JP2020155745A - 半導体発光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】信頼性を向上させることが可能な半導体発光装置を提供する。【解決手段】半導体発光素子1は、発光層30と、一方向に並ぶ複数の導波路81〜85と、を有する。半導体発光装置2は、半導体発光素子1と、半導体発光素子1の積層方向の一方の面に対して、第1接着層131を介して配置される第1基台110と、を備える。第1接着層131の熱伝導率は、複数の導波路81〜85の並び方向において、中央が外側よりも高くなっている。【選択図】図6
Description
本発明は、半導体発光装置に関し、たとえば、製品の加工等に用いて好適なものである。
近年、半導体発光装置が、様々な製品の加工に用いられている。この場合、加工品質を高めるために、半導体発光装置から出射される光は、高出力であることが好ましい。以下の特許文献1には、所定間隔をおいて一列に配列された複数のストライプを有する半導体発光素子と、この半導体発光素子が設置される支持体と、を備える半導体発光装置が記載されている。
上記特許文献1に記載の半導体発光装置では、半導体発光素子の発光動作に応じて複数のストライプにそれぞれ対応する導波路において熱が発生する。この熱が相互に干渉することにより、半導体発光素子の中央付近の領域の温度が、端部付近の領域の温度よりも高くなる。このように、半導体発光素子における温度分布が不均一になると、中央付近の領域が端部付近の領域よりも先に劣化することになり、結果、半導体発光装置の信頼性が低下するといった問題が生じる。
かかる課題に鑑み、本発明は、信頼性を向上させることが可能な半導体発光装置を提供することを目的とする。
本発明の主たる態様に係る半導体発光装置は、発光層と、一方向に並ぶ複数の導波路と、を有する半導体発光素子と、前記半導体発光素子の積層方向の一方の面に対して、第1接着層を介して配置される第1基台と、を備える。前記第1接着層の熱伝導率は、前記複数の導波路の並び方向において、中央が外側よりも高くなっている。
半導体発光素子の発光動作の際に、各導波路に対応する発光層の領域において熱が発生する。発生した熱は、半導体発光素子から第1接着層を介して第1基台へと移動し、第1基台から発散する。ここで、第1接着層の熱伝導率が場所によらず一定である場合、各導波路に対応する発光層の領域で発生した熱が相互干渉することにより、導波路の並び方向における半導体発光素子の中央付近の温度が高くなる。このため、半導体発光素子の中央付近に劣化が生じ易く、結果、半導体発光装置の信頼性の低下を招く。
これに対し、本態様に係る半導体発光装置によれば、第1接着層の熱伝導率が、複数の導波路の並び方向において、中央が外側よりも高くなっている。これにより、半導体発光素子の中央付近において、第1基台に対する熱の移動が促進される。このため、熱の相互干渉による中央付近の温度上昇が抑制され、導波路の並び方向における温度分布が均一に近付けられる。よって、半導体発光素子の寿命を長くでき、半導体発光装置の信頼性を向上させることができる。
以上のとおり、本発明によれば、信頼性を向上させることが可能な半導体発光装置を提供することができる。
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
以下、本発明の実施形態について図を参照して説明する。便宜上、各図には、互いに直交するX、Y、Z軸が付記されている。X軸方向は、導波路における光の伝搬方向であり、Y軸方向は、導波路の幅方向(導波路の並び方向)である。Z軸方向は、半導体発光素子を構成する各層の積層方向である。
<実施形態1>
図1(a)は、半導体発光素子1の構成を模式的に示す上面図であり、図1(b)は、半導体発光素子1の構成を模式的に示す断面図である。図1(a)では、便宜上、パッド電極52の図示が省略されている。図1(b)は、図1(a)においてA−A’で切断した半導体発光素子1をX軸正方向に見た断面図である。
図1(a)は、半導体発光素子1の構成を模式的に示す上面図であり、図1(b)は、半導体発光素子1の構成を模式的に示す断面図である。図1(a)では、便宜上、パッド電極52の図示が省略されている。図1(b)は、図1(a)においてA−A’で切断した半導体発光素子1をX軸正方向に見た断面図である。
図1(a)に示すように、半導体発光素子1には、X軸方向に延びた5つの導波路81〜85が設けられている。5つの導波路81〜85は、X軸方向に光を導くとともに、Y軸方向においてこれら導波路外への光の進行を制限する作用を有する。
端面1aは、半導体発光素子1の出射側の端面であり、端面1bは、半導体発光素子1の反射側の端面である。ここで、端面1b側から端面1aへと向かう光を「前進波」と称し、端面1a側から端面1bへと向かう光を「後退波」と称する。後退波は、導波路81〜85内をX軸負方向に進みながら増幅され、端面1bにおいて反射されて前進波となる。前進波は、導波路81〜85内をX軸正方向に進みながら増幅され、前進波の一部は、端面1aにおいて反射されて後退波となる。そして、前進波の一部は、出射光として端面1aからX軸正方向に出射される。このように、半導体発光素子1内で生じた光は、端面1aと端面1bとの間で増幅され、端面1aから出射される。
図1(b)に示すように、半導体発光素子1は、基板10と、第1半導体層20と、発光層30と、第2半導体層40と、電極部50と、誘電体層60と、n側電極70と、を備える。
基板10は、たとえば、GaN基板である。本実施形態では、基板10は、主面が(0001)面であるn型六方晶GaN基板である。
第1半導体層20は、基板10上に形成されている。第1半導体層20は、たとえば、Siドープされたn型AlGaNからなるn側クラッド層である。
発光層30は、第1半導体層20上に形成されている。発光層30は、窒化物半導体によって構成される。発光層30は、たとえば、n−GaNとアンドープInGaN層からなるn側光ガイド層31と、InGaN量子井戸層からなる活性層32と、アンドープInGaN層とMgドープされたp−GaNからなるp側光ガイド層33とが積層された構造を有する。発光領域30aは、5つの導波路81〜85に対応する位置の発光層30付近にそれぞれ存在し、半導体発光素子1から出射される光の大部分が発生および伝搬する領域である。
