JP2021014277A

JP2021014277A - ラベルプリンター

Info

Publication number: JP2021014277A
Application number: JP2019128888A
Authority: JP
Inventors: 高見　徹; Toru Takami; 徹高見
Original assignee: Seiko Epson Corp
Current assignee: Seiko Epson Corp
Priority date: 2019-07-11
Filing date: 2019-07-11
Publication date: 2021-02-12
Anticipated expiration: 2039-07-11
Also published as: US20210008897A1; CN112208882A; US11267257B2; JP7326949B2; CN112208882B

Abstract

【課題】ラベル紙の搬送精度の低下を防ぐ。【解決手段】ラベルプリンターは、ラベル紙に印刷する印刷ヘッドと、ラベル紙の搬送経路において印刷ヘッドよりも上流に配置され、ラベル紙を下流へ搬送する搬送ローラーと、印刷ヘッドよりも下流に配置され、ラベルの進行方向とは異なる方向へ台紙を搬送することにより台紙からラベルを剥離させる剥離ローラーと、搬送ローラーの回転および剥離ローラーの回転を制御する制御部と、を備え、制御部は、剥離ローラーが台紙を搬送する搬送力が、ラベルの剥離に必要な最小の力以上、かつ、剥離ローラーと台紙との最大摩擦力以下となるように、剥離ローラーを回転させる剥離モーターへ供給する電流値を制御し、前記最大摩擦力が、搬送ローラーによるラベル紙の搬送誤差を許容値以内にする剥離ローラーの搬送力以下となるように、前記最大摩擦力と、搬送ローラーとラベル紙との最大摩擦力とが設定されている。【選択図】図４

Description

本発明は、ラベルプリンターに関する。

ラベルが台紙に貼り付けされたラベル紙を印刷媒体として印刷を実行し、印刷部よりも下流の剥離部により、印刷後のラベルを台紙から剥離可能なラベルプリンターが開示されている（特許文献１参照）。剥離部は、ラベルを台紙から剥離するために台紙を搬送する剥離ローラーを有する。

特開２０１９‐４３５６１号公報

ラベルプリンターでは、剥離ローラーと、印刷部の上流でラベル紙を搬送する搬送ローラーとを、それぞれ別のモーターの動力により回転させる。このような構成において、モーターへ供給する電流値の一時的な乱れや、モーター毎の個体差に起因して、剥離ローラーによる台紙の搬送力が、想定よりも高まることがある。剥離ローラーによる台紙の搬送力が高まり過ぎると、搬送ローラーとラベル紙との間で滑りが生じて、搬送ローラーによるラベル紙の搬送精度が低下することがあった。このような搬送精度の低下は、印刷品質を低下させてしまう。

ラベルプリンターは、ラベルが台紙に貼り付けされたラベル紙に印刷する印刷ヘッドと、前記ラベル紙の搬送経路において前記印刷ヘッドよりも上流に配置され、前記ラベル紙に接した状態で回転することにより前記ラベル紙を前記搬送経路の下流へ搬送する搬送ローラーと、前記搬送経路において前記印刷ヘッドよりも下流に配置され、前記台紙に接した状態で回転する剥離ローラーであって、前記ラベルの進行方向とは異なる方向へ前記台紙を搬送することにより前記台紙から前記ラベルを剥離させる前記剥離ローラーと、前記搬送ローラーの回転および前記剥離ローラーの回転を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記剥離ローラーが前記台紙を搬送する搬送力が、前記ラベルの剥離に必要な最小の力以上、かつ、前記剥離ローラーと前記台紙との最大摩擦力以下となるように、前記剥離ローラーを回転させる剥離モーターへ供給する電流値を制御し、前記最大摩擦力が、前記搬送ローラーによる前記ラベル紙の搬送誤差を許容値以内にする前記剥離ローラーの搬送力以下となるように、前記最大摩擦力と、前記搬送ローラーと前記ラベル紙との最大摩擦力とが設定されている。

ラベルプリンターの外観斜視図。ラベルプリンターの構成を示す模式図。ラベルプリンターの制御系を示すブロック図。搬送ローラーを含む一部範囲と剥離ローラーを含む一部範囲とを示す図。剥離モーターへ供給する電流値の変化および剥離ローラーの回転速度の変化を示す図。剥離モーターに供給する電流値と剥離ローラーの搬送力との対応関係を示す図。本実施形態の通常の状況に反する状況における剥離ローラーの回転速度の変化を示す図。

