A.第1実施例:
A−1.複合機の構成:
図1は、複合機の構成を示すブロック図である。複合機100は、プロセッサ110と、記憶装置115と、表示部140と、操作部150と、印刷実行部160と、通信インタフェース180と、読取部190と、を備えている。これらの要素は、バスを介して互いに接続されている。記憶装置115は、揮発性記憶装置120と、不揮発性記憶装置130と、を含んでいる。
プロセッサ110は、データ処理を行う装置であり、例えば、CPUである。揮発性記憶装置120は、例えば、DRAMであり、不揮発性記憶装置130は、例えば、フラッシュメモリである。
不揮発性記憶装置130は、コンピュータプログラム131(単にプログラム131とも呼ぶ)と、残量指標値データ133と、を格納している。プロセッサ110は、プログラム131を実行することによって、種々の機能を実現する。残量指標値データ133は、後述する処理によって、更新される。プログラム131によって実現される機能と、残量指標値データ133と、の詳細については、後述する。プロセッサ110は、プログラム131の実行に利用される種々の中間データを、記憶装置115(例えば、揮発性記憶装置120、不揮発性記憶装置130のいずれか)に、一時的に格納する。本実施例では、プログラム131は、複合機100の製造者によって、ファームウェアとして、不揮発性記憶装置130に予め格納されている。なお、不揮発性記憶装置130は、更に、現行モードデータ134と、ログデータ135と、カートリッジデータ136とを、格納し得る。これらのデータ134、135、136は、後述する別の実施例で利用される。
表示部140は、画像を表示する装置であり、例えば、液晶ディスプレイである。これに代えて、LEDディスプレイ、有機ELディスプレイなどの、画像を表示する他の種類の装置が採用されてよい。操作部150は、ユーザによる操作を受け取る装置であり、例えば、表示部140上に重ねて配置されたタッチパネルである。これに代えて、ボタン、レバーなどの、ユーザによって操作される他の種類の装置が採用されてよい。ユーザは、操作部150を操作することによって、種々の指示を複合機100に入力可能である。
通信インタフェース180は、他の装置と通信するためのインタフェースである(例えば、USBインタフェース、有線LANインタフェース、IEEE802.11の無線インタフェース)。
読取部190は、CCDやCMOSなどの光電変換素子を用いて光学的に原稿等の対象物を読み取ることによって、読み取った画像(「スキャン画像」と呼ぶ)を表すスキャンデータを生成する。スキャンデータは、例えば、カラーのスキャン画像を表すRGBのビットマップデータである。
印刷実行部160は、所定の方式(例えば、レーザ方式や、インクジェット方式)で、用紙(印刷媒体の一例)上に印刷材を用いて画像を印刷する装置である。本実施例では所定の方式としてインクジェット方式を採用する。印刷実行部160は、プロセッサ110の制御に従って、印刷を実行する。
図2(A)、図2(B)は、印刷実行部160の構成を示す概略図である。印刷実行部160は、印刷機構171と、印刷機構171に接続されたインク供給部170と、を備えている。インク供給部170には、インクカートリッジ200が装着される(以下、インクカートリッジ200を、単にカートリッジ200とも呼ぶ)。印刷機構171は、インクジェット方式の印刷機構であり、インクカートリッジ200から供給されるインクIkを用いて、用紙上に画像を印刷する。具体的には、印刷機構171は、図示しない印刷ヘッドを備えており、印刷ヘッドのノズルからインクIkを吐出して用紙上にドットを形成することによって、用紙上に画像を形成する。図2(A)、図2(B)には、1色のインクIk(例えば、ブラック(K))のための構成が、示されている。図示を省略するが、印刷ヘッドには、複数色のインク(本実施例では、シアン、マゼンタ、イエロ、ブラック)のための複数のノズル群が設けられ、印刷機構171には、各インク毎に、インク供給部170が接続されている。
図2(A)、図2(B)に示すように、インク供給部170は、インクカートリッジ200が装着される装着部172と、インク供給口174と、中間容器175と、インク流路部177と、インク供給口174を開閉するバルブ174vと、を備えている。
インクカートリッジ200には、インクIkを収容する主収容室210と、連通口220と、インク出口230と、が形成されている。インクカートリッジ200は、さらに、インク出口230を開閉するバルブ230vを備えている。連通口220は、主収容室210と外気とを連通する開口である。インク出口230は、主収容室210内のインクIkをインク供給部170に供給するための開口である。インク出口230は、主収容室210内の全てのインクIkをインク供給部170に供給できるように、主収容室210の鉛直方向の下端近傍に設けられている。
装着部172は、例えば、インクカートリッジ200を着脱可能に装着することができるホルダである。インク供給口174は、装着部172に装着されたインクカートリッジ200のインク出口230に、挿入される。バルブ230vとバルブ174vとは、インク出口230にインク供給口174が挿入されることによって開き、インク出口230からインク供給口174が引き抜かれることによって閉じるように、構成されている。バルブ230vとバルブ174vとの構成は、種々の構成であってよい。バルブ230vとバルブ174vとは、例えば、弁体と弁体を閉じる弾性体とを備えている(図示省略)。インク出口230にインク供給口174が挿入される場合、バルブ230vの弁体は、インク供給口174に押されて開き、バルブ174vの弁体は、インクカートリッジ200に押されて開く。インク出口230にインク供給口174が挿入されていない場合、バルブ230vの弁体はバルブ230vの弾性体によって閉じ、また、バルブ174vの弁体はバルブ174vの弾性体によって閉じる。インクカートリッジ200が装着部172に装着されると、バルブ230v、174vが開き、インク出口230とインク供給口174とが、連通する。そして、インク供給口174から主収容室210内のインクIkがインク供給部170に供給される。
インクカートリッジ200の外面には、記憶装置206が装着されている(例えば、ICチップ)。記憶装置206には、インクカートリッジ200に関する種々のデータが格納されている。本実施例では、記憶装置206に格納されるデータは、インクカートリッジ200の種類を示す種類データと、印刷材の色を示す色データと、を含んでいる。装着部172には、読書部166が取り付けられている。読書部166は、インクカートリッジ200の記憶装置206からのデータの読み取りと、記憶装置206へのデータの書き込みと、を行う装置である。読書部166と記憶装置206とには、互いに接触する端子が設けられてよい。これに代えて、記憶装置206は、非接触型の記憶装置であってよく、読書部166は、非接触型の読書部であってよい。
装着部172には、インクカートリッジ200が装着部172に装着されているか否かを検出する装着センサASが装着されている。例えば、装着センサASは、光を射出する発光部と、該光を受光する受光部と、を備える。インクカートリッジ200が172に装着されると、インクカートリッジ200の筐体に形成されたリブ(図示省略)が、発光部から受光部に至る光を遮るように配置される。装着センサASの受光部は、受光の有無を示す電気信号をプロセッサ110に出力する。受光していることを示す電気信号は、インクカートリッジ200が装着されていないことを示し、受光していないことを示す電気信号は、インクカートリッジ200が装着されていることを示している。装着センサASには、他の様々な構成、例えば、接点と記憶装置206の電極との接触を検出する構成が採用され得る。
