JP2016098879A - 光偏向装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】超高速回転速度条件、および、長期耐久条件の仕様の要求を満足させることのできる構成を備える、光偏向装置を提供する。
【解決手段】この光偏向装置においては、樹脂層200は、金属側に形成される衝撃吸収樹脂層210と、衝撃吸収樹脂層210の表面に形成される摺動樹脂層220とを含み、摺動樹脂層220は、固体潤滑剤を含有し、ビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて負荷荷重98mNで測定した摺動樹脂層220の表面の弾性仕事率(Wa)よりも、衝撃吸収樹脂層210の表面の弾性仕事率(Wb)の方が大きく設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、光偏向装置の構造に関する。
特開平11−62954号公報(特許文献1)には、レーザープリンタ等の画像形成装置が開示されている。この画像形成装置においては、回転多面鏡(ポリゴンミラー)を内部に有する光偏向装置を用いて画像記録が行なわれる。
光偏向装置は、回転多面鏡を高速回転させながらレーザーを反射させることにより光書き込みを行なうユニットであり、高速度回転下での長期使用における耐久性や、書き込み時の寸法精度が要求される。これらの要求を満足するため、光偏向装置には、動圧溝で気流を発生させることにより動圧で固定軸から回転軸受を浮上させ、固定軸と回転軸受とを非接触で回転させることにより摩耗負荷を低減させる機構である動圧軸受が採用されている。
動圧軸受においては、回転軸受の金属基材上に樹脂をインサート成形し、樹脂層表面を摺動面とする構成が挙げられる。この構成により、剛性の高い金属基材が軸受ブレを低減するとともに、自己潤滑性が高く焼き付きの発生しにくい樹脂材を摺動層とすることで、摩擦による負荷力を低減することを可能としている。また、樹脂層に対して動圧溝を導入することで、動圧溝加工のコストが低減し、比較的安価な動圧軸受の提供をも可能としている。また、樹脂層に対して動圧溝を導入することで、動圧溝加工のコストが低減し、比較的安価な動圧軸受の提供をも可能としている。
特開平11−62954号公報
近年、画像形成装置には、高速化・高生産性への要求、および、省エネへの要求が高まっている。高速化・高生産性への要求に対しては、光偏向装置の回転速度の高速化が必要となる。従来の光偏向装置では、光偏向装置の回転速度、10,000〜20,000rpm程度で満足されていた。しかし、今後は50,000rpm以上の超高速回転条件下で使用されることが求められる。
省エネへの要求に対しては、ユーザーがよりこまめに画像形成装置の電源をOFFにする使用環境の変化が想定される。従来は、電源ON/OFFの耐久サイクルで100万回程度で満足されていたが、今後は耐久サイクルで、1000万回程度の長期耐久条件が求められる。
このような、超高速回転速度条件、および、長期耐久条件の仕様の要求に伴い、主として、電源OFF時(着陸時)の耐衝撃性が課題として挙げられる。
光偏向装置には、動圧軸受が用いられている。動圧軸受においては、回転軸受と固定軸とは、定速回転時は非接触回転であるが、電源OFF時には、回転軸受と固定軸とが接触して停止する。電源OFF時の接触の際に回転軸受と固定軸との接触箇所に大きな衝撃力を受け、回転軸受と固定軸との界面で、たとえば、回転軸受側に設けられた摺動用の樹脂層が剥離するおそれがある。
上記の衝撃力は、回転数の2乗に比例して大きなものとなるため、50,000rpm以上のさらなる高速回転速度条件下では、上記リスクは飛躍的に高まる。また、省エネ化に伴い、ユーザーがこまめに電源をOFFにすることで、上記のような衝撃力がより頻繁に摺動層に加わることとなる。
この発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、超高速回転速度条件、および、長期耐久条件の仕様の要求を満足させることのできる構成を備える、光偏向装置を提供することにある。
この光偏向装置においては、金属の円筒形状を有する回転軸受と、上記回転軸受の外側に固定され、側面に複数の鏡面が設けられた回転多面鏡と、上記回転軸受が回転自在に嵌合される金属の固定軸と、上記回転軸受の内周面、または、上記固定軸の外周面のいずれか一方に形成された樹脂層と、上記回転軸受側、または、上記固定軸側の少なくともいずれか一方に形成された動圧発生溝と、を備えている。
上記樹脂層は、金属側に形成される衝撃吸収樹脂層と、上記衝撃吸収樹脂層の表面に形成される摺動樹脂層とを含み、上記摺動樹脂層は、固体潤滑剤を含有し、ビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて負荷荷重98mNで測定した上記摺動樹脂層の表面の弾性仕事率(Wa)よりも、上記衝撃吸収樹脂層の表面の弾性仕事率(Wb)の方が大きく設けられている。