以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。各図は、本実施形態を説明するための例示に過ぎない。各図は例示であるため、比率が正確でなかったり、互いに整合していなかったり、一部が省略されていたりする場合がある。

１．装置構成：
図１は、本実施形態のラベルプリンター１の外観斜視図である。
図２は、ラベルプリンター１の構成を示す模式図であり、ラベルプリンター１の内部の概略構成を示す。以下では、便宜上、ラベルプリンター１に関する方向を、図１に示した「上（Ｔｏｐ）」、「下（Ｂｏｔｔｏｍ）」、「前（Ｆｒｏｎｔ）」、「後（Ｒｅａｒ）」を用いて説明する。ラベルプリンター１は、ラベル紙Ｐを印刷媒体として、インクジェット方式により、文字、画像、図形等を印刷するプリンターである。

ラベル紙Ｐは、台紙Ｐａと、複数のラベルＰｂとを有する。台紙Ｐａは、帯状の連続紙である。台紙Ｐａの表面には剥離性が付与され、台紙Ｐａの長手方向において等間隔に、所定サイズにカットされたラベルＰｂが貼付されている。台紙Ｐａ及びラベルＰｂの材質は紙であってもよいし、紙以外の材質であってもよい。台紙Ｐａを基材と呼んでもよい。ラベル紙Ｐは、ロール状に巻かれたロール紙Ｒとしてラベルプリンター１にセットされる。

ラベルプリンター１は、ラベルプリンター１の本体としての印刷部３と、剥離部４とを備える。剥離部４は、ラベルプリンター１の前面において印刷部３と一体に形成されていてもよいし、印刷部３の前面に対して着脱可能な部品であってもよい。剥離部４は、印刷部３により印刷されたラベル紙Ｐに対し、ラベルＰｂを台紙Ｐａから剥離する処理を行う装置であり、ピーラーとも呼ばれる。剥離部４の前面には、印刷後のラベル紙Ｐ、または、台紙Ｐａから剥離されたラベルＰｂが排出される排出口４ａが開口している。ラベルプリンター１は、ラベルＰｂが台紙Ｐａに貼り付けされたままの印刷後のラベル紙Ｐを排出口４ａから排出する非剥離モードと、台紙Ｐａから剥離された印刷後のラベルＰｂを排出口４ａから排出する剥離モードと、を実行可能である。本実施形態では、剥離モードを前提として説明を続ける。

印刷部３は、略箱型のケース３ａに、印刷ヘッド８を含む機能部を収容して構成される。ケース３ａの表面には、図１に例示するように、電源スイッチ１４、複数の操作ボタン１５、ディスプレイ１６、複数のランプ１７等が設けられる。電源スイッチ１４は、ラベルプリンター１の電源をオン・オフするスイッチである。操作ボタン１５は、ユーザーによるラベルプリンター１に対する各種操作を受け付けるボタンである。ディスプレイ１６は、ＬＣＤ等により構成され、ラベルプリンター１の動作状態等の各種情報を表示する。ディスプレイ１６は、ユーザーの操作を受け付けるタッチパネルとしての機能を有していてもよい。ランプ１７は、ＬＥＤ等の光源を有し、ラベルプリンター１の動作状態等に対応して点灯、消灯或いは点滅して、インジケーターとして機能する。

印刷部３は、不図示のホストコンピューターから送信されるコマンド及び印刷データに基づいて、ケース３ａに収容された印刷ヘッド８を含む各機能部により、ラベル紙Ｐの各ラベルＰｂに対して印刷を行う。また、印刷部３は、ラベル紙Ｐを、ラベル紙Ｐの搬送経路に沿って搬送する。以下では、搬送経路の上流、下流を、単に、上流、下流と言う。

図２に示すように、印刷部３は、収容部２９、繰出ローラー１０、搬送ローラー１１、プラテン１２、ガイド１３および印刷ヘッド８を含んでいる。搬送ローラー１１や繰出ローラー１０をまとめて、搬送部と呼んでもよい。収容部２９は、ロール紙Ｒを収容する空間であり、収容部２９にセットされたロール紙Ｒからラベル紙Ｐが繰り出される。繰出ローラー１０は、対向配置される一対のローラーにより構成され、ロール紙Ｒから繰り出されるラベル紙Ｐを引き出して、下流に搬送する。搬送ローラー１１は、対向配置される一対のローラーにより構成され、繰出ローラー１０により搬送されたラベル紙Ｐを挟持して、下流の印刷ヘッド８に向けて搬送する。