第2半導体層40は、発光層30上に形成されている。第2半導体層40は、たとえば、AlGaNからなる電子障壁層41と、Mgドープされたp型AlGaN層からなるp側クラッド層42と、同じくMgドープされたp型GaNからなるp側コンタクト層43とが積層された構造を有する。p側コンタクト層43は、5つの導波路81〜85の最上層として形成されている。第2半導体層40は、上面にX軸方向に延びた5つの突条部(ストライプ状の凸部)を有する。第2半導体層40に形成された5つの突条部により、5つの導波路81〜85が形成される。5つの導波路81〜85によって、光が5つの導波路81〜85に対応する5つの発光領域30a内をX軸方向に沿って進むようになる。
電極部50は、第2半導体層40上に形成されている。電極部50は、電流供給のためのp側電極51と、p側電極51上に形成されたパッド電極52と、を有する。p側電極51は、p側コンタクト層43上に形成され、図1(a)に示すように、導波路81〜85に沿ってX軸方向に延びている。p側電極51は、p側コンタクト層43とオーミック接触するオーミック電極である。p側電極51は、たとえば、Pd、Pt、Niなどの金属材料を用いて形成される。本実施形態では、p側電極51は、Pd/Ptの2層構造を有する。パッド電極52は、p側電極51と誘電体層60の上方に配置されており、半導体発光素子1の上面のほぼ全域を覆っている。パッド電極52は、たとえば、Ti、Ni、Pt、Auなどの金属材料を用いて形成される。本実施形態では、パッド電極52は、Ti/Pt/Auの3層構造を有する。
誘電体層60は、発光領域30aに光を閉じ込めるために、5つの導波路81〜85の外側に形成された絶縁膜である。本実施形態では、誘電体層60は、5つの導波路81〜85の周辺において、p側コンタクト層43の側面と、p側クラッド層42の突条部分の側面と、p側クラッド層42の突条部分の周辺の上面とにわたって、連続的に形成されている。本実施形態では、誘電体層60は、SiO2で形成される。
n側電極70は、基板10の下面に形成されており、基板10とオーミック接触するオーミック電極である。n側電極70は、たとえば、Ti/Pt/Auからなる積層膜である。
次に、半導体発光素子1の製造方法について、図2(a)〜図5(b)を参照して説明する。図2(a)〜図5(b)は、図1(b)と同様の断面図である。
図2(a)に示すように、主面が(0001)面であるn型六方晶GaN基板である基板10上に、有機金属気層成長法(Metalorganic Chemical Vapor Deposition:MOCVD法)により、第1半導体層20と、発光層30と、第2半導体層40とを順次成膜する。
具体的には、厚さ400μmの基板10上に、第1半導体層20としてn型AlGaNからなるn側クラッド層を3μm成長させる。続いて、n−GaNからなるn側光ガイド層31を0.1μm成長させる。続いて、InGaNからなるバリア層とInGaN量子井戸層との3周期からなる活性層32を成長させる。続いて、p−GaNからなるp側光ガイド層33を0.1μm成長させる。
続いて、AlGaNからなる電子障壁層41を10nm成長させる。続いて、膜厚1.5nmのp−AlGaN層と膜厚1.5nmのGaN層とを160周期繰り返して形成した厚さ0.48μmの歪超格子からなるp側クラッド層42を成長させる。続いて、p−GaNからなるp側コンタクト層43を0.05μm成長させる。ここで、各層において、Ga、AlおよびInを含む有機金属原料には、たとえば、それぞれトリメチルガリウム(TMG)、トリメチルアンモニウム(TMA)、トリメチルインジウム(TMI)を用いる。また、窒素原料には、アンモニア(NH3)を用いる。
次に、図2(b)に示すように、第2半導体層40上に、保護膜91を成膜する。具体的には、p側コンタクト層43上に、シラン(SiH4)を用いたプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、保護膜91として、シリコン酸化膜(SiO2)を300nm成膜する。
次に、図3(a)に示すように、フォトリソグラフィー法およびエッチング法を用いて、保護膜91が帯状に残るように、保護膜91を選択的に除去する。エッチング法としては、たとえば、CF4などのフッ素系ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)によるドライエッチング、または、1:10程度に希釈した弗化水素酸(HF)などを用いたウェットエッチングを用いることができる。
次に、図3(b)に示すように、帯状に形成された保護膜91をマスクとして、p側コンタクト層43およびp側クラッド層42をエッチングすることで、第2半導体層40に5つの突条部(ストライプの凸部、リッジストライプ部)を形成する。p側コンタクト層43およびp側クラッド層42のエッチングとしては、Cl2などの塩素系ガスを用いたRIE法によるドライエッチングを用いることができる。
次に、図4(a)に示すように、帯状の保護膜91を、弗化水素酸などを用いたウェットエッチングによって除去した後、p側コンタクト層43およびp側クラッド層42を覆うように、誘電体層60を成膜する。誘電体層60として、たとえば、シラン(SiH4)を用いたプラズマCVD法によって、シリコン酸化膜(SiO2)を300nm成膜する。
次に、図4(b)に示すように、フォトリソグラフィー法と弗化水素酸を用いたウェットエッチングとにより、第2半導体層40の突条部上の誘電体層60のみを除去して、p側コンタクト層43の上面を露出させる。その後、真空蒸着法およびリフトオフ法を用いて、第2半導体層40の突条部上のみにPd/Ptからなるp側電極51を形成する。具体的には、誘電体層60から露出させたp側コンタクト層43の上にp側電極51を形成する。
