JP2021019040A - 窒化物半導体レーザ素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】垂直FFPにおけるリップルを抑制できる半導体レーザ素子を提供する。【解決手段】窒化物半導体レーザ素子1は、基板10と、基板10の上方に配置される第1半導体層20と、第1半導体層20の上方に配置される発光層30と、発光層30の上方に配置される第2半導体層40と、第2半導体層40の上方に配置される誘電体層60とを備え、第2半導体層40は、レーザ光を導波する導波路部40aを有し、導波路部40aの少なくとも一部の幅は、導波路部40aの長手方向である共振器長方向の位置に対して変調されており、導波路部40aの幅方向と交差する側面と共振器長方向とのなす角度は、導波路部40aの内側及び導波路部40aの外側の有効屈折率で規定される限界角度θcより大きく、窒化物半導体レーザ素子1は、導波路部40aの側面に形成される凹部に配置され、誘電体層60より屈折率が高い高屈折率部44をさらに備える。【選択図】図1A

Description

本開示は、共振器長方向の位置に対して幅が変調される導波路部を有する窒化物半導体レーザ素子に関する。
近年、半導体レーザ素子は、ディスプレイやプロジェクターなどの画像表示装置の光源、車載ヘッドランプの光源、産業用照明や民生用照明の光源、又は、レーザ溶接装置や薄膜アニール装置、レーザ加工装置などの産業機器の光源など、様々な用途の光源として注目されている。また、上記用途の光源として用いられる半導体レーザ素子には、光出力が1ワットを大きく超える高出力化及び高いビーム品質が望まれている。
高ビーム品質を実現するには、レーザは基本モード(つまり、基本横モード)で発振することが望ましい。基本モード動作を実現するには、導波路の幅を狭くし、光学的に高次モードが存在しない状態(カットオフ状態)で動作させる手法がある。しかし、高出力化を実現するためには、導波路の幅は広い(ワイドストライプ)方が有利であるため、光出力が1ワットを超えるような高出力レーザ光の横モードは高次モードであることが多い。以下、横方向の高次モードを単に「高次モード」ともいう。
特許文献1に、従来の窒化物半導体レーザ素子が開示されている。図12は、特許文献1に開示された従来の窒化物半導体レーザ素子1000の構成を示す上面図である。
図12に示すように、従来の窒化物半導体レーザ素子1000は、ストライプ状リッジ部の両側面の導波方向中央部に設けられた凹凸状の粗面光導波機構1001と、導波方向両端部に設けられた平行滑面光導波機構1002とを有する。この粗面光導波機構1001により高次モードが損失を受けるため、基本モードの割合を高めることができる。
特開平9−246664号公報
しかしながら、特許文献1に記載された窒化物半導体レーザ素子1000では、垂直FFP(Far-Field Pattern)にリップル(乱れ)が生じる場合がある。
本開示は、垂直FFPにおけるリップルを抑制できる窒化物半導体レーザ素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本開示に係る窒化物半導体レーザ素子の一態様は、レーザ光を出射する窒化物半導体レーザ素子であって、基板と、前記基板の上方に配置される第1半導体層と、前記第1半導体層の上方に配置される発光層と、前記発光層の上方に配置される第2半導体層と、前記第2半導体層の上方に配置される誘電体層とを備え、前記第2半導体層は、前記レーザ光を導波する導波路部を有し、前記導波路部の少なくとも一部の幅は、前記導波路部の長手方向である共振器長方向の位置に対して変調されており、前記導波路部の幅方向と交差する側面と前記共振器長方向とのなす角度は、前記導波路部の内側及び前記導波路部の外側の有効屈折率で規定される限界角度より大きく、前記窒化物半導体レーザ素子は、前記導波路部の前記側面に形成される凹部に配置され、前記誘電体層より屈折率が高い高屈折率部をさらに備える。
このように、導波路部の側面と共振器長方向とのなす角度が大きい場合、導波路部の幅が狭い部分、つまり、導波路部の側面に形成される凹部において、レーザ光が導波路部の外側を伝搬する。本開示に係る窒化物半導体レーザ素子では、導波路部の側面に形成される凹部に高屈折率部を備えるため、導波路部の外側を伝搬するレーザ光を高屈折率部へ移動させることができる。したがって、導波路部の外側を伝搬するレーザ光が基板へ移動することによって生じる基板モードを低減できるため、基板モードに起因する垂直FFPにおけるリップルを抑制できる。
また、本開示に係る窒化物半導体レーザ素子の一態様において、前記限界角度は、前記レーザ光が前記側面において全反射する角度の最大値であってもよい。
これにより、導波路部の側面に入射したレーザ光が全反射することが抑制されるため、レーザ光がより確実に導波路部の外側を伝搬する。このため、高屈折率部による効果がより一層顕著となる。
また、本開示に係る窒化物半導体レーザ素子の一態様において、前記高屈折率部は、窒化物半導体で形成されてもよい。
これにより、高屈折率部を第2半導体層と同一の工程で形成することが可能となるため、窒化物半導体レーザ素子の製造工程を簡素化できる。
また、本開示に係る窒化物半導体レーザ素子の一態様において、前記高屈折率部は、誘電体で形成されてもよい。
また、本開示に係る窒化物半導体レーザ素子の一態様において、前記高屈折率部の少なくとも一部は、イオンが注入されたイオン注入領域であってもよい。
これにより、導波路部外に配置されたイオン注入領域で光が吸収されるため、導波路部外を通過する高次モードの損失を高めることができ、基本モード(つまり、基本横モード)の比率を高めることができる。
また、本開示に係る窒化物半導体レーザ素子の一態様において、前記基板は、前記第1半導体層に対向する主面のうち前記高屈折率部の下方に位置する領域に配置され、凹凸状の形状を有する散乱部を有してもよい。
このような散乱部により、導波路部外を通過する高次モードを散乱させることができるため、フロント側端面から出射されるレーザ光に含まれる高次モードを低減できる。したがって、フロント側端面から出射されるレーザ光に含まれる基本モードの比率を高めることができる。
本開示によれば、垂直FFPにおけるリップルを抑制できる窒化物半導体レーザ素子を提供できる。
図1Aは、実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子の構成を示す模式的な上面図である。 図1Bは、実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子の構成を示す模式的な断面図である。 図1Cは、実施の形態1に係る導波路部内外の屈折率差と限界角度との関係の計算結果を示すグラフである。 図1Dは、実施の形態1に係る導波路部の幅の極大値を固定し、限界角度をパラメータとして変化させた場合の、距離と、導波路部の幅の極小値との関係の計算結果を示すグラフである。 図2Aは、実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子の製造方法における、第1半導体層、発光層及び第2半導体層の各層を形成する工程を示す模式的な断面図である。 図2Bは、実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子の製造方法における第1保護膜を成膜する工程を示す模式的な断面図である。 図2Cは、実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子の製造方法における第1保護膜をパターニングする工程を示す模式的な断面図である。 図2Dは、実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子の製造方法における導波路部、平坦部及び高屈折率部を形成する工程を示す模式的な断面図である。 図2Eは、実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子の製造方法における誘電体層を成膜する工程を示す模式的な断面図である。 