以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、後述する各処理の実行順序は、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜変更することができる。
本実施形態では、図1に示されるシステム5が説明される。システム5は、プリンタ10と、パーソナルコンピュータ(以下、PCと記載する)40と、サーバ50とを備える。図示例では、1台のプリンタ10及び1台のPC40のみが示されている。しかしながら、プリンタ10やPC40は、それぞれ複数台であってもよい。
プリンタ10とPC40とは、有線LANや、無線LANや、WANや、これらの組み合わせ、或いは、USBケーブルやプリンタケーブルなどで相互に接続されている。プリンタ10とPC40とは、TCP/IPなどの通信プロトコルを用いて相互に通信可能である。プリンタ10とPC40とは、印刷指示やステータス情報などを送受信する。具体的には、PC40は、印刷データ及び印刷コマンドを含む印刷指示をプリンタ10に送信し、プリンタ10に印刷を実行させる。また、プリンタ10は、自己の状態を示すステータス情報をPC40に送信する。PC40は、受信したステータス情報をディスプレイ48に表示させる。詳しくは後述する。
PC40とサーバ50とは、インターネットなどの通信回線6によって接続されている。PC40とサーバ50とは、インターネットプロトコルなどの通信プロトコルを用いて相互に通信可能である。PC40は、プリンタ10から受信したステータス情報に基づいて、プリンタ10に使用される後述のカートリッジ200の発注に関する発注情報をサーバ50に送信する。サーバ50は、受信した発注情報に基づいて、カートリッジ200の発送を手配する。すなわち、図1に示されるシステム5は、サーバ50が、プリンタ10に使用されるカートリッジ200の発注に関する情報を収集し、カートリッジ200の発注を行うシステムである。
システム5は、例えば、プリンタ10を貸与などによってユーザに提供する事業者によって運営される。具体的に説明すると、事業者は、ユーザの事務所などに設置されるプリンタ10と、PC40或いはユーザ所有のPC40にインストールされるステータスモニタなどのプログラムとをユーザに提供する。通信回線6上に設置したサーバ50は、PC40から印刷枚数に関する印刷枚数情報や発注情報を収集する。サーバ50は、収集した印刷枚数情報に基づいて課金を行う。また、サーバ50は、収集した発注情報に基づいて、プリンタ10が設置された場所を示す宛先に対して、新しいカートリッジ200の発送を手配する。事業者は、システム5を用いて、ユーザがプリンタ10によって印刷を行うサービスを提供する。
以下、プリンタ10、PC40、及びサーバ50の各構成、及び、プリンタ10、PC40、及びサーバ50がそれぞれ実行する各処理について説明する。プリンタ10は、液体消費装置の一例であり、PC40は、情報処理装置の一例である。プリンタ10及びPC40は、液体消費システムの一例である。
[プリンタ10の概要]
図2に示されるプリンタ10は、インク滴を吐出してシートに画像を印刷するインクジェットプリンタである。プリンタ10は、ファクシミリ機能、スキャン機能、及びコピー機能などの機能を有する複合機であってもよい。
以下では、プリンタ10が使用可能に水平面に設置された使用姿勢を基準として上下方向7が定義され、プリンタ10の開口13が形成された面を前面として前後方向8が定義され、プリンタ10を前面から見て左右方向9が定義される。すなわち、使用姿勢において、上下方向7が鉛直方向に相当し、前後方向8及び左右方向9が水平方向に相当する。前後方向8及び左右方向9は、直交している。
プリンタ10は、概ね直方体形状の筐体14を有している。筐体14の内部には、図3及び図4に示されるように、給送トレイ15と、給送ローラ23と、搬送ローラ25と、複数のノズル29を有するヘッド21と、プラテン26と、排出ローラ27と、排出トレイ16と、装着ケース150と、タンク160とが位置している。
プリンタ10は、給送ローラ23及び搬送ローラ25を駆動させて、給送トレイ15に支持されたシートをプラテン26の位置まで搬送する。次に、プリンタ10は、タンク160からチューブ19を通じて供給されるインクを、ヘッド21にノズル29を通じて吐出させる。これにより、プラテン26に支持されたシートにインクが着弾して、シート上に画像が印刷される。そして、プリンタ10は、排出ローラ27を駆動させて、画像が印刷されたシートを排出トレイ16に排出する。
より詳細には、ヘッド21は、搬送ローラ25によるシートの搬送向きと交差する主走査方向(左右方向9と平行)に沿って往復移動するキャリッジ20に搭載されている。キャリッジ20は、不図示のモータの駆動力が伝達されて、主走査方向(図3の紙面と垂直な方向)に沿って移動する。プリンタ10は、搬送ローラ25によるシートの搬送が停止されている間に、主走査方向に沿ってキャリッジ20を移動させつつ、ヘッド21にノズル29を通じてインクを吐出させる。これにより、ヘッド21に対面するシートの一部の領域(以下、「1パス」と記載)に画像が印刷される。次に、プリンタ10は、次に画像が印刷されるべき領域がヘッド21に対面するように、搬送ローラ25にシートを搬送させる。そして、これらの処理を交互に繰り返し実行させることによって、1枚のシートに画像が印刷される。
[ディスプレイ28]
筐体14は、ディスプレイ28を有する。ディスプレイ28は、筐体14の前面に位置している。ディスプレイ28は、表示パネルの上にタッチセンサが配置された、所謂タッチパネルである。ただし、ディスプレイ28に代えて、或いはディスプレイ28とともに、表示パネル及び押しボタンが筐体14の前面に位置していてもよい。ディスプレイ28は、ユーザからの入力を受け付ける。
[カバー87]
図2に示されるように、筐体14の前面14Aで且つ左右方向9の右端部には、開口85が形成されている。筐体14は、さらにカバー87を備える。カバー87は、開口85を被覆する被覆位置(図3(A)に示される位置)と、開口85を開放する開放位置(図3(B)に示される位置)との間を回動可能である。カバー87は、例えば、上下方向7における筐体14の下端近傍において、左右方向9に沿う回動軸線周りに回動可能に、筐体14によって支持されている。そして、開口85の奥に広がる筐体14内部の収容空間86には、カートリッジ200が装着される装着ケース150が位置している。
[カバーセンサ88]
プリンタ10は、カバーセンサ88(図6参照)を有する。カバーセンサ88は、例えば、カバー87が接離するスイッチ等の機械式センサであってもよいし、カバー87の位置によって光が遮断或いは透過される光学式センサであってもよい。カバーセンサ88は、カバー87の位置に応じた信号をコントローラ130に出力する。より詳細には、カバーセンサ88は、カバー87が被覆位置に位置していることに応じて、ローレベル信号をコントローラ130へ出力する。一方、カバーセンサ88は、カバー87が被覆位置と異なる位置に位置していることに応じて、ローレベル信号より信号強度の高いハイレベル信号をコントローラ130へ出力する。換言すれば、カバーセンサ88は、カバー87が露出位置に位置していることに応じて、ハイレベル信号をコントローラ130へ出力する。
[装着ケース150]
装着ケース150は、図4に示されるように、接点152と、ロッド153と、装着センサ32と、液面センサ33と、ロックピン156とを備えている。装着ケース150には、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色に対応する4つのカートリッジ200が収容可能である。すなわち、装着ケース150は、接点152、ロッド153、装着センサ32、液面センサ33は、4つのカートリッジ200それぞれに対応して、4つずつ備えている。なお、装着ケース150に収容可能なカートリッジ200の数は、4つに限定されず、1つでも良いし、5つ以上でも良い。
装着ケース150は、装着されたカートリッジ200を収容する内部空間を有する箱形状である。装着ケース150の内部空間は、上端を画定する天壁と、下端を画定する底壁と、前後方向8の後端を画定する奥壁と、左右方向9の両端を画定する一対の側壁とで画定される。一方、装着ケース150の奥壁と対面する位置は、開口85となっている。すなわち、開口85は、カバー87が開放位置に位置したときに、装着ケース150の内部空間を、プリンタ10の外部に開放させる。
そして、カートリッジ200は、筐体14の開口85を通じて、装着ケース150に装着され、装着ケース150から抜かれる。より詳細には、カートリッジ200は、開口85を前後方向8の後ろ向きに通過して、装着ケース150に装着される。装着ケース150から抜かれるカートリッジ200は、開口85を前後方向8の前向きに通過する。
[接点152]
接点152は、装着ケース150の天壁に位置している。接点152は、天壁から装着ケース150の内部空間へ向けて下方に突出している。接点152は、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、カートリッジ200の後述する電極248に接する位置に位置している。接点152は、導電性を有しており、さらに上下方向7に沿って弾性的に変形可能である。接点152は、コントローラ30に電気的に接続されている。
[ロッド153]
ロッド153は、装着ケース150の奥壁から前方へ突出している。ロッド153は、装着ケース150の奥壁において、後述するジョイント180より上方に位置している。ロッド153は、カートリッジ200が装着ケース150に装着される過程において、カートリッジ200の後述する大気連通口221を通じて大気バルブ室214に進入する。ロッド153が大気バルブ室214に進入すると、後述する大気バルブ室214が大気に連通される。
[装着センサ32]
