JP2021020862A - ペプチド、細胞遊走抑制剤、細胞浸潤抑制剤、がん細胞転移抑制剤、及び医薬 - Google Patents

ペプチド、細胞遊走抑制剤、細胞浸潤抑制剤、がん細胞転移抑制剤、及び医薬 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた細胞遊走抑制活性、優れた細胞浸潤抑制活性、及び優れたがん細胞転移抑制活性の少なくともいずれかの活性を有するペプチド、前記ペプチドを含有する細胞遊走抑制剤、細胞浸潤抑制剤、又はがん細胞転移抑制剤、並びに前記細胞遊走抑制剤、前記細胞浸潤抑制剤、及び前記がん細胞転移抑制剤の少なくともいずれかを含有する医薬の提供。【解決手段】一般式(1)で表されるペプチド、前記ペプチドを含有する細胞遊走抑制剤、細胞浸潤抑制剤、又はがん細胞転移抑制剤、並びに前記細胞遊走抑制剤、前記細胞浸潤抑制剤、及び前記がん細胞転移抑制剤の少なくともいずれかを含有する医薬である。【選択図】なし

Description

本発明は、ペプチド、前記ペプチドを含有する細胞遊走抑制剤、細胞浸潤抑制剤、又はがん細胞転移抑制剤、並びに前記細胞遊走抑制剤、前記細胞浸潤抑制剤、及び前記がん細胞転移抑制剤の少なくともいずれかを含有する医薬に関する。
創薬分野では、有用な活性を有する新たな素材の探索・開発が日々進められている。細胞遊走や細胞浸潤は、正常なプロセスだけではなく、病理的なプロセスの多くに関与していることが知られており、細胞遊走や細胞浸潤を抑制する(以下、「阻害する」と称することもある)ことができる素材は、がんなどの様々な疾患に対する医薬として期待される。
G蛋白質はシグナル伝達に関与する物質であり、その生体内での機能に異常が生じると、様々な疾患が引き起こされることが報告されている。前記G蛋白質の1つとして、三量体G蛋白質がある。前記三量体G蛋白質は、αサブユニット、βサブユニット、及びγサブユニットからなるヘテロ三量体であり、αサブユニットの相同性と機能をもとに、Gs、Gi、Gq、及びG12の4つのグループに分類されている。
これまでに、受容体とのシグナル伝達には、前記αサブユニットのC末端のアミノ酸3残基が関与していることが示唆されている(例えば、非特許文献1参照)。具体的には、Gq蛋白質のαサブユニットのC末端のアミノ酸3残基をGi蛋白質のαサブユニットのC末端のアミノ酸3残基に入れ替えたキメラG蛋白質では、受容体からの刺激を入れ替えたGi蛋白質のαサブユニットのC末端のアミノ酸3残基で受け、シグナルのアウトプットはGq蛋白質のものとなることが報告されている。
前記Gs、Gi、Gq、及びG12の4つのグループのうち、Gs、Gi、及びGqについては、シグナルのアウトプットが判明しており、Gsでは細胞内のcAMP濃度が上がったか否か、Giでは細胞内のcAMP濃度が下がったか否か、Gqでは細胞内のカルシウムイオン濃度が上がったか否かにより、G蛋白質が活性化されたか否かがわかる。
一方、前記G12のファミリーには、G12及びG13のみが存在するが、これらについては、固有のシグナル伝達経路が確定しておらず、共役する受容体も明らかになっていないのが現状である。
Conklin BR, Farfel Z, Lustig KD, Julius D, Bourne HR. Substitution of three amino acids switches receptor specificity of Gqα to that of Giα. Nature. 1993 May 20;363(6426):274−6.
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れた細胞遊走抑制活性、優れた細胞浸潤抑制活性、及び優れたがん細胞転移抑制活性の少なくともいずれかの活性を有するペプチド、前記ペプチドを含有する細胞遊走抑制剤、細胞浸潤抑制剤、又はがん細胞転移抑制剤、並びに前記細胞遊走抑制剤、前記細胞浸潤抑制剤、及び前記がん細胞転移抑制剤の少なくともいずれかを含有する医薬を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するべく鋭意検討を行った結果、DIMLQ(配列番号:1)及びIMLQ(配列番号:2)のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチドが、優れた細胞遊走抑制活性、優れた細胞浸潤抑制活性、及び優れたがん細胞転移抑制活性を有することを知見した。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 下記一般式(1)で表されることを特徴とするペプチドである。
−X−X ・・・ 一般式(1)
前記一般式(1)中、Xは、下記配列番号:1から2のいずれかで表されるアミノ酸配列を表し、Xは、細胞膜透過性分子及び下記配列番号:1から2のいずれかで表されるアミノ酸配列におけるN末端のアミノ酸のいずれかを表し、Xは、細胞膜透過性分子及び下記配列番号:1から2のいずれかで表されるアミノ酸配列におけるC末端のアミノ酸のいずれかを表す。
DIMLQ(配列番号:1)
IMLQ(配列番号:2)
<2> 前記<1>に記載のペプチドを含有することを特徴とする細胞遊走抑制剤である。
<3> 前記<1>に記載のペプチドを含有することを特徴とする細胞浸潤抑制剤である。
<4> 前記<1>に記載のペプチドを含有することを特徴とするがん細胞転移抑制剤である。
<5> 前記<2>に記載の細胞遊走抑制剤、前記<3>に記載の細胞浸潤抑制剤、及び前記<4>に記載のがん細胞転移抑制剤の少なくともいずれかを含有することを特徴とする医薬である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、優れた細胞遊走抑制活性、優れた細胞浸潤抑制活性、及び優れたがん細胞転移抑制活性の少なくともいずれかの活性を有するペプチド、前記ペプチドを含有する細胞遊走抑制剤、細胞浸潤抑制剤、又はがん細胞転移抑制剤、並びに前記細胞遊走抑制剤、前記細胞浸潤抑制剤、及び前記がん細胞転移抑制剤の少なくともいずれかを含有する医薬を提供することができる。
図1は、試験例1の細胞遊走実験の結果を示す図である。 図2は、試験例2の細胞浸潤実験の結果を示す図である。 図3は、試験例3の細胞遊走実験の結果を示す図である。 図4は、試験例4のがん細胞転移実験の結果を示す図である。 図5は、試験例5のがん細胞転移実験の結果を示す図である。