図2Fは、実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子の製造方法におけるp側電極を形成する工程を示す模式的な断面図である。 図2Gは、実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子の製造方法におけるパッド電極を形成する工程を示す模式的な断面図である。 図2Hは、実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子の製造方法におけるn側電極を形成する工程を示す模式的な断面図である。 図3Aは、実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子が実装された半導体レーザ装置の模式的な上面図である。 図3Bは、実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子が実装された半導体レーザ装置の模式的な断面図である。 図4Aは、比較例1の窒化物半導体レーザ素子の構成を簡略化して示す上面図である。 図4Bは、比較例1の窒化物半導体レーザ素子におけるレーザ光の基本モード光分布を示す第1の断面図である。 図4Cは、比較例1の窒化物半導体レーザ素子におけるレーザ光の基本モード光分布を示す第2の断面図である。 図4Dは、比較例2の窒化物半導体レーザ素子の構成を簡略化して示す上面図である。 図5は、比較例1及び比較例2の窒化物半導体レーザ素子の各導波路部の構造を変えた場合の垂直FFPの実験結果を示すグラフである。 図6Aは、実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子の構成を簡略化して示す上面図である。 図6Bは、実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子におけるレーザ光の基本モード光分布を示す断面図である。 図7Aは、実施の形態2に係る窒化物半導体レーザ素子の構成を示す模式的な上面図である。 図7Bは、実施の形態2に係る窒化物半導体レーザ素子の構成を示す模式的な断面図である。 図8Aは、実施の形態2に係る窒化物半導体レーザ素子の製造方法における第1半導体層、発光層及び第2半導体層を積層し、導波路部及び平坦部を形成する工程を示す模式的な断面図である。 図8Bは、実施の形態2に係る窒化物半導体レーザ素子の製造方法における高屈折率部及び第2保護膜を形成する工程を示す模式的な断面図である。 図8Cは、実施の形態2に係る窒化物半導体レーザ素子の製造方法における高屈折率部をパターニングする工程を示す模式的な断面図である。 図8Dは、実施の形態2に係る窒化物半導体レーザ素子の製造方法における誘電体層及びp側電極を形成する工程を示す模式的な断面図である。 図9Aは、実施の形態3に係る窒化物半導体レーザ素子の構成を示す模式的な上面図である。 図9Bは、実施の形態3に係る窒化物半導体レーザ素子の構成を示す模式的な断面図である。 図10Aは、実施の形態4に係る窒化物半導体レーザ素子の構成を示す模式的な上面図である。 図10Bは、実施の形態4に係る窒化物半導体レーザ素子の構成を示す模式的な断面図である。 図11は、実施の形態5に係る窒化物半導体レーザ素子の構成を示す模式的な上面図である。 図12は、従来の窒化物半導体レーザ素子の構成を示す上面図である。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、及び、構成要素の配置位置や接続形態などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。
また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺等は必ずしも一致していない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
また、本明細書において、「上方」及び「下方」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)及び下方向(鉛直下方)を指すものではなく、積層構成における積層順を基に相対的な位置関係により規定される用語として用いる。また、「上方」及び「下方」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔をあけて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに接する状態で配置される場合にも適用される。
また、本明細書及び図面において、X軸、Y軸及びZ軸は、三次元直交座標系の三軸を表している。X軸及びY軸は、互いに直交し、且つ、いずれもZ軸に直交する軸である。
(実施の形態1)
実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子について説明する。
[窒化物半導体レーザ素子の構成]
まず、本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子の構成について、図1A及び図1Bを用いて説明する。図1A及び図1Bは、それぞれ、本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子1の構成を示す模式的な上面図及び断面図である。図1Bには、図1AのIB−IB線における窒化物半導体レーザ素子1の断面が示されている。
本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子1は、レーザ光を出射し、窒化物半導体を含む素子である。図1Bに示すように、基板10と、第1半導体層20と、発光層30と、第2半導体層40と、誘電体層60と、高屈折率部44とを備える。本実施の形態では、窒化物半導体レーザ素子1は、電極部材50と、n側電極80とをさらに備える。窒化物半導体レーザ素子1は、フロント側端面Cfとリア側端面Crとで形成される共振器を有し、フロント側端面Cfからレーザ光を出射する。
基板10は、例えば、GaN基板である。本実施の形態では、基板10として、主面が(0001)面であるn型六方晶GaN基板を用いている。基板10の厚さは、窒化物半導体レーザ素子1を個片化する際のへき開ができる厚さであればよく、例えば、50μm以上、130μm以下である。本実施の形態では、基板10の厚さは90μmである。
第1半導体層20は、基板10の上方に配置されている第1導電型の窒化物半導体層である。本実施の形態では、第1半導体層20は、厚さ3μmのn型Al0.03Ga0.97Nからなるn側クラッド層である。なお、第1半導体層20の厚さやAl組成は上記の例に限定されない。例えば、第1半導体層20の厚さは0.5μm以上、5.0μm以下であってもよく、Al組成はn型AlGa1−xN(0<x<1)であってもよい。また、第1半導体層20は、n型Al0.03Ga0.97N以外のn型半導体層を含んでいてもよい。なお、n側クラッド層の厚さ及びAl組成の少なくとも一方が大き過ぎる場合、GaN基板との格子定数差に起因するクラックの発生や、直列抵抗の増加に起因する動作電圧の増加といった不具合が生じ得る。
発光層30は、第1半導体層20の上方に配置されている窒化物半導体層である。本実施の形態では、発光層30は、厚さ0.2μmのn型GaNからなるn側光ガイド層31と、厚さ5nmのIn0.06Ga0.94N量子井戸層を厚さ10nmのIn0.02Ga0.98N障壁層で挟んだ活性層32と、厚さ0.1μmのp型GaNからなるp側光ガイド層33との積層構造を有する。本実施の形態では、活性層32は、2層の量子井戸層を含み、それぞれの量子井戸層は障壁層で挟まれている。なお、量子井戸層の数は2層に限定されることはなく、1層でも3層以上であってもよい。また、量子井戸層及び障壁層のIn組成及び厚さはこれに限定されず、およそ400nm以上470nm以下の光を放射できる組成及び厚さであればよい。