装着センサ32は、装着ケース150の天壁に位置している。装着センサ32は、カートリッジ200が装着ケース150に装着されているか否かを検出するためのセンサである。装着センサ32は、左右方向9に離間した発光部及び受光部を備える。装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、カートリッジ200の後述する遮光リブ245は、装着センサ32の発光部及び受光部の間に位置する。換言すれば、装着センサ32の発光部及び受光部は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200の遮光リブ245を挟んで、互いに対向した状態で位置している。
装着センサ32は、発光部から左右方向9に沿って照射された光が受光部で受光されたか否かに応じて、異なる信号(以下、「装着信号」と記載)を出力する。装着センサ32は、例えば、受光部で受光された光の受光強度が閾値強度未満であることに応じて、ローレベル信号をコントローラ30へ出力する。一方、装着センサ32は、受光部で受光された光の受光強度が閾値強度以上であることに応じて、ローレベル信号より信号強度の高いハイレベル信号をコントローラ30へ出力する。装着センサ32が出力するハイレベル信号は、第1信号の一例である。装着センサ32が出力するローレベル信号は、第2信号の一例である。
[液面センサ33]
液面センサ33は、後述するアクチュエータ190の被検出部194が検出位置に位置しているか否かを検出するためのセンサである。液面センサ33は、左右方向9に離間した発光部及び受光部を備える。換言すれば、被検出部194が検出位置に位置するとき、液面センサ33の発光部及び受光部の間に、被検出部194が位置している。一方で、被検出部194が検出位置に位置していないとき、液面センサ33の発光部及び受光部の間に、被検出部194が位置していない。液面センサ33は、発光部から出力された光が受光部で受光されたか否かに応じて異なる信号を出力する。液面センサ33は、例えば、受光部で受光された光の受光強度が閾値強度未満であることに応じて、ローレベル信号をコントローラ30へ出力する。一方、液面センサ33は、受光部で受光された光の受光強度が閾値強度以上であることに応じて、ローレベル信号より信号強度の高いハイレベル信号をコントローラ30へ出力する。
[ロックピン156]
ロックピン156は、装着ケース150の内部空間の上端で且つ開口85付近において、左右方向9に沿って延びる棒状の部材である。ロックピン156の左右方向9の両端は、装着ケース150の一対の側壁に固定されている。ロックピン156は、4つのカートリッジ200が収容可能な4つの空間に亘って左右方向9に延びている。ロックピン156は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200を、図6に示される装着位置に保持するためのものである。カートリッジ200は、装着ケース150に装着された状態で、ロックピン156に固定される。
[タンク160]
プリンタ10は、4つのカートリッジ200それぞれに対応して、4つのタンク160を備える。詳細には、マゼンタのインクが貯留されるカートリッジ200に対応して、マゼンタのインクが貯留されるタンク160と、シアンのインクが貯留されるカートリッジ200に対応して、シアンのインクが貯留されるタンク160と、イエローのインクが貯留されるカートリッジ200に対応して、イエローのインクが貯留されるタンク160と、ブラックのインクが貯留されるカートリッジ200に対応して、ブラックのインクが貯留されるタンク160と、を備える。4つのタンク160の構成は、概ね共通するため、以下では、1つのタンク160を説明する。
タンク160は、装着ケース150の奥壁よりさらに後方に位置している。タンク160は、図4に示されるように、上壁161と、前壁162と、下壁163と、後壁164と、不図示の一対の側壁とで構成されている。なお、前壁162は、各々が前後方向8にずれた複数の壁によって構成される。タンク160の内部は、液室171が形成されている。液室171は、第2液室の一例である。
タンク160を構成する壁のうち、少なくとも液面センサ33に対面する壁は、透光性を有している。これにより、液面センサ33が出力した光は、液面センサ33に対面する壁を透過することができる。後壁164の少なくとも一部は、上壁161、下壁163、及び側壁の端面に溶着されるフィルムでもよい。また、タンク160の側壁は、装着ケース150と共通でもよいし、装着ケース150とは独立していてもよい。さらに、左右方向9に隣接するタンク160の間は、不図示の隔壁によって仕切られている。
液室171は、流出口174を通じて不図示のインク流路に連通されている。流出口174の下端は、液室171の下端を画定する下壁163によって画定されている。流出口174は、ジョイント180(より詳細には、貫通孔184の下端)より下方に位置している。流出口174に連通された不図示のインク流路は、チューブ19に連通されている。これにより、液室171は、流出口174からインク流路及びチューブ19を通じて、ヘッド21と連通する。つまり、液室171に貯留されたインクは、流出口174からインク流路及びチューブ19を通じて、ヘッド21へ供給される。流出口174に連通されたインク流路及びチューブ19は、一端(流出口174)が液室171に連通され、且つ他端89(図3参照)がヘッド21に連通されている。
液室171は、大気連通室175を通じて大気に連通されている。より詳細には、大気連通室175は、前壁162を貫通する貫通孔176を通じて液室171に連通されている。また、大気連通室175は、大気連通ポート177及び大気連通ポート177に接続された不図示のチューブを通じて、プリンタ10の外部に連通されている。すなわち、大気連通室175は、一端(貫通孔176)が液室171に連通され、且つ他端(大気連通ポート177)がプリンタ10の外部に連通されている。なお、大気連通室175は、大気連通ポート177及び不図示のチューブを通じて、大気に連通している。
[ジョイント180]
ジョイント180は、図4に示されるように、ニードル181と、ガイド182とを備えている。ニードル181は、内部に流路が形成された管である。ニードル181は、液室171を画定する前壁162から前方へ突出している。ニードル181の前端には、開口183が形成されている。また、ニードル181の内部空間は、前壁162を貫通する貫通孔184を通じて液室171に連通されている。ニードル181は、一端(開口183)がタンク160の外部に連通され、且つ他端(貫通孔184)が液室171に連通されている。ガイド182は、ニードル181の周囲に配置された円筒形状の部材である。ガイド182は、前壁162から前方に突出して、前端が開口している。
ニードル181の内部空間には、バルブ185と、コイルバネ186とが位置している。バルブ185は、ニードル181の内部空間において、閉塞位置と開放位置との間を、前後方向8に沿って移動可能である。バルブ185は、閉塞位置に位置すると開口183を閉塞する。またバルブ185は、開放位置に位置すると開口183を開放する。コイルバネ186は、バルブ185を開放位置から閉塞位置に移動させる向き、すなわち前後方向8に沿う前向きに付勢している。ニードル181の内部空間は、流路の一例である。
[アクチュエータ190]
図4に示されるように、液室171には、アクチュエータ190が位置している。アクチュエータ190は、液室171内に配置された不図示の支持部材によって、矢印198、199の向きに沿って回動可能に支持されている。アクチュエータ190は、図4の実線で示される第1状態と破線で示される第2状態との間を回動することができる。さらに、アクチュエータ190は、不図示のストッパ(例えば、液室171の内壁)によって、実線の位置より矢印198の向きへの回動が規制される。アクチュエータ190は、フロート191と、軸192と、アーム193と、被検出部194とを備える。アクチュエータ190は、検出物体の一例である。
フロート191は、液室171に貯留されるインクより比重が小さい材料で形成されている。軸192は、フロート191の右面及び左面から左右方向9に沿って突出している。軸192は、支持部材に形成された不図示の孔に挿入されている。これにより、アクチュエータ190は、軸192を中心として回動可能に支持部材によって支持される。アーム193は、フロート191から略上方へ延びている。被検出部194は、アーム193の先端部に位置している。すなわち、アーム193は、被検出部194と軸192との間に位置する。被検出部194は、上下方向7及び前後方向8それぞれに沿って延びる板状の部材である。被検出部194は、液面センサ33の発光部から出力された光を遮光する材料又は色で形成されている。
液室171に貯留されたインクの液面が基準位置P以上のとき、浮力によって矢印198の向きに回動されたアクチュエータ190は、ストッパによって図4の実線で示される検出位置に保持される。一方、インクの液面が基準位置P未満のとき、アクチュエータ190は、液面の降下に追従して矢印199の向きに回動する。これにより、アクチュエータ190の被検出部194は、検出位置とは異なる非検出位置に移動する。被検出部194は、アクチュエータ190の一部であるため、当該被検出部194は、液室171に貯留されたインクの量に対応する位置に移動する。アクチュエータ190が検出位置にある状態は、第1状態の一例である。アクチュエータ190が非検出位置にある状態は、第2状態の一例である。
基準位置Pは、上下方向7において、ニードル181の軸中心と同じ高さであり、且つ後述するインク供給口234の中心と同じ高さである。しかしながら、基準位置Pは、上下方向7における流出口174より上方の位置であれば、前述の位置に限定されない。他の例として、基準位置Pは、ニードル181の内部空間の上端や下端の高さでもよいし、インク供給口234の上端や下端の高さでもよい。
液室171に貯留されたインクの液面が基準位置P以上のとき、液面センサ33の発光部から出力された光が、検出位置に位置する被検出部194で遮られる。これにより、液面センサ33は、発光部からの光が受光部に到達しないので、ローレベル信号をコントローラ30へ出力する。一方、液室171に貯留されたインクの液面が基準位置P未満のとき、液面センサ33は、発光部から出力された光が受光部に到達するので、ハイレベル信号をコントローラ30へ出力する。すなわち、コントローラ30は、液室171に貯留されたインクの液面が基準位置P以上か否かを、液面センサ33から出力される信号によって検出することができる。基準位置Pは、所定位置の一例である。液面センサ33が出力するローレベル信号は、第3信号の一例である。液面センサ33が出力するハイレベル信号は、第4信号の一例である。以下では、ローレベル信号を「L」、ハイレベル信号を「H」として説明する場合がある。