搬送ローラー１１は、後述する搬送モーター２１に直接、またはギヤやベルト等を介して連結され、搬送モーター２１の動力により回転する。繰出ローラー１０は、搬送ローラー１１とともに搬送モーター２１に連結され、搬送モーター２１の動力によって回転する。ただし、繰出ローラー１０は、搬送モーター２１とは別の不図示のモーターにより駆動される構成であってもよい。また、繰出ローラー１０は必須の構成ではない。

プラテン１２は、ラベル紙Ｐの搬送経路において搬送ローラー１１よりも下流に配置される。プラテン１２の上面であるプラテン面１２ａは、ラベル紙Ｐの台紙Ｐａに接してラベル紙Ｐを下方から支持する。プラテン面１２ａが複数の吸気孔を有し、印刷ヘッド８による印刷のタイミングで吸気孔から空気がプラテン１２内へ吸引されることにより、プラテン面１２ａにラベル紙Ｐが吸着される構成であってもよい。

印刷ヘッド８は、プラテン面１２ａに対向して配置される。印刷ヘッド８は、一または複数の色のインクに対応する不図示のノズル列を有し、各ノズル列を構成するノズルからインクを吐出する。ノズルが吐出するインクを、ドットとも言う。印刷ヘッド８は、プラテン面１２ａ上に位置するラベルＰｂに対して、印刷データに基づいてインクを吐出することにより、ラベルＰｂへの印刷を行う。印刷ヘッド８により印刷されたラベル紙Ｐは、搬送ローラー１１により、下流の剥離部４へ搬送される。

印刷ヘッド８の下流には、ガイド１３が配置される。ガイド１３は、プラテン１２と印刷部３の前面との間で、印刷ヘッド８により印刷されたラベル紙Ｐを下方から支持する。ラベル紙Ｐは、ガイド１３の上を通って、剥離部４に向けて搬送される。

剥離部４は、剥離部材３０および剥離ローラー３１を含んでいる。剥離部材３０は、印刷部３の印刷ヘッド８よりも下流に位置する。剥離部材３０は、ラベル紙Ｐの台紙Ｐａに接してラベル紙Ｐを下方から支持する案内面３０ａと、案内面３０ａの先端に形成される鋭角の剥離エッジ３０ｂとを有する。ガイド１３により案内されたラベル紙Ｐが、剥離部材３０の案内面３０ａの上に搬送される。

剥離ローラー３１は、対向配置される一対のローラーにより構成され、台紙Ｐａを挟持して搬送する。剥離ローラー３１は、後述する剥離モーター３４に直接、またはギヤやベルト等を介して連結され、剥離モーター３４の動力により回転する。

ラベルプリンター１を剥離モードで動作させる場合、印刷開始前に、ラベル紙Ｐの台紙Ｐａを剥離ローラー３１に挟持させる操作がユーザーによって行われる。剥離ローラー３１は、剥離部材３０の下方に配置され、台紙Ｐａを挟持して下向きに搬送する。案内面３０ａを搬送されたラベル紙Ｐの台紙Ｐａは、剥離エッジ３０ｂで折り曲げられ、剥離ローラー３１によって下方に引っ張られる。この剥離ローラー３１の引っ張り力によって、剥離エッジ３０ｂにおいてラベルＰｂが台紙Ｐａから浮き上がり、剥離される。剥離されたラベルＰｂは排出口４ａから外へ突出する。排出口４ａから突出したラベルＰｂは、ユーザーにより回収される。一方、ラベルＰｂとは異なる方向へ剥離ローラー３１により搬送される台紙Ｐａは、図２の例では剥離ローラー３１の下方へ排出される。

上述の構成によれば、繰出ローラー１０や搬送ローラー１１やプラテン１２やガイド１３によって、印刷部３にラベル紙Ｐの搬送経路が形成される。また、剥離部材３０の案内面３０ａおよび剥離エッジ３０ｂや、剥離ローラー３１も、搬送経路の一部を形成すると言える。

図３は、ラベルプリンター１の制御系を示すブロック図である。ラベルプリンター１は、印刷部３及び剥離部４の各部を制御する制御部４０を備える。制御部４０はでは、ＣＰＵやマイクロコンピューター等のプロセッサーが、ＲＯＭやその他のメモリーに保存されたプログラムに従った演算処理を、ＲＡＭをワークエリアとして用いて実行することにより、ラベルプリンター１の各部を制御する。