中間容器175には、インクIkを収容する副収容室179と、連通口178と、が形成されている。連通口178は、副収容室179と外気とを連通する開口である。副収容室179は、インク供給口174と連通しており、インク供給口174を介してインクカートリッジ200から供給されるインクIkを収容する。
インク流路部177の上流端は、中間容器175の副収容室179の底面の近傍に接続され、副収容室179と連通している。インク流路部177の下流端は、印刷機構171の図示しない印刷ヘッドに接続されている。これによって、インク流路部177を介して副収容室179に収容されるインクIkが印刷機構171に供給される。
以上のように、中間容器175は、装着部172に装着されるインクカートリッジ200から印刷機構171に至るインクIkの経路に配置されている。
複合機100のインク供給部170のように、インクカートリッジから印刷機構に至るインクIkの経路に中間容器を備えるインクIkの供給方式を二室供給方式とも呼ぶ。図2(A)には、インクカートリッジ200内(主収容室210内)にインクIkが残存し、かつ、中間容器175内(副収容室179内)にインクIkが残存する第1の収容状態SAにあるインク供給部170が図示されている。図2(B)には、インクカートリッジ200内(主収容室210内)にインクIkが残存せず、かつ、中間容器175内(副収容室179内)にインクIkが残存する第2の収容状態SBにあるインク供給部170が図示されている。
インクカートリッジ200の主収容室210は、連通口220によって外部と連通し、中間容器175の副収容室179は、連通口178によって外部と連通している。そして、中間容器175の副収容室179は、インクカートリッジ200の主収容室210の鉛直方向の下端(以下、単に、下端とも呼ぶ)よりも鉛直下方(図2の下側)に位置する部分と、主収容室210の鉛直方向の下端よりも鉛直上方に位置する部分と、を含んでいる。インクIkを収容するインクカートリッジ200が装着されると、インクカートリッジ200内のインクIkの一部は、インク供給口174から副収容室179内に移動する。そして、主収容室210内のインクIkの液面ISmと、副収容室179内のインクIkの液面ISsと、の高さが一致した状態となる(図2(A))。二室供給方式のなかでも、このように水頭が等しくなるようにインクが供給される方式は水頭差方式と呼ばれる。
印刷機構171によって印刷が行われてインクIkが消費されると、2つの液面ISm、ISsが一致した状態を維持したまま、液面ISm、ISsが低下していく。そして、液面ISm、ISsが、インクカートリッジ200の主収容室210の下端の位置EL(エンプティレベルELとも呼ぶ)に到達すると、インクIkの収容状態は、第1の収容状態SA(図2(A))から第2の収容状態SB(図2(B))に遷移する。第2の収容状態SBでは、主収容室210から副収容室179へのインクIkの移動は、生じない。ただし、主収容室210内(例えば、内壁上)に、多少のインクIkは残存し得る。後述する処理では、カートリッジ200の状態が予め決められた空状態であることを含む条件が、判断される。本実施例では、カートリッジ200が空であり得る場合に、カートリッジ200の状態は空状態であると判断される。具体的には、液面がエンプティレベルEL以下である場合、カートリッジ200の状態は空状態であると判断される。
第2の収容状態SBに遷移した後であっても、副収容室179にインクIkが残存している場合、印刷機構171は、印刷を継続できる。第2の収容状態SBに遷移した後に、インクカートリッジ200が交換されれば、インクカートリッジ200にインクIkが残存しない状態で、インクカートリッジ200を交換できるので、インクIkの無駄が発生しない。印刷を継続できる状態で、インクIkの無駄を発生することなく、インクカートリッジ200を交換できる点が、二室供給方式の利点である。
本実施例では、中間容器175に、副収容室179内のインクIkの液面ISsがエンプティレベルELに到達したか否かを検出する液面センサ173が備えられている。これによって、インクカートリッジ200内にインクIkが残存するか否かを検出することができる。液面センサ173としては、例えば、インクIkよりも比重が小さなフロートを含む構成が採用される。この構成では、液面ISsがエンプティレベルEL以下になると、該フロートの位置が鉛直下方に移動する。液面センサ173は、該フロートの移動を検出することによって、インクIkの液面ISsがエンプティレベルELに到達したか否かを検出する。換言すれば、液面センサ173は、インクの収容状態が、第1の収容状態SAであるか第2の収容状態SBであるかを検出するセンサである。液面センサ173は、他の公知の方式、例えば、インクIkの電気抵抗を測定する方式が採用されても良い。
A−2.カートリッジの交換:
図3は、カートリッジの交換と中間容器175内のインクの変化とを示す概略図である。図中には、中間容器175と、装着部172(図2(A))に装着されたカートリッジ200a、200bとの状態の変化が示されている。状態は、第1状態S1−第7状態S7の順に、変化する。
カートリッジとしては、種々の種類のカートリッジが、利用され得る。インクの種類は、複数種類のカートリッジの間で異なり得る。ここで、印刷機構171(図2(A))は、特定の種類のカートリッジ200aを用いることを想定して、構成されていることとする(以下、特定カートリッジ200aとも呼ぶ)。また、特定カートリッジ200aに代えて、別の種類のカートリッジ200bも利用可能であることとする(異種カートリッジ200bとも呼ぶ)。これらのカートリッジ200a、200bの間では、インクの種類が異なっていることとする。以下、複数種類のカートリッジを区別しない場合には、カートリッジを、単にカートリッジ200と呼ぶ。
第1状態S1では、特定カートリッジ200aが装着部172(図2(A))に装着されている。特定カートリッジ200aは、特定の種類のインクIK0を収容している(特定インクIK0とも呼ぶ)。中間容器175も、同じインクIK0を収容している。印刷などによってインクが消費されると、第2状態S2に示すように、カートリッジ200aの状態が空状態(図2(B))に変化する。ただし、中間容器175には、インクIK0が残っている。
ここで、特定カートリッジ200aが取り外され、異種カートリッジ200bが装着部172(図2(A))に装着されることとする(第3状態S3)。異種カートリッジ200bには、別の種類のインクIK1が収容されている(異種インクIK1とも呼ぶ)。図2(A)等で説明したように、カートリッジ200bのインクIK1は、中間容器175へ流入する。この結果、第4状態S4に示すように、中間容器175は、2種類のインクIK0、IK1の混合インクIKxを収容する。
異なる種類のインクの混合は、不具合を引き起こし得る。例えば、混合インクIKxの品質が、印刷機構171に適していない場合がある。具体的には、インクの混合によって、印刷される色が意図された色から変化する場合がある。また、インクの混合によって、ノズルが詰まり易くなる場合がある。
印刷などによってインクが消費されると、第5状態S5に示すように、カートリッジ200bの状態が空状態(図2(B))に変化する。中間容器175には、混合インクIKxが残っている。この状態で、更に、カートリッジが交換され得る。この場合、図示を省略するが、中間容器175に、混合インクIKxが残存し続ける。従って、不具合が生じ得る状態が、継続する。