次に、図5(a)に示すように、p側電極51および誘電体層60を覆うようにパッド電極52を形成する。具体的には、フォトリソグラフィー法などによって、形成したい部分以外にレジストをパターニングし、基板10の上方の全面に真空蒸着法などによってTi/Pt/Auからなるパッド電極52を形成し、リフトオフ法を用いて不要な部分の電極を除去する。これにより、p側電極51および誘電体層60の上に所定形状のパッド電極52を形成できる。こうして、p側電極51およびパッド電極52からなる電極部50が形成される。
次に、厚さ400μmの基板10の下面を研磨することで80μm厚とした後に、図5(b)に示すように、基板10の下面にn側電極70を形成する。具体的には、基板10の裏面に真空蒸着法などによってTi/Pt/Auからなるn側電極70を形成し、フォトリソグラフィー法およびエッチング法を用いてパターニングすることで、所定形状のn側電極70を形成する。
その後、劈開により端面1a、1bを形成し、端面1a、1bに、誘電体多層膜などの端面コート膜を形成する。こうして、図1(a)、(b)に示した半導体発光素子1が完成する。
図6は、半導体発光装置2の構成を模式的に示す断面図である。図6では、図1(b)に示した半導体発光素子1の上面(p側の面)が、下方向(Z軸負方向)に向けられている。
半導体発光装置2は、半導体発光素子1と、2つのサブマウント100、200と、を備える。
サブマウント100は、第1基台110と、第1電極121と、電極122と、第1接着層131と、接着層132と、を備える。
第1基台110は、たとえば、アルミナイトライド(AlN)やシリコンカーバイト(SiC)などのセラミック、CVDで成膜されたダイヤモンド(C)、CuやAlなどの金属単体、または、CuWなどの合金など、半導体発光素子1と比べて熱伝導率が同等かそれ以上の材料で構成される。
第1電極121は、半導体発光素子1に向き合う第1基台110の面に蒸着により形成され、電極122は、第1電極121が形成された面とは反対側の第1基台110の面に蒸着により形成される。第1電極121と電極122は、たとえば、Ti(0.1μm)、Pt(0.2μm)およびAu(0.2μm)の金属からなる積層膜である。なお、第1基台110が導電性であり、かつ、第1基台110と第1接着層131との密着性が良好な場合は、第1電極121は省略されてもよい。
第1接着層131は、第1電極121上に形成され、接着層132は、電極122上に形成される。第1接着層131は、たとえば、Au(80%)およびSn(20%)の組成を基準として、Y軸方向の位置に応じてAu組成比率が異なっている金スズ合金からなる共晶はんだ(6μm)である。第1接着層131のAu組成比率については、追って図7(c)を参照して説明する。接着層132は、Au(80%)およびSn(20%)の組成を基準として、Y軸方向の位置によらずAu組成比率が一定の金スズ合金からなる共晶はんだ(6μm)である。
半導体発光素子1は、ジャンクションダウン方式で、第1基台110を介して半導体発光装置2に実装されている。すなわち、半導体発光素子1のp側の面(第2半導体層40に形成された突条部側の面)が、第1基台110を介して半導体発光装置2の内部に設置されている。具体的には、半導体発光素子1のパッド電極52が、第1接着層131を介して、第1基台110上に形成された第1電極121に設置され、第1基台110上に形成された電極122が、接着層132を介して半導体発光装置2の内部に設置されている。
サブマウント200は、第2基台210と第2接着層220を備える。
第2基台210は、第1基台110と同様の材料で構成される。第2接着層220は、半導体発光素子1に向き合う第2基台210の面に形成される。第2接着層220は、Au(80%)およびSn(20%)の組成を基準として、Y軸方向の位置によらずAu組成比率が一定の金スズ合金からなる共晶はんだ(6μm)である。第2接着層220のAu組成比率については、追って図8(c)を参照して説明する。半導体発光素子1のn側の面(基板10側の面)は、第2接着層220を介して第2基台210に設置される。
次に、図7(a)〜(c)を参照して、第1接着層131の設置と、第1接着層131のY軸方向におけるAu組成比率とについて説明する。
図7(a)は、第1基台110に配置された半田部材131aを模式的に示す上面図である。図7(a)は、第1基台110および第1基台110上に形成された第1電極121を、Z軸負方向に見た場合の平面図である。図7(a)には、便宜上、Z軸方向に見た場合の半導体発光素子1の位置と5つの導波路81〜85の位置とが破線により示されている。
半導体発光素子1を第1基台110上の第1電極121に接着する場合、図7(a)に示すように、複数の半田部材131aを第1電極121上に配置する。図7(a)には、33個の半田部材131aが、Y軸方向に並んでいる。半田部材131aは、Y軸方向の幅が導波路81〜85と比較して狭く、X軸方向の長さが半導体発光素子1よりも長い。図7(a)のように複数の半田部材131aを配置した後、全ての半田部材131aを熱で溶かし、半導体発光素子1を半田部材131a上に設置する。これにより、半導体発光素子1と第1電極121とが半田部材131aにより接着され、複数の半田部材131aは、Y軸方向に繋がって第1接着層131となる。
図7(b)は、Y軸方向に並んだ複数の半田部材131aのAu組成比率を示すグラフである。図7(b)において、横軸はY軸方向の位置を示しており、縦軸はAu組成比率を示している。図7(b)のY軸方向における5つの範囲A1〜A5は、それぞれ、5つの導波路81〜85の位置を示している。
図7(b)に示すように、隣り合う半田部材131aのAu組成比率は互いに異なっているものの、1つの半田部材131aにおけるAu組成比率は一定である。また、33個の半田部材131aのAu組成比率は、Y軸方向の位置に応じて異なっている。具体的には、Y軸正側の端およびY軸負側の端からY軸方向の中央に向かって徐々にAu組成比率が高くなるように、複数の半田部材131aのAu組成比率が設定されている。