第2半導体層40は、発光層30の上方に配置されている第2導電型の窒化物半導体層であり、レーザ光を導波する導波路部40aを有する。ここで、第2導電型は、第1導電型と異なる導電型である。本実施の形態では、第2半導体層40は、厚さ10nmのAl0.35Ga0.65Nからなる電子障壁層41と、厚さ1.5nmのp型Al0.06Ga0.94Nと厚さ1.5nmのp型GaNとを220周期繰り返して形成した厚さ0.66μmの歪超格子からなるp側クラッド層42と、厚さ0.05μmのp型GaNからなるp側コンタクト層43との積層構造を有する。p側コンタクト層43は、導波路部40aの最上層として形成されている。なお、p側クラッド層42の構成はこれに限定されない。p側クラッド層42の厚さは、例えば、0.3μm以上、1μm以下であってもよく、組成はp型AlGa1−xN(0<x<1)であってもよい。
p側クラッド層42は、共振器長方向に延びる凸部を有している。このp側クラッド層42の凸部とp側コンタクト層43とによってストライプ状(言い換えるとリッジ状)の導波路部40aが構成されている。また、p側クラッド層42は、導波路部40aの両側方に、平坦部40bとして平面部を有している。つまり、平坦部40bの最上面は、p側クラッド層42の表面であり、平坦部40bの最上面にはp側コンタクト層43が形成されていない。
導波路部40aの高さ(つまり、Z軸方向の寸法)は、特に限定されないが、一例として、100nm以上1μm以下である。窒化物半導体レーザ素子1を高い光出力(例えばワットクラス)で動作させるには、導波路部40aの高さを、300nm以上800nm以下にしてもよい。本実施の形態では、導波路部40aの高さは、650nmである。
また、図1Aに示すように、導波路部40aの少なくとも一部の幅は、導波路部40aの長手方向である共振器長方向(つまり、各図のY軸方向)の位置に対して変調されている。ここで、導波路部40aの幅とは、導波路部40aの、共振器長方向及び第2半導体層40の厚さ方向(つまり、各図のZ軸方向)に垂直な方向の寸法である。導波路部40aの詳細構成については後述する。
電極部材50は、第2半導体層40の上方に配置されている。電極部材50は、導波路部40aよりも幅広である。つまり、電極部材50の幅(つまり、各図のX軸方向の幅)は、導波路部40aの幅(つまり、各図のX軸方向の幅)よりも大きい。電極部材50は、誘電体層60及び導波路部40aの上面と接触している。
本実施の形態において、電極部材50は、電流供給のためのp側電極51と、p側電極51の上方に配置されたパッド電極52とを有する。
p側電極51は、導波路部40aの上面と接触している。p側電極51は、導波路部40aの上方においてp側コンタクト層43とオーミック接触するオーミック電極であり、導波路部40aの上面であるp側コンタクト層43の上面と接触している。p側電極51は、例えば、Pd、Pt、Niなどの金属材料を用いて形成される。本実施の形態において、p側電極51は、Pd/Ptの2層構造を有する。
パッド電極52は、導波路部40aよりも幅広であって、誘電体層60と接触している。つまり、パッド電極52は、導波路部40a及び誘電体層60を覆うように形成されている。パッド電極52は、例えば、Ti、Ni、Pt、Auなどの金属材料を用いて形成される。本実施の形態において、パッド電極52は、Ti/Pt/Auの3層構造を有する。
なお、図1Aに示すように、パッド電極52は、窒化物半導体レーザ素子1を個片化する際の歩留まりを向上させるために、窒化物半導体レーザ素子1の上面視において、誘電体層60の内側(つまり、第2半導体層40の内側)に形成されている。すなわち、窒化物半導体レーザ素子1を上面視した場合に、パッド電極52は、窒化物半導体レーザ素子1の端部周縁には形成されていない。つまり、窒化物半導体レーザ素子1は、端部周縁に電流が供給されない非電流注入領域を有する。
誘電体層60は、第2半導体層40の上方に配置される。誘電体層60は、導波路部40aに光を閉じ込めるために、導波路部40aの側面(つまり、X軸方向と交差する面)に形成された導波路部40aより屈折率が低い絶縁膜である。具体的には、誘電体層60は、導波路部40aの側面から平坦部40bにわたって連続的に形成されている。本実施の形態において、誘電体層60は、導波路部40aの周辺において、p側コンタクト層43の側面とp側クラッド層42の凸部の側面とp側クラッド層42の上面とにわたって連続して形成されている。本実施の形態では、誘電体層60は、SiOで形成される。
誘電体層60の形状は、特に限定されるものではないが、誘電体層60は、導波路部40aの側面及び平坦部40bと接していてもよい。これにより、導波路部40aの直下で発生した光を安定的に閉じ込めることができる。
また、高い光出力で動作させること(つまり高出力動作)を目的とした窒化物半導体レーザ素子1では、フロント側端面Cfには誘電体多層膜などの端面コート膜が形成される。この端面コート膜は、端面のみに形成することが難しく、窒化物半導体レーザ素子1の上面にも回りこむ。この場合、窒化物半導体レーザ素子1の共振器長方向(つまり、各図のY軸方向)の端部では、パッド電極52が形成されていないため、端面コート膜が上面にまで回りこんでしまうと、窒化物半導体レーザ素子1の共振器長方向の端部で誘電体層60と端面コート膜とが接してしまう場合がある。この際、誘電体層60が形成されていない場合、又は、誘電体層60の膜厚が光閉じ込めに対して薄い場合には、光が端面コート膜の影響を受けるため、光損失の原因となる。そこで、発光層30で発生した光を十分に閉じ込めるために、誘電体層60の膜厚は、100nm以上であってもよい。一方、誘電体層60の膜厚が厚過ぎると、パッド電極52の形成が困難となるため、誘電体層60の膜厚は、導波路部40aの高さ以下であってもよい。
また、導波路部40aの側面及び平坦部40bには、導波路部40aを形成する際のエッチング工程でエッチングダメージが残存してリーク電流が発生する場合があるが、導波路部40a及び平坦部40bを誘電体層60で被覆することで、不要なリーク電流の発生を低減できる。
高屈折率部44は、図1Aに示すように、導波路部40aの側面に形成される凹部40dに配置される。言い換えると、高屈折率部44は、導波路部40aの幅が狭くなった部分の幅方向における外側に配置される。高屈折率部44は、誘電体層60より屈折率が高い。本実施の形態では、高屈折率部44は、第2半導体層40の少なくとも一部と同一の材料で形成される。つまり、高屈折率部44は、窒化物半導体で形成される。高屈折率部44は、第2半導体層40の一部として形成される。つまり、高屈折率部44は、導波路部40aと同様にp側クラッド層42及びp側コンタクト層43からなる。高屈折率部44は、導波路部40aの側面に形成される複数の凹部40dの各々に配置される。高屈折率部44は、三角柱状の形状を有し、共振器長方向の位置によって幅(つまり、各図のX軸方向の寸法)が異なる。導波路部40aの幅が小さくなる共振器長方向の位置において、高屈折率部44の幅が大きくなる。
n側電極80は、基板10の下方に配置された電極であり、基板10とオーミック接触するオーミック電極である。n側電極80は、例えば、Ti/Pt/Auからなる積層膜である。n側電極80の構成はこれに限定されない。n側電極80は、Ti及びAuが積層された積層膜であってもよい。
[導波路部及び高屈折率部の詳細構成]
次に、本実施の形態に係る導波路部及び高屈折率部の詳細構成について説明する。
上述のとおり、第2半導体層40は、共振器長方向(つまり、各図のY軸方向)に延在するストライプ状の凸部からなる導波路部40aと、導波路部40aの根元から横方向(つまり、各図のX軸方向)に広がる平坦部40bとを有する。