第6状態S6は、第5状態S5から、更に、印刷などによってインクが消費された状態である。カートリッジ200bに加えて、中間容器175も空である。この第6状態S6で、異種カートリッジ200bが取り外され、特定カートリッジ200aが装着部172(図2(A))に装着されることとする(第7状態S7)。第7状態S7では、特定カートリッジ200aの特定インクIK0が、中間容器175へ流入する。中間容器175に残存する混合インクIKxの量は少しであるので、中間容器175のインクは、特定インクIK0とおおよそ同じである。
このように、中間容器175内の混合インクIKxを消費した後にカートリッジを交換すれば、中間容器175内のインクの品質を、新たなカートリッジの混合されていないインクの品質に近づけることができる。従って、不具合を抑制できる。後述するように、本実施例では、プロセッサ110(図1)は、特定カートリッジとは異なる種類のカートリッジが装着部172に装着されている場合、中間容器175内の混合インクを消費した後にカートリッジが交換されるように、表示部140の表示を制御する。また、プロセッサ110は、特定カートリッジが装着部172に装着されている場合、カートリッジの状態が空状態に変化したことに応じて、カートリッジの交換を促進する画像を、表示部140に表示させる。
A−3.複合機100の制御:
図4は、残量指標値更新処理の例を示すフローチャートである。この処理は、インクの残量の指標値である残量指標値Vを更新する。図4は、1色のインクの残量指標値Vを更新する処理を示している。本実施例では、プロセッサ110は、インクを使用する処理(例えば、印刷、ヘッドのクリーニングなど)が実行された場合に、インク色毎に、図4の処理を実行する。残量指標値Vは、カートリッジ200と中間容器175との総残量の指標値である。不揮発性記憶装置130(図1)には、各インクの現行の残量指標値Vを示す残量指標値データ133が、格納される。以下、処理対象のインク色を対象インク色と呼ぶ。また、対象インク色のインクを、対象インクと呼ぶ。
S910では、プロセッサ110(図1)は、前回の図4の処理の後に、対象インクのカートリッジ200が交換されたか否かを判断する。本実施例では、プロセッサ110は、装着センサAS(図2(A))からの信号を継続して監視しており、この信号を用いて判断を行う。
カートリッジ200が交換された場合(S910:Yes)、S920で、プロセッサ110は、残量指標値データ133(図1)を参照して対象インクの現行の残量指標値Vを特定し、残量指標値Vに第1値Vm1を加算する。第1値Vm1は、新しいカートリッジ200に収容されているインク量を示している。尚、交換前にカートリッジにインクが残っていた場合は、交換前に残っていたインク量に対応した値が上記加算後の残量指標値Vから減算されてよい。本実施例では、第1値Vm1は、インク色(ここでは、CMYK)毎に、予め決められている。これに代えて、第1値Vm1は、カートリッジ200の記憶装置206から読み取られたデータによって、示されてよい。プロセッサ110は、不揮発性記憶装置130に格納されている残量指標値データ133のうち対象インクのデータを、更新された残量指標値Vを示すデータに更新する。そして、処理は、S930へ移行する。
カートリッジ200が交換されていない場合(S910:No)、プロセッサ110は、S920をスキップして、S930へ移行する。
S930では、プロセッサ110は、前回の図4の処理の後に、対象インクが使用されたか否かを判断する。プロセッサ110は、インクを使用する処理が実行される場合に、インク毎にインクの使用量を算出する。対象インクのインク使用量がゼロである場合(S930:No)、プロセッサ110は、S960へ移行する。
対象インクのインク使用量がゼロよりも大きい場合、S950で、プロセッサ110は、残量指標値データ133(図1)を参照して対象インクの現行の残量指標値Vを特定し、残量指標値Vからインク使用量Vxを減算する。プロセッサ110は、不揮発性記憶装置130に格納されている残量指標値データ133のうち対象インクのデータを、更新された残量指標値Vを示すデータに更新する。そして、処理は、S960へ移行する。
S960では、プロセッサ110は、液面センサ173の信号を取得する。S970では、プロセッサ110は、前回の図4の処理の後に、対象インクの液面が、エンプティレベルELよりも高い位置からエンプティレベルEL以下の位置へ変化したか否かを判断する。S970の判断結果がNoである場合、プロセッサ110は、図4の処理を終了する。
S970の判断結果がYesである場合(S970:Yes)、S980で、プロセッサ110は、不揮発性記憶装置130に格納されている残量指標値データ133のうち対象インクのデータを、第2値Vm2を示すデータに更新する。第2値Vm2は、液面がエンプティレベルELである場合の残量を示しており、予め決められている。そして、図4の処理は、終了する。
以上の処理により、残量指標値データ133は、適切な残量指標値Vを示すデータに更新される。
図5は、制御処理の実施例を示すフローチャートである。この処理は、表示部140(図1)にインク残量に関する情報を表示する処理である。本実施例では、プロセッサ110は、インクを使用する処理(例えば、印刷、ヘッドのクリーニングなど)が実行された場合に、図5の処理を実行することによって、表示部140による表示を更新する。なお、図5の処理は、図4の処理の後に実行される。
図6(A)−図6(C)は、表示部140に表示される表示画像の例を示す概略図である。表示画像900は、インクの消費に応じて、例えば、図6(A)−図6(C)の順に変化する。本実施例では、表示画像900は、MCYKのそれぞれのための、第1指標値画像941−944と、第2指標値画像951−954と、推定数971−974と、を示している。指標値画像941−944、951−954は、インクの残量を示す棒グラフである。具体的には、第1指標値画像941−944は、矩形領域であり、カートリッジ200のインク残量を示している。第2指標値画像951−954は、第1指標値画像941−944の下に配置された小さい矩形領域であり、中間容器175のインク残量を示している。各矩形領域内の対応するインク色の部分(図中では、ハッチングで示される部分)の面積が、残量を示している。液面ISs、ISm(図2(A))がエンプティレベルEL以上である場合、第1指標値画像941−944の塗りつぶされる部分の面積が、残量指標値Vに応じて変化する。第2指標値画像951−954については、全体が塗りつぶされた状態が、維持される。液面ISs、ISmがエンプティレベルEL以下である場合、第1指標値画像941−944は塗りつぶされずに、第2指標値画像951−954の塗りつぶされる部分の面積が、残量指標値Vに応じて変化する。このように、第1指標値画像と第2指標値画像との全体が、残量指標値Vを示している。推定数971−974は、残量指標値Vから推定される印刷可能な用紙数を示している。
図6(A)は、MYCKのカートリッジ200の残量が最大である場合を示している。図6(B)は、MYCKのカートリッジ200の状態が空状態であり、かつ、MYCKの中間容器175の残量がエンプティレベルEL(図2(B))に対応する量である場合を示している。図6(C)は、MYCKのカートリッジ200と中間容器175とが空である場合を示している。