(ペプチド)
本発明のペプチドは、下記一般式(1)で表される。なお、前記ペプチドは、塩の態様であってもよい。
−X−X ・・・ 一般式(1)
<X
前記一般式(1)中、Xは、下記配列番号:1から2のいずれかで表されるアミノ酸配列を表す。なお、本明細書中、D体であるとの説明がないアミノ酸は、L体のアミノ酸のことをいう。
DIMLQ(配列番号:1)
IMLQ(配列番号:2)
<X、X
−X
前記一般式(1)中、Xは、細胞膜透過性分子及び前記配列番号:1から2のいずれかで表されるアミノ酸配列におけるN末端のアミノ酸のいずれかを表す。
−X
前記一般式(1)中、Xは、細胞膜透過性分子及び前記配列番号:1から2のいずれかで表されるアミノ酸配列におけるC末端のアミノ酸のいずれかを表す。
−−細胞膜透過性分子−−
前記細胞膜透過性分子としては、特に制限はなく、公知の細胞膜透過性分子の中から適宜選択することができ、例えば、アルギニンが連続したアミノ酸配列を含むペプチド、TATペプチド、MPGペプチド、HA−2ペプチド、Penetratinペプチド、Transportanペプチド、VP−22ペプチド、又はこれらのレトロ−インベルソ型等の細胞膜透過性ペプチドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記細胞膜透過性分子の中でも、効率良くペプチドを細胞内に導入することができる点で、アルギニンが連続したアミノ酸配列を含むペプチドが好ましい。前記アルギニンが連続したアミノ酸配列を含むペプチドは、アルギニンのみからなるものであってもよいし、アルギニン以外のアミノ酸を含むものであってもよいが、アルギニンのみからなるものが好ましい。
前記アルギニンが連続したアミノ酸配列におけるアルギニンの数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、効率良くペプチドを細胞内に導入することができる点で、2残基〜20残基が好ましく、4残基〜16残基がより好ましく、8残基〜12残基が特に好ましい。
前記アルギニンが連続したアミノ酸配列は、L体のアルギニンのみからなるものであってもよいし、D体のアルギニンのみからなるものであってもよいし、L体とD体が混在するものであってもよいが、D体のアルギニンのみからなるものが好ましい。
前記細胞膜透過性分子は、前記配列番号:1から2のいずれかで表されるアミノ酸配列のN末端側に連結してもよいし、C末端側に連結してもよいし、両末端に連結してもよいが、N末端側に連結することが好ましい。なお、前記細胞膜透過性分子が前記配列番号:1から2のいずれかで表されるアミノ酸配列の両末端に連結している場合、N末端側の細胞膜透過性分子と、C末端側の細胞膜透過性分子とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記細胞膜透過性分子は、前記配列番号:1から2のいずれかで表されるアミノ酸配列の末端のアミノ酸残基と、ペプチド結合により連結してもよいし、リンカーを介して連結してもよい。前記リンカーとしては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、公知のリンカーの中から適宜選択することができる。
前記ペプチドは、前記一般式(1)における前記Xが細胞膜透過性分子であり、前記Xが前記配列番号:1から2のいずれかで表されるアミノ酸配列におけるC末端のアミノ酸である態様が好ましい。
<製造方法>
前記ペプチドの製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、化学合成などにより製造することができる。
(細胞遊走抑制剤)
本発明の細胞遊走抑制剤は、細胞の遊走を抑制するためのものであり、上記した本発明のペプチドを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
<ペプチド>
前記ペプチドの詳細としては、上記した本発明の(ペプチド)の項目に記載した通りである。前記ペプチドは、細胞の遊走を効果的に抑制することができるので、細胞の遊走を抑制するための前記細胞遊走抑制剤の有効成分として好適である。
前記細胞遊走抑制剤中の前記ペプチドの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記細胞遊走抑制剤は、前記ペプチドそのものであってもよい。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ペプチドを所望の濃度に希釈するための生理食塩水、培養液等の希釈用剤、医薬的に許容され得る担体などが挙げられる。
前記細胞遊走抑制剤中の前記その他の成分の含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<細胞>
前記細胞遊走抑制剤の適用対象となる細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、小細胞肺がんなどのGRP(gastrin−releasing peptide)受容体を発現する細胞、好中球、GRP受容体を発現しないがん細胞、骨髄由来抑制細胞(myeloid−derived suppressor cells)、リンパ球、樹状細胞、マスト細胞、マクロファージなどが挙げられる。
後述する試験例に示すように、前記細胞遊走抑制剤は、例えば、GRPによるGRP受容体発現細胞(以下、「GRPR発現細胞」と称することがある)の遊走やIL−8による好中球の遊走を抑制することができる。
前記細胞は、体外で培養されている細胞であってもよいし、また、個体の体内に存在する細胞であってもよい。
<作用>
前記細胞遊走抑制剤は、例えば、細胞に導入することによって、前記細胞に作用させることができる。前記導入の方法としては、特に制限はなく、従来公知の手法の中から目的に応じて適宜選択することができる。
細胞に対して作用させる前記細胞遊走抑制剤の量としては、特に制限はなく、細胞の種類や所望の効果の程度等に応じて適宜選択することができるが、例えば、400万個の細胞数に対し、前記ペプチドの量として、40μg〜60μgなどが挙げられる。
<併用>