[カートリッジ200]
カートリッジ200は、液体であるインクを内部に貯留する液室210(図3参照)を有する容器である。液室210は、第1液室の一例である。
液室210は、例えば、樹脂製の壁によって画定されている。カートリッジ200は、図5(A)に示されるように、上下方向7及び前後方向8それぞれに沿った寸法が、左右方向9に沿った寸法よりも大きい扁平形状である。なお、異なる色のインクが貯留されるカートリッジ200の外形形状は、同一でもよいし、異なっていてもよい。カートリッジ200を構成する壁のうちの少なくとも一部は、透光性を有している。これにより、ユーザは、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの液面をカートリッジ200の外部から視認することができる。
カートリッジ200は、筐体201と、供給管230とを備える。筐体201は、後壁202と、前壁203と、上壁204と、下壁205と、一対の側壁206、207とで構成されている。なお、後壁202は、各々が前後方向8にずれた複数の壁によって構成されている。また、上壁204は、各々が上下方向7にずれた複数の壁によって構成されている。さらに、下壁205は、各々が上下方向7にずれた複数の壁によって構成されている。
カートリッジ200の内部空間には、図5(B)に示されるように、液室210、インクバルブ室213、及び大気バルブ室214が形成されている。液室210は、上部液室211と、下部液室212とを有する。上部液室211、下部液室212、及び大気バルブ室214は、筐体201の内部空間である。一方、インクバルブ室213は、供給管230の内部空間である。液室210は、インクを貯留する。大気バルブ室214は、液室210とカートリッジ200の外部とを連通させる。
液室210の上部液室211及び下部液室212は、筐体201の内部空間を仕切る隔壁215によって、上下方向7に隔てられている。そして、上部液室211及び下部液室212は、隔壁215に形成された貫通孔216によって連通されている。また、上部液室211及び大気バルブ室214は、筐体201の内部空間を仕切る隔壁217によって隔てられている。そして、上部液室211及び大気バルブ室214は、隔壁217に形成された貫通孔218によって連通されている。さらに、インクバルブ室213は、貫通孔219を通じて下部液室212の下端に連通されている。
大気バルブ室214は、カートリッジ200の上部において、後壁202に形成された大気連通口221を通じてカートリッジ200の外部に連通されている。すなわち、大気バルブ室214は、一端(貫通孔218)が液室210(より詳細には、上部液室211)に連通され、且つ他端(大気連通口221)がカートリッジ200の外部に連通されている。なお、大気バルブ室214は、大気連通口221を通じて、大気に連通している。また、大気バルブ室214には、バルブ222と、コイルバネ223とが位置している。バルブ222は、閉塞位置と開放位置との間を、前後方向8に沿って移動可能である。バルブ222は、閉塞位置に位置すると、大気連通口221を閉塞する。また、バルブ222は、開放位置に位置すると大気連通口221を開放する。コイルバネ223は、バルブ222を開放位置から閉塞位置に移動させる向き、すなわち前後方向8に沿う後ろ向きに付勢している。
カートリッジ200が装着ケース150に装着される過程において、ロッド153が大気連通口221を通じて大気バルブ室214内に進入する。大気バルブ室214内に進入したロッド153は、閉塞位置のバルブ222をコイルバネ223の付勢力に抗して前後方向8に沿う前向きに移動させる。そして、バルブ222が開放位置に移動することによって、上部液室211が大気に連通される。なお、大気連通口221を開放するための構成は、前述の例に限定されない。他の例として、大気連通口221を封止するフィルムをロッド153が突き破る構成でもよい。
供給管230は、筐体201の下部において、後壁202から前後方向8に沿う後ろ向きに突出している。供給管230は、その後端が開口されている。すなわち、インクバルブ室213は、貫通孔219を通じて連通された液室210と、カートリッジ200の外部とを連通させる。インクバルブ室213は、一端(貫通孔219)が液室210(より詳細には下部液室212)と連通され、且つ他端(後述するインク供給口234)がカートリッジ200の外部と連通されている。また、インクバルブ室213には、パッキン231と、バルブ232と、コイルバネ233とが位置している。
パッキン231の中央には、前後方向8に貫通したインク供給口234が形成されている。インク供給口234の内径は、ニードル181の外径より僅かに小さい。バルブ232は、閉塞位置と開放位置との間を、前後方向8に沿って移動可能である。バルブ232は、閉塞位置に位置すると、パッキン231と当接してインク供給口234を閉塞する。また、バルブ232は、開放位置に位置すると、パッキン231から離間してインク供給口234を開放する。コイルバネ233は、バルブ232を開放位置から閉塞位置に移動させる向き、すなわち前後方向8に沿う後ろ向きに付勢している。また、コイルバネ233の付勢力は、コイルバネ186より大きい。
カートリッジ200が装着ケース150に装着される過程において、供給管230がガイド182内に進入し、やがてニードル181がインク供給口234を通じてインクバルブ室213に進入する。このとき、ニードル181は、パッキン231を弾性変形させつつ、インク供給口234を画定する内周面に液密に接触する。カートリッジ200が装着ケース150へさらに挿入されると、ニードル181は、バルブ232をコイルバネ233の付勢力に抗して前向きに移動させる。また、バルブ232は、ニードル181の開口183から突出するバルブ185を、コイルバネ186の付勢力に抗して後ろ向きに移動させる。
これにより、図6に示されるように、インク供給口234及び開口183が開放されて、供給管230のインクバルブ室213と、ニードル181の内部空間とが連通される。
また、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、液室210の一部と、液室171の一部とは、水平方向から見て互いに重なる。さらに、液室210の底部よりも液室171の底部の方が、下方に位置している。その結果、液室210に貯留されたインクは、接続された供給管230及びジョイント180を通じて、液室210の水頭と液室171の水頭との差によってタンク160の液室171に流出する。
図5に示されるように、上壁204には、突起241が形成されている。突起241は、上壁204の外面から上方に突出し且つ前後方向8に沿って延びている。突起241は、ロック面242と、傾斜面243とを有する。ロック面242及び傾斜面243は、上壁204より上方に位置している。ロック面242は、前後方向8に沿って前を向き且つ上下方向7及び左右方向9それぞれに沿って延びている(すなわち、上壁204と概ね直交する)。傾斜面243は、上方及び後方を向くように、上壁204に対して傾斜している。
ロック面242は、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、ロックピン156に当接される面である。傾斜面243は、カートリッジ200が装着ケース150に装着される過程において、ロックピン156をロック面242と当接する位置まで案内する面である。ロック面242とロックピン156とが当接した状態では、コイルバネ186、223、233の付勢力に抗して、カートリッジ200が図6に示される装着位置に保持される。
ロック面242より前方において上壁204から上方へと延びるようにして、平板状の部材が形成されている。この平板状の部材の上面は、カートリッジ200を装着ケース150から抜く際に、ユーザが操作する操作部244である。カートリッジ200が装着ケース150に装着された状態で且つカバー87が開放位置に位置しているとき、操作部244は、ユーザに操作可能となる。操作部244が下方へ押されると、カートリッジ200が回動することによって、ロック面242がロックピン156より下方へ移動する。その結果、カートリッジ200が装着ケース150から抜くことが可能となる。
図5に示されるように、上壁204の外面で且つ突起241より後方には、遮光リブ245が形成されている。遮光リブ245は、上壁204の外面から上方に突出し且つ前後方向8に沿って延びている。遮光リブ245は、装着センサ32の発光部から出力される光を遮光する材料又は色で形成されている。遮光リブ245は、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、装着センサ32の発光部から受光部に至る光路上に位置する。すなわち、装着センサ32は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されていることに応じて、ローレベル信号をコントローラ30(図1)に出力する。一方、装着センサ32は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されていないことに応じて、ハイレベル信号をコントローラ30に出力する。すなわち、コントローラ30は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されているか否かを、装着センサ32から出力される信号によって検出することができる。
図5に示されるように、上壁204の外面で且つ前後方向8における遮光リブ245及び突起241の間には、ICチップ34が位置している。ICチップ34には、電極248が形成されている。また、ICチップ34は、不図示のメモリを備える。電極248は、ICチップ34のメモリと電気的に接続されている。電極248は、ICチップ34の上面において、接点152と導通可能に露出されている。すなわち、カートリッジ200が装着ケース150に装着された状態において、電極248は、接点152と導通する。コントローラ30は、接点152及び電極248を通じてICチップ34のメモリから情報を読み出し、接点152及び電極248を通じてICチップ34のメモリに情報を書き込むことができる。