他の形態においては、上記回転軸受と上記固定軸との間には、ラジアル摺動面とスラスト摺動面とが形成され、上記樹脂層は、少なくとも上記回転軸受のラジアル摺動面に形成されている。
他の形態においては、上記衝撃吸収樹脂層の膜厚は、20μm以上50μm以下である。
他の形態においては、上記衝撃吸収樹脂層の表面の弾性仕事率(Wb)が55%以上80%以下である。
他の形態においては、上記衝撃吸収樹脂層は、圧縮弾性率が1000[MPa]以上の樹脂である。
他の形態においては、上記衝撃吸収樹脂層は、エポキシ樹脂、アクリル・ウレタン樹脂、および、シリコーン樹脂のいずれかである。
他の形態においては、ビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて負荷荷重98mNで測定した上記衝撃吸収樹脂層の表面のビッカース硬度が10[HV]以上である。
他の形態においては、上記固体潤滑剤の平均粒径が5μm以下である。
他の形態においては、上記固体潤滑剤は、フッ素樹脂である。
他の形態においては、上記固体潤滑剤の添加量が、衝撃吸収樹脂層100質量部あたり3〜10質量部である。
この光偏向装置は、超高速回転速度条件、および、長期耐久条件の仕様の要求を満足させることを可能とする。
本実施の形態における光偏向装置の断面図である。 本実施の形態における光偏向装置の軸受部の拡大断面図である。 本実施の形態における光偏向装置の衝撃吸収樹脂層および摺動樹脂層の弾性領域を模式的に示す断面図である。 衝撃吸収樹脂層および摺動樹脂層の弾性仕事率を示す図である。 本実施の形態における摺動樹脂層に形成されるラジアル動圧発生溝を示す展開図である。 本実施の形態における摺動樹脂層に形成されるスラスト動圧発生溝を示す図である。 本実施の形態における光偏向装置の着地時における衝撃吸収樹脂層に加わる衝撃を模式的に示す断面図である。 本実施の形態における光偏向装置の衝撃吸収樹脂層および摺動樹脂層の機能を模式的に示す断面図である。 本実施の形態における光偏向装置の衝撃吸収樹脂層および摺動樹脂層に加わる遠心力示す模式断面図である。 本実施の形態における光偏向装置の衝撃吸収樹脂層および摺動樹脂層の他の変形例を示す断面図である。 本実施の形態における光偏向装置の衝撃吸収樹脂層および摺動樹脂層のさらに他の変形例を示す断面図である。 本実施の形態における光偏向装置の衝撃吸収樹脂層および摺動樹脂層のさらに他の変形例を示す断面図である。 実施例において用いた摺動樹脂層のモデルを示す図である。 実施例1から22、および、比較例1から5における各種構成における物性評価結果、および、実機性能結果を示す図である。
本発明に基づいた光偏向装置の一例における実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。実施の形態における構成を適宜組み合わせて用いることは当初から予定されていることである。図においては、実際の寸法比率では記載しておらず、構造の理解を容易にするために、一部比率を異ならせて記載している。
(光偏向装置101)
図1から図4を参照して、本実施の形態における光偏向装置101について説明する。図1は、光偏向装置101の断面図、図2は、光偏向装置101の軸受部の拡大断面図、図3は、光偏向装置101の衝撃吸収樹脂層および摺動樹脂層の弾性領域を模式的に示す断面図、図4は、衝撃吸収樹脂層および摺動樹脂層の弾性仕事率を示す図である。
図1に示す光偏向装置101は、ステーター部102とローター部103とを備える。ステーター部102は、固定軸110と、巻回コイル111と、基板112とを有する。固定軸110は基板設置面110cを介して基板112に設置されている。固定軸110は、には後述する回転軸受としての保持部材114が回転自在に嵌合されている。固定軸110と同様に巻回コイル111も基板112に設置されている。固定軸110はラジアル軸受部110Aとスラスト軸受部110Bとを有する。ラジアル軸受部110Aとスラスト軸受部110Bとにより空気動圧軸受部が構成されている。
ローター部103は、回転多面鏡を構成するポリゴンミラー113と、保持部材114と、磁石115と、密閉部材116により構成されている。保持部材114がポリゴンミラー113と磁石115とを保持している。保持部材114および磁石115が、ポリゴンミラー113と共に回転する。
ポリゴンミラー113は多角形状であり、ポリゴンミラー113の側面部に複数の鏡面113aが設けられている。密閉部材116は、空気動圧軸受部におけるスラスト方向の一方の端部を密閉する部材であり、保持部材114に固定されている。