後述する試験例で示すように、本発明の細胞遊走抑制剤の有効成分であるペプチドを細胞に作用させることにより、細胞の遊走を低減することができる。本発明の細胞遊走抑制剤は、他の医薬と組み合わせて使用してもよい。
(細胞の遊走抑制方法)
前記細胞遊走抑制剤は、前記ペプチドを含むので、細胞に作用させることにより、受容体がGα12に共役することを抑制することで、細胞の遊走を効果的に抑制することができると考えられる。したがって、本発明は、細胞に、前記細胞遊走抑制剤を作用させることを特徴とする細胞の遊走抑制方法にも関する。
前記細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した(細胞遊走抑制剤)の<細胞>の項目に記載したものと同様のものが挙げられる。
また、前記細胞の遊走抑制方法では、上記した(細胞遊走抑制剤)の<併用>の項目に記載したのと同様に、他の医薬を更に作用させてもよい。
(細胞浸潤抑制剤)
本発明の細胞浸潤抑制剤は、細胞の浸潤を抑制するためのものであり、上記した本発明のペプチドを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
<ペプチド>
前記ペプチドの詳細としては、上記した本発明の(ペプチド)の項目に記載した通りである。前記ペプチドは、細胞の浸潤を効果的に抑制することができるので、細胞の浸潤を抑制するための前記細胞浸潤抑制剤の有効成分として好適である。
前記細胞浸潤抑制剤中の前記ペプチドの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記細胞浸潤抑制剤は、前記ペプチドそのものであってもよい。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した(細胞遊走抑制剤)の<その他の成分>の項目に記載したものと同様のものが挙げられる。
前記細胞浸潤抑制剤中の前記その他の成分の含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<細胞>
前記細胞浸潤抑制剤の適用対象となる細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、小細胞肺がんなどのGRPR発現細胞、GRP受容体を発現しないがん細胞、骨髄由来抑制細胞(myeloid−derived suppressor cells)、リンパ球、樹状細胞、マスト細胞、マクロファージなどが挙げられる。
後述する試験例に示すように、前記細胞浸潤抑制剤は、例えば、GRPによるGRPR発現細胞の浸潤を抑制することができる。
前記細胞は、体外で培養されている細胞であってもよいし、また、個体の体内に存在する細胞であってもよい。
<作用>
前記細胞浸潤抑制剤は、例えば、細胞に導入することによって、前記細胞に作用させることができる。前記導入の方法としては、特に制限はなく、従来公知の手法の中から目的に応じて適宜選択することができる。
細胞に対して作用させる前記細胞浸潤抑制剤の量としては、特に制限はなく、細胞の種類や所望の効果の程度等に応じて適宜選択することができるが、例えば、400万個の細胞数に対し、前記ペプチドの量として、40μg〜60μgなどが挙げられる。
<併用>
後述する試験例で示すように、本発明の細胞浸潤抑制剤の有効成分であるペプチドを作用させることにより、細胞の浸潤を低減することができる。本発明の細胞浸潤抑制剤は、他の医薬と組み合わせて使用してもよい。
(細胞の浸潤抑制方法)
前記細胞浸潤抑制剤は、前記ペプチドを含むので、細胞に作用させることにより、受容体がGα12に共役することを抑制することで、細胞の浸潤を効果的に抑制することができると考えられる。したがって、本発明は、細胞に、前記細胞浸潤抑制剤を作用させることを特徴とする細胞の浸潤抑制方法にも関する。
前記細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した(細胞浸潤抑制剤)の<細胞>の項目に記載したものと同様のものが挙げられる。
また、前記細胞の浸潤抑制方法では、上記した(細胞浸潤抑制剤)の<併用>の項目に記載したのと同様に、他の医薬を更に作用させてもよい。
(がん細胞転移抑制剤)
本発明のがん細胞転移抑制剤は、がん細胞の転移を抑制するためのものであり、前記した本発明のペプチドを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
<ペプチド>
前記ペプチドの詳細としては、上記した本発明の(ペプチド)の項目に記載した通りである。前記ペプチドは、がん細胞の転移を効果的に抑制することができるので、がん細胞の転移を抑制するための前記がん細胞転移抑制剤の有効成分として好適である。
前記がん細胞転移抑制剤中の前記ペプチドの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記がん細胞転移抑制剤は、前記ペプチドそのものであってもよい。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した(細胞遊走抑制剤)の<その他の成分>の項目に記載したものと同様のものが挙げられる。
前記がん細胞転移抑制剤中の前記その他の成分の含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<がん細胞>
前記がん細胞転移抑制剤の適用対象となるがん細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メラノーマ細胞、小細胞肺がんなどのGRPR発現細胞、GRP受容体を発現しないがん細胞、肉腫細胞、白血病細胞などが挙げられる。
後述する試験例に示すように、前記がん細胞転移抑制剤は、例えば、メラノーマ細胞の肺への転移を抑制することができる。
前記細胞は、体外で培養されている細胞であってもよいし、また、個体の体内に存在する細胞であってもよい。
<作用>
前記がん細胞転移抑制剤は、例えば、がん細胞に導入することによって、前記細胞に作用させることができる。前記導入の方法としては、特に制限はなく、従来公知の手法の中から目的に応じて適宜選択することができる。
がん細胞に対して作用させる前記がん細胞転移抑制剤の量としては、特に制限はなく、細胞の種類や所望の効果の程度等に応じて適宜選択することができるが、例えば、400万個の細胞数に対し、前記ペプチドの量として、40μg〜60μgなどが挙げられる。