ラベルプリンター１は、入力部４１、表示部４２、インターフェース部４３を備え、これらの各部は制御部４０に接続される。また、制御部４０には、制御対象の動作部として、印刷ヘッド８、搬送モーター２１、剥離モーター３４が接続される。印刷ヘッド８、搬送モーター２１、剥離モーター３４は夫々、駆動用の電力を供給する駆動回路を介して制御部４０に接続されてもよい。制御部４０は、これら各動作部を制御し、ラベル紙Ｐの搬送や印刷を実行させる。

入力部４１は、操作ボタン１５やタッチパネルに対する操作を検出し、検出した操作の内容に対応する信号を制御部４０に出力する。表示部４２は、制御部４０の制御に従って、ディスプレイ１６及びランプ１７を駆動し、ディスプレイ１６に文字や画像を表示させ、ランプ１７を点灯または点滅させる。インターフェース部４３は、不図示のホストコンピューターと有線あるいは無線で接続し、制御部４０の制御に従ってホストコンピューターと通信を実行する。インターフェース部４３は、ホストコンピューターが送信するコマンドや印刷データを受信して、制御部４０に出力する。
ラベルプリンター１の構成については、前記文献１を適宜参照してもよい。

２．各ローラーの設定および制御：
図４は、図２と同様の視点により、ラベルプリンター１における搬送ローラー１１を含む一部範囲と剥離ローラー３１を含む一部範囲とを示している。図４では、図２に示した構成の大部分の図示を省略している。

搬送ローラー１１は、互いの間にラベル紙Ｐを挟持して対向する第１駆動ローラー１１ａと、第１従動ローラー１１ｂとを有する。搬送モーター２１の動力によって第１駆動ローラー１１ａが回転する。第１従動ローラー１１ｂは、第１駆動ローラー１１ａの回転によるラベル紙Ｐの搬送に従って回転可能に支持されている。
剥離ローラー３１は、互いの間にラベル紙Ｐの台紙Ｐａを挟持して対向する第２駆動ローラー３１ａと、第２従動ローラー３１ｂとを有する。剥離モーター３４の動力によって第２駆動ローラー３１ａが回転する。第２従動ローラー３１ｂは、第２駆動ローラー３１ａの回転による台紙Ｐａの搬送に従って回転可能に支持されている。

搬送ローラー１１においては、ラベル紙Ｐを挟持するために、第１従動ローラー１１ｂが第１駆動ローラー１１ａを力Ｆ１で押圧している。つまり、第１駆動ローラー１１ａは、ラベル紙Ｐとの接点におけるラベル紙Ｐの向きとほぼ垂直な向きの力Ｆ１で、押圧されている。力Ｆ１については、第１従動ローラー１１ｂが第１駆動ローラー１１ａを押圧する力をラベル紙Ｐの幅［ｍｍ］で除算したときの、単位幅（１ｍｍ）あたりの力として説明する。力Ｆ１の単位は［ｇｆ／ｍｍ］である。後述する力Ｆ２，Ｆ３，Ｆ４，Ｆｐも全て、Ｆ１と同様に単位幅あたりの力であり、単位は［ｇｆ／ｍｍ］とする。ただし、以下では、単位［ｇｆ／ｍｍ］の記載を適宜省略する。ラベル紙Ｐの幅は、長尺なラベル紙Ｐの長手方向と直交する向きにおけるラベル紙Ｐの幅であり、所定値である。

ラベル紙Ｐの台紙Ｐａに接する第１駆動ローラー１１ａと台紙Ｐａとの静止摩擦係数は、μ１である。そのため、力Ｆ１を、垂直抗力とみなすと、搬送ローラー１１とラベル紙Ｐとの最大摩擦力は、μ１×Ｆ１と表すことができる。最大摩擦力を、最大静止摩擦力とも言う。

本実施形態では、搬送ローラー１１によるラベル紙Ｐの搬送誤差を許容値以内にする剥離ローラー３１の搬送力Ｆ２、という値を定義する。制御部４０は、搬送モーター２１の駆動を制御することにより、搬送ローラー１１によるラベル紙Ｐの搬送量をコントロールする。搬送ローラー１１が挟持するラベル紙Ｐを下流へ引っ張る力が発生している状況では、搬送ローラー１１とラベル紙Ｐとの間に滑りが生じる。この滑りは、搬送ローラー１１によるラベル紙Ｐの搬送量の誤差、つまり搬送誤差を生じさせる。