ICチップ34のメモリは、カートリッジ200の種別情報、シリアルナンバー、及びカートリッジ残量値を記憶する。種別情報とは、カートリッジ200が小容量カートリッジであるか、又は、大容量カートリッジであるかや、貯留するインクの色などを示す情報である。シリアルナンバーは、カートリッジ200を個々に識別する情報である。カートリッジ残量値は、カートリッジ200が貯留するインクの量を示す値である。
[コントローラ30]
プリンタ10は、コントローラ30を備える。コントローラ30は、図1に示されるように、CPU35、記憶部36、及び通信バス39を備えている。記憶部36は、ROM37、EEPROM81、及びRAM82を有する。コントローラ30は、第1コントローラの一例である。
ROM37は、OS(Operating Systemの略)37Aや、制御プログラム37Bや、通信プログラム37Cなどを記憶する。制御プログラム37Bは、後述の印刷処理などを行うプログラムである。通信プログラム37Cは、PC40などの外部機器との通信を制御するプログラムである。OS37A、制御プログラム37B、及び通信プログラム37Cは、CPU35によって、アドレスに記述された命令が処理されることによって実行される。以下では、OS37A、制御プログラム37B、及び通信プログラム37Cが実行されることによって処理される動作を、コントローラ30の動作として記載することがある。なお、コントローラ30は、OS37A、制御プログラム37B、及び通信プログラム37Cが実行する動作の一部または全部を実現するICを用いたハード回路を有していてもよい。
制御プログラム37Bは、単一のプログラムであってもよいし、複数のプログラムの集合であってもよい。例えば、制御プログラム37Bは、上述のモータやヘッド21等の駆動を制御する駆動制御プログラムと、ディスプレイ28に画面を表示させ、かつ、タッチパネルであるディスプレイ28を用いたユーザの入力を受け付けるUIモジュールである表示制御プログラムとで構成されていてもよい。
EEPROM81は、プリンタ10の識別情報を記憶する。プリンタ10の識別情報は、プリンタ10のMACアドレスやシリアルナンバーなどである。
また、EEPROM81は、第1排出値、第2排出値、初期カートリッジ残量値、初期タンク残量値、S_Emptyフラグ、C_Emptyフラグ、交換フラグ、及び発注フラグを記憶する。詳しくは後述する。
通信バス39には、ヘッド21や、通信インタフェース(以下、通信I/Fと記載する)31や、装着センサ32や、液面センサ33や、接点152や、ディスプレイ28や、不図示のモータなどが接続されている。通信I/F31は、LANやWANやUSBケーブルを接続されている。通信I/F31は、第2通信インタフェースの一例である。
コントローラ30は、通信バス39を通じて不図示のモータを駆動させることによって、給送ローラ23、搬送ローラ25、及び排出ローラ27を回転させる。また、コントローラ30は、通信バス39を通じてヘッド21の駆動素子に駆動信号を出力することによって、ヘッド21からインク滴を吐出させる。
また、コントローラ30は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されているか否かを装着センサ32を通じて検出する。さらに、コントローラ30は、液室171に貯留されたインクの液面が基準位置P以上か否かを液面センサ33を通じて検出する。
また、コントローラ30は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200の電極248と、接点152とを通じて、ICチップ34のメモリに記憶された種別情報、シリアルナンバー、及びカートリッジ残量値を読み出す。さらに、コントローラ30は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200の電極248と、接点152とを通じて、ICチップ34のメモリに記憶されたカートリッジ残量値の値を更新する。
[PC40]
PC40は、CPU41と、通信インタフェース(以下、通信I/Fと記載する)43と、ディスプレイ48と、通信バス49とを備える。CPU41、記憶部42、及び通信バス49は、コントローラ45を構成する。通信I/F43は、通信回線6と接続されている。プリンタ10のコントローラ30及びPC40のコントローラ45は、コントローラの一例である。PC40のコントローラ45は、第2コントローラの一例である。通信I/F43は、第1通信インタフェースの一例である。
記憶部42は、プログラム記憶領域46と、データ記憶領域47とを有する。プログラム記憶領域46は、ハードディスクなどである。データ記憶領域47は、RAMやハードディスクなどである。
プログラム記憶領域46は、OS46Aや、制御プログラム46Bや、通信プログラム46Cなどのプログラムを記憶する。制御プログラム46Bは、いわゆるステータスモニタであり、プリンタ10のインク残量をディスプレイ48に表示する。詳しくは後述する。通信プログラム46Cは、プリンタ10やサーバ50との通信を制御する。OS46A、制御プログラム46B、及び通信プログラム46Cは、ハードディスクからRAMにコピーされ、RAMにコピーされた命令をCPU41が順に実行することによって実行される。以下では、OS46A、制御プログラム46B、及び通信プログラム46Cが実行されることによって実行される動作を、コントローラ45やPC40の動作として記載することがある。
データ記憶領域47は、プリンタ10からPC40に送信されたステータス情報や、発注済みフラグを記憶する。詳しくは後述する。
[サーバ50]
サーバ50は、コントローラ51及び通信I/F(不図示)を備える。コントローラ51は、PC40と同様の構成のCPU52、記憶部53、及び通信バス(不図示)を備える。サーバ50の通信I/Fは、通信回線6と接続されている。サーバ50は、通信I/Fを通じてPC40と通信を行う。コントローラ51の記憶部53には、不図示の制御プログラムが記憶されている。以下、当該制御プログラムがコントローラ51のCPU52によって実行する処理を、コントローラ51が実行する処理として記載することがある。
また、記憶部53には、ユーザ管理リストが記憶されている。ユーザ管理リストは、例えば、ユーザIDと、プリンタ識別情報と、宛先情報とを項目として有する。ユーザIDは、例えば、ユーザを識別する顧客コードなどである。プリンタ識別情報は、ユーザの事務所などに設置されるプリンタ10のMACアドレスやシリアルナンバーなどである。宛先情報は、プリンタ10が設置された場所、すなわち、プリンタ10に使用されるカートリッジ200の配達場所の宛先を示す情報であり、例えば住所や郵便番号や電話番号や宛名である。
以下、プリンタ10のコントローラ30が実行する処理、PC40のコントローラ45が実行する処理、及びサーバ50のコントローラ51が実行する処理を説明する。
[プリンタ10のコントローラ30が実行する処理]
図7~図9に示されるフローチャートを参照して、プリンタ10のコントローラ30が実行する処理を説明する。なお、以下の各処理の実行順序は、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜変更することができる。
[印刷処理]
コントローラ30は、プリンタ10に印刷指示が入力されたことに応じて、図7に示される印刷処理を実行する。印刷指示の取得元は特に限定されないが、例えば、印刷指示に対応するユーザ操作を操作パネル22やディスプレイ28を通じて受け付けてもよいし、通信I/F31を通じてPC40や携帯端末などの外部装置から受信してもよい。
まず、コントローラ30は、EEPROM81に記憶されているS_Emptyフラグの値が「ON」であるか「OFF」であるかを判断する(S11)。S_Emptyフラグは、後述のステップS55においてONにされ、ステップS14においてOFFにされるフラグである。詳しくは後述するが、S_Emptyフラグは、カートリッジ200及びタンク160のインクが無くなるとONにされ、インクが無くなったカートリッジ200が新しいカートリッジ200に交換されるとOFFにされるフラグである。すなわち、ステップS11では、印刷を行えるだけのインクがプリンタ10にインクがあるか否かが判断される。ステップS11や以下で説明される各処理は、プリンタ10の装着ケース150に装着されたブラック、マゼンタ、シアン、及びイエローの各色のカートリッジ200についてそれぞれ実行される。すなわち、後述される各フラグは、各色のカートリッジ200についてそれぞれ設定される。
コントローラ30は、EEPROM81のS_Emptyフラグの値が「ON」であると判断すると(S11:ON)、すなわち、印刷を行えるだけのインクがプリンタ10に無いと判断すると、インクを貯留した新しいカートリッジ200が装着ケース150に装着されたか否かを判断する(S12)。具体的には、コントローラ30は、カバーセンサ88から入力する信号がローレベル信号からハイレベル信号に変化したか否かを判断する。すなわち、コントローラ30は、装着ケース150を覆うカバー87が開かれたか否かを判断する。コントローラ30は、カバー87が開かれたと判断すると、装着センサ32から装着信号を所定の時間間隔で取得し、取得した装着信号がローレベル信号(以下、「L」と記載)からハイレベル信号(以下、「H」と記載)に変化し、さらに、取得した装着信号が「H」から「L」に変化したか否かを判断する。すなわち、コントローラ30は、装着ケース150に装着されていたカートリッジ200が装着ケース150から外され、新しいカートリッジ200が装着ケース150に装着されたか否かを判断する。
コントローラ30は、カートリッジ200が装着ケース150に装着されていないと判断すると(S12:No)、装着センサ32からの装着信号の定期的な取得を継続する。コントローラ30は、カートリッジ200が装着ケース150に装着されたと判断すると(S12:Yes)、第1更新処理(S13)を実行する。