<併用>
後述する試験例で示すように、本発明のがん細胞転移抑制剤の有効成分であるペプチドを作用させることにより、がん細胞の転移を低減することができる。本発明のがん細胞転移抑制剤は、他の医薬と組み合わせて使用してもよい。
(がん細胞の転移抑制方法)
前記がん細胞転移抑制剤は、前記ペプチドを含むので、がん細胞に作用させることにより、受容体がGα12に共役することを抑制することで、がん細胞の転移を効果的に抑制することができると考えられる。したがって、本発明は、がん細胞に、前記がん細胞転移抑制剤を作用させることを特徴とするがん細胞の転移抑制方法にも関する。
前記がん細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した(がん細胞転移抑制剤)の(がん細胞)の項目に記載したものと同様のものが挙げられる。
また、前記がん細胞の転移抑制方法では、上記した(がん細胞転移抑制剤)の<併用>の項目に記載したのと同様に、他の医薬を更に作用させてもよい。
(医薬)
本発明の医薬は、前記した本発明の細胞遊走抑制剤、細胞浸潤抑制剤、及びがん細胞転移抑制剤の少なくともいずれかを含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記医薬は、疾患の予防乃至治療のために用いることができる。本発明において、予防とは、疾患(例えば、がん)の発生や再発を防止することをいい、治療とは、疾患の症状を治したり、和らげたり、進行や転移を防いだりすることをいう。
<細胞遊走抑制剤、細胞浸潤抑制剤、及びがん細胞転移抑制剤>
前記細胞遊走抑制剤、細胞浸潤抑制剤、及びがん細胞転移抑制剤の詳細としては、上記した本発明の(細胞遊走抑制剤)、(細胞浸潤抑制剤)、及び(がん細胞転移抑制剤)の項目に記載した通りである。
前記細胞遊走抑制剤は、上記した本発明のペプチドを含むので、細胞の遊走を効果的に抑制することができ、前記細胞浸潤抑制剤は、上記した本発明のペプチドを含むので、細胞の浸潤を効果的に抑制することができ、前記がん細胞転移抑制剤は、上記した本発明のペプチドを含むので、がん細胞の転移を効果的に抑制することができる。即ち、前記細胞遊走抑制剤、前記細胞浸潤抑制剤、及び前記がん細胞転移抑制剤は、医薬として好適に利用可能である。
前記医薬中の前記細胞遊走抑制剤、細胞浸潤抑制剤、及びがん細胞転移抑制剤の少なくともいずれかの合計含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記医薬は、前記細胞遊走抑制剤、細胞浸潤抑制剤、及びがん細胞転移抑制剤の少なくともいずれかそのものであってもよい。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、医薬的に許容され得る担体などが挙げられる。前記担体としても、特に制限はなく、例えば、剤型等に応じて適宜選択することができる。また、前記医薬中の前記その他の成分の含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<剤型>
前記医薬の剤型としては、特に制限はなく、例えば、後述するような所望の投与方法に応じて適宜選択することができ、例えば、経口固形剤(錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等)、経口液剤(内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等)、注射剤(溶液、懸濁液、用事溶解用固形剤等)、軟膏剤、貼付剤、ゲル剤、クリーム剤、外用散剤、スプレー剤、吸入散剤などが挙げられる。
前記経口固形剤としては、例えば、前記有効成分(ペプチド)に、賦形剤、更には必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味・矯臭剤等の添加剤を加え、常法により製造することができる。
前記賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸などが挙げられる。前記結合剤としては、例えば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。前記崩壊剤としては、例えば、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖などが挙げられる。前記滑沢剤としては、例えば、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。前記着色剤としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄などが挙げられる。前記矯味・矯臭剤としては、例えば、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。
前記経口液剤としては、例えば、前記有効成分に、矯味・矯臭剤、緩衝剤、安定化剤等の添加剤を加え、常法により製造することができる。
前記矯味・矯臭剤としては、例えば、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。前記緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。前記安定化剤としては、例えば、トラガント、アラビアゴム、ゼラチンなどが挙げられる。
前記注射剤としては、例えば、前記有効成分に、pH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法により皮下用、筋肉内用、静脈内用等の注射剤を製造することができる。
前記pH調節剤及び前記緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなどが挙げられる。前記安定化剤としては、例えば、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸などが挙げられる。前記等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、ブドウ糖などが挙げられる。前記局所麻酔剤としては、例えば、塩酸プロカイン、塩酸リドカインなどが挙げられる。
