60質量部を含有するポリアミド樹脂組成物からなる摺動部材。
(2)ポリアミドの示差走査熱量計で測定される過冷却度が40℃以下である(1)記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)ポリアミド中のジアミン単位に対するトリアミン単位が0.3モル%以下である(1)または(2)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(4)摺動性改良材が、フッ素樹脂、シリコーン、二硫化モリブデン、タルク、リン酸塩、鉱物油、カーボン繊維およびモンタン酸塩からなる群より選ばれた1種以上である(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
本発明の摺動部材は、ポリアミドと摺動性改良材を含有する樹脂組成物から構成される。
本発明で用いるポリアミドは、テレフタル酸成分と1,10−デカンジアミン成分とから構成される。これらのモノマーを用いることで、摺動性が高いポリアミドを得ることができる。
(1)ポリアミドの相対粘度
96質量%硫酸を溶媒とし、濃度1g/dL、25℃で測定した。
東ソー社製ゲル浸透クロマトグラフィ装置を用い、下記条件で調整した試料溶液にてGPC分析をおこなった後、ポリメチルメタクリレート(ポリマーラボラトリーズ社製)を標準試料として作成した検量線を用いて、重量平均分子量を求めた。
<試料調製>
ポリアミド5mgに10mMトリフルオロ酢酸ナトリウム含有ヘキサフルオロイソプロパノール2mlを加えて溶解後、ディスクフィルターで濾過した。
<条件>
・検出器:示差屈折率検出器RI−8010(東ソー社製)
・溶離液:10mMトリフルオロ酢酸ナトリウム含有ヘキサフルオロイソプロパノール
・流速:0.4ml/分
・温度:40℃
パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC−7を用い、昇温速度20℃/分で350℃まで昇温した後、350℃で5分間保持し、降温速度20℃/分で25℃まで降温した際の発熱ピークのトップを与える温度を降温結晶化温度(Tcc)、さらに25℃で5分間保持後、再び昇温速度20℃/分で昇温測定した際の吸熱ピークのトップを融点(Tm)とした。融点と降温結晶化温度の差(Tm−Tcc)を過冷却度とした。
ポリアミド10mgに47%臭化水素酸を3mL加え、130℃で20時間加熱後、蒸発乾固し、さらに80℃2時間減圧乾燥する。これにピリジン2mL、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド1mLを加え、90℃で30分加熱する。冷却後、メンブランフィルターでろ過した溶液を、質量分析計を備えたガスクロマトグラフィー装置で分析した。別に測定した標準物質のジアミンとトリアミンにより得た検量線を用いてポリアミド中のジアミンとトリアミンを定量し、ジアミンに対するトリアミンのモル比を算出した。トリアミンの標準物質は、酸化パラジウムを触媒として用いて、オートクレーブ中にてジアミンを240℃で3時間加熱撹拌して反応させて得たトリアミン化合物を用いた。
ポリアミド樹脂組成物を用いて、JIS K7210に従って、340℃、1.2kgfの荷重で測定した。実用上、0.1〜50g/10分が好ましく、1〜40g/10分がより好ましい。
ポリアミド樹脂組成物を十分に乾燥した後、射出成形機(東芝機械社製EC100)を用いて射出成形をおこない、127mm×12.7mm×3.2mmの成形片を作製した。シリンダー温度(融点+25℃)、金型温度(融点−185℃)、射出圧力100MPa、射出時間10秒、取り出し時間5秒であった。
得られた成形片を用いて、ASTM D790に従って測定した。実用上、曲げ強度は、130MPa以上が好ましく、140MPa以上がより好ましい。また、曲げ弾性率は、2.5GPa以上が好ましく、3.0GPa以上がより好ましい。
(6)と同様の射出成形をおこなって、外径25.6mm、内径20mm、厚み15mmの円筒形の成形片を作製した。
得られた成形片を用いて、JIS K7218 A法に従って、鈴木式摩擦磨耗試験機(東洋ボールドウィン社製EFM−III−E型)により、相手材をS45C鋼、荷重を0.25MPa、摩擦距離5kmの条件下、試験をおこなった。試験前の質量と試験後の質量との差から比磨耗量を求め、(摩擦距離に達した時の摩擦力検出器の値/荷重の値)を摩擦係数とした。比磨耗量は3mm3/(km・kN)以下が好ましく、摩擦係数は0.5以下が好ましい。
(6)で成形体を成形する際、突出ピンで成形体に対し変形を与えないで容易に取出しが可能な最短の冷却時間を計測した。ここで成形サイクルとは、同じ射出条件で連続して成形した際、1ショット目の成形体の射出が開始してから、2ショット目の成形体の射出が開始するまでの時間をいう。すなわち、一つの成形体を成形するのに要する時間(射出時間+冷却時間+取出し時間の合計)をいう。実用上、45秒以下が好ましい。
実施例および比較例で用いた原料を以下に示す。
(1)ジカルボン酸成分
・テレフタル酸
・イソフタル酸
・1,9−ノナンジアミン
・1,10−デカンジアミン
・ポリテトラフルオロエチレン(F−1) 旭硝子社製 L150J、平均粒径 9μm
・ポリジメチルシロキサン(F−2) 東レ・ダウコーニング・シリコーン社製 SH200、溶液粘度 30,000cSt
・二硫化モリブデン(F−3) ダウコーニング社製 モリコート マイクロサイズパウダー、平均粒径 0.7μm
・タルク(F−4) 日本タルク社製 D−800、平均粒径 0.8μm
・リン酸塩(F−5) 太平化学産業社製 リン酸カルシウム、粉末状
・鉱物油(F−6) 東芝シリコーン社製 シリコンオイル TSF451−1M
・カーボン繊維(F−7) 東邦テナックス社製 HTA−C6−NR
・モンタン酸カルシウム(F−8) クラリアント社製 Licomont CaV102
[工程(i)]