保持部材114の内周面114aは、ラジアル軸受部110Aの動圧面110aに対向し、保持部材114の下面114bは、スラスト軸受部110Bの動圧面110bに対向している。保持部材114がポリゴンミラー113と共に回転する際に、保持部材114の内周面114aと動圧面110aとの間隔、及び保持部材114の下面114bと動圧面110bとの間隔は各々1μm〜7μmとなるように、保持部材114の内周面114a、保持部材114の下面114b、動圧面110a、110bは高精度に加工されている。
固定軸110、ポリゴンミラー113、保持部材114、および、密閉部材116は、同じ金属材料であるアルミニウムにより構成されている。固定軸110、ポリゴンミラー113、保持部材114、および、密閉部材116は、熱膨張係数が同じとなり、熱による膨張が生じてもそれぞれが同じ量だけ膨張するため、ポリゴンミラー113はどのような温度であっても適正に回転する。また、固定軸110と保持部材114の摺動性を向上するため、固定軸の表面に金属メッキ層を形成してもよい。摺動性向上の観点から、金属種としてはニッケルが好ましい。
光偏向装置101はアキシャル型のモーターとして構成される。つまり、巻回コイル111と磁石115とはスラスト方向に対向、並列して配置される。巻回コイル111と磁石115とはそれぞれ多数のコイルと多数の磁石からなり、多数のコイルと多数の磁石は輪状に配列されている。
図2を参照して、本実施の形態においては、回転軸受を構成する保持部材114の内周面である、動圧面110a,110bには、樹脂層200が形成されている。樹脂層200は、金属である保持部材114側に形成される衝撃吸収樹脂層210と、この衝撃吸収樹脂層210の表面に形成される摺動樹脂層220とを含む。
図3を参照して、摺動樹脂層220は、固体潤滑剤220sを含有している。さらに、ビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて負荷荷重98mNで測定した摺動樹脂層220の表面の弾性仕事率(Wa)よりも、衝撃吸収樹脂層210の表面の弾性仕事率(Wb)の方が大きく設けられている。
(衝撃吸収樹脂層210)
衝撃吸収樹脂層210の膜厚は、20μm〜50μmがよい。薄すぎると、衝撃吸収の効果が小さくなり、厚すぎると、遠心力により衝撃吸収樹脂層210が圧縮されて寸法変化し、書き込み精度が悪化する。衝撃吸収樹脂層210の寸法変化量は0.5μm程度以下が好ましい。
樹脂の圧縮弾性率100MPa、ミラー半径5cm、回転速度50000rpm、軸受径1cmを想定すると、変化量は膜厚の1[%]程度がよい。よって、膜厚が50μm以下なら、柔らかい樹脂でも寸法変化は1μm以内に抑えることができる。
また、衝撃吸収樹脂層210の弾性仕事率は、55%以上80%以下がよい。弾性回復率が上記範囲であることにより、変形しても元に戻りやすい性質を有し、高速回転からの接触時に弾性回復しやすいため、摺動樹脂層220を押し返す作用をより効果的に示す。
弾性仕事率が55%未満の場合には、弾性回復の効果が十分に得られず、耐衝撃性が不十分となる場合がある。また、弾性仕事率が80%を超える場合には、弾性回復力が大きすぎ、金属基材を押し返す作用が強くなるため、衝撃吸収樹脂層と金属基材との剥離をかえって促進してしまう場合がある。
また、衝撃吸収樹脂層210の圧縮弾性率は、1000[MPa]以上がよい。高速回転時に、遠心力が衝撃吸収樹脂層210を圧縮する作用をする。衝撃吸収樹脂層210の樹脂の圧縮弾性率が高いほど、遠心力による圧縮に対して寸法変化が小さいために、動圧力がより安定し、光書き込み精度を向上させることができる。
また、衝撃吸収樹脂層210の材料種としては、エポキシ樹脂、アクリル・ウレタン樹脂、および、シリコーン樹脂が挙げられる。また、接着性の観点から、アンカー効果を高めるために硬化性樹脂が好ましい。
また、衝撃吸収樹脂層210ビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて負荷荷重98mNで測定した衝撃吸収樹脂層210の表面のビッカース硬度が10[HV]以上であるとよい。
また、固体潤滑剤220sの平均粒径は、5μm以下であるとよい。粒径が小さいほど、界面の表面積が大きくなるため、より大きな衝撃吸収効果が得られる。5μmを超えると上記効果が十分に得られなかったり、界面から破断して摺動樹脂層220の強度が低下したりする場合がある。
固体潤滑剤の材料としては、汎用されている種々の材料が使用できる。具体的には、PTFEなどの有機フッ素樹脂、超高分子量ポリエチレン、ポリアセタール、ナイロンなどの結晶性樹脂、グラファイト、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、ステアリン酸亜鉛などの層状結晶を有する無機化合物、アミドワックス、ポリエチレンワックスなどのワックス類が使用できる。
特に、有機フッ素樹脂が好ましい。摩擦力低減の効果が特に大きいことに加えて、有機材であることにより、無機材に対して弾性回復しやすいため、潤滑材自身も衝撃力低減の効果を示すためである。