前記軟膏剤としては、例えば、前記有効成分に、公知の基剤、安定剤、湿潤剤、保存剤等を配合し、常法により混合し、製造することができる。
前記基剤としては、例えば、流動パラフィン、白色ワセリン、サラシミツロウ、オクチルドデシルアルコール、パラフィンなどが挙げられる。前記保存剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピルなどが挙げられる。
前記貼付剤としては、例えば、公知の支持体に前記軟膏剤としてのクリーム剤、ゲル剤、ペースト剤等を、常法により塗布し、製造することができる。前記支持体としては、例えば、綿、スフ、化学繊維からなる織布、不織布、軟質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン等のフィルム、発泡体シートなどが挙げられる。
<疾患>
前記医薬の適用対象となる疾患としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、小細胞肺がん等の肺がん、胃がん、大腸がん、すい臓がん、腎臓がん、肝臓がん、乳がん、皮膚がん等のがん;横紋筋肉腫等の肉腫;急性骨髄性白血病等の白血病;重症喘息等の喘息などが挙げられる。
<投与>
前記医薬の投与対象個体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウシ、ブタ、サル、イヌ、ネコなどが挙げられるが、これらの中でも、ヒトが特に好ましい。
前記医薬の投与方法としては、特に制限はなく、例えば、前記医薬の剤型、疾患の種類、患者の状態等に応じて、局所投与、全身投与のいずれかを選択することができる。例えば、局所投与においては、前記医薬の有効成分を、所望の部位(例えば、腫瘍部位)に直接注入することにより投与することができる。前記注入には、注射等の従来公知の手法を適宜利用することができる。また、全身投与(例えば、経口投与、腹腔内投与、血液中への投与等)においては、前記医薬の有効成分が所望の部位(例えば、腫瘍部位)まで安定に、かつ効率良く送達されるよう、従来公知の薬剤送達技術を適宜応用することが好ましい。
前記医薬の投与量としては、特に制限はなく、投与対象である患者の年齢、体重、所望の効果の程度等に応じて適宜選択することができるが、例えば、成人への1日の投与あたり、前記ペプチドの量として、40mg〜80mgが好ましい。
また、前記医薬の投与回数としても、特に制限はなく、投与対象である患者の年齢、体重、所望の効果の程度等に応じて、適宜選択することができる。
前記医薬の投与時期としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記疾患に対して、予防的に投与されてもよいし、治療的に投与されてもよい。
本発明の医薬は、他の医薬と組み合わせて使用してもよい。
(疾患の予防乃至治療方法)
前記医薬は、前記細胞遊走抑制剤、細胞浸潤抑制剤、及びがん細胞転移抑制剤の少なくともいずれかを含むので、個体に投与することにより、受容体がGα12に共役することを抑制することで、細胞の遊走、細胞の浸潤、及びがん細胞の転移の少なくともいずれかを効果的に抑制し、疾患を予防乃至治療することができると考えられる。したがって、本発明は、個体に前記医薬を投与することを特徴とする疾患の予防乃至治療方法にも関する。
前記疾患としては、特に制限はなく、上記した(医薬)の<疾患>項目に記載したものと同様のものが挙げられる。
また、前記予防乃至治療方法では、他の医薬と組み合わせて使用してもよい。
以下に本発明の試験例を説明するが、本発明は、これらの試験例に何ら限定されるものではない。
(試験例1:細胞遊走抑制試験−1)
各種ペプチドの細胞遊走抑制能を以下のようにして試験した。
<ペプチド>
以下の3種のペプチドを化学合成により調製した。
・ RRRRRRRRQYELL
QYELL(配列番号:3)のN末端側に、細胞膜透過性分子としてL体のアルギニン8残基を有するペプチド(以下、「R8−s」と称することがある)である。なお、QYELLは、三量体G蛋白質のGsファミリーのGsのGαサブユニットのアミノ酸配列のC末端の5残基である。「R8−s」は、対照として使用した。
・ RRRRRRRREYNLV
EYNLV(配列番号:4)のN末端側に、細胞膜透過性分子としてL体のアルギニン8残基を有するペプチド(以下、「R8−q」と称することがある)である。なお、EYNLVは、三量体G蛋白質のGqファミリーのGqのGαサブユニットのアミノ酸配列のC末端の5残基である。
・ RRRRRRRRDIMLQ
DIMLQ(配列番号:1)のN末端側に、細胞膜透過性分子としてL体のアルギニン8残基を有するペプチド(以下、「R8−12」と称することがある)。なお、DIMLQは、三量体G蛋白質のG12ファミリーのG12のGαサブユニットのアミノ酸配列のC末端の5残基である。
<細胞>
試験に用いる細胞として、以下のようにして調製したヒトGRP(gastrin−releasing peptide)受容体安定発現CHO細胞を用いた。
−ヒトGRP受容体安定発現CHO細胞の調製−
(1)ヒトGRP受容体のクローニング
まずヒトGRP受容体を発現していることが知られている小細胞肺癌細胞株H345細胞からトータルRNAを採取し、逆転写酵素を処理してcDNAとした。前記cDNAをテンプレートにして、以下のプライマーを用い、PCR法で2つのフラグメントを作製した。PCRは94℃を5分間の後、94℃を1分間→52℃を1分間→72℃を2分間のサイクルを40サイクル、その後72℃を10分間で行なった。フラグメント1は、制限酵素HindIIIとKpnIで処理した後、ベクターpUC19に導入してシークエンスを確認した。フラグメント2は、制限酵素KpnIとEcoRIで処理した後、ベクターpUC19に導入してシークエンスを確認した。その後、ベクターpcDNA3を制限酵素HindIIIとEcoRIで処理して、フラグメント1とフラグメント2をライゲーションした。
[フラグメント1]
・ 5’プライマー : GGGAAGCTTTGGGAAAAAAAATCT(配列番号:6)
・ 3’プライマー : AATCCTGCCAAATAGCCATC(配列番号:7)
[フラグメント2]
・ 5’プライマー : TCCTAATAATAACGTGTGCCA(配列番号:8)