図6(B)に示すように、表示画像900は、さらに、低残量画像990を示し得る。低残量画像990は、後述する低残量条件が満たされることを示している。本実施例では、低残量画像990は、「!」マークであり、第1指標値画像(図6(B)では、第1指標値画像942−944)上に配置されている。本実施例では、低残量画像990が表示される場合、カートリッジ200の状態が空状態であり、中間容器175にインクが残存している。ユーザは、低残量画像990を観察したことに応じて、カートリッジ200を新しいカートリッジ200に交換できる。なお、後述するように、低残量画像990は、カートリッジ200の種類が特定種類である場合に、表示され得る。カートリッジ200の種類が特定種類とは異なる別の種類である場合、低残量画像990は、表示されない。図6(A)−図6(C)では、CYKのカートリッジ200の種類が、特定種類であり、マゼンタMのカートリッジ200の種類は、特定種類ではないこととする。
図6(C)に示すように、表示画像900は、さらに、交換情報980を示し得る。交換情報980は、カートリッジ200と中間容器175とが空であることを示している。本実施例では、交換情報980は、「x」マークであり、第1指標値画像と第2指標値画像との境界部分に配置されている。ユーザは、交換情報980を観察したことに応じて、カートリッジ200を新しいカートリッジ200に交換できる。なお、後述するように、交換情報980は、カートリッジ200の種類に拘わらずに、表示され得る。
プロセッサ110は、図5の処理を実行することによって、表示部140を制御する。S110では、プロセッサ110(図1)は、未処理のインクから、処理対象の対象インクを選択する。S115では、プロセッサ110は、読書部166からの信号を取得し、対象インクのカートリッジ200の種類を特定する。本実施例では、カートリッジ200の種類は、「特定の種類」と「その他の種類」とから選択される。S120では、プロセッサ110は、液面センサ173(図2(A))からの信号を取得する。S125では、プロセッサ110は、残量指標値データ133を参照して、対象インクの残量指標値Vを取得する。
S130では、プロセッサ110は、残量指標値Vが空閾値Th1以下であるか否かを判断する。空閾値Th1は、中間容器175(図2(B))がほぼ空であることを示している。このように、プロセッサ110は、中間容器175内のインクの残量の指標値が空閾値Th1以下であることを示す空条件が満たされるか否かを判断している。なお、空閾値Th1は、後述する低残量条件に対応する低残量閾値Th2よりも小さい閾値である。空条件が満たされる場合、中間容器175とインク流路部177に、多少のインクは残存してもよい。
残量指標値Vが空閾値Th1以下である場合(S130:Yes)、S135で、プロセッサ110は、残量指標値Vに対応する第1指標値画像と第2指標値画像と推定数とに加えて、交換情報980を示す部分画像データを生成する。対象インクがシアンインクである場合、例えば、図6(C)のシアンCの第1指標値画像942と第2指標値画像952と推定数972と交換情報980とを示す画像データが、生成される。推定数は、残量指標値Vに対応する値に設定される。プロセッサ110は、例えば、残量指標値Vを予め決められた1頁当りの標準インク使用量で除算することによって、推定数を算出する。このように推定数は、残量指標値Vを示す情報の例である。画像データのデータ形式は、任意の形式であってよい(例えば、RGBのビットマップ形式)。生成される部分画像データは、第1指標値画像を示す部分と第2指標値画像を示す部分との全体であるインク残量画像データと、推定数を示す部分である推定数画像データと、交換情報980を示す部分である交換画像データと、を含んでいる。そして、処理は、S160へ移行する。
残量指標値Vが閾値Th1よりも大きい場合(S130:No)、S140で、プロセッサ110は、低残量条件が満たされるか否かを判断する。本実施例では、低残量条件は、液面センサ173によってインクが検出されないことである。すなわち、図2(B)で説明したように、低残量条件は、カートリッジ200の状態が空状態であり、かつ、中間容器175内のインクの残量がエンプティレベルELに対応する量(低残量閾値Th2とも呼ぶ)以下であることを示す条件である。プロセッサ110は、液面センサ173からの信号を用いて、低残量条件が満たされるか否かを判断する。
低残量条件が満たされない場合(S140:No)、S145で、プロセッサ110は、残量指標値Vに対応する第1指標値画像と第2指標値画像と推定数とを示す部分画像データを生成する。対象インクがシアンインクである場合、例えば、図6(A)のシアンCの第1指標値画像942と第2指標値画像952と推定数972とを示す画像データが、生成される(推定数の算出方法は、S135で説明した方法と同じである)。生成される部分画像データは、第1指標値画像を示す部分と第2指標値画像を示す部分との全体であるインク残量画像データと、推定数を示す部分である推定数画像データとを、含んでいる。そして、処理は、S160へ移行する。
低残量条件が満たされる場合(S140:Yes)、S150で、プロセッサ110は、対象インクのカートリッジ200の種類が特定の種類であるか否かを判断する。カートリッジ200の種類が特定の種類である場合(S150:Yes)、S155で、プロセッサ110は、残量指標値Vに対応する第1指標値画像と第2指標値画像と推定数とに加えて、低残量画像990を示す部分画像データを生成する。対象インクがシアンインクである場合、例えば、図6(B)のシアンCの第1指標値画像942と第2指標値画像952と推定数972と低残量画像990とを示す画像データが、生成される(推定数の算出方法は、S135で説明した方法と同じである)。生成される部分画像データは、第1指標値画像を示す部分と第2指標値画像を示す部分との全体であるインク残量画像データと、推定数を示す部分である推定数画像データと、低残量画像990を示す部分である低残量画像データとを、含んでいる。そして、処理は、S160へ移行する。
低残量条件が満たされ(S140:Yes)、かつ、カートリッジ200の種類が特定の種類とは異なる場合(S150:No)、S145で、プロセッサ110は、残量指標値Vに対応する第1指標値画像と第2指標値画像と推定数とを示す部分画像データを生成する。対象インクがマゼンタインクである場合、例えば、図6(B)のマゼンタMの第1指標値画像941と第2指標値画像951と推定数971とを示す画像データが、生成される。生成される部分画像データは、第1指標値画像を示す部分と第2指標値画像を示す部分との全体である画像データと、推定数を示す部分である推定数画像データとを、含んでいる。そして、処理は、S160へ移行する。
S160では、プロセッサ110は、全てのインクの処理が終了したか否かを判断する。未処理のインクが残っている場合(S160:No)、プロセッサ110は、S110へ移行して、未処理のインクの処理を実行する。全てのインクの処理が終了した場合(S160:Yes)、S165で、プロセッサ110は、各インクの部分画像データを用いて、1枚の表示画像900を示す出力画像データを生成する。例えば、各インクの部分画像データをつなぎあわせることによって、出力画像データが生成される。S170では、プロセッサ110は、出力画像データを表示部140へ出力する。S175では、表示部140は、出力画像データに従って、表示画像900を表示する。そして、図5の処理が終了する。
なお、図示を省略するが、プロセッサ110は、ユーザの指示に応じて、印刷実行部160を制御することによって、印刷実行部160に画像を印刷させる。例えば、プロセッサ110は、ユーザによって提供された画像データを用いて印刷データを生成し、印刷データに従って印刷実行部160を制御する。プロセッサ110は、残量指標値Vが空閾値Th1を超える場合、カートリッジ200の状態が空状態であっても、中間容器175内のインクを用いる印刷を許容する。プロセッサ110は、残量指標値Vが空閾値Th1以下である場合、印刷を禁止する。