導波路部40aの少なくとも一部の幅は、導波路部40aの共振器長方向の位置に対して変調されている。つまり、共振器長方向の位置に対して、導波路部40aの幅が変動する。本実施の形態では、導波路部40aの幅は連続的に変化しており、幅の広い部分と幅の狭い部分とがY軸方向に交互に配置される。ここで、図1Aに示すように、導波路部40aの幅の極大値をWa、幅の極小値をWbとする。また、導波路部40aの幅が極大となる位置から、幅が極小となる位置のうち、フロント側(図1Aの上側)に位置するものまでのY軸方向の最短距離をLaと定義し、導波路部40aの幅が極大となる位置から、幅が極小となる位置のうち、リア側(図1Aの下側)に位置するものまでのY軸方向の最短距離をLbと定義する。また、本実施の形態では、導波路部40aの幅は直線状に変化している。導波路部40aの側面のうち、導波路部40aの幅が極大となる位置のフロント側及びリア側に位置する側面と、共振器長方向とがなす角度をそれぞれθa及びθbと定義すると、以下の関係が成り立つ。
θa=arctan{(Wa−Wb)/(2×La)}・・・(式1)
θb=arctan{(Wa−Wb)/(2×Lb)}・・・(式2)
このθa、θbの値が、後述する限界角度(θcと定義)より大きくなる。すなわち、以下の関係を満たすように、Wa、Wb、La及びLbが設定される。
θa>θc、かつ、θb>θc・・・・・・・・・・・・・・(式3)
言い換えると、導波路部40aの幅方向(つまり、X軸方向)の側面と共振器長方向とのなす角度は、導波路部40aの内側及び導波路部40aの外側の有効屈折率で規定される限界角度θcより大きい。本実施の形態では、限界角度θcは、レーザ光が導波路部40aの側面において全反射する角度の最大値である。
一例として、導波路部40aの幅は1μm以上100μm以下である。窒化物半導体レーザ素子1を高い光出力(例えばワットクラス)で動作させるには、導波路部40aの幅の極大値Waを10μm以上50μm以下に設定してもよい。導波路部40aの幅の極小値Wbが小さいほど高次モード成分を低減できるが、小さくなり過ぎると基本モード成分(つまり、基本横モード成分)も損失を受けて低減されてしまう。一方、導波路部40aの幅の極小値Wbを大きくすると、高次モード成分の低減効果が小さくなる。基本モードの強度を維持しつつ高次モード成分を効率よく抑制するために、導波路部40aの幅の極小値Wbは、幅の極大値Waのおよそ1/4以上、3/4以下にしてもよい。
また、距離La及びLbを小さくし過ぎるとθa及びθbが大きくなるため(式3)を満たさなくなる。一方、距離La及びLbを大きくし過ぎると、導波路部40a内で幅が狭くなる部分の数が減るため、高次モードの抑制効果が小さくなる。本実施の形態では、Wa=16μm、Wb=10μm、La=Lb=30μmである。このとき、θa=θb=5.7°となる。
また、(式1)及び(式2)の条件を満たせば、La≠Lbであってもよい。La≠Lbとすると、光が共振器内をY軸方向に往復する中で、往路と復路とで高次モードへの損失を異ならせることができる。例えば、La>Lbとすると、光がリア側からフロント側へ進行する際の高次モードへの損失を高めることができる。また、共振器内でのリア側からフロント側に向かって幅が狭くなる部分(つまり、図1Aの距離Laの部分)の割合が増加するため、高次モードへの損失がより増加する。
また、上述のとおり、導波路部40aの側面の凹部40d(つまり、導波路部40aの幅が狭くなる部分の外側)には、p側クラッド層42及びp側コンタクト層43からなる高屈折率部44が配置されている。高屈折率部44は導波路部40aが狭くなる部分(つまり、幅が極小値Wbとなる位置の近傍の部分)の外側に形成されており、幅が広い部分(つまり、幅が極大値Waとなる位置)の外側には形成されていない。本実施の形態では、導波路部40aと高屈折率部44とは、導波路部40aの幅方向(つまり、各図のX軸方向)に一定の距離dd離れている。高屈折率部44が、導波路部40a外を伝搬する光に効果を与えるには、以下の(式4)を満たす必要がある。
Wb+2×dd<Wa・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(式4)
ここで、距離ddが小さすぎると、基本モード成分のうち高屈折率部44に導かれる割合が多くなることで、導波路部40aの外側に広がる。これに伴い、基本モードの損失が増加するため、距離ddはある程度大きくする必要がある。発明者の検討の結果、距離ddが1μm以上で基本モード成分の損失を抑制できる。また、高屈折率部44の導波路部40aと反対側の端部の幅方向(つまり、各図のX軸方向)における位置は、導波路部40aの幅が極大値Waとなる部分の幅方向の端部の位置と同じか、それよりも外側であってもよい。本実施の形態では、dd=2μmとし、高屈折率部44の導波路部40aと反対側の端部の幅方向における位置は、導波路部40aの幅が極大値Waとなる部分の幅方向の端部の位置と同じである。
また、高屈折率部44のp側コンタクト層43上には誘電体層60が形成されており、この部分からの電流注入は行われない。本実施の形態では、高屈折率部44を誘電体層60で被覆したが、例えば、パッド電極52が、Auなどの、p側コンタクト層43とショットキー接続する材料で形成されていれば、p側コンタクト層43上にパッド電極52を直接形成してもよい。
次に、限界角度θcの求め方について説明する。本実施の形態では、等価屈折率法を用いて、3次元の導波路部40aの構造(つまり、リッジ構造)を2次元スラブ導波路構造で近似して計算を行った。まず、図1BのZ1−Z1線における各層の厚さと屈折率を用いて、積層方向の光分布及び等価屈折率(つまり、有効屈折率)を計算する。詳細は省略するが、2次元のスカラ波動方程式を離散化して、固有値問題を解くことで、等価屈折率を計算した。図1BのZ1−Z1線における等価屈折率をniと定義すると、本実施の形態では、ni=2.535が得られた。同様に、図1BのZ2−Z2線における等価屈折率をnoと定義すると、no=2.527が得られた。これらの値は、各半導体層の厚さ及び屈折率に依存するが、本実施の形態のように凸部を有する導波路構造の場合は、常にni>noの関係を満たす。
次に、スネルの法則を用いて全反射条件を満たすときの角度の最大値(この角度を限界角度θcと定義する)を計算する。スネルの法則より、限界角度θcは、以下の式で表される。
θc=90−arcsin(no/ni)
本実施の形態では、θc=4.6°が得られ、(式3)の関係を満たす。
なお、限界角度θcは各層の厚さ、屈折率、及び導波路部40aの高さに依存するため、本実施の形態以外の構造では、構造毎に計算が必要である。ここで、導波路部40aの内外の屈折率差と限界角度θcとの関係について、図1Cを用いて説明する。図1Cは、本実施の形態に係る導波路部40a内外の屈折率差(ni−no)と限界角度θcとの関係の計算結果を示すグラフである。ここではni=2.535として計算した。導波路部40a内部と導波路部40a外部の屈折率差が大きくなるほど、限界角度θcが大きくなることがわかる。
続いて、所定の限界角度θcを実現するため導波路部40aの形状例について図1Dを用いて説明する。図1Dは、本実施の形態に係る導波路部40aの幅の極大値Waを固定し、限界角度θcをパラメータとして変化させた場合の、距離Laと、導波路部40aの幅の極小値Wbとの関係の計算結果を示すグラフである。図1Dには、導波路部40aの幅の極大値Waを16μmとした場合の、(式3)を満たす距離Laと、導波路部40aの幅の極小値Wbとをそれぞれの限界角度θcに対して計算した結果が示されている。図1D中の各直線よりも下の領域で、(式3)の条件を満たす。距離Lbについても同様に計算できる。
本実施の形態では、導波路部40aの幅を直線状に変化させたが、(式3)の条件を満たすなら曲線状に変化させてもよい。また、導波路部40a中の一部の領域に幅が変化しない領域があってもよい。
[窒化物半導体レーザ素子の製造方法]
次に、本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子1の製造方法について、図2A〜図2Hを用いて説明する。図2A〜図2Hは、本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子1の製造方法における各工程を示す模式的な断面図である。
まず、図2Aに示すように、主面が(0001)面であるn型六方晶GaN基板である基板10上に、有機金属気層成長法(Metalorganic Chemical Vapor Deposition;MOCVD法)を用いて、第1半導体層20、発光層30及び第2半導体層40を順次成膜する。