・ 3’プライマー : CGGAATTCAAATCAAGGGTCAAT(配列番号:9)
(2)CHO細胞へのヒトGRP受容体の導入
前記(1)で得られた、ヒトGRP受容体cDNAをpcDNA3に導入したプラスミドを、Lipo fectamine 2000(Thermo Fiser SCIENTIFIC)を用いてCHO細胞にトランスフェクションした。トランスフェクションの翌日にG418(ジェネティシン)を加えた。G418の量を増やしてG418耐性クローンをいくつか選択した。その中で、GRPアナログであるボンベシン結合能が最も高いクローンを選択した。
選択したクローンを、限界希釈(Limiting Dilution)法を用いて単クローン化した。すなわち、さらに96ウェルプレートの各ウェルに1個以下になるように細胞をまき、増えてきた細胞を選択した。
最終的にボンベシン結合能が十分であること、Kd値が数nMであることを確認した。この細胞株をヒトGRP受容体安定発現CHO細胞とした。
(3)ボンベシン結合実験による確認
24ウェルプレートを用いた。20mM HEPES(pH7.4)、0.1%BSAを加えた培地αMEMに、I―125ラベルボンベシンと非ラベルボンベシンを加え、各ウェル当たり50,000個の細胞を入れて4℃で1昼夜インキュベーションした。各ウェルの溶液を除去した後、0.5mLのPBSで3回細胞を洗浄し、0.5mLの0.2N NaOHを加えて細胞を溶解させた後、各ウェルの液体をチューブに移してからγカウンターで測定した(n=3)。1ウェルに入れたI―125ラベルボンベシンの平均は131,683cpmだった。
ヒトGRP受容体安定発現CHO細胞株のKd値は7.0nMであった。コントロールとして用いた野生株CHO細胞ではボンベシン結合能は認めなかった。
<細胞遊走実験:ボイデンチャンバー法>
Cyto Select 24―well Cell Migration Assay(8μm)Colorimetricキット(セルバイオラボ社)を用い、以下のようにして細胞遊走実験を行った。
前記ヒトGRP受容体安定発現CHO細胞に、前記各ペプチド10μMと0.1%BSAを共に加えて37℃で2時間処理した後、前記細胞20,000個をインサートに加えた(n=3)。
次いで、インサートに、GRPアナログであるボンベシンを10nMで加えた。
ウェルに、10% FBS(牛胎児血清)を加え、37℃で22時間インキュベーションした。
インキュベーション後、ウェルの底面に付着した細胞をCell counting kit―8(富士フイルム和光純薬株式会社)を用いて染色し、全細胞数をカウントした。
結果を図1に示す。図1の結果から、本発明のペプチドの一例である「R8−12」が、細胞遊走抑制効果を有することが確認された。
(試験例2:細胞浸潤抑制試験)
各種ペプチドの細胞浸潤抑制能を以下のようにして試験した。
<ペプチド>
試験例1と同様の以下の3種のペプチドを用いた。
・ RRRRRRRRQYELL(R8−s)
・ RRRRRRRREYNLV(R8−q)
・ RRRRRRRRDIMLQ(R8−12)
<細胞>
試験例1と同様のヒトGRP受容体安定発現CHO細胞を用いた。
<細胞浸潤実験:ボイデンチャンバー法>
Cyto Select 24―well Cell Invation Assay Colorimetricキット(セルバイオラボ社)を用い、以下のようにして細胞浸潤実験を行った。
前記ヒトGRP受容体安定発現CHO細胞に、前記各ペプチド10μMと0.1%BSAを共に加えて37℃で2時間処理した後、前記細胞30,000個をMatrigelでコートしたインサートに加えた(n=3)。
次いで、インサートに、GRPアナログであるボンベシンを10nMで加えた。
ウェルに、10% FBS(牛胎児血清)を加え、37℃で22時間インキュベーションした。
インキュベーション後、ウェルの底面に付着した細胞をCell counting kit―8(富士フイルム和光純薬株式会社)を用いて染色し、全細胞数をカウントした。
結果を図2に示す。図2の結果から、本発明のペプチドの一例である「R8−12」が、細胞浸潤抑制効果を有することが確認された。
試験例1及び2で示されたように、本発明のペプチドは、GRP受容体を発現する細胞の遊走や浸潤を抑制することができることから、GRP受容体を発現する細胞、例えば、小細胞肺がんなどの細胞遊走や細胞浸潤の抑制に好適に用いることができると考えられる。
(試験例3:細胞遊走抑制試験−2)
各種ペプチドの細胞遊走抑制能を以下のようにして試験した。
<ペプチド>
以下の2種のペプチドを化学合成により調製した。
・ rrrrrrrrQYELL
QYELL(配列番号:3)のN末端側に、細胞膜透過性分子としてD体のアルギニン8残基を有するペプチド(以下、「r8−s」と称することがある)である。「r8−s」は、対照として使用した。
・ rrrrrrrrDIMLQ
DIMLQ(配列番号:1)のN末端側に、細胞膜透過性分子としてD体のアルギニン8残基を有するペプチド(以下、「r8−12」と称することがある)である。
<細胞>
試験に用いる細胞として、以下のようにして調製した好中球を用いた。
−好中球の調製−
ヘパリン採血した血液12mLを50mLチューブに入れた。
4.5%デキストラン3mLを前記チューブに加え、トランスファーピペットで数回ピペッティングを行った後、室温で30分間静置した。
境界線が全体の半分以下になっていることを確認した後、上清(白血球)を別の50mLチューブにトランスファーピペットで移し、その底にヒストパークを5mL入れた。ピペットの先を底に入れておき、そのままピペットを立てて、重力で落とした。なお、全部落ちきる前にピペットの上を押さえてそっと抜いた。
1,200r.p.m.、20分間、室温(20℃)で遠心分離を行った。
上清を吸引して除去し、線の部分をキムワイプで拭き取った。次いで、滅菌蒸留水2mLを加えて、トランスファーピペットで20秒間撹拌し、溶血させた後、速やかに2倍食塩水(1.8% NaCl)2mLを加えてよく混ぜ、更にPBS 20mLを加えてよく混ぜた。
1,500r.p.m.、10分間、4℃で遠心分離を行った。
上清を吸引して除去した。次いで、5% FCSを含有するPBS 5mLを加えて、トランスファーピペットで撹拌し。更に、5% FCSを含有するPBS 10mLを加えた。