図7(c)は、半導体発光素子1と第1電極121とが接着された後の第1接着層131のAu組成比率を示すグラフである。
図7(b)に示すように複数の半田部材131aのAu組成比率が設定され、これら半田部材131aが熱で溶かされて半導体発光素子1と第1電極121とが接着されると、形成される第1接着層131のAu組成比率は、図7(c)に示すようになる。図7(c)において、第1接着層131のAu組成比率は、複数の導波路81〜85の並び方向(Y軸方向)において、外側から中央に進むにつれて高くなっている。
なお、実際には、第1接着層131のAu組成比率は、半田部材131aの位置ごとに平坦な領域が生じ得る。半田部材131aの数が増加するに伴い、平坦な領域が狭くなり、第1接着層131のAu組成比率が図7(c)のような滑らかな分布に近づく。また、半田部材131a間の隙間が小さくなると、半田部材131aの溶融時に、隣り合う半田部材131a間の境界において、これら半田部材131aが混ざりあう。これにより、各境界における第1接着層131のAu組成比率がなだらかに変化し、結果、第1接着層131のAu組成比率が図7(c)のような滑らかな分布に近づく。
次に、図8(a)、(b)を参照して、第2接着層220の設置と、第2接着層220のY軸方向におけるAu組成比率とについて説明する。
図8(a)は、第2基台210に配置された第2接着層220を模式的に示す上面図である。図8(a)は、第2基台210をZ軸正方向に見た場合の平面図である。図8(a)には、便宜上、Z軸方向に見た場合の半導体発光素子1の位置と5つの導波路81〜85の位置とが破線により示されている。
半導体発光素子1を第2基台210に設置する場合、図8(a)に示すように、1つの半田部材220aを第2基台210上に配置する。半田部材220aの外径は、半導体発光素子1の外径よりも大きい。図8(a)のように半田部材220aを配置した後、半田部材220aを熱で溶かし、半導体発光素子1を半田部材220a上に接着する。これにより、半導体発光素子1と第2基台210とが半田部材220aにより接着され、半田部材220aは、第2接着層220となる。
図8(b)は、半田部材220aのAu組成比率を示すグラフである。図8(b)において、横軸はY軸方向の位置を示しており、縦軸はAu組成比率を示している。図8(b)のY軸方向における5つの範囲A1〜A5は、それぞれ、5つの導波路81〜85の位置を示している。
図8(b)に示すように、半田部材220aのAu組成比率は、Y軸方向の位置によらず一定である。図8(b)に示すように半田部材220aのAu組成比率が設定され、半田部材220aが熱で溶かされて半導体発光素子1と第2基台210とが接着されると、形成される第2接着層220のAu組成比率は、図8(c)に示すように一定になる。
図9(a)は、Sn組成比率と熱伝導率との関係を示すグラフである。図9(a)のグラフは、「物性値 平衡状態図 | 三菱マテリアル高機能製品カンパニー電子材料事業部」(http://www.mmc.co.jp/adv/ele/ja/products/assembly/ausn-special03.html)に基づいて、発明者らが作成したものである。
図9(a)に示すように、Au組成比率が高くなりSn組成比率が小さくなると、熱伝導率は上昇することが分かる。
ここで、従来、半導体発光素子1をサブマウントに接着するために用いられた接着層の材料は、Au(80%)およびSn(20%)の組成からなる金スズ合金(Au0.8Sn0.2)であった。この場合の接着層の熱伝導率は、図9(a)のグラフに示すように、約57W/m・Kである。また、半導体発光素子1はほぼGaNで構成されていることから、半導体発光素子1の熱伝導率は、約200W/m・Kである。このように、半導体発光素子1の熱伝導率に比べて数段低い接着層が用いられると、第1基台110および第2基台210を熱伝導率の高い材料で構成したとしても、半導体発光素子1から第1基台110および第2基台210へと熱が円滑に伝導せず、特に発光層30の中央付近に熱が滞留することになる。
そこで、実施形態1では、第1接着層131を、従来のAu組成比率(80%)に対して、第1接着層131の中央付近のAu組成比率が、従来値よりも高い値となるように設定される。たとえば、図7(c)のグラフにおいて、第1接着層131の端部付近のAu組成比率が従来値の80%程度となり、第1接着層131の中央付近のAu組成比率が95%程度となるよう、第1接着層131のAu組成比率が設定される。一方、第2接着層220のAu組成比率は、従来値の80%程度に設定される。このように第1接着層131のAu組成比率が設定されると、発光層30の中央付近で滞留した熱が、第1接着層131を介して円滑に第1基台110へと伝導しやすくなる。
図9(b)は、第1接着層131の熱伝導率を示すグラフである。
図9(a)に示したようにAu組成比率が高くなると熱伝導率は上昇するため、図7(c)に示すように第1接着層131のAu組成比率が設定されると、第1接着層131の熱伝導率は、Y軸方向において外側から中央に進むにつれて高く設定されることになる。一方、図8(c)に示すように第2接着層220のAu組成比率は一定であるため、第2接着層220の熱伝導率は、Y軸方向の位置によらず一定である。
図9(c)は、実施形態1および比較例に係る半導体発光素子1のY軸方向における温度を概念的に示す図である。
ここで、第1接着層131のAu組成比率が、第2接着層220と同様にY軸方向の位置によらず一定である比較例について考える。この比較例においては、第1基台110へと繋がる第1接着層131および第2基台210へと繋がる第2接着層220の両方において、Y軸方向の位置によらず熱伝導率が一定であるため、5つの導波路81〜85の並び方向(Y軸方向)における半導体発光素子1の中央付近の熱は、半導体発光素子1内で滞留しやすい。このため、比較例の場合は、図9(c)のグラフに示すように、5つの導波路81〜85で生じた熱の相互干渉により、発光層30の中央付近(導波路83に対応する発光領域30a付近)の温度が高くなる。