具体的には、厚さ400μmの基板10の上に、第1半導体層20としてn型AlGaNからなるn側クラッド層を3μm成長させる。続いて、n型GaNからなるn側光ガイド層31を0.2μm成長させる。続いて、InGaNからなるバリア層とInGaN量子井戸層との2周期からなる活性層32を成長させる。続いて、p型GaNからなるp側光ガイド層33を0.1μm成長させる。続いて、AlGaNからなる電子障壁層41を10nm成長させる。続いて、膜厚1.5nmのp型AlGaN層と膜厚1.5nmのGaN層とを220周期繰り返して形成した厚さ0.66μmの歪超格子からなるp側クラッド層42を成長させる。続いて、p型GaNからなるp側コンタクト層43を0.05μm成長させる。ここで、各層において、Ga、Al及びInを含む有機金属原料には、それぞれ例えば、トリメチルガリウム(TMG)、トリメチルアンモニウム(TMA)及びトリメチルインジウム(TMI)を用いる。また、窒素原料には、アンモニア(NH)を用いる。
次に、図2Bに示すように、第2半導体層40上に、第1保護膜91を成膜する。具体的には、p側コンタクト層43の上に、シラン(SiH)を用いたプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、第1保護膜91として、シリコン酸化膜(SiO)を300nm成膜する。なお、第1保護膜91の成膜方法は、プラズマCVD法に限るものではなく、例えば、熱CVD法、スパッタ法、真空蒸着法、又は、パルスレーザー成膜法など、公知の成膜方法を用いることができる。また、第1保護膜91の成膜材料は、上記のものに限るものではなく、例えば、誘電体や金属など、後述する第1半導体層20のエッチングに対して、選択性のある材料であればよい。
次に、図2Cに示すように、フォトリソグラフィー法及びエッチング法を用いて、第1保護膜91が所定形状に残るように、第1保護膜91を選択的に除去する。当該所定形状とは、図1Aに示す導波路部40a及び高屈折率部44の上面視における形状である。所定形状の第1保護膜91には、導波路部40aに対応する部分と、高屈折率部44に対応する部分が含まれる。導波路部40aに対応する部分は、幅が共振器長方向の位置に対して変調された帯状の部分であり、高屈折率部44に対応する部分は、帯状の部分の凹部40dに配置された島状の部分である。
リソグラフィー法としては、短波長光源を利用したフォトリソグラフィー法や、電子線で直接描画する電子線リソグラフィー法、またナノインプリント法などを用いることができる。エッチング法としては、例えば、CFなどのフッ素系ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)によるドライエッチング、又は、1:10程度に希釈した弗化水素酸(HF)などを用いたウェットエッチングを用いることができる。
次に、図2Dに示すように、所定形状に形成された第1保護膜91をマスクとして、p側コンタクト層43及びp側クラッド層42をエッチングすることで、第2半導体層40に導波路部40a、平坦部40b及び高屈折率部44を形成する。具体的には、図2Dに示す水平方向中央に位置する第1保護膜91の下方に、導波路部40aが形成され、当該第1保護膜91の側方(つまり、X軸方向)に位置する第1保護膜91の下方に、高屈折率部44が形成される。また、第1保護膜91が形成されていない領域のp側コンタクト層43及びp側クラッド層42がエッチングされることで平坦部40bが形成される。p側コンタクト層43及びp側クラッド層42のエッチングとしては、Clなどの塩素系ガスを用いたRIE法によるドライエッチングを用いてもよい。
次に、図2Eに示すように、所定形状の第1保護膜91を弗化水素酸などを用いたウェットエッチングによって除去した後、p側コンタクト層43及びp側クラッド層42を覆うように、誘電体層60を成膜する。つまり、導波路部40a、平坦部40b及び高屈折率部44の上に誘電体層60を形成する。誘電体層60としては、例えば、シラン(SiH)を用いたプラズマCVD法によって、シリコン酸化膜(SiO)を300nm成膜する。
次に、図2Fに示すように、フォトリソグラフィー法と弗化水素酸を用いたウェットエッチングとにより、導波路部40a上の誘電体層60のみを除去して、p側コンタクト層43の上面を露出させる。その後、真空蒸着法及びリフトオフ法を用いて、導波路部40a上のみにPd/Ptからなるp側電極51を形成する。具体的には、誘電体層60から露出させたp側コンタクト層43の上にp側電極51を形成する。なお、p側電極51の成膜方法は、真空蒸着法に限るものではなく、スパッタ法又はパルスレーザー成膜法などであってもよい。また、p側電極51の電極材料は、Ni/Au系、Pt系など、第2半導体層40(p側コンタクト層43)とオーミック接触する材料であればよい。
次に、図2Gに示すように、p側電極51及び誘電体層60を覆うようにパッド電極52を形成する。具体的には、フォトリソグラフィー法などによって、形成したい部分以外にネガ型レジストをパターニングし、基板10の上方の全面に真空蒸着法などによってTi/Pt/Auからなるパッド電極52を形成し、リフトオフ法を用いて不要な部分の電極を除去する。これにより、p側電極51及び誘電体層60の上に所定形状のパッド電極52を形成できる。以上のように、p側電極51及びパッド電極52からなる電極部材50が形成される。
次に、図2Hに示すように、基板10の下面(つまり、第1半導体層20などが配置された主面の裏側の主面)にn側電極80を形成する。具体的には、基板10の下面に真空蒸着法などによってTi/Pt/Auからなるn側電極80を形成し、フォトリソグラフィー法及びエッチング法を用いてパターニングすることで、所定形状のn側電極80を形成する。
以上のように、本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子1を製造することができる。本実施の形態では、上述のとおり高屈折率部44が、窒化物半導体で形成される。これにより、高屈折率部44を第2半導体層40と同一の工程で形成することが可能となるため、窒化物半導体レーザ素子1の製造工程を簡素化できる。
[窒化物半導体レーザ素子の実装形態]
次に、図3A及び図3Bを用いて、実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子1の実装形態を説明する。図3A及び図3Bは、それぞれ、本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子1が実装された半導体レーザ装置2の模式的な上面図及び断面図である。図3Bには、図3AのIIIB−IIIB線における半導体レーザ装置2の断面が示されている。
本実施の形態に係る半導体レーザ装置2は、図3Bに示すように、窒化物半導体レーザ素子1と、サブマウント100とを備える。
図3Bに示すように、サブマウント100は、基台101と、第1電極102aと、第2電極102bと、第1接着層103aと、第2接着層103bとを有する。
基台101は、窒化物半導体レーザ素子1の基板10の下方に配置された基台であり、ヒートシンクとして機能する。基台101の材料は、特に限定されるものではないが、アルミナイトライド(AlN)、シリコンカーバイト(SiC)などのセラミック、CVDで成膜されたダイヤモンド(C)、Cu、Alなどの金属単体、又は、CuWなどの合金など、窒化物半導体レーザ素子1と比べて熱伝導率が同等かそれ以上の材料で構成されていてもよい。
第1電極102aは、図3A及び図3Bに示すように、基台101の一方の面に配置される。また、第2電極102bは、基台101の他方の面に配置される。第1電極102a及び第2電極102bは、例えば、膜厚0.1μmのTi、膜厚0.2μmのPt及び膜厚0.2μmのAuの三つの金属膜からなる積層膜である。
第1接着層103aは、第1電極102a上に配置される。第2接着層103bは、第2電極102b上に配置される。第1接着層103a及び第2接着層103bは、例えば、Au及びSnがそれぞれ70%及び30%の含有率で含まれる金スズ合金からなる共晶半田である。