搬送ローラー１１が挟持するラベル紙Ｐを下流へ引っ張る力とは、剥離ローラー３１がラベル紙Ｐを下流へ引っ張る力、つまり剥離ローラー３１の搬送力Ｆｐである。搬送ローラー１１よりも下流の搬送経路で台紙Ｐａに緩みや撓みが生じていると、剥離部４においてラベルＰｂを台紙Ｐａから剥離することが困難になる。従って、搬送力Ｆｐは、剥離部４において確実にラベルＰｂを台紙Ｐａから剥離するために必要である。

前記滑りの量がごく僅かであれば、印刷品質の低下、例えばラベルＰｂに対するドット着弾位置のずれ等は、殆ど生じない。そこで、本実施形態では、最大摩擦力μ１×Ｆ１に、係数αを掛けることにより、上述の搬送力Ｆ２を定義する。つまり、Ｆ２＝α×μ１×Ｆ１である。搬送力Ｆｐが、搬送力Ｆ２以下であれば、搬送ローラー１１によるラベル紙Ｐの搬送誤差が、印刷品質に悪影響を与えない程度の僅かな量、つまり許容値以内となる。係数αは、０より大きく１より小さい値であり、例えば、α＝０．２である。本実施形態では、搬送ローラー１１による搬送誤差に応じた印刷品質の評価や実験に基づいて、適切な係数αが予め設定されているものとする。

剥離ローラー３１においては、台紙Ｐａを挟持するために、第２従動ローラー３１ｂが第２駆動ローラー３１ａを力Ｆ３［ｇｆ／ｍｍ］で押圧している。つまり、第２駆動ローラー３１ａは、台紙Ｐａとの接点における台紙Ｐａの向きとほぼ垂直な向きの力Ｆ３で、押圧されている。第２駆動ローラー３１ａと台紙Ｐａとの静止摩擦係数は、μ３である。そのため、力Ｆ３を、垂直抗力とみなすと、剥離ローラー３１と台紙Ｐａとの最大摩擦力は、μ３×Ｆ３と表すことができる。

力Ｆ１は、例えば、第１従動ローラー１１ｂを第１駆動ローラー１１ａに向けて付勢するバネ等の弾性部材を調整することにより設定される。同様に、力Ｆ３は、例えば、第２従動ローラー３１ｂを第２駆動ローラー３１ａに向けて付勢するバネ等の弾性部材を調整することにより設定される。静止摩擦係数μ１は、搬送ローラー１１の素材や表面状態等を選定したり調整したりすることにより設定される。同様に、静止摩擦係数μ３は、剥離ローラー３１の素材や表面状態等を選定したり調整したりすることにより設定される。

このような状況において、ラベルプリンター１では、最大摩擦力μ３×Ｆ３は搬送力Ｆ２以下に設定されている。言い換えると、係数αとの関係で、μ３×Ｆ３≦Ｆ２が成立するように、Ｆ１，μ１，Ｆ３，μ３の各値が設定されている。本実施形態では、μ３＜μ１、とする。また、静止摩擦係数μ３の数値範囲は、例えば、０．１≦μ３≦０．３、が好ましい。

また、剥離部４によるラベルＰｂの剥離に必要な最小の搬送力Ｆｐを、搬送力Ｆ４とする。搬送力Ｆ４は、最大摩擦力μ３×Ｆ３よりも小さい。つまり、Ｆ４＜μ３×Ｆ３≦Ｆ２＜μ１×Ｆ１、が成り立つ。最大摩擦力μ１×Ｆ１が定まった状態で、剥離ローラー３１により台紙Ｐａを引っ張ってラベルＰｂを剥離部４で剥離させる実験に基づいて、搬送力Ｆ４が適切な値が設定されている。

搬送力Ｆｐは、制御部４０が剥離モーター３４を駆動するために剥離モーター３４へ供給する電流値に応じて変化する。剥離モーター３４は、例えば、ＤＣモーターである。剥離モーター３４へ供給する電流値の上昇に応じて、剥離モーター３４のトルクが上がって搬送力Ｆｐが上がる。

ここで、剥離モーター３４によって生み出される搬送力Ｆｐが、最大摩擦力μ３×Ｆ３を超えると、第２駆動ローラー３１ａと台紙Ｐａとの間で滑りが生じ、第２駆動ローラー３１ａ、すなわち剥離ローラー３１が空転する。そのため、制御部４０は、剥離ローラー３１が空転しないように剥離モーター３４への電流を制御する。つまり、制御部４０は、搬送力Ｆｐが、搬送力Ｆ４以上、かつ、最大摩擦力μ３×Ｆ３以下となるように、剥離モーター３４へ供給する電流値を制御している。