以上のように、本実施例では、複合機100(図1)は、印刷実行部160と、印刷実行部160を制御するプロセッサ110とを、備えている。図2(A)、図2(B)に示すように、印刷実行部160は、インクを収容するカートリッジ200を装着可能な装着部172と、装着部172に装着されるカートリッジ200に収容されるインクを用いて印刷を実行する印刷機構171と、装着部172に装着されるカートリッジ200から印刷機構171に至るインクの経路に配置され、カートリッジ200から排出されて印刷機構171に供給されるべきインクを収容する中間容器175と、を備えている。
図5のS115、S150では、プロセッサ110は、装着部172に装着されているカートリッジ200である装着カートリッジ200の種類が、特定の種類であるか否かを判断する。S120では、プロセッサ110は、液面センサ173(図2(A)、図2(B))からの信号を取得する。液面センサ173からの信号は、副収容室179内のインクIkの液面ISsがエンプティレベルELに到達したか否かを示している。液面センサ173からの信号によって示される情報は、中間容器175内の印刷材の残量に関する印刷材情報の例である。S140では、プロセッサ110は、液面センサ173からの信号を用いて、低残量条件が満たされるか否かを判断する。低残量条件は、カートリッジ200の状態が予め決められた空状態であり、かつ、中間容器175内の印刷材の残量が予め決められた閾値Th2以下であることを示す条件である。S135、S145、S155では、プロセッサ110は、対象インクに関する部分画像データを生成する。部分画像データは、残量指標値Vを示す指標値画像(例えば、図6(A)の指標値画像941、951)を示すインク残量画像データを含んでいる。また、部分画像データは、残量指標値Vを示す推定数(例えば、図6(A)の推定数971)を示す推定数画像データを含んでいる。部分画像データは、更に、低残量条件(S140)が満たされることを示す低残量画像990(図6(B))を示す低残量画像データを含み得る。そして、プロセッサ110は、S165で、各インクの部分画像データを用いて出力画像データを生成し、S170で、出力画像データを表示部140へ出力する。このように、インク残量画像データと推定数画像データと低残量画像データとを含む出力画像データが、出力され得る。
具体的には、図6(B)のマゼンタMのように、1つの対象インクに関し、装着カートリッジ200の種類が特定の種類ではなく(S150:No)、かつ、低残量条件が満たされる(S140:Yes)第1の場合には、S145で、プロセッサ110は、低残量画像データを含まずにインク残量画像データと推定数画像データとを含む部分画像データを生成する。そして、S170では、プロセッサ110は、対象インクに関して、部分画像データを含む出力画像データを出力する。従って、対象インクに関しては、インク残量画像データと推定数画像データとは出力されるが、低残量画像データは出力されない。図6(B)の例では、マゼンタMに関しては、指標値画像941、951と推定数971とは表示されるが、低残量画像990は表示されない。従って、低残量条件が満たされることを契機とするマゼンタMのカートリッジ200の交換は、抑制される。この結果、カートリッジ200の交換に起因する不具合(例えば、互いに異なる種類のインクの混合による不具合)は、抑制される。また、低残量画像データが出力されなくても、残量指標値Vを示すインク残量画像データと推定数画像データとは出力される。図6(B)の例では、マゼンタMに関しては、低残量画像990は表示されないが、指標値画像941、951と推定数971とは表示される。従って、ユーザは、カートリッジ200を交換すべき時が近いことを把握でき、交換用のカートリッジ200を準備することができる。なお、プロセッサ110は、第1の場合には、対象インクに関して、印刷機構171による中間容器175内の残りのインクを用いた印刷を許容する。
また、図6(B)のCYKのように、1つの対象インクに関し、装着カートリッジ200の種類が特定の種類であり(S150:Yes)、かつ、低残量条件が満たされる(S140:Yes)第2の場合には、S155で、プロセッサ110は、インク残量画像データと推定数画像データと低残量画像データを含む部分画像データを生成する。そして、S170では、プロセッサ110は、対象インクに関して、部分画像データを含む出力画像データを出力する。従って、対象インクに関しては、インク残量画像データと推定数画像データと低残量画像データが出力される。図6(B)の例では、CYKに関しては、指標値画像942−944、952−954と推定数972−974とに加えて、低残量画像990が、表示される。低残量画像データによって示される低残量画像990を参照することによって、低残量条件が満たされることを契機とするカートリッジ200の交換が可能である。従って、カートリッジ200の交換を、印刷材が不足して印刷できなくなるまでの期間内の自由なタイミングで行うことができる。なお、プロセッサ110は、第2の場合には、対象インクに関して、印刷機構171による中間容器175内の残りの印刷材を用いた印刷を許容する。
また、本実施例では、S170(図5)で、プロセッサ110は、低残量画像データを含む出力画像データを、表示部140へ出力することによって、表示部140に低残量画像990を表示させる(図6(B))。従って、ユーザは、表示部140を観察することによって、低残量条件が満たされることを容易に認識できる。
また、第2の場合(図5:S140:Yes、S150:Yes)、プロセッサ110は、対象インクに関し、インク残量画像データと推定数画像データと低残量画像データを表示部140に出力することによって、表示部140に指標値画像と推定数と低残量画像を表示させる(例えば、図6(B)のシアンCの指標値画像942、952と推定数972と低残量画像990)。また、第1の場合(S140:Yes、S150:No)、プロセッサ110は、対象インクに関し、低残量画像データを出力しないでインク残量画像データと推定数画像データを表示部140に出力することによって、表示部140に指標値画像と推定数を表示させる(例えば、図6(B)のマゼンタMの指標値画像941、951と推定数971)。このように、装着カートリッジ200の種類に拘わらず、指標値画像と推定数が表示部140に表示されるので、カートリッジ200が交換されることに起因する不具合を抑制しつつ、特定の種類のカートリッジと他の種類のカートリッジとを適切に利用できる。例えば、ユーザは、装着カートリッジの種類に拘わらずに、指標値画像と推定数を観察することによって、中間容器175が空になる前に、新しいカートリッジを準備することができる。
また、図2(A)、図2(B)で説明したように、印刷実行部160は、中間容器175内の予め決められた位置でインクを検出する液面センサ173を備えている。図5のS120、S140では、プロセッサ110は、液面センサ173からの情報を用いて、低残量条件が満たされるか否かを判断する。従って、プロセッサ110は、低残量条件が満たされるか否かを、適切に、判断できる。例えば、プロセッサ110は、装着部172に装着されているカートリッジ200の種類に拘わらずに、適切に判断できる。
B.表示画像の別の実施例:
図7(A)−図7(C)は、表示画像の別の実施例の概略図である。各図には、表示画像910が示されている。図7(A)−図7(C)は、図6(A)−図6(C)と同じ状態を、それぞれ示している。図6(A)−図6(C)の表示画像900との差違は、第1指標値画像941−944と第2指標値画像951−954とが、指標値画像961−964に置換されている点だけである。表示画像910の他の部分の構成は、表示画像900の対応する部分の構成と同じである(同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する)。指標値画像961−964は、1個の矩形領域である。矩形領域内のインク色の部分(図中では、ハッチングで示される部分)の面積が、残量指標値Vを示している。このように、指標値画像961−964は、カートリッジ200と中間容器175とを区別せずに、残量指標値Vを示してよい。図5のS135、S145、S155では、プロセッサ110は、指標値画像961−964を示す部分画像データを生成する。
図8(A)−図8(C)は、表示画像の別の実施例の概略図である。各図には、表示画像900aが示されている。図8(A)−図8(C)は、図6(A)−図6(C)と同じ状態を、それぞれ示している。図6(A)−図6(C)の表示画像900との差違は、異種情報985が追加されている点だけである。表示画像900aの他の部分の構成は、表示画像900の対応する部分の構成と同じである(同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する)。異種情報985は、カートリッジの種類が特定の種類とは異なることを示す情報である。本実施例では、異種情報985は、「?」マークであり、第1指標値画像(図8(A)、図8(B)では、第1指標値画像941)上に配置されている。ユーザは、異種情報985を観察することによって、カートリッジの種類が特定の種類とは異なることを、容易に認識できる。図5のS145では、プロセッサ110は、装着カートリッジ200の種類が特定の種類とは異なる場合に、異種情報985を示す部分画像データを生成する。なお、プロセッサ110は、S135においても、装着カートリッジ200の種類が特定の種類とは異なる場合に、異種情報985を示す部分画像データを生成してよい。
図9(A)−図9(C)は、表示画像の別の実施例の概略図である。各図には、表示画像900bが示されている。図9(A)−図9(C)は、図6(A)−図6(C)と同じ状態を、それぞれ示している。図6(A)−図6(C)の表示画像900との差違は、装着カートリッジ200の種類が特定の種類とは異なる場合に、第1指標値画像と第2指標値画像とのそれぞれの色が、対応するインク色とは異なる色に設定される点だけである。表示画像900bの他の部分の構成は、表示画像900の対応する部分の構成と同じである(同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する)。
図9(A)−図9(C)の例では、マゼンタMのカートリッジの種類が、特定の種類とは異なっており、CYKのカートリッジの種類は、いずれも、特定の種類である。CYKの指標値画像942−944、952−954の色は、上記の各実施例と同様に、対応するインク色と同じである。マゼンタMの第1指標値画像941の色は、特定の種類とは異なる種類を示す予め決められた色C1である。マゼンタMの第2指標値画像951の色は、混合インクを示す予め決められた色C2である。これらの色C1、C2は、いずれのインク色とも異なる別の色である。ユーザは、第1指標値画像941を観察することによって、マゼンタMのカートリッジ200の種類が特定の種類とは異なることを、容易に認識できる。また、ユーザは、第2指標値画像951を観察することによって、マゼンタMの中間容器175に混合インクが収容されていることを、容易に認識できる。図5のS135、S145では、プロセッサ110は、装着カートリッジ200の種類が特定の種類とは異なる場合に、対応するインク色とは異なる色C1、C2の第1指標値画像と第2指標値画像とを示すインク残量画像データを含む部分画像データを生成する。なお、プロセッサ110は、図6、図7、図8の各実施例において、カートリッジ200の種類が特定の種類とは異なる場合に、指標値画像の色を対応するインク色とは異なる色に設定してよい。
図10(A)−図10(D)は、表示画像の別の実施例の概略図である。各図には、表示画像800が示されている。表示画像800は、複合機100の種々の機能を開始するためのボタン画像861、862、863と、インク残量を表示するための残量領域840と、メッセージを表示するためのメッセージ領域850と、を表している。ユーザが操作部150(本実施例では、タッチパネル)のうちボタン画像上をタップする場合、プロセッサ110は、ボタン画像に対応付けられた機能を開始する。
残量領域840は、各インク色の残量指標値Vを示す画像を表示するための領域である。残量領域840に表示される画像は、種々の画像であってよく、例えば、上記の各実施例の表示画像900、900a、900b、910から予め選択された画像が、表示されてよい。ユーザが操作部150(本実施例では、タッチパネル)のうち残量領域840上をタップする場合、プロセッサ110は、図6(A)の表示画像900のように大きな指標値画像を表示部140に表示してよい。
メッセージ領域850には、後述するように、インク残量に応じた種々のメッセージが表示され得る。プロセッサ110は、図5の処理を実行することによって、表示画像800(残量領域840の画像を含む)を更新する。例えば、プロセッサ110は、図5のS134、S145、S155で、残量領域840の各インクのための部分画像データと、メッセージ領域850の部分画像データと、を生成する。そして、S165で、プロセッサ110は、各インクの部分画像データとメッセージ領域850の部分画像データとを用いて、表示画像800を示す出力画像データを生成する。以下、マゼンタMのカートリッジの種類が特定の種類とは異なっており、CYKのカートリッジの種類は、特定の種類であることとする。
図10(A)は、図6(A)等と同様に、MYCKのカートリッジ200の残量が最大である場合の例を示している。この場合、メッセージ領域850は、空欄である。尚、この場合には、例えば時刻表示や“READY”などの複合機の状態をメッセージ領域850に表示してもよい。
図10(B)は、マゼンタMのみが低残量条件を満たす場合の例を示している。この場合、残量領域840には、低残量画像990は表示されない。また、メッセージ領域850は、空欄である。尚、この場合にも、例えば時刻表示や“READY”などの複合機の状態をメッセージ領域850に表示してもよい。
図10(C)は、図6(B)と同様に、MYCKのそれぞれが低残量条件を満たす場合の例を示している。この場合、残量領域840のYCKの領域に、低残量画像990が表示される(図5のS155で、低残量画像990を示す部分画像データが、生成される)。また、プロセッサ110は、メッセージ領域850に、低残量条件が満たされることを示す低残量メッセージ890を表示させる。本実施例では、低残量メッセージ890は、「Ink Low」の文字列である。低残量メッセージ890を示す部分画像データは、図5のS155で生成される。本実施例では、低残量メッセージ890は、1以上の特定の種類のインクカートリッジの状態が空状態である場合に、表示される。
図10(D)は、図6(C)と同様に、MYCKのカートリッジ200と中間容器175とが空である場合を示している。この場合、残量領域840のMYCKの領域に、交換情報980が表示される(図5のS135で、交換情報980を示す部分画像データが、生成される)。また、プロセッサ110は、メッセージ領域850に、中間容器175が空であることを示す交換メッセージ880を表示させる。本実施例では、交換メッセージ880は、「Replace Ink」の文字列である。交換メッセージ880を示す部分画像データは、図5のS135で生成される。