窒化物半導体レーザ素子1は、サブマウント100に実装される。本実施の形態では、窒化物半導体レーザ素子1のp側(つまり、電極部材50側)がサブマウント100に接続される実装形態、つまりジャンクションダウン実装であるので、窒化物半導体レーザ素子1のパッド電極52がサブマウント100の第1接着層103aに接続される。
なお、本実施の形態のように、第1接着層103aに金スズ半田を用いて実装する場合、金スズ半田がパッド電極52の金や第1電極102aの金と共晶反応を起こすため、境界を判別するのが困難となることがある。その場合は、第1接着層103aの厚さは、パッド電極52の金スズ半田と共晶反応しない層(例えば、Pt)から、第1電極102aの金スズ半田と共晶反応しない層(例えば、Pt)までの距離と定義する。
また、ワイヤボンディングによって、窒化物半導体レーザ素子1のパッド電極52及びサブマウント100の第1電極102aの各々には、ワイヤ110が接続される。これにより、ワイヤ110によって窒化物半導体レーザ素子1に電流を供給することができる。
なお、図示しないが、サブマウント100は、放熱性の向上及び取り扱いの簡便化の目的で、例えば、CANパッケージなどの金属パッケージに実装される。つまり、サブマウント100は、第2接着層103bによって金属パッケージに接着される。なお、基台101自体がパッケージとして機能してもよい。この場合、サブマウント100は、第2接着層103bを備えなくてもよい。
[窒化物半導体レーザ素子の作用効果]
次に、本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子1の作用効果について比較例と比較しながら説明する。まず、比較例の窒化物半導体レーザ素子の作用について図4A〜図5を用いて説明する。図4Aは、比較例1の窒化物半導体レーザ素子の構成を簡略化して示す上面図である。なお、図4Aには、比較例1の窒化物半導体レーザ素子のレーザ光の基本モードの光分布、及び、高次モードの光分布の一例の概略図が併せて示されている。図4B及び図4Cは、比較例1の窒化物半導体レーザ素子におけるレーザ光の基本モード光分布DL1及びDL2を示す断面図である。図4B及び図4Cには、それぞれ、図4AのIVB−IVB線及びIVC−IVC線における断面と、当該断面における基本モード光分布DL1及びDL2とが示されている。図4Dは、比較例2の窒化物半導体レーザ素子の構成を簡略化して示す上面図である。
図4Aに示す比較例1の窒化物半導体レーザ素子は、高屈折率部を備えない点にておい、実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子1と相違し、その他の点において一致する。比較例1の窒化物半導体レーザ素子においては、レーザ発振時においてレーザ光が導波路部40a中をY軸方向へと伝搬する。このとき、導波路部40aの幅が狭い部分が存在しても、光はおおむねY軸方向へと伝搬する。つまり図4Aは、導波路部40a内外で全反射条件を満たさない場合(つまり、θa>θc、θb>θc)の模式図である。図4Aにおいて破線矢印で、光の伝搬の様子が示されている。導波路部40aの幅が狭くなる部分では光はリッジ内外の屈折率差の影響で、わずかに内側に進行するが、全反射条件を満たさないので、大部分の光は導波路部40a外を通りY軸方向へと進行する。
図4Bの基本モード光分布DL1に示すように、導波路部40a内を伝搬する光は、活性層32近傍に閉じ込められるように設計されている。すなわち、導波路部40a内を伝搬する光は、基板10にかからないように設計されている。しかしながら、図4Cの基本モード光分布DL2に示すように、導波路部40a外を伝搬する光は、導波路部40a外の部分のp側クラッド層42の厚さが薄いため、基板10側へと押し下げられる。すると、活性層32から第1半導体層20(n側クラッド層)の間、及び、第1半導体層20から基板10の間で、基板モードと呼ばれる垂直方向の高次モードが励振される。この基板モードが生じると、垂直FFPにリップルが生じる。このようなリップルは、特に、導波路部40aの外側に光強度のピークをもつ高次モードによって増大される。
図4Dに示す比較例2の窒化物半導体レーザ素子は、導波路部1040aを備える。比較例2の窒化物半導体レーザ素子は、高屈折率部を備えない点、及び、導波路部1040a内外で全反射条件を満たす(つまり、θa<θc、θb<θcを満たす)点において、本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子1と相違し、その他の点において一致する。比較例2の窒化物半導体レーザ素子では、導波路部1040a内外の屈折率差が全反射条件を満たすので、図4D中の破線矢印で示したように、光は導波路部1040aの幅方向の端で反射され、導波路部1040a外へと放射される。すなわち、レーザ光として外部に出射される光は導波路部1040a外を伝搬しないので、図4Aに示す比較例1で生じた基板モードは、比較例2の導波路部1040aの構造では抑制される。よって、比較例2の窒化物半導体レーザ素子によれば、垂直FFPにおけるリップルを抑制できる。
図5は、比較例1及び比較例2の窒化物半導体レーザ素子の各導波路部の構造を変えた場合の垂直FFPの実験結果を示すグラフである。本実験では、La=Lb、Wa=16μmで固定し、距離Laを15μmから90μmまでの範囲で、15μm間隔で変化させた。また、幅の極小値Wbを4μmから10μmまでの範囲で、2μm間隔で変化させた。図5には、これらの各構造を有する窒化物半導体レーザ素子における、光出力が1Wのときの垂直FFPが示されている。図5の各グラフの縦軸は最大値で規格化されている。また、横軸は規格化された角度を示している。また、図5において、(式3)の関係を満たす構造を有する窒化物半導体レーザ素子からの垂直FFPを示すグラフと、(式3)の関係を満たさない構造を有する窒化物半導体レーザ素子からの垂直FFPを示すグラフとの境界を一点鎖線で示している。一点鎖線よりも左側のグラフは、(式3)の関係を満たす窒化物半導体レーザ素子の垂直FFPを示す。図5の一点鎖線より左側のグラフに示すように、θa>θc、θb>θcの構造を有する窒化物半導体レーザ素子では、垂直FFPにリップルが生じていることが分かる。一方、図5の一点鎖線より右側のグラフに示すように、θa<θc、θb<θcの構造を有する窒化物半導体レーザ素子では、垂直FFPにリップルが生じていないことが分かる。また、リップルの強度は、幅の極小値Wbが小さいほど、大きくなることが分かる。これは、幅の極小値Wbが小さい程、導波路部40a外を通過する光の割合が大きくなるためである。また、リップルが生じる構造において、θa<θc、θb<θcの関係を満たす構造に近くなるほど、リップルが小さくなることがわかる。これは、θa<θc、θb<θcの関係を満たす全反射条件を満たす光の割合が増えていくためである。
以上のように、(式3)の関係を満たす窒化物半導体レーザ素子では、垂直FFPにリップルが生じる。本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子1は、(式3)の関係を満たしつつ、かつ、垂直FFPにおけるリップルを抑制するために、高屈折率部44を備える。以下本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子1の高屈折率部44の作用効果について図6A及び図6Bを用いて説明する。図6Aは、本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子1の構成を簡略化して示す上面図である。図6Bは、本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子1におけるレーザ光の基本モード光分布DL3を示す断面図である。図6Bには、図6AのVIB−VIB線における断面と、当該断面における基本モード光分布DL3とが示されている。