1,500r.p.m.、10分間、4℃で遠心分離を行った。
上清を除去し、0.2% BSA含有HBSS 4mLに懸濁し、細胞数をカウントした。
<好中球遊走実験>
−好中球の準備−
前記各ペプチド10μM、10% FBSを含む0.2% BSA含有HBSS 4.4mL(細胞数 440×10個)を50mLチューブに入れ、37℃で60分間、COインキュベーターでインキュベーションした。
次いで、1,500r.p.m.、10分間、4℃で遠心分離を行い、上清を除いた後、0.2% BSA含有HBSS 4.4mLに懸濁した。
ピペッティングし、細胞が凝集していないことをpoly−HEMAコートしたプレートで確認し、以下の実験に用いた。
−遊走実験−
以下のようにして調製したpoly−HEMAコートした24ウェルプレートを用い、インサートにはCell Cullture Incert(24ウェル 3.0μmポアサイズ、FALCON社製)を用いて、以下のようにして試験した。
[poly−HEMAコートした24ウェルプレート]
5mg/mLの濃度のpoly−HEMAを含有する95%エタノール溶液を1ウェルあたり400μL加え、ファンのないインキュベーターに2〜3日間蓋をした状態で放置し、poly−HEMAコートした24ウェルプレートを調製した。
10×10個の細胞を含む懸濁液200μLをインサートに加えた。ウェルに、0.2% BSA含有HBSSを500μL(5ng/mLのIL−8有り又は無し)加え、37℃で1時間、COインキュベーターでインキュベーションした。
インサートを取り除き、顕微鏡で確認した後、各ウェルの液を1.5mLチューブに移し、1,500r.p.m.、5分間、室温(20℃)で遠心分離を行った。
各チューブの細胞を0.2% BSA含有HBSS 100μLに懸濁し、96ウェルプレートに入れた。なお、スタンダードとして、各細胞10,000個、20,000個、50,000個(それぞれn=3)、コントロールとして培地のみ(細胞無し)のウェルも用意した。
Premix WST−1 Cell Proliferation Assay SystemのPremix WST−1(タカラバイオ社製)を各ウェルに10μL加えて、CO2インキュベーターで、2時間インキュベーションした後、波長450nmの吸光度を測定し、細胞数を算出した。
結果を図3に示す。図3中、白のグラフ(左側)はIL−8無しの場合、灰色のグラフ(右側)はIL−8有りの場合の結果を示す。図3の結果から、本発明のペプチドの一例である「r8−12」が、細胞遊走抑制効果を有することが確認された。
試験例3で示されたように、本発明のペプチドは、好中球の遊走を抑制することができることから、好中球の遊走が関連する疾患、例えば、IL−8による好中球の遊走が重要な役割を演じているという報告がある重症喘息などの治療薬の有効成分として好適に用いることができると考えられる。
(試験例4:がん細胞転移抑制試験−1)
各種ペプチドのがん細胞転移抑制能を以下のようにして試験した。
<ペプチド>
以下の2種のペプチドを化学合成により調製した。
・ rrrrrrrrDIMLQ
DIMLQ(配列番号:1)のN末端側に、細胞膜透過性分子としてD体のアルギニン8残基を有するペプチド(以下、「r8−12」と称することがある)である。
・ rrrrrrrrQYELL
QYELL(配列番号:3)のN末端側に、細胞膜透過性分子としてD体のアルギニン8残基を有するペプチド(以下、「r8−s」と称することがある)である。
<細胞>
細胞として、マウス黒色腫B16/BL6細胞株(供給源:RIKEN Cell Bank)を用いた。
<マウス>
マウスとして、メスの7週齢マウス(C57BL/6NCr)(供給源:日本エスエルシー株式会社)を用いた。
<マウスがん細胞の移植>
前記B16/BL6細胞株の細胞数が1×10個/mLとなるように、10%FBS含有RPMI1640培地で調製し、前記マウスの尾静脈より100μL注入し、前記細胞を移植した(細胞数は、1頭当たり1×10個)。
<ペプチド等の投与>
以下のようにして、ペプチド又はアドリアマイシン(比較)をマウスに投与した。また、無処理のものをコントロール(n=5)とした。
−ペプチド−
マウスへのがん細胞の移植1時間前に、PBSにて調製した各ペプチド含有溶液0.1mLを前記マウスに尾静脈より投与した(ペプチドの量は、1頭あたりr8−12は31.2μg、r8−sは32.0μg)。
また、マウスへがん細胞を移植した24時間後に、PBSにて調製した各ペプチド含有溶液0.1mLを前記マウスに尾静脈より投与した(ペプチドの量は、1頭あたりr8−12は31.2μg、r8−sは32.0μg)。なお、r8−12投与群はn=5、r8−s投与群はn=4とした。
−アドリアマイシン−
マウスへがん細胞を移植した1時間後に、2.0mg/mLに調製したアドリアマイシン(以下、「ADM」と称することがある)0.1mLを前記マウスに尾静脈より投与した(ADMの量は、1頭あたり0.2mg。n=3)。
<評価>
マウスへのがん細胞の移植から16日目に摘出した肺のB16/BL6メラノーマ細胞の転移巣についてカウントし、評価した。結果を表1及び図4に示す。
表1及び図4の結果から、本発明のペプチドの一例である「r8−12」が、がん細胞転移抑制効果を有することが確認された。なお、図4中、「*」はt検定においてp<0.05で有意差があることを表す。
(試験例5:がん細胞転移抑制試験−2)
各種ペプチドのがん細胞転移抑制能を以下のようにして試験した。
<ペプチド>
以下の2種のペプチドを化学合成により調製した。
・ rrrrrrrrDIMLQ
DIMLQ(配列番号:1)のN末端側に、細胞膜透過性分子としてD体のアルギニン8残基を有するペプチド(以下、「r8−12」と称することがある)である。
・ rrrrrrrrIMLQ
IMLQ(配列番号:2)のN末端側に、細胞膜透過性分子としてD体のアルギニン8残基を有するペプチド(以下、「r8−12−1」と称することがある)である。
・ rrrrrrrrMLQ
MLQ(配列番号:5)のN末端側に、細胞膜透過性分子としてD体のアルギニン8残基を有するペプチド(以下、「r8−12−2」と称することがある)。
<細胞>
細胞として、マウス黒色腫B16/BL6細胞株(供給源:RIKEN Cell Bank)を用いた。
<マウス>