[第1更新処理]
図8(A)に示される第1更新処理は、EEPROM81に記憶された初期カートリッジ残量値及び初期タンク残量値と、カートリッジ200のICチップ34に記憶されたカートリッジ残量値とを更新する処理である。
まず、コントローラ30は、接点152を通じて、装着ケース150に装着されたカートリッジ200のICチップ34のメモリから、カートリッジ残量値を読み出す(S31)。コントローラ30は、読み出したカートリッジ残量値を初期カートリッジ残量値としてEEPROM81に記憶させる(S32)。
また、コントローラ30は、タンク残量値をRAM82から読み出す(S33)。なお、電源オフなどによってRAM82にタンク残量値が記憶されていない場合、コントローラ30は、後述の第4更新処理と同様にして、タンク残量値を算出し、当該算出したタンク残量値をRAM82に記憶する。RAM82から読み出されるタンク残量値は、カートリッジ200が装着される直前にタンク160の液室171に貯留されていたインク残量を示す値である。換言すれば、タンク残量値は、カートリッジ200が装着ケース150から抜かれた際にタンク160の液室171に貯留されていたインク残量を示す値である。コントローラ30は、RAM82から読み出したタンク残量値を初期タンク残量値としてEEPROM81に記憶させる(S33)。
コントローラ30は、初期カートリッジ残量値及び初期タンク残量値を加算し、インクの総残量を示す総残量値を算出する(S34)。コントローラ30は、算出した総残量値から、新たなカートリッジ残量値及びタンク残量値を決定する(S35)。総残量値及びカートリッジ残量値は、「前記カートリッジの前記第1液室内の液体の量を少なくとも含む残量」の一例である。
新たなカートリッジ200が装着ケース150に装着されると、カートリッジ200の液室210から、当該液室210に貯留されていたインクの一部がタンク160の液室171へと流出する。カートリッジ200の液室210からタンク160の液室171へのインクの流出は、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの水頭と、タンク160の液室171に貯留されたインクの水頭との差がほぼ無くなると、停止する。新たなカートリッジ残量値及び新たなタンク残量値は、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの水頭と、タンク160の液室171に貯留されたインクの水頭との差がほぼ無くなった状態でのインク残量を示す。
カートリッジ残量値及びタンク残量値は、例えばコントローラ30が、EEPROM81やROM37が記憶する計算式に基づく算出をすることで決定してもよい。或いは、カートリッジ残量値及びタンク残量値は、例えばコントローラ30が、EEPROM81やROM37が記憶するテーブルに基づいて決定してもよい。具体的に説明すると、カートリッジ200の液室210の形状及びタンク160の液室171の形状は、設計によって予め決められる。したがって、インクの総残量値が判れば、新たなカートリッジ残量値及びタンク残量値も判る。EEPROM81やROM37は、総残量値から新たなカートリッジ残量値及びタンク残量値を計算する計算式を予め記憶している。或いは、EEPROM81やROM37は、総残量値と新たなカートリッジ残量値と新たなタンク残量値との対応が示されたテーブルを予め記憶している。コントローラ30は、インクの総残量値と、当該計算式やテーブルとにより、新たなカートリッジ残量値及び新たなタンク残量値を決定する。
コントローラ30は、決定した新たなカートリッジ残量値をRAM82に記憶させるとともに、ICチップ34のメモリに記憶されたカートリッジ残量値を更新する(S36)。また、コントローラ30は、決定した新たなタンク残量値をRAM82に記憶させ(S37)、第1更新処理を終了する。
コントローラ30は、図7に示されるように、第1更新処理が終了すると(S13)、S_Emptyフラグを「OFF」にし、C_Emptyフラグを「OFF」にし、交換フラグを「ON」にし、第1排出値及び第2排出値をゼロにする(S14)。
次に、コントローラ30は、「ON」である交換フラグを通信I/F31を通じてPC40に送信する(S24)。なお、TCP/IPなどの通信プロトコルにしたがったPC40との通信は、通信プログラム37Cが行う。コントローラ30は、ステップS24の処理の実行後、ステップS11の処理を再び実行する。
なお、ステップS12~S14、S24の処理は、印刷処理の実行中以外においても実行される。すなわち、コントローラ30は、装着ケース150を覆うカバー87が開かれ、カートリッジ200が交換されたと判断すると、ステップS14、S24の処理を実行する。
コントローラ30は、S_Emptyフラグの値が「OFF」であると判断すると(S11:OFF)、すなわち、印刷を行えるだけのインクがプリンタ10に有ると判断すると、1ページの印刷処理(S16)を実行する前の液面センサ33からの信号(以下、液面信号と記載)を取得する(S15)。
その後、コントローラ30は、シートに画像を印刷する1ページの印刷処理を実行する(S16)。画像がシートに印刷されることにより、タンク160内のインクが消費される。インクが消費されたことにより、タンク160におけるインクの液面が下がる。コントローラ30は、1ページの印刷処理の実行後(S16)、液面センサ33から液面信号を取得する(S17)。すなわち、コントローラ30は、1ページの印刷処理の実行の前後において、液面信号を取得する(S15、S17)。
次に、コントローラ30は、ステップS15で取得した液面信号とステップS17で取得した液面信号とに基づいて、液面信号の変化を判断をする(S18)。以下、液面センサ33のローレベル信号を「L」と記載し、液面センサ33のハイレベル信号を「H」と記載して説明する。
コントローラ30は、ステップS15及びS17で取得した液面信号がともに「L」であると判断すると(S18:L→L)、第2更新処理(S19)を実行する。すなわち、第2更新処理は、1ページの印刷処理(S16)を実行しても、タンク160の液面の位置が基準位置P以上である場合に実行される。
[第2更新処理]
図8(B)に示される第2更新処理は、印刷処理において消費されたインクの量を示す第1排出値から、新たなカートリッジ残量値及びタンク残量値を決定する処理である。第1排出値は、例えば、ヘッド21に吐出させるインク1滴の量を示す値に、インクの吐出回数を乗じて算出される値である。コントローラ30は、ヘッド21にインクの吐出を指示するごとに、第1排出値を積算(カウント)する。すなわち、第1排出値は、カートリッジ200が装着ケース150に装着された後から現在までにヘッド21が吐出したインクの量に相当する。第1排出値は、排出量の一例である。
まず、コントローラ30は、初期カートリッジ残量値と初期タンク残量値とをEEPROM81から読み出す(S41)。次に、コントローラ30は、読み出した初期カートリッジ残量値と初期タンク残量値とを加算して、1ページの印刷処理(S16)の実行前の総残量値を算出する(S42)。コントローラ30は、算出した総残量値から第1排出値を減算し、1ページの印刷処理(S16)の実行後の新たな総残量値を算出する(S43)。その後、コントローラ30は、上述と同様に、計算式やテーブルを用いて新たなカートリッジ残量値及び新たなタンク残量値を決定する(S44)。
コントローラ30は、決定した新たなカートリッジ残量値をRAM82に記憶させるとともに、ICチップ34に記憶されたカートリッジ残量値を更新する(S45)。また、コントローラ30は、決定した新たなタンク残量値をRAM82に記憶させ(S46)、第2更新処理を終了する。
コントローラ30は、図7に示されるように、ステップS18において、液面信号が「L」から「H」に変化したと判断すると(S18:L→H)、第3更新処理(S20)を実行する。すなわち、第3更新処理は、1ページの印刷処理(S16)を実行したことにより、カートリッジ200内のインクが使い切られた場合に実行される。
[第3更新処理]
図8(C)に示される第3更新処理は、誤差をリセットする処理である。詳しく説明すると、上述の第1排出値は誤差を含む。したがって、第1排出値に基づいて算出されるカートリッジ残量値及びタンク残量値も誤差を含む。第3更新処理は、タンク160内のインクの液面の位置が基準位置P未満になったことに応じて、すなわち、カートリッジ200内のインクが使い切られたことに応じて、初期カートリッジ残量値をゼロにし、初期タンク残量値を予め決められた第2所定値にする処理である。
まず、コントローラ30は、ICチップ34のメモリに記憶された初期カートリッジ残量値を第1所定値で更新する(S47)。第1所定値は、例えば「ゼロ」である。また、コントローラ30は、初期タンク残量値を第2所定値としてRAM82及びEEPROM81に記憶させる(S48)。第2所定値は、基準位置Pにインクの液面がある場合にタンク160の液室171に貯留されているインクの量を示す値である。第1所定値及び第2所定値は、例えば、ROM37に予め記憶される。次に、コントローラ30は、C_Emptyフラグを「ON」にし(S49)、第3更新処理を終了する。C_Emptyフラグは、カートリッジ200内のインクが使い切られているか否かを示す。第1所定値及び第2所定値は、第2量の一例である。
コントローラ30は、図7に示されるように、ステップS18において、液面信号がともに「H」であると判断すると(S18:H→H)、第4更新処理(S20)を実行する。すなわち、第4更新処理は、カートリッジ200内のインクが使い切られたままで1ページの印刷処理(S16)が行われた場合に実行される。
[第4更新処理]
図8(D)に示される第4更新処理は、コントローラ30が、タンク残量値を算出し、さらに、印刷を禁止するか否かを判断する処理である。まず、コントローラ30は、第2所定値に更新された初期タンク残量値をEEPROM81から読み出す(S51)。コントローラ30は、読み出した初期タンク残量値から第2排出値を減算し、新たなタンク残量値を算出する(S52)。第2排出値は、ヘッド21が吐出するインク1滴の量に、吐出回数を乗じて算出される値である。コントローラ30は、ヘッド21にインクの吐出を指示するごとに、第2排出値を積算(カウント)する。すなわち、第2排出値は、カートリッジ200内のインクが使い切られた後から現在までにヘッド21が排出したインク量の積算値である。