上述のとおり、本実施の形態に係る導波路部40aの構造は、全反射条件を満たさないように(つまり、θa>θc、θb>θcを満たすように)設定されている。図6Aにおいて破線矢印で、光の伝搬の様子が示されている。導波路部40aの幅が狭くなる部分では光は導波路部40a内外の屈折率差の影響で、わずかに内側に進行するが、全反射条件を満たさないので、大部分の光は導波路部40a外を通りY軸方向へと進行する。導波路部40a外には高屈折率部44が形成されており、導波路部40a外を通過する光はこの高屈折率部44直下を通過する。高屈折率部44はp側クラッド層42及びp側コンタクト層43で形成されており、これらの層は誘電体層60と比べて屈折率が高い。屈折率が高い層が光通過領域の上方に(つまり、発光層30に対して第2半導体層40側に)形成されていると、光は上方へ移動する。つまり、導波路部40a外を伝搬し高屈折率部44直下に到達した光は、上方へ移動する。このため、図6Bに示すように、本実施の形態に係るレーザ光の基本モード光分布DL3は、高屈折率部44を備えない場合のレーザ光の基本モード光分布DL2と比較して、上方に位置する。これにより、発光層30より下方に位置する基板10へ移動する光を低減できるため、図4Cで示したような基板モードを低減できる。つまり、本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子1によれば、垂直FFPにおけるリップルを抑制できる。
(実施の形態2)
実施の形態2に係る窒化物半導体レーザ素子について説明する。本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子は、高屈折率部が誘電体で形成されている点において、実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子1と相違する。以下、本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子について、実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子1との相違点を中心に説明する。
[窒化物半導体レーザ素子の構成]
まず、本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子の構成について、図7A及び図7Bを用いて説明する。図7A及び図7Bは、それぞれ、本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子1aの構成を示す模式的な上面図及び断面図である。図7Bには、図7AのVIIB−VIIB線における窒化物半導体レーザ素子1aの断面が示されている。本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子1aは、図7Bに示すように、基板10と、第1半導体層20と、発光層30と、第2半導体層40と、電極部材50と、誘電体層60と、高屈折率部61と、n側電極80とを備える。第2半導体層40は、導波路部40aと、平坦部40bとを有する。
本実施の形態に係る高屈折率部61は、誘電体層60より屈折率が高い誘電体で形成される。高屈折率部61は、実施の形態1に係る高屈折率部44と同様に、導波路部40aの側面に形成された凹部40d(つまり、導波路部40aの幅が狭くなる部分の外側の領域)に形成されている。高屈折率部61の上面及び側面は誘電体層60で被覆されている。高屈折率部61は誘電体層60よりも高い屈折率を有するので、実施の形態1と同様に、この高屈折率部61の直下を通過する光が上方へ移動する。これにより、基板モードの発生を抑制できる。つまり垂直FFPにおけるリップルを抑制できる。高屈折率部61の厚さは特に限定されないが、本実施の形態では、高屈折率部61の厚さは300nmである。
高屈折率部の材料として、誘電体層60よりも屈折率が高い材料を用いれば、上記の効果が生じる。本実施の形態では、誘電体層60は、屈折率が1.47であるSiOで形成されている。このため、高屈折率部61の材料として、例えば、SiN(屈折率:2.07)、Al(屈折率:1.79)、AlN(屈折率:2.19)、ITO(屈折率:2.12)などを用いることができる。ITOは、電極材料として用いられることがあるが、光吸収効果もあるので、より高次モードを抑制できる。つまり、高屈折率部61付近において光強度が大きい高次モードをITOで形成された高屈折率部61において吸収できるため、より高次モードを抑制できる。
[窒化物半導体レーザ素子の製造方法]
次に、本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子1aの製造方法について、図8A〜図8Dを用いて説明する。図8A〜図8Dは、本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子1aの製造方法における各工程を示す模式的な断面図である。以下では、本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子1aの製造方法のうち、実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子1の製造方法と異なる部分について説明する。
まず、図8Aに示すように、図2A〜図2Dを用いて説明した実施の形態1の各工程と同様に、基板10上に、順に、第1半導体層20、発光層30及び第2半導体層40を積層し、導波路部40a及び平坦部40bを形成する。なお、図8Aは、第1保護膜91を除去した後の断面図である。
次に、図8Bに示すように、第2半導体層40の上面全面に高屈折率部61を形成し、高屈折率部61の上方に、第2保護膜92を形成し、フォトリソグラフィー法及びエッチング法を用いて、第2保護膜92を所望の形状にパターニングする。具体的には、後の工程にて高屈折率部61を残す領域に第2保護膜92を形成する。第2保護膜92を形成する材料として、例えば、フォトレジストなどを用いることができる。
次に、図8Cに示すように、パターニングされた第2保護膜92をマスクとして、高屈折率部61をCFなどのフッ素系ガスあるいはClなどの塩素系ガスを用いたRIE法によるドライエッチングによりパターニングし、所定形状の高屈折率部61を形成する。続いて、第2保護膜92をアセトンなどの有機溶剤を用いたウェットエッチングなどにより除去する。
次に、図8Dに示すように、誘電体層60を成膜し、実施の形態1と同様に、導波路部40aの上方だけを除去した後、導波路部40aの上方にp側電極51を形成する。
その後は、図2G〜図2Hを用いて説明した実施の形態1の製造方法の各工程と同様に、パッド電極52及びn側電極80を形成する。
以上のように、本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子1aを製造できる。
(実施の形態3)
実施の形態3に係る窒化物半導体レーザ素子について説明する。本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子は、高屈折率部における光吸収が高められている点において、実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子1と相違する。以下、本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子について、実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子1との相違点を中心に図9A及び図9Bを用いて説明する。
図9A及び図9Bは、それぞれ、本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子1bの構成を示す模式的な上面図及び断面図である。図9Bには、図9AのIXB−IXB線における窒化物半導体レーザ素子1bの断面が示されている。本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子1bは、図9Bに示すように、基板10と、第1半導体層20と、発光層30と、第2半導体層40と、電極部材50と、誘電体層60と、高屈折率部144と、n側電極80とを備える。第2半導体層40は、導波路部40aと、平坦部40bとを有する。