このように、低残量条件が満たされたことを示す情報は、文字列であってよい。この場合も、上記の各実施例と同様に、ユーザは、低残量メッセージ890を参照することによって、低残量条件が満たされることを契機とするカートリッジ200の交換が可能である。また、図10(B)のマゼンタMのように、特定の種類とは異なる種類のカートリッジに関して低残量条件が満たされる場合には、低残量メッセージ890は表示されない。従って、低残量条件が満たされることを契機とするカートリッジ200の交換は、抑制される。この結果、カートリッジ200の交換に起因する不具合は、抑制される。
C.第2実施例:
図11(A)、図11(B)は、制御処理の別の実施例を示すフローチャートである。本実施例では、複合機は、表示部140の制御のモードとして、個別モードと共通モードとを有している。個別モードは、図5の実施例と同様に、カートリッジの種類に応じて低残量情報(例えば、低残量画像990、低残量メッセージ890)の表示を制御するモードである。共通モードは、カートリッジの種類に拘わらずに、低残量条件が満たされる場合に、低残量情報を表示するモードである。複合機のハードウェアの構成は、図1の複合機100の構成と同じである。プログラム131は、図11(A)、図11(B)の処理をプロセッサ110に実行させるように、構成される。本実施例では、不揮発性記憶装置130に、現行のモードを示す現行モードデータ134が、格納される。
図11(A)は、モード設定処理を示している。S210では、プロセッサ110(図1)は、操作部150からの信号を用いて、ユーザの指示を取得する。ユーザの指示は、個別モードと共通モードとのいずれかを選択する。S220では、プロセッサ110は、ユーザの指示によって選択されたモードを特定する。選択されたモードが個別モードである場合、プロセッサ110は、S230で、個別モードを示す現行モードデータ134を不揮発性記憶装置130に格納し、図11(A)の処理を終了する。選択されたモードが共通モードである場合、プロセッサ110は、S240で、共通モードを示す現行モードデータ134を不揮発性記憶装置130に格納し、図11(A)の処理を終了する。このように、現行モードデータ134は、ユーザによって選択された現行のモードを示している。
図11(B)は、制御処理の実施例を示すフローチャートである。図中には、制御処理の一部が示されている。図示された処理は、図5のS140とS150との間に、挿入される。制御処理の他の部分は、図5の対応する部分と同じである(図5のステップと同じステップには、同じ符号を付して、説明を省略する)。
S140の判断結果がYesである場合、すなわち、低残量条件が満たされる場合、S310で、プロセッサ110(図1)は、現行モードデータ134を参照して、現行モードを特定する。現行モードが個別モードである場合、プロセッサ110は、S150(図5)へ移行する。この場合の制御処理は、図5の実施例の制御処理と同じである。
現行モードが共通モードである場合、S320で、プロセッサ110は、対象インクのカートリッジ200の種類が特定の種類であるか否かを判断する。S320の処理は、図5のS150の処理と同じである。
カートリッジ200の種類が特定の種類である場合(S320:Yes)、プロセッサ110は、S330で、部分画像データを生成する。
図12は、共通モードで表示される表示画像の例を示す概略図である。この表示画像900cは、図6(B)と同じ状態の画像を示している。マゼンタMのカートリッジの種類は、特定の種類ではなく、CYKのそれぞれのカートリッジの種類は、特定の種類である。図6(B)の表示画像900と差違は、マゼンタMの第1指標値画像941上にも低残量画像990が表示されている点と、補足メッセージ995が表示されている点と、だけである。表示画像900cの他の部分の構成は、図6(B)の表示画像900の対応する部分の構成と同じである(同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する)。
表示画像900cのCYKの画像を示す部分画像データは、S330(図11(B))で生成される。S330の処理は、図5のS155の処理と同じである。S330の後、処理は、S160(図5)へ移行する。
カートリッジ200の種類が特定の種類とは異なる場合(S320:No)、プロセッサ110は、S340で、残量指標値Vに対応する部分画像データを生成する。この部分画像データの生成処理は、S330の処理と同じである。図12に示すように、マゼンタMに関しても、低残量画像990を示す部分画像データが生成される。S340では、プロセッサ110は、さらに、補足メッセージ995を示す補足画像データを生成する。図12に示すように、本実施例では、補足メッセージ995は、交換マークが表示された後にマゼンタMのカートリッジを交換することを、促している。S340の後、処理は、S160(図5)へ移行する。図5のS165では、プロセッサ110は、各インク色の部分画像データを用いて、出力画像データを生成する。補足画像データが生成された場合には、出力画像データは、補足画像データを含んでいる。S170では、プロセッサ110は、出力画像データを用いて、表示部140に表示画像を表示させる。
以上のように、本実施例では、図11(A)の処理で、プロセッサ110は、共通モードを選択する指示を、ユーザから受け得る。共通モードでは、低残量条件が満たされ(図5:S140:Yes)、かつ、カートリッジの種類が特定の種類とは異なる(図11(B):S320:No)場合、プロセッサ110は、S340で、低残量画像データを含む部分画像データを生成する。そして、S170(図5)で、プロセッサ110は、低残量画像データを含む出力画像データを出力する。従って、ユーザは、特定の種類とは異なる種類のカートリッジが用いられる場合に、低残量条件が満たされることを契機とする処理(例えば、新しいカートリッジの準備)を行うことができる。
また、プロセッサ110は、S340(図11(B))では、さらに、補足画像データを生成する。そして、S170(図5)で、プロセッサ110は、補足画像データを含む出力画像データを出力する。補足画像データによって示される補足メッセージ995(図12)は、交換マークが表示された後に、特定の種類とは異なる種類のカートリッジを交換することを、促している。従って、カートリッジが早くに交換されることに起因する不具合は、抑制される。
なお、図11(A)、図11(B)の処理は、図8−図10の表示画像に適用されてよい。補足メッセージに代えて、ピクトグラムなどの記号が用いられてよい。メッセージや記号などの補足情報は、中間容器175内のインクの少なくとも一部を消費した後にカートリッジを交換すべきことを示す任意の情報であってよい。例えば、メッセージは、図12の補足メッセージ995とは異なる文書であってよい。
D.第3実施例:
図13は、記録処理の例を示すフローチャートである。記録処理は、カートリッジが交換される場合に、状況を示す状況データを、ログデータ135(図1)に追記する処理である。複合機のハードウェアの構成は、図1の複合機100の構成と同じである。プログラム131は、図13の処理をプロセッサ110に実行させるように、構成される。記録処理は、上記の各実施例に、適用されてよい。
S410では、プロセッサ110(図1)は、カートリッジ200が交換されたか否かを判断する。本実施例では、プロセッサ110は、装着センサAS(図2(A))からの信号を継続して監視しており、この信号を用いて判断を行う。カートリッジ200が交換された場合、図13の処理は、図4、図5の処理とインクを使用する処理よりも先に行われる。カートリッジ200が交換されていない場合(S410:No)、プロセッサ110は、図13の処理を終了する。