コントローラ30は、算出した新たなタンク残量値を、RAM82に記憶させる(S53)。次に、コントローラ30は、カウントした第2排出値が閾値に到達したか否かを判断する(S54)。閾値は、ROM37やEEPROM81に予め記憶された値である。コントローラ30は、カウントした第2排出値が閾値に到達していないと判断すると(S54:Yes)、第4更新処理を終了する。一方、コントローラ30は、カウントした第2排出値が閾値に到達したと判断すると(S54:No)、S_Emptyフラグを「ON」にし(S55)、第4更新処理を終了する。フローチャートには示されていないが、コントローラ30は、S_Emptyフラグが「ON」であることに応じて、印刷及びメンテナンスを含めて、ヘッド21を通じたインクの排出を禁止する。
コントローラ30は、図7に示されるように、第2更新処理、第3更新処理、及び第4更新処理(S21)が終了すると、ステータス情報送信処理を実行する(S25)。ステータス情報送信処理は、残量情報などを含むステータス情報をPC40に送信する処理である。詳しくは後述するが、ステータス情報を受信したPC40は、プリンタ10のインク残量をディスプレイ48に表示させ、また、新しいカートリッジ200の発注を指示する発注指示をサーバ50に送信する。
[ステータス情報送信処理]
コントローラ30は、第2更新処理や、第3更新処理や、第4更新処理で算出した総残量値が発注判断値未満であるか否かを判断する(S61)。発注判断値は、カートリッジ200の発注を指示するか否かの判断の基準となる値である。発注判断値は、ユーザによって設定可能な値である。具体的に説明すると、例えば、コントローラ30は、発注判断値の入力を受け付ける設定画面をディスプレイ28に表示させる。コントローラ30は、設定画面によって入力された発注判断値をEEPROM81に記憶させる。
発注判断値の初期値は、第2所定値よりも大きな値とされる。第2所定値は、カートリッジ200内のインクが使い切られたときの総残量値に相当する。発注判断値が第2所定値以下とされると、例えば、カートリッジ200の配達が遅延したり、プリンタ10の使用頻度が高い場合に、カートリッジ200がユーザに届く前に、タンク160に貯留されたインクが全て消費されて、印刷を行えなくなるおそれが生じる。印刷を行えなくなることを防止するために、発注判断値の初期値は、第2所定値よりも大きな値とされる。発注判断値の初期値が第2所定値よりも大きな値とされることにより、カートリッジ200内のインクが使い切られる前に新しいカートリッジ200の発注が指示される。その結果、プリンタ10からインクが無くなる前に、新しいカートリッジ200がユーザに届けられる。ユーザは、プリンタ10の使用頻度や、カートリッジ200の配達遅延の頻度等に応じて、発注判断値を変更する。なお、発注判断値は、ユーザが継続して印刷を行えるように、第2所定値よりも大きな値となる範囲内で変更可能とされる。また、発注判断値は、新しいカートリッジ200がユーザに早く届き過ぎないように、第2所定値から所定の範囲内で変更可能とされる。なお、発注判断値は、ユーザが設定できない固定値であってもよいし、システム5の管理者によってのみ変更可能な値であってもよい。発注判断値は、第1量の一例である。
コントローラ30は、総残量値が発注判断値未満であると判断すると(S61:Yes)、発注フラグを「ON」にする。一方、コントローラ30は、総残量値が発注判断値未満でないと判断すると(S61:No)、交換フラグを「OFF」にし(S62)、次いで、発注フラグを「OFF」にする(S63)。発注フラグは、カートリッジ200の発注を行うためのフラグである。交換フラグは、カートリッジ200が重複して発注されることを防止するためのフラグである。詳しくは後述する。
ステップS62、S64の処理の実行後、コントローラ30は、通信I/F31を通じて、ステータス情報をPC40に送信し(S65)、ステータス情報送信処理を終了する。ステータス情報は、第2更新処理、第3更新処理、及び第4更新処理で更新した総残量値やカートリッジ残量値やタンク残量値(以下、残量情報と記載する)と、発注フラグと、交換フラグと、プリンタ10を識別するプリンタ識別情報と、カートリッジ200の種類を示す品番やシリアルナンバーなどのカートリッジ識別情報とを含む。発注フラグ及び交換フラグは、カートリッジ識別情報と対応付けられて送信される。例えば、ブラックを示すカートリッジ200のカートリッジ識別情報と、ブラックを示すカートリッジ200に対して設定された発注フラグ及び交換フラグとが対応付けられて送信される。「ON」の発注フラグを含むステータス情報は、「前記残量が前記第1量に到達したことを示す情報」に相当する。
ステータス情報送信処理の実行後、コントローラ30は、図7に示されるように、次ページがあるか否かを判断する(S23)。コントローラ30は、次ページがあると判断すると(S23:Yes)、ステップS11の処理を再び実行する。コントローラ30は、次ページがないと判断すると(S23:No)、印刷処理を終了する。
なお、上述では、1ページの印刷処理(S16)が実行される度に、カートリッジ残量値及びタンク残量値を決定する例を説明した。しかしながら、カートリッジ残量値及びタンク残量値は、1パスの印刷を実行する度に決定されてもよい。また、コントローラ30は、第2更新処理、第3更新処理、及び第4更新処理を、印刷だけでなく、メンテナンスなどのためにインクが消費されるごとに実行してもよい。印刷及びメンテナンスの実行の指示は、排出指示の一例である。
[表示/発注処理]
ステップS65(図9)で送信されたステータス情報またはステップS24で送信された交換フラグを受信したPC40のコントローラ45は、図11に示される表示/発注処理を実行する。表示/発注処理は、ステータス情報に含まれる残量情報をディスプレイ48に表示し、或いは、発注済みフラグを「ON」または「OFF」にし、また、カートリッジ200の発注を指示する発注指示を通信I/F43を通じてサーバ50に送信する処理である。
コントローラ45は、受信した情報がステータス情報であるか、「ON」の交換フラグであるかを判断する(S91)。コントローラ45は、「ON」の交換フラグを受信したと判断すると(S91:交換フラグ)、発注済みフラグを「OFF」にし(S92)、表示/発注処理を終了する。交換フラグは、プリンタ10においてカートリッジ200が交換されると「ON」にされ(図7:S14)、総残量値が発注判断値以上であると「OFF」にされるフラグである(図9:S62)。すなわち、交換フラグは、カートリッジ200が交換された場合にのみ、「ON」の値としてPC40に送信される。発注済みフラグは、プリンタ10においてカートリッジ200が交換されると「OFF」にされ(S92)、後述のように、カートリッジ200の発注が指示されると(S96)、「ON」にされる(S97)。すなわち、発注済みフラグは、カートリッジ200が発注された後、プリンタ10においてカートリッジ200が交換されるまでは「ON」にされるフラグである。発注済みフラグは、カートリッジ200が重複して発注されることを防止するために用いられる。
一方、コントローラ45は、ステータス情報を受信したと判断すると(S91:ステータス情報)、残量情報をディスプレイ48に表示させる(S93)。例えば、コントローラ45は、プリンタ10がディスプレイ28に表示させる残量表示画面(図12(A))と同様の画面をディスプレイ48に表示させる。詳しくは後述するが、残量表示画面は、プリンタ10のインク残量等を表示する画面である。
次に、コントローラ45は、ステータス情報に含まれる発注フラグが「ON」であるか否かを判断する(S94)。すなわち、ステップS94では、プリンタ10において、総残量値が発注判断値未満であるか否かが判断される。コントローラ45は、発注フラグが「ON」でないと判断すると(S94:No)、すなわち、総残量値が発注判断値未満でないと判断すると、表示/発注処理を終了する。一方、コントローラ45は、発注フラグが「ON」であると判断すると(S94:Yes)、すなわち、総残量値が発注判断値未満であると判断すると、発注済みフラグが「OFF」であるか否かを判断する(S95)。すなわち、ステップS95では、カートリッジ200の発注が既に指示されているか否かが判断される。
コントローラ45は、発注済みフラグが「OFF」でないと判断すると(S95:No)、すなわち、カートリッジ200が既に発注されていると判断すると、表示/発注処理を終了する。すなわち、カートリッジ200が重複して発注されることが防止される。一方、コントローラ45は、発注済みフラグが「OFF」であると判断すると(S95:Yes)、すなわち、カートリッジ200が未だ発注されていないと判断すると、通信I/F43を通じて、発注指示をサーバ50に送信する(S96)。なお、インターネットプロトコルなどの通信プロトコルを用いたサーバ50との通信は、通信プログラム46Cが実行する。サーバ50に送信される発注指示は、第1情報の一例である。
発注指示は、受信したステータス情報に含まれるプリンタ識別情報と、カートリッジ識別情報とを含む。コントローラ45は、発注指示をサーバ50に送信した後、発注済みフラグを「ON」にし(S97)、表示/発注処理を終了する。
PC40が送信した発注指示は、サーバ50によって受信される。発注指示を受信したサーバ50は、発注指示に含まれるプリンタ識別情報が示すユーザ宛てに、発注指示に含まれるカートリッジ識別情報が示す種類のカートリッジ200の発送を手配する。具体的に説明すると、上述のように、サーバ50の記憶部53には、ユーザIDと、プリンタ識別情報と、宛先情報とを項目として有するユーザ管理リストが記憶されている。サーバ50は、ユーザ管理リストから、発注指示に含まれるカートリッジ識別情報と対応付けられた宛先情報を取得し、当該宛先情報が示す宛先に対して、発注指示に含まれるカートリッジ識別情報が示す種類のカートリッジ200の発送を手配する。