固体潤滑剤の添加量は、摺動樹脂層100質量部に対して、3〜10質量部であることが好ましい。添加量が3質量部未満の場合には、衝撃力低減の効果が十分に得られない場合がある。また、添加量が10質量部を超える場合には、摺動樹脂層と固体潤滑剤との界面の表面積が大きくなりすぎ、耐衝撃性がかえって低下してしまう恐れがある。
(弾性仕事率)
図4を参照して、弾性仕事率とは、材料に対し外力を加えて変形させ、外力を除去された際に、弾性回復により元の形状に戻りやすい材料ほど高い値となる物理量であり、次の式のように定義する。弾性仕事率(%)=[弾性変形の仕事量×100]/[塑性変形の仕事量+弾性変形の仕事量]
ビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて、温度22℃、相対湿度55%の環境条件下で、下記の(工程1)から(工程2)に示すように負荷荷重を変化させる。
(工程1)負荷過程:材料に対し負荷のかかっていない状態から、8秒間かけて負荷荷重を98mNまで等速で増加させる。(工程2)クリープ過程:負荷荷重98mNを15秒間保持する。(工程3)除荷過程:8秒間かけて負荷荷重を98mNから0mNまで等速で負荷を除去する。「弾性変形の仕事量(Welast)」は、工程3の仕事量となり、「塑性変形の仕事量(Wplast)+弾性変形の仕事量(Welast)」は、工程1の仕事量+工程2の仕事量となる。
(ビッカース硬度)
ビッカース硬度は、ビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて温度22℃、相対湿度55%、負荷荷重98mNの条件で測定する。具体的には、上記工程1の負荷過程実施後の押し込み深さから算出する。
(動圧発生溝)
図5および図6を参照して、摺動樹脂層220に成形される動圧発生溝について説明する。図5は、摺動樹脂層220に形成されるラジアル動圧発生溝220gを示す展開図、図6は、摺動樹脂層220に形成されるスラスト動圧発生溝220hを示す図である。
図5を参照して、内周面114aに対向する領域に形成される摺動樹脂層220の展開図であり、その摺動樹脂層220の表面には、約120°ピッチで、上下合計6ヶ所に、回転方向に向かって傾斜するラジアル動圧発生溝220gが形成されている。また、図6を参照して、下面114bに対向する領域に形成される摺動樹脂層220の表面には、約60°ピッチで、円弧状のスラスト動圧発生溝220hが合計6ヶ所に形成されている。
固定軸110に対して、ポリゴンミラー113を保持する保持部材114が高速回転中には、図2に示すように、ラジアル動圧発生溝220gおよびスラスト動圧発生溝220hから空気は取り入れられ、ラジアル軸受部110Aの動圧面110aと摺動樹脂層220の動圧面220aとの間、および、スラスト軸受部110Bの動圧面110bと摺動樹脂層220の動圧面220bとの間には、1μm〜7μmの空隙が形成され、固定軸110と保持部材114とは非接触で回転する。
このように、本実施の形態における光偏向装置101においては、保持部材114側に樹脂層200が形成され、この樹脂層200は、金属である保持部材114側に形成される衝撃吸収樹脂層210と、この衝撃吸収樹脂層210の表面に形成される摺動樹脂層220とを含んでいる。また、摺動樹脂層220は、固体潤滑剤220sを含有している。さらに、ビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて負荷荷重98mNで測定した摺動樹脂層220の表面の弾性仕事率(Wa)よりも、衝撃吸収樹脂層210の表面の弾性仕事率(Wb)の方が大きく設けられている。
(耐衝撃性)
図7から図9を参照して、上記構成を有する樹脂層200における耐衝撃性について説明する。図7は、光偏向装置101の着地時における衝撃吸収樹脂層210に加わる衝撃を模式的に示す断面図、図8は、光偏向装置101の衝撃吸収樹脂層210および摺動樹脂層220の機能を模式的に示す断面図、図9は、光偏向装置101の衝撃吸収樹脂層210および摺動樹脂層220に加わる遠心力示す模式断面図である。
図7を参照して、光偏向装置101の保持部材114に形成された樹脂層200が図中の左から右方向に向かって回転(R1方向)している状態において、保持部材114が回転を停止し、樹脂層200が固定軸110に接した場合の着地時における衝撃力は、回転方向とは反対方向(図中の右から左方向:F1方向)に加わることとなる。
図8を参照して、着地時の衝撃力により、衝撃吸収樹脂層210および摺動樹脂層220は、ともに圧縮されたのち、弾性回復力により元の厚みに戻ろうとする。
その際に、衝撃吸収樹脂層210と摺動樹脂層220との界面において、摺動樹脂層220の弾性回復力は衝撃吸収樹脂層210を保持部材114側に押し付ける向きに(図中矢印B1)、衝撃吸収樹脂層210の弾性回復力は摺動樹脂層220を表層側に押し返す向きに(図中A1方向)作用する。