ジアミン成分として1,10−デカンジアミン(5050質量部)、ジカルボン成分として粉末状テレフタル酸(4870質量部)、末端封鎖剤として安息香酸(72質量部)、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物(6質量部)をオートクレーブに入れ、100℃に加熱後、ダブルヘリカル型の攪拌翼を用いて回転数28rpmで撹拌を開始し、1時間加熱した。原料モノマーのモル比は、1,10−デカンジアミン:テレフタル酸=50:50であった。この混合物を、回転数を28rpmに保ったまま230℃昇温し、その後230℃で3時間加熱した。塩と低重合体の生成反応と破砕を同時におこなった。反応により生じた水蒸気を放圧後、得られた反応物を取り出した。
工程(i)で得られた反応物を、乾燥機中、常圧窒素気流下、230℃で5時間加熱して重合しポリアミド(P−1)を得た。
[工程(i)]
ジカルボン成分としてテレフタル酸粉末(4870質量部)、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム(6質量部)、末端封鎖剤としての安息香酸(72質量部)を、リボンブレンダー式の反応装置に入れ、窒素密閉下、ダブルヘリカル型の攪拌翼を用いて回転数30rpmで撹拌しながら170℃に加熱した。その後、温度を170℃に保ち、かつ回転数を30rpmに保ったまま、液注装置を用いて、100℃に加温したデカンジアミン(5050質量部、100質量%)を、28質量部/分の速度で、3時間かけて連続的(連続液注方式)にテレフタル酸粉末に添加し反応物を得た。
工程(i)で得られた反応物を、引き続き工程(i)で用いたリボンブレンダー式の反応装置内で、窒素気流下、230℃に昇温し、230℃で5時間加熱して重合しポリアミド(P−2)を得た。
樹脂組成、製造条件を表1のように変更する以外は、実施例2と同様にしてポリアミドを得た。
[工程(i)]
ジアミン成分として1,10−デカンジアミン(5050質量部)、ジカルボン成分として粉末状テレフタル酸(4870質量部)、末端封鎖剤として安息香酸(72質量部)、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物(6質量部)、蒸留水400質量部(原料モノマーの合計量100質量部に対して4質量部)をオートクレーブに入れ、100℃に加熱後、回転数28rpmで撹拌を開始し、1時間加熱した。この混合物を、回転数を28rpmに保ったまま230℃に昇温し、その後230℃で3時間加熱した。塩と低重合体の生成反応をおこないながら、得られた固形物を破砕した。水蒸気を放圧後、得られた反応物を取り出した。
工程(i)で得られた反応物を、乾燥機中、常圧窒素気流下、230℃で5時間加熱して重合しポリアミド(P−4)を得た。
[工程(i)]
ジアミン成分として1,10−デカンジアミン(5050質量部)、ジカルボン酸成分として平均粒径80μmの粉末状テレフタル酸(4870質量部)、末端封鎖剤として安息香酸(72質量部)、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物(6質量部)、蒸留水9200質量部(原料モノマーの合計量100質量部に対して、92質量部)をオートクレーブに入れ、100℃に加熱後、回転数28rpmで撹拌を開始し、1時間加熱した。この混合物を、回転数を28rpmに保ったまま230℃に昇温し、その後230℃で3時間加熱した。塩と低重合体の生成反応をおこないながら、得られた固形物を破砕した。水蒸気を放圧後、得られた反応物を取り出した。
工程(i)で得られた反応物を、乾燥機中、常圧窒素気流下、230℃で5時間加熱して重合しポリアミド(P−6)を得た。
蒸留水の添加量を表1のように変更する以外は、製造例4と同様にしてポリアミドを得た。
末端封鎖剤の添加量を変更する以外は、製造例1と同様にしてポリアミドを得た。
ポリアミド(P−1)100質量部、ポリテトラフルオロエチレン(F−1)5質量部をクボタ社製ロスインウェイト式連続定量供給装置CE−W−1を用いて計量し、スクリュー径37mm、L/D40の同方向二軸押出機(東芝機械社製TEM37BS)の主供給口に供給し溶融混練をおこなった。押出機のバレル温度設定は、320℃〜340℃、スクリュー回転数250rpm、吐出量35kg/時間であった。その後、ストランド状に引き取った後、水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングしてポリアミド樹脂組成物を得た。
表2に示すように、樹脂組成を変更した以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得た。
比較例2は、摺動性改良材の含有量が多かったため、曲げ強度や曲げ弾性率が低かった。
比較例4〜11は、ポリアミド9Tに、それぞれ実施例1、4〜10と同じ種類の摺動性改良材を用いたものであるが、対応する実施例に比べて、摩擦係数と比磨耗量が大きかった。
Claims (5)
- テレフタル酸成分と1,10−デカンジアミン成分からなるポリアミド100質量部および摺動性改良材0.5〜60質量部を含有するポリアミド樹脂組成物からなる摺動部材。
- ポリアミドの示差走査熱量計で測定される過冷却度が40℃以下である請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
- ポリアミド中のジアミン単位に対するトリアミン単位が0.3モル%以下である請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 摺動性改良材が、フッ素樹脂、シリコーン、二硫化モリブデン、タルク、リン酸塩、鉱物油、カーボン繊維およびモンタン酸塩からなる群より選ばれた1種以上である請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形体。
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