図５は、上段に、制御部４０が剥離モーター３４へ供給する電流値の変化を実線のグラフにより示し、下段に、剥離ローラー３１の回転速度の変化を実線のグラフにより示している。図５内では、上段のグラフと下段のグラフとを、横軸である時間の進行を対応させて記載している。

剥離モードを選択したラベルプリンター１によるラベル紙Ｐに対する処理期間は、概略、印刷期間Ａと搬送期間Ｂとに分けられる。図５内の下段のグラフに示すように、印刷期間Ａと搬送期間Ｂとが交互に発生する。制御部４０は、印刷期間Ａにおいては、繰出ローラー１０、搬送ローラー１１および剥離ローラー３１といった、ラベル紙Ｐを搬送するための各ローラーを回転させず、印刷ヘッド８を駆動させることにより、一回の印刷を実行する。一回の印刷とは、ラベル紙Ｐが有するラベルＰｂのうち、プラテン面１２ａ上で静止しているラベルＰｂへの印刷である。

制御部４０は、搬送期間Ｂにおいては、印刷ヘッド８を駆動させず、搬送モーター２１や剥離モーター３４を駆動させることにより、ラベル紙Ｐを搬送するための各ローラーを回転させる。制御部４０は、搬送期間Ｂにおいて、次の印刷期間Ａに印刷されるラベルＰｂがプラテン面１２ａ上に位置するために必要な所定距離分のラベル紙Ｐの搬送を実行する。搬送期間Ｂにおけるラベル紙Ｐの搬送に伴って、剥離部４では印刷後のラベルＰｂが台紙Ｐａから剥離する。

図５内の下段の実線のグラフが台形状であることから、剥離ローラー３１の搬送期間Ｂは、速度０から所定速度まで加速する加速期間と、所定速度を維持あるいはほぼ維持する定速期間と、所定速度から速度０まで減速する減速期間とで構成されている。つまり、制御部４０は、図５内の下段の実線のグラフが示すように剥離ローラー３１の回転速度が変化するように、予め設定された電流値を剥離モーター３４へ供給して、剥離モーター３４の動力により剥離ローラー３１を回転させる。

具体的には、図５内の上段に示すように、制御部４０は、搬送期間Ｂにおいては、先ず、加速期間に対応させて所定電流値Ｉａを剥離モーター３４へ供給して、剥離ローラー３１を加速させる。次に、制御部４０は、搬送期間Ｂにおいて、定速期間に対応させて電流値Ｉａよりも低い所定の電流値Ｉｂを剥離モーター３４へ供給して、剥離ローラー３１の回転速度を安定させる。次に、制御部４０は、搬送期間Ｂにおいて、減速期間に対応させて電流値Ｉｂよりも低い所定の電流値Ｉｃを剥離モーター３４へ供給して、剥離ローラー３１を減速させる。

図６は、剥離モーター３４に供給される電流値と、剥離ローラー３１の搬送力Ｆｐとの対応関係をグラフにより示している。上述したように本実施形態では、搬送力Ｆ２、最大摩擦力μ３×Ｆ３および搬送力Ｆ４が、Ｆ４＜μ３×Ｆ３≦Ｆ２を満足するように設定されている。図６の例では、μ３×Ｆ３＜Ｆ２、である。剥離モーター３４に供給される電流値の上昇に伴って、搬送力Ｆｐも上昇する。上述したように、制御部４０は、剥離ローラー３１が空転しないように剥離モーター３４への電流を制御する。そのため、制御部４０は、搬送力Ｆ４から最大摩擦力μ３×Ｆ３までの搬送力Ｆｐに相当する範囲Ｉｒの電流値を、搬送期間Ｂに剥離モーター３４へ供給する。すなわち、図５内の上段のグラフに示した電流値Ｉａ，Ｉｂ，Ｉｃは、範囲Ｉｒに属する電流値である。