本実施の形態の構成では、摺動樹脂層220の表面の弾性仕事率(Wa)よりも、衝撃吸収樹脂層210の表面の弾性仕事率(Wb)の方が大きく設けられていることから、全体としては衝撃吸収樹脂層210が摺動樹脂層220を押し返す作用を示す(図中A2方向)。したがって、衝撃吸収樹脂層210と摺動樹脂層220との界面で衝撃が緩和され、保持部材114と衝撃吸収樹脂層210との界面に加わる衝撃力が低減されることにより、接地時の衝撃力による剥離を生じにくくする。
また、摺動樹脂層220は、固体潤滑剤220sを含有している。衝撃力は、保持部材114が固定軸110に接地することにより受ける摩擦力と、接地した保持部材114の自重による負荷荷重の和である。一般に、固体潤滑剤220sが摩擦力を低減する作用を示す。また、摺動樹脂層220において、結着樹脂(摺動樹脂層220)と固体潤滑剤220sの界面で衝撃による振動の伝播が弱められるため、衝撃力が低減される。
さらに、本実施の形態においては上記の2つの構成が共存することにより、相乗効果によって耐衝撃性が劇的に向上することを見出した。衝撃吸収樹脂層210のみでは、膜厚が厚い場合においては高速回転時の寸法精度が低下し、膜厚が薄い場合においては耐衝撃性が不足してしまう。
一方、本実施の形態においては、衝撃吸収樹脂層210に加え、摺動樹脂層220は固体潤滑剤220sを含有している。これらの2つの層(構成)の相乗効果により、衝撃吸収樹脂層210を薄膜化した場合においても高い耐衝撃性を確保できるため、寸法精度を確保することができる。その結果、図9に示すように、保持部材114が高速で回転した場合において、衝撃吸収樹脂層210および摺動樹脂層220に遠心力が加わった場合でも、保持部材114の軸芯のずれを回避させることが可能となる。
(変形例)
図10から図12を参照して、光偏向装置101の変形例について説明する。図10から図12は、光偏向装置101の衝撃吸収樹脂層および摺動樹脂層の他の変形例を示す断面図である。
図2に示す光偏向装置101においては、ラジアル軸受部110Aの動圧面110aに対向する内周面114a、および、スラスト軸受部110Bの動圧面110bに対向する下面114bのいずれにも樹脂層200(衝撃吸収樹脂層210および摺動樹脂層220)が設けられる構成を採用しているが、たとえば、図10に示すように、ラジアル軸受部110Aの動圧面110aに対向する内周面114aにのみ、樹脂層200(衝撃吸収樹脂層210および摺動樹脂層220)を設けるようにしてもよい。この場合、スラスト軸受部110Bの動圧面110bと下面114bとの間は、空気動圧軸受にり浮上するのではなく、他の手段を用いて浮上させることとなる。
さらに、保持部材114側に樹脂層200を設ける場合だけでなく、固定軸110側に樹脂層を設けてもよい。図11は、固定軸110のラジアル軸受部110Aの動圧面110aおよびスラスト軸受部110Bの動圧面110bのいずれにも、樹脂層200(衝撃吸収樹脂層210および摺動樹脂層220)を設けてもよいし、図12に示すように、固定軸110のラジアル軸受部110Aの動圧面110aにのみ樹脂層200(衝撃吸収樹脂層210および摺動樹脂層220)を設けるようにしてもよい。
(実施例)
以下、図13および図14を参照して、上記実施の形態における光偏向装置101の効果を検証するため、以下実施例について説明する。図13は、摺動樹脂層220のモデルを示す図、図14は、実施例1から12、および、比較例1から5における各種構成における物性評価結果、および、実機性能結果を示す図である。
(測定方法)
弾性仕事率およびビッカース硬度は、フィッシャー・インストルメンツ社製のHM−2000Sを用いて測定した。測定手順は、上記した(工程1)から(工程3)の手順である。
(圧縮弾性率)は、日本工業規格(JIS K7181)に基づき測定した。インストロン製 5566型を使用した。
膜厚は、平和テクニカ社製ファインカット HS−45A型Cタイプを用いて、円筒スリーブの断面を切削した。キーエンス社製デジタルマイクロスコープVHX−5000にて断面を観察し、観察画像から衝撃吸収樹脂層210および摺動樹脂層22の膜厚を測定した。
衝撃吸収樹脂層210の表面の弾性仕事率(Wb)の測定においては、摺動樹脂層220を取り除き、衝撃吸収樹脂層210の表面を露出させることで行なった。衝撃吸収樹脂層210を露出させる方法としては、金属基材と衝撃吸収樹脂層210の界面から、衝撃吸収樹脂層の膜厚の範囲に相当する厚さになるまで、汎用のNC旋盤にて摺動樹脂層220の切削を行なった。
(1) 摺動樹脂層用の樹脂ペレット220fの作成
フェノール樹脂(住友ベークライト社製 PR−51794)を95質量部、PTFE微粒子(キタムラ製 KTL−8N、粒径4μm)を5質量部を、ヘンシェルミキサー(日本コークス社製)を用いて回転翼周速を35m/sec、処理温度を32℃として20分間混合処理した。