発送されたカートリッジ200は、プリンタ10のユーザに配達される。配達されたカートリッジ200は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200と交換される。
ところで、上述したように、本実施形態では、カートリッジ200の配達が遅延したとしても、或いはプリンタ10の使用頻度が高くても、プリンタ10のインク(すなわち、タンク160内のインク)が使い切られる前に新しいカートリッジ200がユーザに届くように、新しいカートリッジ200の発注が指示される。したがって、プリンタ10の使用頻度が低い場合や、カートリッジ200が遅延せずにユーザに届けられた場合などにおいて、装着ケース150に装着されているカートリッジ200にインクが残っている状態において新しいカートリッジ200がユーザに届けられる可能性がある。装着ケース150に装着されているカートリッジ200にインクが残っている状態において新しいカートリッジ200がユーザに届けられると、インクが残ったカートリッジ200が新しいカートリッジ200に交換される可能性がある。インクが残ったカートリッジ200が新しいカートリッジ200に交換されると、インクが無駄に捨てられることになる。本実施形態では、プリンタ10は、インクが無駄にならないように、図12に示される残量表示画面をディスプレイ28に表示させる。以下、残量表示画面をディスプレイ28に表示させる残量表示処理について、図10を参照して説明する。
[残量表示処理]
まず、コントローラ30は、発注フラグが「ON」であるか否かを判断する(S71)。すなわち、ステップS71では、カートリッジ200の発注が指示されているか否かが判断される。コントローラ30は、発注フラグが「ON」でないと判断すると、すなわち、カートリッジ200が発注されていないと判断すると、後述のオブジェクト61~64を非表示に決定し(S72)、残量表示画面をディスプレイ28に表示させる(S73)。この場合に表示される残量表示画面が図12(A)に示される。すなわち、図12(A)に示される残量表示画面は、新しいカートリッジ200が装着ケース150に装着された後、総残量値が発注判断値になるまでの間にディスプレイ28に表示される画面である。
図12(A)に示される残量表示画面は、インク残量を示すオブジェクト71~78を有する。オブジェクト71は、カートリッジ200に貯留されたマゼンタのインク残量を示す。具体的には、オブジェクト71は、マゼンタのカートリッジ残量値に応じた長さのバーである。オブジェクト72は、タンク160に貯留されたマゼンタのインク残量を示す。具体的には、オブジェクト72は、マゼンタのタンク残量値に応じた長さのバーである。
同様に、オブジェクト73は、カートリッジ200に貯留されたシアンのインク残量を示す。オブジェクト74は、タンク160に貯留されたシアンのインク残量を示す。オブジェクト75は、カートリッジ200に貯留されたイエローのインク残量を示す。オブジェクト76は、タンク160に貯留されたイエローのインク残量を示す。オブジェクト77は、カートリッジ200に貯留されたブラックのインク残量を示す。オブジェクト78は、タンク160に貯留されたブラックのインク残量を示す。
その後、コントローラ30は、残量表示を終了するか否かを判断する(S74)。例えば、コントローラ30は、ホームボタンなどの所定のボタンの押下など、残量表示を終了させるユーザ操作がされた場合や、所定の時間の間ユーザ操作がされていない場合に、残量表示を終了すると判断する。コントローラ30は、残量表示を終了すると判断すると(S74:Yes)、残量表示処理を終了する。一方、コントローラ30は、残量表示を終了しないと判断すると(S74:No)、ステップS71の処理を再度実行する。
コントローラ30は、ステップS71において、発注フラグが「ON」であると判断すると(S71:Yes)、すなわち、カートリッジ200の発注が指示されていると判断すると、カートリッジ200が交換されたか否かを判断する(S75)。カートリッジ200が交換されたか否かは、上述と同様に、装着センサ32から入力した信号の変化、或いは、ICチップ34のメモリからカートリッジ200のシリアルナンバー等を読み出せたか否かにより判断される。コントローラ30は、カートリッジ200が交換されていないと判断すると(S75:No)、液面信号が「H」であるか否かを判断する(S76)。すなわち、ステップS76では、カートリッジ200内のインクが使い切られているか否かが判断される。
コントローラ30は、液面信号が「H」でないと判断すると(S76:No)、すなわち、カートリッジ200にインクが残っていると判断すると、カートリッジ200が装着ケース150から外されているか否かを判断する(S77)。具体的には、コントローラ30は、装着センサ32が出力する装着信号が「H」であるか否かや、ICチップ34のメモリからシリアルナンバーなどの所定の情報を読み出せたか否かなどにより、カートリッジ200が装着ケース150から外されているか否かを判断する。装着センサ32及びいCチップ34は、装着センサの一例である。
コントローラ30は、カートリッジ200が装着ケース150から外されていないと判断すると(S77:No)、発注済みオブジェクト61及び交換不可オブジェクト62を表示に決定し、オブジェクト63、64を非表示に決定し(S78)、残量表示画面をディスプレイ28に表示させる(S73)。この場合に表示される残量表示画面が図12(B)に示される。
図12(B)に示される残量表示画面は、インク残量を示すオブジェクト71~78と、オブジェクト61、62を有する。発注済みオブジェクト61は、「M」の文字と、「新しいカートリッジを手配済みです」の文字とを有する。発注済みオブジェクト61は、マゼンタのインクを貯留するカートリッジ200の発注指示が既に行われていることをユーザに認識させる。
交換不可オブジェクト62は、「カートリッジのインクがなくなるまではカートリッジを交換しないでください」の文字である。交換不可オブジェクト62は、カートリッジ200にインクが残っていること、及び、カートリッジ200の交換時期ではないことをユーザに認識させる。発注済みオブジェクト61は、「前記カートリッジが発送指示済みであることを示す表示」の一例である。交換不可オブジェクト62は、「前記装着ケースに装着された前記カートリッジを交換しないことの表示」の一例である。
一方、コントローラ30は、ステップS77において、カートリッジ200が装着ケース150から外されていると判断すると(S77:Yes)、再装着指示オブジェクト63を表示に決定し、オブジェクト61、62、64を非表示に決定し(S79)、残量表示画面をディスプレイ28に表示させる(S73)。この場合に表示される残量表示画面が図12(C)に示される。
図12(C)に示される残量表示画面は、インク残量を示すオブジェクト71~78と、再装着指示オブジェクト63とを有する。再装着指示オブジェクト63は、「カートリッジにインクが残っています カートリッジをまだ交換しないでください」の文字である。再装着指示オブジェクト63は、装着ケース150から外したカートリッジ200を装着ケース150に装着しなおすことをユーザに促す。再装着指示オブジェクト63は、「前記カートリッジを前記装着ケースに戻すことの表示」の一例である。
一方、コントローラ30は、ステップS76において、液面信号が「H」であると判断すると(S76:Yes)、すなわち、カートリッジ200内のインクが使い切られていると判断すると、交換指示オブジェクト64を表示に決定し、オブジェクト61~63を非表示に決定し(S80)、残量表示画面をディスプレイ28に表示させる(S73)。この場合に表示される残量表示画面が図12(D)に示される。
図12(D)に示される残量表示画面は、インク残量を示すオブジェクト71~78と、交換指示オブジェクト64とを有する。交換指示オブジェクト64は、「カートリッジを交換してください」の文字である。交換指示オブジェクト64は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200を、届けられた新しいカートリッジ200に交換することをユーザに促す。交換指示オブジェクト64は、「前記装着ケースに装着された前記カートリッジの交換を促す表示」及び交換指示の一例である。
一方、コントローラ30は、ステップS75において、カートリッジ200が交換されたと判断すると(S75:Yes)、装着ケース150に装着されたカートリッジ200が、元のカートリッジ200であるか、新しいカートリッジ200であるかを判断する(S81)。元のカートリッジ200とは、装着ケース150に装着されて使用されていたカートリッジ200を意味する。新しいカートリッジ200とは、発注指示によって手配され、ユーザに届けられたカートリッジ200を意味する。コントローラ30は、例えば、装着ケース150に装着されたカートリッジ200のICチップ34から読み出したカートリッジ200のシリアルナンバーが、記憶部36に記憶されているシリアルナンバーと一致するか否かにより、装着ケース150に装着されたカートリッジ200が、元のカートリッジ200であるか、新しいカートリッジ200であるかを判断する。
コントローラ30は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200が元のカートリッジ200であると判断すると(S81:元)、再装着指示オブジェクト63を非表示に決定し(S85)、残量表示画面をディスプレイ28に表示させる。すなわち、再装着指示オブジェクト63(図12(C))に従ってユーザが元のカートリッジ200を装着ケース150に戻すと、再装着指示オブジェクト63がディスプレイ28から消去される。
一方、コントローラ30は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200が、新しいカートリッジ200であると判断すると(S81:新)、再装着指示オブジェクト63がディスプレイ28に表示されているか否かを判断する(S82)。すなわち、ステップS82では、インクが残ったカートリッジ200が装着ケース150から外されて、新しいカートリッジ200が装着ケース150に装着されたか否かが判断される。