これに対し、実施形態1では、第1基台110へと繋がる第1接着層131において、図9(b)に示したようにY軸方向の中央付近の熱伝導率が高められているため、5つの導波路81〜85の並び方向(Y軸方向)における半導体発光素子1の中央付近の熱は、より円滑に第1基台110へと伝導する。これにより、図9(c)のグラフに示すように、比較例のグラフと比較して、5つの導波路81〜85の並び方向の中央付近(導波路83に対応する発光領域30a付近)の温度が低くなる。
<実施形態1の効果>
実施形態1によれば、以下の効果が奏される。
実施形態1によれば、以下の効果が奏される。
半導体発光素子1の発光動作の際に、5つの導波路81〜85に対応する発光領域30aにおいて熱が発生する。発生した熱は、半導体発光素子1から第1接着層131を介して第1基台110へと移動し、第1基台110から発散する。ここで、第1接着層131の熱伝導率が場所によらず一定である場合、各導波路に対応する発光領域30aで発生した熱が相互干渉することにより、図9(c)の比較例のグラフに示したように、5つの導波路81〜85の並び方向(Y軸方向)における半導体発光素子1の中央付近の温度が高くなる。このため、半導体発光素子1の中央付近に劣化が生じ易く、結果、半導体発光装置2の信頼性の低下を招く。
これに対し、実施形態1の半導体発光装置2によれば、第1接着層131の熱伝導率が、複数の導波路81〜85の並び方向(Y軸方向)において、中央が外側よりも高くなっている。これにより、半導体発光素子1の中央付近において、第1基台110に対する熱の移動が促進される。このため、熱の相互干渉による中央付近の温度上昇が抑制され、図9(c)の実施形態1のグラフに示したように、5つの導波路81〜85の並び方向(Y軸方向)における半導体発光素子1の温度分布が均一に近付けられる。よって、半導体発光素子1の寿命を長くでき、半導体発光装置2の信頼性を向上させることができる。
また、半導体発光素子1は、ジャンクションダウン方式で第1基台110を介して半導体発光装置2に実装されている。これにより、半導体発光素子1で生じた熱を第1接着層131および第1基台110を介して、半導体発光装置2のパッケージ等へ円滑に移動させることができる。
なお、第2接着層220は、第1接着層131のようにY軸方向の位置に応じて熱伝導率が異なるように設定されていないが、発光層30から生じた熱の一部は、第2接着層220を介して第2基台210へと伝導し除去される。したがって、実施形態1によれば、第1接着層131を介した放熱と合わせて第2接着層220を介した放熱が行われるため、発光層30の温度を効果的に下げることができる。
<実施形態2>
実施形態1では、第1接着層131の熱伝導率は、図9(b)に示したように外側から中央に向かってなだらかに高くなっていた。これに対し、実施形態2では、第1接着層131の熱伝導率は、外側から中央に向かって段階的に高くなっている。
実施形態1では、第1接着層131の熱伝導率は、図9(b)に示したように外側から中央に向かってなだらかに高くなっていた。これに対し、実施形態2では、第1接着層131の熱伝導率は、外側から中央に向かって段階的に高くなっている。
図10は、実施形態2の半導体発光装置2の構成を模式的に示す断面図である。
実施形態2では、実施形態1と比較して、第1接着層131のAu組成比率のみが異なっている。図10に示す領域R11〜R15は、5つの導波路81〜85に対応する第1接着層131の部分である。5つの領域R11〜R15のY軸方向の位置は、それぞれ、5つの導波路81〜85のY軸方向の位置を含んでいる。5つの領域R11〜R15のY軸方向における幅は互いに等しい。そして、第1接着層131の5つの領域R11〜R15の熱伝導率は、Y軸方向において、外側から中央に進むにつれて段階的に高くなっている。
図11(a)は、第1基台110に配置された半田部材131aを模式的に示す上面図である。
半導体発光素子1を第1基台110上の第1電極121に接着する場合、図11(a)に示すように、複数の半田部材131aを第1電極121上に配置する。図11(a)には、7個の半田部材131aが、Y軸方向に並んでいる。中央に位置する5つの半田部材131aは、Y軸方向の幅が図10の5つの領域R11〜R15のY軸方向における幅とほぼ同じであり、X軸方向の長さが半導体発光素子1よりも長い。図11(a)のように複数の半田部材131aを配置した後、全ての半田部材131aを熱で溶かし、半導体発光素子1を半田部材131a上に設置する。これにより、半導体発光素子1と第1電極121とが半田部材131aにより接着され、複数の半田部材131aは、Y軸方向に繋がって第1接着層131となる。
図11(b)は、Y軸方向に並んだ複数の半田部材131aのAu組成比率を示すグラフである。図11(b)のグラフには、領域R11〜R15に対応する位置があわせて示されている。
実施形態2においても、実施形態1と同様、隣り合う半田部材131aのAu組成比率は互いに異なっているものの、1つの半田部材131aにおけるAu組成比率は一定である。また、7個の半田部材131aのAu組成比率は、Y軸方向の位置に応じて異なっている。
図11(c)は、半導体発光素子1と第1電極121とが接着された後の第1接着層131のAu組成比率を示すグラフである。
図11(b)に示すように複数の半田部材131aのAu組成比率が設定され、これら半田部材131aが熱で溶かされて半導体発光素子1と第1電極121とが接着されると、形成される第1接着層131のAu組成比率は、図11(c)に示すようになる。
実施形態2では、半田部材131aのY軸方向の幅が実施形態1に比べて長いため、接着後の第1接着層131のAu組成比率は、Y軸方向の位置に応じて階段状になっている。すなわち、第1接着層131の5つの領域R11〜R15のAu組成比率は、Y軸方向において、外側から中央に進むにつれて段階的に高くなっている。したがって、実施形態2の第1接着層131の熱伝導率は、図12(a)に示すように、階段状に設定されることになる。すなわち、実施形態2の5つの領域R11〜R15のAu組成比率は、Y軸方向において、外側から中央に進むにつれて段階的に高くなる。