上記混合粉体を、金型温度(180℃)、シリンダ温度(90℃)、射出出力(1段階:260kg/cm、2段階:900kg/cm)の条件にて、熱硬化性樹脂用射出成形機(松田製作所社製、75F−36K)を用いて射出成形し、摺動樹脂層として、図13に示す樹脂ペレット220fを作成した(φD=24mm、S1(スラスト層厚)=2mm、H1=8mm、φDe(外筒径)=10mm、φDi(内筒径)=8mm)。
(2) 軸受部材の作成
図13に示した形状の樹脂ペレット220fの外筒面およびスラスト上面に、衝撃吸収樹脂層210としての、ウレタン・アクリレート樹脂(KSM社製 KUA−61)を塗布した。
次に、上記樹脂ペレット220fを内筒径8mm、厚さ2mm、高さ8mmの金属製円筒スリーブ110fに挿入し、UV硬化装置にて積算光量500mJ/cmで硬化・接着させた。膜厚を測定したところ、衝撃吸収樹脂層210の膜厚は30μmであった。
次に、汎用のエポキシ樹脂接着剤を、内筒径12mmの保持部材に塗布し、上記金属製円筒スリーブ110fに挿入して80℃/55%RHの環境下で10時間加熱し、金属製円筒スリーブを保持部材に固定化した。
次に、保持部材114の上端部に汎用のエポキシ樹脂接着剤を塗布し、80℃/55%RHの環境下で10時間加熱してポリゴンミラー113を保持部材114に対して接着した。これにより、ポリゴンミラー113を保持した軸受部材(保持部材114+樹脂層200)が完成した。
汎用のNC旋盤により、保持部材114の内筒径が8.26mmとなるように内筒面全体を切削した。次に、深さ7μm、長さ2mmのラジアル動圧発生溝220gおよびスラスト動圧発生溝220h(図3および図4参照)を形成した。この軸受部材(保持部材114+樹脂層200)を、コニカミノルタ社製、画像形成装置(bizhubC754)の光偏向装置にて使用されている固定軸搭載基板に、実施例1として設置した。
上記と同様に制作し、図14に示す材料、物性を有する軸受部材(保持部材114+樹脂層200)を種々作成(摺動樹脂層の潤滑材種、潤滑材粒径、衝撃吸収層の樹脂種、および、膜厚を図14のように変更)し、実施例1から実施例12、比較例1から比較例5として、実機性能の評価を行なった。
(評価方法)
耐久性の評価方法としては、光偏向装置の電源を入れて15秒放置し、50,000rpmで定速回転させた。次に、電源をOFFにし、停止させた。上記を1サイクルとし、1000万サイクル繰り返し実施した。
その後、ファインカッターにて保持部材114の金属製円筒の断面を切削し、下記のように剥離を評価した。マイクロスコープにて、衝撃吸収樹脂層210と保持部材114の界面(衝撃吸収樹脂層がない実施例の場合は摺動樹脂層220と保持部材114の界面)を、界面の長さ100μmの範囲で観察した。100μm中で、界面に剥離が見られる(空隙が見られる)部分の長さを測定し、5μm以下を合格とした。実施例1から実施例12は、すべて5μm以下となり、合格であった。
(書込精度(倒れ角))
軸受部材(保持部材114+樹脂層200)を、50,000rpmで定速回転させながら、レーザー光をポリゴンミラー113のミラー側面の鏡面113aに当て、ポリゴンミラー113の中心から10cmの定点においたセンサーに反射させた。
センサーにて、反射光の高さ方向の位置を読み取り、1000回転させる間の最大の高さ位置と最低の高さ位置の差を観測し、軸受の倒れ角を算出した。上記評価は、角度が小さいものほど、軸受の径変化で生じる動圧の変化に伴う軸受ブレが少ないことを示すものであり、倒れ角100(秒)以下を合格とした。実施例1から実施例22は、すべて倒れ角100(秒)以下となり、合格であった。
実施例1に対して実施例2および実施例3は、衝撃吸収樹脂層210の材料(エポキシ樹脂、シリコーン樹脂)が異なっているが、実施例1と同等の評価が得られている。
実施例1に対して実施例4は、衝撃吸収樹脂層210および摺動樹脂層220を、固定軸110側に設けている。その結果、界面100μm中の剥離長さ(μm)が問題の無い範囲で長くなった(4.3μm)。
実施例4に対して実施例5は、衝撃吸収樹脂層210の材料が異なっている(エポキシ樹脂)。その結果、界面100μm中の剥離長さ(μm)が問題の無い範囲で長くなった(4.9μm)。
実施例1に対して実施例6は、衝撃吸収樹脂層210の膜厚さが薄く形成(20μm)されている。その結果、界面100μm中の剥離長さ(μm)が問題の無い範囲で長くなった(1.6μm)。また、実施例8は、さらに衝撃吸収樹脂層210の膜厚さが薄く形成(10μm)されている。その結果、界面100μm中の剥離長さ(μm)が問題の無い範囲でさらに長くなった(4.8μm)。
実施例1に対して実施例7は、衝撃吸収樹脂層210の膜厚さが厚く形成(50μm)されている。その結果、倒れ角(秒)が問題の無い範囲で大きくなった(67秒)。また、実施例9は、さらに衝撃吸収樹脂層210の膜厚さが厚く形成(75μm)されている。その結果、界面100μm中の剥離長さ(μm)が問題の無い範囲でさらに長くなった(94秒)。