図５内の下段のグラフには、搬送ローラー１１の回転速度の変化を一点鎖線のグラフにより示している。制御部４０は、搬送期間Ｂにおいて、搬送ローラー１１の回転速度が、電流値Ｉａ，Ｉｂ，Ｉｃに対応させて予め認識している剥離ローラー３１の回転速度とほぼ同様の速度となるように、あるいは、搬送ローラー１１の回転速度が、剥離ローラー３１の回転速度よりも若干下回るように、搬送モーター２１の駆動を制御する。搬送モーター２１の制御方法については、詳細には言及しないが、制御部４０は、例えば、搬送モーター２１の回転を不図示のロータリーエンコーダー等を介して監視し、この監視結果に応じて搬送モーター２１の回転をフィードバック制御することにより、図５内の下段に一点鎖線で示したような搬送ローラー１１の速度変化を実現させる。

ここで、図５や図６は、ラベルプリンター１の制御に関して本実施形態の通常の状況を示している。この通常の状況を、理想的な状況と言い換えてもよい。例えば、図５の上段のグラフによれば、搬送期間Ｂにおける剥離ローラー３１の加速期間、定速期間、減速期間に対応させて制御部４０が電流値Ｉａ，Ｉｂ，Ｉｃを剥離モーター３４へ供給することが通常の制御である。しかしながら、このような通常の状況に反する状況も想定される。

前記通常の制御に反し、電源系統の何らかの乱れやノイズ等に起因して、前記加速期間に電流値Ｉａよりも高い電流値が一時的に剥離モーター３４へ供給されてしまうことがある。電流値Ｉａよりも高い電流値が剥離モーター３４へ供給されることにより、最大摩擦力μ３×Ｆ３を上回る搬送力Ｆｐが剥離ローラー３１に発生し得る。また、図６は、設計上の通常の能力を有する剥離モーター３４を前提としたグラフであるが、モーターの実際の能力は個体毎にばらつく。ある一台のラベルプリンター１に搭載された剥離モーター３４の能力が、このような通常の能力よりも高い場合には、範囲Ｉｒ内の電流値の供給を受けたときに、最大摩擦力μ３×Ｆ３を上回る搬送力Ｆｐを剥離ローラー３１に生じさせることがある。

図７は、本実施形態の通常の状況に反する状況における、剥離ローラー３１の回転速度の変化を実線のグラフにより示している。また、図７では、図５内の下段のグラフと同様に、搬送ローラー１１の回転速度の変化を一点鎖線のグラフにより示している。上述の乱れやノイズ等に起因して、剥離ローラー３１の加速期間に剥離モーター３４へ電流値Ｉａよりも高い電流値が一時的に供給された場合を想定する。このような場合、剥離ローラー３１の搬送力Ｆｐが最大摩擦力μ３×Ｆ３を超えて、剥離ローラー３１が空転することがある。空転する剥離ローラー３１の回転速度は、図５内の下段のグラフに示すような通常の制御下での加速期間における速度よりも高速になり、図７に示すように、搬送ローラー１１の回転速度を一時的に大きく上回るようになる。

３．まとめ：
このように、本実施形態のラベルプリンター１は、ラベルＰｂが台紙Ｐａに貼り付けされたラベル紙Ｐに印刷する印刷ヘッド８と、ラベル紙Ｐの搬送経路において印刷ヘッド８よりも上流に配置され、ラベル紙Ｐに接した状態で回転することによりラベル紙Ｐを搬送経路の下流へ搬送する搬送ローラー１１と、搬送経路において印刷ヘッド８よりも下流に配置され、台紙Ｐａに接した状態で回転する剥離ローラー３１であって、ラベルＰｂの進行方向とは異なる方向へ台紙Ｐａを搬送することにより台紙ＰａからラベルＰｂを剥離させる剥離ローラー３１と、搬送ローラー１１の回転および剥離ローラー３１の回転を制御する制御部４０と、を備える。そして、制御部４０は、剥離ローラー３１が台紙Ｐａを搬送する搬送力Ｆｐが、ラベルＰｂの剥離に必要な最小の力（搬送力Ｆ４）以上、かつ、剥離ローラー３１と台紙Ｐａとの最大摩擦力μ３×Ｆ３以下となるように、剥離ローラー３１を回転させる剥離モーター３４へ供給する電流値を制御する。さらに、最大摩擦力μ３×Ｆ３が、搬送ローラー１１によるラベル紙Ｐの搬送誤差を許容値以内にする剥離ローラー３１の搬送力Ｆ２以下となるように、最大摩擦力μ３×Ｆ３と、搬送ローラー１１とラベル紙Ｐとの最大摩擦力μ１×Ｆ１と、が設定されている。