本実施の形態では、高屈折率部144にイオン注入領域144iが形成されている。イオン注入領域144iは、発光層30で発生した光を吸収するイオンが注入された層である。イオン注入領域144iで光が吸収されるため、導波路部40a外を通過する高次モードの損失を高めることができ、基本モードの比率を高めることができる。イオン注入領域144iに注入するイオン種として、例えば、B、N、Ar、Fe、Mg、Siなどを用いることができる。イオン注入領域144iは、例えば、導波路部40a及び高屈折率部144を形成した後に、高屈折率部144の上方からイオンを注入することで形成できる。なお、イオン注入領域144iは、高屈折率部144だけでなく、高屈折率部144の下方に位置する半導体層にも形成されてもよい。また、イオン注入領域144iは、本実施の形態のように窒化物半導体からなる高屈折率部144だけでなく、実施の形態2に係る発明の誘電体からなる高屈折率部61に形成されてもよい。
(実施の形態4)
実施の形態4に係る窒化物半導体レーザ素子について説明する。本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子は、高次モードを散乱させる散乱部を有する点において、実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子1と相違する。以下、本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子について、実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子1との相違点を中心に図10A及び図10Bを用いて説明する。
図10A及び図10Bは、それぞれ、本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子1cの構成を示す模式的な上面図及び断面図である。図10Bには、図10AのXB−XB線における窒化物半導体レーザ素子1cの断面が示されている。
本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子1cは、図10Bに示すように、基板10と、第1半導体層20と、発光層30と、第2半導体層40と、電極部材50と、誘電体層60と、高屈折率部44と、n側電極80とを備える。第2半導体層40は、導波路部40aと、平坦部40bとを有する。
本実施の形態では、基板10は、第1半導体層20に対向する主面のうち高屈折率部44の下方に位置する領域に配置され、凹凸状の形状を有する散乱部11を有する。散乱部11により、導波路部40a外を通過する高次モードを散乱させることができるため、フロント側端面Cfから出射されるレーザ光に含まれる高次モードを低減できる。したがって、フロント側端面Cfから出射されるレーザ光に含まれる基本モードの比率を高めることができる。
(実施の形態5)
実施の形態5に係る窒化物半導体レーザ素子について説明する。本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子は、導波路部の形状において、実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子1と相違する。以下、本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子について、実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子1との相違点を中心に図11を用いて説明する。図11は、本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子1dの構成を示す上面図である。本実施の形態に係る窒化物半導体レーザ素子1dは、導波路部240aと、高屈折率部244とを有する。導波路部240aは、その上面視における形状において、実施の形態1に係る導波路部40aと相違する。導波路部240aの幅方向と交差する側面には、凹部240dが形成されている。導波路部240aは、上面視において、矩形の凹部240dを有する。また、凹部240dは、共振器長方向において離散的に配置されている。隣り合う凹部240dの間の導波路部240aの幅は一定である。
本実施の形態に係る高屈折率部244は、導波路部240aの凹部240dに配置され、上面視において矩形の形状を有する。つまり、高屈折率部244は、四角柱上の形状を有する。
このような構成を有する窒化物半導体レーザ素子1dにおいても実施の形態1に係る窒化物半導体レーザ素子1と同様の効果が奏される。
本開示に係る窒化物半導体レーザ素子は、画像表示装置、照明又は産業機器などの光源として利用することができ、特に、比較的に高い光出力を必要とする機器の光源として有用である。
1、1a、1b、1c、1d、1000 窒化物半導体レーザ素子
2 半導体レーザ装置
10 基板
11 散乱部
20 第1半導体層
30 発光層
31 n側光ガイド層
32 活性層
33 p側光ガイド層
40 第2半導体層
40a、240a、1040a 導波路部
40b 平坦部
40d、240d 凹部
41 電子障壁層
42 p側クラッド層
43 p側コンタクト層
44、61、144、244 高屈折率部
50 電極部材
51 p側電極
52 パッド電極
60 誘電体層
80 n側電極
91 第1保護膜
92 第2保護膜
100 サブマウント
101 基台
102a 第1電極
102b 第2電極
103a 第1接着層
103b 第2接着層
110 ワイヤ
144i イオン注入領域
1001 粗面光導波機構
1002 平行滑面光導波機構
Cf フロント側端面
Cr リア側端面

Claims (6)

  1. レーザ光を出射する窒化物半導体レーザ素子であって、
    基板と、
    前記基板の上方に配置される第1半導体層と、
    前記第1半導体層の上方に配置される発光層と、
    前記発光層の上方に配置される第2半導体層と、
    前記第2半導体層の上方に配置される誘電体層とを備え、
    前記第2半導体層は、前記レーザ光を導波する導波路部を有し、
    前記導波路部の少なくとも一部の幅は、前記導波路部の長手方向である共振器長方向の位置に対して変調されており、
    前記導波路部の幅方向と交差する側面と前記共振器長方向とのなす角度は、前記導波路部の内側及び前記導波路部の外側の有効屈折率で規定される限界角度より大きく、
    前記窒化物半導体レーザ素子は、前記導波路部の前記側面に形成される凹部に配置され、前記誘電体層より屈折率が高い高屈折率部をさらに備える
    窒化物半導体レーザ素子。
  2. 前記限界角度は、前記レーザ光が前記側面において全反射する角度の最大値である
    請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  3. 前記高屈折率部は、窒化物半導体で形成される
    請求項1又は2に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  4. 前記高屈折率部は、誘電体で形成される
    請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  5. 前記高屈折率部の少なくとも一部は、イオンが注入されたイオン注入領域である
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  6. 前記基板は、前記第1半導体層に対向する主面のうち前記高屈折率部の下方に位置する領域に配置され、凹凸状の形状を有する散乱部を有する
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザ素子。
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