実施例1に対して実施例10は、衝撃吸収樹脂層210の材料が異なっている(フッ素ゴム)。その結果、弾性仕事率(%)が問題の無い範囲で小さくなった(49%)。また、界面100μm中の剥離長さ(μm)が問題の無い範囲で長くなった(4.1μm)。
実施例1に対して実施例11は、衝撃吸収樹脂層210の材料が異なっている(ブチルゴム)。その結果、弾性仕事率(%)が問題の無い範囲で小さくなった(56%)。また、界面100μm中の剥離長さ(μm)が問題の無い範囲で長くなった(2.2μm)。
実施例1に対して実施例12は、衝撃吸収樹脂層210の材料が異なっている(ブタジエンゴム)。その結果、弾性仕事率(%)が問題の無い範囲で大きくなった(82%)。また、界面100μm中の剥離長さ(μm)が問題の無い範囲で長くなった(1.1μm)。また、倒れ角(秒)が問題の無い範囲で大きくなった(58秒)。
実施例1に対して実施例13は、衝撃吸収樹脂層210の材料が異なっている(イソプレンゴム)。その結果、弾性仕事率(%)が問題の無い範囲で大きくなった(80%)。また、ビッカース硬度(HV)が、問題の無い範囲で小さくなった(10HV)。また、倒れ角(秒)が問題の無い範囲で大きくなった(57秒)。
実施例1に対して実施例14は、衝撃吸収樹脂層210の材料が異なっている(クロロプレンゴム)。その結果、弾性仕事率(%)が問題の無い範囲で大きくなった(80%)。また、ビッカース硬度(HV)が、問題の無い範囲で小さくなった(9HV)。また、倒れ角(秒)が問題の無い範囲で大きくなった(63秒)。
実施例1に対して実施例15は、衝撃吸収樹脂層210の材料が異なっている(ウレタンゴム)。その結果、弾性仕事率(%)が問題の無い範囲で大きくなった(85%)。また、界面100μm中の剥離長さ(μm)が問題の無い範囲で長くなった(1.3μm)。また、ビッカース硬度(HV)が、問題の無い範囲で小さくなった(8HV)。また、倒れ角(秒)が問題の無い範囲で大きくなった(91秒)。
実施例1に対して実施例16は、固体潤滑剤220sの粒径(μm)に大きい粒径(5.0μm)の材料が用いられている。その結果、界面100μm中の剥離長さ(μm)が問題の無い範囲で長くなった(0.9μm)。また、ビッカース硬度(HV)が、問題の無い範囲で小さくなった(8HV)。
実施例1に対して実施例17は、固体潤滑剤220sの粒径(μm)に大きい粒径(9.5μm)の材料が用いられている。その結果、界面100μm中の剥離長さ(μm)が問題の無い範囲で長くなった(3.2μm)。
実施例1に対して実施例18は、固体潤滑剤220sの材料(グラファイト)が異なっている。その結果、界面100μm中の剥離長さ(μm)が問題の無い範囲で長くなった(1.1μm)。
実施例1に対して実施例19は、固体潤滑剤220sの添加量が異なっている(1.5w%)。その結果、界面100μm中の剥離長さ(μm)が問題の無い範囲で長くなった(3.1μm)。
実施例1に対して実施例20は、固体潤滑剤220sの添加量が異なっている(3.0w%)。その結果、界面100μm中の剥離長さ(μm)が問題の無い範囲で長くなった(1.4μm)。
実施例1に対して実施例21は、固体潤滑剤220sの添加量が異なっている(10.0w%)。その結果、界面100μm中の剥離長さ(μm)が問題の無い範囲で長くなった(1.1μm)。
実施例1に対して実施例22は、固体潤滑剤220sの添加量が異なっている(13.0w%)。その結果、界面100μm中の剥離長さ(μm)が問題の無い範囲で長くなった(2.2μm)。
比較例1および比較例2においては、摺動樹脂層220に固体潤滑剤220sを含有しなかった。また、衝撃吸収樹脂層210の膜厚を大きくした(75μm)。その結果、耐久性および倒れ角において不合格となった。
比較例3においては、潤滑剤に固形ではなく流体の潤滑油を用いた。その結果、倒れ角において不合格となった。比較例4においては、衝撃吸収樹脂層210を設けなかった。その結果、界面100μm中の剥離長さ(μm)が不合格となった。比較例5においては、衝撃吸収樹脂層210に高弾性でない材料を用いた。その結果、界面100μm中の剥離長さ(μm)が不合格となった。
以上のように、衝撃吸収樹脂層210を導入し、かつ、摺動樹脂層220に固体潤滑剤220sを導入したものは、相乗効果により耐剥離性を満足し、書込精度も合格であった。一方、衝撃吸収樹脂層210を有さない場合や、固形潤滑剤を有さない場合には、耐剥離性が不合格となった。また、流体潤滑材の場合には、高速回転時の粘性抵抗の上昇に伴い、書込精度が不合格となった。