図12(a)に示すように第1接着層131の熱伝導率が設定されると、実施形態1と同様、5つの導波路81〜85の並び方向(Y軸方向)における半導体発光素子1の中央付近の熱は、円滑に第1基台110へと伝導し除去される。これにより、図12(b)の実施形態2のグラフに示すように、比較例のグラフと比較して、5つの導波路81〜85の並び方向の中央付近の温度が低くなる。
以上、実施形態2によれば、実施形態1と同様、第1接着層131の熱伝導率は、5つの導波路81〜85の並び方向(Y軸方向)において、中央が外側よりも高くなっている。これにより、5つの導波路81〜85の並び方向における半導体発光素子1の温度分布が均一に近付けられる。よって、半導体発光素子1の寿命を長くでき、半導体発光装置2の信頼性を向上させることができる。
また、実施形態2によれば、第1接着層131の5つの領域R11〜R15において、図11(c)に示すように、各領域内の熱伝導率が一定である。これにより、5つの領域R11〜R15の位置にそれぞれ対応する半導体発光素子1の温度は、図12(b)に示すように、各領域内においてほぼ一定となる。このため、各導波路に対応する発光層30(発光領域30a)において、発光領域30aのY軸正側の端部とY軸負側の端部の温度をほぼ同じにすることができる。これにより、各発光領域30aにおいて、Y軸方向の片側から劣化が進むといった事態を避けることができるため、各導波路に対応する発光層30の劣化を抑制できる。よって、半導体発光装置2の信頼性を向上させることができる。
<実施形態3>
実施形態2では、第1接着層131の熱伝導率をY軸方向において異ならせるために、図11(b)のように熱伝導率が設定された複数の半田部材131aにより、第1接着層131が構成された。これに対し、実施形態3では、実施形態2と同様の複数の半田部材131aの間に、第1接着層131内を伝導する熱を遮断するための遮熱部がさらに設けられる。
実施形態2では、第1接着層131の熱伝導率をY軸方向において異ならせるために、図11(b)のように熱伝導率が設定された複数の半田部材131aにより、第1接着層131が構成された。これに対し、実施形態3では、実施形態2と同様の複数の半田部材131aの間に、第1接着層131内を伝導する熱を遮断するための遮熱部がさらに設けられる。
図13は、実施形態3の半導体発光装置2の構成を模式的に示す断面図である。
実施形態3では、実施形態2と比較して、第1接着層131の領域R11〜R15の間で熱を遮断するために、遮熱部として6つの突条部110aが設けられている。突条部110aは、第1接着層131の領域R11〜R15において、各領域のY軸方向の端部に設けられている。すなわち、6つの突条部110aは、第1基台110の半導体発光素子1と向かい合う上面(Z軸正側の面)において、領域R11〜R15の境界部分に設けられている。
図14(a)は、突条部110aの構成を模式的に示す斜視図である。
6つの突条部110aは、Y軸方向の幅は狭く、X軸方向の長さは第1基台110のX軸方向の長さとほぼ同じとなるように構成されている。6つの突条部110aは、第1基台110の上面において、突条部110aに対応する領域以外の領域がエッチングで除かれることにより形成される。
実施形態3では、図14(a)に示すように6つの突条部110aが形成された第1基台110の上面に対して、第1電極121が蒸着により形成される。これにより、図13に示すように、第1基台110の上面が第1電極121により覆われる。その後、実施形態2と同様、図11(b)のようにAu組成比率が設定された複数の半田部材131aが、領域R11〜R15に対応する第1基台110の上面に、図11(a)のように配置され、半導体発光素子1と第1基台110とが第1接着層131により接着される。すなわち、突条部110aで区切られた各領域に半田部材131aが配置されて、半導体発光素子1と第1基台110とが第1接着層131により接着される。これにより、図13に示すように、第1接着層131の5つの領域R11〜R15が、突条部110aにより区切られる。
実施形態3によれば、第1接着層131の隣り合う2つの領域の間に突条部110aが設けられているため、隣り合う2つの領域において、突条部110aにより熱の移動が抑制される。これにより、各導波路に対応する発光領域30a内の温度を、さらに均一にすることができる。よって、各導波路に対応する発光層30の劣化を、実施形態2と比較して、さらに抑制することができる。
また、第1接着層131内を伝導する熱を遮断するための遮熱部として、第1基台110に突条部110aが設けられた。このように突条部110aによって遮熱部が構成されると、遮熱部を精度よく簡便に形成できる。
<実施形態3の変更例>
実施形態3では、第1接着層131の隣り合う2つの領域の間を伝導する熱を遮断するための遮熱部として、第1基台110に突条部110aが設けられたが、遮熱部の構成はこれに限らず、たとえば、図14(b)に示すように、突条部110aに代えて仕切部材140が設けられてもよい。
実施形態3では、第1接着層131の隣り合う2つの領域の間を伝導する熱を遮断するための遮熱部として、第1基台110に突条部110aが設けられたが、遮熱部の構成はこれに限らず、たとえば、図14(b)に示すように、突条部110aに代えて仕切部材140が設けられてもよい。
図14(b)は、本変更例の仕切部材140の構成を模式的に示す斜視図である。
仕切部材140は、X軸方向に延びた6つの壁部141と、6つの壁部141に架けられY軸方向に延びた2つの支持部142と、を備える。2つの支持部142は、壁部141のX軸正側およびX軸負側の端部に設けられている。図14(b)では、2つの支持部142のうち、X軸負側の支持部142のみが図示されている。支持部142のY軸正側およびY軸負側の端部には、それぞれ、Z軸負方向に突出した鍔部142aが設けられている。2つの鍔部142aが、第1基台110のY軸正側の側面およびY軸負側の側面にそれぞれ掛かるようにして、第1基台110の上面に対して仕切部材140が設置される。これにより、壁部141を、実施形態3の突条部110aと同様の位置に、簡便に位置付けることができる。