マウスとして、メスの7週齢マウス(C57BL/6NCr)(供給源:日本エスエルシー株式会社)を用いた。
<マウスがん細胞の移植>
前記B16/BL6細胞株の細胞数が1×10個/mLとなるように、10%FBS含有RPMI1640培地で調製し、前記マウスの尾静脈より100μL注入し、前記細胞を移植した(細胞数は、1頭当たり1×10個)。
<ペプチド等の投与>
以下のようにして、ペプチド又はアドリアマイシン(比較)をマウスに投与した。また、無処理のものをコントロール(n=5)とした。
−ペプチド−
マウスへのがん細胞の移植1時間前に、滅菌水にて調製した各ペプチド含有溶液0.1mLを前記マウスに尾静脈より投与した(ペプチドの量は、1頭あたりr8−12は37.4μg、r8−12−1は34.7μg、r8−12−2は32.1μg)。
また、マウスへがん細胞を移植した24時間後に、滅菌水にて調製した各ペプチド含有溶液0.1mLを前記マウスに尾静脈より投与した(ペプチドの量は、1頭あたりr8−12は37.4μg、r8−12−1は34.7μg、r8−12−2は32.1μg)。なお、各ペプチド投与群はn=5とした。
−アドリアマイシン−
マウスへがん細胞を移植した1時間後に、2.0mg/mLに調製したアドリアマイシン(以下、「ADM」と称することがある)0.1mLを前記マウスに尾静脈より投与した(ADMの量は、1頭あたり0.2mg。n=5)。
<評価>
マウスへのがん細胞の移植から15日目に摘出した肺のB16/BL6メラノーマ細胞の転移巣についてカウントし、評価した。結果を表2及び図5に示す。
なお、表2中、r8−12投与群のマウス5及びr8−12−2投与群のマウス5は、1回目のペプチド投与時に液漏れの可能性があったため、平均値の算出からは除外した。
表2及び図5の結果から、本発明のペプチドの一例である「r8−12」及び「r8−12−1」が、がん細胞転移抑制効果を有することが確認された。なお、図5中、「*」はt検定においてp<0.05で有意差があることを表す。
なお、メラノーマ細胞が肺転移する場合、好中球がないと転移できないとの報告がある。この報告では、まず好中球が毛細血管内皮細胞間に入り込み、そこをアンカーにしてメラノーマ細胞が入ってくるとされている。また、好中球遊走のために、メラノーマ細胞がIL−8を放出していることも判明している。マウスではIL−8が存在しないことが知られているので、マウスメラノーマ細胞がIL−8以外の走化因子を放出し、その因子がIL−8受容体であるCXCR1またはCXCR2に結合して同様のメカニズムで肺転移を起こしている可能性が考えられる。
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> 下記一般式(1)で表されることを特徴とするペプチドである。
−X−X ・・・ 一般式(1)
前記一般式(1)中、Xは、下記配列番号:1から2のいずれかで表されるアミノ酸配列を表し、Xは、細胞膜透過性分子及び下記配列番号:1から2のいずれかで表されるアミノ酸配列におけるN末端のアミノ酸のいずれかを表し、Xは、細胞膜透過性分子及び下記配列番号:1から2のいずれかで表されるアミノ酸配列におけるC末端のアミノ酸のいずれかを表す。
DIMLQ(配列番号:1)
IMLQ(配列番号:2)
<2> 前記Xが細胞膜透過性分子であり、前記Xが前記配列番号:1から2のいずれかで表されるアミノ酸配列におけるC末端のアミノ酸である前記<1>に記載のペプチドである。
<3> 前記細胞膜透過性分子が、アルギニンが連続したアミノ酸配列を含むペプチドである前記<1>から<2>のいずれかに記載のペプチドである。
<4> 前記<1>から<3>のいずれかに記載のペプチドを含有することを特徴とする細胞遊走抑制剤である。
<5> 前記<1>から<3>のいずれかに記載のペプチドを含有することを特徴とする細胞浸潤抑制剤である。
<6> 前記<1>から<3>のいずれかに記載のペプチドを含有することを特徴とするがん細胞転移抑制剤である。
<7> 前記<4>に記載の細胞遊走抑制剤、前記<5>に記載の細胞浸潤抑制剤、及び前記<6>に記載のがん細胞転移抑制剤の少なくともいずれかを含有することを特徴とする医薬である。
<8> 細胞に、前記<4>に記載の細胞遊走抑制剤を作用させることを特徴とする細胞の遊走抑制方法である。
<9> 細胞に、前記<5>に記載の細胞浸潤抑制剤を作用させることを特徴とする細胞の浸潤抑制方法である。
<10> がん細胞に、前記<6>に記載のがん細胞転移抑制剤を作用させることを特徴とするがん細胞の転移抑制方法である。
<11> 個体に、前記<7>に記載の医薬を投与することを特徴とする疾患の予防乃至治療方法である。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表されることを特徴とするペプチド:
    −X−X ・・・ 一般式(1)
    前記一般式(1)中、Xは、下記配列番号:1から2のいずれかで表されるアミノ酸配列を表し、Xは、細胞膜透過性分子及び下記配列番号:1から2のいずれかで表されるアミノ酸配列におけるN末端のアミノ酸のいずれかを表し、Xは、細胞膜透過性分子及び下記配列番号:1から2のいずれかで表されるアミノ酸配列におけるC末端のアミノ酸のいずれかを表す:
    DIMLQ(配列番号:1)
    IMLQ(配列番号:2)。
  2. 前記Xが細胞膜透過性分子であり、前記Xが前記配列番号:1から2のいずれかで表されるアミノ酸配列におけるC末端のアミノ酸である請求項1に記載のペプチド。
  3. 前記細胞膜透過性分子が、アルギニンが連続したアミノ酸配列を含むペプチドである請求項1から2のいずれかに記載のペプチド。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のペプチドを含有することを特徴とする細胞遊走抑制剤。
  5. 請求項1から3のいずれかに記載のペプチドを含有することを特徴とする細胞浸潤抑制剤。
  6. 請求項1から3のいずれかに記載のペプチドを含有することを特徴とするがん細胞転移抑制剤。
  7. 請求項4に記載の細胞遊走抑制剤、請求項5に記載の細胞浸潤抑制剤、及び請求項6に記載のがん細胞転移抑制剤の少なくともいずれかを含有することを特徴とする医薬。
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