以上、本実施の形態における光偏向装置101によれば、摺動樹脂層220の表面の弾性仕事率(Wa)よりも、衝撃吸収樹脂層210の表面の弾性仕事率(Wb)の方が大きく設けられていることから、全体としては衝撃吸収樹脂層210が摺動樹脂層220を押し返す作用を示す。したがって、衝撃吸収樹脂層210と摺動樹脂層220との界面で衝撃が緩和され、保持部材114と衝撃吸収樹脂層210との界面に加わる衝撃力が低減されることにより、接地時の衝撃力による剥離を生じにくくする。
また、摺動樹脂層220は、固体潤滑剤220sを含有している。衝撃力は、保持部材114が固定軸110に接地することにより受ける摩擦力と、接地した保持部材114の自重による負荷荷重の和である。一般に、固体潤滑剤220sが摩擦力を低減する作用を示す。また、摺動樹脂層220において、結着樹脂(摺動樹脂層220)と固体潤滑剤220sの界面で衝撃による振動の伝播が弱められるため、衝撃力が低減される。
さらに、本実施の形態においては上記の2つの構成が共存することにより、相乗効果によって耐衝撃性が劇的に向上することを見出した。衝撃吸収樹脂層210のみでは、膜厚が厚い場合においては高速回転時の寸法精度が低下し、膜厚が薄い場合においては耐衝撃性が不足してしまう。
一方、本実施の形態においては、衝撃吸収樹脂層210に加え、摺動樹脂層220は固体潤滑剤220sを含有している。これらの2つの層(構成)の相乗効果により、衝撃吸収樹脂層210を薄膜化した場合においても高い耐衝撃性を確保できるため、寸法精度を確保することができる。その結果、保持部材114が高速で回転した場合において、衝撃吸収樹脂層210および摺動樹脂層220に遠心力が加わった場合でも、保持部材114の軸芯のずれを回避させることが可能となる。
以上、各実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
101 光偏向装置、102 ステーター部、103 ローター部、110 固定軸、110A ラジアル軸受部、110B スラスト軸受部、110a 動圧面、110b 動圧面、110c 基板設置面、110f 金属製円筒スリーブ、111 巻回コイル、112 基板、113 ポリゴンミラー、113a 鏡面、114 保持部材、114 保持部材、114a 内周面、114b 下面、115 磁石、116 密閉部材、200 樹脂層、210 衝撃吸収樹脂層、220 摺動樹脂層、220f 樹脂ペレット、220g ラジアル動圧発生溝、220h スラスト動圧発生溝、220s 固体潤滑剤。

Claims (10)

  1. 金属の円筒形状を有する回転軸受と、
    前記回転軸受の外側に固定され、側面に複数の鏡面が設けられた回転多面鏡と、
    前記回転軸受が回転自在に嵌合される金属の固定軸と、
    前記回転軸受の内周面、または、前記固定軸の外周面のいずれか一方に形成された樹脂層と、
    前記回転軸受側、または、前記固定軸側の少なくともいずれか一方に形成された動圧発生溝と、を備え、
    前記樹脂層は、
    金属側に形成される衝撃吸収樹脂層と、
    前記衝撃吸収樹脂層の表面に形成される摺動樹脂層と、を含み、
    前記摺動樹脂層は、固体潤滑剤を含有し、
    ビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて負荷荷重98mNで測定した前記摺動樹脂層の表面の弾性仕事率よりも、前記衝撃吸収樹脂層の表面の弾性仕事率の方が大きく設けられている、光偏向装置。
  2. 前記回転軸受と前記固定軸との間には、ラジアル摺動面とスラスト摺動面とが形成され、前記樹脂層は、少なくとも前記回転軸受のラジアル摺動面に形成されている、請求項1に記載の光偏向装置。
  3. 前記衝撃吸収樹脂層の膜厚は、20μm以上50μm以下である、請求項1または2に記載の光偏向装置。
  4. 前記衝撃吸収樹脂層の表面の弾性仕事率が55%以上である、請求項1から3のいずれか1項に記載の光偏向装置。
  5. 前記衝撃吸収樹脂層は、圧縮弾性率が1000[MPa]以上の樹脂である、請求項1から4のいずれか1項に記載の光偏向装置。
  6. 前記衝撃吸収樹脂層は、エポキシ樹脂、アクリル・ウレタン樹脂、および、シリコーン樹脂のいずれかである、請求項5に記載の光偏向装置。
  7. ビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて負荷荷重98mNで測定した前記衝撃吸収樹脂層の表面のビッカース硬度が10[HV]以上である、請求項1から6のいずれか1項に記載の光偏向装置。
  8. 前記固体潤滑剤の平均粒径が5μm以下である、請求項1から7のいずれか1項に記載の光偏向装置。
  9. 前記固体潤滑剤は、フッ素樹脂である、請求項1から8のいずれか1項に記載の光偏向装置。
  10. 前記固体潤滑剤の添加量が、衝撃吸収樹脂層100質量部あたり3〜10質量部である、請求項1から9のいずれか1項に記載の光偏向装置。
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