本変更例では、図14(b)に示すように仕切部材140が第1基台110に設置された後、第1基台110の上面に対して、第1電極121が蒸着により形成される。あるいは、仕切部材140が第1基台110に設置される前に、第1基台110の上面に対して、第1電極121が蒸着により形成され、その後、第1基台110の上面(第1電極121の上面)に対して、仕切部材140が設置されてもよい。
本変更例によれば、第1接着層131の隣り合う2つの領域の間に仕切部材140の壁部141が設けられているため、隣り合う2つの領域の間の熱の移動が、壁部141により抑制される。このため、実施形態3と同様、各導波路に対応する発光領域30a内の温度を均一にすることができる。
<実施形態4>
実施形態3では、第1接着層131の領域R11〜R15の間で熱の伝導を遮断するために、遮熱部(突条部110a)が設けられた。これに対し、実施形態4では、第2接着層220の熱伝導率が、外側から中央に向かって段階的に高く設定され、第2接着層220の領域R21〜R25の間で熱の伝導を遮断するための遮熱部が設けられる。
実施形態3では、第1接着層131の領域R11〜R15の間で熱の伝導を遮断するために、遮熱部(突条部110a)が設けられた。これに対し、実施形態4では、第2接着層220の熱伝導率が、外側から中央に向かって段階的に高く設定され、第2接着層220の領域R21〜R25の間で熱の伝導を遮断するための遮熱部が設けられる。
図15は、実施形態4の半導体発光装置2の構成を示す断面図である。
図15に示す領域R21〜R25は、5つの導波路81〜85に対応する第2接着層220の部分である。5つの領域R21〜R25のY軸方向の位置および幅は、実施形態2、3の5つの領域R11〜R15と同じである。第2接着層220の5つの領域R21〜R25の熱伝導率は、実施形態2、3の5つの領域R11〜R15の熱伝導率と同様、Y軸方向において、外側から中央に進むにつれて段階的に高くなっている。
また、実施形態4では、第2接着層220の領域R21〜R25の間で伝導する熱を遮断するために、遮熱部として第2基台210に6つの突条部210aが設けられている。6つの突条部210aは、Y軸方向において、6つの突条部110aと同じ位置に設けられている。
実施形態4によれば、第2接着層220の熱伝導率が、Y軸方向において、中央が外側よりも高くなっている。これにより、第1接着層131による効果に加えて、半導体発光素子1の中央付近において、第2基台210に対する熱の移動がさらに促進される。このため、熱の相互干渉による中央付近の温度上昇がさらに抑制され、5つの導波路81〜85の並び方向(Y軸方向)における温度分布がさらに均一に近付けられる。よって、半導体発光装置2の信頼性をさらに向上させることができる。
また、実施形態4によれば、実施形態2、3の第1接着層131と同様、第2接着層220の5つの領域R21〜R25において、各領域内の熱伝導率が一定である。また、第2接着層220の隣り合う領域の間には突条部210aが設けられている。これにより、第2接着層220の隣り合う領域において熱の移動がさらに抑制され、発光領域30aのY軸正側の端部とY軸負側の端部の温度を、さらに近付けることができる。よって、各導波路に対応する発光領域30a内の温度がさらに均一になるため、各導波路に対する発光層30の劣化をさらに抑制できる。
<その他の変更例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、他に種々の変更が可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、他に種々の変更が可能である。
たとえば、実施形態1〜3では、第2接着層220の熱伝導率は、Y軸方向の位置によらず一定とされたが、実施形態1〜3の第1接着層131と同様に、Y軸方向の位置によって異なってもよい。
すなわち、第2接着層220の熱伝導率は、実施形態1の第1接着層131と同様、図16(a)に示すように、Y軸方向において外側から中央に向かうにつれて高くなってもよい。この場合、第1接着層131の熱伝導率は、たとえば、図16(b)に示すように、実施形態1と同様に設定される。また、第2接着層220の熱伝導率は、実施形態2、3の第1接着層131と同様、図17(a)に示すように、外側から中央に進むにつれて段階的に高くなってもよい。この場合、第1接着層131の熱伝導率は、たとえば、図17(b)に示すように、実施形態2、3と同様に設定される。
このように、第2接着層220の熱伝導率についても、導波路81〜85の並び方向の中央付近を端部付近に比べて高めることにより、半導体発光素子1の中央付近の熱の移動がさらに促進される。よって、中央付近における半導体発光素子1の劣化を抑制でき、半導体発光装置2の信頼性をさらに向上させることができる。
また、実施形態1〜4では、第1接着層131の熱伝導率は、Y軸方向の位置によって異なっていたが、実施形態1の第2接着層220の熱伝導率と同様に、Y軸方向の位置によらず一定であってもよい。この場合、第2接着層220の熱伝導率は、実施形態1〜3の第1接着層131と同様に、Y軸方向の位置によって異なるように設定される。
このように、サブマウント100側の第1接着層131と、サブマウント200側の第2接着層220の少なくとも一方において、熱伝導率がY軸方向の位置によって異なるように設定されるのが好ましい。これにより、Y軸方向における半導体発光素子1の中央付近の温度が低くなるため、半導体発光装置2の信頼性を向上させることができる。