前記構成によれば、制御部４０は、剥離ローラー３１の搬送力Ｆｐが、搬送力Ｆ４〜最大摩擦力μ３×Ｆ３となるように、剥離モーター３４へ供給する電流値を制御することで、剥離ローラー３１を台紙Ｐａに対して空転させずに、ラベルＰｂの剥離に必要な力を剥離ローラー３１に与えている。一方で、このような制御を制御部４０が実行しているにもかかわらず、電源系統の乱れやノイズ、剥離モーター３４の個体差等に起因して、搬送力Ｆｐが最大摩擦力μ３×Ｆ３を超えることも有り得る。ただし、搬送力Ｆｐが、最大摩擦力μ３×Ｆ３を超えると、剥離ローラー３１が空転する。剥離ローラー３１が空転するということは、最大摩擦力μ３×Ｆ３よりも強い力で台紙Ｐａが剥離ローラー３１により引っ張られないということである。そして、最大摩擦力μ３×Ｆ３は搬送力Ｆ２を超えることは無い。そのため、前記制御に反して一時的に剥離ローラー３１の搬送力Ｆｐが最大摩擦力μ３×Ｆ３を超えたとしても、搬送ローラー１１によるラベル紙Ｐの搬送には、許容値を超える搬送誤差が生じず、印刷品質が実質的に落ちない。すなわち、本実施形態によれば、ラベルＰｂの確実な剥離と、印刷品質の保持とを両立することができる。

また、本実施形態によれば、剥離ローラー３１と台紙Ｐａとの静止摩擦係数μ３は、搬送ローラー１１とラベル紙Ｐとの静止摩擦係数μ１よりも小さい。さらに、静止摩擦係数μ３は、０．１≦μ３≦０．３、を満たすように設定してもよい。
これら構成によれば、μ１，Ｆ１，μ３，Ｆ３といった各値を適切かつ容易に設定して、ラベルプリンター１を構築することができる。
本実施形態によれば、制御部４０がラベルプリンター１を制御して実現する処理を、方法や、ハードウェアと協働するプログラムの発明としても捉えることができる。また、本実施形態が開示する、μ１，Ｆ１，μ３，Ｆ３といった各値の設定方法を発明として捉えることができる。

１…ラベルプリンター、３…印刷部、３ａ…ケース、４…剥離部、４ａ…排出口、８…印刷ヘッド、１０…繰出ローラー、１１…搬送ローラー、１１ａ…第１駆動ローラー、１１ｂ…第１従動ローラー、１２…プラテン、１２ａ…プラテン面、２１…搬送モーター、３０…剥離部材、３０ａ…案内面、３０ｂ…剥離エッジ、３１…剥離ローラー、３１ａ…第２駆動ローラー、３１ｂ…第２従動ローラー、３４…剥離モーター、４０…制御部、Ｐ…ラベル紙、Ｐａ…台紙、Ｐｂ…ラベル

Claims

ラベルが台紙に貼り付けされたラベル紙に印刷する印刷ヘッドと、
前記ラベル紙の搬送経路において前記印刷ヘッドよりも上流に配置され、前記ラベル紙に接した状態で回転することにより前記ラベル紙を前記搬送経路の下流へ搬送する搬送ローラーと、
前記搬送経路において前記印刷ヘッドよりも下流に配置され、前記台紙に接した状態で回転する剥離ローラーであって、前記ラベルの進行方向とは異なる方向へ前記台紙を搬送することにより前記台紙から前記ラベルを剥離させる前記剥離ローラーと、
前記搬送ローラーの回転および前記剥離ローラーの回転を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記剥離ローラーが前記台紙を搬送する搬送力が、前記ラベルの剥離に必要な最小の力以上、かつ、前記剥離ローラーと前記台紙との最大摩擦力以下となるように、前記剥離ローラーを回転させる剥離モーターへ供給する電流値を制御し、
前記最大摩擦力が、前記搬送ローラーによる前記ラベル紙の搬送誤差を許容値以内にする前記剥離ローラーの搬送力以下となるように、前記最大摩擦力と、前記搬送ローラーと前記ラベル紙との最大摩擦力とが設定されている、ことを特徴とするラベルプリンター。
前記剥離ローラーと前記台紙との静止摩擦係数は、前記搬送ローラーと前記ラベル紙との静止摩擦係数よりも小さい、ことを特徴とする請求項１に記載のラベルプリンター。
前記剥離ローラーと前記台紙との静止摩擦係数は、０．１以上かつ０．３以下を満たすことを特徴とする請求項１または請求項２に記載のラベルプリンター。