コントローラ30は、再装着指示オブジェクト63がディスプレイ28に表示されていないと判断すると(S82:No)、すなわち、インクが使い切られたカートリッジ200が装着ケース150から外されて、新しいカートリッジ200が装着ケース150に装着されたと判断すると、オブジェクト61~64を非表示に決定する(S72)。その後、コントローラ30は、図12(A)に示される残量表示画面をディスプレイ28に表示させる。
一方、コントローラ30は、再装着指示オブジェクト63がディスプレイ28に表示されていると判断すると(S82:Yes)、すなわち、インクが残ったカートリッジ200が装着ケース150から外されて、新しいカートリッジ200が装着ケース150に装着されたと判断すると、印刷指示が入力されたか否かを判断する(S83)。コントローラ30は、印刷指示が入力されていないと判断すると(S83:No)、再装着指示オブジェクト63の表示を継続する(S79、S73)。
一方、コントローラ30は、印刷指示が入力されたと判断すると(S83:Yes)、すなわち、インクが残ったカートリッジ200が装着ケース150に戻されることなく印刷指示が入力されたと判断すると、破棄情報をPC40に送信する(S84)。破棄情報は、インクが残ったカートリッジ200が新しいカートリッジ200に交換されたことを示す情報と、プリンタ識別情報とを含む。フローチャートには示されていないが、破棄情報を受信したPC40は、破棄情報をサーバ50に送信する。破棄情報を受信したサーバ50は、破棄情報が入力された回数をカウントし、ユーザ管理リストに登録する。具体的には、サーバ50は、ユーザ管理リストにおいて、破棄情報に含まれるプリンタ識別情報と対応付けられたユーザと対応付けて、カートリッジ破棄回数をユーザ管理リストに登録する。すなわち、インクが残ったカートリッジ200が無駄に捨てられた回数が、ユーザごとに、ユーザ管理リストに登録される。破棄情報は、第2情報の一例である。
その後、コントローラ30は、オブジェクト61~64を非表示にし(S72)、図12(A)に示される残量表示画面をディスプレイ28に表示させる(S73)。
[実施形態の作用効果]
本実施形態では、カートリッジ200に貯留されたインクが使い切られる前であって、カートリッジ200を交換することをユーザに促す交換指示オブジェクト64がディスプレイ28に表示される前に、新しいカートリッジ200の発注が指示される。したがって、タンク160内のインクが使い切られて交換指示オブジェクト64がディスプレイ28に表示されるまでに新しいカートリッジ200がユーザに届く可能性を高めることができる。その結果、ユーザに継続して印刷を行わせることができ、かつ、インクが残ったカートリッジ200が新しいカートリッジ200に交換されてインクが無駄に捨てられるおそれが低減する。
また、本実施形態では、発注を指示するか否かの判断の基準となる発注判断値をユーザが変更することができる。ユーザは、プリンタ10の使用頻度が高い場合や、カートリッジ200の配達が遅い場合に、発注判断値を大きくし、新しいカートリッジ200が発注されるタイミングを早めることができる。その結果、タンク160内のインクが使い切られるまでに新しいカートリッジ200がユーザに届く可能性をさらに高めることができる。
また、本実施形態では、カートリッジ200の発注が指示されると、カートリッジ200の発注が指示されたことを示す発注済みオブジェクト61がディスプレイ28に表示される。したがって、カートリッジ200の発注が指示されているか否かをユーザに認識させることができる。カートリッジ200の発注が指示されていることをユーザに認識させることにより、ユーザに安心感を与えることができる。
また、本実施形態では、カートリッジ200内のインクが使い切られるまでは、カートリッジ200を交換しないことを示す交換不可オブジェクト62(図12(B))がディスプレイ28に表示される。したがって、インクが残ったカートリッジ200が新しいカートリッジ200に交換されてインクが無駄に捨てられるおそれを、さらに低減することができる。
また、本実施形態では、インクが残ったカートリッジ200が装着ケース150から外されると、元のカートリッジ200を装着ケース150に装着しなおすことを示す再装着指示オブジェクト63(図12(C))がディスプレイ28に表示される。したがって、インクが残ったカートリッジ200が新しいカートリッジ200に交換されてインクが無駄に捨てられるおそれを、さらに低減することができる。
また、本実施形態では、再装着指示オブジェクト63にしたがって、インクが残ったカートリッジ200をユーザが装着ケース150に装着しなおすと、再装着指示オブジェクト63がディスプレイ28から消去される。したがって、インクが残ったカートリッジ200をユーザが装着ケース150に装着しなおした後も再装着指示オブジェクト63がディスプレイ28に継続して表示されることが防止される。
また、本実施形態では、インクが残ったカートリッジ200が新しいカートリッジ200に交換されて印刷が行われると、インクが残ったカートリッジ200が無駄に捨てられたことを示す破棄情報がPC40を経由してサーバ50に送られ、サーバ50のユーザ管理リストに破棄回数が登録される。したがって、インクが残ったカートリッジ200が破棄された履歴をユーザごとに残すことができる。
また、本実施形態では、液面センサ33を備え、液面センサ33が出力する液面信号に応じて、カートリッジ200に貯留されたインクが使い切られたか否かを判断する。したがって、誤差を有する第1排出値から総残量値を決定し、決定した総残量値によってカートリッジ200に貯留されたインクが使い切られたか否かを判断する場合に比べ、カートリッジ200に貯留されたインクが使い切られたか否かを正確に判断することができる。
また、本実施形態では、PC40にインストールされたステータスモニタである制御プログラム46Bを用いて発注指示をサーバ50に送信する。すなわち、既存のプログラムを利用して発注指示をサーバ50に送信することができる。
[変形例]
上述の実施形態では、液面センサ33を備え、液面センサ33が出力する液面信号に応じて、カートリッジ200に貯留されたインクが使い切られたか否かを判断する例を説明した。しかしながら、第1排出値から総残量値を決定し、決定した総残量値によってカートリッジ200に貯留されたインクが使い切られたか否かを判断してもよい。具体的には、ステップS17の処理の後、ステップS19の第2更新処理が常に実行される。その場合、液面センサ33が不要になり、プリンタ10における部品点数が低減する。
また、上述の実施形態では、アクチュエータ190を備える液面センサ33を説明した。しかしながら、液面センサ33は、タンク160またはカートリッジ200内のインクの液面の位置を検出できれば、アクチュエータ190を備える構成以外の構成を採用してもよい。例えば、液面センサ33は、液室171の後壁164にインクが接触しているか否かによって異なる反射率を有するプリズムを利用して、液室171におけるインクの液面を光学的に検出するセンサであってもよい。また、液面センサ33は、液室171内に挿入された電極棒であってもよい。
また、上述の実施形態では、水頭差によってインクがカートリッジ200からタンク160に流出する例を説明した。しかしながら、重力や、ポンプなどによってインクをカートリッジ200からタンク160に流出させてもよい。すなわち、本発明は、重力やポンプなどによってインクをカートリッジ200からタンク160に流出させる液体消費装置(プリンタ)にも用いることができる。
また、上述の実施形態では、PC40を用いて発注指示をサーバ50に送信する例を説明した。しかしながら、プリンタ10が発注指示をサーバ50に直接送信してもよい。その場合、図11に示す表示/発注処理のうち、ステータス情報をPC40のディスプレイ48に表示させるステップS93以外の処理は、プリンタ10のコントローラ30が実行する。また、プリンタ10の通信I/F31は、インターネットプロトコルなどの通信プロトコルを用いて、サーバ50と通信を行う。
また、上述の実施形態では、1ページの印刷処理(図7:S16)が実行される度にステータス情報がPC40に送信される例を説明した。しかしながら、ステータス情報は、印刷が終了した後(S23:No)に実行されてもよい。或いは、ステータス情報は、PC40からの要求に応じてPC40に送信されてもよい。
また、上述の実施形態では、サーバ50からの要求や日時に拘わりなく発注指示が送信される例(図11:S96)を説明した。しかしながら、発注指示は、サーバ50からの要求に応じて送信されてもよいし、所定の日時に送信されてもよい。例えば、PC40は、カートリッジ200を発注するか否かの情報を返信することを要求するリクエストをサーバ50から受け取ると、発注指示、或いは、カートリッジ200を発注しないことを示す情報をサーバ50に返信する。或いは、PC40は、毎日の定刻(午前0時など)になると、発注指示、或いは、カートリッジ200を発注しないことを示す情報をサーバ50に送信する。
また、上述の実施形態では、オブジェクト61~64がプリンタ10のディスプレイ28に表示される例を説明した。しかしながら、オブジェクト61~64は、PC40のディスプレイ48に表示されてもよいし、プリンタ10のディスプレイ28及びPC40のディスプレイ48の双方に表示されてもよい。
また、上述の実施形態では、カートリッジ200が装着ケース150から外されたことに応じて(S77:Yes)、再装着指示オブジェクト63をディスプレイ28に表示する例(S79)を説明した。しかしながら、装着ケース150のカバー87が開かれたことに応じて、再装着指示オブジェクト63をディスプレイ28に表示してもよい。具体的には、コントローラ30は、カバー87が開かれたことに応じてカバーセンサ88が出力するハイレベルの信号が入力したことに応じて、再装着指示オブジェクト63をディスプレイ28に表示する。
また、上述の実施形態では、オブジェクト61~64が残量表示画面に表示される例を説明した。しかしながら、オブジェクト61~64は、待機画面であるホーム画面などの他の画面に表示されてもよい。
また、上述の実施形態では、インクが液体の一例として説明された。しかしながら、印刷時にインクに先立って用紙などに吐出される前処理液が液体の一例であってもよい。また、ヘッド21を洗浄するための水が液体の一例であってもよい。