カートリッジ200が交換された場合(S410:Yes)、S420で、プロセッサ110は、交換されたカートリッジ200のインク色である対象インク色を特定する。プロセッサ110は、カートリッジデータ136(図1)を参照して、対象インク色の交換前のカートリッジの種類が特定の種類であるか否かを特定する。後述するように、カートリッジデータ136は、複数のインク色のそれぞれについて、カートリッジ200の種類が特定の種類であるか否かを示している。
S430では、プロセッサ110は、対象インク色の読書部166(図2(A))からの信号を取得し、対象インク色のカートリッジ200の現行の種類が特定の種類であるか否かを特定する。S440では、プロセッサ110は、不揮発性記憶装置130に格納されているカートリッジデータ136のうち対象インク色のデータを、特定した種類を示すデータに更新する。S450では、プロセッサ110は、残量指標値データ133を参照して、対象インク色の残量指標値Vを特定する。特定される残量指標値Vは、カートリッジ200の交換前の残量指標値Vと同じである。S460では、プロセッサ110は、交換前の残量指標値Vを示す交換前指標値情報と、交換前のカートリッジの種類が特定の種類であるか否かを示す旧種類情報と、交換後のカートリッジの種類が特定の種類であるか否かを示す新種類情報と、を示す状況データを、ログデータ135に追記する。そして、図13の処理は、終了する。
以上のように、複合機100(図1)は、不揮発性記憶装置130を備えている。そして、装着部172に装着されるカートリッジ200が交換される場合(S410:Yes)、プロセッサ110は、S460で、状況データを不揮発性記憶装置130に格納する。状況データは、交換前指標値情報と、旧種類情報と、新種類情報と、を示している。カートリッジの交換に起因する不具合が生じる場合、不揮発性記憶装置130に格納されたログデータ135(すなわち、状況データ)を参照することによって、状況を特定できる。
E.変形例:
(1)低残量条件は、図5のS140で説明した条件に代えて、カートリッジ200の状態が予め決められた空状態であり、かつ、中間容器175内のインクの残量が予め決められた閾値以下であることを示す種々の条件であってよい。例えば、低残量条件は、液面センサ173によってインクが検出されなくなってから(すなわち、液面がエンプティレベルELに到達してから)のインクの使用量が予め決められた閾値を超えること、であってよい。また、液面センサ173は、省略されてもよい。この場合、図4の処理では、S960、S970、S980は省略されてよい。そして、低残量条件は、残量指標値V(より具体的には、中間容器175の残量の指標値)が低残量閾値Th2以下であること、であってよい。
(2)低残量条件が満たされたことを示す低残量情報は、低残量画像990(図6(B))のようなマークや、低残量メッセージ890(図10(C))のような文字列に代えて、種々の情報であってよい。例えば、低残量情報は、低残量条件に固有な色の領域であってよい。
(3)残量指標値Vを示す指標値情報は、指標値画像941、951(図6(A))のようなグラフの画像や、推定数971のような数値に代えて、残量指標値Vを示す種々の情報であってよい。例えば、指標値情報は、残量指標値Vを複数の段階で示すピクトグラムであってよい。
(4)表示画像の構成は、種々の構成であってよい。例えば、上記各実施例において、指標値画像941−944、951−954、961−964と、推定数971−974と、のいずれか一方は、省略されてよい。また、図12の実施例において、補足メッセージ995は省略されてよい。この場合、図11(B)のS320とS340とが省略されてよい。そして、現行モードが共通モードである場合には、プロセッサ110は、カートリッジの種類に拘わらずに、S330で部分画像データを生成してよい。
(5)図13の実施例において、状況データは、交換前指標値情報と旧種類情報と新種類情報とに加えて、日時などの他の種々の情報を示してよい。プログラム131は、ログデータ135の内容を表示部140に表示させる処理を、プロセッサ110に実行させてよい。また、プログラム131は、通信インタフェース180に接続された外部装置(例えば、USBメモリ)にログデータ135を格納する処理を、プロセッサ110に実行させてよい。また、プログラム131は、通信インタフェース180を介して通信可能なサーバ装置に状況データを送信する処理を、プロセッサ110に実行させてよい。
(6)図5のS170の出力処理は、表示部140にデータを出力する処理に代えて、他の種々の処理であってよい。例えば、出力処理は、指標値情報などを示すデータ(例えば、画像データやテキストデータ)を含む電子メールデータを送信する処理であってよい。メールの宛先は、予め決められてよく、また、ユーザによって決定されてよい。電子メールデータは、低残量情報を示すデータを含んでよく、補足情報を示すデータを含んでよい。また、出力されるデータは、画像データやテキストデータに代えて、動画データや音声データなど任意の形式のデータであってよい。
(7)図5、図11(A)、図11(B)の処理は、複合機100に接続された端末装置(例えば、タブレットコンピュータなど)によって実行されてよい。例えば、図5のS115、S120、S125では、端末装置は、複合機100から情報を取得する。そして、S170、S175では、端末装置は、端末装置の表示部に、表示画像(例えば、図6(A)の表示画像900)を表示してよい。
(8)印刷実行部の構成は、図2(A)、図2(B)に示す水頭差方式の構成に代えて、他の種々の構成であってよい。例えば、インク供給部170のうちの装着部172から中間容器175までの部分の構成は、気体流路と液体流路を経た気液置換を行ういわゆるチキンフィード方式の構成であってよい。また、印刷実行部は、インクに代えてトナーを用いて画像を印刷するレーザ方式の装置であってよい。
(9)カートリッジの種類を特定する方法は、カートリッジ200(図1)の記憶装置206に格納された情報を用いる方法に代えて、他の任意の方法であってよい。例えば、プロセッサ110は、ユーザによって入力された情報を用いて、カートリッジの種類を特定してよい。
(10)印刷実行部を備える印刷装置の構成は、複合機100(図1)の構成に代えて、他の種々の構成であってよい。例えば、読取部190は、省略されてよい。このように、印刷装置は、単機能の印刷装置であってよい。
上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図5のS135、S145、S155の処理の機能を、専用のハードウェア回路によって実現してもよい。
また、本発明の機能の一部または全部がコンピュータプログラムで実現される場合には、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、一時的ではない記録媒体)に格納された形で提供することができる。プログラムは、提供時と同一または異なる記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に格納された状態で、使用され得る。「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、メモリーカードやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種ROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスクドライブ等のコンピュータに接続されている外部記憶装置も含み得る。
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。