なお、半導体発光素子1においてはp側(導波路側)の面において温度が上昇しやすいため、半導体発光素子1のp側が向けられた接着層において、熱伝導率がY軸方向の位置によって異なるように設定されるのが好ましい。すなわち、実施形態1〜4のように、半導体発光素子1がジャンクションダウン方式で設置される場合、第1接着層131のY軸方向の中央において熱伝導率が高められるのが好ましい。ただし、半導体発光素子1がジャンクションアップ方式で設置される場合、半導体発光素子1の熱は、第1接着層131を介して第1基台110側に移動しやすいため、第1接着層131のY軸方向の中央において熱伝導率が高められるのが好ましい。
また、上記実施形態では、半導体発光素子1において導波路は5つ設けられたが、これに限らず、2つ以上設けられてもよい。導波路の個数が偶数である場合も、第1接着層131または第2接着層220の熱伝導率が、Y軸方向において中央が外側よりも高く設定されることにより、熱の相互干渉により高温となりやすい半導体発光素子1の中央付近の熱が、第1基台110または第2基台210へと効果的に伝導し除去される。これにより、Y軸方向における半導体発光素子1の温度分布が均一に近付けられるため、半導体発光装置2の信頼性を向上させることができる。
また、上記実施形態において、第2基台210と第2接着層220との間に、第1電極121と同様の電極を設けてもよい。
また、上記実施形態では、半導体発光素子1のn側の面(基板10側の面)から発光層30で生じた熱を放熱させるためにサブマウント200が設けられたが、サブマウント200による放熱性能を高める必要が無い場合には、第2接着層220を省略してもよい。この場合、n側電極70と第2基台210とを電気的に接続するために、第1電極121と同様の電極が設けられる。また、サブマウント200を用いて放熱させる必要がない場合には、サブマウント200自体を省略してもよい。この場合、半導体発光素子1のn側電極70に直接ワイヤーボンドを施し、n側電極70に給電配線を設置してもよい。
また、上記実施形態では、半導体発光素子1のp側(導波路81〜85側)をサブマウント100に接続するジャンクションダウン方式により、半導体発光素子1が半導体発光装置2内に設置されたが、これに限らず、半導体発光素子1のn側(n側電極70)をサブマウント100に接続するジャンクションアップ方式により、半導体発光素子1が半導体発光装置2内に設置されてもよい。
なお、半導体発光装置2は、製品の加工に限らず、他の用途に用いられてもよい。
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
1 半導体発光素子
2 半導体発光装置
30 発光層
81〜85 導波路
110 第1基台
110a 突条部(第1突条部、第1遮熱部)
131 第1接着層
141 壁部(第1遮熱部)
210 第2基台
210a 突条部(第2突条部、第2遮熱部)
220 第2接着層
R11〜R15 領域(第1領域)
R21〜R25 領域(第2領域)
2 半導体発光装置
30 発光層
81〜85 導波路
110 第1基台
110a 突条部(第1突条部、第1遮熱部)
131 第1接着層
141 壁部(第1遮熱部)
210 第2基台
210a 突条部(第2突条部、第2遮熱部)
220 第2接着層
R11〜R15 領域(第1領域)
R21〜R25 領域(第2領域)
Claims (12)
- 発光層と、一方向に並ぶ複数の導波路と、を有する半導体発光素子と、
前記半導体発光素子の積層方向の一方の面に対して、第1接着層を介して配置される第1基台と、を備え、
前記第1接着層の熱伝導率は、前記複数の導波路の並び方向において、中央が外側よりも高くなっている、
ことを特徴とする半導体発光装置。 - 請求項1に記載の半導体発光装置において、
前記第1接着層の熱伝導率は、前記複数の導波路の並び方向において、外側から中央に進むにつれて高くなっている、
ことを特徴とする半導体発光装置。 - 請求項1に記載の半導体発光装置において、
前記複数の導波路にそれぞれ対応する前記第1接着層の複数の第1領域の熱伝導率は、前記複数の導波路の並び方向において、外側から中央に進むにつれて段階的に高くなっている、
ことを特徴とする半導体発光装置。 - 請求項3に記載の半導体発光装置において、
前記第1接着層の隣り合う前記第1領域の間には、前記第1接着層内を伝導する熱を遮断するための第1遮熱部が設けられている、
ことを特徴とする半導体発光装置。 - 請求項4に記載の半導体発光装置において、
前記第1遮熱部は、前記第1基台に設けられた第1突条部により形成される、
ことを特徴とする半導体発光装置。 - 請求項1ないし5の何れか一項に記載の半導体発光装置において、
前記半導体発光素子は、ジャンクションダウン方式で、前記第1基台を介して前記半導体発光装置に実装されている、
ことを特徴とする半導体発光装置。 - 請求項1ないし6の何れか一項に記載の半導体発光装置において、
前記半導体発光素子の前記一方の面とは反対側の面に対して、第2接着層を介して配置された第2基台を備える、
ことを特徴とする半導体発光装置。 - 請求項7に記載の半導体発光装置において、
前記第2接着層の熱伝導率は、前記複数の導波路の並び方向において、中央が外側よりも高くなっている、
ことを特徴とする半導体発光装置。 - 請求項8に記載の半導体発光装置において、
前記第2接着層の熱伝導率は、前記複数の導波路の並び方向において、外側から中央に進むにつれて高くなっている、
ことを特徴とする半導体発光装置。 - 請求項8に記載の半導体発光装置において、
前記複数の導波路にそれぞれ対応する前記第2接着層の複数の第2領域の熱伝導率は、前記複数の導波路の並び方向において、外側から中央に進むにつれて段階的に高くなっている、
ことを特徴とする半導体発光装置。 - 請求項10に記載の半導体発光装置において、
前記第2接着層の隣り合う前記第2領域の間には、前記第2接着層内を伝導する熱を遮断するための第2遮熱部が設けられている、
ことを特徴とする半導体発光装置。 - 請求項11に記載の半導体発光装置において、
前記第2遮熱部は、前記第2基台に設けられた第2突条部により形成される、
ことを特徴とする半導体発光装置。
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